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技術 酸化チタン溶液の製造方法および酸化チタン溶液ならびに光触媒コーティング材料

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 田原知之信澤達也
出願日 2004年2月5日 (16年0ヶ月経過) 出願番号 2004-029458
公開日 2005年8月18日 (14年6ヶ月経過) 公開番号 2005-219967
状態 未査定
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 重金属無機化合物(I) 触媒 触媒 顔料、カーボンブラック、木材ステイン 塗料、除去剤
主要キーワード 紫外光量 被コーティング材 不純物アニオン 可視光強度 側壁材 抗菌製品技術協議会 碁盤目テープ試験 衛生処理
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この項目の情報は公開日時点(2005年8月18日)のものです。
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課題

紫外光は勿論のこと、可視光受光によっても光触媒活性発現し、例えば環境浄化機能が要求される屋内向け材料にコーティングするのに好適な光沢度および接着性に優れた酸化チタン溶液の簡便な製造方法および酸化チタン溶液ならびに酸化チタン溶液を用いて作製した光触媒コーティング材料を提供することにある。

解決手段

本発明の酸化チタン溶液の製造方法は、チタン(IV)化合物アンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することを特徴とする。

概要

背景

近年、公害対策や、健康、快適、清潔に対する関心の高まりから、抗菌、消臭、防汚等の機能を持った環境浄化型製品に対する強いニーズがあり、この種の製品光触媒を利用する技術が注目されている。

ここで「光触媒」とは、光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変換する物質のことであり、より具体的には、光エネルギーを吸収すると、励起電子吸着酸素還元して活性酸素種スーパーオキサイドアニオン(・O2-)を生成し、正孔吸着水酸化して活性酸素種の水酸ラジカル(OH・)を生成することにより、光触媒の表面に接触または近傍に位置する有機物などを酸化分解する物質のことをいう。

さらに、光触媒が酸化チタンの場合は、水の接触角が5°以下となる親水性発現することができる。

そして、これらの特性を利用すれば、屋外用途では、都市型汚染の主成分である油分、無機質塵埃カーボン等に対する耐汚染処理や、視認性を確保するための防曇処理屋内用途では、抗菌や消臭等の衛生処理を行うことができる。

現在、実用化されている光触媒のアナターゼ型の酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが3.2eVと大きく、紫外光受光に限って光触媒活性を発現する。ところが、光源となる太陽光蛍光灯光に占める紫外光量はせいぜい3〜4%であり、紫外光の強度は日中の太陽光で1〜2mW/cm2、室内の蛍光灯に至っては数μW/cm2程度にすぎない。

このため、光触媒による光エネルギーの利用は、極めて限定された範囲で行われていると言える。従って、光エネルギーの有効利用を図り、蛍光灯のような環境下でも十分に機能を発揮させるために、可視光も利用できる光触媒の実用化が望まれる。

そこで、可視光応答型の光触媒として、酸素欠陥および窒素ドープしたアナターゼ型酸化チタンが注目されている。

例えば、非特許文献1、2および3は、アナターゼ型酸化チタンに酸素欠陥および窒素ドープを施して、伝導帯価電子帯の間に不純物準位または混成バンドを形成させることにより、可視光の受光でも光触媒活性が発現することを報告している。
S.Sato et al.,Chem.Phys.Lett.,123 126(1986)
I.Nakamura et al.,J.Molecular Cat.A:Chem,161,205(2000)
次雄ら、日本セラミックス協会第15回シンポジウム講演予稿集、56(2002)

非特許文献1では、四塩化チタン(IV)をアンモニア水加水分解して得られる沈殿物酸素中で焼成することにより、また、非特許文献2では、酸化チタンに水素プラズマ処理を施すことにより、そして、非特許文献3では、三塩化チタン(III)を尿素法で加水分解して得られる沈殿物を水熱処理することによって、それぞれ酸素欠陥のある酸化チタンが合成され、このうち、非特許文献1および3の酸化チタンは窒素ドープもされることで、可視光活性が発現すると考えられている。

しかしながら、非特許文献1〜3に記載された光触媒は、何れも粉末として、または気相法を用いて形成した薄膜としてのみ具現化されているため、基材へ簡便に薄膜を形成できる方法については示されていない。

