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技術 キトサン分解物の製造方法及び製造装置

出願人 ヤヱガキ醗酵技研株式会社
発明者 向高祐邦佐藤誠吾市川創作明媚黒岩崇山下和彦
出願日 2004年2月23日 (17年3ヶ月経過) 出願番号 2004-046430
公開日 2005年9月2日 (15年9ヶ月経過) 公開番号 2005-229962
状態 拒絶査定
技術分野 微生物・酵素関連装置 微生物による化合物の製造
主要キーワード 補強腕 装着枚数 円盤状支持体 円盤状金属板 離反距離 複数多段 スクリュウ状 キトサン量
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重要な関連分野

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図面 (8)

課題

高効率で高生産が可能な5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を生成することができるキトサン分解物の製造方法及び製造装置を提供することである。

解決手段

円盤金網寒天被覆酵素固定化したディスク型担体とし、該担体複数多段状に装着する攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させてキトサン溶液攪拌する構成の装置とし、キトサン溶液を攪拌しながら新たなキトサンを添加することで基質濃度を高くした高濃度キトサン溶液を生成すると共に、攪拌される高濃度キトサン溶液を、前記酵素が固定化された担体を備えるリアクターにより酵素分解する方法とした。

概要

背景

キチンキトサンは地球上でセルロースに次いで豊富に存在する天然物資源であり、分子量10万〜200万の高分子化合物である。工業的にはカニ等の甲殻類の殻から脱タンパク脱カルシウム処理することでキチンになり、さらに濃アルカリ処理することでキトサンが得られる。

キトサンはヒトが摂取した場合はほとんどが体内消化されずに糞便として体外に排出される難消化性食物繊維であって、コレステロール低下作用血圧上昇抑制作用、また有害物質腐敗物質除去作用などが認められており、キトサンを加水分解して得られるキトサンオリゴ糖、中でも5及び6糖が免疫機能亢進効果等の生理活性を有することが近年明らかとなってきている。

しかしながら、一般に、キトサンは水に不溶、酸に可溶な2−アミノ−2—デオキシグルコースグルコサミン)を主成分とする分子量10万以上の高分子体であり、溶解性が低く、通常その基質濃度は2%以下である。また、溶液粘性が極めて高いため高濃度溶液調製には適さないなどの欠点がある。そのために、キトサンオリゴ糖(オリゴグルコサミン)、特に5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を大量に効率よく生産することは困難である。

また、キトサンを加水分解して得られるキトサンオリゴ糖などのキトサン分解物の製造方法としては、酸加水分解法と酵素分解法があるが、最近では酵素分解法による製造が主流である。

酵素分解法では、キトサンは水に対してほとんど溶解せず、塩酸もしくは有機酸を添加することで粘性の高い溶液となるため、高濃度基質溶液の調整が困難であり、生産されるキトサンオリゴ糖の濃度は最大でも数g/L(リットル)程度であった。

前記酵素分解法では、キトサンのβ—1、4結合を加水分解する酵素である微生物由来キトサナーゼが用いられており、キトサン溶液に対して所定量のキトサナーゼを添加し一定時間反応させた後で反応を停止させている。該停止方法として熱処理などして酵素失活させ反応を停止させている方法があるが、加熱処理による糖の変性などの問題がある。また、別の方法として、酵素を担体固定化して基質溶液と分離することで、反応を停止する方法も知られている。しかし、工業的なスケールでの製造を考えた場合、脆弱酵素固定化担体の取扱いは困難であり慎重な操作が要求されると共に、前記キトサン分解物の効率的な生産技術の開発が望まれている。

酵素を担体に固定化した例として、キトサン分解酵素であるキトサナーゼを寒天に固定化した、安価で工業的利用が可能な固定化キトサナーゼが既に公開されている。(例えば、特許文献1参照)。

