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技術 魚介類の飼育方法及びその方法に用いる魚介類の飼育装置

出願人 株式会社山有
発明者 山村正一
出願日 2004年5月19日 (15年4ヶ月経過) 出願番号 2004-148488
公開日 2005年12月2日 (13年10ヶ月経過) 公開番号 2005-328735
状態 特許登録済
技術分野 養殖 嫌気,嫌気・好気又は生物に特徴ある処理 特殊濾過機
主要キーワード 高電圧処理 パール材 仕切り具 閉鎖循環 高電圧パルス発生装置 好気性高温菌 混合菌体 立体構造体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類飼育する新規にして容易な方法とその方法に用いるのに適した軽便な飼育装置を提供することを課題とする。

解決手段

魚介類の飼育水槽の水を、多数の微細通気路又は通気孔を有する濾材好気性高温菌発酵生成物とを封入してあるリアクターとの間で循環させ、リアクターと水槽にそれぞれ通気し、水槽中の有機廃棄物をリアクターへ送って好気性高温菌の発酵生成物と接触させ、有機廃棄物を分解することによって水を浄化し、水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する方法。本発明者が産業技術総合研究所の特許生物寄託センター寄託している好気性高温菌を使用することが好ましい。魚介類を飼育する水槽と、多数の微細な通気路又は通気孔を有する濾材と好気性高温菌の発酵生成物とを水と接触可能な状態で封入できるリアクターと、水槽とリアクターの間で水を循環させる手段及び水槽とリアクターにそれぞれ通気する手段を備えた魚介類の飼育装置。

概要

背景

特開2002−223667号公報
特開2002−191257号公報
特開2000−287580号公報
特開平8−56523号公報

閉鎖循環式の水槽内で魚介類飼育すると、魚介類の残餌(食べ残した餌料)や排泄物などの有機廃棄物に起因してアンモニアが発生する。そのため、水槽の水を清浄に維持するには、水槽内に発生したアンモニアを分解処理するか又は水槽内のアンモニアの発生を抑制する必要がある。水槽の水をなるべく取り換えないで魚介類を飼育する方法について公知文献を調べると、従来の方法は、以下の2系統に大別できる。その一つは、微生物処理法ともいうべき方法で、飼育水循環経路硝化槽脱窒槽を設け、まず、飼育水中のアンモニアを硝化槽内硝化菌好気性菌)によって硝化させ、亜硝酸から硝酸を経て硝酸態窒素に変換させ、次いで、脱窒槽内の脱窒菌嫌気性菌)によって窒素ガスに変換させ、飼育水の循環経路外に放出することによって水槽内の水を浄化する方法であり、公知文献としては、特許文献1(特開2002−223667号公報)や特許文献2(特開2002−191257号公報)を代表例とする。他の一つは、高電圧処理法ともいうべき方法で、飼育水の循環経路に、高電圧パルス発生装置静電圧発生装置などを取り付けて飼育水を活性化させ、水中の有機物の分解や空気中への拡散を促進させると共に、アンモニアの発生を抑制する方法であり、公知文献としては、特許文献3(特開2000−287580号公報)や特許文献4(特開平8−56523号公報)を代表例とする。

上記従来の方法には、どちらにも共通の問題がある。すなわち、上記微生物処理法は、硝化槽や脱窒槽、さらには、固液分離のための沈殿槽などを必要とし、また、上記高電圧処理法は、高電圧パルス発生装置や静電圧発生装置などを必要とするため、どちらも、飼育装置が大掛かりになると共に、メンテナンスが複雑になりやすい。その上、これら従来の方法は、いずれも、水槽内の有機廃棄物からアンモニアが発生した後の処理を前提とする方法であって、アンモニアが発生する前に有機廃棄物を処理する方法ではない。そのため、従来の方法では、アンモニアの発生を完全に抑えることができないので、水槽の水を取り替えないで飼育できるにしても、その状態で魚介類を長期間にわたって飼育し続けることは困難である。

