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技術 基材の表面改質方法及び装置

出願人 株式会社豊田中央研究所
発明者 東博純竹内昭博
出願日 2003年9月12日 (16年6ヶ月経過) 出願番号 2003-321867
公開日 2005年4月7日 (14年11ヶ月経過) 公開番号 2005-089526
状態 特許登録済
技術分野 高分子成形体の処理
主要キーワード 防護膜 電磁シールド膜 レーザー照射強度 レーザー光発生装置 露光効果 ターゲット部材 レーザー照射位置 炭素含有材料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年4月7日)のものです。
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図面 (6)

課題

炭素含有材料からなる複雑な形状の基材や大型の基材へも表面改質処理を施すことが可能な基材の表面改質方法及び装置を提供する。

解決手段

レーザー光を透過可能なバックアップ材4aの片面にターゲット材料4bを積層してなるテープターゲット4に対し、炭素含有材料からなる基材Sをターゲット材料4b側の面より所定距離離隔させて対向配置し、レーザー光をバックアップ材4aを通してターゲット材料4bに照射し、ターゲット材料4bより発生する真空紫外線を基材Sの表面に露光させるとともに、バックアップ材4aより離脱して基材S側へ飛散するターゲット材料4bの粒子を基材Sの表面に付着させる。

概要

背景

従来より、樹脂基板の表面を改質する技術として、放射光からのX線紫外線露光したり、紫外線ランプにより紫外線を露光することにより樹脂表面の活性化を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、X線や紫外線等を露光した後、大気下若しくはガス雰囲気下において、用途に応じた別途の処理を施している。
特開2001−316485号公報

概要

炭素含有材料からなる複雑な形状の基材や大型の基材へも表面改質処理を施すことが可能な基材の表面改質方法及び装置を提供する。レーザー光を透過可能なバックアップ材4aの片面にターゲット材料4bを積層してなるテープターゲット4に対し、炭素含有材料からなる基材Sをターゲット材料4b側の面より所定距離離隔させて対向配置し、レーザー光をバックアップ材4aを通してターゲット材料4bに照射し、ターゲット材料4bより発生する真空紫外線を基材Sの表面に露光させるとともに、バックアップ材4aより離脱して基材S側へ飛散するターゲット材料4bの粒子を基材Sの表面に付着させる。

目的

従って、本発明の目的は、樹脂等の基材表面の高い活性状態を維持し表面改質を行う方法を提供することである。さらに、表面改質処理を施す基材の形状や大きさを自由に設定できる方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

炭素含有材料からなる基材の表面を改質する方法であって、レーザー光を透過可能なバックアップ材の片面にターゲット材料を積層してなるターゲット部材に対して、前記基材を前記ターゲット材料側の面より所定距離離隔させて対向配置し、レーザー光を前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料に照射し、そのターゲット材料より発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記バックアップ材より離脱して前記基材側へ飛散する前記ターゲット材料の粒子を、前記基材の表面に付着させることを特徴とする基材の表面改質方法

請求項2

前記レーザー光は、YAGレーザー光であることを特徴とする請求項1に記載の基材の表面改質方法。

請求項3

前記レーザー光は、前記ターゲット材料から波長50nm乃至100nmの真空紫外線を発生させるように照射条件が設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の基材の表面改質方法。

請求項4

前記レーザー光の照射強度は、106W/cm2乃至1012W/cm2に設定されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基材の表面改質方法。

請求項5

請求項1乃至4のいずれかに記載の方法によって表面改質されたことを特徴とする炭素含有材料からなる基材。

請求項6

炭素含有材料からなる基材の表面を改質する装置であって、レーザー光を透過可能なバックアップ材の片面にターゲット材料を積層してなるターゲット部材と、前記ターゲット部材の前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料にレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、を備え、前記ターゲット部材に対して前記基材を前記ターゲット材料側の面より所定距離離隔させて対向配置し、前記レーザー光照射手段によりレーザー光が前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料に照射されることにより発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記バックアップ材より離脱して前記基材側へ飛散する前記ターゲット材料の粒子を、前記基材の表面に付着させるように構成したことを特徴とする基材の表面改質装置

