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技術 水素貯蔵材料

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 王鋭涛徐強清林哲栗山信宏
出願日 2004年5月26日 (16年7ヶ月経過) 出願番号 2004-155393
公開日 2005年12月8日 (15年0ヶ月経過) 公開番号 2005-334739
状態 特許登録済
技術分野 固体収着剤及びろ過助剤 水素、水、水素化物
主要キーワード 無色物質 水素吸収特性 水素解離 水素貯蔵器 アラネート 水素供給用 水素吸収量 テイー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年12月8日)のものです。
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図面 (4)

課題

豊富に存在する低コスト物質を有効成分とする可逆的な水素貯蔵材料であって、高い安全性を有し、且つ十分な水素放出充填速度と取り扱い安さなどの条件を満足できる新規な水素貯蔵材料を提供する。

解決手段

Na2Oを有効成分として含有することを特徴とする水素貯蔵材料、及び該水素貯蔵材料を水素に接触させることを特徴とする水素貯蔵方法

概要

背景

水素は、資源としての豊富さ、環境に対する優しさ等から、将来の理想的な燃料として注目されている。水素を燃料として利用する場合の主な難点は、水素貯蔵の問題である。水素の貯蔵方法としては、高圧を利用する方法(下記非特許文献1参照)、低温における水素貯蔵方法(下記非特許文献2参照)等が報告されている。しかしながら、これらの高圧や低温を利用する方法は、安全面、容積コストなどの点で制約が大きく、自動車用燃料などの貯蔵方法としては実用的な方法ではない。このことは、自動車用燃料等の用途に有用な固体水素貯蔵材料に対する広範な研究開発を促進してきた大きな要因といえる。

これまで、水素を貯蔵するための固体キャリアとして、金属水素化物(下記非特許文献3及び4参照)、活性炭及びカーボンナノチューブ(下記非特許文献5及び6参照)等が研究されてきた。更に、最近、化学的水素貯蔵材料として、アラネート(下記非特許文献7参照)、リチウム窒素系材料(下記非特許文献8参照)等が報告されている。

この様に、水素貯蔵材料については、各種の研究が進められているが、高い重量水密度と十分な水素解離エネルギーを有し、且つ、自動車用燃料等の用途で要求される高い安全性、低コスト、十分な水素放出充填速度、取り扱い安さなどの条件を満たす材料は、いまだ見出されていないのが現状である。
F. Mitlitsky, A. H. Weisberg and B. Myers; Proc. of the 2000 U. S.DOE Hydrogen Program Review, NREL/CP-570-28890 (2001)
庄一、太田時監修、水素エネルギー最先端技術(1995)、エヌ・テイーエス
上原斎、田英雄監修、水素吸蔵合金基礎から最先端技術まで,(1998)、エヌ・テイー・エス
太田時男監修、水素エネルギー最先端技術(1995)、エヌ・テイー・エス
C. Zandonella, Nature, 410 (2001), 734;
A. Zuttel, S. Orimo,MRS Bull, (2002), 705.
B. Bogdanovic, M. Schwictrardi, J. Alloys Comp., 253-254, (1997), 1
P. Chen, Z. Xiong, J. Luo, J. Lin, K.L. Tan, Nature, 420 (2002), 302

概要

豊富に存在する低コストの物質を有効成分とする可逆的な水素貯蔵材料であって、高い安全性を有し、且つ十分な水素放出・充填速度と取り扱い安さなどの条件を満足できる新規な水素貯蔵材料を提供する。Na2Oを有効成分として含有することを特徴とする水素貯蔵材料、及び該水素貯蔵材料を水素に接触させることを特徴とする水素貯蔵方法。

目的

本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、豊富に存在する低コストの物質を有効成分とする可逆的な水素貯蔵材料であって、高い安全性を有し、且つ十分な水素放出・充填速度と取り扱い安さなどの条件を満足できる新規な水素貯蔵材料を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

Na2Oを有効成分として含有することを特徴とする水素貯蔵材料

請求項2

更に、NaHとNaOHを含有する請求項1に記載の水素貯蔵材料。

請求項3

更に、Si、Ti、Zr、Fe、Ni、Cr及びこれらの元素を含有する化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を含有する請求項1又は2に記載の水素貯蔵材料。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の水素貯蔵材料を水素と接触させることを特徴とする水素貯蔵方法

