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技術 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 吉村公博田中博幸雲井郭文田中大介酒匂春海高木進司森川陽介
出願日 2003年8月28日 (16年2ヶ月経過) 出願番号 2003-304613
公開日 2005年3月24日 (14年7ヶ月経過) 公開番号 2005-077486
状態 未査定
技術分野 電子写真における感光体 電子写真装置一般及び筐体、要素 電子写真一般。全体構成、要素 電子写真における帯電・転写・分離
主要キーワード イオン化促進剤 電気的強度 遮光性容器 プラスチック製支持体 フタル酸構造 測定試料溶液 クーロン反発 照射レーザー
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図面 (1)

課題

所望の画像に忠実静電潜像の形成、感光層を形成するために必要なコストの抑制、感光層を形成するために用いる溶媒の量の抑制の観点から、該電荷輸送層膜厚を薄くしても、電荷輸送層が薄膜であることによる問題が発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。

解決手段

支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質および特定構造結着樹脂を含有する膜厚5μm以上20μm以下の電荷輸送層とを有する電子写真感光体であって、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、該電荷輸送層が含有する結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、特定構造の鎖状樹脂分子および特定構造の環状樹脂分子の双方が存在する。

概要

背景

有機光導電性物質を用いた電子写真感光体有機電子写真感光体)は、電気的特性機械的特性の双方を満足させるために、その感光層として、支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層を採用することが多い。また、その電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合が大半である。また、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の結着樹脂としては、機械的強度が比較的高いポリカーボネート樹脂ポリアリレート樹脂が多く用いられている(特開昭57−074748号公報、特開昭61−137157号公報など)。

電荷輸送層の膜厚は、電子写真感光体の使用条件にもよるが、一般的に5μm未満になるとトナーカブリが発生して実用上問題であるといわれている。換言すれば、電荷輸送層として最低限必要な膜厚は5μmといえるが、実際は、電子写真感光体の表面層としての電荷輸送層の膜厚は20〜30μmの範囲にあることが多い。これは、電子写真プロセスの繰り返しの中で周囲から様々な外力を受けることによって、電子写真感光体の表面は劣化するため、それを見込んだ余裕分の膜厚を必要最低限の膜厚に付け加えているのである。

ところが、上述のように電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を厚くすると、以下のような欠点がある。

すなわち、微小ドットにより静電潜像を形成する場合、電荷輸送層内での電荷クーロン反発により、所望の画像に忠実な静電潜像を形成することが困難となったり、出力画像ゴーストが発生したりすることによって、出力画像の品質が低下する。

また、積層型感光層の場合、一般的に、それを構成する層の中でも電荷輸送層の膜厚が最も厚いため、電荷輸送層の膜厚を厚くすると、感光層を形成するために必要なコストが大きく上昇する。また、感光層を形成するために用いる溶媒(=溶剤、以下同じ)の量が大きく増える。

電荷輸送層の膜厚を薄くすれば、上述の電荷輸送層の膜厚が厚いことによる欠点は解消するものの、その代わりに、電子写真プロセスの繰り返しの中で周囲から受ける様々な外力に対する耐久性をより向上させなければならない。

電子写真感光体が電子写真プロセスの繰り返しの中で受ける外力としては、帯電時の放電によって発生する放電生成物電子写真装置内の樹脂部材から揮発してくる物質などの低分子量成分が電子写真感光体の表面に吸着・付着することによって発生する化学的作用や、電子写真感光体に接触配置された帯電部材現像部材転写部材クリーニング部材などからの機械的外力や、帯電時の放電電流による電気的外力などが挙げられる。

まず、低分子量成分の吸着・付着による化学的作用について具体的に述べる。

帯電時の放電により発生するオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が電子写真感光体の表面に吸着・付着することによって、電子写真感光体の電位が低下したり、電子写真感光体の表面の水の接触角の低下によってトナーの転写効率が低下したり、電子写真感光体の表面抵抗の低下によって画像流れが発生したりする。

また、電子写真装置内の樹脂部材から揮発してくる物質の中で、化学的作用を引き起こす物質が具体的に何であるかを特定することは困難であるが、例えば、樹脂部材に含有される揮発物質としては、酸化防止剤難燃剤可塑剤発泡剤加硫剤、または、これらの分解物などが、化学的作用を引き起こす物質である可能性がある。これらの揮発物質が電子写真感光体の表面に吸着・付着することによって、高温高湿環境下または低温低湿環境下で電子写真プロセスを繰り返す中で電子写真感光体の表面電位が変動することによって、出力画像の濃度が変化したり、出力画像にゴーストが発生したりする。

揮発物質は極微量であるため、その種類の特定も困難であり、また、放電生成物や湿度(環境中の水分)との複合的作用によって、電子写真特性の変化の仕方多岐にわたる。

また、電子写真装置が使用される地域の拡大や、エコロジー意識の深化による再生紙増加などによって、電子写真装置に用いられる転写材多様化している。転写材に含有される成分の中には、電子写真感光体に悪影響を及ぼす低分子量成分もある。電子写真プロセスを繰り返し行うことで、転写材中の特定の低分子量成分が電子写真感光体に吸着・付着し、高温高湿環境下では、それらが湿度や放電の影響を受けてイオン状態になることで、電子写真感光体の電荷保持能力が低下して、画像ボケが発生する。

従来は、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を厚くして、電子写真プロセスの繰り返しの中でその電荷輸送層を摩耗させながら使用することによって、電子写真感光体の表面に低分子量成分が吸着・付着することによる問題を回避するか、または、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層に酸化防止剤や潤滑剤を添加することによって対処することが多かった。

ところが、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を摩耗させながら使用すると、電子写真感光体の静電容量の変化に伴って、電位特性露光光量−表面電位)が変化するため、出力画像の濃度が変化してしまう。

また、酸化防止剤や潤滑剤といった光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)以外の第3成分の存在は、感度に影響を及ぼしたり、また、その第3成分が溶解性の悪い物質である場合は、電荷輸送層中で露光光散乱を引き起こすため、精細な静電潜像を形成することが困難になったりする。

そもそも、表面層である電荷輸送層に余裕分の膜厚をほとんど設定していない電子写真感光体、すなわち、表面層である電荷輸送層の膜厚が薄い電子写真感光体の場合、あえて電荷輸送層を摩耗させながら使用するという方法を採ること自体困難である。

近年、電子写真装置は、より一層の軽量化、小型化が求められているが、電子写真装置の軽量化のために金属部材から樹脂部材への変更を図れば、樹脂部材から発生する揮発成分の量が増加し、また、電子写真装置の小型化を図れば、電子写真装置内の空隙容量は減少して、電子写真装置内に滞留する放電生成物や揮発成分などの濃度が上昇するため、上述の問題はより深刻化する。

また、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚をより薄くする場合、その電荷輸送層には、電子写真感光体に接触配置された帯電部材、現像部材、転写部材、クリーニング部材などからの機械的外力に対する耐久性(機械的強度)や、帯電時の放電電流による電気的外力に対する耐久性(電気的強度)もより求められる。