このため、基材へ簡便に薄膜を形成できるコーティング溶液の開発の必要性がある。

そこで、特許文献1は、三塩化チタン(III)や四塩化チタン(IV)などをアンモニア水で加水分解し、その加水分解物大気中で焼成して得られる可視光応答型のアナターゼ型酸化チタン粉末を、カルボン酸系化合物が混合された溶媒中に分散させる方法を提案している。
特開2003−96433号公報

しかしながら、上記方法は、光触媒粉末を合成する工程が別途必要のため、コーティング溶液の製造工程が煩雑になり、また、強固に凝集した焼成物セラミックス)の光触媒粉末を溶媒中で十分に分散させることは難しく、かかるコーティング溶液で形成される被膜バインダー成分を多量に添加しなければ接着性が十分に得られないという問題がある。加えて、上記方法は、焼成により粒子状酸化チタンを生成するための結晶化工程と、生成した粒子状酸化チタンを溶液中に分散させるための分散化工程とを別々に行なう必要があった。

概要

紫外光は勿論のこと、可視光の受光によっても光触媒活性を発現し、例えば環境浄化機能が要求される屋内向け材料にコーティングするのに好適な光沢度および接着性に優れた酸化チタン溶液の簡便な製造方法および酸化チタン溶液ならびに酸化チタン溶液を用いて作製した光触媒コーティング材料を提供することにある。本発明の酸化チタン溶液の製造方法は、チタン(IV)化合物アンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することを特徴とする。なし

目的

本発明の目的は、可視光の受光によっても光触媒活性を発現し、例えば環境浄化機能が要求される屋内向け材料にコーティングするのに好適な接着性および光沢度に優れた酸化チタン溶液の簡便な製造方法および酸化チタン溶液ならびに酸化チタン溶液を用いて作製した光触媒コーティング材料を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

チタン(IV)化合物アンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することを特徴とする酸化チタン溶液の製造方法。

請求項2

チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することにより得られたことを特徴とする酸化チタン溶液。

請求項3

被コーティング材表面に、チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理した酸化チタン溶液を、塗布したのち乾燥させて、光触媒被膜を形成してなることを特徴とする光触媒コーティング材料

技術分野

0001

本発明は、紫外光だけではなく、可視光受光によっても光触媒活性発現し、例えば環境浄化機能が要求される屋内向け材料にコーティングするのに好適な酸化チタン溶液の製造方法および酸化チタン溶液ならびに酸化チタン溶液を用いて作製した光触媒コーティング材料に関するものである。

背景技術

0002

近年、公害対策や、健康、快適、清潔に対する関心の高まりから、抗菌、消臭、防汚等の機能を持った環境浄化型製品に対する強いニーズがあり、この種の製品光触媒を利用する技術が注目されている。

0003

ここで「光触媒」とは、光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変換する物質のことであり、より具体的には、光エネルギーを吸収すると、励起電子吸着酸素還元して活性酸素種スーパーオキサイドアニオン(・O2-)を生成し、正孔吸着水酸化して活性酸素種の水酸ラジカル(OH・)を生成することにより、光触媒の表面に接触または近傍に位置する有機物などを酸化分解する物質のことをいう。

0004

さらに、光触媒が酸化チタンの場合は、水の接触角が5°以下となる親水性を発現することができる。

0005

そして、これらの特性を利用すれば、屋外用途では、都市型汚染の主成分である油分、無機質塵埃カーボン等に対する耐汚染処理や、視認性を確保するための防曇処理屋内用途では、抗菌や消臭等の衛生処理を行うことができる。

0006

現在、実用化されている光触媒のアナターゼ型の酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが3.2eVと大きく、紫外光の受光に限って光触媒活性を発現する。ところが、光源となる太陽光蛍光灯光に占める紫外光量はせいぜい3〜4%であり、紫外光の強度は日中の太陽光で1〜2mW/cm2、室内の蛍光灯に至っては数μW/cm2程度にすぎない。

0007

このため、光触媒による光エネルギーの利用は、極めて限定された範囲で行われていると言える。従って、光エネルギーの有効利用を図り、蛍光灯のような環境下でも十分に機能を発揮させるために、可視光も利用できる光触媒の実用化が望まれる。

