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技術 測定用治具及び電気的物性値測定法並びに共振器

出願人 京セラ株式会社
発明者 吉川博道中尾吉宏中山明
出願日 2003年10月29日 (15年8ヶ月経過) 出願番号 2003-368785
公開日 2005年5月26日 (14年2ヶ月経過) 公開番号 2005-134185
状態 未査定
技術分野 抵抗、インピーダンスの測定 導波管型周波数選択装置および共振器
主要キーワード 測定用冶具 位置合わせ用治具 電気的物性値 支持用治具 線形近似式 誘電正接tanδ 共振電磁 遮蔽導体
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図面 (13)

課題

導体上に形成された薄層誘電体電気的物性値を高精度で測定することが可能な測定用治具及び電気的物性値測定法並びに共振器を提供する。

解決手段

略平行に配設された一対の平行導体板14a、14bと、該一対の平行導体板14a、14b間に略平行に配設された中央導体板15と、該中央導体板15の中心部に設けられ、一対の平行導体板14a、14b間を所定間隔保持固定する導体支柱12とを具備することを特徴とする。

概要

背景

近年、マイクロ波帯において誘電体材料を用いたデバイスの開発が盛んに行われており、その誘電特性測定法が求められている。従来、マイクロ波帯における導体上に形成された誘電体材料の誘電特性測定法としては大きく分けて2通りの方法が知られており、一つはストリップ線路等を構成して、その伝送特性より求める方法、もう一つはリング共振器等を構成して、その共振特性より求める方法がある。

しかしながら、ストリップ線路等の伝送特性から誘電特性を求める場合には、線路を構成する導体損を分離して誘電体材料の誘電正接を得ることが困難であるという問題があった。また、リング共振器等を用いた場合でも、誘電体材料の薄層化に伴って、導体損が大きくなり、Q値劣化する傾向にあり、誘電正接の測定が困難になるという問題があった。

そこで、このような問題を解決したものとして、半同軸共振器円板共振器を用いて誘電定数を測定することが行われている。

図11に従来の半同軸共振器の一例を示す。図11では、円筒外部導体1に同軸構造導体支柱2が誘電体3に接した構造となっている。このような半同軸共振器では、誘電体3の厚みが0.1〜500μmと薄い場合、特に50μm以下の場合、リング共振器等の平面回路を用いた共振器に比べQ値が高いという特長がある。

図12に従来の円板共振器の一例を示す。図12では、上部平行導体板4aと下部平行導体板4bの間に円板導体5が配設され、誘電体材料3が充填された構造となっている。このような共振器では、TMモード共振周波数を測定する場合、ほぼ円板導体5の直径により共振周波数が決定されるため、共振周波数の設計が容易であるという特長がある(非特許文献1参照)。
A.Kaczkowski and A.Milewski, “High-accuracy wide range measurement method for determination of complex permittivity in reentrant cavity-Part A:Theoretical analysis of the method,”IEEE Trans.MTT, vol.28, no.3, pp.225-228, 1980.

概要

導体上に形成された薄層誘電体電気的物性値を高精度で測定することが可能な測定用治具及び電気的物性値測定法並びに共振器を提供する。略平行に配設された一対の平行導体板14a、14bと、該一対の平行導体板14a、14b間に略平行に配設された中央導体板15と、該中央導体板15の中心部に設けられ、一対の平行導体板14a、14b間を所定間隔保持固定する導体支柱12とを具備することを特徴とする。

目的

従って、本発明は、導体上に形成された薄層誘電体の電気的物性値を高精度で測定することが可能な測定用治具及び電気的物性値測定法並びに共振器を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

略平行に配設された一対の平行導体と、該一対の平行導体間に略平行に配設された中央導体と、該中央導体の中心部に設けられ、前記一対の平行導体間を所定間隔保持固定する導体支柱とを具備することを特徴とする測定用冶具

請求項2

導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体介装されていることを特徴とする請求項1記載の測定用冶具。

請求項3

誘電体表面導体膜が形成され、該導体膜に導体支柱の先端面が当接していることを特徴とする請求項2記載の測定用冶具。

請求項4

誘電体の厚みが0.1〜500μmであることを特徴とする請求項2又は3記載の測定用冶具。

請求項5

電磁波を遮蔽するための導体が、中央導体板を取り囲むように一対の平行導体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか記載の測定用冶具。

