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技術 超音波探傷方法および装置

出願人 株式会社日本製鋼所羽田野甫JFEエンジニアリング株式会社
発明者 羽田野甫田中秀秋天野哲也
出願日 2004年6月2日 (16年6ヶ月経過) 出願番号 2004-164085
公開日 2005年12月15日 (15年0ヶ月経過) 公開番号 2005-345217
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析
主要キーワード 前後走査 物性的特性 超音波縦波 伝搬経路長 受波出力 垂直応力 受波用 破壊力学
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年12月15日)のものです。
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図面 (8)

課題

超音波探傷に際し、欠陥傾き角を容易かつ正確に求めることを可能にする。

解決手段

対となる送波用探触子受波用探触子を用いて、送波用探触子から送波された超音波が欠陥の端部に入射して生じる回折波を受波用探触子で受波し、その際の回折波の放射指向性に基づいて、欠陥の傾き角を推定する。傾き角γは次式で求めることができる。 γ={tan−1(Ymax/Z)}− α 但し、Zは欠陥の端部から送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線への距離である。 Ymaxは、回折波の受信信号が最大となる受波位置から、送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ欠陥の端部から引いた法線までの距離である。 αは、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度である。

概要

背景

最近、種々の装置や設備の安全性が求められている中で、事故の原因となりかねない欠陥を早く正確に発見することが重要となってきている。非破壊検査法対象物破壊することなく欠陥や物性的特性を調べる方法である。非破壊検査法の一種である超音波探傷法は、対象物の外部から超音波入射し、その反射波透過波、あるいは回折波を受信し分析することにより内部を調べるものである。

従来の超音波探傷法は、欠陥などの欠陥の存在をある程度敏感に検出できたが、欠陥の形状や大きさ、又は傾き角に関する情報を得ることは難しかった。
そこで、欠陥の寸法をより精確に測定し得る超音波探傷法としてTOFD(Time of Flight Diffraction)法が期待されている。TOFD法では、一対の送波用の超音波探触子受波用の超音波探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて対向して配置し、送波用探触子から対象物中に超音波を放射する。対象物の表面を直接伝わる波(ラテラル波)、そして対象物の底面から反射された底面反射波とともに、対象物中にきずなどの欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信し、これらの波の伝搬時間を基に欠陥の位置や寸法を測定しようとするものである。従来の超音波探傷試験における欠陥の寸法測定には、デシベルドロップ法、評価レベル法、DGS法などが広く用いられてきた。これらの手法は、探触子の移動距離エコー高さに基づいた評価を行なうため、探触子のビームピロフィール走査ピッチ、あるいは欠陥の傾き角度などによって、測定精度が影響を受けることを避け得なかった。これに対しTOFD法は、比較的高精度の測定が可能な伝搬時間を利用するため、欠陥の寸法測定の精度の向上を期待できることになる。

概要

超音波探傷に際し、欠陥の傾き角を容易かつ正確に求めることを可能にする。 対となる送波用探触子と受波用探触子を用いて、送波用探触子から送波された超音波が欠陥の端部に入射して生じる回折波を受波用探触子で受波し、その際の回折波の放射指向性に基づいて、欠陥の傾き角を推定する。傾き角γは次式で求めることができる。 γ={tan−1(Ymax/Z)}− α 但し、Zは欠陥の端部から送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線への距離である。 Ymaxは、回折波の受信信号が最大となる受波位置から、送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ欠陥の端部から引いた法線までの距離である。 αは、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度である。

目的

本発明は、上記の問題を解決しかつ煩雑な作業を要しないで、TOFD法において欠陥の傾き角の推定を簡便かつ精確に行い得る超音波探傷方法および装置を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

対となる送波用探触子受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波放射し、該対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を、前記受波用探触子で受信することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性に基づいて、該欠陥の傾き角推定することを特徴とする超音波探傷方法。

請求項2

受波用探触子において前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置に基づいて、前記欠陥の傾き角を推定することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷方法。

請求項3

受波用探触子を送波用探触子の方向に前後走査し、前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置に基づいて、前記欠陥の傾き角を推定することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷方法。

請求項4

受波用探触子が対象物表面に沿って複数の垂直縦波振動子アレイ状に配設したアレイ探触子であり、該対象物表面に沿って複数の垂直縦波振動子を位置させて対象物中を伝搬する前記回折波によって対象物表面に発生する垂直応力成分を、該アレイ探触子の複数の垂直縦波振動子によりそれぞれ受波し、それぞれの垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置に基づいて、前記欠陥の傾き角を推定することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷方法。

