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技術 鋳造材を用いた超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 戸田正弘加田修藤田崇史
出願日 2003年11月20日 (17年1ヶ月経過) 出願番号 2003-391290
公開日 2005年6月16日 (15年6ヶ月経過) 公開番号 2005-154789
状態 未査定
技術分野 鍛造 鋼の加工熱処理
主要キーワード 直前温度 対数ひずみ 圧縮鍛造 加熱温度域 棒状素材 高周波加熱後 材料流動 素材温度
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

従来の熱間鍛造部品より複雑な形状で、高強度、高靭性鍛造部品を、鋳造材素材として用いて、製造時の材料歩留まりを向上させ、焼入れ焼戻しすることなく製造し得る、超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法を提供する。

解決手段

鋳造材をそのまま、下限温度を固相線温度×0.94又は1250℃の何れか高い方とし、上限温度を固相線温度×0.98とする範囲に加熱し、前記範囲の温度域で加工ひずみε1を対数ひずみで0.8以上とする超高温熱間鍛造を行った後、更に800℃以上、1000℃未満の温度域で加工ひずみε2を対数ひずみで0.6以上とする仕上鍛造を、ε1+ε2≧1.5として行い、放冷することを特徴とする超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。鋳造材を900〜1000℃に加熱し、1時間以上保持した後、超高温熱間鍛造しても良い。

概要

背景

従来、自動車部品建設機械部品の中で、特に高強度、高靭性が必要とされる熱間鍛造部品は、熱間鍛造後調質、即ち焼入れ焼戻しして製造されていた。しかし、製造コストに占める調質コストが大きいことから非調質化が進められ、熱間鍛造後に放冷ままで強度、靭性を確保できる熱間鍛造用非調質鋼が開発されてきた(例えば、特許文献1)。

近年、自動車の軽量化を目的として、部品の小型化を指向すると、部品剛性を確保するために、形状が複雑になる。その結果、既存の鍛造機では成形できないような鍛造荷重増大を招くことになった。また、製造コストを削減するために、熱間鍛造時の材料歩留まりの向上も要望されている。このような問題を解決する方法として、鋼材を従来の熱間鍛造温度よりも高い温度に加熱し、変形抵抗を低減させて熱間鍛造する超高温熱間鍛造方法が提案されている(例えば、特許文献2)。

この超高温熱間鍛造方法は、従来の熱間鍛造の加熱温度が1150〜1250℃の範囲であるのに対し、加熱温度の下限を固相線温度よりも約45℃低い温度とし、上限を液相線温度よりも約20℃低い温度とするものである。しかし、この方法ではオーステナイト粒が粗大化し、鍛造後、放冷まま、即ち非調質では靭性が確保できないという問題があった。

一方、非調質鋼の靭性を向上させる熱間鍛造方法として、熱間鍛造を800〜1100℃で行い、フェライト結晶粒微細化させる方法が提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、この方法では鍛造温度の低下とともにフェライト分率が増加して強度が低下するという問題があった。また、強度及び靭性をともに向上させた非調質部品として、700〜800℃で熱間鍛造し、フェライト及びパーライト平均結晶粒径を10μm以下とした非調質鍛造品が提案されている(例えば、特許文献4)。しかし、この方法は、鍛造温度が低いため鍛造荷重が非常に大きく、鍛造機及び金型への負荷が大きいという問題があった。

また、これらの方法は、何れも圧延鋼材素材として用いるものである。更に製造コストを低減させるために、素材である圧延鋼材を製造するための圧延、熱間鍛造を省略し、鋳造材をそのまま素材として用いることが望ましい。しかし、鋳造材を用いて超高温熱間鍛造を行っても組織、及び鋳造後も残留する空孔の為に、部品としての強度、及び靭性を確保することができないという問題があった。