請求項6

中央導体は一対の平行導体間距離の中央に位置し、且つ前記平行導体と相似形状に形成されており、導体支柱の周囲における中央導体板には凹部が形成され、該凹部に位置する平行導体には、前記中央導体板を励振する励振器が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の測定用冶具。

請求項7

請求項1記載の測定用治具を用いて、TMモード共振周波数無負荷Qから、測定冶具物性値を求めた後、請求項2乃至6のうちいずれかに記載の測定用治具を用いて、TMモードの共振周波数と無負荷Qを求め、該共振周波数と無負荷Q及び前記測定治具の物性値から誘電体の電気的物性値を求めることを特徴とする電気的物性値測定法

請求項8

電気的物性値の温度依存性を求めることを特徴とする請求項7記載の電気的物性値測定法。

請求項9

略平行に配設された一対の平行導体と、該一対の平行導体板に略平行に配設された中央導体と、該中央導体の中心部に設けられ、前記一対の平行導体間を所定間隔に保持固定する導体支柱とを具備することを特徴とする共振器

請求項10

略平行に配設された一対の平行導体と、該一対の平行導体間に略平行に配設された中央導体と、該中央導体の中心部に設けられ、前記一対の平行導体間を所定間隔に保持固定する導体支柱とを具備するとともに、前記導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体が介装されていることを特徴とする共振器。

請求項11

電磁波を遮蔽するための導体が、中央導体を取り囲むように一対の平行導体に設けられていることを特徴とする請求項9又は10記載の共振器。

技術分野

0001

本発明は、測定用治具及び電気的物性値測定法並びに共振器に関するものである。

背景技術

0002

近年、マイクロ波帯において誘電体材料を用いたデバイスの開発が盛んに行われており、その誘電特性測定法が求められている。従来、マイクロ波帯における導体上に形成された誘電体材料の誘電特性測定法としては大きく分けて2通りの方法が知られており、一つはストリップ線路等を構成して、その伝送特性より求める方法、もう一つはリング共振器等を構成して、その共振特性より求める方法がある。

0003

しかしながら、ストリップ線路等の伝送特性から誘電特性を求める場合には、線路を構成する導体損を分離して誘電体材料の誘電正接を得ることが困難であるという問題があった。また、リング共振器等を用いた場合でも、誘電体材料の薄層化に伴って、導体損が大きくなり、Q値劣化する傾向にあり、誘電正接の測定が困難になるという問題があった。

0004

そこで、このような問題を解決したものとして、半同軸共振器円板共振器を用いて誘電定数を測定することが行われている。

0005

図11に従来の半同軸共振器の一例を示す。図11では、円筒外部導体1に同軸構造導体支柱2が誘電体3に接した構造となっている。このような半同軸共振器では、誘電体3の厚みが0.1〜500μmと薄い場合、特に50μm以下の場合、リング共振器等の平面回路を用いた共振器に比べQ値が高いという特長がある。

0006

図12に従来の円板共振器の一例を示す。図12では、上部平行導体板4aと下部平行導体板4bの間に円板導体5が配設され、誘電体材料3が充填された構造となっている。このような共振器では、TMモード共振周波数を測定する場合、ほぼ円板導体5の直径により共振周波数が決定されるため、共振周波数の設計が容易であるという特長がある(非特許文献1参照)。
A.Kaczkowski and A.Milewski, “High-accuracy wide range measurement method for determination of complex permittivity in reentrant cavity-Part A:Theoretical analysis of the method,”IEEE Trans.MTT, vol.28, no.3, pp.225-228, 1980.

