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技術 磁気記録媒体及び磁気記録装置

出願人 マクセルホールディングス株式会社
発明者 藤田塩地山中英明小沼剛松沼悟矢野亮神田哲典島崎勝輔
出願日 2003年9月2日 (17年2ヶ月経過) 出願番号 2003-309558
公開日 2005年3月24日 (15年7ヶ月経過) 公開番号 2005-078740
状態 特許登録済
技術分野 磁気記録担体
主要キーワード 境界間隔 大型サーバー 鏡像効果 規則格子 反対符号 逆磁界 相対速 面内成分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

より高分解能垂直磁気記録方式磁気記録媒体を提供することである。

解決手段

基板と、該基板上に形成され且つ軟磁性材料で形成された裏打ち層と、該裏打ち層上に形成され且つ面内磁化を有する面内磁化層と、該面内磁化層上に形成され且つ垂直磁化を有する記録層とを備え、該面内磁化層の面内方向の保磁力が、記録層の垂直方向残留磁化により発生する磁界より大きいことを特徴とする磁気記録媒体を提供する。面内磁化層の面内方向の保磁力を記録層の垂直方向の残留磁化より大きくすることにより、広範囲記録密度において軟磁性裏打ち層鏡像効果による再生出力への影響を低減する。それにより、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差を小さくして分解能を向上させる。

概要

背景

近年の高度情報社会進展に対応して、情報記録装置大容量化高密度化に対するニーズは高まる一方である。かかるニーズに応える情報記録装置の一つとして磁気記録装置が知られている。磁気記録装置は、例えば、大型サーバー並列型コンピュータパーソナルコンピュータネットワークサーバームービーサーバーモバイルPC等の大容量記録装置として使用されている。磁気記録装置は、情報が記録される磁気記録媒体と、磁気記録媒体の情報を記録再生するための磁気ヘッドを備える。磁気記録媒体は、円板状の基板の上に記録層としてコバルト合金などの強磁性薄膜スパッタ法などにより形成されており、記録層上には、耐摺動性及び耐食性を高めるために、保護層と潤滑膜が形成されている。

磁気記録装置の大容量化に伴って、磁気記録媒体の記録層に微細記録磁区を記録することによる磁気記録媒体の記録密度の向上が進められており、記録磁区を微細に記録するための方法として垂直磁気記録方式が注目されている。垂直磁気記録方式では、垂直磁化を示す記録層を有する磁気記録媒体を用いて、記録層に垂直磁化を有する磁区を形成することによって磁気記録を行なう。かかる垂直磁気記録方式では記録層に微細な磁区を形成できるため磁気記録媒体の記録密度を高めることができる。

さらに、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、基板と記録層との間に、軟磁性材料で形成された層(以下、軟磁性裏打ち層あるいは裏打ち層という)を設けることにより、情報記録の際に記録層に印加される磁界集束することができ、より高い磁気異方性を有する磁性材料への記録が可能になる。

また、従来、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、裏打ち層と垂直磁化膜(記録層)との間に面内磁化膜を設けて、裏打ち層と垂直磁化膜の相互作用による磁化乱れに起因するノイズを低減する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

特許文献1で提案されている磁気記録媒体では、裏打ち層と垂直磁化膜との間に面内磁化膜を設けることにより、垂直磁化膜によって裏打ち層に誘起される磁極打ち消すように、面内磁化膜に逆磁界を発生させる。特に、垂直磁化膜と面内磁化膜との間に、垂直磁化膜の飽和磁束密度×膜厚≦面内磁化膜の飽和磁束密度×膜厚という関係を満足させることにより、垂直磁化膜の磁界による磁気回路が面内磁化膜で閉じるようにして、裏打ち層に垂直磁化膜の漏れ磁束による誘起磁極を生じさせない構造にしている。すなわち、特許文献1で提案されている磁気記録媒体では、裏打ち層に垂直磁化膜の漏れ磁束による誘起磁極を生じさせないようにするために、面内磁化膜と垂直磁化膜との間で磁束を還流させている。

