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技術 捲回式電池の分解方法

出願人 新神戸電機株式会社
発明者 中井賢治
出願日 2004年4月2日 (16年7ヶ月経過) 出願番号 2004-109950
公開日 2005年10月20日 (15年0ヶ月経過) 公開番号 2005-294151
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(鉛及びアルカリ蓄電池)
主要キーワード カシメ部分 成長先端 炭素材粉末 析出成長 有底円筒 車両使用者 電解液相 分解手順
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年10月20日)のものです。
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図面 (8)

課題

分解時にセパレータの損傷を防止することができる捲回式電池分解方法を提供する。

解決手段

リチウムイオン二次電池の捲回群5は、正極P、負極N及び2枚のセパレータが、セパレータ1、負極N、セパレータ2、正極Pの順に積層され、巻き芯7の周囲に捲回されている。捲回群5を捲き解くときは、最外周に捲回されているセパレータ1のみを矢印B方向に予め1周分捲き解き、最外周に負極Nを露出させる。セパレータ1は正極Pの内周側に位置する。最外周に負極Nを露出させた捲回群5を作業台上に載置し、転がしながら捲き解く。捲き解いた後の積層順は、作業台側の最下層が負極Nとなり、セパレータ2、正極P、セパレータ1の順となる。セパレータ1、セパレータ2が作業台と接触することなく捲き解かれる。

概要

背景

自動車産業界においては、環境問題に対応すべく、動力源を完全に電池のみにした排出ガスのない電気自動車と、内燃機関エンジンと電池との両方を動力源とするハイブリッド電気)自動車の開発が加速され、実用化の段階に到っている。

電気自動車の電源となる電池には、当然高出力、高エネルギ特性が要求されると同時に、長期使用に耐え得る(電池性能を維持する)高度な信頼性も要求される。車両使用者を始めとする車両関係者経済的負担を軽減するためにも、新車登録から車両の寿命を全うして廃車になるまでの期間に電池交換を行わない(行う必要がない)ことが望ましい。電池の信頼性を向上させるために、車両の使用に対応する繰り返し充放電や車両の駐車に対応する長期間放置で電池性能の劣化がないこと、車両あたりに複数の電池が搭載される場合に電池間で電池性能のバラツキがないこと、また、車両使用中に電池性能のバラツキが拡大しないこと、等の様々な項目について検討がなされている。逆に見れば、電池の信頼性を低下させる要因もまた様々である。

電池の信頼性を低下させる要因の1つとして、電池の製造環境から正負極セパレータとの間に異物混入することが挙げられる。特に、リチウムイオン電池では、高出力を得るために、正負極をセパレータを介して捲回した捲回群とすることで充放電面積の拡大が図られており、また、正負極間に配置されるセパレータとして、厚さ数十μmといった極薄ポリエチレンポリプロピレン製フィルムが用いられている。車両に搭載された電池は、車両での充放電、走行中の振動周囲環境温度変化、といった外的要因を受けるため、これらの外的要因と正負極/セパレータ間の積層圧(捲回圧)がかかった状況とにより、電池内に混入した異物自体が極薄のセパレータを貫通し内部短絡を招くおそれがある。特に、異物が金属等の導電性異物の場合には、セパレータを貫通すると必ず内部短絡に到るといってもよい。

また、異物が電気化学的に容易に溶解、析出するような銅や鉄等の金属の場合には、正極に付着して電池内に混入した異物が充電状態にある高電位の正極で容易に溶解する。溶解した金属イオン電解液中を拡散し、やがては低電位の負極に到達して負極表面で金属として析出する。この析出した金属がセパレータ中電解液相成長し、成長先端が正極に到達することで内部短絡が生じる。この場合には、負極表面での金属の析出成長形態が正極で溶解した金属イオンの拡散中の濃度分布を反映するため、セパレータの正極側では析出痕が小さく、逆にセパレータの負極側では析出痕が大きく残ることとなる。

上述した異物自体によるセパレータの貫通であっても、異物の溶解、析出によるセパレータの貫通であっても、セパレータには必ず混入した異物の痕跡が残るため、セパレータの観察が異物の混入状況を把握する上で極めて重要な位置づけとなる。電池製造業者では、製造環境等からの異物の混入状況を確認するため、電池を分解して取り出した正負極やセパレータの表面を観察することは通例である。このときには、電池容器から捲回群を取り出し、取り出した捲回群を、例えば、載置台等の平板上で捲き解いて観察する。

