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技術 ミクログリア細胞の培養方法

出願人 住友ベークライト株式会社
発明者 渡辺芳明
出願日 2004年2月24日 (16年0ヶ月経過) 出願番号 2004-047485
公開日 2005年9月8日 (14年6ヶ月経過) 公開番号 2005-237204
状態 未査定
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード コートポリマー ベークライト製 顆粒細胞マクロファージ ファイバー状 評価実験 中枢組織 容器表面 浮遊状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年9月8日)のものです。
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課題

神経分野の薬理試験毒性試験に用いられるミクログリア細胞を、信頼性高く安定した状態で得られる培養法を提供すること。

解決手段

培養容器中で、細胞増殖因子を添加した培養液を用いてミクログリア細胞を培養する方法であって、培養容器の表面にポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)、又はこれらの混合物を有することを特徴とするミクログリア細胞の培養方法であり、好ましくは細胞増殖因子が、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)、又はこれらの混合物であるミクログリア細胞の培養方法。

概要

背景

ミクログリア細胞は、神経組織に存在し、特に中枢神経系に於いては、主要な生体防御機能を担う細胞である。この防御機能が過剰に、また適切性を欠いて働くことにより、アルツハイマー病などの中枢性神経疾患を悪化させることが知られている。この他にも多くの疾患に関与していることが示されており、神経系疾患病因解明、その治療薬の開発などに於いて重要な細胞となっている。
中枢神経に存在するミクログリア細胞は、障害を受けた際に活性化し数を増すが、通常は、それほど多くは存在しない。そのため、生体外中枢組織を取り出し、これを分散しても充分な細胞数を確保できない。そのため、試験に使う細胞数を確保するために生体外で培養する方法が用いられる。一般的に混合グリア細胞培養系と呼ばれる方法で培養することにより、アストロサイトを主とするグリア細胞の表面に、数を増したミクログリア細胞が認められてくる。

脳などの神経組織を分散し、血清添加培養液を用いて接着性細胞培養容器で培養する。これにより、まず培養容面にアストロサイトを主とするグリア細胞が増殖し単層状になる。この後にミクログリア細胞が増殖、容易に認められる状態になるが、これを採取することによりミクログリア細胞の試験系を作ることが出来る。採取時には培養容器振とうする方法が、よく用いられる。これは単層グリア細胞上に接着しているミクログリア細胞を遊離させるため物理的刺激を加えるもので、より多くの細胞を採取することが出来る。このため一般的に用いられる方法となっているが、細胞へのダメージもあり、必ずしも好適な方法と言い得るものではない。

初回採取後も継続して培養すれば、繰り返し増殖したミクログリア細胞を採取することが出来る。しかしこの方法では採取される細胞数は多いとは言えず、試験に用いる量を確保するためには、広い培養面積、すなわち大きな培養基材、ないしは多くの培養容器を必要とする。

又、ミクログリア細胞増殖活性があると報告されているものには、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)、インターロイキン6(IL6)、トロンビン、など多くのものがある。これらを培養液に添加し、通常の培養容器で培養することにより、その効果は確認される。しかし、充分満足できる効果が常に得られるわけではない。

すなわち、これらを採取し試験に用いようとすると、充分な細胞数が確保できない、細胞の安定培養性が失われている、機能が充分維持されていない、などの現象に直面する。これは細胞を採取するために、トリプシンなどを用いて、細胞を培養基材から遊離させる操作、あるいは物理的な強い刺激により遊離させる操作が原因となり、細胞がダメージを得ているためである。また報告されている因子が、顕著な効果を示さない場合もある。

Brain Research、324巻、379-383ページ、(1984年)
The Journal of Pharmaceutical and ExperimentalTherapeutics、304巻、1-7ページ、(2003年)

概要

神経分野の薬理試験毒性試験に用いられるミクログリア細胞を、信頼性高く安定した状態で得られる培養法を提供すること。培養容器中で、細胞増殖因子を添加した培養液を用いてミクログリア細胞を培養する方法であって、培養容器の表面にポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)、又はこれらの混合物を有することを特徴とするミクログリア細胞の培養方法であり、好ましくは細胞増殖因子が、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、又はこれらの混合物であるミクログリア細胞の培養方法。 なし。

目的

本発明の目的は、神経分野の薬理試験、毒性試験に用いられるミクログリア細胞を安定した培養と信頼性の高い試験が可能な形で得ることが出来る培養法方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

培養容器中で、細胞増殖因子を添加した培養液を用いてミクログリア細胞を培養する方法であって、培養容器の表面にポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)、又はこれらの混合物を有することを特徴とするミクログリア細胞の培養方法

請求項2

細胞増殖因子が、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)、又はこれらの混合物である請求項1記載のミクログリア細胞の培養方法。

