図面 (/)

技術 脈管の傷害後の再狭窄を防ぐためのラパマイシンとの組み合わせにおけるクラドリビンの局所的脈管配給

出願人 コーディス・コーポレイション
発明者 ロバート・ファロティコトム・ジェイ・パリージョナソン・ゼット・ザオ
出願日 2005年2月17日 (15年9ヶ月経過) 出願番号 2005-040910
公開日 2005年9月22日 (15年2ヶ月経過) 公開番号 2005-253959
状態 特許登録済
技術分野 医療用材料 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 手術用機器 補綴 媒体導出入付与装置 手術用機器 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 取付け器具 中断部分 幾何学的形 起立部分 取付器具 配給装置 モジュール式部品 自己的
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年9月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

生体への医療装置の導入に対する一定の生物学的な生体反応を最少にするか実質的に無くすために被覆可能である医療装置、特に移植可能な医療装置を提供する。

解決手段

上記医療装置は,一定の移植可能な構造、第1の高分子材料の中に組み込まれるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物治療用量含有する一定の基礎皮膜基材を備え、該基礎皮膜基材が該医療装置の表面に固定され、該パマイシンおよびクラドリビンの溶出速度を制御するため前記基礎皮膜基材に固定される第2の高分子材料を含有する一定の上部皮膜を備えることを特徴とする。これらの医療装置は種々のステント移植片吻合装置脈管周囲ラップ縫合糸およびステープルを含む。

概要

背景

多くの個人心臓およびその他の主要な器官において多くある種々の血管の一定の進行性閉塞により生じる循環系の病気に罹っている。これらの個人における血管のさらに深刻な閉塞は多くの場合に高血圧虚血性傷害発作、または心筋梗塞を引き起こす。冠動脈血流を制限または閉塞するアテローム性硬化症病巣は虚血性の心臓病の主因である。これに対して、経皮内腔式の冠動脈血管形成術は一定の動脈の中を通る血流を増加することを目的としている一定の医療処置である。さらに、この経皮経内腔式の冠動脈血管形成術は冠動脈血管狭窄のための主要な治療である。すなわち、この処置の使用の増加は冠動脈バイパス術に比べた場合のその比較的に高い成功率およびその最小限の侵襲性を起因としていると考えられる。しかしながら、この経皮経内腔式の冠動脈形成術付随する一定の制限はその処置の直後に生じる可能性のある血管の急な閉鎖およびその処置に続いて徐々に生じる再狭窄である。加えて、この再狭窄は伏在静脈のバイパス移植を受けている患者における一定の慢性の問題である。上記のような急性の閉塞のメカニズムは幾つかの要因を含むと考えられ、結果的に動脈の閉塞を伴う脈管反跳および/または新しく開口した血管の損傷部分の長さに沿う血小板およびフィブリン堆積により生じる可能性がある。

経皮経内腔式の冠動脈形成術の後における再狭窄は脈管の傷害により始まる比較的に漸進的な過程である。血栓症、炎症、増殖因子およびサイトカインの放出、細胞増殖細胞移動および細胞外基質の合成を含む多数の過程がそれぞれ上記のような再狭窄の過程の原因になっている。

再狭窄の正確なメカニズムは完全には理解されていないが、このような再狭窄の過程における全般的な種々の態様が認識されつつある。正常な動脈壁部内において、平滑筋細胞は1日あたりにほぼ0.1パーセント(%)よりも低い一定の低速度で増殖する。また、種々の脈管壁部内における平滑筋細胞は80乃至90%の細胞質容積収縮性組織により占められていることにより特徴付けられる一定の収縮性の表現型で存在している。この場合に、小胞体ゴルジ体、および遊離リボソームは少量であり、核周囲領域内に存在している。また、細胞外基質は平滑筋細胞を囲っていて、ヘパリン様グリコシルアミノグリカンに富んでおり、これらは平滑筋細胞をその収縮性の表現型の状態に維持するために作用すると考えられている(キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1985年)。

血管形成術中における一定の冠動脈内バルーンカテーテルの圧力による拡張時に、その血管壁部内の平滑筋細胞が損傷して、一定の血栓および炎症性応答が開始する。血小板、侵襲性のマクロファージおよび/または白血球から放出されるか、平滑筋細胞自体から直接的に放出される血小板由来増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子表皮増殖因子、トロンビン等のような種々の細胞由来型の増殖因子は内側平滑筋細胞における一定の増殖性および移動性の応答を誘発する。これらの細胞はその収縮性の表現型からわずかな量の収縮性のフィラメントの束および多量の粗面の小胞体、ゴルジ体および遊離のリボソームにより特徴付けられる一定の合成的な表現型への変化を生じる。このような増殖/移動は通常的に傷害後の1日乃至2日以内に始まり、その数日後に最高になる(キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1987年、クロウズ(Clowes)およびシュワルツ(Schwartz),1985年)。

種々の娘細胞が動脈平滑筋内膜層に移動して、増殖しながら相当量細胞外基質タンパク質分泌し続ける。このような増殖、移動および細胞外基質の合成は損傷を受けた内皮層修復されるまで続き、この修復時点において、通常的に傷害後の7日乃至14日以内に、その増殖はその内膜内において減速する。このようにして新たに形成された組織はネオ内膜(新内膜)と呼ばれる。その後の3ヶ月乃至6ヶ月にわたり生じる付加的な血管の狭窄化は主として陰性または狭窄性の再造形による。

局所的な狭窄および移動と同時に、炎症性の細胞が血管の傷害部位に付着する。傷害後の3日乃至7日以内に、これらの炎症性の細胞は血管壁のさらに深い層まで移動する。バルーンによる傷害またはステントの移植のいずれかを採用している種々の動物体モデルにおいて、上記のような炎症性の細胞は少なくとも30日間にわたり一定の血管の傷害部位に付着し続ける可能性がある(タナカ(Tanaka)他,1993年、エデルマン(Edelman)他,1998年)。従って、このような炎症性の細胞が存在していると、再狭窄における急性の状態と慢性の状態の両方の起因になる可能性がある。

多くの物質が再狭窄において推測される抗増殖作用について調査されており、種々の実験動物モデルにおいてある程度の活性を示している。種々の動物モデルにおける内膜の過形成の程度を有効に軽減することを示している一部の物質はヘパリンおよびヘパリン・フラグメント(クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびカルノブスキー,M.(Karnovsky, M.),ネイチャー(Nature),265巻,p.25−26,1977年、ガイトン,J.R.(Guyton, J.R.)他,サーキュレーションリサーチCirc. Res.),46巻,p.625−634,1980年、クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),ラボラトリーインステイゲーション(Lab. Invest.),52巻,p.611−616,1985年、クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),58巻,p.839−845,1986年、マジェスキー(Majesky)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),61巻,p.296−300,1987年、スノー(Snow)他,アメリカン・ジャーナルオブ・パソロジー(Am. J. Pathol.),137巻,p.313−330,1990年、オカダ,T.(Okada, T.)他,ニューロサージェリー(Neurosurgery),25巻,p.92−98,1989年)、コルヒチンクーリエ,J.W.(Currier, J.W.)他,サーキュレーション(Circ.),80巻,p.11−66,1989年)、タクソール(ソロット,S.J.(Sollot, S.J.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),95巻,p.1869−1876,1995年)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬パウエル,J.S.(Powell, J.S.)他,サイエンス(Science),245巻,p.186−188,1989年)、アンギオペプチン(ランデルガン,C.F.(Lundergan, C.F.)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・カージオロジー(Am. J. Cardiol.),17巻(増刊B),p.132B−136B,1991年)、シクロスポリンA(ジョナッソン,L.(Jonasson, L.)他,プロシーデイング・ナチュラルアカミック・ソサイエテイ(Proc. Natl. Acad. Sci.),85巻,p.2303,1988年)、ヤギアンチラビットPDGF抗体(フェルンス,G.A.A.(Ferns, G.A.A.)他,サイエンス,253巻,p.1129−1132,1991年)、テルビナフィン(ネメセック,G.M.(Nemecek, G.M.)他,ジャーナル・オブ・ファーコロジー・エクスペリメンタル.セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera.),248巻,p.1167−1174,1989年)、トラピジル(リウ,M.W.(Liu, M.W.)他,サーキュレーション(Circ.),81巻,p.1089−1093,1990年)、トラニラスト(フクヤマ,J.(Fukuyama, J.)他,ユーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Pharmacol.),318巻,p.327−332,1996年)、インターフェロンガンマ(ハンソン,G.K.(Hansson, G.K.)およびホルム,J.(Holm, J.),サーキュレーション(Circ.),84巻,p.1266−1272,1991年)、ラパマイシンマークス,S.O.(Marx, S.O.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),76巻,p.412−417,1995年)、ステロイドコルバーン,M.D.(Colburn, M.D.)他,ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vas. Surg.),15巻,p.510−518,1992年)、(さらに、これについてはバーク,B.C.(Berk, B. C.)他,ジャーナル・オブ・アメリカン・コル・カージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.),17巻,p.111B−117B,1991年も参照されたい)、電離放射線ウエイバーガー,J.(Weinberger, J.)他,インターナシナル・ジャーナル・オブ・ラディオロジカル・オンコロジカル・バイオロジカル・フィジオロジー(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys.),36巻,p.767−775,1996年)、融合トキシン(ファーブ,A.(Farb, A.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),80巻,p.542−550,1997年)、アンチセンスオリジオヌクレオチド(シモンズ,M.(Simons, M.)他,ネイチャー(Nature),359巻,p.67−70,1992年)および遺伝子ベクターチャン,M.W.(Chang, M.W.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),96巻,p.2260−2268,1995年)を含む。生体外(イン・ビトロ)における平滑筋細胞に対する抗増殖作用は上記の物質の多くにおいて示されており、これらは、ヘパリン、ヘパリン共役物質、タクソール、トラニラスト、コルヒチン、ACE阻害薬、融合トキシン、アンチセンス・オリジオヌクレオチド、ラパマイシンおよび電離放射線を含む。従って、平滑筋細胞阻害の種々のメカニズムを伴う薬物は内膜の過形成を減少する点において治療的有用性を有すると考えられる。

しかしながら、種々の動物体モデルとは対照的に、人間の血管形成術の患者における全身系的な薬理学的手段による再狭窄の防止の試みはこれまでに成功には程遠いものであった。アスピリンジピリダモールチクロピジン抗血液凝固剤療法(急性のヘパリン、慢性のワルファリンヒルジンヒルログ)、トロンボキサン受容体拮抗物質、あるいはステロイドは再狭窄の予防にいずれも有効ではなかったが、血小板抑制物質は血管形成術後における急性の再閉塞の防止に効果的であった(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、ラング(Lang)他,1991年、ポプマ(Popma)他,1991年)。また、血小板GPIIb/IIIa受容体である、拮抗物質レオプロ(Reopro)(登録商標)は依然として研究中であるが、このレオプロ(Reopro)(登録商標)は血管形成術およびステント処理の後における再狭窄の軽減において明らかな結果を示していない。さらに、再狭窄の防止において有効性を示していない他の物質として、カルシウムチャネル拮抗薬プロスタサイクリンミメティック薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、セロトニン受容体拮抗薬、および抗増殖剤が含まれる。しかしながら、これらの薬物は全身系的に投与する必要があり、治療において有効な投薬量を達成することが可能でない場合があり、抗増殖(または、抗再狭窄)に対応する濃度がこれら薬物の既知の毒性濃度を超える可能性があるので、平滑筋阻害を生じさせるために十分な量に到達し得ない場合が有り得る(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、ラング(Lang)他,1991年、ポプマ(Popma)他,1991年)。

種々の食用魚サプリメントまたはコレステロール低下剤を利用して再狭窄を防止する有効性を調べている別の臨床的試行競合的なまたは否定的な結果を示すことが確かめられており、これらの薬理学的な物質はいずれも依然として血管形成術後の再狭窄を防止することにおいて臨床的に利用可能な段階ではない(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、フランクリン(Franklin)およびファクソン(Faxon),1993年、セリュイズ,P.W.(Serruys, P.W.)他,1993年)。最近の観察結果示唆するところによれば、抗脂質剤/酸化防止剤プロブコールが再狭窄の防止において有効であると思われるが、この作用は確認の必要がある(タージフ(Tardif)他,1997年、ヨコイ(Yokoi)他,1997年)。このプロブコールは米国では現在において使用が認可されておらず、緊急の血管形成術において30日間の予備治療期間においてその使用を避ける必要があると考えられている。さらに、電離放射線の適用はステントを伴う患者における血管形成術後の再狭窄の軽減または防止において相当な有望性を示している(テイルスタイン(Teirstein)他,1997年)。しかしながら、現在においては、再狭窄の最も有効な治療は血管形成術、アテレクトミーまたは冠動脈バイパス移植術を繰り返すことであり、この理由は、血管形成術後の再狭窄の防止のために使用するための食品医薬品局の認可を有する治療物質が現在において全く存在していないからである。

全身系的な薬理学的療法とは異なり、ステントは再狭窄を相当に軽減することにおいて有用であることが立証されている。一般的に、ステントはバルーン拡張型のスロット付き金属チューブ(通常的に、ステンレススチールであるがこれに限定されない)であり、これらは血管形成術が施された冠動脈の内腔内において拡張されると、その動脈壁部に対する剛性支持骨格構造の形成により構造的な支持を行なう。この支持構造は血管の内腔を開存状態に維持することに役に立つ。例えば、2回の無作為的に行なわれた臨床試行において、種々のステントは最小の内腔の直径を増大すると共に6ヶ月目における再狭窄の発生率をゼロにしたわけではないが減少したことにより、経皮経内腔式の冠動脈形成術後における血管造影による有効性を高めている(セリュイズ(Serruys)他,1994年、フィッシュマン(Fishman)他,1994年)。

加えて、ステントのヘパリン被膜ステント移植後における亜急性の血栓症を減少するという付加的な利点を有すると思われる(セリュイズ(Serruys)他,1996年)。従って、ステントによる狭窄した冠動脈の持続された機械的な拡張は再狭窄の防止の一定の方法を提供することが示されており、ヘパリンによるステントの被覆は種々の薬物を損傷した組織部位に局所的に配給することの実行可能性および臨床的な有用性の両方を立証している。

上述のように、ヘパリンを被覆したステントを用いることは局所的な薬剤配給の実行可能性および臨床上の有用性を立証しているが、このような特定の薬物または薬物の組み合わせ物を局所配給装置に固定する様式はこの種の治療の効能において一定の役割を果たす必要がある。例えば、薬物/薬物の組み合わせ物を局所配給装置に固定するために用いる方法および材料はその薬物/薬物の組み合わせ物の作用に対して干渉してはならない。さらに、これらの利用する方法および材料は生体適合性である必要があり、配給中および一定時間の期間にわたり一定の薬物/薬物の組み合わせ物をその局所配給装置に保持する必要がある。例えば、局所配給装置の配給中におけるその薬物/薬物の組み合わせ物の脱落は潜在的にその装置の能力不全を生じる可能性がある。

従って、例えば、アテローム硬化症、または、機械的に誘発する、例えば、経皮経内腔式の冠動脈形成術のいずれかにより生物学的に誘発する内膜の肥厚化を生じる脈管の損傷の防止および治療のための薬物/薬物の組み合わせ物および関連の局所配給装置に対する要望が存在している。加えて、配給および位置決め中に薬物/薬物の組み合わせ物を局所配給装置において保持すること、および一定時間の期間にわたり治療的投薬量で薬物/薬物の組み合わせ物を放出することを確実に行なうことに対する要望が存在している。

内膜の肥厚化を引き起こす傷害の防止および治療のための種々のステント被膜および配合物が提案されている。これらの被膜はそれ自体でステントが損傷した内腔壁に与える刺激を減少することができ、それゆえ、血栓症または再狭窄への傾向を低下することができる。あるいは、上記の被膜は平滑筋組織の増殖または再狭窄を減少する医薬品/治療薬または薬物を一定の内腔に配給することも可能である。この薬剤配給のメカニズムは一定のバルクポリマーまたはそのポリマーの構造中に形成されている細孔による薬剤拡散、あるいは、生体分解性の被膜の浸食により行われる。

ステント用の被膜として種々の生体吸収性生体定性の配合物が報告されている。これらの配合物は一般に、医薬品/治療薬または薬物、例えば、ラパマイシン、タクソール等を包み込むか、このような物質を一定の表面、例えば、ヘパリン被覆型のステントに結合する種々のポリマー被膜であった。さらに、これらの被膜は浸漬法、吹き付け法またはスピンコート法を含むがこれらに限定されない多くの方法でステントに塗布される。

種々のステント用の被膜として報告されている生体安定性の材料の一例はポリフルオロホモポリマーである。ポリテトラフルオロエチレンPTFE)ホモポリマーは長年にわたり移植材料として用いられている。これらのホモポリマーは一定の温度においてはいずれの溶剤にも溶解せず、それゆえ、上記装置の重要な特徴部分(例えば、ステントにおけるスロット部分)を維持しながら小形の各種医療装置に塗布することが困難である。

ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーにより作成されていて、放出するための医薬品/治療薬または薬物を含有している被膜を伴う種々のステントがこれまでに提案されている。しかしながら、大抵の結晶質ポリフルオロ・ホモポリマーと同様に、これらの被膜は、これらをそのポリマーの融点に相当する比較的に高い温度にしない場合には、種々の表面上に高品質フィルムまたは皮膜として塗布することが困難である。
キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1985年
キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1987年
クロウズ(Clowes)およびシュワルツ(Schwarts),1985年
タナカ(Tanaka)他,1993年
エデルマン(Edelman)他,1998年
クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびカルノブスキー,M(Karnovsky, M),ネイチャー(Nature),265巻,p.25−26,1977年
ガイトン,J.R.(Guyton, J.R.)他、サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),46巻,p.625−634,1980年
クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.)、ラボラトリー・インベステイゲーション(Lab. Invest.),52巻,p.611−616,1985年
クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),58巻,p.839−845,1986年
マジェスキー(Majesky),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),61巻,p.296−300,1987年
スノー(Snow)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am. J. Pathol.),137巻,p.313−330,1990年
オカダ,T(Okada, T),ニューロサージェリー(Neurosurgery),25巻,p.92−98,1989年
クーリエ,J.W.(Currier, J.W.)他,サーキュレーション(Circ.),80巻,p.11−66,1989年
ソロット,S.J.(Sollot, S.J.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),95巻,p.1869−1876,1995年
パウエル,J.S.(Powell, J.S.)他,サイエンス(Science),245巻,p.186−188,1989年
ランデルガン,C.F.(Lundergan, C.F.)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・カージオロジー(Am. J. Cardiol.),17巻(増刊B),p.132B−136B,1991年
ジョナッソン,L.(Jonasson, L.)他,プロシーディング・ナチュラル・アカデミック・ソサイエテイ(Proc. Natl. Acad. Sci.),85巻,p.2303,1988年
ファーンズ,G.A.A(Ferns, G.A.A.)他,サイエンス(Science),253巻,p.1129−1132,1991年
ネメセック,G.M.(Nemecek, G.M.)他,ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera.),248巻,p.1167−1174,1989年
リウ,M.W.(Liu, M.W.)他,サーキュレーション(Circ.),81巻,p.1089−1093,1990年
フクヤマ,J.(Fukuyama, J.)他,ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Parmacol. ),318巻,p.327−332,1996年
ハンソン,G.K.(Hansson, G.K.)およびホルム,J.(Holm, J.),サーキュレーション(Circ.),84巻,p.1266−1272,1991年
マークス,S.O.(Marx, S.O.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),76巻,p.412−417,1995年
コルバーン,M.D.(Colburn, M.D.)他,ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vasc. Surg.),15巻,p.510〜518,1992年
バーク,B.C.(Berk, B.C.)他,ジャーナル・オブ・アメリカン・コル・カージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.),17巻,p.111B−117B,1991年
ウエインバーガー,J.(Weinberger, J.)他,インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラディオロジカル・オンコロジカル・バイオロジカル・フィジオロジー(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys.),36巻,p.767−775,1996年
ファーブ,A.(Farb, A.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),80巻,p.542−550,1997年
シモンズ,M.(Simons, M.)他,ネイチャー(Nature),359巻,p.67−70,1992年
チャン,M.W.(Chang, M.W.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),96巻,p.2260−2268,1995年
マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年
ラング(Lang)他,1991年
ポプマ(Popma)他,1991年
フランクリン(Franklin)およびファクソン(Faxon),1993年
セリュイズ,P.W.(Serruys, P.W>)他,1993年
タージフ(Tardif)他,1997年
ヨコイ(Yokoi)他,1997年
テイルスタイン(Teirstein)他,1997年
セリュイズ(Serruys)他,1994年
フィッシュマン(Fischman)他,1994年
セリュイズ(Serruys)他,1996年

概要

生体への医療装置の導入に対する一定の生物学的な生体反応を最少にするか実質的に無くすために被覆可能である医療装置、特に移植可能な医療装置を提供する。上記医療装置は,一定の移植可能な構造、第1の高分子材料の中に組み込まれるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物を治療用量含有する一定の基礎皮膜基材を備え、該基礎皮膜基材が該医療装置の表面に固定され、該パマイシンおよびクラドリビンの溶出速度を制御するため前記基礎皮膜基材に固定される第2の高分子材料を含有する一定の上部皮膜を備えることを特徴とする。これらの医療装置は種々のステント、移植片吻合装置脈管周囲ラップ縫合糸およびステープルを含む。

目的

また、上記の被膜または医療装置自体に悪影響を及ぼすことなく種々の被覆型の移植可能な医療装置の配給を行なう配給装置を開発することも有利であると考えられる。加えて、このような配給装置は上記医療装置を一定の標的領域内に容易に且つ正確に位置決めするための一定の手段を医者に必然的に提供する。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

医療装置において、一定の移植可能な構造、第1の高分子材料の中に組み込まれている治療の用量におけるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物を含有している一定の基部被膜基材を備えており、この基部被膜基材が前記移植可能な医療装置の表面に固定されており、さらに前記ラパマイシンおよびクラドリビンの溶出速度を制御するために前記基部被膜基材に固定されている第2の高分子材料を含有している一定の上部被膜を備えている医療装置。

請求項2

前記移植可能な構造が一定のステントを含む請求項1に記載の医療装置。

請求項3

前記移植可能な構造が一定のステント移植片を含む請求項1に記載の医療装置。

請求項4

前記移植可能な構造が一定の吻合装置を含む請求項1に記載の医療装置。

請求項5

前記第2の高分子材料が前記第1の高分子材料に対して非相容性であり、これにより、前記ラパマイシンおよびクラドリビンの溶出に対する一定の物理的且つ化学的バリアが形成されている請求項1に記載の医療装置。

請求項6

前記第1の高分子材料が一定のフルオロポリマーを含む請求項5に記載の医療装置。

請求項7

前記第2の高分子材料が一定のアクリル樹脂を含む請求項5に記載の医療装置。

請求項8

一定の医療装置において、一定の移植可能な構造、および脈管傷害後の再狭窄の治療のために前記移植可能な構造に放出可能に固定されている治療の用量におけるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物を備えている医療装置。

請求項9

前記移植可能な構造が一定のステントを含む請求項8に記載の医療装置。

請求項10

前記移植可能な構造が一定のステント移植片を含む請求項8に記載の医療装置。

請求項11

前記移植可能な構造が一定の吻合装置を含む請求項8に記載の医療装置。

請求項12

さらに、一定の高分子の被膜を備えており、前記ラパマイシンおよびクラドリビンの組み合わせ物がこの高分子の被膜の中に組み込まれている請求項8に記載の医療装置。

請求項13

一定の治療の用量のラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物の局所的投与を含む再狭窄を治療するための方法。

請求項14

一定の治療の用量のラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物の投与を含む再狭窄を治療するための方法。

技術分野

0001

本発明は脈管病気の予防および治療のための薬物/薬物の種々の組み合わせ物局所的な投与に関連しており、特に、傷害により生じる脈管の病気の予防および治療のための薬物/薬物の種々の組み合わせ物の局所的な配給のための内腔医療装置および当該内腔内医療装置において上記の薬物/薬物の種々の組み合わせ物を保持するための、ならびに、当該医療装置に対する損傷を防ぐための方法および装置に関連している。本発明はまた病気を治療および予防して生体への医療装置の導入に対する一定の生物学的な生体反応を最少にするか実質的に無くすためにその装置に固定されている種々の薬物、薬剤および/または配合物を有する種々のステント移植片吻合装置脈管周囲ラップ縫合糸およびステープルを含む医療装置に関連している。加えて、上記の種々の薬物、薬剤および/または配合物は治癒および内皮化を促進するために利用可能である。本発明はまた種々の移植可能な医療装置からの種々の薬物、薬剤および/または配合物の溶出速度を制御するための被膜に関連している。

背景技術

0002

多くの個人心臓およびその他の主要な器官において多くある種々の血管の一定の進行性閉塞により生じる循環系の病気に罹っている。これらの個人における血管のさらに深刻な閉塞は多くの場合に高血圧虚血性の傷害、発作、または心筋梗塞を引き起こす。冠動脈血流を制限または閉塞するアテローム性硬化症病巣は虚血性の心臓病の主因である。これに対して、経皮経内腔式の冠動脈血管形成術は一定の動脈の中を通る血流を増加することを目的としている一定の医療処置である。さらに、この経皮経内腔式の冠動脈血管形成術は冠動脈血管狭窄のための主要な治療である。すなわち、この処置の使用の増加は冠動脈バイパス術に比べた場合のその比較的に高い成功率およびその最小限の侵襲性を起因としていると考えられる。しかしながら、この経皮経内腔式の冠動脈形成術付随する一定の制限はその処置の直後に生じる可能性のある血管の急な閉鎖およびその処置に続いて徐々に生じる再狭窄である。加えて、この再狭窄は伏在静脈のバイパス移植を受けている患者における一定の慢性の問題である。上記のような急性の閉塞のメカニズムは幾つかの要因を含むと考えられ、結果的に動脈の閉塞を伴う脈管の反跳および/または新しく開口した血管の損傷部分の長さに沿う血小板およびフィブリン堆積により生じる可能性がある。

0003

経皮経内腔式の冠動脈形成術の後における再狭窄は脈管の傷害により始まる比較的に漸進的な過程である。血栓症、炎症、増殖因子およびサイトカインの放出、細胞増殖細胞移動および細胞外基質の合成を含む多数の過程がそれぞれ上記のような再狭窄の過程の原因になっている。

0004

再狭窄の正確なメカニズムは完全には理解されていないが、このような再狭窄の過程における全般的な種々の態様が認識されつつある。正常な動脈壁部内において、平滑筋細胞は1日あたりにほぼ0.1パーセント(%)よりも低い一定の低速度で増殖する。また、種々の脈管壁部内における平滑筋細胞は80乃至90%の細胞質容積収縮性組織により占められていることにより特徴付けられる一定の収縮性の表現型で存在している。この場合に、小胞体ゴルジ体、および遊離リボソームは少量であり、核周囲領域内に存在している。また、細胞外基質は平滑筋細胞を囲っていて、ヘパリン様グリコシルアミノグリカンに富んでおり、これらは平滑筋細胞をその収縮性の表現型の状態に維持するために作用すると考えられている(キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1985年)。

0005

血管形成術中における一定の冠動脈内バルーンカテーテルの圧力による拡張時に、その血管壁部内の平滑筋細胞が損傷して、一定の血栓および炎症性応答が開始する。血小板、侵襲性のマクロファージおよび/または白血球から放出されるか、平滑筋細胞自体から直接的に放出される血小板由来増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子表皮増殖因子、トロンビン等のような種々の細胞由来型の増殖因子は内側平滑筋細胞における一定の増殖性および移動性の応答を誘発する。これらの細胞はその収縮性の表現型からわずかな量の収縮性のフィラメントの束および多量の粗面の小胞体、ゴルジ体および遊離のリボソームにより特徴付けられる一定の合成的な表現型への変化を生じる。このような増殖/移動は通常的に傷害後の1日乃至2日以内に始まり、その数日後に最高になる(キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1987年、クロウズ(Clowes)およびシュワルツ(Schwartz),1985年)。

0006

種々の娘細胞が動脈平滑筋内膜層に移動して、増殖しながら相当量細胞外基質タンパク質分泌し続ける。このような増殖、移動および細胞外基質の合成は損傷を受けた内皮層修復されるまで続き、この修復時点において、通常的に傷害後の7日乃至14日以内に、その増殖はその内膜内において減速する。このようにして新たに形成された組織はネオ内膜(新内膜)と呼ばれる。その後の3ヶ月乃至6ヶ月にわたり生じる付加的な血管の狭窄化は主として陰性または狭窄性の再造形による。

0007

局所的な狭窄および移動と同時に、炎症性の細胞が血管の傷害部位に付着する。傷害後の3日乃至7日以内に、これらの炎症性の細胞は血管壁のさらに深い層まで移動する。バルーンによる傷害またはステントの移植のいずれかを採用している種々の動物体モデルにおいて、上記のような炎症性の細胞は少なくとも30日間にわたり一定の血管の傷害部位に付着し続ける可能性がある(タナカ(Tanaka)他,1993年、エデルマン(Edelman)他,1998年)。従って、このような炎症性の細胞が存在していると、再狭窄における急性の状態と慢性の状態の両方の起因になる可能性がある。

0008

多くの物質が再狭窄において推測される抗増殖作用について調査されており、種々の実験動物モデルにおいてある程度の活性を示している。種々の動物モデルにおける内膜の過形成の程度を有効に軽減することを示している一部の物質はヘパリンおよびヘパリン・フラグメント(クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびカルノブスキー,M.(Karnovsky, M.),ネイチャー(Nature),265巻,p.25−26,1977年、ガイトン,J.R.(Guyton, J.R.)他,サーキュレーションリサーチCirc. Res.),46巻,p.625−634,1980年、クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),ラボラトリーインステイゲーション(Lab. Invest.),52巻,p.611−616,1985年、クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),58巻,p.839−845,1986年、マジェスキー(Majesky)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),61巻,p.296−300,1987年、スノー(Snow)他,アメリカン・ジャーナルオブ・パソロジー(Am. J. Pathol.),137巻,p.313−330,1990年、オカダ,T.(Okada, T.)他,ニューロサージェリー(Neurosurgery),25巻,p.92−98,1989年)、コルヒチンクーリエ,J.W.(Currier, J.W.)他,サーキュレーション(Circ.),80巻,p.11−66,1989年)、タクソール(ソロット,S.J.(Sollot, S.J.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),95巻,p.1869−1876,1995年)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬パウエル,J.S.(Powell, J.S.)他,サイエンス(Science),245巻,p.186−188,1989年)、アンギオペプチン(ランデルガン,C.F.(Lundergan, C.F.)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・カージオロジー(Am. J. Cardiol.),17巻(増刊B),p.132B−136B,1991年)、シクロスポリンA(ジョナッソン,L.(Jonasson, L.)他,プロシーデイング・ナチュラルアカミック・ソサイエテイ(Proc. Natl. Acad. Sci.),85巻,p.2303,1988年)、ヤギアンチラビットPDGF抗体(フェルンス,G.A.A.(Ferns, G.A.A.)他,サイエンス,253巻,p.1129−1132,1991年)、テルビナフィン(ネメセック,G.M.(Nemecek, G.M.)他,ジャーナル・オブ・ファーコロジー・エクスペリメンタル.セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera.),248巻,p.1167−1174,1989年)、トラピジル(リウ,M.W.(Liu, M.W.)他,サーキュレーション(Circ.),81巻,p.1089−1093,1990年)、トラニラスト(フクヤマ,J.(Fukuyama, J.)他,ユーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Pharmacol.),318巻,p.327−332,1996年)、インターフェロンガンマ(ハンソン,G.K.(Hansson, G.K.)およびホルム,J.(Holm, J.),サーキュレーション(Circ.),84巻,p.1266−1272,1991年)、ラパマイシンマークス,S.O.(Marx, S.O.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),76巻,p.412−417,1995年)、ステロイドコルバーン,M.D.(Colburn, M.D.)他,ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vas. Surg.),15巻,p.510−518,1992年)、(さらに、これについてはバーク,B.C.(Berk, B. C.)他,ジャーナル・オブ・アメリカン・コル・カージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.),17巻,p.111B−117B,1991年も参照されたい)、電離放射線ウエイバーガー,J.(Weinberger, J.)他,インターナシナル・ジャーナル・オブ・ラディオロジカル・オンコロジカル・バイオロジカル・フィジオロジー(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys.),36巻,p.767−775,1996年)、融合トキシン(ファーブ,A.(Farb, A.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),80巻,p.542−550,1997年)、アンチセンスオリジオヌクレオチド(シモンズ,M.(Simons, M.)他,ネイチャー(Nature),359巻,p.67−70,1992年)および遺伝子ベクターチャン,M.W.(Chang, M.W.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),96巻,p.2260−2268,1995年)を含む。生体外(イン・ビトロ)における平滑筋細胞に対する抗増殖作用は上記の物質の多くにおいて示されており、これらは、ヘパリン、ヘパリン共役物質、タクソール、トラニラスト、コルヒチン、ACE阻害薬、融合トキシン、アンチセンス・オリジオヌクレオチド、ラパマイシンおよび電離放射線を含む。従って、平滑筋細胞阻害の種々のメカニズムを伴う薬物は内膜の過形成を減少する点において治療的有用性を有すると考えられる。

