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技術 クロマトグラフ分析装置

出願人 株式会社島津製作所
発明者 田中宏
出願日 2004年2月6日 (16年3ヶ月経過) 出願番号 2004-030298
公開日 2005年8月18日 (14年8ヶ月経過) 公開番号 2005-221405
状態 特許登録済
技術分野 クロマトグラフィによる材料の調査、分析
主要キーワード 各装置ユニット 保持時間データ 遅延時間補正 NTPクライアント 時間遅延量 時間差算出 SNTPサーバ 所定波長範囲
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年8月18日)のものです。
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図面 (3)

課題

実際の試料注入を受けてデータ収集開始信号ネットワークを介して検出器送り、検出器ではこの信号を受けて検出データに保持時間のタイムスタンプを実行する場合に、ネットワークで伝送遅延が大きいと検出データと保持時間との関係にずれが生じ、正確なクロマトグラムが作成できなくなる。

解決手段

分析開始前にSNTPを用いて内蔵時計71、64の時刻合わせを行い、分析時にコントローラ7は内蔵時計71により試料注入時刻を取得しデータ収集開始信号に付加してPDA検出器6へ送る。タイムスタンプ部62はこの信号を受けた現在時刻を内蔵時計64から取得し、付加データ中の時刻情報と現在時刻との時間差を計算して、その時間差に応じて保持時間タイマ65の初期時間をセットし計時を開始する。これによって、実際の試料注入時点を基準ゼロとした真の保持時間と保持時間タイマ65の計時とが一致する。

概要

背景

液体クロマトグラフ等のクロマトグラフ分析装置では、横軸に経過時間、縦軸に信号の相対強度をとったクロマトグラムが作成される。定性分析を行う際には、既知の成分の保持時間(リテンションタイム)を基準にして、クロマトグラムに出現しているピークを同定する。したがって、インテグレータや保持時間管理機能を有する検出器などのデータ収集装置では、オートサンプラオートインジェクタ等の試料注入装置による実際の試料注入に応じて発せられる試料注入信号受け取り、これに応じて保持時間を一旦ゼロにリセットして計時を開始するとともに、採取した検出データ保持時間データを付加する(いわゆるタイムスタンプを実行する)ようにしている(例えば特許文献1参照)。従来のクロマトグラフ分析装置では、上記のような試料注入信号の授受には専用ケーブル等の結線が使用されている。

近年、機器分析の分野でもネットワーク化が急速に進展しており、例えばクロマトグラフ分析装置でも該装置を構成する複数の装置ユニット間の一部又は全ての電気信号の授受を例えばイーサネット登録商標)等のローカルネットワークを利用して行うことが考えられる。こうしたネットワークを利用する利点は単に配線が煩雑になることを避ける以外に、配線が標準化でき拡張性や柔軟性を持たせることができる点にある。このようなネットワークでは、必要に応じて、ルータブリッジスイッチング・ハブ等の中継装置が設置される場合があり、ネットワークが大規模になるほどネットワーク内で授受されるデータがこうした中継装置を通過する機会が増加する。

クロマトグラフ分析装置においてネットワークを介して各ユニットを接続した場合、上述したように試料注入装置からタイムスタンプ機能を持つデータ収集装置に試料注入信号を送る際に中継装置を通過することによって、試料注入信号が時間的に遅延してデータ収集装置に到達する場合がある。しかも、この際の遅延時間は必ずしも一定ではなく、ネットワークシステムの構成等に依存して或いはネットワークの混み具合によって変化する可能性がある。こうした場合、データ収集装置が試料注入信号を受け取る時刻と実際に試料注入された時刻との時間ずれが大きくなるため、検出データに付加される保持時間データの時刻ゼロの基準として上記のように時間遅延のある試料注入信号を用いると、結果として各ピークの出現位置と保持時間とがずれてしまい、最悪の場合、誤ってピークを同定するおそれがある。

特開平11−118781号公報(段落0007〜0010)

