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技術 相対測位装置

出願人 有限会社数理解析研究所
発明者 一色浩
出願日 2004年5月11日 (16年6ヶ月経過) 出願番号 2004-141506
公開日 2005年11月17日 (15年0ヶ月経過) 公開番号 2005-321362
状態 未査定
技術分野 無線による位置決定
主要キーワード 基準図 平均成分 位相距離 差分合成 最小自乗解 GPSコンパス アンテナ位置情報 洋上浮体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

基線長に関わらず高精度に整数値バイアスおよび電離層遅延バイアス推定演算する相対測位装置を提供する。

解決手段

相対測位演算処理部301は、GPS受信機201から航法メッセージ位相情報、および基準受信機で求められた位相情報が入力されると、L1波とL2波とからなるワイドレーン結合の整数値バイアスをハッチメルボーンビュベナ結合式を用いて推定演算する。また、相対測位演算処理部301は、電離層遅延バイアスを平均部と変動部とに分解し、平均部をIONEX等の外部から提供される電離層遅延情報から算出し、変動部をジオメトリフリー結合の観測方程式から推定演算する。そして、推定演算した電離層遅延バイアスとワイドレーン結合の整数値バイアスとを用いて基準周波数信号であるL1波の整数バイアスを推定演算する。

概要

背景

従来、GPS測位用衛星(以下、単に「測位用衛星」という。)から送信される信号を複数の受信機で受信して、それらのキャリア位相を測定することによって相対測位を行う方法が、例えば、船舶等の移動体の相対測位を行う装置等に適用されている。

このような測位装置では、以下に示す方法で相対測位を行う。

2つの測位用衛星から送信された信号を、複数の受信機で受信し、それぞれのキャリア位相を測定する。そして、2つのアンテナを組として、一方の測位用衛星からの信号に基づく前記2つのアンテナの1重位相差と、他方の測位用衛星からの信号に基づく前記2つのアンテナの1重位相差との差を2重位相差として求める。アンテナ間位相差を取るのは、衛星に起因する誤差を取り除くためであるから、衛星に起因する誤差を外部手段により取り除くことが可能な場合には、0重位相差(位相差を取らない場合)および衛星間1重位相差を用いてもよい。このように算出された2重位相差は波数単位に変換すると整数部小数部とに分解される。このうち、小数部は測位装置により直接測定することができるが、整数部は完全には直接測定できず不定性を残してしまう。この直接測定できない整数部を整数値バイアスと呼び、この整数値バイアスを求めることにより正確な位相差を求める。整数値バイアスは前述のように直接測定できないため、通常各種の方法で推定演算および検定して決定するとともに、基準アンテナと他のアンテナ(例えば、移動体に備えられたアンテナ)を結ぶ基線ベクトルを算出し、相対測位を行う(例えば、特許文献1参照。)。

しかし、基線長が長い(長基線の)場合、すなわち、測位したい移動体(固定点でもよい)の位置(移動体に備えられたアンテナの位置)が基準の位置(基準アンテナの位置)から遠い場合、測位用衛星から送信される信号が電離層遅延対流圏遅延等の影響を受ける。このため、これらの影響を除去して整数値バイアスを演算する方法が各種考案されている。

その1つの方法として、測位用衛星から出力される、3つの異なる周波数(L1波、L2波、L5波)の信号を利用して、これらの周波数の信号間の差分値を算出した擬似的な周波数信号であるワイドレーン結合を用いて、基準となる周波数の信号(L1波)の整数値バイアスを算出する方法がある(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。

また、測位用衛星から出力される2つの異なる周波数の信号を利用して、これらの周波数の信号間の差分値を算出した擬似的な周波数信号であるワイドレーン結合を用いるとともに、電離層遅延バイアスをIONEX等の外部から入力される電離層遅延情報により推定演算して、基準となる周波数の信号(L1波)の整数値バイアスを算出する方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。
特開2002−40124公報
Isshiki, H., (2003), An Application of Wide-Lane to Long Baseline GPS Measurements (3), ION GPS/GNSS2003, The Institute of Navigation.
H. Isshiki, An Approach to Ambiguity Resolution in Multi Frequency Kinematic Positioning, Proceedings of 2003 International Symposium on GPS/GNSS, (2003), pp.545-552.
一色浩, (2003), GPS による洋上浮体運動計測のための長基線技術の開発−2周波ステムの可能性−, 日本造船学講演論文集第2号,論文番号2003A-GS2-2.

概要

基線長に関わらず高精度に整数値バイアスおよび電離層遅延バイアスを推定演算する相対測位装置を提供する。相対測位演算処理部301は、GPS受信機201から航法メッセージ位相情報、および基準受信機で求められた位相情報が入力されると、L1波とL2波とからなるワイドレーン結合の整数値バイアスをハッチメルボーンビュベナ結合式を用いて推定演算する。また、相対測位演算処理部301は、電離層遅延バイアスを平均部と変動部とに分解し、平均部をIONEX等の外部から提供される電離層遅延情報から算出し、変動部をジオメトリフリー結合の観測方程式から推定演算する。そして、推定演算した電離層遅延バイアスとワイドレーン結合の整数値バイアスとを用いて基準周波数信号であるL1波の整数バイアスを推定演算する。

目的

この発明の目的は、従来から利用されている測位用衛星から送信される、L1波とL2波との2つの周波数の信号を用いて、基準周波数信号となるL1波の整数値バイアスを基線長に関わらず高精度に決定することができる相対測位装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

