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技術 精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法

出願人 湘南デザイン株式会社
発明者 鈴木英和
出願日 2004年5月7日 (16年7ヶ月経過) 出願番号 2004-137981
公開日 2005年11月17日 (15年1ヶ月経過) 公開番号 2005-319474
状態 特許登録済
技術分野 鋳型又は中子の材料 鋳型又は中子及びその造型方法
主要キーワード 中空部位 乾燥炉温度 形状空間 伝熱ヒータ 加熱経過 金属体表面 抜け殻 光造形機
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年11月17日)のものです。
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図面 (5)

課題

大型樹脂模型埋没させた石膏型割れることなく効率よく乾燥させる方法を提供する。

解決手段

この発明は、精密鋳造におけるプラスターモールド法において、型枠内に湯口模型を付した樹脂模型(a)を設置し、精密鋳造用石膏流し込硬化させる石膏型製作工程(A)と、石膏硬化後型枠を外し、減圧状態(I)において樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を乾燥させる乾燥工程(B)と、樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を、湯口(O)を下方にして階段状加熱(II)し、樹脂模型(a)の熱溶融分解液化成分を湯口(O)より流出させる脱ロウ工程(C)と、樹脂模型(a)を燃焼焼失させ、且つ石膏の余剰水分を除去する焼成工程(D)とから成る精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法である。尚、脱ロウ工程での階段状加熱は、250℃以下の温度帯域で行われることが望ましく、また前記焼成工程では、300℃〜750℃の温度にて樹脂模型(a)を燃焼消失させることが望ましい。

概要

背景

精密鋳造における代表的な工法は、ロストワックス法プラスターモールド法である。ロストワックス法とは湯口を付したロウワックス模型耐火フィラーコロイダルシリカ配合分散液であるスラリーに浸漬・乾燥し初層を、さらにスラリーに浸漬・スタッコ振り掛け乾燥を数回繰り返し、ロウ・ワックス模型を耐火被覆層にて被覆する。ついで、湯口を下方にして、150〜300℃に加温し、ロウ・ワックス模型を溶融流出せしめ、残存するロウ・ワックス成分燃焼焼失せしめる。ついで1000℃前後に昇温し、焼成
することにて耐火被覆層をセラミック化せしめ、ロウ・ワックス模型と類似の中空部位を有する高強度の鋳型と成す。次いで、湯口を上方にして、溶融金属鋳込み、冷却後鋳型を崩壊せしめて、ロウ・ワックス模型類似形状金属体を取り出し、後加工にて金属製品と成す方法である。

プラスターモールド法とは湯口を付したロウ・ワックス模型を型枠内に設置し石膏流し込み、石膏内部にロウ・ワックス模型を埋没した状態にて硬化せしめる。石膏が十分硬化した後、型枠から脱型し、数日間自然乾燥せしめる。次いで、湯口を下方にして150〜250℃に加温し、ロウ・ワックス模型を溶融流出せしめ、更に300〜750℃に昇温して、石膏内部に残存するロウ・ワックス成分を燃焼・焼失せしめ、模型形状の中空部位を有する石膏型製作する。この石膏型の湯口を上方にして、溶融金属を鋳込み、冷却後、石膏型を崩壊せしめて、ロウ・ワックス模型類似形状の金属体を取り出し、後加工にて金属製品と成す方法である。

ロストワックス法には、チタン合金ニッケル合金コバルト合金鋳鋼鉄のごとき高融点合金が使用される。一方、プラスターモールド法では、Al合金Mg合金Zn合金などの低融点合金が使用される。

ロストワックス法の鋳型はセラミックであり、高融点合金の精密鋳造に耐える高強度・耐熱性を有している。鋳型崩壊時、金属体表面に強い衝撃を受けるが、金属体が高強度なるためほとんど損傷なく金属体を取り出すことができる。一方、プラスターモールド法のプラスターモールドは石膏であり、高融点合金の精密鋳造に耐えるだけの高強度・耐熱性を有していない。しかしながら、低融点合金の精密鋳造に耐えるだけの強度と耐熱性は保有している。石膏型崩壊時、金属体に衝撃を受けるが、石膏型はセラミック型よりも強度が弱く比較的簡単に崩壊させることができるため、高融点合金よりも強度の劣る低融点合金でも、ほとんど損傷なく金属体を取り出すことができる。

