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技術 親水性多孔性フィルム及びそれからなる多層フィルム

出願人 三井化学株式会社
発明者 市川太郎矢野滋
出願日 2004年5月28日 (16年5ヶ月経過) 出願番号 2004-158936
公開日 2005年12月8日 (14年11ヶ月経過) 公開番号 2005-335274
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2)
主要キーワード フィルム状素材 水分検出 尿もれ 高分子吸収ポリマー ツィーグラー DIAL 親水性付与剤 物理変化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年12月8日)のものです。
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図面 (1)

課題

水に濡れる前(ドライ時)は白色で、水に濡れれば(ウェット時は)透明化し、従来に比べ大幅に柔軟化された、着色部を有するフィルム状素材を提供する。また、従来に比べて低コストで得られるフィルム状素材を提供する。

解決手段

フィルム状素材は、一方の面に着色された部分を有する熱可塑性樹脂を主成分とする親水性多孔性フィルムの他方の面に、水の透過を防止する層を設けてなる多層フィルムからなる。また、親水性多孔フィルムは、熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部と、熱可塑性樹脂と充填剤の総和を100質量部としてさらに親水性付与剤を0.1〜10質量部有する熱可塑性樹脂組成物フィルム状に成形し、次いで少なくとも1軸方向に延伸して得られる。

概要

背景

近年、紙おむつバックシートとして、尿もれ防止とおむつかぶれ防止に効果のある多孔性フィルムが多く用いられてきている。この多孔性フィルムは、内部に微小な孔が無数に形成されており、これら内部の界面で光が乱反射されるため、多孔性フィルムは白色不透明を示す。このために、これを紙おむつのバックシートに用いた場合、外からはおむつ内部の様子が見えにくくなっている。特に尿のような薄い色は判別しにくく、着用者が尿をしたかどうか外部からは視認しにくいという問題がある。そこで、実際おむつを外して手で確かめる必要があり、不便さを生じている。

そこで、特許文献1や特許文献2には、吸水すると透明化する白色の微粒子を、樹脂バインダーとともに紙などの親水性基材に固着させた素材が開示されている。この基材の裏面に印刷を施しておけば、水に濡れた際、表面の白色微粒子と基材が透明化し、裏面の印刷が透けて見える。これは、白色微粒子の屈折率が水に近く、水に濡れることで微粒子表面での光の乱反射が減少し透明化するという物理変化を利用している。

しかしながら、基材として用いられることが多い紙は触感が硬く、紙おむつの様な肌に直接触れる用途には好ましくない。また、製造コストが高いため、紙おむつの様な使い捨ての用途には好ましくない。さらに同上の理由により、表示面積を大きくできず、視認性に劣るという問題もある。

実開平3−58416号公報
特開平9−299401号公報

概要

水に濡れる前(ドライ時)は白色で、水に濡れれば(ウェット時は)透明化し、従来に比べ大幅に柔軟化された、着色部を有するフィルム状素材を提供する。また、従来に比べて低コストで得られるフィルム状素材を提供する。 フィルム状素材は、一方の面に着色された部分を有する熱可塑性樹脂を主成分とする親水性多孔性フィルムの他方の面に、水の透過を防止する層を設けてなる多層フィルムからなる。また、親水性多孔フィルムは、熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部と、熱可塑性樹脂と充填剤の総和を100質量部としてさらに親水性付与剤を0.1〜10質量部有する熱可塑性樹脂組成物フィルム状に成形し、次いで少なくとも1軸方向に延伸して得られる。 なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一方の面に着色された部分を有する、熱可塑性樹脂を主成分とする親水性多孔性フィルムの他方の面に、水の透過を防止する層を設けてなる多層フィルム

請求項2

親水性多孔性フィルムが、熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部からなる熱可塑性樹脂組成物フィルム状に成形し、次いで延伸してなるものである請求項1に記載の多層フィルム。

請求項3

熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部と、熱可塑性樹脂と充填剤の総和を100質量部としてさらに親水性付与剤を0.1〜10質量部とを有するものである請求項2に記載の多層フィルム。

請求項4

水の透過を防止する層が、色料を除いた印刷インキを親水性多孔性フィルムに塗布し、乾燥してなるものである請求項1に記載の多層フィルム。

請求項5

着色された面の上に高分子吸収体からなる層を設けてなる請求項1に記載の多層フィルム。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の多層フィルムからなる水検出用フィルム