電子写真プロセスの繰り返しの中で機械的外力や電気的外力を受けることによって、電子写真感光体の表面は劣化・摩耗するため、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を単純に薄くしても、その分、電子写真感光体の寿命が短くなってしまう。また、電子写真感光体の短寿命化以外にも、電子写真感光体の静電容量の増加が大きくなるため帯電状態の変化が大きくなるという問題や、電子写真感光体の表面の傷が浅くても出力画像に欠陥が生じやすくなるという問題が発生する。

例えば、電子写真感光体を帯電するための帯電手段が、最近の電子写真装置で多く採用されている、交流電圧重畳した直流電圧印加した接触帯電部材から放電により該電子写真感光体を帯電する接触帯電手段である場合、電子写真感光体の表面の摩耗による電子写真感光体の静電容量の増加が大きくなるため、放電電流量の増加が大きくなり、放電による電子写真感光体の表面の電気的劣化が加速され、摩耗量が一層増加してしまう。すると、電子写真感光体の表面の水の接触角の低下による画像流れ、クリーニング部材との過度摩擦力アップによる異音発生、クリーニング部材の捲れなどの問題が発生する。また、この接触帯電手段の場合、交流電圧のピーク間電圧を高めに設定しておくほど帯電安定性は増すが、ピーク間電圧が高くなるほど、放電による電子写真感光体の表面の電気的劣化はより大きくなる。また、この接触帯電手段の場合、ピーク間電圧を一定にした条件でも、電荷輸送層の膜厚を薄くするほど、放電による電子写真感光体の表面の電気的劣化はより大きくなる。

また、電子写真プロセスの繰り返しの中で機械的外力を受けることによって、電子写真感光体の表面には傷が発生するが、その傷が出力画像の欠陥として現れるのは、傷の最深部と支持体との距離に依存することが多く、したがって、電荷輸送層の膜厚が薄いほど、同じ深さの傷でも出力画像に欠陥として現れやすくなる。

また、電荷輸送層の膜厚が薄いほど、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層に取り込まれる上記低分子量成分の量が同じでも層中濃度は高くなり、また、低分子量成分が電荷発生層まで到達する可能性も高くなるため、上述の低分子量成分が吸着・付着することによる問題がより顕著になる。

さて、近年の電子写真装置に対する小型化の要求により、電子写真感光体自体の大きさ、特に円筒状電子写真感光体の場合は、その外径がより小さくなる傾向にある。外径が小さくなれば円周長も短くなるため、電子写真感光体の出力画像単位面積あたりの回転数は増加し、上述の問題の発生がより顕著になる。また、外径が小さくなれば曲率半径も小さくなるため、電子写真感光体を構成する各層、特に電荷輸送層内にかかる応力歪み負荷が増加するため、特に、耐摩耗性耐傷性耐クラック性に関わる部分で、外径が大きい電子写真感光体よりも不利になる。

また、近年、取り扱いやメンテナンス簡便性から、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体着脱自在であるプロセスカートリッジが用いられる。プロセスカートリッジは、ユーザー自身の手によって着脱自在であるため、それだけ電子写真感光体にユーザーが触れてしまう機会が増える。ユーザーが電子写真感光体に触れることにより、電子写真感光体の表面にクラックが発生してしまう場合がある。

また、電子写真装置の高速化に伴い、電荷輸送物質としても、より電荷移動度の高い物質が求められているが、一般的に、電荷輸送物質の電荷移動度を高めるためには、分子構造として、芳香族環を増やしてπ電子共役域を広げてやれば良い。ところが、π電子共役域を広げると電荷輸送物質は嵩高くなって、電荷輸送物質が析出しやすくなったり、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層にクラックが発生しやすくなったり、電荷輸送層の脆弱化により傷の発生や摩耗量の増加が起きやすくなったりする。
特開昭57−074748号公報
特開昭61−137157号公報

概要

所望の画像に忠実な静電潜像の形成、感光層を形成するために必要なコストの抑制、感光層を形成するために用いる溶媒の量の抑制の観点から、該電荷輸送層の膜厚を薄くしても、電荷輸送層が薄膜であることによる問題が発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質および特定構造の結着樹脂を含有する膜厚5μm以上20μm以下の電荷輸送層とを有する電子写真感光体であって、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、該電荷輸送層が含有する結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、特定構造の鎖状樹脂分子および特定構造の環状樹脂分子の双方が存在する。 なし

目的

本発明は、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、所望の画像に忠実な静電潜像の形成、感光層を形成するために必要なコストの抑制、感光層を形成するために用いる溶媒の量の抑制の観点から、該電荷輸送層の膜厚を薄く(5μm以上20μm以下)しても、上述の電荷輸送層が薄膜であることによる問題が発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質および下記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する結着樹脂を含有する膜厚5μm以上20μm以下の電荷輸送層とを有する電子写真感光体であって、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、(式(1)中、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子ハロゲン原子置換または無置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換または無置換の1価の脂環式炭化水素基、または、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素基を示す。R19は、2価の結合基を示す。Ar11は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素基を示す。kは、0または1である。)該電荷輸送層が含有する結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、下記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子および下記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の双方が存在することを特徴とする電子写真感光体。(式(11)、(12)中、R11〜R18、R19、Ar11、kは、式(1)中のR11〜R18、R19、Ar11、kと同義である。E11、E12は、それぞれ独立に、1価の末端基を示す。m、nは、それぞれ独立に、正の整数である。)

請求項2

前記電荷輸送層が含有する結着樹脂が、前記式(1)、(11)および(12)中のkが0であるポリカーボネート樹脂である請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項3

前記ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)が40000以上250000以下である請求項2に記載の電子写真感光体。

請求項4

分子量が1500以上5500以下の範囲における前記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子の数をΣLmとし、分子量が1500以上5500以下の範囲における前記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の数をΣCnとすると、ΣLmおよびΣCnが下記関係式(2)を満足する請求項3に記載の電子写真感光体。

請求項5

前記電荷輸送層が含有する結着樹脂が、前記式(1)、(11)および(12)中のkが1であるポリアリレート樹脂である請求項1に記載の電子写真感光体。

請求項6

前記ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw)が40000以上200000以下である請求項5に記載の電子写真感光体。

請求項7

分子量が1500以上5500以下の範囲における前記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子の数をΣLmとし、分子量が1500以上5500以下の範囲における前記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の数をΣCnとすると、ΣLmおよびΣCnが下記関係式(3)を満足する請求項6に記載の電子写真感光体。

請求項8

前記電荷輸送層の膜厚をD[μm]とし、分子量が1500以上5500以下の範囲における前記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子の数をΣLmとし、分子量が1500以上5500以下の範囲における前記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の数をΣCnとすると、D、ΣLmおよびΣCnが下記関係式(4)を満足する請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。

