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技術 車両の足回り劣化度推定装置及び車両の足回り劣化度推定方法

出願人 株式会社アドヴィックス
発明者 内藤俊治森雪生神谷和宏
出願日 2004年4月23日 (14年7ヶ月経過) 出願番号 2004-127495
公開日 2005年11月4日 (13年1ヶ月経過) 公開番号 2005-306255
状態 特許登録済
技術分野 機械的振動・音波の測定 車両の試験 車体懸架装置 タイヤ一般 タイヤの膨張・タイヤ交換・タイヤチェーン 車体懸架装置
主要キーワード 基準外気温度 振動ゲイン 一定時刻毎 平均外気温度 同回転軸 メイン処理ルーチン 等価質量 立ち上がり時刻
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年11月4日)のものです。
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図面 (18)

課題

サスペンション劣化、タイヤの劣化及びこれらの部材から構成される「足回り」部材の劣化度を精度良く推定する。

解決手段

足回り劣化度推定装置10は、車輪速センサにより検出される信号より得られる車輪速データからねじり共振周波数fneを抽出し、同周波数fneを各種パラメータ(タイヤの内部圧力P等)にて補正し、各種パラメータが一定の基準状態のときに得られるねじり共振周波数fnehを求め、同周波数fnehからタイヤ劣化度ΔFnkを推定する。また、サスペンション前後方向共振周波数fsaから求められるサスペンション劣化度ΔFskとタイヤ劣化度ΔFnkとから「足回り」部材の劣化度ΔFkを推定する。

概要

背景

車両が路面を走行すると、路面の凹凸によりタイヤ振動する。この振動は、タイヤを介して車輪及びサスペンションに伝達され、同車輪及び同サスペンションは振動する。その振動は車輪の回転速度に影響を及ぼす。この結果、車輪に取り付けられた車輪速センサにより検出される車輪の回転速度に応じた信号は、タイヤやサスペンション等の特性に基づく周波数成分を含む信号となる。

実際、車輪の回転速度に応じた信号に基づいて得られる車輪速データから演算される車輪速度を周波数解析すると、各周波数を有する振動の周波数成分には、一般的に、周波数が100Hzの範囲内において3つのピークが現れる。
このうち、図1に示したように、周波数が10〜20Hz前後の領域に現れる振動ゲインのピークが、サスペンション前後方共振振動に基づくものである。このピークに係る共振周波数を、以下、「サスペンション前後方向共振周波数」と称呼する。
また、周波数が30〜50Hz前後の領域に現れる振動ゲインのピークが、タイヤのねじり共振振動に基づくものである。このピークに係る共振周波数を、以下、「タイヤのねじり共振周波数」と称呼する。

一方、これらの共振周波数は、タイヤ及びサスペンションが劣化すると変化することも知られている。例えば、特許文献1に記載の車両特性検出装置は、車輪回転速度に応じた信号に基づいて「ばね下の共振周波数」を抽出し、抽出したばね下の共振周波数に基づいてばね定数を求め、更に、求めたばね定数に基づいてタイヤやサスペンションが硬化又は軟化(即ち、劣化)したか否かを判定するようになっている。即ち、この車両特性検出装置は、サスペンション及びタイヤのいずれかが劣化すれば、ばね下の共振周波数(即ち、ひとつのばね定数)が変化するとの考えに立脚してタイヤ及びサスペンションの劣化を推定している。
特開2000−318416号公報(第0015欄〜第0018欄,第0023欄〜第0027欄,図2,図4)

しかし、サスペンションの特性に基づく共振周波数と、タイヤの特性に基づく共振周波数とは異なるので、サスペンションの劣化とタイヤの劣化とを区別して扱わない上記従来の車両特性検出装置は、これらの劣化を精度良く推定することが困難であるという問題を有していた。

従って、本発明の目的の一つは、サスペンションの劣化とタイヤの劣化とをそれぞれ区別して推定することにより、サスペンションの劣化及びタイヤの劣化を精度良く推定することができるとともに、これらの部材から構成される「足回り」部材の劣化度を精度良く推定することができる装置を提供することにある。

概要

サスペンションの劣化、タイヤの劣化及びこれらの部材から構成される「足回り」部材の劣化度を精度良く推定する。足回り劣化度推定装置10は、車輪速センサにより検出される信号より得られる車輪速データからねじり共振周波数fneを抽出し、同周波数fneを各種パラメータ(タイヤの内部圧力P等)にて補正し、各種パラメータが一定の基準状態のときに得られるねじり共振周波数fnehを求め、同周波数fnehからタイヤ劣化度ΔFnkを推定する。また、サスペンション前後方向共振周波数fsaから求められるサスペンション劣化度ΔFskとタイヤ劣化度ΔFnkとから「足回り」部材の劣化度ΔFkを推定する。

目的

本発明の目的の一つは、サスペンションの劣化とタイヤの劣化とをそれぞれ区別して推定することにより、サスペンションの劣化及びタイヤの劣化を精度良く推定することができるとともに、これらの部材から構成される「足回り」部材の劣化度を精度良く推定することができる装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

イヤを含む車輪の回転速度に応じた信号を出力する車輪速センサと、前記車輪速センサから出力された信号に基づいて同車輪の回転速度に応じた車輪速データを取得する車輪速データ取得手段と、前記取得された車輪速データに含まれる振動周波数成分に基づいてサスペンション前後方向共振周波数を抽出するサスペンション前後方向共振周波数抽出手段と、前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてねじり共振周波数を抽出するねじり共振周波数抽出手段と、前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値に基づいてサスペンション劣化の程度を示すサスペンション劣化度演算するサスペンション劣化度演算手段と、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値に基づいてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算するタイヤ劣化度演算手段と、前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材劣化度を演算する足回り劣化度演算手段と、を備える車両の足回り劣化度推定装置

請求項2

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、更に、前記タイヤの内部圧力を検出するタイヤ圧力検出手段と、所与のタイヤの基準内部圧力と前記検出されたタイヤの内部圧力との差に対応するタイヤ圧力補正値を算出し、同タイヤ圧力補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、を備え、前記タイヤ劣化度演算手段は、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記タイヤ圧力補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定装置。

請求項3

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、更に、前記タイヤの内部温度を検出するタイヤ温度検出手段と、所与のタイヤの基準内部温度と前記検出されたタイヤの内部温度との差に対応するタイヤ温度補正値を算出し、同タイヤ温度補正値を用いて前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、を備え、前記タイヤ劣化度演算手段は、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記タイヤ温度補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定装置。

請求項4

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、前記サスペンション劣化度演算手段は、前記車両の完成後、最初に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数を基準サスペンション前後方向共振周波数として、同基準サスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数との差に応じた値をサスペンション劣化度として演算し、前記車両の足回り劣化度推定装置は、更に、前記サスペンション劣化度に基づいて同劣化度に応じたサスペンション劣化度補正値を算出し、同サスペンション劣化度補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段を備え、前記タイヤ劣化度演算手段は、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記サスペンション劣化度補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定装置。

請求項5

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、更に、前記タイヤの交換後に前記車両が走行した走行距離を取得し、取得された走行距離に基づいて同走行距離に応じた走行距離補正値を算出し、同走行距離補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段を備え、前記タイヤ劣化度演算手段は、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記走行距離補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定装置。

請求項6

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、更に、前記タイヤの内部圧力を検出するタイヤ圧力検出手段と、前記タイヤの内部温度を検出するタイヤ温度検出手段と、前記タイヤの交換後に前記車両が走行した走行距離を取得する走行距離取得手段と、前記検出されたタイヤの内部圧力、前記検出されたタイヤの内部温度、前記取得された走行距離及び前記演算されたサスペンション劣化度の少なくとも何れかに基づいて前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、を備え、前記タイヤ劣化度演算手段は、前記ねじり共振周波数補正手段により補正されたねじり共振周波数であって前記タイヤの交換に基づく初期化スイッチの操作後に初めて得られたねじり共振周波数を所与の記憶領域に保持し、同保持されたねじり共振周波数と、その後に得られる前記ねじり共振周波数補正手段により補正されたねじり共振周波数と、の差に応じた値をタイヤ劣化度として演算する車両の足回り劣化度推定装置。

請求項7

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、更に、外気温度を検出する外気温度検出手段と、所与の基準外気温度と前記検出された外気温度との差に対応する外気温度補正値を算出し、同外気温度補正値を用いて前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数を補正するサスペンション前後方向共振周波数補正手段と、を備え、前記サスペンション劣化度演算手段は、前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値として前記外気温度補正値により補正されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値を用いて前記サスペンション劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定装置。

請求項8

請求項1に記載の車両の足回り劣化度推定装置であって、前記サスペンション劣化度演算手段は、前記車両の完成後、最初に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値を基準サスペンション前後方向共振周波数として、同基準サスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値との差に基づいてサスペンション劣化度を演算し、前記タイヤ劣化度演算手段は、前記タイヤの交換後、最初に抽出されたねじり共振周波数に応じた値を基準ねじり共振周波数として、同基準ねじり共振周波数とその後に抽出されたねじり共振周波数に応じた値との差に基づいてタイヤ劣化度を演算し、前記車両の足回り劣化度推定装置は、更に、前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより求められる足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する劣化警告手段を備えた車両の足回り劣化度推定装置。

請求項9

所定の第1のパラメータを用いてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算するサスペンション劣化度演算手段と、所定の第2のパラメータを用いてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算するタイヤ劣化度演算手段と、前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算する足回り劣化度演算手段と、前記演算された足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する劣化警告手段と、を備えた車両の足回り劣化度推定装置。

