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課題

自己解裂型開始剤でありながら、光照射時又はポストベーク時に低分子分解物揮発臭気の発生が軽減され、且つ、最終製品中に低分子分解物を残留させないラジカル発生剤、当該ラジカル発生剤を用いた感光性樹脂組成物及び物品を提供する。

解決手段

本発明により提供される光ラジカル発生剤は、一分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位、及び、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)からなることを特徴とする。

概要

背景

紫外線等の光照射によって硬化するか又は溶解性が変化する感光性樹脂は、一般に、露光部の溶解性が良好なもの(ポジ型)と、未露光部の溶解性が良好なもの(ネガ型)の2種に分類される。ネガ型の場合、感光性樹脂自体が露光により硬化し不溶になることから、感光性樹脂が基材上に残存し機能膜として製品の一部となる場合が多い。
ネガ型の感光性樹脂は当初、例えば塗料印刷インキオーバーコート層接着剤印刷原版等に用いられてきたが、近年、プリント配線板配線保護用のソルダーレジストや、層間絶縁膜カラーフィルター画素反射防止膜ホログラム等を形成するためのレジスト等にまで用途が広がってきている。

一般に多く用いられるネガ型の感光性樹脂の一つに、エチレン性不飽和結合を一つ以上有する化合物、光照射によりラジカルを発生させる光ラジカル開始剤、及び、必要に応じて、現像性塗膜の柔軟性等を付与する高分子化合物無機フィラー顔料等を配合した樹脂組成物がある。この組成物に光照射を行うと、エチレン性不飽和結合を有する化合物がラジカル反応により結合し、大分子量化して硬化する。この硬化反応の際に、架橋反応により3次元網目構造発達することにより、得られる硬化物硬度、強度、密着性耐溶剤性耐熱性が向上する。

光ラジカル開始剤は、自己開裂型(Type I)と非分解型(Type II)に概ね分類される(非特許文献1)。前者の場合、ベンゾインエーテル系化合物の様に、特定波長の光を吸収することで、その波長に対応した部位の結合が切断され、その際に分断された各々の部位にラジカルが発生し、そこからラジカル反応が始まる。後者の場合、特定波長の光を吸収した時にラジカル開始剤の分解を伴わずにラジカルを発生させるラジカル発生機構であり、例えば、ベンゾフェノンに代表される水素引抜き型では、特定波長の電磁波を吸収し励起状態になると、周囲にある水素ドナーから水素を引き抜き、その際に引き抜いた方、引き抜かれた方の各々にラジカルが発生する。

一般に自己開裂型は、感度やラジカル発生効率は良好なものの、光照射時に低分子分解物を発生させ、これが作業環境揮発して臭気の原因となったり、揮発後に再凝固して製造装置汚染や製品不良の原因となったり、当該低分子分解物が製品中に残留して製品の耐熱性、安定性を損なったり、製品から低分子分解物が徐々に放出されるという問題がある。

一方、水素引き抜き型は、開始剤由来の低分子分解物の発生や残留といった問題はないが、水素ドナーが励起された開始剤の近傍に存在する必要がある事や、水素を引き抜く際のエネルギー障壁の大きさによってラジカル発生効率が決まるため、感度が比較的低いという問題がある。

より現実的な例を挙げると、以下の様な使用場面において自己開裂型開始剤の問題点に直面する。
第一の例としては、ソルダーレジストや着色レジストでの使用が挙げられる。プリント配線板の表面被覆に用いられるソルダーレジストには、耐熱性や難燃性付与のため有機顔料フィラーが混合されていたり、カラーフィルターの画素形成用レジストには、色表示のための顔料が混合されている。これらの顔料は光を吸収する成分であることから、感光性樹脂の感度を高めるために、主に自己開裂型の光ラジカル開始剤を用い、しかもラジカル反応で有効利用されない分を見込んで多量に混合させている。ここで、ラジカル反応で有効利用されない分には、照射によっても開裂しなかった未反応の開始剤と、開裂によりラジカル化しても固相での反応ゆえに被反応物との接近が阻害されて失活する分とがある。

従って、多量の開始剤を用いるために、光照射時には低分子分解物が多量に発生し、臭気を生じる。また、露光後の硬化物中には、開始剤由来の残存物が多量に存在するが、そのうち未開裂の光ラジカル開始剤は、露光後にも反応性を残していることから硬化物を変質させる。また、未開裂の光ラジカル開始剤、及び、開裂したがラジカル反応で消費されずに失活した低分子分解物は、マトリックス架橋構造に結合しておらず、独立した成分として硬化物中に存在し、物性を阻害する。そのため、開始剤由来の残存物をそのまま放置すると、耐光性の悪化、着色や退色、塗膜のはがれクラックの発生等を引き起こし、最終製品、例えば電子部品用の層間絶縁膜やソルダーレジスト、カラーフィルター用画素形成用レジストの信頼性を低下させる原因になる。

自己開裂型の光ラジカル開始剤は昇華性が強く、熱により分解するため、露光、現像後の製品を百数十℃以上の温度でポストベークすることにより製品から除去することができる。しかしながら、ポストベーク時に開始剤由来の昇華物加熱装置内に多量に付着し、それが硬化により得られた製品上に落下して製品不良の原因となり、問題となっていた。また、加熱装置の周囲では雰囲気中に開始剤の分解物等が含まれるため、作業安全性の観点からも問題があった。
ポストベークの条件を、より高温で、より長時間にすることによってラジカル開始剤由来の残存物をより多く除去することが可能であるが、固体中からの揮発の為、完全に除去することは困難である。より多くのラジカル開始剤由来の不純物を除去する為に条件を厳しくすると、その条件が、かえって製品不良を起こす原因となる。

第二の例としては、剥離膜用レジストでの使用が挙げられる。剥離膜として用いられる電子部材加工用レジスト及びドライフィルムレジスト等にも、上記ソルダーレジストと同様の光硬化システムが用いられている。加工用レジストは、最終的には剥離され製品には残らないが、その銅配線形成等の加工工程において、加工に用いる塩化第二鉄塩化第二銅等の薬液中レジスト膜から開始剤由来の残存物が溶出し、薬液寿命を短くするという問題があった。

さらに第三の例としては、保護膜用塗料での使用が挙げられる。建築物の壁紙や壁の表面を保護する保護膜用塗料として、感光性樹脂が用いられる場合には、シックハウス症候群対策等の観点から、建材全体から出て来る溶媒成分や臭気成分の削減が求められているが、揮発性の高い開始剤を用いることで、塗膜硬化後も臭気が発生するという問題があった。

これらの問題を解決する手段の一つとして、ESACUREKIP 150(商品名)が日本シイベルヘグナー(株)より市販されている。このESACURE KIP 150は、ポリマー骨格の側鎖に光ラジカル発生部位を導入した構造を持っている。このような構造にすれば、光ラジカル発生剤一分子内に複数のラジカル発生部位を有するため、当該分子内のどこか1箇所がラジカル化して塗膜のマトリックスと結合していれば、同じ分子内にある未反応のラジカル発生部位もポリマー骨格を介してマトリックス構造に結合するので、ポストベーク時に揮発せず、塗膜中を移動する事も無いため、最終製品での信頼性を低下させることが少ない。

しかしながら、ESACUREKIP 150はポリマー骨格を持ち、分子サイズが比較的大きいため、感光性樹脂組成物中で移動しずらい。また、その感度波長が、汎用光源照射波長マッチしていない。そのため、樹脂組成物中での実用上の感度はそれほど高くはなく、光ラジカル反応性上がりにくいという問題がある。

また、別の解決手段として、LUNA750(商品名)が日本シイベルヘグナー(株)より市販されている。このLUNA750は、α—アミノアセトフェノン骨格を有する自己解裂型の光ラジカル発生部位に分子量の大きい官能基(側鎖)を導入し、ラジカル発生時に開裂して遊離する部分を大分子化することで、分解物の揮発(アウトガス)を低減することが可能である。しかし、この場合、開裂部分の分子量が大きくなった事で揮発する温度が高くなりガス化しにくいだけであり、塗膜中に、該塗膜のマトリックス構造から独立した分解物として残存してしまう。そのため、分解物による製品劣化、分解物の揮発・溶出、臭気の発生など、塗膜等の最終製品の信頼性低下と言う問題には充分に対応できていない。また、中間製品や最終製品を現像又は洗浄する際に、開始剤由来の分解物や未反応体現像液洗浄液へ溶出する問題にも対応できていない。

