図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2005年6月2日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

車両においてモータを用いることにより、運転者操舵操作に応じて車輪転舵することによって車両を操舵する操舵装置において、その操舵装置の温度が素早く上昇するようにする。

解決手段

車両においてイグニションスイッチが運転者によってONに操作された直後であって(S31)、操舵装置における減速機の温度Tがしきい値Tthより低い場合に(S33)、ベクトル制御可能なモータにd軸電流Idを供給することにより(S34)、モータを駆動源としてではなく熱源すなわちヒータとして利用する。それにより、モータに関連する部材に動きを与えることなく、減速機が素早く加熱される。

概要

背景

車両においてモータを用いることにより、運転者操舵操作に応じて車輪転舵することによって車両を操舵する操舵装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)
この種の操舵装置においては、その操舵装置により実現される操舵特性、すなわち、その操舵装置に対する入出力特性がその操舵装置の温度に依存するという特性がある。ここに、「操舵特性」は、例えば、運転者の操作量(例えば、ステアリングホイール操作角)と操作反力との関係を反映する運転者の操舵感として定義される場合や、モータへの入力と車輪の転舵量(すなわち、モータからの出力)との関係を反映する駆動系の入出力応答特性として定義される場合がある。

ここで、操舵特性に温度に対する依存性が存在する理由を考察する。例えば、操舵装置が、モータの作動速度を減速させてその駆動力倍力すべく減速機を用いる場合には、低温時に、その減速機内において各摺動部に使用されるグリス粘性が増加し、可動部材がそのグリスを押し退ける抵抗潤滑抵抗が増加するという傾向がある。そのため、低温時にその減速機の伝達効率(例えば、ギヤ効率)が低下し、それにより、温度に対する依存性が操舵特性に存在すると考えられる。

ところで、この種の操舵装置は、モータの用途によっていくつかのタイプに分類される。例えば、操舵のために運転者によって操作される操作部材(例えば、ステアリングホイール)の操作に対する操作反力を発生させるためにモータを用いる第1タイプの操舵装置が存在する。さらに、運転者による操作部材の操作をアシストするためにモータを用いる第2タイプの操舵装置も存在する。さらにまた、車輪を転舵するためにモータを用いる第3タイプの操舵装置も存在する。

いずれのタイプにおいても、操舵装置の低温時と常温時とでその操舵特性が互いに異なる傾向がある。具体的には、第1および第2タイプの操舵装置においては、低温時には、それら操舵装置の駆動抵抗の増加、伝達効率の低下等が原因で、運転者に作用する操作反力の実際値設計値より増加し、そのため、運転者が重い操舵感を感じてしまう。このように、それら操舵装置においては、温度が上昇すれば、それに伴って操舵特性が変化するため、操舵特性が安定しないという違和感を運転者に与えることとなる。

第3タイプの操舵装置においては、低温時には、常温時より伝達効率(例えば、ギヤ伝達効率)が低下する。そのため、運転者による同じ操作量に応答する車輪の切れ量が常温時より減少し、その結果、操作に対する車輪の転舵の追従性が低下して、運転者に鈍い操舵感を感じさせることとなる。

さらに、第3タイプの操舵装置は、操作反力を発生させるための操作反力用モータを用いる場合と用いない場合とがある。操作反力用モータを用いない場合には、車輪の転舵力を少なくとも部分的にモータによって発生させる点で第2タイプの操舵装置と共通する。これに対し、操作反力用モータを用いる場合には、第1タイプの操舵装置を兼ねることとなる。いずれにしても、この第3の操舵装置は、第1および第2タイプの操舵装置と同様に、低温時には、常温時より操舵感が重いという傾向がある。

前述の特許文献1には、第2タイプの操舵装置の一従来例が記載されている。この従来例においては、操作部材としてのステアリングホイールに入力軸が連結され、その入力軸にモータが減速機を介して連結されている。そのモータは、運転者の操舵操作をアシストするために設けられており、そのアシスト量は、温度センサによって検出された減速機の温度に基づいて変化させられる。そのアシスト量は、減速機の温度の如何を問わず、操舵感が安定するように変化させられる。
特開2002−53050号公報

概要

車両においてモータを用いることにより、運転者の操舵操作に応じて車輪を転舵することによって車両を操舵する操舵装置において、その操舵装置の温度が素早く上昇するようにする。車両においてイグニションスイッチが運転者によってONに操作された直後であって(S31)、操舵装置における減速機の温度Tがしきい値Tthより低い場合に(S33)、ベクトル制御可能なモータにd軸電流Idを供給することにより(S34)、モータを駆動源としてではなく熱源すなわちヒータとして利用する。それにより、モータに関連する部材に動きを与えることなく、減速機が素早く加熱される。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

車両において運転者操舵操作に応じて車輪転舵することによって車両を操舵する操舵装置であって、固定子可動子とを有するモータと、前記操舵に関連して運動させられる運動部材と、前記可動子の運動を前記運動部材に伝達する伝達装置と、前記モータへの供給電流を制御するコントローラであって、予め定められた条件が成立した場合に、前記可動子の運動を伴うことなく前記モータが発熱するための発熱用電流をそのモータに供給するものとを含む操舵装置。

請求項2

前記条件が、当該操舵装置のうち前記モータの発熱によって加熱されるべき被加熱部の温度が設定温度以下である場合に成立する低温成立条件を含む請求項1に記載の操舵装置。

請求項3

前記伝達装置が、その伝達装置を駆動するために打つ勝つことが必要である駆動抵抗がその伝達装置の低温時において高温時におけるより大きいものであり、前記被加熱部が、その伝達装置である請求項2に記載の操舵装置。

請求項4

前記条件が、前記車両の一連走行が開始された場合に成立する走行開始時成立条件を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の操舵装置。

請求項5

さらに、運転者によって操作される操作部材を含み、前記モータが、運転者によるその操作部材の操作に対する操作反力をその操作部材を介して運転者に作用させるために前記運動部材を駆動する操作反力用モータを含む請求項1ないし4のいずれかに記載の操舵装置。

