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技術 電磁式アクチュエータ

出願人 GKNドライブラインジャパン株式会社
発明者 伏木正明
出願日 2003年12月3日 (17年0ヶ月経過) 出願番号 2003-404314
公開日 2005年6月23日 (15年6ヶ月経過) 公開番号 2005-168191
状態 拒絶査定
技術分野 減速機2 電磁石1(アマチュア有) 往復動・振動型電動機
主要キーワード 押圧力方向 張り付き力 移動推力 付き力 テーパーローラーベアリング 連結解除位置 通電開始直後 移動操作力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

プランジャ残留磁気によって位置保持する。

解決手段

電磁コイル65を保持し、磁路の一部を構成するコイルハウジング67と、コイルハウジング67と共に電磁コイル65の磁路を構成し、電磁コイル65に通電すると励磁され、被操作装置9を操作する位置に移動するプランジャ71とを備え、プランジャ71を適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作ったことにより、電磁コイル65の通電を停止してもプランジャ71が被操作装置9の操作位置に保持される。

概要

背景

特許文献1に、図12に示すようなアクチュエータ501とこれを用いたデファレンシャル装置503が記載されている。

デファレンシャル装置503は、アクチュエータ501と、アウターデフケース505と、ベベルギア式の差動機構507が連結されたインナーデフケース509と、アウターデフケース505とインナーデフケース509とを断続するドッグクラッチ511(被操作装置)などから構成されている。

アクチュエータ501は電磁コイル513と、コイルハウジング515と、永久磁石プランジャ517と、リターンスプリング519などから構成されており、電磁コイル513に通電すると励磁されたプランジャ517が移動してドッグクラッチ511が噛み合い、エンジン駆動力がアウターデフケース505からインナーデフケース509を介して差動機構507に伝達され、左右の車輪に配分される。

また、上記のような構成のアクチュエータ(電磁式アクチュエータ)では、一般に、プランジャは残留磁気の小さい軟磁性材料で作られている。
特開2003−158862号公報(図1)

概要

プランジャを残留磁気によって位置保持する。電磁コイル65を保持し、磁路の一部を構成するコイルハウジング67と、コイルハウジング67と共に電磁コイル65の磁路を構成し、電磁コイル65に通電すると励磁され、被操作装置9を操作する位置に移動するプランジャ71とを備え、プランジャ71を適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作ったことにより、電磁コイル65の通電を停止してもプランジャ71が被操作装置9の操作位置に保持される。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

電磁コイルを保持し、磁路の一部を構成するコイルハウジングと、前記コイルハウジングと共に前記電磁コイルの磁路を構成し、前記電磁コイルに通電すると励磁され、被操作装置操作位置に向かい移動するプランジャとを備えた電磁式アクチュエータであって、前記磁路を構成する部材の少なくとも一方を適度な残留磁気特性を有する磁性材料製にし、前記電磁コイルの通電を停止しても、前記プランジャが前記被操作装置の操作位置側に保持されることを特徴とする電磁式アクチュエータ。

請求項2

請求項1に記載された発明であって、前記被操作装置の状態を検知するセンサーを設け、前記被操作装置が前記プランジャによる操作状態から逸脱する兆候を前記センサーが検知すると、前記電磁コイルに通電して前記プランジャの残留磁気低下を補い、前記被操作装置の操作状態からの逸脱を防止することを特徴とする電磁式アクチュエータ。

請求項3

請求項1または請求項2に記載された発明であって、前記コイルハウジングに、前記被操作装置の操作位置側に移動した前記プランジャと突き当たって位置決めするストッパ部を設け、前記ストッパ部と前記プランジャとの間に滑らかな接触面を有することを特徴とする電磁式アクチュエータ。

請求項4

請求項1〜請求項3のいずれかに記載された発明であって、前記電磁コイルに通電し、付勢部材付勢力に抗して、前記プランジャを一方向に操作し、前記電磁コイルによって前記プランジャの残留磁気を消磁し、前記付勢部材の付勢力によって前記プランジャを他方向に操作することを特徴とする電磁式アクチュエータ。