請求項5

欠陥の傾き角γを次式によって推定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の超音波探傷方法。γ={tan−1(Ymax/Z)}−αここでγは、対象物の表面に配置した送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ引いた法線からの前記欠陥の傾き角(受波用探触子側への傾きを正とする)である。Zは、前記欠陥の端部から対象物の表面に配置した送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線への距離である。Ymaxは、受波用探触子において前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置、又は前記アレイ探触子のそれぞれの垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置から、送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ該欠陥の端部から引いた法線までの距離である。αは、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度である。

請求項6

前記の角度αを60(°)とすることを特徴とする請求項5記載の超音波探傷方法。

請求項7

対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、該受波用探触子において前記回折波の受波信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置を測定可能位置測定手段とを備えたことを特徴とする超音波探傷装置

請求項8

対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、該受波用探触子を前記送波用探触子の方向に前後走査したとき前記回折波の受波信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置を測定可能な位置測定手段とを備えたことを特徴とする超音波探傷装置。

請求項9

対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物表面に沿って複数の垂直縦波振動子がアレイ状に配設されたアレイ探触子からなり、該対象物表面に沿って前記垂直縦波振動子を位置させて該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、それぞれの前記垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置を測定可能な位置測定手段とを備えたことを特徴とする超音波探傷装置。

請求項10

対象物中の欠陥の端部の位置を測定する手段を備えたことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の超音波探傷装置。

請求項11

前記位置測定手段によって得られる、前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置又は前記アレイ探触子のそれぞれの垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置と、該欠陥の端部の対象物中における位置と、予め設定された欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度とによって、欠陥の傾き角を算出する演算部を設けたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の超音波探傷装置。

技術分野

0001

本発明は超音波探傷に関し、特に、欠陥傾き角簡便かつ精確に推定することができる超音波探傷方法とその装置に関するものである。

背景技術

0002

最近、種々の装置や設備の安全性が求められている中で、事故の原因となりかねない欠陥を早く正確に発見することが重要となってきている。非破壊検査法対象物破壊することなく欠陥や物性的特性を調べる方法である。非破壊検査法の一種である超音波探傷法は、対象物の外部から超音波入射し、その反射波透過波、あるいは回折波を受信し分析することにより内部を調べるものである。

0003

従来の超音波探傷法は、欠陥などの欠陥の存在をある程度敏感に検出できたが、欠陥の形状や大きさ、又は傾き角に関する情報を得ることは難しかった。
そこで、欠陥の寸法をより精確に測定し得る超音波探傷法としてTOFD(Time of Flight Diffraction)法が期待されている。TOFD法では、一対の送波用の超音波探触子受波用の超音波探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて対向して配置し、送波用探触子から対象物中に超音波を放射する。対象物の表面を直接伝わる波(ラテラル波)、そして対象物の底面から反射された底面反射波とともに、対象物中にきずなどの欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信し、これらの波の伝搬時間を基に欠陥の位置や寸法を測定しようとするものである。従来の超音波探傷試験における欠陥の寸法測定には、デシベルドロップ法、評価レベル法、DGS法などが広く用いられてきた。これらの手法は、探触子の移動距離エコー高さに基づいた評価を行なうため、探触子のビームピロフィール走査ピッチ、あるいは欠陥の傾き角度などによって、測定精度が影響を受けることを避け得なかった。これに対しTOFD法は、比較的高精度の測定が可能な伝搬時間を利用するため、欠陥の寸法測定の精度の向上を期待できることになる。

発明が解決しようとする課題

0004

図6は、TOFD法における超音波探触子の配置と、種々の超音波の伝搬経路概要を示している。送波用探触子30と受波用探触子31の一対の探触子の間の対象物40中に高さDのスリット状の欠陥41が存在する場合を想定している。図7は、このとき受波用探触子31から得られる受波信号の概要である。まず対象物40の表面を直接伝わるラテラル波が受信され、続いて欠陥41の上端部41a(超音波探触子を配置した対象物表面に近い側の欠陥の端部)からの上端回折波、そして欠陥41の下端部41b(超音波探触子を配置した対象物表面に遠い側の欠陥の端部)からの下端回折波が受信される。ここで各々の超音波について送波用探触子30の入射点30abから受波用探触子31の入射点31abに至る伝搬時間を測定し、これに対象物40における超音波の伝搬速度を乗ずることによって、各々の超音波の送波用探触子30から受波用探触子31に至る伝搬経路長が求められる。