請求項6

前記モータが、前記固定子と前記可動子との一方には永久磁石、他方にはコイルがそれぞれ装着され、かつ、前記永久磁石の着磁方向に平行な方向にはd軸、直交する方向にはq軸がそれぞれ設定されたものであり、前記発熱用電流が、前記モータに、前記d軸の方向と前記q軸の方向とのうちd軸の方向のみに流される電流である請求項1ないし5のいずれかに記載の操舵装置。

請求項7

前記コントローラが、運転者の操舵操作中に、前記モータに前記発熱用電流を供給するのと並行して、前記可動子を駆動するための駆動電流を前記モータに供給する駆動電流供給部を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の操舵装置。

請求項8

さらに、運転者によって操作される操作部材を含み、前記駆動電流供給部が、前記モータに前記発熱用電流を供給する場合に、供給しない場合より、運転者による前記操作部材の操作に対する操作反力であって前記モータによって発生させられるものが減少するように前記駆動電流を変化させる請求項7に記載の操舵装置。

請求項9

前記伝達装置が、その伝達装置を駆動するために打つ勝つことが必要である駆動抵抗がその伝達装置の低温時において高温時におけるより大きいものであり、前記モータが、その伝達装置に作動的に関連付けて複数個設けられており、前記コントローラが、それら複数個のモータのうち前記伝達装置に最も接近しているものに前記発熱用電流を供給する請求項1に記載の操舵装置。

請求項10

前記コントローラが、前記被加熱部の温度が設定温度以上に上昇したときに成立する昇温時成立条件が成立するまで、前記車両の走行開始禁止する走行開始禁止部を含む請求項2または3に記載の操舵装置。

技術分野

0001

本発明は、車両においてモータを用いることにより、運転者操舵操作に応じて車輪転舵することによって車両を操舵する操舵装置に関するものであり、特に、その操舵装置の温度を管理する技術に関するものである。

背景技術

0002

車両においてモータを用いることにより、運転者の操舵操作に応じて車輪を転舵することによって車両を操舵する操舵装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)
この種の操舵装置においては、その操舵装置により実現される操舵特性、すなわち、その操舵装置に対する入出力特性がその操舵装置の温度に依存するという特性がある。ここに、「操舵特性」は、例えば、運転者の操作量(例えば、ステアリングホイール操作角)と操作反力との関係を反映する運転者の操舵感として定義される場合や、モータへの入力と車輪の転舵量(すなわち、モータからの出力)との関係を反映する駆動系の入出力応答特性として定義される場合がある。

0003

ここで、操舵特性に温度に対する依存性が存在する理由を考察する。例えば、操舵装置が、モータの作動速度を減速させてその駆動力倍力すべく減速機を用いる場合には、低温時に、その減速機内において各摺動部に使用されるグリス粘性が増加し、可動部材がそのグリスを押し退ける抵抗潤滑抵抗が増加するという傾向がある。そのため、低温時にその減速機の伝達効率(例えば、ギヤ効率)が低下し、それにより、温度に対する依存性が操舵特性に存在すると考えられる。

0004

ところで、この種の操舵装置は、モータの用途によっていくつかのタイプに分類される。例えば、操舵のために運転者によって操作される操作部材(例えば、ステアリングホイール)の操作に対する操作反力を発生させるためにモータを用いる第1タイプの操舵装置が存在する。さらに、運転者による操作部材の操作をアシストするためにモータを用いる第2タイプの操舵装置も存在する。さらにまた、車輪を転舵するためにモータを用いる第3タイプの操舵装置も存在する。

0005

いずれのタイプにおいても、操舵装置の低温時と常温時とでその操舵特性が互いに異なる傾向がある。具体的には、第1および第2タイプの操舵装置においては、低温時には、それら操舵装置の駆動抵抗の増加、伝達効率の低下等が原因で、運転者に作用する操作反力の実際値設計値より増加し、そのため、運転者が重い操舵感を感じてしまう。このように、それら操舵装置においては、温度が上昇すれば、それに伴って操舵特性が変化するため、操舵特性が安定しないという違和感を運転者に与えることとなる。

0006

第3タイプの操舵装置においては、低温時には、常温時より伝達効率(例えば、ギヤ伝達効率)が低下する。そのため、運転者による同じ操作量に応答する車輪の切れ量が常温時より減少し、その結果、操作に対する車輪の転舵の追従性が低下して、運転者に鈍い操舵感を感じさせることとなる。

0007

さらに、第3タイプの操舵装置は、操作反力を発生させるための操作反力用モータを用いる場合と用いない場合とがある。操作反力用モータを用いない場合には、車輪の転舵力を少なくとも部分的にモータによって発生させる点で第2タイプの操舵装置と共通する。これに対し、操作反力用モータを用いる場合には、第1タイプの操舵装置を兼ねることとなる。いずれにしても、この第3の操舵装置は、第1および第2タイプの操舵装置と同様に、低温時には、常温時より操舵感が重いという傾向がある。

0008

前述の特許文献1には、第2タイプの操舵装置の一従来例が記載されている。この従来例においては、操作部材としてのステアリングホイールに入力軸が連結され、その入力軸にモータが減速機を介して連結されている。そのモータは、運転者の操舵操作をアシストするために設けられており、そのアシスト量は、温度センサによって検出された減速機の温度に基づいて変化させられる。そのアシスト量は、減速機の温度の如何を問わず、操舵感が安定するように変化させられる。
特開2002−53050号公報

発明が解決しようとする課題

0009

上述の従来例においては、温度変化に起因した操舵特性の変化をアシスト量の制御のみによって抑制するようになっている。このアシスト量の制御においては、低温時に、例えば、操舵角操舵力との関係(アシスト比)を常温時より増加させることによって操舵特性を制御することが考えられる(例えば、電動パワーステアリング装置)。

0010

しかし、低温時に発生した操舵力の増加分をアシスト比の制御によって打ち消そうとしても、操舵力の増加分がそもそも操舵角に応じて変化するなどの理由により、操舵力の増加分を精度よく打ち消すことが困難である。そのため、アシストの制御においては、常温時と同じ操舵特性を低温時に精度よく実現することが困難である。そのため、この従来例では、操舵特性を十分に安定化させることが困難であった。