請求項5

−50℃以上、500℃未満の温度範囲、1.3Pa〜50MPaの水素圧力下で、水素貯蔵材料と水素とを接触させることを特徴とする請求項4に記載の水素貯蔵方法。

請求項6

請求項1〜3のいずれかに記載の水素貯蔵材料を水素と接触させて該水素貯蔵材料に水素を吸収させることによる水素貯蔵と、この反応によって形成されるNaHとNaOHから水素を発生させることによる水素放出を可逆的に行うことを特徴とする水素の貯蔵及び放出方法

請求項7

水素貯蔵材料への水素吸収反応を、1.3Pa〜50MPaの水素圧下において、−50℃以上500℃未満の温度範囲で行い、水素放出反応を水素吸収反応より高い温度条件下及び/又は低い水素圧下で行う請求項6に記載の水素の貯蔵及び放出方法。

技術分野

0001

本発明は、水素貯蔵材料及び水素貯蔵方法に関する。

背景技術

0002

水素は、資源としての豊富さ、環境に対する優しさ等から、将来の理想的な燃料として注目されている。水素を燃料として利用する場合の主な難点は、水素貯蔵の問題である。水素の貯蔵方法としては、高圧を利用する方法(下記非特許文献1参照)、低温における水素貯蔵方法(下記非特許文献2参照)等が報告されている。しかしながら、これらの高圧や低温を利用する方法は、安全面、容積コストなどの点で制約が大きく、自動車用燃料などの貯蔵方法としては実用的な方法ではない。このことは、自動車用燃料等の用途に有用な固体水素貯蔵材料に対する広範な研究開発を促進してきた大きな要因といえる。

0003

これまで、水素を貯蔵するための固体キャリアとして、金属水素化物(下記非特許文献3及び4参照)、活性炭及びカーボンナノチューブ(下記非特許文献5及び6参照)等が研究されてきた。更に、最近、化学的水素貯蔵材料として、アラネート(下記非特許文献7参照)、リチウム窒素系材料(下記非特許文献8参照)等が報告されている。

0004

この様に、水素貯蔵材料については、各種の研究が進められているが、高い重量水密度と十分な水素解離エネルギーを有し、且つ、自動車用燃料等の用途で要求される高い安全性、低コスト、十分な水素放出充填速度、取り扱い安さなどの条件を満たす材料は、いまだ見出されていないのが現状である。
F. Mitlitsky, A. H. Weisberg and B. Myers; Proc. of the 2000 U. S.DOE Hydrogen Program Review, NREL/CP-570-28890 (2001)
庄一、太田時監修、水素エネルギー最先端技術(1995)、エヌ・テイーエス
上原斎、田英雄監修、水素吸蔵合金基礎から最先端技術まで,(1998)、エヌ・テイー・エス
太田時男監修、水素エネルギー最先端技術(1995)、エヌ・テイー・エス
C. Zandonella, Nature, 410 (2001), 734;
A. Zuttel, S. Orimo,MRS Bull, (2002), 705.
B. Bogdanovic, M. Schwictrardi, J. Alloys Comp., 253-254, (1997), 1
P. Chen, Z. Xiong, J. Luo, J. Lin, K.L. Tan, Nature, 420 (2002), 302

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、豊富に存在する低コストの物質を有効成分とする可逆的な水素貯蔵材料であって、高い安全性を有し、且つ十分な水素放出・充填速度と取り扱い安さなどの条件を満足できる新規な水素貯蔵材料を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、安全性が高く入手の容易な物質であるNa2Oは、一定の条件下において水素を吸収して水酸化ナト
リウムと水素化ナトリウムに変化し、更に、形成された水酸化ナトリウムと水素化ナトリ
ウムの混合物は、水素吸収の際の条件と比較して低い水素圧力又は高温度とすることによって、水素を放出して再度Na2Oとなり、可逆的な水素の吸収と放出が可能であるとい
う、従来全く知られていないNa2Oの新規な特性を見出した。そして、斯かるNa2Oの特性を利用することによって、安全で、取り扱いの容易な新規な水素貯蔵材料が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。

