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課題
解決手段
概要
背景
IC、LSI等の半導体素子は、主にエポキシ樹脂組成物で封止され半導体装置に用いられている。近年の電子機器の市場動向は、小型化、軽量化、高性能化が進んできており、これに対応するため、半導体素子の高集積化が年々進んできている。又、半導体装置は、表面実装化が促進されており、半導体素子の高集積化において、半導体素子は大型化し、これを搭載する半導体装置は、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)等の形態となり、表面実装型の半導体装置になってきている。
これらに、半導体素子を封止する従来のエポキシ樹脂組成物を適用した場合、表面実装の際に、半導体装置が半田浸漬または半田リフロー工程で急激に200℃以上の高温環境下に置かれることより、樹脂組成物の硬化物に収縮が生じ、あるいは硬化物に吸湿した水分が爆発的に気化し、その応力により、半導体装置にクラックが発生したり、半導体素子、リードフレーム、インナーリード上のメッキ部分とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が生じ、封止材料としての電気的信頼性が著しく低下する問題がある。実装時の熱応力に対応するために、低粘度の樹脂成分を用いて無機充填材を高充填して、樹脂組成物の硬化物の強度と吸湿率を向上させるか、樹脂成分としてはよりビフェニル型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂やジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等を用いて硬化物の強靱性を付与する手法がなされている。しかし、これらのエポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度が従来よりも低くなるため、高温又は多湿の環境においてエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂由来のCl-イオン、難燃性を付与するために用いられている化合物由来のBr-イオン、その他ごく僅かではあるが不純物として混入するNa+イオン等のイオン性不純物の移動が生じて、半導体素子の腐食が進み易くなることから、耐湿信頼性、及び150℃程度の高温雰囲気下でも半導体装置がその機能を維持できる保存信頼性(以下、高温保管性という。)に問題が出てくる。
高温保管特性を改善する方法としては、樹脂組成物のガラス転移温度を高くする方法が挙げられ、高いガラス転移温度を有し耐湿信頼性が得られる半導体封止用樹脂組成物として、多官能ジヒドロキシベンゾオキサジンを添加することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)が、多官能ジヒドロキシベンゾオキサジンは硬化性が悪く、近年のエポキシ樹脂組成物に要求される速硬化性に対応できない。
特開平6−322121号公報
概要
本発明の目的は速硬化性であり、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性、難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供する。 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物である。
目的
本発明は、速硬化性であり、硬化物にした際に、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性および難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
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エポキシ樹脂
- 1分子に1個より多くのエポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)
- フェノール類以外の低分子ポリヒドロキシ化合物とエピロハヒドリン類から得られるエポキシ樹脂
- ビスフェノール以外の低分子多価フェノール類とエピハロヒドリンから得られるエポキシ樹脂
- ビスフェノールとエピハロヒドリン類から得られるエポキシ樹脂
- 高分子ポリヒドロキシ化合物(モノマー単位にOH基)とエピハロヒドリン類から得られるエポキシ樹脂
- フェノール・アルデヒト縮合物とのエピハロヒドリン類から得られるエポキシ樹脂
- その他の多価エポキシ化合物(高分子)
- エポキシ樹脂の硬化剤,硬化促進剤
- 活性水素化合物(O含有化合物)
- 重合性C=C含有化合物存在下でのエポキシ樹脂の硬化
- エポキシ樹脂の配合成分(低分子化合物)
- エポキシ樹脂の配合成分(高分子化合物)
- 用途
- 半導体又は固体装置の封緘,被覆構造と材料
請求項1
1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
請求項2
前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
請求項3
前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、一般式(1)で表される化合物である請求項1ないし2に記載のエポキシ樹脂組成物。[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示す。]
請求項4
前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、一般式(2)で表される化合物である請求項1ないし4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。[式(2)中、R3およびR4は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示し、R5は、単結合、CH2、C=O、SO2、C(CH3)2またはC6H4を示す。]
請求項5
前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、一般式(3)で表される化合物である請求項1ないし5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。[式(3)中、R6、R7およびR8は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示し、R9は、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9またはC6H5を示す。]
請求項6
前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、一般式(4)で表される化合物である請求項1ないし6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。[式(4)中、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示す。]
請求項7
前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(6)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1ないし7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。[式中、R14〜R17は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。][式中、R18〜R25は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、aは、1以上の整数である。]
請求項8
前記aは、1〜10である請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
請求項9
前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(7)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(8)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1ないし8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。[式中、R26〜R29は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、bは、1以上の整数である。][式中、R30〜R37は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、cは、1以上の整数である。]
