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技術 プローブ針及びその製造方法

出願人 東京特殊電線株式会社
発明者 北沢弘坂研二輿水幸比古
出願日 2004年2月25日 (16年10ヶ月経過) 出願番号 2004-049898
公開日 2005年9月8日 (15年3ヶ月経過) 公開番号 2005-241362
状態 拒絶査定
技術分野 測定用導線・探針
主要キーワード 高速工具鋼 コンタクト板 金属固有 光沢めっき層 白金めっき液 高弾性金属 非酸化性金属 スルファミン酸ニッケルめっき液
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年9月8日)のものです。
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図面 (5)

課題

プローブ針被測定体電極との接触を繰り返しても接触抵抗値の上昇が起こり難いプローブ針及びその製造方法を提供する。

解決手段

先端部を被測定体の電極に接触させて被測定体の電気的特性を測定するためのプローブ針であって、金属基体1と金属基体の表面を覆う金属層2とを有し、その金属層を、金属基体側から無光沢ニッケルめっき層3、ニッケルめっき層4及び貴金属めっき層5の順で積層された構造とする。

概要

背景

近年、携帯電話等に使用される高密度実装基板や、パソコン等に組み込まれるBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)等のICパッケージ基板等、様々な回路基板が用いられている。このような回路基板は、実装の前後の工程において、例えば直流抵抗値の測定や導通検査が行われ、その電気的特性良否検査されている。こうした電気的特性の良否の検査は、電気的特性を測定する装置に接続された検査装置用治具(以下、プローブユニットともいう。)を用いて行われている。例えば、回路基板に検査装置用治具に装着されたプローブ針の先端部をその回路基板の電極に接触(以下、コンタクトともいう。)させて行われている。

プローブ針は、その一本一本がプローブユニットに設けられたガイド孔の中に装着され、1つのプローブユニットには、複数本から数千本のプローブ針が装着されている。電気的特性の検査は、そうしたプローブユニットを上下させ、プローブ針の弾性力を利用して回路基板の電極にコンタクトさせることにより行われている。

通常、プローブ針には高弾性金属が用いられているが、そうしたプローブ針は、回路基板の電極にコンタクトさせるうえで非常に好適であるものの、その高弾性金属が水や大気に曝されるとその曝された部分に電気抵抗値の高い酸化膜が形成され易く、接触抵抗値の上昇(プローブ針の導電性の低下)を誘発するという不具合が生じることがあった。

プローブユニットに装着される複数本から数千本のプローブ針のうち一本でも上記のような不具合が生じると、回路基板の電気的特性の検査が不可能となったり、電気的特性を表す測定値不正確となったりすることがある。さらに、不具合を引き起こしたプローブ針の交換又はプローブユニットの交換の必要性が生じ易く、コストがかかるだけでなく、交換に時間を要して検査の作業性が悪化するという問題がある。

また、近年の電子機器の軽薄短小化や機能性の向上に伴い、電子機器に使用される回路基板上の電極(ランドバンプ等)の狭ピッチ化や高密度配線パターン化が進んでいる。これに伴い、プローブユニットに装着されるプローブ針も狭ピッチ化が求められているが、そのような狭ピッチのプローブユニットにおいては、プローブ針に不具合が起きた場合、プローブ針の交換が非常に困難になるという問題がある。このため、不具合が生じ難く寿命の長いプローブ針が求められている。

このような問題を解決するため、従来より、表面に酸化膜が形成され難いプローブ針の研究がなされている。例えば特許文献1には、高弾性金属からなる金属基体の上に、順次、ニッケル層非酸化性金属層とを有するプローブ針が記載されている。
特開2002−131334号公報(特許請求の範囲参照)

概要

プローブ針と被測定体の電極との接触を繰り返しても接触抵抗値の上昇が起こり難いプローブ針及びその製造方法を提供する。先端部を被測定体の電極に接触させて被測定体の電気的特性を測定するためのプローブ針であって、金属基体1と金属基体の表面を覆う金属層2とを有し、その金属層を、金属基体側から無光沢ニッケルめっき層3、ニッケルめっき層4及び貴金属めっき層5の順で積層された構造とする。

目的

本発明は、上記問題を解決するために本発明者らが鋭意研究して成されたものであって、その目的は、プローブ針と被測定体の電極との接触を繰り返しても接触抵抗値の上昇が起こり難く、寿命の長いプローブ針とその製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

先端部を被測定体電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定するためのプローブ針であって、金属基体と該金属基体の表面を覆う金属層とを有し、該金属層が、前記金属基体側から無光沢ニッケルめっき層ニッケルめっき層及び貴金属めっき層の順で積層された構造であることを特徴とするプローブ針。

請求項2

先端部を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定するためのプローブ針であって、金属基体と該金属基体の表面を覆う金属層とを有し、該金属層は、前記金属基体上に無光沢ニッケルめっき層を有すると共に、該無光沢ニッケルめっき層上にニッケルめっき層と貴金属めっき層とからなる積層体を2以上有していることを特徴とするプローブ針。

請求項3

前記先端部の金属層の厚さTAと、先端部以外の金属層の厚さTBとの比が、TA:TB=1.03〜1.50:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプローブ針。

請求項4

前記ニッケルめっき層の耐力が前記貴金属めっき層の耐力よりも大きく、前記ニッケルめっき層の厚さTXと前記貴金属めっき層の厚さTYとの比が、TX:TY=0.2〜1:1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブ針。

