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技術 複合伝熱管

出願人 株式会社コベルコマテリアル銅管
発明者 立山智之佐伯主税
出願日 2003年8月28日 (16年11ヶ月経過) 出願番号 2003-305066
公開日 2005年3月24日 (15年4ヶ月経過) 公開番号 2005-076915
状態 拒絶査定
技術分野 不可逆サイクルによる圧縮式冷凍機械 ラジエータ、流路群をもつ熱交換装置
主要キーワード 巻回直径 各小径管 金属シール材 円筒型ドラム すらせ 平円形 円錐軸 低発泡率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年3月24日)のものです。
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図面 (20)

課題

伝熱性能曲げ加工性耐圧強度および生産性に優れた、さらに、使用される機器の小型化、軽量化を図ることができる複合伝熱管を提供する。

解決手段

両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に一定の傾斜角度βをなして形成された溝部4を有する大径管2と、この大径管2の外径より小さい外径からなり、前記溝部4に沿って設けられている小径管3とを備える。

概要

背景

一般に、熱交換器用複合伝熱管の構成としては、1本の大径管と、その大径管の外表面に1本の小径管を接触させる構成のものが知られている。そして、冷蔵庫冷凍庫用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管および小径管の内部に熱媒体としてのフロン代替フロン等の冷媒が流され、大径管と小径管とを流れる冷媒間で熱交換が行なわれるものである。また、給湯器ヒートポンプユニットの複合伝熱管においては、大径管の内部に水、小径管の内部にCO2等の自然冷媒が流されるものである。また、床暖房用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管の内部に水、小径管の内部にフロン、代替フロン等の冷媒が流されるものである。

前記構成の複合伝熱管の具体的なものとして、大径管の外表面に小径管を平行に沿わせて、はんだ付けにより結着接合したものが提案されている。しかしながら、この複合伝熱管は、円形断面を有する管同志が接合するために、相互の接触面は線接触となり、管相互の熱交換は効果的でない。また、管同志の結着・接合の作業工程が非常に煩雑で非能率的であり、多量のはんだ消費し、徒らにコスト高の原因となっていた。(例えば、特許文献2参照)。

さらには、円管状部のはんだ付けであるため、はんだが付かないところができやすく、大径管と小径管との間に隙間ができ、伝熱性能が更に低下する。また、大径管および/または小径管を銅管で構成した際には、はんだ付け部では時間の経過と共に脆いCu−Sn金属間化合物が形成され、複合伝熱管が組み込まれる熱交換器等の振動などにより接合が外れやすく、伝熱性能が経時劣化する。

前記の問題点を解決する複合伝熱管の具体的なものとして、図22に示すように、大径管102の管軸方向に平行に形成した溝部104に小径管103を配置し、その外周に低発泡率独立気泡を有する樹脂層105を被覆して一体化した複合伝熱管101が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

また、図23(b)に示すように、軟質または軽軟質の大径管122の両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成した溝部124に、硬質の小径管123を抱合緊締させた構成の複合伝熱管121が提案されている。また、図示しないが、大径管の外表面に溝部を形成する方法としては、引抜ダイス引抜ベアリングおよびアプローチの一部に溝部断面と一致する円形断面の小圧子を配置(固着)し、この引抜ダイスで大径管を引き抜く方法がある。また、この引抜法に代えて、大径管内にマンドレルや浮芯金を入れて引き抜く方法、ロール成形によるものも知られている。さらに、大径管への小径管の抱合・緊締方法として、引抜ダイスまたはロールを使用することも知られている。(例えば、特許文献2参照)。

また、図23(a)に示すように、銅製の大径管112の両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成された溝部114に、銅製の小径管113が固定された複合伝熱管111が提案されている。また、小径管を大径管に固定する方法としては、(1)ロウ材接着剤共晶インサート部材金属シール材等からなる接合層116を介して大径管112に小径管113を接合する方法、または、(2)小径管を大径管の溝部に圧入後、大径管を圧延して小径管を嵌合する方法がある(図示しないが、複合伝熱管の構成は図23(b)と同じになる)。さらに、大径管の外表面に溝を形成する方法としては、2連の成形ローラを使用することが知られている。(例えば、特許文献3参照)。

また、図24に示すように、銅製の大径管132の両端部を除く外表面の一部に形成された管軸方向に平行に伸びる2本の溝部134、134に、銅製の2本の小径管133、133が固定された熱交換器131が提案されている。大径管132への前記溝部134、134の形成及び前記溝部134、134への小径管133、133の抱き込み一体化加工は、引抜き加工が用いられている。大径管132の溝部134、134の形成を引抜き加工によって行うため、大径管132の両端部に溝部134、134を形成しないようにするにはその両端部を一定長さに渡って予め縮径しておく必要があり、そのため、大径管132の両端部には、加工前の大径管132より外径縮小した縮径部132a、132aが設けられている。また、小径管133、133にCO2冷媒を、大径管132に水を、それぞれ流通させるヒートポンプ式熱交換器に使用される例として、複合伝熱管131をらせん状に巻回した構成が例示されている。(例えば、特許文献4参照)。

実開昭55−159975号公報(第1頁)
特開昭57−90563号公報(第1〜3頁、第1〜11図)
特開2000−283664号公報(段落番号[0007]〜[0031]、図3〜図10)
特開2003−14383号公報(段落番号[0025]〜[0027]、図4)

概要

伝熱性能、曲げ加工性耐圧強度および生産性に優れた、さらに、使用される機器の小型化、軽量化をることができる複合伝熱管を提供する。 両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に一定の傾斜角度βをなして形成された溝部4を有する大径管2と、この大径管2の外径より小さい外径からなり、前記溝部4に沿って設けられている小径管3とを備える。

目的

そこで、本発明は、このような問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度および生産性に優れた、さらに、使用される機器の小型化、軽量化を図ることができる複合伝熱管を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
11件

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請求項1

両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に一定の傾斜角度をなして形成された溝部を有する大径管と、この大径管の外径より小さい外径からなり、前記溝部に沿って設けられている小径管とを備えることを特徴とする複合伝熱管

請求項2

前記小径管が前記溝部に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の複合伝熱管。

請求項3

前記小径管が前記溝部に嵌合され、前記小径管と隣接する前記溝部の表面は、前記小径管の表面と等しい曲面形状を有することを特徴とする請求項2に記載の複合伝熱管。

請求項4

前記溝部が2本以上形成され、それぞれの溝部に対応して前記小径管の各々が前記溝部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の複合伝熱管。