光硬化技術、39頁、技術情報協会、2000年

概要

自己解裂型開始剤でありながら、光照射時又はポストベーク時に低分子分解物の揮発や臭気の発生が軽減され、且つ、最終製品中に低分子分解物を残留させないラジカル発生剤、当該ラジカル発生剤を用いた感光性樹脂組成物及び物品を提供する。 本発明により提供される光ラジカル発生剤は、一分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位、及び、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)からなることを特徴とする。

目的

本発明は自己開裂型光ラジカル発生剤が抱える上記問題点を解決することを目的とする。具体的に、第一の目的は、従来の自己解裂型の開始剤と同等の感度を有し、しかも、光照射時又はポストベーク時に樹脂組成物又は中間製品からの低分子分解物の揮発や臭気の発生を削減することができ、光硬化後の最終製品中に硬化物のマトリックスから独立した低分子分解物を実質的に残存させないような、ラジカル発生剤を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

一分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位及び、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)からなる光ラジカル発生剤

請求項2

前記化合物(a)が、下記式(1)で表される化合物(a1)である、請求項1に記載の光ラジカル発生剤。(ただし、式(1)においてR1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子ハロゲン原子、又は、一価有機基である。Xは2価の基であり、Yは1価の基である。)

請求項3

5%重量減少温度が、50℃以上である請求項1又は2に記載の光ラジカル発生剤。

請求項4

前記請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物(a)よりなる群から選ばれる少なくとも1つの光ラジカル発生剤を必須成分として含有することを特徴とする、感光性樹脂組成物

請求項5

エチレン性不飽和基を有する化合物(b)、化合物(b)以外の硬化反応性化合物、化合物(a)以外のラジカル発生剤、及び、重量平均分子量3000以上のバインダー樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一成分をさらに含有する請求項4に記載の感光性樹脂組成物。

請求項6

パターン形成材料として用いられることを特徴とする、請求項4又は5に記載の感光性樹脂組成物。

請求項7

塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター電子部品層間絶縁膜配線被覆膜光学部材光回路光回路部品反射防止膜ホログラム又は建築材料形成材料として用いられる請求項4又は5に記載の感光性樹脂組成物。

請求項8

前記請求項4又は5に記載の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料いずれかの物品

技術分野

0001

本発明は、自己開裂型光ラジカル発生部位と共にエチレン性不飽和基を有する分子構造を持つ化合物からなるラジカル発生剤、それを含む感光性樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品に関する。
さらに詳しくは、本発明は、第一に、それ自体が光ラジカル開始剤としての機能と重合性化合物としての機能を持ち、自己開裂型の高い反応ポテンシャル高感度)を持ちながら、光ラジカル開始剤の開裂部分をマトリックス中に固定する能力が高く、モノマー成分との相溶性にも優れた光ラジカル発生剤に関する。

0002

本発明は、第二に、上記ラジカル発生剤を含有し、露光時又はポストベーク時の臭気アウトガス)を軽減することができ、硬化後の製品中に残留する揮発性低分子分解物、特に臭気成分を少なくすることができる感光性樹脂組成物に関する。
そして、本発明は、第三に、上記感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されている、熱による劣化が少ない高耐熱性高安定性の物品に関する。

背景技術

0003

紫外線等の光照射によって硬化するか又は溶解性が変化する感光性樹脂は、一般に、露光部の溶解性が良好なもの(ポジ型)と、未露光部の溶解性が良好なもの(ネガ型)の2種に分類される。ネガ型の場合、感光性樹脂自体が露光により硬化し不溶になることから、感光性樹脂が基材上に残存し機能膜として製品の一部となる場合が多い。
ネガ型の感光性樹脂は当初、例えば塗料印刷インキオーバーコート層接着剤印刷原版等に用いられてきたが、近年、プリント配線板配線保護用のソルダーレジストや、層間絶縁膜カラーフィルター画素反射防止膜ホログラム等を形成するためのレジスト等にまで用途が広がってきている。

0004

一般に多く用いられるネガ型の感光性樹脂の一つに、エチレン性不飽和結合を一つ以上有する化合物、光照射によりラジカルを発生させる光ラジカル開始剤、及び、必要に応じて、現像性塗膜の柔軟性等を付与する高分子化合物無機フィラー顔料等を配合した樹脂組成物がある。この組成物に光照射を行うと、エチレン性不飽和結合を有する化合物がラジカル反応により結合し、大分子量化して硬化する。この硬化反応の際に、架橋反応により3次元網目構造発達することにより、得られる硬化物の硬度、強度、密着性耐溶剤性耐熱性が向上する。

0005

光ラジカル開始剤は、自己開裂型(Type I)と非分解型(Type II)に概ね分類される(非特許文献1)。前者の場合、ベンゾインエーテル系化合物の様に、特定波長の光を吸収することで、その波長に対応した部位の結合が切断され、その際に分断された各々の部位にラジカルが発生し、そこからラジカル反応が始まる。後者の場合、特定波長の光を吸収した時にラジカル開始剤の分解を伴わずにラジカルを発生させるラジカル発生機構であり、例えば、ベンゾフェノンに代表される水素引抜き型では、特定波長の電磁波を吸収し励起状態になると、周囲にある水素ドナーから水素を引き抜き、その際に引き抜いた方、引き抜かれた方の各々にラジカルが発生する。

0006

一般に自己開裂型は、感度やラジカル発生効率は良好なものの、光照射時に低分子分解物を発生させ、これが作業環境揮発して臭気の原因となったり、揮発後に再凝固して製造装置汚染や製品不良の原因となったり、当該低分子分解物が製品中に残留して製品の耐熱性、安定性を損なったり、製品から低分子分解物が徐々に放出されるという問題がある。

0007

一方、水素引き抜き型は、開始剤由来の低分子分解物の発生や残留といった問題はないが、水素ドナーが励起された開始剤の近傍に存在する必要がある事や、水素を引き抜く際のエネルギー障壁の大きさによってラジカル発生効率が決まるため、感度が比較的低いという問題がある。

0008

より現実的な例を挙げると、以下の様な使用場面において自己開裂型開始剤の問題点に直面する。
第一の例としては、ソルダーレジストや着色レジストでの使用が挙げられる。プリント配線板の表面被覆に用いられるソルダーレジストには、耐熱性や難燃性付与のため有機顔料フィラーが混合されていたり、カラーフィルターの画素形成用レジストには、色表示のための顔料が混合されている。これらの顔料は光を吸収する成分であることから、感光性樹脂の感度を高めるために、主に自己開裂型の光ラジカル開始剤を用い、しかもラジカル反応で有効利用されない分を見込んで多量に混合させている。ここで、ラジカル反応で有効利用されない分には、照射によっても開裂しなかった未反応の開始剤と、開裂によりラジカル化しても固相での反応ゆえに被反応物との接近が阻害されて失活する分とがある。

0009

従って、多量の開始剤を用いるために、光照射時には低分子分解物が多量に発生し、臭気を生じる。また、露光後の硬化物中には、開始剤由来の残存物が多量に存在するが、そのうち未開裂の光ラジカル開始剤は、露光後にも反応性を残していることから硬化物を変質させる。また、未開裂の光ラジカル開始剤、及び、開裂したがラジカル反応で消費されずに失活した低分子分解物は、マトリックスの架橋構造に結合しておらず、独立した成分として硬化物中に存在し、物性を阻害する。そのため、開始剤由来の残存物をそのまま放置すると、耐光性の悪化、着色や退色、塗膜のはがれクラックの発生等を引き起こし、最終製品、例えば電子部品用の層間絶縁膜やソルダーレジスト、カラーフィルター用画素形成用レジストの信頼性を低下させる原因になる。