請求項5

前記ニッケルめっき層の耐力が前記貴金属めっき層の耐力よりも小さく、前記ニッケルめっき層の厚さTXと前記貴金属めっき層の厚さTYとの比が、TX:TY=1:0.2〜1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブ針。

請求項6

前記ニッケルめっき層が、光沢めっき層又は半光沢めっき層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプローブ針。

請求項7

前記貴金属めっき層が、ロジウムパラジウム白金、金又は金合金からなる層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプローブ針。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載のプローブ針が、少なくとも、脱脂工程、活性化工程及び電気めっき工程を経て製造されることを特徴とするプローブ針の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、汎用電子機器に組み込まれる回路基板等の電気的特性の測定に用いられるプローブ針及びその製造方法に関し、更に詳しくは、被測定体電極との接触を繰り返しても接触抵抗値の上昇が起こり難いプローブ針及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、携帯電話等に使用される高密度実装基板や、パソコン等に組み込まれるBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)等のICパッケージ基板等、様々な回路基板が用いられている。このような回路基板は、実装の前後の工程において、例えば直流抵抗値の測定や導通検査が行われ、その電気的特性の良否検査されている。こうした電気的特性の良否の検査は、電気的特性を測定する装置に接続された検査装置用治具(以下、プローブユニットともいう。)を用いて行われている。例えば、回路基板に検査装置用治具に装着されたプローブ針の先端部をその回路基板の電極に接触(以下、コンタクトともいう。)させて行われている。

0003

プローブ針は、その一本一本がプローブユニットに設けられたガイド孔の中に装着され、1つのプローブユニットには、複数本から数千本のプローブ針が装着されている。電気的特性の検査は、そうしたプローブユニットを上下させ、プローブ針の弾性力を利用して回路基板の電極にコンタクトさせることにより行われている。

0004

通常、プローブ針には高弾性金属が用いられているが、そうしたプローブ針は、回路基板の電極にコンタクトさせるうえで非常に好適であるものの、その高弾性金属が水や大気に曝されるとその曝された部分に電気抵抗値の高い酸化膜が形成され易く、接触抵抗値の上昇(プローブ針の導電性の低下)を誘発するという不具合が生じることがあった。

0005

プローブユニットに装着される複数本から数千本のプローブ針のうち一本でも上記のような不具合が生じると、回路基板の電気的特性の検査が不可能となったり、電気的特性を表す測定値不正確となったりすることがある。さらに、不具合を引き起こしたプローブ針の交換又はプローブユニットの交換の必要性が生じ易く、コストがかかるだけでなく、交換に時間を要して検査の作業性が悪化するという問題がある。

0006

また、近年の電子機器の軽薄短小化や機能性の向上に伴い、電子機器に使用される回路基板上の電極(ランドバンプ等)の狭ピッチ化や高密度配線パターン化が進んでいる。これに伴い、プローブユニットに装着されるプローブ針も狭ピッチ化が求められているが、そのような狭ピッチのプローブユニットにおいては、プローブ針に不具合が起きた場合、プローブ針の交換が非常に困難になるという問題がある。このため、不具合が生じ難く寿命の長いプローブ針が求められている。

0007

このような問題を解決するため、従来より、表面に酸化膜が形成され難いプローブ針の研究がなされている。例えば特許文献1には、高弾性金属からなる金属基体の上に、順次、ニッケル層非酸化性金属層とを有するプローブ針が記載されている。
特開2002−131334号公報(特許請求の範囲参照)

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記特許文献1に記載のプローブ針は、被測定体の電極とのコンタクトを繰り返すことによって、プローブ針の表面に形成された非酸化性金属層の磨耗や剥離が起こり、金属基体が露出して接触抵抗値が上昇し易く、未だに改善の余地があった。

0009

本発明は、上記問題を解決するために本発明者らが鋭意研究して成されたものであって、その目的は、プローブ針と被測定体の電極との接触を繰り返しても接触抵抗値の上昇が起こり難く、寿命の長いプローブ針とその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

第1の観点として本発明のプローブ針は、先端部を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定するためのプローブ針であって、金属基体と該金属基体の表面を覆う金属層とを有し、該金属層が、前記金属基体側から無光沢ニッケルめっき層ニッケルめっき層及び貴金属めっき層の順で積層された構造であることを特徴とする。

0011

金属基体は、通常、電気化学的に卑な金属が用いられるので、水や大気に曝されると電気抵抗の大きい酸化膜が形成される。しかしながら、この発明によれば、金属基体上に酸化膜を形成し難い金属層が設けられるので、金属基体が水や大気に曝されない構造となり、酸化膜の形成による接触抵抗値の上昇を起こし難い。また、この発明によれば、金属基体と貴金属めっき層との間にニッケルめっき層を有するので、プローブ針を構成する異種金属相互拡散を防止でき、プローブ針と被測定体の電極とのコンタクト時の接触抵抗値の上昇を抑制できる。

0012

第2の観点として本発明のプローブ針は、先端部を被測定体の電極に接触させて該被測定体の電気的特性を測定するためのプローブ針であって、金属基体と該金属基体の表面を覆う金属層とを有し、該金属層は、前記金属基体上に無光沢ニッケルめっき層を有すると共に、該無光沢ニッケルめっき層上にニッケルめっき層と貴金属めっき層とからなる積層体を2以上有していることを特徴とする。