概要

実際の試料注入を受けてデータ収集開始信号をネットワークを介して検出器に送り、検出器ではこの信号を受けて検出データに保持時間のタイムスタンプを実行する場合に、ネットワークで伝送遅延が大きいと検出データと保持時間との関係にずれが生じ、正確なクロマトグラムが作成できなくなる。分析開始前にSNTPを用いて内蔵時計71、64の時刻合わせを行い、分析時にコントローラ7は内蔵時計71により試料注入時刻を取得しデータ収集開始信号に付加してPDA検出器6へ送る。タイムスタンプ部62はこの信号を受けた現在時刻を内蔵時計64から取得し、付加データ中の時刻情報と現在時刻との時間差を計算して、その時間差に応じて保持時間タイマ65の初期時間をセットし計時を開始する。これによって、実際の試料注入時点を基準ゼロとした真の保持時間と保持時間タイマ65の計時とが一致する。

目的

本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、クロマトグラフ分析を行うための各装置ユニットがネットワークのような通信手段を介して接続される場合に、該通信手段にて信号の時間遅延があってもデータ収集装置において実際の試料注入時点を基準とした正確なタイムスタンプを行うことができるクロマトグラフ分析装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

分離カラム、該分離カラムに移動相を流す移動相供給部、及び、前記分離カラムの手前で移動相中に試料注入する試料注入部を含み、該試料が分離カラムを通過する過程で該試料に含まれる各種成分を時間的に分離するための分離分析部と、該分離分析部により分離された成分を順次検出する検出部と、該検出部により得られた検出データの全て又は一部に保持時間データを付加するタイムスタンプ部と、を具備し、前記分離分析部は通信手段を介して試料注入部による試料注入の実行を示す試料注入信号をタイムスタンプ部へと送り、該タイムスタンプ部は受け取った試料注入信号に基づいて保持時間データを生成するクロマトグラフ分析装置において、a)分析実行に先立って前記分離分析部に設けられた第1時計とタイムスタンプ部に設けられた第2時計との時刻を合わせる時計同期手段と、b)分離分析部にあって、試料注入の実行時に第1時計により試料注入時刻を取得し、この試料注入時刻データを試料注入信号とともに通信手段を通してタイムスタンプ部に送る試料注入情報送信手段と、c)タイムスタンプ部にあって、前記試料注入時刻データを試料注入信号とともに受け取ったときにその時点での時刻を第2時計により取得し、該時刻と前記試料注入時刻データによる時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、d)該時間差算出手段により算出された時間差を通信手段における信号の時間遅延量とみなして、該時間遅延量を考慮して実際の試料注入時点を基準とした保持時間データを生成する保持時間データ生成手段と、を備えることを特徴とするクロマトグラフ分析装置。

請求項2

前記時計同期手段はSNTP(Simple Network Time Protocol)を用いて時刻合わせを行うものであって、分離分析部とタイムスタンプ部のいずれか一方にSNTPサーバ機能、他方にSNTPクライアント機能を持たせたことを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ分析装置。

技術分野

背景技術

0002

液体クロマトグラフ等のクロマトグラフ分析装置では、横軸に経過時間、縦軸に信号の相対強度をとったクロマトグラムが作成される。定性分析を行う際には、既知の成分の保持時間(リテンションタイム)を基準にして、クロマトグラムに出現しているピークを同定する。したがって、インテグレータや保持時間管理機能を有する検出器などのデータ収集装置では、オートサンプラオートインジェクタ等の試料注入装置による実際の試料注入に応じて発せられる試料注入信号受け取り、これに応じて保持時間を一旦ゼロにリセットして計時を開始するとともに、採取した検出データ保持時間データを付加する(いわゆるタイムスタンプを実行する)ようにしている(例えば特許文献1参照)。従来のクロマトグラフ分析装置では、上記のような試料注入信号の授受には専用ケーブル等の結線が使用されている。

0003

近年、機器分析の分野でもネットワーク化が急速に進展しており、例えばクロマトグラフ分析装置でも該装置を構成する複数の装置ユニット間の一部又は全ての電気信号の授受を例えばイーサネット登録商標)等のローカルネットワークを利用して行うことが考えられる。こうしたネットワークを利用する利点は単に配線が煩雑になることを避ける以外に、配線が標準化でき拡張性や柔軟性を持たせることができる点にある。このようなネットワークでは、必要に応じて、ルータブリッジスイッチング・ハブ等の中継装置が設置される場合があり、ネットワークが大規模になるほどネットワーク内で授受されるデータがこうした中継装置を通過する機会が増加する。

