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技術 耐摩耗性樹脂部材及びその製造方法

出願人 ポリマテック株式会社
発明者 青木恒下山直之木村亨石垣司飛田雅之
出願日 2004年4月14日 (15年10ヶ月経過) 出願番号 2004-119561
公開日 2005年10月27日 (14年3ヶ月経過) 公開番号 2005-297456
状態 未査定
技術分野 プラスチック等の成形材料の処理、取扱一般 高分子組成物
主要キーワード 耐摩耗性シート 樹脂製ベアリング 樹脂部材表面 X線回折強度分布 デバイ環 分岐状脂肪族ジオール せん断場 回折ピーク角度
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この項目の情報は公開日時点(2005年10月27日)のものです。
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図面 (10)

課題

樹脂部材において、耐摩耗性を向上する。

解決手段

耐摩耗性樹脂部材は、液晶性高分子を含有する。耐摩耗性樹脂部材中において、前記液晶性高分子の分子鎖が該樹脂部材の少なくとも1つの表面に交わる方向に配向されていることにより、前記表面における耐摩耗性が向上される。好ましくは、前記液晶性高分子の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲である。耐摩耗性樹脂部材の製造方法において、液晶性高分子の分子鎖は磁場によって配向される。

概要

背景

プラスチックの中でもエンジニアリングプラスチックは、特に耐熱性機械的強度に優れ、かつ金属よりも軽量であることから、電気電子機器機械部品等における金属製の部材の代替役割を担っている。その中でも特に、ベアリングなど、他の部材に対して摺動する表面を有する部材(摺動部材)に用いられる場合は、対応する部材との接触部位において大きなせん断力が生じるため、そのような摺動部材を形成する材料には高い耐摩耗性が要求される。エンジニアリングプラスチックにおける耐摩耗性向上の方法として、母材となるエンジニアリングプラスチックと所望の特性を有する他のポリマーとによってアロイを形成する方法や、母材中へ有機無機もしくは金属の粉末短繊維ウィスカー等を充填する方法などがある。

しかしながら、エンジニアリングプラスチックに他のポリマーを添加しても、摩擦係数が低下するものの、所望の耐摩耗性が得られないことがある。また、エンジニアリングプラスチックに短繊維や粉末等の充填材を添加するだけでは、十分な耐摩耗性が得られなかったり、充填材によって対応する部材が摩耗されるという問題が生じたりすることがあった。このような問題に対処するために、母材である樹脂分子配向を利用した技術が提案されている。

例えば、特許文献1には、円筒形樹脂製ベアリングにおいて、射出成形条件によって、その構成材料を該ベアリングの周方向配向させたものが開示されている。構成材料をベアリングの周方向に配向させることにより、該ベアリング表面における耐摩耗性、および摩擦特性が改良される。

また特許文献2には、フッ素樹脂芳香族ポリエステル樹脂などを圧延又は延伸することによって、それらの分子シート表面と平行な方向に配向させた摺動用シート材が開示されている。この摺動用シート材では、分子の配向により、シート表面における摩擦抵抗が低減される。
特開2000−145786号公報
特開平9−95543号公報

概要

樹脂部材において、耐摩耗性を向上する。耐摩耗性樹脂部材は、液晶性高分子を含有する。耐摩耗性樹脂部材中において、前記液晶性高分子の分子鎖が該樹脂部材の少なくとも1つの表面に交わる方向に配向されていることにより、前記表面における耐摩耗性が向上される。好ましくは、前記液晶性高分子の配向度αは、0.5以上1.0未満の範囲である。耐摩耗性樹脂部材の製造方法において、液晶性高分子の分子鎖は磁場によって配向される。

目的

本発明は、このような知見に基づくものであり、その目的とするところは、より優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液晶性高分子を含有する樹脂部材であって、耐摩耗性を向上するために、前記液晶性高分子の分子鎖が、該樹脂部材の少なくとも1つの表面に交わる方向に配向されていることを特徴とする耐摩耗性樹脂部材

請求項2

前記耐摩耗性樹脂部材において、該部材のX線回折測定から下記式(1)によって求められる前記液晶性高分子の配向度αが、0.5以上1.0未満の範囲であり、配向度α=(180−Δβ)/180・・・ (1)上記式中、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布を測定したときの半値幅を表すことを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性樹脂部材。

請求項3

前記液晶性高分子が、熱液晶性高分子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐摩耗性樹脂部材。

請求項4

前記熱液晶性高分子が、芳香族ポリエステルおよび芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の耐摩耗性樹脂部材。

請求項5

前記液晶性高分子が、液晶性モノマー架橋または重合させることにより得られる高分子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐摩耗性樹脂部材。

請求項6

前記液晶性モノマーが液晶性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の耐摩耗性樹脂部材。

請求項7

液晶性高分子を含有し、耐摩耗性を向上するために、前記液晶性高分子の分子鎖が、少なくとも1つの表面に交わる方向に配向されている耐摩耗性樹脂部材を製造する方法であって、液晶性高分子および液晶性モノマーのいずれかを含有する液晶性組成物を調製する工程と、液晶性組成物中の液晶性高分子および液晶性モノマーのいずれかの液晶性発現させる工程と、前記液晶性組成物に対して、その少なくとも一つの表面に直交する方向に磁場を印加し、該方向に前記液晶性高分子および液晶性モノマーのいずれかの分子鎖を配向させる工程と、その分子鎖の配向を維持したまま、前記液晶性組成物を固化させる工程とを有することを特徴とする方法。