0013

この発明によれば、ニッケルめっき層と貴金属めっき層とからなる積層体を2以上有するので、プローブ針と被測定体の電極との接触により金属層に加わる応力の集中を分散させることができる。その結果、プローブ針と被測定体の電極とのコンタクトを繰り返し行っても、金属層の磨耗や剥離を抑制することができるので、金属基体が水や大気中に露出するのを防ぐことができる。

0014

本発明のプローブ針は、上記第1又は第2の観点のプローブ針において、前記先端部の金属層の厚さTAと、先端部以外の金属層の厚さTBとの比が、TA:TB=1.03〜1.50:1であることを特徴とする。

0015

この発明によれば、プローブ針の先端部の金属層が先端部以外の金属層よりも厚いので、プローブ針と被測定体の電極とのコンタクトが繰り返し行われて金属層の磨耗が徐々に進行したとしても、プローブ針の先端部の金属基体が水や大気中に露出され難い。

0016

本発明のプローブ針は、上記第1又第2の観点のプローブ針において、前記ニッケルめっき層の耐力が前記貴金属めっき層の耐力よりも大きく、前記ニッケルめっき層の厚さTXと前記貴金属めっき層の厚さTYとの比がTX:TY=0.2〜1:1であることを特徴とする。

0017

ニッケルめっき層の耐力が貴金属めっき層の耐力よりも大きい場合においては、プローブ針と被測定体の電極とのコンタクト時に耐力の小さい貴金属めっき層の磨耗が優先的に起こる傾向となるが、この発明によれば、貴金属めっき層がニッケルめっき層よりも厚いので、プローブ針の金属基体が水や大気中に曝され難くなる。

0018

本発明のプローブ針は、上記第1又第2の観点のプローブ針において、前記ニッケルめっき層の耐力が前記貴金属めっき層の耐力よりも小さく、前記ニッケルめっき層の厚さTXと前記貴金属めっき層の厚さTYとの比がTX:TY=1:0.2〜1であることを特徴とする。

0019

ニッケルめっき層の耐力が貴金属めっき層の耐力よりも小さい場合においては、ニッケルめっき層は緩衝金属層役割を果たし、耐力の大きい最外層の貴金属めっき層は磨耗され難くなる。その結果、金属基体が水や大気中に曝され難くなる。したがって、貴金属めっき層をニッケルめっき層より薄く形成しても金属層の磨耗や剥離を抑制できるため、信頼性の高いプローブ針となる。

0020

本発明のプローブ針は、上記第1又第2の観点のプローブ針において、前記ニッケルめっき層が、光沢めっき層又は半光沢めっき層であることを特徴とする。

0021

めっきによって金属層を形成する場合、金属層が形成される素地表面凹凸を有すると、形成される金属層は粗面となり易い。これは、素地表面の凸部に電流分布が集中するためであり、凸部に形成される金属の結晶粒が大きくなることによる。このような粗面を最表面に有するプローブ針を被測定体の電極とコンタクトさせると、接触面積が小さいために加重が集中して磨耗し易いが、この発明によれば、ニッケルめっき層が光沢又は半光沢めっき層であるので、形成される貴金属めっき層の平滑性が向上し、接触面積が大きく、加重を分散させることができる。したがって、金属層の磨耗や剥離を抑制でき、金属基体が水や大気中に露出するのを防ぐことができる。

0022

本発明のプローブ針は、上記第1又第2の観点のプローブ針において、前記貴金属めっき層が、ロジウムパラジウム白金、金又は金合金からなる層であることを特徴とする。この発明によれば、電気抵抗の大きい酸化膜の形成を抑制することができる。

0023

本発明のプローブ針の製造方法は、上述した本発明のプローブ針が、少なくとも脱脂工程、活性化工程及び電気めっき工程を経て製造されることを特徴とする。

0024

この発明によれば、金属基体を脱脂し活性化させたのちに無光沢ニッケルめっき層を形成するので、その無光沢ニッケルめっき層の作用により金属基体とニッケルめっき層との密着性が向上する。また、電気めっき法を用いるので、金属基体上への金属層の形成を比較的容易に行うことができる。このため、金属層の金属基体からの剥離を抑制することができ、金属基体が水や大気中に露出するのを防ぐことができる。

発明の効果

0025

本発明のプローブ針及びその製造方法によれば、金属層の磨耗や剥離を抑制し、金属基体が水や大気中に露出するのを防ぐことができるので、プローブ針の表面に電気抵抗の大きい酸化膜が形成されるのを防ぐことができ、接触抵抗値の上昇を抑制することができる。その結果、プローブ針の寿命が長くなるので、プローブ針の交換頻度やプローブユニットの交換頻度を少なくすることができ、コストを削減することができる。また、プローブ針やプローブユニットの交換に要する時間を削減することができるので、作業性が向上する。さらに、本発明のプローブ針及びその製造方法によれば、回路基板の電気的特性の良否の検査を正確に行うことができるので、回路基板等の検査装置用治具(プローブユニット)の信頼性を確保することができる。

