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技術 チタニア薄膜被覆繊維状物質およびそのチタニア薄膜被覆方法

出願人 種村榮田中里香
発明者 種村榮
出願日 2004年4月26日 (16年2ヶ月経過) 出願番号 2004-129701
公開日 2005年11月4日 (14年8ヶ月経過) 公開番号 2005-307410
状態 特許登録済
技術分野 重金属無機化合物(I) 繊維製品の化学的、物理的処理
主要キーワード 点分解能 X線回折法 塊状物質 アルミ元素 デジタル映像システム 凝縮反応 形態構造 チタニア被膜
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年11月4日)のものです。
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課題

アルミナ繊維などの繊維状物質へのチタニア被覆およびその方法によって得られるアルミナ繊維などの繊維状物質を提供すること。

解決手段

この発明の方法は、例えば、チタン化合物を含むゾル液中に、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質を浸漬して、チタニア薄膜を該繊維状物質の実質的全表面、例えば、約90%以上の該表面に形成することができる。

概要

背景

半導体のアナタ−ゼ型チタニアは、3.2eV(380nm)のバンド幅を有し、廃液排ガス中に存在する難分解性有機あるいは無機物質をその光触媒的作用で容易に分解することから、近年注目されている。

チタニア薄膜は、通常、チタン化合物(例えば、硫酸チタンチタンアルコキシド)の加水分解によるゾルゲル浸漬法や、気相反応によるCVD法スパッター法レーザーアブレーション法などによって作製されている(特許文献1)。
チタニア薄膜は、防汚ならびに防臭効果抗菌効果大気ならびに水質浄化機能超親水性機能および導電性機能を有していて、光学特性光触媒性に優れている。

チタニアの有する光触媒反応は、その器質となる物質表面積およびその厚みに依存することから、このような光触媒物質は、難分解ガスあるいは液状物質分解システムとして実際に利用するためには、チタニア自体を繊維化して、その表面積を増大させることが望ましい。しかしながら、チタニアそれ自体を繊維化することは困難であるという難点もある(特許文献2)。

そこで、チタニアの表面積を増大させるために、繊維状物質にチタニア薄膜を被覆または担持させたりなどすることによりフィルターなどとした材料を開発することが考えられる。

このような目的に使用する繊維状物質としては、特にアルミナ繊維が、比較的高い強度を有し、耐熱性耐食性に優れ、また加工性も高いなど工業材料として優れた性能を有していることから、永年に亘って工業材料として幅広い分野で利用されている。また、これまで、アルミナ繊維などの繊維状物質は、無機材料として、それ自体の性質や機能が様々に改良されたり、新しい性質や機能などが付加されて、社会からの幅広い要望応えることができるようになっている。このような性質や機能などを持つ繊維状物質に対して、チタニアの好ましい性質と機能を付加できれば、無機材料の利用価値や範囲などを更に広げることができるものと期待される。

しかしながら、アルミナ繊維は、一般には、その表面が親水性を高いことから、平滑なアルミナ繊維表面にチタニアをほぼ均一に被覆することは難しいものと考えられていて、アルミナ繊維に対するチタニア被膜に関する報告は皆無に近い。報告としては、Tiを単結晶のアルミナ繊維上にスパッター法または電子ビーム蒸着法などの物理的な方法で3ミクロン膜厚で被覆した後、空気中で加熱処理することにより、耐熱機器に利用するアルミナファイバー強化チタニアを作成したとの報告がある(非特許文献1)。しかしながら、この方法は、高い技術と高価な機材を必要とするため、繊維状物質に密着性の高い薄膜を被覆するには最適とは言いがたい。

ところで、アルミナは、その結晶相として、α、β、γ、δ、η、θ、κおよびχの諸相が知られている。そのうち、χ−アルミナは、ギブサイトを250℃の空気中で加熱し脱水して得られる単結晶産物である(非特許文献1)。χ−アルミナの繊維状物質は、熱処理過程においても大変安定していて変化することがなく、また親水性も比較的低い物質であるため、チタニア被覆が可能な材質となり得るものと考えられる。更に、χ−アルミナは、繊維状物質への噴射加工の際に、その表面に魚鱗様の構造が形成され、このような魚鱗様構造は、アルミナ本来の高親水性を減ずる効果があると予測されることから、チタニア被覆の材質として有力であると考えられる。その上、χ−アルミナ繊維は、κ−アルミナへの転移温度が900℃であるので、その温度まで加熱しても安定な構造を有している。このような性質からして、χ−アルミナ繊維は、チタニア被覆の基材として有力であると考えられる。