動体上または移動体上と固定位置とに配置された複数のアンテナと、該複数のアンテナのうち1つを基準アンテナとして、前記複数のアンテナで複数の測位用衛星からの信号をそれぞれ受信して、2重位相差観測結果から整数値バイアスおよび基線ベクトル推定する推定手段を備えた相対測位装置において、前記アンテナは前記測位用衛星から送信されるそれぞれに異なる周波数の信号を少なくとも2つ受信し、前記推定手段は、1つの基準周波数の信号に対して異なる周波数の信号を差分合成してなるワイドレーン結合の整数値バイアスを推定演算するとともに、前記基準周波数の信号の電離層遅延バイアス遅延バイアス平均成分と遅延バイアス変動成分とに分解して推定演算し、前記ワイドレーン結合の整数値バイアスと前記基準周波数の信号の電離層遅延バイアスとを用いて、前記基準周波数の信号に対する整数値バイアスを前記ワイドレーン結合の観測方程式と、前記電離層遅延バイアスを含まない電離層フリー結合の観測方程式とにより推定演算することを特徴とする相対測位装置。

請求項2

前記推定手段は、前記遅延バイアス変動成分を、測位用衛星と受信機との距離項を含まないジオメトリフリー結合の観測方程式を用いて推定演算する請求項1に記載の相対測位装置。

請求項3

前記推定手段は、前記ワイドレーン結合の整数値バイアスをハッチメルボーンビュベナ結合式を用いて推定演算する請求項1に記載の相対測位装置。

請求項4

前記推定手段は、前記遅延バイアス平均成分を外部入力される電離層遅延情報を用いて推定演算する請求項2または請求項3に記載の相対測位装置。

請求項5

前記電離層遅延情報は、IONEXである請求項4に記載の相対測位装置。

請求項6

前記推定手段は、前記整数バイアスと前記電離層遅延バイアスとの推定演算を、全観測エポックで得られた前記基準周波数の信号の整数値バイアスを記憶し、該記憶された整数値バイアスの平均値を用いて行う請求項1〜5のいずれかに記載の相対測位装置。

請求項7

前記推定手段は、前記推定演算された基準周波数の信号に対する整数値バイアスの周囲に整数格子を形成し、前記基準周波数の信号に対する整数値バイアスの最小自乗解残差を全観測エポックに対して演算し、演算結果を平均化処理した最小自乗解残差平均値と、前記ワイドレーン結合の観測方程式から得られた基線ベクトルと電離層遅延バイアスの影響を相殺した電離層フリー結合の観測方程式から得られた基線ベクトルとの差分の絶対値を全観測エポックに対して演算した結果を平均化処理した基線ベクトル差の絶対値の平均値と、を演算し、前記最小自乗解残差平均値と前記基線ベクトル差の絶対値の平均値とから演算される値が最小となる整数格子状の格子点を推定して、該格子点の整数値を前記基準周波数の信号に対する整数値バイアスとする請求項6に記載の相対測位装置。

請求項8

前記推定手段は、今回の前記整数バイアスと前記電離層遅延バイアスとの推定演算を、今回までの過去の所定回数の各観測エポックで得られた前記基準周波数の信号の整数値バイアスを記憶し、該記憶された整数値バイアスの平均値を用いて行う請求項1〜5のいずれかに記載の相対測位装置。

請求項9

前記推定手段は、前記推定演算された基準周波数の信号に対する整数値バイアスの周囲に整数格子を形成し、前記基準周波数の信号に対する整数値バイアスの最小自乗解の残差を今回までの過去の所定回数の観測エポックに対して演算し、演算結果を平均化処理した最小自乗解残差平均値と、前記ワイドレーン結合の観測方程式から得られた基線ベクトルと電離層遅延バイアスの影響を相殺した電離層フリー結合の観測方程式から得られた基線ベクトルとの差分の絶対値を今回までの過去の所定回数の観測エポックに対して演算した結果を平均化処理した基線ベクトル差の絶対値の平均値と、を演算し、前記最小自乗解残差平均値と前記基線ベクトル差の絶対値の平均値とから演算される値が最小となる整数格子状の格子点を推定して、該格子点の整数値を前記基準周波数の信号に対する整数値バイアスとする請求項8に記載の相対測位装置。

技術分野

0001

この発明は、GPS搬送波キャリア位相を利用して相対測位を行うGPSコンパスや、リアルタイムキネマティックRTK)GPS等のキネマティック測位に使用する相対測位装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、GPS測位用衛星(以下、単に「測位用衛星」という。)から送信される信号を複数の受信機で受信して、それらのキャリア位相を測定することによって相対測位を行う方法が、例えば、船舶等の移動体の相対測位を行う装置等に適用されている。

0003

このような測位装置では、以下に示す方法で相対測位を行う。

0004

2つの測位用衛星から送信された信号を、複数の受信機で受信し、それぞれのキャリア位相を測定する。そして、2つのアンテナを組として、一方の測位用衛星からの信号に基づく前記2つのアンテナの1重位相差と、他方の測位用衛星からの信号に基づく前記2つのアンテナの1重位相差との差を2重位相差として求める。アンテナ間位相差を取るのは、衛星に起因する誤差を取り除くためであるから、衛星に起因する誤差を外部手段により取り除くことが可能な場合には、0重位相差(位相差を取らない場合)および衛星間1重位相差を用いてもよい。このように算出された2重位相差は波数単位に変換すると整数部小数部とに分解される。このうち、小数部は測位装置により直接測定することができるが、整数部は完全には直接測定できず不定性を残してしまう。この直接測定できない整数部を整数値バイアスと呼び、この整数値バイアスを求めることにより正確な位相差を求める。整数値バイアスは前述のように直接測定できないため、通常各種の方法で推定演算および検定して決定するとともに、基準アンテナと他のアンテナ(例えば、移動体に備えられたアンテナ)を結ぶ基線ベクトルを算出し、相対測位を行う(例えば、特許文献1参照。)。