発明を実施するための最良の形態

0026

以下に、本発明のプローブ針及びその製造方法について詳細に説明する。

0027

<プローブ針>
図1は、本発明のプローブ針の一例の概略を示す断面図であり、図2は、本発明のプローブ針の第一実施形態の一例を示す部分断面図であり、図3は、本発明のプローブ針の第二実施形態の一例を示す部分断面図である。

0028

本発明のプローブ針は、先端部を被測定体の電極に接触させてその被測定体の電気的特性を測定するためのものであり、図1に示すように、金属基体1上に金属層2を有している。そして、本発明のプローブ針は、図2及び図3に示すように、2つの実施形態からなっている。

0029

第一実施形態のプローブ針は、図2に示すように、金属基体1と金属基体1の表面を覆う金属層2とを有し、その金属層2が、金属基体1側から順に、無光沢ニッケルめっき層3、ニッケルめっき層4及び貴金属めっき層5が積層された構造である。また、第二実施形態のプローブ針は、図3に示すように、金属基体1と金属基体1の表面を覆う金属層2とを有し、その金属層2が、金属基体1上に無光沢ニッケルめっき層3を有すると共に、その無光沢ニッケルめっき層3上に、ニッケルめっき層4とニッケルめっき層4上に形成された貴金属めっき層5とからなる積層体6を2以上有している。

0030

金属基体1は、プローブ針の基体となるものであり、金属基体1に用いられる金属としては、高弾性金属が好適である。具体的には、高速工具鋼SKH)、タングステン(W)、レニウムタングステン(ReW)、ベリリウム銅(BeCu)を使用することができる。金属基体1は、通常、それらの高弾性金属を冷間又は熱間伸線によって所定の径(例えば、0.20〜0.05mm)の線状導体となるまで塑性加工を施し、その後、この線状導体を所定の長さにカットすることにより得ることができる。金属基体1の先端部は、プローブ針と被測定体の電極との接触性を向上させるために所定の形状に加工される。例えばその先端部は、半球フラットコーン等の形状となるように研磨加工される。

0031

金属層2は、図1に示すように、金属基体1全体を覆うように設けられる。この金属層2は、第一実施形態においては、無光沢ニッケルめっき層3、ニッケルめっき層4及び貴金属めっき層5から構成され、第二実施形態においては、無光沢ニッケルめっき層3と、ニッケルめっき層4及び貴金属めっき層5が繰り返し設けられた積層体6とから構成されている。

0032

金属基体1には、通常、上述したように、電気化学的に卑な金属が用いられるので、水や大気に曝されると電気抵抗の大きい酸化膜が形成されるが、本発明のプローブ針は、金属基体1上に酸化膜を形成し難い金属層2が設けられるので、金属基体1が水や大気に曝されない構造となり、酸化膜の形成による接触抵抗値の上昇を抑制することができる。

0033

無光沢ニッケルめっき層3は、金属基体1上に、ニッケルめっき層4の密着性を向上させるために設けられる。無光沢ニッケルめっき層形成用のめっき液としては、特に制限されないが、塩化ニッケルめっき液等が好ましく用いられる。上記効果を発揮させるための無光沢ニッケルめっき層3の厚さは、0.02μm以上0.3μm以下が好ましい。

0034

ニッケルめっき層4は、無光沢ニッケルめっき層3が形成された金属基体1と、貴金属めっき層5との間に設けられ、プローブ針を構成する異種金属の相互拡散を防止する。その結果、プローブ針と被測定体の電極とのコンタクト時の接触抵抗値の上昇を抑制することができる。

0035

ニッケルめっき層4は、光沢又は半光沢めっき層であることが好ましい。こうすることにより、ニッケルめっき層4上に形成される貴金属めっき層5の平滑性が向上し、その結果、被測定体の電極との接触面積を大きくすることができる。ニッケルめっき層4が凹凸を有すると、その上に形成される貴金属めっき層5は粗面となり易い。これは、ニッケルめっき層4表面の凸部に電流分布が集中し、凸部に形成される金属の結晶粒が大きくなることによる。このように貴金属めっき層5が粗面であると、プローブ針を被測定体の電極とコンタクトさせる際に、接触面積が小さいために加重が集中して金属層2が磨耗し易いが、ニッケルめっき層4を光沢又は半光沢めっき層とすることにより、貴金属めっき層5の平滑性が向上し、接触面積が大きく、コンタクト時の加重を分散させることができる。したがって、金属層2の磨耗を抑制することができ、金属基体1が水や大気中に露出するのを防ぐことができる。

0036

ニッケルめっき層形成用のめっき液としては、特に制限されないが、スルファミン酸ニッケルめっき液等が好ましく用いられる。また、ニッケルめっき液中に、光沢剤成分として、サッカリンチオ尿素、PEG(ポリエチレングリコール)等有機系化合物を単独又は混合して適宜使用することによって光沢又は半光沢めっき層の調製が可能となる。上記の効果を奏するためのニッケルめっき層4の厚さは、0.3μm以上3μm以下が好ましい。

