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技術 機能性材料層形成用組成物、機能性材料層の形成方法、燃料電池の製造方法、電子機器および自動車

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 長谷井宏宣
出願日 2004年2月17日 (16年9ヶ月経過) 出願番号 2004-040074
公開日 2005年9月2日 (15年2ヶ月経過) 公開番号 2005-235435
状態 未査定
技術分野 無消耗性電極 燃料電池(本体)
主要キーワード 機能性材料層 フッ素ガス雰囲気中 白金族元素化合物 非腐蝕性 ポリテトラフルオロエチレン製シート ヘキサクロロ白金酸水溶液 基板組立 強酸性溶液
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図面 (15)

課題

吐出装置を用いて機能性材料層を形成する場合に、長期間、一定品質の機能性材料層を形成することができる機能性材料層形成用組成物、機能性材料層の形成方法、この形成方法を用いる燃料電池の製造方法、並びにこの燃料電池の製造方法により得られた該燃料電池を供給源として備える電子機器及び自動車を提供する。

解決手段

強酸性機能性材料溶液に所定量の塩基を添加することにより、吐出装置の構成部材腐蝕しないものとした機能性材料層形成用組成物、吐出装置を用いて前記組成物基板上に塗布する機能性材料層の形成方法、第1の集電層、第1の反応層電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の第1及び第2の反応層の少なくとも一方を、前記機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布することにより形成する燃料電池の製造方法、得られる燃料電池を電力供給源として備える電子機器及び自動車。

概要

背景

従来、電解質膜とこの電解質膜の一面に配置された電極アノード)、及び電解質膜の他面に形成された電極(カソード)等から構成される燃料電池が存在する。例えば、電解質膜が固体高分子電解質膜である固体高分子電解質型燃料電池では、アノード側では水素水素イオン電子にする反応が行われ、電子がカソード側に流れ、水素イオンはカソード側に電解質膜中を移動し、カソード側では、酸素ガス、水素イオン及び電子から水を生成する反応が行われる。

このような固体電解質型燃料電池においては、各電極は、通常、反応ガス反応触媒である金属微粒子からなる反応層と、反応層の基板側に炭素微粒子からなるガス拡散層と、及びガス拡散層の基板側に導電性物質からなる集電層から形成されてなる。一方の基板において、ガス拡散層を構成する炭素微粒子の隙間を通過して均一に拡散された水素ガスは、反応層において反応して電子と水素イオンとなる。発生した電子は集電層に集められ、他方の基板の集電層に電子が流れる。水素イオンは高分子電解質膜を介して第2の基板の反応層へ移動し、集電層から流れてきた電子及び酸素ガスとから水を生成する反応が行われる。

このような燃料電池において、反応層を形成する方法としては、例えば、(a)触媒担持カーボン高分子電解質溶液有機溶媒に混合して調製した電極触媒層形成用ペースト転写基材ポリテトラフルオロエチレン製シート)に塗布、乾燥し、それを電解質膜に熱圧着し、次いで、転写基材を剥がすことにより電解質膜に触媒層(反応層)を転写する方法(特許文献1)、(b)電極として用いるカーボン層の上に固体触媒担持したカーボン粒子電解質溶液スプレーを用いて塗布し、その後溶媒揮発させることにより作製する方法(特許文献2)が知られている。

しかし、これらの方法はいずれも白金微粒子等の高価な触媒を多量に使用しなければならず、製造コストが高くなり問題であった。そこで、この問題を解決すべく、白金に比較し、低価格で入手できるヘキサクロロ白金酸を触媒として使用する方法が提案されている(特許文献3)。

しかしながら、特許文献3の方法は、ヘキサクロロ白金(IV)酸を電解質膜に接触させ、化学メッキ法で白金を析出させる方法で反応層を形成するものであったため、均一に触媒を塗布することや、所定の位置に所定量の触媒を正確に塗布することができず、一定の出力密度を有する燃料電池を得ることが困難であるという問題があった。

特開平8−88008号公報
特開2002−298860号公報
特開2003−297372号公報

概要

吐出装置を用いて機能性材料層を形成する場合に、長期間、一定品質の機能性材料層を形成することができる機能性材料層形成用組成物、機能性材料層の形成方法、この形成方法を用いる燃料電池の製造方法、並びにこの燃料電池の製造方法により得られた該燃料電池を供給源として備える電子機器及び自動車を提供する。強酸性機能性材料溶液に所定量の塩基を添加することにより、吐出装置の構成部材腐蝕しないものとした機能性材料層形成用組成物、吐出装置を用いて前記組成物を基板上に塗布する機能性材料層の形成方法、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の第1及び第2の反応層の少なくとも一方を、前記機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布することにより形成する燃料電池の製造方法、得られる燃料電池を電力供給源として備える電子機器及び自動車。 なし。

目的

本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、吐出装置を用いて、燃料電池の反応層に代表される機能性材料層を形成する場合に、吐出装置の構成部材を腐蝕することがない機能性材料層形成用組成物を使用することで、長期間、一定品質の機能性材料層を形成することができる機能性材料層形成用組成物、基体上に、吐出装置を用いてこの組成物を塗布する機能性材料層の形成方法、この形成方法を用いる燃料電池の製造方法、並びにこの燃料電池の製造方法により得られた該燃料電池を供給源として備える電子機器及び自動車を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

吐出装置により吐出される機能性材料層形成用組成物であって、強酸性機能性材料溶液に所定量の塩基を添加することにより、前記吐出装置の構成部材腐蝕しないものとしたことを特徴とする非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物。

請求項2

前記強酸性の機能性材料溶液がpH2未満の溶液であり、該溶液に所定量の塩基を添加することによりpH2以上の溶液としたことを特徴とする請求項1に記載の機能性材料層形成用組成物。