0008

そこで、可視光応答型の光触媒として、酸素欠陥および窒素ドープしたアナターゼ型酸化チタンが注目されている。

0009

例えば、非特許文献1、2および3は、アナターゼ型酸化チタンに酸素欠陥および窒素ドープを施して、伝導帯価電子帯の間に不純物準位または混成バンドを形成させることにより、可視光の受光でも光触媒活性が発現することを報告している。
S.Sato et al.,Chem.Phys.Lett.,123 126(1986)
I.Nakamura et al.,J.Molecular Cat.A:Chem,161,205(2000)
次雄ら、日本セラミックス協会第15回シンポジウム講演予稿集、56(2002)

0010

非特許文献1では、四塩化チタン(IV)をアンモニア水加水分解して得られる沈殿物酸素中で焼成することにより、また、非特許文献2では、酸化チタンに水素プラズマ処理を施すことにより、そして、非特許文献3では、三塩化チタン(III)を尿素法で加水分解して得られる沈殿物を水熱処理することによって、それぞれ酸素欠陥のある酸化チタンが合成され、このうち、非特許文献1および3の酸化チタンは窒素ドープもされることで、可視光活性が発現すると考えられている。

0011

しかしながら、非特許文献1〜3に記載された光触媒は、何れも粉末として、または気相法を用いて形成した薄膜としてのみ具現化されているため、基材へ簡便に薄膜を形成できる方法については示されていない。

0012

このため、基材へ簡便に薄膜を形成できるコーティング溶液の開発の必要性がある。

0013

そこで、特許文献1は、三塩化チタン(III)や四塩化チタン(IV)などをアンモニア水で加水分解し、その加水分解物大気中で焼成して得られる可視光応答型のアナターゼ型酸化チタン粉末を、カルボン酸系化合物が混合された溶媒中に分散させる方法を提案している。
特開2003−96433号公報

0014

しかしながら、上記方法は、光触媒粉末を合成する工程が別途必要のため、コーティング溶液の製造工程が煩雑になり、また、強固に凝集した焼成物セラミックス)の光触媒粉末を溶媒中で十分に分散させることは難しく、かかるコーティング溶液で形成される被膜バインダー成分を多量に添加しなければ接着性が十分に得られないという問題がある。加えて、上記方法は、焼成により粒子状酸化チタンを生成するための結晶化工程と、生成した粒子状酸化チタンを溶液中に分散させるための分散化工程とを別々に行なう必要があった。

発明が解決しようとする課題

0015

本発明の目的は、可視光の受光によっても光触媒活性を発現し、例えば環境浄化機能が要求される屋内向け材料にコーティングするのに好適な接着性および光沢度に優れた酸化チタン溶液の簡便な製造方法および酸化チタン溶液ならびに酸化チタン溶液を用いて作製した光触媒コーティング材料を提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

上記目的を達成するため、本発明の酸化チタン溶液の製造方法は、チタン(IV)化合物アンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することにある。

0017

また、本発明の酸化チタン溶液は、チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することにより得られたものである。

0018

さらに、本発明の光触媒コーティング材料は、被コーティング材表面に、チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理した酸化チタン溶液を、塗布したのち乾燥させて、光触媒被膜を形成したものである。

発明の効果

0019

本発明によれば、紫外光は勿論のこと、可視光の受光によっても、光触媒活性を発現する光触媒コーティング材料、酸化チタン溶液および酸化チタン溶液の製造方法を提供することが可能になった。従って、本発明の光触媒コーティング材料は、これまで紫外光が不足していた室内などの白熱灯や蛍光灯の環境下においても十分に光触媒機能を発揮することができ、内装材側壁材、具体的にはトイレ医療施設食品工場厨房会議室地下通路トンネルなど、幅広い用途に使用することができる。また、本発明の酸化チタン溶液の製造方法を用いれば、気相法のように高価な装置を用いなくても光触媒を簡便に製造することができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の酸化チタン溶液の製造方法は、チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られた水酸化チタンを含有する溶液を、好ましくは常圧下において、該溶液の沸点以下の温度で加熱処理することにより、酸化チタンを結晶化するとともに、窒素をドープし、溶液中に分散しやすく(高分散性)なるように改質するものである。

