図面 (/)

技術 ポリペプチドを固定化する方法、ポリペプチドが固定化されてなる固体支持体、これを用いたポリペプチドの検出方法及び精製方法、ならびにポリペプチドを固定化するための固体支持体

出願人 東洋鋼鈑株式会社
発明者 市原輝久丹花通文亀井修一中村和行赤田純子
出願日 2004年7月12日 (15年5ヶ月経過) 出願番号 2004-204769
公開日 2005年11月10日 (14年1ヶ月経過) 公開番号 2005-312425
状態 拒絶査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 漬用溶液 カーボン層中 電離イオン 設定幅 ダイヤモンドライクカーボン層 芳香環含有炭化水素基 フィールドイオン化 表面電離
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年11月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

ポリペプチドを強固かつ特異的に固定化する方法、及びそのための固体支持体を提供することである。

解決手段

基板の表面に式I:

化1

[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]で表される基を有する固体支持体のマレイミド基に、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを結合させることにより、ポリペプチドを固定化する方法。

概要

背景

ヒトゲノム計画の終了に伴い、生物医学の研究は遺伝子解読からタンパク質解析、即ちプロテオミクスという新たなステップへと踏み出した。遺伝子は、タンパク質を生成するための単なるプログラムコードでしかなく、ほとんど全ての生体活動はそれらのコードをもとに生成された、非常に複雑な構造を持つタンパク質の分子間で行なわれている。ある種のタンパク質が正常に機能しない場合、健康に支障をきたすことが知られている。それゆえに、個々のタンパク質の機能を解明することは、医学の更なる進歩に欠かすことのできないステップであると言える。

従来は、タンパク質の性質発現状態、構造、活性などの分析には、抽出したタンパク質の混合物を分子量や等電点の違いにより分離し、解析する2次元電気泳動法(2−D PAGE)が使用されてきた。しかし、2次元電気泳動法は、ハイスループット解析に不向きで、検出感度、およびサンプルの可溶化の面でも問題があった。

一方、今日までに数々のDNAチップ報告されている。それらのDNAチップは、ある表現型生理状態での遺伝子発現の変化の確認や、発現パターンデータベースを作ることに有用であった。しかし通常、遺伝子とタンパク質の発現量やパターンは必ずしも正確に相関しないため、DNAチップはタンパク質の発現レベル定量化には使用することができない。またタンパク質は翻訳後に、リン酸化糖鎖付加、切断などの、さまざまな修飾を受けることによってその機能が変化するため、それらの翻訳後修飾の情報をDNA解析からは得ることができない。

そこでDNAアレイ技術を、タンパク質解析のツールとして用いたものとしてプロテインチップが開発された。プロテインチップの原理はDNAチップと同じで、スライドガラスや膜の上にタンパク質を高密度に固定し、それらと相互作用するタンパク質や核酸などを検出するものである。しかし、強固なDNA鎖に対し、巧みにアミノ酸が絡み合ってできている非常に不安定な構造をもつタンパク質を基板上に固定化させることは困難であった。

また、従来開発されたプロテインチップは、スライドガラス又はシリコン基板表面にポリリジン等の高分子を塗布し、その後にタンパク質を固定化するものであるが、スライドガラス又はシリコン基板表面にポリリジン等の高分子を塗布してタンパク質を固定化する方法では、タンパク質の固定化状態が不安定であり、洗浄工程において剥離するといった問題が生じるとともに、固定化されたタンパク質を長期間保存することも不可能であった。また、生体物質非特異的吸着や、タンパク質の機能失活、検出系UV不透明性等の問題もあった。

このような問題に鑑み、タンパク質を含むポリペプチドを固定化するための支持体として、基板の表面に、表面処理層及び化学修飾層を順次設けてなる固体支持体(例えば、特許文献1)、基板表面の一部又は全部がカーボン層で構成されており、その層上に金属キレートが形成されてなる固体支持体(特許文献2)が開発されている。

しかしながら、前記固体支持体のポリペプチドの固定化量及びポリペプチドの結合強度は、必ずしも充分とはいえず、ポリペプチドの固定化量がより高くポリペプチド結合強度がより高い固体支持体の出現が望まれている。

この出願の発明に関する先行技術文献情報として次のものがある。
特開2002−365293号公報
特開2004−020328号公報

概要

ポリペプチドを強固かつ特異的に固定化する方法、及びそのための固体支持体を提供することである。基板の表面に式I:[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]で表される基を有する固体支持体のマレイミド基に、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを結合させることにより、ポリペプチドを固定化する方法。

目的

本発明の課題は、ポリペプチドを強固かつ特異的に固定化する方法、及びそのための固体支持体を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

基板の表面に式I:[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]で表される基を有する固体支持体マレイミド基に、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを結合させることにより、ポリペプチドを固定化する方法。

請求項2

基板が、さらにカーボン層を有する請求項1記載の方法。

請求項3

基板の表面に式I:[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]で表される基を有する固体支持体のマレイミド基に、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドが結合されている、ポリペプチド固定化固体支持体。

請求項4

基板が、さらにカーボン層を有する請求項3記載のポリペプチド固定化固体支持体。

請求項5

オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドに、さらにオリゴヒスチジン配列が導入されている、請求項3又は4記載のポリペプチド固定化固体支持体。