請求項3

前記塩基として、アンモニアまたは有機塩基を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性材料層形成用組成物。

請求項4

第1の集電層、第1の反応層電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、前記第1の反応層及び第2の反応層の少なくとも一方の反応層を形成するための反応層形成用組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機能性材料層形成用組成物。

請求項5

白金族化合物強酸性溶液に、所定量の塩基を添加して得られた反応層形成用組成物であることを特徴とする請求項4に記載の機能性材料層形成用組成物。

請求項6

ヘキサクロロ白金酸水溶液に、所定量のアンモニアまたは有機塩基を添加して得られた反応層形成用組成物であることを特徴とする請求項4または5に記載の機能性材料層形成用組成物。

請求項7

前記吐出装置の構成部材が、白金族元素よりイオン化傾向が大きい金属又は該金属の化合物を含有するものであることを特徴とする請求項5または6に記載の機能性材料層形成用組成物。

請求項8

基体上に、請求項1〜7のいずれかに記載の非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布する工程を有する機能性材料層形成方法

請求項9

第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、前記第1の反応層及び第2の反応層の少なくとも一方を、請求項4〜7のいずれかに記載の機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布することにより形成する工程を有する燃料電池の製造方法。

請求項10

請求項9に記載の製造方法により製造された燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする電子機器

請求項11

請求項9に記載の製造方法により製造された燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする自動車

技術分野

0001

本発明は、インクジェット式吐出装置(以下、「吐出装置」という)により吐出される機能性材料層形成用組成物であって、前記吐出装置の構成部材腐蝕しないものとしたことを特徴とする非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物、基体上に、吐出装置を用いてこの組成物を塗布する機能性材料層形成方法、この形成方法を用いる燃料電池の製造方法、並びにこの燃料電池の製造方法により得られた該燃料電池を供給源として備える電子機器及び自動車に関する。

背景技術

0002

従来、電解質膜とこの電解質膜の一面に配置された電極アノード)、及び電解質膜の他面に形成された電極(カソード)等から構成される燃料電池が存在する。例えば、電解質膜が固体高分子電解質膜である固体高分子電解質型燃料電池では、アノード側では水素水素イオン電子にする反応が行われ、電子がカソード側に流れ、水素イオンはカソード側に電解質膜中を移動し、カソード側では、酸素ガス、水素イオン及び電子から水を生成する反応が行われる。

0003

このような固体電解質型燃料電池においては、各電極は、通常、反応ガス反応触媒である金属微粒子からなる反応層と、反応層の基板側に炭素微粒子からなるガス拡散層と、及びガス拡散層の基板側に導電性物質からなる集電層から形成されてなる。一方の基板において、ガス拡散層を構成する炭素微粒子の隙間を通過して均一に拡散された水素ガスは、反応層において反応して電子と水素イオンとなる。発生した電子は集電層に集められ、他方の基板の集電層に電子が流れる。水素イオンは高分子電解質膜を介して第2の基板の反応層へ移動し、集電層から流れてきた電子及び酸素ガスとから水を生成する反応が行われる。

0004

このような燃料電池において、反応層を形成する方法としては、例えば、(a)触媒担持カーボン高分子電解質溶液有機溶媒に混合して調製した電極触媒層形成用ペースト転写基材ポリテトラフルオロエチレン製シート)に塗布、乾燥し、それを電解質膜に熱圧着し、次いで、転写基材を剥がすことにより電解質膜に触媒層(反応層)を転写する方法(特許文献1)、(b)電極として用いるカーボン層の上に固体触媒担持したカーボン粒子電解質溶液スプレーを用いて塗布し、その後溶媒揮発させることにより作製する方法(特許文献2)が知られている。

0005

しかし、これらの方法はいずれも白金微粒子等の高価な触媒を多量に使用しなければならず、製造コストが高くなり問題であった。そこで、この問題を解決すべく、白金に比較し、低価格で入手できるヘキサクロロ白金酸を触媒として使用する方法が提案されている(特許文献3)。

0006

しかしながら、特許文献3の方法は、ヘキサクロロ白金(IV)酸を電解質膜に接触させ、化学メッキ法で白金を析出させる方法で反応層を形成するものであったため、均一に触媒を塗布することや、所定の位置に所定量の触媒を正確に塗布することができず、一定の出力密度を有する燃料電池を得ることが困難であるという問題があった。

0007

特開平8−88008号公報
特開2002−298860号公報
特開2003−297372号公報

発明が解決しようとする課題

0008

ところで、従来から、種々の機能性材料を吐出装置を用いて塗布して、機能性材料の層を形成する技術が知られている。
本発明者らは、この吐出装置を用いて、反応層形成用材料を塗布することにより反応層を形成する方法を案出した。

0009

しかしながら、反応層形成用材料として用いるヘキサクロロ白金(IV)酸の溶液強酸性であるため、吐出装置を用いてこの溶液の吐出を繰り返して反応層を形成した場合、吐出装置のノズルヘッド部分が徐々に腐蝕し、ノズル孔のサイズや形状が不均一となる。そのため、一定量の反応層形成用材料を塗布することが困難となり、触媒が均一に分散した反応層を形成することができないという新たな問題が生じた。

0010

本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、吐出装置を用いて、燃料電池の反応層に代表される機能性材料層を形成する場合に、吐出装置の構成部材を腐蝕することがない機能性材料層形成用組成物を使用することで、長期間、一定品質の機能性材料層を形成することができる機能性材料層形成用組成物、基体上に、吐出装置を用いてこの組成物を塗布する機能性材料層の形成方法、この形成方法を用いる燃料電池の製造方法、並びにこの燃料電池の製造方法により得られた該燃料電池を供給源として備える電子機器及び自動車を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、吐出装置を使用して反応層形成用材料を塗布することにより反応層を形成する燃料電池の製造方法において、吐出装置の構成部材を腐蝕しない反応層形成用材料を用いることにより、一定の高品質な反応層を有する燃料電池を量産することができることを見出した。そして、この知見を一般化することで本発明を完成するに到った。