0011

このような事情背景として、本発明は、車両においてモータを用いることにより、運転者の操舵操作に応じて車輪を転舵することによって車両を操舵する操舵装置において、その操舵装置の温度が素早く上昇するようにすることを課題としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0012

本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきである。

0013

さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈されるべきである。
(1) 車両において運転者の操舵操作に応じて車輪を転舵することによって車両を操舵する操舵装置であって、
固定子可動子とを有するモータと、
前記操舵に関連して運動させられる運動部材と、
前記可動子の運動を前記運動部材に伝達する伝達装置と、
前記モータへの供給電流を制御するコントローラであって、予め定められた条件が成立した場合に、前記可動子の運動を伴うことなく前記モータが発熱するための発熱用電流をそのモータに供給するものと
を含む操舵装置。

0014

この操舵装置においては、モータに発熱用電流が供給されることにより、モータが駆動源としてではなく熱源すなわちヒータとして利用され、それにより、モータに関連する部材に動きを与えることなく、当該操舵装置が加熱される。

0015

したがって、この操舵装置によれば、当該操舵装置を積極的に加熱しない場合に比較し、当該操舵装置の温度を短時間で適正値に上昇させることが可能となる。さらに、この操舵装置によれば、運転者の操舵操作の有無を問わず、当該操舵装置を加熱することが可能となる。

0016

操舵操作に応じてモータを駆動するためにそのモータに電流を供給すると、モータは付随的に発熱するのが普通である。このような付随的に発生する熱を利用して操舵装置を加熱する場合には、操舵操作が行われていない場合には、モータが発熱しないために操舵装置が加熱されない。これに対し、操舵操作が行われている場合には、モータが発熱するため操舵装置が加熱されるが、モータの発熱量が操舵操作量に依存するため、操舵操作量が少ないとモータの発熱量も少なくなり、操舵装置の温度上昇量も少なくなる。

0017

これに対し、本項に係る操舵装置によれば、操舵操作の有無および操舵操作量の多少にかかわらず、モータの発熱量を管理することができ、ひいては当該操舵装置の加熱を短時間で行うことが容易となる。

0018

本項における「運動部材」としては、例えば、操舵のために運転者によって操作される操作部材と共に運動させられる操作軸(例えば、ステアリングシャフト)があり、また、車輪を変向するために運動させられるステアリングロッド(例えば、ラックバー)がある。
(2) 前記条件が、当該操舵装置のうち前記モータの発熱によって加熱されるべき被加熱部の温度が設定温度以下である場合に成立する低温時成立条件を含む(1)項に記載の操舵装置。

0019

この操舵装置においては、当該操舵装置のうちの被加熱部の温度が設定温度以下である場合に、モータが積極的にヒータとして機能させられることにより、その被加熱部の温度が素早く上昇させられる。

0020

したがって、この操舵装置によれば、その操舵特性が被加熱部の低温化によって変化してしまう可能性がある場合に、操舵特性の変化を良好に抑制することが容易となる。よって、被加熱部の温度の如何にかかわらず、操舵特性を安定化させることが容易となる。
(3) さらに、前記被加熱部の温度を検出する温度センサを含み、前記コントローラが、その温度センサの出力信号に基づき、前記低温時成立条件の成否を判定する(2)項に記載の操舵装置。
(4) 前記伝達装置が、その伝達装置を駆動するために打つ勝つことが必要である駆動抵抗がその伝達装置の低温時において高温時におけるより大きいものであり、前記被加熱部が、その伝達装置である(2)または(3)項に記載の操舵装置。

0021

この操舵装置によれば、被加熱部が伝達装置である場合に、その伝達装置の温度の如何にかかわらず、操舵特性を安定化させることが容易となる。
(5) 前記条件が、前記車両の一連走行が開始された場合に成立する走行開始時成立条件を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の操舵装置。

0022

前記(1)ないし(4)項のいずれかに係る操舵装置においては、モータを積極的にヒータとして機能させて当該操舵装置を加熱することが必要である場合は、当該操舵装置が低温である場合である。一方、操舵装置の温度は、車両の一連の走行の開始時に最も低く、走行が継続するにつれて上昇するのが普通である。

0023

このような知見に基づき、本項に係る操舵装置においては、車両の一連の走行が開始された場合に、モータが積極的にヒータとして機能させられる。
(6) さらに、前記車両の一連の走行の開始を検出する走行開始センサを含み、前記コントローラが、その走行開始センサの出力信号に基づき、前記走行開始時成立条件の成否を判定する(5)項に記載の操舵装置。

0024

本項における「走行開始センサ」としては、例えば、車両の動力源(例えば、エンジン駆動モータ等)の運転を開始させるために運転者によって操作される運転開始スイッチ(例えば、エンジンを点火させるために運転者によって操作されるイグニションスイッチまたはキースイッチ)、運転者が車両の運転席着座したことを検出する着座スイッチ、運転者が運転席のドアロック解除したことを検出するドアロック解除スイッチ等がある。
(7) さらに、運転者によって操作される操作部材を含み、前記モータが、運転者によるその操作部材の操作に対する操作反力をその操作部材を介して運転者に作用させるために前記運動部材を駆動する操作反力用モータを含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載の操舵装置。

0025

この操舵装置によれば、操作反力用モータを積極的にヒータとして機能させることにより、例えば、運転者による操作部材の操作量と操作反力との関係を、温度変化にかかわらず、安定化させることが容易となる。

0026

本項に係る操舵装置は、例えば、操作反力の実際値をフィードバックすることなく、上記操作反力用モータをオープンループ方式で制御する態様で実施することが可能である。ところで、オープンループ方式で操作反力用モータを制御する場合には、当該操舵装置の温度が常温域より低いために、当該操舵装置の駆動抵抗の増加、伝達効率の低下等が発生すると、特別な対策を講じない限り、操作反力が設計値より大きくなってしまい、重い操舵感を運転者に与えてしまう。

