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図面 (7)

課題

真核生物細胞又は組織における標的遺伝子発現阻害するための方法を提供することを課題とする。

解決手段

本発明において、細胞又は組織にウイルス粒子を感染させることにより、細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための方法が提供された。

概要

背景

遺伝子発現の特異的阻害は、治療研究に対して著しい影響力を有する。より正確には、それは、個々の遺伝子の機能を特異的に阻害するための技術を開発するために有用であると思われる。

特に、それは、例えば特異的遺伝子の機能を阻害することにより、癌、感染性疾患、又は神経学的障害のような特異的な疾患の進展を予防するために有用であろう。

それは、正常組織疾患組織との差違を分析することのためにも有用であろう。

さらに、それは、細胞増殖の研究、遺伝子機能又は遺伝子発現の機能的改変の分析にとって有利であろう。ある種の遺伝子は、特定の発生段階においてのみ、細胞又は生物生存にとって必要である可能性がある。

選択された遺伝子の発現が減少している生物における突然変異特徴付けるためには、古典的な遺伝学的技術が使用されている。そのような技術は、面倒なスクリーニングプログラムを必要とし、遺伝子操作が既に確立されている生物に制限されている。

これらの問題は、哺乳動物細胞における遺伝子発現を阻害するため、二本鎖ds)RNA妨害を使用する方法により克服されうる。

その技術は、遺伝子発現を阻害するための特異的なメッセンジャーRNAmRNA分子の妨害が起こるであろう、dsRNAの細胞への輸送に基づいている。

国際公開公報第99/32619号には、脊椎動物モデル生物における遺伝子発現を特異的に阻害するための方法が記載されている。この方法は、細胞における標的遺伝子の遺伝子発現を阻害するための、dsRNAの使用及び生存細胞へのそれらの導入に基づいている。dsRNAは、細胞、即ち細胞内へ、又は細胞外、即ち体腔内へ導入される。

国際公開公報第99/32619号には、ウイルス粒子へとパッケージングされるウイルス構築物の使用が、細胞への発現構築物の導入、及び発現構築物によりコードされたRNAの転写のため有効であることが記載されている。

同一ウイルスベクター内にセンス配列及びアンチセンス配列の両方を有する構築物は、遺伝子発現を阻害することができなかった。これは、標的mRNAとの相互作用が不十分であるためである可能性が高い。センスRNA及びアンチセンスRNAが1つの構築物によりコードされている場合には、RNA二重鎖形成が迅速に起こり、mRNAとの相互作用が不可能になる、と仮定された。

さらに最近、技術文献(F.WiannyおよびM.Zernicka-Goetz、「マウス発生初期における二本鎖RNAによる遺伝子機能の特異的妨害(Specific interference with gene function by double stranded RNA in early mouse development)」、Nature Cell Biology、第2巻、2000年2月、70-75頁)に、マイクロインジェクションにより、合成dsRNAがマウス卵母細胞及び着床前のの両方に導入され、遺伝子発現の特異的阻害が達成されたことが記載されている。

概要

真核生物の細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための方法を提供することを課題とする。 本発明において、細胞又は組織にウイルス粒子を感染させることにより、細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための方法が提供された。 なし

目的

1つの大きな問題は、現在のところ、dsRNAを細胞に効率的に輸送することである。この分野において、dsRNAの細胞への直接導入のための遺伝学的技術は、開発されていない。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

細胞又は組織における標的遺伝子発現阻害する方法であって、該細胞又は組織に、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、該標的遺伝子の一部と相同ヌクレオチド配列を含む)を感染させることを含む方法。

請求項2

ウイルス粒子がアルファウイルスである、請求項1記載の方法。

請求項3

感染のため、センスRNA鎖を発現するssRNAを含有するウイルス粒子が、アンチセンスRNA鎖を発現するssRNAを含有するウイルス粒子と等量で存在する、請求項1または2記載の方法。

請求項4

一本鎖RNAが、ウイルス粒子のベクターセンス方向又はアンチセンス方向のいずれかでクローニングされている、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。

請求項5

標的遺伝子が、真核生物遺伝子ウイルス遺伝子、又は合成遺伝子である、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。

請求項6

標的遺伝子が、発生遺伝子癌遺伝子腫瘍抑制遺伝子、又は酵素遺伝子である、請求項1から5のいずれか一項記載の方法。

請求項7

相同ヌクレオチド配列が、標的遺伝子に特異的であり、かつ少なくとも50塩基長である、請求項1から6のいずれか一項記載の方法。

請求項8

細胞又は組織が生物体内に存在し、標的遺伝子発現の阻害が表現型の機能消失(loss-of-function)を示す、請求項1から7のいずれか一項記載の方法。

請求項9

細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための試薬を含むキットであって、相補的であり、かつ標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含み、該標的の発現を妨害することができるdsRNAを該細胞又は組織の内部で形成するセンスRNA鎖又はアンチセンスRNA鎖のいずれかを発現する十分量の一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス粒子を少なくとも含むキット。