0012

かくして本発明の第1によれば、吐出装置により吐出される機能性材料層形成用組成物であって、強酸性の機能性材料の溶液に所定量の塩基を添加することにより、前記吐出装置の構成部材を腐蝕しないものとしたことを特徴とする非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物が提供される。

0013

本発明の機能性材料層形成用組成物においては、前記強酸性の機能性材料溶液がpH2未満の溶液であり、該溶液に所定量の塩基を添加することによりpH2以上の溶液としたものが好ましい。
本発明の機能性材料層形成用組成物においては、前記塩基として、アンモニアまたは有機塩基を用いるのが好ましい。

0014

本発明の機能性材料層形成用組成物においては、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、前記第1の反応層及び第2の反応層の少なくとも一方の反応層を形成するための反応層形成用組成物であるのが好ましく、白金族元素化合物強酸性溶液に、所定量の塩基を添加して得られた反応層形成用組成物であるのがより好ましく、ヘキサクロロ白金酸水溶液に、所定量のアンモニアまたは有機塩基を添加して得られた反応層形成用組成物であるのがさらに好ましい。

0015

本発明の機能性材料層形成用組成物においては、前記吐出装置の構成部材が、白金族元素よりイオン化傾向が大きい金属又は該金属の化合物を含有するものであるのが好ましい。

0016

本発明の機能性材料層形成用組成物は、吐出装置の構成部材を腐蝕しないものであるので、吐出装置を長期間にわたって繰り返し使用した場合であっても、一定品質の機能性材料層を量産することができる。

0017

本発明の第2によれば、基体上に、本発明の非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布する工程を有する機能性材料層の形成方法が提供される。
本発明の機能性材料層の形成方法によれば、吐出装置の構成部材を腐蝕しない機能性材料層形成用組成物を用いるので、吐出装置を長期間にわたって繰り返し使用した場合であっても、一定品質の機能性材料層を量産することができる。

0018

本発明の第3によれば、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、前記第1の反応層及び第2の反応層の少なくとも一方を、本発明の機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布することにより形成する工程を有する燃料電池の製造方法が提供される。

0019

本発明の燃料電池の製造方法によれば、吐出装置の構成部材を腐蝕しない機能性材料形成用組成物を用いるので、吐出装置を長期間にわたって繰り返し使用した場合であっても、均一な品質を有する反応層を効率よく形成することができる。したがって、本発明の燃料電池の製造方法によれば、出力密度が一定の高品質な燃料電池を低コストで量産することができる。

0020

本発明の第4によれば、本発明の製造方法により製造された燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする電子機器が提供される。
本発明によれば、地球環境に優しいクリーンエネルギーを電力供給源として備える電子機器を提供することができる。

0021

本発明の第5によれば、本発明の製造方法により製造された燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする自動車が提供される。
本発明によれば、地球環境に優しいクリーンエネルギーを電力供給源として備える自動車を提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

0022

以下、本発明を、1)機能性材料層形成用組成物、2)機能性材料層の形成方法、3)燃料電池の製造方法、4)電子機器及び5)自動車に項分けして説明する。

0023

1)機能性材料層形成用組成物
本発明の機能性材料層形成用組成物は、吐出装置により吐出される非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物であって、強酸性の機能性材料の溶液に所定量の塩基を添加することにより、前記吐出装置の構成部材を腐蝕しないものとしたことを特徴とする。

0024

本発明の機能性材料層形成用組成物に用いる機能性材料としては、強酸性であって、吐出装置の構成部材と接触することで該構成部材を腐蝕するおそれのあるものであれば、特に制限されない。例えば、燃料電池の反応層形成用材料や、有機エレクトロルミネッセンス素子発光層形成用材料等が挙げられる。なかでも、燃料電池の反応層の形成用材料がより好ましく、pH2未満の白金族元素化合物の強酸性の溶液が特に好ましい。

0025

白金族元素化合物としては、例えば、白金、ロジウムパラジウムルテニウムオスミウムイリジウム等及び、これらの2種以上からなる合金からなる群より選ばれる、1種若しくは2種以上の金属の化合物が挙げられる。これらのうち、ヘキサクロロ白金(IV)酸が特に好ましい。

0026

白金族元素化合物の強酸性溶液に用いる溶媒としては、特に制限はないが、水;メタノールエタノールプロパノールブタノール等のアルコール類;n−ヘプタンn−オクタンデカントルエンキシレンシメンデュレンインデンジペンテンテトラヒドロナフタレンデカヒドロナフタレンシクロキシルベンゼン等の炭化水素系化合物エチレングリコールジメチルエーテルエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテルジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2ジメトキシエタンビス(2−メトキシエチルエーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、水または水と他の有機溶媒からなる混合溶媒が好ましい。

0027

白金族元素化合物の溶液濃度は特に制限されず、この溶液の吐出に好適な粘度及び表面張力を満たす濃度であればよいが、1重量%以上かつ20重量%以下が好ましい。

0028

白金族元素化合物の溶液の粘度は特に制限されないが、1mPa・s以上かつ50mPa・s以下であることが好ましい。吐出装置を使用して吐出する際に、粘度が1mPa・sより小さいと、ノズル孔の周辺部が反応層形成用材料の流出により汚染されやすく、また、粘度が50mPa・sより大きいと、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり、円滑な液滴の吐出が困難となる。