0009

しかしながら、種々の動物体モデルとは対照的に、人間の血管形成術の患者における全身系的な薬理学的手段による再狭窄の防止の試みはこれまでに成功には程遠いものであった。アスピリンジピリダモールチクロピジン抗血液凝固剤療法(急性のヘパリン、慢性のワルファリンヒルジンヒルログ)、トロンボキサン受容体拮抗物質、あるいはステロイドは再狭窄の予防にいずれも有効ではなかったが、血小板抑制物質は血管形成術後における急性の再閉塞の防止に効果的であった(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、ラング(Lang)他,1991年、ポプマ(Popma)他,1991年)。また、血小板GPIIb/IIIa受容体である、拮抗物質レオプロ(Reopro)(登録商標)は依然として研究中であるが、このレオプロ(Reopro)(登録商標)は血管形成術およびステント処理の後における再狭窄の軽減において明らかな結果を示していない。さらに、再狭窄の防止において有効性を示していない他の物質として、カルシウムチャネル拮抗薬プロスタサイクリンミメティック薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、セロトニン受容体拮抗薬、および抗増殖剤が含まれる。しかしながら、これらの薬物は全身系的に投与する必要があり、治療において有効な投薬量を達成することが可能でない場合があり、抗増殖(または、抗再狭窄)に対応する濃度がこれら薬物の既知の毒性濃度を超える可能性があるので、平滑筋阻害を生じさせるために十分な量に到達し得ない場合が有り得る(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、ラング(Lang)他,1991年、ポプマ(Popma)他,1991年)。

0010

種々の食用魚サプリメントまたはコレステロール低下剤を利用して再狭窄を防止する有効性を調べている別の臨床的試行競合的なまたは否定的な結果を示すことが確かめられており、これらの薬理学的な物質はいずれも依然として血管形成術後の再狭窄を防止することにおいて臨床的に利用可能な段階ではない(マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年、フランクリン(Franklin)およびファクソン(Faxon),1993年、セリュイズ,P.W.(Serruys, P.W.)他,1993年)。最近の観察結果示唆するところによれば、抗脂質剤/酸化防止剤プロブコールが再狭窄の防止において有効であると思われるが、この作用は確認の必要がある(タージフ(Tardif)他,1997年、ヨコイ(Yokoi)他,1997年)。このプロブコールは米国では現在において使用が認可されておらず、緊急の血管形成術において30日間の予備治療期間においてその使用を避ける必要があると考えられている。さらに、電離放射線の適用はステントを伴う患者における血管形成術後の再狭窄の軽減または防止において相当な有望性を示している(テイルスタイン(Teirstein)他,1997年)。しかしながら、現在においては、再狭窄の最も有効な治療は血管形成術、アテレクトミーまたは冠動脈バイパス移植術を繰り返すことであり、この理由は、血管形成術後の再狭窄の防止のために使用するための食品医薬品局の認可を有する治療物質が現在において全く存在していないからである。

0011

全身系的な薬理学的療法とは異なり、ステントは再狭窄を相当に軽減することにおいて有用であることが立証されている。一般的に、ステントはバルーン拡張型のスロット付き金属チューブ(通常的に、ステンレススチールであるがこれに限定されない)であり、これらは血管形成術が施された冠動脈の内腔内において拡張されると、その動脈壁部に対する剛性支持骨格構造の形成により構造的な支持を行なう。この支持構造は血管の内腔を開存状態に維持することに役に立つ。例えば、2回の無作為的に行なわれた臨床試行において、種々のステントは最小の内腔の直径を増大すると共に6ヶ月目における再狭窄の発生率をゼロにしたわけではないが減少したことにより、経皮経内腔式の冠動脈形成術後における血管造影による有効性を高めている(セリュイズ(Serruys)他,1994年、フィッシュマン(Fishman)他,1994年)。

0012

加えて、ステントのヘパリン被膜はステント移植後における亜急性の血栓症を減少するという付加的な利点を有すると思われる(セリュイズ(Serruys)他,1996年)。従って、ステントによる狭窄した冠動脈の持続された機械的な拡張は再狭窄の防止の一定の方法を提供することが示されており、ヘパリンによるステントの被覆は種々の薬物を損傷した組織部位に局所的に配給することの実行可能性および臨床的な有用性の両方を立証している。

0013

上述のように、ヘパリンを被覆したステントを用いることは局所的な薬剤配給の実行可能性および臨床上の有用性を立証しているが、このような特定の薬物または薬物の組み合わせ物を局所配給装置に固定する様式はこの種の治療の効能において一定の役割を果たす必要がある。例えば、薬物/薬物の組み合わせ物を局所配給装置に固定するために用いる方法および材料はその薬物/薬物の組み合わせ物の作用に対して干渉してはならない。さらに、これらの利用する方法および材料は生体適合性である必要があり、配給中および一定時間の期間にわたり一定の薬物/薬物の組み合わせ物をその局所配給装置に保持する必要がある。例えば、局所配給装置の配給中におけるその薬物/薬物の組み合わせ物の脱落は潜在的にその装置の能力不全を生じる可能性がある。

0014

従って、例えば、アテローム硬化症、または、機械的に誘発する、例えば、経皮経内腔式の冠動脈形成術のいずれかにより生物学的に誘発する内膜の肥厚化を生じる脈管の損傷の防止および治療のための薬物/薬物の組み合わせ物および関連の局所配給装置に対する要望が存在している。加えて、配給および位置決め中に薬物/薬物の組み合わせ物を局所配給装置において保持すること、および一定時間の期間にわたり治療的投薬量で薬物/薬物の組み合わせ物を放出することを確実に行なうことに対する要望が存在している。

0015

内膜の肥厚化を引き起こす傷害の防止および治療のための種々のステント被膜および配合物が提案されている。これらの被膜はそれ自体でステントが損傷した内腔壁に与える刺激を減少することができ、それゆえ、血栓症または再狭窄への傾向を低下することができる。あるいは、上記の被膜は平滑筋組織の増殖または再狭窄を減少する医薬品/治療薬または薬物を一定の内腔に配給することも可能である。この薬剤配給のメカニズムは一定のバルクポリマーまたはそのポリマーの構造中に形成されている細孔による薬剤の拡散、あるいは、生体分解性の被膜の浸食により行われる。

0016

ステント用の被膜として種々の生体吸収性で生体安定性の配合物が報告されている。これらの配合物は一般に、医薬品/治療薬または薬物、例えば、ラパマイシン、タクソール等を包み込むか、このような物質を一定の表面、例えば、ヘパリン被覆型のステントに結合する種々のポリマー被膜であった。さらに、これらの被膜は浸漬法、吹き付け法またはスピンコート法を含むがこれらに限定されない多くの方法でステントに塗布される。

0017

種々のステント用の被膜として報告されている生体安定性の材料の一例はポリフルオロホモポリマーである。ポリテトラフルオロエチレンPTFE)ホモポリマーは長年にわたり移植材料として用いられている。これらのホモポリマーは一定の温度においてはいずれの溶剤にも溶解せず、それゆえ、上記装置の重要な特徴部分(例えば、ステントにおけるスロット部分)を維持しながら小形の各種医療装置に塗布することが困難である。

0018

ポリフッ化ビニリデンのホモポリマーにより作成されていて、放出するための医薬品/治療薬または薬物を含有している被膜を伴う種々のステントがこれまでに提案されている。しかしながら、大抵の結晶質ポリフルオロ・ホモポリマーと同様に、これらの被膜は、これらをそのポリマーの融点に相当する比較的に高い温度にしない場合には、種々の表面上に高品質フィルムまたは皮膜として塗布することが困難である。
キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1985年
キャンベル(Campbell)およびキャンベル(Campbell),1987年
クロウズ(Clowes)およびシュワルツ(Schwarts),1985年
タナカ(Tanaka)他,1993年
エデルマン(Edelman)他,1998年
クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびカルノブスキー,M(Karnovsky, M),ネイチャー(Nature),265巻,p.25−26,1977年
ガイトン,J.R.(Guyton, J.R.)他、サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),46巻,p.625−634,1980年
クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.)、ラボラトリー・インベステイゲーション(Lab. Invest.),52巻,p.611−616,1985年
クロウズ,A.W.(Clowes, A.W.)およびクロウズ,M.M.(Clowes, M.M.),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),58巻,p.839−845,1986年
マジェスキー(Majesky),サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),61巻,p.296−300,1987年
スノー(Snow)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am. J. Pathol.),137巻,p.313−330,1990年
オカダ,T(Okada, T),ニューロサージェリー(Neurosurgery),25巻,p.92−98,1989年
クーリエ,J.W.(Currier, J.W.)他,サーキュレーション(Circ.),80巻,p.11−66,1989年
ソロット,S.J.(Sollot, S.J.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),95巻,p.1869−1876,1995年
パウエル,J.S.(Powell, J.S.)他,サイエンス(Science),245巻,p.186−188,1989年
ランデルガン,C.F.(Lundergan, C.F.)他,アメリカン・ジャーナル・オブ・カージオロジー(Am. J. Cardiol.),17巻(増刊B),p.132B−136B,1991年
ジョナッソン,L.(Jonasson, L.)他,プロシーディング・ナチュラル・アカデミック・ソサイエテイ(Proc. Natl. Acad. Sci.),85巻,p.2303,1988年
ファーンズ,G.A.A(Ferns, G.A.A.)他,サイエンス(Science),253巻,p.1129−1132,1991年
ネメセック,G.M.(Nemecek, G.M.)他,ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・エクスペリメンタル・セラピー(J. Pharmacol. Exp. Thera.),248巻,p.1167−1174,1989年
リウ,M.W.(Liu, M.W.)他,サーキュレーション(Circ.),81巻,p.1089−1093,1990年
フクヤマ,J.(Fukuyama, J.)他,ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur. J. Parmacol. ),318巻,p.327−332,1996年
ハンソン,G.K.(Hansson, G.K.)およびホルム,J.(Holm, J.),サーキュレーション(Circ.),84巻,p.1266−1272,1991年
マークス,S.O.(Marx, S.O.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),76巻,p.412−417,1995年
コルバーン,M.D.(Colburn, M.D.)他,ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー(J. Vasc. Surg.),15巻,p.510〜518,1992年
バーク,B.C.(Berk, B.C.)他,ジャーナル・オブ・アメリカン・コル・カージオロジー(J. Am. Coll. Cardiol.),17巻,p.111B−117B,1991年
ウエインバーガー,J.(Weinberger, J.)他,インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラディオロジカル・オンコロジカル・バイオロジカル・フィジオロジー(Int. J. Rad. Onc. Biol. Phys.),36巻,p.767−775,1996年
ファーブ,A.(Farb, A.)他,サーキュレーション・リサーチ(Circ. Res.),80巻,p.542−550,1997年
シモンズ,M.(Simons, M.)他,ネイチャー(Nature),359巻,p.67−70,1992年
チャン,M.W.(Chang, M.W.)他,ジャーナル・オブ・クリニカル・インベステイゲーション(J. Clin. Invest.),96巻,p.2260−2268,1995年
マック(Mak)およびトポル(Topol),1997年
ラング(Lang)他,1991年
ポプマ(Popma)他,1991年
フランクリン(Franklin)およびファクソン(Faxon),1993年
セリュイズ,P.W.(Serruys, P.W>)他,1993年
タージフ(Tardif)他,1997年
ヨコイ(Yokoi)他,1997年
テイルスタイン(Teirstein)他,1997年
セリュイズ(Serruys)他,1994年
フィッシュマン(Fischman)他,1994年
セリュイズ(Serruys)他,1996年

発明が解決しようとする課題

0019

血栓症、再狭窄またはその他の有害な反応を軽減し、このような作用を達成するために種々の医薬品または治療薬または薬物の使用を含むことができるが必ずしもこれを必要とせず、種々の被覆型装置が比較的に低い最高温度かけられる時でも、これらの装置において使用することに有効である物理的および機械的な諸特性を有することのできる移植可能な種々の医療装置用のための被膜を開発することが有利であると考えられる。また、病気を治療し、医療装置の移植に対する生体反応を最少にするか実質的に無くす種々の薬物、薬剤および/または配合物との組み合わせにおける移植可能な医療装置を開発することも有利と考えられる。さらに、特定の状況において、傷の治癒および医療装置における内皮化を助長する種々の薬物、薬剤および/または配合物との組み合わせにおける移植可能な医療装置を開発することも有利であると考えられる。

0020

また、上記の被膜または医療装置自体に悪影響を及ぼすことなく種々の被覆型の移植可能な医療装置の配給を行なう配給装置を開発することも有利であると考えられる。加えて、このような配給装置は上記医療装置を一定の標的領域内に容易に且つ正確に位置決めするための一定の手段を医者に必然的に提供する。

0021

また、上記の移植可能な医療装置からの種々の薬物、薬剤および/または配合物の溶出速度の正確な制御を可能にする移植可能な医療装置のための被膜を開発することも有利であると考えられる。

0022

また、細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通して作用する1種類以上の薬剤の放出を行なう配給装置を開発することも有利であると考えられる。

課題を解決するための手段

0023

本発明によるラパマイシンとの組み合わせにおけるクラドリビンの局所的配給は上記において簡単に説明されているような単一の薬物、薬剤および/または配合物の使用に伴う種々の不都合点を解消する。

0024

一例の態様によれば、本発明は一定の移植可能な装置に関連している。この医療装置は一定の移植可能な構造、一定の基部被膜基材および一定の上部被膜を含む。さらに、この基部被膜の基材は第1の高分子材料の中に組み込まれているそれぞれの治療の用量におけるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物を含む。また、この基部被膜の基材は上記の移植可能な医療装置の表面に固定されている。一方、上部被膜は第2の高分子材料を含む。この上部被膜は上記ラパマイシンおよびクラドリビンの溶出速度を制御するために上記基部被膜基材に取り付けられている。

0025

また、別の態様によれば、本発明は再狭窄を治療するための一定の方法に関連している。この方法は一定の治療の用量におけるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物の投与を含む。

0026

さらに、別の態様によれば、本発明は一定の医療装置に関連している。この医療装置は一定の移植可能な構造、および脈管の傷害後の再狭窄の治療のために上記移植可能な構造に取り付けられている治療の用量におけるラパマイシンおよびクラドリビンの一定の組み合わせ物を含む。

0027

種々の薬物、薬剤および/または配合物の組み合わせ物が種々の状況を治療するために利用できる。例えば、ラパマイシンおよびトリコスタチンAを利用することにより脈管の傷害後の再狭窄を治療または予防できる。これらのラパマイシンおよびトリコスタチンAは細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通してそれぞれ作用するので、これらの物質が、一定の薬物溶出式のステントにおいて組み合わされる場合に、異なる多数のメカニズムにより平滑筋の増殖および免疫細胞の増殖(炎症性の細胞の増殖)のダウンレギュレーションを行なうことにより互いの抗再狭窄性の活性を増強することが可能になる。このようなトリコスタチンAによるシロリムス抗増殖性の活性の増強は血管再生およびその他の脈管の外科処置中における脈管の傷害後の抗再狭窄性の効力の一定の向上およびその抗再狭窄性の作用を達成するためのいずれかの物質の必要とされる量における一定の減少と考えることができる。

0028

上記トリコスタチンAは人間の冠動脈平滑筋の細胞増殖の完全なおよび有効な遮断による局所的な脈管への適用(例えば、ステントまたはカテーテルに基づく配給)により新内膜の形成を遮断することができる。上記のシロリムスおよびトリコスタチンA(およびその薬理学的な種類の範囲内における別の物質)の組み合わせ物はラパマイシン単独よりも再狭窄/新内膜の肥圧化に対してさらに有効であると考えられる一定の新規な治療の組み合わせ物を代表している。さらに、上記の組み合わせ物の異なる用量はラパマイシンおよびトリコスタチンAの単純な添加物の作用よりも高い新内膜増殖の抑制における種々の有益性を生じることができる。また、このラパマイシンおよびトリコスタチンAの組み合わせ物はアテローム硬化症プラーク等のような別の種々の心臓病に対して有効であると考えられる。

0029

別の例示的な実施形態において、ラパマイシンはミコフェノール酸との組み合わせにおいて利用可能である。これらのラパマイシンおよびミコフェノール酸は細胞周期の異なる段階において細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通してそれぞれ作用するので、これらの物質が、一定の薬物溶出式のステントにおいて組み合わされる場合に、異なる多数のメカニズムにより平滑筋の増殖および免疫細胞の増殖のダウンレギュレーションを行なうことにより互いの抗再狭窄性の活性を増強することが可能になる。

0030

さらに別の例示的な実施形態において、ラパマイシンはクラドリビンとの組み合わせにおいて利用可能である。これらのラパマイシンおよびクラドリビンは細胞周期の異なる段階において細胞増殖に影響を及ぼす異なる分子レベルのメカニズムを通してそれぞれ作用するので、これらの物質が、一定の薬物溶出式のステントにおいて組み合わされる場合に、異なる多数のメカニズムにより平滑筋の増殖および免疫細胞の増殖のダウンレギュレーションを行なうことにより互いの抗再狭窄性の活性を増強することが可能になる。本質的に、上記のラパマイシンおよびクラドリビンの組み合わせ物はいずれかの物質の単独またはこれら2種類の物質の単純な合計よりもさらに高い効力になり得る一定の治療用の組み合わせ物を代表している。加えて、上記の組み合わせ物の異なる用量により、ラパマイシンまたはクラドリビンの単独よりもさらに高い新内膜の増殖の抑制の利得を生じることができる。

0031

本発明の種々の医療装置、薬物の被膜、配給装置およびこれらの装置の上に上記薬物の被膜またはビヒクルを保持するための方法は病気を治療するための、および病気または種々の状況の治療のための種々の医療装置の移植による生体の反応を治療する種々の物質の一定の組み合わせ物を利用している。このような種々の薬物、薬剤または配合物の局所的な配給は一般にそれぞれの効力を高めると共に全身系的な配給に比べた場合にそれぞれの薬物、薬剤または配合物の潜在的な毒性を実質的に低下する。