請求項6

請求項3〜5のいずれか1項記載のポリペプチド固定化固体支持体に、試料ポリペプチドを接触させ、固定化されたポリペプチドと試料ポリペプチドの相互作用を検出する方法。

請求項7

試料ポリペプチドを標識し、固定化されたポリペプチドと相互作用した試料ポリペプチドに由来する標識を検出することにより相互作用を検出する、請求項6記載の方法。

請求項8

化学発光を用いてポリペプチドの相互作用を検出する、請求項7記載の方法。

請求項9

ポリペプチドにオリゴシステイン配列を導入し、オリゴシステイン配列が導入された該ポリペプチドを、基板の表面に式I:[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]で表される基を有する固体支持体上のマレイミド基と反応させ、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを固体支持体上に結合させることによって、該ポリペプチドを精製する方法。

請求項10

基板が、さらにカーボン層を有する請求項9記載の方法。

請求項11

基板の表面に式I:[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]で表される基を有する、ポリペプチドを固定化するための固体支持体。

請求項12

基板が、さらにカーボン層を有する請求項11記載の固体支持体。

請求項13

オリゴシステイン配列及びオリゴヒスチジン配列が導入されたポリペプチドをコードする遺伝子を作製するベクター

請求項14

オリゴシステイン配列及びオリゴヒスチジン配列が導入されたポリペプチド。

技術分野

0001

本発明は、ポリペプチド固定化する方法、ポリペプチドが固定化されてなる固体支持体、これを用いたポリペプチドの検出方法及び精製方法、ならびにポリペプチドを固定化するための固体支持体に関する。

背景技術

0002

ヒトゲノム計画の終了に伴い、生物医学の研究は遺伝子解読からタンパク質解析、即ちプロテオミクスという新たなステップへと踏み出した。遺伝子は、タンパク質を生成するための単なるプログラムコードでしかなく、ほとんど全ての生体活動はそれらのコードをもとに生成された、非常に複雑な構造を持つタンパク質の分子間で行なわれている。ある種のタンパク質が正常に機能しない場合、健康に支障をきたすことが知られている。それゆえに、個々のタンパク質の機能を解明することは、医学の更なる進歩に欠かすことのできないステップであると言える。

0003

従来は、タンパク質の性質発現状態、構造、活性などの分析には、抽出したタンパク質の混合物を分子量や等電点の違いにより分離し、解析する2次元電気泳動法(2−D PAGE)が使用されてきた。しかし、2次元電気泳動法は、ハイスループット解析に不向きで、検出感度、およびサンプルの可溶化の面でも問題があった。

0004

一方、今日までに数々のDNAチップ報告されている。それらのDNAチップは、ある表現型生理状態での遺伝子発現の変化の確認や、発現パターンデータベースを作ることに有用であった。しかし通常、遺伝子とタンパク質の発現量やパターンは必ずしも正確に相関しないため、DNAチップはタンパク質の発現レベル定量化には使用することができない。またタンパク質は翻訳後に、リン酸化糖鎖付加、切断などの、さまざまな修飾を受けることによってその機能が変化するため、それらの翻訳後修飾の情報をDNA解析からは得ることができない。

0005

そこでDNAアレイ技術を、タンパク質解析のツールとして用いたものとしてプロテインチップが開発された。プロテインチップの原理はDNAチップと同じで、スライドガラスや膜の上にタンパク質を高密度に固定し、それらと相互作用するタンパク質や核酸などを検出するものである。しかし、強固なDNA鎖に対し、巧みにアミノ酸が絡み合ってできている非常に不安定な構造をもつタンパク質を基板上に固定化させることは困難であった。

0006

また、従来開発されたプロテインチップは、スライドガラス又はシリコン基板表面にポリリジン等の高分子を塗布し、その後にタンパク質を固定化するものであるが、スライドガラス又はシリコン基板表面にポリリジン等の高分子を塗布してタンパク質を固定化する方法では、タンパク質の固定化状態が不安定であり、洗浄工程において剥離するといった問題が生じるとともに、固定化されたタンパク質を長期間保存することも不可能であった。また、生体物質非特異的吸着や、タンパク質の機能失活、検出系UV不透明性等の問題もあった。

0007

このような問題に鑑み、タンパク質を含むポリペプチドを固定化するための支持体として、基板の表面に、表面処理層及び化学修飾層を順次設けてなる固体支持体(例えば、特許文献1)、基板表面の一部又は全部がカーボン層で構成されており、その層上に金属キレートが形成されてなる固体支持体(特許文献2)が開発されている。

0008

しかしながら、前記固体支持体のポリペプチドの固定化量及びポリペプチドの結合強度は、必ずしも充分とはいえず、ポリペプチドの固定化量がより高くポリペプチド結合強度がより高い固体支持体の出現が望まれている。

0009

この出願の発明に関する先行技術文献情報として次のものがある。
特開2002−365293号公報
特開2004−020328号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、ポリペプチドを強固かつ特異的に固定化する方法、及びそのための固体支持体を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討の結果、基板上にアミノ基を介してマレイミド基を導入した固体支持体を用い、ポリペプチドにオリゴシステイン配列を導入することにより、ポリペプチドの固定化量及びポリペプチドの結合強度が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。

0012

(1)基板の表面に式I:



[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]
で表される基を有する固体支持体のマレイミド基に、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを結合させることにより、ポリペプチドを固定化する方法。

0013

(2)基板が、さらにカーボン層を有する(1)記載の方法。

0014

(3)基板の表面に式I:



[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]
で表される基を有する固体支持体のマレイミド基に、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドが結合されている、ポリペプチド固定化固体支持体。