0037

貴金属めっき層5は、めっきによって形成された貴金属からなる層である。貴金属の中でも、高弾性酸化され難い金属が用いられることが好ましく、具体的には、ロジウム、パラジウム、白金、金及び金合金から選ばれることが好ましい。また、金合金としては、例えば、Au−Ni合金やAu−Co合金が挙げられる。これらの金属からなる貴金属めっき層5をプローブ針の最表面に施すことにより、酸化作用が抑制でき、接触抵抗値の上昇を抑えることができる。この貴金属めっき層形成用のめっき液としては、貴金属の種類にもよるが、シアン化金カリウムシアン化カリウム及びリン酸水素二カリウムを主要成分とする金めっき液硫酸ロジウム及び硫酸を主要成分とするロジウムめっき液、塩化パラジウム及び塩化アンモニウムを主要成分とするパラジウムめっき液ジアミノジニトロ白金、水酸化アンモニウム硝酸アンモニウム及び亜硝酸ナトリウムを主要成分とする白金めっき液、シアン化カリウム、リン酸二水素ナトリウムリン酸水素カリウム及びシアン化ニッケルカリウムを主要成分とするAu−Ni合金めっき液、シアン化金カリウム、クエン酸クエン酸カリウム及び硫酸コバルトを主要成分とするAu−Co合金めっき液等が挙げられる。貴金属めっき層5の厚さは、0.1μm以上3μm以下が好ましい。

0038

以上のように、第一実施形態及び第二実施形態のプローブ針は、酸化され難い金属からなる貴金属めっき層5を最表面に有する構造となるため、金属基体1が水や大気に曝されない構造となり、酸化膜の形成による接触抵抗値の上昇を極力防ぐことができる。また、第一実施形態及び第二実施形態のプローブ針は、金属基体1と貴金属めっき層5の間にニッケルめっき層4を有するので、プローブ針を構成する異種金属の相互拡散を防止でき、プローブ針と非測定体の電極とのコンタクト時の接触抵抗値の上昇を抑えることができる。

0039

さらに、第二実施形態のプローブ針は、上述したニッケルめっき層4と貴金属めっき層5とからなる積層体6を2以上有するので、プローブ針と被測定体の電極との接触により金属層2に加わる応力の集中をその2以上の積層体で分散させることができる。なお、応力とは、物体に外から力が加わる際、その物体内部に生ずる力をいう。

0040

本発明の第一実施形態及び第二実施形態において、ニッケルめっき層4又は貴金属めっき層5に用いられる金属の硬度や耐力は、金属基体1として用いた高弾性金属の硬度や耐力と比較して劣るものが多い。そのため、プローブ針と被測定体の電極とのコンタクトを繰り返し行うことによって生じる応力は、ニッケルめっき層4又は貴金属めっき層5に集中し、ニッケルめっき層4又は貴金属めっき層5は金属基体1よりも優先的に磨耗が始まる。しかし、第二実施形態のプローブ針は、硬度や耐力の異なるニッケルめっき層4と貴金属めっき層5とを交互に複数回積層させることによって、それらの層が緩衝金属層の役割をなし、金属層2に加わる応力の集中を分散させることができる。その結果、金属層2の磨耗を極力抑えることができ、金属基体1が水や大気中に露出するのを防ぐことができる。ここで、耐力とは、0.2%耐力を指し、物体に外から力が加わる際にひずみを生じるときの力であり、通常、引張試験(JIS Z 2241(金属材料引張試験方法))において、物体に外から力が加わるのを止めても元に戻らず、0.2%の永久伸びが生じたときの応力を試験前の材料片断面積で割った値で示される。本発明において、耐力は、各層を形成する金属固有のデータを用いて比較する。例えば、ニッケルは150MPa、パラジウムは160MPa、ロジウムは200MPa、白金は180MPa、金は100MPaである。

0041

また、第二実施形態のプローブ針は、上述した貴金属めっき層5を必ず最表面に有する構造となるので、金属基体1が水や大気に曝されない構造となり、酸化膜の形成による接触抵抗値の上昇を極力抑えることができる。なお、ニッケルめっき層4とニッケルめっき層4上に形成された貴金属めっき層5とからなる積層体6は、2以上積層され、その総厚さが0.8μm〜5μmとなるように繰り返し積層される。

0042

本発明の第一実施形態及び第二実施形態において、ニッケルめっき層4の厚さ及び貴金属めっき層5の厚さは、次の関係を満たすことが好ましい。

0043

ニッケルめっき層4の耐力が貴金属めっき層5の耐力よりも大きい場合は、ニッケルめっき層4の厚さTXと貴金属めっき層5の厚さTYとの比が、TX:TY=0.2〜1:1を満たすことが好ましい。この場合の例を図2に示す。貴金属めっき層5の厚さを1としたときニッケルめっき層4の厚さが0.2未満の場合は、ニッケルめっき層4が緩衝金属層の役割を果たさず、貴金属めっき層5の磨耗が起き易くなることがある。ニッケルめっき層4の厚さが1を超える場合はコストアップの原因となることがある。ニッケルめっき層4の耐力が貴金属めっき層5の耐力よりも大きい場合としては、例えば、ニッケルめっき層4がニッケル(0.2%耐力:150MPa)からなり貴金属めっき層5が金(0.2%耐力:100MPa)からなる場合が挙げられる。プローブ針と被測定体の電極とのコンタクト時には、必然的に貴金属めっき層5の磨耗が起こるが、その場合、貴金属めっき層5を厚くすることにより、金属基体1が水や大気中に曝され難くなる。その結果、コンタクト回数を増やすことが可能となり、コンタクト時の信頼性を確保できる。