0021

また、本発明の酸化チタン溶液は、この製造方法により得られたものである。

0022

そして、上記溶液中に含まれる酸化チタンは、その結晶相が主にアナターゼ型であり、さらに、かかる酸化チタン溶液を用いて光触媒被膜を形成して光触媒コーティング材料を作製した場合には、光触媒被膜は、光沢があり、かつ被コーティング材表面に対し接着性に優れているという特徴をもつ。また、酸化チタン溶液の溶媒を蒸発させて取り出した酸化チタンの粉末は、250℃までの乾燥では淡いクリーム色、300℃以上の熱処理で淡黄色〜黄色を呈する。また、本発明での酸化チタン溶液は、酸化チタンを含有する液体であればよく、コロイド溶液スラリー液、分散液、水溶液のいずれであってもよい。

0023

上記チタン(IV)化合物は、後述するようにアンモニア水溶液との反応により水酸化チタンを生成し、溶液中で加熱処理することにより、結晶化および分散化するものであれば特に限定されないが、好ましくは、不純物アニオン除去性や酸化チタンヘの改質反応性が良く、さらには取り扱いおよび入手が容易なものである。例えば、チタン(IV)化合物の無機塩としては、四塩化チタン、硫酸チタン硫酸チタニル蓚酸チタンアンモニウムヘキサフルオロチタン酸アンモニウムなどであり、また、チタン(IV)化合物のアルコキシドとしては、チタンメトキシド、チタンエトキシドチタンイソプロポキシド、チタンn−ブトキシドなどであり、特に好ましくは四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルより選ばれた1種以上である。また、上記のチタン(IV)化合物に、酸化チタン溶液の分散性が損なわれない程度にチタン(III)塩を混合することも出来る。チタン(III)塩としては、三塩化チタン、第一硫酸チタン、TiOまたはTi2O3の硫酸への溶解物などである。

0024

上記チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られるのは、酸化チタンの前駆体である水酸化チタンである。この反応で生成する不純物洗浄により除去することが好ましい。

0025

生成する水酸化チタンに不要な金属イオンや有機物を極力残留させないため、および後述の可視光応答化の改質に必要なアンモニウムイオンを水酸化チタンに吸着、または結合させるため、アンモニア水溶液としては、アンモニアを直接溶解した水溶液、または熱分解でアンモニアを生成する尿素などの化合物を含む水溶液を用いることができる。

0026

ここで、アンモニア水溶液を用いる一例を挙げる。アンモニア水溶液は、チタン(IV)化合物の加水分解を完全に行い、さらに不純物であるチタン(IV)化合物の構成アニオンを効率よく除去するために過剰に添加する。例えば、四塩化チタンを32質量%、塩酸を7質量%含む水溶液100g(Ti(IV)として0.17モル含有)に対しては、アンモニアを28質量%含むアンモニア水溶液を、55g(NH3として0.9モル含有)以上、好ましくは60g(NH3として1モル含有)以上混合する。

0027

次いで、上記で生成した水酸化チタンを含む沈殿物から、洗浄により不純物を取り除く。かかる洗浄方法は、特に限定されず、例えばデカンテーション遠心分離濾過などで洗浄を行えばよい。

0028

かかる洗浄は、チタン(IV)化合物を過剰のアンモニア水溶液と反応させた場合、好ましくは洗浄に用いた後の洗浄液のpHが8〜10になるまで行う。上記洗浄液のpHが8〜10であれば、後述の改質処理および酸化チタンの光触媒活性に対する悪影響が無視できるレベルまで、前記反応時に生成する不純物塩などを除去できる。一方、pHが10を超えた状態で洗浄を終了させてしまうと、不純物塩が多く残留して、酸化チタンの結晶化および分散化を阻害したり、光触媒の活性を低下させるおそれがある。また、洗浄をpHが8未満となるまで行うと、残留アンモニウムイオンが不足し、後述の改質処理後において分散性および可視光応答性が低下する場合があるので好ましくない。