0010

自己開裂型の光ラジカル開始剤は昇華性が強く、熱により分解するため、露光、現像後の製品を百数十℃以上の温度でポストベークすることにより製品から除去することができる。しかしながら、ポストベーク時に開始剤由来の昇華物加熱装置内に多量に付着し、それが硬化により得られた製品上に落下して製品不良の原因となり、問題となっていた。また、加熱装置の周囲では雰囲気中に開始剤の分解物等が含まれるため、作業安全性の観点からも問題があった。
ポストベークの条件を、より高温で、より長時間にすることによってラジカル開始剤由来の残存物をより多く除去することが可能であるが、固体中からの揮発の為、完全に除去することは困難である。より多くのラジカル開始剤由来の不純物を除去する為に条件を厳しくすると、その条件が、かえって製品不良を起こす原因となる。

0011

第二の例としては、剥離膜用レジストでの使用が挙げられる。剥離膜として用いられる電子部材加工用レジスト及びドライフィルムレジスト等にも、上記ソルダーレジストと同様の光硬化システムが用いられている。加工用レジストは、最終的には剥離され製品には残らないが、その銅配線形成等の加工工程において、加工に用いる塩化第二鉄塩化第二銅等の薬液中レジスト膜から開始剤由来の残存物が溶出し、薬液寿命を短くするという問題があった。

0012

さらに第三の例としては、保護膜用塗料での使用が挙げられる。建築物の壁紙や壁の表面を保護する保護膜用塗料として、感光性樹脂が用いられる場合には、シックハウス症候群対策等の観点から、建材全体から出て来る溶媒成分や臭気成分の削減が求められているが、揮発性の高い開始剤を用いることで、塗膜硬化後も臭気が発生するという問題があった。

0013

これらの問題を解決する手段の一つとして、ESACUREKIP 150(商品名)が日本シイベルヘグナー(株)より市販されている。このESACURE KIP 150は、ポリマー骨格の側鎖に光ラジカル発生部位を導入した構造を持っている。このような構造にすれば、光ラジカル発生剤は一分子内に複数のラジカル発生部位を有するため、当該分子内のどこか1箇所がラジカル化して塗膜のマトリックスと結合していれば、同じ分子内にある未反応のラジカル発生部位もポリマー骨格を介してマトリックス構造に結合するので、ポストベーク時に揮発せず、塗膜中を移動する事も無いため、最終製品での信頼性を低下させることが少ない。

0014

しかしながら、ESACUREKIP 150はポリマー骨格を持ち、分子サイズが比較的大きいため、感光性樹脂組成物中で移動しずらい。また、その感度波長が、汎用光源照射波長マッチしていない。そのため、樹脂組成物中での実用上の感度はそれほど高くはなく、光ラジカル反応性上がりにくいという問題がある。

0015

また、別の解決手段として、LUNA750(商品名)が日本シイベルヘグナー(株)より市販されている。このLUNA750は、α—アミノアセトフェノン骨格を有する自己解裂型の光ラジカル発生部位に分子量の大きい官能基(側鎖)を導入し、ラジカル発生時に開裂して遊離する部分を大分子化することで、分解物の揮発(アウトガス)を低減することが可能である。しかし、この場合、開裂部分の分子量が大きくなった事で揮発する温度が高くなりガス化しにくいだけであり、塗膜中に、該塗膜のマトリックス構造から独立した分解物として残存してしまう。そのため、分解物による製品劣化、分解物の揮発・溶出、臭気の発生など、塗膜等の最終製品の信頼性低下と言う問題には充分に対応できていない。また、中間製品や最終製品を現像又は洗浄する際に、開始剤由来の分解物や未反応体現像液洗浄液へ溶出する問題にも対応できていない。

0016

光硬化技術、39頁、技術情報協会、2000年

発明が解決しようとする課題

0017

本発明は自己開裂型光ラジカル発生剤が抱える上記問題点を解決することを目的とする。具体的に、第一の目的は、従来の自己解裂型の開始剤と同等の感度を有し、しかも、光照射時又はポストベーク時に樹脂組成物又は中間製品からの低分子分解物の揮発や臭気の発生を削減することができ、光硬化後の最終製品中に硬化物のマトリックスから独立した低分子分解物を実質的に残存させないような、ラジカル発生剤を提供することにある。

0018

また、本発明の第二の目的は、上記ラジカル発生剤を含有し、使用時に低分子分解物の揮発や臭気の発生が少なく、光硬化後の最終製品中に低分子分解物の残留が少ない感光性樹脂組成物を提供することにある。
さらに、本発明の第三の目的は、上記感光性樹脂組成物を用いて少なくとも一部分を形成した、熱による劣化が生じにくい高耐熱性、高安定性の物品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

上記課題を解決するため、本発明により提供される光ラジカル発生剤は、一分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位、及び、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)からなることを特徴とする。

0020

本発明の光ラジカル発生剤は、自己開裂型ラジカル発生剤としての機能と、硬化反応性化合物としての機能を兼ね備えている。
本発明の光ラジカル発生剤に光を照射すると、自己開裂型光ラジカル発生部位が開裂し、ラジカルを発生させる。この時に生成する断片は、エチレン性不飽和基を有しているので、当該エチレン性不飽和基の重合反応により硬化物のマトリックス構造に結合し、固定される。従って、硬化物のマトリックスから独立して存在する低分子分解物の生成量が少ない。

0021

その結果、光照射時やポストベーク時に揮発する低分子分解物量が著しく削減され、特に臭気が軽減される。揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着する分解物の量、或いは、現像液や洗浄液に溶出する分解物の量も著しく削減される。さらに、硬化後に残留する低分子分解物の量も少なくなり、最終製品の耐熱性や安定性も著しく向上される。
また、本発明の光ラジカル発生剤のラジカル反応前の分子サイズは、ポリマーよりもはるかに小さい。そのため、モノマー成分や溶剤等の他の成分との相溶性、溶解性が高く、且つ、感光性樹脂組成物中で比較的自由に動き回ることができる。その結果、従来の自己解裂型光ラジカル開始剤と同等の感度を有する。

0022

次に、本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記本発明に係る光ラジカル発生剤を必須成分として含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物を所定のパターンに塗布するか或いは所定の形状に成形した後に光照射を行うと、光ラジカル反応が開始され、ラジカル重合等の様々なラジカル反応が進行し、硬化及び/又は溶解性の変化を引き起こす。このラジカル反応の際に、化合物(a)からなる光ラジカル発生剤は、自己開裂型ラジカル発生剤として作用し、効率良くラジカルを発生させるので、高い感度が得られる。

0023

また、化合物(a)の開裂により生成した断片の少なくとも一方は、エチレン性不飽和基の反応により硬化物のマトリックスに結合し、その化学構造の一部となる。その結果、ラジカル発生剤に由来する低分子分解物の量は、従来の自己開裂型ラジカル発生剤を用いる場合と比べて極めて少ない。従って、露光時やポストベーク時に、低分子分解物の揮発量が少なくなり、特に臭気が著しく軽減される。また、揮発した低分子分解物が再凝固したり、現像液等に溶出する問題も改善される。
さらに、最終製品に残留する低分子分解物の量が少ないため、高耐熱性、高安定性となる効果がある。従って、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。

0024

前記感光性樹脂組成物を、パターン形成材料として、或いは、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜光学部材光回路光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料形成材料として用いる場合には、製品や膜が高耐熱性、高安定性となる効果がある。また、露光時の臭気の発生がない為、作業環境が向上する。

発明の効果

0025

本発明の光ラジカル発生剤は、自己開裂型の高い反応ポテンシャルを持ちながら、低分子分解物の生成を少なくすることができる。本発明によれば、自己開裂型ラジカル発生剤の問題の一つである臭気を軽減することができる。
特に、光ラジカル発生剤が、臭気のなかでも強い悪臭の原因とされるベンズアルデヒド等の芳香族成分を含む場合には、この芳香族成分をマトリックスに固定することにより、臭気を軽減する効果を極めて高いものとすることができる。
従って、本発明の光ラジカル発生剤は、光を照射して励起させることによりラジカル重合等のラジカル反応を開始、進行させるための光ラジカル発生剤として用いられる。