請求項10

車輪速センサから出力されたタイヤを含む車輪の回転速度に応じた信号に基づいて同車輪の回転速度に応じた車輪速データを取得し、前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてサスペンション前後方向共振周波数を抽出し、前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてねじり共振周波数を抽出し、前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値に基づいてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算し、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値に基づいてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算し、前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定方法

請求項11

請求項10に記載の車両の足回り劣化度推定方法であって、更に、圧力センサから出力された前記タイヤの内部圧力を取得し、所与のタイヤの基準内部圧力と前記取得されたタイヤの内部圧力との差に対応するタイヤ圧力補正値を算出し、同タイヤ圧力補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正し、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記タイヤ圧力補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する車両の足回り劣化度推定方法。

請求項12

所定の第1のパラメータを用いてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算し、所定の第2のパラメータを用いてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算し、前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算し、前記演算された足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する車両の足回り劣化度推定方法。

技術分野

0001

本発明は、サスペンション及びタイヤ劣化の程度を演算する車両の足回り劣化度推定装置及び車両の足回り劣化度推定方法に関する。

背景技術

0002

車両が路面を走行すると、路面の凹凸によりタイヤが振動する。この振動は、タイヤを介して車輪及びサスペンションに伝達され、同車輪及び同サスペンションは振動する。その振動は車輪の回転速度に影響を及ぼす。この結果、車輪に取り付けられた車輪速センサにより検出される車輪の回転速度に応じた信号は、タイヤやサスペンション等の特性に基づく周波数成分を含む信号となる。

0003

実際、車輪の回転速度に応じた信号に基づいて得られる車輪速データから演算される車輪速度を周波数解析すると、各周波数を有する振動の周波数成分には、一般的に、周波数が100Hzの範囲内において3つのピークが現れる。
このうち、図1に示したように、周波数が10〜20Hz前後の領域に現れる振動ゲインのピークが、サスペンション前後方共振振動に基づくものである。このピークに係る共振周波数を、以下、「サスペンション前後方向共振周波数」と称呼する。
また、周波数が30〜50Hz前後の領域に現れる振動ゲインのピークが、タイヤのねじり共振振動に基づくものである。このピークに係る共振周波数を、以下、「タイヤのねじり共振周波数」と称呼する。

0004

一方、これらの共振周波数は、タイヤ及びサスペンションが劣化すると変化することも知られている。例えば、特許文献1に記載の車両特性検出装置は、車輪回転速度に応じた信号に基づいて「ばね下の共振周波数」を抽出し、抽出したばね下の共振周波数に基づいてばね定数を求め、更に、求めたばね定数に基づいてタイヤやサスペンションが硬化又は軟化(即ち、劣化)したか否かを判定するようになっている。即ち、この車両特性検出装置は、サスペンション及びタイヤのいずれかが劣化すれば、ばね下の共振周波数(即ち、ひとつのばね定数)が変化するとの考えに立脚してタイヤ及びサスペンションの劣化を推定している。
特開2000−318416号公報(第0015欄〜第0018欄,第0023欄〜第0027欄,図2図4

0005

しかし、サスペンションの特性に基づく共振周波数と、タイヤの特性に基づく共振周波数とは異なるので、サスペンションの劣化とタイヤの劣化とを区別して扱わない上記従来の車両特性検出装置は、これらの劣化を精度良く推定することが困難であるという問題を有していた。

0006

従って、本発明の目的の一つは、サスペンションの劣化とタイヤの劣化とをそれぞれ区別して推定することにより、サスペンションの劣化及びタイヤの劣化を精度良く推定することができるとともに、これらの部材から構成される「足回り」部材の劣化度を精度良く推定することができる装置を提供することにある。

0007

まず、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置が採用した足回り構成部材の劣化度を推定するための原理について説明する。
図2(a)は、等価ばねに相当するブッシュ等(サスペンション前後方向のコンプライアンスを形成)と等価質量に相当する足回りに関する部材(タイヤ、ホイールロータ等)とから構成される共振系を模式的に示している。周波数解析の結果抽出されるサスペンション前後方向共振周波数は、このように構成された共振系が振動することにより得られるものである。
同様に、図2(b)は、等価ばねに相当するタイヤのサイドウォール等と等価質量に相当するタイヤや車軸回りの部材とから構成される共振系を模式的に示している。周波数解析の結果抽出されるタイヤのねじり共振周波数は、このように構成された共振系が振動することにより得られるものである。そして、図2(a)に示された共振系のばね定数と図2(b)に示された共振系のばね定数とは、通常、異なる値を持つと考えられる。

0008

図2(a)に示された共振系のばね定数をばね定数k1と表記すると、図3(a)に示したように、サスペンション(前記ブッシュ等)の劣化の程度が大きくなる程、ばね定数k1が小さくなるため、サスペンション前後方向共振周波数は小さくなる。また、図2(b)に示された共振系のばね定数をばね定数k2(k1≠k2)と表記すると、図3(b)に示したように、タイヤの劣化の程度が大きくなる程、ばね定数k2が小さくなるため、ねじり共振周波数は小さくなる。従って、サスペンション前後方向共振周波数とねじり共振周波数を求め、これらの共振周波数と前述した関係を利用すれば、サスペンション劣化度タイヤ劣化度とを別々に精度良く算出することができる。

0009

また、このように個別に推定されたサスペンション劣化度とタイヤ劣化度とに基づいて足回り構成部材の劣化度を推定すれば、同足回り構成部材の劣化度を精度良く推定することができる。以上が、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置が採用した足回り構成部材の劣化度を推定するための原理である。

0010

より具体的には、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、
タイヤを含む車輪の回転速度に応じた信号を出力する車輪速センサと、
前記車輪速センサから出力された信号に基づいて同車輪の回転速度に応じた車輪速データを取得する車輪速データ取得手段と、
前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてサスペンション前後方向共振周波数を抽出するサスペンション前後方向共振周波数抽出手段と、
前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてねじり共振周波数を抽出するねじり共振周波数抽出手段と、
前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値に基づいてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算するサスペンション劣化度演算手段と、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値に基づいてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算するタイヤ劣化度演算手段と、
前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算する足回り劣化度演算手段と、を備える。

0011

これによれば、サスペンション劣化度及びタイヤ劣化度が、サスペンション前後方向共振周波数及びねじり共振周波数に基づいてそれぞれ個別に求められる。従って、各劣化度は精度良く推定される。また、このように精度良く求められたサスペンション劣化度及びタイヤ劣化度に基づいて足回り構成部材の劣化度が推定されるので、同足回り推定部材の劣化度も精度良く推定され得る。

0012

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
前記タイヤの内部圧力を検出するタイヤ圧力検出手段と、
所与のタイヤの基準内部圧力と前記検出されたタイヤの内部圧力との差に対応するタイヤ圧力補正値を算出し、同タイヤ圧力補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、を備え、
前記タイヤ劣化度演算手段は、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記タイヤ圧力補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する。

0013

ねじり共振周波数は、タイヤの内部圧力の変化に伴って変化する。本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、この関係を用いて、所与のタイヤの基準内部圧力と検出されたタイヤの内部圧力との差に応じたタイヤ圧力補正値を算出し、同補正値により抽出されたねじり共振周波数を補正する。その結果、ねじり共振周波数は、タイヤの内部圧力の状態にかかわらず、タイヤの内部圧力が前記基準内部圧力であるときに得られるねじり共振周波数に近づく。

0014

また、タイヤの内部圧力が前記基準内部圧力であるとき、前記ねじり共振周波数とタイヤ劣化度とには一定の相関関係がある。本装置は、この関係を用いて、タイヤ圧力補正値により補正されたねじり共振周波数からタイヤ劣化度を推定する。その結果、タイヤの内部圧力がねじり共振周波数に及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度がより正確に演算され、同タイヤ劣化度を用いて足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0015

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
前記タイヤの内部温度を検出するタイヤ温度検出手段と、
所与のタイヤの基準内部温度と前記検出されたタイヤの内部温度との差に対応するタイヤ温度補正値を算出し、同タイヤ温度補正値を用いて前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、を備え、
前記タイヤ劣化度演算手段は、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記タイヤ温度補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する。

0016

ねじり共振周波数は、タイヤの内部温度の変化に伴って変化する。本装置は、この関係を用いて、所与のタイヤの基準内部温度と検出されたタイヤの内部温度との差に応じたタイヤ温度補正値を算出し、同補正値を用いて抽出されたねじり共振周波数を補正する。その結果、ねじり共振周波数は、タイヤの内部温度にかかわらず、タイヤの内部温度が前記基準内部温度であるときに得られるねじり共振周波数に近づく。

0017

また、タイヤの内部温度が前記基準内部温度であるとき、ねじり共振周波数とタイヤの劣化度とには一定の相関関係がある。本装置は、この関係を用いて、タイヤ温度補正値により補正されたねじり共振周波数からタイヤ劣化度を推定する。その結果、タイヤの内部温度がねじり共振周波数に及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度がより正確に演算され、同タイヤ劣化度を用いて足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0018

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置であって、
前記サスペンション劣化度演算手段は、
前記車両の完成後、最初に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数を基準サスペンション前後方向共振周波数として、同基準サスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数との差に応じた値をサスペンション劣化度として演算し、
前記車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
前記サスペンション劣化度に基づいて同劣化度に応じたサスペンション劣化度補正値を算出し、同サスペンション劣化度補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段を備え、
前記タイヤ劣化度演算手段は、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記サスペンション劣化度補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する。