一方、金属異物の混入を検査するため、セパレータを介して対向させた正負極を電解液中に浸潤させ、正負極間に所定電圧印加することで、混入した金属をセパレータ上に黒点として析出させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

特開2001−345094号公報

概要

分解時にセパレータの損傷を防止することができる捲回式電池分解方法を提供する。リチウムイオン二次電池の捲回群5は、正極P、負極N及び2枚のセパレータが、セパレータ1、負極N、セパレータ2、正極Pの順に積層され、巻き芯7の周囲に捲回されている。捲回群5を捲き解くときは、最外周に捲回されているセパレータ1のみを矢印B方向に予め1周分捲き解き、最外周に負極Nを露出させる。セパレータ1は正極Pの内周側に位置する。最外周に負極Nを露出させた捲回群5を作業台上に載置し、転がしながら捲き解く。捲き解いた後の積層順は、作業台側の最下層が負極Nとなり、セパレータ2、正極P、セパレータ1の順となる。セパレータ1、セパレータ2が作業台と接触することなく捲き解かれる。

目的

本発明は上記事案に鑑み、分解時にセパレータの損傷を防止することができる捲回式電池の分解方法を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

第1のセパレータ、負極、第2のセパレータ、正極の順に積層、捲回された捲回群電池容器に収容された捲回式電池分解方法であって、前記捲回群を前記電池容器から取り出し、前記取り出した捲回群を、下層から、前記正極及び負極のいずれか一方、前記第1、第2のセパレータのいずれか一方、前記正極及び負極のいずれか他方、前記第1、第2のセパレータのいずれか他方の積層順となるように捲き解く、ステップを含むことを特徴とする分解方法。

請求項2

前記捲回群を捲き解くステップは、前記取り出した捲回群から前記第1のセパレータのほぼ1周分を先に捲き解いた後、前記捲回群を下層から前記負極、前記第2のセパレータ、前記正極、前記第1のセパレータの積層順で捲き解くことを特徴とする請求項1に記載の分解方法。

請求項3

前記捲回群を捲き解くステップは、前記取り出した捲回群から前記第1のセパレータ、前記負極、前記第2のセパレータのほぼ1周分を先に捲き解いた後、前記捲回群を下層から前記正極、前記第1のセパレータ、前記負極、前記第2のセパレータの積層順で捲き解くことを特徴とする請求項1に記載の分解方法。

技術分野

0001

本発明は捲回式電池分解方法係り、特に、第1のセパレータ、負極、第2のセパレータ、正極の順に積層、捲回された捲回群電池容器に収容された捲回式電池の分解方法に関する。

背景技術

0002

自動車産業界においては、環境問題に対応すべく、動力源を完全に電池のみにした排出ガスのない電気自動車と、内燃機関エンジンと電池との両方を動力源とするハイブリッド電気)自動車の開発が加速され、実用化の段階に到っている。

0003

電気自動車の電源となる電池には、当然高出力、高エネルギ特性が要求されると同時に、長期使用に耐え得る(電池性能を維持する)高度な信頼性も要求される。車両使用者を始めとする車両関係者経済的負担を軽減するためにも、新車登録から車両の寿命を全うして廃車になるまでの期間に電池交換を行わない(行う必要がない)ことが望ましい。電池の信頼性を向上させるために、車両の使用に対応する繰り返し充放電や車両の駐車に対応する長期間放置で電池性能の劣化がないこと、車両あたりに複数の電池が搭載される場合に電池間で電池性能のバラツキがないこと、また、車両使用中に電池性能のバラツキが拡大しないこと、等の様々な項目について検討がなされている。逆に見れば、電池の信頼性を低下させる要因もまた様々である。

