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技術 環状突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを得る方法

出願人 エフ.ホフマン-ラロシュアーゲー
発明者 ペータークラッツシュヘルベルトフォンデアエルツライナーシュムックマーラベニッツ-デュラート
出願日 2004年12月2日 (15年11ヶ月経過) 出願番号 2004-350290
公開日 2005年7月14日 (15年4ヶ月経過) 公開番号 2005-185282
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素・酵素の調製 微生物、その培養処理
主要キーワード 二つ一組 統合部分 特殊な特性 両方向性 環状鋳型 閉環状 閉環状DNA 事前選択
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

キメラヌクレオチドの高度な多様性を保ちながら可能な限り作業工程を減らすことで、キメラポリヌクレオチドを得る簡単で効率的なDNA組み換え方法を提供する。

解決手段

a)目的の第一の遺伝子を含む閉環状ポリヌクレオチドを提供する工程、b)第一の遺伝子にハイブリダイズし得る第二の遺伝子由来の、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチド断片を提供する工程、c)前記a),b)のポリヌクレオチド断片の両方の一本鎖を生成する工程、d)前記標的ポリヌクレオチドの断片を前記鋳型ポリヌクレオチドアニーリングする工程、e)アニーリングされた標的ポリヌクレオチドの断片をDNAポリメラーゼによって伸長する工程、f)伸長された断片間のニックDNAリガーゼで連結し、それによりキメラ全長環状DNA分子を生じる工程、ならびにg)f)で得られた産物を使用し、工程c)〜f)を1〜100回繰り返す工程を含む突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドの生成方法

概要

背景

生体分子は、医療、工業および科学的適用に関して大きな関心が寄せられている(非特許文献1)(非特許文献2)。

いくつかの適用においては、天然に存在しない、または見つけるのが非常に困難な、非常に特殊な特性または特徴を有する生体分子が必要である。かかる生体分子を生成するある方法では、自然の進化原理模倣している。生体分子のランダム突然変異体が生じ、適切なスクリーニング工程によって所望の特性を有する突然変異体が選択される。この種のアプローチは、「定向進化」と呼ばれる(非特許文献3)。

これらの突然変異体を作製するために、様々な技術が用いられ得る(非特許文献4)(非特許文献5)(非特許文献6)。

所望の特性を有する生体分子を生成するために今日用いられている方法は、点突然変異を導入する技術と、類似しているが同一でないポリヌクレオチド配列組み換える技術とに大きく分けることができる。

第一の型の方法は、例えば誤りがちな(error prone)ポリメラーゼ連鎖反応PCR)(非特許文献7)、いわゆるミューテーター株の使用(非特許文献8)、または化学的突然変異原を用いたDNAの処理(非特許文献9)に基づいて、目的の配列にランダム点突然変異を導入することによって突然変異ポリヌクレオチドをもたらす。

キメラポリヌクレオチドをもたらす第二の型の技術には、遺伝子または一つの遺伝子の異なるバリアント由来遺伝子断片の組み換えが含まれる。

特許文献1には、機能ドメインの組み換えに関する技術が記載されている。

最も一般的に用いられる生体分子の最適化のための組み換え方法は、「DNAシャフリング」と呼ばれる(特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6)。この方法には、相同および異種領域を含む異なる二本鎖DNA鋳型からの二本鎖断片の作製が含まれる。ランダム断片の再会合は、それ以上プライマーを加えないPCR様反応によって行われる。うまく再会合させるためには、相互にプライマー/鋳型として機能し得るDNA配列重複ドメインの発生が不可欠である。再会合後の組み換えDNA配列の収率が低いために、通常さらなるPCR反応による増幅が必要であり、その後適切な発現系におけるクローニングが必要である。次いでその遺伝子産物は適切な宿主細胞形質転換され、発現され得、次いで増強された、または新規の特性に関してスクリーニングされ得る。

DNAシャフリングの方法論的代替手段は、ランダムプライミング組み換え(random priming recombination)(RPR)(非特許文献10)および時差伸長工程(staggered extension process)(StEP)(非特許文献11)である。

部位指向性突然変異は、特許文献7;特許文献8に開示される方法によってなされ得る。これらの方法では、環状DNAが鋳型として用いられ、すでに点突然変異を含む特別に設計されたプライマーを用いることによって部位指向性突然変異が導入される。

特許文献9には、組み換え方法についても記載されている。この方法の鋳型ポリヌクレオチドは、環状DNAに統合されないので、組み換え後に、組み換えDNAを適切な発現系へ挿入する必要がある。

特許文献10には、キメラ遺伝子を得る別の方法が記載されている。そこで開示されている方法では、様々な型の線状会合DNAマトリックス(linear assembly DNA matrix)を用いることによって、より多様性の高い組み換えDNA分子が得られる。
国際公開第01/34835号パンフレット
米国特許第5,834,252号明細書
米国特許第5,605,793号明細書
米国特許第5,830,721号明細書
米国特許第5,837,458号明細書
米国特許第5,811,238号明細書
国際公開第02/16606号パンフレット
国際公開第99/35281号パンフレット
国際公開第01/29211号パンフレット
国際公開第00/09697号パンフレット
Powell, K.A.,ら, Directed Evolution and Biocatalysis, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 40 (2001) 3948-3959
Kirk, O.,ら, Industrial enzyme applications, Curr. Opin. Biotechnol. 13 (2002) 345-351
Arnold, F.H.,およびVolkov, A.A., Directed evolution of biocatalysts, Current Opinion in Chemical Biology 3 (1999) 54-59
Vasserot, A.P.,ら, Optimization of protein therapeutics by directed evolution, Drug Discov Today 8 (2003) 118-126
Graddis, T.J.,ら, Designing proteins that work using recombinant technologies, Curr. Pharm. Biotechnol. 3 (2002) 285-297
Brakmann, S., Discovery of superior enzymes by directed molecular evolution, Chembiochem. 2 (2001) 865-871
Cadwell, R.C.,およびJoyce, G.F.,PCRMethodsAppl. 2 (1992) 28-33
Greener, A.,ら, Methods Mol. Biol. 57 (1996) 375-385
Deshler, J.O., Gen. Anal. Techn. Appl. 9 (1992) 103-106
Shao, Z.,ら, Nucleic Acids Res. 26 (1998) 681-683
Zhao, H.,ら, Nat. Biotechnol. (1998) 16258-16261