請求項9

前記電荷輸送層中の電荷輸送物質の分子体積VCT[Å3]とベンゼンの分子体積VBN[Å3]との比(VCT/VBN)が7以上25以下である請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。

請求項10

前記支持体が外径28mm未満の円筒状支持体である請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。

請求項11

請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ

請求項12

少なくとも前記電子写真感光体と前記帯電手段とを一体に支持し、前記帯電手段が、前記電子写真感光体に接触配置された接触帯電部材から放電により前記電子写真感光体を帯電するための接触帯電手段である請求項11に記載のプロセスカートリッジ。

請求項13

前記接触帯電部材の長手方向長さ1cmあたりの放電電流量が0.5μA/cm以上1.5μA/cm以下である請求項12に記載のプロセスカートリッジ。

請求項14

請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置

請求項15

前記帯電手段が、前記電子写真感光体に接触配置された接触帯電部材から放電により前記電子写真感光体を帯電するための接触帯電手段である請求項14に記載の電子写真装置。

請求項16

前記接触帯電部材の長手方向長さ1cmあたりの放電電流量が0.5μA/cm以上1.5μA/cm以下である請求項15に記載の電子写真装置。

技術分野

0001

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質および特定の結着樹脂を含有する膜厚20μm以下の薄膜電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。

背景技術

0002

有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)は、電気的特性機械的特性の双方を満足させるために、その感光層として、支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層を採用することが多い。また、その電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合が大半である。また、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の結着樹脂としては、機械的強度が比較的高いポリカーボネート樹脂ポリアリレート樹脂が多く用いられている(特開昭57−074748号公報、特開昭61−137157号公報など)。

0003

電荷輸送層の膜厚は、電子写真感光体の使用条件にもよるが、一般的に5μm未満になるとトナーカブリが発生して実用上問題であるといわれている。換言すれば、電荷輸送層として最低限必要な膜厚は5μmといえるが、実際は、電子写真感光体の表面層としての電荷輸送層の膜厚は20〜30μmの範囲にあることが多い。これは、電子写真プロセスの繰り返しの中で周囲から様々な外力を受けることによって、電子写真感光体の表面は劣化するため、それを見込んだ余裕分の膜厚を必要最低限の膜厚に付け加えているのである。

0004

ところが、上述のように電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を厚くすると、以下のような欠点がある。

0005

すなわち、微小ドットにより静電潜像を形成する場合、電荷輸送層内での電荷クーロン反発により、所望の画像に忠実な静電潜像を形成することが困難となったり、出力画像ゴーストが発生したりすることによって、出力画像の品質が低下する。

0006

また、積層型感光層の場合、一般的に、それを構成する層の中でも電荷輸送層の膜厚が最も厚いため、電荷輸送層の膜厚を厚くすると、感光層を形成するために必要なコストが大きく上昇する。また、感光層を形成するために用いる溶媒(=溶剤、以下同じ)の量が大きく増える。

0007

電荷輸送層の膜厚を薄くすれば、上述の電荷輸送層の膜厚が厚いことによる欠点は解消するものの、その代わりに、電子写真プロセスの繰り返しの中で周囲から受ける様々な外力に対する耐久性をより向上させなければならない。

0008

電子写真感光体が電子写真プロセスの繰り返しの中で受ける外力としては、帯電時の放電によって発生する放電生成物や電子写真装置内の樹脂部材から揮発してくる物質などの低分子量成分が電子写真感光体の表面に吸着・付着することによって発生する化学的作用や、電子写真感光体に接触配置された帯電部材現像部材転写部材クリーニング部材などからの機械的外力や、帯電時の放電電流による電気的外力などが挙げられる。

0009

まず、低分子量成分の吸着・付着による化学的作用について具体的に述べる。

0010

帯電時の放電により発生するオゾンや窒素酸化物などの放電生成物が電子写真感光体の表面に吸着・付着することによって、電子写真感光体の電位が低下したり、電子写真感光体の表面の水の接触角の低下によってトナーの転写効率が低下したり、電子写真感光体の表面抵抗の低下によって画像流れが発生したりする。

0011

また、電子写真装置内の樹脂部材から揮発してくる物質の中で、化学的作用を引き起こす物質が具体的に何であるかを特定することは困難であるが、例えば、樹脂部材に含有される揮発物質としては、酸化防止剤難燃剤可塑剤発泡剤加硫剤、または、これらの分解物などが、化学的作用を引き起こす物質である可能性がある。これらの揮発物質が電子写真感光体の表面に吸着・付着することによって、高温高湿環境下または低温低湿環境下で電子写真プロセスを繰り返す中で電子写真感光体の表面電位が変動することによって、出力画像の濃度が変化したり、出力画像にゴーストが発生したりする。

0012

揮発物質は極微量であるため、その種類の特定も困難であり、また、放電生成物や湿度(環境中の水分)との複合的作用によって、電子写真特性の変化の仕方多岐にわたる。

0013

また、電子写真装置が使用される地域の拡大や、エコロジー意識の深化による再生紙増加などによって、電子写真装置に用いられる転写材多様化している。転写材に含有される成分の中には、電子写真感光体に悪影響を及ぼす低分子量成分もある。電子写真プロセスを繰り返し行うことで、転写材中の特定の低分子量成分が電子写真感光体に吸着・付着し、高温高湿環境下では、それらが湿度や放電の影響を受けてイオン状態になることで、電子写真感光体の電荷保持能力が低下して、画像ボケが発生する。

0014

従来は、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を厚くして、電子写真プロセスの繰り返しの中でその電荷輸送層を摩耗させながら使用することによって、電子写真感光体の表面に低分子量成分が吸着・付着することによる問題を回避するか、または、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層に酸化防止剤や潤滑剤を添加することによって対処することが多かった。

0015

ところが、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を摩耗させながら使用すると、電子写真感光体の静電容量の変化に伴って、電位特性露光光量−表面電位)が変化するため、出力画像の濃度が変化してしまう。

0016

また、酸化防止剤や潤滑剤といった光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)以外の第3成分の存在は、感度に影響を及ぼしたり、また、その第3成分が溶解性の悪い物質である場合は、電荷輸送層中で露光光散乱を引き起こすため、精細な静電潜像を形成することが困難になったりする。

0017

そもそも、表面層である電荷輸送層に余裕分の膜厚をほとんど設定していない電子写真感光体、すなわち、表面層である電荷輸送層の膜厚が薄い電子写真感光体の場合、あえて電荷輸送層を摩耗させながら使用するという方法を採ること自体困難である。

0018

近年、電子写真装置は、より一層の軽量化、小型化が求められているが、電子写真装置の軽量化のために金属部材から樹脂部材への変更を図れば、樹脂部材から発生する揮発成分の量が増加し、また、電子写真装置の小型化を図れば、電子写真装置内の空隙容量は減少して、電子写真装置内に滞留する放電生成物や揮発成分などの濃度が上昇するため、上述の問題はより深刻化する。