請求項8

前記液晶性を発現させる工程が、液晶性組成物を溶融にすることによって行なわれることを特徴とする請求項7に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、電子機器機械部品摺動部や、外部と接触する表面などに利用可能な、優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材部材に関するものである。

背景技術

0002

プラスチックの中でもエンジニアリングプラスチックは、特に耐熱性機械的強度に優れ、かつ金属よりも軽量であることから、電気・電子機器や機械部品等における金属製の部材の代替役割を担っている。その中でも特に、ベアリングなど、他の部材に対して摺動する表面を有する部材(摺動部材)に用いられる場合は、対応する部材との接触部位において大きなせん断力が生じるため、そのような摺動部材を形成する材料には高い耐摩耗性が要求される。エンジニアリングプラスチックにおける耐摩耗性向上の方法として、母材となるエンジニアリングプラスチックと所望の特性を有する他のポリマーとによってアロイを形成する方法や、母材中へ有機無機もしくは金属の粉末短繊維ウィスカー等を充填する方法などがある。

0003

しかしながら、エンジニアリングプラスチックに他のポリマーを添加しても、摩擦係数が低下するものの、所望の耐摩耗性が得られないことがある。また、エンジニアリングプラスチックに短繊維や粉末等の充填材を添加するだけでは、十分な耐摩耗性が得られなかったり、充填材によって対応する部材が摩耗されるという問題が生じたりすることがあった。このような問題に対処するために、母材である樹脂分子配向を利用した技術が提案されている。

0004

例えば、特許文献1には、円筒形樹脂製ベアリングにおいて、射出成形条件によって、その構成材料を該ベアリングの周方向配向させたものが開示されている。構成材料をベアリングの周方向に配向させることにより、該ベアリング表面における耐摩耗性、および摩擦特性が改良される。

0005

また特許文献2には、フッ素樹脂芳香族ポリエステル樹脂などを圧延又は延伸することによって、それらの分子シート表面と平行な方向に配向させた摺動用シート材が開示されている。この摺動用シート材では、分子の配向により、シート表面における摩擦抵抗が低減される。
特開2000−145786号公報
特開平9−95543号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、従来のシートはいずれも、樹脂の分子を耐摩耗性が必要な表面に対して平行に配向させたものであった。本発明者らの研究によれば、このような方法では、樹脂部材表面の耐摩耗性が十分に得られないことがあった。

0007

本発明者らは、樹脂部材において、樹脂の分子鎖を任意の方向に配向させる技術を開発し、樹脂の分子鎖を樹脂部材の表面に直交する方向に配向させることにより、その表面における耐摩耗性が飛躍的に向上することを見い出した。

0008

本発明は、このような知見に基づくものであり、その目的とするところは、より優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液晶性高分子を含有する樹脂部材であって、耐摩耗性を向上するために、前記液晶性高分子の分子鎖が、該樹脂部材の少なくとも1つの表面に交わる方向に配向されていることを要旨とする。

0010

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の耐摩耗性樹脂部材において、該部材のX線回折測定から下記式によって求められる前記液晶性高分子の配向度αが、0.5以上1.0未満の範囲であり、
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
上記式中、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布を測定したときの半値幅を表すことを要旨とする。

0011

請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の耐摩耗性樹脂部材において、前記液晶性高分子が、熱液晶性高分子であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の耐摩耗性樹脂部材において、前記熱液晶性高分子が、芳香族ポリエステルおよび芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種であることを要旨とする。

0012

請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の耐摩耗性樹脂部材において、前記液晶性高分子が、液晶性モノマー架橋または重合させることにより得られる高分子であることを要旨とする。

0013

請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の耐摩耗性樹脂部材において、前記液晶性モノマーが液晶性エポキシ樹脂であることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、液晶性高分子を含有し、耐摩耗性を向上するために、前記液晶性高分子の分子鎖が、少なくとも1つの表面に交わる方向に配向されている耐摩耗性樹脂部材を製造する方法であって、液晶性高分子および液晶性モノマーのいずれかを含有する液晶性組成物を調製する工程と、液晶性組成物中の液晶性高分子および液晶性モノマーのいずれかの液晶性発現させる工程と、前記液晶組成物に対して、その少なくとも一つの表面に直交する方向に磁場を印加し、該方向に前記液晶性高分子および液晶性モノマーのいずれかの分子鎖を配向させる工程と、その分子鎖の配向を維持したまま、前記液晶性組成物を固化させる工程とを有することを要旨とする。

0014

請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の方法において、前記液晶性を発現させる工程が、液晶性組成物を溶融にすることによって行なわれることを要旨とする。

発明の効果

0015

請求項1に記載の発明によれば、樹脂部材において、少なくとも一つの表面に対して交わる方向に液晶性高分子の分子鎖を配向させることによって、その表面において耐摩耗性を飛躍的に向上させることができる。

0016

請求項2に記載の発明によれば、前記液晶性高分子の分子鎖がより高度に配向され、その配向方向に交わる面において、より高い耐摩耗性が得られる。
請求項3に記載の発明によれば、高い耐摩耗性を有する樹脂部材を容易に得ることが出来る。

0017

請求項4に記載の発明によれば、より高い耐摩耗性を有する樹脂部材を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、より高い耐摩耗性を有する樹脂部材を得ることができる。

0018

請求項6に記載の発明によれば、より高い耐摩耗性を有する樹脂部材を得ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、優れた耐摩耗性を有する樹脂部材を容易に製造することができる。