請求項5

2本以上の前記小径管は、前記大径管の管軸直交断面における大径管の円周上に等間隔の位置に配置された2本以上の溝部に沿って、それぞれが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の複合伝熱管。

請求項6

前記大径管の両端部における外径が、小径管が設けられている部分における大径管の外径と同じか、それより大きく、かつ、小径管の両端部における外径が、その他の部分における小径管の外径と同じか、それより大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項7

前記大径管は、前記小径管が設けられている溝部の溝底部分肉厚をt、前記小径管が設けられていない部分の肉厚をTとするとき、t/Tの値が0.3〜0.7であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項8

前記溝部における前記小径管の管軸直交断面において、前記溝部に囲まれた前記小径管の円周長さは、前記小径管の全外周の55%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項9

前記大径管または/及び前記小径管は、その内面に、管軸方向に平行な溝またはらせん状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項10

前記小径管は、前記溝部の表面の少なくとも一部において、樹脂を介して前記溝部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項11

前記大径管および小径管の少なくとも一方は、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項12

前記小径管が設けられている大径管が、その少なくとも一部にらせん状の巻回部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項13

前記小径管が設けられている大径管が、その少なくとも一部に渦巻状の巻回部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の複合伝熱管。

請求項14

前記大径管の管軸直交断面における外形は、扁平円形の断面形状を呈することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の複合伝熱管。

技術分野

0001

本発明は、例えば、冷蔵庫冷凍庫給湯器床暖房等の熱交換器に用いる伝熱管に関するもので、より詳しくは、大径管小径管とを流れる熱媒体の間で管壁を通して相互に熱交換する複合伝熱管およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、熱交換器用の複合伝熱管の構成としては、1本の大径管と、その大径管の外表面に1本の小径管を接触させる構成のものが知られている。そして、冷蔵庫、冷凍庫用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管および小径管の内部に熱媒体としてのフロン代替フロン等の冷媒が流され、大径管と小径管とを流れる冷媒間で熱交換が行なわれるものである。また、給湯器用ヒートポンプユニットの複合伝熱管においては、大径管の内部に水、小径管の内部にCO2等の自然冷媒が流されるものである。また、床暖房用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管の内部に水、小径管の内部にフロン、代替フロン等の冷媒が流されるものである。

0003

前記構成の複合伝熱管の具体的なものとして、大径管の外表面に小径管を平行に沿わせて、はんだ付けにより結着接合したものが提案されている。しかしながら、この複合伝熱管は、円形断面を有する管同志が接合するために、相互の接触面は線接触となり、管相互の熱交換は効果的でない。また、管同志の結着・接合の作業工程が非常に煩雑で非能率的であり、多量のはんだ消費し、徒らにコスト高の原因となっていた。(例えば、特許文献2参照)。

0004

さらには、円管状部のはんだ付けであるため、はんだが付かないところができやすく、大径管と小径管との間に隙間ができ、伝熱性能が更に低下する。また、大径管および/または小径管を銅管で構成した際には、はんだ付け部では時間の経過と共に脆いCu−Sn金属間化合物が形成され、複合伝熱管が組み込まれる熱交換器等の振動などにより接合が外れやすく、伝熱性能が経時劣化する。

0005

前記の問題点を解決する複合伝熱管の具体的なものとして、図22に示すように、大径管102の管軸方向に平行に形成した溝部104に小径管103を配置し、その外周に低発泡率独立気泡を有する樹脂層105を被覆して一体化した複合伝熱管101が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

0006

また、図23(b)に示すように、軟質または軽軟質の大径管122の両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成した溝部124に、硬質の小径管123を抱合緊締させた構成の複合伝熱管121が提案されている。また、図示しないが、大径管の外表面に溝部を形成する方法としては、引抜ダイス引抜ベアリングおよびアプローチの一部に溝部断面と一致する円形断面の小圧子を配置(固着)し、この引抜ダイスで大径管を引き抜く方法がある。また、この引抜法に代えて、大径管内にマンドレルや浮芯金を入れて引き抜く方法、ロール成形によるものも知られている。さらに、大径管への小径管の抱合・緊締方法として、引抜ダイスまたはロールを使用することも知られている。(例えば、特許文献2参照)。

0007

また、図23(a)に示すように、銅製の大径管112の両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成された溝部114に、銅製の小径管113が固定された複合伝熱管111が提案されている。また、小径管を大径管に固定する方法としては、(1)ロウ材接着剤共晶インサート部材金属シール材等からなる接合層116を介して大径管112に小径管113を接合する方法、または、(2)小径管を大径管の溝部に圧入後、大径管を圧延して小径管を嵌合する方法がある(図示しないが、複合伝熱管の構成は図23(b)と同じになる)。さらに、大径管の外表面に溝を形成する方法としては、2連の成形ローラを使用することが知られている。(例えば、特許文献3参照)。

0008

また、図24に示すように、銅製の大径管132の両端部を除く外表面の一部に形成された管軸方向に平行に伸びる2本の溝部134、134に、銅製の2本の小径管133、133が固定された熱交換器131が提案されている。大径管132への前記溝部134、134の形成及び前記溝部134、134への小径管133、133の抱き込み一体化加工は、引抜き加工が用いられている。大径管132の溝部134、134の形成を引抜き加工によって行うため、大径管132の両端部に溝部134、134を形成しないようにするにはその両端部を一定長さに渡って予め縮径しておく必要があり、そのため、大径管132の両端部には、加工前の大径管132より外径縮小した縮径部132a、132aが設けられている。また、小径管133、133にCO2冷媒を、大径管132に水を、それぞれ流通させるヒートポンプ式熱交換器に使用される例として、複合伝熱管131をらせん状に巻回した構成が例示されている。(例えば、特許文献4参照)。

0009

実開昭55−159975号公報(第1頁)
特開昭57−90563号公報(第1〜3頁、第1〜11図)
特開2000−283664号公報(段落番号[0007]〜[0031]、図3図10
特開2003−14383号公報(段落番号[0025]〜[0027]、図4