0007

即ち、本発明は、下記の水素貯蔵材料及び水素貯蔵方法を提供するものである。
1. Na2Oを有効成分として含有することを特徴とする水素貯蔵材料。
2. 更に、NaHとNaOHを含有する上記項1に記載の水素貯蔵材料。
3. 更に、Si、Ti、Zr、Fe、Ni、Cr及びこれらの元素を含有する化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を含有する上記項1又は2に記載の水素貯蔵材料。
4. 上記項1〜3のいずれかに記載の水素貯蔵材料を水素と接触させることを特徴とする水素貯蔵方法。
5. −50℃以上、500℃未満の温度範囲、1.3Pa〜50MPaの水素圧力下で、水素貯蔵材料と水素とを接触させることを特徴とする上記項4に記載の水素貯蔵方法。6. 上記項1〜3のいずれかに記載の水素貯蔵材料を水素と接触させて該水素貯蔵材料に水素を吸収させることによる水素貯蔵と、この反応によって形成されるNaHとNaOHから水素を発生させることによる水素放出を可逆的に行うことを特徴とする水素の貯蔵及び放出方法
7. 水素貯蔵材料への水素吸収反応を、1.3Pa〜50MPaの水素圧下において、−50℃以上500℃未満の温度範囲で行い、水素放出反応を水素吸収反応より高い温度条件下及び/又は低い水素圧下で行う上記項6に記載の水素の貯蔵及び放出方法。

本発明の水素貯蔵材料は、Na2Oを有効成分とするものである。本発明者の研究によ
れば、Na2Oは、下記(1)式に従って水素を吸収して、NaHとNaOHに変化する
ことが明らかとなった。これは、従来全く知られていないNa2Oの特性である。

0008

Na2O + H2 → NaH + NaOH (1)
本発明の水素貯蔵材料の有効成分であるNa2Oは、公知化合物であり、密度2.3g
/cm3の無色物質である。本発明の水素貯蔵材料では、有効成分として用いるNa2Oの種類について特に限定はなく、一般に市販されているものをそのまま使用できる。また、ボールミルなどを用いて、適度な大きさに粉砕したものを用いても良い。

0009

また、後述する様に、Na2Oの水素の吸収・放出は可逆的であり、Na2Oの水素吸収によって形成されるNaHとNaOHの混合物は、加熱や減圧によって水素を放出して、Na2Oに変化する。従って、本発明では、NaHとNaOHを原料として、この混合物
から水素を放出して形成されるNa2Oを水素貯蔵材料の有効成分として用いても良い。

0010

本発明の水素貯蔵材料は、有効成分であるNa2Oを含有すればよく、水素貯蔵性能
悪影響の無い限りその他の成分が同時に含まれていても良い。通常は、水素の吸収反応が進行することにより、上記(1)式によってNaHとNaOHが形成されるので、水素の貯蔵過程では、Na2O、NaH及びNaOHが同時に存在することになる。また、有効
成分として存在するNa2Oが完全に水素を吸収した場合には、Na2Oは、全てNaHとNaOHに変換された状態となる。理論的には、Na2Oが完全に水素を吸収した場合に
は、吸収された水素とNa2O の合計量を100重量部として、3.13重量部の水素を貯蔵することが可能である。

0011

本発明の水素貯蔵材料による水素吸収(充填)時の温度は、通常、500℃未満とすればよい。水素吸収温度の下限については、特に限定的ではなく、例えば、−50℃程度の
温度においても水素吸収(貯蔵)が可能であるが、15℃程度以上とすることにより、水素の吸収速度を上昇させることができる。特に、60〜350℃程度とすることにより、適度な速度で水素の吸収反応を進行させることができる。

0012

水素吸収(充填)時の水素圧についても特に限定的ではなく、例えば、1.3Pa〜50MPa程度の水素圧において水素の吸収反応を進行させることが可能であるが、適度な速度で水素吸収反応を進行させるためには、0.1MPa〜10MPa程度の水素圧とすることが好ましく、0.5MPa〜5MPa程度の水素圧とすることがより好ましい。

0013

図1は、本発明の水素貯蔵材料の有効成分であるNa2O及びその水素吸収過程におけ
生成物粉末X線回折(XRD)パターンを示す図面である。図1aは、Na2OのX
線回折パターンであり、図1bは、Na2Oを60℃で10MPaの水素と48時間接
させた試料X線回折パターンである。図1bからは、NaHとNaOHに帰属する回折ピークが観察され、約50%の転化率でNaHとNaOHに変化したことが判る。

0014

図1cは、Na2Oを150℃で10MPaの水素と60時間接触させた試料のX線
折パターンである。また、図1dは、NaHとNaOHの1:1(モル比)混合物のX線回折パターンである。図1cでは、Na2Oに帰属する回折ピークがほとんど消失し、N
aHとNaOHに帰属する回折ピークのみが観察される。これから、約100%の添加率でNaHとNaOHに変化したことが判る。また、水素吸収量測定から、吸収された水素とNa2Oの合計量を100重量部として約3重量部の水素が吸収されたことがわかる。

