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技術 レーダ装置

出願人 TDK株式会社
発明者 横山健倉田仁義
出願日 2004年8月4日 (16年4ヶ月経過) 出願番号 2004-228450
公開日 2005年5月12日 (15年7ヶ月経過) 公開番号 2005-121630
状態 特許登録済
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード チップ抵抗素子 等分配器 最大計測距離 受信マイクロ波 マイクロ波パルス 送信基準信号 マイクロ波送信 送信マイクロ波
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重要な関連分野

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図面 (13)

課題

対象物までの距離や当該対象物との間における相対速度に依存することなく、常に受信ミキサからの出力を得ることができ、誤判断を行うことを回避することができるレーダ装置を提供する。

解決手段

パルスレーダ装置は、所定の周波数及び振幅を有する局部発振信号と、対象物OBによって反射された電波とに基づいて、互いに位相の異なる2つの受信パルス信号復調する。これにより、受信パルス信号を確実に得ることができ、誤判断を防止できる。

概要

背景

近年、例えば車両等に搭載することを目的とし、所定の正弦波に対してパルス変調を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するパルスレーダ装置が提案されている。

この種のパルスレーダ装置におけるRF(Radio Frequency)回路は、図9に示すように、所定の周波数及び振幅を有する正弦波からなる局部発振信号LOを発振する局部発振器101と、この局部発振器101によって発振された局部発振信号LOを2つの信号に分配する分配器102と、送信パルス信号TPを生成するパルスジェネレータ103と、分配器102によって分配された局部発振信号LOに対してパルスジェネレータ103によって生成された送信パルス信号TPによってパルス変調を施す送信スイッチ104と、この送信スイッチ104によってパルス変調が施された送信パルス変調信号TSを電波として送信する送信アンテナ105と、対象物OBによって反射された電波を受信信号RSとして受信する受信アンテナ106と、この受信アンテナ106によって受信した受信信号RSを増幅する低雑音増幅器107と、この低雑音増幅器107によって増幅された高周波信号RFと分配器102によって電力が分配された局部発振信号LOとを混合する受信ミキサ108とを備える。なお、同図においては、明確化のため、各信号経路伝搬する信号波形の様子もあわせて示している。

このようなパルスレーダ装置は、局部発振器101によって発振された局部発振信号LOを、分配器102を介して送信スイッチ104と受信ミキサ108とに供給する。そして、パルスレーダ装置は、パルスジェネレータ103によって生成された送信パルス信号TPに基づいて、送信スイッチ104をオンオフすることにより、分配器102によって電力が分配された局部発振信号LOに対してパルス変調を施し、得られた送信パルス変調信号TSを、送信アンテナ105を介して電波として送信する。このようにして送信アンテナ105から放射された送信パルス変調信号TSは、対象物OBによって反射され、受信アンテナ106によって受信される。

一方、パルスレーダ装置は、受信アンテナ106によって受信信号RSを受信すると、当該受信信号RSが微弱であることから、これを低雑音増幅器107によって増幅し、振幅が大きい高周波信号RFを受信ミキサ108に供給する。そして、パルスレーダ装置は、高周波信号RFと分配器102によって電力が分配された局部発振信号LOとを受信ミキサ108によって混合することにより、パルスジェネレータ103によって生成された元の送信パルス信号TPと同じ周波数からなる受信パルス信号RPを復調する。このようにして復調された受信パルス信号RPは、図示しない中間周波数(Intermediate;IF)回路に供給される。

ここで、受信パルス信号RPは、例えば図10に示すように、対象物OBまでの距離に比例して、送信パルス信号TPから所定の遅延時間τだけずれたものとなる。このように、パルスレーダ装置は、受信パルス信号RPが、送信パルス信号TPに対して対象物OBまでの距離に比例して遅延することを利用して、送信パルス信号TPと受信パルス信号RPとを比較してその遅延時間τを計測することにより、当該対象物OBまでの距離を計測することができる。

なお、この種のパルスレーダ装置に関する技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。

特開平5−323021号公報

具体的には、この特許文献1には、パルス変調マイクロ波送信部からのマイクロ波パルスアンテナから送信するとともに、その反射波をアンテナによって受信し、受信処理部によって反射波の反射点までの距離を計測する電波式距離計測装置が開示されている。この電波式距離計測装置においては、送受共用部とアンテナとの間に信号遅延部を挿入することにより、送信マイクロ波パルス送信タイミング受信マイクロ波パルスが受信処理部に達する受信タイミングとの差分が最小である場合であっても、内部リーケージ成分の減衰時間よりも当該差分を長くすることができることから、内部リーケージ成分のみを減衰させることができ、近距離の計測を行うことが可能となるとしている。

概要

対象物までの距離や当該対象物との間における相対速度に依存することなく、常に受信ミキサからの出力を得ることができ、誤判断を行うことを回避することができるレーダ装置を提供する。パルスレーダ装置は、所定の周波数及び振幅を有する局部発振信号と、対象物OBによって反射された電波とに基づいて、互いに位相の異なる2つの受信パルス信号を復調する。これにより、受信パルス信号を確実に得ることができ、誤判断を防止できる。

目的

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、対象物までの距離や当該対象物との間における相対速度に依存することなく、常に受信ミキサからの出力を得ることができ、誤判断を行うことを回避することができるレーダ装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

所定の変調を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するレーダ装置において、搬送波として送信及び受信のそれぞれに供する所定の周波数及び振幅を有する局部発振信号と、前記対象物によって反射された電波を受信して得られた高周波信号とに基づいて、互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の受信復調信号復調する少なくとも2つ以上の復調手段と、前記復調手段のそれぞれによって復調された前記少なくとも2つ以上の受信復調信号の論理和をとる論理和手段とを備えることを特徴とするレーダ装置。