請求項10

疾患を治療するための薬剤の調製のための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)の使用。

請求項11

癌、好ましくは固形腫瘍又は白血病を治療するための薬剤の調製のための、請求項10記載のウイルス粒子の使用。

請求項12

疾患の治療又は予防のための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)を含み、場合により薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物

請求項13

癌、好ましくは固形腫瘍又は白血病の治療又は予防のための請求項12記載の薬学的組成物。

請求項14

疾患の治療又は予防のための治療活性物質として使用するための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)。

請求項15

治療活性物質、特に抗癌物質として使用するための、請求項14記載のウイルス粒子。

請求項16

特に実施例を参照して実質的に明細書に記載されているような発明。

技術分野

0001

本発明は、真核生物細胞又は組織における標的遺伝子発現阻害するための方法に関する。本発明は、標的遺伝子の発現の阻害が特異的である細胞も含み、最後に、本発明は、細胞における標的遺伝子の転写を阻害するための試薬を含むキットに関する。

背景技術

0002

遺伝子発現の特異的阻害は、治療研究に対して著しい影響力を有する。より正確には、それは、個々の遺伝子の機能を特異的に阻害するための技術を開発するために有用であると思われる。

0003

特に、それは、例えば特異的遺伝子の機能を阻害することにより、癌、感染性疾患、又は神経学的障害のような特異的な疾患の進展を予防するために有用であろう。

0004

それは、正常組織と疾患組織との差違を分析することのためにも有用であろう。

0005

さらに、それは、細胞増殖の研究、遺伝子機能又は遺伝子発現の機能的改変の分析にとって有利であろう。ある種の遺伝子は、特定の発生段階においてのみ、細胞又は生物生存にとって必要である可能性がある。

0006

選択された遺伝子の発現が減少している生物における突然変異特徴付けるためには、古典的な遺伝学的技術が使用されている。そのような技術は、面倒なスクリーニングプログラムを必要とし、遺伝子操作が既に確立されている生物に制限されている。

0007

これらの問題は、哺乳動物細胞における遺伝子発現を阻害するため、二本鎖ds)RNA妨害を使用する方法により克服されうる。

0008

その技術は、遺伝子発現を阻害するための特異的なメッセンジャーRNAmRNA分子の妨害が起こるであろう、dsRNAの細胞への輸送に基づいている。

0009

国際公開公報第99/32619号には、脊椎動物モデル生物における遺伝子発現を特異的に阻害するための方法が記載されている。この方法は、細胞における標的遺伝子の遺伝子発現を阻害するための、dsRNAの使用及び生存細胞へのそれらの導入に基づいている。dsRNAは、細胞、即ち細胞内へ、又は細胞外、即ち体腔内へ導入される。

0010

国際公開公報第99/32619号には、ウイルス粒子へとパッケージングされるウイルス構築物の使用が、細胞への発現構築物の導入、及び発現構築物によりコードされたRNAの転写のため有効であることが記載されている。

0011

同一ウイルスベクター内にセンス配列及びアンチセンス配列の両方を有する構築物は、遺伝子発現を阻害することができなかった。これは、標的mRNAとの相互作用が不十分であるためである可能性が高い。センスRNA及びアンチセンスRNAが1つの構築物によりコードされている場合には、RNA二重鎖形成が迅速に起こり、mRNAとの相互作用が不可能になる、と仮定された。

0012

さらに最近、技術文献(F.WiannyおよびM.Zernicka-Goetz、「マウス発生初期における二本鎖RNAによる遺伝子機能の特異的妨害(Specific interference with gene function by double stranded RNA in early mouse development)」、Nature Cell Biology、第2巻、2000年2月、70-75頁)に、マイクロインジェクションにより、合成dsRNAがマウス卵母細胞及び着床前のの両方に導入され、遺伝子発現の特異的阻害が達成されたことが記載されている。

発明が解決しようとする課題

0013

1つの大きな問題は、現在のところ、dsRNAを細胞に効率的に輸送することである。この分野において、dsRNAの細胞への直接導入のための遺伝学的技術は、開発されていない。

0014

機械的ではなく生物学的にdsRNAを細胞へ導入しうることが恩典を有するであろうことは明らかである。そのような導入は、操作を減少させ、機械的な細胞傷害の生成を回避する。

0015

さらに、細胞の他の遺伝子に影響を与えることなく特定の標的遺伝子を阻害しうることは、非常に重要であろう。

0016

最後に、標的ゲノム永久的な突然変異を導入することなく、特異的な時点で、組織又は生物における明確な位置で特異的標的遺伝子を阻害しうることは、実質的に重要であろう。

課題を解決するための手段

0017

本発明は、細胞又は組織に、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同ヌクレオチド配列を含む)を感染させることを含む、細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。本発明は、2個の相補的RNA鎖が標的遺伝子の発現を妨害している細胞にも関し、本発明は、細胞又は組織における標的遺伝子の転写を阻害するための試薬を含むキットに関し、最後に、疾患の治療及び予防のための特許請求の範囲に記載された方法の使用、並びに薬学的組成物に関する。

0018

本発明に係る方法においては、(1)細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、該細胞又は組織に、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、該標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)を感染させることを含む方法であることを特徴とする。