0044

ニッケルめっき層4の耐力が、貴金属めっき層5の耐力よりも小さい場合は、ニッケルめっき層4の厚さTXと貴金属めっき層5の厚さTYとの比が、TX:TY=1:0.2〜1であることが好ましい。ニッケルめっき層4の厚さを1としたとき貴金属めっき層5の厚さが0.2未満の場合は貴金属めっき層5が磨耗し易くなることがあり、貴金属めっき層5の厚さが1を超える場合はコストアップの原因となることがある。ニッケルめっき層4の耐力が貴金属めっき層5の耐力よりも小さい場合としては、例えば、ニッケルめっき層4がニッケル(0.2%耐力:150MPa)からなり、貴金属めっき層5がロジウム(0.2%耐力:200MPa)からなる場合が挙げられる。このとき、ニッケルめっき層4は緩衝金属層の役割を果たし、最外層である貴金属めっき層5は磨耗され難くなり、金属基体1が水や大気中に曝され難くなる。その結果、コンタクト回数を増やすことが可能となり、コンタクト時の信頼性を確保できる。また、貴金属めっき層5を極力薄く設計することが可能となり、コストを抑えることができる。

0045

本発明のプローブ針は、図4に示すように、テーパー状に研磨加工された先端部7を有しており、この先端部7が被測定体の電極とコンタクトする。

0046

この先端部7の金属層の厚さTAと、先端部以外の金属層の厚さTBとの比が、TA:TB=1.03〜1.50:1であることが好ましい。先端部7の金属層の厚さTAの、先端部以外の金属層の厚さTBに対する比が、1.03未満であると金属層2が磨耗し易くなることがあり、先端部7の金属層の厚さTAの先端部以外の金属層の厚さTBに対する比が、1.50を超えるとコストアップの原因となったり、先端部7が変形してプローブ針と被測定体の電極との接触性が悪くなることがある。こうしたTA:TB=1.03〜1.50:1であるプローブ針は、電気めっき法で電極の配置を工夫することにより作製することができる。このように、プローブ針の先端部7における金属層2を厚くすることによって、プローブ針の先端部の金属層2が、被測定体の電極とのコンタクトを繰り返したことにより徐々に磨耗しても、プローブ針の先端部7の金属基体1を、水や大気中に露出され難くすることができる。なお、本発明において、金属層2及び各層の厚さは蛍光X線厚さ測定法等により測定された値で評価する。

0047

また、本発明のプローブ針は、図4に示すように、その長さ方向の側面の一部に絶縁体8が設けられていてもよい。また、被測定体の電極に接触する先端部7及びプローブユニットに接触される基端部以外の部分に、絶縁体8が設けられていてもよい。このように絶縁体8が設けられることによって、プローブユニットに装着したときに隣り合うプローブ針が隣接しても電気的に短絡するのを防ぐことができる。このような絶縁体8としては、テフロン登録商標)が好ましい。

0048

本発明のプローブ針は、電気的特性を測定する装置に接続されたプローブユニットに設けられている。電気的特性の検査は、プローブ針の先端部を被測定体の電極に接触させて、電気的特性を測定する装置で測定することにより行われる。被測定体は、電気的特性を測定する装置で測定される対象をいい、高密度実装基板やICパッケージ基板等の回路基板等である。被測定体の電極は、例えば、ランド、バンプ等である。こうしたプローブユニットにより、直流抵抗値の測定、導通検査等が測定される。

0049

<プローブ針の製造方法>
次に、本発明のプローブ針の製造方法について説明する。

0050

本発明のプローブ針は、少なくとも脱脂工程、活性化工程及び電気めっき工程を経て製造される。

0051

脱脂工程は、金属基体の表面に付着している油脂性汚れを除去して清浄にする工程である。脱脂工程を経ることにより金属基体上での無光沢ニッケルめっき層の密着性を向上させることができる。脱脂工程で用いられる方法としては、アルカリ脱脂溶剤脱脂、エマルジョン脱脂、電解脱脂機械脱脂等公知の脱脂処理を適用できる。

0052

活性化工程は、金属基体の表面を活性化する工程であり、具体的には、酸洗い、酸浸漬等を施す工程をいう。酸洗いや酸浸漬は、金属基体の表面に生じたスケールテンパーカラー及び錆等を、酸を用いて除去する処理であり、金属基体に用いられる金属の種類によるが、塩酸、硫酸、硝酸及びこれらの混酸等が用いられる。このように活性化を行った金属基体上に無光沢ニッケルめっき層を形成させることにより、密着性を向上させることができる。

0053

電気めっき工程は、金属基体上に金属層を形成する工程である。具体的には、金属基体上に、電気めっき法で、順次、無光沢ニッケルめっき層、ニッケルめっき層及び貴金属めっき層を形成する工程である。

0054

金属層を形成する方法としては、蒸着法、スパッタリング法無電解めっき法及び電気めっき法等が知られているが、本発明のプローブ針の製造方法においては、電気めっき法を用いる。