0005

しかし、基線長が長い(長基線の)場合、すなわち、測位したい移動体(固定点でもよい)の位置(移動体に備えられたアンテナの位置)が基準の位置(基準アンテナの位置)から遠い場合、測位用衛星から送信される信号が電離層遅延対流圏遅延等の影響を受ける。このため、これらの影響を除去して整数値バイアスを演算する方法が各種考案されている。

0006

その1つの方法として、測位用衛星から出力される、3つの異なる周波数(L1波、L2波、L5波)の信号を利用して、これらの周波数の信号間の差分値を算出した擬似的な周波数信号であるワイドレーン結合を用いて、基準となる周波数の信号(L1波)の整数値バイアスを算出する方法がある(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。

0007

また、測位用衛星から出力される2つの異なる周波数の信号を利用して、これらの周波数の信号間の差分値を算出した擬似的な周波数信号であるワイドレーン結合を用いるとともに、電離層遅延バイアスをIONEX等の外部から入力される電離層遅延情報により推定演算して、基準となる周波数の信号(L1波)の整数値バイアスを算出する方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。
特開2002−40124公報
Isshiki, H., (2003), An Application of Wide-Lane to Long Baseline GPS Measurements (3), ION GPS/GNSS2003, The Institute of Navigation.
H. Isshiki, An Approach to Ambiguity Resolution in Multi Frequency Kinematic Positioning, Proceedings of 2003 International Symposium on GPS/GNSS, (2003), pp.545-552.
一色浩, (2003), GPS による洋上浮体運動計測のための長基線技術の開発−2周波ステムの可能性−, 日本造船学講演論文集第2号,論文番号2003A-GS2-2.

発明が解決しようとする課題

0008

ところが、非特許文献1、非特許文献2に記載の方法では、現在測位用衛星から測位用に公開されているL1波(fL1=1575.42MHz)、L2波(fL2=1227.60MHz)の他に、将来公開予定のL5波(fL5=1176.45MHz)を用いなければならず、現状では、この方法を用いることは困難である。

0009

また、非特許文献1に記載の2つの周波数の信号を用いる方法では、前述のL1波とL2波とを用いて、L1波の整数値バイアスを推定演算することができるが、電離層遅延バイアスの影響を抑制する効果が低く、高精度の測位を実現することは難しい。

0010

この発明の目的は、従来から利用されている測位用衛星から送信される、L1波とL2波との2つの周波数の信号を用いて、基準周波数信号となるL1波の整数値バイアスを基線長に関わらず高精度に決定することができる相対測位装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

この発明は、移動体上または移動体上と固定位置とに配置された複数のアンテナと、該複数のアンテナのうち1つを基準アンテナとして、複数のアンテナで複数の測位用衛星からの信号をそれぞれ受信して、2重位相差の観測結果から整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定する推定手段を備えた相対測位装置において、
アンテナで測位用衛星から送信されるそれぞれに異なる周波数の信号を少なくとも2つ受信し、
推定手段で、1つの基準周波数の信号に対して異なる周波数の信号を差分合成してなるワイドレーン結合の整数値バイアスを推定演算するとともに、前記基準周波数の信号の電離層遅延バイアスを遅延バイアス平均成分と遅延バイアス変動成分とに分解して推定演算し、該ワイドレーン結合の整数値バイアスと基準周波数の信号の電離層遅延バイアスとを用いて、基準周波数の信号の整数値バイアスをワイドレーン結合の観測方程式電離層フリー結合の観測方程式とにより推定演算することを特徴としている。

0012

この構成では、1つの基準周波数の信号(例えば、L1波)に対して異なる周波数の信号(L2波)を差分合成して、ワイドレーン結合の信号(L1−L2波)を形成する。このワイドレーン結合の2重差整数値バイアスを、後述するワイドレーン結合の観測方程式またはハッチメルボーンビュベナ結合式を用いて推定演算する。この際、基準周波数の電離層遅延バイアスも同時に推定演算されるが、電離層遅延バイアスは遅延バイアス平均成分と遅延バイアス変動成分とに分解して推定演算される。

0013

そして、推定されたワイドレーン結合の信号の2重差整数値バイアスと基準周波数の信号の電離層遅延バイアスとを用いて、ワイドレーン結合の観測方程式で基線ベクトルを演算し、この演算結果を電離層フリーの観測方程式に用いることで、基準周波数の信号(L1波)の2重差整数値バイアスを演算する。このように、基準周波数の信号の電離層遅延バイアスを遅延バイアス平均成分と遅延バイアス変動成分とに分解して推定演算することで、電離層遅延バイアスがより精度良く推定演算されて、ひいては整数値バイアスが精度良く推定演算される。