請求項7

前記レーザー光照射手段は、YAGレーザー光を照射するものであることを特徴とする請求項6に記載の基材の表面改質装置。

請求項8

前記レーザー光は、前記ターゲット材料から波長50nm乃至100nmの真空紫外線を発生させるように照射条件が設定されたことを特徴とする請求項6又は7に記載の基材の表面改質装置。

請求項9

前記レーザー光の照射強度は、106W/cm2乃至1012W/cm2に設定されたことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の基材の表面改質装置。

請求項10

前記バックアップ材は、樹脂材料からなることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の基材の表面改質装置。

請求項11

前記ターゲット部材におけるレーザー照射位置を相対的に移動させる相対移動手段を備えたことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の基材の表面改質装置。

請求項12

記相対移動手段は、前記ターゲット部材のレーザー未照射部分をレーザー照射位置へ順次移動させるターゲット部材駆動手段からなることを特徴とする請求項11に記載の基材の表面改質装置。

請求項13

前記レーザー光照射手段は、レーザー光を発生するレーザー光発生装置と、そのレーザー光発生装置より発生されるレーザー光を前記ターゲット部材の前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料にて集光する光学部材とからなることを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載の基材の表面改質装置。

技術分野

0001

本発明は、樹脂基板等の炭素含有材料からなる基材の表面に物理的特性化学的特性等の種々の特性を付与するための基材の表面改質方法及び装置に関するものである。

背景技術

0002

従来より、樹脂基板の表面を改質する技術として、放射光からのX線紫外線露光したり、紫外線ランプにより紫外線を露光することにより樹脂表面の活性化を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、X線や紫外線等を露光した後、大気下若しくはガス雰囲気下において、用途に応じた別途の処理を施している。
特開2001−316485号公報

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、上述した従来技術においては、放射光等の露光により活性化した樹脂基板の表面が経時変化により、或いはガス雰囲気にさらされることにより、不活性化した後に、用途に応じた別途の処理を施すことになり、X線等の露光効果が薄れるという問題がある。他にも、放射光を発生させるための設備は大型の設備であって、時間シェアリング的に利用される場合が殆どであり、多くのサンプルを試行錯誤的に用いて材料を開発することが困難であるという問題がある。また、波長200nm以上の紫外線を主体とする紫外線ランプ露光の場合は、樹脂表面の吸収率が波長50nm乃至100nmの真空紫外線と比べると1/100以下であるため、活性化の効果が非常に少ない。

0004

従って、本発明の目的は、樹脂等の基材表面の高い活性状態を維持し表面改質を行う方法を提供することである。さらに、表面改質処理を施す基材の形状や大きさを自由に設定できる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0005

以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。

0006

本発明の基材の表面改質方法は、炭素含有材料からなる基材の表面を改質する方法であって、レーザー光を透過可能なバックアップ材の片面にターゲット材料を積層してなるターゲット部材に対して、前記基材を前記ターゲット材料側の面より所定距離離隔させて対向配置し、レーザー光を前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料に照射し、そのターゲット材料より発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記バックアップ材より離脱して前記基材側へ飛散する前記ターゲット材料の粒子を、前記基材の表面に付着させることを特徴とする。

0007

ここで、本発明の作用効果を予想すると、レーザー光を透過可能なバックアップ材の片面にターゲット材料を積層してなるターゲット部材へバックアップ材側からレーザー光を照射すると、レーザー光はバックアップ材を透過してターゲット材料に照射され、これによりターゲット材料には高温プラズマが形成され、このプラズマより真空紫外線が発生し、ターゲット材料側の面より所定距離離隔させて対向配置された基材側へ四方八方に輻射される。この真空紫外線は炭素含有材料における吸収性が高く、真空紫外線がターゲット材料側に配置された基材の表面に露光されると、基材表面では炭素原子外殻電子であるp電子励起若しくは電離することにより分子の結合が破壊され、炭素含有材料表面が活性化される。一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料の表面では、中性原子イオンクラスタ等が形成される。このとき、バックアップ材は固体形状を維持するため、プラズマ化したターゲット材料の粒子は、バックアップ材側には膨張できず、その反動によってバックアップ材より離脱して、バックアップ材とは反対方向である基材側へ音速レベル高速で飛散する。このため、真空紫外線の露光により基材の表面が活性化され、その直後に飛散粒子が付着するため、粒子が基材の表面に強固に密着すると考えられる。