請求項2

前記局部発振信号を同位相の少なくとも2つ以上の信号に分配する分配手段と、前記高周波信号を互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の信号に分配して移相する分配及び移相手段とを備え、前記少なくとも2つ以上の復調手段は、前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の高周波信号のそれぞれと、前記分配手段によって分配された局部発振信号とに基づいて、前記少なくとも2つ以上の受信復調信号を復調することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項3

前記局部発振信号を互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の信号に分配して移相する分配及び移相手段と、前記高周波信号を同位相の少なくとも2つ以上の信号に分配する分配手段とを備え、前記少なくとも2つ以上の復調手段は、前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の局部発振信号のそれぞれと、前記分配手段によって分配された高周波信号とに基づいて、前記少なくとも2つ以上の受信復調信号を復調することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項4

前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の信号の位相差は、0°よりも大きく且つ180°よりも小さい範囲であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のレーダ装置。

請求項5

前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の信号の位相差は、60°以上且つ120°以下の範囲であることを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。

請求項6

前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の信号の位相差は、90°であることを特徴とする請求項5記載のレーダ装置。

請求項7

前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の信号の位相差は、必要とする最大計測距離及び/又は使用する送信電力に応じて設定されることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のレーダ装置。

請求項8

前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の高周波信号間に生じた遅延時間を補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項2記載のレーダ装置。

請求項9

前記補正手段は、前記少なくとも2つ以上の復調手段のうち一の復調手段から出力される位相が変化していない受信復調信号の経路に、前記遅延時間と同一の時間だけ遅延させる遅延手段を設けていることを特徴とする請求項8記載のレーダ装置。

請求項10

前記補正手段は、前記論理和手段から出力される信号と比較される送信基準信号の経路にも、少なくとも前記遅延時間と同一の時間だけ遅延させる他の遅延手段を設けていることを特徴とする請求項9記載のレーダ装置。

請求項11

前記他の遅延手段は、前記遅延時間と同一の時間と前記論理和手段による処理時間とを加味した時間だけ遅延させるものであることを特徴とする請求項10記載のレーダ装置。

請求項12

前記所定の変調がパルス変調であり、前記受信復調信号は、前記局部発振信号に対してパルス変調を施すために用いられた送信パルス信号と同じ周波数からなる受信パルス信号であることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

請求項13

車両に搭載されていることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。

技術分野

0001

本発明は、所定の変調(例えばパルス変調)を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するレーダ装置に関する。

背景技術

0002

近年、例えば車両等に搭載することを目的とし、所定の正弦波に対してパルス変調を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するパルスレーダ装置が提案されている。

0003

この種のパルスレーダ装置におけるRF(Radio Frequency)回路は、図9に示すように、所定の周波数及び振幅を有する正弦波からなる局部発振信号LOを発振する局部発振器101と、この局部発振器101によって発振された局部発振信号LOを2つの信号に分配する分配器102と、送信パルス信号TPを生成するパルスジェネレータ103と、分配器102によって分配された局部発振信号LOに対してパルスジェネレータ103によって生成された送信パルス信号TPによってパルス変調を施す送信スイッチ104と、この送信スイッチ104によってパルス変調が施された送信パルス変調信号TSを電波として送信する送信アンテナ105と、対象物OBによって反射された電波を受信信号RSとして受信する受信アンテナ106と、この受信アンテナ106によって受信した受信信号RSを増幅する低雑音増幅器107と、この低雑音増幅器107によって増幅された高周波信号RFと分配器102によって電力が分配された局部発振信号LOとを混合する受信ミキサ108とを備える。なお、同図においては、明確化のため、各信号経路伝搬する信号波形の様子もあわせて示している。

0004

このようなパルスレーダ装置は、局部発振器101によって発振された局部発振信号LOを、分配器102を介して送信スイッチ104と受信ミキサ108とに供給する。そして、パルスレーダ装置は、パルスジェネレータ103によって生成された送信パルス信号TPに基づいて、送信スイッチ104をオンオフすることにより、分配器102によって電力が分配された局部発振信号LOに対してパルス変調を施し、得られた送信パルス変調信号TSを、送信アンテナ105を介して電波として送信する。このようにして送信アンテナ105から放射された送信パルス変調信号TSは、対象物OBによって反射され、受信アンテナ106によって受信される。

0005

一方、パルスレーダ装置は、受信アンテナ106によって受信信号RSを受信すると、当該受信信号RSが微弱であることから、これを低雑音増幅器107によって増幅し、振幅が大きい高周波信号RFを受信ミキサ108に供給する。そして、パルスレーダ装置は、高周波信号RFと分配器102によって電力が分配された局部発振信号LOとを受信ミキサ108によって混合することにより、パルスジェネレータ103によって生成された元の送信パルス信号TPと同じ周波数からなる受信パルス信号RPを復調する。このようにして復調された受信パルス信号RPは、図示しない中間周波数(Intermediate;IF)回路に供給される。

0006

ここで、受信パルス信号RPは、例えば図10に示すように、対象物OBまでの距離に比例して、送信パルス信号TPから所定の遅延時間τだけずれたものとなる。このように、パルスレーダ装置は、受信パルス信号RPが、送信パルス信号TPに対して対象物OBまでの距離に比例して遅延することを利用して、送信パルス信号TPと受信パルス信号RPとを比較してその遅延時間τを計測することにより、当該対象物OBまでの距離を計測することができる。

0007

なお、この種のパルスレーダ装置に関する技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。

0008

特開平5−323021号公報

0009

具体的には、この特許文献1には、パルス変調マイクロ波送信部からのマイクロ波パルスアンテナから送信するとともに、その反射波をアンテナによって受信し、受信処理部によって反射波の反射点までの距離を計測する電波式距離計測装置が開示されている。この電波式距離計測装置においては、送受共用部とアンテナとの間に信号遅延部を挿入することにより、送信マイクロ波パルス送信タイミング受信マイクロ波パルスが受信処理部に達する受信タイミングとの差分が最小である場合であっても、内部リーケージ成分の減衰時間よりも当該差分を長くすることができることから、内部リーケージ成分のみを減衰させることができ、近距離の計測を行うことが可能となるとしている。

