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技術 近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 山田朋宏水谷夏彦
出願日 2003年9月16日 (15年2ヶ月経過) 出願番号 2003-323252
公開日 2005年4月7日 (13年7ヶ月経過) 公開番号 2005-091096
状態 特許登録済
技術分野 器械の細部 自動分析、そのための試料等の取扱い 走査型プローブ顕微鏡 光学的記録再生4(ヘッド自体) 光ヘッド
主要キーワード 収束イオンビーム加工 金属小片 制御コンピューター 位相差β 同心円構造 微小金属 周期的凹凸 位相差α
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重要な関連分野

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図面 (11)

課題

強度のより向上した近接場光を得ることができ、また近接場光発生領域の広がりを小さく抑えることが可能となる近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置を提供する。

解決手段

偏光制御された光源からの入射光波長以下のサイズの微小開口を有し、該微小開口に金属小片が配置された金属遮光膜からなる近接場光を発生させる構造体であって、前記金属小片における前記入射光偏光面を含む面内の断面形状を、前記微小開口の中心に対して非対称に構成する。

概要

背景

最近、導体表面原子電子構造直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下、「STM」と呼ぶ)が開発され(G.Binnig et al.Phys.Rev.Lett.、49、57(1983))、単結晶、非晶質を問わず、実空間像を高い分解能で測定できるようになって以来、走査型プローブ顕微鏡(以下、「SPM」と呼ぶ)が、材料の微細構造評価の分野で盛んに研究されるようになってきた。
SPMとしては、微小探針(探針)を有するプローブを評価する試料近接させることにより得られるトンネル電流原子間力磁気力、光等を用いて表面の構造を検出する走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡AFM)、磁気力顕微鏡MFM)、近接場光学顕微鏡(SNOM)等がある。

これらのSPMの中で、SNOMは従来の光学顕微鏡では不可能とされたλ/2以下の位置分解能を、微小開口から発生される近接場光を利用して、試料表面の微細パターン形状等を高い分解能で非破壊にて計測するものである。このようなSNOMにおいては、生態細胞等の従来観察が困難であった材料を試料として用いることが可能であり、観察可能な対象が多く、その応用範囲も広い。

また、このSNOMにおける微小開口から発生する近接場光を用いて表面観察をするだけでなく、露光やその他の技術に応用する研究も活発に行なわれている。
さらには、このような近接場光を用いた露光において、スループットを向上させる露光方法として、例えば、特許文献1のような、光波長以下の開口パターンを有する光マスクに対してプリズムを設け、全反射の角度で光を入射させ、全反射面から滲み出るエバネッセント光を用いて光マスクのパターンレジストに対して一括して転写するという提案がなされている。
特開平08−179493号公報

概要

強度のより向上した近接場光を得ることができ、また近接場光発生領域の広がりを小さく抑えることが可能となる近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置を提供する。偏光制御された光源からの入射光波長以下のサイズの微小開口を有し、該微小開口に金属小片が配置された金属遮光膜からなる近接場光を発生させる構造体であって、前記金属小片における前記入射光偏光面を含む面内の断面形状を、前記微小開口の中心に対して非対称に構成する。

目的

そこで、本発明は上記課題を解決し、強度のより向上した近接場光を得ることができ、また近接場光発生領域の広がりを小さく抑えることが可能となる近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

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請求項1

偏光制御された光源からの入射光波長以下のサイズの微小開口を有し、該微小開口に金属小片が配置された金属遮光膜からなる近接場光を発生させる構造体であって、前記金属小片における前記入射光偏光面を含む面内の断面形状が、前記微小開口の中心に対して非対称に構成されていることを特徴とする近接場光を発生させる構造体。