特開平1−198450号公報
特開平5−15935号公報
特開平10−195530号公報
特開2003−147482号公報

概要

従来の熱間鍛造部品より複雑な形状で、高強度、高靭性の鍛造部品を、鋳造材を素材として用いて、製造時の材料歩留まりを向上させ、焼入れ焼戻しすることなく製造し得る、超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法を提供する。 鋳造材をそのまま、下限温度を固相線温度×0.94又は1250℃の何れか高い方とし、上限温度を固相線温度×0.98とする範囲に加熱し、前記範囲の温度域で加工ひずみε1を対数ひずみで0.8以上とする超高温熱間鍛造を行った後、更に800℃以上、1000℃未満の温度域で加工ひずみε2を対数ひずみで0.6以上とする仕上鍛造を、ε1+ε2≧1.5として行い、放冷することを特徴とする超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。鋳造材を900〜1000℃に加熱し、1時間以上保持した後、超高温熱間鍛造しても良い。 なし

目的

本発明は、従来の熱間鍛造部品より複雑な形状で、高強度、高靭性の鍛造部品を、鋳造材を素材として用いて、製造時の材料歩留まりを向上させ、焼入れ焼戻しすることなく製造し得る、超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%で、C:0.1〜0.6%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、S:0.02〜0.1%、Cr:0.1〜3%、V:0.05〜0.5%、Al:0.002〜0.06%、N:0.003〜0.02%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋳造材を、そのまま、下限温度を固相線温度×0.94又は1250℃の何れか高い方とし、上限温度を固相線温度×0.98とする範囲に加熱し、前記範囲内の温度で加工ひずみε1が対数ひずみで0.8以上である超高温熱間鍛造を行った後、更に800℃以上、1000℃未満で加工ひずみε2が対数ひずみで0.6以上である仕上鍛造を、ε1+ε2≧1.5として行い、放冷することを特徴とする超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。

請求項2

鋳造材の成分が、質量%で、更に、Mg:0.0002〜0.005%、Zr:0.0002〜0.005%の1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1記載の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。

請求項3

鋳造材の成分が、質量%で、更に、Ti:0.003〜0.05%、を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。

請求項4

鋳造材を900〜1000℃に加熱し、1時間以上保持した後、超高温熱間鍛造することを特徴とする請求項1〜3記載の何れか1項に記載の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高強度、高靭性が必要とされる複雑形状の自動車用部品建設機械用部品を、材料歩留まり向上させ、かつ、鍛造後焼入れ焼戻しを行うことなく製造する超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、自動車部品建設機械部品の中で、特に高強度、高靭性が必要とされる熱間鍛造部品は、熱間鍛造後調質、即ち焼入れ焼戻しして製造されていた。しかし、製造コストに占める調質コストが大きいことから非調質化が進められ、熱間鍛造後に放冷ままで強度、靭性を確保できる熱間鍛造用非調質鋼が開発されてきた(例えば、特許文献1)。

0003

近年、自動車の軽量化を目的として、部品の小型化を指向すると、部品剛性を確保するために、形状が複雑になる。その結果、既存の鍛造機では成形できないような鍛造荷重増大を招くことになった。また、製造コストを削減するために、熱間鍛造時の材料歩留まりの向上も要望されている。このような問題を解決する方法として、鋼材を従来の熱間鍛造温度よりも高い温度に加熱し、変形抵抗を低減させて熱間鍛造する超高温熱間鍛造方法が提案されている(例えば、特許文献2)。

0004

この超高温熱間鍛造方法は、従来の熱間鍛造の加熱温度が1150〜1250℃の範囲であるのに対し、加熱温度の下限を固相線温度よりも約45℃低い温度とし、上限を液相線温度よりも約20℃低い温度とするものである。しかし、この方法ではオーステナイト粒が粗大化し、鍛造後、放冷まま、即ち非調質では靭性が確保できないという問題があった。

0005

一方、非調質鋼の靭性を向上させる熱間鍛造方法として、熱間鍛造を800〜1100℃で行い、フェライト結晶粒微細化させる方法が提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、この方法では鍛造温度の低下とともにフェライト分率が増加して強度が低下するという問題があった。また、強度及び靭性をともに向上させた非調質部品として、700〜800℃で熱間鍛造し、フェライト及びパーライト平均結晶粒径を10μm以下とした非調質鍛造品が提案されている(例えば、特許文献4)。しかし、この方法は、鍛造温度が低いため鍛造荷重が非常に大きく、鍛造機及び金型への負荷が大きいという問題があった。