0019

ねじり共振周波数は、サスペンション劣化度の程度により変化する。従って、本装置は、車両の完成後、例えば、最初にイグニッションキーが「OFF」から「ON」の状態になった直後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数との差に応じた値をサスペンション劣化度として演算する。そして、本装置は、前記演算されたサスペンション劣化度に基づいて、同劣化度とねじり共振周波数との相対的関係から同劣化度に応じたサスペンション劣化度補正値を算出し、同補正値を用いて抽出されたねじり共振周波数を補正し、補正されたねじり共振周波数に応じた値からタイヤ劣化度を算出する。その結果、サスペンションの劣化の度合いがねじり共振周波数に及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度がより正確に演算され、同タイヤ劣化度を用いて足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0020

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
前記タイヤの交換後に前記車両が走行した走行距離を取得し、取得された走行距離に基づいて同走行距離に応じた走行距離補正値を算出し、同走行距離補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段を備え、
前記タイヤ劣化度演算手段は、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記走行距離補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する。

0021

ねじり共振周波数は、タイヤの磨耗の程度により変化する。また、タイヤの磨耗の程度は、車両の走行距離により推定できる。従って、本装置は、タイヤの交換後に車両が走行した走行距離を取得し、取得された走行距離に基づいて同走行距離とねじり共振周波数との相対的関係から同走行距離に応じた走行距離補正値を算出し、同走行距離補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正する。そして、本装置は、補正されたねじり共振周波数に応じた値からタイヤ劣化度を算出する。その結果、車両の走行距離(タイヤの磨耗の程度)がねじり共振周波数に及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度がより正確に演算され、同タイヤ劣化度を用いて足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0022

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
前記タイヤの内部圧力を検出するタイヤ圧力検出手段と、
前記タイヤの内部温度を検出するタイヤ温度検出手段と、
前記タイヤの交換後に前記車両が走行した走行距離を取得する走行距離取得手段と、
前記検出されたタイヤの内部圧力、前記検出されたタイヤの内部温度、前記取得された走行距離及び前記演算されたサスペンション劣化度の少なくとも何れかに基づいて前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、を備え、
前記タイヤ劣化度演算手段は、
前記ねじり共振周波数補正手段により補正されたねじり共振周波数であって前記タイヤの交換に基づく初期化スイッチの操作後に初めて得られたねじり共振周波数を所与の記憶領域に保持し(即ち、学習して記憶し)、同保持されたねじり共振周波数と、その後に得られる前記ねじり共振周波数補正手段により補正されたねじり共振周波数と、の差に応じた値をタイヤ劣化度として演算する。

0023

ねじり共振周波数は、タイヤの内部圧力の変化、タイヤの内部温度の変化、サスペンション劣化度の程度及びタイヤの磨耗の程度により変化する。また、タイヤの磨耗の程度は、車両の走行距離により推定できる。従って、本装置は、ねじり共振周波数に影響を及ぼすこれらのパラメータの少なくとも何れかに基づいて抽出されたねじり共振周波数を補正し、同補正されたねじり共振周波数の内、タイヤの交換に基づく初期化スイッチの操作後に初めて得られたねじり共振周波数を所与の記憶領域に保持し、保持された補正後のねじり共振周波数と、その後に得られる前記ねじり共振周波数補正手段により補正されたねじり共振周波数と、の差に応じた値をタイヤ劣化度として演算する。その結果、タイヤの交換に基づく初期化スイッチの操作後に初めて得られたねじり共振周波数は、タイヤが劣化していない状態において得られる、基準となるねじり共振周波数として所与の記憶領域に保持される。そして、このようにして保持された基準となるねじり共振周波数とその後に得られる前記ねじり共振周波数補正手段により補正されたねじり共振周波数との差に応じた値からタイヤ劣化度が演算される。これにより、前記パラメータの少なくとも何れかがねじり共振周波数に及ぼす影響が排除されるため、タイヤ劣化度がより正確に演算され、同タイヤ劣化度を用いて足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0024

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
外気温度を検出する外気温度検出手段と、
所与の基準外気温度と前記検出された外気温度との差に対応する外気温度補正値を算出し、同外気温度補正値を用いて前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数を補正するサスペンション前後方向共振周波数補正手段と、を備え、
前記サスペンション劣化度演算手段は、
前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値として前記外気温度補正値により補正されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値を用いて前記サスペンション劣化度を演算する。

0025

サスペンション前後方向共振周波数は、外気温度の変化に伴って変化する。本装置は、この関係を用いて、所与の基準外気温度と検出された外気温度との差に対応する外気温度補正値を算出し、同補正値を用いて抽出されたサスペンション前後方向共振周波数を補正する。その結果、サスペンション前後方向共振周波数は、外気温度にかかわらず、外気温度が前記基準外気温度であるときに得られるサスペンション前後方向共振周波数に近づく。その結果、外気温度の変化がサスペンション前後方向共振周波数に及ぼす影響が排除されるので、サスペンション劣化度がより正確に演算され、同サスペンション劣化度を用いて補正されるねじり共振周波数によりタイヤ劣化度及び足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0026

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置であって、
前記サスペンション劣化度演算手段は、
前記車両の完成後、最初に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値を基準サスペンション前後方向共振周波数として、同基準サスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値との差に基づいてサスペンション劣化度を演算し、
前記タイヤ劣化度演算手段は、
前記タイヤの交換後、最初に抽出されたねじり共振周波数に応じた値を基準ねじり共振周波数として、同基準ねじり共振周波数とその後に抽出されたねじり共振周波数に応じた値との差に基づいてタイヤ劣化度を演算し、
前記車両の足回り劣化度推定装置は、更に、
前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより求められる足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する劣化警告手段を備える。

0027

本装置は、サスペンション劣化度に応じた値とタイヤ劣化度に応じた値とから求められる足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告する。この結果、サスペンション及びタイヤ単体ではいずれも警告するほど劣化していないときであっても、サスペンション劣化度及びタイヤ劣化度に基づいて求められる足回り(車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材)全体が劣化したときに警告を発することができる。
また、本装置は、タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する。これらの警告により、乗員は早期にタイヤを交換したり、車両を修理工場にて修理する等の適切な措置を取ることができる。

0028

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定装置は、
所定の第1のパラメータを用いてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算するサスペンション劣化度演算手段と、
所定の第2のパラメータを用いてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算するタイヤ劣化度演算手段と、
前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算する足回り劣化度演算手段と、
前記演算された足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する劣化警告手段と、を備える。

0029

本装置は、第1のパラメータを用いてサスペンション劣化度を演算し、第2のパラメータを用いてタイヤ劣化度を演算し、両劣化度に基づいて足回り構成部材の劣化度を演算する。そして、本装置は、足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告する。この結果、サスペンション及びタイヤ単体ではいずれも警告するほど劣化していないときであっても、サスペンション劣化度及びタイヤ劣化度に基づいて求められる足回り全体が劣化したとき、警告を発することができる。
また、本装置は、タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する。これらの警告により、乗員は早期にタイヤを交換したり、車両を修理工場にて修理する等の適切な措置を取ることができる。

0030

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定方法は、
車輪速センサから出力されたタイヤを含む車輪の回転速度に応じた信号に基づいて同車輪の回転速度に応じた車輪速データを取得し、
前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてサスペンション前後方向共振周波数を抽出し、
前記取得された車輪速データに含まれる振動の周波数成分に基づいてねじり共振周波数を抽出し、
前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数に応じた値に基づいてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算し、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値に基づいてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算し、
前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算する。

0031

これによれば、サスペンション劣化度及びタイヤ劣化度が、サスペンション前後方向共振周波数及びねじり共振周波数に基づいてそれぞれ個別に求められる。従って、各劣化度は精度良く推定される。また、このように精度良く求められたサスペンション劣化度及びタイヤ劣化度に基づいて足回り構成部材の劣化度が推定されるので、同足回り推定部材の劣化度も精度良く推定され得る。

0032

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定方法は、更に、
圧力センサから出力された前記タイヤの内部圧力を取得し、
所与のタイヤの基準内部圧力と前記取得されたタイヤの内部圧力との差に対応するタイヤ圧力補正値を算出し、同タイヤ圧力補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正し、
前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記タイヤ圧力補正値により補正されたねじり共振周波数に応じた値を用いて前記タイヤ劣化度を演算する。

0033

ねじり共振周波数は、タイヤの内部圧力の変化に伴って変化する。本車両の足回り劣化度推定方法は、この関係を用いて、所与のタイヤの基準内部圧力と検出されるタイヤの内部圧力との差に応じたタイヤ圧力補正値を算出し、同補正値により抽出されたねじり共振周波数を補正する。その結果、ねじり共振周波数は、タイヤの内部圧力の状態にかかわらず、タイヤの内部圧力が前記基準内部圧力であるときに得られるねじり共振周波数に近づく。

0034

また、タイヤの内部圧力が前記基準内部圧力であるとき、前記ねじり共振周波数とタイヤ劣化度とには一定の相関関係がある。本方法は、この関係を用いて、タイヤ圧力補正値により補正されたねじり共振周波数からタイヤ劣化度を推定する。その結果、タイヤの内部圧力がねじり共振周波数に及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度がより正確に演算され、同タイヤ劣化度を用いて足回り構成部材の劣化度がより正確に演算される。

0035

また、本発明に係る車両の足回り劣化度推定方法は、更に、
所定の第1のパラメータを用いてサスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度を演算し、
所定の第2のパラメータを用いてタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度を演算し、
前記演算されたサスペンション劣化度に応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度に応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度を演算し、
前記演算された足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する。

