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技術 被膜の形成方法

出願人 JSR株式会社
発明者 春田裕一保田慶友伊藤信幸
出願日 2004年2月27日 (16年9ヶ月経過) 出願番号 2004-053663
公開日 2005年9月8日 (15年2ヶ月経過) 公開番号 2005-240140
状態 拒絶査定
技術分野 電気メッキ方法,物品 電気分解または電気泳動による被覆
主要キーワード 電着加工 一単位分 実使用量 リールツーリール モデル基板 チタン系金属 ポリエステル系樹脂エマルジョン 試作用
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

電着槽内電着用水性分散液固形分濃度を安定させることができ、これにより膜厚および特性の揃った電着膜を連続して生産することが可能となり、歩留まりの向上、コストダウンに寄与できる電着による皮膜形成方法を提供する。

解決手段

無機フィラーバインダーを含有する組成物を電着して基材表面に皮膜を形成する方法において、(1)無機フィラーの水性分散液と(2)バインダーの水性分散液と、必要に応じて(3)希釈用媒体とを、無機フィラーとバインダーとの比が固形分換算で50:50〜80:20、固形分濃度が2〜25重量%となるように混合して電着槽に供給するか、上記(1)〜(3)を独立の経路で電着槽に供給して、電着槽中の電着液の無機フィラーとバインダーのと比、および固形分濃度を上記範囲内に制御しつつ電着を行う皮膜の形成方法、該皮膜にさらに金属膜を形成する方法、該方法により得られる電子部品

概要

背景

電着は、水性分散液電流を通すことにより、液中に分散している固形分を電極上に付着させた後、乾燥、熱処理などの後処理を行うことで、上記電極上に薄い皮膜を得る技術である。この皮膜は、例えば、色素を含み塗装として利用されるものであったり、また、絶縁性や高い誘電性などの機能を持たせることにより電子部品の構成要素として利用されるものであったりする。

電着される皮膜の厚さは、原理的には、電着対象に加えた電荷量に比例し、膜の性質は水性分散液中の固形分の組成に依存するが、実際には水性分散液の濃度などの種々の要因の影響を受ける。例えば、当然のことながら、初期に水性分散液に分散されていた固形分を使い切ってしまうと、それ以上電着できなくなる。そこまでいかなくとも、水性分散液の固形分濃度が薄くなると、同一電着条件では生成する膜の厚みが薄くなるため、固形分濃度に合わせ電着条件を調整する必要があり、さらに固形分濃度がある程度以下になると電着条件を最適化しても膜の特性そのものが変化する場合がある。このため、実際に水性分散液中の有効に利用できる固形分の量は限られたものになる。

通常は、電着に伴う上記の制限を考慮し、電着に伴う電着液の固形分濃度などの変動を小さく押さえるため、できるかぎり大きな電着槽を用意したうえ、電着状況に応じて電着条件を調整しながら電着を行っている。

電着工程では、ユーザーの要求に応じ、種々のデザインロットサイズ対象物に電着を行なうことになる。このため、従来の方法では、大きなロットと固形分の消費が大きなデザインの電着対象の組み合わせを種々考慮し、必要となる最大の総固形分を想定して非常に大きな電着槽を設計することになる。このため、生産に際して、電着槽に用意された水性分散液の有効な固形分を使い切らないまま、液の安定性限界に達してしまう場合が多く発生する。すなわち、水性分散液中の固形分の利用効率下がりロスが生じる。

さらに、電着処理を続けることにより、同一ロットの中でも水性分散液中の固形分濃度が変化し、電流、電圧、時間などの電着条件が一定のままでは、同一の電着結果は得られなくなり、膜が薄くなる、特性が変わるなどの影響が現れる。膜の特性が変化した場合はもちろんのこと、膜厚が薄くなっただけでも、例えば、塗装を目的とした膜では、色合いが変化する、摩擦に対する耐久性が低下するなどの不都合が生じ、誘電体膜を目的とした膜では絶縁性が下がりリーク電流が増加するなどの不都合が生じる恐れがある。このため、この方法での電着においては、常に使用している水性分散液の固形分濃度、および/または生成した膜の状態、特性を監視し、最適な電着膜が得られるよう電着条件を制御する必要がある。

一方、上記とは逆に、電着槽を設計したときより、電着対象のロットが大きい場合、電着対象一単位あたりの固形分の消費が大きい場合などには、1ロット全部を電着するのに必要とされる固形分量が、電着槽内の水性分散液に含まれる有効な固形分より多くなり、ロットの途中で水性分散液を交換する必要が生じる場合がある。

この場合には、水性分散液の状態を監視し、電着条件を制御するのはもちろんのこと、どのタイミングで水性分散液を交換すべきか判断しなくてはならない。特に、前のロットの残りを使用した場合などには、必ずしも電着可能な数量を正確に予測できるとは限らないため、水性分散液の監視はさらに重要になる。もちろん、ロットの最初に新品の水性分散液を用意した場合はより正確な予測が可能であるが、前のロットで使用した水性分散液を無条件廃棄することを意味し、使用可能な固形分の何割かをロスすることになる。

また、電着に用いられる水性分散液は、固形分として、バインダーである樹脂分や、無機フィラーなどを多く含んでいる場合がある。例えば、電着で誘電体皮膜を形成するための水性分散液では、誘電率を高めるための無機フィラーとしてチタン酸バリウム微粒子、バインダーとして機能する樹脂分としてポリイミド、およびこれらの固形分を安定に分散させるための分散剤が、水と有機溶媒の混合物である希釈用媒体に分散されている。

このような水性分散液は、必ずしも安定ではなく、未使用のまま保管してあった場合においても、温度により数日〜数十日程度で凝集物が生成したり、電着しにくくなったりする場合があることが知られている。このように、時間的な問題で水性分散液の特性が著しく変化してしまった場合や、汚染物質混入などによりで生産の途中で水性分散液が劣化した場合など、固形分濃度は十分に高くとも使用中の水性分散液を廃棄し、新品と交換する必要が生じ、不測のロスが生じる可能性がある。

概要

電着槽内の電着用水性分散液の固形分濃度を安定させることができ、これにより膜厚および特性の揃った電着膜を連続して生産することが可能となり、歩留まりの向上、コストダウンに寄与できる電着による皮膜の形成方法を提供する。無機フィラーとバインダーを含有する組成物を電着して基材表面に皮膜を形成する方法において、(1)無機フィラーの水性分散液と(2)バインダーの水性分散液と、必要に応じて(3)希釈用媒体とを、無機フィラーとバインダーとの比が固形分換算で50:50〜80:20、固形分濃度が2〜25重量%となるように混合して電着槽に供給するか、上記(1)〜(3)を独立の経路で電着槽に供給して、電着槽中の電着液の無機フィラーとバインダーのと比、および固形分濃度を上記範囲内に制御しつつ電着を行う皮膜の形成方法、該皮膜にさらに金属膜を形成する方法、該方法により得られる電子部品。

目的

膜の特性が変化した場合はもちろんのこと、膜厚が薄くなっただけでも、例えば、塗装を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

無機フィラーバインダーを含有する組成物電着することにより基材表面に皮膜を形成する方法において、無機フィラーの水性分散液とバインダーの水性分散液と、必要に応じて希釈用媒体とを混合して、無機フィラーとバインダーとの比を固形分換算で50:50〜80:20、固形分濃度を2〜25重量%となるようにした後、電着槽に供給して電着液を補充し、電着槽中の電着液の無機フィラーとバインダーとの比、および固形分濃度を上記範囲に制御しつつ電着を行うことを特徴とする皮膜の形成方法

請求項2

無機フィラーとバインダーを含有する組成物を電着することにより基材表面に皮膜を形成する方法において、無機フィラーの水性分散液とバインダーの水性分散液と、必要に応じて希釈用媒体とをそれぞれ独立の経路で、無機フィラーとバインダーとの比を固形分換算で50:50〜80:20、固形分濃度を2〜25重量%となるように電着槽に供給して電着液を補充し、電着槽中の電着液の無機フィラーとバインダーとの比、および固形分濃度を上記範囲に制御しつつ電着を行うことを特徴とする皮膜の形成方法。

請求項3

上記電着槽に供給される補充液の固形分濃度が、電着槽中の電着液の固形分濃度よりも高い濃度である請求項1または2に記載の皮膜の形成方法。

請求項4

補充液量をM、補充液の固形分濃度をρa、電着槽内の水性分散液の固形分濃度をρn、電着1回あたりに必要な固形分量をmとしたとき、電着槽に(1−A)式に示す関係が成り立つように液補充を行う請求項1〜3のいずれかに記載の皮膜の形成方法。M ≧m(ρa−ρn)(1−A)

請求項5

上記無機フィラーの水性分散液、バインダーの水性分散液、および/または希釈用媒体とを、連続して、もしくは一定の間隔で補充しながら電着を行う請求項1〜4のいずれかに記載の皮膜の形成方法。

請求項6

定期的もしくは連続的に一定量の補充液を電着槽に補充する機構、および、定期的もしくは連続的に一定量の電着液を電着槽から排出する機構を有する請求項1〜5のいずれかに記載の皮膜の形成方法。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の方法で形成された皮膜上に、無電解メッキシード層を形成した後、電解メッキにより金属膜を形成することを特徴とする金属膜の形成方法。

請求項8

請求項7に記載の方法を用いて製造された電子部品

技術分野

0001

本発明は、簡便な電着用水性分散液の管理および電着条件の管理で、電着用水性分散液から機能性フィルム再現性よく形成することのできる被膜形成方法に関する。

背景技術

0002

電着は、水性分散液電流を通すことにより、液中に分散している固形分を電極上に付着させた後、乾燥、熱処理などの後処理を行うことで、上記電極上に薄い皮膜を得る技術である。この皮膜は、例えば、色素を含み塗装として利用されるものであったり、また、絶縁性や高い誘電性などの機能を持たせることにより電子部品の構成要素として利用されるものであったりする。