請求項10
前記bは、1〜10である請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物。
請求項11
前記cは、1〜10である請求項9または10に記載のエポキシ樹脂組成物。
請求項12
充填剤を含む請求項1ないし11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
請求項13
技術分野
背景技術
0002
IC、LSI等の半導体素子は、主にエポキシ樹脂組成物で封止され半導体装置に用いられている。近年の電子機器の市場動向は、小型化、軽量化、高性能化が進んできており、これに対応するため、半導体素子の高集積化が年々進んできている。又、半導体装置は、表面実装化が促進されており、半導体素子の高集積化において、半導体素子は大型化し、これを搭載する半導体装置は、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)等の形態となり、表面実装型の半導体装置になってきている。
0003
これらに、半導体素子を封止する従来のエポキシ樹脂組成物を適用した場合、表面実装の際に、半導体装置が半田浸漬または半田リフロー工程で急激に200℃以上の高温環境下に置かれることより、樹脂組成物の硬化物に収縮が生じ、あるいは硬化物に吸湿した水分が爆発的に気化し、その応力により、半導体装置にクラックが発生したり、半導体素子、リードフレーム、インナーリード上のメッキ部分とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が生じ、封止材料としての電気的信頼性が著しく低下する問題がある。実装時の熱応力に対応するために、低粘度の樹脂成分を用いて無機充填材を高充填して、樹脂組成物の硬化物の強度と吸湿率を向上させるか、樹脂成分としてはよりビフェニル型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂やジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等を用いて硬化物の強靱性を付与する手法がなされている。しかし、これらのエポキシ樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物は、硬化物のガラス転移温度が従来よりも低くなるため、高温又は多湿の環境においてエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂由来のCl-イオン、難燃性を付与するために用いられている化合物由来のBr-イオン、その他ごく僅かではあるが不純物として混入するNa+イオン等のイオン性不純物の移動が生じて、半導体素子の腐食が進み易くなることから、耐湿信頼性、及び150℃程度の高温雰囲気下でも半導体装置がその機能を維持できる保存信頼性(以下、高温保管性という。)に問題が出てくる。
0004
高温保管特性を改善する方法としては、樹脂組成物のガラス転移温度を高くする方法が挙げられ、高いガラス転移温度を有し耐湿信頼性が得られる半導体封止用樹脂組成物として、多官能ジヒドロキシベンゾオキサジンを添加することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)が、多官能ジヒドロキシベンゾオキサジンは硬化性が悪く、近年のエポキシ樹脂組成物に要求される速硬化性に対応できない。
特開平6−322121号公報
発明が解決しようとする課題
0005
本発明は、速硬化性であり、硬化物にした際に、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性および難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
課題を解決するための手段
0006
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物を必須成分することを特徴とするエポキシ樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
0007
即ち、本発明は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物であり、また、本発明は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体素子が封止されてなる半導体装置である。
0008
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物、
0010
下記一般式(2)で表される化合物、
[式(2)中、R3およびR4は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示し、R5は、単結合、CH2、C=O、SO2、C(CH3)2またはC6H4を示す。]
0011
下記一般式(3)で表される化合物、
[式(3)中、R6、R7およびR8は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示し、R9は、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9またはC6H5を示す。]
0012
下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましく、これらは1種または2種以上を用いることができる。
[式(4)中、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基を示す。]
0013
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)が、下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(6)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とすることが好ましい。一般式(6)におけるaとしては1〜10であることがより好ましい。
[式中、R14〜R17は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
[式中、R18〜R25は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、aは、1以上の整数である。]
0014
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(7)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(8)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とすることが好ましい。一般式(7)におけるbとしては1〜10であることがこのましく、一般式(8)におけるcとしては1〜10であることが好ましい。
[式中、R26〜R29は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、bは、1以上の整数である。]
[式中、R30〜R37は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5の中から選択される1種を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、cは、1以上の整数である。]
0015
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに充填材を含むものである。
発明の効果
0016
本発明によれば、速硬化性であり、難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供できるものであり、前記エポキシ樹脂組成物を用いて、その硬化物により封止した半導体装置は、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性に優れるものである。
発明を実施するための最良の形態
0017
本発明は、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物を必須成分することを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関するものであり、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)を必須成分とすることにより、速硬化性であり、難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供し、このエポキシ樹脂組成物の硬化物で半導体素子が封止された半導体装置は、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性に優れるものである。
0018