精密鋳造用石膏型の乾燥に関しては、鋳物便覧日本鋳物協会編に記載されている。鋳物便覧には石膏型の乾燥に関し、乾燥炉昇温曲線と石膏型中心部位温度曲線が開示されている。乾燥炉温度230℃にて約20時間後に石膏型中心温度が乾燥炉温度230℃に到達している。

精密鋳造用石膏メーカーサンエス石膏(株)のカタログによれば、石膏の乾燥は、(1)室温にて3時間自然乾燥、(2)室温から100℃で1時間、(3)100〜150℃で1時間、(4)150〜250℃で1時間、乾燥機内で乾燥することを指示している。

尚、砂型や石膏型を使用した低圧鋳造法については、特許文献1に開示される「薄物大型鋳造品の製造方法」があり、石膏鋳型を得るものとしては特許文献2に開示される「光造形樹脂マスターとした金属鋳造品鋳造方法」及び特許文献3に開示される「精密鋳造用鋳型製作方法とそれに用いる模型」がある。
特開2004−82211号公報
特開平9−66344号公報
特開2002−153943号公報

概要

大型樹脂模型を埋没させた石膏型を割れることなく効率よく乾燥させる方法を提供する。 この発明は、精密鋳造におけるプラスターモールド法において、型枠内に湯口模型を付した樹脂模型(a)を設置し、精密鋳造用石膏を流し込み硬化させる石膏型製作工程(A)と、石膏硬化後型枠を外し、減圧状態(I)において樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を乾燥させる乾燥工程(B)と、樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を、湯口(O)を下方にして階段状加熱(II)し、樹脂模型(a)の熱溶融分解液化成分を湯口(O)より流出させる脱ロウ工程(C)と、樹脂模型(a)を燃焼焼失させ、且つ石膏の余剰水分を除去する焼成工程(D)とから成る精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法である。尚、脱ロウ工程での階段状加熱は、250℃以下の温度帯域で行われることが望ましく、また前記焼成工程では、300℃〜750℃の温度にて樹脂模型(a)を燃焼消失させることが望ましい。 なし

目的

脱ロウ工程(C)は湯口(OP)を付加した樹脂模型(a)を溶融液化せしめ、石膏型(P)の湯口部位(B)より溶融流失させ、模型形状の内部空間を石膏型(P)に設けることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

精密鋳造におけるプラスターモールド法において、型枠(P)内に湯口模型を付した樹脂模型(a)を設置し、精密鋳造用石膏流し込硬化させる石膏型製作工程(A)と、石膏硬化後型枠を外し、減圧状態(I)において樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を乾燥させる乾燥工程(B)と、樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を、湯口(O)を下方にして階段状加熱(II)し、樹脂模型(a)の熱溶融分解液化成分を湯口(O)より流出させる脱ロウ工程(C)と、樹脂模型(a)を燃焼焼失させ、且つ石膏の余剰水分を除去する焼成工程(D)とから成ることを特徴とする精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法

請求項2

前記樹脂模型(a)がポリスチレン粉末積層造形模型であることを特徴とする請求項1記載の精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法。

請求項3

前記樹脂模型(a)が、ロウ・ワックス成分(b)及び/若しくは可塑剤成分(c)を含有する2液反応硬化性ポリウレタン樹脂模型であることを特徴とする請求項1記載の精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法。

請求項4

前記減圧状態(I)とは、乾燥気体が細孔キャピラリー(CP)より石膏型(P)が配置された空間へ流入可能な状態であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法。

請求項5

前記階段状加熱(II)は、第1の温度帯域において所定時間保持され、前記第1の温度帯域よりも所定値高い第2の温度帯域において所定時間保持されるような加熱経過を経ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法。