0026

また、本発明の光ラジカル発生剤は、自己開裂型光ラジカル開始剤としての機能と重合性化合物としての機能を持っているので、それ自体が光ラジカル開始作用をもつ硬化反応性成分としても好適に用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記本発明の光ラジカル発生剤を開始剤として用いるので、実用的に充分な感度を有し、自己開裂型光ラジカル発生剤を用いているにもかかわらず、低分子分解物の副生が少ない。特に、臭気を軽減する効果が大きい。また、最終製品に残留する低分子分解物の量も少ないので、高耐熱性、高安定性であり信頼性の高い最終製品が得られる。

0027

本発明に係る印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料は、高耐熱性、高安定性の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されているため、製品や膜としても高耐熱性、高安定性であり、そのため生産歩留まりも高いというメリットがある。

発明を実施するための最良の形態

0028

以下において本発明を詳しく説明する。なお本発明において光ラジカル発生過程を引き起こすために用いられる照射光には、光ラジカル開始剤のラジカル発生部位をラジカル化し又は感光性樹脂組成物にラジカル反応を引き起こさせることが可能な可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。樹脂組成物の硬化には、主に、波長が2μm以下の電磁波、電子線、電離放射線等が使用される。

0029

先ず、本発明に係る光ラジカル発生剤について説明する。本発明に係る光ラジカル発生剤は、一分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位及び、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)からなることを特徴とする。
上記化合物(a)は、1分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位と、1個以上のエチレン性不飽和基を有しており、自己開裂型ラジカル発生剤としての機能と、硬化反応性化合物としての機能を兼ね備えている。

0030

本発明において光ラジカル発生剤の自己開裂型光ラジカル発生部位とは、光を吸収して励起し、分子構造の分解(結合の解裂)を伴いながらラジカルを発生させる部位、すなわちType Iに分類されるラジカル発生機構を持つ部位のことを言う。自己開裂型光ラジカル発生部位としては、例えば、ベンゾイン誘導体ベンジルケタール、α—アセトキシフェノン、α—アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイドチタノセン類、O−アシルオキシム等のType Iに分類されるラジカル発生機構を持つ化合物から、エチレン性不飽和基と結合すべき1箇所又は2箇所以上の位置の水素原子を取り除いた構造を例示することができる。

0031

一般に、自己開裂型光ラジカル開始剤は、ラジカル生成時に分子構造が開裂し、低分子分解物を発生させる。一例として、高感度の自己開裂型光ラジカル発生部位として知られているα—アミノアセトフェノン骨格は、光によって励起され分子内開裂が起きると、ベンゾイルラジカルとアミノラジカルが生成する。重合反応は、被反応物(原料化合物)からアミノラジカルやベンゾイルラジカルが水素を引き抜くことによって開始されると予想されている。

0032

原理的には、それぞれのラジカルは重合開始時に被反応物の末端に結合し得るが、実際は、周囲に存在する分子から水素を引き抜いてラジカルを発生させ、自らは開裂した状態のまま失活し、重合体の分子から独立した分解物となりやすい。自己開裂型光ラジカル発生部位の開裂により生成した低分子分解物は、光照射時及びポストベーク時に揮発してガスや臭気を発生させたり、揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着したり、或いは、揮発しないで最終製品中に残留して製品の耐熱性や安定性を損ねる等の問題を来たす。

0033

特に、ベンゾイルラジカルは、周囲の分子から水素を引き抜いてベンズアルデヒド及びその類似体になりやすく、周囲のマトリックスに結合しにくい。ベンズアルデヒド及びその類似体は、強い臭気を持つため光照射時やポストベーク時の悪臭の主要原因となり、しかも、ポストベーク時に完全に揮発させることが困難なため、最終製品に残留して製品の臭気や劣化の原因にもなる。

0034

このような従来の自己開裂型光ラジカル開始剤に対し、本発明の光ラジカル発生剤である化合物(a)は、自己開裂型光ラジカル発生部位の開裂により断片となる部分にエチレン性不飽和基を有している。このため、化合物(a)を光ラジカル開始剤として用いて光ラジカル反応を開始、進行させると、自己開裂型光ラジカル発生部位の開裂により生成した断片は、エチレン性不飽和基を介して硬化物のマトリックス構造に結合し、固定される。

0035

その結果、光照射時やポストベーク時に揮発する低分子分解物量が著しく削減され、特に臭気が軽減される。揮発後に再凝固して製造装置や製品に付着する分解物の量、或いは、現像液や洗浄液に溶出する分解物の量も著しく削減される。さらに、硬化後に残留する低分子分解物の量も少なくなり、最終製品の耐熱性や安定性も著しく向上される。

0036

また、化合物(a)は、開裂により生成する断片のうちかなりの部分が重合又は架橋マトリックス構造に結合し、大分子の一部になるが、ラジカル反応前の分子サイズはポリマーよりもはるかに小さい。そのため、モノマー成分や溶剤等の他の成分との相溶性、溶解性が高く、且つ、感光性樹脂組成物中で比較的自由に動き回ることができる。その結果、従来の自己解裂型光ラジカル開始剤と同等の感度を有し、実用的に充分な反応性を持つ樹脂組成物が得られる。

0037

一分子中に1個以上の自己開裂型光ラジカル発生部位及び、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(a)としては、例えば、下記式(1)で表される化合物(a1)を用いることができる。

0038

0039

(ただし、式(1)においてR1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は、一価有機基である。Xは2価の基であり、Yは1価の基である。)

0040

この化合物(a1)は、−(C=O)−Yで表される自己開裂型光ラジカル発生部位を有しており、カルボニル炭素と1価の基Yの間で結合が開裂して2つのラジカルを生成する。生成したラジカルのうち、ベンゾイルラジカル構造を含む断片が失活して、独立した分子構造を持つベンズアルデヒド又はその類似体になると、揮発しやすく且つ臭気の大きな原因となる。これに対し、化合物(a1)のエチレン性不飽和基は、開裂によりベンゾイルラジカル構造を含む断片となる部分に結合しているので、臭気の大きな原因となるベンズアルデヒド又はそれに類似する構造が、硬化物のマトリックス構造に結合し固定される。従って、この場合には臭気の強い低分子分解物の生成量が極めて少なくなるので、臭気を軽減する効果が大きい。

0041

化合物(a1)のエチレン性不飽和基上に存在するR1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は、飽和又は不飽和の一価有機基である。一価の有機基は、C以外の異種原子及び/又は置換基を含んでいても良い。好ましいR1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和アルキル基、飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、飽和又は不飽和ヒドロキシアルキル基であり、特に好ましくは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、メチル基トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基である。特に、価格やラジカル反応速度の観点、最終的な塗膜物性の観点から、エチレン性不飽和基は、R1が水素原子、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基であり、且つ、R2及びR3がそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子であることが最も好ましい。

0042

エチレン性不飽和基の好ましい例としては、アクリロイル基メタクリロイル基、2−トリフルオロメチルアクリロイル基、及び、無置換ビニル基が挙げられる。

0043

上記式(1)において、自己開裂型光ラジカル発生部位に含まれる1価の基Yとしては、例えば、脂肪族エーテル脂肪族アミン骨格を含む構造が挙げられ、特に脂肪族級アミン構造を持つ基であることが好ましい。

0044

また、式(1)において、エチレン性不飽和基と自己開裂型光ラジカル発生部位を連結している化学構造Xは、2価以上のいかなる化学構造を持つものでも良いが、代表的には2価の有機基であり、例えば、下記式(2)で表す化学構造とすることができる。

0045

0046

上記式(2)で表される2価の有機基において、X1は2価の有機基であり、X2はエチレン性不飽和基に結合する事が可能な結合であれば良く、また、X3はベンゾイル構造に結合する事が可能な結合であれば良い。

0047

2価の有機基X1の構造は特に限定されない。具体的には直鎖、分岐、又は、環状のアルキレン基であって、いずれも炭素数が1〜15程度が好ましい。但し、これらの飽和アルキレン基は、炭素骨格の途中に、脂肪族及び/又は芳香族の環状の部位、及び/又は、エステル結合エーテル結合チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合ウレタン結合ウレア結合チオカルバメート結合、カルボジイミド結合、又は、カーボネート結合等の付加的構造を単独で又は2種以上を組み合わせて含んでもよい。2価の有機基X1は、例えば、ポリカプロラクトン構造のように一定の繰返し単位からなるポリマー鎖であっても良い。

