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技術 筆跡消去液並びに筆記具セット及び筆記/消去方法

出願人 株式会社パイロットコーポレーション
発明者 飯塚幹夫
出願日 2003年12月26日 (18年0ヶ月経過) 出願番号 2003-432637
公開日 2005年7月14日 (16年5ヶ月経過) 公開番号 2005-187707
状態 特許登録済
技術分野 兼用筆記具 製図用具、黒板 ペン・筆 塗料、除去剤
主要キーワード 還元脱色 ウォッシャブル pH測定 アミン比率 消去システム 筆記システム 還元性硫黄化合物 浸透拡散
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年7月14日)のものです。
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課題

発色のよい筆記用インキにより良好に筆記された筆跡消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、重金属類などを含まない安全性に優れた、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記することが可能な筆跡消去液を提供すること。

解決手段

還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキで筆記された筆跡を消去するための消去液を還元性硫黄化合物と再発色防止剤と水から少なくともなることを特徴とする再筆記可能な筆跡消去液とした。

概要

背景

従来、筆記用インキ消去液としては、特開昭53−65123号に提案されているような塩基性染料着色材として用いた筆記用インキにて筆記された筆跡消去するための亜硫酸還元剤による消去液が知られている。しかしながら、着色材として塩基性染料は水溶性消去性に難があり、良好な消去可能な筆記用インキとしてはなり得なかった。また、従来の消去液では、消去後の再筆記性が不十分であることや再発色の課題があるなどの問題を有していた。

一方、トリアリルメタン酸性染料などの還元性硫黄化合物により脱色可能な染料は従来より筆記用インキに使用されており、これを消去するための消去具も既に市販されている。上記染料は消去性が良く、水溶性も良好なため、ウォッシャブルインキとして使用されることがある上、消去するための筆記用インキとしても好適に用いられる。しかし、これらの消去具は消去した後に同一インキでの再筆記ができないため、再筆記するために該消去具で消去されない再筆記用インキを別途用意する必要があった。

この課題に対して同一インキを用いて消去・再筆記するための技術の提案がされている。USP4,213,717、USP4,228,028、EP0,032,652ではトリアリルメタン系染料、すなわち還元性硫黄化合物により脱色可能な染料であるC.I.Acid Blue 22、93等を筆記用インキの染料に用い、これを消去するための消去剤としてアミンが開示されている。しかしながら、これらの技術はアミンを活性にするために強塩基の併用が必須であり、消去液が強アルカリ性となるため消去時に用紙に損傷を与えてしまい、再筆記できないという課題を有していた。

また、USP5,006,171では、これらの課題を解決する目的で、消去剤として還元性硫黄化合物を用いたものであるが、強塩基を併用せずに長期間の保存安定性を改善するためにソルビット等の糖アルコールを多量に添加する方法が提案されている。この発明においては強塩基を使用しないため、用紙の損傷を軽減することができるが、保存安定性を得るために数十%という大量の糖アルコールを添加する必要があり、その結果、消去液の粘度が高くなる、低温析出が発生する等、消去液の物性としてはふさわしくなかった。

また、USP5,378,752では、亜硫酸系還元剤を用いた消去システムにおいて消去液にフィルム形成ポリマーを含有し消去時の用紙の損傷を軽減する方法が提案されているが、この発明では消去した文字が経時的に再発色するという課題を有していた。

さらに、USP5,649,999ではアミンと接触すると脱色する筆記用インキを用い、消去剤としてアミン水溶液を用いる消去・再筆記システムの提案がされているが、これは再筆記を可能にする為にアミンと結合する水溶性の重金属塩を筆記用インキ中に添加するものであり、重金属塩を使用することは安全性の面よりも好ましくない。

以上、これらの背景技術では、消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記可能な筆跡消去液に関し、満足する提案はなされていなかった。

特開昭53−65123号公報
USP4,213,717
USP4,228,028
EP0,032,652
USP5,006,171
USP5,378,752
USP5,649,999

概要

発色のよい筆記用インキにより良好に筆記された筆跡の消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、重金属類などを含まない安全性に優れた、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記することが可能な筆跡消去液を提供すること。還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキで筆記された筆跡を消去するための消去液を還元性硫黄化合物と再発色防止剤と水から少なくともなることを特徴とする再筆記可能な筆跡消去液とした。 なし