したがって、チタニアの光触媒反応は、物質の形態構造のみならず、その反応過程も重要であるところから、チタニアを光触媒として利用するためには、χ−アルミナ繊維の周囲にサブミクロン程度の厚みを有する密着性の高いチタニア薄膜を被覆できるより単純で安価な方法が要望されている。

そこで、操作が簡単で、酸化物被膜を形成することができる方法として、例えば、ゾル液中に基材をデイップコーテイングした後、乾燥させて形成されたアモルファス被膜ゲル化し、さらに加熱プロセスによって強度を有する結晶化被膜を形成するゾルゲル浸漬法(非特許文献3)や、化学蒸着法PVD)などが知られている。しかしながら、これらの方法が果たしてアルミナ繊維に対するチタニア被覆形成に有効に適用できるかどうかは知られていなかった。
このような様々な方法のうちでも、ゾルゲル浸漬法は、アルミナファイバーなどの繊維状物質の周囲に密着性の高いチタニア薄膜を作製することに適った有望な方法と考えられている(非特許文献3)。
特開2002−265223号公報
特開2002−45627号公報
Lev, L. C., et al., J. M. Science and Engg. A, 195(1995) 251-261
Brindley, G. W., et al., J. Miner. Soc. 46(1961) 771-785
Brinker, J. C., et al., Sol-gel Science, Academic Press, San Diego (1990) 837-841

概要

アルミナ繊維などの繊維状物質へのチタニア被覆およびその方法によって得られるアルミナ繊維などの繊維状物質を提供すること。 この発明の方法は、例えば、チタン化合物を含むゾル液中に、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質を浸漬して、チタニア薄膜を該繊維状物質の実質的全表面、例えば、約90%以上の該表面に形成することができる。なし

目的

したがって、この発明は、チタニア薄膜を被覆したアルミナ繊維などのチタニア薄膜被覆繊維状物質を提供することを目的としている。また、この発明は、繊維状物質、特に魚鱗状表面を有するχ−アルミナ繊維に対して、チタニア薄膜を被覆することができるチタニア薄膜被覆方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

チタニア薄膜繊維状物質の実質的全表面が被覆されていることを特徴とするチタニア薄膜被覆繊維状物質

請求項2

請求項1に記載のチタニア薄膜被覆繊維状物質において、前記チタニア薄膜被覆繊維状物質がアルミナ繊維であることを特徴とするチタニア薄膜被覆繊維状物質。

請求項3

請求項1または2に記載のチタニア薄膜被覆繊維状物質において、前記チタニア薄膜が、チタンアルコキシド類、ハロゲン化チタンまたはチタン酸塩由来であることを特徴とするチタニア薄膜被覆繊維状物質。

請求項4

請求項3に記載のチタニア薄膜被覆繊維状物質において、前記チタンアルコキシド類がチタンテトラエトキシドまたはチタンテトライソプロポキシドであること、前記ハロゲン化チタンが4塩化チタンであること、また、前記チタン酸塩が三チタン酸塩、四チタン酸塩または五チタン酸塩であることを特徴とするチタニア薄膜被覆繊維状物質。

請求項5

請求項1ないし4のいずれか1項に記載のチタニア薄膜被覆繊維状物質において、前記繊維状物質の実質的全表面が該表面の90%以上であることを特徴とするチタニア薄膜被覆繊維状物質。

請求項6

請求項1ないし5のいずれか1項に記載のチタニア薄膜被覆繊維状物質において、前記繊維状物質の実質的全表面が該表面の95%以上であることを特徴とするチタニア薄膜被覆繊維状物質。

請求項7

チタン化合物を含むゾル液中に繊維状物質を浸漬することによって、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のチタニア薄膜被覆繊維状物質を得ることを特徴とするチタニア薄膜被覆方法

請求項8

請求項7に記載の被覆方法において、前記チタン化合物が、チタンアルコキシド類、ハロゲン化チタンまたはチタン酸塩であることを特徴とするチタニア薄膜被覆方法。

請求項9

請求項8に記載の被覆方法において、前記チタンアルコキシド類がチタンテトラエトキシドまたはチタンテトライソプロポキシドであること、前記ハロゲン化チタンが4塩化チタンであること、また、前記チタン酸塩が三チタン酸塩、四チタン酸塩または五チタン酸塩であることを特徴とするチタニア薄膜被覆方法。