0015

(4)基板が、さらにカーボン層を有する(3)記載のポリペプチド固定化固体支持体。
(5)オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドに、さらにオリゴヒスチジン配列が導入されている、(3)又は(4)記載のポリペプチド固定化固体支持体。
(6)(3)〜(5)のいずれかに記載のポリペプチド固定化固体支持体に、試料ポリペプチドを接触させ、固定化されたポリペプチドと試料ポリペプチドの相互作用を検出する方法。
(7)試料ポリペプチドを標識し、固定化されたポリペプチドと相互作用した試料ポリペプチドに由来する標識を検出することにより相互作用を検出する、(6)記載の方法。
(8)化学発光を用いてポリペプチドの相互作用を検出する、(7)記載の方法。

0016

(9)ポリペプチドにオリゴシステイン配列を導入し、オリゴシステイン配列が導入された該ポリペプチドを、基板の表面に式I:



[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]
で表される基を有する固体支持体上のマレイミド基と反応させ、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを固体支持体上に結合させることによって、該ポリペプチドを精製する方法。

0017

(10)基板が、さらにカーボン層を有する(9)記載の方法。

0018

(11)基板の表面に式I:



[式中、Rは鎖員1〜12の2価の炭化水素基である]
で表される基を有する、ポリペプチドを固定化するための固体支持体。

0019

(12)基板が、さらにカーボン層を有する(11)記載の固体支持体。
(13)オリゴシステイン配列及びオリゴヒスチジン配列が導入されたポリペプチドをコードする遺伝子を作製するベクター
(14)オリゴシステイン配列及びオリゴヒスチジン配列が導入されたポリペプチド。

発明の効果

0020

本発明により、固体支持体上にポリペプチドを強固かつ特異的に固定化することができる。従って、本発明の固体支持体を用いることにより、検出限界の高いプロテインチップの製造が可能になる。このようなプロテインチップを用い、固定化されたポリペプチドと相互作用するポリペプチドを感度よく検出することができる。

発明を実施するための最良の形態

0021

固体支持体
本発明において、ポリペプチドを固定化する固体支持体は、基板の表面に化学修飾基が結合した構造を有する。

0022

本発明に用いる基板の材料としては、例えば、シリコンガラス、繊維、木材、紙、セラミックスプラスチック(例えば、ポリエステル樹脂ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene樹脂)、ナイロンアクリル樹脂フッ素樹脂ポリカーボネート樹脂ポリウレタン樹脂メチルペンテン樹脂フェノール樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂塩化ビニル樹脂)が挙げられる。本発明においては、シリコン基板を使用するのが好ましい。

0023

本発明においては、この基板上にカーボン層を形成することが望ましい。本発明において基板上に形成させるカーボン層としては、特に制限されないが、ダイヤモンドダイヤモンドライクカーボン無定形炭素グラファイト炭化ハフニウム炭化ニオブ炭化珪素炭化タンタル炭化トリウム炭化チタン炭化ウラン炭化タングステン炭化ジルコニウム炭化モリブデン炭化クロム又は炭化バナジウム等からなる層を挙げることができ、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層が好ましい。

0024

カーボン層は、化学的定性に優れておりその後の化学修飾分析対象物質との結合における反応に耐えることができる点、分析対象物質と静電結合によって結合するためその結合が柔軟性を持っている点、UV吸収がないため検出系UVに対して透明性である点、及びエレクトロブロッティングの際に通電可能な点において有利である。また、分析対象物質との結合反応において、非特異的吸着が少ない点においても有利である。

0025

本発明においてカーボン層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)スパッタリング法イオン化蒸着法アーク蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法などが挙げられる。

0026

高周波プラズマCVD法では、高周波によって電極間に生じるグロー放電により原料ガスメタン)を分解し、基板上にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)層を合成する。イオン化蒸着法では、タングステンフィラメントで生成される熱電子を利用して、原料ガス(ベンゼン)を分解・イオン化し、バイアス電圧によって基板上にカーボン層を形成する。水素ガス1〜99体積%と残りメタンガス99〜1体積%からなる混合ガス中で、イオン化蒸着法によりDLC層を形成してもよい。

0027

アーク式蒸着法では、固体グラファイト材料陰極蒸発源)と真空容器陽極)の間に直流電圧印加することにより真空中でアーク放電を起こして陰極から炭素原子プラズマを発生させ蒸発源よりもさらに負のバイアス電圧を基板に印加することにより基板に向かってプラズマ中の炭素イオン加速しカーボン層を形成することができる。

0028

レーザ蒸着法では、例えばNd:YAGレーザパルス発振)光をグラファイトのターゲット板照射して溶融させ、ガラス基板上に炭素原子を堆積させることによりカーボン層を形成することができる。

0029

本発明において、カーボン層の厚さは、通常、単分子層〜100μm程度であり、薄すぎると下地固体支持体の表面が局部的に露出する可能性があり、逆に厚くなると生産性が悪くなるので、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。なお、固体支持体のすべてが炭素材料で構成されていてもよい。

0030

本発明において、固体支持体は、前記のように基板上にカーボン層を形成した構造だけでなく、ダイヤモンドライクカーボンと基板材料との積層体複合体(例えば、ダイヤモンドライクカーボンと他の物質との複合体、(例えば2相体))であってもよい。