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、特許文献1に提案された複合伝熱管では、低発泡率の独立気泡を有する発泡樹脂層を被覆して一体化する工程は煩雑であり、生産性に劣る。また、発泡樹脂は温度や湿度の変化により一般に経時劣化しやすく、発泡樹脂の劣化により、大径管と小径管との接触状態が悪くなり伝熱性能、耐圧強度が経時劣化する。また、発泡樹脂を被覆するため、複合伝熱管の管軸直交断面断面積が大きくなり、スペースが小さい場所への設置が難しく、この複合伝熱管を使用した冷蔵庫等の機器が大型化する。

0011

また、特許文献2に提案された複合伝熱管では、溝部断面の形状の小圧子を配置したダイスで大径管を引抜くことにより大径管の外表面に管軸方向の溝部を形成している。したがって、溝部を形成する大径管の材質が軟質または軽軟質であること、また引抜きが空引き(管内部にプラグがない)であることにより、形成される溝部の断面形状がV字型となり、C字型やU字型の溝部を形成することが困難であり、その後のロール加工により大径管との隙間を小さくして小径管を抱合・緊締させることは難しく、伝熱性能、耐圧強度を向上させることが難しい。さらに、この方法では大径管全長に溝が形成されてしまい、溝のない部分を作ることが難しく後述の拡管の問題が残る。また、引抜きダイスと加工される大径管の接触面積が大きいため引抜きによる摩擦力が大きくなる。この摩擦力により大径管の引抜き力が増大するが、大径管の材質が軟質あるいは軽軟質であり、機械的強度が小さいため引抜き加工中に大径管の焼付きや破断が発生しやすいといった問題もある。

0012

また、熱交換器内に組み込む際には、複合伝熱管に曲げ加工を施すことが多く、その際にも、V字断面の溝部から小径管が外れ易く、曲げ加工性に劣るものである。さらに、溝部の形成にロール形成を使用しても、管内部にプラグがないことにより、V字型断面の溝部となりやすく、C字型やU字型の溝部を形成することが困難である。

0013

そして、前記の複合伝熱管では、溝部が大径管の全長に渡って形成され、かつ、複合伝熱管を熱交換器内に組み込む際には、管端部を拡管して他の管とロウ付けされている。そのため、管端部をロウ付けする場合には一度埋めこんだ小径管を大径管の溝部から取り外す必要があり、拡管しても断面が真円になり難いため、管端部の管端形状の矯正に時間がかかり、生産性に劣る。

0014

また、特許文献3に提案された前記(1)の固定方法で作製された複合伝熱管では、ロウ材等からなる接合層が時間の経過と共に劣化し易く、冷蔵庫等の機器の振動により大径管から小径管が外れ易く、伝熱性能、耐圧強度が経時劣化する。また、前記(2)の固定方法で作製された複合伝熱管では、溝部を2連のローラにより形成するため、溝部の断面形状がV字型になるため、圧延しても大径管の溝部内に隙間なく小径管を固定することが困難であり、伝熱性能、曲げ加工性が十分でない。

0015

さらに、特許文献1ないし特許文献3に提案された複合伝熱管の共通の問題点として、大径管1本と、この大径管の管軸方向に平行に沿わせた小径管1本との組合せによる熱交換であり、伝熱面積が十分でない。また、熱交換容量を大きくしようとすると、伝熱管の長さの増大、大径管と小径管の接触部を複数並列に設けるなどの対応が必要になり、冷蔵庫等の機器に使用した際の機器の小型化、軽量化が難しい。

0016

また、特許文献4に提案されている複合伝熱管は小径管が2本嵌合されているため、熱交換容量を大きくすることができるが、複合伝熱管を熱交換器に組み込む際に一定の外径を有する他の銅管と接続する必要性より、縮径部(大径管)の端部を一定の外径以上とする必要が生じる。そのためには、外径の大きな素管を使用する必要があるが、その場合は小径管が嵌合されている部分の大径管の断面積が大きくなってしまう。すると、前記嵌合部において大径管内を流れる熱媒体の流速が低下し、この部分の熱伝達率が低下してしまう。また、前記嵌合部の外径をある値より小さくできないため、複合伝熱管の小型化にも不利である。また、大径管が長い場合には、その縮径加工が煩雑である。また、他の管とロウ付けするために、この縮径部を拡管する場合には、拡管率が大きくなり、割れ加工性の低下が発生しやすい。さらに、大径管の縮径部から溝部が形成された部分に移る位置で大径管の断面積が大きくなるため、大径管内部に水を流す場合には、この付近で流速が変化し、水垢堆積腐食の原因となり易い。また、大径管の溝部が形成された部分から大径管の縮径部に移る部分では大径管の断面積が小さくなるため、大径管内を流れる熱媒体の流れの抵抗が大きくなり、圧力損失を増大させやすい。

0017

そこで、本発明は、このような問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度および生産性に優れた、さらに、使用される機器の小型化、軽量化を図ることができる複合伝熱管を提供することにある。

課題を解決するための手段

0018

前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に一定の傾斜角度をなして形成された溝部を有する大径管と、この大径管の外径より小さい外径からなり、前記溝部に沿って設けられている小径管とを備える複合伝熱管として構成したものである。

0019

前記構成において、溝部が大径管の管軸方向と一定の傾斜角度をなして形成されることから、大径管内部には管軸方向に一定の傾斜角度をなすらせん状のリブが形成され、大径管内を流れる熱媒体がこのリブにより撹拌される。また、この溝部に沿って小径管が設けられていることにより、小径管が大径管の管軸方向に存在する場合に比べて、大径管の単位長さあたりの小径管の長さが1/cosβ倍だけ長くなり(β:大径管の管軸方向と溝部の延長方向のなす傾斜角度)伝熱面積が増加する。

0020

請求項2に記載の発明は、前記小径管が前記溝部に嵌合されている複合伝熱管として構成したものである。

0021

前記構成において、小径管が溝部に嵌合されていることにより、溝部の表面に小径管が密着し、大径管と小径管の接触部分の面積(伝熱面積)が増大すると共に、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことを抑制する。

0022

請求項3に記載の発明は、前記小径管が前記溝部に嵌合され、前記小径管と隣接する前記溝部の表面は、前記小径管の表面と等しい曲面形状を有する複合伝熱管として構成したものである。

0023

前記構成において、溝部の表面が、この表面に接触する小径管の表面と等しい曲面形状を有することにより、溝部の表面に小径管がより一層密着し、大径管と小径管の接触部分の面積(伝熱面積)がより一層増大すると共に、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことをより一層抑制する。