0019

請求項8に記載の発明によれば、優れた耐摩耗性を有する樹脂部材をより容易に製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明の耐摩耗性樹脂部材を耐摩耗性樹脂シート11として具体化した実施形態について、図1に従って説明する。耐摩耗性樹脂シート11は液晶性高分子を含有し、該液晶性高分子の分子鎖は耐摩耗性樹脂シート11の表面に交わる方向、好ましくは直交する方向(本実施形態においては、図1のZ軸方向)に配向している。液晶性高分子の剛直な分子鎖を耐摩耗性樹脂シート11の表面に直交する方向に配向させることにより、前記表面における耐摩耗性は飛躍的に向上する。

0021

この耐摩耗性樹脂シート11において、広角X線回折測定から下記式(1)によって求められる液晶性高分子の配向度αは、好ましくは、0.5以上1.0未満の範囲である。
配向度α=(180−Δβ)/180・・・(1)
(上記式中、ΔβはX線回折測定によるピーク散乱角を固定して、方位角方向の0〜360度までの強度分布を測定したときの半値幅を表す。)
以下に本発明の耐摩耗性樹脂シート11の各構成要素について詳述する。

0022

<液晶性高分子>
液晶性高分子は、液晶状態において該高分子の分子鎖が規則的に配列することによって光学的異方性を示すものである。この光学的異方性は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法において、液晶固有の強い複屈折性が発現することにより確認することができる。本発明において、「液晶性高分子」とは、温度または濃度などの条件によって、少なくとも一部が液晶構造をとり得る高分子、および少なくとも一部が液晶構造を維持している高分子を含むものとする。液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性高分子(サーモトロピック液晶性高分子)、液晶性モノマーの硬化物リオトロピック液晶性高分子が挙げられる。

0023

熱液晶性高分子は、熱可塑性を有する高分子であって、所定の温度範囲で光学的異方性を示す液晶状態となる液晶性高分子である。
液晶性モノマーの硬化物は、所定の温度範囲で光学的異方性を示す液晶性モノマーを、液晶状態に維持したまま架橋反応または重合反応によって高分子化して硬化させることにより、液晶構造を維持したまま固化した液晶性高分子である。

0024

このような液晶性高分子は、細長く、扁平で、その長軸に沿って剛性が高い分子鎖を有する。
リオトロピック液晶性高分子は、溶媒に溶解すると、ある濃度範囲において光学的異方性を示す液晶状態となる液晶性高分子である。リオトロピック液晶性高分子の具体例としては、液晶性ポリイミド、液晶性ポリアミド等が挙げられる。

0025

上記の液晶性高分子の中でも、耐摩耗性樹脂シート11は、熱液晶性高分子または液晶性モノマーの硬化物を含有することが好ましい。耐摩耗性樹脂シート11が、熱液晶性高分子または液晶性モノマーの硬化物を含有する場合には、その製造工程において、溶媒を
使用することなく、加熱によって熱液晶性高分子または液晶性モノマーを溶融させることで容易に液晶状態とすることができる。

0026

熱液晶性高分子の具体例としては、熱液晶性ポリエステル、熱液晶性ポリエステルアミド、熱液晶性ポリエステルエーテル、熱液晶性ポリエステルカーボネート、熱液晶性ポリエステルイミド等や、さらに液晶性熱可塑性エラストマーが挙げられる。

0027

熱液晶性ポリエステルとしては、(A)熱液晶性芳香族ポリエステル、および(B)芳香族ポリエステルアミドが挙げられる。
上記の熱液晶性高分子の中でも、耐摩耗性に優れる耐摩耗性樹脂部材が容易に得られることから、(A)芳香族ポリエステルまたは(B)芳香族ポリエステルアミドから選ばれる少なくとも一種、特に(A)芳香族ポリエステルを用いることが好ましい。

0028

(A)熱液晶性芳香族ポリエステルとは、一般に芳香族カルボン酸芳香族アルコールとのエステルで構成されたセグメントを有するものを指す。本実施形態における熱液晶性芳香族ポリエステルは、(1)液晶相を形成するセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成され、液晶相を形成しないセグメント部分が脂肪族又は脂環族の酸とアルコールとのエステルで構成されているもの、(2)液晶相を形成するセグメント部分が脂肪族又は脂環族の酸とアルコールとのエステルで構成され、液晶相を形成しないセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成されたもの、(3)液晶相を形成するセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成され、液晶相を形成しないセグメント部分が、脂肪族又は脂環族の酸と、芳香族アルコールとによるエステルで構成されたもの、および(4)液晶相を形成するセグメント部分が芳香族カルボン酸と芳香族アルコールとのエステルで構成され、液晶相を形成しないセグメント部分が、脂肪族又は脂環族のアルコールと、芳香族カルボン酸とによるエステルで構成されたものが挙げられる。

0029

熱液晶性芳香族ポリエステルの構成成分としては、(a)芳香族ジカルボン酸化合物または脂環族ジカルボン酸系化合物、(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物、(c)芳香族ジオール系、脂肪族ジオール系または脂環族ジオール系化合物、(d)芳香族ジチオール系、芳香族チオフェノール系または芳香族チオールカルボン酸系化合物、(e)芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族ジアミン系化合物、等が挙げられる。熱液晶性芳香族ポリエステルは、これらの成分(a)〜(e)のいずれか単独で構成されてもよいが、好ましくは、(a)及び(c)、(a)及び(d)、(a)、(b)及び(c)、(a)、(b)及び(e)、(a)、(b)、(c)及び(e)等のようにいくつかの成分が組み合わされて構成される。