0006

また、これらの方法は、何れも圧延鋼材素材として用いるものである。更に製造コストを低減させるために、素材である圧延鋼材を製造するための圧延、熱間鍛造を省略し、鋳造材をそのまま素材として用いることが望ましい。しかし、鋳造材を用いて超高温熱間鍛造を行っても組織、及び鋳造後も残留する空孔の為に、部品としての強度、及び靭性を確保することができないという問題があった。

0007

特開平1−198450号公報
特開平5−15935号公報
特開平10−195530号公報
特開2003−147482号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、従来の熱間鍛造部品より複雑な形状で、高強度、高靭性の鍛造部品を、鋳造材を素材として用いて、製造時の材料歩留まりを向上させ、焼入れ焼戻しすることなく製造し得る、超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C :0.1〜0.6%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、S :0.02〜 0.1%、Cr:0.1〜3%、V :0.05〜0.5%、Al:0.002〜0.06%、N :0.003〜0.02% を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる鋳造材を、そのまま、下限温度を固相線温度×0.94又は1250℃の何れか高い方とし、上限温度を固相線温度×0.98とする範囲に加熱し、前記範囲内の温度で加工ひずみε1が対数ひずみで0.8以上である超高温熱間鍛造を行った後、更に800℃以上、1000℃未満で加工ひずみε2が対数ひずみで0.6以上である仕上鍛造を、
ε1+ε2≧1.5
として行い、放冷することを特徴とする超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。
(2) 鋳造材の成分が、質量%で、更に、
Mg:0.0002〜0.005%、Zr:0.0002〜0.005%
の1種又は2種を含有することを特徴とする(1)記載の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法、
(3) 鋳造材の成分が、質量%で、更に、
Ti:0.003〜0.05%、
を含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法、
(4) 鋳造材を900〜1000℃に加熱し、1時間以上保持した後、超高温熱間鍛造することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法。

発明の効果

0010

本発明により、複雑形状で高強度、高靭性の超高温熱間鍛造非調質部品を、圧延材より安価な鋳造材を素材として用い、高い歩留まりで焼入れ焼戻しすることなく製造することが可能となり、自動車部品、機械部品等の軽量化及び低コスト化が促進されるなど、産業上の貢献が極めて顕著である。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明は、圧延材よりも安価な鋳造材を素材として、通常の熱間鍛造よりも高温で超高温熱間鍛造し、その後、800℃以上〜1000℃未満の温度域で仕上鍛造する際に、超高温熱間鍛造及び仕上鍛造の加工ひずみを最適化することにより、鍛造後放冷ままでも高強度、高靭性を得るものである。

0012

以下に本発明を詳細に説明する。
まず、鋳造材の成分について説明する。

0013

Cは、鋼を強化するのに有効な元素であるが、0.1%未満では強度が低下し、Cを0.6%超添加すると靭性が低下する。したがって、Cの添加量を0.1〜0.6%とした。

0014

Siは、脱酸材として働き、固溶強化元素として使われる。この効果は、Si量が0.2%未満では不十分であり、一方、Siを2.0%超添加すると強度が高くなり、靭性が低下する。したがって、Si添加量を0.2〜2.0%とした。

0015

Mnは、強度の調整に有効であり、脱酸作用を有する元素である。Mn量が0.5%未満では強度が不足し、2.5%を超えると靭性が低下し、熱間加工性を損なう。したがって、Mn量を0.5〜2.5%とした。

0016

Sは、被削性を向上させる元素であり、添加量が0.02%未満では、その効果は小さい。一方、Sを0.1%超添加すると、靭性が劣化する。したがって、Sの添加量は0.02〜0.1%とした。

0017

Crは強度を増大させる元素であり、添加量が0.1%未満ではその効果は小さく、3%を超えると靭性が劣化する。したがって、Crの添加量を0.1〜3%とすることが必要である。