0036

本方法は、サスペンション劣化度とタイヤ劣化度とに基づいて足回り構成部材の劣化度を演算する。そして、本方法は、足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告する。この結果、サスペンション及びタイヤ単体ではいずれも警告するほど劣化していないときであっても、足回り全体が劣化したときに警告を発することができる。また、本方法は、タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨の警告を発する。乗員は、これらの警告に対応してタイヤを交換する等の適切な措置を取ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0037

以下、本発明の実施形態に係る車両の足回り劣化度推定装置について図面を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る車両の足回り劣化度推定装置10を搭載した車両の構成の概略を示している。
車両は、車両の前方側左右に位置された第1の車輪11及び第2の車輪12、車両の後方側左右に位置された第3の車輪13及び第4の車輪14、前記各車輪にそれぞれ装着された第1のタイヤ21、第2のタイヤ22,第3のタイヤ23及び第4のタイヤ24を備えている。

0038

車両の足回り劣化度推定装置10は、第1の車輪速センサ31,第2の車輪速センサ32,第3の車輪速センサ33及び第4の車輪速センサ34と、直圧式の第1の圧力センサ35,第2の圧力センサ36,第3の圧力センサ37及び第4の圧力センサ38と、外気温度センサ39と、前記各圧力センサから出力された信号を受信アンテナ41a,41bを介して受信する受信機40と、初期化スイッチ42と、警告ランプ43と、電子制御装置50とを備えている。

0039

第1の車輪速センサ31〜第4の車輪速センサ34は、互いに同一構造を有するので、以下第1の車輪速センサ31を例に挙げて説明する。第1の車輪速センサ31は、図2(a)及び(b)に示したように、第1の車輪11の回転軸に固定された同回転軸と共に回転するセンサロータ31aと、ピックアップコイル31bと、図示しない磁石と、からなっている。センサロータ31aは、その外周部に所定の中心角毎に並べられた歯部を備えている。ピックアップコイル31bは前記歯部に近接して配置されている。第1の車輪速センサ31は、前記磁石とセンサロータ31aの回転とにより発生する磁界の変化をピックアップコイル31bにて電圧変化として取り出し、同電圧変化を交流信号として出力するようになっている。即ち、第1の車輪速センサ31〜第4の車輪速センサ34は、タイヤを含む車輪の回転速度に応じた信号をそれぞれ出力するようになっている。

0040

第1の圧力センサ35〜第4の圧力センサ38も、互いに同一構造を有するので、以下第1の圧力センサ35を例に挙げて説明する。第1の圧力センサ35は、第1の車輪11のハブに固定されたホイールのエアバルブ等に一体的、かつ、タイヤの内部に取り付けられている。第1の圧力センサ35は、タイヤの内部圧力P1を検出する圧力検出器、タイヤの内部温度T1を検出する温度検出器及び送信機を備えている。送信機は、タイヤの内部圧力P1を圧力信号として送信し、内部温度T1を温度信号として送信するようになっている。なお、第1の圧力センサ35〜第4の圧力センサ38は、第1のタイヤ21〜第4のタイヤ24の内部圧力P1〜P4を各々検出するタイヤ圧力検出手段に相当するとともに、同タイヤの内部温度T1〜T4を各々検出するタイヤ温度検出手段に相当する。

0041

外気温度センサ39は、外気温度を検出し、同外気温度を示す信号を出力するようになっている。外気温度センサ39は、外気温度を検出する外気温度検出手段に相当する。
受信機40は、車両前方の左右方向略中央部に設けられた受信アンテナ41aを介して第1の圧力センサ35及び第2の圧力センサ36から各々送信された圧力信号及び温度信号を受信するようになっている。また、受信機40は、車両後方の左右方向略中央部に設けられた受信アンテナ41bを介して第3の圧力センサ37及び第4の圧力センサ38から各々送信された圧力信号及び温度信号を受信するようになっている。

0042

初期化スイッチ42は、車室内に配設されていて、整備工場サービスマンや乗員等がタイヤを交換したとき、タイヤの空気圧を正しく管理した上で操作されることにより、「ON」の状態を表す信号を出力するようになっている。
警告ランプ43は、車室内に配設されていて、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化していると判定されたときにその旨を警告するようになっている。
本実施の形態では、一つの警告ランプ43が明示されているが、複数設定されていてもよい。また、警告ランプ43は、サスペンションの劣化、タイヤの劣化並びに足回りの劣化のそれぞれの態様に応じて異なる色を表示させるようにしてもよい。

0043

電子制御装置50は、互いにバスで接続されたCPU51、CPU51が実行するルーチンプログラム)、テーブル(マップ)、定数等を予め記憶したROM52、CPU51が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM53、電源遮断されても記憶保持動作が可能な記録媒体(例えば、EEPROM54)及びADコンバータを含むインターフェース55を主たる構成としたマイクロコンピュータを備えている。

0044

電子制御装置50は、第1の車輪速センサ31〜第4の車輪速センサ34、外気温度センサ39、受信機40及び初期化スイッチ42と接続されていて、各車輪速センサから各々検出された信号、外気温度センサ39から検出された信号、受信機40によって受信された圧力信号及び温度信号及び初期化スイッチ42から出力された信号を入力するようになっている。
更に、電子制御装置50は、警告ランプ43と接続されていて、CPU51からの指示に応じて警告ランプ43を制御するための制御信号を出力するようになっている。

0045

次に、足回り構成部材の劣化と警告との関係について説明する。
まず、足回り構成部材とは、車体を地面に対して支持する部材をいい、具体的には、タイヤと、ゴムからなるブッシュを含むリンク部とから構成される。足回り構成部材の劣化度はこの支持部材の劣化(タイヤとブッシュ)の程度を示している。

0046

図5に示したように、足回り構成部材の劣化度ΔFkは、サスペンションの劣化の程度を示すサスペンション劣化度ΔFskとタイヤの劣化の程度を示すタイヤ劣化度ΔFnkとの加算値として求められる。

0047

サスペンション劣化度ΔFskは、車両の完成後(例えば、最初にイグニッションキーが「OFF」から「ON」の状態になった後)、時刻t0にて最初に得られるサスペンション前後方向共振周波数Fstと、その後にそれぞれ得られるサスペンション前後方向共振周波数と、の差として求めることができる。

0048

また、タイヤ劣化度ΔFnkは、タイヤの交換後、初期化スイッチ42が操作されてから(時刻t0,時刻t1,時刻t2又は時刻t3)最初にそれぞれ得られるねじり共振周波数と、その後の時刻t(時刻t0<時刻t<時刻t1,時刻t1<時刻t<時刻t2,時刻t2<時刻t<時刻t3)にそれぞれ得られるねじり共振周波数と、の差として求めることができる。従って、タイヤ劣化度ΔFnkは、タイヤが交換され、初期化スイッチ42が操作される毎に「0」にリセットされる。

0049

このようにして求められた足回り構成部材の劣化度ΔFkの絶対値が、図6に示したように、時刻tkにて所定の閾値ΔFkth以上になると、サスペンション及びタイヤ単体ではいずれも警告するほど劣化していないときであっても、サスペンション劣化度及びタイヤ劣化度に基づいて求められる足回りの構成部材全体が劣化している旨を警告する。
また、図7に示したように、タイヤ劣化度ΔFnkの絶対値が、時刻tnkにて所定の閾値ΔFnkth以上になると、タイヤが劣化している旨を警告する。以上が、足回り構成部材の劣化と警告との関係についての説明である。

0050

次に、上記のように構成された車両の足回り劣化度推定装置10が、足回り構成部材の劣化度の推定処理を実行する際の作動について説明する。
電子制御装置50のCPU51は、車両の走行中、図8フローチャートにより示された車輪速度SPD(C)を演算するための処理ルーチン(プログラム)及び図9のフローチャートにより示された足回り構成部材の劣化度を推定するためのメイン処理ルーチン(プログラム)を所定時間の経過ごとにそれぞれ繰り返し実行するようになっている。

0051

なお、後述するすべての処理は、各車輪速センサからそれぞれ検出される信号に基づいて得られる車輪速データ及び各圧力センサからそれぞれ検出される信号に基づいて同様に実行されるが、以下では、第1の車輪速センサ31から検出される信号に基づいて得られる車輪速データ及び第1の圧力センサ35から検出される信号に基づいて第1の車輪11及び第1のタイヤ21を対象とした処理についてのみ説明を行う。

0052

車輪速度SPD(C)演算処理
CPU51は、所定のタイミングになったとき、図8のステップ800から処理を開始してステップ805に進み、カウンタCの値に「1」を加算してステップ810に進む。カウンタCは、後述するステップ815にて演算される車輪速度SPD(C)の個数を示す。また、カウンタCは、イグニッションキーが「OFF」から「ON」の状態になったときに実行されるイニシャルルーチンにおいて予め「0」に設定されている。従って、現時点においてカウンタCの値は「1」である。

0053

次に、CPU51は、ステップ810にて、車輪速データDを読み込む。電子制御装置50は、図示しない波形整形回路を内蔵している。この波形整形回路は、第1の車輪速センサ31から出力された交流信号と所定の閾値とを比較し、同交流信号が同閾値より大きいときにハイレベル、同交流信号が同閾値より小さいときにローレベルとなるパルス信号を形成する。そして、CPU51は、そのパルス信号の立ち上がりエッヂ(又は立ち下がりエッヂ)で割り込み起動される図示しない車輪速データ演算ルーチンにより、そのパルス信号の連続する立ち上がりエッヂ間(又は立ち下がりエッヂ間)の時間(今回のパルス立ち上がり時刻前回のパルスの立ち上がり時刻との差)を求め、その時間を上述した車輪速データDとしてRAM53等の記憶領域に格納している。従って、CPU51は、ステップ810にて、この車輪速データ演算ルーチンにより演算された車輪速データDを読み込む。