0024

請求項4に記載の発明は、前記溝部が2本以上形成され、それぞれの溝部に対応して前記小径管の各々が前記溝部に沿って設けられている複合伝熱管として構成したものである。

0025

前記構成において、2本以上の前記小径管が大径管に嵌合されることにより、伝熱面積が増大すると共に、大径管の管軸直交断面における熱媒体の流れる断面面積が小さくなり、熱媒体の流速が増大することにより、大径管における管内熱伝熱性能が大幅に向上する。

0026

請求項5に記載の発明は、2本以上の前記小径管は、前記大径管の管軸直交断面における大径管の円周上に等間隔の位置に配置された2本以上の溝部に沿って、それぞれが設けられている複合伝熱管として構成したものである。

0027

前記構成において、前記大径管の管軸直交断面における大径管の円周上の等間隔の位置に小径管が配置されることにより、大径管と小径管との間の伝熱効率が向上すると共に、大径管に小径管を収容するための溝部の形成、およびその溝部への小径管の設置の作業性がよくなる。

0028

請求項6に記載の発明は、前記大径管の両端部における外径が、小径管が設けられている部分における大径管の外径と同じか、それより大きく、かつ、小径管の両端部における外径が、その他の部分における小径管の外径と同じか、それより大きい複合伝熱管として構成したものである。

0029

前記構成において、大径管の両端部の外径が、小径管が設けられている部分における大径管の外径と同じか、それより大きいことにより、複合伝熱管を熱交換器に組み込むために、従来の複合伝熱管のように小径管が設けられている部分の大径管の外径を大きくする必要がなく、その部分での大径管内を流れる熱媒体の流速が低下しない。また、その部分の大径管の外径が大きくならないことにより、複合伝熱管が小型化される。更に、大径管の両端部を拡管することにより、熱交換器に組み込む際の他の管との接合が容易となる。

0030

請求項7に記載の発明は、前記大径管は、前記小径管が設けられている溝部の溝底部分肉厚をt、前記小径管が設けられていない部分の肉厚をTとするとき、t/Tの値が0.3〜0.7である複合伝熱管として構成したものである。

0031

前記構成において、t/Tの値を所定範囲内にすることにより、大径管への小径管の設置がしやすくなり、大径管と小径管との間に隙間が形成されにくくなると共に、溝底部分が大径管の内圧対抗しうる応力を有し、設置された小径管が大径管から押出されるのが抑制される。さらに、大径管と小径管との相互の伝熱性能が向上されると共に、曲げ加工性についても向上でき、かつ、大径管の溝部の表面を小径管の表面と等しい曲面にすることができる。

0032

請求項8に記載の発明は、前記溝部における前記小径管の管軸直交断面において、前記溝部に囲まれた前記小径管の円周長さは、前記小径管の全外周の55%以上である複合伝熱管として構成したものである。

0033

前記構成において、溝部に囲まれた小径管の円周長さを所定長さ以上とすることにより、溝部の表面に小径管が密着し、大径管と小径管の伝熱面積が増大すると共に、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことを抑制する。

0034

請求項9に記載の発明は、前記大径管または/及び前記小径管は、その内面に、管軸方向に平行な溝またはらせん状の溝が形成されている複合伝熱管として構成したものである。

0035

前記構成において、平行な溝またはらせん状の溝により、大径管内の伝熱面積が増大し、また溝により熱媒体が攪拌され、伝熱性能が向上する。

0036

請求項10に記載の発明は、前記小径管は、前記溝部の表面の少なくとも一部において、樹脂を介して前記溝部に沿って設けられている複合伝熱管として構成したものである。

0037

前記構成において、樹脂を介して小径管が設けられていることにより、溝部における小径管の設置面に形成される微細な隙間にも前記樹脂が充填され、設置面から熱伝導率の低い空気を排除し、大径管と小径管の密着度合いがさらに高まり、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管から小径管が外れにくくなる。

0038

請求項11に記載の発明は、前記大径管および小径管の少なくとも一方は、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管である複合伝熱管として構成したものである。

0039

前記構成において、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管の使用により、大径管および小径管の少なくとも一方は熱伝導率、耐食性塑性加工性(嵌合、曲げ等)、耐圧強度が向上すると共に、熱交換器等に組み込む際のロウ・はんだ付け性が向上する。

0040

請求項12または請求項13に記載の発明は、前記小径管が設けられている大径管が、その少なくとも一部にらせん状または渦巻状の巻回部を有する複合伝熱管として構成したものである。

0041

前記構成において、前記小径管が設けられている大径管がらせん状または渦巻状の巻回部を形成することにより、同一体積収納可能な複合伝熱管の長さが長くなり、複合伝熱管としての伝熱面積が増大すると共に、熱交換器内での小型化が可能となる。また、熱交換器内へ設置された際の複合伝熱管の安定性が向上する。

0042

さらに、前記小径管が設けられている大径管を巻回した場合、巻回の内側では大径管がちぢみ、巻回の外側では大径管が伸びる。このとき、小径管は大径管に一定の傾斜角度をなして(捻れて)形成された溝部に沿って設けられているので、小径管には引っ張り及び圧縮外力が作用する部位が等しく存在するため、巻回を行っても小径管が大径管から外れることがない。また、大径管と小径管との設置状態の変化が平均化され、熱伝熱性能に及ぼす影響が小さくなる。また、大径管の両端部において、巻回内側の小径管は大径管の溝から押出され、巻回外側の小径管は大径管の溝に引込まれるように長さの変化が生じる(大径管の管軸方向に平行に、且つ大径管の円周上に等間隔に小径管を2本設置した大径管を、巻回軸に対して小径管が直交するように巻回した場合には特に変化が大きい)。ところが、大径管の管軸方向と一定の傾斜角度をなすように小径管を設けておくと、同一の小径管が巻回の内側及び外側の位置に共に存在することになるため、小径管の伸び縮み緩和されて管端部における小径管の長さの不均一が発生し難い。

0043

請求項14に記載の発明は、前記大径管の管軸直交断面における外形は、扁平円形の断面形状を呈する複合伝熱管として構成したものである。

0044

前記構成において、大径管の断面形状が扁平円形を呈することにより、同一段数のらせん状の巻回部においては、巻回部の高さが低くなり、または、同一巻数の渦巻状の巻回部においては、巻回部の外径が小さくなる。