0003

電着される皮膜の厚さは、原理的には、電着対象に加えた電荷量に比例し、膜の性質は水性分散液中の固形分の組成に依存するが、実際には水性分散液の濃度などの種々の要因の影響を受ける。例えば、当然のことながら、初期に水性分散液に分散されていた固形分を使い切ってしまうと、それ以上電着できなくなる。そこまでいかなくとも、水性分散液の固形分濃度が薄くなると、同一電着条件では生成する膜の厚みが薄くなるため、固形分濃度に合わせ電着条件を調整する必要があり、さらに固形分濃度がある程度以下になると電着条件を最適化しても膜の特性そのものが変化する場合がある。このため、実際に水性分散液中の有効に利用できる固形分の量は限られたものになる。

0004

通常は、電着に伴う上記の制限を考慮し、電着に伴う電着液の固形分濃度などの変動を小さく押さえるため、できるかぎり大きな電着槽を用意したうえ、電着状況に応じて電着条件を調整しながら電着を行っている。

0005

電着工程では、ユーザーの要求に応じ、種々のデザインロットサイズ対象物に電着を行なうことになる。このため、従来の方法では、大きなロットと固形分の消費が大きなデザインの電着対象の組み合わせを種々考慮し、必要となる最大の総固形分を想定して非常に大きな電着槽を設計することになる。このため、生産に際して、電着槽に用意された水性分散液の有効な固形分を使い切らないまま、液の安定性限界に達してしまう場合が多く発生する。すなわち、水性分散液中の固形分の利用効率下がりロスが生じる。

0006

さらに、電着処理を続けることにより、同一ロットの中でも水性分散液中の固形分濃度が変化し、電流、電圧、時間などの電着条件が一定のままでは、同一の電着結果は得られなくなり、膜が薄くなる、特性が変わるなどの影響が現れる。膜の特性が変化した場合はもちろんのこと、膜厚が薄くなっただけでも、例えば、塗装を目的とした膜では、色合いが変化する、摩擦に対する耐久性が低下するなどの不都合が生じ、誘電体膜を目的とした膜では絶縁性が下がりリーク電流が増加するなどの不都合が生じる恐れがある。このため、この方法での電着においては、常に使用している水性分散液の固形分濃度、および/または生成した膜の状態、特性を監視し、最適な電着膜が得られるよう電着条件を制御する必要がある。

0007

一方、上記とは逆に、電着槽を設計したときより、電着対象のロットが大きい場合、電着対象一単位あたりの固形分の消費が大きい場合などには、1ロット全部を電着するのに必要とされる固形分量が、電着槽内の水性分散液に含まれる有効な固形分より多くなり、ロットの途中で水性分散液を交換する必要が生じる場合がある。

0008

この場合には、水性分散液の状態を監視し、電着条件を制御するのはもちろんのこと、どのタイミングで水性分散液を交換すべきか判断しなくてはならない。特に、前のロットの残りを使用した場合などには、必ずしも電着可能な数量を正確に予測できるとは限らないため、水性分散液の監視はさらに重要になる。もちろん、ロットの最初に新品の水性分散液を用意した場合はより正確な予測が可能であるが、前のロットで使用した水性分散液を無条件廃棄することを意味し、使用可能な固形分の何割かをロスすることになる。

0009

また、電着に用いられる水性分散液は、固形分として、バインダーである樹脂分や、無機フィラーなどを多く含んでいる場合がある。例えば、電着で誘電体皮膜を形成するための水性分散液では、誘電率を高めるための無機フィラーとしてチタン酸バリウム微粒子、バインダーとして機能する樹脂分としてポリイミド、およびこれらの固形分を安定に分散させるための分散剤が、水と有機溶媒の混合物である希釈用媒体に分散されている。

0010

このような水性分散液は、必ずしも安定ではなく、未使用のまま保管してあった場合においても、温度により数日〜数十日程度で凝集物が生成したり、電着しにくくなったりする場合があることが知られている。このように、時間的な問題で水性分散液の特性が著しく変化してしまった場合や、汚染物質混入などによりで生産の途中で水性分散液が劣化した場合など、固形分濃度は十分に高くとも使用中の水性分散液を廃棄し、新品と交換する必要が生じ、不測のロスが生じる可能性がある。

発明が解決しようとする課題

0011

解決しようとする問題点は、上記のように、従来の方法では、使用中の電着液の監視とその結果に基づいた電着条件の制御が不可欠であり、安定した生産を行うには相当の知識と熟練を要求されるものであり、さらに電着された膜の質を確保するには水性分散液の交換が不可欠であるが、そのたびにある程度のロスは不可避な点にある。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、無機フィラーとバインダーを含有する組成物を電着することにより基材表面に皮膜を形成する方法において、無機フィラーの水性分散液とバインダーの水性分散液と、必要に応じて希釈用媒体とを混合して、無機フィラーとバインダーとの比を固形分換算で50:50〜80:20、固形分濃度を2〜25重量%となるようにした後、電着槽に供給して電着液を補充し、電着槽中の電着液の無機フィラーとバインダーとの比、および固形分濃度を上記範囲に制御しつつ電着を行うことを特徴とする皮膜の形成方法(以下「形成方法1」ともいう)に関する。
また、本発明は、無機フィラーとバインダーを含有する組成物を電着することにより基材表面に皮膜を形成する方法において、無機フィラーの水性分散液とバインダーの水性分散液と、必要に応じて希釈用媒体とをそれぞれ独立の経路で、無機フィラーとバインダーとの比を固形分換算で50:50〜80:20、固形分濃度を2〜25重量%となるように電着槽に供給して電着液を補充し、電着槽中の電着液の無機フィラーとバインダーとの比、および固形分濃度を上記範囲に制御しつつ電着を行うことを特徴とする皮膜の形成方法(以下「形成方法2」ともいい、形成方法1〜2を総称して「本発明」あるいは「本発明の形成方法」ともいう)に関する。
ここで、本発明において、基材とは、銅などの金属基板ガラスエポキシ樹脂ポリイミドフィルムなどの樹脂に銅箔などで電極を形成した基板絶縁性セラミックの上に銅箔などで電極を形成した基板、シリコーンウエハーなどの半導体の基板などをいう。形状は、通常板状であるが、円筒立方体など他の形状であってもよい。
本発明においては、上記電着槽に供給される補充液の固形分濃度は、電着槽中の電着液の固形分濃度よりも高い濃度であることが好ましい。
また、本発明においては、補充液量をM、補充液の固形分濃度をρa、電着槽内の水性分散液の固形分濃度をρn、電着1回あたりに必要な固形分量をmとしたとき、好ましくは下記(1−A)式で、さらに好ましくは下記(1−B)式で示す関係が成り立つように電着槽に液補充を行うことが好ましい。
M≧m/(ρa−ρn) (1−A)
M=m/(ρa−ρn) (1−B)
さらに、本発明では、上記無機フィラーの水性分散液、バインダーの水性分散液、および/または希釈用媒体とを、連続して、もしくは一定の間隔で補充しながら電着を行うことが好ましい。
さらに、本発明においては、定期的もしくは連続的に一定量の補充液を電着槽に補充する機構、および、定期的もしくは連続的に一定量の電着液を電着槽から排出する機構を有することが好ましい。
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の方法で形成された皮膜上に、無電解メッキシード層を形成した後、電解メッキにより金属膜を形成することを特徴とする金属膜の形成方法に関する。
また、上記の金属膜の形成方法を用いて製造された電子部品に関する。

発明の効果

0013

本発明によれば、電着槽内の電着液の状態を絶えず監視し、その結果を電着条件に反映させるといった複雑な操作を行うことなく、電着操作と、電着槽内の水性分散液の一部を交換する操作を交互に行うだけで、電着槽内の水性分散液の固形分濃度を安定させることができ、結果として膜厚および特性の揃った電着膜を連続して生産することが可能となり、歩留まりの向上、コストダウンに大きく寄与することができる。しかも、電着対象のデザインの変更や、ロットサイズの大小があっても、品種切り替えの際に生じるムダや、不測のトラブルによる水性分散液のロスなども小さく抑えることが可能となり、大量生産を行う際のリスクを管理することができるようになる。
また、上記の電着膜には、さらにメッキにより金属膜を形成することができる。このようにして、電着膜の表面に電極を設け、キャパシターなどの電子部品を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明では、例えば、従来の方法で要求される電着槽の容量に比べ小さな電着槽を用い、電着対象を一定数量、好ましくは数個程度、理想的には1個、電着するごとに電着槽内の水性分散液の一部を未使用の補充用混合液入れ替えながら電着を続けることにより、電着槽内の水性分散液の状態が安定し、同一条件で電着が可能になる。

0015

すなわち、容量の小さな電着槽を用い、単純に、所定の条件での電着操作と、電着槽内の水性分散液の一部を定量的に新品に交換する操作を交互に繰り返し行うことにより、電着槽内の水性分散液の状態が安定し、同一の電着条件で同一の電着膜が得られるようになるため、電着槽内の水性分散液の状態を監視し電着条件に反映させるといった複雑な操作をすることなく、安定に電着処理を続けることが可能となる。

0016

また、補充する新品の水性分散液は、必ずしも1ロット分を最初から用意する必要がなくなり、生産が長期にわたる場合においても、水性分散液の安定性の限界からくるロスをほぼ皆無にすることができる。一般に、電着に用いられる水性分散液は、あらかじめ、樹脂分を含む液、無機フィラーを含む液、希釈用媒体を含む液など、より安定な数種類の液を調製しておき、それらを配合組成に従って混合することにより得られる。