0005

欠陥41の端部41a、41bの位置を決定するためには例えば、送波用探触子30と受波用探触子31の間隔を一定に保ったまま図6の左右方向に探触子を走査し(B−走査)、回折波の伝搬時間が極小になったときの両探触子30、31のそれぞれの入射点位置の丁度中央の対象物中に、その回折波を生じた欠陥41の端部41aまたは端部41bがあるとする方法などが用いられている。これにより欠陥41の端部41a、41bとそれぞれの探触子30、31との間の水平距離X、Yが定められるので、上記のように求めた伝搬経路長との幾何学的計算により、欠陥41の端部41aまたは端部41bの深さZが推定される。

0006

また、欠陥の傾き角は、その破壊力学的評価を行う上での重要なパラメータである。上述の方法によって、欠陥の上端部と下端部の位置を求めることによって傾き角を推定することができるが、上端回折波と下端回折波のそれぞれについてB−走査を行って伝搬時間が極小となる位置を決定する必要があり、手続きが煩雑になった。さらに送波用探触子と受波用探触子の間隔に比べて欠陥の寸法は通常微小であるため、この方法によって欠陥の傾き角を精確に推定することは困難であった。勿論この方法は、B−走査が困難となるような対象物には適用が難しく、また実際の対象物で生じることの多い表面又は裏面に開口した欠陥については、当該欠陥の下端部又は上端部のいずれかの位置しか推定できないので、傾き角を決定できなかった。

0007

本発明は、上記の問題を解決しかつ煩雑な作業を要しないで、TOFD法において欠陥の傾き角の推定を簡便かつ精確に行い得る超音波探傷方法および装置を提供するものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、TOFD法においてきずなどの欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性が、欠陥の端部への超音波の入射角に殆んど依存しないことを見いだした。図1はその確認を行うための実験の概要を示している。円形試験片50の中心に半径方向に沿って垂直な疲労き裂51をいれ、送波用に縦波垂直探触子Tと受波用に縦波垂直探触子Rを試験片50の円周上に配置して、き裂端部からの回折波の強度分布を調べた。図2は、送波用探触子Tを垂直から例えば45°の位置に設置した場合について、受波用探触子Rを試験片50の円周上に沿って移動しながらき裂51の下端部51aからの回折波を受信してその強度分布を測定し、放射指向性のパターンとしてプロットしたものである。回折波の強度は垂直即ち、き裂50の方向から、受波用探触子R側に約60°傾いた方向で最大となっているのが分かる。送波用探触子Tを垂直から20°〜80°の範囲で試験片50の円周上を移動してき裂下端部51aへの超音波入射角を変えても、き裂51の方向から約60°傾いた方向で最大となる回折波の放射パターンは殆んど変化しなかった。この実験は図6に示したTOFD法における下端回折波に対応したものであるが、上端回折波に対応した実験においても、き裂端部への超音波の入射角に拘らず、き裂の方向から約60°傾いた方向で最大となる回折波の放射パターンが確認された。かかる知見に基づいて本発明は完成するに至ったものである。

0009

すなわち本発明の超音波探傷方法のうち、第1の発明は、対となる送波用探触子と受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波を放射し、該対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を、前記受波用探触子で受信することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性に基づいて、該欠陥の傾き角を推定することを特徴とする。

0010

第2の発明の超音波探傷方法は、第1の発明の超音波探傷方法において、受波用探触子において前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置に基づいて、前記欠陥の傾き角を推定することを特徴とする。

0011

第3の発明の超音波探傷方法は、第1の発明の超音波探傷方法において、受波用探触子を送波用探触子の方向に前後走査し、前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置に基づいて、前記欠陥の傾き角を推定することを特徴とする。

0012

第4の発明の超音波探傷方法は、第1の発明の超音波探傷方法において、受波用探触子が対象物表面に沿って複数の垂直縦波振動子アレイ状に配設したアレイ探触子であり、対象物中を伝搬する前記回折波によって対象物表面に発生する垂直応力成分を、該アレイ探触子の複数の垂直縦波振動子によりそれぞれ受波し、それぞれの垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置に基づいて、前記欠陥の傾き角を推定することを特徴とする。