0004

電池の信頼性を低下させる要因の1つとして、電池の製造環境から正負極とセパレータとの間に異物混入することが挙げられる。特に、リチウムイオン電池では、高出力を得るために、正負極をセパレータを介して捲回した捲回群とすることで充放電面積の拡大が図られており、また、正負極間に配置されるセパレータとして、厚さ数十μmといった極薄ポリエチレンポリプロピレン製フィルムが用いられている。車両に搭載された電池は、車両での充放電、走行中の振動周囲環境温度変化、といった外的要因を受けるため、これらの外的要因と正負極/セパレータ間の積層圧(捲回圧)がかかった状況とにより、電池内に混入した異物自体が極薄のセパレータを貫通し内部短絡を招くおそれがある。特に、異物が金属等の導電性異物の場合には、セパレータを貫通すると必ず内部短絡に到るといってもよい。

0005

また、異物が電気化学的に容易に溶解、析出するような銅や鉄等の金属の場合には、正極に付着して電池内に混入した異物が充電状態にある高電位の正極で容易に溶解する。溶解した金属イオン電解液中を拡散し、やがては低電位の負極に到達して負極表面で金属として析出する。この析出した金属がセパレータ中電解液相成長し、成長先端が正極に到達することで内部短絡が生じる。この場合には、負極表面での金属の析出成長形態が正極で溶解した金属イオンの拡散中の濃度分布を反映するため、セパレータの正極側では析出痕が小さく、逆にセパレータの負極側では析出痕が大きく残ることとなる。

0006

上述した異物自体によるセパレータの貫通であっても、異物の溶解、析出によるセパレータの貫通であっても、セパレータには必ず混入した異物の痕跡が残るため、セパレータの観察が異物の混入状況を把握する上で極めて重要な位置づけとなる。電池製造業者では、製造環境等からの異物の混入状況を確認するため、電池を分解して取り出した正負極やセパレータの表面を観察することは通例である。このときには、電池容器から捲回群を取り出し、取り出した捲回群を、例えば、載置台等の平板上で捲き解いて観察する。

0007

一方、金属異物の混入を検査するため、セパレータを介して対向させた正負極を電解液中に浸潤させ、正負極間に所定電圧印加することで、混入した金属をセパレータ上に黒点として析出させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

0008

特開2001−345094号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、電池容器から捲回群を取り出して捲き解く分解作業時に、周囲環境から異物が混入することがあるため、捲き解いた正負極やセパレータを観察するときに、製造環境からの異物と分解作業時に混入した異物との区別ができないこともある。これを避けるために、分解作業を周囲環境からの汚染のないクリーンルーム等の環境下で行っても、捲回群を載置台上で捲き解くときに、極薄のセパレータが載置台と接触することで損傷する場合があるため、異物の痕跡の正確な観察を妨害するおそれがある。

0010

本発明は上記事案に鑑み、分解時にセパレータの損傷を防止することができる捲回式電池の分解方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

上記課題を解決するために、本発明は、第1のセパレータ、負極、第2のセパレータ、正極の順に積層、捲回された捲回群が電池容器に収容された捲回式電池の分解方法であって、前記捲回群を前記電池容器から取り出し、前記取り出した捲回群を、下層から、前記正極及び負極のいずれか一方、前記第1、第2のセパレータのいずれか一方、前記正極及び負極のいずれか他方、前記第1、第2のセパレータのいずれか他方の積層順となるように捲き解く、ステップを含むことを特徴とする。

0012

本発明の捲回式電池の分解方法では、電池容器に収容された捲回群を電池容器から取り出し、取り出した捲回群を、下層から、正極及び負極のいずれか一方、第1、第2のセパレータのいずれか一方、正極及び負極のいずれか他方、第1、第2のセパレータのいずれか他方の積層順となるように捲き解くため、例えば、載置台に載置したときに、最下層の正極及び負極のいずれか一方が載置台と接触して第1、第2のセパレータはいずれも載置台と接触しないので、捲回式電池の分解時に第1、第2のセパレータの損傷を防止することができる。

0013

この場合において、捲回群を捲き解くステップが、取り出した捲回群から第1のセパレータのほぼ1周分を先に捲き解いた後、捲回群を下層から負極、第2のセパレータ、正極、第1のセパレータの積層順で捲き解くようにすれば、負極が最下層となり載置台と接触するため、第1、第2のセパレータの載置台との接触を防止することができる。また、捲回群を捲き解くステップが、取り出した捲回群から第1のセパレータ、負極、第2のセパレータのほぼ1周分を先に捲き解いた後、捲回群を下層から正極、第1のセパレータ、負極、第2のセパレータの積層順で捲き解くようにすれば、正極が最下層となり載置台と接触するため、第1、第2のセパレータの載置台との接触を防止することができる。