概要

キメラヌクレオチドの高度な多様性を保ちながら可能な限り作業工程を減らすことで、キメラポリヌクレオチドを得る簡単で効率的なDNA組み換え方法を提供する。a)目的の第一の遺伝子を含む閉環状ポリヌクレオチドを提供する工程、b)第一の遺伝子にハイブリダイズし得る第二の遺伝子由来の、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチド断片を提供する工程、c)前記a),b)のポリヌクレオチド断片の両方の一本鎖を生成する工程、d)前記標的ポリヌクレオチドの断片を前記鋳型ポリヌクレオチドにアニーリングする工程、e)アニーリングされた標的ポリヌクレオチドの断片をDNAポリメラーゼによって伸長する工程、f)伸長された断片間のニックDNAリガーゼで連結し、それによりキメラ全長環状DNA分子を生じる工程、ならびにg)f)で得られた産物を使用し、工程c)〜f)を1〜100回繰り返す工程を含む突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドの生成方法。なし

目的

突然変異および特にキメラポリヌクレオチドをもたらす様々な方法の著しい発展にもかかわらず、現状の手順の公知の欠点を少なくとも部分的に避けるのを助けるであろうキメラポリヌクレオチドの生成方法を提供する必要性は未だ高い。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

a)目的の第一の遺伝子を含む閉環状ポリヌクレオチド鋳型を提供する工程、b)目的の第一の遺伝子にハイブリダイズし得る目的の第二の遺伝子由来の、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチドの断片を提供する工程、c)前記鋳型ポリヌクレオチドおよび前記標的ポリヌクレオチドの断片の両方の一本鎖を生成する工程、d)前記標的ポリヌクレオチドの断片を前記鋳型ポリヌクレオチドにアニーリングする工程、e)アニーリングされた標的ポリヌクレオチドの断片をDNAポリメラーゼによって伸長する工程、f)伸長された断片間のニックDNAリガーゼを用いることによって連結し、それによりキメラ全長環状DNA分子を生じる工程、ならびにg)f)で得られた産物を使用し、工程c)〜f)を1〜100回繰り返す工程を含む突然変異および/またはキメラポリヌクレオチド生成方法

請求項2

熱安定性DNAポリメラーゼおよび熱安定性DNAリガーゼを用いる、請求項1記載の方法。

請求項3

前記鋳型ポリヌクレオチドが複製の開始点遺伝子発現のためのプロモーター、選択のための遺伝子および目的の第一の遺伝子を含有する二本鎖閉環状プラスミドである、請求項1または2記載の方法。

請求項4

請求項1〜3いずれか記載の方法で得られた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを形質転換宿主に導入することで形質転換宿主細胞を得る方法。

請求項5

請求項1〜3いずれか記載の方法によって産生された突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを含有する宿主細胞

請求項6

a)請求項1〜3いずれか記載の方法を用いることによって突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを得る工程、b)前記突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを適切な宿主に形質転換する工程、c)組み換え遺伝子を発現する工程、ならびにd)組み換え生体分子に関してスクリーニングする工程を含む、組み換え生体分子を得る方法。

請求項7

前記生体分子酵素である、請求項6記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、迅速で、簡単かつ効率的な、インビボでの突然変異環状ポリヌクレオチド分子生成方法に関する。本方法は、目的の第一の遺伝子を含む閉環状DNAポリヌクレオチド鋳型を供給する工程、目的の第一の遺伝子にハイブリダイズし得る目的の第二の遺伝子を含み、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチドの断片を供給する工程、該鋳型ポリヌクレオチドおよび標的ポリヌクレオチドの該断片の両方の一本鎖を生成する工程、DNA標的ポリヌクレオチド断片を環状ポリヌクレオチドへアニーリングする工程、例えばDNAポリメラーゼを用いることによって断片を伸長する工程、伸長された断片を例えばDNAリガーゼを用いることによって相互に連結する工程に基づく。これらの工程により、組み換えおよび/または突然変異環状鎖DNAが生じる。突然変異および/または組み換えの頻度をさらに上げるために、アニーリング、伸長および連結の工程は1〜100回繰り返される。この方法により、多くの突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドが容易に得られる。本発明はまた、上記の方法によって得られた突然変異ポリヌクレオチドを用いて形質転換された宿主細胞も開示し、かかる突然変異ポリヌクレオチドに基づく組み換え生体分子を得る方法を開示する。

背景技術

0002

生体分子は、医療、工業および科学的適用に関して大きな関心が寄せられている(非特許文献1)(非特許文献2)。

0003

いくつかの適用においては、天然に存在しない、または見つけるのが非常に困難な、非常に特殊な特性または特徴を有する生体分子が必要である。かかる生体分子を生成するある方法では、自然の進化原理模倣している。生体分子のランダム突然変異体が生じ、適切なスクリーニング工程によって所望の特性を有する突然変異体が選択される。この種のアプローチは、「定向進化」と呼ばれる(非特許文献3)。

0004

これらの突然変異体を作製するために、様々な技術が用いられ得る(非特許文献4)(非特許文献5)(非特許文献6)。

0005

所望の特性を有する生体分子を生成するために今日用いられている方法は、点突然変異を導入する技術と、類似しているが同一でないポリヌクレオチド配列を組み換える技術とに大きく分けることができる。

0006

第一の型の方法は、例えば誤りがちな(error prone)ポリメラーゼ連鎖反応PCR)(非特許文献7)、いわゆるミューテーター株の使用(非特許文献8)、または化学的突然変異原を用いたDNAの処理(非特許文献9)に基づいて、目的の配列にランダム点突然変異を導入することによって突然変異ポリヌクレオチドをもたらす。

