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概要
背景
リチウム二次電池としては、これまで、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイトなどの高誘電率溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルなどの低粘性溶媒とを混合した非水系電解液に、リチウム塩を添加・混合した電解質が用いられているが、有機溶媒を用いると、溶媒の揮発や引火性など、安全性に問題がある。また、耐電圧が高く、エネルギー密度を高めることができるとされるプロピレンカーボネイトなどの有機溶媒に、第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩などを溶解した非水系電解液を用いた電気二重層キャパシタにおいても同様の問題が指摘されている。
常温溶融塩は、室温で液状の外観を呈する塩で、揮発性、引火性がなく、安定であり、導電性に優れることから、電気化学の分野で多くの研究、報告がされてきた。中でも、例えば、特許文献1に提案されているようなジアルキルイミダゾリウムカチオンとビストリフルオロメタンスルホニルアニオンを有し、低粘性である疎水性の塩およびこれを含有する電解質組成物並びに電気化学光電池についてのものや、特許文献2に提案されているようなカチオンがイミダゾリウム、ピリジニウム等ヘテロ元素を含む芳香環の塩とこれを含有する電気化学セルについてのものなどがあり、これらに代表される通り、イミダゾリウムなどの芳香環カチオンを有する塩の報告は多い。
また、アンモニウム塩系カチオンの塩としては、カチオン成分が、脂肪族四級アンモニウムである常温溶融塩(特許文献3)や、有機カルボン酸脂肪族四級アンモニウムとリチウム塩を混合してなる常温溶融塩(特許文献4)などが提案されている。
このように、多数の常温溶融塩が提案されてきているが、導電率が高いイミダゾリウムカチオン系の塩は、還元安定性が悪いものが多く、また、電位窓が広いアンモニウムカチオン系の塩は導電率が低く、低温安定性も劣るものが多い。これまでに、電気化学デバイスに求められるすべての特性を満足できるような、導電率が高く、マイナス温度領域の低温まで安定な液体であり、かつ還元安定性も優れるという実用的な塩は、いままでに報告されていない。
特開平8−259543号公報
国際公開第97/02252号パンフレット
特許第2981545号公報
特開平8−245493号公報
概要
導電率が高く、室温以下の低温度領域まで安定な液体状態であり、かつ電位窓が広い常温溶融塩を提供する。 下記一般式(1)で表される含フッ素環状アンモニウムカチオン成分を含有する常温溶融塩。[式中、R1、R2は、それぞれH原子、C1〜C10のアルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、またはアルコキシアルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一でも異なっていても良い。] なし
目的
そこで、本発明の目的は、導電率が高く、室温以下の低温度領域まで安定な液体状態であり、かつ電位窓が広い常温溶融塩を提供することにある。また、カチオンに機能性を持たせた新規な構造の塩を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
下記一般式(1)で表される含フッ素環状アンモニウムカチオン成分を含有する常温溶融塩。[式中、R1、R2は、それぞれH原子、C1〜C10のアルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、またはアルコキシアルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一でも異なっていても良い。]
請求項2
請求項1に記載のカチオン成分に対するアニオン成分が、N(CF3SO2)2−、CF3SO3−、PF6−、BF4−、N(CN)2−、ClO4−、SO42−、およびNO3−よりなる群から選ばれる一種または複数種のアニオン成分からなる常温溶融塩。
請求項3
請求項4
請求項1に記載の含フッ素環状アンモニウムカチオン成分のR1が、メチル基である常温溶融塩。
請求項5
請求項1に記載の含フッ素環状アンモニウムカチオン成分のR1がメチル基であり、R2がC1〜C10のアルキル基、またはアルコキシアルキル基である常温溶融塩。
請求項6
請求項7
請求項8
請求項1〜6に記載のいずれかの常温溶融塩を含み構成されるリチウム二次電池。
請求項9
請求項1〜6に記載のいずれかの常温溶融塩を含み構成される電気二重層キャパシタ。
請求項10
請求項1〜6に記載のいずれかの常温溶融塩を含み構成される色素増感型太陽電池。
請求項11
水酸基を有する環状アミンをフッ素化して得られた含フッ素環状アミンと、ハロゲン化物とを反応させて得られた含フッ素環状アンモニウム塩を、イオン結合性化合物とアニオン交換することにより合成する請求項1に記載の常温溶融塩の製造方法。