請求項7

熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部と、熱可塑性樹脂と充填剤の総和を100質量部としてさらに親水性付与剤を0.1〜10質量部有する熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形し、次いで少なくとも1軸方向に延伸してなる親水性多孔性フィルム。

技術分野

0001

本発明は、親水性多孔性フィルム及びそれからなる多層フィルムに関する。詳しくは、水に濡れる前(ドライ時)は通常の白色を示し、水に濡れた後(ウェット時)は透明化して、親水性多孔性フィルム表面に描かれた模様を裏面から識別できる多層フィルムに関する。

背景技術

0002

近年、紙おむつバックシートとして、尿もれ防止とおむつかぶれ防止に効果のある多孔性フィルムが多く用いられてきている。この多孔性フィルムは、内部に微小な孔が無数に形成されており、これら内部の界面で光が乱反射されるため、多孔性フィルムは白色不透明を示す。このために、これを紙おむつのバックシートに用いた場合、外からはおむつ内部の様子が見えにくくなっている。特に尿のような薄い色は判別しにくく、着用者が尿をしたかどうか外部からは視認しにくいという問題がある。そこで、実際おむつを外して手で確かめる必要があり、不便さを生じている。

0003

そこで、特許文献1や特許文献2には、吸水すると透明化する白色の微粒子を、樹脂バインダーとともに紙などの親水性基材に固着させた素材が開示されている。この基材の裏面に印刷を施しておけば、水に濡れた際、表面の白色微粒子と基材が透明化し、裏面の印刷が透けて見える。これは、白色微粒子の屈折率が水に近く、水に濡れることで微粒子表面での光の乱反射が減少し透明化するという物理変化を利用している。

0004

しかしながら、基材として用いられることが多い紙は触感が硬く、紙おむつの様な肌に直接触れる用途には好ましくない。また、製造コストが高いため、紙おむつの様な使い捨ての用途には好ましくない。さらに同上の理由により、表示面積を大きくできず、視認性に劣るという問題もある。

0005

実開平3−58416号公報
特開平9−299401号公報

発明が解決しようとする課題

0006

そこで、本発明は、水に濡れる前(ドライ時)は白色で、水に濡れれば(ウェット時は)透明化し、従来に比べ大幅に柔軟化された、着色部を有するフィルム状素材を提供しようとするものである。また本発明は、従来に比べて低コストで得られるフィルム状素材を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、鋭意検討した結果、親水性多孔性フィルムの一方の面に部分的に着色された模様を施し、他方の面に水の透過を防止する層を設けることにより前記目的が達成され得ることを見出し本発明に到達した。

0008

すなわち、本発明のフィルム状素材は、一方の面に着色された部分を有する、熱可塑性樹脂を主成分とする親水性多孔性フィルムの他方の面に、水の透過を防止する層を設けてなる多層フィルムからなる。

0009

また、本発明の親水性多孔フィルムは、熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部と、熱可塑性樹脂と充填剤の総和を100質量部としてさらに親水性付与剤を0.1〜10質量部有する熱可塑性樹脂組成物フィルム状に成形し、次いで少なくとも1軸方向に延伸してなる。

発明の効果

0010

本発明の多層フィルムは、向上した柔軟性を有し、より廉価であり、従来品と同等の尿等の水分検出機能を持つ。

発明を実施するための最良の形態

0011

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の多層フィルムは、一方の面に着色された部分を有する、熱可塑性樹脂を主成分とする親水性多孔性フィルムの他方の面に、水の透過を防止する層を設けてなる多層フィルムである。

0012

熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂ポリアミド樹脂ポリオレフィン樹脂などがあげられ、ポリエステル樹脂としては例えば、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートなどがあり、ポリアミド樹脂としては例えば、ナイロン6ナイロン66などを用いることができる。これらのなかでは柔軟性に優れる点でポリオレフィン樹脂が好ましい。

0013

本発明に使用されるポリオレフィン樹脂としては、エチレンプロピレンブテンペンテンヘキセン酢酸ビニル等のオレフィン重合体及びそれらの共重合体を主成分とするものが好ましく、具体的には低密度ポリエチレン線型低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレン高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂ポリプロピレンエチレン−プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂ポリ4−メチルペンテンポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン共重合体及びこれらの混合物が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂は、ツィーグラー触媒を用いて製造された樹脂であっても、また、メタロセン触媒の如きシングルサイト触媒を用いて製造された樹脂であってもよい。