概要

水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する新規にして容易な方法とその方法に用いるのに適した軽便な飼育装置を提供することを課題とする。魚介類の飼育水槽の水を、多数の微細通気路又は通気孔を有する濾材好気性高温菌発酵生成物とを封入してあるリアクターとの間で循環させ、リアクターと水槽にそれぞれ通気し、水槽中の有機廃棄物をリアクターへ送って好気性高温菌の発酵生成物と接触させ、有機廃棄物を分解することによって水を浄化し、水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する方法。本発明者が産業技術総合研究所の特許生物寄託センター寄託している好気性高温菌を使用することが好ましい。魚介類を飼育する水槽と、多数の微細な通気路又は通気孔を有する濾材と好気性高温菌の発酵生成物とを水と接触可能な状態で封入できるリアクターと、水槽とリアクターの間で水を循環させる手段及び水槽とリアクターにそれぞれ通気する手段を備えた魚介類の飼育装置。

目的

上記の状況に鑑み、本発明は、水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する新規にして容易な魚介類の飼育方法とその方法に用いるのに適した軽便な魚介類の飼育装置を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

魚介類飼育している水槽の水を、多数の微細通気路又は通気孔を有する濾材好気性高温菌発酵生成物とを封入してあるリアクターとの間で循環させ、かつ、リアクターと水槽にそれぞれ通気しながら、水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する方法。

請求項2

請求項1に記載の方法において、下記の群から選ばれる少なくとも1種以上の好気性高温菌による発酵生成物を用いて魚介類を飼育する方法。記独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM P-15085、同FERM P-15086、同FERM P-15087、同FERM P-15536、同FERM P-15537、同FERM P-15538、同FERM P-15539、同FERM P-15540、同FERM P-15541、同FERM P-15542、同FERM P-18598、

請求項3

請求項1又は2に記載の方法において、水槽とリアクターの間の水の循環の際に魚介類の残餌排泄物などの水槽中の有機廃棄物をリアクターへ送って好気性高温菌の発酵生成物と接触させ、有機廃棄物を分解することによって水槽の水を浄化し、魚介類を飼育する方法。

請求項4

請求項1から3のいずれかに記載の飼育方法に用いる装置であって、魚介類を飼育する水槽と、多数の微細な通気路又は通気孔を有する濾材と好気性高温菌の発酵生成物とを水と接触可能な状態で封入できるリアクターと、水槽とリアクターの間で水を循環させる手段及び水槽とリアクターにそれぞれ通気する手段を備えた魚介類の飼育装置

技術分野

0001

本発明は、魚介類飼育方法及びその方法に用いる魚介類の飼育装置に関する。詳しくは、水槽内の水を日常的に取り換えることなく、閉鎖された水槽内で魚介類を飼育する方法及びその方法に用いるのに好適な魚介類の飼育装置に関する。本発明の魚介類の飼育方法及び飼育装置は、魚介類の飼育に手間がかからず、飼育に要するコストを大幅に抑えることができる。その上、本発明の方法及び装置によれば、水槽の水を取り換えない状態で魚介類を長期間にわたって飼育し続けることかできる。また、飼育魚介類成長が早く、かつ、斃死率をきわめて小さく抑えることができる。

背景技術

0002

特開2002−223667号公報
特開2002−191257号公報
特開2000−287580号公報
特開平8−56523号公報

0003

閉鎖循環式の水槽内で魚介類を飼育すると、魚介類の残餌(食べ残した餌料)や排泄物などの有機廃棄物に起因してアンモニアが発生する。そのため、水槽の水を清浄に維持するには、水槽内に発生したアンモニアを分解処理するか又は水槽内のアンモニアの発生を抑制する必要がある。水槽の水をなるべく取り換えないで魚介類を飼育する方法について公知文献を調べると、従来の方法は、以下の2系統に大別できる。その一つは、微生物処理法ともいうべき方法で、飼育水循環経路硝化槽脱窒槽を設け、まず、飼育水中のアンモニアを硝化槽内硝化菌好気性菌)によって硝化させ、亜硝酸から硝酸を経て硝酸態窒素に変換させ、次いで、脱窒槽内の脱窒菌嫌気性菌)によって窒素ガスに変換させ、飼育水の循環経路外に放出することによって水槽内の水を浄化する方法であり、公知文献としては、特許文献1(特開2002−223667号公報)や特許文献2(特開2002−191257号公報)を代表例とする。他の一つは、高電圧処理法ともいうべき方法で、飼育水の循環経路に、高電圧パルス発生装置静電圧発生装置などを取り付けて飼育水を活性化させ、水中の有機物の分解や空気中への拡散を促進させると共に、アンモニアの発生を抑制する方法であり、公知文献としては、特許文献3(特開2000−287580号公報)や特許文献4(特開平8−56523号公報)を代表例とする。