請求項12
水酸基を有する環状アミンにSF4を反応させることにより含フッ素環状アミンを合成する請求項11に記載の常温溶融塩の製造方法。
技術分野
0001
本発明は、含フッ素環状アンモニウム塩を含み構成される常温溶融塩とその製造方法、また更にはその塩を含む蓄電デバイス用電解質、蓄電デバイス用電解液、蓄電デバイス用添加剤、リチウム二次電池、電気二重層キャパシタまたは色素増感型太陽電池に関する。
背景技術
0002
リチウム二次電池としては、これまで、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイトなどの高誘電率溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルなどの低粘性溶媒とを混合した非水系電解液に、リチウム塩を添加・混合した電解質が用いられているが、有機溶媒を用いると、溶媒の揮発や引火性など、安全性に問題がある。また、耐電圧が高く、エネルギー密度を高めることができるとされるプロピレンカーボネイトなどの有機溶媒に、第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩などを溶解した非水系電解液を用いた電気二重層キャパシタにおいても同様の問題が指摘されている。
0003
常温溶融塩は、室温で液状の外観を呈する塩で、揮発性、引火性がなく、安定であり、導電性に優れることから、電気化学の分野で多くの研究、報告がされてきた。中でも、例えば、特許文献1に提案されているようなジアルキルイミダゾリウムカチオンとビストリフルオロメタンスルホニルアニオンを有し、低粘性である疎水性の塩およびこれを含有する電解質組成物並びに電気化学光電池についてのものや、特許文献2に提案されているようなカチオンがイミダゾリウム、ピリジニウム等ヘテロ元素を含む芳香環の塩とこれを含有する電気化学セルについてのものなどがあり、これらに代表される通り、イミダゾリウムなどの芳香環カチオンを有する塩の報告は多い。
0004
また、アンモニウム塩系カチオンの塩としては、カチオン成分が、脂肪族四級アンモニウムである常温溶融塩(特許文献3)や、有機カルボン酸脂肪族四級アンモニウムとリチウム塩を混合してなる常温溶融塩(特許文献4)などが提案されている。
0005
このように、多数の常温溶融塩が提案されてきているが、導電率が高いイミダゾリウムカチオン系の塩は、還元安定性が悪いものが多く、また、電位窓が広いアンモニウムカチオン系の塩は導電率が低く、低温安定性も劣るものが多い。これまでに、電気化学デバイスに求められるすべての特性を満足できるような、導電率が高く、マイナス温度領域の低温まで安定な液体であり、かつ還元安定性も優れるという実用的な塩は、いままでに報告されていない。
特開平8−259543号公報
国際公開第97/02252号パンフレット
特許第2981545号公報
特開平8−245493号公報
発明が解決しようとする課題
0006
そこで、本発明の目的は、導電率が高く、室温以下の低温度領域まで安定な液体状態であり、かつ電位窓が広い常温溶融塩を提供することにある。また、カチオンに機能性を持たせた新規な構造の塩を提供することにある。
課題を解決するための手段
0007
本発明者らは、カチオン成分とアニオン成分とからなる常温溶融塩について鋭意検討した結果、環状アンモニウムカチオンの環にフッ素を導入することにより、電位窓が広く、かつ、室温以下の低温度領域でも安定な液体であり、導電率も高いという性能を有する常温溶融塩が得られることを見出した。また、上記環状アンモニウムカチオンにフッ素を導入することにより、電極表面を保護するような効果が期待されたため、これを用いた電気化学デバイスを提供することが可能となることを見出した。
0008
即ち、本発明は、常温溶融塩として、下記一般式(1)で表される含フッ素環状アンモニウムカチオン成分:
0009
0010
[式中、R1、R2は、それぞれH原子、C1〜C10のアルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、またはアルコキシアルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一でも異なっていても良い。]
を含有することを特徴とする常温溶融塩およびその製造方法を提供するものである。ここで、上記の含フッ素環状アンモニウムカチオン成分の環状部分は、炭素数2個以上から構成される多環式構造を示すが、好ましくは五員環または六員環を示すものである。このようなカチオンを含む常温溶融塩は本発明の目的を達成するものであり、よって本発明はまた、これらを用いた蓄電デバイス用電解質、蓄電デバイス用電解液または蓄電デバイス用添加剤についても提供するものである。
発明を実施するための最良の形態
0011