0013

第5の発明の超音波探傷方法は、第2〜第4の発明のいずれかの超音波探傷方法において、欠陥の傾き角γを次式によって推定することを特徴とする。
γ={tan−1(Ymax/Z)}− α …(1)
ここでγは、対象物の表面に配置した送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ引いた法線からの前記欠陥の傾き角(受波用探触子側への傾きを正とする)である。
Zは、前記欠陥の端部から対象物の表面に配置した送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線への距離である。
Ymaxは、受波用探触子において前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置、又は前記アレイ探触子のそれぞれの垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置から、送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ該欠陥の端部から引いた法線までの距離である。
αは、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度である。

0014

第6の発明の超音波探傷方法は、第5の発明の超音波探傷方法において、前記の角度αを60(°)とすることを特徴とする。

0015

次に、第1の発明の超音波探傷装置は、対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、該受波用探触子において前記回折波の受波信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置を測定可能位置測定手段とを備えたことを特徴とする。

0016

第2の発明の超音波探傷装置は、対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、該受波用探触子を前記送波用探触子の方向に前後走査したとき前記回折波の受波信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置を測定可能な位置測定手段とを備えたことを特徴とする。

0017

第3の発明の超音波探傷装置は、対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物表面に沿って複数の垂直縦波振動子がアレイ状に配設されたアレイ探触子からなり、該対象物表面に沿って前記垂直縦波振動子を位置させて該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、それぞれの前記垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置を測定可能な位置測定手段とを備えたことを特徴とする。

0018

第4の発明の超音波探傷装置は、第1〜第3のいずれかに記載の超音波探傷装置の発明において、欠陥の端部の位置を測定する手段を備えたことを特徴とする。

0019

第5の発明の超音波探傷装置は、第1〜第4のいずれかに記載の超音波探傷装置の発明において、前記位置測定手段によって得られる、前記回折波の受信信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置又は前記アレイ探触子のそれぞれの垂直縦波振動子の内で前記回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置と、該欠陥の端部の対象物中における位置と、予め設定された欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度とによって、欠陥の傾き角を算出する演算部を設けたことを特徴とする。

0020

すなわち、本発明の超音波探傷方法によれば、超音波探傷に際し、欠陥の端部で発生した回折波の放射指向性が入射角に殆ど依存せず、欠陥の傾き角に依存していることから、回折波の放射指向性から欠陥の傾き角を容易かつ正確に知ることができる。また、放射指向性に関しては、受波位置によって受波出力が異なる現象を利用して受信信号が最大となる受波位置を得て回折波の放射指向性を知ることができる。受信信号が最大となる受波位置は、前記するように受波用探触子を走査することで出力が変化する受信信号から最大受信信号となる受波位置を認識することができる。また、受波用探触子をアレイ探触子で構成し、該アレイ探触子の内で最大の受信信号出力が得られる振動子の位置に基づいて受信信号が最大となる受波位置を知ることができる。
上記した受信信号が最大となる受波位置、欠陥の端部位置などを用いることで、回折波の放射指向性、欠陥の傾き角を幾何学的に算出することができる。

0021

また、本発明の超音波探傷装置によれば、受波用探触子において受信信号が最大となる受波位置が位置測定手段によって容易に得られ、前記のようにして欠陥の傾き角を容易かつ正確に推定することができる。また、前記した幾何学的な算出は、演算部によって速やかに行うことができ、欠陥の傾きを容易に知ることができる。

発明の効果

0022

以上説明したように、本発明の超音波探傷方法によれば、対となる送波用探触子と受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波を放射し、該対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を、前記受波用探触子で受信することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性に基づいて、該欠陥の傾き角を推定するので、従来のTOFD法の問題を解決しかつ煩雑な方法を要しないで、TOFD法において欠陥の傾き角の推定を簡便かつ精確におこなうことができる。

0023

また、本発明の超音波探傷装置によれば、対象物中に超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波する受波用探触子と、該受波用探触子において前記回折波の受波信号が最大となる該受波用探触子の対象物表面における位置を測定可能な位置測定手段とを備えるので、前記探傷方法を確実に実行して欠陥の傾き角を知ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0024

以下に、本発明の一実施形態を図3に基づいて説明する。
この実施形態では、送波用探触子1に通常のを用いた縦波斜角探触子を使用し、受波用探触子2に複数(n個)の垂直縦波振動子a1…anをアレイ状に配設したアレイ探触子を使用する。該垂直縦波振動子a1…anは、対象物5に設置した際に、対象物5の表面5aに沿って位置させることができる。

