図面 (/)
課題
解決手段
電波航法による測定値と自立航法による車両推定位置とに基づいて、ハイブリッド航法によって車両位置を算出し、この車両位置と道路地図データとに基づいて、マップマッチング処理を行なって、道路上に最終的な車両位置を特定する車両位置特定手段111を有する。そして、ハイブリッド航法により算出される車両位置の確からしさを示す判定結果、及びマップマッチング処理によって特定される車両位置の確からしさを示す判定結果をそれぞれ出力し、その判定結果に所定の重み付けを付与しつつ加算することによって、車両位置の確からしさを示す確度Aを求める(S900〜S980)。車両制御装置120は、確度Aに基づいて、車両位置を用いる車両制御の内容を変更する。
概要
背景
この種の車両制御システムとして、例えば特許文献1に記載される車両制御システムが知られている。この従来の車両制御システムにおいては、現在位置を求めるためのセンサの信頼性、及びロジック判定を行なう各判定手段の信頼性を表すために、予め選択された評価項目ごとに自信度を設定する。
たとえば、車両位置の測位を行なうGPSの信頼性、車両の進行方位を検出するジャイロセンサの信頼性、車両の走行軌跡と道路データとが一致するかどうかのロジック判定を行なう判定手段の信頼性等が評価項目として選択される。そして、GPSの信頼性については、三次元測位を行なっているか、または人工衛星からの電波を受信することなく所定距離だけ車両が走行したか等を評価基準とする。この場合、GPSが三次元測位を行なっていればGPSの信頼性に関する自信度は「1」に設定され、一方、車両が所定距離走行する間に人工衛星からの電波が受信されない場合、自信度は「0」に設定される。また、ジャイロセンサの信頼性は、車両の回転角速度がゼロか否かによって評価され、ゼロであれば自信度は「1」に設定される。また、車両の走行軌跡と道路データとが一致するかどうかのロジック判定に関しては、道路データに基づいて曲り判定等を行なって現在位置を修正した場合には自信度が「1」に設定され、車両の位置が道路データを逸脱した場合に自信度が「0」に設定される。
このようにして、各評価項目ごとに自信度を設定し、原則として全ての評価項目の自信度が「1」に設定された場合に、制御対象としての自動変速機の制御を行なうようにしている。すなわち、現在位置が正確に算出できない可能性がある場合には、自動変速機の制御を行なわないようにして、運転者に違和感を与えることを防止している。
特開2001−182817号公報
概要
現在位置の確からしさを普遍的に示す指標を算出することが可能であり、その指標に基づいて車両の現在位置を利用した車両制御を行なう車両制御システムの提供。電波航法による測定値と自立航法による車両推定位置とに基づいて、ハイブリッド航法によって車両位置を算出し、この車両位置と道路地データとに基づいて、マップマッチング処理を行なって、道路上に最終的な車両位置を特定する車両位置特定手段111を有する。そして、ハイブリッド航法により算出される車両位置の確からしさを示す判定結果、及びマップマッチング処理によって特定される車両位置の確からしさを示す判定結果をそれぞれ出力し、その判定結果に所定の重み付けを付与しつつ加算することによって、車両位置の確からしさを示す確度Aを求める(S900〜S980)。車両制御装置120は、確度Aに基づいて、車両位置を用いる車両制御の内容を変更する。
目的
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、算出した現在位置の確からしさを普遍的に示す指標を算出することが可能であり、その指標に基づいて車両の現在位置を利用した車両制御を行なうことが可能な車両制御システムを提供することを目的とするものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 4件
- 牽制数
- 6件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
- 航行(Navigation)
- 航行(Navigation)
- 走行状態に応じる自動操向制御装置
- 駆動装置の関連制御
- 定速走行制御及び計器板
- 走行状態に応じる操向制御
- 駆動装置の関連制御、車両の運動制御
- 定速走行制御
- 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
- 交通制御システム
- 交通制御システム
請求項1
電波航法による車両位置の測定値を出力する電波航法手段と、自立航法によって車両の位置を推定する自立航法手段とを有し、当該電波航法手段による測定値と自立航法手段による車両推定位置とに基づいて、車両位置を算出するハイブリッド航法手段と、道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、前記ハイブリッド航法手段によって算出される車両位置と、前記道路地図データ記憶手段に記憶された道路地図データとに基づいて、マップマッチング処理を行なって、道路上に最終的な車両位置を特定するマップマッチング手段と、前記ハイブリッド航法手段が車両位置を算出する際、その車両位置の確からしさを判定して、その判定結果を出力する第1の判定手段と、前記マップマッチング処理によって前記車両位置を道路上に特定する際、その車両位置の確からしさを判定して、その判定結果を出力する第2の判定手段と、前記第1の判定手段の判定結果に対して、前記第2の判定手段の判定結果よりも大きな重み付けを行ないつつ、前記第1の判定手段の判定結果と前記第2の判定手段の判定結果との加算値を算出する算出手段と、前記算出手段が算出する加算値の大きさに基づいて、前記マップマッチング手段によって特定される最終的な車両位置を用いる車両制御の内容を変更する車両制御手段とを備えることを特徴とする車両制御システム。
請求項2
請求項3
前記第1の判定手段は、前記電波航法手段が車両位置の測定値を出力するために必要な電波を受信しているか否かに依存して第2の判定結果を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御システム。
請求項4
前記第1の判定手段は、前記電波航法による車両位置の測定値を基準として、前記自立航法手段が車両の推定位置を求めるための各センサの検出誤差を算出し、その各センサの検出誤差の大きさに依存して第3の判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両制御システム。
請求項5
前記第1の判定手段は、前記ハイブリッド航法手段により算出される車両位置に含まれる誤差を算出し、その誤差の大きさに依存して第4の判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御システム。