請求項10

請求項7ないし9のいずれか1項に記載の被覆方法において、前記繊維状物質を前記ゾル液中に浸漬、乾燥および熱処理することによって前記チタニア薄膜を形成することを特徴とするチタニア薄膜被覆方法。

請求項11

請求項10に記載の被覆方法において、前記浸漬、乾燥および熱処理を行うことによって所定の膜厚を持つ前記チタニア薄膜を形成することを特徴とするチタニア薄膜被覆方法。

請求項12

請求項7ないし11のいずれか1項に記載の被覆方法において、前記繊維状物質がアルミナ繊維であることを特徴とするチタニア薄膜被覆方法。

技術分野

0001

この発明は、チタニア薄膜被覆した、アルミナ繊維などの繊維状物質およびそのチタニア薄膜被覆方法に関するものである。

背景技術

0002

半導体のアナタ−ゼ型チタニアは、3.2eV(380nm)のバンド幅を有し、廃液排ガス中に存在する難分解性有機あるいは無機物質をその光触媒的作用で容易に分解することから、近年注目されている。

0003

チタニア薄膜は、通常、チタン化合物(例えば、硫酸チタンチタンアルコキシド)の加水分解によるゾルゲル浸漬法や、気相反応によるCVD法スパッター法レーザーアブレーション法などによって作製されている(特許文献1)。
チタニア薄膜は、防汚ならびに防臭効果抗菌効果大気ならびに水質浄化機能超親水性機能および導電性機能を有していて、光学特性光触媒性に優れている。

0004

チタニアの有する光触媒反応は、その器質となる物質表面積およびその厚みに依存することから、このような光触媒物質は、難分解ガスあるいは液状物質分解システムとして実際に利用するためには、チタニア自体を繊維化して、その表面積を増大させることが望ましい。しかしながら、チタニアそれ自体を繊維化することは困難であるという難点もある(特許文献2)。

0005

そこで、チタニアの表面積を増大させるために、繊維状物質にチタニア薄膜を被覆または担持させたりなどすることによりフィルターなどとした材料を開発することが考えられる。

0006

このような目的に使用する繊維状物質としては、特にアルミナ繊維が、比較的高い強度を有し、耐熱性耐食性に優れ、また加工性も高いなど工業材料として優れた性能を有していることから、永年に亘って工業材料として幅広い分野で利用されている。また、これまで、アルミナ繊維などの繊維状物質は、無機材料として、それ自体の性質や機能が様々に改良されたり、新しい性質や機能などが付加されて、社会からの幅広い要望応えることができるようになっている。このような性質や機能などを持つ繊維状物質に対して、チタニアの好ましい性質と機能を付加できれば、無機材料の利用価値や範囲などを更に広げることができるものと期待される。

0007

しかしながら、アルミナ繊維は、一般には、その表面が親水性を高いことから、平滑なアルミナ繊維表面にチタニアをほぼ均一に被覆することは難しいものと考えられていて、アルミナ繊維に対するチタニア被膜に関する報告は皆無に近い。報告としては、Tiを単結晶のアルミナ繊維上にスパッター法または電子ビーム蒸着法などの物理的な方法で3ミクロン膜厚で被覆した後、空気中で加熱処理することにより、耐熱機器に利用するアルミナファイバー強化チタニアを作成したとの報告がある(非特許文献1)。しかしながら、この方法は、高い技術と高価な機材を必要とするため、繊維状物質に密着性の高い薄膜を被覆するには最適とは言いがたい。

0008

ところで、アルミナは、その結晶相として、α、β、γ、δ、η、θ、κおよびχの諸相が知られている。そのうち、χ−アルミナは、ギブサイトを250℃の空気中で加熱し脱水して得られる単結晶産物である(非特許文献1)。χ−アルミナの繊維状物質は、熱処理過程においても大変安定していて変化することがなく、また親水性も比較的低い物質であるため、チタニア被覆が可能な材質となり得るものと考えられる。更に、χ−アルミナは、繊維状物質への噴射加工の際に、その表面に魚鱗様の構造が形成され、このような魚鱗様構造は、アルミナ本来の高親水性を減ずる効果があると予測されることから、チタニア被覆の材質として有力であると考えられる。その上、χ−アルミナ繊維は、κ−アルミナへの転移温度が900℃であるので、その温度まで加熱しても安定な構造を有している。このような性質からして、χ−アルミナ繊維は、チタニア被覆の基材として有力であると考えられる。