0029

チタン(IV)化合物とアンモニア水溶液との反応により得られる水酸化チタンは、酸化チタン溶液1kgあたり、0.01〜2モル含むように調整することが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1モルである。0.01モルより少ないと、後述の光触媒被膜の形成が容易でなくなるからであり、2モルより多いと酸化チタンの分散化が不十分となる場合がある。

0030

なお、本発明の酸化チタン溶液に用いる溶媒としては、水または有機溶媒であり、好ましくは水およびアルコールである。

0031

また、本発明では、上記水酸化チタンを含む溶液を、常圧下における溶液の沸点以下、好ましくは70℃〜沸点(水溶媒の場合は約100℃)で加熱処理することが必要である。

0032

この改質処理により、水酸化チタンに吸着または結合しているアンモニウムイオンの一部は、水酸化チタンが結晶化する際に構造中の酸素を引き抜いたり、或いは窒素をドープして可視光に応答する酸化チタンヘ改質される。加熱処理温度は、水熱処理のような沸点を超える加熱処理では上記改質に作用するアンモニウムイオンが酸化チタンから抜けやすくなり、光触媒の可視光応答性が低下する。一方、70℃未満では酸化チタンへの結晶化および分散化が起こりにくくなる傾向がある。

0033

また、加熱処理時間としては30分間以上、好ましくは1〜10時間である。加熱処理時間が30分間より短いと、酸化チタンヘの結晶化および溶液中への酸化チタンの分散化の反応が十分進行しない傾向があり、一方、加熱処理時間が10時間より長くしても、上記反応が十分進行しているため、光触媒活性の向上効果はさほど期待できない。

0034

また、アンモニウムイオンを上記水酸化チタン溶液に適量を共存させると、改質した酸化チタンの可視光活性の向上、および分散性が向上するため、アンモニウムイオンを溶液中に含有させることが好ましい。

0035

上記水酸化チタン溶液中へのアンモニウムイオンの供給方法は、アンモニア水溶液、熟分解でアンモニアを発生する尿素などを上記溶液に直接添加するか、または、上記水酸化チタンの洗浄を洗浄に用いた後の洗浄液のpHが8〜10の範囲で調整してアンモニウムイオンを残留させる。アンモニウムイオンの濃度は、加熱処理前の水酸化チタンを含む溶液のpHで間接的に表わすと、好ましくはpH8〜14である。

0036

また、本発明により得られる改質後の酸化チタンの結晶相は、チタン(IV)化合物を主原料としているため、何れもほぼアナターゼ型の単一相を生成する。

0037

このようにして得られた酸化チタン溶液を被コーティング材に塗布したのち乾燥させて、光触媒被膜を形成することにより、本発明の光触媒コーティング材料が得られる。

0038

次に、酸化チタン溶液をコーティング溶液として用い、被コーティング材(基材)に塗布し、光触媒被膜を形成する方法について、以下で具体的に説明する。

0039

本発明で使用する基材としては、セラミックス、タイルコンクリートガラスおよび煉瓦などの無機材料アルミニウム板ステンレス鋼板琺瑯鋼板、各種メッキ鋼板化成処理鋼板および塗装鋼板などの金属材料アクリルおよびポリカーボネートなどの樹脂が挙げられるが、これらだけには限定されない。基材の形状としては、例えば、ブロック、シートフィルム構造材などが挙げられるが、これらだけには特に限定されない。加えて、基材の大きさや厚さ等も特に限定されない。

0040

基材への被膜の形成方法は、本発明の酸化チタン溶液を、酸化チタンとして0.1〜10質量%、好ましくは、0.5〜5質量%に調整し、通常、スプレーディップ刷毛などにより基材に塗布後、乾燥させて光触媒被膜を形成させる。

0041

また、本発明の酸化チタン溶液にコロイダルシリカ溶液ペルオキソチタン酸溶液金属キレート溶液、ジルコニル溶液などのバインダーを添加して被膜の硬さおよび接着を向上させてもよい。

0042

次いで、上記乾燥後の光触媒被膜を加熱し、基材への接着、および酸化チタンに吸着または結合している残留アンモニウムイオンにより酸化チタンの酸素を引き抜いたり窒素をドープして可視光応答性を強化することが好ましい。