請求項6
前記第1の判定手段が、前記第1の判定結果から第4の判定結果の中で複数の判定結果を出力する場合、その出力される判定結果に対して付与される重み付けは、第1の判定結果から第4の判定結果の順に小さくなるように設定されることを特徴とする請求項5に記載の車両制御システム。
請求項7
前記第2の判定手段は、現在の車両位置の方位と、その車両位置が特定された道路の方位との差を求め、その差の大きさに依存して第5の判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車両制御システム。
請求項8
前記第2の判定手段は、現在の車両位置から所定距離後方までの区間における、車両位置算出時の方位と、道路地図データにおける道路方位との差を求め、その差の大きさに依存して第6の判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両制御システム。
請求項9
前記第2の判定手段は、前記車両位置を基準として設定される探索範囲内に属する前記マップマッチング処理の候補道路の本数を求め、その本数に依存して、第7の判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の車両制御システム。
請求項10
前記第2の判定手段は、前記マップマッチング処理によって道路上に特定される最終的な車両位置に関して、前回と今回の車両位置の変位の大きさを求め、その変位の大きさに依存して第8の判定結果を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の車両制御システム。
請求項11
前記第2の判定手段が、前記第5の判定結果から第8の判定結果の中の複数の判定結果を出力する場合、その出力される判定結果に対して付与される重み付けは、前記第5の判定結果に付与される重み付けが少なくとも前記第1の判定結果に付与される重み付けよりも小さい値となり、かつ前記第5の判定結果から第8の判定結果の順に小さくなるように設定されることを特徴とする請求項10に記載の車両制御システム。
請求項12
技術分野
背景技術
0002
この種の車両制御システムとして、例えば特許文献1に記載される車両制御システムが知られている。この従来の車両制御システムにおいては、現在位置を求めるためのセンサの信頼性、及びロジック判定を行なう各判定手段の信頼性を表すために、予め選択された評価項目ごとに自信度を設定する。
0003
たとえば、車両位置の測位を行なうGPSの信頼性、車両の進行方位を検出するジャイロセンサの信頼性、車両の走行軌跡と道路データとが一致するかどうかのロジック判定を行なう判定手段の信頼性等が評価項目として選択される。そして、GPSの信頼性については、三次元測位を行なっているか、または人工衛星からの電波を受信することなく所定距離だけ車両が走行したか等を評価基準とする。この場合、GPSが三次元測位を行なっていればGPSの信頼性に関する自信度は「1」に設定され、一方、車両が所定距離走行する間に人工衛星からの電波が受信されない場合、自信度は「0」に設定される。また、ジャイロセンサの信頼性は、車両の回転角速度がゼロか否かによって評価され、ゼロであれば自信度は「1」に設定される。また、車両の走行軌跡と道路データとが一致するかどうかのロジック判定に関しては、道路データに基づいて曲り判定等を行なって現在位置を修正した場合には自信度が「1」に設定され、車両の位置が道路データを逸脱した場合に自信度が「0」に設定される。
0004
このようにして、各評価項目ごとに自信度を設定し、原則として全ての評価項目の自信度が「1」に設定された場合に、制御対象としての自動変速機の制御を行なうようにしている。すなわち、現在位置が正確に算出できない可能性がある場合には、自動変速機の制御を行なわないようにして、運転者に違和感を与えることを防止している。
特開2001−182817号公報
発明が解決しようとする課題
0005
上述したように、従来の車両制御システムにおいては、評価項目としてのセンサや判定手段における自信度を「1」または「0」によって表している。そして、すべての評価項目の自信度が「1」となった場合に、自動変速機の制御を許可する。つまり、この従来の車両制御システムは、予め定めた複数の評価項目に関して、それぞれ所定の評価基準が満たされた場合に、算出される現在位置は正しいとみなし、それ以外は、現在位置が誤っているとみなす。
0006
車両の現在位置に基づいて所定の制御対象を制御する場合、制御対象が異なる場合、求められる現在位置の精度も異なる場合もありえる。しかしながら、上述の車両制御システムでは、特定の制御対象(自動変速機)を制御する上で必要な精度条件を評価項目として設定するものであるため、制御対象が異なる場合、その制御に必要な精度条件を満足するための評価項目を別途設定する必要が生じる。
0008
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、算出した現在位置の確からしさを普遍的に示す指標を算出することが可能であり、その指標に基づいて車両の現在位置を利用した車両制御を行なうことが可能な車両制御システムを提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
0009
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両制御システムでは、
電波航法による車両位置の測定値を出力する電波航法手段と、自立航法によって車両の位置を推定する自立航法手段とを有し、当該電波航法手段による測定値と自立航法手段による車両推定位置とに基づいて、車両位置を算出するハイブリッド航法手段と、
道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、
ハイブリッド航法手段によって算出される車両位置と、道路地図データ記憶手段に記憶された道路地図データとに基づいて、マップマッチング処理を行なって、道路上に最終的な車両位置を特定するマップマッチング手段と、
ハイブリッド航法手段が車両位置を算出する際、その車両位置の確からしさを判定して、その判定結果を出力する第1の判定手段と、
マップマッチング処理によって車両位置を道路上に特定する際、その車両位置の確からしさを判定して、その判定結果を出力する第2の判定手段と、
第1の判定手段の判定結果に対して、第2の判定手段の判定結果よりも大きな重み付けを行ないつつ、第1の判定手段が出力する判定結果と第2の判定手段が出力する判定結果との加算値を算出する算出手段と、