請求項6

前記樹脂模型(a)に含有されるロウ・ワックス成分(b)は、融点50〜130℃の微粉末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法。

請求項7

前記樹脂模型(a)に含有される可塑剤成分(c)は、0℃において液状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法。

技術分野

0001

本発明は、精密鋳造プラスターモールド法における石膏型の乾燥・脱ロウ焼成方法に関するものである。

背景技術

0002

精密鋳造における代表的な工法は、ロストワックス法とプラスターモールド法である。ロストワックス法とは湯口を付したロウ・ワックス模型耐火フィラーコロイダルシリカ配合分散液であるスラリーに浸漬・乾燥し初層を、さらにスラリーに浸漬・スタッコ振り掛け乾燥を数回繰り返し、ロウ・ワックス模型を耐火被覆層にて被覆する。ついで、湯口を下方にして、150〜300℃に加温し、ロウ・ワックス模型を溶融流出せしめ、残存するロウ・ワックス成分燃焼焼失せしめる。ついで1000℃前後に昇温し、焼成
することにて耐火被覆層をセラミック化せしめ、ロウ・ワックス模型と類似の中空部位を有する高強度の鋳型と成す。次いで、湯口を上方にして、溶融金属鋳込み、冷却後鋳型を崩壊せしめて、ロウ・ワックス模型類似形状金属体を取り出し、後加工にて金属製品と成す方法である。

0003

プラスターモールド法とは湯口を付したロウ・ワックス模型を型枠内に設置し石膏流し込み、石膏内部にロウ・ワックス模型を埋没した状態にて硬化せしめる。石膏が十分硬化した後、型枠から脱型し、数日間自然乾燥せしめる。次いで、湯口を下方にして150〜250℃に加温し、ロウ・ワックス模型を溶融流出せしめ、更に300〜750℃に昇温して、石膏内部に残存するロウ・ワックス成分を燃焼・焼失せしめ、模型形状の中空部位を有する石膏型を製作する。この石膏型の湯口を上方にして、溶融金属を鋳込み、冷却後、石膏型を崩壊せしめて、ロウ・ワックス模型類似形状の金属体を取り出し、後加工にて金属製品と成す方法である。

0004

ロストワックス法には、チタン合金ニッケル合金コバルト合金鋳鋼鉄のごとき高融点合金が使用される。一方、プラスターモールド法では、Al合金Mg合金Zn合金などの低融点合金が使用される。

0005

ロストワックス法の鋳型はセラミックであり、高融点合金の精密鋳造に耐える高強度・耐熱性を有している。鋳型崩壊時、金属体表面に強い衝撃を受けるが、金属体が高強度なるためほとんど損傷なく金属体を取り出すことができる。一方、プラスターモールド法のプラスターモールドは石膏であり、高融点合金の精密鋳造に耐えるだけの高強度・耐熱性を有していない。しかしながら、低融点合金の精密鋳造に耐えるだけの強度と耐熱性は保有している。石膏型崩壊時、金属体に衝撃を受けるが、石膏型はセラミック型よりも強度が弱く比較的簡単に崩壊させることができるため、高融点合金よりも強度の劣る低融点合金でも、ほとんど損傷なく金属体を取り出すことができる。

0006

精密鋳造用石膏型の乾燥に関しては、鋳物便覧日本鋳物協会編に記載されている。鋳物便覧には石膏型の乾燥に関し、乾燥炉昇温曲線と石膏型中心部位温度曲線が開示されている。乾燥炉温度230℃にて約20時間後に石膏型中心温度が乾燥炉温度230℃に到達している。

0007

精密鋳造用石膏メーカーサンエス石膏(株)のカタログによれば、石膏の乾燥は、(1)室温にて3時間自然乾燥、(2)室温から100℃で1時間、(3)100〜150℃で1時間、(4)150〜250℃で1時間、乾燥機内で乾燥することを指示している。