また、分子ふるい原理を応用した限外濾過膜リアクターとして酵素反応を行い、酵素と反応生成物の分離が試みられていて、所定の分子量の分子を透過可能な限外濾過膜により5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を製造する製造方法も公開されている。(例えば、
特許文献2参照)。
特開平11−56357号公報(第1−5頁、第1図)
特開2000−60591号公報(第1−5頁、第1図)

概要

高効率で高生産が可能な5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を生成することができるキトサン分解物の製造方法及び製造装置を提供することである。円盤金網に寒天を被覆し酵素を固定化したディスク型担体とし、該担体を複数多段状に装着する攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させてキトサン溶液を攪拌する構成の装置とし、キトサン溶液を攪拌しながら新たなキトサンを添加することで基質濃度を高くした高濃度キトサン溶液を生成すると共に、攪拌される高濃度キトサン溶液を、前記酵素が固定化された担体を備えるリアクターにより酵素分解する方法とした。

目的

本発明の目的は、上記問題点を解消するために、高効率で高生産が可能な5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を生成することができるキトサン分解物の製造方法及び製造装置を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

キトサン溶液酵素により加水分解してキトサンオリゴ糖を製造するキトサン分解物の製造方法において、前記キトサン溶液を攪拌しながら新たなキトサンを添加することで基質濃度を高くした高濃度キトサン溶液を生成すると共に、攪拌される高濃度キトサン溶液を、前記酵素が固定化された担体を備えるリアクターにより酵素分解することを特徴とするキトサン分解物の製造方法。

請求項2

前記リアクターを回転することで前記キトサン溶液を攪拌する構成としていることを特徴とする請求項1に記載のキトサン分解物の製造方法。

請求項3

前記担体が、円盤金網または表裏に貫通した孔を多数有する円盤状金属板等に寒天被覆し前記酵素を固定化したディスク型担体であって、前記担体をその中心部を貫通する攪拌軸複数多段状に装着すると共に、前記攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させる構成としていることを特徴とする請求項1または2に記載のキトサン分解物の製造方法。

請求項4

新たなキトサンを添加して高濃度キトサン溶液を生成する際に、前記溶液のpHを調整する構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のキトサン分解物の製造方法。

請求項5

キトサン溶液を酵素により加水分解してキトサンオリゴ糖を製造するキトサン分解物の製造装置において、前記酵素が固定化された担体を備えるリアクターを回転させて前記溶液を攪拌する構成としたことを特徴とするキトサン分解物の製造装置。

請求項6

前記担体が、円盤状金網または表裏に貫通した孔を多数有する円盤状金属板等に寒天を被覆し前記酵素を固定化したディスク型担体であって、前記担体をその中心部を貫通する攪拌軸に複数多段状に装着すると共に、前記攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させる構成としていることを特徴とする請求項5に記載のキトサン分解物の製造装置。

技術分野

0001

本発明は、酵素固定化したリアクターによりキトサンオリゴ糖を生成するキトサン分解物の製造方法及び製造装置に関するものである。

背景技術

0002

キチンキトサンは地球上でセルロースに次いで豊富に存在する天然物資源であり、分子量10万〜200万の高分子化合物である。工業的にはカニ等の甲殻類の殻から脱タンパク脱カルシウム処理することでキチンになり、さらに濃アルカリ処理することでキトサンが得られる。

0003

キトサンはヒトが摂取した場合はほとんどが体内消化されずに糞便として体外に排出される難消化性食物繊維であって、コレステロール低下作用血圧上昇抑制作用、また有害物質腐敗物質除去作用などが認められており、キトサンを加水分解して得られるキトサンオリゴ糖、中でも5及び6糖が免疫機能亢進効果等の生理活性を有することが近年明らかとなってきている。

0004

しかしながら、一般に、キトサンは水に不溶、酸に可溶な2−アミノ−2—デオキシグルコースグルコサミン)を主成分とする分子量10万以上の高分子体であり、溶解性が低く、通常その基質濃度は2%以下である。また、溶液粘性が極めて高いため高濃度溶液調製には適さないなどの欠点がある。そのために、キトサンオリゴ糖(オリゴグルコサミン)、特に5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を大量に効率よく生産することは困難である。