特開2003−45014号公報(第3頁、第1及び3−7図)

概要

より高分解能の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を提供することである。基板と、該基板上に形成され且つ軟磁性材料で形成された裏打ち層と、該裏打ち層上に形成され且つ面内磁化を有する面内磁化層と、該面内磁化層上に形成され且つ垂直磁化を有する記録層とを備え、該面内磁化層の面内方向の保磁力が、記録層の垂直方向残留磁化により発生する磁界より大きいことを特徴とする磁気記録媒体を提供する。面内磁化層の面内方向の保磁力を記録層の垂直方向の残留磁化より大きくすることにより、広範囲の記録密度において軟磁性裏打ち層の鏡像効果による再生出力への影響を低減する。それにより、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差を小さくして分解能を向上させる。

目的

本発明の目的は、上記要望に応えるためになされたものであり、より高分解能の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

磁気記録媒体であって、基板と、該基板上に形成され且つ軟磁性材料で形成された裏打ち層と、該裏打ち層上に形成され且つ面内磁化を有する面内磁化層と、該面内磁化層上に形成され且つ垂直磁化を有する記録層とを備え、該面内磁化層の面内方向の保磁力が、記録層の垂直方向残留磁化により発生する磁界より大きいことを特徴とする磁気記録媒体。

請求項2

上記記録層の垂直方向の残留磁化をMr1、膜厚をT1とし、上記面内磁化層の面内方向の残留磁化をMr2、膜厚をT2とするとき、Mr1T1>2Mr2T2の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。

請求項3

請求項1に記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録または再生するための磁気ヘッドと、該磁気記録媒体を該磁気ヘッドに対して駆動するための駆動装置とを備えた磁気記録装置

技術分野

0001

本発明は、磁気記録媒体及び磁気記録装置に関し、特に垂直磁気記録方式の磁気記録媒体及び磁気記録装置に関する。

背景技術

0002

近年の高度情報社会進展に対応して、情報記録装置大容量化高密度化に対するニーズは高まる一方である。かかるニーズに応える情報記録装置の一つとして磁気記録装置が知られている。磁気記録装置は、例えば、大型サーバー並列型コンピュータパーソナルコンピュータネットワークサーバームービーサーバーモバイルPC等の大容量記録装置として使用されている。磁気記録装置は、情報が記録される磁気記録媒体と、磁気記録媒体の情報を記録再生するための磁気ヘッドを備える。磁気記録媒体は、円板状の基板の上に記録層としてコバルト合金などの強磁性薄膜スパッタ法などにより形成されており、記録層上には、耐摺動性及び耐食性を高めるために、保護層と潤滑膜が形成されている。

0003

磁気記録装置の大容量化に伴って、磁気記録媒体の記録層に微細記録磁区を記録することによる磁気記録媒体の記録密度の向上が進められており、記録磁区を微細に記録するための方法として垂直磁気記録方式が注目されている。垂直磁気記録方式では、垂直磁化を示す記録層を有する磁気記録媒体を用いて、記録層に垂直磁化を有する磁区を形成することによって磁気記録を行なう。かかる垂直磁気記録方式では記録層に微細な磁区を形成できるため磁気記録媒体の記録密度を高めることができる。

0004

さらに、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、基板と記録層との間に、軟磁性材料で形成された層(以下、軟磁性裏打ち層あるいは裏打ち層という)を設けることにより、情報記録の際に記録層に印加される磁界集束することができ、より高い磁気異方性を有する磁性材料への記録が可能になる。

0005

また、従来、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、裏打ち層と垂直磁化膜(記録層)との間に面内磁化膜を設けて、裏打ち層と垂直磁化膜の相互作用による磁化乱れに起因するノイズを低減する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