0019

また、本発明に係る方法においては、(2)ウイルス粒子がアルファウイルスである上記(1)記載の方法であることを特徴とする。

0020

また、本発明に係る方法においては、(3)感染のため、センスRNA鎖を発現するssRNAを含有するウイルス粒子が、アンチセンスRNA鎖を発現するssRNAを含有するウイルス粒子と等量で存在する上記(1)または(2)記載の方法であることを特徴とする。

0021

また、本発明に係る方法においては、(4)一本鎖RNAが、ウイルス粒子のベクターセンス方向又はアンチセンス方向のいずれかでクローニングされている上記(1)から(3)のいずれか一項記載の方法であることを特徴とする。

0022

また、本発明に係る方法においては、(5)標的遺伝子が、真核生物遺伝子ウイルス遺伝子、又は合成遺伝子である上記(1)から(4)のいずれか一項記載の方法であることを特徴とする。

0023

また、本発明に係る方法においては、(6)標的遺伝子が、発生遺伝子癌遺伝子腫瘍抑制遺伝子、又は酵素遺伝子である上記(1)から(5)のいずれか一項記載の方法であることを特徴とする。

0024

また、本発明に係る方法においては、(7)相同ヌクレオチド配列が、標的遺伝子に特異的であり、かつ少なくとも50塩基長である上記(1)から(6)のいずれか一項記載の方法であることを特徴とする。

0025

また、本発明に係る方法においては、(8)細胞又は組織が生物体内に存在し、標的遺伝子発現の阻害が表現型の機能消失(loss-of-function)を示す上記(1)から(7)のいずれか一項記載の方法であることを特徴とする。

0026

また、本発明に係るキットにおいては、(9)細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための試薬を含むキットであって、相補的であり、かつ標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含み、該標的の発現を妨害することができるdsRNAを該細胞又は組織の内部で形成するセンスRNA鎖又はアンチセンスRNA鎖のいずれかを発現する十分量の一本鎖RNA(ssRNA)ウイルス粒子を少なくとも含むキットであることを特徴とする。

0027

また、本発明に係る使用においては、(10)疾患を治療するための薬剤の調製のための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)の使用であることを特徴とする。

0028

また、本発明に係る使用においては、(11)癌、好ましくは固形腫瘍又は白血病を治療するための薬剤の調製のための上記(10)記載のウイルス粒子の使用であることを特徴とする。

0029

また、本発明に係る薬学的組成物においては、(12)疾患の治療又は予防のための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)を含み、場合により薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物であることを特徴とする。

0030

また、本発明に係る薬学的組成物においては、(13)癌、好ましくは固形腫瘍又は白血病の治療又は予防のための上記(12)記載の薬学的組成物であることを特徴とする。

0031

また、本発明に係るウイルス粒子においては、(14)疾患の治療又は予防のための治療活性物質として使用するための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)であることを特徴とする。

0032

また、本発明に係るウイルス粒子においては、(15)治療活性物質、特に抗癌物質として使用するための上記(14)記載のウイルス粒子であることを特徴とする。

0033

また、本発明に係る発明においては、(16)特に実施例を参照して実質的に明細書に記載されているような発明であることを特徴とする。

発明の効果

0034

本発明により、真核生物の細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための方法が提供された。

発明を実施するための最良の形態

0035

「dsRNA」という表現は、本明細書において使用されるように、二本鎖RNAを意味する。

0036

「ssRNA」という表現は、本明細書において使用されるように、一本鎖RNAを意味する。

0037

「センス」という用語は、本明細書において使用されるように、mRNAの鎖に相当するRNA配列を意味する。

0038

「アンチセンス」という用語は、本明細書において使用されるように、mRNAのセンス鎖と相補的なRNA配列を意味する。

0039

「特異的な配列」という表現は、本明細書において使用されるように、センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖の配列が、標的遺伝子と少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは99%、最も好ましくは100%同一な塩基を有することを意味する。

0040

細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための本発明の方法は、細胞又は組織に、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、該標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)を感染させることを含む。

0041

本発明は、細胞又は組織へのdsRNAの機械的導入とは対照的に、細胞におけるdsRNAの生物学的生成により、特異的遺伝子機能を選択的に阻害するために有用である。特に、それは、疾患又は病理の開始又は維持に必要とされる、遺伝子の特異的な過剰発現を阻害するための、特異的な疾患又は病理の治療又は予防にとって有用であろう。治療には、疾患と関連した症状、又は病理と関連した臨床的徴候緩解が含まれるであろう。

0042

例えば、本発明は、特異的な遺伝子機能の阻害による、腫瘍罹患した患者の治療又は予防に有用である可能性がある。腫瘍には、卵巣前立腺乳房結腸肝臓、脳、頭頸部、及びの癌が含まれる。