0005

また、キトサンを加水分解して得られるキトサンオリゴ糖などのキトサン分解物の製造方法としては、酸加水分解法と酵素分解法があるが、最近では酵素分解法による製造が主流である。

0006

酵素分解法では、キトサンは水に対してほとんど溶解せず、塩酸もしくは有機酸を添加することで粘性の高い溶液となるため、高濃度基質溶液の調整が困難であり、生産されるキトサンオリゴ糖の濃度は最大でも数g/L(リットル)程度であった。

0007

前記酵素分解法では、キトサンのβ—1、4結合を加水分解する酵素である微生物由来キトサナーゼが用いられており、キトサン溶液に対して所定量のキトサナーゼを添加し一定時間反応させた後で反応を停止させている。該停止方法として熱処理などして酵素失活させ反応を停止させている方法があるが、加熱処理による糖の変性などの問題がある。また、別の方法として、酵素を担体に固定化して基質溶液と分離することで、反応を停止する方法も知られている。しかし、工業的なスケールでの製造を考えた場合、脆弱酵素固定化担体の取扱いは困難であり慎重な操作が要求されると共に、前記キトサン分解物の効率的な生産技術の開発が望まれている。

0008

酵素を担体に固定化した例として、キトサン分解酵素であるキトサナーゼを寒天に固定化した、安価で工業的利用が可能な固定化キトサナーゼが既に公開されている。(例えば、特許文献1参照)。

0009

また、分子ふるい原理を応用した限外濾過膜をリアクターとして酵素反応を行い、酵素と反応生成物の分離が試みられていて、所定の分子量の分子を透過可能な限外濾過膜により5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を製造する製造方法も公開されている。(例えば、
特許文献2参照)。
特開平11−56357号公報(第1−5頁、第1図)
特開2000−60591号公報(第1−5頁、第1図)

発明が解決しようとする課題

0010

上記の限外濾過膜によるキトサンオリゴ糖を製造する方法では、依然として基質濃度が低く2%以下であり、大量のキトサンオリゴ糖を一度に製造することはできない。また、反応槽以外に、限外濾過膜装置基質供給槽制御装置などが必要であり、装置の複雑化や大規模化が避けられず初期投資が過大となる。さらには、限外濾過膜の目詰りによる透過流速の低下により生産効率が悪化するという問題がある。

0011

本発明の目的は、上記問題点を解消するために、高効率で高生産が可能な5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を生成することができるキトサン分解物の製造方法及び製造装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、キトサン溶液を酵素により加水分解してキトサンオリゴ糖を製造するキトサン分解物の製造方法において、前記キトサン溶液を攪拌しながら新たなキトサンを添加することで基質濃度を高くした高濃度キトサン溶液を生成すると共に、攪拌される高濃度キトサン溶液を、前記酵素が固定化された担体を備えるリアクターにより酵素分解することを特徴としている。

0013

上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、所定量のキトサンが添加されたキトサン溶液を攪拌することで、前記溶液の粘度が低下し新たなキトサンを添加することができ、基質濃度の高い高濃度キトサン溶液を調整することができる。また、酵素が固定化された担体を回転することで酵素反応がさらに促進され、高濃度なキトサン分解物を生成することなる。

0014

請求項2に係る発明は、前記リアクターを回転することで前記キトサン溶液を攪拌する構成としていることを特徴としている。

0015

上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、キトサン溶液を攪拌しながら効率よく均一な酵素反応を行うことできるので、高濃度なキトサン分解物を高効率に製造することができる。

0016

請求項3に係る発明は、前記担体が、円盤金網または表裏に貫通した孔を多数有する円盤状金属板等に寒天を被覆し前記酵素を固定化したディスク型担体であって、前記担体をその中心部を貫通する攪拌軸複数多段状に装着すると共に、前記攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させる構成としていることを特徴としている。