0007

キメラポリヌクレオチドをもたらす第二の型の技術には、遺伝子または一つの遺伝子の異なるバリアント由来遺伝子断片の組み換えが含まれる。

0008

特許文献1には、機能ドメインの組み換えに関する技術が記載されている。

0009

最も一般的に用いられる生体分子の最適化のための組み換え方法は、「DNAシャフリング」と呼ばれる(特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6)。この方法には、相同および異種領域を含む異なる二本鎖DNA鋳型からの二本鎖断片の作製が含まれる。ランダム断片の再会合は、それ以上プライマーを加えないPCR様反応によって行われる。うまく再会合させるためには、相互にプライマー/鋳型として機能し得るDNA配列重複ドメインの発生が不可欠である。再会合後の組み換えDNA配列の収率が低いために、通常さらなるPCR反応による増幅が必要であり、その後適切な発現系におけるクローニングが必要である。次いでその遺伝子産物は適切な宿主細胞に形質転換され、発現され得、次いで増強された、または新規の特性に関してスクリーニングされ得る。

0010

DNAシャフリングの方法論的代替手段は、ランダムプライミング組み換え(random priming recombination)(RPR)(非特許文献10)および時差伸長工程(staggered extension process)(StEP)(非特許文献11)である。

0011

部位指向性突然変異は、特許文献7;特許文献8に開示される方法によってなされ得る。これらの方法では、環状DNAが鋳型として用いられ、すでに点突然変異を含む特別に設計されたプライマーを用いることによって部位指向性突然変異が導入される。

0012

特許文献9には、組み換え方法についても記載されている。この方法の鋳型ポリヌクレオチドは、環状DNAに統合されないので、組み換え後に、組み換えDNAを適切な発現系へ挿入する必要がある。

0013

特許文献10には、キメラ遺伝子を得る別の方法が記載されている。そこで開示されている方法では、様々な型の線状会合DNAマトリックス(linear assembly DNA matrix)を用いることによって、より多様性の高い組み換えDNA分子が得られる。
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米国特許第5,834,252号明細書
米国特許第5,605,793号明細書
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Arnold, F.H.,およびVolkov, A.A., Directed evolution of biocatalysts, Current Opinion in Chemical Biology 3 (1999) 54-59
Vasserot, A.P.,ら, Optimization of protein therapeutics by directed evolution, Drug Discov Today 8 (2003) 118-126
Graddis, T.J.,ら, Designing proteins that work using recombinant technologies, Curr. Pharm. Biotechnol. 3 (2002) 285-297
Brakmann, S., Discovery of superior enzymes by directed molecular evolution, Chembiochem. 2 (2001) 865-871
Cadwell, R.C.,およびJoyce, G.F.,PCRMethodsAppl. 2 (1992) 28-33
Greener, A.,ら, Methods Mol. Biol. 57 (1996) 375-385
Deshler, J.O., Gen. Anal. Techn. Appl. 9 (1992) 103-106
Shao, Z.,ら, Nucleic Acids Res. 26 (1998) 681-683
Zhao, H.,ら, Nat. Biotechnol. (1998) 16258-16261

発明が解決しようとする課題

0014

突然変異および特にキメラポリヌクレオチドをもたらす様々な方法の著しい発展にもかかわらず、現状の手順の公知の欠点を少なくとも部分的に避けるのを助けるであろうキメラポリヌクレオチドの生成方法を提供する必要性は未だ高い。

0015

したがって、本発明の目的は、得られるキメラヌクレオチドの高度な多様性を得ながら可能な限り作業工程の数を減らすことで、キメラポリヌクレオチドを得る簡単で効率的なDNA組み換え方法を開発することであった。

0016

当該分野で公知の方法の不利益は、本発明の方法、宿主細胞および組み換え生体分子によって少なくとも部分的に克服され得ることがわかった。

課題を解決するための手段

0017

すなわち、本発明の要旨は以下の通りである:
〔1〕a)目的の第一の遺伝子を含む閉環状ポリヌクレオチド鋳型を提供する工程、
b)目的の第一の遺伝子にハイブリダイズし得る目的の第二の遺伝子由来の、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチドの断片を提供する工程、
c)前記鋳型ポリヌクレオチドおよび前記標的ポリヌクレオチドの断片の両方の一本鎖を生成する工程、
d)前記標的ポリヌクレオチドの断片を前記鋳型ポリヌクレオチドにアニーリングする工程、
e)アニーリングされた標的ポリヌクレオチドの断片をDNAポリメラーゼによって伸長する工程、
f)伸長された断片間のニックをDNAリガーゼを用いることによって連結し、それによりキメラ全長環状DNA分子を生じる工程、ならびに
g)f)で得られた産物を使用し、工程c)〜f)を1〜100回繰り返す工程
を含む突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドの生成方法;
〔2〕熱安定性DNAポリメラーゼおよび熱安定性DNAリガーゼを用いる、前記〔1〕記載の方法;
〔3〕前記鋳型ポリヌクレオチドに含まれている目的の遺伝子および前記標的ポリヌクレオチドに含まれている目的の遺伝子が単一の遺伝子のバリアントである、前記〔1〕または〔2〕記載の方法;
〔4〕目的の遺伝子の2つ以上のバリアントが鋳型ポリヌクレオチドおよび/または標的ポリヌクレオチドに含まれる、前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の方法;
〔5〕前記鋳型ポリヌクレオチドが複製の開始点遺伝子発現のためのプロモーター、選択のための遺伝子および目的の第一の遺伝子を含有する二本鎖閉環状プラスミドである、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の方法:
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の方法で得られた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを形質転換宿主に導入することで形質転換宿主細胞を得る方法;
〔7〕前記組み換えポリヌクレオチドが、先立つ精製なしに形質転換に用いられる、前記〔6〕記載の方法;
〔8〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の方法によって産生された突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを含有する宿主細胞;
〔9〕a)前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の方法を用いることによって突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを得る工程、
b)前記突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを適切な宿主に形質転換する工程、
c)組み換え遺伝子を発現する工程、ならびに
d)組み換え生体分子に関してスクリーニングする工程
を含む、組み換え生体分子を得る方法;
〔10〕前記生体分子が酵素である、前記〔9〕記載の方法。