0043

本発明のもう一つの用途は、発現の特異的阻害により、生物における遺伝子機能を同定する方法である。

0044

さらに、本発明は、増殖、発生、代謝、疾患抵抗性、又はその他の生物学的過程機序の分析及び予防に有用である可能性がある。

0045

本発明の利点には、細胞又は組織におけるdsRNAの生物学的生成が容易である点、導入されたssRNAの増幅が高度に効率的である点、細胞及び組織においてdsRNAが安定である点、阻害が効率的である点、及び生物学的に安全である点が含まれる。

0046

「アルファウイルス」という用語は、当技術分野における通常の意味を有し、東部ウマ脳脊髄炎(Eastern Equine Encephalitis)ウイルス(EEE)、ベネズエラウマ脳脊髄炎(Venezuelan Equine Encephalitis)ウイルス(VEE)、エヴァグレーズ(Everglades)ウイルス、ムカンボ(Mucambo)ウイルス、ピクスナ(Pixuna)ウイルス、西部ウマ脳脊髄炎(Western Equine Encephalitis)ウイルス(WEE)、シンドビス(Sindbis)ウイルス、フリカ第86アルボウイルス(South African Arbovirus No.86)、セムリキ森林(Semliki Forest)ウイルス、ミデルブルグ(Middelburg)ウイルス、チクングニヤ(Chikungunya)ウイルス、オニョンニョン(O'nyong-nyong)ウイルス、ロス川(Ross River)ウイルス、バーマー森林(Barmah Forest)ウイルス、ゲター(Getah)ウイルス、サギヤマ(Sagiyama)ウイルス、ベバル(Bebaru)ウイルス、マヤロ(Mayaro)ウイルス、ウナ(Una)ウイルス、アウラ(Aura)ウイルス、ワタロア(Whataroa)ウイルス、ババンキ(Babanki)ウイルス、キジラガチ(Kyzylagach)ウイルス、ハイランズ(Highlands)Jウイルス、フォルトモルガン(Fort Morgan)ウイルス、ヌズム(Ndumu)ウイルス、及びバギークリーク(Buggy Creek)ウイルスのような、アルファウイルスの様々な種を含む。「アルファウイルス」という用語には、それらに由来するベクターも含まれる。好ましいアルファウイルスには、セムリキ森林ウイルス(SFV)(LiljestromおよびGaroff、1991)が含まれる。動物細胞発現ベクターの新たな生成は、例えば、セムリキ森林ウイルス・レプリコン(Bio/Technology 9、1356-1361)、シンドビスウイルス(SIN)(Xiongら、1989「シンドビスウイルス:動物細胞における遺伝子発現のための効率的な広宿主域ベクター(Sindbis virus: an efficient broad host range vector for gene expression in animal cells)」、Science 243、1188-1191)、及びベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE)(Davisら、1989「cDNAクローンに由来の感染性ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルスRNAのインビトロ合成生存可能欠失変異体解析(In vitro synthesis of infectious Venezuelan equine encephalitis virus RNA from a cDNA clone: analysis of a viable deletion mutant)」、Virology 171、189-204)に基づいている。アルファウイルス及びそれらに由来するベクターは、当技術分野において周知であり、市販されている。

0047

本発明の方法においては、1細胞当たり少なくとも1コピーの輸送を可能とする量のssRNA含有ウイルス粒子を、細胞又は組織に感染させる。本明細書に開示されるように、感染は、1細胞当たり10個以上の数のウイルス粒子を用いて実施される。

0048

染法は、当技術分野において周知である。例えば繊維芽細胞肝細胞ニューロンのような細胞系及び初代細胞培養物におけるインビトロ感染が、SFV粒子細胞培養物直接添加することにより実施される。ウイルス粒子は、細胞表面上の受容体を認識し、(細胞型により)融合又はエンドサイトーシスのいずれかにより細胞膜侵入し、その後、RNA分子細胞質遊離するであろう(「アルファウイルス:遺伝子発現、複製、及び進化(The Alphaviruses: Gene Expression,Replication,and Evolution)」、Strauss J.HおよびStrauss、E.G.、1994、Microbiological Reviews 58、491-562)。

0049

インビボ感染は、標的組織へのSFV粒子の注射を必要とする。SFV粒子の注射(「組換え複製欠損性セムリキ森林ウイルスの注射後の、ラット脳におけるレポーター遺伝子の効率的なインビボ発現(Efficient in vivo expression of a reporter gene in rat brain after injection of recombinant replication-deficient Semliki Forest virus)」、Lundstrom,K.、Grayson,J.R.、Pink J.R.およびJenck,F.、1999、Gene Therapy & Molecular Biology 3、15-23)は、前記のインビトロの場合と同様の感染経過を引き起こすであろう。

0050

本発明の方法においては、相補的な鎖、センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖を発現する別々のウイルス粒子を、細胞又は組織に感染させる。

0051

本明細書に開示されるように、本発明の方法においては、遺伝子発現を妨害することができるdsRNAの形成を可能にするため、等量のセンスRNA鎖を含有するウイルス粒子及びアンチセンスRNA鎖を含有するウイルス粒子を、細胞又は組織に共感染させうる。dsRNAの用量が高いほど、阻害はより効率的となり得る。