0032

種々の薬物、薬剤または配合物が種々の病気を治療するために多数の医療装置に対して固定できる。これらの薬物、薬剤または配合物はまた一定の別の状況を治療するために利用される医療装置の導入に対する生物学的な生体の反応を最少にするか実質的に無くすために固定することもできる。例えば、種々の冠動脈または胆管等のような別の体内腔開通するために種々のステントを導入することができる。しかしながら、これらのステントを導入することにより一定の平滑筋細胞の増殖作用ならびに炎症が生じる。従って、これらのステントはこれらの反応に対処するために種々の薬物、薬剤または配合物により被覆することが必要である。さらに、特定の種類の外科手術において日常的に利用されている吻合装置もまた一定の平滑筋細胞の増殖作用ならびに炎症を生じる可能性がある。それゆえ、種々のステント移植片および、例えば、動脈瘤バイパス・システム等のようなのステント移植片を利用している種々のシステムはこれらの装置の導入により生じる種々の有害な影響を防止して治癒および取り込みを促進するための種々の薬物、薬剤および/または配合物により被覆する必要がある。従って、上記装置は上記のような反応に対処するための種々の薬物、薬剤および/または配合物により被覆することも必要である。加えて、動脈瘤バイパス・システム等のような装置は傷の治癒および内皮化を促進することにより内部漏れの危険性またはその他の類似の現象を減少するための種々の薬物、薬剤および/または配合物により被覆する必要がある。

0033

上記の薬物、薬剤または配合物は医療装置の種類、医療装置の導入に対する反応および/または治療することが求められている病気に応じて変更可能である。さらに、上記の医療装置に種々の薬物、薬剤または配合物を固定するために利用する被膜またはビヒクルの種類もまたその医療装置の種類、薬物、薬剤または配合物の種類およびこれらの放出速度を含む多数のファクターまたは要因に応じて変更できる。

0034

有効であるために、上記の薬物、薬剤または配合物は配給および移植中に上記医療装置に留まっていることが当然に好ましい。従って、これらの薬物、薬剤または配合物の間に強い結合を形成するための種々の塗布技法が利用可能である。加えて、これらの薬物、薬剤または配合物が時期尚早に放出されることを防ぐための表面改質剤として種々の材料が利用できる。

0035

あるいは、上記被覆型の移植可能な医療装置のための配給装置は上記被膜またはその装置自体に対する損傷の潜在的な危険性を最少にするために変更可能である。例えば、種々の自己拡張式ステント配備に伴う摩擦力を減少するために種々のステント配給装置に対して種々の変更を行なうことができる。具体的に言えば、これらの配給装置はその被覆型ステントの特定領域において作用する力を減少するために種々の物質により被覆可能であり、あるいは、種々の特徴部分を含むことができる。

0036

本発明の自己拡張式ステントの配給システム熱分解性カーボンまたは類似の物質の一定の層により被覆されている一定のシースを含む。この熱分解性カーボンの層はステントの領域内における上記シースの内側の内孔部分またはそのシースの全長に沿って固定できる。また、この熱分解性カーボンは自己拡張式のステントが比較的に柔らかい高分子のシースの中に食い込むことを防ぐために十分に硬質である。加えて、この熱分解性カーボンは一定の潤滑性の物質である。これらの2種類の特性は配備中のステントに対する損傷の変化を減少し、ステントの配備のために必要とされる力を減少するので、医者が配置を達成して比較的に正確なステントの配備を行なうことを容易にする。

0037

上記熱分解性カーボンは上記シースの内孔部に直接的に固定することができ、あるいは、一定の支持体に取り付けた後にその支持体をシースの内孔部に取り付けることも可能である。種々の既知の技法が上記の製造プロセスにおいて利用可能である。上記熱分解性カーボンは生体適合性であり、多数の移植可能な医療装置において現在において利用されている。この熱分解性カーボンの層は上記の特徴を示すために十分に厚いが、配給システムの全体の外形および柔軟性を維持するために十分に薄い。

0038

上記熱分解性カーボンの潤滑性は薬物被覆型のステントに対して特に有利である。すなわち、種々の薬物、薬剤または配合物を含有している薬物の被膜およびポリマーの被膜はその最良の結果のためにステント上に保持されることが当然に好ましい。一方、上記シース上における潤滑性の被膜は上記の薬物またはポリマーが配給中に擦れ落ちる危険性を実質的に減少する。

0039

本発明の自己拡張式ステントの配給システムは一定の改良または変更された軸部を含むこともできる。この改良された軸部はこの軸部からステントの各要素の間の隙間の中に突出している複数の要素を含むことができる。これらの要素はステントの圧縮を防止するか実質的に減少することにより配備中のステントに作用する力を有意義に減少できる。一方、このような複数の要素が無ければ、そのステントはその配給システムの内側の軸部における一定の停止部分に対して移動してこれを圧縮することが起こり得る。さらに、このようなステントの圧縮は比較的に高い配備の力を引き起こす。従って、上記のような複数の要素を含む一定の軸部はこのようなステントの長手方向に沿う移動を無くすか実質的に減少するので、その圧縮を無くすか実質的に減少する。加えて、上記の突出している要素はステントに作用する全体の力をこれら複数の要素の全体に分配するので、そのステントおよびその上の何らかの被膜における局在化した応力が減少する。

0040

本発明の一定の移植可能な医療装置の表面を被覆するための組成物は薬物の放出に対して一定の化学的および物理的なバリアを形成する一定の被膜を達成するための2種類の化学的に異なるポリマーの一定の組み合わせ物を使用している。この組み合わせ物は耐久性があり、潤滑性であり、その被膜中に含まれている任意の薬物、薬剤、および/または配合物の溶出速度において制御を行なう。

発明の効果

0041

従って、本発明によれば、血栓症、再狭窄またはその他の有害な反応を軽減し、このような作用を達成するために種々の医薬品または治療薬または薬物の使用を含むことができるが必ずしもこれを必要とせず、種々の被覆型装置が比較的に低い最高温度にかけられる時でも、これらの装置において使用することに有効である物理的および機械的な諸特性を有することのできる移植可能な種々の医療装置用のための被膜が提供できる。また、病気を治療し、医療装置の移植に対する生体反応を最少にするか実質的に無くす種々の薬物、薬剤および/または配合物との組み合わせにおける移植可能な医療装置が提供できる。さらに、特定の状況において、傷の治癒および医療装置における内皮化を助長する種々の薬物、薬剤および/または配合物との組み合わせにおける移植可能な医療装置が提供できる。

発明を実施するための最良の形態

0042

本発明の種々の薬物/薬物の組み合わせ物および配給装置は脈管の病気、特に傷害により生じる脈管の病気を効果的に予防および治療するために利用できる。脈管の病気の治療において利用されている種々の医療用治療装置は最終的にさらに別の合併症を誘発する可能性がある。例えば、バルーン式血管形成術は一定の動脈の中を通る血流を増加するために利用されている一定の処置であり、冠動脈の血管狭窄における主要な治療方法である。しかしながら、上述したように、この処置は脈管壁部に対して一定の程度の損傷を生じるために、一定の時間の経過後においてその問題を潜在的に悪化させる可能性がある。別の処置および病気も類似の傷害を生じる可能性があるが、本発明の種々の例示的な実施形態は経皮経内腔式の冠動脈血管形成術およびその他の種々の動脈、静脈およびこれら以外の流体運搬用の各種導管を含む別の類似の動脈/静脈用の処置に続く再狭窄および関連の合併症の治療に関連して説明されている。加えて、上記の被覆処理した種々の医療装置の効果的な配給のための種々の方法および装置が説明されている。

0043

本発明の例示的な実施形態が経皮経内腔式の冠動脈血管形成術に続く再狭窄および関連の合併症の治療に関連して説明されているが、上記薬物/薬物の組み合わせ物の局所的な配給が多数の医療装置を利用して多用な状況を治療すること、およびその装置の機能および/または寿命を向上することのために利用できることに注目することが重要である。例えば、白内障手術後の視力回復するために配置される眼内レンズは二次的な白内障の形成により損なわれる場合が多い。後者はレンズ表面上における細胞の過剰成長による場合が多く、その装置に対する1種類以上の薬物の結合により有効に最小化できる。一定の装置の内部、上部およびその周囲における組織の内部増殖または蛋白質様の物質の堆積により故障する場合の多い別の医療装置、例えば、種々の水頭症用のシャント透析移植片、結腸取付け器具ドレナージ管ペースメーカおよび移植可能な除細動器用のリード線等もまた上記のような装置−薬物の組み合わせの方法により恩恵を受けることができる。組織または器官の構造および機能を改善するために役立つ種々の装置もまた適当な1種類以上の薬剤との組み合わせにおいて種々の有益性を示すことができる。例えば、移植した装置の安定性を向上するための改善された種々の整形外科装置における骨一体化機能が当該装置を骨−形態形成性蛋白質等のような種々の薬剤と組み合わせることにより潜在的に達成可能になる。同様に、別の種々の外科装置、縫合糸、ステープル、吻合装置、椎骨ディスク骨ピン縫合糸アンカー止血用バリア、クランプ、ねじ、プレートクリップ血管移植片組織接着剤およびシール材または密封材組織支持骨格部材、種々の包帯、骨置換材、内腔内装置、および脈管支持体もまた上記のような薬物−装置の組み合わせ方法により患者における有益性を高めることができる。特に、脈管周囲ラップは単独または他の医療装置との組み合わせにおいて有利であると考えられる。このような脈管周囲ラップは一定の治療部位に対して付加的な薬物を供給することができる。本質的に、任意の種類の医療装置が当該装置または薬剤の1回の使用期間の全体にわたり治療効果を高める一定の薬物または薬物の組み合わせ物により一定の様式で被覆できる。

0044

種々の医療装置に加えて、上記の装置における種々の被膜は種々の治療薬および薬剤を配給するために用いることができ、これらの治療薬および薬剤はビンカアルカロイド類(すなわち、ビンブラスチンビンクリスチンビノレルビン)等のような天然産物パクリタキセルエピジポドフィルロトキシン類(すなわち、エトポシド、テニポシド)、各種抗生物質(すなわち、ダクチノマイシンアクチノマイシンD)、ダウノルビシンドキソルビシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリンミトザントロンブレオマイシンプリカマイシンミトラマイシン)およびマイトマイシン酵素(L−アスパラギンを全身系的に代謝し、自己的にアスパラギンを合成する機能をもたない各種細胞奪うL−アスパラギナーゼ等)を含む抗増殖/抗有糸分裂剤、G(GP)IIb/IIIa抑制因子およびビトロネクチン受容体拮抗物質等のような抗血小板剤、ナイトロジェン・マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよびその類似体メルファランクロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミンヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル類−ブスルファン複合物ニトロソ尿素類(カルムスチン(BCNU)およびその類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン(trazenes)−ダカルバジン(DTIC)複合物等のような抗増殖/抗有糸分裂アルキル化薬葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体フルオロウラシルフロクスウリジンおよびシタラビン)、プリン類似体および関連の抑制因子(メルカプトプリンチオグアニンペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン{クラドリビン})、白金配位錯体シスプラチンカルボプラチン)、プロカルバジンヒドロキシ尿素ミトーテンアミノグルテチミドホルモン類(すなわち、エストロゲン)等のような抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗物質抗凝固薬(ヘパリン、合成ヘパリン塩類およびその他のトロンビン抑制因子)、フィブリン溶解剤組織プラスミノゲン活性化因子ストレプトキナーゼウロキナーゼ等)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレルアブシキマブ、抗遊走薬(antimigratory)、抗分泌薬(ブレベルジン)、さらに、副腎皮質ステロイドコルチソルコルチゾンフルドロコルチゾンプレドニゾンプレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロントリアムシノロンベタメタゾン、およびデキサメタゾン)、非ステロイド系薬(サリチル酸誘導体、すなわち、アスピリン、パラアミノフェノール誘導体、すなわち、アセトミノフェン)等のような抗炎症薬インドールおよびインデン酢酸インドメタシンスリンダクエトダラック)、ヘテロアリール酢酸(トルメチンジクロフェナクおよびケトロラク)、アリールプロピオン酸イブプロフェンおよびその誘導体)、アントラニル酸メフェナム酸およびメクロフェナム酸)、エノール酸ピロキシカムテノキシカムフェニルブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン金化合物オーラノフィン金チオグルコース金チオリンゴ酸ナトリウム)、免疫抑制剤シクロスポリンタクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリンミコフェノール酸モフェチル)、血管形成剤血管内皮細胞増殖因子VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、アンギオテンシン受容体遮断薬酸化窒素供与体、アンチセンス・オリゴヌクレオチド類およびこれらの組み合わせ物、細胞周期抑制因子、mTOR抑制因子、および増殖因子信号伝達キナーゼ抑制因子、レテノイド(retenoid)、サイクリン/CDK抑制因子、HMG補酵素レダクターゼ抑制因子(スタチン類)、およびプロテアーゼ抑制因子等を含む。

0045

上述したように、バルーン血管形成術と関連している一定の動静脈用ステントの移植は急性の血管閉塞の治療において極めて有効であり、再狭窄の危険性を減少することができる。脈管内音波調査に関する研究(ミンツ(Mintz)他,1996年)は冠動静脈ステント処理が血管の狭窄を有効に防止しすること、およびステント移植後における術後内腔損失の大部分がプラークの増殖によるものであり、恐らくはネオ内膜肥厚化に関連していることを示唆している。この冠動静脈ステント処理後の術後内腔損失は従来的なバルーン式血管形成術後に観察される量のほぼ2倍である。従って、ステントが再狭窄の過程の少なくとも一部分を妨げる限り、平滑筋細胞の増殖を阻止する種々の薬物、薬剤または配合物の一定の組み合わせ物は多数のメカニズムにより炎症を軽減すると共に凝固を軽減するか平滑筋細胞の増殖を阻止するので、一定のステントとの組み合わせにおいてさらに炎症を軽減して凝固を軽減することにより、血管形成術後の再狭窄に対する最も効力のある治療方法を提供する可能性がある。また、同種または異種の薬物/薬物の組み合わせ物の局所配給との組み合わせにおける種々の薬物、薬剤または配合物の全身系的な使用も一定の有益的な治療の選択肢を与える可能性がある。

0046

一定のステントからの薬物/薬物の組み合わせ物の局所的配給は以下の利点、すなわち、血管の反跳およびステントの支持骨格作用による再造形の防止、新内膜の肥厚化または再狭窄の多くの発生要素の阻止ならびに炎症および血栓症の軽減という利点を有している。このようなステント処理した冠動脈への種々の薬物、薬剤または配合物の局所的投与はさらに別の治療上の有益性を有することもできる。例えば、種々の薬物、薬剤または配合物の比較的に高い組織濃度が、全身系的な投与ではなく、局所的な配給を利用することにより達成できる。加えて、減少された全身系の毒性が比較的に高い組織濃度を維持しながら、全身系的な投与ではなく、局所的な配給を利用することにより達成できる。また、全身系的な投与の代わりに一定のステントによる局所的な配給を利用する場合に、1回の処置により患者の比較的に良好な応諾感に十分に対応できる。さらに、上記のような薬物、薬剤、および/または配合物の組み合わせ物の別の有益性は治療用の種々の薬物、薬剤または配合物のそれぞれの用量を減少することができることであり、これにより、それぞれの毒性を制限すると共に、再狭窄、炎症および血栓症の軽減が達成できる。従って、上記のような局所的なステントに基づく治療方法は抗再狭窄性、抗炎症性、および/または抗血栓性の種々の薬物、薬剤または配合物の治癒比率(効力/毒性)を改善する一定の手段である。

0047

経皮経内腔式の冠動脈形成術後に利用できる多数の異なるステントが存在する。このような多数のステントを本発明に従って利用することが可能であるが、簡明化のために、限定された数のステントが本発明の例示的な実施形態において説明されている。なお、熟練した当業者であれば、任意数のステントが本発明に関連して利用可能であることが認識できる。加えて、上述したように、別の医療装置も利用可能である。

0048

ステントは一般的に、一定の障害を軽減するために一定の管路の内腔内に留置される一定の管状の構造体として用いられる。一般的に、ステントは一定の非拡張状態の形態で内腔内に挿入された後に、自律的にまたは原位置における第2の装置の補助により拡張する。代表的な拡張方法は一定のカテーテル取付型の血管形成用バルーンを狭窄した血管または体内通路の中において膨張させて血管壁部の各構成要素に付随している種々の障害物を剪断および崩壊して一定の拡張状態の内腔を形成することにより行なわれる。

0049

図1は、本発明の例示的な実施形態により利用可能である例示的なステント100を示している。この拡張可能円筒形のステント100は血管、管路または内腔の中に配置されてその血管、管路または内腔を開口状態に保つための、特に、動脈の一部分を血管形成術後の再狭窄から保護するための一定の有窓構造を含む。このステント100は円周方向に拡張して一定の拡張した形態に維持することができ、円周方向または半径方向に剛性になる。さらに、このステント100は軸方向に柔軟であり、一定の帯域部分において曲がる場合に、このステント100は外部に突出する構成部分を含まないようになっている。