技術分野

0001

本発明は、神経組織において免疫機能を担うミクログリア細胞培養方法に関するものである。

背景技術

0002

ミクログリア細胞は、神経組織に存在し、特に中枢神経系に於いては、主要な生体防御機能を担う細胞である。この防御機能が過剰に、また適切性を欠いて働くことにより、アルツハイマー病などの中枢性神経疾患を悪化させることが知られている。この他にも多くの疾患に関与していることが示されており、神経系疾患病因解明、その治療薬の開発などに於いて重要な細胞となっている。
中枢神経に存在するミクログリア細胞は、障害を受けた際に活性化し数を増すが、通常は、それほど多くは存在しない。そのため、生体外中枢組織を取り出し、これを分散しても充分な細胞数を確保できない。そのため、試験に使う細胞数を確保するために生体外で培養する方法が用いられる。一般的に混合グリア細胞培養系と呼ばれる方法で培養することにより、アストロサイトを主とするグリア細胞の表面に、数を増したミクログリア細胞が認められてくる。

0003

脳などの神経組織を分散し、血清添加培養液を用いて接着性細胞培養容器で培養する。これにより、まず培養容面にアストロサイトを主とするグリア細胞が増殖し単層状になる。この後にミクログリア細胞が増殖、容易に認められる状態になるが、これを採取することによりミクログリア細胞の試験系を作ることが出来る。採取時には培養容器振とうする方法が、よく用いられる。これは単層グリア細胞上に接着しているミクログリア細胞を遊離させるため物理的刺激を加えるもので、より多くの細胞を採取することが出来る。このため一般的に用いられる方法となっているが、細胞へのダメージもあり、必ずしも好適な方法と言い得るものではない。

0004

初回採取後も継続して培養すれば、繰り返し増殖したミクログリア細胞を採取することが出来る。しかしこの方法では採取される細胞数は多いとは言えず、試験に用いる量を確保するためには、広い培養面積、すなわち大きな培養基材、ないしは多くの培養容器を必要とする。

0005

又、ミクログリア細胞増殖活性があると報告されているものには、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)、インターロイキン6(IL6)、トロンビン、など多くのものがある。これらを培養液に添加し、通常の培養容器で培養することにより、その効果は確認される。しかし、充分満足できる効果が常に得られるわけではない。

0006

すなわち、これらを採取し試験に用いようとすると、充分な細胞数が確保できない、細胞の安定培養性が失われている、機能が充分維持されていない、などの現象に直面する。これは細胞を採取するために、トリプシンなどを用いて、細胞を培養基材から遊離させる操作、あるいは物理的な強い刺激により遊離させる操作が原因となり、細胞がダメージを得ているためである。また報告されている因子が、顕著な効果を示さない場合もある。

0007

Brain Research、324巻、379-383ページ、(1984年)
The Journal of Pharmaceutical and ExperimentalTherapeutics、304巻、1-7ページ、(2003年)

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の目的は、神経分野の薬理試験毒性試験に用いられるミクログリア細胞を安定した培養と信頼性の高い試験が可能な形で得ることが出来る培養法方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

即ち本発明は、
(1)培養容器中で、細胞増殖因子を添加した培養液を用いてミクログリア細胞を培養する方法であって、培養容器の表面にポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)、又はこれらの混合物を有することを特徴とするミクログリア細胞の培養方法、
(2)細胞増殖因子が、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、又はこれらの混合物である(1)記載のミクログリア細胞の培養方法、
である。

発明の効果

0010

本発明を用いることにより安定したミクログリア細胞の量を確保することができる。これにより、細胞数の確保が障害となり本細胞による評価実験が行なえなかった試験研究者も、充分な細胞数を得ることができ神経系疾患の病因解明やその治療薬開発の加速化が期待される。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明者は、ミクログリア細胞を生体外に取り出した後の分化・増殖、安定性の検討を行った。ミクログリア細胞を分離した条件で、単に増殖因子添加した通常の培養方法では、採取後の細胞数、状態などに問題を認めたが、接着性を抑えた培養容器を用いることで大きな効果を認めた。ここに着目し、さらに種々の培養方法の検討を行った結果、本発明に至ったものである。
本発明において、混合グリア細胞培養系を形成するには、ラットマウスなどの動物胎児ないしは新生児の脳、ないしは末梢神経組織を用いる。ヒト由来とすることも可能である。これを細切、トリプシンなどにより、結合組織を切断し細胞を分離する。これを血清添加培養液で培養することにより、アストロサイトを主要な細胞とする混合グリア細胞培養系が形成される。この状態で培養を継続すると、ミクログリア細胞が顕微鏡観察下、容易に認めることが出来る状態で出現してくる。この期間は使用する組織の量、由来が胎児、新生児、成熟動物などにより異なる。使用する培養液は、血清添加培養液が適するが、さらにミクログリア細胞増殖作用を持つM-CSF、GM-CSFなどの増殖誘導因子を添加してもよい。