0031

基板上にダイヤモンドライクカーボン層などのカーボン層を形成することにより、高密度にポリペプチドを固定化でき、高いS/N比が得られるため、感度の高い検出が可能になる。また、繰り返し使用することも可能である。

0032

基板の形状及びサイズは特に限定されないが、形状としては、平板状、糸状、球状、多角形状、粉末状などが挙げられ、サイズは、平板状のものを用いる場合、通常は、幅0.1〜100mm、長さ0.1〜100mm、厚み0.01〜10mm程度である。

0033

基板としてガラスを用いる場合、その表面は、Ra(JIS B 0601)で1nm〜1000nmの範囲で意図的に粗面化されていることも好ましい。このような粗面化表面は基板の表面積が増えて、多量のポリペプチドを高密度で固定化できる点で好都合である。

0034

続いて、上記カーボン層を有する基板に、化学修飾基を導入することにより固体支持体を製造する。化学修飾基の導入は以下のように実施することができる。

0035

まず、上記カーボン層を有する基板にアミノ基を導入する。アミノ基の導入は、基板に塩素ガス中で紫外線を照射することにより表面を塩素化し、次いでアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。あるいはダイヤモンドライクカーボン層を施した基板を、アンモニア雰囲気下プラズマ法に付すことにより実施できる。ここで、プラズマ法とは、真空条件下直流あるいは交流による放電にプラズマを発生させ、原料ガスとして例えばベンゼンやメタンを用い、イオン化したガスバイアスを印加した基板を処理する方法である。

0036

このように形成させたアミノ基と、以下の式II:



で表される化合物又はその塩を反応させることにより、式I:



で表されるような化学修飾基をカーボン層上に形成することができる。

0037

式I又はIIにおいて、Rは、鎖員1〜12の2価の炭化水素基である。鎖員1〜12の2価の炭化水素基としては、鎖員1〜12、好ましくは鎖員4〜6のアルキレン基、例えばテトラメチレン基ペンタメチレン基ヘキサメチレン基、鎖員1〜12の2価の脂環式炭化水素基、例えばシクロヘキシレン基アリーレン基、例えば2,2´−ビフェニレン基、2価の芳香環含有炭化水素基、例えばo−キシリレン基等が挙げられる。これらの2価の炭化水素基は、例えばC1−10−アルキル基アリール基トリメチルシリル基アシル基等で置換されていてもよい。

0038

ここで、C1−10−アルキル基としては、例えばメチル基エチル基プロピル基イソプロピル基ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の芳香族炭化水素基フリル基チエニル基ピロリル基オキサゾリル基イソオキサゾリル基、チアゾリル基イソチアゾリル基、イミダゾリル基ピラゾリル基ピリジル基ピリミジニル基ピリダジニル基ピラジニル基、キノリル基イソキノリル基等の芳香族複素環基が挙げられる。アシル基としては、例えばホルミル基アセチル基プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等のC1−10−脂肪族アシル基が挙げられる。

0039

Rの好ましい具体例としては、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−(CH2)6−、−CH(CH3)−(CH2)3−、−CH2CH(CH3)−(CH2)2−、−CH(CH2CH3)−(CH2)3−、−CH(CH2CH2CH3)−(CH2)3−、−CH(CH3)−(CH2)4−、−CH(CH2CH3)−(CH2)4−、−CH(CH2CH2CH3)−(CH2)4−、−CH2CH(CH2CH2CH3)−(CH2)3−、−CH(CH3)−(CH2)5−、−CH(CH2CH3)−(CH2)5−、−CH(CH2CH2CH3)−(CH2)5−、−C6H4−、−C6H4−CH2−、−C6H4−(CH2)2−、−C6H3(CH3)−等が挙げられる。

0040

式IIで表される化合物の塩としては特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩カリウム塩等を使用できる。ナトリウム塩を使用するのが好ましい。

0041

具体的には、アミノ基が導入された固体支持体を、バッファー中に通常0.1〜100mMの濃度で式IIの化合物を含む溶液に浸漬することにより反応させる。バッファーとしては、PBSリン酸緩衝化生食塩水)、トリエタノールアミンバッファー、ホウ酸ナトリウムバッファー等を使用することができる。PBS(pH6〜9)を使用するのが好ましい。反応温度は、通常10〜80℃、好ましくは25〜30℃、反応時間は、通常1〜300分、好ましくは30〜60分である。

0042

本発明の固体支持体において、上記のマレイミド基を有する化学修飾基は、共有結合によってカーボン層中炭素と強固に結合しているため、洗浄や温度変化によっても剥離することがなく、また固体支持体を長期間保存することも可能である。

0043

ポリペプチドの固定化
本発明において、ポリペプチドには、ペプチド断片オリゴペプチド及びタンパク質が包含される。単純タンパク質複合タンパク質でもよく、天然のものでも合成のものでもよい。本発明の固体支持体に固定化するポリペプチドのアミノ酸数は、特に制限されないが、通常10〜3000、好ましくは50〜2000、より好ましくは100〜1500である。本発明の固体支持体に固定化できるポリペプチドとしては、特に限定されず、例えば、抗体、酵素病原性タンパクペプチド系ホルモンレセプターキナーゼ糖タンパク質金属タンパク質ウイルスタンパク質誘導タンパク質等のタンパク質を好適に固定化することができる。