0050

上記ステント100は一般に第1の端部および第2の端部およびこれらの端部の間における一定の中間部分を有している。さらに、このステント100は一定の長手軸を有していて、複数の長手方向に配置された帯域部分102を含んでおり、この場合に、それぞれの帯域部分102は上記長手軸に対して平行な一定の線分に沿って一定の概ね連続的な波形を定めている。さらに、複数の円周方向に配列されている連結部材104が各帯域部分102を一定の実質的に管状の構造に維持している。本質的に、長手方向に配置されている各帯域部分102は複数の周期的な位置において、短い円周方向に沿って配列されている連結部材104を介して、隣接している各帯域部分102に接続している。これらの帯域部分102のそれぞれに付随する波形はその中間部分における基本的な空間的周波数と概ね同一の周波数を有しており、各帯域部分102は、互いに概ね同一の位相になるように、これらに付随する波形が概ね整合するように配置されている。図示のように、長手方向に配列されている各帯域部分102はその隣接している帯域部分102に対する連結部分までの間にほぼ2周期で波打ちしている。

0051

上記ステント100は多数の方法を利用して作成することができる。例えば、このステント100はレーザー放電フライス加工化学的エッチングまたはその他の手段により機械加工可能な中空のまたは成型処理したステンレス鋼管により作成できる。このようなステント100は体内に挿入されて一定の非拡張状態の形態で所望の部位に配置される。一例の例示的な実施形態において、上記の拡張は一定のバルーン・カテーテルにより一定の血管内において行なうことができ、この場合に、そのステント100の最終的な直径は使用するバルーン・カテーテルの直径の一定の関数である。

0052

本発明のステント100が、例えば、ニッケルおよびチタンまたはステンレス・スチールの一定の適当な合金またはステンレス・スチールを含む一定の形状記憶材料において実施可能であることが当然に認識されると考える。さらに、このようなステンレス・スチールにより形成される構造は、例えば、この材料を一定の編み組み状の形態にねじることによる等の一定の様式でそのステンレス・スチールを構成することにより自己拡張型にすることができる。このような実施形態においては、ステント100を形成した後に、このステントを圧縮して挿入手段により一定の血管またはその他の組織内への挿入を可能するために十分に小さい一定の空間部分を占めるようにすることが可能であり、この場合に、上記挿入手段は、一定の適当なカテーテルまたは柔軟な棒材を含む。さらに、カテーテルから出る時に、上記ステント100は所望の形態に拡張するように構成でき、この場合に、この拡張は自動的であるか、圧力、温度または電気等の刺激の変化により開始する。

0053

図2は、図1に示すステント100を利用している本発明の例示的な実施形態を示している。図示のように、このステント100は、1個以上の貯蔵部分106を有するように変更可能である。これらの貯蔵部分106はそれぞれ要望に応じて開閉できる。さらに、これらの貯蔵部分106は配給する薬物/薬物の組み合わせ物を保持するように特別に設計することができる。また、このようなステント100の設計とは無関係に、上記薬物/薬物の組み合わせ物の用量は病巣の領域中に一定の有効な用量を供給するために十分な特異性および十分な濃度で供給することが好ましい。この点に関して、上記各帯域部分102内の貯蔵部分の寸法は好ましくは上記薬物/薬物の組み合わせ物の用量を所望の場所において所望の量で適当に供給するように寸法付けられている。

0054

一定の代替的で例示的な実施形態において、上記ステント100の内表面部および外表面部の全体を治療的な用量における上記薬物/薬物の組み合わせ物により被覆することも可能である。さらに、再狭窄を治療するための一定の薬物および例示的な被覆技法についての詳細な説明が以下において記載されている。また、このような被覆技法が上記薬物/薬物の組み合わせ物に応じて変更可能であることに注目することが重要である。さらに、この被覆技法は上記ステントまたはその他の内腔内医療装置を構成する材料に応じて変更することも可能である。

0055

ラパマイシンは米国特許第3,929,992号に開示されているようにストレプトミセス属ハイグロスコピカスにより生成される一定の大環状トリエン型の抗生物質である。このラパマイシンは、とりわけ、生体内における血管平滑筋細胞の増殖を抑制することが知られている。従って、ラパマイシンは、特に、生物学的にまたは機械的に媒介される脈管の損傷に続いて、あるいは、一定の哺乳類動物を脈管損傷に罹りやすくすると考えられる諸条件下において、一定の哺乳類動物の内膜平滑筋細胞の肥厚化、再狭窄および血管閉塞の治療に利用することができる。また、ラパマイシンは、平滑筋細胞の増殖を抑制するように機能し、血管壁部の再内皮化を妨げない。

0056

上記ラパマイシンは血管形成術により誘発する傷害において放出される種々のマイトジェン信号に応答して平滑筋の増殖に拮抗することにより血管の過形成を軽減する。細胞周期後期G1期における増殖因子およびサイトカインにより媒介される平滑筋増殖の抑制はラパマイシンの作用の主要なメカニズムであると考えられる。しかしながら、ラパマイシンはまた、全身系的に投与される場合に、T細胞の増殖および分化を阻止することも知られている。このことがラパマイシンの免疫抑制活性および移植片拒絶反応を阻止する能力に対応する論拠である。

0057

本明細書において用いられているように、ラパマイシンはFKBP12およびその他の免疫促進物質に結合してTORの抑制を含むラパマイシンと同一の薬理学的な諸特性を有する全ての類似体、誘導体および共役体を含む。

0058

ラパマイシンの抗増殖効果は全身系的な使用により達成できるが、さらに優れた結果がその配合物の局所的配給により達成できる。本質的に、ラパマイシンはその配合物に近接している組織内で作用し、その配給装置からの距離が増大するにつれて効果が減少する。このような作用を利用するために、ラパマイシンを内腔壁部に直接的に接触させることが望ましいと考えられる。従って、好ましい実施形態において、ラパマイシンはステントまたはその種々の部分の表面上に組み込まれている。本質的に、ラパマイシンは好ましくは、図1において示されている、ステント100の中に組み込まれており、この場合に、このステント100は内腔壁部に対して接触する。

0059

ラパマイシンは多くの方法においてステント上に組み込むかこれに対して固定することができる。例示的な実施形態において、ラパマイシンは一定のポリマー基材の中に直接的に組み込まれており、ステントの外表面部に吹き付けられる。その後、このラパマイシンは経時的にそのポリマー基材から溶出して周囲の組織に入り込む。このラパマイシンは好ましくは少なくとも3日間乃至約6ヶ月間、さらに好ましくは7日間乃至30日間にわたりステント上に留まっている。

0060

多数の非侵食性のポリマーが上記のラパマイシンに関連して利用できる。一例の例示的な実施形態において、上記ラパマイシンまたはその他の治療薬を一定の皮膜形成用のポリフルオロ・コポリマー中に組み込むことができ、この皮膜形成用のポリフルオロ・コポリマーは、重合化フッ化ビニリデンおよび重合化テトラフルオロエチレンから成る群から選択される一定量の第1の成分、およびこの第1の成分とは異なり、当該第1の成分と共重合されることにより上記ポリフルオロ・コポリマーが生成される一定量の第2の成分を含有しており、この第2の成分は上記ポリフルオロ・コポリマーに靱性または弾性を賦与することができ、上記第1の成分と第2の成分の相対的な各量は種々の移植可能な医療装置の処理において使用するために有効な諸特性を伴ってこれらから作成される被膜およびフィルムを形成することにおいて有効な量である。

0061

本発明は一定のポリフルオロ・コポリマーを含む種々のポリマー被膜、および、例えば、血管形成術において用いられる場合に血栓および/または再狭窄を減少するために有効な種々の量で上記ポリマー被膜の一定のフィルムにより被覆されている、例えば、ステント等のような移植可能な種々の医療装置を提供している。本明細書において用いられているように、ポリフルオロ・コポリマーは重合化フッ化ビニリデンおよび重合化テトラフルオロエチレンから成る群から選択される一定量の第1の成分、およびこの第1の成分とは異なり、当該第1の成分と共重合されることにより上記ポリフルオロ・コポリマーが生成される一定量の第2の成分を含有する種々のコポリマーを意味し、この第2の成分は上記ポリフルオロ・コポリマーに靱性または弾性を賦与することができ、上記第1の成分と第2の成分の相対的な各量は種々の移植可能な医療装置の被覆において使用するために有効な諸特性を伴ってこのようなポリフルオロ・コポリマーから作成される被膜およびフィルムを形成するために有効な量である。

0062

上記被膜は再狭窄、炎症および/または血栓を軽減するための薬剤または治療薬を含むことができ、これらの被膜により被覆されているステントは種々の薬剤の持続した放出を行なうことができる。本発明の特定のポリフルオロ・コポリマーの被膜から調製される種々のフィルムは、種々の装置の被膜およびフィルムが曝される最高温度が比較的に低い温度に制限されている場合においても、従来の被覆型の医療装置において必要とされる物理的および機械的な諸特性を示す。このことは、上記の被膜/フィルムを用いて熱に対して敏感な薬剤/治療薬または薬物を配給する場合、または、上記被膜をカテーテル等のような温度に敏感な装置に供給する場合に特に重要である。一方、最高の暴露温度が問題にならない場合、例えば、イトラコナゾール等のような熱安定性の薬物を被膜中に組み込む場合には、比較的に高い融点の熱可塑性ポリフルオロ・コポリマーを用いることができ、極めて高い伸び率および付着性が必要とされる場合には、種々のエラストマーを用いることができる。望まれる場合または必要とされる場合に、種々のポリフルオロ・エラストマーが、例えば、「モダーン・フルオロポリマーズ(Modern Fluoropolymers)」,(J.シャイヤーズ(J. Shires)編集),ジョン・ウィリーアンドサンズ(John Wiley & Sons),ニューヨーク,1997年,p.77−87において記載されている標準的な種々の方法により架橋できる。

0063

本発明は種々の医療装置用の改善された生体適合性の被膜またはビヒクルを形成するポリフルオロ・コポリマーを含む。これらの被膜は再狭窄または血栓、あるいは他の望ましくない種々の反応を軽減するために十分な、例えば、人間等のような、一定の哺乳類動物の身体組織に対して接触することにおいて不活性な生体適合性の表面部分を賦与する。多くの報告されているポリフルオロ・ホモポリマーにより作成した被膜は不溶性であり、さらに/または、移植可能な種々の装置、例えば、ステント等において使用する場合に適当な物理的および機械的な諸特性を備えたフィルムを得るために、例えば、約125℃以上の温度の高い熱を必要とし、あるいは、特定的に靱性または弾性を有していないが、本発明のポリフルオロ・コポリマーにより調製したフィルムは、種々の医療装置において形成される場合に、適当な接着性、靱性または弾性および亀裂に対する耐性を賦与する。また、特定の例示的な実施形態において、上記のことは種々の医療装置が比較的に低い最高温度に曝される場合においても言える。

0064

本発明の被膜において用いられているポリフルオロ・コポリマーは好ましくは蝋質または粘着質にならない程度に十分に高い分子量を有する皮膜形成用のポリマーである。さらに、これらのポリマーおよびこれらにより形成される皮膜はステントに付着して、そのステント上に付着した後に容易に変形して血流の応力により移動可能になることのないことが当然に好ましい。また、このポリマーの分子量はこのポリマーを含むフィルムがステントの取扱いまたは配備中に摩擦により剥がれ落ちないように十分な靱性を賦与する程度に十分に高いことが当然に好ましい。特定の例示的な実施形態において、上記被膜はステントまたはその他の医療装置の膨張が生じる場合に亀裂を生じない。

0065

本発明の被膜は上述したようなポリフルオロ・コポリマーを含有している。このポリフルオロ・コポリマーを調製するために上記第1の成分と重合される上記第2の成分は一定の哺乳類動物に移植する場合に許容し得る生体適合性の種々のポリマーを形成すると共に、本明細書における特許請求の範囲に記載されているそれぞれの医療装置において使用するために十分な弾性フィルムの諸特性を維持すると考えられる重合化した生体適合性の種々のモノマーから選択できる。このようなモノマーはヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレンペルフルオロメチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレンヘキサフルオロアセトンおよびヘキサフルオロイソブチレンを含むがこれらに限定されない。

0066

本発明において用いられるポリフルオロ・コポリマーは一般的に約50乃至約92重量%のフッ化ビニリジン(vinilidinefluoride)および約50乃至約8重量%のヘキサフルオロプロピレン(HFP)の範囲の重量比率でフッ化ビニリジンおよびヘキサフルオロプロピレンを含有している。好ましくは、本発明おいて用いられるポリフルオロ・コポリマーは約50乃至約15重量%のHFPと共重合している約50乃至約85重量%のフッ化ビニリジンを含有している。さらに好ましくは、上記ポリフルオロ・コポリマーは約45乃至約30重量%のHFPと共重合している約55乃至約70重量%のフッ化ビニリジンを含有している。さらに好ましくは、上記ポリフルオロ・コポリマーは約45乃至約35重量%のHFPと共重合している55乃至約65重量%のフッ化ポリビニリジンを含有している。これらのポリフルオロ・コポリマーはジメチルアセトアミドDMAc)、テトラヒドロフランジメチルホルムアミドジメチルスルホキシドおよびn−メチル・ピロリドン等のような種々の溶媒中において、種々の度合いで溶ける。さらに、一部のポリフルオロ・コポリマーはメチルエチルケトン(MEK)、アセトンメタノールおよびその他の従来の移植可能な医療装置に対して種々の被膜を供給する場合に一般的に用いられる溶媒中において可溶性である。

0067

従来のポリフルオロ・ホモポリマーは結晶質であり、このポリマーの溶融温度(Tm)に一致する比較的に高い温度にその被膜を曝すことなく種々の金属の表面に高品質のフィルムを供給することが困難である。このような高い温度は上記装置に対するフィルムの十分な接着性を示すと共に、好ましくはその被覆した医療装置の膨張/収縮時におけるフィルムの割れに耐えるために十分な柔軟性を維持する上記のようなPVDFホモポリマー等の被膜により調製されている種々のフィルムを形成するために役立つ。本発明による特定のフィルムおよび被膜は、これらの被膜およびフィルムが曝される最高温度が概ね所定の最高温度よりも低い場合であっても、それぞれの同一の物理的および機械的な諸特性、あるいは、実質的に同一の諸特性を示す。このことは、上記の被膜/フィルムが、例えば、化学的または物理的な劣化あるいはその他の熱により誘発する種々の悪影響等のような、熱の影響を受けやすい薬剤または治療薬または薬物を含む場合、あるいは、例えば、熱により誘発する組成上または構造上の劣化を受けやすい種々の医療装置における熱に対して敏感な支持体を被覆する場合に特に重要である。

0068

本発明の被膜およびフィルムが供給される特定の装置およびこの装置において必要とされる特定の用途/結果に応じて、これらの装置を調製するために用いるポリフルオロ・コポリマーは結晶質、半結晶質または非晶質のいずれにすることも可能である。

0069

装置が当該装置の高温に対する曝露に関する制約条件または制限条件を有していない場合には、結晶質のポリフルオロ・コポリマーを使用することができる。このような結晶質のポリフルオロ・コポリマーはそれぞれのガラス転移(Tg)温度よりも高い温度に曝され場合に、加えられる応力または重力下における流動性の増加に抵抗する傾向を有している。このような結晶質のポリフルオロ・コポリマーはこれらの完全な非晶質の対応物よりも靱性の高い被膜およびフィルムを形成する。加えて、このような結晶質のポリマーは比較的に潤滑性が高く、例えば、ニチノール・ステント等のような自己拡張型のステントを取り付けるために用いられるけん縮および移送の処理において比較的に容易に取り扱える。

0070

一方、半結晶質および非晶質のポリフルオロ・コポリマーは高い温度に曝されることが問題である場合、例えば、熱の影響を受けやすい薬剤または治療薬がその被膜またはフィルムに混合されている場合、あるいは、装置の設計、構造および/または用途が上記のような高い温度に曝されることを除外している場合に有利である。例えば、VDF等のような上記第1の成分と共重合している、例えば、約30乃至約45重量%のような比較的に多量の、例えば、HFP等のような上記第2の成分を含有している半結晶質のポリフルオロ・コポリマーの種々のエラストマーは非晶質のポリフルオロ・コポリマーの種々のエラストマーに比して摩擦係数および自己遮断性が低いという利点を有している。このような特徴は上記のようなポリフルオロ・コポリマーにより被覆されている種々の医療装置を加工、包装および配給する場合に相当な有用性を有すると考えられる。加えて、比較的に高い含有率の上記第2の成分を含有している上記のようなポリフルオロ・コポリマーのエラストマーはそのポリマー中における、例えば、ラパマイシン等のような特定の薬剤の溶解性を調整し、それゆえ、その基材中または基質中におけるその薬剤の浸透性を調整することに役立つ。