0014

また、この発明は、推定手段で、遅延バイアス変動成分をジオメトリフリー結合の観測方程式を用いて推定演算することを特徴としている。

0015

この構成では、電離層遅延バイアスの遅延バイアス変動成分がジオメトリフリー観測方程式により精度良く推定演算されるため、電離層遅延バイアスとしての精度も向上する。

0016

また、この発明は、推定手段で、前記ワイドレーン結合の整数値バイアスをハッチ・メルボーン・ビュベナ結合式を用いて推定演算することを特徴としている。

0017

この構成では、ワイドレーン結合の整数値バイアスがハッチ・メルボーン・ビュベナ結合式により精度良く推定演算されるため、基準周波数の信号の整数値バイアスの推定精度が向上する。

0018

また、この発明は、推定手段で、遅延バイアス平均成分を外部入力される電離層遅延情報を用いて推定演算することを特徴としている。

0019

この構成では、遅延バイアス平均成分が外部から入力される信頼性の高い電離層遅延情報により推定演算されるため、前記遅延バイアス変動成分とともに、遅延バイアス平均成分の推定演算精度が向上する。これにより、電離層遅延バイアスが全体として精度が向上する。

0020

また、この発明は、推定手段で用いる電離層遅延情報をIONEXとすることを特徴としている。

0021

この構成では、前記電離層遅延情報として高精度のIONEXを利用することで、遅延バイアス平均成分の推定演算精度が向上し、電離層遅延バイアスが全体として精度が向上する。

0022

また、この発明は、推定手段で、整数バイアスと電離層遅延バイアスとの推定演算を、全観測エポックで得られた基準周波数の信号の整数値バイアスを記憶し、該記憶された整数値バイアスの平均値を用いて行うことを特徴としている。

0023

この構成では、オフラインすなわち観測時とは別に整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定する場合、全観測エポックの整数値バイアスを用いて平均化処理することで、単独の観測エポックにより得られる整数値バイアスよりも精度が向上する。

0024

また、この発明は、推定手段で、推定演算された基準周波数の信号に対する整数値バイアスの周囲に整数格子を形成し、
(a)基準周波数の信号に対する整数値バイアスの最小自乗解残差を全観測エポックに対して演算し、演算結果を平均化処理した最小自乗解残差平均値と、
(b)ワイドレーン結合の観測方程式から得られた基線ベクトルと電離層遅延バイアスの影響を相殺した電離層フリー結合の観測方程式から得られた基線ベクトルとの差分の絶対値を全観測エポックに対して演算した結果を平均化処理した基線ベクトル差の絶対値の平均値と、を演算し、
最小自乗解残差平均値と基線ベクトル差の絶対値の平均値との演算値、例えば積の最小となる整数格子状の格子点を推定し、該格子点の整数値を基準周波数の信号に対する整数値バイアスとすることを特徴としている。

0025

この構成では、オフラインで整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定する場合、全観測エポックの整数値バイアスを用いて平均化処理し、さらに前述の整数格子を用いた整数空間による最適化演算を行うことで、より一層整数値バイアスが精度良く推定演算される。

0026

また、この発明は、推定手段で、今回の整数バイアスと電離層遅延バイアスとの推定演算を、今回までの過去の所定回数の各観測エポックで得られた基準周波数の信号の整数値バイアスを記憶し、該記憶された整数値バイアスの平均値を用いて行うことを特徴としている。

0027

この構成では、オンラインすなわち観測中に整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定する場合、今回までの所定回数の観測エポックの整数値バイアスを用いて平均化処理することで、今回の観測エポックにより得られる整数値バイアスよりも精度が向上する。

0028

また、この発明は、推定手段で、推定演算された基準周波数の信号に対する整数値バイアスの周囲に整数格子を形成し、
(a)基準周波数の信号に対する整数値バイアスの最小自乗解の残差を前回までの過去の所定回数の観測エポックに対して演算し、演算結果を平均化処理した最小自乗解残差平均値と、
(b)ワイドレーン結合の観測方程式から得られた基線ベクトルと電離層遅延バイアスの影響を相殺した電離層フリー結合の観測方程式から得られた基線ベクトルとの差分の絶対値を前回までの過去の所定回数の観測エポックに対して演算した結果を平均化処理した基線ベクトル差の絶対値の平均値と、を演算し、
最小自乗解残差平均値と基線ベクトル差の絶対値の平均値との演算値、例えば積が最小となる整数格子状の格子点を推定し、該格子点の整数値を基準周波数の信号に対する整数値バイアスとすることを特徴としている。

0029

この構成では、オンラインで整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定する場合、今回までの所定回数の観測エポックの整数値バイアスを用いて平均化処理し、さらに前述の整数格子を用いた整数空間による最適化演算を行うことで、より一層、今回の整数値バイアスが精度良く推定演算される。

発明の効果

0030

この発明によれば、従来測位に使用されている2つの周波数の信号(L1波、L2波)を利用し、これらの線形結合であるワイドレーン結合の整数値バイアスと電離層遅延バイアスとを用い、且つ電離層遅延バイアスをより詳細に遅延バイアス平均成分と遅延バイアス変動成分とに分解することで、基準周波数の信号であるL1波の電離層遅延バイアスと整数値バイアスとを高精度に推定演算することができる。これにより、基線長の長さに関係なく、正確な相対測位を行うことができる。

発明を実施するための最良の形態

0031

本発明の実施形態に係る相対測位装置について図を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る測位環境を示す概略図であり、図2移動体受信機の測位装置の主要部を示す概略ブロック図である。

0032

図1において、100は固定局基準局)に備えられたGPSアンテナ、101は船舶(移動体)に備えられたGPSアンテナ、sat1〜satNは測位用衛星である。また、GPSアンテナ101が備えられた船舶は、図2に示すように、GPS受信機201と相対測位演算処理部301とを備えている。相対測位演算処理部301は、衛星軌道計算部31と、位相差演算部32と、測位演算部33とを備えている。