0044

また、本発明においてポリペプチドにはペプチド誘導体も包含される。ペプチド誘導体には、1又は数個のアミノ酸が化学反応によって誘導化されたペプチドが含まれる。ペプチド誘導体の例としては、反応性アミノ酸側基、例えば遊離のアミノ基、遊離のカルボキシル基又は遊離のヒドロキシル基が誘導化された分子が挙げられる。アミノ基の誘導体の具体的な例は、スルホン酸又はカルボン酸アミドチオウレタン誘導体及びアンモニウム塩、例えば塩酸塩である。カルボキシル基誘導体の例は、塩、エステル及びアミドである。ヒドロキシル基誘導体の例は、O−アシル又はO−アルキル誘導体である。更には、1又は数個のアミノ酸が天然に存在するか又は非天然に存在する20の“標準”アミノ酸のアミノ酸同族体によって置換されたペプチドも含まれる。かかる同族体の例は、4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリシン、3−メチルヒスチジンホモセリンオルニチンβ−アラニン及び4−アミノ酪酸である。

0045

本発明においては、ポリペプチドにオリゴシステイン配列を導入し、本発明の固体支持体の表面に存在するマレイミド基とシステイン残基SH基とを反応させることにより共有結合を形成する。マレイミド基は、SH基に対する選択性が高いことから、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドを固体支持体上に特異的に結合させることができる。

0046

本発明においてオリゴシステイン配列は、通常少なくとも3個、好ましくは3〜10個、より好ましくは4〜6個のシステイン残基が連続した配列を意味する。本明細書においては、オリゴシステイン配列をシステインタグと称する場合もある。

0047

本発明においては、標的ポリペプチドに、固定化のためのオリゴシステイン配列に加えて、さらに精製のための標識を導入するのが好ましい。このような標識としては、亜鉛ニッケル又はコバルトイオンのような金属イオンと特異的に相互作用するオリゴヒスチジン配列(ヒスチジンタグと称され、例えばヘキサヒスチジン配列が挙げられる)、又は、それぞれ、亜鉛若しくは銅と特異的に相互作用する、少なくとも約4個のリシンを含むポリリシン配列若しくは少なくとも4個のアルギニン残基を含むポリアルギニン配列などが挙げられる。このような標識を導入することにより、標識と特異的に相互作用する試薬カラムを用いて目的のポリペプチドを翻訳反応物から容易に単離することができる。例えば、オリゴヒスチジン配列に対してはニッケルカラムを用いることができる。

0048

ポリペプチドへのオリゴシステイン配列及びオリゴヒスチジン配列の導入は、当技術分野において通常用いられるPCR大腸菌を用いた遺伝子クローニングを組み合わせた方法により実施することができる。例えば、あらかじめオリゴシステイン配列とオリゴヒスチジン配列をコードする領域をもつプラスミドベクター構築し、後で制限酵素部位等を利用して標的ポリペプチドを導入して、得られた組み換えベクター宿主細胞形質転換し、当該形質転換体において融合ポリペプチドを発現させることにより、オリゴシステイン及びオリゴヒスチジン配列を連結したポリペプチドを製造することができる。

0049

または、標的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列PCR法などにより増幅する際に、オリゴシステイン配列とオリゴヒスチジン配列をコードするヌクレオチド配列を各々のDNAプライマーに含有させておき、これを用いて標的ポリペプチドのヌクレオチド配列を増幅した後このDNA断片をベクターに導入し、発現させて両配列と連結された融合ポリペプチドを製造することもできる。

0050

オリゴシステイン配列は、標的ポリペプチドのN末端又はC末端に導入するのが一般的であるが、固定化の障害とならない限り、導入部位末端に限定されるものではない。SH基は、マレイミド基と反応して共有結合を形成するため、標的ポリペプチドは本発明の化学修飾基に強固に結合する。

0051

オリゴヒスチジン配列は、標的ポリペプチドのオリゴシステイン配列を有しない側のN末端又はC末端、またはオリゴシステイン配列に連結した形で導入するのが一般的であるが、固定化の障害とならない限り、導入部位は末端に限定されるものではない。

0052

オリゴヒスチジンおよびオリゴシステイン配列を有する標的ポリペプチドは、宿主細胞内で発現、抽出後、まずオリゴヒスチジン配列を利用して、ニッケルカラムを用いるなどの通常の方法で精製を行う。

0053

オリゴシステイン配列を導入したポリペプチドをスポティグ用バッファーに溶解し、本発明の固体支持体上にスポッティングすることにより、ポリペプチドを固定化することができる。

0054

オリゴシステイン配列を導入したポリペプチドを、濃度が通常0.01〜100μM、好ましくは5〜50μMとなるようにスポッティング用バッファーに溶解し、スポッティング用溶液を調製する。スポッティング用バッファーとしては、1〜100%、好ましくは20〜50%のPEG(ポリエチレングリコール)溶液、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、50%DMSO(ジメチルスルホキシド)、3×SSC(saline sodium citrate)、純水等を使用することができる。本発明においては、50%PEG溶液を使用するのが好ましい。マレイミド基は加水分解されやすく、pH7付近反応効率が最も良い。

0055

調製したスポッティング用溶液を、96穴もしくは384穴プラスチックプレート分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって固体支持体上にスポッティングすることができる。このとき、多種類のポリペプチドを互いに独立したスポットとしてアレイ状に配列することにより、この複数種のポリペプチドの相互作用を検出することができる。

0056

スポッティング後、ポリペプチドが固体支持体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。ポリペプチドの固定化は化学反応による共有結合の生成であるため、反応を確実に進めるべく、スポッティング後速やかにインキュベーションを行うのが好ましい。