0006

特許文献1で提案されている磁気記録媒体では、裏打ち層と垂直磁化膜との間に面内磁化膜を設けることにより、垂直磁化膜によって裏打ち層に誘起される磁極打ち消すように、面内磁化膜に逆磁界を発生させる。特に、垂直磁化膜と面内磁化膜との間に、垂直磁化膜の飽和磁束密度×膜厚≦面内磁化膜の飽和磁束密度×膜厚という関係を満足させることにより、垂直磁化膜の磁界による磁気回路が面内磁化膜で閉じるようにして、裏打ち層に垂直磁化膜の漏れ磁束による誘起磁極を生じさせない構造にしている。すなわち、特許文献1で提案されている磁気記録媒体では、裏打ち層に垂直磁化膜の漏れ磁束による誘起磁極を生じさせないようにするために、面内磁化膜と垂直磁化膜との間で磁束を還流させている。

0007

特開2003−45014号公報(第3頁、第1及び3−7図)

発明が解決しようとする課題

0008

ところで、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を用いた磁気記録装置では、情報の高記録密度化だけでなく、様々な用途及び規格に対応するために、(高記録密度再生出力/低記録密度の再生出力)×100[%]で定義される分解能をさらに向上させることが要望されている。

0009

本発明の目的は、上記要望に応えるためになされたものであり、より高分解能の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の第1の態様に従えば、磁気記録媒体であって、基板と、該基板上に形成され且つ軟磁性材料で形成された裏打ち層と、該裏打ち層上に形成され且つ面内磁化を有する面内磁化層と、該面内磁化層上に形成され且つ垂直磁化を有する記録層とを備え、該面内磁化層の面内方向の保磁力が、記録層の垂直方向残留磁化により発生する磁界より大きいことを特徴とする磁気記録媒体が提供される。

0011

本発明の磁気記録媒体では、記録層の垂直方向の残留磁化により発生する磁界より大きな面内方向の保磁力を有する面内磁化層を、記録層と裏打ち層との間に設けることにより、記録密度に依存する裏打ち層の鏡像磁荷による再生出力への影響の変化を低減することができる。この結果、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差が小さくなり、分解能を向上させることができる。

0012

最初に軟磁性裏打ち層上に記録層が形成された従来の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体の磁化状態について説明する。軟磁性裏打ち層と記録層との間の磁化状態の模式図を図1に示す。従来の垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、図1に示すように、記録層7に記録された磁区(記録磁区)の磁化方向(図1中の太矢印)に応じて、記録層7の両表面にプラス及びマイナス磁荷が発生する。例えば、図1の記録磁区71のように磁化が上向きに記録されている場合、記録磁区71の上面にはプラスの磁荷71aが発生し、記録磁区71の下面(軟磁性裏打ち層3側の境界面)にはマイナスの磁荷71bが発生する。逆に、図1中の記録磁区72のように磁化が下向きに記録されている場合は、記録磁区72の上面にはマイナスの磁荷72aが発生し、記録磁区72の下面(軟磁性裏打ち層3側の境界面)にはプラスの磁荷72bが発生する。

0013

一方、軟磁性裏打ち層3の記録層7側の境界面には、図1に示すように、記録層7の軟磁性裏打ち層3側の境界面に発生した磁荷を打ち消すような磁荷(鏡像磁荷)が発生する。例えば、図1中の記録磁区71の軟磁性裏打ち層3側の境界面にはマイナスの磁荷71bが発生しているので、記録磁区71下部の軟磁性裏打ち層3の記録層7側の境界面にはプラスの鏡像磁荷31aが発生する。それゆえ、記録磁区71では、記録層7と軟磁性裏打ち層3との境界面で磁荷が打ち消された状態となる。

0014

図1に示す磁化状態の記録磁区71からの漏洩磁界を検出して情報再生すると、記録磁区71と軟磁性裏打ち層3との境界では大部分の磁荷が打ち消されているので、記録磁区71と軟磁性裏打ち層3との境界から発生する漏洩磁界の影響が小さくなる(鏡像効果)。それゆえ、記録層7から検出される漏洩磁界は主に記録層7の上面に発生した磁荷からの漏洩磁界となるので、記録磁区71の情報を感度良く再生することができる。