0017

上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、ディスク型担体を複数設置することで酵素反応を行う反応面積を大きくすることができ、さらに、効率よく均一な酵素反応を行うことが可能となり、高濃度なキトサン分解物を高効率で生成することができる。

0018

請求項4に係る発明は、前記キトサン溶液に新たにキトサンを添加する際に、前記溶液のpHを調整する構成としたことを特徴としている。

0019

上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、基質濃度が高いキトサン溶液となっても、酵素反応に適したpH値を維持することで、所望のキトサン分解物を高効率で生成することができる。

0020

請求項5に係る発明は、キトサン溶液を酵素により加水分解してキトサンオリゴ糖を製造するキトサン分解物の製造装置において、前記酵素が固定化された担体を備えるリアクターを回転させて前記溶液を攪拌する構成としたことを特徴としている。

0021

上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、酵素を固定化した担体を動かしてキトサン溶液を攪拌するので、酵素と基質との分離が容易であり、均一な条件下での酵素反応が可能となる。

0022

請求項6に係る発明は、前記担体が、円盤状金網または表裏に貫通した孔を多数有する円盤状金属板等に寒天を被覆し前記酵素を固定化したディスク型担体であって、前記担体をその中心部を貫通する攪拌軸に複数多段状に装着すると共に、前記攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させる構成としていることを特徴としている。

0023

上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、強度があり表面積の大きい円盤状支持体に酵素を固定化する寒天を被覆したディスク型担体としたので、キトサン溶液中で抵抗なく回転してキトサン溶液を攪拌することができる。

発明の効果

0024

本発明によれば、キトサン溶液を攪拌しながら新たなキトサンを添加することで基質濃度を高くした高濃度キトサン溶液を生成すると共に、攪拌される高濃度キトサン溶液を、酵素が固定化された担体を備えるリアクターにより酵素分解する構成としたので、キトサン分解物を高濃度に製造することができ、さらに、5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖であっても大量に効率よく製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0025

5糖及び6糖のキトサンオリゴ糖を高効率でかつ高生産で生成することができるキトサン分解物の製造方法及び製造装置を得るという目的を、キトサン溶液を攪拌しながら新たなキトサンを添加することで基質濃度を高くした高濃度キトサン溶液を生成すると共に、攪拌される高濃度キトサン溶液を、酵素が固定化された担体を備えるリアクターにより酵素分解することで実現した。

0026

以下、本発明に係るキトサン分解物の製造方法及び製造装置の実施例について、図1から図7に基づいて説明する。

0027

図1に示すように、本発明に係るキトサン分解物の製造装置は、反応槽4に収容するキトサン溶液を、リアクター1を回転して、該リアクター1に含有されている酵素により前記キトサンを加水分解して所定のキトサンオリゴ糖を生成するものである。

0028

また、前記リアクター1は、円盤状の金網10aに寒天10bを被覆し、該寒天10bの表面に多点結合法により酵素を固定化した構成のディスク型担体10を複数段(例えば5段)重ねた構成(図2参照)としている。

0029

本発明において用いられるキトサンは、カニ、エビ等の甲殻類、微生物由来のキチン質から脱アセチル化されて調整されているが、既にキトサン塩もしくはキトサン分解物になっているものでも使用可能である。また、部分脱アセチル化されたキチンを用いることも
可能である。この時に、キトサンの脱アセチル化度は80%以上のものが好ましく、90%以上であればさらに好ましい。

0030

また、本発明で用いる酵素は微生物、植物、動物など特に起源を限定するものではなく、キトサンを加水分解する触媒活性を有するキトサナーゼを用いることが好ましい。

0031

ここで用いるキトサナーゼの活性単位は1分間に1μml(モル)のグルコサミンを遊離する酵素量を1単位(1U)とする。また、担体に固定化する酵素密度すなわち酵素の単位面積当たり酵素活性(U/cm2)は、酵素反応が行われる程度の値であればよいが、好ましくは0.01−3.0U/cm2、さらに好ましくは0.05−2.0U/cm2である。