0030

芳香族ジカルボン酸系化合物(a)としては、芳香族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3′−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸誘導体は、芳香族ジカルボン酸にアルキルアルコキシ及びハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸ジメチルテレフタル酸エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等が挙げられる。

0031

脂環族ジカルボン酸系化合物(a)としては、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸誘導体は、脂環族ジカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジカルボン酸トランス−1,4−(2−クロル)シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。

0032

芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物(b)としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸にアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメエチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。

0033

芳香族ジオール系化合物(c)としては、芳香族ジオール及びその誘導体が挙げられる。芳香族ジオールとしては、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシトリフェニル、ハイドロキノンレゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルビス(4−ヒドロキシフェノキシエタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。芳香族ジオール誘導体は、芳香族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノンフェニルハイドロキノンメトキシハイドロキノンフェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等が挙げられる。

0034

脂環族ジオール系化合物(c)としては、脂環族ジオール及びその誘導体が挙げられる。脂環族ジオールとしては、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。脂環族ジオール誘導体は、脂環族ジオールにアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を導入したものであって、トランス−1,4−(2−メチル)シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−(2−クロロ)シクロヘキサンジオール等が挙げられる。

0035

脂肪族ジオール系化合物(c)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールネオペンチルグリコール等の直鎖状又は分岐状脂肪族ジオールが挙げられる。

0036

芳香族ジチオール系化合物(d)としては、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン
−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。

0037

芳香族チオフェノール系化合物(d)としては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
芳香族チオールカルボン酸系化合物(d)としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。

0038

芳香族ヒドロキシアミン系化合物(e)としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ1−ナフトール、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−エチレンジアニリン等が挙げられる。

0039

芳香族ジアミン系化合物(e)としては、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノフェニルスルフィドチオジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4′−ジアミノジフェノキシエタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタンメチレンジアニリン)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルオキシジアニリン)等が挙げられる。

0040

(B)芳香族ポリエステルアミドとしては、芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸芳香族オキシカルボン酸、芳香族オキシアミノ化合物及びこれらの誘導体から選ばれる二種以上の構成成分から組み合わせられるものが挙げられる。

0041

液晶性モノマーの硬化物を構成する液晶性モノマーは、メソゲン基を含む。メソゲン基の例としては、アゾメチンビフェニルシアノビフェニルターフェニルシアノターフェニル、フェニルベンゾエートアゾベンゼンアゾキシベンゼンスチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニルベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエートフェニルピリミジン、フェニルジオキサンベンゾイルアニリン、トラン等これらの誘導体などが挙げられる。液晶性モノマーには2つ以上のメソゲン基が含まれていてもよい。その場合には、メソゲン基とメソゲン基との間に、脂肪族炭化水素基脂肪族エーテル基、脂肪族エステル基シロキサン結合等から構成される屈曲鎖(スペーサー)と呼ばれる柔軟構造部を有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない程度に、分子内にメソゲン基を含まないモノマーを少量配合することもできる。

0042

液晶性モノマーの具体例としては、液晶性エポキシ、液晶性(メタアクリル酸エステル、液晶性イソシアネート、液晶性ビニル、液晶性アミン、液晶性フェノール、液晶性ジオール、液晶性ジカルボン酸等が挙げられる。これらの液晶性モノマーの中でも、耐摩耗性に優れる耐摩耗性樹脂部材が容易に得られることから、液晶性エポキシを用いることが好ましい。

0043

液晶性エポキシを硬化させるためには、カチオン重合や、液晶状態で紫外線照射してラジカル重合させる光硬化反応を用いてもよいし、加熱によって架橋させる熱硬化反応を用いてもよい。熱硬化反応に用いる硬化剤としては、アミン系硬化剤酸無水物系硬化剤フェノール系硬化剤潜在性硬化剤ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミドイミド
硬化剤、イソシアネート類ブロックイソシアネート等が挙げられ、これらの硬化剤を2種類以上混合して使用してもよい。分子内にメソゲン基を含有する硬化剤を使用してもよい。また、硬化剤を使用せずにエポキシ基自己重合させてもよい。

0044

<液晶性組成物>
本発明の耐摩耗性樹脂シート11は、上述した液晶性高分子または液晶性モノマーを含有する液晶性組成物から形成される。

0045

液晶性組成物には、耐摩耗性の向上や耐熱性、成形加工性等の改良を目的としてその他の高分子を少量配合することができる。その他の高分子としては、ポリ四フッ化エチレンに代表されるフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートポリアリレートポリエステルカーボネートポリカーボネートポリイミドポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリウレタンポリエステル系エラストマーポリスチレンアクリル系高分子ポリサルホンシリコーン系高分子、ハロゲン系高分子オレフィン系高分子等が挙げられる。

0046

また、液晶性組成物には、必要に応じて顔料染料蛍光増白剤分散剤、安定剤、紫外線吸収剤エネルギー消光剤帯電防止剤酸化防止剤難燃剤熱安定剤可塑剤溶剤等を少量添加することも可能である。

0047

さらに、液晶性組成物には、得られる耐摩耗性樹脂部材の耐摩耗性を向上するために耐摩耗性向上剤を適量配合することも可能である。そのような耐摩耗性向上剤としては、天然黒鉛人造黒鉛球状黒鉛粒子ガラス状炭素二硫化タングステン二硫化モリブデンリン酸塩アルミナ炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)、ガラス繊維などが挙げられる。これらの耐摩耗性向上剤の配合量は、液晶性高分子100重量部に対して、100重量部未満が好ましい。より好ましくは70重量部未満、さらに好ましくは50重量部未満である。この配合量が液晶性高分子100重量部に対して100重量部以上であると、液晶性組成物の成形性が悪化するおそれがある。また、得られる耐摩耗性樹脂部材の比重が高くなり、軽量化を妨げることも考えられる。軽量化が要求されるような場合には、液晶性組成物は、実質的に耐摩耗性向上剤を含有しないことが好ましい。