目的

発色のよい筆記用インキにより良好に筆記された筆跡の消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、重金属類などを含まない安全性に優れた、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記することが可能な筆跡消去液並びに筆記具セット及び筆記/消去方法を提供することを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段を提案するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキ筆記された筆跡消去するための消去液であって、前記、消去液が還元性硫黄化合物と再発色防止剤と水から少なくともなることを特徴とする、再筆記可能な筆跡消去液

請求項2

前記、消去液中への還元性硫黄化合物および再発色防止剤の配合量が各々、還元性硫黄化合物0.05〜3質量%、再発色防止剤0.3〜4質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の筆跡消去液。

請求項3

前記、筆跡消去液に再筆記付与剤を添加したことを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載の筆跡消去液。

請求項4

前記、再筆記付与剤がアルカリ可溶性アクリル酸系ポリマーであることを特徴とする、請求項3に記載の筆跡消去液。

請求項5

前記、筆跡消去液に酸化防止剤を添加したことを特徴とする、請求項1ないし4の何れかに記載の筆跡消去液。

請求項6

前記、酸化防止剤がトリエタノールアミングリセリンから選択された1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の筆跡消去液。

請求項7

前記、筆跡消去液のpHを10〜12に調整したことを特徴とする、請求項1ないし6の何れかに記載の筆跡消去液。

請求項8

前記、還元性硫黄化合物により脱色可能な染料がトリアリルメタン酸性染料であることを特徴とする、請求項1ないし7の何れかに記載の筆跡消去液。

請求項9

前記、トリアリルメタン系酸性染料がC.I.Acid Blue93、C.I.Acid Blue93:1、C.I.Acid Blue22であることを特徴とする、請求項8に記載の筆跡消去液。

請求項10

還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキを充填した筆記具と、請求項1ないし9に記載の筆跡消去液とから少なくともなる、筆記具セット

請求項11

還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキにより筆記した筆跡を、請求項1ないし9に記載の筆跡消去液を用いて消去し、さらに同上の筆記用インキを用いて再度同一箇所に筆記を行うことを特徴とする、筆記/消去方法

技術分野

0001

本発明は、還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキ筆記された筆跡消去するための消去液等に関し、さらに詳しくは、消去性がよく、その消去状態経時変化を起こしにくく、消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記可能な筆跡消去液並びに筆記具セット及び筆記/消去方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、筆記用インキの消去液としては、特開昭53−65123号に提案されているような塩基性染料着色材として用いた筆記用インキにて筆記された筆跡を消去するための亜硫酸還元剤による消去液が知られている。しかしながら、着色材として塩基性染料は水溶性、消去性に難があり、良好な消去可能な筆記用インキとしてはなり得なかった。また、従来の消去液では、消去後の再筆記性が不十分であることや再発色の課題があるなどの問題を有していた。

0003

一方、トリアリルメタン酸性染料などの還元性硫黄化合物により脱色可能な染料は従来より筆記用インキに使用されており、これを消去するための消去具も既に市販されている。上記染料は消去性が良く、水溶性も良好なため、ウォッシャブルインキとして使用されることがある上、消去するための筆記用インキとしても好適に用いられる。しかし、これらの消去具は消去した後に同一インキでの再筆記ができないため、再筆記するために該消去具で消去されない再筆記用インキを別途用意する必要があった。

0004

この課題に対して同一インキを用いて消去・再筆記するための技術の提案がされている。USP4,213,717、USP4,228,028、EP0,032,652ではトリアリルメタン系染料、すなわち還元性硫黄化合物により脱色可能な染料であるC.I.Acid Blue 22、93等を筆記用インキの染料に用い、これを消去するための消去剤としてアミンが開示されている。しかしながら、これらの技術はアミンを活性にするために強塩基の併用が必須であり、消去液が強アルカリ性となるため消去時に用紙に損傷を与えてしまい、再筆記できないという課題を有していた。