0017

この混合操作を電着槽に補充する直前に行うことにより、水性分散液の安定な期間を有効に利用できるとともに、混合されただけで使用されることの無い水性分散液の発生をなくすことができる。一方、電着槽内の水性分散液についても、一定の割合で入れ替わることにより実質的に安定な期間内に使用されることになる。

0018

また、簡便な方法として、水性分散液は安定な期間がより長くとれる低温で保管しておき、その日に使用する分づつ電着温度(通常は室温)に戻して補充に使うようにするだけでも、かなりロスを低減することができる。さらに、電着槽の容量を小さくすることにより、水性分散液の安定性の限界や、不測の汚染などにより、電着槽内の水性分散液を全て交換する必要があった場合でも、その交換により生じるロスを少なく抑えられるというメリットもある。

0019

ここで、本発明の皮膜の形成方法について、図面を用いて、本発明の概略を説明する。
図1(A)は、本発明の形成方法1の原理の一例を示す図であり、あらかじめ調製しておいた補充用混合液(補充液)を電着槽に補充しながら運用する例である。サーバータンクには、例えば、図1(B)に示されるような装置で、補充液が充填される。サーバータンク、電着槽に付属しているバルブは、流量を定量的にコントロールできるものである。
ここで、図1(B)は、本発明の形成方法1の原理の一例を示す図で、原液(電着用水性分散液)の混合装置の構成図である。無機フィラーの水性分散液、絶縁性樹脂(バインダー)の水性分散液、希釈剤(希釈用媒体)を個別にサーバータンクに充填する装置の例である。各原液タンクに付属しているバルブは、流量を定量的にコントロールできるものである。
次に、図2は、本発明の形成方法2の例を示す図である。ここでは、無機フィラーの水性分散液、絶縁性樹脂(バインダー)の水性分散液、希釈剤(希釈用媒体)を個別に電着槽に補充しながら運用する。各原液タンク、電着槽に付属しているバルブは、流量を定量的にコントロールできるものである。
図3は、本発明の形成方法1の他の例を示す図である。ここでは、無機フィラーの水性分散液、絶縁性樹脂(バインダー)の水性分散液、希釈剤(希釈用媒体)を一旦混合タンクで混合した後、電着槽に補充することにより運用する例である。各原液タンク、電着槽に付属しているバルブは、流量を定量的にコントロールできるものである。
図4は、本発明の形成方法2の他の態様を示す図である。ここでは、無機フィラーの水性分散液、絶縁性樹脂(バインダー)の水性分散液、希釈剤(希釈用媒体)を混合装置を通し混合しながら電着槽に補充することにより運用する例である。各原液タンク、電着槽に付属しているバルブは、流量を定量的にコントロールできるものである。
ここで、希釈用媒体としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられ、特に電着液の安定性の観点から、水と、N−メチルピロリドンシクロヘキサノン乳酸エチルなどとの混合溶媒が好ましい。
また、希釈用媒体の使用量は、電着用水性分散液中の無機フィラーおよびバインダーの合計濃度が、2〜25重量%となるような量で用いられる。
なお、図5は、棒状あるいは板状の撹拌子を左右に往復運動させ電着槽内部の水性分散液を撹拌する例であり、また、図6は、ポンプを用いて電着槽内部を循環させ水性分散液を撹拌する例であり、さらに、図7(A)はマグネティックスターラー[磁石ポリテトラフルオロエチレン(米国デュポン社製テフロン)などの樹脂をコーティングした攪拌子電着層内にいれ、外部から回転する磁場を用いて、電着層内の攪拌子を回転させ、攪拌を行う装置]を使用した撹拌装置の例であり、図7(B)はマグネティックスターラーを使用した撹拌装置の別の例である。また、図示しないが、通常の生産では、電着槽内に電着対象となる未電着の基板等を浸漬し、電着後引上げる装置が付属する。この装置の槽内に挿入される部分を設けそこにフィン状のものを取り付けることにより攪拌を行うこともできる。
この槽内の挿入される部分は、電着対象を保持する構造となっていてもよい。

0020

以下、本発明に好適に用いることのできる電着用の水性分散液に関して、詳細に説明する。
本発明に用いられる電着用水性分散液は、水性媒体中に、無機粒子からなる無機フィラー、好ましくは平均粒子径1μm以下かつ誘電率30以上の無機フィラーと、重合性化合物および重合体の少なくとも一方からなるバインダーとが分散していることを特徴とする。この水性分散液は、電着により誘電率6以上のフィルムを与えるものであることが好ましい。上記無機フィラーは、チタン系金属酸化物からなることが好ましく、上記バインダーは、電荷を有し、ポリイミド系樹脂からなることが好ましい。
以下、本発明で用いられる電着用水性分散液につき、さらに詳しく説明する。

0021

(1)無機フィラーについて
本発明において使用する無機フィラーの誘電率は30以上であり、好ましくは50以上、さらに好ましくは70以上である。このような無機フィラーとしては、金属酸化物からなるものが好ましく用いられ、特にチタン系金属酸化物が好ましい。ここで、「チタン系金属酸化物」とはチタン元素酸素元素とを必須元素として含む化合物をいい、具体的には二酸化チタン系、チタン酸バリウム系チタン酸鉛系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ネオジウム系、チタン酸カルシウム系などの金属酸化物が挙げられる。なお、上記「二酸化チタン系」の金属酸化物とは、二酸化チタンのみを含む系、または二酸化チタンに他の少量の添加物を含む系で、主成分である二酸化チタンの結晶構造が保持されているものであり、他の系の金属酸化物についても同様である。本発明においては、二酸化チタン系(ルチル構造のもの)またはチタン酸バリウム系の金属酸化物からなる無機フィラーが特に好ましく用いられる。また、水性媒体への分散性を向上させるために、上記材料からなる粒子の表面をシリカアルミナなどで変性した粒子も好適に用いられる。

0022

この無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは1μm以下であり、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.2μm以下であることが特に好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、水性媒体に対する無機フィラーの分散性が不足して十分な貯蔵安定性が得られないためである。平均粒子径の下限は特に限定されないが、通常は0.02μm以上である。
上記無機フィラーは、水や、水を主とする水と有機溶媒の混合溶媒などの水性媒体を用いて水性分散液として用いられる。この水性分散液の固形分濃度は、通常、40〜80重量%、好ましくは50〜70重量%である。40重量%未満では、固形分が少なく、バインダーの水性分散液と混合したときに十分な濃度の補充液が作れなくなる可能性があり、一方、80重量%を超えると、凝集ができやすく安定性に不安のあるものとなる。

0023

(2)バインダーについて
(2−1)バインダーの組成
本発明において使用するバインダーは、「重合性化合物および重合体の少なくとも一方」からなる。ここで、「重合性化合物」とは重合性基を有する化合物を指し、完全硬化前の前駆的重合体、重合性オリゴマー単量体などを含む意味である。一方、「重合体」とは実質的に重合反応が完了した化合物を指す。ただし、加熱、湿気、および、可視不可視の光を含む電磁波や、電子線などの放射線照射などによりこの重合体を電着後に架橋させることも可能である。バインダーの表面は電着を可能とするために電荷を有することが好ましく、この表面電荷アニオン型でもカチオン型でもよいが、電着時の電極酸化を防止するためにはカチオン型であることが好ましい。

0024

上記バインダーは、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂アクリル系樹脂ポリエステル系樹脂フッ素系樹脂およびシリコン系樹脂から選択される一種または二種以上からなることが好ましい。また、これらの樹脂に加えてさらに他の成分を含んでもよい。また、これらの樹脂は互いに、あるいは他の成分と化学的に結合されていてもよい。

0025

本発明においては、電着により機械的特性化学的特性および電気的特性に優れた高誘電率フィルムを形成できることから、ポリイミド系樹脂を主成分とするバインダーを用いることが特に好ましい。ここで、「ポリイミド系樹脂」とは、電着後の加熱などにより硬化可能な前駆的重合体(例えば、ポリアミック酸など)、ポリイミド系樹脂の形成に用いられる単量体、オリゴマーなどをも含む意味であり、他の樹脂についても同様である。さらに、この「ポリイミド系樹脂」とは、ポリイミド樹脂またはその前駆的重合体、ポリイミド樹脂の形成に用いられる単量体と他の単量体との共重合体樹脂またはその前駆的重合体、ポリイミド樹脂またはその前駆的重合体と他の化合物との反応物などをも含む意味であり、他の樹脂についても同様である。

0026

(2−2)バインダーの水性エマルジョン
本発明の水性分散液は、通常、上記バインダーが水性媒体に分散した水性エマルジョン(水性分散液)を用いて調製される。ここで「水性媒体」とは、水を主成分とする媒体を意味し、この水性媒体中における水の含有率は、通常、40重量%以上、好ましくは50重量%以上である。場合により、水と共に使用される他の媒体としては、例えば上記ポリアミック酸あるいはポリイミドの製造に使用される非プロトン性極性溶媒エステル類ケトン類フェノール類アルコール類などを挙げることができる。
また、バインダーの水性分散液における樹脂成分であるバインダーの固形分濃度は、通常、2〜25重量%、好ましくは5〜15重量%である。2重量%未満では、固形分が少なく、無機フィラーの水性分散液と混合したときに十分な濃度の補充液が作れなくなる可能性があり、一方、25重量%を超えると、凝集ができやすく安定性に不安のあるものとなる。