発明が解決しようとする課題

0010

ところで、上述した従来のパルスレーダ装置においては、復調した受信パルス信号RPの振幅が得られない状況が生じる場合がある。

0011

具体的には、このような状況が生じる第1のケースとしては、当該パルスレーダ装置と対象物OBとの距離に起因した高周波信号RFと局部発振信号LOとの位相関係によるものがある。パルスレーダ装置においては、受信ミキサ108に入力される局部発振信号LOの位相が変化することはないが、高周波信号RFが受信ミキサ108に入力される際の位相は、対象物OBまでの距離に応じて変化する。

0012

ここで、受信ミキサ108として、いわゆるゲートミキサのように、2つの信号を所定の1ポイントに入力する形態のものを用いた場合には、入力された2つの信号を加算した信号が出力されることになる。そのため、従来のパルスレーダ装置においては、高周波信号RFと局部発振信号LOとの位相が180°ずれている場合には、受信パルス信号RPとして出力されるべき信号の振幅が“0”となる事態が発生することになる。また、従来のパルスレーダ装置においては、受信ミキサ108として、2つの信号を別系統で入力する形態のものを用いた場合には、高周波信号RFと局部発振信号LOとの位相差が90°になると、受信パルス信号RPとして出力されるべき信号の振幅が“0”となる事態が発生することになる。

0013

このように、従来のパルスレーダ装置においては、使用する受信ミキサ108の形態によるものの、高周波信号RFと局部発振信号LOとが受信ミキサ108に入力されることによって相殺し合う位相が存在することから、これら高周波信号RFと局部発振信号LOとの位相関係によっては、受信パルス信号RPとして出力されるべき信号の振幅が“0”となる状況が生じていた。したがって、従来のパルスレーダ装置においては、対象物OBまでの距離によっては出力が得られない距離が存在していた。

0014

また、受信パルス信号RPの振幅が得られない状況が生じる第2のケースとしては、当該パルスレーダ装置と対象物OBとの間における相対速度によるものがある。パルスレーダ装置においては、対象物OBとの間に相対速度がある場合には、いわゆるドップラ効果が生じることから、高周波信号RFの周波数は、当該相対速度に応じて変化する。すなわち、パルスレーダ装置においては、対象物OBとの間に相対速度がある場合には、高周波信号RFの周波数と局部発振信号LOの周波数との間に差異が生じることになる。例えば、高周波信号RFの周波数は、対象物OBが当該パルスレーダ装置から遠ざかっている場合には、周波数が一定である局部発振信号LOよりも低くなり、逆に、対象物OBが当該パルスレーダ装置に近付いている場合には、周波数が一定である局部発振信号LOよりも高くなる。

0015

したがって、従来のパルスレーダ装置においては、このような周波数の異なる2つの高周波信号RFと局部発振信号LOとを受信ミキサ108に入力した場合には、出力される受信パルス信号RPに、高周波信号RFの周波数と局部発振信号LOの周波数との差分がドリフト成分として現れることになる。

0016

具体的には、パルスレーダ装置においては、図11(a)に示すように、周波数がf=24GHzである局部発振信号LOと、ドップラ効果の影響によって周波数がf=24GHz−10kHzである高周波信号RFとが、受信ミキサ108に入力された場合には、図11(b)に示すように、受信パルス信号RPとして、本来のパルス波に対して高周波信号RFの周波数と局部発振信号LOの周波数との差分である10kHzのドリフト成分が重畳し、パルス波の振幅が10kHzの周期振動する信号が得られることになる。なお、これら図11(a)及び図11(b)においては、明確化のため、時間軸レンジ現実の値と一致していないことはいうまでもない。

0017

したがって、受信パルス信号RPは、図11(b)から明らかなように、時点a,b,c,dにおいて、振幅が“0”となる事態が発生する。換言すれば、受信パルス信号RPは、10kHzのドリフト成分の1周期において、振幅が“0”となるタイミングが2回出現することから、20kHzの周期で出力が得られないことになる。

0018

このように、従来のパルスレーダ装置においては、対象物OBとの間における相対速度に起因して、周波数の異なる高周波信号RFと局部発振信号LOとが受信ミキサ108に入力されることにより、受信パルス信号RPとして出力されるべき信号の振幅が“0”となる状況が生じていた。

0019

以上のように、従来のパルスレーダ装置においては、対象物OBとの距離、及び当該対象物OBとの間における相対速度の2つのケースが生じた場合には、受信パルス信号RPの振幅が得られないことから、対象物OBが存在しないものと誤判断してしまう事態を招来していた。

0020

本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、対象物までの距離や当該対象物との間における相対速度に依存することなく、常に受信ミキサからの出力を得ることができ、誤判断を行うことを回避することができるレーダ装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0021

上述した目的を達成する本発明にかかるレーダ装置は、所定の変調を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するレーダ装置において、搬送波として送信及び受信のそれぞれに供する所定の周波数及び振幅を有する局部発振信号と、前記対象物によって反射された電波を受信して得られた高周波信号とに基づいて、互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の受信復調信号を復調する少なくとも2つ以上の復調手段と、前記復調手段のそれぞれによって復調された前記少なくとも2つ以上の受信復調信号の論理和をとる論理和手段とを備えることを特徴としている。