0055

蒸着法やスパッタリング法の場合、多くの種類の金属を用いて金属層を形成することも可能であるが、プローブ針の形状上、プローブ針の全表面にコーティングするには、技術的課題が多く、コストがかかるため実用上困難である。また、無電解めっき法によって金属層を形成させる場合、均一な厚さの金属層を形成させることは容易であるが、無光沢ニッケルめっき層、ニッケルめっき層又は貴金属めっき層それぞれを形成する過程で、下地となる層の活性化が困難であり、金属基体及びそれぞれの層相互の密着性を向上させることが難しい。更に、金属基体がタングステンやレニウムタングステンの場合、それらは、無光沢ニッケルめっき層のニッケルに比べて金属熱膨張係数が極めて低いため、無電解めっきの反応に必要な温度で無光沢ニッケルめっき層を形成させた場合、熱膨張相違によって金属基体から無光沢ニッケルめっき層が剥離し易い。また、無電解めっき法の場合、無電解ニッケル浴中の安定剤、特に鉛化合物が、プローブ針の先端部に作用し、均質な金属層の形成を阻害し、一部金属層が形成されない部分が生じることがある。この場合、無電解ニッケル浴中の安定剤を皆無にするとプローブ針の先端部に金属層が形成され易くなるものの、めっき液の安定性欠け日程度で液分解を招くため、安定剤を皆無にすることはできない。

0056

これらと比較して電気めっき法は、蒸着法、スパッタリング法又は無電解めっき法のような欠点がないため好適に用いられる。

0057

以上説明したように、本発明のプローブ針及びその製造方法によれば、金属基体が水や大気中に露出するのを防ぐことができるので、プローブ針の表面に電気抵抗の大きい酸化膜が形成されるのを抑制することができ、接触抵抗値の上昇を抑制することができる。その結果、プローブ針の寿命が長くなるので、プローブ針の交換頻度やプローブユニットの交換頻度を少なくすることができ、コストを削減することができる。また、プローブ針やプローブユニットの交換に要する時間を削減することができるので、作業性が向上する。さらに、本発明のプローブ針は、回路基板の電気的特性の良否の検査を正確に行うことができるので、回路基板等の検査装置用治具(プローブユニット)の信頼性を確保することができる。

0058

以下に、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。

0059

(実施例1)
金属基体である直径0.085mmのSKH(高速工具鋼)を、30%水酸化カリウム溶液で40℃5分間脱脂し、次いで25%塩酸で30℃10分間酸洗いを行った後、塩化ニッケル250g/L及び塩酸100g/Lからなる無光沢ニッケルめっき層形成用の塩化ニッケルめっき液に浸漬し、温度25℃、陰極電流密度5A/dm2で、3分間通電することにより、厚さ0.02μmの無光沢ニッケルめっき層を形成した。

0060

続いて、無光沢ニッケルめっき層が形成された金属基体を、スルファミン酸ニッケル600g/L、塩化ニッケル10g/L及びホウ酸40g/Lからなる半光沢ニッケルめっき層形成用のスルファミン酸ニッケルめっき液に浸漬し、温度50℃、pH4.0、陰極電流密度1A/dm2で、5分間通電し、厚さ1μmのニッケルめっき層を形成した。

0061

次に、無光沢ニッケルめっき層及びニッケルめっき層が形成された金属基体を、シアン化金カリウム6g/L、シアン化カリウム30g/L及びリン酸水素二カリウム30g/Lからなる貴金属めっき層形成用の金めっき液に浸漬し、温度50℃、陰極電流密度1A/dm2で4分間通電し、貴金属めっき層として厚さ1.2μmの金めっき層を形成した。このとき、TA(プローブ針の先端部の金属層の厚さ)は3.3μm、TB(プローブ針の先端部以外の金属層の厚さ)は3.2μmであり、先端部以外におけるプローブ針の直径は0.09mmであった。また、ニッケルめっき層であるニッケルの耐力は150MPaであり、貴金属めっき層である金の耐力は100MPaであり、TX(ニッケルめっき層の厚さ):TY(貴金属めっき層の厚さ)=0.83:1であった。続いて、両端部をマスキングテープマスキングし、中央部にテフロン(登録商標)塗装を施し、乾燥、焼成させてテフロン(登録商標)コーティングし、実施例1のプローブ針を作製した。

0062

(実施例2)
実施例1において、金属基体を直径0.085mmのタングステンとした以外は、実施例1と同様にして実施例2のプローブ針を作製した。

0063

(実施例3)
実施例1において、金属基体を直径0.085mmのベリリウム銅とした以外は、実施例1と同様にして実施例3のプローブ針を作製した。

0064

(実施例4)
実施例1において、ニッケルめっき層及び貴金属めっき層を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして実施例4のプローブ針を作製した。

0065

スルファミン酸ニッケル600g/L、塩化ニッケル10g/L及びホウ酸40g/Lからなる半光沢ニッケルめっき形成用のスルファミン酸ニッケルめっき液に浸漬し、温度50℃、pH4.0、陰極電流密度1A/dm2で、8分間通電し、厚さ1.5μmのニッケルめっき層を形成した。

0066

ロジウム(硫酸塩として)2g/L、硫酸40g/Lからなる貴金属めっき層形成用のロジウムめっき液に浸漬し、温度50℃、陰極電流密度1A/dm2で3分間通電し、貴金属めっき層として厚さ0.6μmのロジウムめっき層を形成した。このとき、TAは2.4μm、TBは2.2μmであり、先端部以外におけるプローブ針の直径は0.09mmであった。また、ニッケルめっき層であるニッケルの耐力は150MPaであり、貴金属めっき層であるロジウムの耐力は200MPaであり、TX:TY=1:0.4であった。