請求項2

偏光制御された光源からの入射光の波長以下のサイズの微小開口を有し、該微小開口に金属小片が配置された金属遮光膜からなる近接場光を発生させる構造体であって、前記金属遮光膜は、該金属遮光膜表面に表面プラズモンポラリトン励起する周期的凹凸を有する一方、前記周期的凹凸の前記入射光の偏光面を含む面内の断面形状が該入射光の進行方向に対して対称となる中心位置、または該中心位置から前記入射光の偏光面を含む方向にずらせた位置に形成された前記微小開口を有し、前記中心位置に形成された微小開口には、前記入射光の偏光面を含む面内の断面形状が該微小開口の中心に対して非対称に構成された金属小片が配置され、また前記中心位置からずらせた位置に形成された微小開口には、前記断面形状が対称または非対称の金属小片が配置されていることを特徴とする近接場光を発生させる構造体。

請求項3

前記金属遮光膜表面の周期的凹凸は、その周期が該金属遮光膜の表面に励起される表面プラズモンポラリトンの波長と略等しいことを特徴とする請求項2に記載の近接場光を発生させる構造体。

請求項4

前記周期的凹凸は、以下の式(1)によって規定される位相差αを有することを特徴とする請求項3に記載の近接場光を発生させる構造体。α=(a−b)÷Λ×2π(1)但し、a:微小開口中心線に対して一方の側の周期構造の微小開口側端面からこれと同じ側の周期的凹凸の始点までの距離b:微小開口中心線に対して他方の側の周期構造の微小開口側端面からこれと同じ側の周期的凹凸の始点までの距離Λ:周期的凹凸のピッチ

請求項5

前記金属小片は、光の入射面近傍に第一の頂点及び第二の頂点を、該入射面と対向する光電場を発生させる面側近傍に第三の頂点を有する金属小片であって、以下の式(2)によって規定される位相差βを有することを特徴とする請求項1に記載の近接場光を発生させる構造体。β=(c−d)÷λ×2π(2)但し、c:第一の頂点から第三の頂点までの有効屈折率等を考慮した実効的な表面プラズモンポラリトンの伝播距離d:第二の頂点から第三の頂点までの有効屈折率等を考慮した実効的な表面プラズモンポラリトンの伝播距離λ:表面プラズモンポラリトンの波長

請求項6

前記周期的凹凸の位相差αが略以下の式(3)を満たし、または前記金属小片の有する位相差βが略以下の式(4)を満たすことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の近接場光を発生させる構造体。α=(2m+1)π(3)β=(2n+1)π(4)但し、m、n:整数

請求項7

前記位相差αと前記位相差βとの和が、略以下の式(5)を満たすことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の近接場光を発生させる構造体。α+β=(2k+1)π(5)但し、k:整数、またαの算出に用いられるcは前記aの規定に用いる一方の側に位置する前記第一の頂点に基づいて算出され、同じくβの算出に用いられるdは前記bの規定に用いられる他方の側に位置する前記第二の頂点に基づいて算出される。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の近接場光を発生させる構造体と、該構造体から発生する近接場光を検出する光検出装置を有することを特徴とする近接場光ヘッド

請求項9

請求項8に記載の近接場光ヘッドを有し、ステージ上の記録媒体に記録・再生を行うことを特徴とする記録・再生装置

請求項10

請求項8に記載の近接場光ヘッドを有し、ステージ上の試料の表面観察を行うことを特徴とする表面観察装置

技術分野

0001

本発明は、近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置に関するものである。

背景技術

0002

最近、導体表面原子電子構造直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下、「STM」と呼ぶ)が開発され(G.Binnig et al.Phys.Rev.Lett.、49、57(1983))、単結晶、非晶質を問わず、実空間像を高い分解能で測定できるようになって以来、走査型プローブ顕微鏡(以下、「SPM」と呼ぶ)が、材料の微細構造評価の分野で盛んに研究されるようになってきた。
SPMとしては、微小探針(探針)を有するプローブを評価する試料近接させることにより得られるトンネル電流原子間力磁気力、光等を用いて表面の構造を検出する走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡AFM)、磁気力顕微鏡MFM)、近接場光学顕微鏡(SNOM)等がある。