0022

このような本発明にかかるレーダ装置においては、復調手段によって復調された少なくとも2つ以上の受信復調信号の振幅が同時に“0”となる場合は生じない。すなわち、本発明にかかるレーダ装置においては、少なくとも2つ以上の復調手段のうち、一の復調手段から出力される受信復調信号の振幅が得られない場合であっても、他の復調手段から出力される受信復調信号の振幅は得られる。したがって、本発明にかかるレーダ装置においては、少なくとも2つ以上の復調手段のそれぞれによって得られる受信復調信号の論理和をとることにより、対象物までの距離や当該対象物との間における相対速度に依存することなく、常に復調手段からの出力を得ることが可能となり、対象物が存在しないものと誤判断してしまう事態を回避することができる。

0023

具体的には、本発明にかかるレーダ装置は、高周波信号又は局部発振信号のいずれかを互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の信号に分配して移相することによって実現することができる。

0024

まず、本発明にかかるレーダ装置は、前記局部発振信号を同位相の少なくとも2つ以上の信号に分配する分配手段と、前記高周波信号を互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の信号に分配して移相する分配及び移相手段とを備えるものとして構成することができる。この場合、前記少なくとも2つ以上の復調手段は、前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の高周波信号のそれぞれと、前記分配手段によって分配された局部発振信号とに基づいて、前記少なくとも2つ以上の受信復調信号を復調することになる。

0025

また、本発明にかかるレーダ装置は、前記局部発振信号を互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の信号に分配して移相する分配及び移相手段と、前記高周波信号を同位相の少なくとも2つ以上の信号に分配する分配手段とを備えるものとして構成することもできる。この場合、前記少なくとも2つ以上の復調手段は、前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の局部発振信号のそれぞれと、前記分配手段によって分配された高周波信号とに基づいて、前記少なくとも2つ以上の受信復調信号を復調することになる。

0026

ここで、前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の信号の位相差は、受信復調信号の振幅が同時に“0”となる場合が生じずに、互いに補完し合うような位相差であればよく、0°よりも大きく且つ180°よりも小さい範囲とすることができる。

0027

特に、前記位相差としては、60°以上且つ120°以下の範囲とするのが望ましい。本発明にかかるレーダ装置においては、このように位相差を設定した場合には、受信復調信号の最大振幅の50%以上の値を取り得ることから、確実に対象物を検知することが可能となる。

0028

さらに、前記位相差としては、最小振幅として、受信復調信号の最大振幅の75%程度の値を取り得ることができる90°に設定するのが最適である。

0029

また、本発明にかかるレーダ装置においては、必要とする最大計測距離及び/又は使用する送信電力に応じて、前記位相差を設定することにより、状況に応じた最適な距離計測を行うことが可能となる。

0030

さらに、本発明にかかるレーダ装置は、前記分配及び移相手段によって分配された少なくとも2つ以上の高周波信号間に生じた遅延時間を補正する補正手段を備えることを特徴としている。これにより、本発明にかかるレーダ装置においては、分配及び移相手段によって少なくとも2つ以上の高周波信号のうち、一の高周波信号のみの位相を変化させることによって複数の高周波信号間に遅延時間が生じた場合であっても、この影響による計測誤差を回避することができ、より高い精度での距離計測を行うことができる。

0031

具体的には、前記補正手段としては、前記少なくとも2つ以上の復調手段のうち一の復調手段から出力される位相が変化していない受信復調信号の経路に、前記遅延時間と同一の時間だけ遅延させる遅延手段を設ければよく、さらに、前記論理和手段から出力される信号と比較される送信基準信号の経路にも、少なくとも前記遅延時間と同一の時間だけ遅延させる他の遅延手段を設ければよい。なお、前記他の遅延手段としては、前記論理和手段による処理時間による遅延の影響を回避するために、前記遅延時間と同一の時間と前記論理和手段による処理時間とを加味した時間だけ遅延させるものとしてもよい。

0032

さらにまた、本発明にかかるレーダ装置においては、前記受信復調信号を、前記局部発振信号に対してパルス変調を施すために用いられた送信パルス信号と同じ周波数からなる受信パルス信号とするのが現実的である。

0033

なお、本発明にかかるレーダ装置は、車両に搭載されるのが望ましい。これにより、本発明にかかるレーダ装置は、対象物までの距離の変動が激しく、また、当該対象物との間における相対速度も生じやすい車両の走行環境においても、受信復調信号の振幅が得られない状況が生じるのを回避することができ、誤判断を行うことなく高精度の距離計測を行うことができる。

発明の効果

0034

本発明によれば、受信復調信号の振幅が得られない状況が生じるのを回避することができ、誤判断を行うことなく高精度の距離計測を行うことができる。

発明を実施するための最良の形態

0035

以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

0036

この実施の形態は、パルス変調を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するパルスレーダ装置である。このパルスレーダ装置は、対象物までの距離や当該対象物との間における相対速度に起因して、受信パルス信号の振幅が得られない状況が生じるのを回避することができるものである。

0037

まず、第1の実施の形態として示すパルスレーダ装置について説明する。この第1の実施の形態として示すパルスレーダ装置は、対象物によって反射された電波を受信して得られた高周波信号を互いに位相が異なる2つの信号に分配して移相するものである。

0038

具体的には、パルスレーダ装置は、図1に示すように、所定の周波数及び振幅を有する正弦波からなる局部発振信号LOを発振する局部発振器11と、この局部発振器11によって発振された局部発振信号LOを2つの信号に分配する分配器12と、送信基準信号である送信パルス信号TPを生成するパルスジェネレータ13と、分配器12によって電力が分配された局部発振信号LOに対してパルスジェネレータ13によって生成された送信パルス信号TPによってパルス変調を施す送信スイッチ14と、この送信スイッチ14によってパルス変調が施された送信パルス変調信号TSを電波として送信する送信アンテナ15と、対象物OBによって反射された電波を受信信号RSとして受信する受信アンテナ16と、この受信アンテナ16によって受信した受信信号RSを増幅する低雑音増幅器17と、この低雑音増幅器17によって増幅された高周波信号RFを2つの信号に分配するとともに一方の信号を移相する分配及び移相器18と、この分配及び移相器18によって電力が分配された2つの高周波信号RFa,RFbのそれぞれと後述する分配器20によって電力が分配された局部発振信号LOとを混合する復調手段である2つの受信ミキサ19a,19bと、分配器12によって電力が分配された局部発振信号LOをさらに2つの信号に分配する分配器20と、受信ミキサ19a,19bによる混合によって復調された2つの受信復調信号である受信パルス信号RPa,RPbに対して各種信号処理を施す中間周波数(Intermediate;以下、IFという。)回路21とを備える。