0008

尚、砂型や石膏型を使用した低圧鋳造法については、特許文献1に開示される「薄物大型鋳造品の製造方法」があり、石膏鋳型を得るものとしては特許文献2に開示される「光造形樹脂マスターとした金属鋳造品鋳造方法」及び特許文献3に開示される「精密鋳造用鋳型製作方法とそれに用いる模型」がある。
特開2004−82211号公報
特開平9−66344号公報
特開2002−153943号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上述したように、精密鋳造プラスターモールド法における全工程の中で石膏の乾燥工程が最も長時間を要する。これは、精密鋳造用石膏型の中心部位まで十分に乾燥する必要があるからであり、特に石膏型が大きくなると、乾燥所要時間は益々長くなるものである。

0010

また、石膏型の乾燥が不十分の場合、溶融金属を鋳込むと水蒸気爆発を起こすと言った危険性を伴う。精密鋳造法日本鋳物協会精密鋳造部会編 p−197には、Mg合金の精密鋳造においては、石膏型の未乾燥水分と化学反応を起こすため、石膏型は適さないと記されているほどである。

0011

これに対して、石膏乾燥炉での加熱乾燥急ぐと、石膏型の割れそりが発生する原因となる。特に、ロストワックス模型ではなく、樹脂模型の場合にはその現象が顕著に発現される。

0012

よって、本発明者達は、大型樹脂模型を埋没させた石膏型を割れることなく効率よく乾燥させる方法を鋭意検討した結果、本発明に到達した。

課題を解決するための手段

0013

したがって、この発明は、精密鋳造におけるプラスターモールド法において、型枠内に湯口模型を付した樹脂模型(a)を設置し、精密鋳造用石膏を流し込み硬化させる石膏型製作工程(A)と、石膏硬化後型枠を外し、減圧状態(I)において樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を乾燥させる乾燥工程(B)と、樹脂模型(a)が埋没した石膏型(P)を、湯口(O)を下方にして階段状加熱(II)し、樹脂模型(a)の熱溶融分解液化成分を湯口(O)より流出させる脱ロウ工程(C)と、樹脂模型(a)を燃焼焼失させ、且つ石膏の余剰水分を除去する焼成工程(D)とから成る精密鋳造用プラスターモールドの乾燥・脱ロウ・焼成方法である。尚、脱ロウ工程での階段状加熱は、250℃以下の温度帯域で行われることが望ましく、また前記焼成工程では、300℃〜750℃の温度にて樹脂模型(a)を燃焼消失させることが望ましい。

0014

さらに、前記樹脂模型(a)は、ポリスチレン粉末積層造形模型であることが望ましい。また、前記樹脂模型(a)は、ロウ・ワックス成分(b)及び/若しくは可塑剤成分(c)を含有する2液反応硬化性ポリウレタン樹脂模型であっても良いものである。

0015

さらにまた、前記減圧状態(I)とは、乾燥気体が細孔キャピラリー(CP)より石膏型(P)が配置された空間へ流入可能な状態であることが望ましい。また、前記空間は、常温〜80℃の温度範囲内の温度であることが望ましく、前記圧力は、200mmHg〜750mmHgの圧力範囲内の圧力であることが望ましい。

0016

また、前記階段状加熱(II)は、第1の温度帯域において所定時間保持され、前記第1の温度帯域よりも所定値高い第2の温度帯域において所定時間保持されるような加熱経過を経ることが望ましい。尚、第1の温度帯域は、150℃以下であり、第2の温度帯域は150℃〜250℃であることが望ましい。また、前記所定時間は、少なくとも30分であることが望ましい。

0017

さらに、前記樹脂模型(a)に含有されるロウ・ワックス成分(b)は、融点50〜130℃の微粉末であることが望ましい。

0018

さらにまた、前記樹脂模型(a)に含有される可塑剤成分(c)は、0℃において液状であることが望ましい。

発明の効果

0019

以上説明したように、精密鋳造全工程の中で石膏型をいかに迅速に乾燥せしめるかが短納期律速となる。石膏型より過剰の遊離水乾燥除去し・石膏の結晶水を除去することが必要である。水分除去に長時間を要するのは、過剰の遊離水を乾燥除去することである。