0032

キトサンの加水分解を行う際には、まず、反応槽4に所定量の水を入れ、リアクター1を、攪拌軸2を介して攪拌機3により回転しながら、所定量のキトサンを添加してキトサン溶液を調整する。この時に、溶液のpHを調整すると酵素の触媒活性が向上し加水分解が促進される。また、キトサン溶液は前もって別の反応槽を用いて調整したものを用いてもかまわない。

0033

水にキトサンを添加すると高粘度の溶液となり攪拌が困難となるが、最大20g/Lまでのキトサン濃度であれば攪拌することができる。そのために、本実施例においては水1Lに対して20gのキトサンを添加した割合のキトサン溶液(基質濃度が2%となる)をそのまま基準の基質溶液とした。

0034

前記攪拌軸2を介してリアクター1を回転し、所定量のキトサンを添加した前記基準の基質溶液を攪拌していくと、前記攪拌軸2にかかる負荷トルクが徐々に低下する。これはキトサン溶液を攪拌することで、その溶液の粘度が低下していくことを示しており、粘度が低下した後に新たなキトサンを添加しても攪拌して溶解することが明らかとなった。

0035

つまり、前記負荷トルクが低下する時機に適切な量のキトサンを添加することで、従来得られなかった高濃度のキトサン溶液を調整することができる。また、溶液のpHは溶液の粘度とキトサンの溶解性並びに酵素活性に影響を与えることから、pH4−8程度が好ましく、さらにはpH4.5−7程度がより好ましい。

0036

図2(a)に示すように、円盤状金網10aを支持体として、酵素キトサナーゼを多点結合法により固定化した寒天10bを前記金網10aに被覆させてディスク型担体10を形成した。さらに、前記担体10を積み重ね図2(b)に示すように、担体10Aと10Bと10Cと10Dと10Eとを5段に重ねた構成のリアクターとした。11は複数の補強腕11aとボス部11bを備える高剛性スペーサであって、該スペーサ11を介して複数の担体を連結することで、連結する担体同士間の距離を一定の離反距離として、溶液を均一に攪拌可能とすると共に、強度を備える一体構成のリアクターを構成することができる。

0037

ディスク型担体10の中心孔10cを貫通して攪拌軸2を設置して、複数のディスク型担体10を重ねた両端(図中の上下)を固定具12により固定する。この固定方法は特に限定されるものではなく、例えば、攪拌軸2にネジ部を設けて、ナット状の固定具12を前記ネジ部に締め付ける構成とすればよい。

0038

攪拌軸2は攪拌機3により回転自在であり、本実施例においては、前記攪拌機3として、攪拌軸2の負荷トルクを検出して外部信号出力可能な装置(東京理化器械株式会社製のmazelaNZ-1000)を採用している。また、反応槽4は、収容する溶液の温度が一定となるよ
うに温度制御可能な恒温槽に入れて酵素反応に適した温度(約50℃)を保つ構成としている。

0039

本実施例では、前記反応槽4として内径Dが55mmの大きさのものを用いた。前記反応槽4内に、21メッシュの円盤状金網10aを支持体とし、円盤の直径dが50mmで厚みが2mm程のディスク型担体10を5枚重ねた構成のリアクター1を設置して、20g/Lのキトサン含有量を有する100mLのキトサン溶液(2%の基質濃度)を低速(60〜240rpm)の回転速度で攪拌していき、前記攪拌軸2の負荷トルクが減少するタイミングで新たなキトサンを10g/L単位で添加していった。