0003

これらのSPMの中で、SNOMは従来の光学顕微鏡では不可能とされたλ/2以下の位置分解能を、微小開口から発生される近接場光を利用して、試料表面の微細パターン形状等を高い分解能で非破壊にて計測するものである。このようなSNOMにおいては、生態細胞等の従来観察が困難であった材料を試料として用いることが可能であり、観察可能な対象が多く、その応用範囲も広い。

0004

また、このSNOMにおける微小開口から発生する近接場光を用いて表面観察をするだけでなく、露光やその他の技術に応用する研究も活発に行なわれている。
さらには、このような近接場光を用いた露光において、スループットを向上させる露光方法として、例えば、特許文献1のような、光波長以下の開口パターンを有する光マスクに対してプリズムを設け、全反射の角度で光を入射させ、全反射面から滲み出るエバネッセント光を用いて光マスクのパターンレジストに対して一括して転写するという提案がなされている。
特開平08−179493号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、上記した微小開口を用いて強電場により近接場光を発生させる場合、強度の高い近接場光を発生させる上で、必ずしも満足の行くものではなかった。

0006

そこで、本発明は上記課題を解決し、強度のより向上した近接場光を得ることができ、また近接場光発生領域の広がりを小さく抑えることが可能となる近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、以下のように構成した近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置を提供するものである。
すなわち、本発明の近接場光を発生させる構造体は、偏光制御された光源からの入射光波長以下のサイズの微小開口を有し、該微小開口に金属小片が配置された金属遮光膜からなる近接場光を発生させる構造体であって、前記金属小片における前記入射光偏光面を含む面内の断面形状が、前記微小開口の中心に対して非対称に構成されていることを特徴としている。
また、本発明の近接場光を発生させる構造体は、偏光制御された光源からの入射光の波長以下のサイズの微小開口を有し、該微小開口に金属小片が配置された金属遮光膜からなる近接場光を発生させる構造体であって、前記金属遮光膜は、該金属遮光膜表面に表面プラズモンポラリトン励起する周期的凹凸を有する一方、前記周期的凹凸の前記入射光の偏光面を含む面内の断面形状が該入射光の進行方向に対して対称となる中心位置、または該中心位置から前記入射光の偏光面を含む方向にずらせた位置に形成された前記微小開口を有し、前記中心位置に形成された微小開口には、前記入射光の偏光面を含む面内の断面形状が該微小開口の中心に対して非対称に構成された金属小片が配置され、また前記中心位置からずらせた位置に形成された微小開口には、前記断面形状が対称または非対称の金属小片が配置した構成を採ることができる。
また、本発明の近接場光を発生させる構造体は、前記金属遮光膜表面の周期的凹凸が、その周期が該金属遮光膜の表面に励起される表面プラズモンポラリトンの波長と略等しくした構成を採ることができる。
また、本発明の近接場光を発生させる構造体は、前記周期的凹凸が以下の式(1)によって規定される位相差αを有する構成を採ることができる。
α=(a−b)÷Λ×2π (1)
但し、
a:微小開口中心線に対して一方の側の周期構造の微小開口側端面からこれと同じ側の周期的凹凸の始点までの距離
b:微小開口中心線に対して他方の側の周期構造の微小開口側端面からこれと同じ側の周期的凹凸の始点までの距離
Λ:周期的凹凸のピッチ
また、本発明の近接場光を発生させる構造体は、前記金属小片が光の入射面近傍に第一の頂点及び第二の頂点を、該入射面と対向する光電場を発生させる面側近傍に第三の頂点を有する金属小片であって、以下の式(2)によって規定される位相差βを有する構成を採ることができる。
β=(c−d)÷λ×2π (2)
但し、c:第一の頂点から第三の頂点までの有効屈折率等を考慮した実効的な表面プラズモンポラリトンの伝播距離
d:第二の頂点から第三の頂点までの有効屈折率等を考慮した実効的な表面プラズモンポラリトンの伝播距離
λ:表面プラズモンポラリトンの波長
その際、前記周期的凹凸の位相差αが略以下の式(3)を満たし、または前記金属小片の有する位相差βが略以下の式(4)を満たすように構成することができる。
α=(2m+1)π (3)
β=(2n+1)π (4)
但し、m、n:整数
また、前記位相差αと前記位相差βとの和が、略以下の式(5)を満たすように構成することができる。但しαの算出に用いられるcは前記aの規定に用いる一方の側に位置する前記第一の頂点に基づいて算出され、同じくβの算出に用いられるdは前記bの規定に用いられる他方の側に位置する前記第二の頂点に基づいて算出される。また例えば図8において、金属小片全体が微小開口の中心線よりも図中左側に寄っている状況であったとしても、もしくは第一の頂点及び第二の頂点が共に微小開口の中心線よりも左側にあったとしても、第一の頂点は端面A´側にあり、第二の頂点は端面B´側にあると規定することにする。
α+β=(2k+1)π (5)
但し、k:整数
また、本発明の近接場光ヘッドは、上記したいずれかに記載の近接場光を発生させる構造体と、該構造体から発生する近接場光を検出する光検出装置を有することを特徴としている。
また、本発明の記録・再生装置は、上記近接場光ヘッドを有し、ステージ上の記録媒体に記録・再生を行うことを特徴としている。
また、本発明の表面観察装置は、上記近接場光ヘッドを有し、ステージ上の試料の表面観察を行うことを特徴としている。