請求項5

請求項4に記載された発明であって、前記プランジャの移動方向と、前記付勢部材の付勢力の方向が同一であることを特徴とする電磁式アクチュエータ。

技術分野

0001

本発明は、例えば、車両の動力伝達装置クラッチ装置被操作装置)を操作する電磁式アクチュエータに関する。

背景技術

0002

特許文献1に、図12に示すようなアクチュエータ501とこれを用いたデファレンシャル装置503が記載されている。

0003

デファレンシャル装置503は、アクチュエータ501と、アウターデフケース505と、ベベルギア式の差動機構507が連結されたインナーデフケース509と、アウターデフケース505とインナーデフケース509とを断続するドッグクラッチ511(被操作装置)などから構成されている。

0004

アクチュエータ501は電磁コイル513と、コイルハウジング515と、永久磁石プランジャ517と、リターンスプリング519などから構成されており、電磁コイル513に通電すると励磁されたプランジャ517が移動してドッグクラッチ511が噛み合い、エンジン駆動力がアウターデフケース505からインナーデフケース509を介して差動機構507に伝達され、左右の車輪に配分される。

0005

また、上記のような構成のアクチュエータ(電磁式アクチュエータ)では、一般に、プランジャは残留磁気の小さい軟磁性材料で作られている。
特開2003−158862号公報(図1

発明が解決しようとする課題

0006

プランジャが残留磁気の小さい軟磁性材料で作られている電磁式アクチュエータの場合、プランジャで被操作装置を操作状態に保つには電磁コイルに通電し続ける必要があり、消費電力を小さくするために電力制御を行ってはいるが、それでも、ある程度の電力消費が許される装置でしか使用できず、例えば、車載装置ではバッテリーの負担が大きく、エンジンの燃費が低下する。

0007

また、電磁コイルに通電し続けることによって発熱するから、耐熱性に優れたオイルや電磁コイルを選定する必要が生じ、コストがそれだけ上昇することになる。

0008

また、電磁コイルの通電を停止するとスプリング付勢部材)によって被操作装置が反対の状態に戻るように構成されているから、電磁コイルが作動不良になると、電磁石磁力によって保持されていた状態を保持できない。

0009

また、軟磁性材料は高価であり、加工性が悪い。

0010

しかし、図12のアクチュエータ501のように、プランジャに永久磁石を用いる装置では、電磁コイルの通電を停止しても自身の磁力によってプランジャの位置(被操作装置の状態)が保持されるから、上記のような被操作装置の状態を保持するための電力消費と、バッテリーの負担が低減され、エンジン燃費が向上し、軟磁性材料をプランジャに用いる必要が無くなる。

0011

ところが、永久磁石のプランジャには、磁性金属コンタミネーション摩耗粉)が吸着されて隙間に詰まり移動抵抗になることが考えられ、この場合電磁式アクチュエータ全体が動作不良を生じないように複雑な対処を強いられる。

0012

そこで、この発明は、電力消費及びバッテリー負担の増加とを防止し、さらに、プランジャによるコンタミネーションの吸着を防止し、長期にわたって動作が正常に保たれる電磁式アクチュエータの提供を目的としている。

課題を解決するための手段

0013

請求項1の電磁式アクチュエータは、電磁コイルを保持し、磁路の一部を構成するコイルハウジングと、前記コイルハウジングと共に前記電磁コイルの磁路を構成し、前記電磁コイルに通電すると励磁され、被操作装置の操作位置に向かい移動するプランジャとを備えた電磁式アクチュエータであって、前記磁路を構成する部材の少なくとも一方を適度な残留磁気特性を有する磁性材料製にし、前記電磁コイルの通電を停止しても、前記プランジャが前記被操作装置の操作位置側に保持されることを特徴とする。

0014

請求項2の発明は、請求項1に記載された電磁式アクチュエータであって、前記被操作装置の状態を検知するセンサーを設け、前記被操作装置が前記プランジャによる操作状態から逸脱する兆候を前記センサーが検知すると、前記電磁コイルに通電して前記プランジャの残留磁気低下を補い、前記被操作装置の操作状態からの逸脱を防止することを特徴とする。

0015

請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載された電磁式アクチュエータであって、前記コイルハウジングに、前記被操作装置の操作位置側に移動した前記プランジャと突き当たって位置決めするストッパ部を設け、前記ストッパ部と前記プランジャとの間に滑らかな接触面を有することを特徴とする。