0008

そして、樹脂基板等の炭素含有材料からなる基材の表面を改質することができる。具体的には、耐デント性濡れ性撥水性耐傷性親油性ガスバリア性付着性密着性耐スクラッチ性耐オゾン性黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性親水性防カビ性摩擦性染色性印刷性筆記性潤滑性等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与したり、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができるのではないかと考えられる。

0009

ここで、炭素含有材料とは、好ましくは、樹脂材料、より好ましくは、ポリ四フッ化エチレンシリコンゴムエポキシ樹脂ポリプロピレンポリエチレンポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。

0010

また、レーザー光の進行方向に基材を配置して処理を行うことができるため、複雑な形状の基材や大型の基材へも表面改質処理を施すことができる。

0011

尚、ターゲット材料としては、表面改質される基材の用途により、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、Si、Ge等の半導体セラミックス炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。

0012

また、本発明の基材の表面改質方法は、前記レーザー光が、YAGレーザー光であることが好ましい。

0013

YAGレーザー光をターゲット材料へ照射することにより、ターゲット材料にて高温のプラズマを形成させ、真空紫外線及び飛散粒子を発生させることができる。

0014

また、本発明の基材の表面改質方法は、前記レーザー光が、前記ターゲット材料から波長50nm乃至100nmの真空紫外線を発生させるように照射条件が設定されたことを特徴とする。

0015

従って、レーザー光がターゲット材料に照射されることにより、炭素含有材料による吸収性が高い波長50nm乃至100nmの真空紫外線が発生し、その真空紫外線が基材表面に露光されるので、炭素含有材料の分子の結合が効果的に破壊されて基材表面が確実に活性化される傾向がある。尚、より好ましい真空紫外線の波長範囲は、60nm乃至80nmである。

0016

また、本発明の基材の表面改質方法は、前記レーザー光の照射強度が、106W/cm2乃至1012W/cm2に設定されたことを特徴とする。より好ましくは、前記レーザー光の照射強度は、109W/cm2乃至1011W/cm2である。

0017

従って、照射強度が106W/cm2乃至1012W/cm2に設定されたレーザー光をターゲット材料に照射することにより、炭素含有材料による吸収性が高い波長50nm乃至100nmの真空紫外線が確実に発生する傾向がある。そして、その真空紫外線が基材表面に露光されるので、炭素含有材料の分子の結合が効果的に破壊されて基材表面が確実に活性化されると考えられる。

0018

また、本発明の炭素含有材料からなる基材は、上述したいずれかの方法によって表面改質されたことを特徴とする。

0019

従って、基材の表面には上述したとおりの各種の機械的特性、物理的特性、化学的特性の付与や、塗装やめっき等の被覆の密着性の向上が図られている。

0020

また、本発明の基材の表面改質装置は、炭素含有材料からなる基材の表面を改質する装置であって、レーザー光を透過可能なバックアップ材の片面にターゲット材料を積層してなるターゲット部材と、前記ターゲット部材の前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料にレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、を備え、前記ターゲット部材に対して前記基材を前記ターゲット材料側の面より所定距離離隔させて対向配置し、前記レーザー光照射手段によりレーザー光が前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料に照射されることにより発生する真空紫外線を前記基材の表面に露光させるとともに、前記バックアップ材より離脱して前記基材側へ飛散する前記ターゲット材料の粒子を、前記基材の表面に付着させるように構成したことを特徴とする。また、本発明の基材の表面改質装置は、前記レーザー光照射手段が、YAGレーザー光を照射するものであることを特徴とする。また、本発明の基材の表面改質装置は、前記レーザー光が、前記ターゲット材料から波長50nm乃至100nmの真空紫外線を発生させるように照射条件が設定されたことを特徴とする。また、本発明の基材の表面改質装置は、前記レーザー光の照射強度が、106W/cm2乃至1012W/cm2に設定されたことを特徴とする。