0057

インキュベーションは、通常4〜30℃、好ましくは25〜30℃の温度で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、固体支持体に結合していないポリペプチドを除去するため、洗浄液(例えば、50mM TBS/0.05% Tween20)を用いて洗浄を行うことが好ましい。

0058

ペプチド相互作用の検出
本発明はまた、上記のように固体支持体に固定化されたポリペプチドに、これと相互作用する試料ポリペプチドを反応させて、ポリペプチド間の相互作用を検出する方法に関する。ポリペプチド間の相互作用としては、例えば、抗原抗体反応酵素反応、レセプターとリガンドの反応、ビオチンストレプトアビジン相互作用等が挙げられる。

0059

試料ポリペプチドを標識して、固体支持体上に固定化されたポリペプチドと接触させ、これと相互作用した試料ポリペプチドに由来する標識を読みとることにより、相互作用の有無を検出することができる。試料ポリペプチドの標識は、当技術分野において通常用いられる方法により実施できる。

0060

標識としては、ポリペプチドに取り込むことが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、蛍光標識(Cy3及びCy5などのCyDye、FITCRITC、ローダミンテキサスレッド、TET、TAMRA、FAM、HEX、ROX、GFPなど)、放射能標識(α−32P、γ−32P、35Sなど)、酵素標識(HRP(Horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼなど)が挙げられる。蛍光標識ポリペプチドを用いた場合は、相互作用させた後の固体支持体を蛍光撮影することにより、画像として検出することができる。酵素標識を用いた場合は、相互作用させた後の固体支持体に化学発光試薬ルミノールルシフェリンウンベリフェロンセレンテラジンジオキシセタン化合物、D−ルシフェリンカリウムシュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル))を作用させることにより検出することができる。

0061

この試料ポリペプチドのサンプルは、濃度が通常0.01〜100μM、好ましくは1〜10μMとなるようにバッファーに溶解することによって調製する。得られた試料溶液を、上記で調製したポリペプチドが固定化された固体支持体上に滴下し、インキュベーションを行うことにより相互作用させる。

0062

インキュベーションは、通常4〜30℃、好ましくは25〜30℃で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜4時間行う。相互作用させる工程においても、高湿度雰囲気下でインキュベーションを行うのが好ましい。最後に、固体支持体を洗浄し、乾燥後、標識を読みとることにより検出を行う。

0063

あるいは、相互作用によって形成した複合体の質量分析を行うことにより、固体支持体上のポリペプチドに特異的に相互作用したポリペプチドのアミノ酸配列を解析することができる。また、固体支持体上に固定化されたポリペプチドに相互作用したポリペプチドのみをイオン化して質量分析を行うこともできる。

0064

固体支持体上に固定化された物質は、レーザ脱離/イオン化−飛行時間型質量分析等の手段によりそのまま質量分析を実施することができる。質量分析する際に使用できるイオン化法の様式としては、マトリックス補助レーザ脱着(MALDI)法、電子衝撃によるイオン化(EI)法、光イオン化法、放射性同位体から放射されるLETの大きなα又はβ線を使用するイオン化法、2次イオン化法、高速原子衝突イオン化法、電界電離イオン化法、表面電離イオン化法、化学イオン化CI)法、フィールドイオン化(FI)法、火花放電によるイオン化法等が挙げられ、マトリックス補助レーザ脱着(MALDI)法、電子衝撃によるイオン化(EI)法が好ましい。

0065

本発明はまた、目的とするポリペプチドにオリゴシステイン配列を導入し、これを本発明の固体支持体と接触させ、マレイミド基との共有結合により固体支持体上に結合させることによって、該ポリペプチドを精製する方法に関する。本発明のマレイミド基を有する固体支持体は、SH基と特異的に結合するため、オリゴシステイン配列を導入したポリペプチドのみを結合して、分離精製することができる。

0066

本発明においては、タンパク質にオリゴシステイン配列を融合した形で発現させるタンパク発現ベクターを構築し、システインが持つSH基に、温和な条件下で特異的に共有結合するマレイミド基を導入した固体支持体を用いてタンパク質を回収することができる。オリゴシステイン配列からなるタンパク質タグを用い、回収システムとして共有結合を利用することは、従来の金属キレートを利用するヒスチジンタグ、酵素と基質間のアフィニティを利用するGSTタグ、特異的抗体を利用するFLAGタグなどのエピトープタグなどとは全く異なる新しい発想に基づいている。従来のタンパク質タグはタグ付きタンパク質それ自身を精製することに主眼が置かれていたのに対し、本発明におけるシステインタグ(オリゴシステイン配列)は、強固な共有結合で回収することにより、システインタグが導入されたタンパク質とともに分離されてくる結合タンパクの分離回収条件の設定幅を広げることができる。従ってこれまでは回収できなかった結合タンパク質群が釣り上げられて、タンパク質相互作用解析が飛躍的に進歩することが期待できる。加えて共有結合による回収は、システインタグ融合タンパクそれ自身の洗浄精製を容易にし、固体支持体上でプロテアーゼ切断後直接質量分析に供することで、タンパク質の翻訳後修飾を解析する上でも優れたシステムを提供できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0067

実施例1.マレイミド基を導入した固体支持体の作成
イオン化蒸着法によって、3mm角に切断したシリコン基板上に、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を100nmの厚みに形成した。その後、アンモニアガス雰囲気でプラズマ法により10分間アミノ化を実施した。