0043

光触媒被膜の膜厚は、好ましくは0.01〜1μmであり、より好ましくは0.05〜0.5μmである。膜厚が0.01μm未満だと、光触媒被膜の形成が難しく、さらに光の吸収効率が低下するため、光触媒活性が有効に発揮できないおそれがあるからである。一方、1μmを超えると、乾燥時や加熱処理後の冷却時に光触媒被膜にクラック剥落を生じるおそれがあるからである。

0044

乾燥後の光触媒被膜の加熱条件は、100〜600℃で1〜60分間行い、好ましくは200〜500℃で2〜30分間である。100℃未満であると、基材表面に対する光触媒被膜の接着性が弱いため欠落するおそれがあり、600℃を超えると、酸化チタンの結晶子成長が促進され光触媒活性が低下したり、特に大気中などの酸化性雰囲気では酸化チタンに形成した酸素欠陥やドープした窒素が酸化により減少して可視光応答性が低下するおそれがあるからである。加熱時間は1分間未満であると、十分に加熱することができず基材表面に対する光触媒被膜の接着性が弱いため剥離しやすく、60分間よりも長いと、結晶子が成長して光触媒活性が低下したり、また生産性が悪くなる傾向があるからである。

0045

次に本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0046

(実施例1)
四塩化チタン32質量%、塩酸7質量%を含む四塩化チタン水溶液15.0g(Ti(IV)として0.025モル含有)に、アンモニアを14質量%含むアンモニア水溶液を40g(NH3として0.33モル含有)混合して水酸化チタンを沈殿させ、次いで遠心分離器にて沈殿物を分離した。上澄み液を除去したあと蒸留水を添加しながら攪拌し、遠心分離器にて沈殿物を分離する洗浄操作を、さらに2回繰り返した。2回目の洗浄後の洗浄液のpHは9.5であった。洗浄を終えた水酸化物丸底フラスコの中に移し、蒸留水を加えて全量を200gとして、酸化チタンとして1質量%(酸化チタン溶液1kgに対し0.125モル)含むように調整した。このとき、溶液のpHは9であった。この溶液を撹拌しながら沸点で加熱処理(約100℃で還流)を5時間行った。酸化チタン溶液は乳白色を呈し、コロイド状であり、pHは8であった。
上記酸化チタン溶液をAlメッキ琺瑯鋼板(JFE建材(株)製:K−FLEX)にスプレーで塗布し、乾燥したのち大気中で400℃、5分間加熱処理を行うことによって光触媒コーティング材料を作製し、評価用供試材とした。このとき、光触媒被膜はアナターゼ型の単一相であり、平均膜厚は0.3μmであった。光触媒被膜の特性を下記に示す方法で測定、評価した。その評価結果を表1に示す。

0047

(実施例2)
実施例1において、四塩化チタン水溶液の代わりに、硫酸チタン40質量%、硫酸30質量%を含む硫酸チタン水溶液15.0g(Ti(IV)として0.025モル含有)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法にて酸化チタン溶液および光触媒コーティング材料を得た。このとき、酸化チタン溶液は乳白色の懸濁状で、光触媒被膜はアナターゼ型の単一相であり、平均膜厚は0.3μmであった。光触媒被膜の特性の評価結果を表1に示す。

0048

(実施例3)
実施例1において、四塩化チタン水溶液の代わりに、硫酸チタニル水和物:TiOSO4・nH2O(n=1.1)4.5g(Ti(IV)として0.025モル含有)を蒸留水50gに溶解した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法にて酸化チタン溶液および光触媒コーティング材料を得た。このとき、酸化チタン溶液は乳白色のコロイド状で、光触媒被膜はアナターゼ型の単一相であり、平均膜厚は0.3μmであった。光触媒被膜の特性の評価結果を表1に示す。

0049

(実施例4)
実施例1において、四塩化チタン水溶液の代わりに、チタンイソプロポキシド7.2g(Ti(IV)として0.025モル含有)をイソプロパノール20gに溶解したアルコール溶液を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法にて酸化チタン溶液および光触媒コーティング材料を得た。このとき、酸化チタン溶液は乳白色の懸濁状で、光触媒被膜はアナターゼ型の単一相であり平均膜厚は0.3μmであった。光触媒被膜の特性の評価結果を表1に示す。