0005

また、USP5,006,171では、これらの課題を解決する目的で、消去剤として還元性硫黄化合物を用いたものであるが、強塩基を併用せずに長期間の保存安定性を改善するためにソルビット等の糖アルコールを多量に添加する方法が提案されている。この発明においては強塩基を使用しないため、用紙の損傷を軽減することができるが、保存安定性を得るために数十%という大量の糖アルコールを添加する必要があり、その結果、消去液の粘度が高くなる、低温析出が発生する等、消去液の物性としてはふさわしくなかった。

0006

また、USP5,378,752では、亜硫酸系還元剤を用いた消去システムにおいて消去液にフィルム形成ポリマーを含有し消去時の用紙の損傷を軽減する方法が提案されているが、この発明では消去した文字が経時的に再発色するという課題を有していた。

0007

さらに、USP5,649,999ではアミンと接触すると脱色する筆記用インキを用い、消去剤としてアミン水溶液を用いる消去・再筆記システムの提案がされているが、これは再筆記を可能にする為にアミンと結合する水溶性の重金属塩を筆記用インキ中に添加するものであり、重金属塩を使用することは安全性の面よりも好ましくない。

0008

以上、これらの背景技術では、消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記可能な筆跡消去液に関し、満足する提案はなされていなかった。

0009

特開昭53−65123号公報
USP4,213,717
USP4,228,028
EP0,032,652
USP5,006,171
USP5,378,752
USP5,649,999

発明が解決しようとする課題

0010

発色のよい筆記用インキにより良好に筆記された筆跡の消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、重金属類などを含まない安全性に優れた、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記することが可能な筆跡消去液並びに筆記具セット及び筆記/消去方法を提供することを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段を提案するものである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、鋭意研究の結果、上記課題を解決するために、還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキを用い、発色よく良好に筆記した後に、安全かつ安定的にその筆跡を消去するために還元性硫黄化合物と再発色防止剤と水などから少なくともなる筆跡消去液を用いることなどで、本発明の再筆記可能な筆跡消去液並びに筆記具セット及び筆記/消去方法を完成した。
すなわち、本発明は、
「1.還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキで筆記された筆跡を消去するための消去液であって、前記、消去液が還元性硫黄化合物と再発色防止剤と水から少なくともなることを特徴とする、再筆記可能な筆跡消去液。
2.前記、消去液中への還元性硫黄化合物および再発色防止剤の配合量が各々、還元性硫黄化合物0.05〜3質量%、再発色防止剤0.3〜4質量%であることを特徴とする、第1項に記載の筆跡消去液。
3.前記、筆跡消去液に再筆記付与剤を添加したことを特徴とする、第1項または第2項の何れかに記載の筆跡消去液。
4.前記、再筆記付与剤がアルカリ可溶性アクリル酸系ポリマーであることを特徴とする、第3項に記載の筆跡消去液。
5.前記、筆跡消去液に酸化防止剤を添加したことを特徴とする、第1項ないし第4項の何れかに記載の筆跡消去液。
6.前記、酸化防止剤がトリエタノールアミングリセリンから選択された1種又は2種以上であることを特徴とする、第5項に記載の筆跡消去液。
7.前記、筆跡消去液のpHを10〜12に調整したことを特徴とする、第1項ないし第6項の何れかに記載の筆跡消去液。
8.前記、還元性硫黄化合物により脱色可能な染料がトリアリルメタン系酸性染料であることを特徴とする、第1項ないし第7項の何れかに記載の筆跡消去液。
9.前記、トリアリルメタン系酸性染料がC.I.Acid Blue93、C.I.Acid Blue93:1、C.I.Acid Blue22であることを特徴とする、第8項に記載の筆跡消去液。
10.還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキを充填した筆記具と、第1項ないし第9項に記載の筆跡消去液とから少なくともなる、筆記具セット。
11.還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキにより筆記した筆跡を、第1項ないし第9項に記載の筆跡消去液を用いて消去し、さらに同上の筆記用インキを用いて再度同一箇所に筆記を行うことを特徴とする、筆記/消去方法。」に関する。

発明の効果

0012

上記、消去液等によれば、発色のよい筆記用インキにより良好に筆記された筆跡の消去性がよく、その消去状態が安定で経時変化を起こしにくく、消去液自体も安定で、重金属類などを含まない安全性に優れた、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記することが可能な筆跡消去液並びに筆記具セット及び筆記/消去方法を得ることができる優れた効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、トリアリルメタン系酸性染料などの還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキを用い、発色よく良好に筆記した後に、本発明の筆跡消去液を用いることで消去及び同一筆記用インキによる再筆記が可能となる筆跡の消去液等として非常に有用である。