発明の効果

0014

本発明によれば、電池容器に収容された捲回群を電池容器から取り出し、取り出した捲回群を、下層から、正極及び負極のいずれか一方、第1、第2のセパレータのいずれか一方、正極及び負極のいずれか他方、第1、第2のセパレータのいずれか他方の積層順となるように捲き解くため、例えば、載置台に載置したときに、最下層の正極及び負極のいずれか一方が載置台と接触して第1、第2のセパレータはいずれも載置台と接触しないので、捲回式電池の分解時に第1、第2のセパレータの損傷を防止することができる、という効果を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、図面を参照して、本発明に係る分解方法を円筒型リチウムイオン二次電池に適用した実施の形態について説明する。

0016

<電池の構成>
図1に示すように、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20は、電池容器となるステンレス製有底円筒状の電池缶8及び樹脂製で円筒状の捲き芯7の周囲に後述する帯状の正極及び負極がセパレータを介して捲回された捲回群5を備えている。

0017

捲回群5の上側には、正極からの電位集電するためのリング状の正極集電リング14が配置されている。正極集電リング14は、正極集電リング14を支持する正極集電リング支えを介して巻き芯7の上端部に固定されている。正極集電リング14の周縁には、正極から延出された正極リード片12の端部が溶接されている。正極集電リング14の上方には、中央部が凸状に成形された円盤状の電池蓋9が配置されている。正極集電リング14の上部は正極リード板を介して電池蓋9の下部と電気的に接続されている。一方、捲回群5の下側には負極からの電位を集電するためのリング状の負極集電リング15が配置されており、負極集電リング15は負極集電リング15を支持する負極集電リング支えを介して巻き芯7の下端部に固定されている。負極集電リング15の周縁には負極から延出された負極リード片13の端部が溶接されており、負極集電リング15の下部は負極リード板を介して電池缶8の内底部に溶接されている。

0018

電池蓋9は、絶縁性及び耐熱性ガスケットを介して電池缶8の上部にカシメられて固定されている。このため、リチウムイオン二次電池20の内部は密封されている。また、電池缶8内には、図示しない非水電解液が所定量注液されており、捲回群5はこの図示しない非水電解液に浸潤されている。

0019

図2に示すように、捲回群5は、正極P及び負極Nが、ポリエチレン製で厚さ40μm程度の2枚のセパレータ1及びセパレータ2を介して、セパレータ1、負極N、セパレータ2、正極Pの順に積層され、巻き芯7の周囲に捲回されている。このため、捲回群5の巻き芯7側の最内周には正極Pが配置されており、捲回群5の最外周にはセパレータ1が配置されている。また、セパレータ1は負極Nの外周側に配置されており、セパレータ2は正極Pの外周側に配置されている。捲回群5の外周面(セパレータ1の外周)には、捲回群5と電池缶8とを電気的に絶縁する絶縁フィルムが捲かれている。絶縁フィルムの巻き終わり端は、捲き止め粘着テープ等で固定されている。

0020

上述した捲回群5を構成する正極Pは、正極集電体として厚さ15〜30μm程度の帯状のアルミニウム箔を有している。アルミニウム箔の両面には、正極活物質リチウム遷移金属複酸化物粉末バインダ結着剤)と共に塗着されている。正極Pの長手方向一側の側縁には、正極活物質が両面共に塗着されない未塗工部が形成されており、未塗工部には正極リード片12が形成されている。一方、負極Nは、負極集電体として厚さ10〜20μm程度の帯状の銅箔を有している。銅箔の両面には、負極活物質炭素材粉末がバインダと共に塗着されている。負極Nの長手方向一側の側縁には負極活物質が両面共に塗着されない未塗工部が形成されており、未塗工部には負極リード片13が形成されている。