0039

なお、これら各部のうち、局部発振器11、分配器12、パルスジェネレータ13、送信スイッチ14、及び送信アンテナ15は、送信パルス信号TPに対してパルス変調を施して送信パルス変調信号TSを送信する送信装置として構成され、局部発振器11、分配器12、受信アンテナ16、低雑音増幅器17、分配及び移相器18、受信ミキサ19a,19b、及び分配器20は、受信信号RSを受信して受信パルス信号RPa,RPbを復調する受信装置として構成される。すなわち、パルスレーダ装置は、これら送信装置及び受信装置と、受信装置によってダウンコンバートされた信号に対して処理を施すIF回路21とに大別されて構成される。

0040

局部発振器11は、搬送波として送信及び受信のそれぞれに供する所定の周波数及び振幅を有する正弦波からなる局部発振信号LOを発振する。この局部発振器11によって発振された局部発振信号LOは、分配器12に供給される。

0041

分配器12は、例えばいわゆるウィルキンソン型のものを用いることができ、局部発振器11によって発振された局部発振信号LOを同位相の2つの信号に分配する。この分配器12によって分配された2つの信号のうち、一方の局部発振信号LOは、送信装置における送信スイッチ14に供給され、他方の局部発振信号LOは、受信装置における分配器20に供給される。

0042

パルスジェネレータ13は、局部発振信号LOに対してパルス変調を施すために供する所定の周波数及び振幅からなる送信パルス信号TPを生成する。なお、送信パルス信号TPは、局部発振信号LOの周波数よりも低いものである。このパルスジェネレータ13によって生成された送信パルス信号TPは、送信スイッチ14及びIF回路21に供給される。

0043

送信スイッチ14は、パルスジェネレータ13から供給される送信パルス信号TPに基づいてオン/オフされ、分配器12から供給される局部発振信号LOを間欠的に出力することにより、局部発振信号LOに対してパルス変調を施す。この送信スイッチ14によってパルス変調が施されて得られた送信パルス変調信号TSは、送信アンテナ15に供給される。

0044

送信アンテナ15は、送信スイッチ14から供給された送信パルス変調信号TSを、電波として送信する。この送信アンテナ15によって送信された送信パルス変調信号TSは、対象物OBに到達すると当該対象物OBによって反射される。

0045

受信アンテナ16は、対象物OBによって反射された電波を受信信号RSとして受信する。この受信アンテナ16によって受信された受信信号RSは、低雑音増幅器17に供給される。

0046

低雑音増幅器17は、受信アンテナ16によって受信した受信信号RSを低雑音で増幅する。この低雑音増幅器17によって増幅されて得られた高周波信号RFは、分配及び移相器18に供給される。

0047

分配及び移相器18は、低雑音増幅器17によって増幅された高周波信号RFを2つの高周波信号RFa,RFbに分配する。このとき、分配及び移相器18は、分配した一方の高周波信号RFaについては位相を変化させず、他方の高周波信号RFbについては位相を90°だけ変化させる。

0048

具体的には、分配及び移相器18は、例えば図2に示すように、所定の平面基板上に2入力2出力のパターンを形成し、一方の入力経路を高周波信号RFの入力に用いるとともに、他方の入力経路に50Ω程度のチップ抵抗素子を接続して終端し、いわゆるハイブリッドカプラブランチライカプラ)として構成することができる。また、分配及び移相器18は、例えば図3又は図4に示すように、100Ω程度のチップ抵抗素子を用いて構成したウィルキンソン型の等分配器における2つの出力経路のうち、一方の出力経路を他方の出力経路よりも波長λの1/4倍長だけ長く形成したλ/4線路とすることによっても実現することができる。

0049

このような分配及び移相器18によって分配された位相が変化していない高周波信号RFaは、受信ミキサ19aに供給される一方で、位相が90°だけ変化した高周波信号RFbは、受信ミキサ19bに供給される。

0050

受信ミキサ19a,19bは、それぞれ、分配及び移相器18から供給された2つの高周波信号RFa,RFbと、分配器20から供給された局部発振信号LOとを混合することにより、パルスジェネレータ13によって生成された元の送信パルス信号TPと同じ周波数からなる受信パルス信号RPa,RPbを復調する。これら受信ミキサ19a,19bによって復調されてダウンコンバートされた受信パルス信号RPa,RPbは、それぞれ、IF回路21に供給される。

0051

分配器20は、例えばウィルキンソン型のものを用いることができ、分配器12によって分配された局部発振信号LOをさらに同位相の2つの信号に分配する。この分配器20によって分配された2つの局部発振信号LOは、それぞれ、受信ミキサ19a,19bに供給される。

0052

IF回路21は、受信ミキサ19a,19bのそれぞれから供給された受信パルス信号RPa,RPbと、パルスジェネレータ13から供給された送信パルス信号TPとに基づいて、対象物OBまでの距離を算出する。