発明の効果

0008

本発明によれば、強度のより向上した近接場光を得ることができ、また近接場光発生領域の広がりを小さく抑えることが可能となる近接場光を発生させる構造体、該構造体を有する近接場光ヘッド、該ヘッドを有する記録再生装置及び表面観察装置を実現することができる。

発明を実施するための最良の形態

0009

本発明は、微小開口の中に少なくとも3つの頂点を備えた金属小片を有する近接場光を発生させる構造体において、該金属小片のこれらの頂点の中の、近接場光を発生させる構造体の光を入射させる面と対向する光電場を発生させる面側に位置する頂点近傍に、表面プラズモンポラリトンが同位相干渉するようにして、強度の高い近接場光を発生させるようにしたものであるが、それは、本発明者らの鋭意検討した結果、初めて見出された知見によるものである。

0010

以下に、これらを本発明の実施の形態により詳細に説明する。
図1に、本実施の形態における近接場光を発生させる構造体の構成を示す。
図1において、遮光部材の入射側表面にはグレーティング101が形成されている。また、このグレーティングは金属部材で構成されている。このグレーティング及び微小開口102の配置は、例えば図1に示す様に微小開口が同心円グレーティングパターンで囲まれており、且つ微小開口が同心円グレーティングの中心から外れた位置にある。
また、この部材に入射する光の偏光方向103は、同心円グレーティングの中心107と微小開口の中心を結ぶ直線104と略平行であることが望ましい。ここで偏光方向とは光電場ベクトルの向きである。

0011

また、グレーティングのピッチは、グレーティング表面に表面プラズモンポラリトン(以下、SPPと記す)105が励起されるように設定しておく。具体的には、グレーティングにおける周期的凹凸の周期を、グレーティングの表面に励起されるSPPの波長と略等しくしておく。また、ここではグレーティングの2次元形状は同心円状としたが、これに限らない。図2に例示するような、スリットアレイ状や円弧列、放物線弧列、楕円弧列などの形状でも良い。
また、微小開口内部には頂点A、頂点B、頂点Cを有する金属小片106が配置されている。本実施の形態では頂点Cに対応する点に強い近接場光を発生させることを目的としている。
ここで、金属小片の出射側頂点Cの位置は、周囲の遮光部材の出射側表面と略同一面内もしくは出射側表面よりも突出していることが望ましい。