0071

本発明において利用されているポリフルオロ・コポリマーは種々の既知の重合法により調製できる。例えば、アジロルジ(Ajroldi)他,「フルオロエラストマーズ−ディペンデンス・オブ・リラクゼーションフェノメナ・オンコンポジションズ(Fluoroelastomers-dependence of relaxation phenomena on compositions)」,ポリマー(POLYMER),30巻,p.2180,1989年において開示されているような高圧遊離ラジカル連続式乳化重合法が種々の非晶質のポリフルオロ・コポリマーを調製するために使用することができ、これらの一部をエラストマーにすることも可能である。加えて、この文献において開示されている遊離ラジカル・バッチ式乳化重合法は比較的に多量の第2の成分が含まれている場合においても、半結晶質である種々のポリマーを得るために使用できる。

0072

上述のように、ステントは多様な材料により多様な幾何学的形状に構成できる。また、これらのステントは生体安定性で生体吸収性の種々の材料を含む生体適合性の種々の材料により作成できる。適当な生体適合性の金属はステンレス・スチール、タンタル、種々のチタン合金(ニチノールを含む)、および種々のコバルト合金コバルト−チタン−ニッケル合金を含む)を含むがこれらに限定されない。また、適当な非金属製の生体適合性の材料は種々のポリアミドポリオレフィン(すなわち、ポリプロピレンポリエチレン等)、非吸収性ポリエステル(すなわち、ポリエチレン・テレフタレート等)、および生体吸収性の脂肪族ポリエステル(すなわち、乳酸グリコール酸ラクチドグリコリドパラジオキサノントリエチレンカーボネート、ε−カプロラクトンおよびこれらの混合物のホモポリマーおよびコポリマー等)を含むがこれらに限定されない。

0073

上記フィルム形成用の生体適合性ポリマーの被膜は一般にステントの中を通る血液の流れの局所的な乱流を減少すると共に有害な種々の組織反応を減少するためにステントに供給される。これらの被膜およびこれらにより形成される種々のフィルムもまた一定の薬剤として活性な物質をステントの配置部位に投与するために使用できる。一般に、ステントに供給されるポリマー被膜の量は、考えられるパラメータの内において、とりわけ、被膜を調製するために使用する特定のポリフルオロ・コポリマー、ステントの設計および被膜における所望の効果に応じて変化する。一般に、被覆されたステントは約0.1乃至15重量%、好ましくは約0.4乃至約10重量%の被膜を含む。また、上記ポリフルオロ・コポリマーの被膜は、その供給されるポリフルオロ・コポリマーの量に応じて、1回以上の塗布工程において供給できる。さらに、異なるポリフルオロ・コポリマーをステントの被膜の中において互いに異なる層に対応して用いることも可能である。実際に、特定の例示的な実施形態において、種々の薬剤として活性な物質を含有できる後続のポリフルオロ・コポリマーの被膜層接着を助長するための一定のプライマーとして一定のポリフルオロ・コポリマーを含む希釈した第1の塗布溶液を用いることが極めて有利である。さらに、個々の被膜を互いに異なるポリフルオロ・コポリマーにより調製することも可能である。

0074

加えて、一定の上部被膜を薬剤の放出を遅延するために供給することも可能であり、あるいは、これらの被膜を異なる薬剤として活性な物質の配給のための基材として使用することも可能である。また、このような被膜の層状化は薬剤の放出を段階的にするために、あるいは、異なる層の中に配置されている異なる薬剤の放出を調整するために用いることもできる。

0075

また、種々のポリフルオロ・コポリマーの混合物を用いて異なる薬剤の放出速度を調整することができ、あるいは、種々の被膜特性、すなわち、弾性、靱性等、および薬物の種々の配給特性、例えば、放出特性の一定の望ましいバランスを形成することができる。さらに、種々の溶剤中において異なる溶解度を有する種々のポリフルオロ・コポリマーを用いることにより、異なる薬物を配給するために、あるいは、一定の薬物の放出特性を調整するために使用可能な異なるポリマー層構築できる。例えば、85.5/14.5(重量/重量)のポリ(フッ化ビニリジン/HFP)から成るポリフルオロ・コポリマーと60.6/39.4(重量/重量)のポリ(フッ化ビニリジン/HFP)から成るポリフルオロ・コポリマーは共にDMAc中において溶ける。しかしながら、60.6/39.4のPVDFポリフルオロ・コポリマーだけがメタノール中において溶ける。従って、一定の薬物を含む80.5/14.5のPVDFポリフルオロ・コポリマーの第1の層をメタノール溶媒により作成した60.6/39.4のPVDFポリフルオロ・コポリマーの上部被膜または上部被膜材により被覆することが可能である。この上部被膜は上記第1の層中に含まれている薬物の配給を遅延するために使用できる。あるいは、この第2の層は連続的な薬物配給を行なうために一定の異なる薬剤を含むことも可能である。さらに、第1の種類のポリフルオロ・コポリマー、および別の種類のポリフルオロ・コポリマーの交互の層により異なる薬物の多数個の層を備えることも可能である。すなわち、当該技術分野における熟練者により容易に認識されるように、多数の層状化方式が所望の薬物配給を行なうために使用できる。

0076

種々の被膜が1種類以上の治療薬と上記被膜の種々のポリフルオロ・コポリマーを一定の被膜混合物中において混合することにより配合できる。この治療薬は、一定の液体微細粉砕した固体または任意の別の適当な物理的形態として存在できる。随意的に、例えば、上記被膜混合物は種々の稀釈剤キャリヤー賦形剤安定化剤等のような、無毒性補助物質を含む1種類以上の添加物を含有できる。さらに、別の適当な添加物が上記のポリマーおよび薬剤として活性な物質または配合物と共に配合できる。例えば、一定の親水性のポリマーを一定の生体適合性で疎水性の被膜に添加してその放出特性を変更することができ、あるいは、一定の疎水性のポリマーを一定の親水性の被膜に添加することによりその放出特性を変更することも可能である。一例として、ポリエチレン・オキシドポリビニル・ピロリドン、ポリエチレン・グリコールカルボキシルメチルセルロースおよびヒドロキシメチル・セルロースから成る群から選択される一定の親水性のポリマーを一定のポリフルオロ・コポリマーの被膜に添加してその放出特性を変更することが考えられる。これらの適当な相対量は種々の治療薬についての生体外(in vitro)および/または生体内(in vivo)における放出特性をモニターすることにより決定できる。

0077

上記被膜の供給において最良の条件は上記ポリフルオロ・コポリマーと薬剤が一定の共通の溶剤を有している場合である。これにより、一定の真正溶液である液状塗料が得られる。また、望ましさの点において劣るが、依然として使用可能な状態として、上記ポリマーの溶媒中における一定の溶液中において一定の固形分散物として上記薬剤を含有している被膜もある。このような分散の条件下においては、分散している薬剤粉末粒度または粒径、およびその主な粉末の寸法およびその凝集体集塊物の両方が不規則塗膜面を生じない程度に、あるいは、被膜の実質的に無い状態を維持することが必要なステントの各スロット部分を詰まらせない程度に十分に小さくなることを確実にするために注意払う必要がある。一定の分散物をステントに供給して、その被膜フィルム表面の滑らかさを改善することが必要である場合、または、薬物の全ての粒子が確実に完全にポリマー中に包み込まれるようにすることが必要である場合、あるいは、薬物の放出速度を遅延することが必要である場合に、その薬物の持続した放出を行なうために使用される同一のポリフルオロ・コポリマーまたはその被膜からの薬物の拡散をさらに制限する別のポリフルオロ・コポリマーの透明な(ポリフルオロ・コポリマーだけの)上部被膜を供給することができる。この上部被膜はマンドレルによる浸漬塗布により供給することにより各スロット部分を開口することができる。この方法は米国特許第6,153,252号明細書において開示されている。さらに、上記上部被膜を供給するための別の方法はスピン塗布法および吹付塗布法を含む。なお、この上部被膜の浸漬塗布は上記薬物がその被膜溶剤中に極めて溶けやすい場合に問題を生じる可能性があり、この溶媒はポリフルオロ・コポリマーを膨潤させて、その透明な被覆溶液が一定のゼロ濃度シンクとして作用して先に付着していた薬剤を再び溶かしてしまう。さらに、薬物がその薬物を含まない槽の中に抽出されないようにするために、その浸漬槽中における消費時間を制限する必要がある。加えて、先に付着していた薬物が上記の上部被膜の中に完全に拡散しないように乾燥を速やかに行なう必要がある。

0078

上記治療薬の量は使用する特定の薬物および治療を受けている医療状況に応じて決まる。一般的に、この薬物の量は被膜の全重量の約0.001%乃至約70%、さらに一般的には被膜の全重量の約0.001%乃至約60%である。また、この薬物は被膜の全重量の0.0001%程度の少ない量であることも有り得る。

0079

薬剤を含む被膜フィルム中に用いられているポリフルオロ・コポリマーの量および種類は所望の放出特性および使用する薬剤の量に応じて変化する。この生成物は所望の放出特性または任意の配合に対する一貫性を示すように異なる分子量を有する同種または異種のポリフルオロ・コポリマーの混合物を含むことができる。

0080

ポリフルオロ・コポリマーは拡散により分散状態の薬剤を放出することができる。この結果、有効量(0.001μg/cm2 −分乃至1000μg/cm2 −分)の薬剤の延長された配給(例えば、約1000時間乃至2000時間、好ましくは、200時間乃至800時間にわたる配給)を行なうことができる。この投薬量は治療を受けている患者、病気の重症度、処方医の判断等に合わせることができる。

0081

所望の薬剤放出特性を達成するために、種々の薬剤およびポリフルオロ・コポリマーの個々の配合物を適当な生体外および生体内のモデルにおいて試験することができる。例えば、一定の薬剤を一定のポリフルオロ・コポリマーまたは種々のポリフルオロ・コポリマーの混合物と配合し、一定のステント上に塗布し、攪拌または循環している一定の流体システム、例えば、25%のエタノール水溶液の中に配置する。さらに、これらの循環している流体中におけるサンプルを取り出してその放出特性を決定することができる(例えば、HPLC、UV分析法または放射線タグ付きの各種分子の使用等による)。さらに、一定のステント被膜からの一定の内腔の内壁部の中への一定の薬剤配合物の放出が適当な動物体システムにおいてモデル化できる。その後、その薬剤放出特性が、例えば、サンプルを特定の時点で採取して、各サンプルをその薬物濃度についてアッセイする(HPLCを用いて薬剤濃度を検出する)等のような、適当な手段によりモニターできる。また、血栓形成はハンソン(Hanson)およびヘーカー(Harker),「プロシーディング・ナショナル・アカデミカル・ソサイエテイ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),85巻,p.3184−3188,(1988年)により記載されている血小板内画像処理法を用いて種々の動物体モデルにおいてモデル化できる。また、上記の手順またはこれに類似の手順に従うことにより、当該技術分野における熟練者であれば、種々のステント被膜配合物が配合可能になる。

0082

本発明の要件ではないが、上記の被覆およびフィルムは種々の医療装置に供給した後に架橋することができる。この架橋は既知の架橋処理のメカニズムの内の任意のもの、例えば、化学薬品、熱または光により行なうことができる。加えて、この架橋処理の開始剤および促進剤も適用可能で適当であれば使用可能である。薬剤を含有している種々の架橋フィルムを利用している例示的な実施形態において、その硬化処理がその被膜からの薬剤の拡散速度に影響を及ぼす可能性がある。さらに、本発明の種々の架橋したポリフルオロ・コポリマー・フィルムおよび被膜は移植可能な種々の医療装置の表面を改質するために薬剤を伴わずに使用することも可能である。

0083

実施例
実施例1:
それぞれF19NMRにより決定した場合に92/8重量%および91/9重量%のフッ化ビニリデン/HFPである、一定のPVDFホモポリマー(テキサスヒュートンのソルベイアドバンスド・ポリマーズ社(Solvay Advanced Polymers)から入手可能なソレフ(Solef)(登録商標)1008、融点は約175℃)およびポリ(フッ化ビニリデン/HFP)のポリフルオロ・コポリマー(それぞれ、例えば、テキサス州ヒュートンのソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社(Solvay Advanced Polymers)から入手可能なソレフ(Solef)(登録商標)11010および11008、融点は約159℃および160℃)を種々のステント用の可能性のある被膜として調べた。上記のポリマーはDMAc、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、テドラヒドロフラン(THF)およびアセトンを含むがこれらに限らない種々の溶媒中において溶ける。これらのポリマーを一定のプライマーとしてアセトン中に5重量%で溶解するか、そのポリマーを一定の上部被膜として50/50DMAc/アセトン中に30重量%で溶解することによりそれぞれのポリマー被膜を調製した。この場合に、浸漬によりステントに供給して、数時間にわたり空気中において60℃で乾燥した後に、100mmHg(1.33×104パスカル)以下の一定の真空中において3時間にわたり60℃で乾燥した種々の被膜は白色の発泡体状のフィルムを形成した。供給時において、これらのフィルムはステントに対する接着性が欠けており、剥がれ落ちて、過度に脆いことが分かった。さらに、上記の様式で被覆したステントを175℃を超える温度、すなわち、そのポリマーの融点を超える温度に加熱すると、一定の透明で付着性のフィルムが形成された。それゆえ、高品質のフィルムを達成するためには、種々の被膜は高い温度を、例えば、ポリマーの融点を超える温度を必要とする。上述したように、このような高温の熱処理は大部分の薬剤配合物においてこれらの熱に対する影響の受けやすさにより許容し得ない。

0084

実施例2:
F19NMRで決定した場合に14.5重量%のHFPと共重合している85.5重量%のフッ化ビニリデンを含有しているおポリフルオロ・コポリマー(ソレフ(Solef)(登録商標)21508)を評価した。このコポリマーは上記実施例1において記載されているポリフルオロ・ホモポリマーおよびコポリマーよりも結晶性が低い。さらに、このコポリマーは約133℃であると報告されている低い融点も有している。この場合も同様に、約20重量%の上記ポリフルオロ・コポリマーを含む一定の被膜を50/50のDMAc/MEK中における一定のポリマー溶液により供給した。数時間にわたり60℃で(空気中において)乾燥した後に、100mmHg(1.33×104パスカル)以下の真空中において3時間にわたり60℃で乾燥することにより透明な付着性のフィルムを得た。この方法は高品質のフィルムを達成するための一定の高温の熱処理の必要性を排除している。このようにして得られた被膜は上記実施例1の被膜よりも滑らかであり且つ付着性が高かった。膨張処理を受けた一部の被覆型ステントはフィルムが金属から離れるためにある程度の付着性の低下と「テント状化(tenting)」を示した。そこで、必要である場合には、上記の各コポリマーを含有している被膜の改質を、例えば、種々の可塑剤等をその被膜配合物に添加する等により行なうことができる。このような被膜により調製される種々のフィルムは、特に、これらの装置が種々のステントの程度まで膨張することに対して影響を受けにくい場合に、それぞれのステントおよびその他の医療装置を被覆するために使用できる。

0085

上記の被覆処理を繰り返し、この場合に、上記85.5/14.6(重量/重量)の(フッ化ビニリデン/HFP)および被膜の固形物の全重量に基づいて約30重量%のラパマイシン(ペンシルベニア州フィラデルフィアのウエイス−イヤースト・ラボラトリーズ社(Wyeth-Ayesrt Labratories))を含む一定の被膜を得た。この結果、場合により被覆型ステントの膨張時に割れまたは剥がれを生じる透明な種々のフィルムが得られた。さらに、種々の可塑剤等を上記の被膜の組成に含ませることにより、このような割れおよび剥がれが生じにくい種々のステントおよびその他の医療装置において使用するための被膜およびフィルムが得られると考えられる。

0086

実施例3:
その後、上記よりもさらに高いHFP含有量のポリフルオロ・コポリマーを試験した。この系列のポリマーは半結晶質ではなく、エラストマーとして市販されている。一例のこのようなコポリマーはフルオレル(Fluorel)(商標)FC2261Q(ミネソタオークデールのダイニオン社(Dyneon)、3M−ホエストエンタープライズの1社(3M-Hoecht Enterprise))、すなわち、フッ化ビニリデン/HFPの60.6/39.4(重量/重量)のコポリマーである。このコポリマーは室温よりも十分に低いTg(ガラス転移点)(このTgは約−20℃)を有しているが、室温または60℃でも粘着性にならない。このポリマーは示差走査熱量計DSC)または広角X線回折法により測定した場合に、検出可能な結晶質を持たない。上述したようなステント上に形成されるフィルムは非粘着性で、透明であり、ステントの拡張時に問題を生じることなく膨張する。

0087

上述の被覆処理を繰り返して、被膜固形物の全重量に基づいて、60.6/39.4(重量/重量)(フッ化ビニリデン/HFP)および約9重量%、30重量%および50重量%のラパマイシン(ペンシルベニア州フィラデルフィアのウエイス−イヤースト・ラボラトリーズ社(Wyeth-Ayerst Labratories))を含む被膜をそれぞれ得た。この場合に、約9重量%および30重量%のラパマイシンを含む各被膜はステント上において問題を生じることなく拡張した白色で付着性の強靱なフィルムを形成した。同様に、50%の薬剤を混入すると、その結果として、膨張時において付着性がある程度失われた。