0014

本発明において、筆跡の消去および同一インキによる再筆記が可能な機構としては、以下のように示すことができる。第1に当該染料で筆記された筆跡を水を多量に含む消去液中に再溶解させ、染料を溶出させる過程、第2に再溶解させた当該染料を消去液中の還元性硫黄化合物と反応させ脱色する過程、第3に消去液を用紙中拡散浸透させる過程を経て筆跡の良好な消去および消去状態の安定的な維持が行われる。

0015

ここで、筆記用インキの着色材としては、トリアリルメタン系酸性染料などの還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いる。該染料は、筆記用インキに用いた際に発色よく良好に筆記することができるのはもちろんのこと、水への溶解性が極めてよいので、上記第1の段階での消去液への溶出がより効率的に行われる。さらに第3の段階での還元性硫黄化合物との反応性に富み、より短時間で消去することができるなどの利点が多い。このような染料としては、例えば、C.I.Acid Blue 22、93、93:1等が挙げられる。

0016

本発明では、筆跡を消去するため、消去液中に筆記用インキ中に存在するトリアリルメタン系酸性染料など染料と反応する還元性硫黄化合物を配合する。還元性硫黄化合物は筆記用インキ中の染料と反応し、還元作用により当該染料を脱色する化合物で、例えば、亜硫酸ナトリウム亜硫酸カリウム亜硫酸水素ナトリウム亜硫酸水素カリウム等の亜硫酸塩亜二チオン酸塩ロンガリットホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水塩)、ピロ亜硫酸塩等の硫黄化合物が挙げられる。

0017

本発明では、良好な再筆記性の付与を考慮するため、消去液中の還元性硫黄化合物の濃度を可能な限り希薄な状態で使用することで、消去後の用紙上に残存する還元性硫黄化合物濃度を可能な限り希薄な状態に設計する。その結果、同一筆記用インキで再筆記した際もわずかな濃度低下で抑えられるため、実質的に再筆記が可能となるのである。
消去液中への還元性硫黄化合物の配合量は使用する還元性硫黄化合物により異なるが0.05〜3質量%、好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%の範囲で使用可能である。配合量がこの範囲を上回ると筆跡を消去させる機能として過剰になり、消色後の再筆記時に残存した還元性硫黄化合物の影響で再筆記した筆跡が消色され、濃度損失が大きくなるので好ましくなく、この範囲を下回ると十分な消去性を得ることができにくくなる傾向になり好ましくない。

0018

本発明は、消去跡の安定性、すなわち再発色防止性能も優れている。消去剤として使用する還元性硫黄化合物は、用紙上では大気により酸化され、経時的に還元力消失する。このため還元性硫黄化合物により還元脱色された当該染料が大気により酸化され発色状態となり、再発色を生ずることがある。そこで再発色防止のため、消去跡を還元雰囲気に保持する。本発明では消去跡の還元雰囲気を保つため、再発色防止剤を配合する。再発色防止剤は、還元性硫黄化合物に比べて消去速度が遅い等、主たる消去剤としては不適であるが、用紙上での安定性が還元性硫黄化合物より良好であり、消去跡の還元雰囲気を長期にわたって継続可能な物質が用いられ、当該物質の配合により、本発明の筆跡消去液は優れた再発色防止性能を得ることができる。
このように還元性硫黄化合物と再発色防止剤を少なくとも含有することではじめて、消去性、再筆記性が良好で、消去液の安定性及び消去跡の安定性に優れた筆跡消去液等を得ることができるのである。

0019

再発色防止剤としては、数平均分子量が1,000以上のポリエチレンイミン及び/又はポリエチレンイミン誘導体の添加が有効である。このようなポリエチレンイミン及び/又はポリエチレンイミン誘導体は、還元性硫黄化合物に比べて消去速度が遅い等、主たる消去剤として使用するには不適であるが用紙上での安定性が還元性硫黄化合物より良好であり、消去跡の還元雰囲気を長期にわたって継続可能であり再発色防止性能が優れている。上記範囲未満では用紙上での安定性が不十分であり、再発色が生じやすい傾向がある。現状、市販品から入手できるのは数平均分子量が最大で約70,000程度のものであるが、これ以上の分子量のものも使用可能と推定される。ただし、分子量が大きくなると液粘度が増加する傾向がある。