0048

エチレン性不飽和基に結合可能な構造X2としては、具体的には、単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、チオカルバメート結合、カルボジイミド結合、カーボネート結合等が例示されるが、公知の2価の結合であれば特に限定されない。

0049

X2は、特に、価格や入手のしやすさ、合成の簡便さ等の点から単結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、チオカルバメート結合、又は、カーボネート結合等が好ましい。

0050

また、ベンゾイル構造に結合可能な構造X3としては、上記構造X2と同様の構造とすることができるが、化合物(a1)の吸収波長を調整し、照射波長に吸収を多く持たせることができる基であることが好ましい。

0051

上記式(1)で表される化合物(a1)に属する化合物として、より具体的なものとしては、下記式(3)で表される化合物(a3)を例示することができる。

0052

0053

(ただし、式(3)においてR1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機基である。R4及びR5は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜15(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基である。R6及びR7は、それぞれ独立して一価の有機基であり、O、N、S、Si等のC以外の異種原子を含んでいても良く、R6とR7が結合して環構造を形成していても良い。X1は2価の有機基であり、X2及びX3’は、それぞれ独立して2価の基である。)

0054

この化合物(a3)は、ベンゾイル構造のパラ位にS(硫黄)が結合しており、且つ、当該ベンゾイル構造のカルボニル炭素に、アルキル置換されていても良いメチレン基を介して3級アミン構造が結合した構造を持っている。この構造は、ラジカル生成能力が高い。一般的に、Sを含むベンゾイルラジカルが失活し、独立した分子構造を持つベンズアルデヒド類似体が生成すると、これが揮発し、非常に強い悪臭を放つ。これに対して化合物(a3)を用いる場合には、ベンゾイルラジカルが生成しても、Sを含むベンズアルデヒド類似体が揮発しないので、臭気が著しく軽減される。

0055

また、ベンゾイルラジカルと共に生成するアミノラジカルは、ラジカル連鎖反応を開始する能力が高いため、この部分が反応系内で自由に動き回れる場合には、特に高い感度が得られる。化合物(a3)を用いる場合には、アミノラジカルの部分にはエチレン性不飽和結合がないので、アミノラジカルは感光性樹脂組成物中で自由に動くことができる。従って、高い感度が得られる。

0056

上記式(3)で表される化合物(a3)に属する化合物として、より具体的なものとしては、下記式(4)で表される化合物(a4)を挙げることができる。

0057

0058

(ただし、式(4)においてR1乃至R7は、式(3)と同じである。nは0〜15、より好ましくは0〜8の整数である。)

0059

この化合物(a4)の3級アミン構造部分は、モルフォリン骨格を有している。この化合物から生成するアミノラジカルは、最終的に失活した時に、独立した分子構造のモルフォリン又はその類似体になり揮発するが、モルフォリン類はベンズアルデヒド類に比べて臭気は弱い。従って、作業環境への悪影響は小さい。またモルフォリン類は揮発性が高いため、光照射やポストベーク等の製造工程で容易に製品から除去され、残留が少ない。従って、モルフォリン骨格を有する分解物は、最終製品の耐熱性、安定性、信頼性を損なうおそれが小さい。

0060

本発明の光ラジカル発生剤である化合物(a)の照射感度を向上させるためには、当該化合物に含まれるラジカル発生部位が照射光によって励起し、ラジカルを発生させ易い化学構造とすることが望ましい。そのためには、化合物(a)に含まれる置換基(例えば上記R4〜R7)や連結構造(例えば上記X)を選定して、光の吸収波長をシフトさせたり、吸光係数を変化させることが有効と考えられる。

0061

実用的な感度を得るためには、上記した置換基や連結構造の選定により、化合物(a)の吸収波長の一部が、プロセスにおける露光光源照射光源)に含まれるいずれかの波長の発光波長と重なる様にすることが好ましく、特に、化合物(a)の吸収極大が、該吸収極大に最も近い発光波長の値の±20%以内に入ることが好ましく、±10%以内に入ることがさらに好ましい。

0062

同じく感度の点から、プロセスにおける露光光源(照射光源)の発光のいずれかの波長において、化合物(a)のモル吸光係数が0.1以上であることが好ましい。ここでモル吸光係数εとは、Lambert−Beerの法則から導き出される関係で、以下の式で表される。
A=εcb
A=吸光度
b=試料中の光路長(cm)
c=溶質の濃度(mol/L)

0063

通常、同じ濃度の溶液を用い、同じ光路長のセルによって、入射波長を変化させながら吸光度の変化を記録すると、波長によって吸光度が変化し、測定対象とされる化合物に固有の波長において最大モル吸光係数εMAXを示す。上記露光波長における前記化合物(a)のモル吸光係数が0.1以上とは、当該化合物(a)を用いて露光を行う際に採用する波長のいずれかで測定した時のモル吸光係数が0.1以上と言う意味であり、最大モル吸光係数εMAXが0.1以上と言う意味ではない。

0064

一般的な高圧水銀ランプの場合、365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)の3つの大きな発光があるが、実際は、333nm等にも発光があるため、これらの波長付近に化合物(a)の吸収極大があれば良い。また、F2エキシマレーザー(157nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)等で照射を行なう場合には、これらの波長付近に吸収を有していればよい。具体的には、365nm付近の吸収極大は365±73nmの範囲に入るのが好ましく、365±37nmの範囲に入るのがさらに好ましい。

0065

上記した汎用性の高い露光光原の主要な発光波長である157nm、193nm、248nm、365nm、405nm、436nmのいずれかの波長の少なくとも一つと重なる領域に吸収波長が重なる場合には、露光波長として利用するのに便利であり、その波長におけるモル吸光係数が0.1以上であることが特に好ましい。

0066

所望の波長に対して吸収波長をシフトさせる為に、どのような置換基を導入したら良いかという指針として、Interpretation of the Ultraviolet Spectra of Natural Products (A.I.Scott 1964)や、有機化合物スペクトルによる同定法第5版(R.M.Silverstein 1993)に記載の表を参考にすることができる。

0067

上記化合物(a)からなる本発明の光ラジカル発生剤を用いる場合には、自己開裂型光ラジカル発生部位の開裂により生成した断片が、エチレン性不飽和基を介して硬化物のマトリックス構造に結合するので、マトリックス構造から独立した揮発性の高い低分子分解物の残留が極めて少ない。従って、最終的に得られる硬化膜の安定性も向上し、塗膜の耐光性悪化、着色や退色、塗膜の剥がれやクラックを防止することができる。

0068

耐熱性の点から、本発明に係る光ラジカル発生剤の5%重量減少温度は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることが更に好ましく、130℃以上であることが特に好ましい。
ここで、5%重量減少温度とは、後述の本発明の実施例と同様の手法で、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
上記光ラジカル発生剤は、塗布適性、硬化後の透明性、露光時の感度等を向上させる点から、樹脂組成物に配合する時の溶解性が高いことが好ましい。

0069

塗布時の塗工適性の点からは、光ラジカル発生剤は特に溶剤に対する溶解性が高いことが好ましい。具体的には、使用する溶剤、特に後述する汎用溶剤のいずれかに対する光ラジカル発生剤の溶解性が0.1重量%以上であることが好ましい。

0070

また、溶剤を用いて透明に溶解した樹脂組成物であっても、その中に含有される固形分同士の相溶性が低い場合には、塗膜を乾燥している途中で塗膜内に析出物が生じ、充分な透明性が得られない。そのため、光学部材のように透明性が高い塗膜又は成形体が要求される場合には、樹脂組成物中の他の固形成分、特にエチレン性不飽和基を有する化合物等のラジカル反応性化合物との相溶性が高い光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。高い透明性が求められる場合には、樹脂組成物を硬化させて形成した塗膜の膜厚が10μmの時に、全光線透過率(JIS K7105)が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましい。