0052

本発明において、ウイルス粒子は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含むssRNA鎖を含有する。このssRNA鎖は、アルファウイルスのベクターへクローニングされる。ssRNA鎖は、ベクターへセンス方向又はアンチセンス方向のいずれかでクローニングされうる。ベクター内に存在する他の遺伝子は、宿主細胞におけるRNA複製を担う、非構造アルファウイルス遺伝子、特にnsP-1-4遺伝子(「アルファウイルス:遺伝子発現、複製、及び進化(The Alphaviruses: Gene Expression,Replication,and Evolution)」、Strauss,J.HおよびStrauss,E.G.、1994、Microbiological Reviews 58、491-562)である。nsP1-4の発現は、拡張的なRNA複製、即ち効率的にdsRNAを形成することができる多数のセンスRNA及びアンチセンスRNAの生成を開始するであろうレプリカーゼ複合体の形成を引き起こす。

0053

本明細書に記載された方法は、一般的に、真核生物の細胞又は組織における多くの異なる型の標的遺伝子の阻害を可能にする。標的遺伝子は、真核生物遺伝子、ウイルス遺伝子、病原体の遺伝子、又は合成遺伝子でありうる。明らかに、標的遺伝子は、細胞に由来する遺伝子、即ち細胞遺伝子導入遺伝子、即ち細胞のゲノム内の部位へ異所的に挿入された遺伝子構築物、又は細胞が由来する生物に感染することができる病原体由来の遺伝子でありうる。

0054

標的遺伝子は、任意の目的遺伝子であってよく、既に多数の対象となるタンパク質が同定され単離されている。標的遺伝子は、例えばサイクリンキナーゼ阻害剤のような発生遺伝子、増殖/分化因子及びそれらの受容体、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、又は酵素遺伝子でありうる。任意の病原体に由来する遺伝子が、阻害の標的となりうる。

0055

本発明における阻害は配列特異的であるため、細胞又は組織へ導入されたセンスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相補的なヌクレオチド配列を含む。

0056

RNAと標的遺伝子との完全な相同性は、本発明を実施するために必要ではない。本明細書に開示されるように、遺伝子の突然変異、多型、又は進化上の分岐による配列の変動は容認される。標的遺伝子に対する挿入、欠失、及び一塩基点突然変異を有するRNA鎖が、阻害に有効であることが見出されている。

0057

相同ヌクレオチド配列の長さは、少なくとも50塩基、好ましくは75、100、又は125塩基であるべきである。

0058

本発明の方法において、標的遺伝子発現の阻害は、表現型の消失を示す。標的遺伝子及びdsRNAの細胞内用量によって、本発明の方法は、生物の細胞又は組織における標的遺伝子の機能を、部分的に消失させる場合もあるし、又は完全に消失させる場合もある。

0059

遺伝子発現の阻害とは、標的遺伝子に由来するタンパク質及び/又はmRNAの消失又はそれらのレベルの減少をさす。阻害の結果は、例えば、RNA溶液ハイブリダイゼーションノーザンハイブリダイゼーション(Sambrookら、Molecular Cloning、vol.1,7.37 & 7.39)のような分子生物学的方法、及び酵素結合免疫吸着アッセイELISA)法、ウェスタンブロッティング(Towbinら、1979;Bunette 1981又はSambrookら、Molecular Cloning、vol.3、18.60)、又はラジオイムノアッセイRIA)法(Sambrookら、Molecular Cloning、vol.3、18.19-18.20)のような生化学的アッセイ法により、細胞又は生物の特性に関してアッセイされうる。

0060

阻害の程度は、未処理細胞からの値を、本発明の方法に従い処理した細胞から得られた値と比較することにより、推定されうる。

0061

本発明は、細胞内で二本鎖RNAを形成し、かつ特異的標的遺伝子の一部とのヌクレオチド配列相同性のため、標的遺伝子の発現を妨害することができる、2個の相補的RNA鎖、センスRNA鎖、及びアンチセンスRNA鎖を含有する任意の細胞にも関する。

0062

本明細書に開示されるように、標的遺伝子を有する真核生物の細胞又は組織は、アルファウイルスが感染することができる任意の細胞型又は組織型であり得る。それらは、例えば、血管又は血管外循環血液系又はリンパ系筋肉、肝臓、脳、又は脳脊髄液に由来しうる。

0063

真核生物の細胞又は組織は、魚類両生類爬虫類昆虫、又はウシブタハムスター、マウス、ラット、霊長類、及びヒトのような哺乳動物を含む任意の生物に含まれうる。

0064

さらに、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための試薬を含むキットを特許請求の範囲に記載している。キットは、互いに相補的であり、かつ標的配列の一部と相同なヌクレオチド配列を含むdsRNAを形成し、かつ標的の発現を妨害することができる、センス又はアンチセンスのいずれかのRNA鎖を発現する一本鎖RNAウイルス粒子を、少なくとも十分な量で含む。

