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技術 溶銑の脱燐精錬方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 小川雄司安藝弘
出願日 2003年11月10日 (17年1ヶ月経過) 出願番号 2003-379516
公開日 2005年6月2日 (15年7ヶ月経過) 公開番号 2005-139529
状態 特許登録済
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼 炭素鋼又は鋳鋼の製造
主要キーワード 秤量機 ノズルスロート 酸化鉄濃度 具体的条件 燐含有量 容器容量 試験炉 メタル中
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この項目の情報は公開日時点(2005年6月2日)のものです。
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図面 (2)

課題

熱ロスを最少限にするとともに、高効率な脱燐精錬を行い、低燐鋼の安定溶製を可能とする方法を提供する。

解決手段

溶銑精錬して溶鋼を製造する際に、第一工程として溶銑を転炉装入し、第二工程としてフラックス添加と酸素上吹きを行って脱燐精錬を施し、溶銑の燐含有量を所定の値まで低減させ、第三工程として前記転炉を傾動して第二工程で生成したスラグを排出し、第四工程として傾動した前記転炉を直立に戻して、同一転炉により脱炭精錬を行う溶鋼製造法において、第二工程での上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、上吹きランスのノズルスロート部直径、またはランスのノズル数の少なくとも1つを調節することを特徴とする溶銑の脱燐精錬方法。

概要

背景

製鋼トータルコストミニマム化や低燐鋼の安定溶製に関して、従来溶銑脱燐法として、(1)トーピードカー内の溶銑に脱燐用フラックスインジェクションして予備脱燐を行う方法、(2)取鍋内の溶銑に脱燐用フラックスをインジェクションするかもしくは吹付けて、予備脱燐を行う方法、あるいは(3)2基の転炉を用いて、一方で脱燐を行い、他方で脱炭を行う方法(例えば、特許文献1)が用いられている。

しかしながら、トーピードカー溶銑鍋等の溶銑搬送容器を用いた場合、容器容量が小さく強攪拌精錬を行うことが困難で、特に脱燐反応平衡から遠く、目標の脱燐量を達成するためには必要以上のフラックスを使用しなければならず、かつ精錬に長時間を要すという欠点がある。また、搬送容器を用いる脱燐処理プロセスでは、年々増加するスクラップを溶解消費することができないという問題もある。上記の観点から、近年は、容器容量が大きく、強攪拌下での脱燐精錬が可能な、上吹き酸素を用いた転炉型容器による脱燐処理方法移行しつつある。

但し、プロセス(3)においても、溶銑から溶鋼を製造するには脱炭を含めて2基の転炉を必要とするため、設備費が高く、溶鉄移し替え操作による放散熱ロス増して、スクラップの溶解能力が低下する。この問題を解決するために、本発明者らは先に、転炉で溶銑脱燐精錬を行った後、炉を傾動して生成スラグを排出し、その後同一転炉により脱炭工程を行う製鋼プロセス(例えば、特許文献2)を提案した。この方法では、炉を傾動するだけで脱燐精錬工程のスラグを排出できるため、一つの転炉で脱燐精錬工程と脱炭精錬工程を連続して行え、熱ロスが最少限になりスクラップの溶解能力が向上するとともに所定のP濃度までの脱燐も効率的に行える。

一方、これらのプロセスにおける溶銑の脱燐方法においては、脱燐反応は簡単に記述すると主として次式で示される。
2[P]+5[O]+3CaO→3CaO・P2O5
ここで、[P]、[O]はスラグ・メタル界面に存在するPとOを示しており、PがOにより酸化された後、スラグ中のCaOで固定化されると言われている。したがって、スラグ中のCaO濃度が高いほど、またスラグ・メタル界面の酸素活量が高いほど、脱燐反応は効率よく進行する。

しかしながら、スラグ中CaO濃度を増加するために、多量の生石灰を脱燐用フラックスとして添加すると生成スラグ量が増大する。CaO濃度が高いスラグは粉状化しやすいため、路盤材等への有効利用が困難であり、スラグの多くは埋め立て処分等となる一種産業廃棄物になる。少量の生石灰添加で、CaO濃度を低くすると有効利用しやすくなるとともに生成スラグ量も低減できる。ただし、その場合は、脱燐反応を進行させるためにスラグ・メタル界面の酸素活量を高める必要があるが、本発明者らは先に、上吹き酸素をスラグにより遮断し、溶銑表面に接触しないように吹き付けることにより、スラグ中酸化鉄濃度を過剰に高めることなくスラグ・メタル界面の酸素活量を高め、脱燐効率を大幅に向上する方法を提案した(特許文献3)。
特開昭63−195210号公報
特開平7−70626号公報
特開2002−322507号公報