0015

更に、本発明者の研究によれば、上記(1)式に従ってNa2Oが水素を吸収して形成
されるNaHとNaOHは、下記(2)式に従って、水素を放出して、再度Na2Oに変
化することが明らかになった。

0016

NaH + NaOH → Na2O + H2 (2)
図2は、NaHとNaOHのモル比1:1混合物を、昇温速度2℃/分で昇温した場合の熱重量測定(TG)の結果を示すグラフである。図2から、NaHとNaOHの混合物を加熱した場合に、160℃から重量が徐々に減少し、220℃付近から重量減少が著しくなることが判る。また、重量減少はNaHとNaOHの合計量を基準として3.1重量%に達し、理論値におけるすべての水素が放出されたことが確認できた。

0017

図3は、質量分析(MS)−TPD(Temperature Programmed Desorption)法による脱
水素測定の結果を示すグラフである。図3aは、NaHとNaOHのモル比1:1の混合物を、昇温速度2℃/分で昇温した場合についての測定結果を示すものであり、160℃付近からH2放出が顕著になり、273℃でH2の放出がピークに達することが確認できた。また、NaHとNaOHのモル比1:1混合物を340℃で、ポンプ(約13.3Pa)を用いて24時間排気したのち、XRDを測定した結果、NaH及びNaOHに帰属する回折ピークが消失し、Na2Oに帰属するピークが観測された。この結果からは、Na
H及びNaOHの混合物は、水素を放出してNa2Oに変化することが確認できた。

0018

上記した(1)式と(2)式より、Na2Oを水素貯蔵材料とする場合に、下記(3)
式に従って水素の吸収と放出反応が可逆的に進行することが判る。

0019

Na2O + H2 ⇔ NaH + NaOH (3)
本発明の水素貯蔵材料では、水素の放出反応させる際の温度については、特に限定的ではなく、例えば、−50℃程度以上、500℃程度未満の温度範囲において、水素を放出させることが可能であり、特に、15℃〜400℃程度、好ましくは80℃〜350℃程度の温度範囲において、十分な速度で水素を放出することができる。

0020

尚、上記(3)式に示す様に、Na2Oの水素吸収・放出反応は可逆反応であることか
ら、水素吸収反応の際の条件より、高い温度及び低い水素圧のいずれか一方又は両方の条件を満足することによって、水素の放出反応を円滑且つ迅速に進行させることができる。

0021

本発明の水素貯蔵材料は、Na2Oに加えて、更に、Si、Ti、Zr、Fe、Ni、
Cr及びこれらの元素を含有する化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分(以下、「添加成分」ということがある)を含有することができる。これらの添加成分を含む水素貯蔵材料は、特に優れた水素吸収性能を有するものとなり、Na2Oのみを有効成
分とする水素貯蔵材料と比較して、より低温度において、より急速な水素吸収が可能となる。

0022

また、Na2Oの水素吸収により形成されるNaHとNaOHの混合物中に、上記した
添加成分が存在する場合には、水素の放出反応が著しく促進され、添加成分を含有しない場合と比較して、より低温度での急速な水素放出が可能となる。

0023

添加成分としては、Si、Ti、Zr、Fe、Ni若しくはCrの金属単体、又はこれらの金属元素の少なくとも一種を含む化合物を用いることができる。添加成分は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。添加成分として用いる化合物の種類については、特に限定的ではなく、例えば、酸化物塩化物アルコキシド化合物配位子を含む化合物等を用いることができる。特に、添加成分の内で、SiO2、TiCl3、TiO2、Ti(OBu)4、ZrO2、Zr(OPr)4,Fe2O3、Fe(acac)2、Ni
O, Ni(1,5-COD)2, Cr2O3(上記式中、acacはアセチルアセトネート、Bu
ブチル、Prはプロピル、CODはシクロオクタジエンを表す)等を用いる場合には、水素の吸収・放出が著しく促進される。

0024

添加成分は、単に、Na2Oと混合するだけでも良いが、Na2Oと添加成分とを混合し、ボールミルを用いて十分に撹拌することによって、Na2Oと添加成分が均一に混合さ
れて、水素の吸収・放出が著しく促進される。