0029

白金族元素化合物の溶液の表面張力は特に制限されないが、2mN/m以上かつ75mN/m以下の範囲に入ることが好ましい。吐出装置を用いて液体を吐出する際、表面張力が2mN/m未満であると、この反応層形成用材料のノズル面に対するぬれ性が増大するため、飛行曲がりが生じ易くなる。その一方、75mN/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため、吐出量吐出タイミングの制御が困難になる。

0030

本発明の機能性材料層形成用組成物は、強酸性の機能性材料の溶液に所定量の塩基を添加することにより、前記吐出装置の構成部材を腐蝕しないものとしたものである。

0032

メチルアミンエチルアミンn−プロピルアミンアニリン等の1級アミンジメチルアミンジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン;トリメチルアミントリエチルアミントリ−n−プロピルアミン等の3級アミン;ピリジン等の含窒素複素環化合物;等の有機塩基が挙げられる。
これらの中でも、後処理、取り扱い及びコストの点から、アンモニアまたは有機塩基の使用が好ましい。

0033

塩基の添加量は、強酸性の機能性材料の溶液に塩基を添加することにより、吐出装置の構成部材を腐蝕しない機能性材料層形成用組成物が得られるような量、より具体的には、pHが2未満の強酸性の機能性材料の溶液に塩基を添加して、pH2以上の機能性材料層形成用組成物が得られる量であれば、特に制限されない。

0034

機能性材料の溶液に塩基を添加する方法に特に制限はない。例えば、機能性材料の溶液に、攪拌下で塩基の水溶液を添加する方法、機能性材料の溶液に気体状の塩基を吹き込む方法、機能性材料の溶液に、固体状の塩基を添加する方法等が挙げられる。これらの中でも、操作性等の観点から、機能性材料の溶液に、攪拌下で塩基の水溶液を添加する方法が好ましい。

0035

本発明の対象とする吐出装置としては、インクジェット方式の吐出装置であれば特に制限されない。例えば、加熱発泡により気泡を発生し、液滴の吐出を行うサーマル方式の吐出装置、ピエゾ素子を利用する圧縮により、液滴の吐出を行うピエゾ方式の吐出装置等が挙げられる。

0036

本発明の対象とする吐出装置の一例を図1に示す。吐出装置20aは、吐出物34を収容するタンク30と、タンク30と吐出物搬送管32を介して接続されたインクジェットヘッド22、被吐出物を搭載、搬送するテーブル28、インクジェットヘッド22内に滞留する余剰の吐出物34を吸引して、インクジェットヘッド22内から過剰の吐出物を除去する吸引キャップ40、及び吸引キャップ40で吸引された余剰の吐出物を収容する廃液タンク48から構成されている。

0037

タンク30は、本発明の機能性材料層形成用組成物等の吐出物34を収容するものであり、タンク30内に収容されている吐出物の液面34aの高さを制御するための液面制御センサ36を備える。液面制御センサ36は、インクジェットヘット22が備えるノズル形成面26の先端部26aと、タンク30内の液面34aとの高さの差h(以下、水頭値という)を所定の範囲内に保つ制御を行う。例えば、この水頭値が25m±0.5mm内となるように液面34aの高さを制御することで、タンク30内の吐出物34を所定の範囲内の圧力でインクジェットヘッド22に送ることができる。所定の範囲内の圧力で吐出物34を送ることで、インクジェットヘッド22から必要量の吐出物34を安定して吐出することができる。

0038

吐出物搬送管32は、吐出物搬送管32の流路内の帯電を防止するための吐出物流路部アース継手32aとヘッド部気泡排気弁32bとを備える。ヘッド部気泡排除弁32bは、後述する吸引キャップ40により、インクジェットヘッド22内の吐出物を吸引する場合に用いられる。

0039

インクジェットヘッド22は、ヘッド体24及び吐出物を吐出する多数のノズルが形成されているノズル形成面26を備え、ノズル形成面26のノズルから吐出物、例えば、反応ガスを供するためのガス流路を基板上に形成する際に基板に塗布される機能性材料層形成用組成物等が吐出される。

0040

テーブル28は、所定の方向に移動可能に設置されている。テーブル28は、図中矢印で示す方向に移動することにより、ベルトコンベアBC1により搬送される基板を載置して、吐出装置20a内に取り込む。

0041

吸引キャップ40は、図1に示す矢印方向に移動可能となっており、ノズル形成面26に形成された複数のノズルを囲むようにノズル形成面26に密着し、ノズル形成面26との間に密閉空間を形成してノズルを外気から遮断できる構成となっている。即ち、吸引キャップ40によりインクジェットヘッド22内の吐出物を吸引するときは、このヘッド部気泡排除弁32bを閉状態にして、タンク30側から吐出物が流入しない状態とし、吸引キャップ40で吸引することにより、吸引される吐出物の流速を上昇させ、インクジェットヘッド22内の気泡を速やかに排出することができる。

0042

吸引キャップ40の下方には流路が設けられており、この流路には、吸引バルブ42が配置されている。吸引バルブ42は、吸引バルブ42の下方の吸引側と、上方のインクジェットヘッド22側との圧力バランス大気圧)を取るための時間を短縮する目的で流路を閉状態にする役割を果す。この流路には、吸引異常を検出する吸引圧検出センサ44やチューブポンプ等からなる吸引ポンプ46が配置されている。また、吸引ポンプ46で吸引、搬送された吐出物34は、廃液タンク48内に一時的に収容される。

0043

本発明が対象とする吐出装置は、好ましくは、その構成部材が、本発明の機能性材料層形成用組成物に含まれる白金族元素化合物の、白金族元素よりイオン化傾向が大きい金属又は該金属の化合物を含有するものである。例えば、インクジェットヘッドの表面は、ポリテトラフルオロエチレンと、白金族元素よりイオン化傾向が大きいニッケルまたはニッケルの化合物の混合物から形成されている。