0071

光ラジカル発生剤のラジカル反応性化合物に対する溶解性が高い場合には、開始剤としての作用が向上するので、露光時の感度にも優れる。この点から、モノマー成分の代表としてアクリル酸メチルを用いて溶解性を評価したときに、光ラジカル発生剤の20℃におけるアクリル酸メチルに対する飽和濃度が、0.01mol/L以上であることが好ましい。

0072

光ラジカル発生剤の溶解性又は相溶性は、溶解させたい溶剤又は相溶させたい他の固形成分を考慮して化合物(a)の置換基(例えば上記R4〜R7)や連結構造(例えば上記X)を選定することにより向上させることができる。例えば、置換基としてカルボキシル基を選択した場合には、水や有機極性溶剤に溶解し易くなり、エステルを導入した場合には、エステル結合を有する溶剤や化合物への溶解性が向上する。

0073

本発明の光ラジカル発生剤である化合物(a)は、公知の種々の手法を用いて合成することができる。例えば、自己解裂型光ラジカル発生部位を持つ化合物を先ず合成し、その後、当該化合物へエチレン性不飽和基を導入する手法や、自己解裂型光ラジカル発生部位の構造に誘導可能な前駆体に先ずエチレン性不飽和基を導入し、その後、前駆体の一部を自己解裂型光ラジカル発生部位に誘導する手法等が挙げられるが、特に限定されない。

0074

上記式(a4)で表される化合物を合成する手法をこれより具体的に例示するが、本発明は下記方法により限定されるものではない。
先ず、原料としては、水酸基やアミノ基等の活性水素を有する置換基を持つ自己開裂型ラジカル発生剤を用いる。エチレン性不飽和基は、上記活性水素の部分に置換する。このような原料化合物は特に限定されないが、例えば、α−アミノアセトフェノンのベンゾフェノン部位にカプロラクトン変性した化合物を用いることができる。カプロラクトン変性部分は、1個から数個カプロラクトンを含んでいるものを用いることができる。このようなα−アミノアセトフェノンのカプロラクトン変性体の市販品としては、LUNA750(商品名:日本シイベルヘグナー(株))がある。

0075

次に、上記原料化合物と、トリエチルアミンを、脱水されたテトラヒドロフラン(THF)に投入攪拌する。そこへアクリル酸クロライドを、反応液薄層クロマトグラフィーで原料のスポットが無くなるまで徐々に添加し、必要に応じて引き続き、室温で1〜15時間程度、攪拌する。なお、反応溶媒は上記テトラヒドロフランに限定されず、有機極性溶媒等、最終生成物が溶解する溶媒であればよい。反応溶媒が脱水されていれば収率が向上するのでなお良い。

0076

上記攪拌後、反応液を分液ろうとに移し、1N・HClで処理し、トリエチルアミンを水層に移動させる。水層と油層に分離した後、油層を更に飽和NaHCO3溶液で処理し、未反応のアクリル酸クロライド由来のアクリル酸を水層に移動させ、油層と水層を分離する。分離した油層を、硫酸マグネシウム等の適当な脱水剤で脱水し、ろ過を行なう。このろ液から溶媒を留去したものをカラムクロマトグラフィー再結晶等で生成すれば、目的物が得られる。

0077

このようにして得られる本発明の光ラジカル発生剤は、自己開裂型の高い反応ポテンシャル(高感度)を持ちながら、光ラジカル開始剤由来の断片をマトリックス中に固定する能力が高く、溶剤やモノマー成分との溶解性にも優れているため、光を照射して励起させることによりラジカル重合等のラジカル反応を開始、進行させるための光ラジカル発生剤として用いられる。また、本発明の光ラジカル発生剤は、自己開裂型光ラジカル開始剤としての機能と重合性化合物としての機能を持っているので、それ自体が光ラジカル開始作用をもつ硬化反応性成分としても好適に用いられる。

0078

次に、本発明に係る感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という。)について説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、上述した光ラジカル発生剤を必須成分として含有し、必要に応じて、エチレン性不飽和基を有する化合物(b)、化合物(b)以外のラジカル反応性化合物、又は、ラジカル反応性化合物以外の硬化反応性化合物、高分子量バインダー成分、水素供与体、化合物(a)以外のラジカル発生剤、又は、その他の成分を含有してもよい。

0079

本発明に係る樹脂組成物を所定のパターンに塗布するか或いは所定の形状に成形した後に光照射を行うと、光ラジカル反応が開始され、配合成分によってラジカル重合、ラジカル二量化ラジカル架橋等の様々なラジカル反応が進行し、硬化及び/又は溶解性の変化を引き起こす。このラジカル反応の際に、化合物(a)からなる光ラジカル発生剤は、自己開裂型ラジカル発生剤として作用し、効率良くラジカルを発生させるので、高い感度が得られる。また、化合物(a)は、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有するので、開裂により生成した断片の少なくとも一方は、エチレン性不飽和基の反応により硬化物のマトリックスに結合し、その化学構造の一部となる。その結果、ラジカル発生剤に由来する低分子分解物の量は、従来の自己開裂型ラジカル発生剤を用いる場合と比べて極めて少ない。従って、露光時やポストベーク時に、低分子分解物の揮発量が少なくなり、臭気が軽減し、揮発した低分子分解物の再凝固も少なくなる。また、硬化後の成形体や塗膜は、マトリックスから独立した状態で存在する低分子分解物の残留が少ないため、高耐熱性、高安定性となる効果がある。従って、最終製品の信頼性を低下させる問題も解決する。

0080

さらに、上記化合物(a)からなる光ラジカル発生剤はエチレン性不飽和基を有しておりラジカル反応性化合物としても機能するため、本発明では、他のラジカル反応性化合物を混合しなくても光硬化性を有する樹脂組成物を調製することができる。

0081

ここで、架橋とは、架橋結合を生成することをいい、架橋結合とは、鎖状に結合した原子からなる分子のうちの任意の2原子間に橋をかけるようにして形成された結合をいい、この場合の結合は、同一分子内でも他分子間でも良い(化学辞典東京化学同人 p.1082)。なお、ここでの「鎖状」には、脂環式環状構造が含まれる。

0082

エチレン性不飽和基を有する化合物(b)は、ラジカル重合可能な硬化反応性化合物として従来から広く利用されており、応用範囲が広いことから、本発明においても好適に用いられる。化合物(b)としては、エチレン性不飽和結合を1つ又は2つ以上有する化合物、及び、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合と共に他の官能基を有する化合物を用いることができ、例えば、前述したエチレン性不飽和基含有化合物、更に、アミド系モノマー、(メタアクリレートモノマーウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル化合物を挙げることができる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。

0083

アミド系モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムアクリロイルモルフォリン等のアミド化合物がある。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、ヘキサヒドロフタルイミドエチルアクリレート、コハクイミドエチルアクリレート等のイミドアクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノールアルキレンオキシド付加物のアクリレート類及びそのハロゲン核置換体;エチレングリコールモノまたはジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等の、グリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールおよびそのアルキレンオキサイドの(メタ)アクリル酸エステル化物イソシアヌール酸EO変性ジまたはトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。

0084

ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオールポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールシクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられ、ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸コハク酸フタル酸ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。

0085

また、上記ポリオールと反応させる有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。

0086

ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。

0087

エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノールあるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加反応体等が挙げられる。

0088

エチレン性不飽和基を有する化合物は、ラジカル重合性化合物又はラジカル重合以外のラジカル反応性化合物を3次元架橋する点からはエチレン性不飽和結合を2個以上、特に3個以上有することが好ましい。

0089

また、樹脂組成物を、電子部材やカラーフィルター等の用途で露光によりパターンを形成するレジストとして用いる場合には、樹脂組成物のアルカリ現像性を向上させるために、エチレン性不飽和基を有する化合物(b)として、カルボキシル基やフェノール性水酸基スルホン酸基、水酸基等のアルカリ可溶性や、親水性の官能基を有するものを用いても良い。
また、化合物(b)等のラジカル反応性の硬化性成分は、照射光に対する樹脂組成物の感度を阻害しないために、照射波長と自己開裂型光ラジカル発生部位の吸収波長が重なる波長領域に吸収を持たないことが好ましい。