0033

測位用衛星sat1〜satNは、それぞれに異なる周波数の信号を少なくとも2つ送信する。なお、本実施形態では、この信号として、L1波(fL1=1575.42MHz)、L2波(fL2=1227.60MHz)を用い、L1波を基準周波数信号とした場合を説明する。ここで、これら信号はコードとよばれる測位符号がいくつか重畳された搬送波からなり、L1波にはC/AコードとPコードとを含み、他にエフェメリス情報や電離層遅延および対流圏遅延に関する情報からなる航法メッセージが重畳されている。

0034

GPSアンテナ101は、アンテナ11と増幅器12とを備え、アンテナ11で測位用衛星sat1〜satNの所定の測位用衛星からの信号を受信して中間周波数信号に変換し、増幅器12で増幅してGPS受信機201に送信する。

0035

GPS受信機201は、アンテナ11で受信した信号からキャリア位相を演算して、前記信号に重畳される各衛星情報とともに、相対測位演算処理部301へ所定の間隔で送信する。ここで、衛星情報は衛星軌道計算部31に送信され、キャリア位相は位相差演算部32に送信される。

0036

衛星軌道計算部31は、測位用衛星のエフェメリス情報とアンテナ位置情報とから、測位に用いる測位用衛星を選定し、この測位用衛星位置や選定された測位用衛星の情報を測位演算部33へ与える。

0037

位相差演算部32は、GPS受信機201から受信したキャリア位相信号と基準アンテナで受信した信号を基準受信機解析して得られる同様の信号とから2重位相差の観測量を算出して、測位演算部33に与える。

0038

測位演算部33は、位相差演算部32から与えられた2重位相差の観測量と、衛星軌道計算部31から与えられた衛星情報とに基づいて、2重差整数値バイアスと2重差電離層遅延バイアスとを推定演算するとともに、基準局のアンテナ100から船舶に備えられたアンテナ101(11)への基線ベクトルを決定し、相対測位を行う。

0039

次に、整数値バイアスおよび電離層遅延バイアスの決定方法について説明する。なお、以下の説明では、マルチパス誤差の影響が非常に小さいものとして省略する。
(1)原理
(a)少なくとも2つの異なる周波数の信号を受信するGPS受信機aによる、信号受信時間tでの、測位用衛星iと受信機aとの間の擬似距離Pおよび位相距離Φの基本観測方程式は、cを光速、kを信号の種類(L1波、L2波)として、

0040

0041

で表される。なお、fL1とλL1はL1波の周波数と波長、fk とλK はk波の周波数と波長、Pka i(t)は擬似距離、Φka i(t)は位相距離、ρa i (t)は測位用衛星iと受信機aとの間の幾何学的距離(真の距離)である。また、Ia i(t)はL1波の電離層遅延、Ta i(t)は対流圏遅延、δa (t)は受信機aの装置内時計の進み、δi(t)は測位用衛星iの装置内時計の進み、Ba (t)は受信機a内のハードウェアバイアス(回路内誤差)、B i(t)は測位用衛星i内のハードウェアバイアス(回路内誤差)、eka i(t)と、εka i(t)とはノイズである。

0042

また、Nka i(t)は整数値バイアスである。
式(1)、(2)より、これらの2重差観測方程式は、

0043

0044

で表すことができる。なお、Pkab ij ,Φkab ij ,Nkab ij は、それぞれk波に対する、受信機a,b、測位用衛星i,jからなる2重差擬似距離、2重差位相距離、および2重差整数値バイアスであり、Iab ij ,Tab ij はL1波の2重差電離層遅延バイス、および2重差対流圏遅延である。ekab ij ,εkab ij はそれぞれノイズである。また、ρab ij は衛星受信機間距離の2重差である。

0045

(b)一方、ワイドレーン結合すなわち、k波とm波との差分周波数からなる疑似信号(以下、ワイドレーン結合の信号と称す。)の整数値バイアスNWkmab ijは、ハッチ・メルボーン・ビュベナ(Hatch-Melbourne-Wubbena )結合式(式(5))を用いることで、各測位用衛星i,jと各受信機a,bとの組み合わせ毎に推定演算することができる。

0046

0047

なお、Pmab ij ,Φmab ij ,Nmab ij は、それぞれm波に対する、受信機a,b、測位用衛星i,jからなる2重差擬似距離、2重差位相距離、および2重差整数値バイアスである。また、式(5)に示すように、整数値バイアスNWkmab ijを推定演算するには、位相距離とともに疑似距離を用いなければならないが、疑似距離に係る係数は小さいため、実質的に疑似距離に含まれる誤差を抑制することができる。