0027

以下、主としてポリイミド系樹脂からからなるバインダーの水性エマルジョン(以下、「ポリイミド系樹脂エマルジョン」という)、主としてエポキシ系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「エポキシ系樹脂エマルジョン」という)、主としてアクリル系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「アクリル系樹脂エマルジョン」という)、主としてポリエステル系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「ポリエステル系樹脂エマルジョン」という)、主としてフッ素系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「フッ素系樹脂エマルジョン」という)および主としてシリコン系樹脂からなる粒子の水性エマルジョン(以下、「シリコン系樹脂エマルジョン」という)の製造方法について説明する。

0028

(i)ポリイミド系樹脂エマルジョンの製造方法
本発明におけるバインダーがポリイミド系樹脂からなる場合には、機械的特性、化学的特性および電気的特性に優れたポリイミド系の高誘電率フィルムを形成できるため特に好ましい。このようなポリイミド系フィルムを電着により作製する好ましい方法としては下記の二種類が挙げられる。
(1)(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水性ポリマーとの複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを電着液として、この複合粒子を電着する方法。
(2)(C)ポリアミック酸と(D)疎水性化合物との複合粒子を含む粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを電着液としてこの粒子を電着し、電着されたポリアミック酸を加熱により脱水閉環する方法。
これらの方法において、使用するポリイミド系樹脂エマルジョンを製造する方法としては、上記(1)の方法については特開平11−49951公報に記載の方法が、また上記(2)の方法について特開平11−60947号公報に記載の方法が例示される。

0029

上記(1)の方法において使用するポリイミド系樹脂エマルジョンの製造方法についてさらに詳しく説明する。
「(A)有機溶媒可溶性のポリイミド」の合成法は特に限定されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水物ジアミン化合物とを混合して重縮合させて、ポリアミック酸を得たのち、該ポリアミック酸を加熱イミド化法または化学イミド化法により脱水閉環反応させることにより、ポリイミドを合成することができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロック構造を有するポリイミドを合成することも可能である。
この有機溶媒可溶性のポリイミドは、例えば、カルボキシル基アミノ基、水酸基スルホン酸基アミド基エポキシ基イソシアネート基などの反応性基(a)を1種以上有することが好ましい。反応性基(a)を有するポリイミドの合成方法としては、例えば、ポリアミック酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジアミン化合物、カルボン酸一無水物モノアミン化合物などの反応原料として、反応性基(a)を有する化合物を使用し、脱水閉環反応後に反応性基(a)を残存させる方法などを挙げることができる。

0030

「(B)親水性ポリマー」は、親水性基として、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基などを1種以上有し、水に対する20℃の溶解度が、通常、0.01g/100g以上、好ましくは0.05g/100g以上である親水性ポリマーからなる。上記親水性基に加えて、上記(A)成分中の反応性基(a)と反応しうる反応性基(b)を1種以上有することが好ましい。このような反応性基(b)としては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基のほか、上記親水性基と同様の基などを挙げることができる。このような親水性ポリマーは、親水性基および/または反応性基(b)を有するモノビニル単量体単独重合または共重合させるか、あるいはこれらのモノビニル単量体と他の単量体とを共重合させることにより得ることができる。

0031

この(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水性ポリマーとを、反応性基(a)と親水性ポリマー中の反応性基(b)とが適切な反応性を有する組み合わせとなるように選択し、該ポリイミドと該親水性ポリマーとを、例えば有機溶媒中にて溶液状態で混合して、必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反応溶液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去することにより、該ポリイミドと該親水性ポリマーとを相互に結合して同一粒子内に含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを得ることができる。

0032

次に、上記(2)の方法において使用するポリイミド系樹脂エマルジョンの製造方法についてさらに詳しく説明する。
ポリイミドの前駆体である「(C)ポリアミック酸」の合成法は、特に限定されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合反応によりポリアミック酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重縮合反応を多段階で行うことにより、ブロック構造を有するポリアミック酸を合成することも可能である。なお、ポリアミック酸を脱水閉環させることにより部分的にイミド化したポリアミック酸も使用可能である。

0033

一方、「(D)疎水性化合物」は、上記ポリアミック酸中の少なくともアミド酸基と反応しうる基(以下、「反応性基」という。)を有する化合物である。この反応性基としては、例えば、エポキシ基、イソシアナト基カルボジイミド基、水酸基、メルカプト基ハロゲン基アルキルスルホニル基アリールスルホニル基ジアゾ基カルボニル基などを挙げることができる。これらの反応性基は、疎水性化合物中に1種以上存在することができる。なお、「疎水性」とは、水に対する20℃の溶解度が、通常、0.05g/100g未満、好ましくは0.01/100g未満、さらに好ましくは0.005g/100g未満であることを意味する。

0035

この(C)ポリアミック酸と(D)疎水性化合物とを、例えば、有機溶媒中にて溶液状態で混合して反応させたのち、この反応溶液を水性媒体と混合し、場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去することにより、ポリアミック酸と疎水性化合物とを同一粒子内に含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを得ることができる。

0036

なお、上記(1)および(2)の方法において用いられるテトラカルボン酸二無水物は特に限定されるものではなく、その例としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンなどの脂肪族テトラカルボン酸二無水物あるいは脂環式テトラカルボン酸二無水物
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物
などを挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。

0037

また、上記(1)および(2)の方法において用いられるジアミン化合物は特に限定されるものではなく、その例としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニルプロパンなどの芳香族ジアミン類
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミンテトラメチレンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン)などの脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミン類
2,3−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、ビス(4−アミノフェニルフェニルアミンなどの、分子内に2つの第一級アミノ基および該第一級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン類
モノ置換フェニレンジアミン類
ジアミノオルガノシロキサン
などを挙げることができる。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。

0038

(ii)エポキシ系樹脂エマルジョンの製造方法
エポキシ系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開平9−235495号公報、同9−208865号公報に記載の方法などによればよい。

0039

(iii)アクリル系樹脂エマルジョンの製造方法
アクリル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば通常の乳化重合法により製造できる。単量体としては一般的なアクリル系および/またはメタクリル系単量体から選択される一種または二種以上を用いればよい。このとき、粒子を電着可能とするために、アミノ基、アミド基、フォスフォノ基などのカチオン性基を有する単量体、またはカルボキシル基、スルホン酸基などのアニオン性基を有する単量体を共重合させることが好ましく、その共重合量は使用する単量体全体に対して5〜80重量%(より好ましくは10〜50重量%)とすることが好ましい。上記アミノ基を有する単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチルアクリレートジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが好ましく使用される。

0040

(iv)ポリエステル系樹脂エマルジョンの製造方法
ポリエステル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開昭57−10663号公報、同57−70153号公報、同58−174421号公報に記載の方法などによればよい。

0041

(v)フッ素系樹脂エマルジョンの製造方法
フッ素系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開平7−268163号公報に記載の方法などによればよい。

0042

(vi)シリコン系樹脂エマルジョンの製造方法
シリコン系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開平10−60280号公報に記載の方法などによればよい。

0043

(3)水性分散液について
本発明の水性分散液は、水性媒体中に上記バインダーおよび上記無機フィラーが分散したものである。なお、水性媒体の意味は上述と同様である。
水性分散液に含まれる無機フィラーとバインダーとの重量比は、固形分換算で、50:50〜80:20の範囲、好ましく75:25〜60:40である。無機フィラーの割合が50重量%未満では、高誘電率のフィルムを得ることが困難である。一方、無機フィラーの割合が80重量%を超える場合には、フィルムの成膜性が不足するため好ましくない。
水性分散液の好ましいpHは3〜7(より好ましくは4〜6)、また、固形分濃度は2〜25重量%、好ましくは5〜15重量%、20℃における好ましい粘度は1〜100mPa・sである。pH、固形分濃度または粘度が上記範囲を外れると、粒子の分散性などが低下して貯蔵安定性が不足したり、取り扱い時や使用時の作業性が低下する場合がある。
なお、電着槽に供給される水性分散液(補充液)の固形分濃度は、固形分の利用効率アップの面から、電着槽中の電着液の固形分濃度よりも高い濃度であることが好ましく、倍以上あることがさらに好ましい。

0044

この水性分散液は、(1)無機フィラーの水性分散液とバインダーの水性分散液とを混合する、(2)バインダーの水性分散液中に無機フィラーを添加混合するなどの方法により調製することができる。このうち、(1)の方法を用いることが好ましい。また、バインダーの水性分散液と混合する前における無機フィラーの水性分散液のpHは、混合時の安定性を向上させるために、硝酸硫酸水酸化カリウムなどを用いてpH2〜10に調製されていることが好ましい。

0045

なお、本発明の水性分散液は、上記バインダーおよび無機フィラーに加えて、下記式(I)で示されるオルガノシラン、このオルガノシランの有する加水分解性基の一部または全部が加水分解された加水分解物およびこの加水分解物が部分的に脱水縮合した部分縮合物から選択される少なくとも一種(以下、「オルガノシラン縮合物など」という)を含有してもよい。このような電着用水性分散液から形成されたフィルムは、特に電着後に加熱硬化させた場合には、フィルム中でオルガノシラン縮合物などが架橋することにより、機械的特性、化学的特性硬度および電気的特性に優れたものとなる。

0046

(R1)nSi(OR2)4-n (I)
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜8の一価有機基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基またはフェニル基を示し、nは1または2の整数である。R1およびR2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)

0047

上記式(I)において、R1の炭素数1〜8の有機基としては、直鎖または分岐を有するアルキル基、ハロゲン置換されたアルキル基、ビニル基、フェニル基および3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などを挙げることができる。なお、R1はカルボニル基を有していてもよい。なお、R1は炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。
R2の炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基アセチル基プロピオニル基ブチリル基などが挙げられる。なお、R2は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。