0053

このような各部を備えるパルスレーダ装置において、2つの受信ミキサ19a,19bのそれぞれによって復調された受信パルス信号RPa,RPbは、当該受信ミキサ19a,19bのそれぞれに供給される局部発振信号LOの位相が同一であることから、分配及び移相器18によって得られる高周波信号RFa,RFbの位相関係が保たれ、互いに位相が90°異なるものとして得られる。また、受信パルス信号RPa,RPbは、当該パルスレーダ装置と対象物OBとの間に相対速度があることによって高周波信号RFa,RFbの周波数と局部発振信号LOの周波数とが異なる場合であっても、例えば図5に示すように、ドリフト成分が重畳するものの両者の振幅が同時に“0”となる場合は生じないものとなる。

0054

すなわち、パルスレーダ装置においては、2つの受信ミキサ19a,19bのうち、一方の受信ミキサから出力される受信パルス信号の振幅が得られない場合であっても、他方の受信ミキサから出力される受信パルス信号の振幅は得られることになる。したがって、パルスレーダ装置においては、2つの受信ミキサ19a,19bのそれぞれによって得られる受信パルス信号RPa,RPbの論理和をとることにより、対象物OBまでの距離や当該対象物OBとの間における相対速度に依存することなく、常に受信ミキサからの出力を得ることが可能となる。

0055

これを実現するために、IF回路21としては、例えば図6に示すように、受信パルス信号RPaの電圧を所定の正負閾値と比較するための2つのコンパレータ52a,52bと、受信パルス信号RPbの電圧を所定の正負の閾値と比較するための2つのコンパレータ52c,52dと、これら4つのコンパレータ52a,52b,52c,52dから出力されるパルス信号の論理和をとるOR回路53と、このOR回路53から出力されるパルス信号と送信パルス信号TPとを比較し、その遅延時間(位相差)に基づいて対象物OBまでの距離を算出する信号処理回路55とを有するものとして構成すればよい。

0056

すなわち、IF回路21は、受信パルス信号RPaの電圧をコンパレータ52aによって所定の正方向の閾値として与えられる電圧と比較し、この閾値以上の電圧を当該コンパレータ52aから出力するとともに、受信パルス信号RPaの電圧をコンパレータ52bによって所定の負方向の閾値として与えられる電圧と比較し、この閾値以下の電圧を当該コンパレータ52bから出力する。また、IF回路21は、受信パルス信号RPbについても同様に、当該受信パルス信号RPbの電圧をコンパレータ52cによって所定の正方向の閾値として与えられる電圧と比較し、この閾値以上の電圧を当該コンパレータ52cから出力するとともに、受信パルス信号RPbの電圧をコンパレータ52dによって所定の負方向の閾値として与えられる電圧と比較し、この閾値以下の電圧を当該コンパレータ52dから出力する。そして、IF回路21は、OR回路53によって4つのコンパレータ52a,52b,52c,52dのそれぞれから出力されるパルス信号の論理和をとり、このOR回路53から出力されるパルス信号と送信パルス信号TPとに基づいて、信号処理回路55によって対象物OBまでの距離を算出することになる。

0057

ここで、パルスレーダ装置においては、分配及び移相器18によって2つの高周波信号RFa,RFbのうち、一方の高周波信号RFbのみの位相を変化させることから、当該高周波信号RFa,RFbの間に、変化させた位相に応じた遅延時間が生じる可能性がある。そこで、この遅延時間による影響を回避するために、IF回路21としては、この遅延時間を補正する補正手段を設けるようにしてもよい。具体的には、IF回路21としては、同図に示すように、受信ミキサ19bから出力される位相が変化していない受信パルス信号RPaの経路に、高周波信号RFbに生じた遅延時間と同一の時間だけ遅延させる遅延回路51を設けるとともに、パルスジェネレータ13から出力される送信パルス信号TPの経路にも、少なくとも高周波信号RFbに生じた遅延時間と同一の時間だけ遅延させる遅延回路54を設ける。これにより、パルスレーダ装置においては、高周波信号RFa,RFbの間に生じる遅延による計測誤差を回避することができ、より高い精度での距離計測を行うことができる。なお、IF回路21においては、信号処理回路55に入力される信号のうち、OR回路53から出力されるパルス信号は、パルスジェネレータ13から出力される送信パルス信号TPに比べ、コンパレータ52a,52b,52c,52d及びOR回路53による処理時間分(例えばナノ秒オーダ)だけ遅延する場合も考えられる。したがって、IF回路21においては、この遅延による影響を無視できない場合には、遅延回路54として、高周波信号RFbに生じた遅延時間のみならずコンパレータ52a,52b,52c,52d及びOR回路53による遅延時間を加味したものを設けるのが望ましい。

0058

以上説明したように、本発明の第1の実施の形態として示すパルスレーダ装置においては、受信装置に分配及び移相器18を設け、この分配及び移相器18によって高周波信号RFを互いに位相が異なる2つの高周波信号RFa,RFbに分配及び移相し、これら高周波信号RFa,RFbを、それぞれ、2つの受信ミキサ19a,19bによってダウンコンバートして2つの受信パルス信号RPa,RPbを復調する。そして、パルスレーダ装置においては、IF回路21によって受信パルス信号RPa,RPbの論理和をとることにより、対象物OBまでの距離や当該対象物OBとの間における相対速度に起因して、受信パルス信号の振幅が得られない状況が生じるのを回避することができ、誤判断を行うことなく高精度の距離計測を行うことができる。

0059

つぎに、第2の実施の形態として示すパルスレーダ装置について説明する。この第2の実施の形態として示すパルスレーダ装置は、対象物によって反射された電波を受信して得られた高周波信号を分配して移相するのではなく、局部発振信号を分配して移相するものである。したがって、この第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の説明と同様の構成については同一符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。