0014

これらの内、ポリエチレン系樹脂がより好ましく、エチレン−α−オレフィン共重合体である線型低密度ポリエチレン樹脂、及び低密度ポリエチレンが最も好ましい。ポリオレフィン樹脂のメルトインデックスは、フィルムの成形性、延伸性等を考慮すると、0.1〜30g/10min程度であることが好ましく、0.5〜10g/10min程度であることがさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂の密度は、フィルムの柔軟性を考慮すると0.910〜0.940g/cm3であることが好ましい。

0015

本発明の多層フィルムに用いられる親水性多孔性フィルムは、熱可塑性樹脂25〜80質量部、充填剤75〜20質量部からなる熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形し次いで延伸してなるものが好ましい。

0016

充填剤としては、無機充填剤有機充填剤を用いることができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム硫酸バリウム硫酸カルシウム炭酸バリウム水酸化マグネシウム水酸化アルミニウム酸化亜鉛酸化マグネシウム酸化チタンシリカタルクガラスビーズ等が挙げられる。これらの内では、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが好ましい。さらに、廉価性等を案すると、炭酸カルシウムがより好ましい。有機充填剤としては、ポリスチレンポリメタクリル酸メチルフェノール樹脂等の樹脂ビーズ等が好ましい。

0017

熱可塑性樹脂と充填剤との組成比は、フィルムの成形性、延伸性、得られるフィルムのドライ時とウェット時の光線透過率等に影響を及ぼす。充填剤の量が少ないと、熱可塑性樹脂と充填剤との界面剥離によって得られる微小な孔の数が少なくなり、ドライ時の光線透過率が高くなるため好ましくない。また、充填剤の量が多いと、フィルム成形する場合に成形不良を生じたり、延伸性が低下したりして十分な延伸が行えなくなるので好ましくない。かかる観点から、熱可塑性樹脂と充填剤との組成比は、熱可塑性樹脂が25〜80重量%、充填剤が75〜20重量%であることが好ましい。更に好ましくは、熱可塑性樹脂が30〜70重量%、充填剤が70〜30重量%である。充填剤の平均粒径は20μm以下のものが好ましく、更に好ましくは10μm以下であり、0.5〜5μmのものが最も好ましい。

0018

充填剤は、熱可塑性樹脂との分散性を向上させるために表面処理が施されたものでも良い。表面処理剤としては、充填剤の表面を被覆することにより、その表面を疎水化できるものが好ましく、例えばステアリン酸ラウリン酸等の高級脂肪酸またはそれらの金属塩等を挙げることができる。

0019

本発明の多層フィルムに用いられる親水性多孔性フィルムは、熱可塑性樹脂25〜80質量部と充填剤75〜20質量部と、熱可塑性樹脂と充填剤の総和を100質量部としてさらに親水性付与剤を0.1〜10質量部有する熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形し次いで延伸してなるものが好ましい。

0020

親水性多孔性フィルムは、熱可塑性樹脂及び充填剤を含む樹脂組成物に、親水性付与剤を特定量含むことに特徴を有し、親水性付与剤の量は、ウェット時の光線透過率に影響を及ぼす。

0021

親水性付与剤の添加量が少ないと、水に濡れた際に内部の孔に水が染み込みにくくなり、ウェット時の光線透過率が低くなるため好ましくない。一方、親水性付与剤の添加量が多いと、ウェット時の光線透過率は高くなるが、保管中に親水性付与剤のブリードアウトが起こったり、押出性能が劣ったりするため、好ましくない。かかる点を考慮すると、親水性付与剤添加量は、熱可塑性樹脂及び充填剤を含む樹脂組成物100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。

0022

上記親水性付与剤としては、非イオン界面活性剤陰イオン性界面活性剤陽イオン性界面活性剤などがあげられ、具体的には、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルグリセリン脂肪酸エステルポリエチレングリコール脂肪酸エステルポリオキシエチレン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、陰イオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩などを用いることができる。これらのなかでは、その他のイオン性含有物の影響を受けにくい点で、非イオン界面活性剤が好ましい。さらには、親水性をコントロールしやすい点で、脂肪酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。