0009

したがって、チタニアの光触媒反応は、物質の形態構造のみならず、その反応過程も重要であるところから、チタニアを光触媒として利用するためには、χ−アルミナ繊維の周囲にサブミクロン程度の厚みを有する密着性の高いチタニア薄膜を被覆できるより単純で安価な方法が要望されている。

0010

そこで、操作が簡単で、酸化物被膜を形成することができる方法として、例えば、ゾル液中に基材をデイップコーテイングした後、乾燥させて形成されたアモルファス被膜ゲル化し、さらに加熱プロセスによって強度を有する結晶化被膜を形成するゾルゲル浸漬法(非特許文献3)や、化学蒸着法PVD)などが知られている。しかしながら、これらの方法が果たしてアルミナ繊維に対するチタニア被覆形成に有効に適用できるかどうかは知られていなかった。
このような様々な方法のうちでも、ゾルゲル浸漬法は、アルミナファイバーなどの繊維状物質の周囲に密着性の高いチタニア薄膜を作製することに適った有望な方法と考えられている(非特許文献3)。
特開2002−265223号公報
特開2002−45627号公報
Lev, L. C., et al., J. M. Science and Engg. A, 195(1995) 251-261
Brindley, G. W., et al., J. Miner. Soc. 46(1961) 771-785
Brinker, J. C., et al., Sol-gel Science, Academic Press, San Diego (1990) 837-841

発明が解決しようとする課題

0011

そこで、本発明者らは、上記要望に応えるべく、ゾルゲル浸漬法に着目して鋭意検討した結果、ゾルゲル浸漬法によって繊維状物質、特に魚鱗状表面を有するχ−アルミナ繊維に、密着性の高い、膜厚がサブミクロン程度の均一のチタニア薄膜を形成することができることを見出して、この発明を完成した。

0012

したがって、この発明は、チタニア薄膜を被覆したアルミナ繊維などのチタニア薄膜被覆繊維状物質を提供することを目的としている。また、この発明は、繊維状物質、特に魚鱗状表面を有するχ−アルミナ繊維に対して、チタニア薄膜を被覆することができるチタニア薄膜被覆方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するために、この発明は、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質の実質的全表面上に、チタン化合物由来のチタニア薄膜を被覆してなるチタニア薄膜被覆繊維状物質を提供する。
また、この発明は、その別の態様として、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質をチタン化合物含有ゾル液中に浸漬することによって、その繊維状物質上に実質的に全表面に亘って密着性が高くかつ均一なチタニア薄膜を形成することができるチタニア被覆方法を提供する。

発明の効果

0014

この発明に係るチタニア薄膜被覆繊維状物質は、特に魚鱗状の表面を持つアルミナ繊維などの表面の実質的全面、つまりほぼ90%以上に亘って、ほぼ均一でかつ密着性が高いチタニア薄膜を形成しているという効果を有している。
この発明に係る方法は、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質上に、その実質的全表面に亘って密着性の高いチタニア薄膜を有するチタニア被覆繊維状物質、例えば、チタニア被覆アルミナ繊維などを形成することができるという効果を有している。

発明を実施するための最良の形態

0015

この発明に係るチタニア薄膜被覆繊維状物質は、アルミナ繊維などの繊維状物質の実質的に全表面に亘って密着性の高いかつ均一なチタニア薄膜が形成されていて、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質をチタン化合物含有ゾル液中に浸漬することによって製造することができる。
ここで、この発明において、繊維状物質の実質的に全表面とは、その表面の全面が完全に被覆されていることを意味しているのではなく、その表面の約90%以上、好ましくは約95%以上が被覆されていることを意味しているものと解釈することができる。

0016

この発明において使用される繊維状物質としては、特に限定されるものではなく、繊維状物質上にチタニア被覆を形成することができるものであればいずれも使用することができるが、特にアルミナ繊維が好ましい。また、この発明において使用されるアルミナ質繊維としては、Al2 O3含有量が、通常70重量%以上、好ましくは90重量%以上のものが挙げられる。しかしながら、アルミナ質繊維は、特にこれらに限定されるものではないが、Al2 O3 含有量が上記範囲内にあると、アルカリ金属等に対する耐食性が高くなるため好ましい。