0048

好ましく使用されるオルガノシランの例としては、ジメチルジメトキシシランジメチルジエトキシシランイソブチルトリメトキシシランおよびフェニルトリエトキシシランが挙げられる。これらのオルガノシランは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0049

(4)高誘電率フィルムについて
本発明の水性分散液は、そのまま、あるいはこれを希釈または濃縮して、また必要に応じて従来公知の添加剤を適宜配合して、高誘電率フィルム形成用の電着液に用いられる。この電着液を用い、後述の電着方法により、水性分散液中の無機フィラーおよびバインダーを電極表面などに電着して高誘電率フィルムを製造することができる。
本発明の高誘電率フィルムを製造するにあたっては、電着された粒子の樹脂成分をさらに加熱硬化させることが好ましい。加熱硬化の条件は特に限定されるものではないが、好ましい加熱温度は100℃〜400℃であり、より好ましくは150〜300℃である。また、好ましい加熱時間は5分以上であり、より好ましくは10分以上である。

0050

本発明の水性分散液によると、誘電率6以上(より好ましくは7以上)の高誘電率フィルムを得ることができる。また、体積抵抗率は1012Ω・cm以上(より好ましくは1013Ω・cm以上)のものとすることができる。また、この高誘電率フィルムの厚さは50μm以下(より好ましくは30μm以下)であることが好ましい。フィルム厚さの下限は特に限定されないが、通常は1μm以上である。

0051

次に、電着方法および、電着装置に関して説明を行う。
本発明による電着操作の本質的な部分は、「電着−水性分散液の一部排出−未使用の水性電着液(補充液)を補充」という3段階の操作を繰り返ことにある。この操作により、電着により固形濃度が減少した水性分散液を電着槽から排出し、新たに固形分濃度の高い水性分散液を補充することにより、結果として電着槽内の固形分濃度を一定の範囲に保つことができる。
ここで、補充液の補充、すなわち上記無機フィラーの水性分散液、バインダーの水性分散液、および/または希釈用媒体は、連続して、もしくは一定の間隔で電着槽に補充しながら電着を行なうことが好ましい。

0052

電着槽内の水性分散液の交換は、電着のタイミングに関わらず、常に一定のペースで行う方法もあり得るが、電着槽内の濃度を安定化するためには電着に同期させて交換するのが好ましい。

0053

装置の概要
本発明による電着方を実施する際には、以下のような考え方に基づいて設計・製作された装置を用いることが好ましい。

0054

電着装置は、電着槽、対向電極、電着のための電源、補充される水性分散液が入ったサーバータンク、サーバータンクから定量的に電着槽に水性分散液を移送する液体移送装置、電着槽から定量的に水性分散液をくみ出し廃液タンクなどに排出する液体の移送装置、電着対象の搬送装置、各部の動作を統合管理し、電着装置全体の制御を行う制御部、その他周辺装置からなるものが好ましい。また、数種類の原液から水性分散液を調製するための混合システムもあるほうがより安定した電着を行うことができる。
次に電着装置の各部分が備えるべき機能を説明する。

0055

(1)電着槽:電着槽は、電着対象物の電着対象領域および対向電極が水性分散液に浸り、かつ、少なくとも電着対象一単位分の固形分が確保できるだけの水性分散液を収容できる容量と形状を持つことが必須である。一方、不必要に大きな電着槽は、電着は実施可能であるが、従来の方法で電着を行うのと同様な問題が生じやすくなり、本発明の効果を十分発揮できなくなる恐れがある。このため、電着槽の容量は、一般に電着対象一単位に必要な水性分散液量の100倍以下、好ましくは50倍以下、さらに好ましくは5〜20倍程度の容量に設定される。電着対象のデザイン変さらにより、形状や電着対象面積が変化し、電着槽の容量との比率が上記の範囲からはずれた場合、金属ブロックなどを電着槽内に配置し、実質的な容量を小さくすることで対応することも可能である。

0056

ここで、電着対象一単位としているのは、電着対象の外形が小さい場合などに生産性を上げるため、2つ以上の電着対象を1セットとして同一の電着槽で同時に電着を行う場合があり、このときにはこの1セットが電着操作の単位となるためである。このセットは、同一デザインの電着対象ばかりの場合も、異なるデザインの電着対象が組み合わされる場合もある。

0057

また、例えば線状の電着対象に対しリールツーリールでの電着加工を行うなど、連続して流れ作業で電着を行う場合には、電着槽の容積に関しては、例えば電着対象の搬送速度などから単位時間に電着される面積を算出し電着の1単位とみなすことにより上記の議論をそのまま用いることができる。

0058

(2)電着槽内の水性分散液の交換装置:水性分散液の交換装置は、定量的に液体を移送することのできる装置で、かつ、次の条件を満たすものであれば種々のものを利用できる。

0059

条件1:水性分散液はその成分として有機溶剤を含むので、水性分散液に直接接する部分は金属、セラミック、もしくは溶剤に冒されにくい有機材料が用いられていること。溶剤に冒されにくい有機材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(米国:デュポン社製テフロン)、ポリエチレンポリプロピレンフッ素ゴム(米国:デュポン社製バイトン)、シリコーンなどが挙げられる。

0060

条件2:水性分散液が無機フィラーを含む場合、摺動部において無機フィラーが研磨剤として働き液体の移送装置の寿命を短くするので、摺動部のない構造の装置が好ましい。例としてベローズ型ダイヤフラム型などのポンプを挙げることができる。また、無機フィラーを含まない水性分散液の場合であっても、送液装置の摺動部では、移送される液に高いシェアがかかったり、発熱により高温部が生じたりする場合があり、水性分散液の劣化を促進する可能性があるので、摺動部のない送液装置を使う方が好ましい。

0061

条件3:補充される水性分散液の量は、含まれる固形分量が電着対象一単位分以上になることが必要であり、電着対象を交換している間に必要な水性分散液の交換を行うためには、30秒程度の間に数十ml〜数l程度送液できる能力を有しているものが好ましい。この送液装置の配置は、例えば、電着槽から水性分散液を排出するのに1台、電着槽に水性分散液を補充するのに1台、合計2台使用する方法や、電着槽に水性分散液補充するのに1台割り当てるのみで、電着槽から水性分散液を排出するのは、オーバーフローにより自然に流れ出すのを利用するなどの方法でもよい。多少実用性には乏しくなるが、サーバータンク、電着槽、廃液タンクを高低差を付けて配置し、重力による流下を利用する方法がある。この場合、必要なのは定量的に開閉できるバルブのみで、装置が単純、安価となるうえ、シェアや発熱の心配がなくなるが、水性分散液の交換に時間がかかるといったデメリットがある。

0062

(3)電着対象の搬送装置:どのような方式であっても本発明に関して本質的な違いは生じない。一般的には迅速かつなめらかに動作し、電着対象を電着槽内の所定の位置に正確に保持できるものが好ましい。

0063

(4)電着槽の撹拌装置:電着槽には、電着槽内の水性分散液と補充された補充液が均一に混ざるよう撹拌装置が備えられるのが好ましい。この撹拌装置には、マグネチックスターラーなど、回転する撹拌子を備えたもの、板もしくは棒状の撹拌子に往復運動を行わせる機構のもの、ポンプを用い電着槽の内部に流れを生じさせ水性分散液に電着槽内全体を循環させる機構のものなどを使用することができる(図5図6図7(A)、図7(B)参照)。

0064

(5)電着装置全体の制御装置:電着装置全体を統括し、電着対象の搬送、電着時間、電流などの電着条件、水性分散液の排出、補充の量など、電着の個別の操作を管理すると同時に、各操作が相互に干渉することなく、また、無駄な待ち時間が発生しないようタイミングを合わせる機能を持つ装置であり、1台もしくはそれ以上の、パーソナルコンピューターシーケンサーなどを使用することが可能である。

0065

(6)水性分散液の原液の混合装置:本発明において、必要量に応じて原液を混合し水性分散液を調製する操作は重要であるが、その方法、装置は、種々の方法を用いることが可能である。この混合装置に要求される機能は、バインダー(樹脂分)の分散液、無機フィラーの分散液、希釈用媒体などの数種類の原液のうち2種類もしくはそれ以上を、指定された手順、割合で混合できることであり、各原液を定量的にはかり取るための秤量装置、もしくは、定量的に制御可能な送液装置をそなえ、必要であれば、混合用タンク、撹拌装置を備えてもよい。

0066

この混合装置は、パーソナルコンピューター、シーケンサーなどの制御手段で制御され、キーボードなどを用いて原液ごとの必要量を入力する、原液の比率と補充液の必要量を入力する、または、あらかじめ記憶させたデーター呼び出すなどにより水性分散液の組成、量を指定した後、自動的に量、混合しサーバータンクに充填できるものが好ましい。電着装置そのものが小型である場合には、この混合装置は電着槽と近接して配置され、各原液が直接、もしくは混合されながら電着槽に注入される様になっていてもよい。

0067

この場合、混合装置と電着装置は互いに協調して動作する必要があり、電着槽の動作を原液の混合装置が検出しながらタイミングを合わせ込む、電着槽の制御装置と原液の混合装置の制御装置との間で信号のやりとりを行う、電着槽の制御装置が原液の混合装置も制御するなどの方法を取ることができる。

0068

さらに、試作用の装置で、電着の頻度が少ない場合には、電子天秤の様な秤量装置と、スリーワンモーターなどのモーターで駆動される撹拌羽を備えた撹拌装置を準備しておき、手作業で秤量、混合しサーバータンクに充填ことも可能である。

0069

液の交換の設定
次に、電着槽内の水性分散液交換の考え方を説明する。水性分散液交換には、「電着により減少した固形分を補充する」効果と「電着槽内の水性分散液を入れ替え水性分散液の安定性の限界内で使用されるようにする」効果が期待される。