0020

本発明の方法に従って、乾燥初期段階に乾燥気体を通じながら減圧・加熱にて乾燥することにより、迅速に石膏型の乾燥が促進され、短納期対応が可能となる。また、石膏型の急激乾燥による割れを防止できる効果をも備えている。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、この発明の実施例について図面により説明する。

0022

精密鋳造プラスターモールド法は模型を石膏型に埋没せしめ、乾燥・脱ロウ・焼成するため、模型自体は焼失するものである。石膏型は、鋳込み後石膏型を崩壊し、金属体を取り出し製品と成すために、これも、再使用できないものである。同一形状複数の鋳物製品を製造するためには、製品に相当する数だけ模型が必要である。その1つ1つの模型と類似の鋳物製品が生産されるものであるため、模型の形状はしっかりと品質管理されたものであらねば成らない。

0023

図1は、本発明実施例として用いた2気筒吸引口のモデル(M)の全体斜視図である。この3次元形状データ光造形機に導入し、光造形マスターモデルを製作した。次いで、シリコンゴムにて反転しシリコンゴム割り型を製作した。このシリコンゴム型に2液反応硬化性ウレタン樹脂液を真空注型し、2気筒吸引口形状樹脂模型(a)を作成した。作成した2気筒吸引口形状樹脂模型(a)の全体斜視図は図1と同じである。

0024

ここで、まず最初に樹脂模型(a)の実施の形態について説明する。ものつくりにおいてはいきなり量産するものではなく、初期数個〜数十個の試作生産から開始されるのが一般的である。精密鋳造品もしかりである。近年、顧客から鋳造品受注する場合は3次元データにて受注する形態が急速に増加して来た。この3次元データを積層粉末造形機に送り、3次元立体造形にて樹脂模型を制作するラピッドプロトタイピングが最も早い模型製作方法である。

0025

精密鋳造用樹脂模型(a)としては加熱溶融流失燃焼する樹脂が最適であり、本発明にてもポリスチレン微粉末ビーズを実施使用している。粉末積層造形されたポリスチレン模型は軟化点150〜200℃の熱可塑性樹脂から成るものであり、脱ロウ工程(I)にて軟化溶融流失するものである。また、加熱条件進展に従って、熱劣化分解燃焼し焼失する。十分焼失させれば、石膏型内に残留する灰分は微量となる。石膏型内の模型形状空間部位に残留した微量の灰分は、空気を吹き込むことにより簡単に除去することができる。

0026

数個の模型程度なら粉末積層造形にて製作できるが、数十個以上の模型を制作するとなると造形機の占有時間が長くなるために、1個の3次元立体光造形模型をマスターモデルとし、シリコンゴム型に反転しシリコンゴム型へ液状樹脂を真空注型することにて、数十個の複製樹脂模型を制作するものである。1個のマスターモデルをしっかり製作すれば、複数のシリコンゴム型にて数百個程度の複製された樹脂模型(a)を短期間に制作することは、さほど難しいことではない。

0027

尚、樹脂模型(a)には鋳造用湯口形状が付加されているものである。湯口形状の付加は、粉末積層造形や光造形時に樹脂模型に一体付加させた3次元立体造形模型としてもよいし、湯口模型を先行製作し、樹脂模型(a)に接着剤にて接合してもよい。好ましくは、一体付加状態にて造形するのが最も早い方法である。

0028

複製された樹脂模型(a)は、2液反応硬化性ウレタン樹脂を実施使用するものである。一般にウレタン樹脂は耐熱性80℃程度であり、加熱劣化分解溶融流出し易い樹脂であり、精密鋳造用模型として適合性が高いものである。この2液反応硬化ウレタン樹脂液にはロウ・ワックス成分(b)及びまたは可塑剤成分(c)が配合使用される。これにて、脱ロウ工程(I)の段階にてまず、ロウ・ワックス成分(b)及びまたは可塑剤成分(c)が流失し、ウレタン樹脂は収縮した状態にて石膏型(P)に残留する。次いで、加熱条件の進展に従って、ウレタン樹脂が熱分解溶融し、その一部は液化流出し、その一部は燃焼し焼失する。十分焼失させれば、石膏型(P)内に残留する灰分は微量となる。石膏型(P)内の模型形状空間部位に残留した微量の灰分は、空気を吹き込むことにより簡単に除去することができる。