以下に本発明を詳細に説明する。 本発明の常温溶融塩は、前記一般式(1)で表されるカチオン成分を含有するものである。この(1)式中のR1、R2は、それぞれH原子、炭素数が1から10まで(C1〜C10)のアルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、またはアルコキシアルキル基のいずれかであることを示し、同一若しくは異なっていてもよいことを示している。ここで、上記アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはデシル等の直鎖あるいは側鎖を有するアルキル基等を挙げることができる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘブチル、シクロオクチル、シクロノニル、またはシクロデシル等を挙げることができる。複素環基としては、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチエニル基等を挙げることができる。また更に、これらの複素環基には、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキリルアミノ基、ジアルキルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、またはハロゲン原子を、一個又は複数個含有していてもよい。アリール基としては、フェニル、クメニル、メシチル、トリル、またはキシリル基等を挙げることができる。また更に、これらのアリール基には、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、またはハロゲン原子を、一個又は複数個含有していてもよい。アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル等を挙げることができる。
0012
一般式(1)で表される含フッ素環状アンモニウムカチオン成分の環状部分は、炭素数2個以上から構成される多環式構造を示すが、好ましくは五員環または六員環を示す。
0013
即ち、本発明の常温溶融塩の具体的なカチオンとしては、N−エチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウム、N−プロピル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウム、N−アリル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウム、N−メチル−N−メトキシメチル−4−フルオロピペリジニウム、N−エチル−N−メチル−4−フルオロピロリジニウム、N−ブチル−N−メチル−4−フルオロピロリジニウム、N−アリル−N−メチル−4−フルオロピロリジニウム、またはN−メチル−N−メトキシメチル−4−フルオロピロリジニウムなどのカチオン成分が挙げられる。また、カチオン成分は、これら一種類の単独使用だけでなく、複数種を組み合わせて使用してもよい。また更に、フッ素を含有しない常温溶融塩カチオン、即ち、非フッ素系カチオンと組み合わせることもできる。本発明では、フッ素を含有しないアンモニウム系カチオンとの組み合わせが有効である。このような複数種の組み合わせにより充放電サイクルなどの諸特性を向上させることが可能である。
0014
一般式(1)で表されるカチオンの対イオンであるアニオン成分としては、公知のアニオン成分との組み合わせでよく、特に限定されないが、好ましくは、N(CF3SO2)2−、CF3SO3−、PF6−、BF4−、N(CN)2−、ClO4−、SO42−、NO3−等が挙げられる。そしてより好ましくは、フッ素を含有するアニオンである、N(CF3SO2)2−、CF3SO3−、PF6−、BF4−を挙げることができる。また、アニオン成分はこれらのうちの一種類または複数種を組み合わせて使用してもよい。
0015
しかしながら、常温溶融塩の分子量が大きくなると粘度が増し、導電率が低下する方向であるため、一般式(1)で示されるカチオンの分子量としては、300以下、好ましくは250以下、より好ましくは200以下がよい。この分子量の効果も考えられるためか、理由は必ずしも明確でないが、一般式(1)中のR1及びR2のいずれか、または両方を炭素数が1から10までのアルキル基とすると、導電率が向上する方向である。
0016
このような優れた特性を有するため、本発明の常温溶融塩は、リチウム二次電池、電気二重層キャパシタまたは色素増感型太陽電池などにも利用することができる。
0017
次に、本発明の常温溶融塩の製造方法を示す。まず、水酸基を有する環状アミンをフッ素化し、含フッ素環状アミンを合成する。そのフッ素化反応は、水酸基を有する環状アミンを原料にして、HF溶媒(HF使用量は原料1gに対して20ml以下が好ましい。)中またはHF溶媒なしで、1〜15当量のSF4を導入することにより行う。反応圧力は、0〜20MPa、好ましくは0.5〜3.0MPaであり、反応温度は、−40〜320℃、好ましくは0〜150℃であって、反応時間は、2〜150時間の条件で反応させることが望ましい。反応終了後は、通常の後処理と、精製を行うことにより、目的の含フッ素環状アミンを得ることができる。