0048

また、k波とm波とに関するジオメトリフリー結合ΦGkmab ijは、

0049

0050

で表すことができる。

0051

ここで、電離層遅延バイアスIab ij(t)を、平均成分AVGIab ijと、変動成分CHIab ij(t)とに分解すると、

0052

0053

となり、平均成分AVGIab ijと変動成分CHIab ij(t)とは、それぞれ、

0054

0055

と表すことができる。ここで、積分区間[0,T]は推定演算に利用する時間のスタート時間とエンド時間、すなわち観測開始時間と観測終了時間を示している。

0056

このため、式(6)、式(8a)より、平均成分AVGIab ijは、

0057

0058

と表され、式(6)、式(8a)、式(8b)より、変動成分CHIab ij(t)は、

0059

0060

と表される。

0061

式(10)より、変動成分CHIab ij(t)は、位相距離のみで演算されるので、高精度に推定演算が可能となる。

0062

一方、電離層遅延バイアスIab ij(t)の平均成分AVGIab ijは、時々刻々最適な電離層遅延情報を提供するIONEXにより外部から供給される電離層情報から演算する。IONEXにはその時点および位置での電離層遅延バイアスに関する情報が提供されているので、これを受信して、電離層遅延バイアスの平均成分AVGIab ijに用いることにより、該平均成分AVGIab ijが精度良く推定される。このように、精度良く推定演算された平均成分AVGIab ijと変動成分CHIab ij(t)とを用いることで、電離層遅延バイスIab ij(t)を高精度に推定演算することができる。

0063

なお、前述の説明では、IONEXを用いた例を示したが、他の外部から供給される電離層遅延情報を用いてもよい。

0064

また、前述の説明では、電離層遅延バイアスIab ij(t)の平均成分AVGIab ijの算出に外部から入力される電離層遅延情報のIONEXを用いたが、測位用衛星から送信される疑似距離Pを用いて平均成分AVGIab ijの推定演算を行うことができる。

0065

疑似距離Pのジオメトリフリー結合PGkmab ij(t)は、

0066

0067

で表されるので、電離層遅延バイアスIab ij(t)の平均成分AVGIab ijは、

0068

0069

で表される。疑似距離Pkab ij(t)、Pmab ij(t)はそれぞれ測位用衛星からのk波とm波とにより観測可能であるので、平均成分AVGIab ijを推定演算することができる。これにより、推定演算された平均成分AVGIab ijと精度良く推定演算された変動成分CHIab ij(t)とを用いて電離層遅延バイスIab ij(t)を推定演算することができる。このような方法では、電離層遅延バイアスの平均成分AVGIab ijが精度良く算出され、変動成分CHIab ij(t)が精度良く算出されることで、電離層遅延バイアスIab ij(t)を精度良く推定演算することができる。

0070

(c)このように、高精度に推定演算されたワイドレーン結合の整数値バイアスと基準周波数信号の電離層遅延バイアスを、位相距離のワイドレーン結合式(式(13))と、電離層フリー結合式(式(14))とに代入する。

0071

0072

0073

ここでfWkm ,λWkm はワイドレーン結合の信号の周波数および周期であり、fNkm ,λNkm は、ナロレーン結合の信号の周波数および周期であり、

0074

0075

で表される。

0076

そして、位相距離のワイドレーン結合式(式(13))と、電離層フリー結合式(式(14))に、前述の高精度に推定演算されたワイドレーン結合の整数値バイアスと電離層遅延バイアスを用いて演算することで、基準周波数信号であるL1波の整数値バイアスNL1ab ijを高精度に推定演算することができる。

0077

さらに、この高精度に推定演算されたL1波の整数値バイアスNL1ab ijに基づき、該整数バイアスNL1ab ijの周囲に整数格子を形成する。また、このL1波の整数値バイアスを電離層フリー観測方程式に適用して得られる最小自乗解の残差を今回を含む過去の所定回数の観測エポックに対して演算し、演算結果を平均化処理して最小自乗解残差平均値を求める。これと同時に、ワイドレーン結合の観測方程式から得られた整数値バイアスによる基線ベクトルと電離層遅延バイアスの影響を相殺した電離層フリー結合による観測方程式と、特定の格子点に対応する整数値バイアスによる基線ベクトルとの差分の絶対値を今回までの過去の所定回数の観測エポックに対して演算し、演算結果を平均化処理して基線ベクトル差の絶対値の平均値を求める。そして、これら最小自乗解残差平均値と基線ベクトル差の絶対値の平均値との積が最小となる整数格子上の格子点を推定し、該格子点の整数値を基準周波数の信号に対する整数値バイアスとする処理を行う。なお、この説明では、積を用いる方法を示したが、積以外の演算方法を用いてもよい。
このような最適化処理を行うことにより、整数値バイアスをより一層高精度に推定することができる。

0078

(2)実際の推定演算方法
次に、実際の整数値バイアスおよび基線ベクトルの推定方法について、図3を参照して説明する。
図3は推定工程を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、ワイドレーン結合の信号の整数値バイアスの推定演算にはハッチ・メルボーン・ビュベナ結合式を用い、電離層遅延バイアスの平均成分の推定演算にはIONEXから得られる情報を用いた場合について示す。また、以下の説明では、この推定演算を時系列に順次行う観測処理とは異なるオフライン処理、すなわち、これまでに受信して演算処理、記憶されたデータの全てを用いて行う場合について説明する。

0079

相対測位演算処理部301は、前述のように、GPS受信機201から航法メッセージと位相情報、および基準アンテナで得られた信号信号を処理する基準受信機で得られた位相情報が入力されると、ワイドレーン結合の整数値バイアスNWL1L2ab ijを、ハッチ・メルボーン・ビュベナ結合式(式(5))を用いて推定演算する(S1)。

0080

相対測位演算処理部301は電離層遅延バイアスIab ijの平均成分AVGIab ijを受信するIONEXから演算する(S2)。

0081

相対測位演算処理部301は電離層遅延バイアスIab ijの変動成分CHIab ijをジオメトリフリー結合式(式(6))およびこの式から導かれる式(10)を用いて推定演算する(S3)。