0021

従って、本発明の基材の表面改質装置によれば、上述した本発明の基材の表面改質方法を確実に実施し、炭素含有材料からなる基材の表面に粒子を強固に密着させて、上述したとおりの各種の機械的特性、物理的特性、化学的特性の付与や、塗装やめっき等の被覆の密着性の向上を図ることができる傾向がある。

0022

また、本発明の基材の表面改質装置は、前記バックアップ材が、樹脂材料からなることを特徴とする。

0023

従って、レーザー照射を短時間(例えば、50ナノ秒程度)行ってターゲット材料をプラズマ化させる際にバックアップ材の固体形状が確実に維持される。

0024

また、本発明の基材の表面改質装置は、前記ターゲット部材におけるレーザー照射位置を相対的に移動させる相対移動手段を備えたことを特徴とする。

0025

従って、相対移動手段によりターゲット部材におけるレーザー照射位置を順次相対的に移動させつつターゲット材料へのレーザー照射を行うことによって、基材の表面改質処理を連続的に行うことができる。

0026

また、本発明の基材の表面改質装置は、前記相対移動手段が、前記ターゲット部材のレーザー未照射部分をレーザー照射位置へ順次移動させるターゲット部材駆動手段からなることを特徴とする。

0027

従って、ターゲット部材駆動手段が、ターゲット部材のレーザー未照射部分をレーザー照射位置へ順次移動させるので、簡単な構成で確実に基材の表面改質処理を連続的に行うことができる。

0028

また、本発明の基材の表面改質装置は、前記レーザー光照射手段が、レーザー光を発生するレーザー光発生装置と、そのレーザー光発生装置より発生されるレーザー光を前記ターゲット部材の前記バックアップ材を通して前記ターゲット材料にて集光する光学部材とからなることを特徴とする。

0029

従って、レーザー光発生装置より発生されるレーザー光を、光学部材がターゲット部材のバックアップ材を通してターゲット材料にて集光するので、ターゲット材料において照射強度を所望レベルに容易且つ確実に設定することができる。

0030

尚、ターゲット材料と基材との間が真空又は不活性ガス雰囲気下に保たれた状態で、上述した表面改質処理を行うことが好ましい。不活性ガスとしては、希ガス水素ガスが用いられ、不活性ガス使用時には、減圧下又は大気圧下での処理が可能になる。前記条件にすることによって、波長50〜100mmの真空紫外線の雰囲気下での吸収を防止し、本発明の効果を確実に得られる傾向がある。

発明の効果

0031

本発明の基材の表面改質方法又は表面改質装置によれば、樹脂基板等の炭素含有材料からなる基材の表面に、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与したり、塗装やめっき等の被覆の密着性を向上させることができると考えられる。また、レーザー光の進行方向に基材を配置して処理を行うことができるため、炭素含有材料からなる複雑な形状の基材や大型の基材へも表面改質処理を施すことができる。

発明を実施するための最良の形態

0032

以下、本発明の基材の表面改質方法及び装置を具体化した一実施形態について説明する。

0033

まず、本発明の一実施形態における基材の表面改質装置1の構成について、図1を参照しつつ説明する。

0034

図1は、表面改質装置1の全体構成を概略的に示す概略構成図である。表面改質装置1は、YAGレーザー装置2と、集光レンズ3と、テープターゲット4と、テープターゲット駆動装置5とから構成される。また、表面改質装置1において、パルスYAGレーザー装置2から発せられるレーザーの進行方向に沿って順に、集光レンズ3、テープターゲット4、及び表面改質処理の対象となる基材Sが配置される。尚、YAGレーザー装置2が、本発明のレーザー光発生装置を、テープターゲット4がターゲット部材を、テープターゲット駆動装置5が相対移動手段及びターゲット部材駆動手段を、それぞれ構成するものである。