0029

2液反応硬化性樹脂工業用試作デザインモデル複製材料として使用されており、その製作作業性・硬化性形状保持性切削加工性に優れている。硬化促進用触媒を添加することにより急速硬化・脱型することができるし、可塑剤成分(c)として液状可塑剤を配合することも可能であるし、ロウ・ワックス成分(b)としてその微粉末を配合することも可能である。

0030

このような2液反応硬化性ウレタン樹脂を用いた精密鋳造用樹脂模型の詳細は、本発明者達により、特開平2003−211257号公報及び特開平2003−290871号公報に開示されている。

0031

次に石膏型製作工程(A)の実施の形態について説明する。

0032

精密鋳造用石膏は各種上市されており、その代表的な石膏はサンエス石膏(株)の「キャスター8」を実施使用した。石膏/水=100部/50部にて混合し、型枠内に樹脂模型(a)を配置し、図2に示すように、石膏/水混合物を流し込み、樹脂模型(a)を埋没させた。室温にて数時間放置し石膏を硬化せしめ、その後、型枠を外して樹脂模型埋没石膏型(P)を取り出した。

0033

樹脂模型(a)を型枠(F)に設置するに際し、樹脂模型(a)に付加した湯口(OP)を型枠底面(FB)に瞬間接着剤にて軽く固定設置した。これにて、型枠(F)を外した石膏型(P)の底面部位表面(PB)には、図3に示すように、空気抜き孔(O)及び湯口(OP)が顔を出している状態となる。尚、Dは鋳込み口用受け皿である。

0034

次に石膏型(P)を乾燥させる工程(B)の実施形態について説明する。

0035

石膏の硬化には化学反応に必要な水があればよいが、十分な流動性を保持し、型枠に注入できる作業性が必要である。そこで、どうしても余剰水分を必要とし、この余剰水分を石膏型より除くことが必要となる。

0036

石膏型の塊から余剰水分を除く石膏型の初期乾燥は室温放置とされている。石膏の結晶粒子間に存在する遊離水分子は、石膏型の表面より除々に蒸発飛散する。石膏型表面の遊離水分が飛散すると石膏結晶粒子間に毛細管が生成され、石膏表面の下部層に存在する遊離水分がその毛細管を通って表面に移行し、空気中へ順次飛散すると言った水分移行飛散乾燥過程が繰り返されて、除々に石膏型内部まで乾燥するものである。

0037

石膏型を迅速に乾燥させるためには、その表面積を大きくすれば良い。しかしながら、石膏型の外形を決定するのは型枠であり、石膏と水を混合した石膏・水混合物を注入する枠は木枠または金属枠が使用され、4つの側面と底部面の5面で構成された箱型である。型枠を構成する5面はビス留めにて簡単に組み立てができるものである。よって、石膏型は直方体として製作され、最も簡単な製作法となる。

0038

石膏型の形状を表面積大となるように複雑形状にするならば、型枠自体が複雑になり、型枠製作に長時間を要することとなり、メリットが見出せない。

0039

樹脂模型(a)を埋没した直方体の石膏型は、上記の通りその表面積が小さい。

0040

大型複雑形状の樹脂模型(a)の場合には、石膏型も大きくなり、重量あたりの表面積は益々小さくなり、石膏型中心部位の乾燥は非常に不利となる。特に樹脂模型(a)の形状が開口を持った中空体となると、模型の開口部より中空部位に進入硬化した石膏は結果的に模型の材質にほぼ覆われた状態となる。模型の材質は水をほとんど吸収しない樹脂成分からなるため、樹脂模型(a)の中空部位に位置する石膏に存在する遊離水分は、石膏表面へ移行し蒸発乾燥されるには非常に不利な状態にある。