0004

上記従来の方法には、どちらにも共通の問題がある。すなわち、上記微生物処理法は、硝化槽や脱窒槽、さらには、固液分離のための沈殿槽などを必要とし、また、上記高電圧処理法は、高電圧パルス発生装置や静電圧発生装置などを必要とするため、どちらも、飼育装置が大掛かりになると共に、メンテナンスが複雑になりやすい。その上、これら従来の方法は、いずれも、水槽内の有機廃棄物からアンモニアが発生した後の処理を前提とする方法であって、アンモニアが発生する前に有機廃棄物を処理する方法ではない。そのため、従来の方法では、アンモニアの発生を完全に抑えることができないので、水槽の水を取り替えないで飼育できるにしても、その状態で魚介類を長期間にわたって飼育し続けることは困難である。

発明が解決しようとする課題

0005

上記の状況に鑑み、本発明は、水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する新規にして容易な魚介類の飼育方法とその方法に用いるのに適した軽便な魚介類の飼育装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するための本発明のうち特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、魚介類を飼育している水槽の水を、多数の微細通気路又は通気孔を有する濾材好気性高温菌発酵生成物とを封入してあるリアクターとの間で循環させ、かつ、リアクターと水槽にそれぞれ通気しながら、水槽の水を日常的に取り換えないで魚介類を飼育する方法である。

0007

また、同請求項2に記載する発明は、請求項1に記載の方法において、下記の群から選ばれる少なくとも1種以上の好気性高温菌による発酵生成物を用いて魚介類を飼育する方法である。

独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM P-15085、
同FERM P-15086、同FERM P-15087、同FERM P-15536、同FERM P-15537、
同FERM P-15538、同FERM P-15539、同FERM P-15540、同FERM P-15541、
同FERM P-15542、同FERM P-18598、

0008

また、同請求項3に記載する発明は、請求項1又は2に記載の方法において、水槽とリアクターの間の水の循環の際に魚介類の残餌や排泄物などの水槽中の有機廃棄物をリアクターへ送って好気性高温菌の発酵生成物と接触させ、有機廃棄物を分解することによって水槽の水を浄化し、魚介類を飼育する方法である。

0009

さらに、同請求項4に記載する発明は、請求項1から3のいずれかに記載の飼育方法に用いる装置であって、魚介類を飼育する水槽と、多数の微細な通気路又は通気孔を有する濾材と好気性高温菌の発酵生成物とを水と接触可能な状態で封入できるリアクターと、水槽とリアクターの間で水を循環させる手段及び水槽とリアクターにそれぞれ通気する手段を備えた魚介類の飼育装置である。

発明の効果

0010

従来、水槽中に魚介類が発生させた残餌(食べ残した餌料)や排泄物などの有機廃棄物が残存していると、これに起因してアンモニアが発生し、水を腐敗させ、飼育魚介類を斃死させることが多発していたが、本発明の魚介類の飼育方法及び飼育装置によれば、水槽中の有機廃棄物は、水と共にリアクターに送られ、リアクターに封入してある好気性高温菌の働きによって分解されると共に、魚介類が体内に保有していた大腸菌などの有害菌は好気性高温菌の働きによって殺菌されてしまうので、水槽内の飼育水は、長期間にわたって腐敗することなく、常にクリーンな状態に維持することができる。

0011

すなわち、本発明の魚介類の飼育方法及び飼育装置によれば、好気性高温菌の働きによって水槽内の有機廃棄物を分解し、水槽内にアンモニアを発生させないので、水槽内の水を日常的に取り換える必要がない。また、有害菌を死滅させてしまうので、魚介類の健康を損ねることがない。よって、本発明の方法及び装置によれば、魚介類の飼育にほとんど手間がかからず、かつ、飼育に要するコストを大幅に抑えることができる。しかも、水槽内の水を取り替えない状態で長期間にわたって魚介類を飼育し続けることができる。その上、飼育魚介類の成長が早く、また、斃死率をきわめて小さく抑えることができる。

0012

なお、本発明の説明において、「日常的に水を取り換えない」という意味は、通常、水槽内で魚介類を飼育するときは、毎日とか隔日とか一定の期日ごとに給餌したり換水をおこなうが、少なくとも、そのような定期的な給餌や水の交換をおこなわないという意味である。好適には、本発明の魚介類の飼育方法及び飼育装置を用いると、飼育期間中に水槽の水を一度も取り換えることなく飼育し続けることが可能である。