0048

液晶性高分子としてリオトロピック液晶性高分子を用いる場合には、液晶性組成物に、リオトロピック液晶性高分子を溶解させるための溶媒が配合される。そのような溶媒は、用いるリオトロピック液晶性高分子が溶解するものであれば特に限定されない。また、液晶性組成物に耐摩耗性向上剤を添加する場合には、前記溶媒は耐摩耗性向上剤の分散媒にもなるため、耐摩耗性向上剤の分散性を考慮して選択することが好ましい。前記溶媒の配合量は、リオトロピック液晶性高分子が液晶状態を発現する量に設定される。

0049

<配向度α>
耐摩耗性樹脂シート11中における液晶性高分子の分子鎖の配向度αを求めるには、耐摩耗性樹脂シート11について広角X線回折測定(透過)を行う。X線回折装置において、試料にX線を照射すると、該試料中に含まれる粒子(分子鎖)に配向がある場合には同心弧状の回折パターンデバイ環)が得られる。従って、耐摩耗性樹脂シート11中における液晶性高分子の分子鎖の配向度αを求めるためには、耐摩耗性樹脂シート11において液晶性高分子の分子鎖の配向方向(図1のZ軸方向)に沿う面にX線を照射して、同心弧状のデバイ環を得る。次に、このデバイ環の中心から半径方向におけるX線回折強度分布を示す回折パターンを得る(図5参照)。この回折パターンにおいて、横軸はX線の回折角度θの2倍の角度2θを示し、2θ=20度の位置に確認されるピークは、液晶性高分子の分子鎖間の距離を表すものと考えられている。

0050

液晶性高分子のこの回折ピークの角度(ピーク散乱角)は、液晶性高分子の構造の違いや液晶性高分子組成物の配合の違いによって、約15〜30度の範囲となる場合もあるが、概ね20度前後に現れる。この回折ピークが得られた角度(ピーク散乱角)を固定して、方位角方向(デバイ環の周方向)に0°〜360°までのX線回折強度分布を測定することにより、図6に示すような方位角方向のX線回折強度分布が得られる。この強度分布におけるピークが急峻であるほど、液晶性高分子の分子鎖が一定方向に高度に配向されていることを示している。従って、この方位角方向の強度分布において、ピーク高さの半分の位置における幅(半値幅Δβ)を求め、この半値幅Δβを上記式(1)に代入することによって、液晶性高分子の分子鎖の配向度αを算出することができる。図6に示す方位角方向の強度分布の場合、配向度αは0.90である。

0051

本発明の耐摩耗性樹脂部材において、配向度αの範囲は、0.5以上1.0未満、好ましくは0.55以上1.0未満、さらに好ましくは0.6以上1.0未満、より好ましくは0.7以上1.0未満である。耐摩耗性樹脂部材において、この配向度αが0.5未満であると、その配向方向に交わる表面で十分な耐摩耗性が得られない。一方、配向度αは、半値幅Δβが常に正の値を示すため、上記(1)式から1.0以上の値はとり得ない。

0052

<製造方法>
次に、液晶性高分子を含有する熱液晶性組成物から耐摩耗性樹脂部材を形成する方法について説明する。

0053

液晶性高分子として熱液晶性高分子を用いる場合には、まず成形装置内において、熱液晶性高分子を含有する液晶性組成物を加熱して溶融することによって、熱液晶性高分子を液晶状態にする。次に、熱液晶性高分子の液晶状態を維持しながら、前記液晶性組成物中の熱液晶性高分子の分子鎖を、得られる樹脂部材の少なくとも一つの表面に対して交わる方向、好ましくは直交する方向に配向させる。次に、熱液晶性高分子が配向した状態を維持したまま、前記液晶性組成物を冷却固化し、液晶状態から固体状態相転移させることにより、熱液晶性高分子の分子鎖が少なくとも一つの表面に交わる方向に配向した耐摩耗性樹脂部材を得ることができる。

0054

液晶性高分子が液晶性モノマーから形成される液晶性モノマーの硬化物である場合には、まず成形装置内において、液晶性モノマーのみ、または液晶性モノマーと硬化剤との混合物を含む液晶性組成物を加熱して溶融させ、液晶状態にする。次に、前記液晶性組成物中の液晶性モノマーを液晶状態としたまま、該液晶性モノマーの分子鎖を、得られる樹脂部材の少なくとも一つの表面と交わる方向、好ましくは直交する方向に配向させる。次いで、液晶性モノマーが配向した状態を維持したまま、前記液晶性組成物中の液晶性モノマーを架橋反応または重合反応によって、高分子化して硬化させることにより、液晶性高分子の分子鎖が少なくとも一つの表面に交わる方向に配向した耐摩耗性樹脂部材を得ることができる。

0055

液晶性高分子としてリオトロピック液晶性高分子を用いる場合には、まず、リオトロピック液晶性高分子が液晶性を示す濃度で含まれる液晶性組成物を調製する。次に、リオトロピック液晶性高分子の液晶状態を維持しながら、前記液晶性組成物を成形装置によって成形するとともに、リオトロピック液晶性高分子の分子鎖を得られる樹脂部材の少なくとも一つの表面と交わる方向、好ましくは直交する方向に配向させる。次いで、リオトロピック液晶性高分子が配向した状態を維持したまま、前記液晶性組成物から揮発等によって溶媒を除去することによって、リオトロピック液晶性高分子を液晶状態から固体状態に相転移させ、それによって、液晶性高分子の分子鎖が少なくとも一つの表面に交わる方向に配向した耐摩耗性樹脂部材を得ることができる。