0065

そのようなキットは、被検試料又は対象へのインビボ又はインビトロのRNA輸送を実施するために必要な試薬を含みうる。

0066

そのようなキットは、キットの使用者が本発明を実施することを可能にする説明書も含みうる。

0067

疾患の治療又は予防のための本発明の方法の使用も、特許請求の範囲に記載される。

0068

疾患又は病理的状態を治療するためには、疾患の発生中に発現される標的遺伝子、又は病理的状態の原因である標的遺伝子が選択されうる。

0069

疾患又は病理的状態を予防するためには、疾患又は病理的状態の開始及び/又は維持にとって必要な標的遺伝子が選択されうる。

0070

本発明は、発癌腫瘍形成表現型の維持にとって必要な遺伝子のmRNA翻訳の阻害のためのdsRNAを生成させる目的で、センスRNA及びアンチセンスRNAを保持するウイルスベクターを腫瘍に共感染させることにより、固形腫瘍又は白血病を含む癌を治療又は予防するために使用されうる。

0071

本発明は、例えば病原体による感染性疾患の治療又は予防に使用されうる。ヒト免疫不全ウイルスHIV)に感染した、又は感染した可能性のある細胞又は組織が、本発明に従い、感染の開始及び/又は維持を担う、又はそれらにとって必要な特異的遺伝子の発現を阻害するための標的となりうる。

0072

本発明は、疾患を治療するための薬剤の調製のための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)の使用にも関する。

0073

さらに、本発明は、疾患の治療又は予防のための治療活性物質として、特に抗癌物質として使用するための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)ウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)に関する。

0074

最後に、本発明は、細胞又は組織における標的遺伝子の発現を阻害するための、(a)センスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子、及び(b)アンチセンスRNA鎖を発現する一本鎖リボ核酸(ssRNA)を含有するウイルス粒子(センスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖は、標的遺伝子の一部と相同なヌクレオチド配列を含む)を含み、場合により薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物に関する。

0075

本発明は、以下の実施例に基づき、さらに理解されると考えられるが、これらは例示のため提示されており、本発明を限定するものではない。

0076

以下の実施例は、以下の図面と関連している。

0077

以下の実施例において、必要とされる方法及び技術は、文献から既知であるか、又は例えばSambrookら、1989に記載されている。

0078

以下の実施例において、使用されたSFVベクターは、Lundstrom,K.、Schweitzer,C.、Richards,J.G.、Ehrengruber,M.U.、Jenck,F.およびMuelhardt,C.、1999、「インビトロ及びインビボの適用のためのセムリキ森林ウイルスベクター(Semliki Forest virus vectors for in vitro and in vivo applications)」、Gene Therapy and Molecular Biology、4、23-31により記載された、SFV非構造遺伝子nsP2に2個の点突然変異(Ser259Pro及びArg650Asp)を有する非細胞変性型である。この修飾型SFVベクターは、感染宿主細胞における内因性遺伝子発現を阻害せず、そのためdsRNA技術による標的化された、特異的な遺伝子阻害が可能である。

0079

実施例1:BHK新生ハムスター腎臓)細胞(ATCC登録番号:CCL-10)におけるアルドラーゼA発現の阻害(図1)
ヒト・アルドラーゼA遺伝子(M.Sakakibara、T.Mukai & K.Hori、「ヒトアルドラーゼのcDNAクローンにおけるヌクレオチド配列:肝臓におけるmRNA(Nucleotide sequence of a cDNA clone for human aldolase: a messenger RNA in the liver)」、Biochem.Biophys.Res.Commun.30、413-420、1985)に基づき、必要な遺伝子領域を増幅するための3対のオリゴヌクレオチドプライマーを選択した。VA(M.Sakakibara,T.Mukai & K.Hori、「ヒトアルドラーゼのcDNAクローンにおけるヌクレオチド配列:肝臓におけるmRNA(Nucleotide sequence of a cDNA clone for human aldolase: a messenger RNA in the liver)」、Biochem.Biophys.Res.Commun.30、413-420、1985により記載されたようなnt210〜240)及びVB(M.Sakakibara,T.Mukai & K.Hori、「ヒトアルドラーゼのcDNAクローンにおけるヌクレオチド配列:肝臓におけるmRNA(Nucleotide sequence of a cDNA clone for human aldolase: a messenger RNA in the liver)」、Biochem.Biophys.Res.Commun.30、413-420、1985により記載されたようなnt740〜710)は、センス・ウイルス・ストック及びアンチセンス・ウイルス・ストックの構築のために使用された約600ヌクレオチドの領域を増幅する。GA(M.Sakakibara,T.Mukai & K.Hori、「ヒトアルドラーゼのcDNAクローンにおけるヌクレオチド配列:肝臓におけるmRNA(Nucleotide sequence of a cDNA clone for human aldolase: a messenger RNA in the liver)」、Biochem.Biophys.Res.Commun.30、413-420、1985により記載されたようなnt170〜200)及びGB(M.Sakakibara,T.Mukai & K.Hori、「ヒトアルドラーゼのcDNAクローンにおけるヌクレオチド配列:肝臓におけるmRNA(Nucleotide sequence of a cDNA clone for human aldolase: a messenger RNA in the liver)」、Biochem.Biophys.Res.Commun.30、413-420、1985により記載されたようなnt780〜750)は、アルドラーゼ遺伝子染色体領域を増幅する。プライマーVA及びVBを使用してノーザンプローブAを生成させ、上流領域プライマー対(M.Sakakibara,T.Mukai & K.Hori、「ヒトアルドラーゼのcDNAクローンにおけるヌクレオチド配列:肝臓におけるmRNA(Nucleotide sequence of a cDNA clone for human aldolase: a messenger RNA in the liver)」、Biochem.Biophys.Res.Commun.30、413-420、1985により記載されたようなnt951〜980及びnt1330〜1301)を用いてプローブBを増幅した。細胞を感染させ、24時間増殖させた。常法に従い、RNAを単離し、cDNAへ変換した。全てのPCR産物を一般的な配列決定用クローニング・ベクターにサブクローニングした。VA/VBをさらにSFVベクターにクローニングし、感染性SFV粒子を生成させた。ウイルスによりコードされるアルドラーゼmRNAは多量に存在し、ウイルス感染細胞における15サイクルPCRの後に検出される。ウイルスを含まない細胞においてはシグナルが得られない。アルドラーゼmRNAのためのゲノミック・プライマーを使用すると、予想サイズバンドが、未感染細胞、及びセンス産生ウイルス又はアンチセンス産生ウイルスを感染させた細胞において増幅される。センス・ウイルス及びアンチセンス・ウイルス両方の混合物は、染色体アルドラーゼ遺伝子の発現の強力な阻害剤であるが、ウイルス遺伝子発現は影響を受けない。