0019

また、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚をより薄くする場合、その電荷輸送層には、電子写真感光体に接触配置された帯電部材、現像部材、転写部材、クリーニング部材などからの機械的外力に対する耐久性(機械的強度)や、帯電時の放電電流による電気的外力に対する耐久性(電気的強度)もより求められる。

0020

電子写真プロセスの繰り返しの中で機械的外力や電気的外力を受けることによって、電子写真感光体の表面は劣化・摩耗するため、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を単純に薄くしても、その分、電子写真感光体の寿命が短くなってしまう。また、電子写真感光体の短寿命化以外にも、電子写真感光体の静電容量の増加が大きくなるため帯電状態の変化が大きくなるという問題や、電子写真感光体の表面の傷が浅くても出力画像に欠陥が生じやすくなるという問題が発生する。

0021

例えば、電子写真感光体を帯電するための帯電手段が、最近の電子写真装置で多く採用されている、交流電圧重畳した直流電圧印加した接触帯電部材から放電により該電子写真感光体を帯電する接触帯電手段である場合、電子写真感光体の表面の摩耗による電子写真感光体の静電容量の増加が大きくなるため、放電電流量の増加が大きくなり、放電による電子写真感光体の表面の電気的劣化が加速され、摩耗量が一層増加してしまう。すると、電子写真感光体の表面の水の接触角の低下による画像流れ、クリーニング部材との過度摩擦力アップによる異音発生、クリーニング部材の捲れなどの問題が発生する。また、この接触帯電手段の場合、交流電圧のピーク間電圧を高めに設定しておくほど帯電安定性は増すが、ピーク間電圧が高くなるほど、放電による電子写真感光体の表面の電気的劣化はより大きくなる。また、この接触帯電手段の場合、ピーク間電圧を一定にした条件でも、電荷輸送層の膜厚を薄くするほど、放電による電子写真感光体の表面の電気的劣化はより大きくなる。

0022

また、電子写真プロセスの繰り返しの中で機械的外力を受けることによって、電子写真感光体の表面には傷が発生するが、その傷が出力画像の欠陥として現れるのは、傷の最深部と支持体との距離に依存することが多く、したがって、電荷輸送層の膜厚が薄いほど、同じ深さの傷でも出力画像に欠陥として現れやすくなる。

0023

また、電荷輸送層の膜厚が薄いほど、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層に取り込まれる上記低分子量成分の量が同じでも層中濃度は高くなり、また、低分子量成分が電荷発生層まで到達する可能性も高くなるため、上述の低分子量成分が吸着・付着することによる問題がより顕著になる。

0024

さて、近年の電子写真装置に対する小型化の要求により、電子写真感光体自体の大きさ、特に円筒状電子写真感光体の場合は、その外径がより小さくなる傾向にある。外径が小さくなれば円周長も短くなるため、電子写真感光体の出力画像単位面積あたりの回転数は増加し、上述の問題の発生がより顕著になる。また、外径が小さくなれば曲率半径も小さくなるため、電子写真感光体を構成する各層、特に電荷輸送層内にかかる応力歪み負荷が増加するため、特に、耐摩耗性耐傷性耐クラック性に関わる部分で、外径が大きい電子写真感光体よりも不利になる。

0025

また、近年、取り扱いやメンテナンス簡便性から、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体着脱自在であるプロセスカートリッジが用いられる。プロセスカートリッジは、ユーザー自身の手によって着脱自在であるため、それだけ電子写真感光体にユーザーが触れてしまう機会が増える。ユーザーが電子写真感光体に触れることにより、電子写真感光体の表面にクラックが発生してしまう場合がある。

0026

また、電子写真装置の高速化に伴い、電荷輸送物質としても、より電荷移動度の高い物質が求められているが、一般的に、電荷輸送物質の電荷移動度を高めるためには、分子構造として、芳香族環を増やしてπ電子共役域を広げてやれば良い。ところが、π電子共役域を広げると電荷輸送物質は嵩高くなって、電荷輸送物質が析出しやすくなったり、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層にクラックが発生しやすくなったり、電荷輸送層の脆弱化により傷の発生や摩耗量の増加が起きやすくなったりする。
特開昭57−074748号公報
特開昭61−137157号公報

発明が解決しようとする課題

0027

本発明は、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、所望の画像に忠実な静電潜像の形成、感光層を形成するために必要なコストの抑制、感光層を形成するために用いる溶媒の量の抑制の観点から、該電荷輸送層の膜厚を薄く(5μm以上20μm以下)しても、上述の電荷輸送層が薄膜であることによる問題が発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0028

本発明者らは、電荷輸送層の結着樹脂として、重縮合系樹脂であるポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂を用い、さらに、その樹脂を構成する樹脂分子が特定の条件を満足するようにすることで、上記目的を達成することができることを見いだした。

0029

すなわち、本発明は、支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質および下記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する結着樹脂を含有する膜厚5μm以上20μm以下の電荷輸送層とを有する電子写真感光体であって、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、

0030

0031

(式(1)中、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子ハロゲン原子置換または無置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換または無置換の1価の脂環式炭化水素基、または、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素基を示す。R19は、2価の結合基を示す。Ar11は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素基を示す。kは、0または1である。)
該電荷輸送層が含有する結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、下記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子および下記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の双方が存在することを特徴とする電子写真感光体である。

0032

0033

(式(11)、(12)中、R11〜R18、R19、Ar11、kは、式(1)中のR11〜R18、R19、Ar11、kと同義である。E11、E12は、それぞれ独立に、1価の末端基を示す。m、nは、それぞれ独立に、正の整数である。)
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。

0034

上記ハロゲン原子としては、フッ素原子塩素原子臭素原子などが挙げられ、上記1価の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、t−ブチル基、アリル基などが挙げられ、上記1価の脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基などが挙げられ、上記1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基ナフチル基などが挙げられる。

0035

また、上記2価の結合基としては、メチレン基イソプロピレン基などのアルキレン基や、シクロヘキシレン基などの2価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。

0036

また、上記2価の芳香族炭化水素基としては、ジフェニルメチレン基、フルオレンイリデン基などが挙げられる。

0037

また、上記1価の末端基としては、パラ−t−ブチルフェノール、4−パーフルオロアルキル基置換フェノールなどのパラ位置フェノール基などが挙げられる。

発明の効果

0038

本発明によって、支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体において、所望の画像に忠実な静電潜像の形成、感光層を形成するために必要なコストの抑制、感光層を形成するために用いる溶媒の量の抑制の観点から、該電荷輸送層の膜厚を薄く(5μm以上20μm以下)しても、上述の電荷輸送層が薄膜であることによる問題が発生しない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。

発明を実施するための最良の形態

0039

以下、本発明をより詳細に説明する。

0040

実際に、電子写真プロセスの繰り返しを行った後の電子写真感光体の表面を、TOF−SIMSを用いて詳細に分析したところ、未使用の電子写真感光体の表面からは検出されなかったNOやNO2などの窒素酸化物やカルボキシル基より派生するイオンなどが検出された。