0056

液晶性高分子を配向させる方法としては、流動場せん断場、磁場及び電場から選ばれる少なくとも一種の場による配向方法が挙げられる。
これらの配向方法の中でも、配向する方向及び配向度を容易に制御できることから、磁場による配向方法を用いることが好ましい。液晶状態の液晶性高分子またはモノマーに磁場を印加することによって、液晶性高分子またはモノマーの剛直な分子鎖を磁力線と平行な方向に配向させることができる。ここで、磁場の磁束密度、磁場の印加時間等を調整することによって、液晶性高分子の配向度αを0.5以上1.0未満の範囲に容易に調整することが可能である。

0057

磁場を発生する磁場発生装置としては、永久磁石電磁石超電導磁石コイル等が挙げられる。これらの磁場発生装置の中でも、高い磁束密度を有する磁場を発生させることができることから超電導磁石が好ましい。

0058

液晶性組成物に印加される磁場の磁束密度は、熱液晶性高分子及びリオトロピック液晶性高分子を配向させる場合には、好ましくは1〜20テスラ(T)、さらに好ましくは2〜20T、最も好ましくは3〜20Tである。この磁束密度が1T未満であると、液晶性高分子の剛直な分子鎖を十分に配向させることができないおそれがある。一方、磁束密度が20Tを超える磁場は、実用上得られにくい。同様に液晶性モノマーを配向させる場合には、好ましくは0.2〜20T、さらに好ましくは0.5〜15T、さらに好ましくは1〜10Tである。

0059

成形装置としては、射出成形装置押出成形装置プレス成形装置ブロー成形装置トランスファー成形装置カレンダー成形装置等の合成樹脂を成形する装置を用いることができる。液晶性組成物は、シート状、ブロック状、筒状等の様々な形状の耐摩耗性樹脂部材に成形することができる。

0060

以下、一例として、液晶性高分子として熱液晶性高分子を含有する液晶性組成物から、図1に示した耐摩耗性樹脂シート11を製造する方法について、図2に基づいてさらに詳細に説明する。

0061

図2に示すように、耐摩耗性樹脂シート11を製造するための装置は、耐摩耗性樹脂シート11の形状に対応する形状を有するキャビティ13aを備えた金型12aと、金型12aの上下にそれぞれ配設された永久磁石14aとを有する。永久磁石14aによって発生する磁場の磁力線Mは、キャビティ13aの深さ方向に一致する。

0062

まず、キャビティ13aに、熱液晶性高分子を含有する液晶性組成物15を充填する。金型12aには加熱装置(図示せず)が備えられ、この加熱装置によって、キャビティ13a中の液晶性組成物15に含有される熱液晶性高分子は溶融状態に維持される。次に、永久磁石14aによって、キャビティ13a内の液晶性組成物15に所定の磁束密度の磁場を印加する。このとき、磁力線M1は、キャビティ13a内の液晶性組成物15の厚さ方向に一致するため、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖は液晶性組成物15の厚さ方向に配向される。この配向状態を維持したまま、液晶性組成物15を冷却固化させて、金型12aから取り出す。それにより、熱液晶性高分子の剛直な分子鎖が厚さ方向に配向した、耐摩耗性樹脂シート11を得ることができる。

0063

上記の実施形態においては、耐摩耗性が要求される表面が平面である耐摩耗性樹脂シート11を製造する方法について詳述したが、耐摩耗性が要求される表面が曲面(例えば、球面)である耐摩耗性樹脂部材を形成することも可能である。例えば、図3および図4に示すような装置によって、椀形の耐摩耗性樹脂部材を形成することができる。該装置は、所望椀形の部材に対応する形状を有するキャビティ13bを備えた金型12bと、前記金
型12bの下面に沿う凹面を有するS極の永久磁石14cと、金型12bを介して、先端が永久磁石14cに対向して配設された略円錐形のN極の永久磁石14bとを備える。このような装置においては、磁力線Mは、図4破線で示したように、N極の永久磁石14bの先端から、S極の永久磁石14cに向かって放射状、すなわちキャビティ13bの球面状の底面に直交する方向に延びる。よって、キャビティ13b内の液晶性組成物15に含有される液晶性高分子の分子鎖もこの方向に配向される。これにより、液晶性高分子の分子鎖が椀形の樹脂部材の球面に直交する方向に配向された耐摩耗性樹脂部材を得ることができる。

0064

本発明の耐摩耗性樹脂部材は、ギヤ軸受けジョイントキーボードシャーシブレーキパッド半導体ウェハキャリア等の、他部材に対する接触面に耐摩耗性を要する樹脂部材に用いることができる。

0065

上記施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・本発明の耐摩耗性樹脂部材は、液晶性高分子を含有し、その該液晶性高分子の分子鎖は該部材の少なくとも一つの表面に交わる方向に配向されている。それにより、該耐摩耗性樹脂部材は、前記表面において優れた耐摩耗性を発揮することができる。

0066

・一実施形態においては、さらに前記液晶性高分子の分子鎖の配向度αが0.5以上1.0未満である。液晶性高分子の配向度αを上記の範囲に設定することによって、液晶性高分子鎖がより高度に配向され、その結果、配向した液晶性高分子の分子鎖に対して交わる表面において、より優れた耐摩耗性を発揮することができる。