0067

(実施例5)
金属基体である直径0.080mmのタングステンを脱脂し、次いで酸洗いを行った後、塩化ニッケル250g/L及び塩酸100g/Lからなる無光沢ニッケルめっき層形成用の塩化ニッケルめっき液に浸漬し、温度25℃、陰極電流密度5A/dm2で、3分間通電することにより、厚さ0.02μmの無光沢ニッケルめっき層を形成した。

0068

続いて、無光沢ニッケルめっき層が形成されたタングステンを、ステップ1として、スルファミン酸ニッケル600g/L、塩化ニッケル10g/L及びホウ酸40g/Lからなる半光沢ニッケルめっき層形成用のスルファミン酸ニッケルめっき液に浸漬し、温度50℃、pH4.0、陰極電流密度1A/dm2で5分間通電し、厚さ1μmのニッケルめっき層を形成した。

0069

次に、ステップ2として、無光沢ニッケルめっき層及びニッケルめっき層が形成されたタングステンを、シアン化金カリウム6g/L、シアン化カリウム30g/L及びリン酸水素二カリウム30g/Lからなる貴金属めっき層形成用の金めっき液に浸漬し、温度50℃、陰極電流密度1A/dm2で5分間通電し、貴金属めっき層として厚さ1.2μm金めっき層を形成した。

0070

次に、ステップ1とステップ2を2回繰り返した。続いて、両端部をマスキングテープでマスキングし、中央部にテフロン(登録商標)塗装を施し、乾燥、焼成させてテフロン(登録商標)コーティングし、プローブ針を形成した。このとき、TAは4.5μm、TBは4.0μmであり、先端部以外におけるプローブ針の直径は0.09mmであった。また、ニッケルめっき層であるニッケルの耐力は150MPaであり、貴金属めっき層である金の耐力は100MPaであり、TX:TY=0.83:1であった。

0071

(実施例6)
実施例5において、ニッケルめっき層及び貴金属めっき層を以下のように形成した以外は、実施例5と同様にして実施例6のプローブ針を作製した。

0072

スルファミン酸ニッケル600g/L、塩化ニッケル10g/L及びホウ酸40g/Lからなる半光沢ニッケルめっき形成用のスルファミン酸ニッケルめっき液に浸漬し、温度50℃、pH4.0、陰極電流密度1A/dm2で、8分間通電し、厚さ1.5μmのニッケルめっき層を形成した。

0073

ロジウム(硫酸塩として)2g/L及び硫酸40g/Lからなる貴金属めっき層形成用のロジウムめっき液に浸漬し、温度50℃、陰極電流密度1A/dm2で3分間通電し、貴金属めっき層として厚さ0.6μmのロジウムめっき層を形成した。このとき、TAは2.3μm、TBは2.0μmであり、先端部以外におけるプローブ針の直径は0.09mmであった。また、ニッケルめっき層であるニッケルの耐力は150MPaであり、貴金属めっき層であるロジウムの耐力は200MPaであり、TX:TY=1:0.4であった。

0074

(接触繰り返し試験)
実施例1〜6のプローブ針について以下の接触繰り返し試験を行った。この接触繰り返し試験は、プローブ針の長さ方向の両端から応力を与え、そのプローブ針の弾性力を利用して被測定体の電極(ここでは、コンタクト板を使用した。)に繰り返しコンタクトさせる試験であり、その評価方法としては、所定の回数繰り返しコンタクトさせた後のプローブ針の磨耗や剥離等について観察した結果で判断した。

0075

まず、プローブ針の長さ方向の両端から応力を加えることができるように10本のプローブ針の両端部を対向する2枚のコンタクト板で挟むと共に、それらのプローブ針が相互に接触しないように配置した。プローブ針を挟む対向する2枚のコンタクト板の間隔を25mmとし、プローブ針に5〜10gf(49〜98mN)の圧力が加わるようにその間隔を2mmだけ小さくしてコンタクトさせた。次いで、プローブ針の間隔を2mmだけ小さくするコンタクトを0.31秒/回のタクトで繰り返し、それを200万回繰り返した。なお、コンタクト板の材質セラミックスアルミナ)であり、そのコンタクト板の間に配置したプローブ針が倒れないように治具で支えた。その治具はプローブ針が通る程度の穴が一定間隔で設けられた板であり、一対の治具を対向する2枚のコンタクト板の内側にコンタクト板と平行になるように配置した。

0076

こうした繰り返し試験を実施例1〜6のプローブ針について行った。試験後のプローブ針について、200倍の光学顕微鏡を用いてその先端部を確認したところ、実施例1〜6のプローブ針は、金属層の剥離、磨耗、亀裂のいずれも確認されなかった。

図面の簡単な説明

0077

本発明のプローブ針の一例を示す断面図である。
本発明のプローブ針の一例を示す部分断面図である。
本発明のプローブ針の他の一例を示す部分断面図である。
本発明のプローブ針の一例を示す側面図である。

符号の説明

0078

1金属基体
2金属層
3無光沢ニッケルめっき層
4ニッケルめっき層
5貴金属めっき層
6積層体
7 先端部
8絶縁体
TA 先端部の金属層の厚さ
TB 先端部以外の金属層の厚さ
TX ニッケルめっき層の厚さ
TY 貴金属めっき層の厚さ

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