0012

増殖してきたミクログリア細胞を採取することにより、評価試験系などの実験系を構成することが出来るが、この混合グリア細胞培養系では浮遊している状態のものと接着しているものが認められる。後者は培養器を軽く振とうすることにより浮遊状態へ変わり、より多くの細胞を採取することが出来る。より長い時間の振とうによっても得られる細胞数は増す。しかし細胞に与えるダメージも大きくなり必ずしも好適な方法ではない。混合グリア細胞培養系の培養を継続すれば、ミクログリア細胞の採取は複数回可能である。

0013

混合グリア細胞培養系を形成する培養容器(混合ミクログリア細胞培養容器)は、特に制限されるものではないが多くのミクログリアを得ようとする場合には培養面積の大きなものを用いる必要がある。また、振とう操作を行い、より多くの細胞を得ようとする場合は容器密閉状態にする必要がある。この点から容易に密閉状態に出来る培養フラスコなどが好適である。培養表面は通常の接着性細胞を培養するための表面状態であればよく、ミクロキャリアーファイバー状のものなど各種の培養基材が使用できる。また、ポリリジンコラーゲンなどをコートし接着性を高めた培養容器、培養基材も使用することが出来る。

0014

採取したミクログリア細胞は、細胞接着性を抑えた培養容器で培養する。通常の表面親水化培養容器や浮遊培養用とされる表面疎水培養容器では、ミクログリアが比較的強く接着してしまい好適ではなく、接着性を抑えた培養表面を持つ培養容器が適する。これらの培養容器としては、ポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−メトキシエチルアクリレート)又はこれらの混合物から構成される培養基材からなる培養容器、ないしはこれらの化合物容器表面にコートした培養容器が好適である。コート法による場合、特に制限されるものではないが、コートポリマー濃度が低すぎる場合では、細胞接着を抑えた表面状態を形成できない場合がある。また、完全にミクログリア細胞が接着しない基材を用いた場合は、細胞が凝集塊となって浮遊し、必ずしも好適なものではない。

0015

ミクログリア細胞の培養液には増殖因子を添加する必要がある。単に血清だけでは良好な培養は行なえず、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、あるいはこれらの混合物が好適である。血清添加条件が好ましいが、無血清の場合でも増殖因子、栄養因子などの配合により培養は可能である。

0016

以下、本発明を実施例にもとづき説明する。
ミクログリア細胞の採取:ラット新生児大脳を定法により切り出し細切し、トリプシン0.25%液(SIGMA製)中で15分間酵素処理した。トリプシンを除き、DME/F-12液に牛胎児血清(10%量)を加えた培養液(いずれもインビトロジェン製)で分散、40μmのメッシュに通した後、遠心分離した。分離した細胞を、再度同じ培養液で分散した。150cm2の培養フラスコ(住友ベークライト製)あたり1胎児分とし、培養液20mlで、炭酸ガスインキュベーター内で培養した。各フラスコは培養液を交換しながら、その後9日間培養。後容器を軽く前後左右に動かし培養液を攪拌、浮遊したミクログリア細胞を採取した。

0017

(実施例1)
ポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)(SIGMA製)を95%エタノール溶液で、4重量%、6重量%、8重量%に調製し、25cm2培養フラスコ(住友ベークライト製)にコートした。上述の採取したミクログリア細胞を、同じ培養液にM-CSF(SIGMA製)を50ng/mL加えた培養液を使用し、前記の培養フラスコ中で3日間培養した。いずれも細胞の増殖は顕微鏡観察され、ピペッティングにより細胞を回収してみると、回収細胞数/播種の値で、各コート培養容器は1.4〜2.0であった。

0018

(比較例1)
95%エタノール溶液のみを、25cm2培養フラスコ(住友ベークライト製)にコートした。上述の採取したミクログリア細胞を、同じ培養液にM-CSF(SIGMA製)を10ng/mL加えた培養液を使用し、前記の培養フラスコ中で3日間培養した。細胞の増殖は顕微鏡観察されたが、ピペッティングにより細胞を回収してみると、回収細胞数/播種の細胞数の値で、0.9であった。

0019

(実施例2)
ポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)(SIGMA製)を95%エタノール溶液で12重量%に調製し、25cm2培養フラスコ(住友ベークライト製)にコートした。上述の採取したミクログリア細胞を、同じ培養液にGM-CSF(SIGMA製)を20ng/mL加えた培養液を使用し、前記の培養フラスコ中で3日間培養した。ピペッティングにより細胞を回収し細胞数をカウントした。回収細胞数/播種の細胞数の値は、1.5であった。

0020

(比較例2)
ポリ(2−ハイドロキシエチルメタクリレート)(SIGMA製)を95%エタノール溶液で12重量%に調製し、25cm2培養フラスコ(住友ベークライト製)にコートした。上述の採取したミクログリア細胞を、同じ培養液にGM-CSF(SIGMA製)を加えない培養液を使用し、前記の培養フラスコ中で3日間培養した。ピペッティングにより細胞を回収し細胞数をカウントした。回収細胞数/播種の細胞数の値は、0.2であった。

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