0067

・一実施形態において、耐摩耗性樹脂部材は、液晶性高分子または液晶性モノマーを含有する液晶性組成物から形成される。この場合、液晶性組成物中の液晶性高分子または液晶性モノマーを液晶状態に維持しながら、それらの分子鎖を配向させる。よって、液晶性高分子がより高度に配向するため、その配向方向に交わる表面においてより優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材を容易に得ることができる。

0068

・上記実施形態において、液晶性高分子または液晶性モノマーが熱液晶性である場合には、液晶性の発現が温度によって制御可能であるため、溶媒を使用する必要がなく、より容易に耐摩耗性樹脂部材を得ることが可能である。

0069

・一実施形態において、耐摩耗性樹脂部材は、(A)芳香族ポリエステル、または(B)芳香族ポリエステルアミドのいずれかの熱液晶性高分子から形成される。このように構成した場合、それらの熱液晶性高分子の液晶相を容易に発現させることができる。さらに、これらの熱液晶性高分子の成形加工性は良好であって、種々の形状に容易に成形することができる。従って、成形が容易で、かつ熱液晶性高分子が高度に配向した、優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材が得られる。

0070

・一実施形態において、液晶性組成物が液晶性モノマーとして液晶性エポキシを含有する。この場合、そのような液晶性組成物は、液晶相を容易に発現させることができる。さらに、そのような液晶性組成物は低粘度の液状であるため、成形性が良好である。従って、成形が容易であるとともに、液晶性組成物中の液晶性モノマーを高度に配向させて硬化させることによって、液晶性高分子が高度に配向した、優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材が得られる。

0071

・本発明の耐摩耗性樹脂部材においては、液晶性高分子の分子鎖を配向させることによって耐摩耗性を向上させている。従って、耐摩耗性向上剤を併用してさらに耐摩耗性を向上させる場合において、液晶性高分子100重量部に対し、耐摩耗性向上剤の含有量が1
00重量部未満であっても、高い耐摩耗性が得られる。よって、得られる耐摩耗性樹脂部材の軽量化が可能となる。

0072

・一実施形態の耐摩耗性樹脂部材においては、液晶状態の液晶性高分子または液晶性モノマーに磁場を印加することによって、液晶性高分子または液晶性モノマーの剛直な分子鎖を該樹脂部材の表面に対して直交する方向に配向させる。この場合、液晶性高分子を容易に配向させることができ、優れた耐摩耗性を有する耐摩耗性樹脂部材を容易に得ることができる。また、液晶性高分子の配向方向を、印加する磁場の磁力線の方向によって容易に制御可能であるため、液晶性高分子の分子鎖を任意の形状の耐摩耗性樹脂部材の表面に対して直交するように配向させることが可能である。

0073

なお、上記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
弾性率向上などを目的として、本発明の効果を損なわない程度に、ガラス繊維、炭素繊維アラミド繊維等の有機繊維金属繊維無機繊維などの充填剤向上剤を液晶性組成物に配合してもよい。

0074

・前記永久磁石14a,14bは、金型12aを挟むように対をなして配設されているが、永久磁石14a,14bのいずれか一方を省略してもよい。
・前記永久磁石14a,14bは、S極とN極とが互いに対向するように対をなして配設されているが、S極同士又はN極同士が対向するように配設してもよい。

0075

・耐摩耗性樹脂部材において、耐摩耗性が要求される表面が複数ある場合にも、各面に対してそれぞれ直交する方向に磁力線が通過する様に磁場発生装置を配置することによって、それら複数の表面に対して直交する方向に液晶性高分子の分子鎖が配向した耐摩耗性樹脂部材を得ることができる。

0076

・前記磁力線Mは、直線状であるが、曲線状等でもよい。さらに、磁力線Mおよび金型12aのいずれか一方を回転させてもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。

0077

(実施例1)
熱液晶性高分子として、共重合比が4−ヒドロキシ安息香酸/(テレフタル酸とエチレングリコール)=80/20モル%である芳香族ポリエステル(i)(ユニチカ株式会社製「ロッドランLC5000」)のペレット脱湿乾燥し、射出成形によって、縦20mm×横20mm×厚み2mmのシートを作製した。このシートを、310℃に加熱した金型のキャビティ13a内に配置し、超伝導磁石による磁束密度10テスラの磁場中で溶融させた後、同磁場中で15分間保持した。その後、キャビティ13a内の液晶性組成物15を室温まで冷却固化させることによって、耐摩耗性樹脂シート11を作製した。磁力線の方向は耐摩耗性樹脂シート11の厚み方向と一致させた。

0078

(実施例2)
熱液晶性高分子として、共重合比が4−ヒドロキシ安息香酸/(テレフタル酸とエチレングリコール)=60/40モル%である芳香族ポリエステル(ii)(ユニチカ株式会社製「ロッドランLC3000」)を使用し、金型12aの温度を250℃に設定した以外は実施例1と同様に耐摩耗性樹脂シート11を作製した。

0079

(実施例3)
実施例1と同一の芳香族ポリエステル(i)100重量部に対し、耐摩耗性向上剤としてガラス状炭素粉末50重量部を配合した混合物を押出機にて溶融混練し、ペレット状の
液晶性組成物15を得た。この液晶性組成物15を脱湿乾燥し、射出成形によって、縦20mm×横20mm×厚み2mmのシートを作製した。このシート状の液晶性組成物15を、310℃に加熱した金型12aのキャビティ13a内に配置し、超伝導磁石による磁束密度10テスラの磁場中で溶融させた後、同磁場中で15分間保持した。その後、キャビティ13a内の液晶性組成物15を室温まで冷却固化させることによって、耐摩耗性樹脂シート11を作製した。磁力線の方向はシート状成形体の厚み方向と一致させた。