0044

本発明の機能性材料層形成用組成物は、機能性材料の溶液に塩基を加えることで調製することができるが、機能性材料の溶液に塩基を加える操作は、吐出装置の吐出ノズルから機能性材料層形成用組成物を吐出する前であれば、どの工程でも行うことができる。例えば、吐出物搬送管32で反応層形成用材料を吸い上げる前にタンク30中で行うことができるし、あるいは、吐出物搬送管32の途中にpHを調整するためのタンクを設けてそのタンク中で行うこともできる。

0045

本発明の機能性材料層形成用組成物は、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、前記第1の反応層及び第2の反応層の少なくとも一方の反応層を形成するための反応層形成用組成物であるのが好ましい。この場合においては、白金族元素化合物の強酸性溶液に、所定量の塩基を添加して得られたものであるのが好ましく、ヘキサクロロ白金酸水溶液に、所定量のアンモニアまたは有機塩基を添加して得られるものであるのがより好ましい。また、前記吐出装置の構成部材が、白金族元素よりイオン化傾向が大きい金属又は該金属の化合物を含有するものであるのが好ましい。

0046

本発明の機能性材料層形成用組成物は、吐出装置の構成部材と接触しても構成部材を腐蝕しないものであるので、一定品質の機能性材料を長期間にわたって量産することが可能となる。

0047

2)機能性材料層の形成方法
本発明の第2は、基体上に、本発明の非腐蝕性の機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布する工程を有する機能性材料層の形成方法である。

0048

基体としては、機能性材料層を担持することができるものであれば特に制限されない。本発明の方法により得られる機能性材料層が、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、第1または第2の反応層である場合には、第1の集電層または電解質膜が基体となる。

0049

本発明の機能性材料層の形成方法によれば、吐出装置の構成部材と接触しても構成部材を腐蝕しない機能性材料層形成用組成物を用いるので、均一な品質を有する機能性材料層を、長期間にわたって効率よく量産することができる。

0050

3)燃料電池の製造方法
本発明の第3は、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を有する燃料電池の、前記第1の反応層及び第2の反応層の少なくとも一方を、本発明の機能性材料層形成用組成物を、吐出装置を用いて塗布することにより形成する工程を有する燃料電池の製造方法である。

0051

本発明の燃料電池の製造方法は、図2に示す燃料電池の製造装置(燃料電池製造ライン)を使用して実施することができる。図2に示す燃料電池製造ラインにおいては、各工程においてそれぞれ用いられる吐出装置20a〜20m、吐出装置20a〜20kを接続するベルトコンベアBC1、吐出装置20l、20mを接続するベルトコンベアBC2、ベルトコンベアBC1、BC2を駆動させる駆動装置58、燃料電池の組み立てを行う組立装置60及び燃料電池製造ライン全体の制御を行う制御装置56により構成されている。

0052

吐出装置20a〜20kは、ベルトコンベアBC1に沿って所定の間隔で一列に配置されており、吐出装置20l、20mはベルトコンベアBC2に沿って所定の間隔で一列に配置されている。また、制御装置56は、吐出装置20a〜20k、駆動装置58及び組立装置60と接続されている。

0053

この燃料電池製造ラインにおいては、駆動装置58により駆動されたベルトコンベアBC1を駆動させ、燃料電池の基板(以下、単に「基板」という。)を各吐出装置20a〜20kに搬送して各吐出装置20a〜20kにおける処置が行われる。同様に、制御装置56からの信号に基づいてベルトコンベアBC2を駆動させ、基板を吐出装置29l、20mに搬送して、吐出装置20l、20mにおける処理が行われる。また組立装置60においては、制御装置56からの制御信号に基づいてベルトコンベアBC1及びBC2によって搬送されてきた基板を用いて燃料電池の組立作業が行われる。

0054

本実施形態では、吐出装置20aとして、図1に示すものを用いる。また、吐出装置20b〜20mは、吐出物34の種類が異なることを除き、吐出装置20aと同様の構成のものである。したがって、以下においては、各吐出装置の同一構成については同一の符号を用いる。

0055

次に、図2に示す燃料電池製造ラインを用いて、燃料電池を製造する各工程を説明する。図2に示す燃料電池製造ラインを用いる燃料電池の製造方法のフローチャート図3に示す。

0056

図3に示すように、本実施形態に係る燃料電池は、第1の基板にガス流路を形成する工程(S10,第1のガス流路形成工程)、ガス流路内に第1の支持部材を塗布する工程(S11,第1の支持部材塗布工程)、第1の集電層を形成する工程(S12,第1の集電層形成工程)、第1のガス拡散層を形成する工程(S13,第1のガス拡散層形成工程)、第1の反応層形成工程(S14,第1の反応層形成工程)、電解質膜を形成する工程(S15,電解質膜形成工程)、第2の反応層を形成する工程(S16,第2の反応層形成工程)、第2のガス拡散層を形成する工程(S17,第2のガス拡散層形成工程)、第2の集電層を形成する工程(S18,第2の集電層形成工程)、第2の支持部材を第2のガス流路内に塗布する工程(S19,第2の支持部材塗布工程)、及び第2のガス流路が形成された第2の基板を積層する工程(S20,組立工程)により製造される。

0057

第1のガス流路形成工程(S10)
まず、図4(a)に示すように、矩形状の第1の基板2を用意し、基板2をベルトコンベアBC1により吐出装置20aまで搬送する。基板2としては特に制限されず、シリコン基板等の通常の燃料電池に用いられるものを使用できる。本実施形態では、シリコン基板を用いている。