0041

こういった理由から、大型中空複雑形状の樹脂模型(a)では数日間の室温乾燥条件では石膏型の中心部位まで迅速に乾燥させることは非常に困難である。

0042

石膏の硬化性を阻害することなく、迅速に乾燥を促進するための方法を鋭意検討した結果、図4で示すように、型枠(F)より脱型した石膏型(P)を減圧槽(V)に設置し、キャピラリー(CP)より窒素ガスを流しながら、200〜750mmHgの減圧にて、温度20〜80℃で数時間、減圧微加熱乾燥する方法が最も有効であることを見出した。

0043

つまり、石膏型(P)が硬化した後、石膏型(P)を減圧状態に置くことにより石膏表面の遊離水分を迅速に蒸発飛散させるものである。また、石膏型(P)内部の遊離水分を減圧にて表面へ吸い出そうとするものである。石膏表面より飛散した水分は、キャピラリー(CP)よりながれる乾燥気体に乗って系外へ運ばれるものである。石膏型(P)の表面より遊離水分飛散にて石膏型(P)表面温度が低下し、遊離水分の蒸発飛散が低下するので、石膏型(P)をやや加熱状態に保持することが有効である。石膏型(P)を加熱状態に保持するために、減圧槽(V)自体を電熱ヒーター(H)にて暖める方式・減圧槽(V)のガラス窓より赤外線を石膏型(P)に照射し石膏型(P)を加熱する方式・キャピラリー(CP)より導入する乾燥気体を加熱する方式などが有効である。この実施例では、伝熱ヒーター(H)を用いている。また、図4中において、(HR)は、前記石膏型(P)を保持する保持台である。

0044

キャピラリー(CP)はガラス管バーナーで加熱溶融させて一気に引き伸ばし、引き伸ばし部位が細いエナメル線状となし、切断することにて簡単に製作される。ガラス管から上記方法にてキャピラリー(CP)を製作する限り、キャピラリー(CP)の先端まで管状となる。キャピラリー(CP)の先端を水につけ他端に空気圧をかけると、キャピラリー(CP)先端より水中へ空気が放出され気泡が発生することにてキャピラリー(CP)の完成が確認される。

0045

次いで、脱ロウ工程(C)の実施形態について説明する。

0046

脱ロウ工程(C)は湯口(OP)を付加した樹脂模型(a)を溶融液化せしめ、石膏型(P)の湯口部位(B)より溶融流失させ、模型形状の内部空間を石膏型(P)に設けることを目的とするものである。当然、石膏の乾燥も同時並行的に進行するものである。

0047

よって、図5で示すように、石膏型(P)は湯口(OP)が顔を出した底面を下方にして燃焼炉FN)内に設置され、電気またはガスにて加熱される。

0048

樹脂模型(a)がポリスチレン粉体積層造形物である場合、ポリスチレンの軟化溶融温度以上の炉内温度150〜200℃で脱ロウされるが、急激に炉内温度を150〜200℃に昇温すると、残存する遊離水や結晶水が石膏内部で水蒸気化し、その圧力にて石膏型(P)が割れることがあるため、段階的に昇温する必要がある。

0049

樹脂模型(a)が2液反応硬化性樹脂の場合、配合された溶融液化する近辺のより高温の120〜150℃で炉内温度を30分以上保持し、液状の可塑剤(c)と共にロウ・ワックス成分(b)を液化流出させるものである。その後段階的に炉内温度を昇温し、脱ロウを促進するものである。

0050

炉内温度120〜150℃の時点で石膏型(P)を取り出し冷却後切断し、その断面を観察した結果、ロウ・ワックス成分(b)と液状の可塑剤成分(c)は湯口(OP)より自然落下にて僅かに流失し始めていると共に、石膏型(P)内壁部へ浸透していることが確認された。樹脂模型(a)はロウ・ワックス成分(b)と液状の可塑剤成分(c)が抜け出しているため、スポンジ状で収縮した樹脂骨格が残留していた。