0041

また、電子写真装置内の雰囲気GC−MSやイオンクロマトグラフィーを用いて分析したところ、ヒンダードフェノール類や低分子アルキルアミン類などが検出された。

0042

また、電子写真装置に用いる転写材に含有されている物質の中で、電荷輸送層に吸着・付着するものとしては、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素などの金属元素アミン系化合物などが挙げられる。実際に、市販のコピー用紙やプリンター用紙の表面を、TOF−SIMSを用いて詳細に分析したところ、Na、Mg、Al、Clなどの元素を含むイオンが検出された。

0043

電子写真感光体の表面層である電荷輸送層に余裕分の膜厚をほとんど設定していない本発明の電子写真感光体では、あえて電荷輸送層を摩耗させながら使用するという方法を採ることは困難であるため、出力画像の品質の低下を引き起こす上記の各種低分子量成分が電荷輸送層の内部にまで浸透することを抑制する、または、上記の各種低分子量成分が吸着・付着されても、出力画像の品質の低下という現象発現しないようにする必要がある。

0044

上述のとおり、本発明の電子写真感光体の表面層である電荷輸送層に用いられる結着樹脂は、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する樹脂である。上記式(1)中、kが0のとき、該式で示される繰り返し構造単位を有する樹脂はポリカーボネート樹脂であり、kが1のとき、該式で示される繰り返し構造単位を有する樹脂はポリアリレート樹脂である。そして、この結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、上記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子および上記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の双方が存在する。

0045

なお、ポリアリレート樹脂が有する繰り返し構造単位中のフタル酸構造については、テレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)が30:70〜70:30であることが好ましい。

0046

環状構造を有する物質には包接性を有するものがあり、ゲスト化合物である低分子量成分が包接されると、それらは強固に固定される。包接化合物が形成されることで、ゲスト化合物である低分子量成分の元来の性質が表に現れにくくなる。

0047

本発明の電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の結着樹脂として用いられるポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂には、比較的極性の高いカーボネート結合エステル結合が存在する。カーボネート結合やエステル結合を有し、かつ、環状構造を有する物質であれば、低分子量成分を強固に包接することができる。ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂は、head to tailの環状化反応を起こすことが可能であり、また、環状構造も様々なサイズのものが生成可能であるため、出力画像の品質の低下を引き起こす低分子量成分を強固に包接することが可能である。

0048

例として、ビスフェノールAを用いてポリカーボネート樹脂を合成する際の反応式を示す。

0049

0050

なお、上記反応式中、xは、正の整数である。

0051

アルカリ金属アルカリ土類金属、窒素酸化物などの高湿環境下でイオン化されやすいものが上記の環状樹脂分子に包接されることにより、たとえそれらがイオン化されていても、フリーの状態のイオンに比べて、電子写真感光体の表面抵抗の低下の発現を抑制することができるため、電子写真感光体の表面の静電潜像の保持能力の低下を抑制することができる。

0052

また、低分子アルキルアミン類は、電荷輸送層内にて容易に4級アンモニウム塩を形成するため、電荷のトラップサイトになるが、これらも上記の環状樹脂分子に包接されることで、4級アンモニウム塩化を抑制することができ、また、4級アンモニウム塩化しても、それが電荷輸送物質と直接に接触することがなくなるため、電荷輸送の妨害の発現を抑制することができる。

0053

また、低分子アルキルアミン類が電荷発生層に浸透してしまうと、電荷発生効率に支障をきたす可能性もあるが、これらが上記の環状樹脂分子に包接されることにより、これらの電荷発生層への浸透が抑制できるため、電荷発生効率に対する悪影響を抑制することができる。

0054

また、窒素酸化物が電子写真感光体に吸着・付着し、硝酸化合物となった場合、その硝酸化合物により感度が速くなる、いわゆる硝酸メモリーが引き起こされる。しかしながら、それが上記の環状樹脂分子に包接されることにより、電荷発生層への浸透が抑制できるため、硝酸メモリーの影響も減少する。

0055

したがって、本発明によれば、放電生成物、揮発物質、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属やそのイオンなどの低分子量成分が、電子写真感光体の表面に吸着・付着しても、それらを除去するために、電子写真プロセスの繰り返しの中で電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を摩耗させながら使用するという手法を採る必要がないため、電荷輸送層の膜厚にあえて摩耗させる分の膜厚を設定する必要がなく、それだけ薄膜とすることができ、所望の画像に忠実な静電潜像の形成、感光層を形成するために必要なコストの抑制、感光層を形成するために用いる溶媒の量の抑制を達成できる。また、あえて摩耗させながら使用する必要がないため、電位特性(露光光量−表面電位)の変化を抑制でき、出力画像の濃度の変化を抑制できる。

0056

また、熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂は、硬化性樹脂に対して、操作性や成膜性が良いという長所を有する一方で、3次元架橋していないため、硬化性樹脂と比較すると、機械的強度に劣る。また、電荷輸送層中において、低分子量の電荷輸送物質と併用するため、電荷輸送層の機械的強度が脆弱になりがちである。そのため、電子写真プロセスの繰り返しの中で、電子写真感光体の表面には傷が発生し、これも、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の膜厚を厚く設定しなければならない理由になる。また、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層が脆弱であると、ユーザーが電子写真感光体に触れることにより、電子写真感光体の表面にクラックが発生してしまう可能性が高まる。

0057

本発明者らは、電荷輸送層の結着樹脂であるポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂を構成する樹脂分子として、上記の環状樹脂分子を含ませることによって、その環状樹脂分子が可塑剤として作用し、熱可塑性樹脂の脆弱性が改良されることを見いだした。特に、環状樹脂分子の分子量が1000以上であれば、表面移行性揮発性に関する弊害の抑制に、より効果的であった。

0058

また、結着樹脂自体の重量平均分子量(Mw)が大きくなっても、その中の環状樹脂分子はさほど大きくなっておらず、分子量が1500以上5500以下の範囲にあるものが多い。そして、環状樹脂分子を含有させることによって得られる効果の発現も、分子量が1500以上5500以下の範囲の環状樹脂分子が大きく寄与していることが判明した。

0059

ただし、環状樹脂分子は、鎖状樹脂分子に比べて、立体的歪みエネルギーを持ちやすく、特に、自由度が少ない低分子量の環状樹脂分子は、この歪みエネルギーが大きくなる傾向にある。したがって、環状樹脂分子の含有量が少ないと、環状樹脂分子を含有させることによって得られる効果が小さくなる一方で、環状樹脂分子の含有量が多いと、帯電時の放電のエネルギーによって環状構造がすぐに開裂してしまうことがある。

0060

したがって、本発明の効果を得るためには、電荷輸送層が含有する結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子に、上記の鎖状樹脂分子および上記の環状樹脂分子の双方が存在することが必要なのである。