0015

さらに記録密度が高くなり(例えば、1000kFCI以上)、記録層7に形成される記録磁区が小さくなると、軟磁性裏打ち層3はその本来に機能から保磁力が小さいために微小磁区が形成され難いので、記録層7の磁化反転に軟磁性裏打ち層3の鏡像磁荷が追随できなくなり、記録層7と軟磁性裏打ち層3との境界で鏡像効果が発生し難くなる。

0016

図1に示すように記録層7内の記録磁区の上面に発生している磁荷と、記録磁区の軟磁性裏打ち層3側の表面に発生している磁荷とは反対符号であるので、記録磁区上面から発生する漏洩磁界の方向と、記録磁区の軟磁性裏打ち層3側の表面から発生する漏洩磁界の方向は逆方向となる。それゆえ、鏡像効果が生じていない小さな記録磁区の情報を再生する際、記録磁区上面から発生する漏洩磁界は、記録磁区の軟磁性裏打ち層3側の表面から発生する漏洩磁界により一部打ち消され、再生出力が減少する。

0017

上述のように図1に示した垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、低記録密度では軟磁性裏打ち層の鏡像効果により再生出力が増大するが、記録密度が高くなるに従い、軟磁性裏打ち層の鏡像効果が追随できなくなるので、高記録密度では再生出力が増大しない。この結果、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差が大きくなり、(高記録密度の再生出力/低記録密度の再生出力)×100[%]で定義される分解能が低下するという問題が生じる。

0018

次に、記録層と軟磁性裏打ち層との相互作用による磁化の乱れに起因するノイズを低減するため、特許文献1に記載された磁気記録媒体のように、軟磁性裏打ち層と記録層との間に面内磁化層を設けた垂直磁気記録方式の磁気記録媒体の磁化状態について説明する。軟磁性裏打ち層と記録層との間に面内磁化層を設けた磁気記録媒体における、記録層、軟磁性裏打ち層及び面内磁化層間の磁化状態の模式図を図2に示す。

0019

特許文献1に記載されたような磁気記録媒体では、上述したように、記録層と面内磁化層との間で磁束が還流するので、図2に示すように、記録層7と面内磁化層5’との間で磁束が還流するように面内磁化層5’の磁化が形成される。図2に示すように、記録層7と面内磁化層5’との間で磁束を還流させるためには、記録層7の残留磁化により生ずる磁界(漂游磁界)に応じて面内磁化層5’の磁化が回転する必要がある。それゆえ、特許文献1に記載されたような磁気記録媒体では、面内磁化膜の保磁力が記録層の残留磁化により生ずる磁界(漂游磁界)より小さくなっていると考えられる。

0020

また、特許文献1に記載されたような磁気記録媒体では、図2に示すように、記録層7と面内磁化層5’との間で磁束が還流するように面内磁化層5’の磁化が形成されるので、記録層7の記録磁区の磁化方向(図2中の太矢印)に応じて記録層7の面内磁化層5’側の表面に発生した磁荷を打ち消すように、面内磁化層5’の記録層7側の表面には鏡像磁荷が発生すると考えられる。例えば、図2中の記録層7の記録磁区71では、記録磁区71の面内磁化層5’側の表面にはマイナスの磁荷71bが発生するので、面内磁化層5’の記録磁区71側の表面にはプラスの磁荷51a’が発生する。これにより、面内磁化層5’の軟磁性裏打ち層3側表面にはマイナスの磁荷51b’が発生する。すなわち、記録磁区71下部の面内磁化層5’の領域では、図2に示すように、面内方向成分だけでなく垂直方向成分を有する磁化51c’が発生する。

0021

図2に示すように、記録層7と面内磁化層5’との間で磁束が還流する磁気記録媒体では、低記録密度で面内磁化層5’の記録層7側の表面に鏡像磁荷が現れるが、図1に示した磁気記録媒体と同様に、高記録密度では面内磁化層5’の鏡像効果が追随できなくなるので、高記録密度では再生出力が増大しない。この結果、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差が大きくなり、分解能が低下するという問題が生じる。