0060

第2の実施の形態として示すパルスレーダ装置は、図7に示すように、上述した局部発振器11、分配器12、パルスジェネレータ13、送信スイッチ14、送信アンテナ15、受信アンテナ16、及び低雑音増幅器17に加え、分配器12によって電力が分配された局部発振信号LOを2つの信号に分配するとともに一方の信号を移相する分配及び移相器71と、低雑音増幅器17によって増幅された高周波信号RFを2つの信号に分配する分配器72と、分配及び移相器71によって電力が分配された2つの局部発振信号LOa,LObのそれぞれと分配器72によって電力が分配された2つの高周波信号RFa,RFbのそれぞれとを混合する復調手段である2つの受信ミキサ73a,73bと、これら受信ミキサ73a,73bによる混合によって復調された2つの受信復調信号である受信パルス信号RPa,RPbに対して各種信号処理を施すIF回路74とを備える。

0061

なお、これら各部のうち、局部発振器11、分配器12、パルスジェネレータ13、送信スイッチ14、及び送信アンテナ15は、送信パルス信号TPに対してパルス変調を施して送信パルス変調信号TSを送信する送信装置として構成され、局部発振器11、分配器12、受信アンテナ16、低雑音増幅器17、分配及び移相器71、分配器72、及び受信ミキサ73a,73bは、受信信号RSを受信して受信パルス信号RPa,RPbを復調する受信装置として構成される。すなわち、パルスレーダ装置は、これら送信装置及び受信装置と、受信装置によってダウンコンバートされた信号に対して処理を施すIF回路74とに大別されて構成される。

0062

分配及び移相器71は、先に図2図3又は図4に示したように構成され、分配器12から供給された局部発振信号LOを2つの局部発振信号LOa,LObに分配する。このとき、分配及び移相器71は、分配した一方の局部発振信号LOaについては位相を変化させず、他方の局部発振信号LObについては位相を90°だけ変化させる。この分配及び移相器71によって分配された位相が変化していない局部発振信号LOaは、受信ミキサ73aに供給される一方で、位相が90°だけ変化した局部発振信号LObは、受信ミキサ73bに供給される。

0063

分配器72は、例えばいわゆるウィルキンソン型のものを用いることができ、低雑音増幅器17によって増幅された高周波信号RFを同位相の2つの高周波信号RFa,RFbに分配する。この分配器72によって分配された2つの信号のうち、一方の高周波信号RFaは、受信ミキサ73aに供給される一方で、他方の高周波信号RFbは、受信ミキサ73bに供給される。

0064

受信ミキサ73a,73bは、それぞれ、分配及び移相器71から供給された2つの局部発振信号LOa,LObと、分配器72から供給された高周波信号RFa,RFbとを混合することにより、パルスジェネレータ13によって生成された元の送信パルス信号TPと同じ周波数からなる受信パルス信号RPa,RPbを復調する。これら受信ミキサ73a,73bによって復調されてダウンコンバートされた受信パルス信号RPa,RPbは、それぞれ、IF回路74に供給される。

0065

IF回路74は、受信ミキサ73a,73bのそれぞれから供給された受信パルス信号RPa,RPbと、パルスジェネレータ13から供給された送信パルス信号TPとに基づいて、対象物OBまでの距離を算出する。具体的には、IF回路74は、先に図6に示したように、受信パルス信号RPaの電圧をコンパレータ52a,52bによって所定の閾値と比較するとともに、受信パルス信号RPbの電圧をコンパレータ52c,52dによって所定の閾値と比較し、OR回路53によってこれらコンパレータ52a,52b,52c,52dのそれぞれから出力されるパルス信号の論理和をとり、このOR回路53から出力されるパルス信号と送信パルス信号TPとに基づいて、信号処理回路55によって対象物OBまでの距離を算出する。なお、このIF回路74は、後述するように、上述したIF回路21とは異なり、先に図6に示した遅延回路51,54を設けずに構成されるものである。

0066

このような各部を備えるパルスレーダ装置において、2つの受信ミキサ73a,73bのそれぞれによって復調された受信パルス信号RPa,RPbは、当該受信ミキサ73a,73bのそれぞれに供給される高周波信号RFa,RFbの位相が同一であることから、分配及び移相器71によって得られる局部発振信号LOa,LObの位相関係が保たれ、互いに位相が90°異なるものとして得られる。また、受信パルス信号RPa,RPbは、当該パルスレーダ装置と対象物OBとの間に相対速度があることによって高周波信号RFa,RFbの周波数と局部発振信号LOa,LObの周波数とが異なる場合であっても、先に図5に示したように、両者の振幅が同時に“0”となる場合は生じないものとなる。

0067

すなわち、パルスレーダ装置においては、2つの受信ミキサ73a,73bのうち、一方の受信ミキサから出力される受信パルス信号の振幅が得られない場合であっても、他方の受信ミキサから出力される受信パルス信号の振幅は得られることになる。したがって、パルスレーダ装置においては、2つの受信ミキサ73a,73bのそれぞれによって得られる受信パルス信号RPa,RPbの論理和をとることにより、対象物OBまでの距離や当該対象物OBとの間における相対速度に依存することなく、常に受信ミキサからの出力を得ることが可能となる。

0068

ここで、パルスレーダ装置においては、第1の実施の形態として示したパルスレーダ装置のように、高周波信号RFa,RFbのうち一方の信号のみの位相を変化させるのではなく、分配及び移相器71によって2つの局部発振信号LOa,LObのうち、一方の局部発振LObのみの位相を変化させることから、2つの高周波信号RFa,RFbの間に遅延時間が生じることはない。したがって、IF回路74としては、上述したIF回路21のように、遅延時間を補正する補正手段、具体的には、遅延回路51,54を設ける必要がなく、回路規模の大幅な削減を図ることができる。

0069

以上説明したように、本発明の第2の実施の形態として示すパルスレーダ装置においては、受信装置に分配及び移相器71を設け、この分配及び移相器71によって局部発振信号LOを互いに位相が異なる2つの局部発振信号LOa,LObに分配及び移相し、これら局部発振信号LOa,LObに基づいて、2つの高周波信号RFa,RFbを、それぞれ、2つの受信ミキサ73a,73bによってダウンコンバートして2つの受信パルス信号RPa,RPbを復調する。そして、パルスデータ装置においては、IF回路74によって受信パルス信号RPa,RPbの論理和をとることにより、対象物OBまでの距離や当該対象物OBとの間における相対速度に起因して、受信パルス信号の振幅が得られない状況が生じるのを回避することができ、誤判断を行うことなく高精度の距離計測を行うことができる。