0018

Vは、Vの炭窒化物が微細に析出し、強度が上昇するため有効な元素である。この効果を得るには0.05%以上のVを添加することが必要である。しかし、Vを0.5%超添加しても効果が飽和し、靭性が低下するため、Vの添加量の上限を0.5%以下とした。

0019

Alは、鋼の脱酸及び結晶粒の微細化に有効な元素であるが、この効果は0.002%未満では不十分である。一方、Alを0.06%超添加すると靭性が低下する。したがって、Alの添加量を0.002〜0.06%とした。

0020

Nは、V炭窒化物を生成し、析出強化に有効な元素であるが、この効果は0.003%未満では小さい。一方、Nを0.02%超添加すると固溶したNによって靭性が劣化する。したがって、Nの添加量を0.003〜0.02%とした。

0021

更に、必要に応じて、Mg及び/又はZrを添加しても良い。

0022

Mg及びZrは、ともに酸化物硫化物、これらの複合物を形成し、加熱時のオーステナイトの粗大化を抑制する元素である。Mg及びZrの添加量は何れも、0.0002%未満では効果がやや小さく、0.005%を超えると、靱性が劣化することがある。したがって、Mg、Zrの添加量を、0.0002〜0.005%とすることが好ましい。

0023

更に、必要に応じてTiを添加しても良い。

0024

Tiは、窒化物炭化物を生成し、窒化物は加熱時に高温まで再固溶せずに残留し、オーステナイト粒径の粗大化を抑制して靭性低下の防止し、炭化物は微細に分散して析出強化に寄与する有用な元素である。これらの効果は、Ti添加量が0.003%未満ではやや小さく、0.05%を超えると靱性が劣化する。したがって、Tiの添加量を0.003〜0.05%とすることが好ましい。

0025

なお、Pは不可避的不純物として含まれる成分であるが、本願発明ではその含有範囲を定めることにより特別な効果を得られることがないことから、その範囲は特に定めない。

0026

本発明は、鋳造後に圧延を行わずに、鋳造材をそのまま、超高温熱間鍛造及び仕上鍛造することを特徴とする。

0027

鋳造材は溶鋼鋳型内で凝固させた鋼材であり、鋳造組織を有するものである。鉄鋼製品中間素材である連続鋳造後スラブでは、凝固過程電磁攪拌処理などにより断面内成分の均一化が行われており、本願発明においても鋳造組織が均一で微細な鋳造材を用いることにより、鍛造後により安定した機械特性を得ることができる。そのため、電磁攪拌処理を行った鋳造材を素材として用いることが好ましい。

0028

超高温熱間鍛造の加熱温度の下限は、固相線温度×0.94又は1250℃の何れか高い方をとした。これは、鍛造時の変形抵抗を低減させて、材料流動を十分に行わせるためである。一方、超高温熱間鍛造の加熱温度の上限は、固相線温度×0.98以下とした。この理由は、超高温熱間鍛造後の結晶粒の粗大化を防止し、その後の仕上鍛造による細粒化を促進して、靭性を確保するためである。

0029

固相線温度は、澤井隆、他3名、「ニッケル基超合金ミクロ偏析生成挙動解析」、鉄と鋼、日本鉄鋼協会、1987年発行、第73巻、第4号、p.196に記載の、析出物の凝固過程の観察に用いられる一方向凝固実験によって測定することができる。これは、高周波加熱カーボンサセプターを用いて炉内に温度勾配を持たせ、その炉内で棒材を加熱し、その後急冷し、棒材のミクロ組織観察により棒材の各位置での温度とミクロ組織を対応させて、素材の固相線温度を推定する方法である。

0030

超高温熱間鍛造は、上記の超高温熱間鍛造の加熱温度と同様の理由で、同じ温度域で行う。超高温熱間鍛造時の加工ひずみε1は、鋳造時に生じている空孔を超高温熱間鍛造によって充分に減少させ、強度及び靭性を確保するために、下限を0.8以上とすることが必要である。なお、金型寿命の低下を抑制するために、超高温熱間鍛造時の加工ひずみε1の上限を6以下にすることが好ましい。