0035

基材Sは、表面改質の対象となる炭素−炭素結合を有する炭素含有材料である。基材Sは、好ましくは有機材料、さらに好ましくはポリ四フッ化エチレン、シリコンゴム、エポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等種々の樹脂材料からなる基材である。また、基材Sの形状は板状に限られず、種々の形状のものを用いることができる。

0036

YAGレーザー装置2は、公知のパルスYAGレーザー光発生装置であり、パルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスYAGレーザー光を発生する。YAGレーザー装置2は、集光レンズ3を介してテープターゲット4のバックアップ材4aを通してターゲット材料4bにレーザー光を照射するように配置される。

0037

集光レンズ3は、YAGレーザー装置2からのパルスYAGレーザー光を、テープターゲット4におけるターゲット材料4bの厚さ方向略中央部にて適当なサイズに集光するための凸レンズである。集光レンズ3は、パルスYAGレーザー光がターゲット材料4bに集光された時に所定の照射強度となるようにレンズの大きさや屈折率が設定される。また、照射強度は、ターゲット材料のプラズマから基材Sにおける吸収性の高い波長範囲の真空紫外線が発生するように設定されるのが好ましい。より詳細には、レーザー光の照射強度の好ましい範囲は、106W/cm2乃至1012W/cm2である。尚、集光レンズ3が、本発明の光学部材を、YAGレーザー装置2及び集光レンズ3が、レーザー光照射手段をそれぞれ構成するものである。

0038

テープターゲット4は、レーザー光を透過可能な透明材料からなる長尺状のバックアップ材4aの片面にターゲット材料4bを貼り合わせて積層したものである。バックアップ材4aとして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂などの樹脂材料であって、レーザー光を透過可能なものを用いることができる。尚、バックアップ材4aとして樹脂材料を用いた場合、後述するようにレーザー照射を行ってターゲット材料4bをプラズマ化させる際に、バックアップ材4aの固体形状が確実に維持される。すなわち、レーザー照射により熱が発生するが、1回の照射時間が短時間(例えば、50ナノ秒程度)であるため、すぐに冷却されるので、バックアップ材4aが溶融して蒸発等するには至らず、固体形状が維持されるのである。

0039

また、ターゲット材料4bは、レーザー光の照射により表面から粒子を飛散させる材質からなる。ターゲット材料4bとしては、基材Sの用途に応じて、Cu、Al、Ti、Cr、Pt、Au、Ag、Zr、Mg、Ni、Fe、Co、Zn、Sn、W、Be等の金属、Si、Ge等の半導体、セラミックス、炭素、及びこれらの複合材料等を用いることができる。例えば、厚さ50ミクロンのポリエチレンテレフタレートからなるバックアップ材に、厚さ10〜15ミクロンの銅からなるターゲット材料をアクリル液により貼り合わせたものをテープターゲット4として用いることができる。尚、上述したように、バックアップ材4aはレーザー光を透過可能な材料によって構成されるので、テープターゲット4のバックアップ材4a側からレーザー光を照射すると、レーザー光はバックアップ材4aを透過してターゲット材料4bに照射される。また、処理対象の基材Sは、テープターゲット4のターゲット材料4b側の面より所定距離離隔させて対向配置される。尚、基材Sとテープターゲット4との距離は、ターゲット材料4の厚さ、レーザー照射強度等に基づいて適切な値が設定されるが、例えば、0mmから200mm以下程度に設定することができる。より好ましくは、3mm以上100mm以下である。前記条件にすれば、本発明の効果を確実に得られる傾向がある。

0040

ターゲット駆動装置5は、レーザー未照射のテープターゲット4が巻回された繰り出し側ローラ5aと、レーザー照射済みのテープターゲット4を巻き取る巻き取り側ローラ5bと、これらのローラ5a、5bによって張架されたテープターゲット4を、集光レンズ3によるレーザー集光位置へ案内するテープガイド5cとから構成される。そして、レーザー照射が1回行われる毎に、巻き取り側ローラ5bを回転駆動することによってレーザー照射済みのテープターゲット4が巻き取られて、順次、テープターゲット4のレーザー未照射部分が繰り出され、テープガイド5cを介してレーザー集光位置に案内されることにより、テープターゲット4の未照射部分へのレーザー照射とテープターゲット4の駆動とが連続的に繰り返される。