0027

これに対し、本項に係る操舵装置によれば、低温時に操作反力用モータを積極的にヒータとして機能させて当該操舵装置を加熱することができるため、モータの制御方式フィードバック方式転換することなく、温度低下に起因した操作反力の増加を回避することが容易となる。
(8) さらに、運転者によって操作される操作部材を含み、前記モータが、運転者によるその操作部材の操作をアシストするために前記運動部材を駆動するアシスト用モータを含む(1)ないし(7)項のいずれかに記載の操舵装置。

0028

この操舵装置によれば、アシスト用モータを積極的にヒータとして機能させることにより、例えば、運転者による操作部材の操作量と操作反力との関係を、温度変化にかかわらず、安定化させることが容易となる。
(9) 前記モータが、前記車輪を転舵するために前記運動部材を駆動する転舵用モータを含む(1)ないし(8)項のいずれかに記載の操舵装置。

0029

この操舵装置によれば、転舵用モータを積極的にヒータとして機能させることにより、例えば、運転者による操作部材の操作量と車輪の転舵量との関係を、温度変化にかかわらず、安定化させることが容易となる。
(10) 前記モータが、前記固定子と前記可動子との一方には永久磁石、他方にはコイルがそれぞれ装着され、かつ、前記永久磁石の着磁方向に平行な方向にはd軸、直交する方向にはq軸がそれぞれ設定されたものであり、
前記発熱用電流が、前記モータに、前記d軸の方向と前記q軸の方向とのうちd軸の方向のみに流される電流である(1)ないし(9)項のいずれかに記載の操舵装置。

0030

この操舵装置によれば、モータに電流をd軸の方向に流す場合にはモータに駆動力が発生することなく発熱するという性質に着目することにより、モータが単にヒータとして機能させられる。
(11) 前記コントローラが、運転者の操舵操作中に、前記モータに前記発熱用電流を供給するのと並行して、前記可動子を駆動するための駆動電流を前記モータに供給する駆動電流供給部を含む(1)ないし(10)項のいずれかに記載の操舵装置。

0031

この操舵装置によれば、モータをヒータとしてのみならず駆動源としても機能させることにより、同じモータにより、当該操舵装置の加熱と操舵との双方を並行的に実現することが可能となる。
(12) さらに、運転者によって操作される操作部材を含み、前記駆動電流供給部が、前記モータに前記発熱用電流を供給する場合に、供給しない場合より、運転者による前記操作部材の操作に対する操作反力であって前記モータによって発生させられるものが減少するように前記駆動電流を変化させる(11)項に記載の操舵装置。

0032

運転者に作用する操作反力は、減速機等の伝達装置の駆動抵抗とモータの駆動力とを総合したものである。一方、モータの駆動力は、その用途により、操作反力を変化させる向きが異なる。

0033

具体的には、モータが、運転者の操作をアシストするために使用されるアシスト用モータである場合には、モータの駆動力を増加させることはそのモータによるアシスト量を増加させることを意味し、このことは結局、運転者に作用する操作反力を減少させることを意味する。

0034

これに対し、モータが、操作反力を発生させるために使用される操作反力用モータである場合には、モータの駆動力を増加させることはそのモータによる操作反力を増加させることを意味し、このことは結局、運転者に作用する操作反力を増加させることを意味する。

0035

したがって、運転者に作用する操作反力を減少させることが必要である場合には、アシスト用モータについては、駆動電流を増加させることが望ましいのに対し、操作反力用モータについては、駆動電流を減少させることが望ましい。

0036

いずれにしても、本項に係る操舵装置においては、モータをヒータとして機能させることが必要である場合、すなわち、例えば、温度変化に起因した操舵特性の変化を抑制することが必要である場合に、モータが駆動源としても機能させられるとともに、駆動源として機能するモータに供給される駆動電流が、モータをヒータとして機能させることが必要ではない場合より、モータによって発生させられる操作反力が減少する向きに変化させられる。

0037

その結果、この操舵装置によれば、モータをヒータとして機能させることが必要である場合に、モータ駆動電流の制御すなわちモータ駆動力の適正化によっても操作反力が軽減される。

0038

したがって、この操舵装置によれば、温度変化に起因した操舵特性の変化を、モータによる積極的な発熱と、モータ駆動力の適正化との双方によって効果的に抑制することが可能となる。
(13) 前記伝達装置が、その伝達装置を駆動するために打つ勝つことが必要である駆動抵抗がその伝達装置の低温時において高温時におけるより大きいものであり、前記モータが、その伝達装置に作動的に関連付けて複数個設けられており、前記コントローラが、それら複数個のモータのうち前記伝達装置に最も接近しているものに前記発熱用電流を供給する(1)ないし(12)項のいずれかに記載の操舵装置。

0039

前記(1)項に係る操舵装置は、前記伝達装置が、駆動抵抗が低温時において高温時におけるより大きいものであり、前記モータが、その伝達装置に作動的に関連付けて複数個設けられている態様で実施することが可能である。

0040

この態様においては、それら複数個のモータの中に、伝達装置に最も接近しているものが存在する場合がある。このようなモータは、特殊な環境ではない限り、熱伝達性を考慮すると、伝達装置を加熱するのに最も効率が高いモータであると考えることが自然である。

0041

このような知見に基づき、本項に係る操舵装置においては、それら複数個のモータのうち伝達装置に最も接近しているものが選択されてヒータとして機能させられる。
(14) 前記コントローラが、前記被加熱部の温度が設定温度以上に上昇したときに成立する昇温時成立条件が成立するまで、前記車両の走行開始を禁止する走行開始禁止部を含む(2)ないし(13)項のいずれかに記載の操舵装置。

0042

この操舵装置によれば、被加熱部の温度が常温域より低いことが原因で操舵特性が通常とは異なっている可能性がある期間に、運転者が操舵操作を行うことが不要となるため、運転者は、操舵特性が変化するという違和感を感じずに済む。

発明を実施するための最良の形態

0043

以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。

0044

本発明の第1実施形態に従う操舵装置は、車両の運転者によって操作される操作部10(図1参照)と、車両の左右車輪12,12(図2参照)を転舵する転舵部20とを含むように構成されている。

0045

この操舵装置は、運転者による操作に応じ、後述のモータによって左右車輪12,12を電気的に転舵するステアバイワイヤ式を採用している。この操舵装置においては、操作部10と転舵部20とが機械的に互いに絶縁されている。この操舵装置においては、複数個のモータが動力源として用いられている。