0070

このため、算定に用いられるいくつかの値は、水性分散液の特性と電着された皮膜に要求される性能に依存し、試作を行い皮膜の特性を評価したうえで決定される場合がある。また、電着対象のロットが小さく、水性分散液の安定性の限界以内で生産が終了する場合は固形分補充の効果のみ考慮すればよいが、水性分散液の安定性の限界を超える場合には保存安定性に関わる条件も満たすよう設定される必要がある。

0071

水性分散液交換に関わるパラメーターの決定にあたっては、大きく分けて、固形分濃度の決まった補充液を用い補充量を決める場合と、交換すべき電着液の最低量が与えられそれに合わせて濃度を決定する場合がある。通常、前者の設定方法を採用するが、電着面積が著しく小さい場合には後者の方法を採用した方が好ましい。

0072

電着の運用のためのパラメーターを算定するために、まず、水性分散液が使用できる限界を決定する必要がある。これには、固形分濃度の下限値と水性分散液が安定な期間とがある。それぞれ、次に示すような方法で実験的に決定することができる。また、特に大量生産を行う場合、下記の方法で決定された値に対し数%〜数十%の余裕を見込んで水性電着液の交換を行ったほうが、生産時に生じる意図しない変動があっても安定な生産が可能になる。

0073

水性分散液の固形分濃度の下限値:水性分散液の固形分濃度が減少すると、同一電着条件であっても電着された皮膜が薄くなる、要求される電気的、機械的、もしくはその他の特性がでないなどの問題が生じる。このため、あらかじめ一定量の水性分散液を用いて一定の電着条件で電着を繰り返し、生成した皮膜の厚さや特性を測定し、要求を満たす皮膜を電着できる固形分濃度の下限値を決定する。この決定に必要なデーターを集めるのはある程度の試作が必要であるが、電着対象の用途が同じであれば、多くの場合、電着された皮膜に対して要求される特性が同じであり、また、同じグレードの電着液が用いられる。このような場合には、電着対象のデザインが変わり、生成される電着皮膜の形状や面積が変わっても、同一の値を用いることが可能である。

0074

水性分散液が安定な期間:水性分散液は時間が経過することにより特性が変化するものが多く、室温保管で数日で使用できなくなるものもある。このため、厳密には、電着が行われる環境に保管された電着液で例えば1日などの一定時間ごとに電着し、生成した皮膜の厚みや特性を測定し、皮膜に期待される要求を満たしているかどうか判定する操作を繰り返し、電着された皮膜が要求特性を満たしている期間を、水性電着液が安定な期間とするのが好ましい。

0075

簡易的には、電着効率を測定し、初期より例えば20%変化するまでの期間を安定な期間とすることができる。この測定は、必ずしも水洗分散液の安定性が失われるまで続ける必要はなく、例えば1週間程度の一定の期間測定を行い、「安定なことが保証されている期間」とすることも可能である。この値も水性分散液の固形分濃度の下限値と同様、同じグレードの水性電着液を同じ用途に使用する限り、以前に決定された値を使用することが可能である。

0076

次に、本電着法基本原理である、電着槽内の電着液の一部を排出し、より濃度の高い未使用の電着液を同量補充することにより、電着槽内の固形分濃度を一定に制御する方法について順を追って述べる。説明を簡単にするため、補充液の濃度が決まっており、かつ、電着1回ごとに電着液の交換を行う場合について説明する。電着2回もしくはそれ以上の回毎(n回とする)に電着液の交換を行う場合は、以下の方法で求めた量をn倍することで電着液の交換量を求めることができる。この場合、1回毎に交換するのに比べ電着槽内の電着液の濃度の変化が大きくなる。

0077

1:電着槽の電着液の濃度の決定
まず、電着槽内の電着液の濃度をいくらに管理するか決定する。普通は、電着液自身の特性とコストの面から最適な濃度範囲が定まり、その固形分濃度は、通常、2〜25重量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲である。固形分濃度が2重量%以下になると電着に時間がかかる、生成された膜が不均一になりやすいなどの理由で実用性が乏しくなる。一方、濃度が25重量%を超えると固形分のロスが増加しコストがかさむため、大きなロットの電着には不向きである。

0078

2:固形分の補充に必要な水性分散液量
次いで、電着皮膜の厚さ、密度、および電着面積などから電着1回あたりに電着される固形分量を求める。形状が複雑で電着面積が求められない、既に予備検討がなされているなどの場合には、実測値を用いてもよい。
このとき、1回の電着で消費された(電着された)固形分量を補充するのに必要な補充液量は以下の(1)式で求められる
補充する水性分散液の固形分濃度(既知) ρa (g/g)
電着槽内の固形分濃度(既知) ρn (g/g)
電着1回あたりに必要な固形分(既知) m (g)
m(g)の固形分を補充するのに必要な補充液量 M (g)
M=m/(ρa−ρn) (1−A)
したがって、補充液量Mは、少なくとも、「m/(ρa−ρn)」以上とする。

0079

3:水性分散液の安定性確保のための補充水性分散液量
水性分散液の特性が経時で変化する場合、電着の度に行われる液交換により液の安定性の限界が来る前に電着槽に満たされている水性分散液が入れ替わっている必要がある。このため、一定時間後には初期の水性分散液分の濃度は、水性分散液の特性より許容されるある濃度Rよりも薄いことが要求される(2)。このため、下記の(4)式で求められる以上の水性分散液が交換されるように設定される必要がある。ここでは、補充される水性分散液と排出される水性分散液とで密度差があるので、体積で現した。
交換される水性分散液の量 Vc (ml)
電着槽内の水性分散液の量(既知) Vu (ml)
水性分散液の安定性の限界(既知) T (min)
電着の所要時間(既知) t (min)
水性分散液が安定している間に可能な電着の回数C (cycle)
回後に許容される残留水性分散液分の濃度(既知) R
C=T/t (2)
[(Vu−Vc)/Vu]C<R (3)
Vc>[1−R(1/C)]×Vu (4)

0080

ここで、Rは、水性分散液の安定性という点では小さいほど好ましいが、より多くの補充液が必要になる。このため、水性分散液の経時変化の質、程度、と電着された皮膜に要求される特性とを案して決定されるが、通常、0.001〜0.1程度の値が用いられる。

0081

4:補充液の濃度の決定
通常、補充液の濃度は2重量%〜30重量%の間で固定されており電着対象のデザインが変更されても調整する必要はない。しかしながら、電着1回あたりに消費される固形分の量が極端に少ない場合は、補充される体積がVcより小さくなる可能性がある。この様な場合には補充液の固形分濃度を小さくし、Vc以上の体積の電着液が交換されるようにする必要がある。

補充する水性分散液の固形分濃度 ρa (g/g)
電着槽内の固形分濃度(既知) ρn (g/g)
電着1回あたりに必要な固形分(既知) m (g)
交換すべき水性分散液の量(既知) Vc (ml)
ρa=m/Vc+ρn (5)

0082

電着の手順
以下に本電着法による電着の手順を例を挙げて説明する。説明を簡単にするため、電着対象は板状のものとしその片面の一部に電着を行う前提とている。また、電着槽の容量、最適な電着槽内の固形分濃度ρnや、水性分散液が安定な期間T、滞留している水性分散液の割合Rはすでに決定されているものとする。ただし、本発明は、以下の説明に縛られるものではない。

0083

電着手順の第1の例
本発明による電着の手順の一例を示す。固形分濃度の決まった補充液を用い補充量を電着対象に合わせる方法である。多くの場合この手順で電着を行うのが好ましい。

0084

個別の図板に対する準備
基板の電着対象面積と電着膜厚設計値より、被電着基板1枚あたりに必要な固形分量を求める。
(1)式を用いて、電着液の補充量を求める。
基板の電着対象面積と電着膜厚の設計値より、電着時間、電流値などの電着条件を決める。
基板の交換などの時間も含めた電着1回あたりの時間を求め、(4)式を用い電着一回あたりの最低の液交換量を求める。
電着液の補充量が、最低の液交換量より多いことを確認する。

0085

電着操作
電着槽に所定の濃度の水性分散液を満たす。
着槽に被電着基板をセットし電着を行う。
電着が完了した被電着基板を電着槽から引き上げる。
電着槽内の水性分散液を指定量排出する。
電着槽内に新しい水性分散液を指定量補充する。
必要であれば電着槽内を撹拌し、均一にする。
次の電着を行う。

0086

この手順により、層内の状態を検出したり電着結果を評価し、電着条件に反映させるなど、積極的に安定化させる操作をすることなく、単純に上記の電着操作を繰り返すことにより、電着される固形分の量、排出される水性分散液中の固形分、補充される液中の固形分がバランスし、一定の条件で電着を繰り返すことが可能となる。また、手順5で電着液の補充量が、最低の液交換量より少ない場合には以下の手順を用いるのが好ましい。

0087

電着手順の第2例
本電着法による電着手順の他の例を示す。電着1回あたりに消費される固形分の量が極端に少なく補充液の固形分濃度を小さくする必要がある場合などで用いられる手順である。

0088

個別の図板に対する準備
基板の電着対象面積と電着膜厚の設計値より、被電着基板1枚あたりに必要な固形分量を求める。
基板の電着対象面積と電着膜厚の設計値より、電着時間、電流値などの電着条件を決める。
基板の交換などの時間も含めた電着1回あたりの時間を求め、(4)式を用い、一回あたりの最低の液交換量を求める。
(5)式を用いて、補充液の濃度を決定する。