0025

また、Na2Oと添加成分を混合することに代えて、NaHとNaOHの混合物に上記
した添加成分を加えても良い。この様にして得られるNaH、NaOH及び添加成分の混合物は、上記式(2)による水素放出反応が著しく促進されており、低温度における水素放出が可能である。更に、水素放出によって形成されるNa2Oは、添加成分を含有する
ものとなり、非常に優れた水素吸収特性を有するものとなる。

0026

上記した添加成分の添加量は、Na2O 100モルに対して0.01〜100モルの
程度とすることが好ましく、0.1〜10モルの程度とすることがより好ましい。

0027

図1eは、NaHとNaOHのモル比1:1の混合物にNaH100モルに対して5モルのSiO2を添加した試料を、340℃においてポンプで排気して13.3Paの圧力
下に3時間維持して得られた試料についての粉末X線回折パターンである。図1eからは、Na2Oに帰属する回折ピークが観察され、NaHとNaOHの混合物から、水素が放
出されてNa2Oが形成されたことが確認できる。また、図1fは、NaHとNaOHの
モル比1:1の混合物にNaH100モルに対して5モルのSiO2を添加した試料を、
340℃においてポンプで排気して13.3Paの圧力下に3時間維持し、その後150℃、水素圧4MPaで水素を吸収させる操作を2回繰り返して得られた試料についての粉末X線回折パターンである。図1fからは、NaHとNaOHに帰属する回折ピークが観察され、水素の放出と吸収が可逆的に進行していることが確認できる。

0028

図3bは、NaHとNaOHのモル比1:1の混合物にNaH100モルに対して5モルのSiO2を添加した添加した試料を、昇温速度2℃/分で昇温した場合について、M
S−TPD法による脱水素測定の結果を示すグラフである。このグラフから、H2の放出
ピークが243℃に観察され、NaHとNaOHのモル比1:1の混合物のみを用いる場合(曲線a)と比較して、水素放出温度が約30℃低温にシフトしたことが確認できる。

発明の効果

0029

本発明の水素貯蔵材料は、安価で豊富に存在し、安全性の高いNa2Oを有効成分とす
るものであり、更に、Na2Oの水素吸収によって形成されるNaHとNaOHも安全性
が高く、取り扱いが容易な物質である。また、本発明の水素貯蔵材料は、水素の吸収と放出を繰り返し行っても、殆ど水素貯蔵性能が低下せず、高いリサイクル性を持つ材料である。

0030

従って、本発明の水素貯蔵材料は、低コストで、安全性が高く取り扱いが容易な、非常に有用性の高い水素貯蔵材料である。

0031

本発明の水素貯蔵材料は、水素が必要とされる広範囲の環境下において使用することができる。例えば、自動車船舶航空機ミサイル用等のオンボード水素貯蔵等の水素貯蔵器として有効に利用することができる。また、水素燃料電池への水素供給用水素貯蔵器としての応用も可能である。

0032

更に、本発明の水素貯蔵材料を容器中に収納することによって、容易に水素貯蔵器を得ることができる。この様な水素貯蔵器は、例えば、エネルギー運搬の用途に利用することもできる。

発明を実施するための最良の形態

0033

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0034

実施例1
Na2O 248 mg (4 mmol)を容積2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続し、60℃で10 MPaの水素を導入した。48時間後に、吸収された水素とNa2Oの合計量を基準として1.5 wt%の水素吸収が観測された。粉末XRDを測定した結果、Na2O に帰属するピークの他、NaHとNaOHに帰属するピークが観測され、約50%のNa2Oが未反応のままで残り、約50%のNa2OがNaHとNaOHに変化したことがわかった。

0035

実施例2
Na2O 248 mg (4 mmol)を容積2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続し、150℃で10 MPaの水素を導入した。60時間後に、吸収された水素とNa2Oの合計量を基
準として、3.0 wt%の水素が吸収された。粉末XRDを測定した結果、Na2O に帰属するピークが殆ど消失し、NaHとNaOHに帰属するピークが観測され、Na2Oがほぼ100%の転化率でNaHとNaOHに変化したことがわかった。

0036

実施例3
実施例2における水素吸収後の試料を340℃でポンプ(約13.3Pa)を用いて3時間排
気したのち、再び150℃で10 MPaの水素を導入した。60時間後に、吸収された水素とNa2O
の合計量を基準として、2.3 wt%の水素が再吸収されたことが確認できた。