0082

次に、相対測位演算処理部301は、これら整数値バイアスNWL1L2ab ijおよび電離層遅延バイアスIab ijの推定演算値を用いて、ワイドレーン結合の観測方程式(式(13))を用いて、基線ベクトルすなわち受信機座標を算出する。

0083

次に、この算出された受信機座標を用いて、電離層フリー結合の信号の観測方程式(式(14))から、L1波の整数値バイアスNL1ab ijを推定演算して記憶する(S4)。

0084

次に相対測位演算処理部301は推定演算されたL1波の整数値バイアスNL1ab ijを、これまでに推定演算して記憶した全ての観測エポックでのL1波の整数値バイアスとともに平均化処理を行い、平均化処理後整数値バイアスを算出する(S5)。そして、この平均化処理後整数値バイアスに基づき、前記整数格子が形成された整数空間による最適化処理を行い、最適な整数値バイアスを算出する(S6)。

0085

次に、相対測位演算処理部301は、この最適化演算された整数値バイアスを電離層フリーの観測方程式に用いることで、あるいは、この整数値バイアスと電離層遅延バイアスとを、L1波の観測方程式に用いることで、基線ベクトルすなわち受信機座標を演算して出力する(S7)。

0086

なお、前述の説明では、オフライン処理による整数値バイアスおよび基線ベクトルの推定演算について説明したが、図4に示すフローを用いることにより、オンライン処理、すなわち、測位用衛星からの信号を受信しながら、順次整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定演算する場合に用いることができる。

0087

図4はオンライン処理の場合の推定工程を示すフローチャートである。

0088

本フローは、前述の図3に示すフローにおける全観測エポックの情報を利用する部分に対して、今回から所定エポック数前までの情報を用いて推定演算を行い、測位用衛星から受信される情報が更新されれば、参照とする観測エポックを更新して推定演算を繰り返すものである。

0089

(3)実験結果
次に、前述の原理を用いて求めた整数バイアスの演算結果と、基準点測定点との距離、すなわち基線長を算出した結果とを用いて示す。なお、以下の実験結果は、オフライン処理により得られたものである。

0090

表1および表2は、GSI(国土地理院)が運営するGEONETの2004年2月19日に提供された観測地点のデータであり、表1は各観測地点の座標、表2は識別記号:Sppr)を基準点として、この基準点と各観測地点との間隔を示す。また、観測エポックの間隔は30秒であり、衛星の座標計算には精密軌道を用いた。

0091

0092

0093

このデータを、以下に示す実験結果の基準とする。すなわち、表1、表2に示す値と一致すれば、測位結果が正しいものとする。

0094

図5図6は、図5(a)を除いて、札幌−室蘭間に対する基線長のL1波、L2波のワイドレーン結合の観測方程式による推定演算結果を示し、図5(a)はスタティック計算すなわち時間変化を考慮しない状態で電離層フリー結合の観測方程式を用いて求めたL1波の整数値バイアスを用いて、電離層フリー結合の観測方程式により得られた基線長の推定演算結果を示す。図5(b)はIONEXで電離層遅延バイアス全体を推定して、L1波、L2波のワイドレーン結合の観測方程式を用いた場合(非特許文献3に記載の方法)の推定演算結果である。また、図5(c)は電離層遅延バイアスの平均成分を疑似距離Pで推定演算するとともに変動成分をL1波、L2波のジオメトリフリー結合式を用いて推定演算して、L1波、L2波のワイドレーン結合の観測方程式を用いた場合を示す。

0095

また、図6(a)は電離層遅延バイアスの平均成分の推定演算をせず、変動成分をL1波、L2波のジオメトリフリー結合式を用いて推定演算して、L1波、L2波のワイドレーン結合の観測方程式を用いた場合を示す。図6(b)は電離層遅延バイアスの平均成分をIONEXそのものを用いて演算するとともに変動成分をL1波、L2波のジオメトリフリー結合式を用いて推定演算して、L1波、L2波のワイドレーン結合の観測方程式を用いた場合を示す。図6(c)は電離層遅延バイアスの平均成分をIONEXの時間平均値を用いて演算するとともに変動成分をL1波、L2波のジオメトリフリー結合式を用いて推定演算して、L1波、L2波のワイドレーン結合の観測方程式を用いた場合を示す。

0096

図5(a)に示す結果は、電離層フリー結合の観測方程式を用いてスタティック計算で求めたものであり、推定演算された基線長の平均値が72209.212mであるので、表1bに示す結果と略一致しており、これを基線長の時間変化の基準図とする。

0097

そして、図5(b)(従来例)と比較して、本発明に係る推定演算方法を用いた図5(c)、図6(a)、図6(b)、図6(c)に示す結果の方が、図5(a)に示す結果(正確な基線長)に、より近似する。すなわち、電離層遅延バイアスを平均成分と変動成分とに分解し、変動成分をL1波、L2波のジオメトリフリー結合式を用いて推定演算することで正確な基線長を得ることができる。特に、図6(b)、(c)に示す場合には、図5(a)に示す結果により、一層近似する。すなわち、電離層遅延バイアスを平均成分と変動成分とに分解し、平均成分の算出にIONEXからの電離層遅延情報を利用し、変動成分をL1波、L2波のジオメトリーフリー結合式を用いて推定演算することでより正確な基線長を得ることができる。