0046

図1には操作部10につき、図2には転舵部20につき、それぞれの機械的構成電気的構成とが系統的に示されている。

0047

図1に示すように、操作部10においては、運転者によって回転操作されるステアリングホイール22が操作軸24に一体的に回転可能に同軸に連結されている。その操作軸24には、擬似的な操作反力をステアリングホイール22に発生させるために、モータAの回転力が付与される。そのため、操作軸24には、モータAが、減速機(倍力機構でもある。)26を介して機械的に連携させられている。

0048

本実施形態においては、モータAは、ブラシレスモータとしてのDCモータとして構成されている。モータAは、図3に示すように、固定子としてのステータ27と、可動子としてのロータ28とを備えている。ステータ27にはU相、V相およびW相のコイル29、ロータ28には永久磁石30がそれぞれ装着されている。モータAは、ステータ27とロータ28との磁気的な相互作用によって発生するモータトルクベクトル制御することが可能な形式のモータの一例である。

0049

このモータAにおいては、図3に示すように、永久磁石30の着磁方向に平行な方向にはd軸、直交する方向にはq軸(すなわち、永久磁石30から発生する磁束に直交する軸)がそれぞれ設定されている。モータAに電流がd軸方向に流される場合には、ステータ27とロータ28との間にモータトルクが発生せず、コイル29に供給された電気エネルギー熱エネルギーに変換される。これにより、モータAが駆動源としてではなく単にヒータとして機能することとなる。

0050

これに対し、モータAに電流がq軸方向に流される場合には、ステータ27とロータ28との間にモータトルクが発生し、コイル29に供給された電気エネルギーは熱エネルギーのみならず機械エネルギーにも変換される。これにより、モータAが駆動源として機能することとなる。

0051

すなわち、本実施形態においては、モータAが前記(1)項における「モータ」の一例を構成し、モータAにおいてd軸方向に流される電流であるd軸電流Idが同項における「発熱用電流」の一例であり、q軸方向に流される電流であるq軸電流が前記(11)項における「駆動電流」の一例なのである。

0052

図1に示すように、本実施形態においては、減速機26が、ホイールギヤ31とピニオンギヤ32とが非同軸にかみ合う構成とされている。ホイールギヤ31は、操作軸24に一体的に回転可能に同軸に取り付けられる一方、ピニオンギヤ32は、モータAのロータ33(図3参照)に一体的に回転可能に同軸に取り付けられている。すなわち、本実施形態においては、操作軸24が前記(1)項における「運動部材」の一例を構成し、減速機26が同項における「伝達装置」の一例を構成しているのである。

0053

操作軸24には、さらに、それの絶対的な回転角である絶対角を検出する絶対角センサ34が取り付けられている。ここに、絶対角は、被検出回転体の回転角をその被検出回転体の回転数をも考慮して表現する角度であり、これに対し、電気角は、被検出回転体の回転角をその被検出回転体の回転数を無視して表現する角度である。

0054

図1に示すように、モータAおよび絶対角センサ34は、コントローラ40に接続されている。モータAは、ドライバ36を介してコントローラ40に接続されている。コントローラ40には、さらに、温度センサ41が接続されている。この温度センサ41は、減速機26の温度を検出するために、減速機26に接触する位置、または減速機26の温度が効率よく伝達するほどに接近する位置に配置されている。

0055

図4に示すように、コントローラ40は、コンピュータ42を主体として構成されている。コンピュータ42は、よく知られているように、CPU44とROM46とRAM48とがバス50によって互いに接続されて構成されている。コントローラ40は、電源51からドライバ36を経てモータAに供給される電力をモータAの電気角に応じて適切に制御することにより、モータAの回転を制御するように設計されている。

0056

図4に示すように、コントローラ40には、イグニションスイッチ51aが接続されている。イグニションスイッチ51aは、運転者が車両の一連の走行を開始させるべく、車両のエンジンを点火させるために操作されるキースイッチである。このイグニションスイッチ51aは、前記(6)項における「走行開始センサ」の一例である運転開始スイッチの一例である。

0057

なお付言すれば、このイグニションスイッチ51aに代えてまたはこれと一緒に、運転者が車両の運転席に着座したことを検出する着座スイッチ、運転者が運転席のドアのロックを車外において解除したことを検出するドアロック解除スイッチ等を用いて本発明を実施することが可能でである。

0058

図4に示すように、ROM46には、CPU44により実行される各種プログラムが記憶されている。それらプログラムの中には、モータAを制御して操作反力を制御するために実行される操作反力制御プログラムと、操舵装置の操舵特性(運転者の操舵感を含む。)安定化させるために実行される操舵特性安定化プログラムとがある。それら操作反力制御プログラムおよび操舵特性安定化プログラムの内容はそれぞれ図5および図6フローチャート概念的に表されている。

0059

図7には、コントローラ40のうち、モータAの制御および駆動に関連する部分がブロック図で概念的に表わされている。同図に示すように、コントローラ40は、モータ制御部40aと、目標操作反力トルク演算部40bと、操作反力制御ゲイ演算部40cと、d軸電流指令値演算部40dとを備えている。

0060

モータ制御部40aは、目標操作反力トルク演算部40b,操作反力制御ゲイン演算部40cおよびd軸電流指令値演算部40dから入力される情報と、絶対角センサ34から入力される情報とに基づき、ドライバ36に対して信号を出力するために所定の演算を行うように設定されている。

0061

具体的には、このモータ制御部40aにおいては、モータAにおいてコイル29と永久磁石30との磁気的な相互作用によって発生するモータトルクをベクトル制御するために、モータAのU相,V相およびW相の各コイル29に出力すべき電流値Uo,VoおよびWoが、それらが変換されたd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを媒介として演算される。

0062

さらに具体的には、このモータ制御部40aにおいては、電気角検出部40eが、絶対角センサ34の出力信号に基づいてモータAの電気角θeを検出する。電流検出部40fが、モータAの各相のコイル29に流れる電流値Ui,Vi,Wiを検出する。3相2相変換部40gが、検出された電気角θeと、検出された電流値Ui,Vi,Wiとに基づき、それら3相の電流値Ui,Vi,Wiを2相の電流値であるd軸電流値Id hおよびq軸電流値Iqhに変換する。