0023

脂肪酸エステルとしては、多価アルコールまたはポリ多価アルコール脂肪酸とのエステルが挙げられる。また、多価アルコール、ポリ多価アルコールとしてはグリセリンポリグリセリンソルビタンエチレングリコールポリエチレングリコールプロピレングリコールポリプロピレングリコールなどが挙げられる。脂肪酸としては、ヤシ脂肪酸、牛脂脂肪酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスリン酸パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸オレイン酸などが挙げられる。上記脂肪酸エステルからなる親水性付与剤のなかでは、保管中の親水性付与剤のブリードアウト、使用時の親水性付与剤の移行、フィルムの成形性を勘案すると、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルが最も好ましい。

0024

ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを構成するポリエチレングリコールの平均分子量は、保管時の親水性付与剤のブリードアウト、使用時の親水性付与剤の移行やフィルム成形性に影響を及ぼす。ポリエチレングリコールの平均分子量が低すぎる場合、保管中に親水性付与剤がブリードアウトしやすく、経時的に変性するので好ましくない。また、使用時も親水性付与剤が移行しやすく、特に水分によって親水性付与剤が洗い流されて、周囲に親水剤拡散するため好ましくない。更に、溶融押出成形時に発煙が多くなるので好ましくない。

0025

一方、ポリエチレングリコールの平均分子量が高すぎる場合、押出量が低下し、フィルム生産性が低下するため好ましくない。そのため、親水性付与剤を構成するポリエチレングリコールの平均分子量は150〜750であることが好ましく、より好ましくは300〜500である。本発明における平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いる通常の方法で測定できる。

0026

ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭化水素基炭素数もまた保管時の親水性付与剤のブリードアウト、使用時の親水性付与剤の移行やフィルム成形性に影響を及ぼす。脂肪酸の炭素数が少なすぎる場合、保管中に親水性付与剤がブリードアウトしやすく、経時的に変性するので好ましくない。また、使用時も親水性付与剤が移行しやすく、特に水分によって親水性付与剤が洗い流されて、周囲に親水性付与剤が拡散するため好ましくない。更に、押出性能も劣るため好ましくない。脂肪酸の炭素数が多すぎると、親水性が低下し、本発明のウェット時の透過率を高くすることができないため好ましくない。そのため、脂肪酸の炭素数としては12〜16であることが好ましく、より好ましくは12〜14である。

0027

上記脂肪酸エステルとして具体的には、本油脂製薬(株)製商品名「TB−202」や「TB1259」、理研ビタミン(株)製 商品名「リケマールO−71−DE」などが挙げられるが、上記内容を満たしていればこれらに限定されない。

0028

本発明の多層フィルムに用いられる親水性多孔性フィルムには、本発明の目的を妨げない範囲で、延伸助剤、安定剤、酸化防止剤着色剤紫外線吸収剤分散剤等の他の添加剤を添加してもよい。

0029

次に、本発明の多層フィルムの製造方法を例示する。まず、親水性多孔性フィルムの製造を行うには、例えば、上記熱可塑性樹脂、充填剤、上記親水性付与剤、必要に応じてその他の添加物ヘンシェルミキサースーパーミキサータンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸または二軸スクリュー型押出機を用いて混練してペレット化する。次いで、そのペレットを熱可塑性樹脂の融点以上、好ましくは融点+20℃以上、分解温度未満の温度において、Tダイ等が装着された押出成形機円形ダイが装着されたインフレーション成形機等の公知の成形機を用いて溶融製膜する。場合によってはペレット化せず直接成形機で製膜することもできる。

0030

製膜されたフィルムは、ロール法テンター法、ギア法等の公知の方法により、室温から樹脂の軟化点(JIS K−6760に規定される方法により測定した値)までの範囲の温度において、少なくとも一軸方向に延伸され、熱可塑性樹脂と充填剤との界面剥離を起こさせることにより多孔性フィルムが製造される。延伸は、一段で行ってもよいし、多段階に分けて行ってもよい。

0031

延伸倍率は、延伸時のフィルム破れ、得られるフィルムのドライ時の光線透過率に関係するので、倍率が高過ぎても低過ぎても好ましくない。かかる観点から、延伸倍率は少なくとも1軸方向に1.2〜6倍であることが好ましい。さらに好ましくは、1.4〜5倍である。2軸延伸する場合は、最初に機械方向、またはそれと直角をなす方向に1軸延伸し、次いで該方向と直角をなす方向に2軸目の延伸を行う方法、あるいは、機械方向及びそれと直角をなす方向に同時に2軸延伸する方法がある。いずれの方法も適用可能である。