算出手段が算出する加算値の大きさに基づいて、マップマッチング手段によって特定される最終的な車両位置を用いる車両制御の内容を変更する車両制御手段とを備えることを特徴とする。
0010
上述したように、請求項1に記載の車両制御システムでは、ハイブリッド航法手段によって車両位置を算出するとともに、この算出した車両位置を道路地図データの道路に合わせ込むことによって、最終的な車両位置を特定する。このような車両位置の算出処理を考慮し、ハイブリッド航法手段によって算出される車両位置の確からしさを判定して、その判定結果を出力する第1の判定手段と、マップマッチング処理によって道路上に特定される車両位置の確からしさを判定して、その判定結果を出力する第2の判定手段を設けた。すなわち、車両位置を求める処理に関して、その処理を機能要素に分解することで、機能要素ごとの部分的な確からしさを求めることができる。そして、部分的な確からしさを示す各々の判定結果を、所定の重み付けを付与しつつ加算することにより、求める車両位置の確からしさを普遍的に示す指標を得ることができる。つまり、機能要素ごとの重み付けを付した判定結果の合計値が、求める車両位置の確からしさを示す指標として利用できるのである。
0011
ここで、マップマッチング処理においては、ハイブリッド航法手段によって算出される車両位置を用いて道路上に最終的な車両位置を特定する。すなわち、ハイブリッド航法手段によって算出される車両位置の誤差が大きければ、マップマッチング処理自体が正しく行なわれた場合であっても、最終的に得られる車両位置に誤差が生ずることは避けられない。このように車両位置の算出処理においては、上流側の処理が、下流側の処理に比較して、最終的に求められる車両位置に対してより大きな影響を及ぼす。このため、算出手段は、第1の判定手段が出力する判定結果に対して、第2の判定手段が出力する判定結果よりも大きな重み付けを行ないつつ、それぞれの判定結果の加算値を算出する。これにより、最終的に得られる車両位置の確からしさをより正確に示す指標を得ることができる。
0012
ハイブリッド航法手段が車両位置を算出する際、請求項2に記載したように、第1の判定手段は、自立航法手段が車両の推定位置を求めるための各センサが正常か否かに依存して第1の判定結果を出力することが好ましい。例えば、いずれかのセンサに断線、短絡等の故障がある場合、そのセンサからの出力信号に基づいて推定される車両位置は、実際の車両位置とは全く異なることになるためである。
0013
さらに、第1の判定手段は、請求項3に記載したように、電波航法手段が車両位置の測定値を出力するために必要な電波を受信しているか否かに依存して第2の判定結果を出力することが好ましい。例えばGPSにおいては、正確な車両位置を得るためには、通常4個の衛星からの電波を受信することが必要である。換言すれば、3個以下の衛星からしか電波を受信していない場合、電波航法手段による車両位置の測定値から、正確な車両位置が得られない可能性がある。従って、電波航法手段が正確な車両位置の測定値を出力するために必要な電波を受信しているか否かは、最終的に求められる車両位置の精度に大きな影響を及ぼす。
0014
さらに、請求項4に記載したように、第1の判定手段は、電波航法による車両位置の測定値を基準として、自立航法手段が車両の推定位置を求めるための各センサの検出誤差を算出し、その各センサの検出誤差の大きさに依存して第3の判定結果を出力することが好ましい。自立航法手段は車両の推定位置を求めるために、距離及び方位を検出する各センサからのセンサ出力を利用する。しかし、そのセンサ出力に誤差がある場合、当然のことながら、自立航法手段による車両の推定位置は、正しい車両位置とは異なるものとなる可能性が高まる。そのため、車両の絶対位置を示す電波航法による車両位置の測定値を基準として、各センサの検出誤差を算出し、その検出誤差の大きさに基づいて、車両位置の確からしさを判定して、判定結果を出力することが好ましい。
0015
また、請求項5に記載したように、第1の判定手段は、ハイブリッド航法手段により算出される車両位置に含まれる誤差を算出し、その誤差の大きさに依存して第4の判定結果を演算しても良い。ハイブリッド航法手段により算出される車両位置に含まれる誤差に基づいて、その車両位置の確からしさを判定することができる。なお、ハイブリッド航法により算出される車両位置に含まれる誤差は、マップマッチング処理において、車両位置を合わせ込む候補道路の検索エリアの設定に利用されることもある。そして、車両位置に含まれる誤差が大きくなって検索エリアが広がる場合には、マップマッチング処理によって得られる車両位置の確からしさも低下する等、マップマッチング処理における車両位置の確からしさにも影響を及ぼす。従って、ハイブリッド航法手段により算出される車両位置に含まれる誤差の大きさを考慮して確度を求めることが好ましい。
0016
第1の判定手段が、上述した第1の判定結果から第4の判定結果の中の複数の判定結果を出力する場合、請求項6に記載のように、出力される判定結果に対して付与される重み付けは、第1の判定結果から第4の判定結果の順に小さくなるように設定されることが好ましい。第1の判定結果から第4の判定結果の順序に従って、最終的に求められる車両位置の精度に及ぼす影響が小さくなると考えられるためである。
0017
マップマッチング処理によって道路上に特定される車両位置の確からしさを判定する場合、請求項7に記載したように、第2の判定手段は、現在の車両位置の方位と、その車両位置が特定された道路の方位との差を求め、その差の大きさに依存して第5の判定結果を出力することができる。例えば、両方位の差が所定値よりも小さいときには、道路上に合わせ込むことによって得られた最終的な車両位置の確からしさは高いとみなすことができる。
0018
また、請求項8に記載のように、第2の判定手段は、現在の車両位置から所定距離後方までの区間における、車両位置算出時の方位と、道路地図データにおける道路方位との差を求め、その差の大きさに依存して第6の判定結果を出力するようにしても良い。このようにしても、マップマッチング処理により車両位置が合わせ込まれた道路が、実際に車両が走行している道路である確からしさを示す判定結果を得ることができる。
0019
さらに、請求項9に記載のように、第2の判定手段は、車両位置を基準として設定される探索範囲内に属するマップマッチング処理の候補道路の本数を求め、その本数に依存して、第7の判定結果を出力するようにしても良い。マップマッチング処理において、車両位置が合わせ込まれる候補道路の本数が増加するほど、誤った道路上に車両位置を合わせ込む可能性が高くなるためである。
0020