0040

キトサン溶液に新たなキトサンを添加すると一度急激に粘性が高まり、攪拌すると次第に低下していく。さらにキトサンを添加すると一度粘性が高まり攪拌につれて次第に低下するという同様な粘度変化を示し、最終的には50g/Lまでの溶解液(5%の基質濃度となる)が得られ、従来の20g/L溶解液に対して2.5倍濃度のキトサン溶液を調整することができた。

0041

また、カチオン性物質であるキトサンの添加により、溶液のpHが高くなりキトサンの溶解性が悪化するので、塩酸や有機酸等の酸成分を加えてpH値を調整して、新たなキトサンを添加してもその溶解を促進すると共に、酵素反応に適したpHのキトサン溶液とすることができる。

0042

図4に、上記の5%の基質濃度のキトサン溶液を調整した際のpHと負荷トルクの変化を示している。図中の横軸である時間軸に示したK1、K2、K3位置が新たなキトサン10g/Lを添加した時間であり、当初20g/Lのキトサンが溶解しているキトサン溶液中に、K1(4分後)に一回目の追加をし、K2(10分後)に二回目の追加をし、K3(25分後)に三回目の追加をして、最終的に5%の基質濃度のキトサン溶液を調整したことを示している。この時に、pHの上昇(アルカリ化)を抑制するために図中の時間軸に示す×印部(14分後、17分後、27分後、30分後)にて所定量の酸成分を追加した。

0043

上記した製造方法および製造工程により計40分かけて50g/Lのキトサンを含有する高濃度のキトサン溶液(5%の基質濃度)を調整することができた。つまり、上記の製造方法により従来の2.5倍濃度の高濃度キトサン溶液を調整することができる。

0044

次に、上記の高濃度キトサン溶液を酵素により加水分解してキトサンオリゴ糖を生成した実験結果について説明する。ディスク型担体10に固定化する酵素密度すなわち酵素の単位面積当たりの酵素活性(U/cm2)により、反応生成物である2糖から6糖の各オリゴ糖量にどのような影響があるかを調べた。

0045

図5には酵素密度を0.077U/cm2とした担体によりオリゴ糖を生成した例を示し、図6は酵素密度が0.77U/cm2の例であり、図7は酵素密度を1.9U/cm2とした例である。いずれも、50g/Lのキトサンが溶解されたpH5の高濃度キトサン溶液を用いて50℃の恒温槽温度に設定したものであり、オリゴ糖の各成分をHPLC法にて経時的に分別定量した結果である。

0046

図5に示すように、単位面積当たりの酵素活性が0.077U/cm2の場合には、経時的に反応溶液中の5糖と6糖の合計濃度L(5+6)が増加していき、20日目で最大の26g/Lを得ることができた。これは、原料であるキトサン量50g/Lに対しては52%となり、従来の方法では得られない程の大量の5糖・6糖のオリゴ糖を製造することができる。

0047

図6に示す単位面積当たりの酵素活性が0.77U/cm2の場合には、78時間で5糖と6糖の合計濃度L(5+6)が15g/Lとなり、その後徐々に減少していく。これは時間が経つと共に、2〜4糖のオリゴ糖にまで分解されていくからである。また、156時間後には、2糖(L2に示す)が約13g/L、3糖(L3に示す)が約18g/L、4糖(L4に示す)が約18g/L、となり、3糖と4糖で合計36g/Lを製造することができた。これは原料であるキトサン量50g/Lに対して72%となり、高効率に3糖と4糖のキトサンオリゴ糖を製造することができる。

0048

図7に示す単位面積当たりの酵素活性が1.9U/cm2の場合には、40時間で5糖と6糖の合計濃度L(5+6)は8g/Lまでしかならない。一方、95時間で、2糖(L2に示す)が約11g/L、3糖(L3に示す)が約21g/L、4糖(L4に示す)が約16g/Lを製造することができた。3糖の生成量21g/Lは原料であるキトサン量50g/Lに対して42%となり、高効率に3糖のキトサンオリゴ糖を製造することができる。