0050

(実施例5)
硫酸チタニル水和物:TiOSO4・nH2O(n=1.1)4.5gを蒸留水50g(Ti(IV)として0.025モル含有)に溶解した水溶液に、アンモニアを14質量%含むアンモニア水溶液を40g(NH3として0.33モル含有)混合して水酸化チタンを沈殿させ、次いで遠心分離器にて沈殿物を分離した。上澄み液を除去したあと蒸留水を添加しながら攪拌し、遠心分離器にて沈殿物を分離する洗浄操作を、さらに2回繰り返した。2回目の洗浄後の洗浄液のpHは9.5であった。洗浄を終えた水酸化物を丸底フラスコの中に移し、エタノールを加えて全量を200gとして、酸化チタンとして1質量%(酸化チタン溶液1kgに対し0.125モル)含むように調整した。このとき、溶液のpHは9であった。この溶液を攪拌しながら沸点で加熱処理(約80℃で還流)を5時間行った。酸化チタン溶液は乳白色を呈し、コロイド状であり、pHは8であった。さらに、実施例1と同じ方法にて光触媒コーティング材料を得た。このとき、光触媒被膜はアナターゼ型の単一相であり、平均膜厚は0.3μmであった。光触媒被膜の特性の評価結果を表1に示す。

0051

(比較例1)
三塩化チタン12質量%、塩酸3.5質量%を含む三塩化チタン水溶液32.2g(Ti(IV)として0.025モル含有)に、アンモニアを14質量%含むアンモニア水溶液を40g(NH3として0.33モル含有)混合して水酸化チタンを沈殿させ、次いで遠心分離器にて沈殿物を分離した。上澄み液を除去したあと蒸留水を添加し、さらに遠心分離器にて沈殿物を分離する洗浄操作を2回繰り返した。2回目の洗浄後の洗浄液のpHは9.5であった。洗浄を終えた水酸化物は丸底フラスコの中に移し、蒸留水を加えて全量を200gとし、酸化チタンとして1質量%(酸化チタン溶液1kgに対し0.125モル)含むように調整した。このとき、溶液のpHは9であった。この溶液を攪拌しながら沸点で加熱処理(約100℃で還流)を5時間行った。加熱終了直後の溶液は紺色スラリーであり、pHは8であった。また、この溶液は数十分間で酸化チタン成分が沈降し、光触媒被膜を形成することができなかった。なお、溶液中の酸化チタンは、結晶相ではなくアモルファス相であった。

0052

(比較例2)
四塩化チタン32質量%、塩酸7質量%を含む四塩化チタン水溶液15.0g(Ti(IV)として0.025モル含有)に、アンモニアを14質量%含むアンモニア水溶液を40g(NH3として0.33モル含有)混合して水酸化チタンを沈殿させ、次いで遠心分離器にて沈殿物を分離した。上澄み液を除去したあと蒸留水を添加し、さらに遠心分離器にて沈殿物を分離する洗浄操作を2回繰り返した。2回目の洗浄後の洗浄液のpHは9.5であった。洗浄を終えた水酸化物は丸底フラスコの中に移し、蒸留水を加えて全量を150gとした。この溶液に、過酸化水素を30質量%含む水溶液を50g加え、冷却しながら水酸化チタンを溶解して、酸化チタンとして1質量%(酸化チタン溶液1kgに対し0.125モル)含むようにペルオキソチタン酸溶液を調整した。この溶液のpHは6であった。さらにこの溶液を攪拌しながら沸点で加熱処理(約100℃で還流)を5時間行った。酸化チタン溶液は透明感のある淡黄色を呈し、コロイド状であり、pHは8であった。光触媒コーティング材料は、実施例1と同じ方法にて作製し、光触媒被膜はアナターゼ型の単一相であり、平均膜厚は0.3μmであった。光触媒被膜の特性の評価結果を表1に示す。

0053

試験方法
次に、作製した酸化チタン溶液における、溶液状態、酸化チタンの分散性および結晶性、光触媒コーティング材料における、光触媒被膜の基材に対する接着性、光触媒活性および鏡面光沢度について評価した。