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物の各成分について、順次説明する。
[化合物(A)]
本発明に用いる1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類、ナフトール類やフェノール樹脂などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ樹脂、その他に、オレフィンを過酸により酸化させエポキシ化した脂環式エポキシ樹脂や、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
0019
これらの中でも、前記化合物(A)としては、特に、前記一般式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂および前記一般式(6)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性がより向上する。
ここで、「耐半田クラック性の向上」とは、得られた半導体装置が、例えば半田浸漬や半田リフロー工程等において、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥の発生が生じ難くなることを言う。
0020
前記一般式(5)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂における置換基R14〜R17は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5から選ばれるが、これらの置換基の中でも、特に、メチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、その硬化物は、吸水性が低減するので、得られた半導体装置は、その内部の部材の経時劣化(例えば断線の発生等)が好適に防止され、その耐湿信頼性がより向上する。
0021
また、前記一般式(6)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂における置換基R18〜R25は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5から選ばれるが、これらの置換基の中でも特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となるとともに、半導体装置の耐湿信頼性がより向上する。
また、前記一般式(6)におけるaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。aを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性がより向上する。
0022
[化合物(B)]
本発明に用いる1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであり、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
0023
これらの中でも、前記化合物(B)としては、特に、前記一般式(7)で表されるフェノールアラルキル樹脂および前記一般式(8)で表されるビフェニルアラルキル樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性や耐湿信頼性がより向上する。
0024
前記一般式(7)で表されるフェノールアラルキル樹脂における置換基R26〜R29、および、前記一般式(8)で表されるビフェニルアラルキル樹脂における置換基R30〜R37は、それぞれ、H、CH3、C2H5、C3H7、C4H9およびC6H5から選ばれるが、これらの置換基の中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。かかるフェノール樹脂は、それ自体の溶融粘度が低いため、エポキシ樹脂組成物中に含有しても、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を低く保持することができ、その結果、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物(得られる半導体装置)の吸水性(吸湿性)が低減して耐湿信頼性がより向上するとともに、耐半田クラック性もより向上する。
0025
また、前記一般式(7)におけるb、および、前記一般式(8)におけるcは、それぞれ、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、bおよびcは、それぞれ、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。bおよびcを、それぞれ、前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性の低下が好適に防止または抑制される。
0026
[化合物(C)]
本発明に用いる炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)としては、1分子内に少なくとも1つのオキサジン環を有し、該オキサジン環が炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたものであれば、何ら制限はない。前記化合物(C)としては炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物および一般式(1)〜(4)で表される化合物であることが好ましい。炭素−炭素三重結合を含む置換基としては、エチニル基、プロパギルエーテル基、フェニルアセチレン基、ジアセチレン基等が挙げられるが、これらの内、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基が好ましい。前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物および一般式(1)〜(4)における炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基としては、下記に示す置換基等が挙げられる。
0027
0028
本発明に用いる炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)は、炭素−炭素三重結合を含む置換基を少なくとも1つ有する一級アミン化合物とフェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド類とを、溶媒中または無溶媒において反応させることよって得ることができる。
0029
前記炭素−炭素三重結合を含む置換基を少なくとも1つ有する一級アミン化合物としては、例えば、エチニルアニリン、エチニルアミノナフタレン、エチニルアミノアントラセン、アミノフェニルプロパギルエーテル、アミノナフタレンプロパギル、アミノアントラセンプロパギルエーテル等が挙げられる。これらの内、エチニルアニリン、エチニルアミノナフタレン、エチニルアミノアントラセンが好ましい。
0030
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−(1−メチルプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−(1,3’−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール、4,4’−メチリデンビスフェノール、4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、4,4’−ビフェノールなどやノボラック型フェノール樹脂、炭化水素変性フェノール樹脂、トリフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2、4,4’−トリスヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、モノヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
0031
前記ホルムアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド水溶液であるホルマリン、あるいは重合物であるパラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
0032
これらから得られる化合物(C)としては、炭素−炭素三重結合を含む置換基を少なくとも1つ有する一級アミン化合物としてエチニルアニリン、エチニルアミノナフタレンまたはエチニルアミノアントラセンを用い、フェノール性水酸基を有する化合物として1,4−ジヒドロキシベンゼン(ハイドロキノン)、1,3,5−トリスヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、または4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはトリフェニルメタンを用い、ホルムアルデヒド類としてホルマリンまたはパラホルムアルデヒドを用いて得られる化合物が好ましい。