0080

実施例2:ノーザンブロットによるアルドラーゼRNAの分析(図2)
未感染細胞、又はウイルス・ストックを感染させた細胞のいずれかに由来する全RNAを、標準的なホルムアミドゲルで分離し、電気泳動の後ニトロセルロース膜へ転写し、次いで放射性標識断片A又はBのいずれかでプローブ検索した(実施例1参照)。プローブAは、45分という短い露光時間により、ほぼ排他的にウイルス由来アルドラーゼRNAを検出する。プローブBは、ハイブリダイズしたブロットフィルムへの16時間の露光の後、染色体によりコードされたアルドラーゼmRNAのみを検出する。リボソームRNAを含む染色されたゲルを、担荷量を調節するために使用した(プローブBの下)。特にゲルスキャンにおいて、アルドラーゼmRNAレベルが、両方のウイルスを感染させた細胞において最も低いことが明らかである。

0081

実施例3:遺伝子転写の阻害はウイルス力価に依存する
図3に示されるように、対照に対する相対アルドラーゼmRNAレベルは、M.O.I. 12.5で減少し始め、50においては、この高感度アッセイ法を使用してもmRNAが検出され得ない。もう1つの染色体対照遺伝子(GAPDH)のレベルは、M.O.I.が増加しても変化しない。

0082

実施例4:as/sウイルス・ストックによる阻害の動力学
BHK細胞(ATCC登録番号:CCL-10)に、アルドラーゼRNAウイルス・ストックのas又はs又はas/s混合物を感染させた。図に示された時点で、RNAを単離し、cDNAへ変換した。PCRの後、アガロースゲル電気泳動により産物を分析した。8時間目に、ゲノミック・アルドラーゼRNAの下限の破壊が認められ、最も高い活性は48時間目に検出可能である。この特定の実験においては、センス発現ウイルスもRNA安定性に影響を与えた。GAPDH RNAは、s/asウイルス混合物を感染させた細胞においてRNAレベルの減少が認められる48時間目及び72時間目の試料を除き、変化しなかった。アルドラーゼは必須酵素であるため、これは、おそらく細胞死と関係している。

0083

実施例5:s/asアルドラーゼ・ウイルス・ストックによるアルドラーゼ酵素活性の減少
BHK細胞(ATCC登録番号:CCL-10)に、示されたストックを感染させ、標準的な細胞培養条件下で24時間増殖させた。細胞を収集し、0.2%トリトンX-100を含有する1×PBSで溶解させた。16,000gで4℃で10分間、遠心分離した後、上清回収し、市販のキット(SIGMA、カタログ番号752-A)及び供給されたプロトコールを使用して、3μl(灰色バー)又は5μl(黒色バー)をアッセイした。酵素活性の最も有意な減少は、予想通り、sウイルス・ストック及びasウイルス・ストックの両方を感染させた試料であった。

0084

実施例6:サイクリンの「ノックダウン」は細胞周期の抑止を引き起こす
サイクリンのダウンレギュレーションによる細胞周期の抑止。ヒト胎児腎臓(HEK293)細胞(ATCC登録番号:CRL-1573)に、ゼロ時点で示されたSFVウイルス粒子を感染させ、20時間後(薄灰色バー)及び40時間後(濃灰色バー)に、市販のカラーアッセイ法(技術公報TB245によるPromega G5421)を使用して、培養物において増殖をアッセイした。サイクリンA及びBをブロックするウイルス・ストックの混合物は、最も効率的であり、抗生物質ネオマイシン及びゼオシン)による細胞増殖の阻害よりもはるかに強力であった。サイクリンAの配列は、(「肝細胞癌におけるサイクリンA遺伝子のB型肝炎ウイルス組込み(Hepatitis B virus integration in a cyclin A gene in a hepatocellular carcinoma)」、Wang,Chevenisse X.、Henglein B.、Brechot C.、Nature 343:555-557(1990))に記載されているものであり、サイクリンBの配列は、(Kim D.G.、Choi S.S.、Kang Y.S.、Lee K.H.、Kim U.-J.、Shin H.-S.、EMBL/GenBank/DDBJデータベースに提示(1997年5月6日)、登録番号AF002822、Life Science、Pohang University of Science and Technology、San 31、Pohang、Kyungbuk 790-784、Korea)に記載されているものである。