0031

超高温熱間鍛造で粗成形した後に、仕上鍛造を行う。この仕上鍛造は、製品形状を所定の形状にすると共に、靭性を向上させることを目的としている。仕上鍛造の鍛造温度は、1000℃以上では鍛造後のオーステナイト粒が粗大になるため靭性が低下する。靭性の向上には、仕上鍛造の温度を低くしてフェライト分率を増加させることが有効である。しかし、800℃未満で仕上鍛造を行うと変形抵抗が急増し、金型寿命の低下を招く。したがって、仕上鍛造の鍛造温度は、800℃以上、1000℃未満とすることが必要である。

0032

仕上鍛造の加工ひずみε2は、結晶粒を細粒にし、靭性を確保するために、0.6以上とすることが必要である。なお、金型寿命の低下を抑制するためには、仕上鍛造の加工ひずみε2の上限を4以下にすることが好ましい。

0033

更に、本発明の超高温熱間鍛造非調質部品の製造方法において、超高温熱間鍛造時の加工ひずみε1と仕上鍛造の加工ひずみε2が、ε1+ε2≧1.5を満足することが必要である。これは、鋳造時に生じている空孔を充分に減少させて強度及び靭性を確保するためである。なお、ε1+ε2の上限は、金型寿命の低下を抑制するために、10以下とすることが好ましい。

0034

仕上鍛造の加工ひずみε2は、靭性を確保するためには大きいほど好ましいが、仕上鍛造は変形抵抗が高いため、仕上鍛造の加工ひずみε2が大きすぎると金型寿命が低下する。そのため、超高温熱間鍛造時の加工ひずみε1と仕上鍛造の加工ひずみε2との比ε1/ε2が、1未満では金型寿命を損ない、3超では靭性がやや低下することがある。したがって、金型寿命を損なわずに、靭性を確保するためには、超高温熱間鍛造時の加工ひずみε1と仕上鍛造の加工ひずみε2との比ε1/ε2を1〜3の範囲内にすることが好ましい。

0035

また、超高温熱間鍛造後に仕上鍛造するだけでなく、超高温熱間鍛造と通常の熱間鍛造とを組み合わせて鍛造品形状をほぼ成形し、最後に仕上鍛造を行うことも可能である。

0036

なお、本発明においてε1及びε2の対数ひずみは鍛造前の素材と、鍛造前後での素材高さの変化又は断面積の変化から(1)式又は(2)式から算出されるものとする。
対数ひずみ=ln(鍛造前の素材高さ/鍛造後の鍛造材高さ) ・・・・・(1)
対数ひずみ=ln(鍛造前の素材断面積/鍛造後の鍛造材断面積) ・・・(2)

0037

ただし、鍛造部品の形状は複雑であり、素材高さ、素材断面積は、それぞれ、素材の平均高さ、素材の平均断面積とし、鍛造材高さ、鍛造材断面積は、それぞれ、鍛造材の平均高さ、鍛造材の平均断面積とする。また、超高温熱間鍛造では、素材は鋳造材であり、鍛造材は超高温熱間鍛造後の鍛造材であり、これは仕上鍛造前の中間素材でもある。

0038

鋳造材、超高温熱間鍛造後の鍛造材、仕上鍛造後の鍛造材の高さ、断面積は、それぞれ、実測しても良い。また、超高温熱間鍛造後、そのまま仕上鍛造する場合には、超高温熱間鍛造後、仕上鍛造後の形状を、金型の設計図から有限要素法等によって予測し、推定される各鍛造後の素材高さからε1、ε2を求めることも可能である。

0039

また、圧延材を素材とする場合には、圧延材は加熱され、ひずみが加えられているために、鋳造時の偏析緩和されているが、鍛造材は鋳造時の偏析が顕著である。したがって、鋳造材をそのまま超高温熱間鍛造の加熱温度域、例えば固相線直下まで加熱すると、C、S、P等が偏析した部位では融点が低下しているため局所的に溶融し、強度及び靭性低下の原因となることがある。そこで、鋳造材を超高温熱間鍛造する前に焼準し、鋳造時の偏析を軽減しておくことが好ましい。