発明を実施するための最良の形態

0013

本発明の方法及び装置では、海水魚でも淡水魚でも飼育することができる。また、飼育に適した魚介類の種類は、特に限定するものではない。例えば、ヒラメコイアワビ金魚フナ熱帯など各種の魚介類を飼育できる。
以下、本発明に係る魚介類の飼育方法及び飼育装置の好ましい実施の形態を、図面に基づいて詳しく説明する。

0014

図1は、本発明に係る魚介類の飼育装置の一実施例の説明図である。図1において、1は、水槽2の上方に円筒状のリアクター3を戻し管35・35と収集管41を介して配置し、水槽2とリアクター3を連結した構成の魚介類の飼育装置である。すなわち、水槽2は、プラスチック製の透明な水槽で、水面11まで水を満たしてあり、その中には数匹の熱帯魚F・F・・が泳いでいる。水槽2とリアクター3には、十分な空気が供給できるように、それぞれ送気管61と同62を介して外部に設置してある送気ポンプ6と結続してある。したがって、送気ポンプ6から送られる空気は、それぞれ送気管61と同62を通って、水槽2とリクター3の内部へ送り込まれる。23は水槽2の頂面に被せたプラスチック製の蓋、24は水槽2の下部に設けた排水管、25はその排水バルブ、26は水槽2の上部に設けた排気管、27はその排気バルブである。

0015

水槽2内のほぼ中央には、図示のように、漏斗型(Y字型)の仕切り具5を嵌め込んである。仕切り具5は、テーパー状に形成され、複数の小孔52・52・・を穿ってある側板部51と直管状に形成された直管部53とで構成されている。そのため、送気ポンプ6から水槽2内へ送り込まれた空気は、さらに側板部51の小孔52・52・・を通って、水槽2の下部へ拡散される。

0016

3は、円筒状のリアクターであり、その内部には仕切り板31と同33で区画された区画部34が形成されている。仕切り板31と同33にはそれぞれ水を透過できる多数の微孔32が設けてある。さらに、その内部には、多数の微細な通気孔又は通気路を有し微生物吸着担持できる多数の濾材(微生物吸着担体)P・P・・と共に、本発明者が発見した好気性高温菌「YM菌」の発酵生成物である「YM肥料」の粉末が多量に封入してある。(なお、本発明の好気性高温菌やその発酵生成物については、後で詳しく説明する。)
35・35は、リアクター3の底板から水槽2の水面11の下まで垂下した2本の戻し管である。また、4は小型の水中ポンプ、41は水中ポンプ4に結続してあり、リアクター3の底板のほぼ中央から仕切り具5の直管部53の内方まで垂下してある収集管である。36はリアクター3の濾材P・P・・やYM肥料などの投入口であり、37は投入口36に被せた蓋、38はリアクター3の排気管、39はその排気バルブである。なお、63・64はそれぞれ送気管61・同62の送気バルブである。

0017

本実施例の魚介類の飼育装置1は、上記のような構成であるから、水中ポンプ4を起動すると、水槽2内の水は収集管41を通ってリアクター3へ送り込まれ、リアクター3の区画部34において、濾材P・P・・に付着してあるYM肥料に接触することになり、YM肥料は水に溶解する。また、送気ポンプ6を起動すると、空気が送気管62を通ってリアクター3に送り込まれるので、YM肥料中の好気性菌「YM菌」が活発に働くようになる。

0018

上記構成の魚介類の飼育装置1を用いて数匹の熱帯魚F・F・・を飼育する方法について説明する。まず、送気ポンプ6を起動して、送気管61を介して水槽2内へ空気を送り込む。送り込まれた空気は、さらに仕切り具5の側板部51に設けた複数の小孔52・52・・を通って水槽2の全体へ拡散されるので、熱帯魚F・F・・は容易に酸素補給できる。熱帯魚Fの残餌や排泄物など水槽2内の有機廃棄物は、水との比重差により沈下・沈殿するが、漏斗型の仕切り具5のテーパー状の側板51によって捕捉され、仕切り具5の直管部53に集められる。送気ポンプ6の空気は、送気管62を通って、リアクター3にも送り込まれる。