0021

<電池の分解>
次に、使用後のリチウムイオン二次電池20の分解手順について説明する。

0022

(捲回群取り出し)
リチウムイオン二次電池20の分解時には、まず、電池缶8上部のカシメ部分を切断してガスケットを取り除いた後、正極リード板を切断して電池蓋9を取り外す。次に、電池缶8内の非水電解液を廃液した後、電池缶8の底部を切断する。次いで、電池缶8から捲回群5を取り出す。このときには、電池缶8の切断部等で捲回群5を傷つけないように慎重に作業する。続いて、正極リード片12、負極リード片13を切断し、捲回群5を捲き解くときの妨げとなる正極集電リング14、負極集電リング15等の集電部材も予め除去する。次に、捲回群5の周囲に捲かれている絶縁フィルムを固定している捲き止め粘着テープ等を剥がし取り、絶縁フィルムを取り除く。特に、絶縁フィルムの内側に捲回されているセパレータ1を傷つけないように注意深く取り除く。これらの作業で、捲回群5は、正極P、負極N、セパレータ1、セパレータ2を捲き解ける状態となる。

0023

(捲き解き)
図3に示すように、捲き解ける状態とした捲回群5は、最外周にセパレータ1が捲かれているため、セパレータ1のみを矢印B方向に予め1周分捲き解き、最外周に負極Nを露出させる。捲き解いたセパレータ1は、正極Pの内周側に位置することとなる。次に、図4に示すように、例えば、長等のできるだけ清浄な平板の作業台25(セパレータ1、セパレータ2の長さ以上の長さであることが好ましい)上に捲回群5を載置する。このとき、最外周に露出させた負極Nを下側(作業台25側)にして載置する。次いで、捲回群5を作業台25上で捲回群5の捲回方向とは逆の矢印A方向に転がしながら捲き解く。捲き解いた後の積層順は、作業台25側の最下層が負極N、その上層にセパレータ2、正極Pの順となり、最上層がセパレータ1となる。このため、負極Nの下面は作業台25と接触する。なお、捲回群5を捲き解く作業は、周囲からの塵埃の影響を受けないように、例えば、クリーンルーム等の清浄な室内で行うことが好ましい。

0024

(作用等)
次に、本実施形態の分解方法の作用等について説明する。

0025

リチウムイオン二次電池20の製造時に電池内に異物が混入すると、異物自体や異物の溶解、析出によりセパレータを貫通して内部短絡を生じるため、リチウムイオン二次電池20は早期に使用不可能となる。内部短絡を生じたリチウムイオン二次電池20のセパレータには必ず混入した異物の痕跡が残るため、セパレータを取り出して観察することで、異物の混入状況を把握することができる。ところが、リチウムイオン二次電池20では、セパレータ1、負極N、セパレータ2、正極Pの順に積層、捲回されて捲回群5が作製されるため、捲回群5の最外周にはセパレータ1が配置されている。この状態から捲回群5を捲き解くと、セパレータ1が最下層となる。セパレータ1は極薄で極めて傷つきやすく、また、捲回群5を捲き解くときには、捲回群5の下側に捲回群5の自重がかかる。このため、作業台25上に異物があると、例えば、数μm〜十数μm程度の非常に小さい異物でも、最下層となるセパレータ1には容易に異物が突き刺さり傷つくので、製造時に混入した異物の痕跡の正確な観察を妨げることとなる。

0026

本実施形態では、リチウムイオン二次電池20を分解するときに、予めセパレータ1を1周分捲き解くことで、捲回群5を捲き解いた後の積層順を、下層から、負極N、セパレータ2、正極P、セパレータ1とする。このため、負極Nが最下層となり作業台25と接触するので、セパレータ1及びセパレータ2を作業台25と接触させることなく捲き解くことができる。これにより、セパレータ1及びセパレータ2が分解作業時に傷つくことがないので、製造時にリチウムイオン二次電池20内に異物が混入した場合の異物の痕跡を正確に観察することができる。

0027

また、本実施形態の分解方法では、捲き解いている途中の捲回群5の外周面が負極Nとなるので、捲回群5を捲き解きながら捲回群5の外周面を観察することで、負極Nの表面に混入付着した異物の有無を確認することができる。これにより、捲回群5を捲き解く場合に、最下層の負極Nが作業台25と接触する前に負極Nの観察ができるため、作業開始前から作業台25にあった異物(分解目的以外の異物)が負極Nの表面に付着しても、製造時に捲回群5内に混入した異物と誤判断することを防止することができる。従って、製造時に混入した異物を正確に確認することができる。