0063

その3相−2相変換後、電流制御部40hが、その変換されたd軸電流値Id hおよびq軸電流値Iqhと、q軸電流指令値演算部40iから入力されたq軸電流指令値Iq refと、d軸電流指令値演算部40dから入力されたd軸電流指令値Id refとに基づき、PI制御方式に従い、指令信号を生成する。その生成された指令信号は、電気角検出部40eから入力された電気角θeと共に2相−3相変換部40jに入力される。

0064

2相−3相変換部40jは、d軸電流値Id hがd軸電流指令値Idrefに接近し、かつ、q軸電流値Iq hがq軸電流指令値Iq refに接近するのに適当なd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを3相の電流値Uo,Vo,Woに変換する。正確には、2相−3相変換部40jは、その適当なd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを、3相のコイル29を媒介にして3相の電流値Uo,Vo,Woに変換するために各相のコイル29に印加すべき3相の電圧値Eu,Ev,Ewを決定する。

0065

その2相−3相変換後、PWM出力部40kが、その決定された電圧値Eu,Ev,Ewを有する各電圧をドライバ36を経て各相のコイル29に印加することにより、PWM方式に従い、3相のコイル29に流れる各電流の値が制御される。その結果、3相のコイル29において3相の電流値Uo,Vo,Woがそれぞれ実現される。

0066

前記目標操作反力トルク演算部40bは、ステアリング角速度、車両速度等、車両操舵情報に基づき、運転者に作用させるべき操作反力トルク目標値が演算される。

0067

前記q軸電流指令値演算部40iは、目標操作反力トルク演算部40bから入力された操作反力トルクの目標値に操作反力制御ゲインα掛け算値として影響を加えることによってq軸電流指令値Iq refを演算する。その演算値は前記電流制御部40hに供給される。q軸電流指令値演算部40iに用いられる操作反力制御ゲインαは、前記温度センサ41により検出された減速機26の温度Tに基づき、前記操作反力制御ゲイン演算部40cによって演算される。

0068

前記d軸電流指令値演算部40dは、前記温度センサ41により検出された減速機26の温度Tに基づき、d軸電流指令値Id refを演算し、その演算値を前記電流制御部40hに供給する。

0069

次に、図5を参照しつつ、前記操作反力制御プログラムを説明する。

0070

この操作反力制御プログラムは、コンピュータ42の電源51がONにされている間、繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、絶対角センサ34から信号が入力される。次に、S2において、その入力された信号に基づき、モータAの電気角θeが計算される。

0071

すなわち、コンピュータ42のうちそれらS1およびS2を実行する部分が、図7における電気角検出部40eを構成しているのである。

0072

続いて、図5におけるS3において、操作反力を制御するのに必要な情報が入力される。そのような必要情報として、例えば、ステアリング角速度、車両速度等がある。ステアリング角速度は、例えば、絶対角センサ34の出力信号に基づいて計算し得る。

0073

その後、S4において、その入力された必要情報に基づき、ステアリングホイール22に付与すべきトルク、すなわち、目標操作反力トルクが計算される。

0074

すなわち、コンピュータ42のうちそれらS3およびS4を実行する部分が、図7における目標操作反力トルク演算部40bを構成しているのである。

0075

続いて、図5におけるS5において、その計算された目標操作反力トルクと、前記操作反力制御ゲインαとに基づき、d軸電流指令値Id refが決定される。操作反力制御ゲインαは、図6に示す操舵特性安定化プログラムの実行によって決定される。すなわち、コンピュータ42のうちこのS5を実行する部分が、図7におけるq軸電流指令値演算部40iを構成しているのである。

0076

その後、図5におけるS6において、モータAに供給すべき電流が計算される。具体的には、前記検出された電気角θeと、上記決定されたq軸電流指令値Iq refと、モータAの各相のコイル29の実電流値Ui,Vi,Wiと、図6に示す操舵特性安定化プログラムの実行によって決定されるd軸電流指令値Id refとに基づき、ベクトル制御の原理に従い、モータAの各相のコイル29においてそれぞれ実現すべき電流値Uo,Vo,Woが計算される。

0077

すなわち、コンピュータ42のうちこのS6を実行する部分が、図7における電流検出部40f,3相−2相変換部40g,電流制御部40hおよび2相−3相変換部40jに相当するのである。

0078

その後、図5におけるS7において、その計算された電流値と同じ大きさの電流が電源51からモータAの各相のコイル29に供給されるようにコントローラ40からドライバ36に信号が供給され、それにより、モータAが駆動される。すなわち、コンピュータ42のうちこのS7を実行する部分が、図7におけるPWM出力部40kに相当するのである。

0079

以上で、この操作反力制御プログラムの一回の実行が終了する。

0080

次に、図6を参照しつつ、前記操舵特性安定化プログラムを説明する。

0081

この操舵特性安定化プログラムも、コンピュータ42の電源51がONにされている間、繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S31において、イグニションスイッチ51aが運転者によってONに操作された直後であるか否かが判定される。今回は、ONに操作された直後であると仮定すれば、判定がYESとなり、S32において、温度センサ41により、減速機26の温度Tが検出される。

0082

続いて、S33において、その検出された温度Tがしきい値Tthより低いか否かが判定される。今回は、車両の一連の走行の開始直後であって、減速機26の温度Tが低いと仮定すれば、判定がYESとなる。

0083

その後、S34において、d軸電流指令値Id refが、温度Tの検出値に基づいて決定される。本実施形態においては、例えば図8グラフで示すように、温度Tとd軸電流指令値Id refとの関係がROM46に記憶されており、その関係に従い、今回の温度Tに対応するd軸電流指令値Id refが決定される。

0084

本実施形態においては、図8に示すように、温度Tがしきい値Tthよりかなり低い第1低温領域においては、d軸電流指令値Id refが最高値で維持され、それにより、モータAの発熱ひいては減速機26の加熱が急速に行われる。その第1低温領域に後続し、かつ、しきい値Tthよりやや低い第2低温領域においては、d軸電流指令値Id refが温度Tの上昇につれて減少させられ、これにより、減速機26が必要以上に加熱されることが回避されるようになっている。