0054

1.酸化チタン溶液における溶液外観
酸化チタン溶液における溶液状態は、酸化チタン溶液を透明ガラス製の試験管に注ぎ、目視により観察した。

0055

2.酸化チタン溶液における酸化チタンの分散性
酸化チタン溶液における酸化チタンの分散性は、酸化チタン溶液を透明ガラス製の試験管に、その底部より10cmの高さまで注いで栓をし、1週間放置後の上澄み部分の長さが3mm以内であれば分散性が良好と判断した。

0056

3.酸化チタン溶液における酸化チタンの結晶相
酸化チタン溶液における酸化チタンの結晶相は、酸化チタン溶液を乾燥させて取り出した粉末を、粉末X線回折装置(理学電機RINT2000)により測定し、評価した。

0057

4.被膜接着性
JIS K 5400−1990の8.5.2碁盤テープ法に準拠した碁盤目テープ試験(碁盤目数100)により評価した。碁盤目剥離試験は、カッターで供試材の基板(基材)に達する深さの切り目を、隙間間隔1mm、升目100の碁盤目に形成し、この碁盤目にセロハン粘着テープを貼り付け、該テープを瞬間的に剥がしたあとの供試材に残存する被膜の碁盤目数をカウントし、このカウント数が、95個以上を合格として、被膜接着性を評価した。

0058

5.光触媒活性評価のための抗菌試験
抗菌製品技術協議会抗菌製品抗菌力評価試験法に記載された光照射フィルム密着法に準じて抗菌力を評価した。5cm×5cmサイズの供試材上に、菌濃度1.5×106個/mlの菌液を0.1ml接種したあと、ポリエチレンフィルムを被せて密着させ、これを透明シャーレ内にセットして、温度25℃、相対湿度90%以上の条件下で蓋をし、紫外光カットフィルム(富士写真フィルム(株)製:商品名「UV Guard」)を装着させた白色蛍光灯可視光強度が80μW/cm2(MINOLTA製:受光部UM400を装着した光強度計UM-10で測定)の可視光を24時間照射、あるいは、暗所にて24時間放置した。その後、生理食塩水で供試材から生残菌を洗い出し、NA培地標準寒天培地)にて35℃、24時間培養し、生菌数を測定した。抗菌力は、生菌数が供試材1枚当り10個未満を合格とした。菌は黄色葡萄球菌IFO12732を使用した。なお、このとき紫外光強度は0μW/cm2(MINOLTA製:受光部UM-360を装着した光強度計UM-10で測定)であった。

0059

6.鏡面光沢度測定
JIS Z 8741-1997の鏡面光沢度−測定方法に準拠して、被膜の鏡面光沢度を光沢計(日本電色工業(株)製:VG−2000型)を用いて供試材の45度鏡面光沢を測定し、評価した。

0060

0061

表1に示す結果から、上記試験条件では、実施例1〜5は、何れも基材への接着性、および可視光の受光によって光触媒活性を表す指標である抗菌力に優れており、加えて、鏡面光沢度が琺瑯素材と同等レベルのものが得られた。
一方、比較例1は、光触媒被膜を形成するためのコーティング溶液としての酸化チタン溶液が得られず、被膜の形成ができないため、抗菌試験の実施ができなかった。また、比較例2は、鏡面光沢度は琺瑯素材と同等レベルであるが可視光を受光しても光触媒活性が十分に発現されていない。

0062

本発明によれば、紫外光は勿論のこと、可視光の受光によっても、光触媒活性を発現する光触媒コーティング材料および酸化チタン溶液の製造方法を提供することが可能になる。従って、本発明の光触媒コーティング材料は、これまで紫外線が不足していた室内などの白熱灯や蛍光灯の環境下においても十分に光触媒機能を発揮することができ、内装材や側壁材、具体的にはトイレ、医療施設、食品工場、厨房、会議室、地下通路、トンネルなど、幅広い用途に使用することができる。また、本発明の酸化チタン溶液の製造方法を用いれば、気相法のように高価な装置を用いなくても光触媒を簡便に製造することができる。

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