0051

う言った観察事実から、石膏型(P)に埋没している樹脂模型(a)の、加熱による挙動変化を明確化することができる。つまり、これは、樹脂模型(a)が加熱されることにより、樹脂模型(a)の内部に抱含されているロウ・ワックス成分(b)と液状の可塑剤成分(c)が樹脂模型(a)の内部から滲み出して石膏型(P)内壁に含浸する。樹脂模型(a)の樹脂骨格はロウ・ワックス成分(b)と液状の可塑剤成分(c)が樹脂模型(a)の内部から滲み出した形跡を保持したスポンジ状にて収縮する。樹脂模型(a)が加熱により膨張しようとする内圧はこの現象にて緩和される。更に加熱が続行されると、樹脂模型(a)に付した湯口形状部位から脱ロウが始まり、順次内部の樹脂模型(a)からにじみ出たロウ・ワックス成分(b)と液状の可塑剤成分(c)がスムースに湯口形状の石膏型(P)から流出自然落下するものであると解釈されることに到達した。

0052

石膏は約130℃近辺で結晶水の一部を放出し、半水石膏に変化する。よって、それよりもやや高温の炉内温度150℃近辺で30分保持する段階で、結晶水が放出され半水石膏化するものであろう。この時点では、石膏型内部に埋没した樹脂模型(a)は脱ロウ状態にあり、石膏型(P)中心内部から発生する結晶水の放出は脱ロウ通路を経由して、脱ロウ成分を押し出しながら石膏型(P)の湯口(OP)から加熱炉(FN)内に放出されることになる。尚、図5において、(FH)は加熱用ヒーターであり、(MP)は金属製の受け皿であり、(AB)は脱ロウ工程中の流出物である。

0053

つまり、石膏型(P)から放出される水蒸気は、段階的加熱を確実に進行させる限り石膏内部に内圧を排除し、石膏型(P)が割れることを回避することができる。特に市販ロストワックスよりも融点の低い液状の可塑剤(c)やロウ・ワックス成分(b)を含有する2液反応硬化性ウレタン樹脂から成る樹脂模型(a)の場合は、石膏型(P)が割れることを回避できる性能に優れていると言えることが判った。

0054

次いで、焼成工程(D)の実施形態について説明する。

0055

脱ロウ工程(C)終了後、引き続き炉内温度を徐々に700〜750℃に昇温し、石膏型(P)に埋没した樹脂模型(a)の液状の可塑剤(c)やロウ・ワックス成分(b)の抜け殻である収縮した樹脂骨格を燃焼せしめる。この時、石膏型(P)内壁に含浸付着した液状の可塑剤(c)やロウ・ワックス成分(b)も燃焼させるものである。また、石膏型(P)自体に存在した、遊離水・放出結晶水は除去され、鋳造使用可能な石膏型が完成する。

0056

石膏型湯口(OP)より内部へ空気を噴射し、石膏型(P)内部に残存する微量灰分を除去する。直ちに鋳造装置に設置し、溶融金属の鋳込みに備える。

0057

特に石膏型(P)は水分除去が重要であり、石膏型(P)よりの水分除去が不十分な状態で溶融金属を鋳込むと石膏型(P)の水分と溶融金属が反応し爆発を起こすので、十分な注意が必要である。

図面の簡単な説明

0058

本発明実施例として用いた2気筒吸引口のモデルの全体斜視図である。
湯口を付加した2気筒吸引口形状樹脂模型を型枠に設置し、石膏・水混合物を型枠内へ注いでいる状態断面図である。
2気筒吸引口形状樹脂模型が埋没した石膏型の断面図である。
2気筒吸引口形状樹脂模型が埋没した石膏型を、湯口を下方にて、減圧加熱乾燥を実施している断面図である。
加熱炉にて脱ロウ工程を実施している断面図である。

符号の説明

0059

a樹脂模型
F型枠
FB枠体底部
FN加熱炉
O空気抜き孔
OP 湯口
P石膏型
V 減圧槽

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