0018
その得られた含フッ素環状アミンと1〜10当量のハロゲン化物とを反応温度200℃以下、好ましくは100℃以下0℃以上の温度条件で、反応時間0.1〜150時間混合させて、四級アンモニウム塩を合成する。次いで得られた四級アンモニウム塩を用いて、アニオン交換反応により最終目的物の常温溶融塩を合成する。
0019
その四級アンモニウム塩とアニオン交換させるイオン結合性化合物としては、LiN(CF3SO2)2、NaN(CF3SO2)2、KN(CF3SO2)2、CF3SO3Li、CF3SO3Na、CF3SO3K、CF3CH2SO3Li、CF3CH2SO3Na、CF3CH2SO3K、CF3COOLi、CF3COONa、CF3COOK、LiPF6、NaPF6、KPF6、LiBF4、NaBF4、KBF4、LiSbF6、NaSbF6、KSbF6、NaN(CN)2、AgN(CN)2、Na2SO4、NaNO3、KNO3等を挙げることができるが、これらの化合物に限られるものではない。
0020
N(CF3SO2)2−のような疎水性の強いアニオンの場合は、反応溶媒に超純水を使用することが好ましく、また、BF4−のような親水性の強いアニオンの場合には、反応溶媒に酢酸エチル、アセトン等の有機溶媒を使用することが好ましい。そして、反応温度200℃以下、好ましくは100℃以下0℃以上で、反応時間0.1〜150時間反応させることにより、本発明の含フッ素環状アンモニウムカチオンを有する常温溶融塩を合成することができる。
0021
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(N−エチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウムイミド塩の合成)
まず、ピペリジン環へのフッ素を次のようにして導入した。500mlステンレス製オートクレーブに、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン9.5g(0.065mol)を仕込み、アセトン/ドライアイス浴で冷却した後、HF 54gおよびSF4 16g(0.151mol)を導入した。
0022
その後、上記オートクレーブを加温し、30℃、0.5MPaで6時間攪拌翼で攪拌し、反応させた。200mlポリ容器に取り出した反応粗生成物をアスピレーターで吸引し、粗生成物中のある程度のHFを除去した後、1H NMRおよび19F NMRを測定した結果(核磁気共鳴分析装置は、バリアンジャパン(株)製:Varian Gemini 200 NMR Spectrometer を使用した)、フッ化物であるN−エチル−4−フルオロピペリジンが含まれていることを確認した。
0023
反応粗生成物(HFを含む)を、ダウエックス社製イオン交換樹脂カラムを用いて(展開溶媒:純水→1N HCl→2.5N HCl→4N HClと順次変更した)脱HFし、塩酸塩に変換した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残留物を40℃以下で真空脱水乾燥し、白色固体状の化合物(フルオロピペリジニウム塩酸塩)を得た。
0024
そして、以下のように、上記フルオロピペリジニウム塩酸塩からアミンを遊離させた後、常温溶融塩を合成した。フルオロピペリジニウム塩酸塩を超純水に溶解し、ジエチルエーテルを抽出溶媒として加え、約2当量の炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下した。GC(島津製作所(株)製ガスクロマトグラフィー:GC−8A)で確認しながら室温で数時間攪拌し、エーテル層を分離した。更にそのエーテル層が分離された水層を、エーテルで抽出、分離した後、エバポレーターを用いて室温で濃縮し、N−エチル−4−フルオロピペリジンを得た。
0025
次いで、N2雰囲気下で、還流冷却管、滴下ロート、マグネチックスターラーを備えた三口丸底フラスコを用い、THF 100mlで得られたN−エチル−4−フルオロピペリジンを溶解し、攪拌しながらヨードメタンを滴下した。この混合物を室温(24℃以下)で16時間攪拌し、反応させた。得られた白色沈澱をエーテルで洗浄し、エバポレーターを用いて溶媒を除去して、N−エチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウムアイオダイドの白色粉末を14.0g(収率79%(原料のN−エチル−3−ヒドロキシピペリジンから4steps))得た。
0026
上記化合物の分析を、核磁気共鳴分析装置(バリアンジャパン(株)製:Varian Gemini 200 NMRSpectrometer)で行なった。スペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(200MHz、溶媒:D2O、標準物質:4,4−ジメチル−4−シリルペンタン硫酸ナトリウム)
δ 5.16−4.89(dm,1H)