0017

アルミナ質繊維中のAl2 O3 以外の成分としては特に限定されるものではないが、例えばシリカ(SiO2 )などが含まれていてもよい。シリカがある程度含まれていると、アルミナ質繊維の柔軟性が向上するため、フィルターとして使用する場合にはスポーリング性や柔軟性が向上することになる。

0018

アルミナ繊維としては、例えば、繊維径が、一般的には、約0.5〜10μm、好ましくは約1〜5μmの範囲にあり、繊維長が、一般的には約50μm〜30mmの範囲にあるものがよいが、アルミナ繊維の繊維径や繊維長などの性状は、上記範囲に特に限定されるものではなく、その使用目的により適宜選択して決めることができる。

0019

この発明に係るチタニア薄膜被覆方法は、例えば、アルミナ繊維などの繊維状物質を、チタニアを含むゾル中に浸漬または塗布することにより、かかる繊維状物質上に実質的に全表面に亘って密着性の高いチタニア薄膜を有するアルミナ繊維などの繊維状物質を形成することができる。

0020

この発明に使用することができるチタン化合物としては、繊維状物質上にチタニア被覆を形成することができるものであれば、特に限定されるものではない。かかるチタン化合物としては、例えば、チタンテトラエトキシドチタンテトライソプロポキシドなどのチタンアルコキシド類、4塩化チタンなどのハロゲン化チタン、三チタン酸塩、四チタン酸塩、五チタン酸塩などのチタン酸塩などを用いることができる。

0021

この発明においては、上記チタン化合物にゾル化剤を加え、機械的もしくは超音波攪拌することによってゾルを得ることができる。ゾル化に用いられるゾル化剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウム水酸化物テトラエチルアンモニウム水酸化物、テトラプロピルアンモニウム水酸化物、テトラブチルアンモニウム水酸化物などのテトラアルキルアンモニウム水酸化物、n−エチルアミンn−プロピルアミンなどのアルキルアミン、1−アミノ2−エタノール、1−アミノ−3−プロパノールなどのアミノアルコールなどのアミン化合物などが挙げられる。
また、上記チタン酸塩は、酸処理することにより、水素型に変換後、適当なアミンなどの水溶液中で振盪することにより、ゾル化することができる。

0022

また、この発明に使用されるゾル液には、アセチルアセトンなどのケトン類や、エタノールアミンなどのアミン類などの、チタンアルコキシドなどのチタン化合物とキレートを形成するキレート化リガンド形成剤も使用することができる。

0023

この発明に使用されるゾル液には、また、脱イオン水などの水や、エチルアルコールなどのアルコール類などの溶媒が含まれていてもよい。また、かかる溶媒は単独でもまたは2種類以上を組み合わせた混合溶媒であってもよい。

0024

この発明に使用するゾル液がチタン化合物と、ゾル化剤と、溶媒とから構成される場合、これらの成分の割合は、例えば、一般的には、モル比として、約1:0.5:5〜1:10:100、好ましくは約1:1:10〜1:5:50の割合であるのがよい。また、ゾル液がチタン化合物と、キレート化リガンドと、溶媒とから構成される場合、これらの成分の割合は、例えば、一般的には約1:0.1:5〜1:10:100、好ましくは約1:0.5:10〜1:5:50の割合であるのがよい。

0025

この発明の方法において、繊維状物質をゾル液に浸漬して薄膜を形成する場合、チタニア薄膜の膜厚は、浸漬時間、浸漬温度または浸漬回数や、乾燥時間または温度などに主に依存する。繊維状物質をゾル液に浸漬する時間の長短によって、1回の浸漬で形成できる被膜の膜厚は約100〜150nm程度である。それよりも厚い膜厚の薄膜を形成するには、浸漬時間を長くすることもできるが、かかる浸漬操作を繰り返すことによって行なうこともでき、この浸漬操作を繰り返すことが効果的である。

0026

チタニア薄膜が所望の光触媒作用を発揮するためには、その膜厚は400nm程度以上であることが好ましい。したがって、この発明において、例えば、アルミナ繊維上に約400nmの膜厚の薄膜を形成させるためには、そのアルミナ繊維をゾル液中に3回〜4回浸漬すればよい。勿論、この浸漬操作の回数は、これに限定されるものではなく、その回数を変えることによって薄膜の膜厚を自由に調節することができる。また、浸漬時間によっても形成される薄膜の膜厚は異なるけれども、例えば、10分間〜3時間、好ましくは30分間〜2時間、更に好ましくは40分間〜1.5時間の範囲に設定するのがよいが、特に限定されるものではなく、適宜変えることができる。
なお、チタニア薄膜が上記好ましい膜厚以下であっても、その薄膜は、皮膜の特性として超親水性であり、チタニア皮膜を施したアルミナ繊維はその親水性の向上により、気液接触面積が増大するため、触媒反応の場として効果を発揮することができる。