0016

請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載された電磁式アクチュエータであって、前記電磁コイルに通電し、付勢部材の付勢力に抗して、前記プランジャを一方向に操作し、前記電磁コイルによって前記プランジャの残留磁気を消磁し、前記付勢部材の付勢力によって前記プランジャを他方向に操作することを特徴とする。

0017

請求項5の発明は、請求項4に記載された電磁式アクチュエータであって、前記プランジャの移動方向と、前記付勢部材の付勢力の方向が同一であることを特徴とする。

発明の効果

0018

本発明の電磁式アクチュエータは、請求項1の構成のように、電磁コイルの磁路を構成する部材の少なくとも一方を適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作ったことにより、電磁コイルの通電を停止してもプランジャが被操作装置の操作位置(例えば、クラッチ装置の連結位置または連結解除位置)側に保持されるから、被操作装置の状態を保持するための電力消費とバッテリーの負担が大幅に低減され、エンジン燃費が向上する上に、加工性が悪く高価な軟磁性材料をプランジャに用いる必要がなくなる。

0019

また、適度な残留磁気特性を有する磁性材料には、機械構造用炭素鋼(例えば、S45C程度の材料)などがあり、この材料は加工性(被切削性)に優れているから、加工コストをそれだけ低減することができる。

0020

本発明の電磁式アクチュエータにおいて、プランジャに与えられる適度な残留磁気とは、位置保持のために必要最低限の磁力(残留磁気)であって永久磁石の磁力(残留磁気)より小さく、また、残留磁気は徐々に減衰すると共に、プランジャを移動させるときは電磁コイルでプランジャを消磁するから、プランジャの残留磁気によるコンタミネーションの吸着量は実質的に極めて少なく、従って、電磁式アクチュエータの動作は長期にわたって正常に保たれる。

0021

請求項2の電磁式アクチュエータは、請求項1の発明と同等の効果が得られる。

0022

また、被操作装置がプランジャによる操作状態から逸脱する兆候をセンサーによって検知し、電磁コイルによりプランジャを再び磁化して残留磁気を補うように構成したから、電磁コイルの消費電力を低く保ちながら、被操作装置を意図した操作状態に保持することができる。

0023

請求項3の電磁式アクチュエータは、請求項1または請求項2の発明と同等の効果が得られる。

0024

また、コイルハウジングのストッパ部とプランジャとの間の接触面を滑らかにした(例えば、平面度を高めた加工をするなど)ことによってこの接触面での磁気抵抗が小さくなり、磁路が成立し易くなって磁力によるプランジャの吸引力強化される上に、滑らかな面と面の間では吸着力が生じるから、コイルハウジングとの接触面においてプランジャに大きな吸着力が働き、プランジャによる被操作装置の操作機能及び状態保持機能がさらに向上する。

0025

請求項4の電磁式アクチュエータは、請求項1〜請求項3の発明と同等の効果が得られる。

0026

また、電磁コイルでプランジャの残留磁気を消磁してから、付勢部材によってプランジャを反対方向に移動させるこの構成では、付勢部材を特別に強くせずにプランジャの移動操作が可能であるから、付勢部材の強化に伴う電磁コイルの大型化と、電力消費及びバッテリー負担の増加とが防止されると共に、プランジャによるコンタミネーション吸着量が大幅に減少し、長期にわたって動作が正常に保たれる。

0027

請求項5の電磁式アクチュエータは、請求項4の発明と同等の効果が得られる。

0028

また、プランジャの移動方向と付勢部材の付勢力の方向を同一にしたことにより、付勢部材の付勢力に押圧されて移動する際にプランジャの倒れと、倒れによるカジリが防止されてプランジャが円滑に移動するから、電磁式アクチュエータの動作が正常に保たれる。

発明を実施するための最良の形態

0029

次に本発明の実施形態について説明する。

0030

(実施形態)
図1図11によって本発明の一実施形態である電磁式アクチュエータ1及びこれを用いたデファレンシャル装置3の説明をする。なお、図8は電磁コイル65の通電電流値及びその方向とプランジャ71の残留磁気の諸グラフを示し、図9は電磁コイル65の通電電流値とプランジャ71の推力スラスト力)とのグラフを示し、図10は電磁コイル65の通電電流値とプランジャ71の残留磁気の諸グラフを示し、図11はプランジャ71の残留磁気と貼り付き力の諸グラフを示している。また、以下の説明の中で左右の方向はデファレンシャル装置3が用いられた車両での左右の方向である。