3.62−3.36(m,6H)
3.09−3.06(m,3H)
2.48−2.18(m,4H)
1.44−1.30(m,3H)
19F−NMR(188MHz、溶媒:D2O、標準物質:CFCl3)
δ −184.51−−186.73(m,1F)
上記化合物の14.0gを、超純水中に溶解した後、LiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)14.6gを超純水に溶解した水溶液と60min以上混合した。得られた混合溶液を超純水で洗浄した後、CH2Cl2によって室温で抽出し、抽出液をロータリーエバポレーター、および高真空ポンプを用いて濃縮乾燥した。以上の操作によって、室温で液体(うす黄色)のN−エチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウムイミド塩19.5g(収率90%)が得られた。
0027
上記化合物の分析を、核磁気共鳴分析装置で行なった。スペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(200MHz、溶媒:acetone−d6、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 5.20−4.90(dm,1H)
3.79−3.62(m,6H)
3.34−3.24(m,3H)
2.65−2.19(m,4H)
1.75−1.42(m,3H)
19F−NMR(188MHz、溶媒:acetone−d6、標準物質:CFCl3)
δ −80.42(s,6F)
−184.93−−187.07(m,1F)
合成した上記常温溶融塩の熱分析は、液体窒素自動供給装置をつけたDSC(Differential Scanning Calorimetry;Rigaku社製)を用いて行った。また電気化学測定システム(北斗電工社製)を用いて、交流インピーダンス法により導電率を、電位走査法により酸化還元電位を各々測定した。結果を表1に示す。
実施例2(N−ブチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウムイミド塩の合成)
まず、4−ヒドロキシピペリジンとヨードブタンからピペリジニウム塩を合成し、これを炭酸ナトリウムで中和することにより、N−ブチル−4−ヒドロキシピペリジンを得た。即ち、N2雰囲気下で、還流冷却管、滴下ロート、マグネチックスターラーを備えた1Lの三口丸底フラスコを用い、4−ヒドロキシピペリジン20.2g(0.20mol)をTHF中に攪拌し、ヨードブタン44.2g(0.24mol)を室温で滴下した。20時間還流し、反応させた。黄色オイル状の塩が得られたので、これをエバポレーターおよび高真空ポンプを用いて乾燥した。これを、超純水に溶解し、ジエチルエーテルを抽出溶媒として加え、約2当量の炭酸ナトリウムを加えた。GCで確認しながら室温で2〜3時間攪拌し、エーテル層を分離した。分離後の水層にエーテルを加えて更に抽出、分離した後、エバポレーターを用いて室温で濃縮し、N−ブチル−4−ヒドロキシピペリジンを得た。収率は62%であった。
0028
次に、この得られたN−ブチル−4−ヒドロキシピペリジンにフッ素を導入した。即ち、500mlステンレス製オートクレーブに、合成したN−ブチル−4−ヒドロキシピペリジン16.6g(0.106mol)を仕込み、アセトン/ドライアイス浴で冷却した後、HF 101gおよびSF4 25g(0.23mol)を導入した。
0029
上記オートクレーブを加温して、30℃、0.5MPaで6時間攪拌し、反応させた。200mlポリ容器に取り出した反応粗生成物をアスピレーターで吸引し、粗生成物中のある程度のHFを除去した後、1H NMRおよび19F NMRを測定した結果、目的物が含まれていることを確認した。
0030
ダウエックス社製イオン交換樹脂カラムを用いて(展開溶媒:純水→1N HCl→2.5N HCl→4N HClと順次変更した)脱HFし、塩酸塩に変換した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残留物を40℃以下で真空脱水乾燥し、白色固体状の化合物(フルオロピペリジニウム塩酸塩)を得た。
0031
そして、以下のように、上記フルオロピペリジニウム塩酸塩からアミンを遊離させた後、常温溶融塩を合成した。フルオロピペリジニウム塩酸塩を超純水に溶解し、ジエチルエーテルを抽出溶媒として加え、約2当量の炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下した。GCで確認しながら室温で数時間攪拌し、エーテル層を分離した。更にそのエーテル層が分離された水層を、エーテルで抽出、分離した後、エバポレーターを用いて室温で濃縮し、N−ブチル−4−フルオロピペリジンを得た。
0032