0054

次いで、CPU51は、ステップ815に進み、車輪速データDに基づいて車輪速度SPD(C)(=SPD(1))を演算する。即ち、CPU51は、定数Kを車輪速データDで除することにより車輪速度SPD(C)を演算する。次に、CPU51は、ステップ820に進んで、車輪速度SPD(C)をバンドパスフィルタデジタルフィルタ)処理する。具体的には、CPU51は、バンド幅10〜20Hzにてフィルタ処理し、同バンド幅にてフィルタ処理された車輪速度SPD(C)を図4に示したRAM53に記憶する。また、CPU51は、バンド幅30〜50Hzにてフィルタ処理し、同バンド幅にてフィルタ処理された車輪速度SPD(C)を、前記バンド幅10〜20Hzにてフィルタ処理された車輪速度SPD(C)と識別できるようにRAM53に記憶する。次いで、CPU51は、ステップ825に進んで、車輪速度SPD(C)に対応付けて外気温度センサ39から検出された外気温度Tout(C)(=Tout(1))、第1の圧力センサ35から検出されたタイヤの内部圧力P(C)(=P1(1))及びタイヤの内部温度T(C)(=T1(1))を読み込み、車輪速度SPD(C)とともに図4に示したRAM53に格納する。

0055

次に、CPU51は、ステップ895に進んで本ルーチンの処理を一旦終了する。このようにして、カウンタCの値が示す個数分の車輪速度SPD(C)、外気温度Tout(C)、タイヤの内部圧力P(C)及びタイヤの内部温度T(C)が、RAM53に蓄積される。

0056

なお、前述した車輪速データ演算ルーチン及びステップ810は、第1の車輪速センサ31〜第4の車輪速センサ34から出力された各信号に基づいて各車輪の回転速度に応じた車輪速データDをそれぞれ取得する車輪速データ取得手段に相当する。

0057

足回り構成部材の劣化度推定処理.
CPU51は、所定のタイミングになったとき、図9のステップ900から処理を開始してステップ905に進み、カウンタCが解析個数Cmaxに等しいか否かを判定する。解析個数Cmaxには、周波数解析(例えば、FFT演算)を実行するために必要な車輪速度SPD(C)の個数Cmax(Cmax>1)が予め設定されている。

0058

この時点で、カウンタCの値は「1」であるので解析個数Cmaxと等しくない。そこで、CPU51は、ステップ905にて「No」と判定してステップ910に進み、判定フラグHの値に「0」を設定し、ステップ995に進んで本ルーチンの処理を一旦終了する。

0059

判定フラグHは、車輪速度SPD(C)に対し周波数解析が実行されたか否かを判定するためのフラグであり、その値が「0」のとき周波数解析は実行されていないことを示し、その値が「1」のとき周波数解析は実行されていることを示す。判定フラグHは、ステップ910にて「0」の値に設定されるとともに、車輪速度SPD(C)の周波数解析実行後、後述されるステップ1140にて「1」の値に設定される。

0060

その後、先に説明した図8に示した処理が実行されることによりカウンタCの値が増大して、解析個数Cmaxに等しくなると、CPU51は、ステップ900に続くステップ905に進んだとき、同ステップ905にて「Yes」と判定してステップ915に進み、図10にフローチャートにより示したサスペンション前後方向共振周波数演算処理のサブルーチン呼び出す

0061

CPU51は、呼び出されたサブルーチンのステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、カウンタCの値を「0」に設定する。
次に、CPU51は、ステップ1010に進んで、バンド幅10〜20Hzにてフィルタ処理された(RAM53に格納されている)車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)に基づいて周波数解析の対象となるデータを選別する。具体的に述べると、CPU51は、車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)のうち、一つ前に演算された車輪速度SPD(i−1)からの車輪速度SPD(i)の変化分の絶対値(|SPD(i)−SPD(i−1)|,iは自然数)が所定値以上であると判断した場合、車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)のすべてを1セットとして周波数解析の対象データから除く。また、CPU51は、車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)の各々に対応付けてRAM53に格納されている外気温度Tout(1)〜外気温度Tout(Cmax)のうち、外気温度Tout(i)が所定範囲外であると判断した場合、対応する車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)のすべてを1セットとして周波数解析の対象データから除く。これにより、ノイズ成分(例えば、路面の凹凸以外の外力から発生する他の周波数成分)が多く含まれているデータが排除される。

0062

次に、CPU51はステップ1015に進んで、選別された車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)の各々に対し周波数解析を実行する。そして、CPU51は、周波数解析の結果抽出された各周波数成分(振動ゲイン)から最も大きな値を持つ周波数成分を取り出し、同周波数成分を持つ周波数をサスペンション前後方向共振周波数fsとして選別する。この結果、図1に示した10〜20Hzに含まれるサスペンション前後方向共振周波数が抽出される。

0063

次に、CPU51は、ステップ1020に進んで、サスペンション前後方向共振周波数fsを積算サス共振周波数FSに加算する。積算サス共振周波数FSは、サスペンション前後方向共振周波数fsを積算するために用いられ、イニシャルルーチンにおいて予め「0」に設定されている。

0064

次いで、CPU51は、ステップ1025に進み、共振周波数加算回数Sの値に「1」を加算する。共振周波数加算回数Sは、サスペンション前後方向共振周波数fsが積算サス共振周波数FSに加算された回数(及び後述するねじり共振周波数fnが積算ねじり共振周波数FNに加算された回数)を示し、イニシャルルーチンにおいて予め「0」の値に設定されている。従って、現時点において共振周波数加算回数Sの値は「1」である。

0065

次に、CPU51は、ステップ1030に進んで、共振周波数加算回数Sが最大加算回数Smaxに等しいか否かを判定する。最大加算回数Smaxは、サスペンション前後方向共振周波数fsを積算サス共振周波数FSに加算すべき回数(及び後述するねじり共振周波数fnを積算ねじり共振周波数FNに加算すべき回数;Smax>1)を示す。
この時点で、共振周波数加算回数Sの値は、最大加算回数Smaxに等しくない。そこで、CPU51は、ステップ1030にて「No」と判定して直ちにステップ1095に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0066

次に、CPU51は、戻り先であるメイン処理ルーチン(図9)のステップ920に進み、図11にフローチャートにより示したねじり共振周波数演算処理サブルーチンを呼び出す。
CPU51は、呼び出されたサブルーチンのステップ1100から処理を開始してステップ1105に進み、バンド幅30〜50Hzにてフィルタ処理された(RAM53に格納されている)車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)に基づいて周波数解析の対象となるデータを選別する。具体的に述べると、CPU51は、車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)のうち、一つ前に演算された車輪速度SPD(k−1)からの車輪速度SPD(k)の変化分の絶対値(|SPD(k)−SPD(k−1)|,kは自然数)が所定値以上であると判断した場合、対応する車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)のすべてを1セットとして周波数解析の対象データから除く。また、CPU51は、車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)の各々に対応付けてRAM53に記憶されているタイヤの内部圧力P(1)〜P(Cmax)及びタイヤの内部温度T(1)〜T(Cmax)のうち、内部圧力P(k)又は内部温度T(k)が所定範囲外であると判断した場合、対応する車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)のすべてを1セットとして周波数解析の対象データから除く。これにより、ノイズ成分が多く含まれているデータが排除される。

0067

次いで、CPU51はステップ1110に進んで、選別された車輪速度SPD(1)〜車輪速度SPD(Cmax)の各々に対し周波数解析を実行する。そして、CPU51は、周波数解析の結果抽出された各周波数成分から最も大きな値を持つ周波数成分を取り出し、同周波数成分を持つ周波数をタイヤのねじり共振周波数fnとして選別する。この結果、図1に示した30〜50Hzに含まれるタイヤのねじり共振周波数が抽出される。

0068

次に、CPU51は、ステップ1115に進んで、ねじり共振周波数fnを積算ねじり共振周波数FNに加算する。積算ねじり共振周波数FNは、ねじり共振周波数fnを積算するために用いられ、イニシャルルーチンにおいて予め「0」に設定されている。

0069

次いで、CPU51は、ステップ1120に進んで、共振周波数加算回数Sが最大加算回数Smaxに等しいか否かを判定する。この時点で、共振周波数加算回数Sの値は、最大加算回数Smaxに等しくない。そこで、CPU51は、ステップ1120にて「No」と判定して直ちにステップ1195に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0070

次に、CPU51は、戻り先であるメイン処理ルーチン(図9)のステップ925に進み、判定フラグHの値が「1」であるか否かを判定する。この時点で、判定フラグHの値はステップ910にて「0」に設定された後、変更されていない。そこで、CPU51は、ステップ925にて「No」と判定して、直ちにステップ995に進んで本ルーチンの処理を一旦終了する。

0071

その後、CPU51が、図10に示したステップ1005〜1030の処理を繰り返し、ステップ1030にて共振周波数加算回数Sが最大加算回数Smaxに等しくなったとき、同CPU51は、同ステップ1030にて「Yes」と判定してステップ1035に進み、積算サス共振周波数FSを最大加算回数Smaxにて除算してサスペンション前後方向共振周波数の平均値fsaを求める。

0072

次いで、CPU51はステップ1040に進み、積算サス共振周波数FSの値に「0」を設定し、ステップ1095に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0073

前記ステップ1005〜1030の処理と同様に、CPU51が、ステップ1105〜1120の処理を繰り返し、ステップ1120にて共振周波数加算回数Sが最大加算回数Smaxに等しくなったとき、同CPU51は、同ステップ1120にて「Yes」と判定してステップ1125に進み、積算ねじり共振周波数FNを最大加算回数Smaxにて除算してねじり共振周波数の平均値fneを求める。