発明の効果

0045

以上説明したような構成であるため、本発明にかかる複合伝熱管においては、以下に示す優れた効果を奏する。

0046

複合伝熱管は、溝部(小径管)が大径管の管軸方向と一定の傾斜角度をなして形成されることから、大径管内を流れる熱媒体が撹拌され、大径管の単位長さあたりの小径管の長さが長くなり伝熱面積が増加する。そのため、複合伝熱管は、伝熱性能が所望となるものを適切に製造でき生産性に優れる。また、複合伝熱管は、伝熱性能が良く、かつ耐圧強度も十分で、コンパクトに製造できるため、当該複合伝熱管を用いる冷蔵庫および給湯器などの機器が小型化できる。

0047

また、複合伝熱管は、小径管が溝部に嵌合され、または、それに加えて、小径管と隣接する大径管の溝部の表面が、小径管の表面と等しい曲面形状を有するものであるため、溝部の表面に小径管が密着し、大径管と小径管の接触部分の面積(伝熱面積)が増大すると共に、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことを抑制することができる。

0048

また、複合伝熱管は、前記溝部が2本以上形成され、それぞれの溝部に対応して前記小径管の各々が設けられているので、伝熱面積が増大すると共に、大径管の管軸直交断面における熱媒体の流れる断面積が小さくなり、熱媒体の流速が増大することにより、大径管における管内熱伝熱性能が大幅に向上する。

0049

また、複合伝熱管は、大径管の管軸直交断面における等間隔の位置に2本以上の小径管を配置することにより、大径管と小径管との間の伝熱効率が向上すると共に、大径管に小径管を収容するための溝部の形成、およびその溝部への小径管の設置の作業性がよく生産性に優れる。

0050

また、複合伝熱管は、大径管および小径管の両端部の外径を所定範囲とすることにより、伝熱性能がさらに向上し、小型化されると共に、熱交換器および給湯器などの機器に組み込む際の他の管との接合が容易となり都合がよい。

0051

また、複合伝熱管は、小径管が設けられている大径管の溝部の溝底部分の肉厚をt、小径管が設けられていない部分の肉厚をTとするとき、t/Tの値を0.3〜0.7とすることで、小径管が大径管から押出されるのが抑制される。さらに、大径管と小径管との相互の伝熱性能が向上されると共に、曲げ加工性についても向上でき、かつ、小径管の表面と等しい曲面に、大径管の溝部の表面を形成することができる。

0052

また、複合伝熱管は、溝部に囲まれた小径管の円周長さを所定長さ以上とすることにより、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管から小径管が外れにくくなる。

0053

また、複合伝熱管は、大径管の内面に管軸方向に平行な溝またはらせん状の溝が形成されていることにより、大径管内の伝熱面積がさらに増大し、複合伝熱管の伝熱性能がさらに向上する。

0054

また、複合伝熱管は、樹脂を介して小径管が溝部に沿って設けられていることにより、大径管と小径管の密着度合いがさらに高まり、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管から小径管が外れにくくなる。

0055

また、複合伝熱管は、大径管および/または小径管が、無酸素銅またはりん脱酸銅から形成されることにより、大径管および/または小径管の熱伝導率、耐食性、塑性加工性(嵌合、曲げ等)、耐圧強度が向上すると共に、熱交換器および給湯器などの機器に組み込む際のロウ・はんだ付け性が向上する。

0056

また、複合伝熱管は、らせん状または渦巻状の巻回部を有することにより、複合伝熱管の伝熱面積が増大すると共に、コンパクト化できる。それにより、熱交換器および給湯器などの機器内に設置しやすくなると共に、安定して設置することができる。また、小径管は大径管に一定の傾斜角度で捻れて設けられているので、巻回部の小径管が大径管より外れることがない。また、複合伝熱管の伝熱性能がさらに向上する。また、管端部における小径管の長さの不均一が発生し難く、複合伝熱管を熱交換器および給湯器などの機器に組み込み際の他の管と接合が容易になり都合がよい。

0057

また、複合伝熱管は、大径管の管軸直交断面における外形形状を扁平円形にすることにより、複合伝熱管をさらにコンパクトにすることができる。

発明を実施するための最良の形態

0058

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1(a)は1本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、(b)は(a)のX1−X1線の断面図、(c)は溝部の端部を示す部分切断斜視図、図2(a)は2本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、(b)は(a)のX2−X2線の断面図、図3は3本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、図4は4本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、図5図3のX3−X3線の断面図、図6図5の他の実施形態の断面図、図7図5の他の実施形態の断面図、図8図4のX4−X4線の断面図、図9図8の他の実施形態の断面図、図10(a)は大径管の2箇所または4箇所に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸平行断面図、(b)は(a)の他の実施形態の管軸平行断面図、図11は大径管に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は溝部が4箇所の場合、(b)は溝部が3箇所の場合、図12(a)は大径管に2本または4本の小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸平行断面図、(b)は(a)の他の実施形態の管軸平行断面図、図13は大径管に小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は小径管が4本の場合、(b)は小径管が3本の場合、図14(a)は図12の嵌合前の溝部の部分拡大断面図、(b)は嵌合後の溝部の部分拡大断面図、(c)は(b)の他の実施形態の部分拡大断面図、図15は給湯器の構成を模式的に示す説明図、図16は熱交換器の構成を模式的に示す説明図、図17はらせん状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図、図18(a)は図17のC−C線の断面図、(b)、(c)は図17の他の実施形態を示す部分断面図、図19は渦巻状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図、図20(a)は図19のD−D線の断面図、(b)は図19の他の実施形態を示す部分断面図、図21は傾斜角度の算出方法を示す図である。

0059

図1図4に示すように、本発明の複合伝熱管1は、両端部2a、2aを除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に一定の傾斜角度βをなして形成された1本または2本以上の溝部4を有する大径管2と、この大径管2の1本または2本以上の溝部4に沿って設けられている1本または2本以上の小径管3とを備えるものである。

0060

(大径管の構成)
大径管2は、後記する小径管3より外径が大きく、且つ小径管3を1本または2本以上嵌合して複合伝熱管1とした場合でもその内部に熱媒体としてフロン系冷媒、水などを流すのに十分な内径、及び耐圧強度を持てばよく、一例として、外径は4〜30mm、肉厚は0.2〜2.5mm、長さは100mm以上が好ましいが、小径管より外径が大きいという条件を満足すれば特に寸法に制限はない。大径管2の寸法は、一般的には、小径管寸法との関係、本発明の伝熱管が組込まれる熱交換器の寸法、熱容量、加工性を考慮して決められ、前記寸法以外でも何ら問題はない。