0012

つぎに、位相差について定義しておく。
上記したグレーティングにおける周期構造の位相差を、図8を用いて定義する。図8は周期構造を、微小開口中心を含み入射偏光面と平行な面で切った断面図である。
まず、図中の微小開口中心線に対して右側の周期構造の微小開口側端面を端面A’とし、同様に左側を端面B’とする。また、周期構造のピッチをΛとする。
ΛはSPPの波長と略同一であるとする。さらに図のように周期構造A’始点及びB’始点を定義した場合に、端面から始点までの距離を図のようにaおよびbと定める。このとき周期構造の位相差αを
α=(a−b)÷Λ×2π
で定義する。

0013

また、金属小片が有する位相差βの定義を以下の通り定める。
第一の頂点から第三の頂点までの距離をc、第二の頂点から第三の頂点までの距離をdとするとき、
β=(c−d)÷λ×2π
但し、λは表面プラズモンポラリトン(SPP)の波長である。また、上記c、dは有効屈折率等を考慮した実効的な表面プラズモンポラリトン(SPP)の伝播距離である。

0014

図1において遮光部材の入射側から光が入射すると、遮光部材表面に形成されたグレーティングにより回折光が略90度に回折されエバネッセント波が発生する。ここで、図中右方向への回折を+1次、左方向への回折を−1次ととる。そして、このエバネッセント波がグレーティング表面にSPPを励起する。
このSPPは同心円グレーティングの中心方向に集まる。
このとき、例えば微小開口内に配置された金属小片が図のように頂点A,Bを有し、かつこれらが遮光部材の表面近くに存在する端面A’及びB’に近接して存在する場合、端面A’,B’まで伝播してきたSPPが金属小片の頂点A,Bを通して金属小片にSPPを励起する。

0015

ここで、頂点A’及びB’に到達するSPPの位相について考察する。
仮に、図9の様にグレーティング901の二次元形状が同心円状であり、且つグレーティングの同心円の中心906に微小開口902が存在しており、また、金属小片の形状は、入射光偏光面と平行で且つ同心円グレーティングの中心を含む平面内において、微小開口中心線に対し左右対称とされているものとする。
この場合、微小開口から見て、グレーティング形状は左右対称であるから、入射光の偏光方向903が図のような方向であると、同時刻にA’とB’に到達する表面プラズモンポラリトン(SPP)904の位相は、丁度、逆位相になる。
その理由はA’に到達するSPPが入射光の−1次の回折光で励起され、B’に到達するSPPは+1次の回折光により励起されているためである。+1次回折光と−1次回折光は回折する方向が逆になるため、回折後の電場ベクトルの向きは互いに逆方向になる。これは逆位相であることと等価である。したがって各々の回折光から励起されるSPPも互いに逆位相になる。

0016

また、前述したように金属小片905の形状は入射光の偏光面を含む面内の断面形状が光の入射方向に対して左右対称であることから、金属小片の頂点Aから頂点Cまでの伝播距離と頂点Bから頂点Cまでの伝播距離が等しく、頂点A及びBで励起されたSPPは頂点Cにおいて逆位相で干渉する。このため頂点Cでは電場強度が0になり近接場光が発生しないか、もしくは余り強くない近接場光が発生することになる。また、このとき、前述の伝播距離は単なる幾何的な距離ではなく、有効屈折率等を考慮した実効的な伝播距離を考える。

0017

このようなことから、前述したように、頂点Cにおいて強い近接場光を発生させるためには、頂点CにおいてSPPが同位相で干渉することが必要であることが見出された。そこで、図1のように、微小開口の位置を同心円グレーティングの中心から偏光面を含む方向にずらしておくことで、A’及びB’に到達するSPPの位相をちょうど逆位相にはならないようにする。特に、例えばA’とB’に到達するSPPがちょうど同位相になるようにグレーティングの位置、形状や微小開口およびその内部の金属小片の位置を設定した場合、金属小片は前述のように入射光進行方向に対して対称なので、金属小片の頂点CにはSPPが同位相で到達することになり、頂点C表面及び近傍では強電場により高い強度の近接場光が発生することになる。