0058

ベルトコンベアBC1により搬送された基板2は、吐出装置20aのテーブル28上に載置され、吐出装置20a内に取りこまれる。吐出装置20a内においては、吐出装置20aのタンク30内に収容されているレジスト液が、ノズル形成面26のノズルを介してテーブル28に搭載された基板2上の所定位置に塗布され、基板2の表面にレジストパターン(図中、斜線部分)が形成される。レジストパターンは、図4(b)に示すように、基板2表面の第1の反応ガスを供給するための第1のガス流路を形成する部分以外の部分に形成される。

0059

所定の位置にレジストパターンが形成された基板2は、ベルトコンベアBC1により吐出装置20bに搬送され、吐出装置20bのテーブル28上に載置され、吐出装置20b内に取りこまれる。吐出装置20b内においては、タンク30内に収容されているフッ化水素酸水溶液等のエッチング液が、ノズル形成面26のノズルを介して基板2表面に塗布される。エッチング液により、レジストパターンが形成されている部分以外の基板2表面部がエッチングされて、図5(a)に示すように、基板2の一方の側面から他方の側面に延びる断面コ字形状の第1のガス流路が形成される。また、図5(b)に示すように、ガス流路が形成された基板2は、図示しない洗浄装置によって表面が洗浄され、レジストパターンが除去される。次いで、ガス流路が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20cまで搬送される。

0060

第1の支持部材塗布工程(S11)
次に、第1にガス流路が形成された基板2上に、第1の集電層を支持するための第1の支持部材をガス流路内に塗布する。第1の支持部材の塗布は、基板2をテーブル28に載置して吐出装置20c内に取り込み、次いで、吐出装置20cにより、タンク30内に収容されている第1の支持部材4をノズル形成面26のノズルを介して、基板2に形成されている第1のガス流路内に吐出することにより行われる。

0061

用いる第1の支持部材としては、第1の反応ガスに対して不活性であり、第1の集電層が第1のガス流路に落下するのを防止し、かつ、第1の反応層へ第1の反応ガスが拡散するのを妨げないものであれば特に制限されない。例えば、炭素粒子ガラス粒子等が挙げられる。本実施形態では、直径1〜5ミクロン程度の粒子径多孔質カーボンを使用している。所定の粒径をもつ多孔質カーボンを支持部材として使用することにより、ガス流路を介して供給される反応ガスが多孔質カーボンの隙間から上へ拡散するため、反応ガスの流れが妨げられることがなくなる。

0062

第1の支持部材4が塗布された基板2の端面図図6に示す。第1の支持部材4が塗布された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20dまで搬送される。

0063

第1の集電層形成工程(S12)
次に、基板2上に、第1の反応ガスが反応することにより発生した電子を集めるための第1の集電層を形成する。まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20dまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20d内に取りこむ。吐出装置20dにおいては、タンク30内に収容されている集電層形成用材料の一定量を、ノズルの形成面26のノズルを介して基板2上に吐出することにより、所定のパターンを有する第1の集電層が形成される。

0064

用いる集電層形成用材料としては、導電性物質を含む材料であれば特に制限されない。導電性物質としては、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウム等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。集電層形成用材料は、これらの導電性物質の少なくとも1種を適当な溶媒に分散させ、所望により分散剤を添加して調製することができる。

0065

本実施形態では、集電層形成用材料の塗布を吐出装置20dを用いて行っているので、簡便な操作により、所定量を所定の位置に正確に塗布することができる。したがって、集電層形成用材料の使用量を大幅に節約でき、所望のパターン(形状)の集電層を効率よく形成することができる。

0066

第1の集電層6が形成された基板2の端面図を図7に示す。図7に示すように、第1の集電層6は、基板2に形成されている第1のガス流路内の第1の支持部材4により支持され、第1のガス流路内に落下しないようになっている。第1の集電層6が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20eまで搬送される。

0067

第1のガス拡散層形成工程(S13)
次に、基板2の集電層上に第1のガス拡散層を形成する。まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20eまで搬送された基板2をテーブル28上に載置して、吐出装置20e内に取りこむ。吐出装置20e内においては、吐出装置20eのタンク30内に収容されているガス拡散層形成用材料を、ノズル形成面26のノズルを介してテーブル28に載置されている基板2表面の所定位置に吐出して、第1のガス拡散層が形成される。

0068

用いるガス拡散層形成用材料としては、炭素微粒子が一般的であるが、カーボンナノチューブカーボンナノフォーンフラーレン等も使用できる。また、ガス拡散層の基板側は炭素微粒子を用い、表面側は、ガス拡散能力は低いが触媒担持能力に優れる材料を用いることもできる。

0069

第1のガス拡散層8が形成された基板2の端面図を図8に示す。図8に示すように、第1のガス拡散層8は、基板2に形成されている第1の集電層を覆うように基板2の全面に形成されている。第1のガス拡散層8が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20fまで搬送される。

0070

第1の反応層形成工程(S14)
次に、基板2上に第1の反応層を形成する。第1の反応層は、第1の集電層とガス拡散層8を介して電気的に接続されるように形成する。
まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20fまで搬送された基板2をテーブル28上に載置して、吐出装置20f内に取りこむ。次に、吐出装置20fのタンク30内に収容されている反応層形成用組成物の所定量が、基板2表面上の第1の反応層形成部位に吐出され、反応層形成用組成物の塗膜が形成される。次いで、得られた塗膜を不活性雰囲気中で焼成することにより反応層が形成される。

0071

用いる反応層形成用組成物は、吐出装置の構成部材と接触したときに、用いた構成部材が腐蝕するのを防ぐために、pH2未満の強酸性の白金族元素化合物の溶液又は分散液に所定の塩基を添加して、pH2以上の白金族元素化合物の溶液又は分散液としたものである。
反応層形成用組成物は、前記機能性材料層形成用組成物の項で説明したものと同様にして調製することができる。