0031

[電磁式アクチュエータ1の構成]
電磁式アクチュエータ1は、電磁コイル65を保持し、磁路の一部を構成するコイルハウジング67と、コイルハウジング67と共に電磁コイル65の磁路を構成し、電磁コイル65に通電すると励磁されてドッグクラッチ9(被操作装置)を噛み合わせる位置に向かい移動するプランジャ71とを備えた電磁式アクチュエータであって、プランジャ71(磁路を構成する部材の少なくとも一方)を適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作ったことにより、電磁コイル65の通電を停止しても、残留磁気によってプランジャ71がドッグクラッチ9の噛み合い位置(操作位置)側保持される。

0032

デファレンシャル装置3は、電磁式アクチュエータ1と、デフケース5と、ベベルギア式の差動機構7と、ドッグクラッチ9(被操作装置)と、リターンスプリング11(付勢部材)と、コントローラなどから構成されている。

0033

デフケース5は、ケーシング本体15と左カバー17から構成されており、ケーシング本体15とカバー17はボルト19で固定されている。デフケース5はデフキャリヤ21の内部に配置されており、カバー17とケーシング本体15に形成された各ボス部23,25はテーパーローラーベアリング27を介してそれぞれデフキャリヤ21に支承されている。また、デフキャリヤ21にはオイル溜りが形成されている。デフケース5にはリングギアがボルトで固定され、このリングギアは動力伝達系のギヤと噛み合っている。この動力伝達系はトランスミッション側に連結され、デフケース5はトランスミッションとこの動力伝達系とを介して伝達されるエンジンの駆動力により回転駆動される。

0034

差動機構7は、1本のピニオンシャフト29と、各ピニオンシャフト29上に支承されたピニオンギア31と、出力側サイドギア33,35から構成されている。各ピニオンシャフト29はデフケース5(ケーシング本体15)に設けられた貫通孔37に端部を係合し、スプリングピン39によって抜け止めされている。また、サイドギア33,35は左右からそれぞれ各ピニオンギア31と噛み合っている。デフケース5と各ピニオンギア31との間には球面ワッシャ41が配置されており、ピニオンギア31の遠心力と、サイドギア33,35との噛み合いによってピニオンギア31に生じる噛み合い反力とを受けている。

0035

各サイドギア33,35のボス部43,45はカバー17とケーシング本体15に形成された支承部47,49によって回転自在に支承されており、各ボス部43,45はスプライン連結された車軸を介して左右の車輪側に連結されている。また、左サイドギア33とデフケース5との間にはスラストワッシャ51が配置されてサイドギア33の噛み合い反力を受けており、右サイドギア35とデフケース5との間にはスラストワッシャ53,53が配置され、サイドギア35の噛み合い反力を受けている。

0036

ドッグクラッチ9は、右サイドギア35に形成された噛み合い歯55と、クラッチリング57に形成された噛み合い歯59によって構成されている。このクラッチリング57には脚部61が周方向等間隔に形成されており、クラッチリング57は各脚部61をケーシング本体15に形成された周方向等間隔の開口63にそれぞれ貫通させてデフケース5に回り止めされ、軸方向移動自在に配置されている。図1の下半部のように、クラッチリング57が左に移動するとドッグクラッチ9が噛み合って差動機構7の差動がロックされ、図1の上半部のように、クラッチリング57が右に移動するとドッグクラッチ9の噛み合いが解除され、差動ロックが解除される。

0037

リターンスプリング11は右サイドギア35とクラッチリング57との間に配置され、クラッチリング57をドッグクラッチ9の噛み合い解除側(右方)へ軸方向に付勢している。

0038

電磁式アクチュエータ1は、電磁コイル65と、コイルハウジング67と、ガイド部材69と、プランジャ71(磁路を構成する部材の少なくとも一方:適度な残留磁気特性を有する磁性材料)と、スライドリング73と、プレッシャープレート75と、ポジションスイッチ77と、コントローラなどから構成されている。

0039

電磁コイル65はコイルハウジング67に収容されており、そのリード線はコイルハウジング67からコネクターを介してデフキャリヤ21の外部に引き出され、コントローラを介して車載バッテリに接続されている。コイルハウジング67は磁性材料で作られており、連結部材を介してデフキャリヤ21に固定され、回り止めされている。ガイド部材69は非磁性材料(例えば、ステンレス鋼)で作られており、コイルハウジング67の内周部に溶接されている。また、コイルハウジング67とガイド部材69は、ボス部25の段差部79とスラストワッシャ81とによりデフケース5とテーパーローラーベアリング27との間で軸方向に位置決めされている。