0033
前記溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられ、単独もしくは混合溶媒にして使用することができる。
0034
本発明に用いる炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)は、前記成分を、フェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基1モルに対して、炭素−炭素三重結合を含む置換基を少なくとも1つ有する一級アミン化合物1モル、ホルムアルデヒド類2モルを反応させ、反応終了後、溶媒を用いた場合溶媒を留去し、必要に応じてアルカリ洗浄操作を行ない、未反応の前記成分を除去することにより、得られる。
0035
本発明のエポキシ樹脂組成物における炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)の配合量としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との合計100重量部に対して、0.1〜60重量部が好ましいが、1〜40重量部の範囲とするのが、より好ましい。前記下限値未満では高温保管特性の効果が小さくなる恐れがあり、一方、前記上限値を越えると速硬化性が低下する恐れがある。
0036
本発明に用いる充填剤としては、例えば、溶融シリカおよび結晶シリカ等のシリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカなどが挙げられる。これらに内、溶融シリカが好ましく粒子形状が球状であることが好ましい。充填材としてより好ましいのは、1〜100μmの球状シリカである。
0037
本発明における充填剤の配合量としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部であることが好ましい。
0038
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、前記成分の他に、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩類、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することができる。
0039
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)を、必要に応じて、充填材、その他の各種添加剤を、ミキサーを用いて、常温混合し、更にこれらの混合物を、熱ロールおよび加熱ニーダー等の混練機を用いて、加熱混練後、冷却、粉砕することにより得られる。
0040
本発明の半導体装置は、上記で得られた充填材を含むエポキシ樹脂組成物を、モールド樹脂として用いて、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で、硬化成形することにより、半導体素子を封止して、得られる。
このようにして得られた本発明の半導体装置は、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性、難燃性に優れる。
0041
以上、本発明のエポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
0042
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
0043
[化合物(C)の合成例]
化合物(C)の合成は、polymer40(1999)pp.1815-1822に順じ合成した。以下に合成例を示すが、必ずしも文献の方法、反応温度、反応時間に限定されるものではない。
0044
[化合物C−1]
容量0.5Lのフラスコに、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)とジオキサン150mlを入れ攪拌して溶解させた。次に、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gを滴下し、室温下で2時間反応させた。その後、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)を加え、撹拌下、100〜110℃で、6時間反応させた。反応終了後、析出物をろ過し、真空乾燥機にて、95℃で8時間真空乾燥し、化合物(C)である下記式(9)で表されるC−1を48g得た。
0045
0046
[化合物C−2]
化合物C−1の合成において、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて1,3,5−トリスヒドロキシベンゼン10.1g(0.08モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(10)で表されるC−2を38g得た。
0047
0048
[化合物C−3]
化合物C−1の合成において、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて、1,5−ナフタレンジオール24.07g(0.14モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(11)で表されるC−3を82g得た。
0049
0050
[化合物C−4]
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてm−エチニルアニリン80g(0.77モル)をホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gを、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ジヒドロキシビフェニル71.5g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(12)で表されるC−4を143g得た。
0051
0052
[化合物C−5]
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてp−エチニルアニリン0.77モル(80g)に、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gに、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ビスフェノールS95.1g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして化合物(C)である下記式(13)で表されるC−5を153g得た。
0053
0054
[化合物C−6]
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてp−エチニルアニリン80g(0.77モル)を、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gに、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン81.4g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(14)で表されるC−6を147g得た。
0055
0056
[化合物C−7]
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてp−エチニルアニリン80g(0.77モル)に、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gに、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えてトリフェニルメタン76g(0.26モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(15)で表されるC−7を137g得た。
0057
0058
[ジヒドロキシベンゾオキサジン(特許3353847号公報記載)]
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてアニリン71.7g(0.77モル)を、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ジヒドロキシビフェニル71.5g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、下記式(16)に示す特許3353847号公報記載のジヒドロキシベンゾオキサジンを146g得た。
0059
0061
[評価方法]
(1)スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。