0020

また、再発色防止剤が付加3級アミン構造を主鎖に有するポリエチレンイミン誘導体であるとさらに良好である。ポリエチレンイミンはエチレンイミン開環重合してなるものである。したがって1〜2級アミンのブロックコポリマーとなっている。しかしながら、1〜2級部分を多く有すると、色調が黄ばんでくる傾向があり、消去跡が経時的に、または経時後に黄ばみやすくなる。特にアミン中の3級アミン比率が30%以下であると徐々に黄ばむ傾向が見られた。そこで、アミン基アルキル基などを付加し、付加3級アミン構造を主鎖にもつようにすると、消去跡の黄ばみが軽減され、好適になる。また、付加物として酸化プロピレンなどの水酸基を有するアルキル基を用い、酸化アルキル基の付加3級アミン構造を主鎖に有するポリエチレンイミン誘導体とすると水溶性も向上し、消去液中での安定性が良く、筆跡の消去安定性も増すので、より好適である。再発色防止剤としては、ポリエチレンイミン酸化プロピレン付加物が最適である。このような再発色防止剤は、例えば(株)日本触媒社製のエポミンの商品名で入手可能である。代表的なものとしてはエポミンPP−061などが挙げられる。

0021

再発色防止剤の消去液中への好適な配合量は、その分子量等により異なるが、おおむね固形分として0.3〜4質量%の範囲で充分である。この範囲を下回ると再発色抑制効果不足気味となり、この範囲を上回ると再筆記性が劣る傾向になるため好ましくない。
また、上述のように還元性硫黄化合物と再発色防止剤の併用により、消去性、再筆記性が良好で、消去液の安定性及び消去跡の安定性も良好になることから、両者の配合量には密接な関係があり、消去液中への好適な配合量は、還元性硫黄化合物および再発色防止剤がそれぞれ上記範囲内であることが良好なバランスを発揮する。

0022

一方、消去液はアルカリ性水溶液となるため、消去液使用時に用紙表面毛羽立つ等の損傷を受け、再筆記時に滲みが発生することがある。このため、本発明では滲み防止を主たる目的とし、乾燥後用紙の繊維を適度に結合させるバインダー能力を有する再筆記付与剤を添加することができる。
再筆記付与剤としては、水溶性樹脂エマルジョン樹脂が挙げられ、中でもアルカリ可溶性アクリル酸系ポリマーが消去後乾燥により用紙表面の毛羽立ちを抑え、再筆記時の滲み防止機能に優れるので好ましい。このような再筆記付与剤は、例えばジョンソンポリマー(株)のジョンクリルの商品名で入手可能である。添加するポリマー酸価が高くなると還元剤の消去機能に悪影響を与える可能性もあり、酸価の低いポリマーの方が好適である。使用するポリマーの酸価にも左右されるが、再筆記付与剤の消去液中への好適な配合量は0.5〜5質量%がよく、0.5〜2質量%であればさらに好ましい。

0023

本発明は、上述の通り消去液中の還元性硫黄化合物を希薄な濃度で使用しているが、特定の酸化防止剤を添加することで消去液の安定性も優れたものとなる。酸化防止剤は還元性硫黄化合物が消去液中で経時的に酸化され還元能力が低下するのを防止する目的で添加するものである。この様な作用する化合物としては、エタノールアミン等のアミン類、グリセリンに代表される多価アルコール類、ソルビット等の糖アルコール等が有効である。これらの中でもトリエタノールアミン、グリセリンが好適であり、これらは1種または2種以上併用して使用することができる。添加量としては、使用する酸化防止剤により異なるが0.5〜10質量%の範囲で使用可能である。また、本発明において再発色防止剤として使用するボリエチレンイミン及び/又はポリエチレンイミン誘導体も還元性硫黄化合物の酸化防止剤として作用するため、再発色防止剤としてボリエチレンイミン及び/又はポリエチレンイミン誘導体、さらには付加3級アミン構造を主鎖に有するポリエチレンイミン誘導体、さらには酸化アルキル基の付加3級アミン構造を主鎖に有するポリエチレンイミン誘導体、さらにはポリエチレンイミン酸化プロピレン付加物であると両機能を有する傾向が強くなるのでより好適となる。該両機能を有する物質を用いることでもある程度有効であるが、より好適には上記の酸化防止剤を併用することが望ましい。