0032

また、延伸した後、必要に応じて得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。熱固定処理としては、樹脂の軟化点以上、融点未満の温度において、0.1〜100秒間熱処理する方法が挙げられる。また、フィルムには印刷などによる着色を施しやすく、また、水がしみこみやすいようにコロナ処理を施してもよい。

0033

本発明の多層フィルムには、視認のために一方の面に部分的に着色が施される。着色の手段としては、本発明の目的が達成されるものであれば特に制限はないが、好ましくは着色による重量の増加が小さい印刷処理である。一方の面に印刷処理を行うことで、フィルムの他方の面からはドライ時は印刷柄が見えないが、ウェット時は印刷柄が透けて見えるという効果を得ることが出来る。印刷はフレキソ印刷グラビア印刷など特に制限はなく、使用インキも溶剤性、水性など制限はない。印刷の色にも特に制限はなく、単色でも多色でもよい。印刷柄にも特に制限はないが、ベタ印刷部は、その印刷部分からはフィルム内部の孔に水が染み込みにくくなり、ウェット時の透明化に時間がかかる傾向にある。逆にドット印刷部は、印刷部からでもフィルム内部の孔に水が染み込み易く、短時間で透明化する。用途に応じて、ベタ印刷部とドット印刷部を調整することが好ましい。また、用途に応じて両面印刷を施し、表面と裏面とに水に対する機能差を付けることも可能である。

0034

また、フィルム全面をウェット状態としやすくするため、高分子吸収ポリマーなどの高分子吸収体からなる層を、印刷された着色部の上に設けることも有効である。その層はフィルム全面でも良いし、部分的でも良い。高分子吸収体の層は、印刷柄の上に、印刷機を用いてさらに印刷する方法などで設けることができる。その場合、全面に上塗りしてもよいし、ドットで部分的に塗布しても良い。層の厚みに特に制限は無いが、極端に薄い場合は有効に水を吸収できず、また極端に厚い場合は柔軟性や廉価性に劣る。これらを勘案すると通常、0.1μm〜50μm程度である。

0035

本発明の多層フィルムは、視認のための着色を施した面とは反対の面に水の透過を防止する層を設けることが好ましい。水の透過を防止する層を設けることにより、尿等の視認に用いた場合、尿によるフィルム中の親水性付与剤の溶出を防止することができる。親水性付与剤が尿により溶出した場合、オムツ等の防漏性フィルムに使用されることの多い透湿性の多孔性フィルムに尿が触れて、その防漏性フィルムまで親水化されてしまい、尿等を漏らす恐れがある。

0036

さらに、水の透過を防止する層を設けることにより、多孔性フィルムにしみこんだ尿等の水分の乾燥を防ぐことができる。乾燥により水分が多孔性フィルムからなくなると、ドライ状態の光線透過率に戻り、印刷柄が透けて見えなくなる。

0037

水を透過しない層は、多層押出工程によって多層フィルムを形成しても良い。例えば二台の押出成形機と、1つのTダイからなる多層押出製膜装置にて、充填材と親水性付与剤を含む熱可塑性樹脂の層からなるフィルムと、充填剤を含まない熱可塑性樹脂の層からなるフィルムを溶融製膜した後、予熱ロール延伸ロールとの間で機械方向に一軸延伸する方法などが挙げられる。また、フィルム上に防水性の材料をコートしても良い。例えば、ロールコーターを用いてアクリル樹脂をコートする方法などが挙げられる。

0038

また、色料を除いた透明な印刷インキを用いて多孔性フィルム全面に印刷を施し乾燥して水の透過を防止する層を設けることが容易かつ廉価であり好ましい。印刷はフレキソ印刷やグラビア印刷など特に制限はなく、使用インキも溶剤性、水性など制限はないが、溶剤性のもののほうが、より水を透過しにくい性能に優れるので好ましい。水の透過を防止する層の厚みに特に制限はないが、極端に薄い場合は水の透過を有効に防ぐことができず、また極端に厚い場合は柔軟性や廉価性に劣る。これらを勘案すると通常の厚みは0.1μm〜50μm程度である。