また、請求項10に記載のように、第2の判定手段は、マップマッチング処理によって道路上に特定される最終的な車両位置に関して、前回と今回の車両位置の変位の大きさを求め、その変位の大きさに依存して第8の判定結果を出力するようにしても良い。車両位置の変位が車両の走行速度に応じた長さよりも大きい場合、マップマッチング処理により車両位置が合わせ込まれた道路位置が前回と今回で変化したことを意味する。この場合、マップマッチング処理により道路上に特定された車両位置は不安定と考えられる。一方、車両位置の変位が車両の走行速度に応じた長さである場合、車両位置は同じ道路上に継続して合わせ込まれており、車両位置は安定していると考えられる。このように、車両位置の変位の大きさによっても、マップマッチング処理による車両位置の確からしさに応じた判定結果を得ることができる。
0021
請求項11に記載したように、第2の判定手段が、第5の判定結果から第8の判定結果の中の複数の判定結果を出力する場合、その出力される判定結果に対して付与される重み付けは、第5の判定結果に付与される重み付けが少なくとも第1の判定結果に付与される重み付けよりも小さい値となり、かつ第5の判定結果から第8の判定結果の順に小さくなるように設定されることが好ましい。これにより、第2の判定手段が出力する判定結果に対して、第1の判定手段が出力する第1の判定結果に対する重み付けよりも少なくとも小さい重み付けがなされるとともに、それぞれの判定結果に対して適切な重み付けを行なうことができ、複数の判定結果に基づいて、最終的に求められる車両位置の確からしさを正確に示す指標を得ることができる。
0022
なお、請求項12に記載のように、車両制御手段は、前記車両制御手段は、自動変速機、懸架装置、灯火装置、操舵装置、制動装置、原動機、空調装置、エネルギー管理装置、視界支援装置、表示装置、操作装置、ボデー制御装置、及びセキュリティ装置の少なくとも1つを制御対象とすることができる。
発明を実施するための最良の形態
0023
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。
0024
図1は、本実施形態に係わる車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。本実施形態における車両制御システムは、車両の現在位置の算出等の処理を行なうナビゲーション装置100と、自動変速機を制御対象として、ナビゲーション装置100によって算出された車両の現在位置を利用し、現在位置が属する道路状態に応じた変速制御を行なう車両制御装置120とを有する。
0025
車両制御装置120は、例えば、車両の現在位置が属する道路の形状(カーブの曲率)、勾配(上り坂や下り坂)、属性(高速道路等)、分岐(交差点等)等の道路状態に応じて、自動変速機を適切な変速位置に切り換えるように変速制御を実行する。なお、車両制御装置120は、自動変速機以外に、懸架装置、灯火装置、操舵装置、制動装置、原動機(エンジン、モーターなど)、空調装置、エネルギー管理装置(ガソリン、メタノール、水素、化学電池、燃料電池など)、視界支援装置(電子ミラー、暗視装置など)、HMI(メータなどの表示装置、及びスイッチ等の操作装置)、ボデー制御装置(パワードア、パワーウインド、パワーシートなど)、セキュリティ装置等を制御対象とするものであっても良い。
0026
ナビゲーション装置100は、位置検出部101、デジタル道路地図データベース102、表示装置103、操作スイッチ群104、音声出力部105、音声入力部106、外部記憶装置107、VICS受信装置108及び制御装置110を備えている。
0027
制御装置110は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、制御装置110が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
0028
位置検出器101は、衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機101A,車両の走行距離を検出するための車輪速度センサ101B,車両の走行方位を検出するためのジャイロセンサ101Cを有している。さらに、位置検出器101は、車両の走行加速度を検出する加速度センサ101Dを備えている。
0029
このように、位置検出器101は、電波航法による車両位置測定のためにGPS受信機101Aを有するとともに、自立航法による車両位置推定のために車輪速度センサ101B、ジャイロスコープ101C及び加速度センサ101Dを有している。なお、加速度センサ101Dは、車両が走行する道路の勾配を検出するためや、車両の走行距離を検出するために利用可能である。また、電波航法としては、GPSに限らず、例えばVICSの光ビーコンを利用しても良い。また、自立航法における方位を検出するために、ジャイロセンサ101Cに代えて、地磁気センサやステアリングセンサを用いても良い。
0030
デジタル道路地図データベース102は、道路データ、背景データ及び文字データを含むデジタル地図データを制御装置110に入力するための装置である。デジタル道路地図データベース102は、デジタル地図データを記憶する記憶媒体102Aを有し、その記憶媒体102Aとしては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等を用いてもよい。
0031
ここで、道路データの構成について説明する。道路データは、道路毎に固有の番号を付したリンクID、リンク座標データ、ノード座標データ、高速道路や国道等の道路種別を示す道路種別データ、道路幅員データ等の各データから構成されている。道路データにおけるリンクとは、地図上の各道路を、交差点、分岐点などを示すノードにより複数に分割し、そして2つのノード間をリンクとして規定したものである。そして、リンク座標データには、このリンクの始端と終端の座標が記述される。なお、リンクの途中にノードが含まれる場合には、ノード座標データにノード座標が記述される。この道路データは、地図を表示する以外に、マップマッチング処理を行なう際の道路の形状を与えるために用いられたり、目的地までの案内経路を検索する際に用いられる。
0032
背景データは、道路地図を表示装置103に表示する際に、道路以外の表示対象となる施設形状、自然地形等を表示するためのデータである。文字データは、地名、施設名、道路名等を道路地図上に表示するためのものであり、表示位置に対応する地図上の座標を関連付けたデータとして構成している。なお、施設に関しては、その施設名に関連付けて電話番号や、住所等のデータも記憶されている。この施設に関するデータは、後述する外部記憶装置107に記憶されているものであってもよい。