概要

熱ロスを最少限にするとともに、高効率な脱燐精錬を行い、低燐鋼の安定溶製を可能とする方法を提供する。溶銑を精錬して溶鋼を製造する際に、第一工程として溶銑を転炉に装入し、第二工程としてフラックス添加と酸素上吹きを行って脱燐精錬を施し、溶銑の燐含有量を所定の値まで低減させ、第三工程として前記転炉を傾動して第二工程で生成したスラグを排出し、第四工程として傾動した前記転炉を直立に戻して、同一転炉により脱炭精錬を行う溶鋼製造法において、第二工程での上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、上吹きランスのノズルスロート部直径、またはランスのノズル数の少なくとも1つを調節することを特徴とする溶銑の脱燐精錬方法。

目的

本発明は、これらの問題を同時に解決し、一つの転炉で脱燐、脱炭精錬を連続して行うことで熱ロスを最少限にするとともに、高効率な脱燐精錬を行い、かつ安定した脱燐スラグの高排出率を確保して低燐鋼の安定溶製を可能とする方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

溶銑精錬して溶鋼を製造する際に、第一工程として溶銑を転炉装入し、第二工程としてフラックス添加と酸素上吹きを行って脱燐精錬を施し、溶銑の燐含有量を所定の値まで低減させ、第三工程として前記転炉を傾動して第二工程で生成したスラグを排出し、第四工程として傾動した前記転炉を直立に戻して、同一転炉により脱炭精錬を行う溶鋼製造法において、第二工程での上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、上吹きランスのノズルスロート部直径、またはランスのノズル数の少なくとも1つを調節することを特徴とする溶銑の脱燐精錬方法。

技術分野

0001

本発明は、主に転炉型容器を用いて溶銑脱燐精錬する方法に関する。

背景技術

0002

製鋼トータルコストミニマム化や低燐鋼の安定溶製に関して、従来溶銑の脱燐法として、(1)トーピードカー内の溶銑に脱燐用フラックスインジェクションして予備脱燐を行う方法、(2)取鍋内の溶銑に脱燐用フラックスをインジェクションするかもしくは吹付けて、予備脱燐を行う方法、あるいは(3)2基の転炉を用いて、一方で脱燐を行い、他方で脱炭を行う方法(例えば、特許文献1)が用いられている。

0003

しかしながら、トーピードカー溶銑鍋等の溶銑搬送容器を用いた場合、容器容量が小さく強攪拌精錬を行うことが困難で、特に脱燐反応平衡から遠く、目標の脱燐量を達成するためには必要以上のフラックスを使用しなければならず、かつ精錬に長時間を要すという欠点がある。また、搬送容器を用いる脱燐処理プロセスでは、年々増加するスクラップを溶解消費することができないという問題もある。上記の観点から、近年は、容器容量が大きく、強攪拌下での脱燐精錬が可能な、上吹き酸素を用いた転炉型容器による脱燐処理方法移行しつつある。

0004

但し、プロセス(3)においても、溶銑から溶鋼を製造するには脱炭を含めて2基の転炉を必要とするため、設備費が高く、溶鉄移し替え操作による放散熱ロス増して、スクラップの溶解能力が低下する。この問題を解決するために、本発明者らは先に、転炉で溶銑脱燐精錬を行った後、炉を傾動して生成スラグを排出し、その後同一転炉により脱炭工程を行う製鋼プロセス(例えば、特許文献2)を提案した。この方法では、炉を傾動するだけで脱燐精錬工程のスラグを排出できるため、一つの転炉で脱燐精錬工程と脱炭精錬工程を連続して行え、熱ロスが最少限になりスクラップの溶解能力が向上するとともに所定のP濃度までの脱燐も効率的に行える。

0005

一方、これらのプロセスにおける溶銑の脱燐方法においては、脱燐反応は簡単に記述すると主として次式で示される。
2[P]+5[O]+3CaO→3CaO・P2O5
ここで、[P]、[O]はスラグ・メタル界面に存在するPとOを示しており、PがOにより酸化された後、スラグ中のCaOで固定化されると言われている。したがって、スラグ中のCaO濃度が高いほど、またスラグ・メタル界面の酸素活量が高いほど、脱燐反応は効率よく進行する。