0019

一方、水中ポンンプ4を起動すると、水槽2内の水は、収集管41を通ってリアクター3に送り込まれ、仕切り板31・同33を通って区画部34に至り、区画部34に封入してあるYM菌肥料に接触した後、さらに、2本の戻し管35・35から水槽2内へ還流し、再び収集管41から吸引されてリアクター3へ送られることを繰り返す。そのため、仕切り具5の直管部53に集められた水槽2内の有機廃棄物は、水と共に収集管41を通ってリアクタ−3に運ばれ、リアクター3においてYM菌肥料に繰り返し接触することになる。このように、水槽2内の水は、ポンプ4の作動により水槽2とリアクター3との間を循環することになる。

0020

リアクター3の区画部34には、無数の微細な通気孔又は通気路を有する多数の濾材P・P・・と多量のYM肥料を封入してあるので、YM肥料は水と接触して次第に水に溶解する。そうすると、YM肥料中のYM菌が濾材P・Pの多数の微細な通気孔又は通気路に付着し、このYM菌に流入してきた水と空気が繰り返して接触することになるので、リアクター3内において、水中に含まれている有機廃棄物は、通気を得て活発になったYM菌の働きによって次第に分解される。有機廃棄物されなかった有機廃棄物やそのの分解残滓などが発生しても、これらは水と共に戻し管35・35を通って水槽2内へ還流されるので、再び仕切り具5の直管部53に集められ、水と共に収集管41を通ってリアクタ−3の区画部34に戻され、再びYM菌の作用を受けることになる。そのため、この循環サイクルを繰り返すことにより、水槽中の有機廃棄物は完全に分解される。すなわち、熱帯魚Fの残餌や排泄物などの有機廃棄物は、水の循環サイクルの途中に設けたリアクター3においてYM肥料中のYM菌の働きによって分解される。また、魚介類の体内にあって排泄物などに混じっている大腸菌などの有害菌はYM菌の働きによって殺菌される。したがって、この水循環サイクルを乱すものが出現しない限り、有機廃棄物に起因するアンモニアが発生せず、水の腐敗が生じない。そのため、水槽の水をつねにクリーンな状態に維持できる。よって本実施例の飼育方法及び飼育装置によれば、水槽の水を日常的に取り換える必要がない。水槽の水を日常的に取り換えなくても、熱帯魚の飼育を長期間続けることができる。

試験例1

0021

上記実施例の飼育装置1を用いた本発明者の飼育試験によれば、水槽2内の5匹の熱帯魚は、水を取り換えることなく、そのままの状態で6年間も飼育を続けることができた。すなわち、水槽2内で熱帯魚5匹を6年間飼育するのに、この間、水の取り換えは一切必要なかった。その上、水槽2内の熱帯魚は、1匹も斃死せず、病気にもかからなかった。

試験例2

0022

上記実施例の飼育装置1を用い、実施例1の方法によって1度も水を取り換えることなくヒラメの稚魚100匹を、水槽の水を取り換えることなく飼育した。その結果、きわめて成長が早く、3月程度で出荷できるようになった。しかも、通常、ヒラメの稚魚の斃死率は7%程度と言われているが、この試験の間、ヒラメは1匹も斃死せず、病気にもかからなかった。

試験例3

0023

上記実施例の飼育装置1を用い、実施例1の方法によって1度も水を取り換えることなく10個のアワビ稚貝の飼育を試みた。通常、アワビを稚貝から成育するには4〜5年を要し、稚貝の15前後は斃死するとされているが、本試験例では、当初は5〜6mm(小指の爪ほどの大きさ)であったアワビ稚貝は、飼育日数145日目にして、いずれも当初の4〜5倍の大きさの成に成長した。また、この期間中、アワビは1匹も斃死せず、病気にもかからなかった。この間、アワビにはとしてワカメ葉片給与し、水槽の水温は17℃前後に維持した。

0024

以下、上記試験例の結果について補足説明する。
上記各試験例が示すように、実施例1の飼育方法と飼育装置によれば、水槽2内の飼育魚介類の排泄物に混じって大腸菌などの有害菌が排泄されることがあっても、YM菌を代表例とする好気性高温菌の働きによって有害菌は分解・殺菌され、死滅する。有害菌が死滅すれば、外界と閉鎖された水槽2内においては有害菌が進入することがないので、飼育魚介類が病気にかかるれるおそれがない。したがって、本発明の方法及び装置によれば、斃死率をきわめて低く抑えることができる。

0025

以下、上記実施例1の魚介類の飼育装置について補足説明する。
上記実施例1の装置では、水槽2内に漏斗型の仕切り具5を設けて、水中の有機廃棄物を捕捉・収集したが、水中の有機廃棄物など固形物を捕捉・収集できるのであれば、仕切り具5は漏斗型のものに限るものではなく、また、必ず仕切り具5を用いるという必要はない。