0074

次に、CPU51はステップ1130に進み、共振周波数加算回数Sの値に「0」を設定してステップ1135に進み、積算ねじり共振周波数FNの値に「0」を設定した後、ステップ1140に進んで、判定フラグHの値に「1」を設定し、ステップ1195に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0075

以上のようにして、図1に示したように、車輪速度SPD(C)に基づいて10〜20Hz前後の領域に現れるサスペンション前後方向共振周波数(の平均値)fsa及び30〜50Hz前後の領域に現れるねじり共振周波数(の平均値)fneが抽出される。

0076

なお、ステップ1010〜1035は、車輪速データDに含まれる振動の周波数成分に基づいてサスペンション前後方向共振周波数fsaを抽出するサスペンション前後方向共振周波数抽出手段に相当する。
また、ステップ1105〜1125は、車輪速データDに含まれる振動の周波数成分に基づいてねじり共振周波数fneを抽出するねじり共振周波数抽出手段に相当する。

0077

この時点で、CPU51が、図9に示したメイン処理ルーチンのステップ925に戻ると、判定フラグHの値は「1」に設定されている。そこで、CPU51は、ステップ925にて「Yes」と判定してステップ930に進み、図12にフローチャートにより示したサスペンション劣化度演算処理サブルーチンを呼び出す。

0078

CPU51は、呼び出されたステップ1200から処理を開始してステップ1205に進み、外気温度Toutを読み込んでステップ1210に進む。ここで、電子制御装置50は、外気温度センサ39により検出される外気温度を一定時刻毎に取り込んで、所定時間内に取り込んだ複数の外気温度の平均値を外気温度Toutとして算出し、RAM53等の記憶領域に格納している。即ち、外気温度Toutは、サスペンション前後方向共振周波数fsaを求めるための車輪速度SPD(C)を取り込んだ期間の平均外気温度である。

0079

図13に示したように、サスペンション前後方向共振周波数fsaは、外気温度Toutの変化に伴って変化する。また、外気温度Toutに対するサスペンション前後方向共振周波数fsaの絶対値は、サスペンション劣化度によって変化する。従って、図中の複数の一次関数のうちの何れかの直線が、実際のサスペンション劣化度に対応したサスペンション前後方向共振周波数fsaと外気温度Toutとの比例関係を示す関数となる。

0080

しかし、現時点で、実際のサスペンション劣化度は求められていない。そこで、CPU51は、所与の基準外気温度Toutst(例えば、40℃)と読み込まれた外気温度Toutとの差に対応する補正量HTout(即ち、外気温度補正値)を求め、同補正量HToutにより今回得られたサスペンション前後方向共振周波数fsaを補正する。

0081

即ち、CPU51は、図12のステップ1210にて外気温度Toutを関数gに代入することにより補正量HToutを算出し、ステップ1215に進んで、サスペンション前後方向共振周波数fsaに補正量HToutを加算して、補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsahを求める。その結果、補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsahは、外気温度Toutにかかわらず、外気温度が基準外気温度Toutstであるときに得られるサスペンション前後方向共振周波数Fsastに近づく。

0082

次に、CPU51は、ステップ1220に進んで、車両の完成後、初めて本ステップの処理を実行するか否かを判定する。いま、車両の完成後(例えば、最初にイグニッションキーが「OFF」から「ON」の状態になった直後)であるとすると、ステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1225に進み、補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsahを基準サスペンション前後方向共振周波数Fsstに設定するとともに、ステップ1230に進んで基準サスペンション前後方向共振周波数Fsstを、例えばEEPROM54等の不揮発性の記録媒体に記憶、保持してステップ1235に進む。
次いで、CPU51は、ステップ1235にて判定フラグAに「0」の値を設定し、ステップ1295に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0083

判定フラグAは、サスペンション劣化度ΔFskが算出されているか否かを判定するためのフラグであり、その値が「0」のときサスペンション劣化度ΔFskは算出されていないことを示し、その値が「1」のときサスペンション劣化度ΔFskは算出されていることを示す。判定フラグAは、ステップ1235にて「0」に設定されるとともに、後述されるステップ1245にて「1」に設定される。

0084

なお、ステップ1210及びステップ1215は、所与の基準外気温度Toutstと前記検出された外気温度Toutとの差に対応する外気温度補正値(補正量HTout)を算出し、同外気温度補正値を用いて前記抽出されたサスペンション前後方向共振周波数fsaを補正するサスペンション前後方向共振周波数補正手段に相当する。

0085

次に、CPU51は、図9に示したメイン処理ルーチンのステップ935に戻ると、図14にフローチャートにより示したタイヤ劣化度演算処理サブルーチンを呼び出す。
CPU51は、呼び出されたステップ1400から処理を開始してステップ1405に進み、第1の圧力センサ35により検出されたタイヤの内部圧力P(=P1)及びタイヤの温度T(=T1)を読み込んでステップ1410に進む。

0086

CPU51は、ステップ1410にて、タイヤの内部圧力Pを関数lに代入することにより、所与のタイヤの基準内部圧力Pst(例えば、200kpa)と前記読み込まれたタイヤの内部圧力Pとの差に応じた補正量Hp(タイヤ圧力補正値)を算出してステップ1415に進む。補正量Hpは、後述するステップ1440にて、タイヤのねじり共振周波数fneを補正するために用いられる。

0087

図15(a)に示したように、ねじり共振周波数fneは、タイヤの内部圧力Pの変化に伴って変化する。また、タイヤの内部圧力Pに対するねじり共振周波数fneの絶対値は、タイヤ劣化度によって変化する。従って、図中の複数の一次関数のうちの何れかの直線が、実際のタイヤ劣化度に対応したねじり共振周波数fneとタイヤの内部圧力Pとの比例関係を示す関数となる。

0088

しかし、現時点で、実際のタイヤ劣化度は求められていない。そこで、CPU51は、所与のタイヤの基準内部圧力Pstとタイヤの内部圧力Pとの差に応じた補正量Hpを算出し、同補正量Hpを用いてねじり共振周波数fneを補正する。補正されたねじり共振周波数fnehは、タイヤの内部圧力Pにかかわらず、同内部圧力Pが基準内部圧力Pstであるときに得られるねじり共振周波数Fnpstに近づく。

0089

次に、CPU51は、ステップ1415に進んで、タイヤの内部温度Tを関数wに代入することにより、所与のタイヤの基準内部温度Tst(例えば、50℃)と前記読み込まれたタイヤの内部温度Tとの差に応じた補正量Ht(即ち、タイヤ温度補正値)を算出してステップ1420に進む。補正量Htは、後述するステップ1440にて、タイヤのねじり共振周波数fneを補正するために用いられる。

0090

図15(b)に示したように、ねじり共振周波数fneは、タイヤの内部温度Tの変化に伴って変化する。また、タイヤの内部温度Tに対するねじり共振周波数fneの絶対値は、タイヤ劣化度によって変化する。従って、図中の複数の一次関数のうちの何れかの直線が、実際のタイヤ劣化度に対応したねじり共振周波数fneとタイヤの内部温度Tとの比例関係を示す関数となる。

0091

しかし、現時点で、実際のタイヤ劣化度は求められていない。そこで、CPU51は、所与のタイヤの基準内部温度Tstとタイヤの内部温度Tとの差に応じた補正量Htを算出し、同補正量Htを用いてねじり共振周波数fneを補正する。補正されたねじり共振周波数fnehは、タイヤの内部温度Tにかかわらず、同内部温度Tが基準内部温度Tstであるときに得られるねじり共振周波数Fntstに近づく。

0092

次に、CPU51は、ステップ1420にて、判定フラグAの値が「1」であるか否かを判定する。この時点で、判定フラグAの値は「0」であるので、CPU51は、ステップ1420にて「No」と判定してステップ1425に進み、サスペンション劣化度ΔFskに「0」の値を設定してステップ1430に進む。次いで、CPU51は、サスペンション劣化度ΔFskを関数nに代入することにより、サスペンション劣化度ΔFskに応じた補正量HFskを算出してステップ1435に進む。補正量HFskは、後述するステップ1440にて、タイヤのねじり共振周波数fneを補正するために用いられる。

0093

図16(a)に示したように、ねじり共振周波数fneは、サスペンション劣化度ΔFskの変化に伴って変化する。図中の一次関数は、サスペンション劣化度ΔFskとねじり共振周波数fneとの比例関係を示している。この関係を用いて、CPU51は、後述するステップ1240にて演算されるサスペンション劣化度ΔFskに応じたサスペンション劣化度補正値HFskを算出する。そして、CPU51は、この補正量HFskにてねじり共振周波数fneを補正する。これにより、補正されたねじり共振周波数fnehは、サスペンション劣化度ΔFskの程度にかかわらず、同サスペンション劣化度ΔFskが「0」に設定されているときに得られるねじり共振周波数Fnfskstに近づく。なお、現段階は、サスペンションは劣化していない。従って、CPU51は、ステップ1425にて、サスペンション劣化度ΔFskに「0」を設定する。この結果、現段階のサスペンション劣化度補正値HFskは「0」となる。

0094

次に、CPU51は、ステップ1435にて、車両の走行距離mを関数qに代入することにより、補正量Hmを算出してステップ1440に進む。補正量Hmは、次のステップ1440にて、タイヤのねじり共振周波数fneを補正するために用いられる。