0024

本発明では、消去液をより低粘度にしたり、より低表面張力を有するようにするなどにより、消去液が筆跡中の染料を良好に溶出させることができる上、消去液自体が紙面浸透拡散することにより余剰の還元性硫黄化合物などの染料反応物質拡散希薄にすることができ、再筆記の際の同一インキ中の該染料との反応を低減し、最小限の濃度損失を達成できる。消去液の粘度は1.0〜10mPa・s(20℃)、表面張力は30〜55mN/m程度が好ましい。

0025

本発明の消去液はpH=10〜12の範囲で使用可能であり、好適にはpH=10.5〜12.0が望ましい。理由としては使用する還元性硫黄化合物の安定性及び活性化の面からもpHを高くすることが望ましい。アルカリ化剤としては通常公知の無機有機アルカリ化剤が使用可能であり、水酸化ナトリウム水酸化カリウム炭酸ナトリウムモルホリングアニジン類等が代表的に挙げられる。

0026

その他、防菌剤表面張力調整剤、乾燥速度を調整するための水溶性溶剤等を添加することができる。

0027

以下、本発明の実施例を述べるが、本発明は本実施例によって限定されるものではない。

0028

筆記用青インキ調製
C.I.Acid Blue 93 3.0質量部
エチレングリコール3.0質量部
防菌剤0.2質量部
※1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン水溶液(アビシア(株)社製、プロキセルXL−2(S))
イオン交換水94.0質量部
還元性硫黄化合物により脱色可能な染料としてC.I.Acid Blue 93を用い、上記配合にて染料を攪拌溶解し、筆記用青インキを調製した。

0029

実施例1
還元剤0.2質量部
再発色防止剤6.0質量部
酸化防止剤1.0質量部
再筆記付与剤3.3質量部
アルカリ化剤0.7質量部
防菌剤0.15質量部
イオン交換水88.65質量部
上記配合にて各成分をイオン交換水に攪拌溶解し、筆跡消去液を調製した。
各成分については表1並びに注記に記載の通りである。

0030

実施例2〜10、比較例1〜4
消去液の組成を表1および表2に示す通りとした以外は実施例1と同様にして筆跡消去液を得た。表中の各成分は、それぞれ注記したものを使用した。

0031

0032

注1:ポリエチレンイミン酸化プロピレン付加物50%水溶液((株)日本触媒社製、エポミンPP−061、数平均分子量1400)
注2:ポリエチレンイミン30%水溶液((株)日本触媒社製、エポミンP−1000、数平均分子量70000)
注3:アルカリ可溶性アクリル酸系ポリマー30%水溶液(ジョンソンポリマー(株)社製、ジョンクリル61J)
注4:アルカリ可溶性アクリル酸系ポリマー(ジョンソンポリマー(株)社製、ジョンクリル68)
注5:アルカリ可溶性アクリル酸系ポリマー25%水溶液(ジョンソンポリマー(株)社製、ジョンクリルPDX−6102B)
注6:炭酸ナトリウム※実施例19は水酸化ナトリウム使用
注7:ベンイソチアゾロン水溶液((株)パーパケム・アジア社製、トップサイド600)※実施例18は1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン水溶液(アビシア(株)社製、プロキセルXL−2(S))使用

0033

還元性硫黄化合物により脱色可能な染料を用いた筆記用インキとして上記筆記用青インキを充填した(株)パイロットコーポレーション製の万年筆(FKK-1000)と実施例1〜10および比較例1〜4で得られた筆跡消去液を(株)パイロットコーポレーション製フデペン(SKF-150R)に充填した消去具からなる筆記具セットを作製した。その後、以下のような試験を行い、評価を行った。各試験の内容およびその評価基準は以下に示したとおりとし、結果は表1および表2に示した。