0004

クロマトグラフ分析装置においてネットワークを介して各ユニットを接続した場合、上述したように試料注入装置からタイムスタンプ機能を持つデータ収集装置に試料注入信号を送る際に中継装置を通過することによって、試料注入信号が時間的に遅延してデータ収集装置に到達する場合がある。しかも、この際の遅延時間は必ずしも一定ではなく、ネットワークシステムの構成等に依存して或いはネットワークの混み具合によって変化する可能性がある。こうした場合、データ収集装置が試料注入信号を受け取る時刻と実際に試料注入された時刻との時間ずれが大きくなるため、検出データに付加される保持時間データの時刻ゼロの基準として上記のように時間遅延のある試料注入信号を用いると、結果として各ピークの出現位置と保持時間とがずれてしまい、最悪の場合、誤ってピークを同定するおそれがある。

0005

特開平11−118781号公報(段落0007〜0010)

発明が解決しようとする課題

0006

本発明はかかる課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、クロマトグラフ分析を行うための各装置ユニットがネットワークのような通信手段を介して接続される場合に、該通信手段にて信号の時間遅延があってもデータ収集装置において実際の試料注入時点を基準とした正確なタイムスタンプを行うことができるクロマトグラフ分析装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するために成された本発明は、分離カラム、該分離カラムに移動相を流す移動相供給部、及び、前記分離カラムの手前で移動相中に試料を注入する試料注入部を含み、該試料が分離カラムを通過する過程で該試料に含まれる各種成分を時間的に分離するための分離分析部と、該分離分析部により分離された成分を順次検出する検出部と、該検出部により得られた検出データの全て又は一部に保持時間データを付加するタイムスタンプ部と、を具備し、前記分離分析部は通信手段を介して試料注入部による試料注入の実行を示す試料注入信号をタイムスタンプ部へと送り、該タイムスタンプ部は受け取った試料注入信号に基づいて保持時間データを生成するクロマトグラフ分析装置において、
a)分析実行に先立って前記分離分析部に設けられた第1時計とタイムスタンプ部に設けられた第2時計との時刻を合わせる時計同期手段と、
b)分離分析部にあって、試料注入の実行時に第1時計により試料注入時刻を取得し、この試料注入時刻データを試料注入信号とともに通信手段を通してタイムスタンプ部に送る試料注入情報送信手段と、
c)タイムスタンプ部にあって、前記試料注入時刻データを試料注入信号とともに受け取ったときにその時点での時刻を第2時計により取得し、該時刻と前記試料注入時刻データによる時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、
d)該時間差算出手段により算出された時間差を通信手段における信号の時間遅延量とみなして、該時間遅延量を考慮して実際の試料注入時点を基準とした保持時間データを生成する保持時間データ生成手段と、
を備えることを特徴としている。

0008

本発明に係るクロマトグラフ分析装置では、分析に先立って時計同期手段が、分離分析部に設けられた第1時計とタイムスタンプ部に設けられた第2時計との時刻を合わせる。具体的な一態様として、時計同期手段はRFC(Request for Comments)2030で定義されているSNTP(Simple Network Time Protocol)を用いて時刻合わせを行うものとすることができる。この場合、同一通信手段(ネットワーク)上に本クロマトグラフ分析装置とは別に時刻の基準となるSNTPサーバを設けてもよいが、より好ましくは、分離分析部とタイムスタンプ部のいずれか一方にSNTPサーバ機能、他方にSNTPクライアント機能を持たせた構成とするとよい。この時刻合わせは分析の前であればいつでもよく、例えば分析の合間に定期的又は非定期的に行ってもよいが、分析実行時における第1時計と第2時計の同期精度の点から言うとできるだけ分析の直前に時刻合わせを行うことが望ましい。