発明の効果

0018

本発明により、得られるキメラヌクレオチドの高度な多様性を得ながら可能な限り作業工程の数を減らすことで、キメラポリヌクレオチドを得る簡単で効率的なDNA組み換え方法を開発することができる。

発明を実施するための最良の形態

0019

発明の詳細な説明
発明の要旨
本発明は、突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドの生成方法に関し、該方法は目的の第一の遺伝子を含む閉環状DNAポリヌクレオチド鋳型を提供する工程、目的の第一の遺伝子にハイブリダイズし得る目的の第二の遺伝子を含み、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチドの断片を提供する工程、上述の鋳型ポリヌクレオチドおよび上述の標的ポリヌクレオチドの断片の両方の一本鎖を生成する工程、上述の標的ポリヌクレオチドの断片を上述の鋳型ポリヌクレオチドにアニーリングする工程、アニーリングされた標的ポリヌクレオチドの断片をDNAポリメラーゼによって伸長する工程、伸長された断片間のニックをDNAリガーゼを用いることによって連結し、それによりキメラ全長環状DNA分子を生じる工程、ならびに次いで前述のように再度一本鎖を生成し、アニーリングし、伸長し、連結することによって上述のキメラ全長環状DNA分子を閉環状DNA鋳型ポリヌクレオチドとして繰り返し使用する工程を含む。この技術は、非常に普及しているポリメラーゼ連鎖反応といくつかの側面において類似しているので、ポリメラーゼ連鎖キメラ化(polymerase chain chimaerization)(PCC)という用語を提案する。

0020

本発明はまた、形質転換された宿主細胞を、本発明の方法に従って得られた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを導入することによって得る方法にも関する。

0021

本発明はまた、本発明の方法によって産生された突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを含有する宿主細胞にも関する。

0022

さらなる態様は、本発明の方法を用いることによって突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを得る工程、上述の突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを適切な宿主に形質転換する工程、組み換え遺伝子を発現する工程および前述の組み換え生体分子をスクリーニングする工程を含む、組み換え生体分子を得る方法に関する。

0023

発明の説明
第一の好ましい態様において、本発明は突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドの生成方法に関し、本方法には、目的の第一の遺伝子を含む閉環状ポリヌクレオチド鋳型を提供する工程、目的の第一の遺伝子にハイブリダイズし得る目的の第二の遺伝子由来の、遊離3'OH末端およびリン酸化5'末端を有する二本鎖DNA標的ポリヌクレオチドの断片を提供する工程、上述の鋳型ポリヌクレオチドおよび上述の標的ポリヌクレオチドの断片の両方の一本鎖を生成する工程、上述の標的ポリヌクレオチドの断片を上述の鋳型ポリヌクレオチドにアニーリングする工程、アニーリングされた標的ポリヌクレオチドの断片をDNAポリメラーゼによって伸長する工程、伸長された断片間のニックをDNAリガーゼを用いることによって連結し、それによりキメラ全長環状DNA分子を生じる工程が含まれる。突然変異および/またはキメラ全長環状DNA分子は、次いで前述のように再度一本鎖を生成し、アニーリングし、伸長し、連結することによって、閉環状ポリヌクレオチド鋳型として次のキメラ化のサイクルにおいて繰り返し用いられ得る。本発明の方法によって、組み換え事象なしの他の有利な突然変異体もまた得られるが、便宜上この方法をキメラ化法と呼ぶ。

0024

「突然変異および/またはキメラ遺伝子」という用語は、本発明の方法を用いることによって突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドが高頻度で得られることを表すのに用いられる。当該分野で公知のように、突然変異とは、例えば点突然変異、欠失および挿入である。キメラポリヌクレオチドは、本発明においては、目的の二つの異なる遺伝子由来の少なくとも15個の連続するポリヌクレオチドを含む、目的の任意の遺伝子である。したがって、本発明の主な利益は高いキメラ化頻度が得られることであるが、本発明のキメラ化法を用いた場合に突然変異ポリヌクレオチドが高頻度で生じるという付加的な好ましい副作用も本発明の利益に含まれる。「および/または」という用語は、突然変異のみ、突然変異およびキメラ配列、またはさらなる突然変異のないキメラ配列を含むポリヌクレオチドが得られることを表すのに用いられる。

0025

好ましくは、本発明の方法によって選択される遺伝子は、さらなる突然変異を有する、または有さないキメラ遺伝子である。

0026

「目的の遺伝子」は、任意の適切なスクリーニングまたは選択手順によって選択またはスクリーニングされ得る特性を示す任意のポリヌクレオチド配列に関する。本発明はまた、少なくとも目的の「第一」および「第二」の遺伝子を使用する。

0027

目的の第一または第二の遺伝子に関して、用語「a」は排他的に単一の遺伝子をいうと理解されてはならない。それどころか、本発明はまた、いくつかの異なる鋳型およびいくつかの異なる標的遺伝子を用いてうまく応用され得る。好ましくは、これらの鋳型および標的遺伝子は全て単一の遺伝子のバリアントを表す。しかしながら、3つ、2つおよび/または1つだけの鋳型または標的遺伝子をそれぞれ用いるのが好ましい。

0028

明らかに、標的遺伝子の断片に対する鋳型遺伝子のモル比は得られるキメラ化の程度に影響するであろう。15〜1000のモル比(断片/鋳型)が推奨され、10〜500、20〜400および30〜300の比がより好ましい。

0029

本発明の方法に必要とされるようにハイブリダイゼーションおよびアニーリングをさせるために、目的の第一の遺伝子と第二の遺伝子は、少なくとも部分的に相同である。当業者は、本発明の方法を実施するために、適切な遺伝子の対を問題なく選択するであろう。

0030

十分なハイブリダイゼーションまたはアニーリングの頻度を得るために、鋳型および標的遺伝子は少なくとも40%の相同性を有さなければならない。好ましくは、該2つの遺伝子間の相同性は、少なくとも50%である。好ましくは、相同性はより高く、少なくとも60%または少なくとも70%である。最も好ましくは、後述の方法で測定される場合、相同性は80%以上である。