0018

また、頂点Cに発生する電場の強度や分布は、頂点Cの曲率半径等に依存する。仮に、微小開口しか存在しない場合には、微小開口を通して近接場光が発生し、この近接場光電場の発生領域は微小開口の大きさ程度となるが、上記微小開口内にさらに先鋭な頂点を有する微小金属片が存在する場合、その頂点部分近傍に発生する近接場光発生領域の大きさは非常に小さく、さらに強度の高い近接場光を発生させることが可能となる。
以上のとおり、頂点Cに強電場を発生させるためには、頂点CにおいてSPPが略同位相で干渉することが必要である。
具体的には、前述したとおりグレーティングにおける周期構造の位相差を、
α=(a−b)÷Λ×2πと定義したとき、α=(2m+1)πとなるようにすればよい(但し、mは整数)。

0019

頂点CにおいてSPPを略同位相で干渉させるためには、上述のようなグレーティング形状、微小開口の位置を非対称にする手法だけでなく、他の手法でも可能である。例えば、同心円状のグレーティングを用い、微小開口がこの同心円の中心に位置している場合でも、図3に示されるように、微小開口中に配置された金属小片の形状を、入射光の偏光面を含む面内の断面形状が、入射光の進行方向に対して非対称になるようにしてもよいし、あるいはこのようなグレーティングを用いず、上記した金属小片の断面形状を単に非対称になるようにしてもよい。これらの場合には、図中のA’及びB’にはSPPが、丁度、逆位相で到達し、したがって頂点A,BではSPPが逆位相で励起される。しかし、図のように金属小片の形状が非対称であるため、A,Bそれぞれで励起されたSPPの頂点Cまでの伝播距離が異なり、頂点CにおいてSPPが略同位相で干渉させることが可能である。その結果頂点C近傍で強電場により、強い強度の近接場光を発生させることが出来る。
具体的には、前述したとおり金属小片が有する位相差を、
β=(c−d)÷λ×2πと定義したとき、β=(2n+1)πとなるようにすればよい(但し、nは整数)。
あるいは、上記したグレーティングにおける周期構造の位相差と金属小片が有する位相差の双方の位相差を用い、この位相差αと位相差βとの和(α+β)が、α+β=(2k+1)πを満たすようにすればよい(但し、kは整数)。

0020

また、頂点C近傍に近接場光を発生させる方法としては、上述のようなSPPを金属小片の表面で生じさせ、これを干渉させる方法だけでなく、金属小片内にバルクのプラズマ振動を生じさせることで、金属小片の頂点部に強電場を発生させる方法もある。ここでのバルクのプラズマ振動とは、金属小片内の自由電子のほとんど全てがほとんど同じ周波数で同じ方向に振動している状態を指している。
このようなバルクのプラズマ振動は、微小金属片の誘電率や形状によってその振動数が決定されることを考慮する必要がある。

0021

また、金属小片内にバルクのプラズマ振動が起こるとき、金属小片が頂点を有していると、頂点部分はその形状から電界集中の効果により強電場が発生しやすくなる。この現象により例えば図10のような状況では、一般的には頂点AとCに近接場が発生する。
また、上述の現象は同時に存在しうるものであるが、SPPの伝播は金属小片の大きさが直径数ミクロンから100nm程度で効果が顕著であり、バルクのプラズマ振動は、直径数十nmから数nm程度で顕著になる。

0022

以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図4に、本発明の実施例1における近接場光を発生させる構造体の作製工程を示す。
図4により、その作成手順について説明する。
まず(100)面を出してあるSiウェハである基板401を用意する。この基板表面に膜厚500nmの窒化シリコン成膜し、母材402を形成する(図4(a))。
次に、入射側表面の母材にバックエッチ孔403をフォトリソグラフィーによりパターニングする。さらに、出射側表面の母材に周期構造404を電子ビーム描画によるレジストパターニング及びフォトリソグラフィーを用いて形成する(図4(b))。これは集束イオンビーム装置による加工でもよい。
本実施例ではこの周期構造404として同心円構造のものを形成した。