0022

上述の高記録密度に伴い発生する問題は、本発明の磁気記録媒体により解決される。

0023

本発明の磁気記録媒体では、記録層と軟磁性裏打ち層との間に、記録層の垂直方向の残留磁化により発生する磁界より大きな面内方向の保磁力を有する面内磁化層を設ける。このような面内磁化層を設けることにより、高分解能を実現することができる理由を図3を用いて説明する。

0024

図3の例では、書込ヘッド11を図中の矢印14方向に移動させながら、記録層7に情報を記録する。その際、書込ヘッド11から発生する記録磁界12はある程度広がりを持っているので、書込ヘッド11の進行方向の後方に発生する記録磁界13は、図3に示すように、垂直成分だけでなく面内成分を持っている。このため、面内磁化層(高保磁力面内磁化層)5は、一旦、書込ヘッド11の後方の記録磁界13の方向と同じ方向に磁化されるが、面内磁化層5は面内方向に強い磁気異方性を有するので、記録磁界12の影響が小さくなるに従い、面内磁化層5の磁化方向は書込ヘッド11の後方の記録磁界13の面内方向成分と同じ方向に向く。

0025

より具体的に説明すると、図3に示すように、書込ヘッド11の書込磁界12が下向きの場合、その進行方向の後方に発生する記録磁界13は、垂直成分だけでなく、書込ヘッド11の移動方向14とは逆方向(図3中では右方向)の面内成分を有する。それゆえ、書込ヘッド11の後方の記録磁界13により磁化されている記録磁区74下部の面内磁化層5の領域では、書込ヘッド11の後方の記録磁界13の方向と同じ方向に磁化される(図3中の磁化54b)。そして、書込ヘッド11がさらに進行して記録磁界13の影響が弱くなると、面内磁化層5は強い面内磁気方性を有するので、図3中の記録磁区74下部の面内磁化層5の磁化54cに示すように、記録層7の磁化に影響されることなく磁化54bの面内成分と同じ方向、すなわち、書込ヘッド11の移動方向14とは逆方向の面内磁化が形成される。逆に書込ヘッド11の記録磁界12が上向きの場合は、書込ヘッド11の移動方向14と同じ方向(図3中では左方向)の面内磁化が面内磁化層5に形成される(例えば、図3中の磁化51c)。

0026

本発明の磁気記録媒体では、面内磁化層5の面内方向の保磁力が記録層7の垂直方向の残留磁化により発生する磁界より大きいので、図3に示すように、記録層7と面内磁化層5との間では磁束の還流構造が発生せず、鏡像現象も発生しない。

0027

また、本発明の磁気記録媒体では、記録層7内で逆方向の磁化が隣接して形成されている記録磁区間の境界領域下部の面内磁化層5では、図3に示すように、互いに逆方向の面内磁化が重なるので、プラスまたはマイナスの磁荷が発生する。その結果、面内磁化層5にプラスまたはマイナスの磁荷が発生している領域の下部に形成された軟磁性裏打ち層3の領域では、面内磁化層5の磁荷を打ち消すような鏡像磁荷が発生する。例えば、図3中の記録磁区71と記録磁区74との境界下部の面内磁化層5の領域にはプラスの磁荷54aが発生するので、その領域の下部に形成された軟磁性裏打ち層3の面内磁化層5側の表面にはマイナスの鏡像磁荷34aが発生する。すなわち、これらの磁荷は互いに打ち消し合うので出力に及ぼす影響は小さい。

0028

本発明の磁気記録媒体では、上記記録層の垂直方向の残留磁化をMr1、膜厚をT1とし、上記面内磁化層の面内方向の残留磁化をMr2、膜厚をT2とするとき、Mr1T1>2Mr2T2の関係が成立することが好ましい。