0070

これら第1の実施の形態及び第2の実施の形態として示すパルスレーダ装置は、特に、対象物OBまでの距離の変動が激しく、また、当該対象物OBとの間における相対速度も生じやすい用途に極めて有効であり、例えば、自車両から他車両その他任意の障害物までの距離を計測するために、車両に搭載して極めて好適である。

0071

なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した第1の実施の形態では、分配及び移相器18によって高周波信号RFを90°だけ位相が異なる2つの高周波信号RFa,RFbに分配及び移相するものとして説明したが、本発明は、90°の位相差に限定されるものではなく、受信パルス信号RPa,RPbの振幅が同時に“0”となる場合が生じずに、互いに補完し合うような位相差であれば適用することができる。具体的には、本発明は、0°よりも大きく且つ180°よりも小さい範囲であれば、いかなる位相差であっても適用することができる。

0072

特に、本発明は、60°以上且つ120°以下の範囲の位相差とするのが望ましい。これは、位相差をかかる範囲に設定した場合には、受信パルス信号RPa,RPbの最大振幅の50%以上の値を取り得ることから、一方の受信パルス信号の振幅が下がった場合であっても、他方の受信パルス信号によって確実に対象物OBを検知することができる。

0073

さらに、本発明は、位相差を90°に設定するのが最適である。この場合には、例えば図8に示すように、受信パルス信号の最小振幅として、受信パルス信号RPa,RPbの最大振幅の75%程度までの値を取り得ることができ、極めて高精度の距離計測を実現することができる。

0074

同様に、上述した第2の実施の形態では、分配及び移相器71によって局部発振信号LOを90°だけ位相が異なる2つの局部発振信号LOa,LObに分配及び移相するものとして説明したが、本発明は、0°よりも大きく且つ180°よりも小さい範囲であれば、いかなる位相差であっても適用することができ、特に60°以上且つ120°以下の範囲の位相差とするのが望ましく、また、90°の位相差が最適である。

0075

なお、本発明において、これら位相差を可変設定可能とする場合には、必要とする最大計測距離及び/又は使用する送信電力等に応じて、位相差を設定することにより、状況に応じた最適な距離計測を行うことが可能となる。

0076

また、上述した第1の実施の形態では、分配及び移相器18によって高周波信号RFを互いに位相が異なる2つの高周波信号RFa,RFbに分配するものとして説明したが、本発明は、例えば乱反射マルチパスに対する耐性を向上させるために、互いに位相が異なる3つ以上の高周波信号に分配するようにしてもよい。すなわち、本発明は、互いに位相が異なる少なくとも2つ以上の高周波信号に分配及び移相し、これら高周波信号を、それぞれ、少なくとも2つ以上の受信ミキサによってダウンコンバートして少なくとも2つ以上の受信パルス信号を復調するものであれば適用することができる。

0077

同様に、上述した第2の実施の形態では、分配及び移相器71によって局部発振信号LOを互いに位相が異なる2つの局部発振信号LOa,LObに分配するものとして説明したが、本発明は、互いに位相が異なる3つ以上の局部発振信号に分配するようにしてもよい。

0078

さらに、上述した実施の形態では、受信パルス信号RPa,RPbと正負の閾値との比較を行うために、4つのコンパレータ52a,52b,52c,52dを用いて説明したが、本発明は、ドリフト成分によって正負にわたって変動する受信パルス信号に対する閾値処理を行うことができるものであれば、いかなる構成を適用することができ、例えばダイオードブリッジを用いてIF回路を構成するようにしてもよい。

0079

さらにまた、上述した実施の形態では、パルス変調を施した信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測するパルスレーダ装置を例にして説明したが、本発明は、パルス変調を施さない信号を送受信することによって所定の対象物までの距離を計測する一般的なレーダ装置や受信装置にも適用可能であることは勿論である。

0080

このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。

図面の簡単な説明

0081

本発明の第1の実施の形態として示すパルスレーダ装置の構成を説明するブロック図である。
同パルスレーダ装置が備える分配及び移相器の具体例を説明する回路図である。
同パルスレーダ装置が備える分配及び移相器の他の具体例を説明する回路図である。
同パルスレーダ装置が備える分配及び移相器のさらに他の具体例を説明する回路図である。
同パルスレーダ装置が備える受信ミキサから出力される受信パルス信号の波形例を説明する図である。
同パルスレーダ装置が備えるIF回路の具体的構成を説明するブロック図である。
本発明の第2の実施の形態として示すパルスレーダ装置の構成を説明するブロック図である。
同パルスレーダ装置が備える分配及び移相器から出力される高周波信号の波形例を説明する図であって、位相差が90°である場合の波形例を説明する図である。
従来のパルスレーダ装置の構成を説明する図である。
受信パルス信号と送信パルス信号との波形例を説明する図である。
局部発振信号と、ドップラ効果の影響によって局部発振信号の周波数と異なる周波数を有する高周波信号の波形例を説明する図である。
図11(a)に示す局部発振信号と高周波信号とに基づいて復調された受信パルス信号の波形例を説明する図である。

符号の説明

0082

11局部発振器
12,20,72分配器
13パルスジェネレータ
14送信スイッチ
15送信アンテナ
16受信アンテナ
17低雑音増幅器
18,71分配及び移相器
19a,19b,73a,73b受信ミキサ
21,74IF回路
51,54遅延回路
52a,52b,52c,52dコンパレータ
53OR回路
55 信号処理回路

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