0061

電荷輸送層の結着樹脂中の鎖状樹脂分子と環状樹脂分子の比率、および、結着樹脂自体の重量平均分子量(Mw)に関して、具体的な好適範囲は以下のとおりである。

0062

すなわち、電荷輸送層が含有する結着樹脂がポリカーボネート樹脂である場合、その重量平均分子量(Mw)は40000以上250000以下であることが好ましく、また、分子量が1500以上5500以下の範囲における上記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子の数をΣLmとし、分子量が1500以上5500以下の範囲における上記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の数をΣCnとすると、ΣLmおよびΣCnは下記関係式(2)を満足することが好ましい。

0063

0064

また、電荷輸送層が含有する結着樹脂がポリアリレート樹脂である場合、その重量平均分子量(Mw)は40000以上200000以下であることが好ましく、また、分子量が1500以上5500以下の範囲における上記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子の数をΣLmとし、分子量が1500以上5500以下の範囲における上記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の数をΣCnとすると、ΣLmおよびΣCnは下記関係式(3)を満足することが好ましい。

0065

0066

また、上記のとおり、本発明の電子写真感光体の表面層である電荷輸送層は薄膜であり、具体的には、膜厚が5μm以上20μm以下である。

0067

電荷輸送層の膜厚をD[μm](5≦D≦20)とし、分子量が1500以上5500以下の範囲における上記式(11)で示される構造を有する鎖状樹脂分子の数をΣLmとし、分子量が1500以上5500以下の範囲における上記式(12)で示される構造を有する環状樹脂分子の数をΣCnとすると、D、ΣLmおよびΣCnは下記関係式(4)を満足することが好ましい。

0068

0069

これらは、マトリックス支援レーザー着脱イオン化−時間飛行型−質量分析装置(MALDI−TOF MS)にて電荷輸送層を溶解した試料を分析し、分子量が1500以上5500以下の範囲におけるピークのうち、鎖状樹脂分子のピーク強度の和および環状樹脂分子のピーク強度の和から導出できる。鎖状樹脂分子のピークおよび環状樹脂分子のピークは、その繰り返し構造単位が同じであるため、ピーク間隔自体は同じであるが、末端基の有無により、ピークの出る位置は異なるため、分離して分析することが可能である。

0070

この分析方法は、作製後の電子写真感光体の電荷輸送層から直接分析できるという特長を有する。

0071

具体的には、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を削り取り、それをテトラヒドロフランクロロホルムに溶解した後、1,8−ジヒドロキシアントラセン、9−ニトロアトラセンなどのマトリックス分子が溶解した液に混合して測定試料とする。この際、マトリックス分子と電荷輸送層の比率(マトリックス分子:電荷輸送層)は、質量比で100:1〜1000:1であることが好ましい。電荷輸送層の比率が低すぎると検出量が減り、電荷輸送層の比率が高すぎると、測定対象物質の脱着やイオン化が妨げられる可能性がある。

0072

また、測定時に照射するレーザー光波長については特に制限はないが、例えば、窒素レーザー(波長:337nm)はマトリックスには強い吸収がある一方で、電荷輸送層の結着樹脂にはほとんど吸収がないため、結着樹脂の破壊を引き起こすことなく測定することが可能であるため好ましい。

0073

また、測定試料調製時にイオン化を促進する目的で、トリフルオロ酢酸銀などの金属塩を加えてもよい。測定は、ポジイオン検出モードで行うことが好ましく、特に、イオン化促進剤として金属塩を添加しなかった場合は、プロトン付加体(分子量が1増加)として測定対象物質が検出され、金属塩を添加した場合は、その金属イオン付加体(その金属の原子量だけ質量が増加)として検出される。

0074

また、結着樹脂を構成する樹脂分子に占める環状樹脂分子の割合の調整方法は、例えば、あらかじめ選択的に作った環状樹脂分子を所望量添加する方法や、重合反応中の温度を適宜管理したり、鎖状樹脂分子の合成の際に重合停止反応を適宜コントロールしたり、重合反応系の各種モノマー重合開始剤の濃度を適宜調整したり、各種モノマー分子剛直性を適宜調整したりすることによって、鎖状樹脂分子および環状樹脂分子をともに作る方法などが挙げられる。環状樹脂分子の割合を上げる方法としては、特開昭61−238823号公報、特開平2−133425号公報、特開平3−199231号公報などに開示された方法を参考にすることができ、環状樹脂分子の割合を下げる方法としては、特開平7−1795996号公報、特開平7−102056号公報、特開2003−40997号公報などに開示された方法を参考にすることができる。

0075

ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂は、出発物質としてビスフェノールを用いて合成される。以下に、ビスフェノールの具体例を挙げる。ただし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。

0076

0077

0078

上述の結着樹脂とともに電荷輸送層に含有させる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物ヒドラゾン化合物スチリル化合物スチルベン化合物ピラゾリン化合物オキサゾール化合物チアゾール化合物トリアリールメタン化合物などが挙げられる。

0079

電荷輸送物質間の電荷輸送はホッピング電導であり、電荷輸送物質同士の重なりが大きいほうが電荷移動度を速くすることができる。しかしながら、このような電荷輸送物質の設計の方向は、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の脆弱化につながる。本発明の場合、結着樹脂を構成する環状樹脂分子が可塑剤として作用するため、電荷輸送層の脆弱性は改良されるが、電荷輸送物質が環状樹脂分子に包接されすぎると、ホッピング電導の効率に悪影響を及ぼす。

0080

そこで、本発明者らは、電荷輸送物質のサイズに関しても鋭意検討した結果、上に挙げたような電荷輸送物質の中でも、その分子体積VCT[Å3]についてベンゼンの分子体積VBN[Å3]との比(VCT/VBN)が7以上25以下となる電荷輸送物質が好ましいことを見いだした。分子体積は、分子力場法で分子構造を最適化した後、分子軌道計算(MOPAC)でCOSMO法により求められる。なお、この方法により求められるベンゼンの分子体積VBNは43.93Å3である。

0081

本発明の電子写真感光体の表面層である電荷輸送層は、上述の結着樹脂と電荷輸送物質とを溶媒に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。

0082

電荷輸送層用塗布液に用いる溶媒としては、一般的に用いられるトルエンクロロベンゼンジオキサン、クロロホルム、テトラヒドロフランなどを用いてよい。

0083

ただし、感光層中で最も厚い電荷輸送層には、層を形成した後も溶媒が残留して電子写真特性に影響を及ぼすことがある。具体的には、電子写真感光体の暗減衰が大きくなったり、明部電位環境変動が大きくなったりする場合がある。特に、溶媒としてテトラヒドロフランやジオキサンを用いた場合、その沸点はトルエンなどよりも低いが、電荷輸送層中の残留量は多くなる場合がある。本発明者らは、この現象に関しても鋭意検討をした結果、溶媒の沸点のみならず、溶解パラメーターδ、特にプロトン受容パラメーターδaと残留量との間に相関があることを見いだした。すなわち、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂という極性の高い結着樹脂を用いた場合には、プロトン受容パラメーターδaが2.5以上の溶媒は、電荷輸送層中に残留する量が増える傾向にあるため、溶媒としては、プロトン受容パラメーターが2.5未満である溶媒が好ましい。