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、図11に示す半同軸共振器を厚みが0.1〜500μmの誘電体へ適応しようとすると、リング共振器を用いた場合に比べてQ値は高いものの、誘電体キャパシタ静電容量が非常に大きくなるため、誘電体へ電界過度に集中し、共振周波数が大幅に低下し、マイクロ波帯において誘電定数を得ることができないという問題があった。

0008

また、図12に示す円板共振器を厚みが0.1〜500μmの誘電体へ適応しようとすると、導体損が大きく、Q値が低いため、誘電正接の測定が困難であるという問題があった。

0009

従って、本発明は、導体上に形成された薄層誘電体電気的物性値を高精度で測定することが可能な測定用治具及び電気的物性値測定法並びに共振器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の測定用冶具は、略平行に配設された一対の平行導体と、該一対の平行導体間に略平行に配設された中央導体と、該中央導体の中心部に設けられ、前記一対の平行導体間を所定間隔保持固定する導体支柱とを具備することを特徴とする。また、本発明の測定用冶具は、導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体が介装されていることを特徴とする。

0011

このような測定用冶具では、導体支柱と一対の平行導体の間に誘電体を介装していない上記の測定用冶具を用いて、TMモードの共振周波数と無負荷Qから、測定冶具の電気的物性値、例えば寸法や抵抗率を求めた後、導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体を介装した上記の測定用治具を用いて誘電体の電気的物性値を求めることをことができる。

0012

さらに、本発明の測定用冶具は、誘電体表面導体膜が形成され、該導体膜に導体支柱の先端面が当接していることを特徴とする。即ち、導体膜が導体支柱の先端よりも大きく、導体支柱と誘電体とが直接接触していない。このような測定用冶具では、誘電体の物性値を求めるため、測定データを解析する際に必要な誘電体と導体支柱との接触面積定量化することが容易となる。

0013

また、本発明の測定用冶具では、誘電体の厚みが0.1〜500μmであることを特徴とする。厚みが0.1〜500μmの誘電体について、従来の測定法によれば、共振周波数が低かったり、Q値が低いため、正確な誘電体の物性値を得ることが困難であったが、本発明では、誘電体の厚みが0.1〜500μmであっても共振周波数が高く、Q値も高いため、正確な誘電体の物性値を得ることができる。

0014

また、本発明の測定用冶具は、電磁波を遮蔽するための導体が、中央導体を取り囲むように一対の平行導体間に設けられていることを特徴とする。このような測定用冶具では、中央導体を取り囲むように導体が設けられているため、放射損によるQ値の劣化を抑制することができる。

0015

さらに、本発明の測定用冶具は、中央導体は一対の平行導体板距離の中央に位置し、且つ前記平行導体と相似形状に形成されており、導体支柱の周囲における中央導体板には凹部が形成され、該凹部に位置する平行導体には、前記中央導体を励振する励振器が設けられていることを特徴とする。

0016

このような測定用冶具では、中央導体を励振するための、例えばループアンテナ等の励振器が平行導体に設けられるが、その中央導体側の先端は、中央導体の凹部に位置しているため、励振器が中央導体に接触することなく、中央導を励振できる。

0017

また、中央導体は一対の平行導体距離の中央に位置し、且つ前記平行導体と相似形状に形成されているため、TMモードに非放射性を持たせ、かつ該TMモードの磁界が最も集中する部分で励振及び検波を行うことができる。

0018

本発明の電気的物性値測定法は、請求項1記載の測定用治具を用いて、TMモードの共振周波数と無負荷Qから、測定冶具の物性値を求めた後、請求項2乃至6のうちいずれかに記載の測定用治具を用いて、TMモードの共振周波数と無負荷Qを求め、該共振周波数と無負荷Q及び前記測定治具の物性値から誘電体の電気的物性値を求めることを特徴とする。

0019

このような電気的物性値測定法では、測定すべき誘電体(平行導体と導体支柱間の誘電体のキャパシタ)の静電容量が非常に大きい場合においても、これと直列に誘電定数が既知の誘電体(中央導体と平行導体間のキャパシタ)、例えば中央導体と平行導体間に空気が存在することによって電界が誘電体へ過度に集中することを抑制し、共振周波数の低下を抑えつつ、平行導体上に形成された0.1〜500μmの誘電体の物性値、例えば、誘電定数、抵抗率を高精度で測定することができる。

0020

また、本発明の電気的物性値測定法は、電気的物性値の温度依存性を求めることを特徴とする。このような電気的物性値測定法では、誘電体を有する測定用冶具の温度を変化させ、該測定用冶具の共振周波数と無負荷Qの温度依存性を測定することで、より簡単に誘電体の電気的物性値の温度依存性を求めることができる。