0098

次に、電離層遅延バイアスの推定値について説明する。

0099

図7は、電離層遅延バイアスIab ijの推定値の時間変化を示すものである。(a)は電離層遅延バイアスを電離層フリー結合の観測方程式のスタティック計算で算出したL1波の整数値バイアスNL1ab ijを用いてジオメトリフリー結合式で算出したものであり、判定の基準となる電離層遅延バイアスである。(b)は、変動成分CHIab ijをジオメトリフリー結合の観測方程式から導かれた式(10)より推定演算したものである。また、(c)は平均成分AVGIab ijとして用いられるIONEXから求められた電離層遅延バイアスである。また、(d)は(b)の結果と(c)の結果から、すなわち変動成分CHIab ijをジオメトリフリー結合の観測方程式から推定演算するとともに、平均成分AVGIab ijをIONEXから算出して電離層遅延バイアスIab ijを算出したものである。

0100

これらの結果より、図7(d)が図7(a)に最も一致する。すなわち、変動成分CHIab ijをジオメトリフリー結合の観測方程式から推定演算するとともに、平均成分AVGIab ijをIONEXから算出して電離層遅延バイアスIab ijを算出することで、高精度に電離層遅延バイアスを推定演算することができる。

0101

次に、推定演算された整数値バイアスの平均化処理、および、この平均化処理により得られた平均化処理後整数値バイアスの最適化による、整数値バイアスの高精度推定への影響について説明する。

0102

表3は、前記札幌−室蘭間のハッチ・メルボーン・ビュベナ結合式により得られるワイドレーン結合の整数値バイアスNwL1L2ab ijと、電離層フリー結合の観測方程式を用いてスタティック計算で求めたL1波の整数値バイアスNL1ab ijについて示したものであり、このL1波の整数値バイアスNL1ab ijが以下の推定結果の基準となる。

0103

0104

なお、表3中のPRN03,15,16,27,31は測位用衛星の番号を示し、表3中の整数値バイアスNwL1L2ab ij,NL1ab ijは各測位用衛星の組み合わせ毎に算出した結果を示す。また、PRN((i)−(j))は測位用衛星iと測位用衛星jに関する2重差を示し、以下では、PRNは省略する。

0105

表4は、基準点(札幌)と各測位点との間のハッチ・メルボーン・ビュベナ結合式により得られるワイドレーン結合の整数値バイアスNwL1L2ab ijの全エポックで平均化された演算値を示している。

0106

0107

表5は、電離層フリー結合の観測方程式を用いてスタティック計算で求めたL1波の整数値バイアスNL1ab ijの演算値を示している。

0108

0109

表6は、推定演算された整数値バイアスNL1ab ijの平均化処理を行った場合の演算値を示している。

0110

0111

表7は、平均化処理後整数値バイアスの最適化処理を行った場合の演算値を示している。

0112

0113

そして、表8は前記各方法(表6、表7に結果を示した方法)を用いた場合での整数値バイアスNL1ab ijを、電離層フリー結合の観測方程式を用いてスタティック計算で求めた整数値バイアスNL1ab ijと比較して、一致状態を判定した結果を示す。なお、判定には、札幌−室蘭間の結果を利用した。そして、全ての桁で数値が一致した場合のみ推定結果が正しいものとした。

0114

0115

表8に示すように、前述の整数値バイアスの平均化処理を行うことで、短いエポック数(本実験結果では241エポックまで)で整数値バイアスを高精度に推定演算することができる。さらに、最適化処理を行うことで、より短いエポック数(本実験結果では201エポックまで)で整数値バイアスを高精度に推定演算することができる。

0116

図8は札幌−函間の基線長の時間変化について示したものである。(a)は電離層フリー結合の観測方程式を用いてスタティック計算により推定演算された結果であり、(b)は前記平均化処理を行った結果であり、(c)は前記最適化処理を行った結果である。これらの結果から、最適化処理を行うことで整数値バイアスNL1ab ijを算出する方が基線長の時間変化量が少ないことが分かる。従って、最適化処理を行うことでより高精度に整数値バイアスおよび基線ベクトルを推定演算することができる。

0117

また、図9は札幌−岩間の基線長の時間変化について示したものである。(a)は電離層フリー結合の観測方程式を用いてスタティック計算により推定演算された結果であり、(b)は前記平均化処理を行った結果であり、(c)は前記最適化処理を行った結果である。これらの結果から、最適化処理を行うことで整数値バイアスNL1ab ijを算出する方が基線長の時間変化量が少ないことが分かる。従って、最適化処理を行うことでより高精度に整数値バイアスと基線ベクトルを推定演算することができる。

0118

このように、基線長に関係なく、最適化処理を行うことで、整数値バイアスをより高精度に推定演算することができ、ひいては、基線長をより正確に算出して、高精度の相対測位を実現することができる。

図面の簡単な説明

0119

本実施形態に係る測位環境を示す概略図
移動体受信機の測位装置の主要部を示す概略ブロック図
オフライン処理の場合の推定工程を示すフローチャート
オンライン処理の場合の推定工程を示すフローチャート
札幌−室蘭間に対する基線長の推定演算結果を示す図
札幌−室蘭間に対する基線長の推定演算結果を示す図
電離層遅延バイアスIab ijの推定値の時間変化を示す図
札幌−函館間のL1波の基線長の時間変化について示した図
札幌−岩泉間のL1波の基線長の時間変化について示した図

符号の説明

0120

100,101−GPSアンテナ
11−アンテナ
12−増幅器
201−GPS受信機
301−相対測位演算処理部
31−衛星軌道計算部
32−位相差演算部
33−測位演算部
sat1,sat2,satN−測位用衛星

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