0084

以下に、各溶媒の沸点と溶媒パラメーターを示す。

0085

0086

電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法スプレーコーティング法スピンナーコーティング法などの塗布方法を用いることができる。塗布後に乾燥させる際、乾燥温度は10℃〜200℃の範囲が好ましく、特には20℃〜150℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5分〜5時間の範囲が好ましく、特には10分〜2時間の範囲が好ましい。乾燥は、送風乾燥であっても静止乾燥であってもよい。

0087

また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。

0088

次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。

0089

上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体上に電荷輸送層および電荷発生層を有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体である。

0090

本発明の電子写真感光体の支持体としては、導電性を有していればよく、例えば、アルミニウムアルミニウム合金ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体プラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック酸化スズ粒子酸化チタン粒子銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を含有するプラスチックなどを用いることもできる。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状などが挙げられるが、円筒状であって、その外径が28mm未満である場合、電荷輸送層内にかかる応力歪み負荷が大きいため、本発明の効果がより顕著に発現する。

0091

支持体上には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることがより好ましい。

0092

また、支持体または導電層と電荷発生層との間には、バリア機能接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層は、カゼインポリビニルアルコールエチルセルロースエチレンアクリル酸コポリマーポリアミド変性ポリアミドポリウレタンゼラチン酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。中間層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜3μmであることがより好ましい。

0093

支持体、導電層または中間層上には、電荷発生物質を含有する電荷発生層が設けられる。

0094

本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴチオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノンピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルルアモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。

0096

電荷発生層用塗布液に用いる溶媒は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶媒としてはアルコールスルホキシドケトンエーテルエステル脂肪族ハロゲン化炭化水素芳香族化合物などが挙げられる。

0097

電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶媒と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波ボールミルサンドミルアトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4の範囲が好ましい。また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。

0098

また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。

0099

電荷発生層上には、電子写真感光体の表面層として、電荷輸送物質および結着樹脂を含有する電荷輸送層が設けられる。電荷輸送層に関しては、上述のとおりである。

0100

図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。

0101

図1において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)13により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光レーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。

0102

形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された紙などの転写材17に、電子写真感光体11の周面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。

0103

トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体の周面から分離されて定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物プリントコピー)として装置外プリントアウトされる。

0104

像転写後の電子写真感光体11の周面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段13が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。

0105

接触帯電方式の中でも、交流電圧を重畳した直流電圧を印加した接触帯電部材から放電により電子写真感光体を帯電する接触帯電手段を採用した場合、電子写真感光体が受ける電気的外力が大きくなる。特に、交流電圧のピーク間電圧を一定にした条件においては、電荷輸送層の膜厚が薄いほど、電子写真感光体が受ける電気的外力が大きくなる。所望の帯電電位を得るためには、ある程度の放電電流量を確保しておく必要があり、電子写真感光体の電気的劣化を抑制するために極端に放電電流量を抑えてしまうと、温度や湿度の影響で接触帯電部材の抵抗が変化した場合に、所望の帯電電位を得られなくなることがある。

0106

ところが、電荷輸送層の膜厚を20μm、好ましくは15μm以下とすることにより、放電電流量を抑えても、具体的には、接触帯電部材の長手方向長さ1cmあたりの放電電流量を0.5μA/cm以上1.5μA/cm以下としても、接触帯電部材の抵抗の変動の影響をほとんど受けずに所望の帯電電位を安定的かつ長期的に得ることができることを見いだした。

0107

本発明においては、上述の電子写真感光体11、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機レーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19の少なくとも1つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。

0108

また、露光光14は、例えば、原稿からの反射光透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。

0109

本発明の電子写真感光体は、複写機やレーザービームプリンターに利用するのみならず、CRTプリンターLEDプリンター、FAX液晶プリンター、レーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。

0110

(実施例)
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、実施例中で用いたポリアリレート樹脂は、すべて、テレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)が50:50のものである。

0111

(実施例1)
長さ206.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS A3003アルミニウム合金)を支持体として、この上に、以下の材料より構成される導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、145℃で30分間熱硬化し、膜厚が15μmの導電層を形成した。

0112

導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン2部
結着樹脂:フェノール樹脂6部
レベリング剤シリコーンオイル0.001部
溶媒:メタノールメトキシプロパノール=2/8 20部

0113

次に、導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬塗布し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。

0114

次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有する結晶形オキシチタニウムフタロシアニン結晶4部、ポリビニルブチラール商品名:エスレックBM−2、積水化学工業(株)製)2部およびシクロヘキサノン60部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散し、次に、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。

0115

この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、90℃で10分間乾燥して、膜厚0.14μmの電荷発生層を形成した。

0116

次に、電荷輸送物質として下記式で示されるアミン化合物8部、

0117

0118

および、結着樹脂として下記式で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂10部(重量平均分子量(Mw):48000)

0119

0120

を、クロロベンゼン85部/メチラール25部の混合溶媒に溶解した。この溶液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティングし、115℃で40分間乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。

0121

上記電荷輸送物質の分子体積VCT[Å3]とベンゼンの分子体積VBN[Å3]との比(VCT/VBN)は4.19である。

0122

また、上記結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、下記式で示される構造を有する鎖状樹脂分子(mは正の整数)、

0123

0124

および、下記式で示される構造を有する環状樹脂分子(nは正の整数)

0125

0126

の双方が存在する。

0127

このようにして電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。

0128

・電荷輸送層中の結着樹脂の分析
実施例1の電子写真感光体の電荷輸送層をアセトンすすいだカッターナイフの刃で削り取り、0.01gの電荷輸送層の削り粉をテトラヒドロフラン1.0gに溶解した。

0129

次に、0.2質量%に調製した1,8−ジヒドロキシアントラセンのテトラヒドロフラン溶液1.0gに対して、電荷輸送層の削り粉のテトラヒドロフラン溶液を0.01〜0.1g添加した混合溶液を作製した。この混合溶液中に、トリフルオロ酢酸銀を0.01g溶解させ、測定試料溶液とした。

0130

測定装置のMALDI−TOF MSは、ブルカー社製のReflex III を用いた。本測定装置サンプルプレート上に、上記の測定試料溶液を滴下し、その後、乾燥させて、測定装置の装着した。

0131

測定は、分解能を上げるためにリフレックスモードで行い、照射レーザー強度は、フラグメンテーションが起きないように、分子量域3000程度の位置のピークが現れ始める強度よりわずかに強くして、サンプルに照射した。測定の積算回数は、レーザーパルス200回分とした。なお、この電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質の分子量は1000以下であるため、MALDI−TOF MSによる分子量域1500〜5500の範囲の結着樹脂の分析には影響を及ぼさない。