0023

次に、膜厚100nmのCrを金属層405として成膜する(図4(c))。次に、この同心円構造の中心406からややずれた位置に直径約300nmの微小開口407を形成しておく。また微小開口の中心には直径約280nmの金属小片408を配置しておく。金属小片の形状は空気とCr界面で発生するSPPの波長(略400nm)を考慮して形成する。そしてKOHを用いて異方性エッチングを行いメンブレン化する(図4(d))。これらの加工にも収束イオンビーム加工を用いる。但しこの限りではなく、フォトリソグラフィーや電子ビーム描画によるレジストパターニングのあとエッチングしても良い。金属小片の形状は入射光偏光面と平行で且つ微小開口の中心と同心円グレーティングの中心を含む平面での断面形状が入射光進行方向に対して左右対称であるとする。これにより近接場光を発生させる構造体409が完成する。
なお、図5に同心円グレーティングの中心と微小開口の中心を結ぶ直線を500として、この直線での断面図の概略を示す。

0024

ここで、この構造体に入射側表面から光を入射する。入射光を水銀ランプの光(波長436nm)とし、グレーティングピッチを略200nm程度に作製しておく。これは窒化シリコンとCrの界面に発生するSPPの波長が略200nmであるためである。また、SPPが図1でいうところの微小開口の端部であるA’とB’に到達した時点で同位相になるように、微小開口の位置を同心円グレーティングの中心からSPPの波長にして1/4波長分ずらしておく(約50nm)。A’とB’まで伝播したSPPは金属小片上の点AとBを通して金属小片表面にSPPを励起し、頂点Cまで到達し強電場分布を発生する。強電場発生領域の大きさは金属小片の頂点及びそのごく近傍に限られる。
本実施例の近接場光を発生させる構造体により、入射光のエネルギーを効率よく近接場光に変換できる。また微小開口内の金属小片により、発生する強電場領域を小さくすることが出来る。

0025

本実施例では、グレーティングの2次元形状は同心円状としたが、これに限るものではなく、スリット状、円弧状、放物線状、(格子状)などでも良い。
また、本実施例では微小開口の位置をグレーティングパターンの中心からずらすことで、微小開口内の金属小片のSPPの位相を制御し頂点Cに強電場が発生するようにしたが、微小開口の位置はグレーティングパターンの中心にあっても良い。その場合は、頂点Cで強い近接場光を発生させるために、図3のように微小開口内の金属小片の形状に非対称性を持たせれば良い。また、その両者を併せて、グレーティング構造と金属小片が共に非対称であっても良い。
[実施例2]
図6に、本発明の実施例2における本発明の構造体をイルミネーション照射)モードの近接場光学顕微鏡(SNOM)に応用した装置構成を示す。
図6において、ビーム発生装置601からの波長436nmのビーム602を、近接場光発生構造603に照射する。近接場光発生構造603はピッチが略200nmの同心円状スリットであり、周期構造及びその他の構造は実施例1と同様に構成する。近接場光発生構造603を基板604上の試料605表面に対して100nm以下の距離まで近接させて照射した結果生じる散乱光を、集光レンズ606で集光し、光電子増倍管607で検出し、これをSNOM信号とし、計測制御コンピュータ608に入力する。また、これに限らず、図7に示すようなビーム発生装置701、近接場光発生構造体705、集光レンズ707、アバランシェフォトダイオード708を組み合わせて構成した近接場光ヘッドを用いるようにしても良い。

0026

計測制御コンピュータ608からはxyzステージ611を駆動するための駆動信号ステージ駆動回路609を介して出力され、xyzステージ611の三次元位置制御を行う。
計測制御コンピュータ608では、xyzステージ611を駆動することにより、試料605に対する集光部を走査し、その位置に応じてSNOM信号を三次元プロットすることにより、試料表面のSNOM像像を形成し、これをディスプレイ610に表示する。