0040

プランジャ71は、適度な残留磁気特性を有する材料(例えば、S45C程度)で作られており、スライドリング73の外周に固定されている。また、スライドリング73は非磁性材料(例えば、ステンレス鋼)で作られている。下記のように、電磁コイル65によって励磁されるとプランジャ71は所望の強さの残留磁気を帯びる。また、プランジャ71とスライドリング73はコイルハウジング67の内周側とガイド部材69の外周側に配置されており、スライドリング73の内周はガイド部材69の外周で軸方向移動自在に支承されている。このようにプランジャ71及びスライドリング73の移動方向と上記のリターンスプリング11の付勢力の方向はいずれも軸方向(同方向)でプランジャ71の移動推力を生じる方向とリターンスプリング11の押圧力方向は対向している。

0041

また、コイルハウジング67にはプランジャ71と対向するギャップ83と、プランジャ71が左方へ移動したとき突き当たって位置決めするストッパ部85が設けられており、プランジャ71とストッパ部85の各接触面87,89は、下記のように、電磁コイル65の磁束及びプランジャ71の残留磁気による磁束を通り易くしてプランジャ71に対する吸引力を強化するために、また、接触面87,89間の吸着力を強化するために接触面が滑らかに加工されている。

0042

プレッシャープレート75は、内周側に形成された腕部91によって回転側のクラッチリング57に連結されており、静止側のスライドリング73と接触して摺動する。ドッグクラッチ9のクラッチリング57はリターンスプリング11の付勢力によりプレッシャープレート75を介してスライドリング73(プランジャ71)を右方に付勢している。

0043

ポジションスイッチ77は、その取り付け軸93がデフキャリヤ21を貫通して螺着されており、取り付け軸93と同軸に設けられた位置検出軸95の先端にはプローブ97が形成されている。プローブ97はプレッシャープレート75の左側面に係合しており、位置検出軸95は内部に設けられた適度な強さのリターンスプリングによって右方に付勢されている。ポジションスイッチ77の位置検出軸95(プローブ97)は、ドッグクラッチ9が噛み合うと、プレッシャープレート75の移動に伴って破線の位置まで左に移動し、ドッグクラッチ9の噛み合いが解除されると、上記のリターンスプリングによって実線の位置に戻る。また、ポジションスイッチ77は位置検出軸95のこのような軸方向移動に伴ってON−OFFし、その信号をコントローラに送る。コントローラは受け取ったON−OFF信号に基づいて、デファレンシャル装置3(差動機構7)の差動回転がドッグクラッチ9によってロックされているか否か、また、プランジャ71が差動機構7の差動ロック位置にあるか否かを判断する。

0044

コイルハウジング67とギャップ83とプランジャ71とによって電磁コイル65の磁路が構成されている。

0045

コントローラは、
(手順1)一方向の電流を所定の電流値で電磁コイル65に通電し、プランジャ71を励磁して軸方向左側に移動させ、
(手順2)その通電を停止すると共に、必要に応じて一方向の電流を電磁コイル65に通電し、プランジャ71の残留磁気低下を補い、
(手順3)一方向の電流を電磁コイル65に通電しているときはその通電を停止すると共に、反対方向の電流を所定の電流値で電磁コイル65に通電してプランジャ71を消磁した後、消磁電流を停止する。

0046

電磁コイル65が通電されていない状態では、図2図4のように、リターンスプリング11によってクラッチリング57とプレッシャープレート75とプランジャ71とスライドリング73が右方へ移動し、ドッグクラッチ9の噛み合いが解除されており、差動機構7は自由に差動回転できる状態にある。