0095

図16(b)に示したように、ねじり共振周波数fneは、タイヤの磨耗の程度により変化する。また、タイヤの磨耗の程度は、車両の走行距離により変化する。図中の一次関数は、車両の走行距離mとねじり共振周波数fneとの比例関係を示している。この関係を考慮して、CPU51は、タイヤの交換後、車両が走行した走行距離mに応じた走行距離補正値Hmを算出する。そして、CPU51は、この補正量Hmにてねじり共振周波数fneを補正する。これにより、補正されたねじり共振周波数fnehは、車両の走行距離mにかかわらず、同走行距離mが「0」の値に設定されているときに得られるねじり共振周波数Fmstに近づく。

0096

CPU51は、ステップ1440にて、現時点で抽出されたねじり共振周波数fneに補正量Hp(タイヤ圧力補正値)、補正量Ht(タイヤ温度補正値)、補正量HFsk(サスペンション劣化度補正値)及び補正量Hm(走行距離補正値)を加算することにより、補正されたねじり共振周波数fnehを求める。これにより、補正されたねじり共振周波数fnehは、タイヤの内部圧力P等の各種パラメータが一定の基準状態のときに抽出されるねじり共振周波数に近づく。

0097

次に、CPU51は、ステップ1445に進んで、タイヤが交換された後、初めて本ステップの処理を実行するか否かを初期化スイッチ42の状態に基づいて判定する。今、車両の完成後であってタイヤの交換後初めて本ステップを実行するので、初期化スイッチ42は「ON」の状態になっている。そこで、CPU51は、ステップ1445にて「Yes」と判定してステップ1450に進み、補正されたねじり共振周波数fnehを基準ねじり共振周波数Fnstに設定するとともに、ステップ1455に進んで基準ねじり共振周波数Fnstを、例えばEEPROM54等の不揮発性の記録媒体に記憶、保持した後ステップ1460に進む。

0098

次いで、CPU51は、ステップ1460にて初期化スイッチ42を「OFF」の状態に変更し、ステップ1465に進んで判定フラグBに「0」の値を設定した後、ステップ1495に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。
判定フラグBは、タイヤ劣化度ΔFnkが算出されているか否かを判定するためのフラグであり、その値が「0」のときタイヤ劣化度ΔFnkは算出されていないことを示し、その値が「1」のときタイヤ劣化度ΔFnkは算出されていることを示す。判定フラグBは、ステップ1465にて「0」の値に設定されるとともに、後述されるステップ1475にて「1」の値に設定される。

0099

次に、CPU51は、戻り先であるメイン処理ルーチン(図9)のステップ940に進み、図17にフローチャートにより示した判定処理サブルーチンを呼び出す。
CPU51は、呼び出されたサブルーチンのステップ1700から処理を開始してステップ1705に進み、判定フラグAの値及び判定フラグBの値がいずれも「1」であるか否かを判定する。この時点で判定フラグAの値及び判定フラグBの値はいずれも「0」であるので、CPU51は、ステップ1705にて「No」と判定して直ちにステップ1795に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0100

その後、CPU51が、再度、メイン処理ルーチン(図9)のステップ930にて呼び出されるサスペンション劣化度演算処理ルーチンのステップ1200〜1215に続くステップ1220に進むと、車両の完成後、本ステップの処理の実行は初めてではない。従って、CPU51は、ステップ1220にて「No」と判定し、ステップ1240に進んで、先のステップ1230にて記録媒体(例えば、EEPROM54)に保持されている基準サスペンション前後方向共振周波数Fsstから今回のステップ1215にて補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsahを減算し、減算した値をサスペンション劣化度ΔFskに設定する。そして、CPU51は、ステップ1245に進んで判定フラグAに「1」の値を設定し、ステップ1295に進み、次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。このように、サスペンション劣化度は、サスペンションの劣化が全くない場合のサスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されるサスペンション前後方向共振周波数との差として求められる。

0101

なお、ステップ1215〜1230及び1240は、車両の完成後、最初に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数fsa(最初に補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsah)を基準サスペンション前後方向共振周波数Fsstとして、同基準サスペンション前後方向共振周波数とその後に抽出されたサスペンション前後方向共振周波数fsah(補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsah)との差に応じた値をサスペンション劣化度ΔFskとして演算するサスペンション劣化度演算手段に相当する。

0102

次いで、CPU51が、メイン処理ルーチン(図9)のステップ935にて呼び出されるタイヤ劣化度演算処理ルーチンのステップ1400〜1415に続くステップ1420に進むと、この時点で、判定フラグAは、ステップ1245にて「1」の値に設定されている。そこで、CPU51は、ステップ1420にて「Yes」と判定してステップ1430に進み、ステップ1430〜1440の処理後、ステップ1445に進む。この時点で、初期化スイッチ42は「OFF」の状態になっている。従って、CPU51は、ステップ1445にて「No」と判定し、ステップ1470に進んで、先のステップ1455にて記録媒体(例えば、EEPROM54)に保持されている基準ねじり共振周波数Fnstから今回のステップ1440にて補正されたねじり共振周波数fnehを減算し、減算した値をタイヤ劣化度ΔFnkに設定する。そして、CPU51は、ステップ1475に進み、判定フラグBに「1」の値を設定し、ステップ1495に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0103

タイヤの内部圧力P等の各種パラメータが一定の基準状態のときには、ねじり共振周波数とタイヤの劣化との関係は一意に定められる。本装置は、この関係を用いて、タイヤの交換後、最初に抽出された(得られた)ねじり共振周波数fneを各種パラメータによる補正値に基いて補正して、各種パラメータが一定の基準状態のときに得られるであろうねじり共振周波数fnehを求め、この値を基準ねじり共振周波数Fnstとして設定する。即ち、基準ねじり共振周波数Fnstは、タイヤが交換された後、タイヤが劣化していないときに得られるねじり共振周波数となる。また、その後に随時抽出されたねじり共振周波数を各種パラメータによる補正値に基いて補正して、各種パラメータが一定の基準状態のときに得られるであろうねじり共振周波数fnehを求める。そして、基準ねじり共振周波数Fnstと各種パラメータにて補正されたねじり共振周波数fnehとの差からタイヤ劣化度ΔFnkを推定する。その結果、タイヤの内部圧力等の各種パラメータがねじり共振周波数fneに及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度ΔFnkがより一層正確に推定される。

0104

また、サスペンション劣化度ΔFsk及びタイヤ劣化度ΔFnkが、サスペンション前後方向共振周波数及びねじり共振周波数に基づいてそれぞれ個別に求められる。従って、各劣化度は精度良く推定される。

0105

なお、ステップ1440〜1460及び1470は、タイヤの交換に基づく初期化スイッチ42の操作後に初めて抽出されたねじり共振周波数(補正されたねじり共振周波数fneh)を基準ねじり共振周波数Fnstとして所与の記憶領域に保持し、同基準ねじり共振周波数とその後に抽出されたねじり共振周波数(補正されたねじり共振周波数fneh)との差に応じた値をタイヤ劣化度ΔFnkとして演算するタイヤ劣化度演算手段に相当する。

0106

この時点で、CPU51が、判定処理サブルーチン(図17)のステップ1700から処理を開始してステップ1705に進むと、判定フラグAの値及び判定フラグBの値はいずれも「0」である。従って、CPU51は、ステップ1705にて「Yes」と判定してステップ1710に進み、サスペンション劣化度ΔFskとタイヤ劣化度ΔFnkとを加算し、その加算値を足回り構成部材の劣化度ΔFkに設定してステップ1715に進む。これにより、精度良く求められたサスペンション劣化度及びタイヤ劣化度に基づいて足回り構成部材の劣化度が推定されるので、同足回り推定部材の劣化度も精度良く推定され得る。

0107

次に、CPU51は、ステップ1715にて足回り構成部材の劣化度ΔFkの絶対値が所与の第1の閾値ΔFkth以上であるか否かを判定する。通常、車両の足回り構成部材の劣化度ΔFkは、図6危険領域に達していない。即ち、足回り構成部材の劣化度ΔFkの絶対値は所与の第1の閾値より小さい。このため、CPU51は、ステップ1715にて「No」と判定し、ステップ1720に進んで、タイヤ劣化度ΔFnkの絶対値が所与の第2の閾値ΔFnkth以上であるか否かを判定する。通常、タイヤの交換後の一定期間は、タイヤ劣化度ΔFnkは、図7の危険領域に達していない。即ち、タイヤ劣化度ΔFnkの絶対値は所与の第2の閾値ΔFnkthより小さい。このため、CPU51は、ステップ1720にて「No」と判定してステップ1795に進み、次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。

0108

その後、サスペンション又はタイヤが劣化し、足回り構成部材の劣化度ΔFkの絶対値が所与の第1の閾値ΔFkth以上になったとき、CPU51は、ステップ1700〜1710に続くステップ1715にて「Yes」と判定し、ステップ1725に進んで、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を乗員に知らせるために警告ランプ43を点滅させる。そして、CPU51は、ステップ1795に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。
このように警告ランプ43を点滅させることにより、サスペンション及びタイヤ単体ではいずれも警告するほど劣化していないときであっても、足回り全体が劣化したときに警告を発することができる。

0109

また、足回り構成部材の劣化度ΔFkの絶対値は所与の第1の閾値ΔFkthより小さいが、タイヤが劣化し、タイヤ劣化度ΔFnkの絶対値が所与の第2の閾値ΔFnkth以上になったとき、CPU51は、ステップ1700〜1710に続くステップ1715にて「No」と判定し、ステップ1720に進んで、同ステップ1720にて「Yes」と判定して、タイヤが劣化している旨を乗員に知らせるために警告ランプ43を点滅させる。そして、CPU51は、ステップ1795に進んで次にメインルーチンから呼び出されるまで本サブルーチンの処理を一旦終了する。
このように警告ランプ43を点滅させることにより、乗員は、これらの警告に対応してタイヤを交換する等の適切な措置を取ることができる。