0027

本実施例の近接場光発生構造を用いてイルミネーションモードSNOM装置を構成することにより、光の回折限界を超える解像度が達成できる。また高効率な近接場光発生のため、高速に試料を観察することが出来る。
また本実施例の装置構成を用いてストレージ装置露光装置を構成しても良い。
[実施例3]
図7に、本発明の実施例3における本発明の構造体を記録再生装置に応用した装置構成を示す。
図7において、ビーム発生装置701からの波長436nmのビーム702を、近接場光発生構造705に照射し、近接場発生構造705を基板703上の記録媒体704に近接させ、記録再生を行う。近接場発生構造705は実施例1と同様に構成する。

0028

ビームの強度を増大させることにより強度の大きい近接場光を用いて記録を行い、ビームの強度を弱めることにより、強度の小さい近接場光を記録媒体704に照射してその散乱透過光を集光レンズ707で集光してアバランシェフォトダイオード708で強度を検出して再生信号とし、記録再生制御コンピュータ709に入力する。
記録再生制御コンピュータ709から回転モータ駆動回路710を介して回転モータ711を駆動し、ビームに対して記録媒体704を回転させる。得る信号は位置合わせ(トラッキング)用の制御信号として記録再生制御コンピュータ709に入力し、ビーム発生装置701に対する記録媒体704の位置合わせを行うために用いられる。

0029

本実施例の集光方法を用いて記録再生装置を構成することにより、光の回折限界を超える記録密度を達成することが出来る。これは近接場が微小開口内の金属小片の頂点近傍の微小領域に形成されているためである。また、高効率な近接場光発生のため短時間に情報記録、再生をすることが出来る。
また、記録再生速度の更なる向上のために、本実施例における探針を複数設け、マルチヘッドの記録再生装置を構成してもよい。
本実施例では本発明の近接場光発生構造を用いて記録再生装置を構成したが、この構成に限るものではなく、またこの構造を用いて情報処理装置を構成しても良い。

図面の簡単な説明

0030

本発明の実施の形態における近接場光を発生させる構造体を説明する概略図。
本発明の実施の形態におけるグレーティングの別の2次元形状を示す図。
本発明の実施の形態における金属小片の入射光の偏光面を含む面内の断面形状を、入射光の進行方向に対して非対称とした構成を示す図。
本発明の実施例1における近接場光を発生させる構造体の作製工程を示す。
本発明の実施例1における近接場光を発生させる構造体の断面の概略図。
本発明の構造体をイルミネーション(照射)モードの近接場光学顕微鏡(SNOM)に応用した装置構成を示す図。
本発明の実施例3における本発明の構造体を記録再生装置に応用した装置構成を示す図。
本発明の実施の形態におけるグレーティング及び金属小片の有する位相差を説明するための図。
実施の形態を説明する概略図。
本発明の実施の形態における金属小片の頂点に近接場光が発生する状態を説明する概略図。

符号の説明

0031

101:グレーティング
102:微小開口
103:偏光方向
104:同心円グレーティングの中心と微小開口の中心を結ぶ直線
105:表面プラズモンポラリトン
106:金属小片
107:同心円グレーティングの中心
401:基板
402:母材
403:バックエッチ孔
404:周期構造
405.金属層
406:同心円構造の中心
407:微小開口
408:金属小片
409:近接場光発生構造
500:同心円グレーティングの中心と微小開口の中心を結ぶ直線
601:ビーム発生装置
602:ビーム
603:近接場光発生構造
604:基板
605:試料
606:集光レンズ
607:光電子増倍管
608:計測制御コンピュータ
609:ステージ駆動回路
610:ディスプレイ
611:XYZステージ
701:ビーム発生装置
702:ビーム
703:基板
704:記録媒体
705:近接場光発生構造
706:記録層
707:集光レンズ
708:アバランシェフォトダイオード
709:記録再生制御コンピューター
710:回転モータ駆動回路
711:回転モータ
901:グレーティング
902:微小開口
903:偏光方向
904:表面プラズモンポラリトン
905:金属小片
906:同心円グレーティングの中心

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