0039

本発明の多層フィルムの厚みには特に制限はないが、極端に厚い場合はウェット時の光線透過率が低くなってしまう上、柔軟性や廉価性に劣るため、好ましくない。また、極端に薄い場合も、フィルムの成形時に破れが発生するので、好ましくない。これらを勘案すると、通常の厚みは5〜100μm程度である。好ましくは7〜70μmである。さらに好ましくは8〜50μmである。

0040

上記の如くして製造される本発明の多層フィルムは、ドライ時の全光線透過率が50%未満、ウェット時の全光線透過率が50%以上の範囲にあることが好ましい。ドライ時の光線透過率が50%以上の場合、ドライ時とウェット時との光線透過率の違いが少なくなり、水に濡れたことによる差異知覚しにくくなるので、水検出用に使用するには好ましくない。ウェット時の全光線透過率が50%未満の場合、裏面から印刷柄が透けて見えにくくなるため、やはり水検出用に使用するには好ましくない。より好ましくは、ドライ時の全光線透過率が45%未満、ウェット時の全光線透過率が55%以上である。また、ドライ時とウェット時の全光線透過率の差は、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。

0041

本発明の多層フィルムの剛性は80mm以下であり、適度の柔軟性を有する。そのため、柔軟性が要求される用途、例えば、使い捨てオムツ用の尿検出用フィルム等として好適に使用される。剛性の下限については特に規定はないが、通常10mm程度である。

0042

かかる特性を有する多層フィルムは、ドライ時の全光線透過率が低く、ウェット時の全光線透過率が高く、水検出用フィルムとして好適に用いることができる。また、柔軟性が高く、廉価であるので、使い捨て紙おむつなどの尿検出用フィルム等として好適である。

0043

本発明について更に具体的に説明するため、以下に実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0044

実施例に示したメルトインデックス(以下、MIという。)、ドライ時の全光線透過率、ウェット時の全光線透過率、フィルム厚み、剛性、親水性付与剤の移行性耐乾燥性は、下記方法により測定、評価した値である。

0045

(1)メルトインデックス(g/10min)
ASTMD−1238−57T(E)に規定される方法により、温度190℃、荷重2160gの条件下で測定した。

0046

(2)ドライ時の全光線透過率(%)
JIS K−7105に規定される方法に基づき、霞度計(日本電色工業製、型式:NDH−300A)を用いて測定した。多層フィルムの機械方向(以下、MD方向という)50mm及び機械方向と直角方向(以下、TD方向という)100mmのサンプル1枚について印刷柄以外の部分を2点測定し、合計10枚20点測定し、平均値を算出した。

0047

(3)ウェット時の全光線透過率(%)
上記(2)と同様にサンプルを採取し、純水にフィルムを1分間浸した後表面の水滴を拭き取って、霞度計を用いて2点測定した。各サンプルについて上記の操作を繰り返し、合計10枚20点測定し、平均値を測定した。

0048

(4)フィルム厚み
多層フィルムから試料〔MD方向:10cm、CD方向:10cm〕を10枚採取し、各サンプル5箇所で合計50箇所の測定点について、厚み測定機(PEACOCK社製、UPRIGHDIALUAGE NO.25)を用いて厚みを測定し、その平均厚みを算出してこれをフィルム厚みとした。

0049

(5)剛性(mm)
JIS−L1096に規定される方法(カンチレバー法)に準拠して測定した。測定に使用した試料は、幅200mm、長さ300mmのフィルムを幅25mmの金尺に巻付けた後、金尺を抜き取り、得られた偏平状の巻物(幅25mm、長さ300mm)を重量1kgのローラーにより1往復押圧して調製した。

0050

(6)親水性付与剤の移行
親水性付与剤を用いない以外は実施例1に従って作製した200mm角の多孔性フィルム、200mm角の本発明の多層フィルム、100mm角の濾紙2枚をこの順番で重ね、インク色付けした水5mlを濾紙上に滴下した。次いで濾紙上に100mm角10Kgの重りを載せ、5分後に最底面(親水性付与剤無しの多孔性フィルムの裏面)にインクが染み出しているかを100mm角の範囲内で目視観察し、以下のように評価した。
○:まったく染み出しなし、
△:100mm角の面積の半分以内に染み出しあり、
×:100mm角の面積の半分を越えて全面に染み出しあり。