0033
表示装置103は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示装置103の画面には車両の現在位置に対応する自車位置マーク、及び、デジタル道路地図データベース102より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、目的地が設定された場合、道路地図上には、現在位置から目的地までの誘導経路が重ねて表示される。
0034
操作スイッチ群104は、例えば、表示装置103と一体になったタッチパネルスイッチもしくは表示装置103の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなり、各種入力に使用される。
0035
音声出力部105はスピーカ等からなり、経路案内が行なわれている場合に、案内音声を出力したり、音声認識時に、入力音声に関するガイダンスを出力したりするものである。また、音声入力部106は、マイク等からなり、ユーザによって発せられた音声を取り込んで、制御装置110に入力する。制御装置110は、入力された音声の認識処理を行い、その認識結果に基づいて、各種の制御を実行する。
0036
外部記憶装置107は、例えば、メモリカードやハードディスク等の記憶媒体からなる。この外部記憶装置9には、ユーザによって記憶されたテキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データが記憶される。
0037
VICS受信装置108は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタから配信される道路交通情報等の情報を受信したり、必要に応じて車両側から外部へ情報を送信したりする装置である。受信した情報は、制御装置110で処理され、例えば、渋滞情報や規制情報等は表示装置103に表示される道路地図上に重ねて表示される。
0038
また、本実施形態のナビゲーション装置100は、操作スイッチ群7もしくは音声認識によって目的地の位置が入力されると、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、周知のダイクストラ法等の手法が知られている。また、ユーザによって入力された、例えば、住所、施設名称、電話番号等から施設等の位置を検索する検索機能も備えている。
0039
これらの機能は、主に制御装置110によって各種の演算処理がなされることによって実行される。すなわち、制御装置110は目的地が入力されるとデジタル道路地図データベース102の地図データを用いて経路を計算し、その経路を表示するとともに、分岐地点や右左折すべき交差点において道路地図の拡大や音声案内を行なう。この他、制御装置110は、車両の位置を示す自車位置マークとその周辺の道路地図を表示装置103に表示させたり、道路地図の縮尺を変更したりする。
0040
本実施形態のナビゲーション装置100は、上述したような一般的なナビゲーション機能を実行する他に、算出した現在位置及びその確からしさを示す指標としての確度等を現在位置関連情報として車両制御装置120に送信する。車両制御装置120は、受信した現在位置関連情報に基づいて、車両の現在位置を用いる車両制御の内容を変更する。
0041
図2は、ナビゲーション装置100が現在位置関連情報を生成し、車両制御装置120に送信するための処理を示すフローチャートである。まず、ステップ(以下、Sと省略する)200では、ハイブリッド航法によって現在位置を算出するとともに、マップマッチング処理によって算出した現在位置を道路上に合わせ込み、最終的な現在位置を算出する。これらのハイブリッド航法による現在位置の算出方法及びマップマッチング処理については、後に詳細に説明する。なお、図1のブロック図における車両位置特定手段111と表示された機能ブロックは、このS200の処理に相当する。
0042
次に、S210では、ハイブリッド航法及びマップマッチング処理によって得られた現在位置の確からしさを示す指標としての確度を算出する。この現在位置の確からしさを示す確度の算出方法についても後に詳細に説明する。S220では、現在位置から、車両の進行方向前方の道路形状を道路地図データに基づいて演算する。図1のブロック図における道路形状検出手段112と表示された機能ブロックは、このS220の処理に相当する。
0043
そして、S200からS220にて算出された、現在位置、現在位置の確度、及び前方道路形状が、S230にて、現在位置関連情報として、車両制御装置120に送信される。
0044
図3は、車両制御装置120が現在位置関連情報を受信し、その受信した現在位置関連情報に基づいて、車両の現在位置を用いた車両制御の内容を変更する処理を示すフローチャートである。まず、S300では、ナビゲーション装置100から送信される現在位置関連情報を受信する。そして、S310では、現在位置関連情報に含まれる現在位置の確度が、車両制御実行条件としての要求確度を満足するか否か判定する。
0045
受信した現在位置関連情報の現在位置確度が、要求確度を満足すると判定された場合、S320において、現在位置関連情報、すなわち現在位置と前方道路形状とを利用して制御目標値を設定する。一方、現在位置関連情報の現在位置確度が要求確度を満足しないと判定された場合には、S330において、現在位置関連情報を利用せずに制御目標値を設定する。すなわち、S310〜S330の処理によって、現在位置の確からしさに応じて、現在位置を利用した車両制御の実行の有無が切り換えられることになる。S340では、S320あるいはS330にて設定された制御目標値に基づいて、車両制御を実行する。なお、現在位置の確度の大きさに応じて、現在位置関連情報を利用した制御目標値と利用しない制御目標値との間で、制御目標値を段階的に変化させても良い。
0046
次に、上述したS200の処理におけるハイブリッド航法について、説明する。
0047
ナビゲーション装置において、車両の現在位置を測定する方法として、電波航法と自立航法とがある。電波航法は、グローバルポジショニングシステム(GPS)に代表されるように、衛星等からの電波を受信し、その受信情報から自車の現在位置(緯度、経度)を算出するものである。電波航法の長所は、電波を受信している間、自車の現在位置を絶対位置として求めることができることである。一方、電波航法の短所は、トンネル内や高架道路下では、自車位置の測定ができなくなることである。
0048