0009

こうして第1時計と第2時計とが同期された状態で、分析の開始が指示されて試料注入部が移動相中に試料を注入すると、試料注入情報送信手段は、第1時計により試料注入実行が行われた時刻taを読み取り、試料注入信号とともに試料注入時刻データを通信手段を介してタイムスタンプ部へと送る。いま、試料注入信号が通信手段を通ってタイムスタンプ部に到達するまでにtdだけの時間遅延が発生したものとする。第1時計と第2時計とは同期しているから、時間差算出手段が試料注入信号を受け取ったときに第2時計から読み取る時刻は、ほぼta+tdとなっている筈である。したがって、その第2時計の読み取り時刻と試料注入時刻データによる時刻との時間差はtd、つまり通信手段における信号の時間遅延量となる。

0010

そこで、保持時間データ生成手段はこの時間遅延量を考慮して、実際の試料注入時点を基準とした保持時間データを生成する。具体的には、タイムスタンプ部が試料注入信号を受け取った時点からみれば、試料注入部によって実際に試料注入が実行されたのはtdだけ過去のことである。したがって、実際の試料注入時点を基準、例えば保持時間ゼロとするためには、タイムスタンプ部が試料注入信号を受け取った時点で保持時間をゼロにリセットするのではなく、保持時間の計時をtdにセットして、そこから計時を開始すればよい。これによって、通信手段における信号の時間遅延量の大小に拘わらず、実際に試料注入が実行された時点を基準にした正確な保持時間データを検出データに付加することができる。

0011

なお、実際の装置の形態例としては、分離分析部が、移動相供給部、試料注入部、さらには分離カラムの温度を制御するカラムオーブンなどの動作を制御する制御部を含み、この制御部が通信手段であるネットワークに接続されていて、試料注入信号はこの制御部からネットワークに送信される構成とすることができる。また、移動相供給部、試料注入部、カラムオーブンなどがそれぞれ個別にネットワークに接続された構成としてもよい。一方、タイムスタンプ部は検出器と一体に構成することができるほか、検出器に直結されたインテグレータ等の他のデータ収集装置と一体に構成してもよい。

発明の効果

0012

本発明に係るクロマトグラフ分析装置によれば、検出器やデータ収集装置に含まれるタイムスタンプ部に対してネットワークのような通信手段を介して送信される試料注入信号に時間遅延が生じても、タイムスタンプ部ではこの時間遅延を補正して、検出データに対し実際の試料注入時点を基準とする正確な保持時間データを付加することができる。したがって、こうしてタイムスタンプされた検出データを利用してクロマトグラムを作成すると、或る成分の保持時間においてその成分に由来するピークが正確に出現するので、ピークを誤りなく同定することができる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明に係るクロマトグラフ分析装置の一実施例として、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器を用いたHPLC分析装置について図面を参照して説明する。

0014

図1は本実施例によるHPLC分析装置の要部のブロック構成図、図2本装置の特徴的な動作を説明するための概略タイミングチャートである。図1に示すように、このHPLC分析装置は、溶離液(移動相)槽1、本発明における移動相供給部としての送液ポンプ2、本発明における試料注入部としてのオートサンプラ3、カラムオーブン4に内装された分離カラム5、PDA検出器6、これら各部をそれぞれ制御するシステムコントローラ7、システムコントローラ7とPDA検出器6とを接続するイーサネット(登録商標)等のローカルネットワーク8と、を含む。送液ポンプ2、オートサンプラ3、カラムオーブン4はシステムコントローラ7とそれぞれ独立に直結され、その接続線を介して動作に必要な制御信号を授受する。

0015

PDA検出器6は本発明における検出部としてのデータ採取部61、タイムスタンプ部62、及び通信制御部66を含み、タイムスタンプ部62は機能ブロックとして、SNTPクライアント機能部63、本発明における第2時計としての内蔵時計64、保持時間タイマ65を含む。また、システムコントローラ7は、SNTPサーバ機能部72、本発明における第1時計としての内蔵時計71、及び通信制御部73を含む。

0016

図1中では、ローカルネットワーク8上のシステムコントローラ7のノード7aとPDA検出器6のノード6aとの間にルータ10が介挿されているが、これは本HPLC分析装置の一部ではなく、ネットワークシステムの構成上の都合で設置されているものである。したがって、このルータ10は必ずしもこの位置に挿入されているとは限らず、ローカルネットワーク8上の他の位置に挿入されている場合もあれば、ルータ以外のブリッジ等の他の中継装置が挿入されている場合もある。つまり、ここでは、ノード7a、6a間の時間遅延要素の一例としてルータ10を設けているに過ぎない。