0027

このようにして繊維状物質上に付着されたゾル液は、ポリマー化するために乾燥するのがよい。乾燥は、室温で行なうのがよいが、特に限定されるものではなく、加熱して行なうこともできる。また、乾燥時間にしても、特に限定されるものではないが、室温の場合には5〜8時間乾燥するのがよいが、加熱して乾燥する場合には、この乾燥時間を担出することができる。

0028

上記のようにして形成された薄膜の結晶性や密着性は、乾燥した薄膜の熱処理によって影響されるけれども、熱処理温度は、一般的には約250℃〜700℃、好ましくは約300℃〜550℃の範囲であり、また熱処理時間は、一般的には約1時間〜5時間、好ましくは約2時間〜4時間程度であるのが好ましい。しかしながら、熱処理温度や、熱処理時間などの熱処理条件は、特にこれらに限定されるものではなく、使用するチタニア薄膜の組成などによって適宜変えるのがよい。

0029

以下、この発明を実施例によって更に詳細に説明するが、この発明はその範囲が下記実施例によって制限されるものでは一切なく、下記実施例はこの発明をより具体的に説明するために例示的に記載されたものである。したがって、この発明は、この発明の要旨から逸脱しない限り、あらゆる改良、変更などを包含するものと解釈することができる。

0030

ゾル液をチタンテトライソプロポキシドと、ジエタノールアミンと、エタノールとをモル比で1:2.5:34の割合で混合して調製した。このゾル液中にアルミナ繊維(χ−Al2O3繊維径約0.1mm、表面積0.015m2/g)を浸漬(浸漬時間:10分間、20分間、30分間、1時間、2時間、3時間)した後、ゾル液から取り出して空気中で5〜8時間乾燥した。
この乾燥サンプルを次のように加熱処理した。つまり、この加熱処理は、毎分4℃の割合で昇温して最高温度が300℃〜550℃の範囲で50℃刻みで上昇するように加熱して行なった。加熱後、毎分4℃の割合で温度を室温まで下げた。
本実施例では、1回の浸漬操作で、アルミナ繊維上に約140nmの膜厚の皮膜が形成された。この操作を合計3回繰り返して、アルミナ繊維上に約400nmの膜厚の皮膜(チタニア粒径約10〜25nm)を形成した。

0031

ゾル液をチタンテトライソプロポキシドと、アセチルアセトンと、脱イオン水と、エタノールとをモル比で1:1:3:20の割合で混合して調製した。このゾル液を実施例1と同様に処理して、アルミナ繊維上に約400nmの膜厚のチタニア皮膜を形成した。

0032

上記実施例でアルミナ繊維上に形成されたアナターゼ型チタニア薄膜についての結晶構造解析は、X線回折法(XRD)(RINT-2000、銅Kα線利用)のθ−2θ法で調べた。
電子顕微鏡TEM試料は以下のように作製した。先ず、作製されたアルミナ繊維上のチタニア皮膜を粉砕し、次にその粉末エタノール液中に分散し、最終的に粉末溶液のわずかな量をマイクロピペットで掬い取り、TEM観察用のカーボン被覆の銅マイクログリッド上に滴下した。そしてそのように準備された試料のミクロ結晶構造を、点分解能1.8オングストローム、完全デジタル映像システムを有する透過型電子顕微鏡(TEM、TECNAI20、フィリップ社製、加速電圧200KeV)で観察した。同じ試料に対して、相形成及び組成分析をTEM機能に含まれるSAED及びEDSを用いて行った。SEM日本電子、JSM−5600、30KV)を用いてc-アルミナ繊維上の皮膜の形態観察を行った。