0021

本発明の共振器は、略平行に配設された一対の平行導体と、該一対の平行導体間に略平行に配設された中央導体と、該中央導体の中心部に設けられ、前記一対の平行導体間を所定間隔に保持固定する導体支柱とを具備することを特徴とする。

0022

このような共振器では、Q値が高いという半同軸共振器の特長と共振周波数をマイクロ波帯に高めることのできるという円板共振器の特長の両方を兼ね備えているため、従来の共振器よりも優れた機能を有する。

0023

また、本発明の共振器は、略平行に配設された一対の平行導体と、該一対の平行導体に略平行に配設された中央導体と、該中央導体の中心部に設けられ、前記一対の平行導体間を所定間隔に保持固定する導体支柱とを具備するとともに、前記導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体が介装されていることを特徴とする。

0024

このような共振器では、特に、導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体が介装されているため、Q値が高いという半同軸共振器の特長と共振周波数をマイクロ波帯に高めることのできるという円板共振器の特長の両方を兼ね備えることができ、従来の共振器よりも優れた機能を有する。特に直列に接続された一対の誘電体キャパシタ(平行導体と導体支柱間の誘電体キャパシタと、中央導体と平行導体間の例えば空気のキャパシタ)の静電容量を適宜調整することによって、共振周波数の制御が容易である。

0025

さらに、本発明の共振器は、電磁波を遮蔽するための導体が、中央導体を取り囲むように一対の平行導体間に設けられていることを特徴とする。このような共振器では、電磁波を導体により有効に遮断することができ、更にQ値を高めることができる。

発明の効果

0026

本発明の電気的物性値測定法では、導体支柱と一対の平行導体の間に誘電体を介装していない本発明の測定用冶具を用いて、TMモードの共振周波数と無負荷Qから、測定冶具の電気的物性値を求めた後、導体支柱と一対の平行導体の少なくとも一方との間に誘電体を介装した本発明の測定用治具を用いて誘電体の電気的物性値を求めることができる。また、本発明の測定用冶具を用いることによって、平行導体上に形成された0.1〜500μmの誘電体の誘電定数、抵抗率等を高精度で測定することができる。

発明を実施するための最良の形態

0027

本発明の測定用治具は、図1に示すように、円板状の平行導体板14a、14b間には、該平行導体板14a、14bよりも小さい円板状の中央導体板15が介装され、この中央導体板15の中心部の上下面にそれぞれ設けられた導体支柱12により、一対の平行導体板14a、14bが支持固定されている。

0028

下側の導体支柱12と下部平行導体板14bとの間には誘電体13が介装されている。尚、図2に示すように、中央導体板15の上下面に設けられた導体支柱12と上部平行導体板14a、下部平行導体板14bとの間に、それぞれ誘電体13を介装しても良い。Q値が高いという点からは、片方のみが望ましく、共振周波数をマイクロ波帯に高めるという点からは両方に介装されていることが望ましい。

0029

また、誘電体13は、下部平行導体板14bの上面全面に形成されているが、例えば、導体支柱12の先端面の面積だけ形成されていれば良い、特に、測定すべき誘電体へ電界を集中させ、電気的物性値の測定精度を高めるという点からは、導体支柱12の先端面の面積だけが形成されていることが望ましい。

0030

また、他の測定用治具として、図3に示すように、円板状の平行導体板14a、14b間には、該平行導体板14a、14bよりも小さい円板状の中央導体板15が介装され、この中央導体板5の中心部の上下面にそれぞれ設けられた導体支柱12により、一対の平行導体板14a、14bが支持固定されている。図3の測定用治具は、図1の測定用治具における誘電体13を有していない。

0031

この図3の測定用治具(共振器)は、導体の比導電率を予め決定しておく際に用いる。この導体の比導電率に伴う導体損を用いることで、得られた無負荷Qから誘電体材料の誘電正接に伴う誘電体損を分離できるため、誘電体材料の誘電正接を計算することができる。

0032

図4は本発明のさらに他の測定用治具を示すもので、励振及び検波方法と、電磁波遮蔽方法の一例を示す。図4では、上部平行導体14aに、導体支柱12を介して対向するように2つの貫通孔が形成され、外部から内部に向けて一対の同軸ケーブル17a、17bが挿通されており、その内部側の先端に励振及び検波のための一対のループアンテナ16a、16bが形成されている。尚、図4では、同軸ケーブル17a、17bの外部側は省略した。