0017

また、この例では、ローカルネットワーク8には、HPLC分析装置により採取されたデータに対し所定の波形演算処理を行ったり、そうしたデータを一元的に管理したりするための分析用ワークステーション9も接続されている。この分析用ワークステーション9の実体パーソナルコンピュータであり、これに所定のアプリケーションソフトウエアインストールされ、そのソフトウエアが実行されることでデータ処理や制御などが達成される。但し、分析用ワークステーション9も本発明に必須の要素ではなく、ここではPDA検出器6で取得されたデータを最終的に収集して保存しておく装置として分析用ワークステーション9を設けている。

0018

上記構成のHPLC分析装置の基本的な分析動作は次の通りである。システムコントローラ7の制御の下で送液ポンプ2は、溶離液槽1から吸引した溶離液を略一定流量で以てオートサンプラ3を介してカラム5へと流す。オートサンプラ3は所定のタイミングで試料液溶離液中に注入する。この試料は溶離液に乗ってカラム5へと導入される。これとほぼ同時に、実際に試料注入を実行したことを示す信号がオートサンプラ3からシステムコントローラ7へと送られ、システムコントローラ7はこれに応じて検出データの収集開始を指示するためのデータ収集開始信号(本発明における試料注入信号)をローカルネットワーク8を介してPDA検出器6に送る。試料中の各成分がカラム5を通過する時間(保持時間)は成分によって異なるため、カラム5を通過する間に試料中の各成分は時間的に分離される。

0019

PDA検出器6においてデータ採取部61は、データ収集開始信号を受けると、カラム5から溶出する試料成分に関する所定波長範囲吸光度スペクトルを反映した光強度信号を順次検出し、この光強度信号をデジタルデータ(検出データ)に変換する。また、タイムスタンプ部62は試料注入時を基準とする保持時間データを生成し、この保持時間データを検出データに付加する。保持時間データの付加された検出データは順次、或いは適宜まとめられて、ローカルネットワーク8を介して分析用ワークステーション9へと送出される。そして、検出データ及び保持時間データは分析用ワークステーション9のハードディスク等の記憶装置に格納される。分析用ワークステーション9には、各種データ解析のためのプログラムが格納されており、取得した検出データに対してそれらプログラムに従った解析処理を実行することにより波長、時間、信号強度の3つのディメンジョンを持つ3次元クロマトグラムを作成し、さらに試料に含まれる成分の定性分析や定量分析などを実行する。その結果は、分析用ワークステーション9が備えるディスプレイ(図示せず)の画面上に表示される。

0020

図1に示すようにルータ10等の中継装置がローカルネットワーク8に挿入されている場合、このローカルネットワーク8を介してシステムコントローラ7からPDA検出器6に伝送されるデータ収集開始信号には無視できない程度の時間遅延が生じることがある。そこで、本実施例のHPLC分析装置では、このようなローカルネットワーク8を介した信号の時間遅延を補正して正確な保持時間データを検出データに付加できるような構成としている。以下、この遅延時間補正処理動作について詳細に説明する。

0021

まず、分析を行うに先立って、システムコントローラ7側の内蔵時計71とタイムスタンプ部62の内蔵時計64との時刻合わせを実行する。ここでは、ローカルネットワーク8を介した時刻合わせにSNTPのプロトコルを利用しており、SNTPサーバ機能部72とSNTPクライアント機能部63とが次のような手順で両者の内蔵時計71、64を同期させる。

0022

まずSNTPサーバ機能部72はSNTPクライアント機能部63に対し、時刻同期処理を行う旨の指示を出す。この指示を受けたSNTPクライアント機能部63は、ローカルネットワーク8を介してシステムコントローラ7に時刻合わせ要求コマンドを送信する。このとき、SNTPクライアント機能部63は時刻合わせ要求コマンド送出時における内蔵時計64の時刻tp1を読み取り、これを内部メモリに一時的に記憶する。時刻合わせ要求コマンドは主としてルータ10を通過する際に遅延してシステムコントローラ7に届く。