0033

X線回折(XRD)図形)
図1は、実施例2で得られた試料のXRD結果を示す。最高温度を300℃〜500℃まで50℃刻みで変化させた試料群(最高温度で3時間保持、3回の浸漬・乾燥・加熱操作を繰り返し行った)の結果である。
この結果より、得られた皮膜はアナターゼ型チタニア単一相であることが判定される。アナターゼ型チタニアの(101)(004)(200)の主要ピークは、χ−アルミナの(200)及び(202)ピークがJCPSカードから判別される(JCPDS-International Center for Diffraction Data, PDF21-1272,13-0373)。チタニアのピークの強度は、300℃から450℃と最高加熱温度の上昇とともに増大し、それ以上の最高加熱温度では逆に減少する。観察されたチタニアピーク強度、及びスペクトルの強度半値幅の狭さから、450℃がチタニア結晶成長にとっての最適最高加熱温度と見なすことができる。この温度で、ゲルポリマー中の殆ど全てのチタンアルコキシド分子は、アナターゼ型チタニアに変化したと考えられる。450℃以上でのアナターゼ型チタニアのピーク強度減少については、参考文献(P. Jin, L. Miao, S. Tanemura, G. Xu, M. Tazawa, K. Yoshimura, Appl. Surf. Sci., 212-213 (2003) 775)中で考察されたように、アナターゼ型チタニアからルチル型チタニアへの相変化が起こり始めるためと考えられる。なお、300℃以下の最高加熱温度ではアナターゼ型チタニアが成長せず、アモルファス状態である。また、実施例1で得られた試料Aについての結果もほぼ実施例2で得られた試料Bの結果と類似している。

0034

ゾルゲル浸漬法による試料Aと試料Bのアナターゼ型チタニア結晶成長類似性は以下のように考えられる。つまり、ACACやDEAといったキレート基とチタンアルコキシドの錯体はゾル液作製段階の混合後の水和凝縮反応で得られる。この前駆体物質のモル比から、ACACやDEA基を含む変形されたTTIPへの化学量論的反応は以下のように記述できる。

0035

ゾルA:
Ti (O-i-C3H7) 4 + NH (C2H4OH)2 → Ti (O-i-C3H7)3 NH (C2H4OH)2+ C3H7OH (1)
ゾルB:
Ti (O-i-C3H7) 4 + (CH3)2(CO)2 CH2 →Ti (O-i-C3H7)3 (CH3)2(CO)2 CH2 +C3H7OH (2)

0036

ゾル液は(1)及び(2)式の右辺のキレート基によってより安定化する。ゾルAでは空気中の水分によって徐々に水和化するが、ゾルBでは部分的に急速に水和化する。チタンとのACACキレートは非常に安定で、水分が過剰に多い状況下であっても完全に取り除くことは難しい。それ故、水分量は殆どゾルB中のチタニア皮膜の形態や粒子径には影響しない。その結果、ゾルゲル反応において水分は無視できる。さらに、両試料中でのチタニアアルコキシドの分量は同じであり、反応(1)及び(2)に関与するACACとDEAのモル比も殆ど同じである。こうした理由から、チタンアルコキシドとキレート基の錯体からチタニアが形成されるゾルゲル過程は、実施例1および2で作製したゾル液に対して示された温度範囲では殆ど同じと見なされることになる。

0037

図2aおよび図2bは、試料Aおよび試料BのそれぞれのSEADリング図形を示している。これらの図形からも皮膜の切片試料は、アナターゼ型チタニアの多結晶体であることが確認できる。図中には、(101)、(004)及び(200)格子面が示されている。リング半径から計算された格子面間隔と塊状のアナターゼ型チタニア結晶のそれとを両試料に対して比較した結果を表1および表2に示す。皮膜と塊状のアナターゼ型チタニアの格子面間隔とは、ほぼ0.8%の精度で一致する。図中のリング図形のシャープさとリング中のスポットの大きさから、試料Aの結晶が試料Bに比較してやや小さいことが示唆される。

0038

0039

0040

図3は試料Bの切片試料の高分解能TEM像を示す。図中、アナターゼ型チタニアの(101)面の格子像が観察される。また、それらの結晶粒径は10−25mm程度である。この格子像から得られる格子面間隔は<塊状物質の場合と比較し、最大で約2%の収縮を示す。この収縮は、格子面間隔の測定精度から有意味とは考えられない。試料Aの同様な格子像も、結晶粒径がやや小さいことを除いて、殆ど試料Bと同じであり、SAEDの結果を支持する。
試料A及びBに対して、S−TEMによる低倍率明視野像のある1点でのEDSは、強いチタン元素ピーク、中間のアルミ元素ピーク、及び弱い炭素や銅のピークを示す。その他の元素ピークは酸素以外現れない。ただし、酸素元素ピークはチタンのLピークと殆ど重なり区別できないので、チタンの組成分析に対してはチタンとアルミの元素ピーク比を用いる。両試料に対してこの比は、ある点から多数の別の点においてもほとんど変わらず、チタンの組成は皮膜を構成する微結晶に対して一様であることが確かめられた。