0047

次に、(手順1)のように、電磁コイル65に一方向の電流を所定の電流値で通電すると、磁路に磁束ループ99(図5図6図7)が発生し、その磁力によってプランジャ71が励磁され、プランジャ71と共にスライドリング73が左方に移動し、プレッシャープレート75を介してクラッチリング57を押圧し、リターンスプリング11を撓ませながら、ドッグクラッチ9を噛み合わせ、上記のように、差動機構7の差動をロックさせる。なお、図5は電磁コイル65に一方向の電流を通電した直後で、まだプランジャ71が左方に移動していない状態を示している。また、プランジャ71は左方に移動するとコイルハウジング67のストッパ部85と突き当たって停止し、位置決めされる。また、上記のようにガイド部材69とスライドリング73の両方が非磁性材料で作られているから、図5図6図7に示すように、磁束ループ99から分岐ループが発生することはなく、磁気漏れによる電磁コイル65の磁力ロスが避けられる。

0048

また、上記のようにプランジャ71とストッパ部85の各接触面87,89が滑らかに加工されているから、電磁コイル65の磁束がそれだけ通り易くなり、磁力によってプランジャ71が強く吸引され、クラッチリング57に対する大きな移動操作力が得られる。

0049

また、ポジションスイッチ77のプローブ97は、上記のように、ドッグクラッチ9が噛み合うときのプレッシャープレート75の移動に伴って図1の破線の位置まで移動し、信号をコントローラに送り、コントローラは受け取った信号に基づいて、デファレンシャル装置3(差動機構7)の差動回転がロックされたこと、さらに、プランジャ71が差動機構7の差動ロック位置に保持されていることを検知する。

0050

悪路走行中のように左右の駆動輪空転し易い状況で差動機構7の差動をロックさせると、空転車輪からの駆動力の逃げが防止され、悪路などの脱出性、走破性が向上し、車両のスタックが防止される。

0051

次に、(手順2)のように、電磁コイル65に対する一方向の電流の通電を停止すると、図3図7に示すように、残留磁気によってプランジャ71が、電磁コイル65の通電中の位置に保持され、差動機構7の差動ロックが保持される。

0052

また、滑らかに加工され磁束が通り易くなったプランジャ71とコイルハウジング67のストッパ部85との各接触面87,89では、残留磁気によりプランジャ71が強く吸引されると共に、ストッパ部85の接触面89でプランジャ71に大きな吸着力が働くから、プランジャ71によって差動機構7の差動ロック状態を保持する機能がさらに向上する。

0053

また、時間の経過に伴ってプランジャ7の残留磁気が減衰し、プランジャ71がリターンスプリング11の付勢力により差動機構7の差動ロック位置から右方へ戻りそうになると、プランジャ71の位置を監視しているポジションスイッチ77がプランジャ71のこの兆候(動き)を検知してコントローラに信号を送り、コントローラは電磁コイル65に一方向の電流を通電させてプランジャ71の残留磁気低下を補い、差動機構7の差動ロック状態を保持する。

0054

次に、(手順3)のように、一方向の電流を電磁コイル65に通電しているときはその通電を停止し、さらに、電磁コイル65に反対方向の電流を所定の電流値で通電すると、磁路に磁束ループ99と反対方向の磁束が生じてプランジャ71が消磁され、リターンスプリング11の付勢力によりクラッチリング57とプレッシャープレート75とプランジャ71とスライドリング73が右方へ戻り、ドッグクラッチ9の噛み合いが解除され、差動機構7の差動が自由になり、その後、消磁電流を停止する。

0055

また、上記のように、プランジャ71及びスライドリング73の移動方向とリターンスプリング11の付勢力の方向がいずれも軸方向(同方向)であり、リターンスプリング11の付勢力によって右に戻るときのプランジャ71の倒れと、倒れによるカジリが防止されてプランジャ71が円滑に移動するから、ドッグクラッチ9の噛み合い解除動作(差動機構7の差動ロック解除動作)が正常に保たれる。

0056

なお、プランジャ71を消磁しなくても、リターンスプリング11の付勢力でドッグクラッチ9の噛み合いを解除することもできるが、消磁することによってプランジャ71の張り付きが解消されるから、ドッグクラッチ9の噛み合い解除が確実に、また、円滑に行われる。

0057

以下、図8図11の各グラフによって電磁コイル65の通電電流に対するプランジャ71の残留磁気及び推力(スラスト力)との関係と、プランジャ71の材料に対する残留磁気の関係と、接触面87,89の平面度毎に異なるプランジャ71の残留磁気と張り付き力(吸引力及び吸着力)との関係を説明する。