0089

電着操作
電着槽に所定の濃度の水性分散液を満たす。
着槽に被電着基板をセットし電着を行う。
電着が完了した被電着基板を電着槽から引き上げる。
電着槽内の水性分散液を指定量排出する。
電着槽内に新しい水性分散液を指定量補充する。
必要であれば電着槽内を撹拌し、均一にする
次の電着を行う。

0090

この手順を用いることによっても、層内の状態を検出したり電着結果を評価し、電着条件に反映させるなど、積極的に安定化させる操作をすることなく、単純に上記の電着操作を繰り返すことにより、電着される固形分の量、排出される水性分散液中の固形分、補充される液中の固形分がバランスし、一定の条件で電着を繰り返すことが可能となる。

0091

(5)電着された皮膜上への金属層膜の形成
本発明にかかる電着された皮膜の利用法として、電着した高誘電性の皮膜の表面に電極を設けて、キャパシターとして利用する例が挙げられる。この電極は、メッキにより形成することができる。すなわち、無電解メッキによりシード層を形成し、さらに電解メッキで層の厚みを増す方法を用いることができ、例えば無電解ニッケルメッキ電解銅メッキの組み合わせや、無電解銅メッキと電解銅メッキを組み合わせたプロセスなどを用いることができる。
しかしながら、電着により形成した皮膜は、一般に強酸強アルカリによりダメージを受けやすく、メッキの各工程で用いられる薬品のpH、および各工程の温度や時間などの条件により、皮膜が薄くなる、亀裂が生じるなどの現象が起こり均一なメッキにならない、外見上均一なメッキとなっても、十分な密着強度がえられないなどの問題が生じる。このため、メッキの各工程で用いられる処理液はできるだけ中性に近いもの、好ましくはpH3〜11、さらに好ましくはpH5−9の薬品を用い、70℃以下の温度で短時間に処理することが重要である。

0092

1:無電解ニッケルメッキと電解銅メッキを組み合わせる方法
1−1:無電解ニッケルメッキ
1−1−1:前処理・水洗
前処理は、市販のpH3〜11の市販のコンディショナーなどを用い、40〜50℃程度で処理するのが好ましい。洗浄は2回以上行う必要があり、50℃のイオン交換水で2回、室温のイオン交換水で2回行うとより好ましい。
1−1−2:触媒付与
メッキ対象の表面にメッキ皮膜成長の核となる触媒を付与する。この方法には大きく分けて、錫とパラジウムコロイドとして1段階で付与する方法と、錫とパラジウムを別々に付与する方法がある。いずれの方法も本質的な違いはないが、1段階で行う方法では、触媒付与後、室温でかつ短時間ではあるが塩酸活性化する工程が必要なため、電着により形成された皮膜にダメージを与える可能性がある。このため、錫付与、水洗2回、パラジウム付与、水洗2回の4工程2段階での触媒付与を行うほうがより好ましい。このとき、十分な量の触媒を均一に付与するには、各々の処理液に長時間浸漬するより、短時間の浸漬を繰り返すことが好ましい

0093

1−1−3:無電解ニッケルメッキ
市販の各種の無電解ニッケルメッキ液を用いることができる。中でも、プラスチックなどの有機材料をメッキの対象として開発されたグレードが好ましく、特に40〜70℃程度の比較的低温でメッキできるグレードであればさらに好ましい。メッキ厚さは浸漬時間でコントロールし、通常、3〜10分程度で、0.1〜1μm程度のニッケルメッキ層が形成される。無電解ニッケルメッキ後は水洗を2回以上行う。
1−1−4:アニール
150℃、1時間の熱処理を行う。

0094

1−2:電解銅メッキ
1−2−1:電解銅メッキ
金属層に十分な厚みが要求されるときには、ニッケルメッキ層をシード層として電解銅メッキを行うことにより、たとえば5〜20μm厚の銅の層が得られる。ニッケルメッキ層が保護層となるため、ここで用いられる電解銅メッキには別段の制限はない。主な溶質として硫酸銅を3〜20%含む電解銅メッキ液を用い、ニッケルメッキを施した基板を陰極とし、陽極リン含有の銅を用いる通常の電解銅メッキを行うことができる。電解銅メッキ後は水洗を十分行う。
1−2−2:アニール
150℃、1時間の熱処理を行う。

0095

2:無電解銅メッキと電解銅メッキの組み合わせ
2−1:無電解銅メッキ
2−1−1:前処理・水洗、触媒付与は、無電解ニッケルメッキと同様の方法で行うことができる。
2−1−3:無電解銅メッキ
市販の各種の無電解銅メッキ液を用いることができる。特に40〜70℃程度の比較的低温でメッキできるグレードであればさらに好ましい。メッキ厚さは浸漬時間でコントロールし、通常、5〜30分程度で、0.1〜1μm程度の銅メッキ層が形成される。無電解銅メッキ後は水洗を2回以上行う。
2−1−4:アニール
150℃、1時間熱処理を行う。
2−2:電解銅メッキ

0096

2−2−1:電解銅メッキ
金属層に十分な厚みが要求されるときには、銅メッキ層をシード層として電解銅メッキを行うことにより、たとえば20μm厚の銅の層が得られる。銅メッキ層が、保護層となるため、ここで用いられる電解銅メッキには別段の制限はない。主な溶質として硫酸銅を3〜10%含む電解銅メッキ液を用い、室温付近にて、銅メッキを施した基板を陰極とし、陽極にリン含有の銅を用いる通常の電解銅メッキを行うことができる。
2−2−2:アニール
150℃、1時間熱処理を行う。

0097

3:フェニックスプロセスを用いる方法
無電解銅メッキと電解銅メッキの組み合わせの別のやり方として、たとえば、マクダミット社のフェニックスプロセスを用いることができる。工程のすべてをマクダーミット社の標準条件で行うことも可能であるが、前処理、水洗、触媒付与までを上記の手順で行い、無電解銅メッキ、電解銅メッキをフェニックスプロセスにしたがって行うといった方法をとることにより、電着された皮膜に対するダメージをより低減することが可能である。
以上に述べた形成方法により金属膜を形成されたものは、キャパシター、抵抗コイルなどの電子部品に用いることができる。

0098

以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下において、特記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。

0099

(1)水性分散液の調製
(1−1)無機フィラーの水性分散液の調製
チタン酸バリウム粒子(堺化学株式会社製、商品名「BT−02」、平均粒子径0.2μm、誘電率2000)60.6部、分散剤1.6部、およびイオン交換水37.8部をホモミキサーで混合した後、硝酸でpH3に調整し、さらに10分間の超音波分散を行って、凝集物のないチタン酸バリウム水分散液(固形分濃度62.2%)を得た。

0100

(1−2)バインダーエマルジョンの調製
テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物51.0部および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン0.5部、ジアミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン5.9部(90ミリモル)およびオルガノシロキサンLP7100(信越化学工業社製の商品名)0.4部を、N−メチル−2−ピロリドン71.8部に溶解して、室温で12時間反応させた。その後、この反応溶液に、ピリジン5部および無水酢酸11.3部を添加し、100℃で3時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶液を減圧留去して精製し、固形分10%のポリイミド溶液を得た。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメチルアミノエチルアクリレート30部、グリシジルメタアクリレート5部およびアゾビスイソブチロニトリル1部からなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさらに2時間撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分50%のアクリルポリマー溶液を得た。
上記ポリイミド溶液50部(固形分)と上記アクリルポリマー溶液30部(固形分)とエピコート828(油化シェルエポキシ社製の商品名)20部を混合し、70℃×3時間反応させた後、酢酸3部を徐々に添加して混合し、pH調整を行った。次いで、蒸留水300部を徐々に添加しつつ強く撹拌して、ポリイミド系樹脂を主成分とする固形分濃度が11%のバインダーのカチオン性エマルジョンを得た。

0101

(1−3)希釈用媒体の調製
イオン交換水62部、N-メチルピロリドン17部、シクロヘキサノン11部、乳酸エチル10部を混合、撹拌して希釈用媒体を調製した。

0102

(1−4)水性分散液の調製
(1−3)で得られた希釈用媒体42部に(1−1)で得られた無機フィラー水性分散液18部、(1−2)で得られたバインダーエマルジョン40部を徐々に添加しつつ強く撹拌して固形分濃度が15%の水性分散液(A)を得た。
(1−5)補充液の調製
(1−3)で得られた希釈用媒体27部に(1−1)で得られた無機フィラー水性分散液23部、(1−2)で得られたバインダーエマルジョン50部を徐々に添加しつつ強く撹拌して、補充液として固形分濃度が20%の水性分散液(B)を得た。

0103

(2)電着方法の説明。
次に、電着方法の実施例を説明する。各電着例で以下の条件を共通とした。

0104

電着対象:電着対象は1,700cm2(およそ34cm×51cm)の面積を持つパターニングされたプリント配線板モデル基板とし、電着対象は片面のみに分布し面積の合計が956cm2(55%)になるようデザインした。
電着条件:電流コントロールにより1.3Aの電流を90秒流し、8μm厚の膜が得られるよう制御した。同一電着条件で膜が安定に電着できるのは、水性分散液の固形分が15%〜13%の間で、このとき水性分散液1mlあたりおよそ8cm2の面積に電着できた。

0105

実施例1
(電着槽内の水生分散液を未使用のものに交換しながら電着を行う例)
新規に1.7Lの容量の電着槽を用意し、15.0%の濃度の上記水性分散液(A)を満たし、1枚電着するごとに電着槽内の水性分散液を120mlづつ交換しながら電着を行った。このとき180枚目においても膜厚は8μmと所期の厚みを維持しており、そのまま300枚まで電着を続けた。このとき、電着槽に残った水性分散液の固形分濃度は13.0%であった。結果として膜厚に分布が生じてしまった十数枚の不良を除き、ほとんどが良品であった。補充のための水性分散液は、あらかじめ必要量を予測し、必要量のみ調製しておいたので、不要なロスは生じなかった。