0068

以下の組成反応液を調製し、これにアミノ化した固体支持体を浸漬させ、30分間浸透した。その後、純水で3回洗浄し、100℃にて30分間真空乾燥した。ここでスルホEMCS(株式会社同仁化学研究所)は、上記の式IIの化合物において、Rが−(CH2)5−であるナトリウム塩である。

0069

スルホ−EMCS 12.3mg[1mM]
10×PBS(pH7.4) 3ml
超純水27ml
合計 30ml

0070

micro−ESCA(Electron spectroscopy for chemical analysis:Perkin−Elmer社製)を用いて反応前後の固体支持体表面を解析した。結果を図1に示す。

0071

反応前後の固体支持体表面のESCA解析から、反応後にOとNのピーク強度が増加していることがわかった(図1a)。また反応後のnarrowスキャンから約289eV付近に新たなピークが現れていることがわかる(図1b)。O、Nのピークについてはマレイミド基のO、Nに由来するものであると考えられる。また、289eV付近に新たに出現したピークについてはマレイミドイミド部分に由来するものであると考えられる。以上から、固体支持体表面には、マレイミド基が導入されていることがわかる。

0072

実施例2.オリゴシステイン配列を導入したEGFP(Enhanced Green Fluorescence protein)の発現及び精製
<発現させたタンパク質>
試料1: 6×His(GFP遺伝子なしコントロール
試料2: 6×His−EGFP(N末端に6個のヒスチジンを導入したEGFP)
試料3: 5×Cys−EGFP(N末端に5個のシステインを導入したEGFP)
試料4: 5×Cys−EGFP−6×His(N末端に5個のシステイン、C末端に6個のヒスチジンを導入したEGFP)
試料5: 6×His−EGFP−5×Cys(N末端に6個のヒスチジン、C末端に5個のシステインを導入したEGFP)
試料1〜5に表されるタンパク質の構造を図2に示す。

0073

<発現ベクターの構築>
発現ベクターの構築について、概要図3に示す。まず、Hisタグ付タンパク質(N末端に6個のヒスチジンを導入したタンパク質)の発現プラスミドベクターであるpET14b(Novagen社製)をベースとして、PCR法と大腸菌内遺伝子クローニング法により、Hisタグ下流に新たなクローニングサイトNdeI、BglII、XhoI、BamHI、KpnIを導入した(図3、Step1)。同様の方法にて、6個のヒスチジンを5個のシステインに置換した5×Cysタンパク質発現ベクターを構築した(図3、Step2)。Clonetech社製pEGFP−C1のGFP遺伝子をPCRにより制限酵素サイトNdeIとXhoIを付けた形でクローニングし、6×Hisおよび5×Cysの下流に読み枠をあわせて挿入し、6×His−GFP及び5×Cys−GFP(図3、Step3)タンパク質発現ベクターを構築した。

0074

さらに、2種類の5×Cys−および6×His−ダブルタグ付きGFP(Cys−GFP−HisおよびHis−GFP−Cys)発現ベクターを構築した。6×His−GFPの下流に5×Cysを、5×Cys−GFPの下流に6×Hisを導入して作製した(図3、Step4)。各々のタグ部分遺伝子配列はDNAシークエンスにより確認した。各々のベクターを用いてタンパク質発現大腸菌BL21株に形質転換し、GFP発現のよい株を選択した。5×Cysをコードする塩基配列として、はTGTTGTTGTTGTTGT(配列番号1)およびTGTTGCTGTTGCTTGT(配列番号2)を用いて比較したが、どちらも同様によく発現したので、前者の塩基配列をもつプラスミドのみを固定化試験に供した。

0075

<培養>
各タンパク質をコードするDNAを導入した発現ベクターで形質転換したBL21株(Novagen社製)を培養した寒天培地(LB,Ampicillin50μg/ml,Chloramphenicol 50μg/ml)よりシングルコロニー爪楊枝にてピックアップし、30mlのLB培地(Ampicillin 50μg/ml)に懸濁した。IPTGを最終濃度0.4mMになるよう添加して23℃、160rpmにて24時間培養した。

0076

<抽出>
培養液遠心して集菌した(1000g,10min,4℃)。LB培地を捨て、PBS(pH7.4)に再懸濁し、Vortexをかけて大腸菌を洗浄し再び集菌した。その後大腸菌の乾燥重量を測定した。タンパク質抽出試薬Bugbuster(Novagen社製)を5ml/g、Benzonase(Novagen社製)を25U/ml、Lysozyme(Novagen社製)を5KU/mlになるよう添加して室温で20分間振とうした。遠心(1000g,10min,4℃)後、上清を回収し0.2μmフィルターでろ過した。

0077

<精製>
試料1、2、4、5に関してはHisタグが付いているためHis−Trapカラム(アマシャム製)にて精製した。その後マイクロコンYM−10(ミリポア社製)にて脱塩し、濃縮した。試料3に関してはカラム精製ができないため、脱塩、濃縮のみ行った。