0034

1.消去性:前記筆記具を用いて市販のコピー用紙に20文字筆記し、該筆跡上を消去液で3回塗布し、目視判定した。
◎:筆跡が完全に消去できた。
○:消去後、僅かに筆跡の痕跡が残った。
△:消去後、筆跡の痕跡が残った。
×:筆跡のインキ色調が残ってしまった。
2.再筆記時濃度(A):上記消去性評価と同様の方法にて消去した後、30分間室温にて乾燥させ、その直後、該消去跡に同一のペンを使用し、再筆記を行い、目視判定した。
○:殆ど濃度変化がなかった。
△:濃度が薄くなる。
×:インキの色が消失してしまった。
3.再筆記時濃度(B):上記、再筆記時濃度(A)と同様な方法にて再筆記を行ったものを40℃/90%RHの環境下で24時間放置後の再筆記筆跡の濃度変化を目視判定した。
○:濃度低下が見られなかった。
△:濃度低下が確認された。
×:インキの色調が消失してしまった。
4.再筆記時の滲み:上記、再筆記時濃度(A)と同様な方法にて再筆記を行った際の筆跡の滲み状態を目視判定した。
○:滲みが見られなかった。
△:滲みが確認された。
×:滲みが顕著に顕れた。
5.消去跡の安定性(再発色性):上記、消去性評価と同様な方法にて筆跡を消去したものを40℃/90%RHの環境下に7日間放置した時の消去跡の筆跡の再発色状態目視にて判定した。
○:投入前後で殆ど変化が見られなかった。
△:筆跡の痕跡が濃くなっているのが確認された。
×:筆跡の再発色が確認された。
6.消去液の安定性:前記消去液を50mlポリビン容器中に10g注入し、50℃/2ヶ月間放置したときの筆跡消去性を目視にて判定した。
○:投入前と同程度の消去性を発揮した。
△:筆跡消去は可能だが、投入前よりは劣るものであった。
×:筆跡の消去ができなかった。
7.pH測定方法:東亜電波工業(株)社製pHメーターイオンメーターIM−40S)にて測定した(at20℃)。

0035

表1および表2の結果より、実施例1〜19の筆跡消去液は、前記筆跡を良好に消去することができ、重金属などを含まず安全性に優れており、消去液自体も安定であることがわかり、筆記具セット等は、前記筆跡を良好に消去できる上、その消去状態が安定で、経時変化を起こしにくく、消去部分における再筆記性も良好であることがわかり、非常に優れた筆跡消去液並びに筆記具セットであることがわかる。

0036

実施例16においては、実施例5と同様に還元性硫黄化合物の配合量が少なく、最適な評価を得ることにならなかった。また、実施例5に比べるとさらに消去性に劣り、他の成分(消去性に影響を与える成分)の配合自由度が少なく、配合面に対する選択性制約のあるものであった。

0037

実施例17においては、再筆記付与剤を比較的多く配合したので、再筆記時の滲みなどにおいては、非常に良好な結果を得ることができた。しかしながら、液全体のpHが下がり傾向になり、ポリマーが還元剤の消去機能に影響を与えつつ、消去液の安定性に影響を与える傾向が見られ、1月経過したところで安定性が悪くなってしまった。その点、酸価がより低いポリマーを用いると配合量を増加させることができると考えられるが、再筆記性能のレベルに応じて選択することが好ましい。

0038

実施例18においては、消去液のpHが低すぎるので、消去液の安定性にやや問題があり、1月を経過したあたりで消去液の安定性が悪くなってしまった。

0039

実施例19においては、消去液の評価自体は良好であったものの、pHが高すぎるので、安全性の面から好ましくない。

0040

消しゴムなどで消去できない上記インキで筆記した後、誤記などを生じた場合、誤記部分の筆跡を、消去液自体が安定で、重金属類などを含まない安全性に優れた本発明の筆跡消去液により消去することにより、その消去状態が安定で、経時変化を起こしにくい良好な筆跡消去性を得ることができ、さらに、該消去部分に同一の筆記用インキを用いて再筆記することも可能な筆記具セット等に適用できる。また、デジタル機器にて筆跡を電子的に読み込むデジタルペン用途にも利用でき、筆跡を読み取り、本発明にて消去する際に同時にデジタル情報も消去するなどの筆跡認識システムにおける筆記/消去システムにも応用できる。

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