0029

記録磁区からの漏洩磁界は、記録層の垂直方向の残留磁化をMr1、膜厚をT1とすると、Mr1T1に比例する。一方、記録層内で逆方向の磁化が隣接して形成されている記録磁区間の境界領域の下部の面内磁化層の領域に発生した磁荷(例えば、図3中の磁荷54a)からの漏洩磁界は、その面内磁化層の領域では互いに逆方向の面内磁化が重なるので、面内磁化層の残留磁化をMr2、膜厚をT2とすると、2Mr2T2に比例した値となる。

0030

高記録密度化がさらに進むと、記録層内で逆方向の磁化が隣接して形成されている記録磁区間の境界間隔も狭くなるので、図3に示すような面内磁化層と軟磁性裏打ち層との間で発生する鏡像効果が追随しなくなる恐れがある。そのような場合、Mr1T1の大きさが2Mr2T2以下になると、記録層の記録磁区上面からの漏洩磁界が面内磁化層からの漏洩磁界により打ち消されて検出することができなくなる恐れがある。それゆえ、本発明の磁気記録媒体では、Mr1T1>2Mr2T2の関係が成立するように記録層と面内磁化層を形成することが好ましい。

0031

本発明の磁気記録媒体の面内磁化層としては、CoCr系合金、特にCoCrPtBを用いることが好ましい。面内磁化層の面内方向の保磁力は、記録層の残留磁化により発生する磁界より大きく、書込ヘッドが作る磁界より小さいことが好ましい。また、面内磁化層の膜厚は、より薄い方が好ましい。

0032

本発明の磁気記録媒体の記録層としては、Co/Pd人工格子膜、Co/Pt人工格子膜、Co−Cr系多結晶膜、FeとPt若しくはCoとPtの規則格子合金膜等を用いることが好ましい。

0033

本発明の磁気記録媒体は、さらに、記録層と面内磁化層との間に、記録層の粒径結晶配向性などを制御するためのシード層を備えることが好ましい。シード層に用い得る材料は記録層に用いられる材料により異なるが、例えば、記録層にCo/Pd人工格子膜を用いた場合、シード層としては、PdB、Pd−Ni/Siなどを用いることが好ましい。

0034

本発明の磁気記録媒体は、さらに、面内磁化層と軟磁性裏打ち層の間に、面内磁化層の結晶配向性を制御するための結晶制御層を備えることが好ましい。結晶制御層に用い得る材料は面内磁化層に用いられる材料により異なるが、例えば、面内磁化層をCoCr系合金で形成した場合、結晶制御層としては、Cr、CrTi、CrMo、CrV等を用いることが好ましい。

0035

本発明の第2の態様に従うと、第1の態様に従う磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録または再生するための磁気ヘッドと、該磁気記録媒体を該磁気ヘッドに対して駆動するための駆動装置とを備えた磁気記録装置が提供される。

発明の効果

0036

本発明の磁気記録媒体に従えば、記録層と軟磁性裏打ち層との間に形成された面内磁化層の面内方向の保磁力が、記録層の垂直方向の残留磁化により発生する磁界(記録層の表面磁荷により発生する磁界)より大きいので、記録層と面内磁化層との間で磁束の還流構造が発生せず、鏡像現象も発生しない。また、本発明の磁気記録媒体に従えば、記録密度に依存する軟磁性裏打ち層の鏡像効果による再生出力への影響の変化を低減することができる。それゆえ、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差を小さくすることができ、分解能を向上させることができる。

0037

本発明の磁気記録装置に従うと、本発明の磁気記録媒体を用いているので、一層高分解能で情報再生が可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0038

以下、本発明の磁気記録媒体の実施例について図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0039

本実施例で作製した磁気記録媒体の概略断面図を図4に示した。本実施例で作製した磁気記録媒体10は、図4に示すように、基板1上に、接着層2、軟磁性裏打ち層3、結晶制御層4、高保磁力面内磁化層5、シード層6、記録層7、保護層8及び潤滑膜9を順次積層した構造を有する。このような積層構造を有する磁気記録媒体10を次のような方法により作製した。