0040

鋳造材の加熱温度、即ち焼準温度が900℃未満では偏析部が残留することがあり、1000℃超に加熱してもその効果が飽和する。したがって、鋳造材を超高温熱間鍛造する前に焼準する焼準温度は、900〜1000℃にすることが好ましい。また焼準温度での保持時間は素材全体を均一に加熱するために1時間以上とすることが好ましい。一方、焼準温度での保持時間を2時間を超とすると、酸化スケールが厚くなったり、表面層脱炭が多くなることがあるため、上限を2時間以下とすることが好ましい。

0041

表1のA〜Nに示す化学成分を有する鋳造材を用いて以下の試験を行った。なお、鋳造時には、電磁攪拌を行った。鋼種A〜Iが本発明例の対象鋼種であり、鋼種J〜Nが比較例に用いられた鋼種である。なお同表には、参考として隣(P)の成分と、固相線温度(Ts)も併記した。固相線温度はφ15×250mmの棒状素材を用いて一方向凝固試験を行い、試験結果から推定した温度である。

0042

表2には、超高温熱間鍛造−仕上鍛造条件と、鍛造後の強度、靭性を示す。鍛造はφ60×60mmの鋳造材を所定の温度に高周波で加熱して行った。加熱時の周波数は3〜5KHzであり、室温から1250℃までを5℃/秒の速度で加熱し、その後は1℃/秒で所定の温度まで加熱した。所定の温度に到達後、約30秒間保持した後、鍛造を行った。なお、高周波加熱後に鍛造機まで試料を移動する際には素材温度が低下するため、加熱温度をTk[℃]、鍛造直前温度をTt[℃]として表2に示した。鍛造直前温度Tt[℃]は、素材表面放射温度計で測温した結果である。

0043

鍛造はφ60×60mmの試料を横置きして、平坦圧盤を用いて油圧サーボ機構を有する圧縮試験機にて、ラム速度を200mm/sとして圧縮鍛造を行った。超高温熱間鍛造後に更に仕上鍛造を行うが、仕上げ直前の素材表面温度を放射温度計にて測温した結果を表2の仕上げ鍛造条件、鍛造前温度に示した。仕上鍛造後は放冷した。なお、表2中のε1、及びε2は超高温鍛造後、仕上鍛造後の素材の高さを実測して算出したものである。

0044

圧縮後の試料からJIS Z 2201に準拠して引張試験片、JIS Z 2202に準拠してシャルピー衝撃試験片採取し、JIS Z 2241に準拠して引張強度を測定し、JIS Z 2242に準拠して−40℃での吸収エネルギー衝撃値を測定した。結果を表2に示す。

0045

表2から、本発明例1〜9は引張強さが800〜1000MPaの範囲内であり、衝撃値も30J/cm2以上であり、強度及び靭性が共に良好である。一方、比較例1〜5は表1の比較例J〜Nの鋼種を用いた場合であり、何れも衝撃値が20J/cm2に達していない。また、比較例6〜10は、鍛造時のひずみが本発明の条件を満たさない場合である。このうち、比較例7、10はε1が小さいために、引張強さが低く、比較例6、9はε2が小さいために衝撃値が低下している。比較例8はε1+ε2が小さいため、同じ鋼種を使った本発明例3よりも引張強さ及び衝撃値が低下している。特に衝撃値は20J/cm2にも達していなかった。また、比較例11は仕上鍛造時の鍛造前温度が高い場合であり、衝撃値が低いことがわかる。

0046

次に、焼準による偏析抑制の効果について検討を行った。表1に示した鋼種Bの成分からなる鋼を電磁攪拌を行わずに鋳造し、鋳造材を製造した。これを鋼種Oとして表3に示した条件で鍛造を行った。表3の本発明例10は、鋼種Oを鍛造する前に950℃で1時間保持し、放冷した場合である。本発明例11は、鋼種Oをそのまま鍛造した場合であり、靭性が本発明例10よりも若干低下している。

0047

0048

0049

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