0078

<確認>
EGFP発現の確認はSDS−PAGE(ゲル濃度12.5%)で行った(図4)。また、蛍光の確認はUV照射装置により行った(図5)。

0079

実施例3.マレイミド基を有する固体支持体へのポリペプチドのスポッティング
実施例2で回収した各種タグ付きEGFPと100%PEGを1:1で混合し、スポッティング溶液を10μl調製した。実施例1で製造した固体支持体上にマイクロピペッターを用いて各スポッティング溶液を図6に示す配置で0.5μlづつスポットを行った。湿箱に入れて室温で1時間インキュベートした。50mM TBS/0.05%Tween20で洗浄後(25℃,5min)、PBS(pH7.4)で洗浄した(25℃,5min)。純水洗浄し、乾燥しないように注意してカバーガラスをかけ、LAS−1000(富士写真フイルム社製)にて測定した(露光30秒)。結果を図7に示す。

0080

実施例4.マレイミド基を有する固体支持体への各種タグ付きEGFPの浸漬による固定化
PCRチューブに実施例2で回収した各種タグ付きEGFPと2×PBSを1:1で混合し、浸漬用溶液50μlを調製した。チューブ中に実施例1で製造した固体支持体を浸漬し、室温で18時間インキュベートした。PBSで30分洗浄後、純水洗浄し乾燥しないように注意してカバーガラスをかけ、LAS−1000(富士写真フイルム社製)にて測定した(露光30秒)。結果を図8に示す。

0081

実施例3及び4の結果より本発明の固体支持体がヒスチジンタグよりもシステインタグと選択的に結合することが示された。

0082

実施例5.化学発光を用いたポリペプチド相互作用の検出
5−1パターン付き固体支持体の作成
浸漬によるEGFP(Enhanced Green Fluorescence protein)の固定化及び化学発光が確認しやすいように、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層およびアミノ基およびマレイミド基をパターン状に形成させものを作成した(図9)。

0083

シリコン基板上にスピンコーターレジストを塗布した。次に、図9に示すようなパターンを有するマスクを被せて露光し、現像した。そして、実施例1と同様の方法で、DLC層の形成およびアミノ基の導入を実施した。得られた基板を1×PBS(pH7.4)中の1mMスルホ−EMCS試薬に、室温にて1時間浸漬し、PBS(10分)および超純水(10分×2)で洗浄後、乾燥させた。

0084

続いて、エタノールを用いてレジストを剥離し、エタノールを洗浄した。エアブロー後、100℃にて1時間真空乾燥させた。

0085

5−2 EGFPの固定化および化学発光による相互作用の検出
実施例2と同様の方法で作成した6×His−EGFP−5×Cys(N末端に6個のヒスチジン、C末端に5個のシステインを導入したEGFP)または6×His−EGFP(N末端に6個のヒスチジンを導入したEGFP)をバッファー(20mMリン酸ナトリウム(pH7.4)/0.5M NaCl/0.5Mイミダゾール)に溶解し、それぞれにつき、100ng/μl、10ng/μl、1ng/μl、0.1ng/μl、0.01ng/μlのタンパク質溶液を作成した。これらの溶液に、5−1で作成した固体支持体を浸漬し、遮光して室温で1時間放置した。その後、50mM TBS/0.05%Tween20で5分×3回洗浄した。さらに超純水で5分洗浄し、LAS−1000(富士写真フィルム社製)にて蛍光を測定した(図10)。Blocking Reagent(Roche社製)を用いて室温で1時間ブロッキングした。得られた固体支持体を1/10000に希釈した一次抗体(monoclonal anti−green fluorescent protein (SIGMA))と反応させた(室温、1時間)。PBSで10分、続いて20分洗浄した。そして1/10000に希釈したHRP標識二次抗体(HRP標識抗マウスIgG抗体(SIGMA))と反応させた(室温、1時間)。PBSで10分→20分→10分洗浄した。化学発光試薬としてSuper SignalELISAFemto Maximum Sensitivity Substrate(ピアス社)を用いて化学発光させ、LAS−1000(富士写真フィルム社製)にて化学発光を測定した(図11)。

0086

以上の結果より、オリゴシステイン配列の存在によりポリペプチドを選択的に固体支持体に結合できることが明らかとなった。また、化学修飾基を導入したパターン形成部分のみにGFPが結合していることから、本発明により非特異的吸着を効果的に防止できることが明らかとなった。

0087

さらに、3.7fmol/μlという低濃度ポリペプチド溶液に固体支持体を浸漬することにより、ポリペプチドを固体支持体上に固定化できること、また化学発光によりポリペプチドの相互作用を高感度で検出できることが明らかとなった。

図面の簡単な説明

0088

実施例1で作成した本発明の固体支持体の表面をESCA解析した結果を表す。
実施例2で発現させた5種類のタンパク質の構造を示す。
実施例2における発現ベクター構築の概要を示す。
EGFPの発現をSDS−PAGEで確認した結果を示す。
蛍光の確認をUV照射装置により行った結果を示す。
実施例3における各種ポリペプチドのスポッティング位置を示す。
実施例3において、マレイミド基を有する固体支持体に、各種ポリペプチドをスポッティングによって固定化した結果を示す。
実施例4において、各種ポリペプチドを含む溶液にマレイミド基を有する固体支持体を浸漬して固定化した結果を示す。
実施例5において、シリコン基板上に、DLC層の形成、アミノ基およびマレイミド基の導入を行った部分のパターンを表す図である。
実施例5において、固体支持体を各濃度のEGFP溶液に浸漬してEGFPを固定化し、蛍光を測定した結果を表す図である。
実施例5において、GFP固定化後、一次抗体および二次抗体を反応させ、化学発光で検出した結果を表す図である。

0089

配列番号1〜2 合成DNA
配列番号3〜13 合成ペプチド

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