0033

また、中央導体板15を取り囲むように、遮蔽導体18が平行導体14a、14bの外周面に取り付けられており、中央導体板15は遮蔽導体18で覆われている。

0034

ループアンテナ16a、16bの共振器への挿入深さはTMモードの共振周波数における挿入損失が30dB程度になるように調整される。

0035

発信器、例えばシンセサイズドスイーパーから周波数掃引された信号を、片方の同軸ケーブルからループアンテナを通して測定用治具(共振器)に注入することで、TMモードの共振電磁界が励振される。他方のループアンテナから同軸ケーブルを通して、測定用治具の透過信号ネットワークアナライザー等の測定機器に入力されることで、測定用治具の共振周波数、無負荷Qが測定される。

0036

比誘電率および誘電正接は、上記共振周波数及び無負荷Qの測定値から有限要素法等による数値解析を行うことで決定できる。具体的には、以下のような方法が考えられる。

0037

まず、誘電体薄膜試料の比誘電率(ε’)として少なくとも3点以上付与して、比誘電率(ε’)をい変化させたときの共振周波数(f0)を有限要素法により計算しておく。このとき得られる共振周波数の計算値は共振周波数の測定値とそのバラツキの範囲内であることが望ましい。次に、線形最小二乗法により共振周波数と比誘電率の線形近似式、f0=a×ε’+bの係数a、bを求める。これによって、共振周波数の測定値から比誘電率が計算できる。また、この比誘電率の計算値を用いることで導体Q(Qc)、誘電体薄膜内の電界エネルギー比率(Pe)を有限要素法により計算する。このとき得られるQc、Peの計算値と無負荷Q(Qu)、誘電正接(tanδ)とにはQu-1=Qc-1+Pe×tanδという関係式が成り立つ。従って、この式に無負荷Qの測定値を代入することによって、誘電正接が計算できる。

0038

特に、本発明で使用するような軸対称形状の共振器に対しては、軸対称の有限要素法を用いることができるため、寸法、比誘電率、誘電正接等から共振電磁界分布、共振周波数、無負荷Qを高精度、かつ短時間で計算できる。従って、これを応用すれば共振周波数や無負荷Qから、0.1〜500μmの誘電体試料の比誘電率や誘電正接を求めることができる。

0039

特に、誘電体材料の厚みを0.1μm以上に限定した理由は、0.1μmより薄くなると、誘電体材料へ電界が集中しにくくなる傾向にあり、比誘電率及び誘電正接を高精度で測定することが困難となるためである。また、0.1μmより薄い場合には、導体損が大きく、Q値も低くなる傾向にある。

0040

即ち、本発明の測定用治具は、0.1〜500μmの誘電体13へ適応しても、半同軸共振器の構造部分の効果によりQ値が高く、円板共振器の構造部分の効果により共振周波数の設計が容易であるという特長がある。この結果、本発明の測定用治具を用いることで、0.1〜500μmの誘電体の比誘電率及び誘電正接を測定することが可能となる。

0041

誘電体13の厚みは、高Q化という点から、0.3〜500μm、さらには1〜500μmが望ましい。

0042

また、本発明の電気的物性値測定法は、これらを用いて得られる誘電体材料の比誘電率と誘電正接より、該誘電体材料の抵抗率を計算することができるため、誘電体材料の抵抗率測定法としても機能する。

0043

さらに、上記電気的物性値測定法は、共振周波数と無負荷Qの測定結果に寄与する全ての値に対して、その測定法として機能する。このような値としては、導体に関して、導電率、抵抗率、表皮抵抗表皮深さ、接触抵抗、表面粗さ、酸化度、寸法(直径、真円度、厚み、間隔、平行度)、硬度等、誘電体材料に関して、比誘電率、誘電正接、抵抗率、寸法(直径、真円度、厚み、平行度)、硬度等、導体と誘電体材料に関して、接触面積、エアーギャップ等が挙げられる。共振周波数と無負荷Qより、上記群から選ばれる物性値を測定することが可能である。

0044

例えば、誘電体材料の厚みを測定する場合には、誘電体材料の比誘電率を与えることにより、共振周波数の測定値から有限要素法等による数値解析を行うことで決定することができる。