0072

吐出装置20fにより、反応層形成用材料を塗布して反応層形成用材料の塗膜を形成した後は、触媒としての十分な活性を発現させるために、不活性ガス雰囲気下で、焼成を行う。焼成を行うことにより、第1の反応層10を得ることができる。

0073

反応層形成用材料の塗膜を焼成する方法としては、前記塗膜を、不活性ガス雰囲気下、常圧で加熱することにより不要分を除去する方法、減圧下で加熱することにより不要分を除去する方法等が挙げられるが、後者の方法が好ましい。加熱温度は低いほど好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。また、不要分を除去する処理はなるべく短い時間で行うのが好ましい。長時間、高温で不要分を除去する場合には、吐出装置により作製した白金族元素化合物の均一な分散状態破壊され、触媒金属が均一に分散した反応層を形成することができないからである。

0074

以上のようにして、第1の反応層10が形成された基板2の端面図を図9に示す。第1の反応層10が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20gまで搬送される

0075

電解質膜形成工程(S15)
次に、第1の反応層10が形成された基板2上に電解質膜を形成する。まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20gまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20g内に送りこむ。吐出装置20gにおいては、タンク30内に収容されている電解質膜の形成材料をノズル形成面26のノズルを介して第1の反応層10上に吐出して電解質膜12が形成される。

0076

用いる電解質膜の形成材料としては、例えば、ナフィオンデュポン社製)等のパーフルオロスルホン酸を水とメタノールの重量比が1:1の混合溶液中でミセル化して得られる高分子電解質材料や、タングスト燐酸、モリブ燐酸等のセラミックス系固体電解質を所定の粘度(例えば、20cP以下)に調整した材料等が挙げられる。

0077

電解質膜が形成された基板2の端面図を図10に示す。図10に示すように、第1の反応層10上に所定の厚さを有する電解質膜12が形成されている。電解質膜12が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20hまで搬送される。

0078

第2の反応層形成工程(S16)
次に、電解質膜12が形成された基板2上に第2の反応層を形成する。第2の反応層は、ガス流路及びガス拡散層が形成された基板上に、不活性ガスを前記ガス流路中を流しながら、反応層形成用材料を塗布して形成する。

0079

まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20hまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20h内に取りこむ。吐出装置20hにおいては、吐出装置20fにおいて行われた処理と同様の処理により、第2の反応層10’が形成される。第2の反応層10’を形成する材料としては、第1の反応層と同様のものを使用することができる。

0080

電解質膜12上に第2の反応層10’が形成された基板2の端面図を図11に示す。図11に示すように、電解質膜12上に第2の反応層10’が形成されている。第2の反応層10’においては、第2の反応ガスの反応が行われる。第2の反応層10’が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20iまで搬送される。

0081

第2のガス拡散層形成工程(S17)
次に、第2の反応層10’が形成された基板2上に第2のガス拡散層を形成する。まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20iまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20i内に取りこむ。吐出装置20iにおいては、吐出装置20eにおいて行われた処理と同様の処理により、第2のガス拡散層8’が形成される。第2のガス拡散層形成用材料としては、第1のガス拡散層8と同様のものが使用できる。第2の反応層10’上に第2のガス拡散層8’が形成された基板2の端面図を図12に示す。第2のガス拡散層8’が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20jまで搬送される。

0082

第2の集電層形成工程(S18)
次に、第2のガス拡散層8’が形成された基板2上に第2の集電層を形成する。まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20jまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20j内に取り込み、吐出装置20dにおいて行われた処理と同様の処理により、第2の集電層6’が第2のガス拡散層8’上に形成される。第2の集電層形成用材料としては、第1の集電層形成用材料と同様のものが使用できる。第2の集電層6’が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へ移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20kまで搬送される。

0083

第2の支持部材塗布工程(S19)
次に、ベルトコンベアBC1により吐出装置20kまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20k内に送りこみ、吐出装置20cにおいて行われた処理と同様処理により、第2の支持部材が塗布される。第2の支持部材としては、第1の支持部材と同様のものが使用できる。

0084

第2の集電層6’及び第2の支持部材4’が塗布された基板2の端面図を図13に示す。第2の支持部材4’は、第2の集電層8’上に形成され,基板2上に積層する第2の基板に形成されている第2のガス流路内に収容される位置に塗布されている。

0085

第2の基板組立工程(S20)
次に、第2の支持部材4’が塗布された基盤2と、別途用意した第2のガス流路が形成された第2の基板とを積層する。基板2(第1の基板)と第2の基板との積層は、基板2上に形成された第2の支持部材4’が、第2の基板に形成された第2のガス流路内に収容されるように接合することにより行われる。ここで、第2の基板としては、第1の基板と同じものを使用できる。また、第2のガス流路形成は、吐出装置20l及び20mにおいて、吐出装置20a及び20bにより行われる処理と同様の処理により行われる。

0086

以上のようにして、図14に示す構造の燃料電池を製造することができる。図14に示す燃料電池は、図中、下側から、第1の基板2と、第1の基板2に形成された第1のガス流路3と、第1のガス流路3内に収容された第1の支持部材4と、第1の基板2及び第1の支持部材4上に形成された第1の集電層6と、第1のガス拡散層8と、第1のガス拡散層8上に形成された第1の反応層10と、電解質膜12と、第2の反応層10’と、第2のガス拡散層8’と第2の集電層6’と第2のガス流路3’と、第2のガス流路3’内に収容された第2の支持部材4’と、第2の基板2’とから構成されている。また、図14に示す燃料電池においては、基板2に形成されている一方の側面から他方の側面へと延びるコ字状の第1のガス流路と基板2’に形成されている第2のガス流路とが平行になるように基板2’が配置されている。