0049

また、上記のディスク型担体を備えるリアクターに加えて、さらに、酵素が固定化された寒天状粒子をキトサン溶液に添加すると、酵素分解反応がさらに促進されてキトサンオリゴ糖の生成時間をさらに短縮することができる。

0050

このように、円盤状金網に寒天を被覆し酵素を固定化したディスク型担体とし、該担体を複数多段状に装着する攪拌軸を介して前記多段状のディスク型担体を一体に回転させてキトサン溶液を攪拌する構成としたので、基質濃度を高めた高濃度のキトサン溶液を調整することができると共に、酵素反応を効率よく行うことができるキトサン分解物の製造装置を得ることができる。また、新規なリアクターと基質の逐次添加法を採用すると共に、目的とするキトサンオリゴ糖に応じて最適な単位面積当たりの酵素活性を選択する製造方法とすることで、所望のキトサンオリゴ糖を高効率で生成することができるキトサン分解物の製造方法とすることができる。

0051

また、上記で採用した金網を利用したディスク型担体10を多段に配設したリアクター1に替えて、図3(a)に示すように、金網または表裏に貫通した孔を多数有する金属板等を円筒形状に丸めた支持体に寒天を被覆して、酵素を固定化した円筒形状担体を備えるリアクター1Aを回転させて、キトサン溶液を攪拌する構成としてもよい。

0052

さらに、図3(b)に示すように、それ自体が回転する反応層4A内に、ディスク型担体10を備えたリアクター1を設置して、前記反応槽4Aの回転によりキトサン溶液を攪拌する構成とすることもできる。

0053

また、円盤状のディスク型担体ではなく、スクリュウ状螺旋型担体を用いてより攪拌性を高める構成のリアクターとすることも可能である。

0054

ただし、円盤状のディスク型担体10を多段に配設する構成とすれば、キトサン溶液の均一な攪拌を抵抗が少なく効率よく行えると共に、酵素反応を行う反応面積を大きくすることが容易となり好適である。また、酵素を固定化しているので、前記担体を長期間使用可能であり、ディスク型担体10の装着枚数も簡単に増減可能であると共に、交換作業も容易となる。

0055

上記したように、本発明によれば、目的とするキトサン分解物を選択的かつ効率的に製造することが可能となる。さらに、酵素固定化リアクターでキトサン溶液を攪拌する構成とすることで、装置や工程を簡略化することができる。また、反応停止を、リアクターを
反応液から抜き取るか、もしくは反応液を反応槽から排出することで達成できるので、省力化と品質の安定化が可能となる。つまり、円盤状のディスク型担体を多段に配設して回転自在なリアクターとし、キトサンを逐次添加して高濃度のキトサン溶液を調整可能とすることで、従来では大量生産が困難であった5糖、6糖のキトサンオリゴ糖でも大量に効率よく製造することが可能となった。

図面の簡単な説明

0056

本発明に係るキトサン分解物の製造装置の全体概略図である。
本発明に係るリアクターを示しており、(a)はリアクターを構成する担体の平面図であり、(b)は複数の担体を多段状に配設したリアクターの概略全体図である。
担体及び溶液を攪拌する際の別実施例を示しており、(a)は円筒形状の担体を示す斜視図であり、(b)は回転する反応槽を備える攪拌方法を示す概略説明図である。
2.5倍濃度のキトサン溶液を調整した際のpHと負荷トルクの変化を示す概略説明図である。
酵素密度を0.077U/cm2とした担体により生成される各種のオリゴ糖を計測した結果を示している。
酵素密度を0.77U/cm2とした担体により生成される各種のオリゴ糖を計測した結果を示している。
酵素密度を1.9U/cm2とした担体により生成される各種のオリゴ糖を計測した結果を示している。

符号の説明

0057

1リアクター
2攪拌軸
3攪拌機
4反応槽
10 (ディスク型)担体
10a金網
10b寒天
L(5+6) 5糖と6糖の合計濃度

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