0006

しかしながら、スラグ中CaO濃度を増加するために、多量の生石灰を脱燐用フラックスとして添加すると生成スラグ量が増大する。CaO濃度が高いスラグは粉状化しやすいため、路盤材等への有効利用が困難であり、スラグの多くは埋め立て処分等となる一種産業廃棄物になる。少量の生石灰添加で、CaO濃度を低くすると有効利用しやすくなるとともに生成スラグ量も低減できる。ただし、その場合は、脱燐反応を進行させるためにスラグ・メタル界面の酸素活量を高める必要があるが、本発明者らは先に、上吹き酸素をスラグにより遮断し、溶銑表面に接触しないように吹き付けることにより、スラグ中酸化鉄濃度を過剰に高めることなくスラグ・メタル界面の酸素活量を高め、脱燐効率を大幅に向上する方法を提案した(特許文献3)。
特開昭63−195210号公報
特開平7−70626号公報
特開2002−322507号公報

発明が解決しようとする課題

0007

上記(特許文献2)においては、一つの転炉で脱燐精錬の工程と脱炭精錬の工程を連続して行うために炉を傾動して前者の脱燐精錬工程のスラグを排出するが、スラグの排出率が極度に低下すると後者の脱炭精錬工程でのスラグ量が増大して操業不安定性を招くとともに、脱燐スラグ中のPが脱炭精錬工程へ持ち込まれるためにプロセス全体の脱燐効率が低下する可能性が生じていた。

0008

また、(特許文献3)においては、スラグ・メタル界面の酸素活量が高位に維持されるため、メタル中のCの酸化反応すなわち脱炭反応の速度も増加し、COガス発生に伴うスラグの泡立ちスラグフォーミング)が増大する。脱燐精錬後に一度溶銑を炉外に排出するプロセスにおいては、溶銑の排出作業の際にもスラグの泡立ちが鎮静化せず作業時間を延長せざるを得ない可能性が生じていた。

0009

本発明は、これらの問題を同時に解決し、一つの転炉で脱燐、脱炭精錬を連続して行うことで熱ロスを最少限にするとともに、高効率な脱燐精錬を行い、かつ安定した脱燐スラグの高排出率を確保して低燐鋼の安定溶製を可能とする方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

かかる課題を解決するため、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)溶銑を精錬して溶鋼を製造する際に、第一工程として溶銑を転炉に装入し、第二工程としてフラックス添加と酸素上吹きを行って脱燐精錬を施し、溶銑の燐含有量を所定の値まで低減させ、第三工程として前記転炉を傾動して第二工程で生成したスラグを排出し、第四工程として傾動した前記転炉を直立に戻して、同一転炉により脱炭精錬を行う溶鋼製造法において、第二工程での上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないように、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、上吹きランスのノズルスロート部直径、またはランスのノズル数の少なくとも1つを調節することを特徴とする溶銑の脱燐精錬方法。

発明の効果

0011

本発明により、熱ロスを最少限にするとともに、高効率な脱燐精錬を行い、低燐鋼の安定溶製を可能とする方法を提供することを目的とする。

発明を実施するための最良の形態

0012

本発明では、第一工程として溶銑を転炉に装入し、第二工程としてフラックス添加と酸素上吹きを行って脱燐精錬を施し、溶銑の燐含有量を所定の値まで低減させ、第三工程として前記転炉を傾動して第二工程で生成したスラグを排出し、第四工程として傾動した前記転炉を直立に戻して、同一転炉により脱炭精錬を行う溶鋼製造法を対象とする。この溶鋼製造法では、同一転炉を用いて脱燐精錬および脱炭精錬を行うため、熱ロスを少なくすることができるものである。

0013

この第二工程での溶銑脱燐精錬時に、上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないようにすることで、脱燐反応を速やかに進行させることができる。すなわち、溶銑脱燐精錬時のような約3質量%以上の酸化鉄を含む溶融スラグは、溶融スラグ中鉄イオン価数変化(Fe2+⇔Fe3+)すなわち正孔の移動により、極めて速く酸素を透過することが知られており、ランスから吹き込まれてスラグ上面に達した酸素は高速で溶融スラグ中を移行し、スラグ・メタル界面に達する。そのため、スラグ・メタル界面の酸素活量は高位に維持され、脱燐反応が速やかに進行する。