0031

目的の第一の遺伝子と第二の遺伝子の間の相同性は、好ましくはGCGパッケージバージョン10.2のPileUpプログラム(Genetics Computer Groups, Inc.)によって分析される。PileUpは、Freg, D.F.およびDoolittle, R.F.、J. Mol. Evol. 25 (1987) 351-360の連続的アラインメント法の単純化を用いることで複数配列アラインメントを引き起こし、同一の、類似のまたは異なるアミノ酸残基に対するスコアリングマトリックス(scoring matrix)がそれに従って特定される。この方法は、最も類似している二つの配列の二つ一組のアラインメントで始まり、整列した二つの配列のクラスターを生じる。次いでこのクラスターは、その次に最も関連のある配列または整列した配列のクラスターと整列し得る。二つの個々の配列の二つ一組のアラインメントの単純な伸長によって、配列の二つのクラスターが整列し得る。最後のアラインメントは、全ての配列が最後の二つ一組のアラインメントに含まれるまで、段々と類似していない配列およびクラスターを含んでいく一連の連続的な二つ一組のアラインメントによってなされる。

0032

便宜上、配列同一性はまた、鋳型と標的遺伝子を比較した場合にも評価され得る。かかる比較において、対応する配列位置の個々のヌクレオチドが互いに比較される。配列同一性は、好ましくは30ヌクレオチド長の少なくとも一部の配列に対して少なくとも40%である。より好ましくは、配列同一性はより高く、少なくとも50%で、さらにより好ましくは少なくとも60%である。

0033

天然に存在する多くの関連遺伝子は、異なる個体および異なる種において同じ目的にかなう。例として、ヘモグロビンは血液中酸素運搬に用いられる。ヒト種内において、ヘモグロビンはわずかに異なる配列(対立遺伝子として知られている)を有して存在していることが知られているが、他の哺乳類のヘモグロビンは配列レベルでより異なっている。したがってこれらの遺伝子は、単一の遺伝子または遺伝子座の、自然に存在するバリアントである。好ましくは鋳型および標的遺伝子の両方が、単一の遺伝子の、自然に存在するバリアントである。

0034

当業者が承知するように、標的遺伝子の断片が鋳型遺伝子にハイブリダイズする限り、鋳型と標的遺伝子のいかなる組み合わせも適切である。ハイブリダイゼーションの条件は、例えばバッファー条件を変えることによって変化し得る。本発明において、好ましくはアニーリングは0.2 M Tris-HCl、0.02 M MgSO4、0.1 M KCl、0.1 M (NH4)2SO4、1% Triton X-100および1 mgウシ血清アルブミンBSA)/mlを含むバッファー中、pH 8.8で実施される。上述のバッファー中での一回目のキメラ化で十分な数のアニーリング事象を生じる鋳型と標的遺伝子のいかなる対も、本発明のキメラ化法の実施に適切である。

0035

目的の第一の遺伝子は、閉環状ポリヌクレオチドの統合部分として提供される。便宜上、閉環状ポリヌクレオチドに含まれる目的の第一の遺伝子を、「鋳型」遺伝子とも呼ぶ。

0036

環状ポリヌクレオチド(RNAまたはDNA)またはさらに例えばペプチド核酸(PNA)のようなヌクレオチドアナログを含む環状ポリヌクレオチドのいかなる型も、第一のポリヌクレオチドとして用いられ得る。有利で好ましい態様において、鋳型遺伝子を含む第一のポリヌクレオチドはデオキシリボ核酸(DNA)である。最も好ましくは、閉環状ポリヌクレオチドは二本鎖DNAである。

0037

特定の遺伝子をクローニングし、それを適切な発現系に挿入する方法で、本明細書に引用する必要のないものは非常に多く存在する。便宜上、当業者は例えばCurrent Protocols in Molecular Biology第1〜4巻、Ausubel, F.M.ら編、Massachusetts General Hospital and Harward Medical School、John Wiley & Sons, Inc.にまとめられているこれらの方法を熟知していると記す。

0038

鋳型遺伝子は、適切な宿主株にプラスミドを形質転換し、プラスミドを保有する株を適切な時間接種し、かつ細胞培養液からプラスミドを単離することによって容易に増幅され得、同時にメチル化され得る。メチル化環状ポリヌクレオチドの使用によって、付加的な利益が提供される。本発明の方法でキメラ化が完了した後、メチル化DNA(すなわち出発物質)は、メチル化DNAのみを切断する特異的な制限酵素を用いることによって容易に除かれ得る。開始鋳型がメチル化DNAであり、非メチル化環状突然変異および/またはキメラDNA分子のみが産生される場合、出発鋳型はメチルDNAのみを切断するDpnIのような酵素を用いることによって除かれ得る。したがって、本発明の方法を実施する最も好ましい方法は、目的の第一の遺伝子を含むポリヌクレオチドとしてメチル化閉環状DNAを用いる工程を含む。

0039

好ましくは、目的の第一の遺伝子のポリヌクレオチド配列は、この遺伝子の全長ポリヌクレオチドである。しかしながら、当業者が承知するように、この遺伝子は、遺伝子の部分配列のみを表すように短縮され得る。必要最低限の長さは、任意の適切なスクリーニングまたは選択方法によって同定され得る、生物学的活性または機能を示すポリヌクレオチドである。

0040

目的の第二の遺伝子はまた、便宜上「標的」遺伝子とも呼ばれる。標的遺伝子は二本鎖型、好ましくはDNA二本鎖として利用できるはずである。キメラ化の様々な回の間の指数的増幅は、標的遺伝子由来の断片がセンスおよびアンチセンス鎖両方の断片を含む場合にのみ達成される。

0041

標的遺伝子またはポリヌクレオチドは、全長の連続した分子としてではなく、むしろ断片化した形態で提供される。当業者が承知するように、二本鎖DNAポリヌクレオチドの適切な断片は、様々な手段によって生じ得る。提供される断片が3'OH、および5'末端のリン酸基をそれぞれ有さなければならないというさらなる要求によって、このように生じた断片の少なくともいくらかが目的の第一の遺伝子にハイブリダイズし得るように注意が払われる限りは、二本鎖標的ポリヌクレオチドの断片を提供する方法は重要ではない。標的遺伝子のランダムな断片化をもたらす方法が最も好ましい。