0106

実施例2
(電着槽内の水生分散液を未使用のより高濃度の液に交換しながら電着を行う例)
新規に1.7Lの容量の電着槽を用意し、15.0%の濃度の上記水性分散液(A)を満たし、1枚電着するごとに電着槽内の水性分散液を45mlづつ、補充液(B)に交換しながら電着を行った。このとき250枚目においても膜厚は8μmと所期の厚みを維持しており、そのまま300枚まで電着を続けた。このとき、電着槽に残った水性分散液の固形分濃度は15.0%であり、さらに電着が続けられる状態にあった。結果として膜厚に分布が生じてしまった十数枚の不良を除き、ほとんどが良品であった。補充のための水性分散液は、あらかじめ必要量を予測し、必要量のみ調製しておいたので、不要なロスは生じなかった。

0107

比較例1(従来の方法)
従来使用していた14Lの電着槽を使用し、電着液に(1−4)で得られた水性分散液(A)を用い、180枚の電着を行った。電着開始時には所期の膜が製膜されたが、100枚目前後から膜厚が減り始め、水性分散液中の固形分濃度が12.5%以下になる128枚目以降は電着膜が薄くなり、全て不良品と判定された。180枚目においては膜厚は所期の65%になり電着実験を終了した。従来の電着槽では、今回使用した水性分散液および電着対象の組み合わせでは、安定に電着できるのは120枚程度となり、ロットが120枚より少ないと使用可能な固形分をムダにすることになり、ロットが120枚より多いと膜厚不足の不良品となることが判った。また、最初から120枚目までの間に、不良品が十数枚発生した。

0108

各例の具体的な数値を表1〜2に、結果を表3に挙げた。実施例1、2では、いずれも300枚電着後も電着槽内の水性分散液の固形分濃度は13%以上あり、さらに続けて生産が可能なことが分かる。一方、比較例1では、180枚電着を行ったが、結果からみると、今回のモデル基板と14Lの電着槽との組み合わせでは120枚程度が限界であったことが分かる。電着槽の状態、もしくは電着された膜の状態を常に監視していなければ、不良品を作ることになるのが理解される。さらに比較例の生産枚数を120としたとしても歩留まりは3例中最も低い結果となった。これは、電着毎に電着槽内の固形分濃度がするため、安定して電着できなかったためと推測される。また、300枚の電着に必要な水性分散液量は、実施例の方が比較例より8L少なく、ロスが少ないことも理解される。

0109

0110

0111

0112

*1 実施例1〜2では、実使用量を記し、比較例1では3回繰り返す必要があるので槽の容量の3倍とした。
*2 比較例1では、1ロット120枚として歩留まりを計算した。

0113

実施例3
実施例2で作製した基板のうち1枚に、無電解ニッケルメッキおよび電解銅メッキを行いピール強度の測定を行った。
電極形成の具体的な方法は以下のとおりである。
1:無電解ニッケルメッキ
1−1前処理
HIPLEYのクリーナー・コンディショナー231(pH11)を用い、40℃で3分間処理した。コンディショナーへの浸漬後、40℃で2回水洗し、基板温度の調整も兼ねて室温での水洗を1回行った。
1−2触媒付与
処理液
(1)錫処理液は塩化第二錫0.5gをイオン交換水1Lに溶解し調製した。
(2)パラジウム処理液は、イオン交換水20mLに塩化パラジウム0.5gを濃塩酸0.5ml、水を加え、攪拌しながら70℃に加熱し完全に溶解した後、全量が1Lになるようにイオン交換水を加え希釈した。触媒付与の操作は、錫処理液に20秒浸漬、室温での水洗2回、パラジウム処理液に20秒浸漬、水洗2回の4手順を2回繰り返した。
1−3:無電解ニッケルメッキ
メルテック社製、エンプレートNI−426を用い該社説明書に従い該社説明書に従い無電解メッキ液を調整し、65℃で5分間メッキを行った。メッキされたニッケルの厚みは1μmであった。
1−4:アニール
オーブンにて150℃1時間のアニールを行った。
2:電解銅メッキ
2−1:電解銅メッキ
メッキ浴として、硫酸銅71g/L、硫酸193g/L、塩素45mg/Lに光沢剤としてPTH−ルチナSF-Mを加えたものを使用し、リン含有銅を陽極として、0.2mA/dm2で1時間、電解メッキを行った。メッキ厚は20μmであった。
2−2:アニール
オーブンで150℃1時間のアニールを行った。
3:ピール強度測定
電着された皮膜の上に形成された金属メッキの層を、幅1cmライン状の部分を残して除去し、残したライン状の部分の剥離強度を測定したところ6N/cmあった。

0114

実施例4
実施例2で作製した基板のうち1枚に、無電解銅メッキおよび電解銅メッキを行った。
2−1:無電解銅メッキ
2−1−1前処理
SHIPLEYのクリーナー・コンディショナー231(pH11)を用い、40℃で3分間処理した。コンディショナーへの浸漬後、40℃で2回水洗し、基板温度の調整も兼ねて室温での水洗を1回行った。
2−1−2触媒付与
処理液
(1)錫処理液は、塩化第二錫0.5gをイオン交換水1Lに溶解し調製した。
(2)パラジウム処理液は、イオン交換水20mLに塩化パラジウム0.5gを濃塩酸0.5ml、水を加え、攪拌しながら70℃に加熱し完全に溶解した後、全量が1Lになるようにイオン交換水を加え希釈した。触媒付与の操作は、錫処理液に20秒浸漬、室温での水洗2回、パラジウム処理液に20秒浸漬、水洗2回の4手順を2回繰り返した。
2−1−3:無電解銅メッキ
ムロマチテクノス社製、無電解銅メッキ液MK−416を用い、該社説明書に従い液の調製を行い、25℃で15分間メッキを行った。メッキされたニッケルの厚みは0.4μmであった。
2−1−4:アニール
オーブンにて150℃1時間のアニールを行った。
2−2:電解銅メッキ
2−2−1:電解銅メッキ
メッキ浴として、硫酸銅71g/L、硫酸193g/L、塩素45mg/Lに光沢剤としてPTH−ルチナSF-Mを加えたものを使用し、リン含有銅を陽極として、0.2mA/dm2で1時間、電解メッキを行った。メッキ厚は20μmであった。
2−2−2:アニール
オーブンで150℃1時間のアニールを行った。
3:メッキ結果
電着された皮膜の上に光沢のある滑らかな銅メッキの層が形成された。

0115

実施例5
実施例2で作製した基板のうち1枚に、無電解銅メッキおよび電解銅メッキを行った。
2−1:無電解銅メッキ
2−1−1前処理
SHIPLEYのクリーナー・コンディショナー231(pH11)を用い、40℃で3分間処理した。コンディショナーへの浸漬後、40℃で2回水洗し、基板温度の調整も兼ねて室温での水洗を1回行った。
2−1−2触媒付与
処理液
(1)錫処理液は塩化第二錫0.5gをイオン交換水1Lに溶解し調製した。
(2)パラジウム処理液は、イオン交換水20mLに塩化パラジウム0.5gを濃塩酸0.5ml、水を加え、攪拌しながら70℃に加熱し完全に溶解した後、全量が1Lになるようにイオン交換水を加え希釈した。触媒付与の操作は、錫処理液に20秒浸漬、室温での水洗2回、パラジウム処理液に20秒浸漬、水洗2回の4手順を2回繰り返した。
2−1−3:無電解銅メッキ
マクダーミット社製フェニックス無電解銅メッキ液AC−110を該社説明書に従い調整し、pHを8.0とした。70℃で15分浸漬したところ、銅のごく薄い層が形成されたことが確認された。
2−2:電解銅メッキ
2−2−1:電解銅メッキ
フェニックス社のマニュアルに従い、メッキ対象基板を無電解銅メッキ液に浸漬したまま1.0A/dm2の電流でメッキを行った。
2−2−2:アニール
オーブンで150℃1時間のアニールを行った。
3:メッキ結果
電着された有機薄膜の上に表面が粗面である銅メッキの5μm厚の層が形成された。

0116

本発明の電着方法により作製され高誘電率フィルムは、電着条件の調整などにより膜厚制御が容易であり、また塗布により作製された場合などに比べてフィルムの形成性に優れ、基体への追随性にも優れる。さらに、導電性基体配線など)上に選択的に高誘電率フィルムを形成させることができ、フォトリソグラフィー印刷法などに比べて安価で高精度に高誘電率フィルムを作成できる。本発明の高誘電率フィルムは、薄膜で高誘電率であるので、プリント回路基板半導体パッケージコンデンサ高周波用アンテナなどの電子部品などにおいて好適に利用される。本発明のこのような電子部品は、上記高誘電率フィルムを備えることから、小型化、薄膜化することができる。
また、本発明の電着方法により作製された皮膜に、さらにメッキにより金属膜を形成することができ、このようにして得られた電子部品はキャパシター、抵抗、コイルなどに用いることができる。

図面の簡単な説明

0117

図1(A)〜(B)は本発明の原理の一例を示す工程図である。
本発明の原理の他の例を示す工程図である。
本発明の原理の第3の例を示す工程図である。
本発明の原理の第4の例示す工程図である。
棒状あるいは板状の撹拌子を往復運動させ電着槽内部の水性分散液を撹拌する例の構成図である。
ポンプを用いて電着槽内部を循環させ水性分散液を撹拌する例の構成図である。
図7(A)はマグネティックスターラーを使用した撹拌装置の例の構成図であり、図7(B)はマグネティックスターラーを使用した撹拌装置の別の例の構成図である。

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