0040

まず、基板1としてのガラス基板を用意し、基板1上に、接着層2としてTiをスパッタにより5nmの膜厚で形成した。

0041

次いで、接着層2上に、軟磁性裏打ち層3としてFeCoBをスパッタにより100nmの膜厚で形成した。

0042

次いで、軟磁性裏打ち層3上に、結晶制御層4としてCr80Mo20をスパッタにより3nmの膜厚で形成した。結晶制御層4は、後述の高保磁力面内磁化層5の結晶配向性を制御するための層であり、高保磁力面内磁化層5の磁気異方性を面内方向に向ける機能を有する。

0043

次に、結晶制御層4上に、高保磁力面内磁化層5としてCo62Cr22Pt12B4をスパッタにより10nmの膜厚で形成した。

0044

さらに、高保磁力面内磁化層5上に、シード層6としてPd50B50をスパッタにより3nmの膜厚で形成した。

0045

次に、シード層6上に人工格子構造の記録層7をスパッタにより成膜した。記録層7の成膜では、膜厚0.15nmのCo層と膜厚0.8nmのPd層とをそれぞれ20層、交互に積層した。

0046

次いで、記録層7上に、保護層8としてアモルファスカーボンプラズマCVD法により3nmの膜厚で形成した。保護層8を形成した後、基板を成膜装置から取り出した。最後に、保護層8上に潤滑膜9としてパーフルオロポリエーテル潤滑剤を溶液浸漬法により1nmの厚さで形成した。こうして、図4に示す積層構造を有する磁気記録媒体10を作製した。

0047

上記製造方法で作製した磁気記録媒体10の記録層7の垂直方向の残留磁化MrをVSM振動試料型磁力計)の残留磁化測定により測定したところ、325emu/ccであった。また、保護膜8及び記録層7をArエッチングで除去した後、高保磁力面内磁化層5の面内方向の保磁力を面内Kerr効果磁力計により測定したところ、4100Oeが得られた。

0048

cgs−ガウス単位系では、磁束密度B(単位:Gauss)と、磁界H(単位:Oe)と、磁化M(単位:emu/cc)との間には、B=H+4πMの関係があり、磁化Mにより発生する磁界は4πM(単位:Oe)である。それゆえ、この例で作製した磁気記録媒体10の記録層7の垂直方向の残留磁化Mrは325emu/ccであるので、記録層7の残留磁化Mrにより発生する磁界は約4082Oeとなる。すなわち、この例で作製した磁気記録媒体では、高保磁力面内磁化層5の面内方向の保磁力(4100Oe)が、記録層7の垂直方向の残留磁化により誘起される磁界(4082Oe)より大きいので、記録層7の垂直磁化によって高保磁力面内磁化層5の磁化が回転することはないと考えられる。また、同様の理由から、記録層7と高保磁力面内磁化層5との間で磁束が還流していないと考えられる。

0049

[比較例]
比較例として、高保磁力面内磁化層を備えない磁気記録媒体を作製した。また、比較例の磁気記録媒体では、再生出力を実施例の磁気記録媒体と同等にするために、記録層のCo層とPd層の交互に積層する膜数をそれぞれ16とした。これらの変更点以外は実施例と同様にして磁気記録媒体を作製した。

0050

記録再生特性
実施例及び比較例で作製した磁気記録媒体を、単磁極型書き込み素子及びGM読み出し素子を供えた複合ヘッドと、スピンスタンドと、磁気記録媒体を複合ヘッドに対して駆動するための駆動装置とを備えた磁気記録装置(不図示)にそれぞれ装着し、各記録再生特性を測定して比較した。ただし、単磁極書き込み素子主磁極幅は72nm、GMR読み出し素子の幅は54nm、そして、シールドギャップは40nmとした。また、単磁極読み出し素子表面から磁気記録媒体の記録層と保護層との界面までの距離(磁気的スペーシング)を10nmとし、磁気記録媒体の複合ヘッドに対する相対速度を9.7m/secとした。