0088

ポリフルオロ・コポリマーのコモノマー配合物中の変化もまた、乾燥後において、その固体状態の被膜の性質に影響を及ぼす可能性がある。例えば、85.5重量%のフッ化ビニリデンを14.5重量%のHFPと重合させたものを含む半結晶質コポリマーのソレフ(Solef)(登録商標)21508はDMAcおよび50/50DMAc/MEK中に約30%のラパマイシン(固体の全重量、例えば、薬剤+コポリマーで割った薬剤の重量)と共に均質な溶液を形成する。このフィルムを乾燥すると(16時間にわたり60℃で処理した後に、3時間にわたり60℃で100mmHg(1.3×104パスカル)の真空中で処理した)、ポリマー中における一定の薬剤の固溶体を示す一定の透明な被膜が得られる。これとは逆に、60.6/39.5(重量/重量)のPDVF/HFPの非晶質コポリマーであるフルオレル(Fluorel)(商標)FC2261QはDMAc/MEK中におけるラパマイシンの一定の同様な30%溶液を形成し、同様に乾燥すると、その薬物およびポリマーの相分離を示す一定の白色のフィルムが得られる。この第2の薬物を含むフィルムは結晶質のソレフ(Solef)(登録商標)21508の前述の透明なフィルムの場合よりも25%エタノール水溶液の生体外試験溶液中に薬物を放出ことが極めて遅い。上記両方のフィルムのX線分析により、薬物は一定の非結晶質の形態で存在していることが分かる。高HFP含有量のコポリマー中における薬物の不十分なまたは極めて低い溶解度により、薄い被膜フィルムを通る薬物の透過度が低下する。この透過度または透過性は一定のフィルム(コポリマー)の中を通る種々の物質(この場合、薬物)の拡散速度とそのフィルム中の薬剤の溶解度との積である。

0089

実施例4:被膜からのラパマイシンの生体外における放出結果
図3は85.5/14.5のフッ化ビニリデン/HFPのポリフルオロ・コポリマーに関するデータをプロットしたグラフ図であり、上部被膜の無い場合における一定の時間の関数として放出される薬剤のフラクションを示している。また、図4は一定の上部被膜が配置されている同一のポリフルオロ・コポリマーについてのデータをプロットしたグラフ図であり、放出速度に対する最も大きな影響が一定の透明な上部被膜を伴う場合に生じていることを示している。図示のように、TC150は150マイクログラムの上部被膜を有する一定の装置を示しており、TC235は235マイクログラムの上部被膜を示している。上部被膜を備える前の各ステントは30%のラパマイシンを含有している平均で750マイクログラムの被膜を有していた。さらに、図5は60.6/39.4のフッ化ビニリデン/HFPポリフルオロ・コポリマーについてのデータをプロットしたグラフ図であり、一定の時間の関数としての放出される薬剤のフラクションを示しており、一定の上部被膜を伴わない場合の被膜からの放出速度の有意義な調整を示している。すなわち、この放出は薬剤をフィルム中に装填することにより調整されている。

0090

実施例5:ポリ(VDF/HFP)からのラパマイシンの生体内ステント放出速度
通常の食事をしている9匹のニュージーランド種の白うさぎ(2.5kg乃至3.0kg)に手術の24時間前、さらに手術の直前に、およびこの調査の残りの部分においてアスピリンを与えた。手術時に、各動物体にアセプロマジン(0.1乃至0.2mg/kg)をあらかじめ投薬し、一定のケタミンキシラジン混合物(それぞれ40mg/kgおよび5mg/kg)で麻酔をかけた。さらに、各動物体にヘパリンの1回分の処置間投与量(150IU/kg、静脈内(i.v.))を与えた。

0091

総頸動脈動脈切除を行ない、5フレンチカテーテル導入装置(コーディス・インコーポレイテッド社(Cordis, Inc.))を血管内に配置して結紮糸により固定した。その後、ヨウ素造影剤注入して、右総頸動脈、腕頭動脈および大動脈弓可視化した。次に、操縦可能なガイドワイヤ(0.014インチ(0.036cm)/180cm、コーディス・インコーポレイテッド社(Cordis, Inc.))を上記の導入装置を介して挿入し、順次各腸骨動脈内に前進させて、その腸骨動脈が先に行なった血管造影式マッピング法により2mmに最も近い一定の直径を持つ場所まで進行させた。30%ラパマイシンを含むポリ(VDF/HFP):(60.6/39.4)により作成した一定のフィルムを被覆した2個のステントを、実行可能な場合の各動物体において、3.0mmバルーンを用いて各腸動脈中に1個ずつ配備し、30秒間にわたり8乃至10気圧まで膨張した後に1分間の時間間隔を置いてさらに30秒間にわたる8乃至10気圧までの2回目の膨張を行なった。その後、両方の腸骨動脈を可視化する事後点検用の血管造影図を得てステントの正確な配備位置を確認した。

0092

上記の処置の終了時に、総頸動脈を結紮し、その皮膚を1層の中断状態閉鎖部材を用いて3/0ビクリル縫合糸により閉鎖した。各動物体にブトロパノール(0.4mg/kg、(s.c.))およびゲンタマイシン(4mg/kg、筋肉内(i.m.))を与えた。回復後、各動物体をそれぞれのケージに戻し、自由に食物および水に接触可能にした。

0093

初期的な死亡および外科的な困難さにより、2匹の動物体はこの分析において用いられなかった。ステント処理した各血管を以下の各時点、すなわち、移植後10分において1本の血管(1匹の動物体)、移植後40分乃至2時間(平均、1.2時間)において6個の血管(3匹の動物体)、移植後3日において2個の血管(2匹の動物体)、および移植後7日において2個の血管(1個の動物体)を残りの7匹の動物体から取り出した。2時間の時点における1匹の動物体においては、そのステントは腸骨動脈ではなく大動脈から回収した。除去時に、各動脈を注意深くステントの基端部および先端部の両方において整形した。その後、各血管を注意深くステントから切断して離し、洗い流して残留している血液を除去し、そのステントと血管の両方をすぐに凍結して、別々に箔で包み、ラベルを貼って−80℃において凍結状態に維持した。全てのサンプルを集めて、それぞれの血管およびステントを凍結し、輸送した後に、組織中におけるラパマイシンについて分析を行ない、これらの結果が図4に示されている。

0094

実施例6:ポリマーの浄化
上記のフルオレル(Fluorel)(商標)FC2261Qコポリマーを約10重量%でMEK中に溶解して、14:1のエタノール/水とMEK溶液との溶液比率においてエタノール/水の50/50混合物中において洗浄した。その後、このポリマーは沈澱し、遠心処理によりこの溶剤相から分離した。さらに、このポリマーを再びMEK中に溶解して、洗浄処理を繰り返し行なった。その後、このポリマーを各洗浄工程の後に一晩にわたり一定の真空オーブン(200ミリトール(mtorr)以下)内において60℃で乾燥した。

0095

実施例7:ブタの冠動脈中における被覆型ステントの生体内試験
クロスフレックス(CrossFlex)(登録商標)ステント(コーディス(Cordis)、ジョンソン・アンド・ジョンソン・カンパニー社(Johnson & Johnson Company)の1社から入手可能)を上記の「受け入れられた(as received)」フルオレル(Fluorel)(商標)FC2261QPVDFコポリマーおよび上記実施例6において浄化したポリフルオロ・コポリマーにより、浸漬処理および拭き取り方式を用いて被覆した。その後、これらの被覆したステントをエチレン・オキシドおよび一定の標準的な処理工程により滅菌処理した。さらに、これらの被覆したステントおよび無被覆状態金属ステント対照品)をブタの各冠動脈に移植して、これらを28日間にわたりその状態に維持した。

0096

血管造影を移植時および28日目に各ブタについて行なった。この血管造影法により、対照の無被覆状態のステントは約21%の再狭窄を示した。上記の「受け入れられた」ポリフルオロ・コポリマーは約26%の再狭窄(対照と同等)を示したが、洗浄処理したコポリマーは約12.5%の再狭窄を示した。

0097

組織学的な結果により、無被覆状態の金属の対照品の浄化しないコポリマーおよび浄化したコポリマーにおいて、28日目における新内膜領域は2.89±0.2、3.57±0.4、2.75±0.3であることが分かった。

0098

ラパマイシンは周囲の組織に入ることにより作用するので、一定の組織に対して接触するステントの表面のみに固定されていることが好ましい。一般的に、このようなステントの外表面部のみが組織に接触する。従って、一例の例示的な実施形態において、ステントの外表面部のみがラパマイシンにより被覆されている。

0099

循環器系は、通常の条件下において、自己シール型である必要があり、自己シール型でない場合には、外傷部からの継続した血液の損失が生命脅かすことも考えられる。一般的に、たいていの破局的出血を除く全ての出血は止血として知られている一定の処理により即時に止まる。この止血は一連の工程を通して行なわれる。流量が多い場合に、止血は血小板凝集フィブリン形成を伴う種々の状態の組み合わせになる。この血小板凝集により、一定の細胞による栓の形成に起因して血液の流れの減少を引き起こすと共に、一連の生物化学的な工程により、フィブリンの凝塊が生じる。

0100

フィブリン凝塊は、上述したように、傷害に応答して形成される。このような血液の凝固または特定領域内における凝固が健康上の危険性をもたらす特定の状況が存在する。例えば、経皮経内腔式の冠動脈血管形成術の実施中において、種々の動脈壁部の内皮細胞が一般的に損傷し、これにより、内皮下細胞が露出する。血小板はこれらの露出した細胞に付着する。凝集している血小板および損傷した組織はさらに別の生化学的な過程を開始し、これにより、血液凝固が生じる。血小板およびフィブリン血餅は種々の重要な領域への血液の正常な流れを妨げる。従って、血液凝固を種々の医療処置において調整する必要がある。血液が凝固しないようにする各種の配合物は抗凝固剤と呼ばれている。本質的に、抗凝固剤は血栓の形成または機能の一定の抑制因子である。これら配合物はヘパリンおよびヒルジン等のような種々の薬剤を含む。本明細書において用いられているように、このヘパリンは血栓または第Xa因子の直接的または間接的な全ての抑制因子を含む。

0101

有効な抗凝固剤であることに加えて、ヘパリンはまた、生体内における平滑筋細胞の増殖を抑制することが立証されている。従って、ヘパリンは脈管の病気の治療においてラパマイシンと共に有効に利用できる可能性がある。本質的に、ラパマイシンとヘパリンの組み合わせは、ヘパリンが一定の抗凝固剤として作用すること加えて、二種類の異なるメカニズムを介して平滑筋細胞の増殖を抑制することができる。

0102

ヘパリンは、その多官能的化学的性質のために、多くの方法で一定のステントに対して不動化または固定化できる。例えば、ヘパリンは種々の方法により種々の表面上に固定化でき、このような方法として、ガイア(Guire)他に発行されている米国特許第3,959,078号および4,722,906号およびカハラン(Cahalan)他に発行されている米国特許第5,229,172号、5,308,641号、5,350,800号および5,415,938号において記載されているフォトリンク(photolink)法が含まれる。また、このようなヘパリンを付着した表面はまたディング(Ding)他に発行されている米国特許第5,837,313号、6,099,562号および6,120,536号において記載されているような、例えば、シリコーンゴム等の一定のポリマー基材からの調整された放出により達成されている。

0103

ラパマイシンとは異なり、ヘパリンは血液中の循環タンパク質に対して作用し、このヘパリンが有効であるためには血液に接触することだけを必要とする。従って、例えば、一定のステント等のような一定の医療器具と共に使用する場合に、血液と接触する面においてのみ存在していることが好ましい。例えば、ヘパリンが一定のステントを介して投与される場合に、このヘパリンが有効であるためにはそのステントの内表面部においてのみ存在していればよい。

0104

本発明の例示的な実施形態において、脈管の治療のために一定のステントがラパマイシンおよびヘパリンとの組み合わせにおいて利用可能である。この例示的な実施形態において、ヘパリンは血液と接触するようにそのステントの内表面部に固定化されており、ラパマイシンはその周囲組織に対して接触するようにそのステントの外表面部に固定化されている。図7図1において示されているステント100における一定の帯域部分102の断面を示している。図示のように、この帯域部分102はその内表面部110においてヘパリン108により被覆されており、その外表面部114においてラパマイシン112により被覆されている。

0105

別の例示的な実施形態において、上記ステントはその内表面部に固定化されている一定のヘパリンの層およびその外表面部に固定化されているラパマイシンおよびヘパリンを有することができる。現行の塗布技法を利用すると、ヘパリンはラパマイシンの場合よりもこれが固定化される表面に対してさらに強固な結合状態を形成する傾向がある。従って、最初にラパマイシンをステントの外表面部に固定化してから、一定のヘパリンの層をそのラパマイシン層に固定化することが可能であると考えられる。このような実施形態において、ラパマイシンはステントに比較的に確実に固定できると共に、そのポリマー基材からヘパリンを通して周囲の組織の中に比較的に有効に溶け出すことができる。図8図1において示されているステント100における一定の帯域部分102の断面を示している。図示のように、この帯域部分102はその内表面部110においてヘパリン108により被覆されており、その外表面部114においてラパマイシン112およびヘパリン108により被覆されている。

0106

一定の侵食性の結合による捕捉または共有結合的な連結により、上記ヘパリンの層をラパマイシンの層に固定する多数の方法がある。例えば、ヘパリンをポリマー基材の上部層に導入することができる。また、別の実施形態においては、異なる形態のヘパリンを、例えば図9において示されているように、ポリマー基材の上部層の上に直接的に固定することも可能である。すなわち、図示のように、疎水性のヘパリン層116をラパマイシン層112の上部被膜層118の上に固定することができる。なお、これらのラパマイシンおよびヘパリンの被膜は非相容性の被膜供給技法を代表するものであるので、一定の疎水性の形態のヘパリンが用いられている。さらに、ラパマイシンは一定の有機溶媒を基材とする被膜であり、ヘパリンは、その自然な形態において、一定の水性の被膜である。

0107

上述したように、一定のラパマイシンの被膜は一定の浸漬法、スプレー法またはスピン・コート法および/またはこれら方法の任意の組み合わせにより種々のステントに供給できる。この場合に、種々のポリマーが利用可能である。例えば、上述したように、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)およびポリブチルメタクリレートの種々の混合物を利用することができる。さらに別のポリマーも利用可能であり、例えば、フッ化ポリビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレンおよびポリエチルブチルメタクリレート−コ−ヘキシル・メタクリレートが含まれるがこれらに限らない。また、上述したように、バリアまたは上部被膜をポリマー基材からのラパマイシンの溶解の調整のために供給することも可能である。上述した例示的な実施形態において、一定のヘパリンの薄い層がポリマー基材の表面に供給されている。なお、これらのポリマー組織は疎水性であり、親水性のヘパリンに対して非相容性であるので、適当な表面改質が必要になる場合がある。

0108

上記高分子基材の表面へのヘパリンの供給は種々の方法により種々の生体適合性の材料を用いて行なうことができる。例えば、一例の実施形態において、水中または種々のアルコールの溶液中において、ラパマイシンを劣化させないように注意しながら(例えば、pH<7、低温において)ポリエチレン・イミンを種々のステントに供給した後に、ヘパリン酸ナトリウムを水性または種々のアルコールの溶液において供給する。この表面改質の一定の拡張例として、共有結合性のヘパリンをアミド型の化学薬品(一定のカルボンジイミド活性化剤、例えば、EDC)または還元性アミノ化薬品(結合のためのCBAS−ヘパリンおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウム)を用いてポリエチレン・イミンに結合させることができる。また、別の例示的な実施形態において、ヘパリンは、光開始剤性の成分により適当にグラフト化されている場合に、その表面において光結合できる。このような改質されたヘパリンの配合物を共有結合性のステントの表面に供給すると、光の曝露により、架橋が生じてヘパリンがその被膜表面上に固定される。さらに別の例示的な実施形態において、ヘパリンは疎水性の第四級アンモニウム塩と共に錯体を形成することにより、その分子が種々の有機溶媒(例えば、ヘパリン酸ベンザルコニウム、ヘパリン酸トリドデシルメチルアンモニウム)の中に溶けるようになる。このようなヘパリンの配合物は疎水性のラパマイシン被膜に対して相容性があり、その被膜表面上に直接的に供給可能であるか、上記ラパマイシン/疎水性ポリマーの配合物中に供給可能になる。

0109

ステントが、上述したように、種々の金属、高分子材料およびセラミック材料を含む多数の材料から形成可能であることを述べておくことが重要である。従って、種々の技法が上記の種々の薬物、薬剤、配合物の組み合わせ物をこのステント上に固定するために利用可能である。特に、上述したポリマー基材に加えて、種々の生体ポリマーを用いることができる。これらの生体ポリマーは一般に天然ポリマーとして分類できるが、上述のポリマーは合成ポリマーとして説明することもできる。利用可能な例示的な生体ポリマーはアガロースアルギネートゼラチンコラーゲンおよびエラスチンを含む。加えて、上記の薬物、薬剤または配合物は他の経皮的に配給される、例えば、種々の移植片および灌流バルーン等のような種々の医療装置と共に利用することも可能である。