0080

(実施例4)
液晶性エポキシとしてアゾメチン基を分子内に有するテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノールジグリシジルエーテルと、硬化剤として4、4' −ジアミノ−1、2−ジフェニルエタンを、1モル:0.5モルの割合で混合して、液晶性組成物15を調製した。次に、この液晶性組成物15を170℃に加熱した金型12aのキャビティ13a内に配置した。超伝導磁石による磁束密度10テスラの磁場中で、キャビティ13a内の液晶性組成物15を溶融させた後、そのまま同磁場中で10分間保持して液晶性組成物15を硬化させることによって、縦20mm×横20mm×厚み2mmの耐摩耗性樹脂シート11を作製した。磁力線の方向はシート状成形体の厚み方向と一致させた。

0081

(比較例1)
実施例1と同一の芳香族ポリエステル(i)用い、溶融時に磁場を印加せずに成形したこと以外は、実施例1と同様の方法で耐摩耗性樹脂シート11を作製した。

0082

(比較例2)
実施例2と同一の芳香族ポリエステル(ii)用い、溶融時に磁場を印加せずに成形したこと以外は、実施例2と同様の方法で耐摩耗性樹脂シート11を作製した。

0083

(比較例3)
実施例3と同様に、液晶性組成物15として、芳香族ポリエステル(i)100重量部に対し、耐摩耗性向上剤としてガラス状炭素粉末50重量部を配合した混合物を用い、溶融時に磁場を印加せずに成形したこと以外は、実施例3と同様の方法で耐摩耗性樹脂シート11を作製した。

0084

(比較例4)
実施例4と同様に、液晶性エポキシとしてアゾメチン基を分子内に有するテレフタリリデン−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェノール)ジグリシジルエーテルと、硬化剤として4、4' −ジアミノ−1、2−ジフェニルエタンを、1モル:0.5モルの割合で混合した液晶性組成物15を用い、溶融時に磁場を印加せずに成形したこと以外は、実施例4と同様の方法で耐摩耗性樹脂シート11を作製した。

0085

実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた各耐摩耗性樹脂シート11の厚み方向における配向度αを求めた。配向度αは、X線回折装置(理学電機株式会社製「RINT RAPID」)によって測定した各耐摩耗性樹脂シート11のX線回折パターンから算出した。一例として、実施例1のX線回折測定によるデバイ環の半径方向の回折パターンを図5に示し、回折ピーク角度2θ=20度における方位角方向の強度分布を図6に示す。また、比較例1のX線回折測定によるデバイ環の半径方向の回折パターンを図7に示し、回折ピーク角度2θ=20度における方位角方向の強度分布を図8に示す。

0086

実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた各耐摩耗性樹脂シート11について、図9に示した装置を用いて耐摩耗性の評価を行なった。図9に示した装置において、アルミニウム板17上に粒度600の研磨紙16が配置されている。研磨紙16の上に各耐摩耗性樹
脂シート11(20mm×20mm×2mm)を配置し、耐摩耗性樹脂シート11の上に固定用治具18を介して500gのおもり19を載せる。この状態で、アルミニウム板17を矢印の方向に往復摺動ストローク:30cm、回数往復50回)させることによって、耐摩耗性樹脂シート11を研磨紙16で研磨する。研磨前と研磨後の耐摩耗性樹脂部材の質量差を測定して摩耗量(mg)とした。実施例1〜4及び比較例1〜4の配向度α及び摩耗量を表1に示す。

0087

表1の結果から明らかなように、実施例1〜4の耐摩耗性シートでは、配向度αが0.72〜0.90を示し、液晶性高分子の分子鎖が高度に配向していることが分かる。このような耐摩耗性シートは、摩耗量が少なく、優れた耐摩耗性を有した。一方、比較例1〜4の耐摩耗性シートでは、配向度αが0となり、実施例と比較して、摩耗量が多く、耐摩耗性が不十分であった。

図面の簡単な説明

0088

本発明の一実施形態における耐摩耗性樹脂シートを示す斜視図。
厚さ方向に高い配向度αを有する耐摩耗性樹脂シートの製造方法を示す図。
本発明の別の実施形態における椀形の耐摩耗性樹脂部材を製造するための装置を示す図。
本発明の別の実施形態における椀形の耐摩耗性樹脂部材を製造するための方法を示す図。
本発明の一実施形態における耐摩耗性樹脂シート(実施例1)のデバイ環の半径方向におけるX線回折強度分布を示すX線回折パターン。
本発明の一実施形態における耐摩耗性樹脂シート(実施例1)の方位角方向のX線回折強度分布を示すグラフ
従来の耐摩耗性樹脂シート(比較例1)のデバイ環の半径方向のX線回折強度分布を示す回折パターン。
従来の耐摩耗性樹脂シート(比較例1)の方位角方向のX線回折強度分布を示すグラフ。
耐摩耗性評価装置を示す図。

符号の説明

0089

11…耐摩耗性シート、12a,12b…金型、13a,13b…キャビティ、14a,b,c…永久磁石、15…液晶性組成物、16…研磨紙、17…アルミニウム板、18…固定用治具、19…おもり、Δβ…半値幅、M…磁力線。

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