0063
(3)ガラス転移温度(Tg)測定
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間120秒で、試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1.0mm)を成形し、175℃、4時間で後硬化したものを用いた。
測定には、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメント社製DMS6100)を用い5℃/分の割合で昇温しながら、周波数10Hzの歪みを与えて動的粘弾性の測定を行ない、tanδのピーク値からガラス転移温度(Tg)を判定した。
0064
(4)耐半田クラック性
100ピンTQFP(Thin Quad Flat Package)の半導体パッケージを、85℃、相対湿度85%の環境下で、168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。顕微鏡で外部クラックを観察し、クラック発生率[(クラック発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。また、チップと樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率[(剥離面積)/(チップ面積)×100]として、5個のパッケージの平均値を求め、%で表示した。クラック数、剥離率が少ないほど、耐半田クラック性は良好である。
0065
(5)耐湿信頼性
16ピンDIP(Dual Inline Package)の半導体パッケージを、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を、16ピンDIPに印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち、8個以上に不良が出るまでの時間を、不良時間とした。単位は時間。なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間以上と示した。不良時間が長いほど、耐湿信頼性に優れる。
0066
(6)高温保管特性
16ピンDIP(Dual Inline Package)の半導体パッケージを、185℃で1000時間処理し、内部のICチップの電気抵抗を測定した。通常0.6Ωである電気抵抗の回路が、劣化して電気抵抗1Ω以上となった場合を不良と見なし、10パッケージ中の不良個数を測定した。
0067
(7)UL94難燃性
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間120秒で、試験片(127mm×12.7mm×厚み1.6mm)を成形し、175℃、8時間で後硬化し、UL−94垂直法に準じて測定し、難燃性を判定した。
0068
[エポキシ樹脂組成物の調製および半導体装置の製造]
以下のようにして、前記化合物(C)を含むエポキシ樹脂組成物を調製し、半導体装置を製造した。
0069
(実施例1)
まず、化合物(A)として下記式(17)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX4000H)、化合物(B)として下記式(18)で表されるフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製XL−225、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(DBU:1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7)、化合物(C)としてC−1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、カルナバワックス、シランカップリング剤(A−186)を、それぞれ用意した。
0072
次に、ビフェニル型エポキシ樹脂:48重量部、フェノールアラルキル樹脂:42重量部、化合物C−2:10重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、カルナバワックス:2重量部、シランカップリング剤(A−186)3重量部、DBU1.5重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて95℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
0073
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFPのパッケージ(半導体装置)を8個、および、16ピンDIPのパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
0074
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
0075
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
0076
(実施例2)
まず、化合物(A)として下記式(19)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC−3000P、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(20)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851ss、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤としてDBU、化合物(C)としてC−2、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、カルナバワックス、シランカップリング剤(A−186)を、それぞれ用意した。
0077
<式(19)の化合物の物性>
軟化点:60℃
エポキシ当量:272
150℃のICI溶融粘度:1.3poise
0078
<式(20)の化合物の物性>
軟化点:68℃
水酸基当量:199
150℃のICI溶融粘度:0.9poise
0079
次に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:42重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:28重量部、化合物C2:30重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、カルナバワックス:2重量部、シランカップリング剤(A−186)3重量部、DBU1.5重量部を、まず、室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
0080
次に、上記で得た化合物C−3〜7およびジヒドロキシベンゾオキサジン(C−8)を用いて、前記実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調整し、パッケージ(半導体装置)を製造した。
0081
(実施例3〜7、比較例1〜3)
各成分を、表1に従って、配合した以外は、実施例1と同様にして、半導体封止材料を調製し、各特性の評価をした。評価結果は表1に示した通りであった。
0082
0083
表1に示した結果から分かるように、実施例1〜7では、いずれも優れた高温保管特性、耐湿信頼性、耐半田性、難燃性を示し、硬化性も十分なものであった。
これに対して、比較例1はガラス転移温度(Tg)が低いため高温保管特性が低下する。またジヒドロキシベンゾオキサジンを用いた比較例2は、Tgが高く高温保管特性に優れるが、硬化性が悪く、要求される速硬化性に対応できない。比較例3では硬化性が改善されるものも不十分であり、Tgが低く高温保管特性も十分でない。
0084
本発明のエポキシ樹脂組成物は、速硬化性であり、難燃性に優れたものであり、これを用いた硬化物により封止した半導体装置は、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性に優れるもので、表面実装型の半導体装置にも有用である。
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エポキシ樹脂
- 1分子に1個より多くのエポキシ基を有する化合物(エポキシ樹脂)
- フェノール類以外の低分子ポリヒドロキシ化合物とエピロハヒドリン類から得られるエポキシ樹脂
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- 重合性C=C含有化合物存在下でのエポキシ樹脂の硬化
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- エポキシ樹脂の配合成分(高分子化合物)
- 用途
- 半導体又は固体装置の封緘,被覆構造と材料