0090

本発明の感光性樹脂組成物には、当該組成物の未硬化状態での成膜性及び硬化後の塗膜物性を調節するために、バインダー樹脂として高分子化合物又はラジカル反応以外の反応形式を持つ硬化反応性化合物を配合しても良い。
上記バインダー樹脂としては、樹脂組成物の用途に合わせて公知のあらゆる高分子化合物又はラジカル反応以外の反応形式をもつ硬化反応性化合物を用いることができる。また、高分子化合物としては、非反応性高分子、及び、エチレン性不飽和基等の硬化性反応基を持つ高分子のいずれを用いても良い。

0091

例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネート;酢酸ビニル塩化ビニルアクリル酸エステルメタクリル酸エステル等のアクリル又はビニル化合物の重合体及び共重合体ポリスチレン等のスチレン系樹脂ホルマール樹脂ブチラール樹脂等のアセタール樹脂シリコーン樹脂フェノキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂;ポリウレタン等のウレタン樹脂フェノール樹脂ケトン樹脂キシレン樹脂ポリアミド樹脂ポリイミド樹脂ポリエーテル樹脂ポリフェニレンエーテル樹脂ポリベンゾオキサゾール樹脂環状ポリオレフィン樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂ポリアリレート樹脂ポリスチレン樹脂ノボラック樹脂ポリカルボジイミドポリベンゾイミダゾールポリノルボルネン等の脂環式高分子;シロキサン系高分子等の公知のあらゆる高分子化合物又は硬化反応性化合物が挙げられる。

0092

これらの高分子化合物又はラジカル反応以外の硬化反応性化合物は、単独で用いても、2種以上を組合わせて用いても良い。バインダー成分である高分子化合物は、樹脂組成物の用途にもよるが重量平均分子量が通常、3000以上であることが好ましい。また、分子量が大きすぎると、溶解性や加工特性の悪化を招くことから、重量平均分子量が通常、10,000,000以下であることが好ましい。

0093

樹脂組成物中における本発明の光ラジカル発生剤の量は、良好な硬化速度と高い架橋密度を確保し、塗膜の強度やガラス転移温度を向上させるためには充分なラジカル発生量を得る必要があり、かかる点から樹脂組成物の固形分全体の0.1重量%以上であることが好ましい。さらに、照射感度や塗膜の物性の点から、光ラジカル発生剤の量は、樹脂組成物の固形分全体の1重量%以上であることが好ましい。なお、感光性樹脂組成物の固形分とは溶剤以外の全成分であり、液状のモノマー成分も固形分に含まれる。

0094

エチレン性不飽和基を有する化合物(b)は、充分な光硬化性を得るために、樹脂組成物の固形分全体の1重量%以上であることが好ましい。なお、化合物(b)及びその他のラジカル反応性化合物に対する光ラジカル発生剤の混合割合は、それらのラジカル反応性化合物の種類及び量、或いは、樹脂組成物の用途に応じて適宜選択できる。

0095

高分子又はラジカル反応以外の硬化反応性化合物等のバインダー樹脂を用いる場合には、用途に応じて、樹脂組成物全体の固形分の1重量%以上97重量%以下が好ましい。バインダー成分樹脂が97重量%よりも多い場合は、光による硬化性が低下しやすい。

0096

本発明の樹脂組成物を光硬化させる際には、ラジカル反応を促進するために、必要に応じて化合物(a)と共に、その他の光ラジカル発生剤を使用しても良い。その他の光ラジカル発生剤を併用する場合には、当該他の光ラジカル発生剤が分解物を生じさせ、硬化膜の変色や物性、分解物の揮発、樹脂組成物の安定性、保存性等の問題を起こす可能性がある。しかしながら、化合物(a)の併用によって他の光ラジカル発生剤の使用量を少なくすることができるので、他の光ラジカル発生剤しか用いない場合と比べて、上記諸問題は発生し難く、仮に発生したとしても程度が軽いので、充分なラジカル反応性を引き出しながらも、光ラジカル発生剤による問題を実用的に許容できる程度に抑えることができる。

0097

その他の光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリブチルアントラキノン、1−クロロアトラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。

0098

これらの光ラジカル発生剤は単独で使用することも、安息香酸系アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。これら光ラジカル発生剤の好ましい配合割合は、樹脂組成物の固形分全体に対して0.1重量%以上35重量%以下で、より好ましくは、1重量%以上10重量%以下である。

0099

本発明に係る樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料界面活性剤レベリング剤可塑剤微粒子増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子コロイダルシリカカーボン層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
これら任意成分の配合割合は、樹脂組成物の固形分全体に対し、0.1重量%〜95重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、95重量%を越えると、樹脂組成物の特性が最終生成物に反映されにくい。

0100

照射光を吸収してしまうような成分を樹脂組成物中に多量に配合する場合には、光ラジカル発生剤である化合物(a)に光が十分到達しなくなり、感度が低下する。そのため、樹脂組成物の感度を重視する点から、照射光源の発光波長と樹脂組成物に混合されている化合物(a)の吸収波長が重なる波長領域における、化合物(a)以外の成分の透過率が20%以上であることが好ましい。

0101

また、本発明に係る樹脂組成物は、溶剤を用いて適切な濃度に希釈しても良い。溶剤としては各種の汎用溶剤、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトンアセトンメチルイソブチルケトンシクロペンタノンシクロヘキサノンなどのケトン類酢酸エチル酢酸ブチル酢酸n−プロピル酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテートエチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテートエトキシプロピルアセテート、修酸ジメチル、乳酸メチル乳酸エチル等のエステル類エタノールプロパノールブタノールヘキサノールシクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールグリセリン等のアルコール類塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタンクロロベンゼンブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類γ−ブチロラクトン等のラクトン類ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエンキシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。また、反応性希釈剤として、常温液体エチレン性不飽和化合物等、反応性基を構造中に有するような化合物を溶剤として用いても良い。これらの溶媒は単独もしくは組み合わせて用いられる。また、これら溶剤は、通常例えば孔径0.05μm〜0.2μm程度のフィルター等、既知の種々の方法で不純物を濾過して用いても良い。

0102

樹脂組成物は、必須成分である光ラジカル発生剤に、必要に応じてエチレン性不飽和基を有する化合物(b)等の硬化反応性化合物、高分子バインダー成分等の任意成分を、場合や用途に応じて攪拌等して混合することにより調製できる。

0103

このようにして得られる本発明に係る樹脂組成物は、パターン形成材料(レジスト)、コーティング材、印刷インキ、接着剤、充填剤電子材料成形材料、3次元造形等、光の照射によって硬化したり又は溶解性が変化する材料が用いられている公知の全ての分野・製品に利用できるが、特に、耐熱性が必要で高度の信頼性を要求される、塗料、印刷インキ、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料を形成するのに適している。

0104

例えば、カラーフィルターの場合には、画素部、当該画素部の境界に設けられる遮光部(ブラックマトリックス)、保護膜、セルギャップを維持するためのスペーサーを上記感光性樹脂組成物の硬化物により形成することができる。
電子部品の場合には、例えば、半導体装置アンダーフィル剤封止剤、等が例示できる。
層間絶縁膜としては、耐熱性、絶縁信頼性が要求されるビルドアップ基板用の層間絶縁膜や燃料電池における層間絶縁膜、自動車部品家電製品絶縁コーティング、等を上記感光性樹脂組成物の硬化物により形成することができる。

0105

また、配線保護膜としては、プリント配線板の表面の配線保護層であるソルダーレジストや、電線の表面被覆、等が例示できる。
光学部材の場合には、各種光レンズオーバーコートや、反射防止膜、光導波路分波装置等の光回路部品、レリーフ型、及び体積型のホログラム、等が例示できる。
建築材料の場合には、壁紙、壁材床材その他の揮発成分の少ない表皮材料接着粘着材料インキ等が例示できる。
本発明に係る印刷物、カラーフィルター、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光学部材、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム又は建築材料は、高耐熱性、高安定性の感光性樹脂組成物の硬化物により少なくとも一部分が形成されているため、高耐熱性、高安定性であり、そのため生産の歩留まりも高いというメリットがある。