0051

実施例及び比較例で作製した磁気記録媒体に対して、磁気記録装置で線記録密度Dを50kFCI〜2000kFCIで変化させて連続反転パターンを記録した後、各線記録密度Dにおける記録再生特性を測定して評価した。その結果を図5及び図6に示した。図5は測定されたオールワンズ波形の出力Eoutの線記録密度依存性(ロールオフ曲線)を示した図であり、図6は分解能Reの線記録密度依存性(分解能のロールオフ曲線)を示した図である。ここで、分解能Reとは孤立波形出力で規格化した再生出力であり、図6では、(各線記録密度の再生出力/50kFCIの再生出力)×100[%]の値を分解能Reとした。なお、図5及び図6中の実線グラフが実施例で作製した磁気記録媒体の記録再生特性であり、破線のグラフが比較例で作製した磁気記録媒体の記録再生特性である。

0052

図5の結果から明らかなように、実施例及び比較例とも線記録密度Dが高くなるに従い記録磁区が小さくなるので、再生出力Eoutは小さくなるが、実施例で作製した磁気記録媒体における低記録密度の再生出力と高記録密度の再生出力Eoutとの差が、比較例のそれより小さくなることが分かった。

0053

また、図6から明らかなように、線記録密度Dが約800kFCI以上になると、実施例の磁気記録媒体の方が比較例の磁気記録媒体より分解能Reが高くなることが分かった。線記録密度Dが約2000kFCIでは、実施例の磁気記録媒体の分解能Reが、比較例の磁気記録媒体の分解能Reの約4.5倍となることが分かった。

0054

以上の結果から、記録層と軟磁性裏打ち層との間に、記録層の垂直方向の残留磁化により発生する磁界より大きな面内方向の保磁力を有する高保磁力面内磁荷層を設けることにより、高記録密度における分解能が向上することが分かった。これは、比較例の磁気記録媒体では、図1で説明したように、記録密度が高くなるに従い、軟磁性裏打ち層の鏡像効果が記録層の磁化反転に追随しなくなり再生出力が低下するのに対して、実施例の磁気記録媒体では、図3で説明したように、記録密度に依存する軟磁性裏打ち層の鏡像効果による再生出力への影響の変化が低減されるので、高記録密度における軟磁性裏打ち層の鏡像効果による再生出力の低下が抑制されたためであると考えられる。

0055

本発明の磁気記録媒体では、記録密度に依存する軟磁性裏打ち層の鏡像磁荷による再生出力への影響の変化を低減することができる。それゆえ、低記録密度の磁気記録媒体の再生出力と高記録密度の磁気記録媒体の再生出力との差を小さくすることができ、分解能を向上させることができる。また、本発明の磁気記録装置では、本発明の磁気記録媒体を用いているので、より広範囲の記録密度で高分解能な情報再生が可能になる。従って、本発明の磁気記録媒体及び磁気記録装置は、より広範囲な用途及び規格に対応可能な磁気記録媒体及び磁気記録装置として好適である。

図面の簡単な説明

0056

図1は、従来の垂直記録方式の磁気記録媒体における記録層と軟磁性裏打ち層との間の磁化状態の様子を示した図である。
図2は、別の従来の垂直記録方式の磁気記録媒体における記録層、面内磁化層及び軟磁性裏打ち層間の磁化状態の様子を示した図である。
図3は、本発明の垂直記録方式の磁気記録媒体における記録層、面内磁化層及び軟磁性裏打ち層間の磁化状態の様子を示した図である。
図4は、実施例で作製した磁気記録媒体の概略断面図である。
図5は、実施例及び比較例の磁気記録媒体における線記録密度Dに対する再生出力Eoutの変化を表わした図である。
図6は、実施例及び比較例の磁気記録媒体における線記録密度Dに対する分解能Reの変化を表わした図である。

符号の説明

0057

1基板
2接着層
3軟磁性裏打ち層
4結晶制御層
5高保磁力面内磁化層
6シード層
7記録層
8 保護層
9潤滑膜
10磁気記録媒体
11書込ヘッド
31a,32a鏡像磁荷
71,72,73,74 記録磁区

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