0110

一定の抗増殖剤および抗凝固剤の利用に加えて、種々の抗炎症薬もこれらと組み合わせて利用できる。このような組み合わせの一例として、ラパマイシン、クラドリビン、ビンクリスチン、タクソールまたは一定の酸化窒素ドナー等のような一定の抗増殖剤、およびヘパリン等のような一定の抗凝固剤を伴う、デキサメタゾン等のような一定の抗炎症性のコルチコステロイドの添加が考えられる。このような組み合わせ物による治療方法はさらに良好な治療効果を与えると考えられ、すなわち、何れか一方の薬剤のみにより生じると考えられる効果よりも、増殖の度合いが低下し、炎症、すなわち、増殖に対応する一定の刺激の度合いが低下する。一定の抗増殖剤、抗凝固剤および抗炎症薬を含む一定のステントを損傷した血管に配給することにより、局所的な平滑筋細胞の増殖の度合いが制限され、増殖に対応する一定の刺激すなわち炎症が減少して、凝固作用も低下するので、ステントの再狭窄の制限作用が高められるという付加的な治療上の有益性が得られる。

0111

本発明の別の例示的な実施形態においては、増殖因子抑制因子またはサイトカイン信号変換抑制因子、例えば、ラス(ras)抑制因子、R115777またはP38キナーゼ抑制因子、RWJ67657またはチロシン・キナーゼ抑制因子、例えば、チルホスチン(tyrphostin)を一定の抗増殖剤、例えば、タクソール、ビンクリスチンまたはラパマイシンと組み合わせることにより、平滑筋細胞の増殖を種々のメカニズムにより抑制可能にしている。あるいは、一定の抗増殖剤、例えば、タクソール、ビンクリスチンまたはラパマイシンを細胞外基質合成の抑制因子、例えば、ハロフジノンと組み合わすことも可能であると考えられる。上述の場合に、種々のメカニズムにより作用する種々の薬剤が相乗的に作用して平滑筋細胞の増殖および血管肥厚化を減少できると考えられる。本発明はまた2種類以上の上記のような薬剤または薬物の別の組み合わせにも及ぶと考えられている。上述したように、上記の薬剤、作用薬または配合物は全身系的に投与可能であり、薬剤配給カテーテルを介して局所的に配給でき、あるいは、一定のステントの表面からの配給のために配合可能であり、あるいは、全身系的および局所的な治療の組み合わせとして供給できる。

0112

抗増殖剤、抗炎症薬および抗凝固剤に加えて、他の種々の薬物、薬剤または配合物を種々の医療装置と関連して利用することができる。例えば、種々の免疫抑制剤を単独または上記のような別の薬物、薬剤または配合物と組み合わせて利用できる。また、プラスミドのような種々のウイルス性ベクターまたは非ウイルス性遺伝子ベクターにおける種々の修飾遺伝子(組換えDNAを含む核酸)等のような遺伝子治療配給機構もまた一定の医療装置を介して局所的に導入できる。加えて、本発明は、細胞に基づく治療に利用することもできる。

0113

上述の薬物、薬剤、配合物および修飾遺伝子の全てに加えて、通常において治療的または生物学的に活性ではない種々の化学薬剤もまた本発明に関連して利用できる。これらの一般的にプロドラッグ(pro-drug)と呼ばれている化学薬剤は生体に導入されると1種類以上のメカニズムまたは機構により生物学的に活性になる薬剤である。これらメカニズムは一定の生体により供給される種々の化合物の付加または一定の生体により供給される別の物質により生じる種々の物質による化合物の開裂を含む。一般的に、これらのプロドラッグは一定の生体によりさらにその吸収性を高める。加えて、これらの代用物質はまた時間放出の一定の追加的な測定手段を提供することもできる。

0114

上述したように、ラパマイシンは脈管の傷害後の再狭窄の防止のために単独でまたは1種類以上の薬物、薬剤および/または配合物との組み合わせにおいて利用可能である。

0115

ヒストン・タンパク質はDNAのパッケージングおよび遺伝子の転写を補助する細胞クロマチンの一部である。幾種類かのヒストン・タンパク質が存在しており、これらはそれぞれアニオン性のDNAに対して相互作用できる正味の正の電荷発現する。これらのヒストン・タンパク質はDNAが周囲に巻き付くヌクレオソームサブユニットを形成する。アセチルトランスフェラーゼおよびデアセチラーゼのそれぞれの酵素によるアセチル化脱アセチル化による上記ヒストンの化学的な改質ならびにその他の翻訳後の改質はこれらのヒストン・タンパク質の形状、およびこれに続く、それぞれの転写酵素に対するDNAの接近の可能性を調整するために役立つ。休止細胞において、その遺伝子の転写は、少なくとも部分的に、DNAに結合するヒストン・タンパク質のアセチル化(転写オン)および脱アセチル化(転写オフ)の一定のバランスにより調整される。それゆえ、これらのアセチル化および脱アセチル化の間のバランスに影響を及ぼすことは最終的に遺伝子の転写、およびこれに続く、細胞増殖に対して影響を及ぼす可能性があり、この理由は、増殖の種々の経路が遺伝子の転写に相当に依存しているからである。このようなヒストン・デアセチラーゼはRPd3様タンパク質およびHda−1様タンパク質の2個の総括的な種類を有している。

0116

利用可能である別の薬物、薬剤および/または配合物は別のヒストン・デアセチラーゼの抑制因子を含み、これらはトリコスタチンA、その種々の類似体および誘導体ならびに類似の物質を含む。さらに、これらの物質はブチレートフェニルブチレートおよびバルプロエート等のような短鎖脂肪酸、種々のトリコスタチン、SAHAおよびその誘導体、オキサフラチン、ABHAスクリプテイド、ピロキサミド、およびプロペナミド等のようなヒドロキサム酸、種々のトラポキシン、HC−トキシン、クラミドシン、ジヘテロペプチン、WF−3161およびCyl−1およびCyl−2等のようなエポキシケトン含有の種々の環状テトラペプチド、FR901228およびアピシジン等のような非エポキシケトン含有の種々の環状テトラペプチド、MS−275(MS−27−275)、Cl−994およびその他のベンズアミド類自体等のような種々のベンズアミド、およびデプデシンおよび有機イオウ化合物等のような種々の雑多な構造を含む。

0117

トリコスタチンAは細胞周期の主にG1期およびG2期における腫瘍細胞の増殖を抑制する一定のヒストン・デアセチラーゼ抑制因子である。この細胞周期のG1期およびG2期は遺伝子の転写によりそれぞれ特徴付けられる段階である。すなわち、上記トリコスタチンAの抗増殖性の活性および細胞周期の段階における抑制の特性は低いナノモルの範囲内における抗増殖性のIC50を伴う腫瘍細胞系において主に特徴付けられている(ウー(Woo)他、ジャーナル・オブ・メデイカル・ケミストリー(J. Med. Chem),45巻,p.2877−2885,2002年)。加えて、このトリコスタチンAは抗脈管形成性の活性を有することが示されている(デロアンネ(Derroanne)他,オンコジーン(Oncogene),21(3)巻,p.427−436,2002年)。

0118

細胞外細胞培養の調査において、トリコスタチンAは人間の冠動脈平滑筋細胞の増殖を完全に抑制することが示されており、約6nMの抗増殖性のIC50を有している。図51は一定の細胞培養調査におけるトリコスタチンAによる冠動脈平滑筋細胞の抑制の一定のグラフである。それゆえ、局所的に配給されるトリコスタチンAは脈管の傷害後における新内膜の形成を実質的に抑制することができる。

0119

ラパマイシンは米国特許第3,929,992号に開示されているようにストレプトミセス属ハイグロスコピカスにより生成される一定の大環状トリエン型の抗生物質である。このラパマイシンは生体内における脈管の平滑筋細胞の増殖を抑制することが知られている。従って、ラパマイシンは、特に、生物学的にまたは機械的に媒介される脈管の損傷に続いて、あるいは、一定の哺乳類動物を脈管損傷に罹りやすくすると考えられる諸条件下において、一定の哺乳類動物の内膜平滑筋細胞の肥厚化、再狭窄および血管閉塞の治療に利用することができる。また、ラパマイシンは、平滑筋細胞の増殖を抑制するように機能し、血管壁部の再内皮化を妨げない。

0120

上記ラパマイシンは多数のメカニズムにより平滑筋細胞の増殖を抑制するために機能する。加えて、このラパマイシンは、例えば、炎症等の脈管の傷害により生じる別の作用も減少する。このようなラパマイシンの作用および種々の機能のメカニズムが以下において詳細に説明されている。なお、この出願を通して用いられているラパマイシンはラパマイシン、種々のラパマイシンの類似体、誘導体およびFKBP12に結合して、以下において詳細に説明されているような、ラパマイシンと同一の薬理学的な特性を有する同種物を含むと考えることができる。

0121

上記ラパマイシンは血管形成術により誘発する傷害において放出される種々のマイトジェン信号に応答して平滑筋の増殖に拮抗することにより血管の過形成を軽減する。細胞周期後期のG1期における増殖因子およびサイトカインにより媒介される平滑筋増殖の抑制はラパマイシンの作用の主要なメカニズムであると考えられる。しかしながら、ラパマイシンはまた、全身系的に投与される場合に、T細胞の増殖および分化を阻止することも知られている。このことがラパマイシンの免疫抑制活性および移植片拒絶反応を阻止する能力に対応する論拠である。

0122

新内膜の過形成または肥圧化の大きさおよび持続時間を減少するように作用する一定の既知の抗増殖剤であるラパマイシンの作用の原因になっている分子の状態は依然として解明中である。しかしながら、ラパマイシンは細胞の中に入り、FKBP12と呼ばれる一定の高い親和力細胞質ゾルのタンパク質に結合することが知られている。さらに、これらのラパマイシンおよびFKBP12の複合体は「ラパマイシンの哺乳類標的物(mammalian Target of Rapamycin)」またはTORと呼ばれる一定のホスホイノシチド(PI)−3キナーゼに結合してこれを抑制する。このTORは平滑筋細胞およびTリンパ球におけるマイトジェン増殖因子およびサイトカインに付随する下流領域シグナリング現象を媒介することにおいて一定の重要な役割を果たすタンパク質キナーゼである。これらの現象はp27のホスホリル化、p70s6キナーゼのホスホリル化、およびタンパク質の翻訳における一定の重要な調節因子である4BP−1のホスホリル化を含む。

0123

ラパマイシンが新内膜の過形成を抑制することにより再狭窄を減少することが認識されている。しかしながら、ラパマイシンは再狭窄の別の主要な要素、すなわち、陰性の再造形も抑制する可能性があることも立証されている。この再造形はそのメカニズムが明らかに理解されていないが、一般に人間の体内において約3ヶ月乃至6ヶ月の一定期間において、経時的に外弾性板の収縮および内腔面積の減少を生じる一定の過程である。

0124

陰性または収縮性の脈管の再造形はその過程を遮断するためにステントの無い病巣の部位における狭窄の直径の割合として血管造影により定量化できる。その病巣において遅発性の内腔の損失が無ければ、陰性の再造形が抑制されていることが推断できる。再造形の程度を決定する別の方法は脈管内超音波法(IVUS)による病巣内における外弾性板の面積の測定を含む。この脈管内超音波法は外弾性板ならびに脈管の内腔を画像処理できる一定の技法である。この場合に、術後の時点から4ヶ月乃至12ヶ月の追跡におけるステントに対して近位側および遠位側の外弾性板の変化が再造形の変化を反映する。

0125

上記のようなラパマイシンが再造形において一定の作用を及ぼす証拠はラパマイシンを被覆したステントが病巣内およびそのステント内における再狭窄の極めて低い程度を示している人間の移植片の調査により得られている。病巣内の各パラメータは通常においてステントのいずれかの側、すなわち、近位側および遠位側の約5ミリメートルにおいて測定される。さらに、ステントはバルーンの拡張により影響を受けているそれぞれの領域における再造形を調整するために存在していないので、ラパマイシンが脈管の再造形を阻止していることが推断できる。

0126

以下の表1におけるデータは病巣内における狭窄の直径の割合が12ヶ月目においてもラパマイシンにより処理したグループにおいて低く保たれていることを示している。従って、これらの結果はラパマイシンが再造形を減少すると言う仮説を支持している。

0127

0128

ラパマイシンによる陰性の再造形における減少を支持する別の証拠が以下の表2において示されているような最初の人体内における臨床プログラムから得られた脈管内超音波法のデータから得られる。

0129

0130

上記のデータは陰性の再造形の抑制がラパマイシン被覆型ステントにより処理した血管内において生じることを示している血管の面積の最少の損失が近位側または遠位側において存在していることを示している。

0131

ステント以外には、脈管の再造形の問題に対する有効な解決法が存在していない。従って、ラパマイシンは脈管の再造形の現象を調整するための一定の生物学的な手法と考えることができる。

0132

上記ラパマイシンは幾つかの様式で陰性の再造形を減少するために作用することが仮定できる。例えば、傷害に応答する脈管壁部内の線維芽細胞の増殖を特定的に遮断することにより、ラパマイシンは脈管の瘢痕組織の形成を減少すると考えられる。また、ラパマイシンはコラーゲン形成または代謝に関与する主要なタンパク質の翻訳に作用を及ぼすと考えられる。

0133

本明細書において用いられているラパマイシンはラパマイシンおよびFKBP12に結合してラパマイシンと同一の薬理学的な特性を有する全ての類似体、誘導体および同族物を含む。

0134

好ましい実施形態において、ラパマイシンは再狭窄を減少または阻止する一定の手段としてバルーン血管形成術後における一定の動脈部分の陰性の再造形を調整するために一定の局所配給装置により配給される。この場合に、任意の配給装置が利用可能であるが、この装置はラパマイシンを溶出または放出する一定の被膜またはシースを含む一定のステントを備えていることが好ましい。このような装置のための配給システムは投与者により調整される一定の速度でラパマイシンを配給する一定の局所注入カテーテルを含むことができる。また、別の実施形態において、一定の注入の必要物を利用することが可能である。

0135

ラパマイシンはまた約7日間乃至45日間の範囲の一定期間にわたりラパマイシンを配給して陰性の再造形を抑制するために十分な脈管組織のレベルを達成するために一定の経口の投薬形態または一定の長期間の注入可能な貯蔵形態または一定のパッチを用いて全身系的に配給することもできる。このような治療は一定のステントを伴うか伴わない選択的な血管形成術の前の数日間にわたり投与される場合に再狭窄を減少または阻止するために用いられる。

0136

ブタおよびラビットの各モデルにおいて発生したデータは一定範囲の投薬量(35乃至430μg/15乃至18mmの冠動脈ステント)における一定の非侵食性の高分子ステント被膜からの脈管壁部内へのラパマイシンの放出が以下の表3において示されているように新内膜の過形成において50乃至55%の減少に到る一定の最大値になることを示している。この減少は約28日乃至30日目において最大になり、以下の表4において示されているように、一般的にブタのモデルにおいては90日乃至180日の範囲内までは持続しない。

0137

0138

0139

一定の非侵食性の高分子ステント被膜からの一定の人間の脈管壁部内へのラパマイシンの放出は上記のような各動物体の脈管壁部に対して比べた場合にステント内における新内膜の過形成の減少の大きさおよび持続に関して優れた結果を示している。

0140

上記と同一の高分子基材を用いて各動物体において調査した場合と同一の用量範囲内におけるラパマイシンを含む一定のラパマイシン被覆型ステントを移植した人体は、新内膜の減少における大きさおよび持続時間に基づいて、各動物体において観察された量よりもはるかに大きな新内膜の過形成における減少を示している。この人体のラパマイシンに対する臨床的な応答は血管造影法および脈管内超音波法による測定の両方により内側の新内膜の過形成の実質的に全体的な排除を示している。さらに、これらの結果は以下の表5において示されているように少なくとも1年にわたり持続している。

0141

0142

ラパマイシンは一定のステントにより配給される場合に少なくとも1年間にわたり持続するステント内の新内膜の過形成において一定の有意義な減少を生じることにより人体において予想外の有益性を示している。この人体における有益性の大きさおよび持続時間は動物体のモデルのデータからは予想されない値である。本明細書において用いられているラパマイシンはFKBP12に結合してラパマイシンと同一の薬理学的な諸特性を有する全ての類似体、誘導体および同種物を含む。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 東レ株式会社の「 アニリド誘導体及びその医薬用途」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明は、レチノイド関連オーファン受容体γアンタゴニスト活性を有し、乾癬等の自己免疫疾患に対して治療効果又は予防効果を発揮する新規な化合物を提供することを目的としている。本発明は、下... 詳細

  • 株式会社ADEKAの「 シート状脱細胞化材料及び同材料を用いる人工血管」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明は、4方向の引張強さの最大値が4MPa以上であって、引張強さが最大となる方向における伸び率が50%〜300%である、生体材料由来シート状脱細胞化材料に関する。本発明によって、血... 詳細

  • 国民大学校産学協力団の「 Fcガンマ受容体変異体」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明はFcガンマ受容体変異体を含むポリペプチドに関するものである。本発明のFcガンマ受容体変異体は、Fcガンマ受容体の一部アミノ酸配列を他のアミノ酸配列に置換して最適化することによ... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