次いで、N2雰囲気下で、還流冷却管、滴下ロート、マグネチックスターラーを備えた500ml三口丸底フラスコを用い、THF 300mlで得られたN−ブチル−4−フルオロピペリジンを溶解し、攪拌しながらヨードメタンを滴下した。混合物を室温(24℃以下)で21時間攪拌し、反応させた。得られた白色沈澱をエーテルで洗浄し、エバポレーターを用いて溶媒を除去して、N−ブチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウムアイオダイド26.2g(収率82%(N−ブチル−4−ヒドロキシピペリジンから4steps))を得た。
0033
上記化合物の分析を、核磁気共鳴分析装置で行なった。スペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(200MHz、溶媒:D2O、標準物質:4,4−ジメチル−4−シリルペンタン硫酸ナトリウム)
δ 5.16−4.89(dm,1H)
3.63−3.32(m,6H)
3.11−3.07(m,3H)
2.38−2.18(m,4H)
1.89−1.70(m,2H)
1.50−1.32(m,2H)
0.97(t,3H)
19F−NMR(188MHz、溶媒:D2O、標準物質:CFCl3)
δ −184.52−−186.76(m,1F)
上記化合物を23.0g、超純水中に溶解し、LiTFSI 22.0gを超純水に溶解した水溶液と60min以上混合した。得られた混合溶液を超純水で洗浄した後、CH2Cl2によって室温で抽出し、抽出液をロータリーエバポレーター、および高真空ポンプを用いて濃縮乾燥した。以上の操作によって、室温で液体のN−ブチル−N−メチル−4−フルオロピペリジニウムイミド塩34.7g(収率99%)が得られた。
0034
上記化合物の分析を、核磁気共鳴分析装置で行なった。スペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(200MHz、溶媒:acetone−d6、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 5.13−4.95(dm,1H)
3.71−3.63(m,6H)
3.38−3.33(m,3H)
2.25−2.04(m,4H)
1.97−1.91(m,2H)
1.50−1.42(m,2H)
0.99(t,3H)
19F−NMR(188MHz、溶媒:acetone−d6、標準物質:CFCl3)
δ −79.90(s,6F)
−185.05−−186.83(m,1F)
合成した上記常温溶融塩の熱分析は、液体窒素自動供給装置をつけたDSC(Diffrential Scanning Calorimetry;Rigaku社製)を用いて行った。また、電気化学測定システム(北斗電工社製)を用いて、交流インピーダンス法により導電率を、電位走査法により酸化還元電位を各々測定した。結果を表1に示す。
参考例1(N−エチル−N−メチル−ピペリジニウムイミド塩の合成)
N−エチルピペリジンとヨードメタンからピペリジニウム塩を合成し、アニオン交換して、ピペリジニウムイミドを合成した。即ち、N2雰囲気下で、還流冷却管、滴下ロート、マグネチックスターラーを備えた300ml三口丸底フラスコを用い、N−エチルピペリジン11.3g(0.1mol)を100ml THF中に攪拌し、ヨードメタン17.0g(0.12mol)を滴下した。混合物を2時間攪拌した。白色沈澱が得られ、これをエーテルで洗浄し、エバポレーターおよび高真空ポンプを用いて乾燥し、N−エチル−N−メチル−ピペリジニウムアイオダイド23.0gを得た(収率は90%であった)。
0035
上記化合物の分析を、核磁気共鳴分析装置で行なった。スペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(200MHz、溶媒:D2O、標準物質:4,4−ジメチル−4−シリルペンタン硫酸ナトリウム)
δ 3.37(m,6H)
2.99(s,3H)
1.74(m,6H)
1.32(t,3H)
上記化合物を、超純水中に10.2g(0.04mol)溶解し、LiTFSI 11.5g(0.04mol)を超純水に溶解した水溶液と60min混合した。得られた白色固体を超純水で洗浄した後、CH2Cl2によって抽出し、抽出液をロータリーエバポレーター、高真空ポンプを用いて濃縮乾燥した。うす黄色固体としてN−エチル−N−メチル−ピペリジニウムイミドが得られ、収率は86%であった。
0036
上記化合物の分析を、核磁気共鳴分析装置で行なった。スペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(200MHz、溶媒:acetone−d6、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 3.61(m,6H)
3.23(s,3H)
1.88(m,6H)
1.38(t,3H)
19F−NMR(188MHz、溶媒:acetone−d6、標準物質:CFCl3)
δ −80.41(s,6F)
このものの特性も表1に示す。
0037
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