0087

本実施形態により製造される燃料電池の種類は特に制約されない。例えば、高分子電解質型燃料電池リン酸型燃料電池、ダイレクトメタノールタイプの燃料電池等が挙げられる。

0088

本実施形態により製造される燃料電池は、次のように動作する。すなわち、第1の基板2の第1のガス流路3から第1の反応ガスが導入され、ガス拡散層8により均一に拡散され、拡散された第1の反応ガスが第1の反応層10で反応してイオンと電子が生じ、生じた電子は集電層8で集められ、第2の基板2’の第2の集電層6’に流れ、第1の反応ガスにより生じたイオンは電解質膜12の中を第2の反応層8’へ移動する。一方、第2の基板2’のガス流路3’から第2の反応ガスが導入され、第2のガス拡散層8’により均一に拡散され、拡散された第2の反応ガスが第2の反応層10’において、電解質膜12中を移動してきたイオン及び第2の集電層6’から送りこまれた電子と反応する。例えば、第1の反応ガスが水素ガスであり、第2の反応ガスが酸素ガスである場合には、第1の反応層10においては、H2→2H++2e−の反応が進行し、第2の反応層10’においては1/2O2+2H++2e−→H2Oの反応が進行する。

0089

上述した実施形態に係る燃料電池の製造方法においては、全ての工程において吐出装置を用いているが、吐出装置を用いて反応層形成用材料を塗布して、第1の反応層及び/又は第2の反応層を形成し、その他の工程においては従来と同様の工程により燃料電池を製造するようにしてもよい。この場合であっても、MEMS(Micro Electro Mechanical System)を用いることなく反応層を形成できるため、燃料電池の製造コストを低く抑えることができる。

0090

上述の実施形態の製造方法においては、基板上にレジストパターンを形成し、フッ化水素酸水溶液を塗布してエッチングを行うことによりガス流路を形成しているが、レジストパターンを形成することなくガス流路を形成することもできる。また、フッ素ガス雰囲気中に基板を載置し、基板上の所定の位置に水を吐出することによりガス流路を形成するようにしてもよい。また、基板上にガス流路形成用材料を吐出装置を用いて塗布してガス流路を形成してもよい。

0091

上述の実施形態の製造方法においては、第1の反応ガスが供給される第1の基板側から燃料電池の構成部分を形成し、最後に第2の基板を積層することで燃料電池の製造を行っているが、第2の反応ガスが供給される側の基板から燃料電池の製造を開始するようにしてもよい。

0092

上述の実施形態の製造方法においては、第2の支持部材を第1の基盤に形成されている第1のガス流路に沿って塗布しているが、第1のガス流路と交差するような方向に塗布してもよい。即ち、第2の支持部材を、例えば、第1の基板に形成されているガス流路と直角に交差するように、例えば、図5(b)において図中右側面から左側面へと延びる方向に塗布するようにしてもよい。この場合には、第2の基板に形成されている第2のガス流路と、第1の基板に形成されている第1のガス流路とが、直角に交差するように第2の基板が配置された構造の燃料電池が得られる。

0093

上述の実施形態の製造方法においては、第1のガス流路が形成された第1の基板上に、第1の集電層、第1の反応層、電解質膜、第2の反応層及び第2の集電層を順次形成しているが、第1の基板と第2の基板のそれぞれに集電層、反応層及び電解質膜を形成し、最後に第1の基板と第2の基板とを接合することにより、燃料電池を製造することもできる。

0094

本実施形態の燃料電池製造ラインにおいては、第1の基板に処理を施す第1製造ラインと第2の基板に処理を施す第2製造ラインとを設け、それぞれの製造ラインにおける処理を平行して行う製造ラインを用いる。そのため、第1の基板への処理と第2の基板への処理を平行して行うことができるため、迅速に燃料電池を製造することができる。

0095

また、本発明の製造方法によれば、複数の燃料電池を積層することによって大型の燃料電池を製造することもできる。すなわち、図15に示すように、製造した燃料電池の基板2’の裏面に更にガス流路を形成し,ガス流路が形成された基板2’の裏面上に、上述の燃料電池の製造方法における製造工程と同様にしてガス拡散層、反応層、電解質などを形成して燃料電池を積層することによって大型の燃料電池を製造することができる。このようにして得られる大型の燃料電池は、後述するように自動車の電力供給源として有用である。

0096

4)電子機器
本発明の電子機器は、本発明の燃料電池の製造方法により得られる燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする。電子機器としては、携帯電話、PHS、モバイルノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機などが挙げられる。また、本発明の電子機器は、例えば、ゲーム機能データ通信機能録音再生機能辞書機能などの他の機能を有していてもよい。
本発明によれば、地球環境に優しいクリーンエネルギーを電力供給源として備える電子機器を低コストかつ高品質で提供することができる。

0097

5)自動車
本発明の自動車は、本発明の燃料電池の製造方法により得られる燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする。
本発明によれば、地球環境に優しいクリーンエネルギーを電力供給源として備える自動車を低コストかつ高品質で提供することができる。

図面の簡単な説明

0098

実施の形態に係るインクジェット式吐出装置の概略図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造ラインの一例を示す図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造方法のフローチャートである。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係るガス流路を形成する処理を説明する図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の製造過程の基板の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池の端面図である。
実施の形態に係る燃料電池を積層した大型燃料電池の図である。

符号の説明

0099

2・・・第1の基板、2’・・・第2の基板、3・・・第1のガス流路、4・・・第1の支持部材、4’・・・第2の支持部材、6・・・第1の集電層、6’・・・第2の集電層、8・・・第1のガス拡散層、8’・・・第2のガス拡散層、10・・・第1の反応層、10’・・・第2の反応層、12・・・電解質膜、20a〜20m・・・吐出装置、BC1,2・・・ベルトコンベア

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