自立航法は、例えば車速センサの出力信号から算出される移動距離を、ジャイロセンサ等の方位センサから算出される方位に従って積算することにより、自車の現在位置を推定するものである。自立航法の長所は、回りの環境に作用されず、常に自車位置の算出が可能なことである。一方、自立航法の短所は、移動距離を方位に従って積算して自位置を求めるため、センサの誤差が蓄積され、移動距離が長くなるにつれて誤差が大きくなることである。
0049
従って、本実施形態のナビゲーション装置100では、電波航法と自立航法を組み合わせて、両航法の長所を活かしたハイブリッド航法によって車両の現在位置を算出する。このハイブリッド航法による現在位置の算出処理が、図4〜図7のフローチャートに示される。なお、図4はハイブリッド航法全体の処理を示すフローチャート、図5はカルマンフィルタの更新を行なう処理を示すフローチャート、図6及び図7はそれぞれ時間に基づく更新処理、観測に基づく更新処理を示すフローチャートである。なお、図4に示すハイブリッド航法処理及び図5〜図7に示すカルマンフィルタの更新処理は並行して実施される。
0050
測位におけるカルマンフィルタの利用は公知の技術であり、図5に示すように時間に基づく更新(S500)と、観測に基づく更新(S510)を繰り返すことで、2乗誤差を最小にするシステム状態量を推定する。なお、本実施形態では、推定すべきシステム状態量は、例えば自立航法におけるジャイロオフセット誤差、ジャイロゲイン補正係数誤差、距離係数誤差、絶対方位誤差、(緯度、経度)絶対位置誤差としており、GPS測位結果におけるジャイロオフセット、ジャイロゲイン補正係数、距離係数、絶対方位、(緯度、経度)絶対位置をリファレンスとして用いる観測値とする。
0051
図6の時間に基づく更新処理においては、S600においてシステム状態ベクトルの事前推定値x−kを以下の式1から求める。
(式1) x−k=Axk−1
なお、Aはプロセス行列である。
0052
続いて、S610においてシステム状態量共分散行列の事前推定値P−kを以下の式2から求める。
(式2) P−k=APk−1AT+Q
なお、ATはプロセス行列の転置行列を示し、Qはプロセスノイズを示す。また、式1及び式2において、添え字kはそれぞれステップ数を表す。
0053
また、図7の観測に基づく更新処理においては、まずS700においてカルマンフィルタゲインKkを、以下の式3から算出する。
(式3) Kk=P−kHT(HP−kHT+R)−1
なお、Hは観測行列、Rは観測誤差共分散行列を示す。
0055
最後に、S720では、システム状態量共分散行列の事後推定値Pkを以下の式5から求める。
(式5) Pk=(I−KkH)P−k
なお、Iは単位行列である。また、Pkの対角成分はそれぞれジャイロオフセット補正係数誤差、ジャイロゲイン補正誤差、距離係数誤差、絶対方位誤差、(緯度、経度)絶対位置誤差の共分散となる。
0056
以上の時間に基づく更新処理及び観測に基づく更新処理を繰り返すことにより、システム状態量の推定誤差が急速に減少し、図4に示すハイブリッド航法処理のS430において、誤差分が補正されたジャイロオフセット、ジャイロゲイン補正係数、距離係数、絶対方位、絶対位置(緯度、経度)が算出される。
0057
なお、図4のS400では、各センサからのセンサ出力データを取得する。そして、S410では、センサ出力データにおける方位データに基づいて、絶対方位を更新する。S420では、センサ出力データにおける距離データ及びS410にて更新した絶対方位に基づいて、現在位置を示す絶対位置(緯度、経度)を更新する。
0058
次に、上述したS200の処理におけるマップマッチング処理について説明する。
0059
マップマッチング処理は、ハイブリッド航法により算出した車両の現在位置から求められる車両の走行軌跡と、道路地図データベース102に格納されている道路データとを比較することにより、車両が走行している道路を推定し、より正しい車両の現在位置を求める技術である。このマップマッチング処理の流れを図8のフローチャートに基づいて説明する。
0060
まず、S800では、ハイブリッド航法によって算出された車両位置(絶対位置及び絶対方位)に基づいて、走行軌跡を算出する。すなわち、現在の車両位置から所定距離後方までの区間における過去の車両位置を連結することによって軌跡を求める。
0061
次に、S810にて、算出した走行軌跡に対して平滑化処理を行なった後に、S820にて、マップマッチング処理の候補となる道路の検索を行なう。具体的には、現在の車両位置(絶対位置)を中心とする所定のエリア内に属する道路を選択して、これを候補道路とする。なお、この候補道路の検索エリアについては、ハイブリッド航法において算出される絶対位置の誤差の大きさに対応して可変にしても良い。
0062
S830では、選択した候補道路の各々と算出した走行軌跡の類似判定を行なう。具体的には、選択された候補道路の道路形状と車両の走行軌跡の形状との比較を行ない、類似性(相関性)の高さを数値化する。S840では、S830の類似判定において、最も類似性が高い候補道路を車両が走行している道路と確定する。
0063
S850及びS860では、車両の現在位置及び走行軌跡を確定した候補道路に合わせ込むことによって、ハイブリッド航法によって算出された方位及び位置がずれた場合に、その方位及び位置を修正する。そして、S870では、修正後の方位及び位置を車両の現在位置を示すデータとして出力する。
0065
まず、S900では、初期化処理として、現在位置の確からしさを示す確度Aをゼロにリセットする。続くS910では、センサ状態判定処理を行なう。このセンサ状態判定処理の詳細が、図10のフローチャートに示されている。すなわち、センサ状態判定処理では、S1000〜S1020において、車速センサ101B,ジャイロセンサ101B,及び加速度センサ101Dに関して、断線や短絡等の故障が生じておらず、正常に動作しており、各センサが使用可能であるかどうかを判定する。この判定は、例えば各センサからの出力の変化を観察することによって行なうことが可能である。
0066
そして、すべてのセンサが使用可能と判定された場合には、S1030に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「27」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。一方、いずれか1つのセンサでも使用不可と判定された場合には、S1040に進んで、判定結果を「0」とする。このため、判定結果に重み付けを付与した値もゼロとなり、確度Aの値はゼロのままとなる。
0067