0106

(実施例1)
500mlのなす型フラスコに、α−アミノアセトフェノンのベンゾフェノン部位に複数のカプロラクトン変性が施されたものの混合物であるLUNA750(商品名:日本シイベルヘグナー(株))5gと4−ジメチルアミノピリジンDMAP)12.5gと、乾燥させたトルエン300mlを入れ、攪拌した。そこに、アクリル酸クロライド3mlを滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、反応液の薄層クロマトグラフィーで原料のスポットが無くなるまで、1時間おきにアクリル酸クロライドを1mlずつ滴下した。反応終了後、反応液を分液ろうとにて、蒸留水飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で処理を行なった後に、有機溶剤層を硫酸マグネシウムで脱水し、ロータリーエバポレーターによって溶媒を留去した。その反応液をカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記式(5)で表される化合物1を単離した。この化合物1は、末端にアクリロイル基が導入された6量体のカプロラクトン変成部位がラジカル発生部位のベンゾイル基側から伸びる構造を持つ。

0107

0108

(実施例2)
実施例1のLUNA750の代わりに、下記式(6)で表される原料化合物Aと基本骨格が共通でカプロラクトン変性部位繰り返し単位数が異なるものの混合物であって、当該原料化合物Aを主体とするものに、実施例1と同様の手法でアクリル酸クロライドを反応させ、精製して、下記式(7)で表される化合物2を単離した。この化合物2は、化合物(A)の3量体カプロラクトン変成部位末端にアクリロイル基が導入された構造を有する。

0109

0110

(実施例3)
実施例1のLUNA750の代わりに、下記式(8)で表される原料化合物Bと基本骨格が共通でカプロラクトン変性部位の繰り返し単位数が異なるものの混合物であって、当該原料化合物Bを主体とするものに、実施例1と同様の手法でアクリル酸クロライドを反応させ、精製して、下記式(9)で表される化合物3を単離した。この化合物3は、化合物Bの3量体カプロラクトン変成部位の末端にアクリロイル基が導入された構造を有する。

0111

0112

(実施例4)
実施例1のLUNA750の代わりに、下記式(10)で表される原料化合物Cと基本骨格が共通でカプロラクトン変性部位の繰り返し単位数が異なるものの混合物であって、当該原料化合物Cを主体とするものに、実施例1と同様の手法でアクリル酸クロライドを反応させ、精製して、下記式(11)で表される化合物4を単離した。この化合物4は、化合物Cの3量体カプロラクトン変成部位の末端にアクリロイル基が導入された構造を有する。

0113

0114

2.評価試験
(1)耐熱性評価
差動型示差熱天秤(製品名:TG8120、(株)リガク製)を用いて、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で、化合物1の5%重量減少温度を測定した。比較例として、LUNA750(商品名、日本シイベルヘグナー(株))及びイルガキュア907(商品名、チバスシャルテケミカルズ製)についても、同様に測定を行なった。LUNA750とイルガキュア907は、いずれも自己解裂型光ラジカル開始剤である。特にLUNA750は、化合物1の原料であり、カプロラクトン変成部位がラジカル発生部位のベンゾイル基側から伸びる構造を持つ。

0115

化合物1及び各比較化合物の5%重量減少温度を表1に示す。化合物1は、アクリロイル基を導入することで、同一骨格の光重合開始部位を有するLUNA750やIrg907に比べて、大幅に5%重量減少温度が向上したことが確認された。この結果より、自己開裂型光ラジカル発生剤にアクリロイル基を導入することで耐熱性が向上し、加熱による揮発成分の生成が大幅に低減できることが分かった。

0116

0117

(2)硬化性評価
多官能モノマーとして3官能ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(商品名:M305、東亞合成(株)製)を用い、化合物1〜4、LUNA750(商品名、日本シイベルヘグナー(株)製)、及び、イルガキュア907(商品名、チバスペシャルティケミカルズ製)を、それぞれ多官能モノマーの2重結合に対して、光ラジカル発生剤部位がモル比で1/50になる様に混合し、THF溶液を調製した。各溶液を、クロムスパッタしたガラス基板上にスピンコートし、塗膜を得た。また、開始剤成分を含有しない3官能アクリレートのみの塗膜をブランクとした。

0118

上記塗膜をUV露光しながら、赤外分光装置(製品名:FTS6000、BIORAD社製)で810cm−1のピーク減少量を経時的に記録し、2重結合の消失が、どの程度進行しているか確認した。測定時のサンプル周囲の雰囲気は窒素置換した。UV露光装置はウシ電機製UVスポットキュアSP-III型標準反射鏡タイプ)を用い、UVランプは、USH-255BY(ウシオ電機製)を用いた。

0119

3官能アクリレートM305との相溶性、露光時の臭気、露光量に対する2重結合の減少量(反応率)、塗膜の着色について観察した結果を表2に示す。

0120

0121

この結果より、化合物1は、LUNA750と比べて、アクリロイル基の導入により若干反応率の減少はあるものの、イルガキュア907と比べてむしろ反応率が向上し、良好な感度を示す事がわかった。同様のラジカル発生部位を有するイルガキュア907に比較して反応率が大きいのは、化合物1及びLUNA750の骨格に導入されている側鎖であるカプロラクトン部位が柔軟な骨格であることから、塗膜の流動性が高まり、ラジカルや反応性基の運動性が向上したためであると推測される。
また化合物1及び2は、塗膜の着色の程度は大きいものの感度が高く、高い感度が要求される場合に好適であり、化合物3及び4は、比較的感度は低いものの着色が少なく、高い透明性を要求される用途に好適であると考えられる。

0122

(3)アウトガス試験
化合物1とペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(商品名:M−305 東亞合成(株)製)を、化合物1の2重結合とPETAの2重結合がモル比で1/50(=化合物1/PETA)となる割合で混合し、さらにクロロホルムで固形分が20wt%となるように希釈した。(感光性樹脂組成物1)
また、化合物1の代わりに化合物2〜4を用い、同様の手法で感光性樹脂組成物2〜4を調製した。

0123

上記感光性樹脂組成物1〜4を、ガラス基板上にスピンコートし、50℃のホットプレート上で1分間加熱後、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA-1200)を用い、高圧水銀灯によりh線換算で2000mJ/cm2の露光を行ない、厚さ25μmの塗膜を得た。
比較例として、イルガキュア907についても同様の手順で感光性樹脂組成物を調製し、塗膜を得た。

0124

塗膜が形成された各ガラス基板を、1cm×1.5cmの大きさに切り出し、250℃で1時間加熱した時に発生したガスを、GC-MS((株)島津製作所製 QP-5000)を用いて分析した。その他の測定条件は以下の通りである。
捕集装置 :日本分析工業(株)キューリーポイントパージアンドトラップ(JHS-100A型)
加熱条件:250℃×60min
吸着剤:TENAX TA(2,6-Diphenyl-p-Phenylene Oxide) 弱極性
捕集温度 :−40℃(冷却に液体窒素使用)
熱分解温度:255℃×30s
注入口温度:250℃
カラム:5%フェニル−95%ジメチルシロキサン(PTE-5) 微極性
内径:0.25μm 長さ:30m
カラム温度:50℃×5min(保持)−10℃/min(昇温)−320℃×3min(保持)
イオン化法電子衝突イオン化法(EI法)
検出器四重極型検出器

0125

アウトガス試験の結果、化合物1〜4又はイルガキュア907を用いたサンプルからはいずれも、多官能モノマーM-305由来の分解物が検出された。
また、化合物1を用いた塗膜からの開始剤由来のアウトガス成分としては、モルフォリン骨格を有する化合物が若干検出されたが、芳香環を含むような化合物は検出されなかった。一方、イルガキュア907を用いた塗膜からの開始剤由来のアウトガス成分としては、若干のモルフォリン骨格を有する化合物に加えて、ベンズアルデヒドやアセトフェノン等の芳香環を含む化合物が検出された。
化合物3、4についてもアウトガス成分として芳香族化合物は検出されなかった。化合物2については、芳香族化合物は検出されたものの、ベンズアルデヒド、アセトフェノンは検出されなかった。
以上の事実より、本発明の化合物は、開始剤由来のアウトガスのうち特に臭気の原因となる芳香環を含む成分の低減に有効である事が分かった。

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