0023

システムコントローラ7のSNTPサーバ機能部72は時刻合わせ要求コマンドを受けると、すぐにそのコマンドを受け取った時刻tc1を内蔵時計71から取得し、コマンド到着時刻として内部メモリに一時的に記憶する。その後に応答データを返信するための所定の処理を行い、先に内部メモリに記憶しておいたコマンド到着時刻tc1に加えて、応答データ送信時の時刻情報を内蔵時計71から取得し、応答データ送信時刻tc2として応答データに含ませてPDA検出器6に送り返す。この応答データも主としてルータ10を通過する際に遅延してPDA検出器6に届く。

0024

SNTPクライアント機能部63はシステムコントローラ7からの応答データを受け取り、すぐにそのデータを受け取った時刻tp2を内蔵時計64から取得して内部メモリに一時的に記憶する。また、応答データの内容からシステムコントローラ7におけるコマンド到着時刻tc1及び応答データ送信時刻tc2を認識する。すなわち、この時点で、SNTPクライアント機能部63の内部メモリには時刻情報tp1,tp2が記憶されており、また応答データにより時刻tc1,tc2が得られている。そこで、これらの時刻情報から、次式によってシステムコントローラ7の内蔵時計71に対するタイムスタンプ部62の内蔵時計64の誤差Teを計算する。
Te={(tc1−tp1)+(tc2−tp2)}/2
これは、PDA検出器6側の内蔵時計64とシステムコントローラ7側の内蔵時計71との時間差を、ローカルネットワーク8を介した往路と復路の伝送遅延時間の平均によって補正することを意味する。この往路と復路の伝送遅延時間が等しいとの仮定の下では、両内蔵時計71、64が完全に同期していれば、(tc1-tp1)=−(tc2-tp2)であり、誤差Teはゼロとなる。

0025

つまり、誤差Teがゼロであるときには両内蔵時計71、64は同期していて時間補正の必要はない。一方、誤差Teがゼロでない場合には、内蔵時計64の現在時刻から誤差Te分を差し引くことによって内蔵時計64を内蔵時計71に同期させるように修正することができる。但し、例えばローカルネットワーク8が一時的に混み合っている等の原因で往路と復路との伝送遅延時間に大きな差が生じると、それによって時刻合わせの精度が落ちる。そこで、上記処理を複数回繰り返し行うことによって時刻合わせの精度を高め、両内蔵時計71、64の誤差が十分に小さくなるようにする。

0026

なお、こうした時刻同期処理はいつでも行うことができるが、実際に分析を行う際に両内蔵時計71、64の時刻のずれができるだけ小さいことが好ましいから、少なくとも分析開始の直前に時刻同期処理を実行するとよい。

0027

実際に分析が開始されると、システムコントローラ7は予め設定された試料注入量等の分析条件データをオートサンプラ3へと送り、オートサンプラ3はこのデータに基づいて試料注入準備動作を実行する。そしてオートサンプラ3は、準備動作が終了すると所定のタイミングで溶離液中に試料液を注入する。同時にオートサンプラ3は実際に試料注入を行った旨を示す信号をシステムコントローラ7へと送り、これを受けてシステムコントローラ7は内蔵時計71により試料注入時の時刻tinを取得する。そして、システムコントローラ7はこの時刻tinを示すデータを付加したデータ収集開始信号をローカルネットワーク8を介しPDA検出器6へと送る。このときにデータ収集開始信号は主としてルータ10で時間遅延を生じてPDA検出器6に到達する。

0028

いま、図2に示すような簡略化したタイムチャートを例に挙げて説明する。図2(a)及び(b)はそれぞれシステムコントローラ7の内蔵時計71及びタイムスタンプ部62の内蔵時計64が示す現在時刻である。上述したような時刻同期処理によって両者の示す時刻t0,t1,t2,…は一致している。