0041

図4aにχ−アルミナ繊維の断面に対する低倍率のSEM像を示す。それによって、繊維の直径が約100μmであり、さらに繊維表面に魚鱗状の構造を有することが確認できる。図4b及び図4cには、試料Aの繊維上へのアナターゼ型チタニア皮膜の側面からの低倍率及び高倍率のSEM像を夫々示した。一方、図4d及び4eは試料Bの繊維上へのアナターゼ型チタニア皮膜の断面の低倍率及び高倍率のSEM像を夫々示した。図4b及び4dから、浸漬・乾燥・加熱操作の繰り返し回数が3回であることに対応して、作成された皮膜が層状を成していることや、皮膜の1部がアルミナ繊維あるいは他の層から剥がれ落ちていることが確認できる。作製されたチタニア皮膜は、表面がスムースで繊維の先端から終端まで均質に被覆されているように一見見えるが、SEM観察の結果は、ミクロに見ればこうした見方と反する結果を示している。それ故、これらの像から繊維上のアナターゼ型チタニアの被覆率は少なくとも90%程度と見積もられる。さらに、皮膜の全膜厚は、浸漬・乾燥・加熱操作の繰り返し回数が3回の場合には約400nmであることも確かめられる。加熱において最高加熱温度に保持する時間を3時間以上の異なった時間にしても、単層のアナターゼ型チタニアの結晶構造と形態には明確な変化は現れないことを指摘しておくことは有意味である。

0042

層状のアナターゼ型チタニア皮膜の形態に関しての図4c及び4eの詳細な検討から、その層は、空隙、クラック、及び非平滑な表面を有する柱状構造の結晶から成る。もちろん、その柱状構造を形成する微結晶粒図3に示したものと考えられる。以下のことを指摘しておくことは興味深い。即ち、形成された柱状構造の特色は、高いスパッター圧力及び低い原子易動度(形成される物質の融点よりかなり低い基板温度にある)の条件下で、スパッター法によって作製されたアナターゼ型チタニア薄膜において観察される(L. Miao, P. Jin, K. Kaneko, A. Terai, N. Nabatova-Gabain, S. Tanemura, Appl. Surf. Sci.,212-213(2003) 255)Thorntonらによって提出された構造モデル(B. A. Movchan, A. V. Demchishin, Phy. Met. Mettalogr. 28(1969) 83;J. A. Thornton, J.Vac. Sci.Tech.,11(1974) 666;J. A. Thornton, J.Vac. Sci. Tech., A4(1986) 3059)中のゾーンIに類似する。従って、類推的に言うならば、ゲルポリマーの非晶質相中に限られて存在する低原子易動度の高濃度チタニアが、観察された柱状構造に積み上げられたアナターゼ型チタニア微結晶に成長するものと考えられる。
その上、さらに、図4d及び4eから、アルミナ繊維と皮膜の境界の周囲に、何らかのクラックあるいは剥がれ落ちが観察されないことから、アルミナ繊維上のアナターゼ型チタニアの密着性は良いと示唆される。

0043

この発明に係る方法は、例えば、アナターゼ型チタニア被覆アルミナ繊維などの繊維状物質の工業的生産に応用することが可能であり、かつ、排水や排ガスなどの産業廃棄物中の難分解性有機ならびに/もしくは無機化学物質の分解に重要な寄与をするものと期待される。

図面の簡単な説明

0044

試料Bの各最高加熱温度でのXRDスペクトル図形を示す図。(a)から(e)はそれぞれ300℃、350℃、400℃、450℃、500℃に対応するXRDスペクトル図形を示している。
SEADリングを示す図。(a)から(b)はそれぞれ試料AおよびBに対応するリング図形を示している。
試料Bのアナターゼ型チタニアの結晶粒の格子像を示す図。
アルミナ繊維上のアナターゼ型チタニア被覆した試料AとBのSEM像を示す図。(a)はアルミナ繊維の断面低倍率像、(b)および(c)はそれぞれ試料Aの側面の低倍率像と高倍率像、(d)および(e)はそれぞれ試料Bの断面の低倍率像と高倍率像を示す図。

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