0042

当業者に公知の非常に多くの方法によって、ランダムな断片が得られ得る。一つの可能性として、目的のDNAをPCRによって増幅し、エンドヌクレアーゼによってPCR産物をランダムに切断することで必要な3'OHおよび5'リン酸末端を有する断片を生じることが挙げられる。例えば、DNAse Iを用いて非常に短い時間で消化が完了し得、消化の程度はアガロースゲル上でモニタリングされ得る。望ましい程度の断片化が達成された後、例えばサンプルを5分間95℃に加熱し、ヌクレアーゼ破壊することで反応を停止し得る。DNAse Iはまた、様々な方法、すなわち市販のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)精製キットの使用によって断片から分離され得る。別の可能性として、目的の第二のDNA配列を鋳型とするPCR反応のランダムなアニーリングに、非常に短いプライマーを使用して異なる長さのPCR産物を生じることが挙げられ、そうして得られた断片の5'末端は、次いで適切なキナーゼによってリン酸化され得る。通常、8〜1000塩基対(bp)の長さを有する断片が用いられるべきである。好ましい態様において、用いられる断片の過半数(50%を超える)が10〜300 bpとなる。

0043

アニーリング、伸長および連結という用語は、本発明で用いられる場合、当業者がそれらに付加する意味を有する。

0044

本発明の方法は、1〜100回繰り返され得る。キメラ化の最初の回では目的の第一の遺伝子を含む閉環状ポリヌクレオチド鋳型のみが存在するが、それに続く各サイクルにおいては、すでに生じた突然変異および/またはキメラ閉環状DNAポリヌクレオチドが段々多く存在するようになり、本発明の次のサイクルの鋳型として再び作用する。すでに生じた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドであるポリヌクレオチドをキメラ化の連続した回において鋳型として用いることで、異なる突然変異および/またはキメラ分子総数がさらに増加する。

0045

図1で、本発明の方法をさらに説明する。第一の工程において、鋳型および標的ポリヌクレオチドの両方に対して一本鎖分子が生じる。第二の工程において、目的の標的遺伝子または配列の一本鎖DNA断片が、閉環状一本鎖ポリヌクレオチド分子に組み込まれた鋳型ポリヌクレオチドにアニーリングされる。アニーリングされた断片は、すでに結合した断片に酵素が出会うまでDNAポリメラーゼによって伸長される。次いで伸長された断片の3'OH末端と断片の5'リン酸末端との間にニックを残して、DNAポリメラーゼがDNA鎖から離れる。ギャップまたはニックは、3'OH伸長部を隣の結合した断片のリン酸化5'末端に連結するDNAリガーゼによって閉じられる。かかるキメラ化のサイクルの最終結果として二つの閉環状DNA分子を含む二本鎖DNAが得られる。アニーリングされた断片の数によって目的のDNA配列のキメラ化の程度が決定されることは、当業者にとって明らかである。本発明の方法によって、キメラ化の最初の、またはより一般的には先の回において得られた二本鎖閉環状ポリヌクレオチドを、キメラ化の次の回に直接用い得るという主な利益が提供される。キメラ化の次の回を実施するために、最初の回で得られた二本鎖は溶解され、両方の一本鎖環状分子は次いでキメラ化の次のサイクルにおいて鋳型ポリヌクレオチドとして機能する。好ましくは、上述のキメラ化は2〜50サイクル実施される。これによって、常に増加しつづける組み換えがもたらされ、多様性の高い突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドが生じる。最も好ましくは、15〜35サイクルのキメラ化が用いられる。

0046

本発明の効率的で便利なキメラ化の方法は、必要な反応物を全て含有する試薬の単一の混合物中で容易に実施され得る。好ましい反応物の詳細について、以下および実施例節で述べる。必要に応じて、本発明の方法はまた、複数の工程で実施され得、例えば標的ポリヌクレオチドの断片は開始時に加えられ得、適切な回数のキメラ化サイクルの後で再度加えられ得る。かかる変更および類似の変更は、当然本発明の範囲内であり得る。

0047

キメラ化は、鋳型遺伝子およびプライマーとしての両方向性を有する標的遺伝子の断片を含む閉環状ポリヌクレオチドを用いたPCR様反応を行うことで達成され得る。好ましくは、反応は温度を上げて行われる。また、Pyrococcus furiosus、Thermos aquaticus等のような生物から得られるDNAポリメラーゼおよびリガーゼのような熱安定性DNAポリメラーゼおよび熱安定性DNAリガーゼを用いることも好ましい。目的のDNA配列以外の不要な重合エラーの発生を防止することを保証するために校正活性を有するDNAポリメラーゼを用いることも賢明であり、好ましい。これはまた、完全な発現系を維持するのに有利である。

0048

上述のように、キメラ化サイクルの産物は、反応混合物中に残存する断片に対する鋳型として機能し、キメラ化サイクルは繰り返され得る。これは、通常のPCR反応中と同様に、突然変異および/またはキメラDNA配列の指数的増幅が達成されることを意味し、さらに、ポリヌクレオチドの数は指数的に増幅されることを意味する。新たに産生されたDNAに対する出発鋳型の比は各サイクルにおけるキメラ分子に合わせて上昇する。また、これにより、突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に形質転換した後に親クローンを得る危険性または可能性が実質的に低下する。

0049

本発明の標準的なPCR様キメラ化サイクルには、例えば以下の試薬:選択されたポリメラーゼおよびリガーゼが働くバッファー系、dNTP、ポリメラーゼ、リガーゼ、ATP(またはリガーゼに対する他の補因子)、鋳型、および標的ポリヌクレオチドの断片が利用され;かつ以下の工程:環状鋳型中の所望でないニックを連結するために72℃でインキュベートする工程、二本鎖DNAを溶解して一本鎖DNAにするために95℃で30秒インキュベートする工程、断片を鋳型にアニーリングするために50℃で1分インキュベートする工程、DNAポリメラーゼによって断片を伸長させるために72℃で8分インキュベートする工程、結合したDNAポリメラーゼを鋳型から除去するために95℃で30秒インキュベートする工程、および断片を互いに連結し、任意のニックを除去するために72℃で8分インキュベートする工程が含まれる。好ましくは、キメラ化サイクルは約20〜25回繰り返される。最終的に、反応混合物は4℃に冷却される。