0014

しかし、スラグ・メタル界面の酸素活量が高位に維持されるため、メタル中のCの酸化反応すなわち脱炭反応の速度も増加し、COガス発生に伴うスラグの泡立ち(スラグフォーミング)が増大する。脱燐精錬後に一度溶銑を炉外の鍋に排出するプロセスにおいては、このスラグフォーミング現象により、溶銑の排出作業の際にもスラグの泡立ちが鎮静化せず作業時間を延長せざるを得ない可能性が生じるが、一方で上記の4つの工程からなるプロセスの様に、炉を傾動して脱燐スラグを排出する工程においては、逆にスラグの排出効率を向上させることができることを本発明では見出した。
従って、一つの転炉で脱燐、脱炭精錬を連続して行うことで熱ロスを最少限にするとともに、高効率な脱燐精錬を行い、かつ安定した脱燐スラグの高排出率を確保して低燐鋼の安定溶製を可能とできる。

0015

また、第二工程での溶銑脱燐精錬時に、上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないようにするには、上吹き酸素流量、上吹きランス高さ、上吹きランスのノズルスロート部直径、またはランスのノズル数の少なくとも1つを調節することで実施できる。すなわち、上吹きランスのノズルスロート部直径とランスのノズル数の適正な設計と、スラグ量に応じた操業中の上吹き酸素流量とランス高さの調整により、図1で示すように、上吹き酸素がスラグで遮断され、直接溶銑表面に接触しないように制御する。

0016

具体的に説明すると、上吹き酸素が直接溶銑に接触しないようにするには、上吹きランスのノズルスロート部直径とノズル数の適正な設計と、スラグ量に応じた操業中の上吹き酸素流量と上吹きランス高さ(ランス先端から酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ上面までの距離)を適宜調整して実施することができる。具体的条件としては、下記(I)式で計算される酸素ジェットによるスラグ凹み深さLSが下記(II)式で計算される酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ厚みLSo未満となる条件(LS<LSo)とする。
LS=Lhexp(−0.78h/Lh) ・・・ (I)
但し、Lh=63×(ρS/ρM)−1/3×(Fo2/d)2/3
LS :酸素ジェットによるスラグ凹み深さ(mm)
h :上吹きランス高さ(ランス先端から酸素ジェットが当たっていない
部分のスラグ上面までの距離(mm))
Lh :h=0のときのスラグ凹み深さ(mm)
ρS :スラグの嵩密度(=約1500kg/m3)
ρM :溶銑の密度(=6900kg/m3)
Fo2:ノズル1本当たりの上吹き酸素流量(Nm3/h)
d :上吹きランスのノズルスロート部直径(mm)
LSo=WS/ρS/(πD2/4)×1000 ・・・ (II)
但し、WS=WCaO/(%CaO)f×100
LSo :酸素ジェットが当たっていない部分のスラグ厚み(mm)
WS :スラグ質量(kg)
D :スラグ表面における精錬容器の内直径(m)
WCaO :添加フラックス中の総CaO質量(kg)
(%CaO)f:精錬後のスラグ中CaO濃度(質量%)

0017

ここで、複数のノズルを有するランスを使用する際、ノズルのスロート部直径が全て等しい場合には、(I)式におけるノズル1本当りの上吹き酸素流量Fo2は上吹き酸素の総流量をノズル数で除して求める。ノズルのスロート部直径が異なるランスを使用する場合には、スロート部直径が大きいノズルから噴出される酸素噴流の方がスラグ凹み深さが大きいため、dには最大のノズルスロート部直径を用い、ノズル1本当りの上吹き酸素流量Fo2には上吹き酸素の総流量をノズルスロート部の断面積比に応じて比例配分した酸素流量を用いる。
なお、上吹きランス高さhは、溶銑質量と転炉型容器の内部形状から計算した溶銑の深さから求められるランス先端から溶銑上面までの距離から(II)式で計算されるLSoを差し引いた値になるように設定すればよい。

0018

この様にして、第二工程での溶銑脱燐精錬時に、上吹き酸素が、スラグにより遮断されて直接溶銑に接触しないようにすることで、溶銑の燐含有量を予め定めていた所定の値まで低減できた時点で脱燐精錬を終了し、その後直ちに炉を傾動して脱燐スラグを排出する。ここで、脱燐精錬終了時点の溶銑の燐含有量の所定の値は、特に規定するものではなく、通常は脱燐処理前溶銑中の燐含有量が、脱燐処理により50質量%以下になった状態を意味しており、要求される製品の燐含有量等から適宜設定するものである。
脱燐精錬終了後の脱燐スラグは、酸素活量が高位に維持されたスラグ・メタル界面でのCOガス発生量の増加により適度に泡だっており、効率よく排出される。そのため、引き続き実施される脱炭精錬工程においては、少ないフラックス添加により、復燐を生じることなく所定のP濃度の吹き止め条件下で脱炭処理を完了させることができる。