0085

実施例7:1つのベクター内のセンス及びアンチセンスを感染させた細胞の培養
サイクリンA及びBの遺伝子のセンス断片及びアンチセンス断片を、第2のサブゲノミック26Sプロモーターの導入により、単一のSFVベクターにクローニングした。構築物は以下の通りである。
SFV26S-センス・サイクリンA- SFV26S-アンチセンス・サイクリンA、及び
SFV26S-センス・サイクリンB- SFV26S-アンチセンス・サイクリンB

0086

SFV-サイクリンA又はSFV-サイクリンBを単独で、又は両方をHEK293細胞に感染させることにより、細胞増殖は抑止されなかった。

0087

このことから、同一ベクター内にセンス断片及びアンチセンス断片の両方を含む構築物は、染色体サイクリン遺伝子の発現を阻害し得ないことが示された。

図面の簡単な説明

0088

ブロック・ストックによるアルドラーゼA発現の阻害を示す図である。パネルA:ヒト・アルドラーゼA遺伝子及び発現分析のため使用されたプローブの概略図である。A及びBは、ノーザンブロット(図2)をプローブ検索するために使用された断片である。V及びGは、ウイルス・ストックにより発現されたRNA又は染色体転写物のいずれかを選択的に増幅するプライマー対である。パネルB:VA/VBによるウイルスによりコードされたアルドラーゼmRNAの検出(上2つの図)、又はGA/GBを使用した内因性にコードされたmRNAの検出(下方パネル)を示す。Coは、未感染対照細胞、sはセンス鎖ウイルスを感染させた細胞、asはアンチセンス鎖ウイルスを感染させた細胞、dsは両ウイルス・ストックの1:1混合物(ブロック・ストック)を表す。
ノーザンブロットによるアルドラーゼRNAの分析を示す図である。上パネル:感染細胞(図1参照)の全RNAを、ゲル分析により分離し、膜へ転写し、ウイルスにより発現される領域を内含する標識されたA、又はアルドラーゼA RNAの染色体コピーに特異的なBによりプローブ検索した。プローブAは、1.5時間の露光を必要とし、Bは一晩のx線フィルムへの露光を必要とした。下には、プローブBブロットのオートラジオグラフのスキャンが示されている。
遺伝子転写の阻害とウイルス力価との相関を示す図である。細胞に、M.O.I.(感染多重度)0.5〜50で、s/asウイルス・ブロック・ストックを感染させ、24時間インキュベートした。全RNAを単離し、cDNAへ変換した。アルドラーゼ又はGAPDH(対照)のいずれかに特異的なプライマーを用いてPCRを25サイクル実施した。通常のアガロース電気泳動によりアンプリコン可視化した。2つの独立したウイルス・ブロック・ストックによる結果が示されている(1/3及び4/5)。
as/sウイルス・ストックによる阻害の動力学を示す図である。HEK(ヒト胎児腎臓)細胞に、1/3ブロック・ストック、又は個々のsストック及びasストックを感染させた。示された時間、細胞をインキュベートした後、転写物レベルのPCR分析を行った。
アルドラーゼA酵素活性の測定を示す図である。Coは、未感染細胞における酵素レベルを示しており、Bは緩衝液陰性対照であり、as、s、及びブロック・ストック(ds)は、MOI25で24時間細胞に感染させるために使用された。細胞を収集し、溶解させ、市販のアッセイ法及び3μl又は5μlいずれかの溶解物を使用して酵素活性を測定した。
サイクリンのダウンレギュレーションによる細胞周期の抑止を示す図である。左から右へ:1.溶媒対照;2.未感染細胞(最大増殖);3.緑色蛍光タンパク質(GFP、感染対照)を発現するウイルスを感染させた細胞;4.及び5.抗生物質G418及びゼオシンによるアッセイ対照;6.ヒト・アルドラーゼA dsRNA(阻害対照);7.サイクリンAセンスSFV;8.サイクリンAアンチセンスSFV;9.サイクリンAセンス及びアンチセンスSFV(ds);10.サイクリンBセンスSFV;11. サイクリンBアンチセンスSFV;12. サイクリンBセンス及びアンチセンスSFV(ds);13. サイクリンA及びサイクリンBセンス及びアンチセンスSFV(ds)。
GFPを発現するウイルスを感染させた細胞の培養物、並びにサイクリンA及びサイクリンBのセンス及びアンチセンスSFVの培養物の顕微鏡像を示す図である。

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