0025

送波用探触子1は、制御部10によって制御される送波信号発生部11に接続されており、該送波用信号発生部11からの送波用信号を受けて超音波縦波を発生する。
送波用探触子1によって対象物5中に超音波縦波を放射することにより生ずるラテラル波、上端回折波、下端回折波、及びその他の超音波は受波用探触子2で受波される。
アレイ探触子を構成する各々の垂直縦波振動子a1…anの受波信号は、それぞれ制御部10で制御される受波信号処理部12に入力される。

0026

受波信号処理部12は、各々の垂直縦波振動子a1…anの受波信号から、本実施形態においては例えば上端回折波の受信信号をそれぞれ抽出し、抽出された受信信号の内で最大となる垂直縦波振動子を検出し、当該垂直縦波振動子の受信信号と識別番号を前記制御部10に伝達する。制御部10は当該垂直縦波振動子の受信信号と識別番号を記憶し、表示部15に表示する。制御部10では受信信号と識別番号を記憶するためのメモリなどの記憶部を備える。当該垂直縦波振動子が、アレイ探触子の受波面において前方(図3の左方)又は後方図3の左方)の端部付近に位置する垂直縦波振動子である場合は、上端回折波の受信信号が対象物の表面5aにおいて最大となる位置が、アレイ探触子の受波面の外側に存する可能性がある。このときはアレイ探触子を前方(図3の左方)又は後方(図3の右方)に、アレイ探触子の受波面の前後の長さLに概ね相当する距離を移動してから、再度送受波を行う。

0027

上端回折波の受信信号の内で最大となった垂直縦波振動子の対象物表面における位置は、本実施形態では例えば、送波用探触子1から対象物の表面に沿って当該垂直縦波振動子a1…anに到達するラテラル波の伝搬時間に基づいて推定することができる。当該垂直縦波振動子a1…anの受波信号は、受波信号処理部12を経て探触子位置検出部13にも入力される。
探触子位置検出部13は、当該垂直縦波振動子の受波信号からラテラル波の受信信号を抽出し、送信信号とラテラル波の受信信号の間の時間差を測定する。この時間差から予め設定された送波用探触子1及び受波用探触子2内部での時間遅れを減じたものに、ラテラル波の伝搬速度(通常は対象物における縦波音速)を乗算することにより、送波用探触子1の入射点から当該垂直縦波振動子の入射点に至る距離が精確に算出される。すなわち、この実施形態では、受波信号処理部12と探触子位置検出部とによって本発明の位置測定手段が構成されている。

0028

一方、上端回折波を生じた欠陥の上端部6aの対象物中における位置は、例えば前述したように、送波用探触子1と受波用探触子2の間隔を一定に保ったまま図3の左右方向に探触子1、2を走査(B−走査)して、上端回折波の伝搬時間が極小になったときの両探触子のそれぞれの入射点位置の丁度中央の対象物中に、回折波を生じた欠陥6の上端部6aがあるとする方法によって推定することができる。すなわち、上記探触子1、2と探触子を走査(B−走査)した際に回折波の伝搬時間を測定する機器などによって本発明における対象物中における欠陥の端部位置を測定する手段が構成されている。本実施形態では、ラテラル波の伝搬時間に基づいて送波用探触子1と受波用探触子2の入射点間距離を精確に測定できるので、上端回折波を生じた欠陥6の上端部6aの位置も精確に推定できる特徴がある。

0029

上記の手順によって取得された、前記アレイ探触子のそれぞれの垂直縦波振動子の内で上端回折波の受信信号が最大となる垂直縦波振動子の対象物表面における位置と、該欠陥6の上端部6aの対象物5中における位置と、予め設定された欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波の放射指向性によって定まる角度とによって演算部14が前記式(1)の計算を行い、算出された欠陥6の傾き角を表示部15に表示する。演算部14は、例えばCPUとこれを動作させるプログラムとによって構成することができる。

0030

なお本実施形態においては、欠陥の上端部に入射した超音波によって生じる上端回折波の受信信号を抽出して欠陥の傾き角を算出する例を示したが、欠陥の下端部に入射した超音波によって生じる下端回折波の受信信号を抽出して欠陥の傾き角を算出することも勿論同様に可能であり、両者を求めて平均値などによって欠陥の傾き角を算出することも可能である。

0031

なお、上記実施形態では、受波用探触子としてアレイ探触子を用いて受信信号が最大となる受波位置を、複数の垂直縦波振動子における受波信号分布によって求めたが、アレイ探触子を用いないで、受波用探触子を送波用探触子に対し前後に走査することで受信信号が最大となる受波位置を求めてもよい。この場合、受波用探触子の位置を外部のセンサによって検知したり、受波用探触子に位置情報を保持させる機構などを設けたりして本発明の位置測定手段を構成することができる。
さらに、本発明は上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜変更が可能である。