0037

実施例4
Na2OとSiO2の混合物(Na2O:SiO2(モル比)=100:5)をボールミルに入れ、回転速度300rpm、回転時間10分間、停止時間10分間の繰り返し条件で3時間混合した。このよう
に調製した試料260 mgを2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続し、150℃で4.0 MPaの水素を導入した。3時間後に、吸収された水素とNa2O/SiO2混合物の合計量を基準として2.9 wt%の水素が吸収されたことが確認できた。次いで、340℃でポンプ(
約13.3Pa)を用いて3時間排気したのち、再び150℃で4.0 MPaの水素を導入した。3時間後に、2.9 wt%の水素が再吸収されたことが確認できた。

0038

実施例5
回転速度300rpm、回転時間10分間、停止時間10分間の繰り返し条件で、NaHとNaOHのモル比1:1混合物を3時間ボールミルで混合した。このように調製した試料256 mgを容積2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続した。340℃でポンプ(約13.3Pa)を用いて3時間排気したのち、150℃で10 MPaの水素を導入した。60時間後に、用いたNaHとNaOHの合計量を基準として2.2wt%の水素が再吸収されたことが確認できた。

0039

実施例6
NaHとNaOHのモル比1:1混合物に、NaH100モルに対して5モルの割合でSiO2を添加し、この混合物をボールミルに入れ、回転速度300rpm、回転時間10分間、停
止時間10分間の繰り返し条件で3時間混合した。

0040

このように調製した試料268 mgを容積2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続した。340℃でポンプ(約13.3Pa)を用いて3時間排気したのち、150℃で4.0 MPaの水素を導入した。3時間後に、用いたNaH、NaOH及びSiO2の合計量を
基準として2.9wt%の水素吸収が観測された。

0041

実施例7
NaHとNaOHのモル比1:1混合物に、NaH100モルに対して3モルの割合でTiCl3を添加し、この混合物をボールミルに入れ、回転速度300rpm、回転時間10分間、停止
時間10分間の繰り返し条件で3時間混合した。

0042

このように調製した試料275 mgを容積2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続した。340℃でポンブ(約13.3Pa)を用いて3時間排気したのち、150℃で4.0 MPaの水素を導入した。3時間後に、用いたNaH、NaOH及びTiCl3の合計量
を基準として2.8wt%の水素吸収が観測された。

0043

実施例8
NaHとNaOHのモル比1:1混合物に、NaH100モルに対して5モルの割合でNiを添加し、この混合物をボールミルに入れ、回転速度300rpm、回転時間10分間、停止時間10分間の繰り返し条件で3時間混合した。

0044

このように調製した試料267 mgを容積2.3 mlの試料セルに入れ、水素吸収・放出量測定装置に接続した。340℃でポンブ(約13.3Pa)を用いて3時間排気したのち、150℃で4.0 MPaの水素を導入した。3時間後に、 用いたNaH、NaOH及びNiの合計量を基
準として、2.7wt%の水素吸収が観測された。

0045

実施例9
実施例4において水素を再吸収させた試料について、340℃でのポンプ(約13.3Pa)
を用いた排気(3時間)と、150℃、4.0 MPaでの水素吸収(3時間)を3回繰り返した結果、吸収された水素とNa2O/SiO2混合物の合計量を基準として、それぞれの水素吸収量は2.9, 2.8, 2.9 wt%であった。

0046

実施例10
実施例6において水素を吸収させた試料について、340℃でのポンプ(約13.3Pa)を
用いた排気(3時間)と、150℃、4.0 MPaでの水素再吸収(3時間)を4回繰り返した結
果、用いたNaH、NaOH及びSiO2の合計量を基準として、それぞれの水素吸収量
は2.9, 2.8, 2.9, 2.9 wt%であった。

0047

実施例11
実施例7において水素を吸収させた試料について、340℃でのポンプ(約13.3Pa)を
用いた排気(3時間)と、150℃、4.0 MPaでの水素再吸収(3時間)を4回繰り返した結
果、用いたNaH、NaOH及びSiO2の合計量を基準として、それぞれの水素吸収量
は2.8, 2.7, 2.8, 2.7 wt%であった。

図面の簡単な説明

0048

本発明の水素貯蔵材料の有効成分であるNa2O及びその水素貯蔵過程における生成物の粉末X線回折(XRD)パターン。
NaHとNaOHのモル比1:1混合物の熱重量測定(TG)の結果を示すグラフ。
質量分析(MS)−TPD(Temperature Programmed Desorption)法による脱水素測定の結果を示すグラフ。

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