0061

また、大径管2の材質としては、熱伝導率及び耐食性の点からJISH3300に規定の銅または銅合金が好ましく、これに規定されていなくても管に加工でき、且つ溝加工ができるものであれば適用できる。銅、銅合金以外にも、アルミニウムアルミニウム合金ステンレス鋼などを用いることもできる。

0062

また、大径管2は、管外面に溝加工、1本または2本以上の小径管3の嵌合、らせん状または渦巻状の巻回などの塑性加工が可能であり、これらの加工により割れ、1本または2本以上の小径管3の外れなどの生じない機械的性質を備えることが望ましい。また、複合伝熱管1として熱交換器に組み込まれる際に、曲げ加工を行うので、曲げ加工においても割れ、1本または2本以上の小径管3の外れなどの生じない機械的性質を備えることが望ましい。

0063

また、熱交換器に組込むために他の管とロウ、はんだなどにより接合されるのでロウ付け性、はんだ付け性に優れることが望ましい。

0064

また、大径管2を構成する管は、押出し素管を圧延、抽伸して製作される継目無し管でも、あるいは所定幅板条幅方向の端面を溶接して製作される溶接管を用いてもよい。

0065

さらに、通常、大径管2としては管内面が平滑である平滑管が用いられることが多いが、管内の熱媒体を撹拌したい場合、旋回流を与えたい場合、あるいは管内の伝熱面積を増やしたい場合等には管の内面の少なくとも一部に管軸方向に平行な溝あるいはらせん状の溝(図示せず)が形成された内面溝付管を用いてもよい。また、大径管2内の溝付加工には、転造法、圧延法(転造ボールの代わりに圧延ロールを使用)、条(幅の狭い板状)に圧延ロールで溝付し、条を丸めて端を溶接するなどの方法によればよい。

0066

(小径管の構成)
小径管3は、大径管2に形成された1本または2本以上の溝部に沿って1本または2本以上設けられ、且つその場合大径管2の内部を熱媒体が必要量流通することが可能な寸法に形成されている。また、1本または2本以上の小径管3の内部を流通する熱媒体の圧力が大きい場合はその運転圧力に耐えられる厚さが必要になる。一例として、外径は1〜8mm、肉厚は0.2〜5mm、長さは100mm以上が好ましい。また、前記寸法外でも、大径管より外径が小さいという条件を満たしていれば何ら問題はない。

0067

また、小径管3の材質は、熱伝導率及び耐食性の点からJISH3300に規程の銅または銅合金が好ましく、これに規定されていなくても管に加工でき、曲げ加工が可能なものなら適用できる。また、銅、銅合金以外にも、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などを用いることもできる。また、小径管3の加工性は、複合伝熱管1としてらせん状または渦巻状の巻回加工を行うので、巻回により割れ、大径管2からの外れなどのおこらない機械的性質を備えることが望ましい。さらに、複合伝熱管1として熱交換器に組み込む際に曲げ加工を行うので、曲げ加工においても割れ、大径管2からのはずれなどのおこらない機械的性質を備えることが望ましい。

0068

熱交換器に組込むために他の管とロウ、はんだなどにより接合されるのでロウ付け性、はんだ付け性に優れることが望ましい。

0069

この1本または2本以上の小径管3は、断面積が小さいが、内部を流れる熱媒体の流通量を多くしたい場合が多いので、大径管2より内圧を高くして運転されることが多い。そのため、管の外径に対する肉厚を大きくすることが多く、一般には、押出し素管を圧延、抽伸して製作される継目無し管を用いることが多い。管の肉厚は、熱交換器の運転圧力に基づいて計算される耐圧強度から決定すればよい。耐圧強度が要求値を満たせば、溶接管を用いてもよい。

0070

管内面が平滑である平滑管が用いられることが多いが、管内の熱媒体を撹拌したい場合、旋回流を与えたい場合、あるいは管内の伝熱面積を増やしたい場合等には管の内面の少なくとも一部にらせん状あるいは管軸方向に平行な溝が形成された内面溝付管を用いてもよい。

0071

(複合伝熱管の構成)
図1図9に示すように、複合伝熱管1は、大径管2の両端部2a、2aを除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に一定の傾斜角度βをなして形成された1本または2本以上の溝部4に、1本または2本以上の小径管3のそれぞれが設けられている。

0072

また、1本または2本以上の溝部4が形成されている複合化区間Bの長さは特に制限はないが、100mm以上が好ましい。また、複合化区間B以外の部分Aは、大径管2と1本または2本以上の小径管3が分離して存在しており、それぞれの管の両端部2a、3aが熱交換器20または給湯器30の必要な部分に接続されている(図15図16参照)。そして、前記接続のために、分離した大径管2の両端部2a及び/または1本または2本以上の小径管3の両端部3aが所定長さだけ拡管(拡管部)されていると、ロウ付け接合のために好適である。また、複合化区間Bにらせん状または渦巻状の巻回部31k、61kを形成してもよい(図17図19参照)。

0073

大径管2に形成される1本または2本以上の溝部4がその管軸方向となす傾斜角度βとしては0°を超えていればよく、伝熱性能及び曲げや巻回加工の点からは大きい方が望ましいが、溝の加工性、質量低減の点から0.2〜20°程度とすることが望ましい。

0074

また、1本または2本以上の溝部4(表面4A)に囲まれた1本または2本以上の小径管3の表面3Aの円周長さは、1本または2本以上の小径管3の全外周の55%以上であることが好ましい。これにより、1本または2本以上の小径管3の外表面の55%以上が1本または2本以上の溝部4の表面4Aに覆われることとなる。また、70%以上であることが更に好ましい。そして、1本または2本以上の小径管3の表面3Aの円周長さが1本または2本以上の小径管3の全外周の55%未満であると、複合伝熱管1を直線状及び曲げた状態で、例えば、らせん状または渦巻状に巻回して用いるときに、1本または2本以上の小径管3が大径管2(1本または2本以上の溝部4)から抜けたり(外れたり)、また大径管2と1本または2本以上の小径管3との間の熱交換が低下しやすくなる。

0075

前記表面3Aの円周長さ(%)は次のようにして求める。小径管3の管軸直交断面で観察し、溝部4(表面4A)に囲まれた小径管3の円周角を測定する。[測定された円周角(°)/360(°)]×100を表面3Aの円周長さ(%)とする。通常、3断面以上の1本または2本以上の小径管3について測定算出し、測定算出された値の平均値を求める値とする。