0019

以上述べてきた方法の好ましい実施の形態を以下に示す。
まず、精錬炉に溶銑を装入し、上吹き送酸を開始すると同時に脱燐フラックスを添加する。脱燐フラックスが溶融してスラグが形成される以前の段階では、上吹き酸素は直接溶銑に接触するが、溶融スラグが形成された以降は、上吹きランスのノズルスロート部直径やノズル数、スラグ量に応じた操業中の上吹き酸素流量とランス高さを調整することにより、上吹き酸素が直接溶銑に接触しないようにする。その後、直ちに炉を傾動して脱燐スラグを排出し、再び炉を直立して、上吹き送酸を再開して脱炭精錬を実施する。

0020

この際、秤量機等で排出したスラグの質量を測定し、予め計算しておいた(II)式で使用する生成スラグ質量WSからスラグ排出率(排出したスラグの質量/生成スラグ質量WS×100)を算出する。本発明ではスラグの排出率を増加させることができるため、所定の塩基度(CaO/SiO2)の条件下では、スラグの排出率が増加するほど、生石灰やドロマイト等の脱炭精錬時に使用するフラックスを低減することができるため、副原料の使用量や発生スラグ量を低減することができる。

0021

試験転炉を用いて、溶銑の脱燐、脱炭連続精錬実験を実施した。
まず、約4.5質量%のC、約0.1質量%のP、約0.4質量%のSiを含む初期温度約1300℃の溶銑約6tを用いて脱燐精錬を行った。なお、試験転炉の炉内直径はスラグが存在する部分で約1.1mである。
溶銑を転炉に装入し、脱燐フラックスであるCaO濃度95質量%の生石灰105kgを投入した後、上吹きランスからの送酸により12分間の脱燐精錬を行った。上吹きランスとしては、ノズル数4、ノズルスロート部直径28mmのものを使用した。

0022

精錬開始時点での上吹き酸素流量は800Nm3/h、上吹きランス高さは700mmとした。この条件下では、脱燐フラックスが溶融してスラグが形成された以降は、(I)、(II)式から計算されるLS、LSoはそれぞれ134〜139mmと171〜189mmであり、LS<LSoであるため上吹き酸素が直接溶銑に接触しない。送酸開始から6分の時点で上吹き送酸を停止して脱燐精錬を終了し、直ちに転炉を傾動して脱燐スラグを排出した。脱燐精錬終了後のスラグ中CaO濃度は39〜43質量%の間であった。

0023

排出した脱燐スラグの質量は、排出スラグの受け入れ鍋(スラグパン)の下に設置した秤量機により測定し、予め計算しておいた(II)式で使用する生成スラグ質量WSからスラグ排出率を算出した。その後、再び炉を直立して、スラグ排出率に応じて塩基度(CaO/SiO2)が5.0になる様に生石灰を投入して、上吹き酸素流量1200Nm3/hの条件下で送酸による脱炭精錬を行った。

0024

次に比較例として、同一の試験炉および上吹きランスを用いて、実施例と同じ溶銑条件、生石灰投入量、精錬時間で脱燐精錬を行い、同様の要領で脱燐スラグの排出と脱炭精錬を実施した。比較例においては、脱燐精錬での上吹き送酸量は実施例と同じにしたが、上吹きランス高さを400mmとした。この条件下では、脱燐フラックスが溶融してスラグが形成された以降でも、(I)、(II)式から計算されるLS、LSoはそれぞれ245〜254mmと171〜189mmであり、LS>LSoであるため上吹き酸素が直接溶銑に接触する。

0025

実施例30チャージと比較例30チャージにおける、脱燐精錬後の溶銑中P濃度、脱燐スラグの排出率、脱炭期に投入した生石灰原単位、および脱炭精錬後の溶鋼中P濃度の平均値を表1に示す。実施例では、脱燐精錬後のP濃度が低減できており、脱燐スラグの排出率は格段に向上している。その結果、脱炭精錬時の生石灰投入量が削減されているとともに脱炭精錬後の溶鋼中P濃度も低減されている。すなわち、少ない副原料での効率的な脱燐による低燐鋼の溶製が可能であった。

0026

図面の簡単な説明

0027

溶銑脱燐精錬時の転炉型容器内の酸素噴流、スラグ、溶銑の状況を示す模式図。

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