0085

d軸電流指令値Id refがこのように制御される結果、運転者に作用する操作反力が、低温領域にあるにもかかわらず、常温領域と同程度の大きさに制限される。それにより、操作反力が、減速機26の温度Tによって大きく変動せずに済む。

0086

すなわち、コンピュータ42のうちこのS34を実行する部分が、図7におけるd軸電流指令値演算部40dを構成しているのである。

0087

図6におけるS34の実行が終了すると、S35において、操作反力制御ゲインαの指令値α refが決定される。本実施形態においては、例えば図9にグラフで示すように、温度Tと指令値α refとの関係がROM46に記憶されており、その関係に従い、今回の温度Tに対応する指令値α refが決定される。

0088

本実施形態においては、図9に示すように、温度Tがしきい値Tthより低い低温領域においては、指令値α refが1より小さい値とされるとともに、温度Tの上昇につれて増加する可変値とされ、それにより、運転者に作用する操作反力のうちモータAの駆動力に寄与する成分が、温度Tがしきい値Tth以上である常温域におけるより、小さくされる。

0089

指令値α refを1より小さい値に制限することは、q軸電流指令値Iq refを通常より小さい値に制限することを意味し、ひいては、モータAの駆動力すなわち操作反力の発生に寄与する力が通常より減少することを意味する。

0090

したがって、本実施形態においては、d軸電流指令値Id refの印加によるモータAの積極的な発熱(意図的な発熱)と、q軸電流指令値Iq refの制限によるモータAの駆動力の低下との共同作用により、減速機26の温度Tが常温より低いか否かを問わず、操作反力が安定化させられる。

0091

ただし、d軸電流指令値Id refの印加によるモータAの積極的な発熱(意図的な発熱)のみにより、減速機26の温度Tが常温より低いか否かを問わず、操作反力が安定化させられる態様で本発明を実施することが可能である。

0092

すなわち、コンピュータ42のうちこのS35を実行する部分が、図7における操作反力制御ゲイン演算部40cを構成しているのである。

0093

その後、図6におけるS32に戻り、温度Tがしきい値Tth以上となるまで、S32ないしS35のステップの実行が繰り返される。

0094

温度Tがしきい値Tth以上となれば、S33の判定がNOとなり、S36において、d軸電流指令値Id refが0に減少させられ、それにより、モータAの意図的な加熱が終了させられる。その後、S37において、操作反力制御ゲインαの指令値α refが1に設定され、それにより、q軸電流指令値Id refの制限による操作反力の軽減も終了させられる。以上で、この操舵特性安定プログラムの一回の実行が終了する。

0095

以上、イグニションスイッチ51aが運転者によってONに操作された直後である場合を説明したが、その直後ではない場合には、S1の判定がNOとなり、S36およびS37の実行を経てこの操舵特性安定化プログラムの一回の実行が終了する。

0096

図2に示すように、転舵部20においては、左右車輪12,12がラック・アンドピニオン方式により転舵される。左右車輪12,12は、各タイロッド52,52を経てラック軸56の両端にそれぞれ連結されている。ラック軸56には、ラック60が形成されており、そのラック60にピニオン62がかみ合わされている。それらラック60およびピニオン62は、ギヤによって相互に運動を伝達する運動伝達機構64を構成している。

0097

ラック軸56には同軸に、モータBとモータCとが搭載されている。それらモータB,Cは、ラック軸56を軸方向に変位させるために搭載されている。それらモータB,Cは、それらに共通のロータ66を備えており、そのロータ66の回転運動が、運動変換機構としてのボールねじ機構68により、直線運動に変換されてラック軸56に伝達されるようになっている。各モータB,Cには、相対的な回転角を相対角として検出する相対角センサ(例えば、レゾルバセンサ)70が搭載されている。

0098

ピニオン62から同軸にピニオン軸72が延びており、このピニオン軸72にモータDが、減速機(倍力機構でもある。)74を介して機械的に連携させられている。

0099

本実施形態においては、減速機74が、減速機26と同様に、ホイールギヤ76とピニオンギヤ78とが非同軸にかみ合う構成とされている。ホイールギヤ76は、ピニオン軸72に一体的に回転可能に同軸に取り付けられる一方、ピニオンギヤ78は、モータDの図示しないロータに一体的に回転可能に同軸に取り付けられている。

0100

ピニオン軸72には、さらに、それの絶対的な回転角である絶対角を検出する絶対角センサ80が取り付けられている。絶対角の定義は、前述の定義と共通する。

0101

それらモータB,C,D、2個の相対角センサ70,70および絶対角センサ80は、モータAおよび絶対角センサ34と共に、コントローラ40に共通に接続されている。図3に示すように、ROM46には、モータB,C,Dを制御して左右車輪12,12の転舵角を制御するためにCPU44により実行される転舵制御プログラムが記憶されている。この転舵制御プログラムは、モータAの制御と同様に、モータBをそれの電気角に応じて制御するモータB制御ルーチンと、モータCをそれの電気角に応じて制御するモータC制御ルーチンと、モータDをそれの電気角に応じて制御するモータD制御ルーチンとを含んでいる。

0102

以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、温度Tがしきい値Tthより低いことが、前記(2)項における「低温時成立条件」の一例を構成し、温度センサ41が前記(3)項における「温度センサ」の一例を構成し、減速機26が前記(4)項における「被加熱部」の一例を構成しているのである。

0103

さらに、本実施形態においては、イグニションスイッチ51aが運転者によってONに操作されることが、前記(5)項における「走行開始時成立条件」の一例を構成し、イグニションスイッチ51aが前記(6)項における「走行開始スイッチ」の一例を構成しているのである。

0104

さらに、本実施形態においては、ステアリングホイール22が前記(7)項における「操作部材」の一例を構成し、モータAが同項における「操作反力用モータ」の一例を構成しているのである。さらに、モータAが前記(10)項における「モータ」の一例を構成し、コンピュータ42のうち図5におけるS6およびS7を実行する部分が前記(11)または(12)項における「駆動電流供給部」の一例を構成しているのである。