0050

上述の方法は閉環状ポリヌクレオチドの使用に基づいており、主に閉環状キメラDNA分子を生じるので、プラスミドを閉環状DNA鋳型分子として用いるのが有利であることは明らかである。好ましくは、かかるプラスミドは目的のDNA配列または遺伝子に適切な発現系を含有する。好ましくは、鋳型ポリヌクレオチドは複製の開始点、遺伝子発現のためのプロモーター、選択のための遺伝子および目的の第一の遺伝子を含む二本鎖閉環状プラスミドである。当業者が容易に承知するように、好ましくは、ポリヌクレオチドの、目的の遺伝子を含む部分だけが組み換えられ、DNA配列の残りの部分、すなわち該配列の発現系またはプラスミド部分はそのまま残される。目的のDNA配列を含む2つ以上の異なるプラスミドもまた、本発明の方法に用いられ得る。

0051

本発明の方法で作製された突然変異および/またはキメラDNAポリヌクレオチドがすでに発現系に組み込まれている場合、例えば新たな突然変異および/またはキメラDNA分子の適切な発現系への挿入を必要とするような、当該分野で公知の他の方法に通常必要な作業工程は必要でない。このため、ベクターの準備や適切な制限酵素を用いた挿入およびその後の連結のようなさらなる工程が避けられる。これにより、本発明の方法はさらに便利で簡単に使用できるようになる。

0052

キメラ化PCR、すなわちPCCの結果は、アガロースゲル電気泳動によってモニターされ得る。所望のサイズ(鋳型と等しい)のポリヌクレオチドがアガロースゲル上に現れるであろう。

0053

好ましくは、本発明はまた、本発明の方法によって得られた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを宿主に導入することによって、形質転換された宿主細胞を得る方法にも関する。宿主としてはE.coliまたはBacillus株のような細菌が好ましい。かかる形質転換ではきわめて好結果が得られ、高い収率で形質転換体を生じることが見出されている。

0054

本発明の方法で得られた突然変異および/またはキメラ環状DNAは、次いでさらなる作業工程なしに適切な宿主細胞に形質転換され得る。上述のように、この形質転換は、メチル化鋳型ポリヌクレオチドを除く工程を任意に含み得る。しかしながら、この工程はまた、さらなる精製を必要としない。したがって、好ましくは、本発明の方法で得られた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドは、宿主細胞に形質転換する前の精製なしに直接用いられる。

0055

勿論、本発明の方法によって得られた突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを用いた形質転換によって得られた宿主細胞は、本発明のさらに好ましい態様を表す。

0056

本発明はまた、組み換え生体分子を得る方法に関し、該方法は:本発明の方法を用いることによって突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを得る工程、該突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドを適切な宿主に形質転換する工程、組み換え遺伝子を発現する工程、および該組み換え生体分子をスクリーニングする工程を含む。

0057

各クローンを単離し、突然変異および/またはキメラ遺伝子産物を接種および発現した後、所望の特性を有する組み換え遺伝子を含有するクローンを同定するために、新しい生体分子をスクリーニングし得る。

0058

スクリーニングは、任意の選択可能な特性に対して実施され得る。好ましくは、生体分子は発現ベクターであり、より高いタンパク質収率をもたらす発現ベクターが選択される。最も好ましくは、生体分子はポリペプチドであり、選択方法は、例えば単にかかるポリペプチドの選択可能な特性にのみ基づく。最も好ましくは、かかる組み換えポリペプチドは酵素である。当業者が承知するように、一旦、新しい(突然変異および/またはキメラ)ポリヌクレオチドが入手可能になり、上述のように発現された場合には、異なる酵素特性を選択するのはきわめて容易である。

0059

当業者が容易に承知するように、本明細書中で開示される方法は、様々な理由、例えば特に突然変異および/またはキメラDNA分子を合理的な頻度で生成するために現状の方法では未だ必要とされる増幅PCR反応の必要性が除かれ、形質転換に先立つ精製が必要でないという理由できわめて有利である。増幅PCRを省くことによって突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドの事前選択が起こらないこともまた明らかである。これにより、形質転換に用いられる多様性の高い突然変異および/またはキメラポリヌクレオチドがもたらされ、またスクリーニングおよび選択のための多様性の高い遺伝的バリアントがもたらされる。

0060

本発明の理解を助けるために以下の実施例、参考文献、配列表および図を提供し、添付の特許請求の範囲に本発明の真の範囲が示される。本発明の真意を逸脱することなく示される手順に変更がなされ得ることは理解されよう。

0061

実施例1
ウシ腸アルカリホスファターゼ(ciAP)を用いたヒト胎盤アルカリホスファターゼ(hpAP)のキメラ化

0062

ciAPとhpAP遺伝子は、互いに約80%の相同性を示す(それぞれ配列番号:1および3参照)。両アミノ酸配列を、それぞれ図2ならびに配列番号2および4に示す。相同および異種領域の分布はほぼランダムに遺伝子全体に渡るので、両遺伝子のキメラ化の程度が容易にモニターできる。

0063

pmglプロモーターの制御下にあるアンピシリン耐性遺伝子を有するプラスミドpkk 177に2つの遺伝子をクローニングし(特許出願WO88/09373参照)、E.coli株XL-blue-MRF'に形質転換した。

0064

以下の実験に、目的の第一の遺伝子としてhpAPを用いた。

0065

標的遺伝子のランダムな断片をciAP遺伝子から生成した。

0066

鋳型遺伝子(プラスミド):

0067

hpAP遺伝子を有するプラスミドを保有するE.coli株を37℃で一晩接種した。Roche High Pure Plasmid IsolationキットId. 1754777を用いてプラスミドを単離し、260 nmで紫外線によって濃度を測定した。5 ng DNA/μl水溶液を調製した。