次に、図9のフローチャートのS920では、測位状況の判定処理を行なう。この測位状況の判定処理の詳細が図11のフローチャートに示される。すなわち、測位状況の判定処理では、S1100において、GPSにおいて3D測位が可能であるかを、電波を受信している衛星数や衛星の配置から判定する。このステップにおいて3D測位が可能であると判定した場合には、S1110に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「26」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。一方、3D測位に必要な数(通常4個以上)の電波を受信できていない場合や、衛星の配置からその受信が極めて不安定である場合、S1120に進んで、判定結果を「0」とする。このため、判定結果に重み付けを付与した値もゼロとなり、測位状況判定処理において、確度Aの値が増加されることはない。
0068
さらに、図9のフローチャートのS930では、センサ精度判定処理を行なう。このセンサ精度判定処理の詳細が、図12のフローチャートに示される。センサ精度判定処理では、車輪速度センサ101B及びジャイロセンサ101Cのセンサ精度について判定する。すなわち、S1200〜S1220において、Po、Pg、Pdはそれぞれジャイロオフセット誤差、ジャイロゲイン補正係数誤差、距離係数誤差の標準偏差であり、それぞれ実験的に得られたしきい値PoTh,PgTh,PdThと比較される。これらの比較処理において、各誤差の標準偏差Po、Pg、Pdがしきい値PoTh,PgTh,PdTh以下であると判定された場合、センサ精度は良好と考えられる。従って、S1230に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「25」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。
0069
一方、いずれかの誤差の標準偏差Po、Pg、Pdがしきい値PoTh,PgTh,PdThを上回った場合、センサ精度が劣化したと考えられるため、S1240に進んで、判定結果を「0」とする。これにより、センサ精度判定処理において、確度Aの値が増加されることはない。
0070
なお、ジャイロオフセット誤差、ジャイロゲイン補正係数誤差、距離係数誤差の標準偏差Po,Pg,Pdは、上述したカルマンフィルタのシステム状態量共分散行列(事後推定値)Pkの対応する対角成分の平方根(標準偏差)として求められる値である。
0071
次に、図9のフローチャートのS940では、方位ずれ判定処理を行なう。この方位ずれ判定処理の詳細が図13のフローチャートに示される。方位ずれ判定処理では、S1300にて、図14に示すように、マップマッチング過程で得られる現在位置に対応する道路リンクと車両方位との相対方位θの絶対値と実験的に得られたしきい値θThとを比較する。相対方位θの絶対値がしきい値θTh以下である場合には、車両の走行方位と道路方位とが近似し、車両は道路上を走行していると考えられる。このため、S1310に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「24」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。
0072
一方、相対方位θの絶対値がしきい値θThを上回る場合には道路上を走行していないと考えられるため、S1320に進んで、判定結果を「0」とする。従って、この場合、確度Aは、方位ずれ判定処理において増加されることはない。
0073
次に、図9のフローチャートのS950では、誤差範囲判定処理を行なう。この誤差範囲判定処理の詳細が図15のフローチャートに示される。誤差範囲判定処理では、S1400において、車両方位方向についての絶対位置誤差の標準偏差Lと、実験的に得られたしきい値LThとを比較する。なお、車両方位方向についての絶対位置誤差の標準偏差Lは、次のようにして求められる。まず、上述したカルマンフィルタのシステム状態量共分散行列(事後推定値)Pkの要素である絶対位置(経度方向)誤差の共分散σ2xx、絶対位置(緯度方向)誤差の共分散σ2yy、絶対位置(経度方向)誤差と絶対位置(緯度方向)誤差の共分散σ2xyから絶対位置誤差に関する分布が定まる。この絶対位置誤差に関する分布から車両方位方向についての絶対位置誤差の標準偏差Lを求めることができる。
0074
標準偏差Lがしきい値LTh以下である場合には、絶対位置誤差は小さいため、S1410に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「23」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。一方、標準偏差Lがしきい値LThを上回る場合には、絶対位置誤差が大きいため、S1420に進んで、判定結果を「0」とする。従って、この場合、確度Aは、誤差範囲判定処理において増加されることはない。
0075
次に、図9のフローチャートのS960では、形状相関判定処理を行なう。この形状相関判定処理の詳細が図16のフローチャートに示される。形状相関判定処理では、S1500にて形状相関係数Cを求める。この形状相関係数Cは、図17に示すように、現在位置から所定距離後方までの区間における、測位結果に基づく車両方位と対応する地図データ上の道路方位との差の平均値として算出される。
0076
この形状相関係数Cは、S1510にて、実験的に得られたしきい値CThと比較される。そして、形状相関係数Cがしきい値CTh以下である場合、車両はマップマッチング処理にて選択された道路上を走行している可能性が高い。このため、S1520に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「22」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。一方、形状相関係数Cがしきい値CThを上回る場合には、S1530に進んで、判定結果を「0」とする。従って、この場合、確度Aは、形状相関判定処理において増加されることはない。
0077
次に、図9のフローチャートのS970では、候補数判定処理を行なう。この候補数判定処理の詳細が図18のフローチャートに示される。候補数判定処理では、S1600において、図19に示すように、車両の現在位置を中心とする所定の検索エリア内に属する候補道路の本数Nを求め、所定のしきい値本数NThと比較する。この判定において、候補道路の本数Nがしきい値本数NTh以下である場合、マップマッチング処理において誤った道路が選択される可能性は小さいため、S1610に進む。S1610では、判定結果を「1」とし、その判定結果に「21」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。一方、候補道路の本数Nがしきい値本数NThを上回る場合には、誤った道路が選択される可能性が高くなるため、S1620に進んで、判定結果を「0」とする。従って、この場合、確度Aは、候補数判定処理において増加されることはない。