0041

次に、表面改質装置1を用いて基材Sの表面改質処理方法を実施する場合の作用及び効果について説明する。

0042

YAGレーザー装置2からパルス幅が100ピコ秒乃至100ナノ秒のパルスYAGレーザー光が発生されると、パルスYAGレーザー光は集光レンズ3により集光されつつ、テープターゲット4のバックアップ材4aを透過し、ターゲット材料4bにて直径1〜2mm程度に集光されて照射される。

0043

そして、レーザー光の照射によりターゲット材料4bには高温のプラズマが形成され、そのプラズマ温度を制御することにより、プラズマから波長50nmから波長100nm(好ましくは、波長60nmから波長80nm)の真空紫外線が発生し、テープターゲット4のターゲット材料4b側の面より所定距離離隔させて対向配置された基材S側へ四方八方に輻射される。また、上述した波長範囲の真空紫外線は、炭素含有材料への吸収が高く、真空紫外線が基材Sの表面に露光されると、基材S表面では炭素原子の外殻電子であるp電子が励起若しくは電離することにより分子の結合が破壊され、炭素含有材料からなる基材表面が活性化される。一方、プラズマ内部若しくはプラズマにより加熱されたターゲット材料4bには、中性原子、イオン、クラスタ等が形成される。このとき、樹脂からなるバックアップ材4aは固体形状を維持するため、プラズマ化したターゲット材料4bの粒子は、バックアップ材4a側には膨張できず、その反動によってバックアップ材4aより離脱して、バックアップ材4aとは反対方向である基材S側へ音速レベルの高速で飛散する。このため、真空紫外線の露光により基材Sの表面が活性化され、その直後に飛散粒子が付着するため、粒子が基材の表面に強固に密着する。これにより、電子補給や逆励起の発生が阻止され、活性な表面が長時間維持されると考えられる。

0044

よって、上述した表面改質処理方法により得られた改質された表面部をもつ基材Sによれば、耐デント性、濡れ性、撥水性、耐傷性、親油性、ガスバリア性、付着性、密着性、耐スクラッチ性、耐オゾン性、黄変防止性、耐グルーミング性、防汚性、親水性、防カビ性、摩擦性、染色性、印刷性、筆記性、潤滑性等等の機械的特性、物理的特性、化学的特性を付与したり、塗装やめっき等の被覆の密着性に優れているという効果を奏すると考えられる。さらに表面改質された基材Sは、熱線反射若しくは吸収特性、ガスバリア性、電磁シールド等の特性が優れており、熱線防護膜電磁シールド膜ガスバリア層、等の被覆を実現することができると考えられる。

0045

また、本実施形態によれば、ターゲット駆動装置5が、テープターゲット4のレーザー未照射部分を順次繰り出して集光レンズ3によるレーザー集光位置へ移動させるので、簡単な構成で基材Sの表面改質処理を連続的に行うことができる。

0046

尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。

0047

例えば、前記実施形態では、本発明のターゲット部材として長尺状のテープターゲット4を用いた例を示したが、ターゲット部材の形状はこれには限られず、例えば、シート状、円盤状のターゲット部材であっても構わない。また、バックアップ材4aにターゲット材料4bを貼り合わせることにより積層した例を示したが、これに限られるものではなく、例えば、バックアップ材4a上にターゲット材料4bを蒸着させることにより積層してもよい。要するに、ターゲット部材が、レーザー光を透過可能なバックアップ材の片面にターゲット材料を積層した構造を有していればよいのである。

0048

また、前記実施の形態では、本発明のレーザー光照射手段をYAGレーザー装置2及び集光レンズ3により構成したが、YAGレーザー装置2のみを用いてターゲット材料4bにおいてレーザー光の照射強度を所望レベルに設定することができれば、集光レンズ3を省略して構成することも可能である。