0076

さらに、複合化区間Bの両端部において、大径管2に形成されている1本または2本以上の溝部4が溝底部分4bから30°程度の角度αをなして浅くなるようにしておくと(図1(c)参照)、1本または2本以上の小径管3に無理な力をかけずに大径管2より離脱(分離)させることができる。

0077

また、溝部4に設けられた1本または2本以上の小径管3は、大径管2の外表面にその管軸方向に一定の傾斜角度βをなして埋めこまれた状態になっていればよい。そして、このような状態を設ける方法としては、後記のように、大径管2の外表面に、その管軸方向に一定の傾斜角度(傾斜角度β以下の角度)をなして小径管3の外径にほぼ等しく、深さが前記1本または2本以上の表面4Aを形成するのに必要な所定深さの1本または2本以上の溝部4を形成し、圧延嵌合、はんだ/ロウ付け、接着等により、1本または2本以上の溝部4に1本または2本以上の小径管3を設置する方法が用いられる。なお、圧延嵌合における大径管2(溝部4)と小径管3との接触状態は、小径管3と隣接する溝部4の表面4Aが小径管3の表面3Aと等しい曲面形状を有する(表面4A全部が表面3Aに接触する)、管同士がきちんと接触する接触状態のほかに、大径管2(溝部4)から小径管3が外れない程度に管同士が比較的穏やかに接触する(図示しないが、表面4Aの一部が表面3Aと接触する)接触状態も含まれる。

0078

但し、1本または2本以上の溝部4では、大径管2と1本または2本以上の小径管3との間には管軸直交方向及び管軸方向に微細な隙間が残存するが、大径管2と1本または2本以上の小径管3との接触部分、または、はんだ/ロウ、接着剤を介して接触する部分の面積が大きいため、十分な伝熱性能を発揮させることができる。

0079

また、本発明の複合伝熱管1は、小径管3が2本以上設けられている場合、複合伝熱菅1の管軸直交断面で見た場合の大径管2に対する2本以上の小径管3の位置が、大径管2の管軸直交断面における大径管2の円周上の等間隔の位置に2本以上の小径管3を存在させたものが好ましい(図2(b)、図5図8参照)。このような形態の複合伝熱管1は、伝熱効率が良く、最も好適に用いられ、また、後記する各小径管3を収容するための各溝部4の加工、各溝部4への各小径管3の設置(嵌合加工)、複合管捻り加工等が最も行いやすい。そして、この複合伝熱管1は、特に、大径管2内を流れる熱媒体の流量が多い場合に好適に用いられる。

0080

2本以上の小径管3の位置は、等間隔のみに限るわけではなく、種々の位置に存在させることが可能である。例えば、大径管2内を流れる熱媒体の流量が少ない場合には、大径管2の管軸直交断面の60°ずつ離れた位置に2本以上の小径管3が存在する(図6図9参照)、または、大径管2の管軸直交断面の90°ずつ離れた位置に2本以上の小径管3が存在する(図7参照)、小径管の配置が均等でない配置を用いることがある。但し、各小径管3を収容するための各溝部4の加工、各溝部4への各小径管3の設置(嵌合加工)、複合伝熱管1の熱交換器への組み込みの際の曲げ加工には、各小径管3の配置に対応したものが必要となる。

0081

このように大径管2の管軸方向に一定の傾斜角度βをなして小径管3を1本または2本以上設けた複合伝熱管1は、大径管2の管軸方向に平行に小径管3を1本または2本以上設けたものに比較して溝部加工、設置(嵌合)などの難易度は高くなるが、1本または2本以上の小径管3が捻れて存在することによる伝熱性能の向上、およびこの複合伝熱管1を用いて製作される熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)の小型化に対して、予想を上回る効果が得られるものである。伝熱性能の向上は以下のような機構により達成される。

0082

(1)大径管2は、管軸方向に伸びる1本または2本以上の溝部4が捻れて形成されることにより、大径管2内にその管軸方向に一定の傾斜角度βをなすリブが1本または2本以上形成された形状となっており、1本または2本以上の溝部4を平行に形成(前記リブが管軸方向に平行に形成)されているものに比べて(図示せず)、大径管2内を流れる熱媒体の撹拌効果が大きく向上する。このために、大径管2における管内熱伝達性能が大幅に向上する。

0083

(2)小径管3が1本または2本以上設けられているので、大径管2の管軸直交断面における熱媒体の流れる断面積が小さくなっており(例えば、図1(b)、図2(b)、図5図9)、単位時間あたり同一質量の熱媒体を大径管2内に流した場合、その流速が増大することにより、大径管2における管内熱伝達性能が大幅に向上する。

0084

(3)複合伝熱管1を曲げまたは巻回加工すると、曲げ部の内側では圧縮応力、曲げ部の外側では引っ張り応力を受けるため大径管2と1本または2本以上の小径管3との接触状態が変化し、熱伝達性能が影響を受けやすい。1本または2本以上の小径管3が捻れて存在することにより、大径管2に嵌合されている同一の小径管3では、曲げの内側から外側まで種々の位置に存在することになり、前記接触状態の変化がより平均化され、熱伝達性能に及ぼす影響が小さくなる。

0085

(4)大径管2の管軸方向に一定の傾斜角度βをなして1本または2本以上の小径管3が設けられているので、大径管2の管軸方向に平行に小径管3が設けられている場合より(図示せず)、熱伝達関与する大径管2および1本または2本以上の小径管3の長さが1/cosβ倍(β:大径管2の管軸方向と小径管3の管軸方向のなす傾斜角度)だけ大きくなり、大径管2と1本または2本以上の小径管3との伝熱面積が増大し、大径管2と1本または2本以上の小径管3との間の熱伝達量が増大する。

0086

また、このように伝熱性能の大幅な向上が可能であることから、同一熱容量の複合伝熱管1を製作するために必要な複合伝熱管1の長さを、小径管3が平行に設けられた複合伝熱管に比べて(図示せず)短縮でき、それによる熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)の小型化、軽量化が達成できる。

0087

図17図20に示すように、複合伝熱管は、1本または2本以上の小径管3を大径管2に設置させた後、適当な巻きの直径及び適当な管の間隔(巻きの高さH方向)で、らせん状または渦巻状に巻回された巻回部31k、41k、51k、61k、71kを形成してもよい。