0028

更に、本実施形態の分解方法では、捲回群5を捲き解いた後の積層順で、セパレータ1を最上層とするため、最上層の上面がセパレータ1の負極Nと接していた面となる。この面には、溶解、析出性の金属異物による析出痕が残り易いので、捲回群5を捲き解きながらセパレータ1の負極Nと接していた面を観察することで、溶解、析出性の金属異物の混入を容易に確認することができる。

0029

なお、本実施形態では、捲回群5を捲き解いた後の積層順で、最下層を負極Nとする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、最下層を正極Pとしてもよい。この場合には、電池缶8から取り出した捲回群5の外周から、上述したセパレータ1を1周分捲き解くこと(図3参照)に加えて、負極N、セパレータ2を予め1周分捲き解き、最外周に正極Pを露出させる。捲き解いたセパレータ1、負極N、セパレータ2はこの順に正極Pの内周側に位置することとなる。次に、図5に示すように、露出させた正極Pを下側にして作業台25に捲回群5を載置し、捲回群5を捲き解く。これにより、捲回群5から捲き解いて引き出した積層順が、下層から順に、正極P、セパレータ1、負極N、セパレータ2となる。このようにしても、作業台25には正極Pが接触するため、セパレータ1、セパレータ2は共に作業台25に接触することなく捲回群5を捲き解くことができる。また、捲回群5を捲き解いている途中で(作業台25に接する前に)正極Nの表面を観察することができる。更に、捲き解いた後に最上層の上面となるセパレータ2の正極に接していた面も捲回群5を捲き解きながら観察することができる。

0030

また、本実施形態では、有底円筒型のリチウムイオン二次電池20を例示したが、本発明は電池構造や形状に特に限定されるものではない。例えば、電池構造としては、正負極外部端子が巻き芯を介して押し合う構造の電池にも適用することができる。また、形状としては、正負極がセパレータを介して捲回されていれば、本発明の効果を発揮することができ、例えば、捲回群を角形の電池缶に収容させた電池にも適用することができる。更に、本実施形態では、正負極を巻き芯7の周囲に捲回した例を示したが、巻き芯7を用いることなく正負極を捲回した電池にも適用可能である。

0031

更に、本実施形態では、ポリエチレン製のセパレータ1、2を例示したが、本発明はセパレータの材質に限定されるものではない。セパレータの材質にかかわらず、セパレータを損傷することなく捲き解かれるので、異物混入の痕跡を正確に観察することができる。本実施形態以外のセパレータとしては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の材質としてもよく、また、異なる材質のフィルムを積層したタイプのセパレータとしてもよい。

0032

また更に、本実施形態では、正極活物質にリチウム遷移金属複酸化物、負極活物質に炭素材を例示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、例えば、マンガン酸リチウムコバルト酸リチウムニッケル酸リチウム結晶中のリチウムマンガンの一部を他の元素置換又はドープした材料を挙げることができる。また、負極活物質としては、例えば、黒鉛非晶質炭素等の炭素材を挙げることができる。更に、本発明はリチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、正負極が捲回された捲回式電池であれば適用可能であることはもちろんである。

0033

次に、本実施形態に従い、リチウムイオン二次電池20を分解して正負極及びセパレータの異物痕跡を観察した実施例について説明する。なお、比較のために、捲き解いた後の積層順を変えて分解した比較例についても併記する。また、以下に示す実施例及び比較例では、異物観察の効果を明確にするため、電池の分解作業をクリーンルームではなく常温常湿の室内で行った。

0034

(実施例1)
実施例1では、捲回群5を捲き解いた後の積層順を、下層から、負極N、セパレータ2、正極P、セパレータ1とした(図4参照)。正極Pは、正極活物質と負極活物質とのリチウムイオン吸蔵能力の違いから相対的に負極Nより厚く形成されており、構成材料や厚さの違いから負極Nより硬い性質を帯びているため、捲回された状態を長時間強いられた後では捲回形状のくせ(湾曲)が残り易い。このため、捲回群5を捲き解くと、曲率の大きい捲回中心側(巻き芯7の近傍)になればなるほど正極Pのくせが強くなり、捲回中心側の正極Pでは浮き上がりが生じることとなる。特に、実施例1では、捲き解いた後の正極Pより上層には、軽量のセパレータ1のみしか積層されないので、正極Pの浮き上がりが発生し易い。このため、セパレータ1及び正極Pを観察するときに、必要によりセパレータ1の上から適切な等でセパレータ1が傷つかないように押さえておいた。