0078
次に、図9のフローチャートのS980では、連続性判定処理を行なう。この連続性判定処理の詳細が図20のフローチャートに示される。連続性判定処理では、S1700において、車両位置の変位の大きさDを求める。S1710では、車両位置の変位の大きさDと、そのときの車速vと変位Dに要した時間dtを乗じた値とを比較する。すなわち、図21に示すように、マップマッチング処理による道路への合わせ込みの結果、車両位置は大きく跳躍する可能性がある。この車両位置の変位の大きさDが、車速Dと時間dtとを乗じた値を超えている場合、そのような跳躍が生じたものとみなすことができる。この場合、マップマッチング処理により車両位置が合わせ込まれた道路位置が変化したのであるから、マップマッチング処理により道路上に特定された車両位置は不安定と考えられる。一方、車両位置の変位の大きさDが、車速vと時間dtとを乗じた値以下である場合には、車両位置は同じ道路上に継続して合わせ込まれており、車両位置は安定していると考えられる。
0079
従って、S1710において、変位の大きさDが車速vと時間dtとを乗じた値以下である場合、S1720に進んで、判定結果を「1」とし、その判定結果に「20」の重み付けを付与した値を確度Aに加算する。一方、変位の大きさDが車速vと時間dtとを乗じた値を上回る場合には、S1630に進んで、判定結果を「0」とする。従って、この場合、確度Aは、連続性判定処理において増加されることはない。
0080
上述した処理により、確度Aは、ハイブリッド航法により算出された車両位置の確からしさ、及びハイブリッド処理によって道路上に合わせ込まれた車両位置の確からしさに対応した値となる。従って、確度Aを、求めた車両位置の確からしさを普遍的に示す指標として利用することができる。
0081
すなわち、ハイブリッド航法より算出された車両位置の確からしさを判定する各種の判定結果及びハイブリッド処理によって道路上に合わせ込まれた車両位置の確からしさを判定する各種の判定結果に対して、最終的に得られる車両位置精度への影響を考慮した重み付けを付与しているため、最終的に得られる車両位置の確からしさを高精度に示す指標(確度A)が得られるのである。
0082
また、S910〜S980の処理によって確度Aを算出する際、各ステップの判定結果を「1」または「0」とし、かつその判定結果に付与される重み付けをそれぞれ「27」〜「20」とした。従って、1バイトのデータによって各判定処理の判定結果とその重み付けを表現することが可能になり、確度Aを示すためのデータ量を抑制することができる。
0083
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することができる。
0084
例えば、上述した実施形態においては、各判定処理における判定結果を「1」または「0」としたが、各判定処理における判定対象となる値の大きさに応じて、3段階以上の判定結果を出力するようにしても良い。
0085
また、上述した実施形態においては、S910〜S980の処理によって8個の判定結果を得たが、少なくともハイブリッド航法により算出される車両位置の確からしさを判定する判定結果とマップマッチング処理により算出される車両位置の確からしさを判定する判定結果を含む限り、確度Aを算出するために用いる判定結果の数は任意である。
図面の簡単な説明
0086
実施形態に係わる車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。
ナビゲーション装置100が現在位置関連情報を生成し、車両制御装置120に送信するための処理を示すフローチャートである。
車両制御装置120が現在位置関連情報を受信し、その受信した現在位置関連情報に基づいて、車両の現在位置を用いた車両制御の内容を変更する処理を示すフローチャートである。
ハイブリッド航法全体の処理を示すフローチャートである。
カルマンフィルタの更新を行なう処理を示すフローチャートである。
カルマンフィルタの更新における、時間に基づく更新処理を示すフローチャートである。
カルマンフィルタの更新における、観測に基づく更新処理を示すフローチャートである。
マップマッチング処理の流れを示すフローチャートである。
現在位置の確からしさを示す確度を演算する処理を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおける、センサ状態判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおける、測位状況の判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおける、センサ精度判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおける、方位ずれ判定処理の詳細を示すフローチャートである。
方位ずれ判定処理を説明するための説明図である。
図9のフローチャートにおける、誤差範囲判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図9のフローチャートにおける、形状相関判定処理の詳細を示すフローチャートである。
形状相関判定処理を説明するための説明図である。
図9のフローチャートにおける、候補数判定処理の詳細を示すフローチャートである。
候補数判定処理を説明するための説明図である。
図9のフローチャートにおける、連続性判定処理の詳細を示すフローチャートである。
連続性判定処理を説明するための説明図である。
符号の説明
0087
100ナビゲーション装置
101位置検出部
102デジタル道路地図データベース102
103表示装置
104操作スイッチ群
105音声出力部
106音声入力部
107外部記憶装置
108 VICS受信装置
110制御装置
111 車両位置特定手段
112道路形状検出手段
120 車両制御装置
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
- 航行(Navigation)
- 航行(Navigation)
- 走行状態に応じる自動操向制御装置
- 駆動装置の関連制御
- 定速走行制御及び計器板
- 走行状態に応じる操向制御
- 駆動装置の関連制御、車両の運動制御
- 定速走行制御
- 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
- 交通制御システム
- 交通制御システム