0026

また、上記実施例1では、リアクター3から垂下させた戻し管35を2本設けたが、戻し管35は2本に限るものではなく、また、リアクター3と水槽2の間の水の循環ができるのであれば、必ず戻し管35を用いるという必要はない。
また、実施例1では、小型の水中ポンプ6を使用したが、本発明の装置では必ずしも水中ポンプを用いる必要はない。水を水槽とリアクターとの間で循環させることができる機器であれば、通常の送水ポンプを用いて何ら差し支えない。

0027

上記実施例1では、多数の微細な通気孔又は通気路を有する多数の濾材(微生物吸着担体)Pを用いたが、濾材Pの形状の一例を図2に示す。図2の(a)と(b)は本発明で用いる濾材の一例を示す拡大斜視図である。本発明で用いる濾材は、多数の微細な通気孔又は通気路を有し、微生物を吸着できる材質と構造のものであれば、形状は問わない。材質としては、ウールマット園芸用人工軽石発泡スチロール麦飯石セラミックス材木炭ガラスビーズ、KPパール材などが好適である。濾材の大きさは、リアクター3の容量や水量によって異なるので一概には定められないが、通常、10〜20mm程度の大きさのものを用いる。

0028

また、本発明で用いる濾材としては、実施例1のように小さな微生物吸着担体でなく、立体網状構造体を用いてもよい。立体網状構造体とは、例えば、カール状グラスファイバーなどをさらにコイル状に巻いたもので、その隙間に、微生物を吸着・担持できる無数の微細な通気孔又は通気路が形成されている。好ましい材質としては、グラスファイバーの他、鉄線コイル、ウールマット、セラミックス材などの多孔質材又は多膜質材で、適度の表面積を有し、微細な孔(通気孔)が無数にあいているポーラス状のものないし微細な隙間(通気路)が無数に形成されていて、ある程度の体積を有する立体構造体を形成できる材質のものであることが好ましい。なお、濾材用の立体網状構造体としては、例えば、特開2000−246276号公報に開示してある生物処理装置用の多孔質微生物担体を用いてもよい。

0029

次に、本発明でいう「好気性高温菌」と「好気性高温菌の発酵生成物」について説明する。本発明で用いる好気性高温菌とは、好気性バクテリア、すなわち、空気の存在する高温下で活発に活動する菌のことをいう。本発明では、好気性高温菌であれば菌種を問わず使用できる。本発明において、好気性高温菌としては、無用の有害菌などを死滅させることができるので、至適動温度、すなわち、発酵作用などの菌の活動に最適な温度帯を80℃以上、好ましくは85℃以上とする好気性高温菌(好気性超高温菌と称されることもある。)を用いることが好ましい。本発明では、好気性高温菌の単体の他、その混合菌体又はこれらの菌体培養物も好適に使用できる。

0030

本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物とは、好気性高温菌又はその混合菌体を有用物原料に添加して通気発酵をおこなうことによって得られるコンポスト状の培養物又はこの培養物をさらに有機物原料に添加して通気発酵をおこなって製したコンポスト状の発酵生成物のことをいい、通常は、粉末状又は顆粒状を呈している。

0031

本発明において、好気性高温菌の中でも特に好適に使用できる菌は、本発明者が鹿児島県姶良牧園の霧島火山帯の土壌から採取して独立行政法人産業技術研究所の特許生物寄託センターに寄託している以下の菌群の中から選択される少なくとも1種の好気性菌又はこれらの混合菌体である。本発明者は、これらの好適な好気性高温菌のことを特に「YM菌」と称している。
(1)バチルス属に属する菌で特許第3064221号として特許されている受託番号FERM P-15085(通称:YM-01)、FERM P-15086(同:YM-02)及びFERM P-15087(同:YM-03)。(2)バチルス属に属する菌で特許第3436859号として特許されている受託番号FERM P-15536(通称:YM-04)、FERM P-15537(同:YM-05)、FERM P-15538(同:YM-06)、FERM P-15539(通称:YM-07)、FERM P-15540(同:YM-08)、FERM P-15541(同:YM-09)及びFERM P-15542(同:YM-10)。
(3)カルドトリックス属に属する菌で特願2001−391561号として特許出願中である受託番号FERM P-18598(カルドトリックス・サツマエ:YM081)。