0049

次に、上述した実施形態に基づいて実験を行った本発明の実施例について説明する。

0050

実施例では、図2に概略構成(側面視)を示す表面改質装置11を用いて、樹脂基板である基材Sに対して表面改質処理を行った。表面改質装置11は、図2に示すように、上述したターゲット駆動装置5に代えて、レーザー光を通過させるレーザー光通過孔15aが形成された略円板状のテープターゲット支持部15bと、テープターゲット支持部15bを回転駆動するモータ15cとからなるターゲット駆動装置15を用いたものである。略円板状をなすテープターゲット支持部15bの平面形状とほぼ同一の大きさに切断されたテープターゲット4は、テープターゲット支持部15bに固定支持され、モータ15cによってテープターゲット支持部15bが回転駆動されることによって、順次、レーザー未照射部分がレーザー集光位置へ移動されてレーザー照射が行われる。尚、バックアップ材4aとしては、レーザー光を透過可能な厚さ50ミクロンのポリエチレンテレフタレートを使用し、ターゲット材料4bとしては厚さ15ミクロンの銅を使用した。

0051

また、YAGレーザー装置2として、2倍の高調波パルス当たりエネルギーが1J、パルス幅7ナノ秒のパルスYAGレーザー光を発生するものを用いた。また、集光レンズ3を用いてパルスYAGレーザー光を集光し、バックアップ材4aを通してターゲット材料4b上で直径2mm程度に絞ることにより照射強度を4×109W/cm2とした。

0052

図3は、このレーザー照射条件で、樹脂のバックアップ材4aを有するレーザープラズマ発生用の銅からなるターゲット材料4bをレーザー照射した後のテープターゲット4の外観を示す写真である。図3の写真より明らかなように、バックアップ材4aのポリエチレンテレフタレートは残存し、ターゲット材料4bである銅だけがアブレート(飛散)している。また、EPMA分析により、この処理によって基材Sに銅の微粒子が付着していることが確認された。

0053

図4は、銅の微粒子の広がりを確認するために、テープターゲット4と基材Sとの距離を2mmに設定して表面改質処理を実行し、基材Sに付着した銅の微粒子を観察したものである。黒っぽく見える直径2mmのレーザービームの約3倍である直径6mmの大きさに銅の飛散粒子が広がっていることがわかる。従って、飛散粒子の広がり角度は2radとなるため、基材Sをテープターゲット4のターゲット材料4b側の面から50mm離隔させた場合、直径約100mmサイズの領域を処理できることになる。そこで、厚さ2mmのポリプロピレン樹脂を処理対象の基材Sとして使用し、テープターゲット4のターゲット材料4b側の面より50mm離隔させ、5秒間の表面改質処理を行った。また、処理後、塗装を行い、塗装部に2mm間隔の切れ目縦横に入れ、これを粘着テープで引き剥がす評価試験(JIS K 5400)を行った。その結果、レーザー照射強度7.1×109W/cm2で処理した部分は、図5(a)に示すように、塗装の剥がれは無かった。これに対し、未処理部分や、図5(b)に示すレーザーの照射強度が1.8×109W/cm2の場合は、塗装の剥がれ(黒く見える部分)が生じた。以上の結果より、本発明の表面改質処理によって基材の付着性向上効果を確認することができた。

0054

炭素含有材料からなる複雑な形状の基材や大型の基材を表面改質する用途においても本発明の基材の表面改質方法及び装置を適用することができる。

図面の簡単な説明

0055

本発明の一実施形態である基材の表面改質装置の概略構成図である。
実験に用いた実施例における基材の表面改質装置の概略構成図である。
レーザー照射後におけるテープターゲットの写真である。
飛散銅微粒子分布を表す写真である。
塗膜の引き剥がし評価試験の結果を示す写真であり、(a)はレーザー照射強度7.1×109W/cm2で処理した部分、(b)はレーザー照射強度1.8×109W/cm2で処理した部分における評価試験後の写真である。

符号の説明

0056

1,11基材の表面改質装置
2YAGレーザー装置(レーザー光照射手段、レーザー光発生装置)
3集光レンズ(レーザー光照射手段、光学部材)
4テープターゲット(ターゲット部材)
4aバックアップ材
4bターゲット材料
5,15ターゲット駆動装置(相対移動手段、ターゲット部材駆動手段)

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