0058

図8は電磁コイル65の通電電流及び方向とプランジャ71の残留磁気との関係を示しており、グラフ201は、上記の手順1において、電磁コイル65に通電されプランジャ71を励磁して軸方向左側に移動させる一方向電流の電流であり、そのときプランジャ71に残留磁気T1が生じ、磁束が飽和するまでは、電磁コイル65の通電電流値が大きい程プランジャ71に大きな残留磁気が生じる。また、手順2のように電磁コイル65への通電を停止した後、必要に応じて一方向の電流を電磁コイル65に通電すれば、プランジャ71の残留磁気低下を補うことができる。また、グラフ203は、手順3において、電磁コイル65に通電してプランジャ71を消磁する反対方向の電流であり、プランジャ71を消磁するために必要な消磁電流値はA1である。

0059

図9のグラフ211は、電磁コイル65に通電される電流とそのときプランジャ71に生じる移動力(推力:スラスト力)を示しており、磁束が飽和するまでは、電磁コイル65の通電電流値が大きくなる程、大きな移動力がプランジャ71に生じる。

0060

図10は、プランジャ71の磁性材料と残留磁気との関係を示しており、グラフ221,223,225はそれぞれ機械構造用炭素鋼のS45C、S25C、S15Cで作られたプランジャ71での特性を示している。このように、プランジャ71の材料を選択することによって所望の残留磁気特性を得ることができるが、このデータからわかるようにS45C程度以上が極めて良好な特性を得ることができる。

0061

図11は、接触面87,89の面粗度(滑らかさ)毎に異なるプランジャ71の残留磁気と張り付き力(吸引力及び吸着力)との関係であり、グラフ231,233,235はそれぞれ平面度0.015mm、0.035mm、0.1mmの接触面87,89での特性を示している。このように、接触面87,89の平面度を変えることによって所望の残留磁気特性を得ることができる。

0062

デフケース5には、ケーシング本体15の開口63の他に、カバー17とケーシング本体15に開口101,103がそれぞれ形成され、ボス部23,25の内周には螺旋状のオイル溝が形成され、スラストワッシャ53,55との対向部には、前記の各螺旋状オイル溝にそれぞれ連通した径方向のオイル溝105,107が形成されている。オイル溜りのオイルはデフケース5とリングギアの回転によって掻き上げられ、これらの開口63,101,103と螺旋状オイル溝とオイル溝105,107とを介してデフケース5の内部に流入し、差動機構7を構成する各ギア31,35,37、ケーシング本体15とクラッチリング57の摺動部、ドッグクラッチ9(噛み合い歯55,59)などに供給されてこれらを潤滑・冷却する。また、電磁式アクチュエータ1の下部もオイル溜りに浸されており、プランジャ71のスライドリング73とガイド部材69との摺動部、スライドリング73とプレッシャープレート75との摺動部、コイルハウジング67(ガイド部材69)と段差部79及びスラストワッシャ81との摺動部、ポジションスイッチ77のプローブ97とプレッシャープレート75の摺動部なども潤滑・冷却され、各潤滑・冷却部では、供給されたオイルによって磨耗が軽減され、耐久性が向上すると共に、各摺動部での摩擦抵抗の低減によってエンジンの燃費が向上する。

0063

また、スライドリング73(プランジャ71)とプレッシャープレート75との摺動部が潤滑されることにより、プランジャ71に掛かるトルク及びプランジャ71とコイルハウジング67との間に生じる摩擦抵抗が軽減されるから、電磁式アクチュエータ1によるドッグクラッチ9の操作機能(デファレンシャル装置3の差動ロック機能)が円滑で正常に保たれる。

0064

[電磁式アクチュエータ1の効果]
電磁式アクチュエータ1は、上記のように構成されたことにより次のような効果が得られる。

0065

電磁コイル65の磁路を構成する部材であるプランジャ71を適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作ったことにより、電磁コイル65の通電を停止してもプランジャ71がドッグクラッチ9の噛み合い位置に保持されるから、ドッグクラッチ9の状態を保持するための電力と、バッテリーの負担が大幅に低減されてエンジン燃費が向上する上に、加工性が悪く高価な軟磁性材料をプランジャ71に用いる必要がなくなった。