0045

本発明の測定用治具(共振器)モデルを作製し、軸対称有限要素法による解析を行った。図5にこのとき用いた共振器の構造とそのときの寸法を示し、図6に誘電体の比誘電率に対する共振周波数の計算結果を示す。図6より、比誘電率の変化に対する共振周波数の変化は十分な傾きを持っていることがわかる。実際の測定を想定した場合、共振周波数の測定誤差は通常±1MHz程度であることから、共振周波数の測定値より、図6チャートを用いることで比誘電率を高精度に決定できることがわかる。

0046

図7に、誘電体材料の比誘電率を100と仮定した場合の、誘電体材料の誘電正接tanδに対するQ値の計算結果を示す。ここで、Qcは導体損に関するQ値を表し、Qdは誘電体損に関するQ値を表し、Quは無負荷Qを表す。但し、Qcの計算に際しては導体の導電率として、5.8×107[G/m]を用いた。図7より、実際の測定を想定した場合、無負荷Qの測定誤差は通常±5%程度であることから、無負荷Qの測定値より、図7のチャートを用いることで誘電正接を高精度に決定できることがわかる。

0047

誘電正接を計算する際、誘電体材料を取り除いた測定用治具により、予め導体の導電率を評価しておく必要がある。図7より、本発明の共振器における無負荷Qは100以上になることが予想される。これは、同じく1μmの厚みの誘電体材料に対して平面回路等を用いて共振器を構成した場合に比べて、100倍程度の大きさであり、従来技術よりも大幅に改善されていることがわかる。

0048

図8に、誘電体の比誘電率を100と仮定した場合の、共振器の位置とTMモードの電界強度分布との関係を示す。解析は、軸対称を考慮し、半面のみ行った。横軸は、中心からの距離を遮蔽導体の半径規格化した値を表し、縦軸は、電界強度をその最大値で規格化した値を表している。尚、縦軸の符号は電界の向きを表す。図8において、電界強度が最大値を持つ曲線(die)が誘電体材料の電界強度分布を表し、もう一つの曲線(air)がその上部に存在する空気の電界強度分布を表している。図8より、本発明の測定用治具における上記電界強度分布は、円板共振器におけるTM010モードと同様、中央導体板の外側で、急激に減少し非放射になっていることがわかる。これにより、Q値が高くなることがわかる。

0049

本発明の測定用治具を作製し、誘電体の比誘電率を評価した。図9にこのとき用いた測定用治具(共振器)の構造とそのときの寸法の設計値を示す。尚、誘電体13(厚み:0.3μm、直径:150μm)は支持基板20上に形成された下部平行導体膜24b(材質:Pt、厚み:1μm)上に形成されている。

0050

また、図9では、実施例1のモデルを、加工性及び励振性という点で、より現実的な形状に変更している。

0051

その一つは、導体支柱12の直径が500μmと小さく、切削加工による作製が困難であるという点、乃至は加工精度や磨耗の影響によって導体支柱12と誘電体13との接触面積の特定が困難であるという点を考慮し、誘電体13の表面に導体膜19(材質:Pt、厚み:1μm、直径:100μm)を形成し、かつ導体膜19が誘電体13の下面と導体支柱12とに挟まれるようにし、さらに、その導体膜19を誘電体13に面する導体支柱12(材質:ベリリウム銅銅めっき、直径:2mm)の先端面(下面)よりも大きくすることによって、すなわち、導体支柱12の先端をらせることによって、導体支柱12と誘電体13とが直接接触しないように変更している。

0052

尚、導体膜19の直径と誘電体13の直径を小さくすることによって、誘電体13に電界をより集中させ、誘電定数の測定精度を向上させることができる。

0053

もう一つは、磁界が集中する部分として、中央に介装した中央導体25と一対の平行導体24a、24bとの間隔が100μmと小さく、励振及び検波が困難であるという点を考慮し、中央導体25(材質:ベリリウム銅/銅めっき)を中心より径方向に向かって、一対の平行導体(材質:銅)24a、24bから遠い部分(凹部、間隔(H3−H1)/2:2mm、半径D1/2〜D2/2:1〜3mm)と、近い部分(間隔(H3−H2)/2:100μm、半径D2/2−D3/2:3〜7.5mm)とから構成されるように変更している。即ち、導体支柱12の周囲における中央導体25に凹部を形成した。これにより、一対の同軸ケーブル17a、17bの先端に形成された一対のループアンテナ16a、16bを、より磁界が集中する部分に挿入できるため、励振及び検波が容易に行えるようになる。