0029

いま、時刻t0においてオートサンプラ3により実際に試料が溶離液中に注入されると、システムコントローラ7からPDA検出器6に送られるデータ収集開始信号には時刻t0を示すデータが付加される(厳密にはt0より若干遅れた時刻であるが、その遅れは無視できる程度であるのでここでは時刻t0とする)。この信号がローカルネットワーク8上の伝送遅延によって、時刻t4においてPDA検出器6に到達したものとする。PDA検出器6においてタイムスタンプ部62は、データ収集開始信号を受け取るとその時点での時刻を内蔵時計64により取得する。このときの時刻はt4である(これについても厳密にはt4より若干遅れた時刻であるが、その遅れは無視できる程度であるのでここでは時刻t4とする)。

0030

現在時刻はt4であるのに対し、受け取ったデータ収集開始信号に付加されている時刻データが示す時刻はt0であるから、伝送途中でTd=t4−t0の時間遅延が生じていることが判る。すなわち、実際の試料注入は現時点からTdだけ遡った時刻に実行されており、現時点は既に試料注入からTdだけ経過してしまっていることになる。そこで、保持時間を計時するための保持時間タイマ65をTdに相当する時間、ここでは「4」だけゼロから進めた初期時間にセットし、この初期時間から時間の経過に従って計時を進める(図2(c)参照)。ちなみに、従来の装置であれば、データ収集開始信号が得られた時点で保持時間タイマを一旦ゼロにリセットしてから計時を開始するので、保持時間タイマの計時は図2(d)に示すようになる。この場合、保持時間タイマの計時は試料注入時をゼロとする真の保持時間からの乖離が大きい。また、分析開始時に偶然にネットワークの伝送遅延が大きくなると保持時間の再現性がなくなり、ピークの同定間違いが起こり得る。これに対し、本実施例の装置では、保持時間タイマ65の計時は、常に実際の試料注入時をゼロとする真の保持時間とほぼ等しくなる。

0031

PDA検出器6においてデータ採取部61は、上記データ収集開始信号を受けると吸光度スペクトルデータ、つまり検出データの収集を開始する。タイムスタンプ部62は検出データが得られる毎に、保持時間タイマ65による計時データを取得して検出データに付加することでタイムスタンプを実行する。こうしてタイムスタンプされた検出データは例えば適宜まとめてパケット化され、ローカルネットワーク8を介して分析用ワークステーション9へと送られる。この時点では検出データと保持時間データとは既に対応付けられているので、仮に分析用ワークステーション9へ伝送する際に遅延があっても何ら問題はない。分析用ワークステーション9ではこうした受け取ったデータを記憶装置に格納する。

0032

なお、この実施例の構成では、時刻t0〜t4までの間で、PDA検出器6ではデータが収集されないが、一般に、この時間は最も保持時間の短い成分がカラム5を通過して溶出してくる時間に比べると十分に短いので、実質的に問題となることはない。

0033

上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本発明に包含されることは明らかである。

0034

例えば、上記実施例では、システムコントローラ7がオートサンプラ3を制御しており、システムコントローラ7がオートサンプラ3から出された信号を受けてデータ収集開始信号をローカルネットワーク8を介してPDA検出器6に送るようにしていたが、例えばオートサンプラ3などの各部がそれぞれ個別に制御部の機能を備えるとともにローカルネットワーク8に接続される構成としてもよい。また、タイムスタンプ部62はPDA検出器6とは別に設けられ、例えばインテグレータ等のデータ収集装置に内蔵される構成であってもよい。さらにまた、ローカルネットワーク8上にSNTPサーバを設置するとともにシステムコントローラ7にはSNTPクライアント機能部を持たせ、システムコントローラ7の内蔵時計71とPDA検出器6の内蔵時計64の両方をSNTPサーバが持つ基準時計に対して同期させる構成としてもよい。

図面の簡単な説明

0035

本発明の一実施例によるHPLC分析装置の要部のブロック構成図。
本HPLC分析装置の特徴的な動作を説明するための概略タイミングチャート。

符号の説明

0036

1…溶離液槽
2…送液ポンプ
3…オートサンプラ
4…カラムオーブン
5…分離カラム
6…PDA検出器
61…データ採取部
62…タイムスタンプ部
63…SNTPクライアント機能部
64…内蔵時計
65…保持時間タイマ
66…通信制御部
7…システムコントローラ
71…内蔵時計
72…SNTPサーバ機能部
73…通信制御部
8…ローカルネットワーク

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