0066

また、適度な残留磁気特性を有する磁性材料である機械構造用炭素鋼は加工性(被切削性)に優れており、加工コストをそれだけ低減することができる。

0067

また、プランジャ71に与えられる適度な残留磁気は、位置保持のために必要最低限の磁力(残留磁気)であり、この残留磁気は徐々に減衰する上に、プランジャ71を元の位置に戻すときは電磁コイル65でプランジャ71を消磁するから、プランジャ71の残留磁気によるコンタミネーションの吸着量は実質的に極めて少なく、従って、電磁式アクチュエータ1の動作が長期にわたって正常に保たれる。

0068

また、ドッグクラッチ9が噛み合い状態から逸脱する兆候をポジションスイッチ77によって検知し、プランジャ71を再び磁化して残留磁気を補うように構成したから、電磁コイル65の消費電力を低く保ちながら、ドッグクラッチ9を噛み合い状態に保持することができる。

0069

また、コイルハウジング67のストッパ部85とプランジャ71との接触面89,87を滑らかに加工したことによってこの接触面89,87での磁気抵抗が小さくなり、電磁コイル65の磁力及びプランジャ71の残留磁気によるプランジャ71の吸引力が強化される上に、滑らかな接触面89,87においてプランジャ71に大きな吸着力が働くから、プランジャ71によるドッグクラッチ9の噛み合い操作機能及び噛み合い状態の保持機能がさらに向上する。

0070

また、プランジャ71の残留磁気を消磁してからリターンスプリング11によってドッグクラッチ9を噛み合い解除操作するこの構成では、リターンスプリング11を特に強くする必要がなく、電磁コイル65の大型化と、電力消費及びバッテリー負担の増加とが防止される。

0071

また、プランジャ71の移動方向とリターンスプリング11の付勢力の方向を同一(軸方向)にしたことにより、リターンスプリング11に押圧されて移動する際にプランジャ71の倒れと、倒れによるカジリが防止されてプランジャ71が円滑に移動するから、電磁式アクチュエータ1の動作が正常に保たれる。

0072

[本発明の範囲に含まれる他の態様]
なお、本発明の電磁式アクチュエータにおいて、プランジャを適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作る以外に、電磁コイルのコイルハウジングを適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作っても、あるいは、プランジャとコイルハウジングの両方を適度な残留磁気特性を有する磁性材料で作ってもよい。

0073

また、実施形態と反対に、付勢部材で被操作装置を作動させ、電磁式アクチュエータで被操作装置の作動を停止するように構成してもよい。

0074

また、ストッパ部とプランジャとの間に滑らかな接触面についての管理基準は平面度の他に、面粗さ(面精度)、平行度としても良い。

0075

本発明の電磁式アクチュエータは、実施形態のようにデファレンシャル装置の差動ロック機構を操作するアクチュエータとして使用する他に、デファレンシャル装置内蔵の駆動力断続機構を操作するアクチュエータとして使用してもよい。

図面の簡単な説明

0076

一実施形態の電磁式アクチュエータ1を用いたデファレンシャル装置3を示す断面図である。
図1の電磁式アクチュエータ1において電磁コイル65が通電されていない状態を示す断面図である。
図1の電磁式アクチュエータ1において、電磁コイル65の通電により、あるいは、残留磁気によってプランジャ71が位置保持されている状態を示す断面図である。
図1の電磁式アクチュエータ1において、電磁コイル65が通電されていない状態を示す断面図である。
図1の電磁式アクチュエータ1において、電磁コイル65の通電開始直後の状態を示す断面図である。
図1の電磁式アクチュエータ1において、電磁コイル65の通電によりプランジャ71が位置保持されている状態を示す断面図である。
図1の電磁式アクチュエータ1において、残留磁気によってプランジャ71が位置保持されている状態を示す断面図である。
電磁コイル65の電流及びその方向とプランジャ71の残留磁気との関係を示すグラフである。
電磁コイル65に通電される電流値とプランジャ71に与えられる推力との関係を示すグラフである。
電磁コイル65に通電される電流値とプランジャ71の残留磁気との関係を材料毎に示すグラフである。
プランジャ71の残留磁気と張り付き力との関係を接触面の平面度毎に示すグラフである。
従来例の断面図である。

符号の説明

0077

1電磁式アクチュエータ
9ドッグクラッチ(被操作装置)
11リターンスプリング(付勢部材)
65電磁コイル
67コイルハウジング
71プランジャ(磁路を構成する部材の少なくとも一方:適度な残留磁気特 性を有する磁性材料)

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