0032

なお、上記実施形態では、受波用探触子で検出した受信信号が最大となる受波位置を求めたが、このときの受信信号は回折波の受波面に垂直な成分に対応したものになる。回折波が縦波の場合は、それぞれの受信信号に (Y2+Z2)1/2/Z を乗じて回折波の伝搬方向に平行な成分を算出して、回折波の伝搬方向に平行な成分が最大となる受波位置を求めることによって、本発明による欠陥の傾き角の推定精度がさらに向上し得ることは勿論である。

0033

以下に、本発明の一実施例を説明する。
本発明の超音波探傷方法を、対象物表面に垂直な高さD=5mmのスリット状の欠陥を内部に有する鋼製の対象物に実施した。送波用探触子には、周波数MHzで公称屈折角60°の縦波斜角探触子を用い、受波用探触子には、同じく周波数5MHzで対象物表面に16個の垂直縦波振動ピッチ0.375mmでアレイ状に配設したアレイ探触子を使用した。

0034

図4は、受波用のアレイ探触子を対象物の表面に沿って、1回毎にアレイ探触子の受波面の前後の長さL=6mmずつ移動させながら合計6回の送受波を行った結果の例である。アレイ探触子を形成する各々の垂直縦波振動子の受波信号から上端回折波の受信信号を抽出して、その信号電圧を対象物の表面における各々の垂直縦波振動子の位置の関数として、垂直縦波振動のピッチである0.375mmきざみでプロットした。同図における各々の垂直縦波振動子の位置は、送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ該欠陥の上端部から引いた法線からの距離、つまり図3におけるYで表示してある。図4から、上端回折波の受信信号が最大となる対象物表面における位置は、Ymax≒17mmであることが分かる。また欠陥の上端部から対象物の表面に配置した送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線までの距離は、Z=10mmであり、α=60°として式(1)に代入して計算した結果、下記のように欠陥の傾き角がほぼ正確に推定できた。
γ={tan−1(17/10)}− 60 ≒ − 0.5 (°)

0035

次に、本発明の他の実施例を説明する。
本発明の超音波探傷方法を、対象物表面への垂線から10°傾いた高さD=5mmのスリット状の欠陥を内部に有する鋼製の対象物に実施した。送波用探触子には、周波数5MHzで公称屈折角60°の縦波斜角探触子を用い、受波用探触子には、同じく周波数5MHzで対象物表面に16個の垂直縦波振動をピッチ0.375mmでアレイ状に配設したアレイ探触子を使用した。

0036

図5は、受波用のアレイ探触子を対象物の表面に沿って、1回毎にアレイ探触子の受波面の前後の長さL=6mmずつ移動させながら合計6回の送受波を行った結果の例である。アレイ探触子を形成する各々の垂直縦波振動子の受波信号から上端回折波の受信信号を抽出して、その信号電圧を対象物の表面における各々の垂直縦波振動子の位置の関数として、垂直縦波振動のピッチである0.375mmきざみでプロットした。同図における各々の垂直縦波振動子の位置は、送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線へ該欠陥の上端部から引いた法線からの距離、つまり図3におけるYで表示してある。図5から、上端回折波の受信信号が最大となる対象物表面における位置は、Ymax≒27mmであることが分かる。また欠陥の上端部から対象物の表面に配置した送波用探触子と受波用探触子のそれぞれの入射点を結ぶ直線までの距離は、Z=10mmであり、α=60°として式(1)に代入して計算した結果、下記のように欠陥の傾き角がほぼ正確に推定できた。
γ={tan−1(27/10)}− 60 ≒ 9.7 (°)

図面の簡単な説明

0037

回折波の放射指向性を示すための測定具を示す図である。
同じく、放射指向性の測定結果を示す図である。
本発明の一実施形態における超音波探傷を説明するための図である。
本発明の一実施例における測定結果を示す図である。
本発明の他の実施例における測定結果を示す図である。
TOFD法を説明するための図である。
同じくTOFD法による受波信号を示す図である。

符号の説明

0038

1送波用探触子
2受波用探触子
5対象物
6欠陥
10 制御部
11送波信号発生部
12受波信号処理部
13 探触子位置検出部
14演算部
15 表示部
30 送波用探触子
30ab入射点
31 受波用探触子
31ab 入射点
40 対象物
41 欠陥
41a上端部
41b下端部
50試験片
51 疲労き裂

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