0035

捲回群5を捲き解いた後、積層された積層体から、最上層のセパレータ1をめくり取り、めくり取ったセパレータ1の正極Pと接していた面及び正極Pの両面を観察した。次いで、正極Pをめくり取り、現れたセパレータ2の正極Pと接していた面を観察した。そして、セパレータ2をめくり取り、めくり取ったセパレータ2の負極Nに接していた面及び負極Nの表面(負極Nの下面は捲き解きながら観察済みである)を観察した。実施例1では、セパレータ1、セパレータ2共に、作業台25に接触させることなく捲回群5を捲き解くことができ、製造時に混入した異物による傷や析出痕等を正確かつ容易に観察することができた。

0036

(実施例2)
実施例2では、捲回群5を捲き解いた後の積層順を、下層から、正極P、セパレータ1、負極N、セパレータ2とした(図5参照)。実施例2の場合も実施例1と同様に、捲き解いた後の積層体を順次めくり取って各面を観察した。実施例2でも、セパレータ1、セパレータ2共に作業台25に接触させることなく捲回群5を捲き解くことができ、製造時に混入した異物による傷や析出痕等を正確かつ容易に観察することができた。また、実施例2では、捲き解いた後の正極Pの上層には、セパレータ1、2及び負極Nが積層されている。このため、正極Pの捲回中心側でくせがついていたとしても、2枚のセパレータ及び負極Nが実施例1で用いた押さえの役割を果たすので、正極Pの浮き上がりがなくなるか、又は、浮き上がりの程度が軽くなり、錘等の押さえによる副次的なセパレータの傷つきを防止することができた。

0037

(比較例1、比較例2)
比較例1及び比較例2では、捲回群5を捲き解いた後の積層順を変える以外は実施例1と同様にした。比較例1では、図6に示すように、積層順を、下層から順に、セパレータ2、正極P、セパレータ1、負極Nとした。比較例2では、図7に示すように、積層順を、下層から順に、セパレータ1、負極N、セパレータ2、正極Pとした。すなわち、比較例2では、捲回群5の作製時に積層した順のまま捲き解いたこととなる(図2も参照)。

0038

比較例1及び比較例2では、それぞれセパレータ1及びセパレータ2が最下層に位置するため、セパレータ1、セパレータ2が作業台25上の異物等で容易に傷つき、製造時に混入した異物による傷や析出痕等を正確に観察することができなかった。また、捲き解くときには、捲回群5の下側に捲回群5の自重がかかるので、作業台25上に異物があると、例え数μm〜十数μmの非常に小さい異物でも、最下層に位置するセパレータには容易に異物が突き刺さり傷つくことが判った。

0039

本発明は、分解時にセパレータの損傷を防止することができる捲回式電池の分解方法を提供するものであり、セパレータの観察から異物混入状況を正確かつ容易に把握して製造環境の改善に反映させることができることから、捲回式電池の製造、販売に寄与し、産業上利用できる。

図面の簡単な説明

0040

本発明に係る分解方法を適用した実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池を示す断面図である。
円筒型リチウムイオン二次電池の捲回群を作製するときの積層順を模式的に示す説明図である。
捲回群の最外周のセパレータを予め1周分捲き解くときの途中の状態を模式的に示す説明図である。
捲回群を、最下層を負極として捲き解くときの積層順を模式的に示す説明図である。
捲回群を、最下層を正極として捲き解くときの積層順を模式的に示す説明図である。
比較例1で円筒型リチウムイオン二次電池の捲回群を捲き解くときに、捲回群で正極の外周側に位置していたセパレータを最下層とした積層順を模式的に示す説明図である。
比較例2で円筒型リチウムイオン二次電池の捲回群を捲き解くときに、捲回群で負極の外周側に位置していたセパレータを最下層とした積層順を模式的に示す説明図である。

符号の説明

0041

P 正極
N 負極
1セパレータ(第1のセパレータ)
2 セパレータ(第2のセパレータ)
5 捲回群
7 捲き芯
8電池缶
20円筒型リチウムイオン二次電池(捲回式電池)

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