0068

標的遺伝子(断片):

0069

鋳型の場合と同じ方法を用いて、ciAP遺伝子を保有するプラスミドを含有する水溶液を調製した。適切なプライマー(それぞれ配列番号:5および6参照)を用いたPCRによって、ciAP遺伝子を増幅した。

0070

RochePCR精製キットを用いて得られたPCR産物を精製し、DNA濃度を測定した。

0071

分画

0072

ciAP遺伝子をDNAse I消化に供した。以下の調製物を作った:

0073

30μl ciAP(100 ng DNA/μl水)
1.5μl DNAse I(0.1 U/μl;Roche製カタログ番号776785を1x Puffer カタログ番号1417991で希釈
8μlバッファー(10x Puffer カタログ番号1417991)
40.5μl 水

0074

室温で10分インキュベーションした後、ドライアイス上で素早く調製物を冷凍し、DNAse I消化を停止させた。1%アガロースゲル上でサンプル5μlを分析し、消化をモニターした(図3参照)。断片の曇りから、断片の大部分の大きさは約50 bpであることが示された。残存する調製物を10分間95℃に加熱することでDNAse Iを不活性化した。RochePCR精製キットによってDNAを精製し、260 nmでDNA濃度を測定した。

0075

キメラ化PCR(PCC)

0076

0077

2.5U/μl Pfuポリメラーゼ(Stratagene製カタログ番号600252)
10x Pfuポリメラーゼバッファー(Stratagene製 カタログ番号600252)
4 U/μl Pfuリガーゼ(Stratagene製 カタログ番号600191)
40 mM dNTP=10 mM dATP、10 mM dCTP、10 mM dTTP、10 mM dGTP
5μM/μl ATP(Roche製 カタログ番号1140965)

0078

温度プログラム
a) 72℃10分
b) 95℃30秒
c) 55℃1分
d) 72℃8分
e) 95℃30秒
f) 72℃8分
g) 工程b)〜f)を20回繰り返し
h) 4℃

0079

サーモサイクリング後、1%アガロースゲルにPCC−PCR産物5μlをアプライした(図4参照)。

0080

結果:ネガティブコントロールは何も示さなかったが、PCCサンプルは所望のサイズを有するバンドを示した。

0081

実施例2
形質転換

0082

PCCおよびネガティブコントロールの両サンプルを、エレクトロポレーションによってそれぞれE.coli XL-MRF'株(Stratagene製カタログ番号200158)に形質転換した。その後、100μg/mlアンピシリンを含有するLB寒天プレート上にPCC調製物100μlおよびネガティブコントロール1 mlをプレーティングした。細胞を37℃で一晩インキュベートした。

0083

この形質転換実験の、成長したクローンの数に関する結果を次の表に示す:

0084

0085

PCCサンプルプレートから20個のクローンをランダムに採取し、LB-アンピシリン培地中、37℃で一晩別々に接種した。Roche High Pure Plasmid IsolationキットId. 1754777を用いて20個のサンプルのプラスミドを単離し、ABIPrism Dye Terminator SequencingキットならびにABI 3/73および3/77シークエンサー(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてシークエンシングを行った。使用したシークエンシングプライマーは全てciAP遺伝子に基づいていた(それぞれ配列番号:5、7、8および9参照)。

0086

実施例3
クローンのAP活性試験

0087

以下のようにAP活性を測定した:一晩培養した細胞懸濁液90μlを、B-PER(細菌タンパク質抽出試薬、Pierce製カタログ番号78248)10μlと混合し、細胞を破裂させた。試薬(Roche製 カタログ番号2173107)90μlに、この混合物50μlを加えた。活性APは、405 nmで光度計によってモニターされ得るp-ニトロフェノールを放出する。陰性対照として、hpAPプラスミドまたはciAPプラスミドを含有しないE.coli XL-MRF'株細胞懸濁液を用いた。

0088

実施例4
得られる突然変異およびキメラクローン

0089

AP活性試験および対応するクローンのシークエンシングによる分析の結果を次の表に示す:

0090

0091

0092

注意すべきことは、hpAPが出発鋳型であることである。数字はAP酵素中のアミノ酸の位置を示す。V69Aのような表現は、69位にあるアミノ酸がV(バリン)からA(アラニン)に置換されたことを表す。図2にアミノ酸に基づく配列のアラインメントを示す。

0093

上のデータは、殆どあらゆる所望の程度までキメラ化が起こることを示す。突然変異スペクトルは、全てで遺伝子が混合なし(hpAP)から断片化ciAPの完全な再会合の範囲である。

0094

単離した20個のクローンのうち50%がアルカリホスファターゼ活性を示し、また混合されたDNAを有する突然変異体を含んでいた。実際、最も高い活性を有するクローン(12番)はキメラである。キメラ化に加え、点突然変異、挿入および欠失が認められ、新規のまたは改良された特性に関する選択の基準となり得る新規のポリヌクレオチドのプールをさらに拡張する。

0095

参考文献一覧
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Zhao, H.ら、NAT. Biotechnol. 16 (1998) 258-261

図面の簡単な説明

0096

図1は、本発明の方法の概要である。図1に、目的の第一の遺伝子(のある矢印)を含む二本鎖閉環状ポリヌクレオチドおよび二本鎖標的DNA(太い矢印)由来の断片を用いた本発明の方法を示す。ポリヌクレオチドを提供して必要な全ての試薬と混合し、次いで溶解、アニーリング、重合および連結の工程を実施する。
図2は、hAPおよびciAPのアミノ酸配列である。1列目にウシ腸アルカリホスファターゼのアミノ酸配列を示し、2列目に対応するヒト胎盤アルカリホスファターゼの配列を示す。
図3は、標的DNAの断片化である。図3に、実施例1のDNAse Iを用いた標的DNAの断片化の結果を示す。
図4は、キメラ化20サイクルの後に得られた核酸である。実施例1に記載されているように得られたサンプル5μlを1%アガロースゲルにアプライした。電気泳動後、DNAバンドをエチジウムブロマイドで染色した。染色されたバンドを示す。

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