0032

本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物は、例えば、以下のようにして製造する。
好気性菌又はその混合菌体を含む土壌を採取して、これに蔗糖溶液などを加えて高温下で通気しながら発酵させて菌体を培養し、好気性高温菌の培養物を作る。得られた好気性高温菌の培養物は、発酵生成物としてそのまま使用してもよいが、本発明では、この好気性高温菌の培養物を有機物原料、例えば、生汚泥植物性廃棄物などと混合してさらに通気して発酵させ(この過程で、好気性高温菌の発熱によって有機物原料中の雑菌種子類を死滅させることができる。)、本発明で用いる好気性高温菌の発酵生成物を得る。好気性高温菌の発酵生成物は、コンポスト(肥料)として使用できる程度に完熟させ、粉末状又は顆粒状に製しておくことが好ましい。

0033

以下、好ましい例として好気性高温菌の発酵生成物の製造例について詳しく説明する。 まず、有機物原料、例えば、生汚泥に好気性菌又はこれらの混合菌体の培養物を添加して混合する。混合比率は有機物原料70〜80重量部に対して好気性菌の培養物20〜50重量部であることが好ましい。この混合物の適量を発酵槽堆積して、槽の底の方から空気を十分に吹き込みながら通気発酵をおこなう。通気を続けていると、最初は常温であった混合物が1日ないし数日後には80〜90℃に昇温する。この温度下に5〜7日間放置して通気発酵を継続させた後、最初の切返し攪拌)をおこなう。以後は、この放置と切返しを3〜8回程度繰り返しておおこない、およそ20〜50日余の間、好ましくは30日間以上、通気しながら発酵を続けると、さらさらした乾燥状態の発酵生成物が得られる。この発酵生成物を所要に応じてふるい分けした後、カリウム分を補充するなど所要の養分調整をおこなえば、完熟肥料として仕上げることができる。すなわち、本発明で用いる好適な好気性高温菌の発酵生成物は、通常、色の粉末状ないし顆粒状を呈しており、有機肥料の有用な基材として使用できるものである。本発明者は、YM菌の発酵生成物のことを特に「YM肥料」と称している。

0034

上記のようにして製した発酵生成物には、好気性高温菌を乾物1g当たりで約10億個以上含んでいる。したがって、この発酵生成物は、有機性物質に対して強い分解力を有する。また、同じ発酵槽で前回に製造した発酵生成物を槽内に一部残しておいて、これを次回の発酵の種菌(又はその一部)として有機物原料に添加して発酵を繰り返すことによって、本発明で用いる「好気性高温菌の発酵生成物」を容易に入手できる。

0035

以上、詳細に説明するとおり、本発明に係る魚介類の飼育方法及びその方法に用いる魚介類の飼育装置によれば、魚介類を飼育する水槽内にアンモニアが発生せず、また、水槽内の有害菌が死滅するので、水槽の水をつねにクリーンな状態に維持できる。そのため、本発明の飼育方法及び飼育装置によれば、水槽の水を日常的に取り換える必要がなく、その状態で長期間におわたって魚介類を飼育し続けることができる。したがって、本発明の方法及び装置は、魚介類の飼育に手間がかからず、かつ、飼育コストを抑えることができるので、業務用及び家庭用の魚介類の飼育に好適に用いることができる他、水産試験場養殖研究所などの試験研究機関でも好適に応用できる。このように、本発明の方法及び装置は、水産養殖の分野において幅広活用できるものである。

図面の簡単な説明

0036

本発明の装置の一実施例の説明図
本発明で用いる濾材の形状の一例を示す拡大斜視図

符号の説明

0037

1:魚介類の飼育装置、 2:水槽、 23:水槽の蓋、 24:水槽の排水管、
25:その排水バルブ、 26:水槽の排気管、 27:その排気バルブ、 3:リアクター、31:仕切り板、 32:仕切り板の微細孔、 33 :他の仕切り板、 34:区画部、
35:戻し管、 36:投入口、 37:その蓋、 38:リアクターの排気管、
39:その排気バルブ、 4:水中ポンプ、 41:収集管、 5:仕切り具、
51:その側板部、 52:側板部の小孔、 53:直管部、 6:送気ポンプ、
61:水槽への送気管、 63:その送気バルブ、 62:リアクターの送気管、
64:その送気バルブ、 P:粒状の濾材、 F:飼育魚介類(熱帯魚)

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