0051

(7)耐乾燥性
A4版の黒いボール紙の上に、透明なアクリル板を置き、その上に水0.1ccを滴下した。その上に本発明の多層フィルム3cm×4cm角の印刷を施した面を下にして静かに置いた。1分後、15分後、および30分後の印刷柄の見え方を目視にて観察した。また、比較のため、ドライ状態における多層フィルムについても観察し、以下のように評価した。温度は23℃、相対湿度は50%で行った。
○:はっきりみえる、
△:ぼんやりみえる、
×:ほとんどみえない。

0052

(8)成形性
Tダイが装着された押出成形機を用いて、240℃において溶融製膜した後、70℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で、延伸後のライン速度20m/minにて4.0倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸を行う状況を観察し、以下のように評価した。
〇:膜破れや押出量の大幅な低下がなく、安定して成形できる、
×:膜破れや押出量の大幅な低下がみられ、安定して成形できない。

0053

〔実施例1〕
線形低密度ポリエチレンLLDPE1(三井化学(株)製、商品名:ウルトゼックス2021L、密度:0.920g/cm3、メルトインデックス(MI):2.1g/10min)38重量部、分岐状低密度ポリエチレンLDPE(三井化学(株)製、商品名ミラソン27、密度:0.918g/cm3、MI:2.0g/10min)2重量部に対し、充填剤として炭酸カルシウムCaCO3((株)同和カルファイン製、商品名:SST−40、平均粒子径:1.1μm)60重量部、親水性付与剤A(松本油脂(株)製、商品名:TB−202、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル)3重量部をタンブラーミキサーにて混合した後、タンデム型押出機を用いて200℃において均一に混練してペレット状に加工した。このペレットをTダイが装着された押出成形機を用いて、240℃において溶融製膜した後、70℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で4.0倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ25μmの親水性多孔性フィルムを得た。そのフィルムの片面に、センターインプレッションフレキソ印刷機により、インキとして大日精化(株)製ハイドリックSK293Cブルー(H)を大日精化(株)製インキ用溶剤ハイドリックSK No.2で粘度を#3ザーンカップで20秒に調整して用いて、第1図のような印刷柄(網点印刷、50線/インチ、50%)の着色を施した。得られた多孔性フィルムのドライ時の全光線透過率、ウェット時の全光線透過率、剛性、親水性付与剤の移行、耐乾燥性、成形性を上記の方法により測定、評価した。得られた結果を表1に示す。

0054

〔実施例2〕
実施例1で作製したフィルムの印刷した面の反対面に、色料を除いたインク成分メジウム)として、大阪印刷インキ製造(株)製FPOT−NWF(メジウムMT改)を大阪印刷インキ製造(株)製インキ用溶剤の3番溶剤で粘度を#3ザーンカップで20秒に調整して用い、センターインプレッション型フレキソ印刷機により全面凸の版を用いてフィルム全面に印刷(塗布)した。得られた多層フィルムの評価結果を表1に示す。

0055

〔実施例3〜8、比較例1〜2〕
線型低密度ポリエチレン、充填剤、親水性付与剤の配合割合(単位:重量部)、延伸倍率、並びにフィルム厚みを表1または表2に示すように変更した以外は、実施例2と同様にして多層フィルムを製造した。得られたフィルムの各特性を実施例1と同様にして測定、評価し、結果を表1、表2に示す。

0056

〔実施例9〕
実施例2で製作したフィルムの印刷面の上に、吸水性ポリマーコート剤として、大阪印刷インキ製造(株)製EXP15078(吸水メジウム)とEXP15078(硬化剤)を100:1に混ぜたものを、センターインプレッション型フレキソ印刷機により、全面凸の版を用いてフィルム全面に印刷(塗布)した。得られた結果を表1に示す。

0057

〔実施例10〕
実施例1で得られた印刷前のフィルムの印刷面に、コロナ処理装置を用いて1kVでコロナ処理を施した以外は、実施例2と同じ方法で多層フィルムを得た。
得られた結果を表1に示す。

0058

0059

0060

本発明の多層フィルムは、向上した柔軟性を有し、より廉価であり、従来品と同等の尿等の水分検出機能を持つ。そのため、衛生材料医療用材料衣料用材料建築用材料包装材料等の分野において好適に応用することができ、特に、使い捨てオムツ等の吸収体物品の尿検出用フィルムとして好適に使用することができる。

図面の簡単な説明

0061

本発明の実施例で用いた印刷柄の概略図である。

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