0054

尚、上記平行導体に近い部分の半径D2/2−D3/2は、共振周波数がおよそ2GHzになるように設定したものであり、これを小さくすることによって共振周波数を高くすることができ、大きくすることによって共振周波数を低くすることができる。また、中央導体25と平行導体24a、24bとの間隔を小さくすることによって、より試料に電界を集中させ、誘電定数の測定精度を向上させることができる。

0055

また、中央に介装した中央導体25が上部平行導体24aと垂直な軸に対して対称となるように、中央導体25と上部平行導体24a間に1mm×1mmのスペーサー21(材質:PTFE、厚み:100μm)を対極となる2箇所に介装し、固定した。

0056

図10に誘電体の誘電定数評価に用いた測定用治具を示す。

0057

上記上部平行導体24aは、同軸ケーブル支持用治具22と吊り下げ治具23を介して、固定板24の上部に支持されたマイクロメーター25aによって固定されている。一方、下部平行導体兼試料台26は、直接、固定板24の下部に支持されたマイクロメーター25bによって固定されている。固定板24の位置と傾きを調整することによって、上下のマイクロメーター25a、25bの可動する中心軸は同一線上にある。

0058

また、上部平行導体24aには位置合わせ用治具27が設けられており、この位置合わせ用治具27を一定位置にあわせ、その後、位置合わせ用治具27を除去し、上部平行導体24aを降下させると、誘電体上の導体膜に導体支柱12の先端が当接するように構成されている。これにより、誘電定数の評価の際、容易に導体支柱の先端を誘電体試料の表面に形成された導体膜にのみ接触させることができる。

0059

誘電定数の評価にあたり、まず、測定顕微鏡、マイクロメーターを用いて、共振器の寸法を評価した。その結果は、図9において、D1=2.016±0.001mm、D2=5.978±0.001mm、D3=15.020±0.001mm、D5=0.096±0.001mm、D6=0.148±0.001mm、H1=5.975±0.001mm、H2=9.606±0.001mmであった。

0060

次に、上述の共振器から誘電体試料を取り除いた共振器により、共振周波数を測定し、その測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行うことで、実効的な導体板と上部平行導体板間の距離、すなわち実効的なスペーサー21の厚み(T)を決定した。その結果は、T=66.77±0.05μmであった。

0061

最後に、誘電体を含む上述の測定用治具(共振器)により、共振周波数(f0)を測定し、TEMを用いて、誘電体試料の厚み(t)を測定した。その結果は、f0=1.7378±0.0005GHz、t=0.29±0.01μmであった。

0062

以上の測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行うことで、誘電体試料の比誘電率(ε’)を算出した。その結果は、ε’=376±40であった。

図面の簡単な説明

0063

本発明の測定用治具を示すもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。
本発明の他の測定用治具を説明するための断面図である。
本発明のさらに他の測定用治具を説明するための断面図である。
本発明のさらに他の測定用治具を示すもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。
数値計算に用いた測定用治具の構造とそのときの寸法を説明するための断面図である。
誘電体の比誘電率に対する共振周波数の計算結果を表す図である。
誘電体の誘電正接に対するQ値の計算結果を表す図である。
測定用治具の位置とTMモードの電界強度分布との関係を説明するための図である。
誘電定数評価に用いた測定用治具の構造とそのときの寸法の設計値を説明するための断面図である。
誘電定数評価に用いた測定用治具を説明するための断面図である。
従来の半同軸共振器の一例を説明するための断面図である。
従来の円板共振器の一例を説明するための断面図である。

符号の説明

0064

12・・・導体支柱
13・・・誘電体(試料)
14a、14b・・・平行導体板
15・・・中央導体
16a、16b・・・ループアンテナ
17a、17b・・・同軸ケーブル
18・・・遮断導体
19・・・導体膜
24a、24b・・・平行導体
25・・・中央導体

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