0132

測定結果解析は、重合末端基の質量(326.19)を考慮し、繰り返し構造単位1個の質量(294.13)のm倍(nは5〜17)に326.19を加えた位置に現れる鎖状樹脂分子の各ピーク強度Lm(mは5〜17)の和ΣLm(mは5〜17)、および、繰り返し構造単位1個の質量(294.13)のn倍(nは6〜18)の位置に現れる環状樹脂分子の各ピーク強度Cn(nは6〜18)の和ΣCn(nは6〜18)を求め、下記式により、環状樹脂分子の割合を算出した。

0133

0134

上記式により求められる環状樹脂分子の割合は0.40であった。

0135

(実施例2〜9)
実施例1において、電荷輸送層中の結着樹脂、電荷輸送物質および電荷輸送層の膜厚を、表2〜4に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に環状樹脂分子の割合を算出した。

0136

0137

0138

0139

(比較例1)
実施例1において、環状樹脂分子の割合が0.00である以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。

0140

(比較例2)
実施例1において、環状樹脂分子の割合が1.00である以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。

0141

(参考例1)
比較例1において、電荷輸送層の膜厚が24μmである以外は、比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。

0142

(実施例10)
実施例1と同様にして、支持体上に導電層および中間層を形成した。

0143

次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。

0144

この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚0.16μmの電荷発生層を形成した。

0145

次に、電荷輸送物質として下記式で示されるアミン化合物8部、

0146

0147

および、結着樹脂として下記式で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂10部(重量平均分子量(Mw):48000)

0148

0149

を、クロロベンゼン85部/メチラール25部の混合溶媒に溶解した。この溶液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティングし、115℃で40分間乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。

0150

上記電荷輸送物質の分子体積VCT[Å3]とベンゼンの分子体積VBN[Å3]との比(VCT/VBN)は4.81である。

0151

また、上記結着樹脂を構成する樹脂分子のうち、分子量が1500以上5500以下の範囲の樹脂分子には、下記式で示される構造を有する鎖状樹脂分子(mは正の整数)、

0152

0153

および、下記式で示される構造を有する環状樹脂分子(nは正の整数)

0154

0155

の双方が存在する。

0156

このようにして電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。

0157

また、実施例1と同様に環状樹脂分子の割合を算出した。

0158

(実施例11〜18)
実施例10において、電荷輸送層中の結着樹脂、電荷輸送物質および電荷輸送層の膜厚を、表5〜7に示したとおりに変更した以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に環状樹脂分子の割合を算出した。

0159

0160

0161

0162

(比較例3)
実施例10において、環状樹脂分子の割合が0.00である以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。

0163

(比較例4)
実施例10において、環状樹脂分子の割合が1.00である以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。

0164

(参考例2)
比較例3において、電荷輸送層の膜厚が24μmである以外は、比較例3と同様にして電子写真感光体を作製した。

0165

(実施例19〜22)
実施例1において、電荷輸送層中の結着樹脂、電荷輸送物質、電荷輸送層の膜厚および電荷輸送層用塗布液に用いる溶媒を、表8、9に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に環状樹脂分子の割合を算出した。

0166

0167

0168

(実施例23〜30)
実施例1において、電荷輸送層中の結着樹脂、電荷輸送物質および電荷輸送層の膜厚を、表10〜12に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に環状樹脂分子の割合を算出した。

0169

0170

0171

0172

※1:下記式で示される構造を有する電荷輸送物質

0173

0174

以下、実施例1〜30、比較例1〜4、参考例1、2で作製した各電子写真感光体の評価について説明する。

0175

耐久試験−1)
耐久試験−1で用いた電子写真装置は、レーザープリンター(商品名:レーザージェット4000、ヒューレットパッカード社製、接触帯電手段を採用)を用いた。評価環境は32.5℃、85%RHとした。

0176

実施例1〜30、比較例1〜4、参考例1、2で作製した各電子写真感光体を、上記電子写真装置に装着し、レーザー光量を明部電位が−150Vとなるように設定した。

0177

まず、初期電位を測定し、次いで、レターサイズの再生紙に印字率4.2%で連続通紙モードにて4000枚の画像出力を行った後、そのままの状態で放置し、48時間後に出力した画像の品位を確認し、電荷輸送層の削れ量を確認した。

0178

(耐久試験−2)
耐久試験−2で用いた電子写真装置は、レーザープリンター(商品名:レーザージェット4000、ヒューレットパッカード社製、接触帯電手段を採用)を用いた。

0179

15℃、10%RHの環境下で、実施例19〜22で作製した各電子写真感光体を、上記電子写真装置に装着し、レーザー光量を明部電位が−150Vとなるように設定した。このレーザー光量は固定したままで、環境を32.5℃、85%RHに変更して、24時間後に明部電位を測定した。15℃、10%RHの環境下での明部電位(−150V)と32.5℃、85%RHの環境下での明部電位とを比較し、その差を明部電位変動とした。

0180

(低分子量成分の吸着性試験
低分子成分の吸着性試験−1で用いた電子写真装置は、レーザープリンター(商品名:レーザージェット4000、ヒューレットパッカード社製、接触帯電手段を採用)を用いた。評価環境は32.5℃、85%RHとした。

0181

実施例1〜30、比較例1〜4、参考例1、2で作製した各電子写真感光体を、上記電子写真装置に装着し、レーザー光量を明部電位が−150Vとなるように設定した。

0182

次いで、レターサイズの普通紙に1ドットスペースレーザー発光様式により、ハーフトーン画像を連続して100枚出力して、各電子写真感光体の参照画像とした。

0183

その後、幅10cm、奥行き10cm、高さ30cmの遮光性容器を複数準備し、それぞれに、上記電子写真装置から取り外した各電子写真感光体、および、5質量%硝酸水溶液が10ml入った100mlのビーカーを入れ、24時間放置した。再度、各電子写真感光体を上記電子写真装置に装着し、1ドット1スペースのレーザー発光様式により、ハーフトーン画像を連続して100枚出力して、その画像と硝酸雰囲気暴露履歴以前の参照画像の濃度とを比べて、どの程度変化したかを確認した。

0184

(クラック試験)
実施例1〜30、比較例1〜4、参考例1、2で作製した各電子写真感光体の表面に、ノニルアルデヒド綿棒で1cm×1cm四方塗り、40℃で7日間放置した。この試験は、電子写真感光体を触った際にクラックが発生するか否かを確認するための促進試験である。

0185

その後、ノニルアルデヒドを塗った部分の電子写真感光体表面顕微鏡で観察し、クラックの発生の程度を確認した。クラックが全く発生していないものをA、クラックが1〜3本発生していたものをB、4〜10本発生していたものをC、11本以上発生していたものをDとした。

0186

評価結果を表13〜15に示す。

0187

0188

0189

図面の簡単な説明

0190

本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。

符号の説明

0191

11電子写真感光体
12 軸
13帯電手段
14露光光
15現像手段
16転写手段
17転写材
18定着手段
19クリーニング手段
20前露光光
21プロセスカートリッジ
22 案内手段

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