0105

次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。

0106

本実施形態においては、第1実施形態と同様に、減速機26の温度Tがしきい値Tthより低い期間中、モータAの意図的な発熱によって減速機26が加熱される。

0107

ただし、第1実施形態とは異なり、温度Tがしきい値Tthに上昇するまでの期間(例えば、30秒等、1分より短い期間)、車両の走行が禁止される。運転者が操舵操作を行うことが不要とされるのであり、これにより、運転者は、車両走行中に操舵感が変化してしまうという違和感を感じずに済む。

0108

したがって、本実施形態においては、温度Tがしきい値Tthに上昇するまでの期間、操作反力制御ゲインαを通常とは異なる値に変化させることは不可欠ではない。

0109

図10には、本実施形態に従う操舵装置における操舵特性安定化プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。以下、この操舵特性安定化プログラムの内容を具体的に説明するが、第1実施形態における操舵特性安定化プログラムにおけるステップと共通するステップについては、簡単に説明する。

0110

本実施形態における操舵特性安定化プログラムにおいては、まず、S51において、図6におけるS31と同様にして、イグニションスイッチ51aが運転者によってONに操作された直後であるか否かが判定される。今回は、その直後であると仮定すれば、判定がYESとなり、S52において、図6におけるS32と同様にして、減速機26の温度Tが検出される。

0111

今回は、その検出された温度Tがしきい値Tthより低いと仮定すれば、S53の判定がYESとなり、S54において、図6におけるS34と同様にして、d軸電流指令値Id refが決定される。その後、S55において、車両の発進が禁止される。車両の走行が開始されることが禁止されるのであり、例えば、車両発進禁止状態にあることを視覚的または聴覚的に運転者に告知した状態で、運転者による発進のための操作(例えば、ブレーキ解除操作アクセル操作等)が無効にされる。

0112

その後、S52に戻り、温度Tがしきい値Tth以上に上昇するまで、S52ないしS55のステップの実行が繰り返される。

0113

温度Tがしきい値Tth以上に上昇すれば、S53の判定がNOとなり、S56において、d軸電流指令値Id refが0に減少させられ、その後、S57において、車両の発進が許可される。

0114

以上で、この操舵特性安定化プログラムの一回の実行が終了する。

0115

以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、コンピュータ42のうち図10におけるS55を実行する部分が前記(14)項における「車両走行禁止部」の一例を構成し、温度Tがしきい値Tth以上に上昇することが、同項における「昇温時成立条件」の一例を構成しているのである。

0116

次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態に対し、操作部のみが異なり、他の要素については共通するため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。

0117

図11に示すように、本実施形態においては、操作部110が、2個のモータX,Yを冗長的に備えるように構成されている。それらモータX,Yは、図示しない共通のロータを経て、それらに共通の減速機114に連結されている。その減速機114には、操作軸24が連結されており、モータX,Yの回転を減速させて操作軸24を介してステアリングホイール22に伝達する。モータX,Yはそれぞれのドライバ36,36を介してコントローラ40に電気的に接続されている。

0118

図11に示すように、第1実施形態と同様に、減速機114に温度センサ41が関連付けられており、減速機114の温度Tの検出値がコントローラ40に供給される。ステアリングホイール22の操作角が操作角センサ118によって検出される。その検出された操作角は、各モータX,Yの電気角として、コントローラ40に供給される。

0119

本実施形態においては、モータX,Yの双方が第1実施形態におけるモータAと同様にして、意図的な発熱を行うように制御されるわけではない。本実施形態においては、それら2個のモータX,Yのうち、減速機114に接近しているものについてのみ、モータAの制御と同様な制御が行われる。それら2個のモータX,Yのうち、減速機114により効率よく熱を伝達できる位置にあるものにつき、意図的な発熱が行われるようになっている。

0120

以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、減速機114が前記(13)項における「伝達装置」の一例を構成し、コントローラ40が同項における「コントローラ」の一例を構成しているのである。

0121

以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[課題を解決するための手段]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。

図面の簡単な説明

0122

本発明の第1実施形態に従う操舵装置のうちの操作部10を示す系統図である。
上記操舵装置のうちの転舵部20を示す系統図である。
図1におけるモータAの一部を示す横断面図である。
図1および図2におけるコントローラ40の構成を概念的に表すブロック図である。
図4における操作反力制御プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
図4における操舵特性安定化プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
図4のコントローラを示す機能ブロック図である。
図6の操舵特性安定化プログラムにおける温度Tとd軸電流指令値Id refとの関係の一例を示すグラフである。
図6の操舵特性安定化プログラムにおける温度Tと操作反力制御ゲインαの指令値α refとの関係の一例を示すグラフである。
本発明の第2実施形態に従う操舵装置におけるコントローラ40のコンピュータによって実行される操舵特性安定化プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
本発明の第3実施形態に従う操舵装置のうちの操作部110を示す系統図である。

符号の説明

0123

10,110 操作部
22ステアリングホイール
24操作軸
26,114減速機
27ステータ
28ロータ
29コイル
30永久磁石
40コントローラ
41温度センサ
51aイグニションスイッチ
A,B,C,D,E,F,X,Y モータ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • トヨタ自動車株式会社の「 運転支援装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】 個々のドライバーの運転スタイルに合った運転支援を行うことができるようにする。【解決手段】 運転支援ECU10は、ドライバー固有の操舵操作特性を表すパラメータ(p1,p2,p3,p4)の値... 詳細

  • いすゞ自動車株式会社の「 運転支援装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】車両が交差点を旋回する際の軌道を高精度に予測できる運転支援装置を提供する。【解決手段】運転支援装置1は、車両の旋回を判定する旋回判定部32と、車両の速度を検出する車速検出部12と、交差点で車両... 詳細

  • 日立オートモティブシステムズ株式会社の「 ステアリング装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】ベルト歯部がモータプーリ歯部に噛み合う際の歯同士の間におけるスリップを抑制する。【解決手段】モータプーリ26及びナットプーリ27が静止している場合に、無端ベルト28のうちモータプーリ巻き掛け領... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