0110

なお、ステップ1710は、前記演算されたサスペンション劣化度ΔFskに応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度ΔFnkに応じた値とを加算することにより、車体を地面に対して支持するサスペンション及びタイヤを含む部材の劣化の程度を示す足回り構成部材の劣化度ΔFkを演算する足回り劣化度演算手段に相当する。なお、サスペンション劣化度ΔFskに応じた値としてサスペンション劣化度ΔFskを重み付けするとともに、タイヤ劣化度ΔFnkに応じた値としてタイヤ劣化度ΔFnkを重み付けし、これらを加算するようにしてもよい。

0111

また、ステップ1715〜1725は、前記演算されたサスペンション劣化度ΔFskに応じた値と前記演算されたタイヤ劣化度ΔFnkに応じた値とを加算することにより求められる足回り構成部材の劣化度ΔFkの絶対値が所与の第1の閾値ΔFkth以上であるか否かを判定し、判定の結果、同足回り構成部材の劣化度の絶対値が所与の第1の閾値以上である場合、サスペンション及びタイヤの少なくともいずれかが劣化している旨を警告するとともに、前記演算されたタイヤ劣化度ΔFnkの絶対値が所与の第2の閾値ΔFnkth以上であるか否かを判定し、判定の結果、同タイヤ劣化度の絶対値が所与の第2の閾値以上である場合、タイヤが劣化している旨を警告する劣化警告手段に相当する。

0112

上記実施の形態において、CPU51は、タイヤの内部圧力P、タイヤの内部温度T、サスペンション劣化度ΔFsk及び車両の走行距離mのすべてのパラメータによりねじり共振周波数fneを補正した。しかし、これらのパラメータのうちの少なくともいずれか一つ(任意の二つ以上の組み合わせでもよい。)によりねじり共振周波数fneを補正し、補正されたねじり共振周波数fnehからタイヤ劣化度ΔFnkを推定してもよい。この結果、前記補正に用いた少なくともいずれかのパラメータがねじり共振周波数fneに及ぼす影響が排除されるので、タイヤ劣化度ΔFnkがより正確に推定される。

0113

例えば、タイヤの内部圧力Pを唯一のパラメータとしてねじり共振周波数fneを補正する場合、CPU51は、ステップ1440にて、ねじり共振周波数fneにタイヤ圧力補正値Hpを加算することにより、補正されたねじり共振周波数fnehを求めることができる。この場合、ステップ1410,1440は、所与のタイヤの基準内部圧力Pstと検出されたタイヤの内部圧力Pとの差に対応するタイヤ圧力補正値Hpを算出し、同タイヤ圧力補正値により前記抽出されたねじり共振周波数fneを補正するねじり共振周波数補正手段に相当する。また、ステップ1470は、抽出されたねじり共振周波数fneに応じた値として前記タイヤ圧力補正値Hpにより補正されたねじり共振周波数fnehに応じた値を用いてタイヤ劣化度ΔFnkを演算するタイヤ劣化度演算手段に相当する。

0114

また、例えば、タイヤの内部温度Tを唯一のパラメータとしてねじり共振周波数fneを補正する場合、CPU51は、ステップ1440にて、ねじり共振周波数fneにタイヤ温度補正値Htを加算することにより、補正されたねじり共振周波数fnehを求めることができる。この場合、ステップ1415,1440は、所与のタイヤの基準内部温度Tstと検出されたタイヤの内部温度Tとの差に対応するタイヤ温度補正値Htを算出し、同タイヤ温度補正値により前記抽出されたねじり共振周波数fneを補正するねじり共振周波数補正手段に相当する。また、ステップ1470は、抽出されたねじり共振周波数fneに応じた値として前記タイヤ温度補正値Htにより補正されたねじり共振周波数fnehに応じた値を用いてタイヤ劣化度ΔFnkを演算するタイヤ劣化度演算手段に相当する。

0115

また、例えば、サスペンション前後方向共振周波数fsaを唯一のパラメータとしてねじり共振周波数fneを補正する場合、CPU51は、ステップ1440にて、ねじり共振周波数fneにサスペンション劣化度補正値HFskを加算することにより、補正されたねじり共振周波数fnehを求めることができる。この場合、ステップ1430及びステップ1440は、サスペンション劣化度ΔFskに基づいて同劣化度に応じたサスペンション劣化度補正値HFskを算出し、同サスペンション劣化度補正値により前記抽出されたねじり共振周波数を補正するねじり共振周波数補正手段と、に相当する。また、ステップ1470は、抽出されたねじり共振周波数fneに応じた値として前記サスペンション劣化度補正値HFskにより補正されたねじり共振周波数fnehに応じた値を用いてタイヤ劣化度ΔFnkを演算するタイヤ劣化度演算手段に相当する。

0116

また、例えば、タイヤの磨耗の程度(即ち、車両の走行距離)を唯一のパラメータとしてねじり共振周波数fneを補正する場合、CPU51は、ステップ1440にて、ねじり共振周波数fneに走行距離補正値Hmを加算することにより、補正されたねじり共振周波数fnehを求めることができる。この場合、ステップ1435及びステップ1440は、タイヤの交換後に車両が走行した走行距離mを取得し、取得された車両の走行距離に基づいて同走行距離に応じた走行距離補正値Hmを算出し、同走行距離補正値により前記抽出されたねじり共振周波数fneを補正するねじり共振周波数補正手段に相当する。また、ステップ1470は、前記抽出されたねじり共振周波数に応じた値として前記走行距離補正値Hmにより補正されたねじり共振周波数fnehに応じた値を用いてタイヤ劣化度ΔFnkを演算するタイヤ劣化度演算手段に相当する。

0117

上記実施の形態において、サスペンション前後方向共振周波数fsaは、図12のステップ1210〜1215にて外気温度Toutに基づいて得られる補正量HToutを用いて補正されている。しかし、CPU51は、外気温度Toutによってサスペンション前後方向共振周波数fsaを補正する上記ステップを実行せず、ステップ1200から直ちにステップ1220に進み、ステップ1225にて、補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsahの代わりに補正されていない(周波数解析により抽出された)サスペンション前後方向共振周波数fsaを基準サスペンション前後方向共振周波数Fsstとして設定し、ステップ1240にて、補正されたサスペンション前後方向共振周波数fsahの代わりに補正されていない(周波数解析により抽出された)サスペンション前後方向共振周波数fsaと、前記設定された基準サスペンション前後方向共振周波数Fsstと、からサスペンション劣化度ΔFskを演算してもよい。

0118

なお、サスペンション劣化度演算手段は、上述したようにサスペンション前後方向共振周波数をパラメータとしてサスペンション劣化度ΔFskを演算する代わりに、車両の走行距離や車両の所持年数等をパラメータとしてサスペンション劣化度ΔFskを演算してもよい。また、タイヤ劣化度演算手段は、上述したようにねじり共振周波数をパラメータとしてタイヤ劣化度ΔFnkを演算する代わりに、タイヤの交換時からの時間等をパラメータとしてタイヤ劣化度ΔFnkを演算してもよい。

図面の簡単な説明

0119

車輪速データに含まれる共振振動の特性を示した図である。
図2(a)は、サスペンション前後方向のコンプライアンスを構成する前後方向ブッシュの振動モデルを表した図、図2(b)は、タイヤや車輪等の振動モデルを表した図である。
図3(a)は、サスペンションの劣化とサスペンション前後方向共振周波数との関係を示した図、図3(b)は、タイヤの劣化とねじり共振周波数との関係を示した図である。
車両の足回り劣化度推定装置の概略構成図である。
サスペンション劣化度及びタイヤ劣化度と足回り構成部材の劣化度との関係を示した図である。
足回り構成部材の劣化度と足回り劣化の警告が必要な危険領域との関係を示した図である。
タイヤ劣化度とタイヤ劣化の警告が必要な危険領域との関係を示した図である。
車輪速度SPD(C)を演算するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
足回り構成部材の劣化度を推定するために実行するメインプログラムを示したフローチャートである。
サスペンション前後方向共振周波数を演算するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
ねじり共振周波数を演算するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
サスペンション劣化度を演算するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
外気温度とサスペンション前後方向共振周波数との関係を示した図である。
タイヤ劣化度を演算するために実行するプログラムを示したフローチャートである。
図15(a)は、タイヤの内部圧力とねじり共振周波数との関係を示した図、図15(b)は、タイヤの内部温度とねじり共振周波数との関係を示した図である。
図16(a)は、サスペンション劣化度とねじり共振周波数との関係を示した図、図16(b)は、車両の走行距離とねじり共振周波数との関係を示した図である。
サスペンション劣化度又はタイヤの劣化度に基づいて警告を行うべきか否かを判定するために実行するプログラムを示したフローチャートである。

0120

10…車両の足回り劣化度推定装置、11…第1の車輪、12…第2の車輪、13…第3の車輪、14…第4の車輪、21…第1のタイヤ、22…第2のタイヤ、23…第3のタイヤ、24…第4のタイヤ、31…第1の車輪速センサ、32…第2の車輪速センサ、33…第3の車輪速センサ、34…第4の車輪速センサ、35…第1の圧力センサ、36…第2の圧力センサ、37…第3の圧力センサ、38…第4の圧力センサ、39…外気温度センサ、40…受信機、41a,41b…受信アンテナ、42…初期化スイッチ、43…警告ランプ、50…電子制御装置。

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