0088

(らせん状の巻回部)
図17図18(a)に示すように、巻回部31kの巻きの最小内径IDは、大径管2および1本または2本以上の小径管3の外径、大径管2および1本または2本以上の小径管3の肉厚、大径管2および1本または2本以上の小径管3の結晶粒径、大径管2および1本または2本以上の小径管3の機械的性質(引張り強さ、耐力、伸び、ばね限界値など)等に依存するが、例えば大径管2の管外径aを定数「a」としたとき、巻回部31kの最小内径IDは6×a程度まで小さくすることが可能である。また、巻回部31kの高さHを小さくするためには1本または2本以上の小径管3を大径管2に設置させた後、更に焼鈍を行ってもよい。

0089

また、巻回部31kの大径管2の間隔pは、大径管どうしが接触した状態としてもよいし(p≒2×a)、あるいは隙間を設けて接触しない状態としてもよい。巻回部31kのコンパクト化のためには、巻回部31kの間隔pを小さくし、隣合う管どうしを接触させるとよく、複合伝熱管31の小型化に有効である。また、図18(c)に示すように、大径管52の管軸直交断面における外形形状を楕円あるいは扁平円形状とすると(左右径>上下径)、巻回部51kの高さHを更に低減することが可能である。

0090

また、図18(a)は一重巻きの例を示したが、巻回部31kの熱交換容量を更に向上させるには、図18(b)に示すように二重巻き41kあるいはそれ以上の回数だけ巻いた構成としてもよい。

0091

(渦巻状の巻回部)
図19図20(a)に示すように、巻回部61kの巻きの最大外径OD、最小内径IDは、大径管2および1本または2本以上の小径管3の外径、大径管2および1本または2本以上の小径管3の肉厚、大径管2および1本または2本以上の小径管3の結晶粒径、大径管2および1本または2本以上の小径管3の機械的性質(引張り強さ、耐力、伸び、ばね限界値など)等に依存するが、例えば大径管2の管外径aを定数「a」としたとき、巻回部61kの最大外径ODはaの40倍程度まで大きくすることが可能であり、さらに、最小内径IDはaの6倍程度まで小さくすることが可能である。また、巻回部61kの高さHを小さくするためには1本または2本以上の小径管3を大径管2に設置させた後、更に焼鈍を行ってもよい。

0092

また、巻回部61kの大径管2、2の間隔pは大径管どうしが接触した状態としてもよいし(p≒2×a)、あるいは隙間を設けて接触しない状態としてもよい。巻回部61kのコンパクト化のためには、巻回部61kの間隔pを小さくし、隣合う管どうしを接触させるとよく、複合伝熱管61の小型化に有効である。また、図20(b)に示すように、大径管72の管軸直交断面における外形形状を楕円あるいは扁平円形状とすると(左右径<上下径)、巻回部71kの最大外径OD(図20(a)参照)を更に低減することが可能である。

0093

また、図19図20(a)は渦巻状の巻回部61kを二つ形成し、二層に積層した例を示したが、巻回部61kは一つで一層でもよいし、巻回部61kの熱交換容量を更に向上させるために三つとして三層以上で構成してもよい。また、二つ以上の場合、各巻回部61kの移行部61iが図20(a)のように、次の巻回部61kを垂直方向に重ねるように連続して巻回される状態としてもよいし、図示しないが各巻回部61kの端部を直接(ロウ付け等)または接続管等を用いて接合して、次の巻回部を同一平面状(垂直方向に積層)となるようにしてもよい。

0094

また、溝部4、54、74の断熱性を高めるためには、巻回部31k、41k、51k、61k、71kを含む溝部4、54、74を、後記する断熱性の樹脂や断熱材で被覆してもよい(図示せず)。樹脂の材質は大径管2、52、72及び1本または2本以上の小径管3、53、73の内部を流れる熱媒体の温度により選択すればよく、大径管2、52、72に水、小径管3、53、73にCO2を流通させ、大径管2、52、72の水を温める場合は耐熱性に優れ、長期間に渡り変質しない材質を選択すればよい。

0095

図14(c)に示すように、本発明の複合伝熱管1は、1本または2本以上の小径管3が、1本または2本以上の溝部4の表面の少なくとも一部において、樹脂5を介して溝部4に沿って設けられているものが好ましい。前記のように、溝部4の大径管2と小径管3との間の微細な隙間を完全になくすことは困難である。そのため、微細な隙間があると空気が介在し、金属より熱伝導率が低く、伝熱抵抗が大きい部分となるため、この空気が介在する部分に、空気より熱伝導率の大きい樹脂5を設ける。樹脂5を設けることにより、1本または2本以上の溝部4における伝熱性能を更に向上させた複合伝熱管が得られる。

0096

前記微細な隙間に樹脂5を充填させる方法としては、流動状態の樹脂5を、大径管2の1本または2本以上の溝部4の表面4A、または1本または2本以上の小径管3の外表面に必要量だけ塗布し、大径管2に1本または2本以上の小径管3を設置した後、樹脂5を硬化させる処理(例えば加熱)を行えばよい。

0097

また、1本または2本以上の溝部4よりはみ出した樹脂5は、隙間の伝熱性能向上に寄与しないため、樹脂5の硬化前あるいは硬化後除去してもよい。なお、樹脂5そのものが耐食性などに悪影響を及ぼさないのであればそのままにしてもよい。

0098

樹脂5の種類としては、一例をあげると、ポリエチレングリコール(PEG)、有機無機ハイブリッドセラミックス有機修飾シリケート材料、所謂セラマー等)が挙げられる。有機無機ハイブリッドセラミックスは、無機部分有機ポリマー又はオリゴマーにより結合されてネットワーク化したものであるため、無機及び有機の両方の特性を併せ持つ。そのため、緻密で且つ優れた強度を有しながら、熱交換器内の温度差又は冷熱サイクルによる基材(大径管2または/および1本または2本以上の小径管3)の熱膨張及び収縮追従することができる。

0099

これらの樹脂5は、水、有機溶剤等の適当な溶剤で望ましい濃度に希釈して用いることができる。樹脂5は前記に特に限定されないが、室温付近の温度で流動性があり、その硬化温度が200℃以下であり、大径管2及び1本または2本以上の小径管3の耐食性、耐応力腐食割れ性耐蟻巣状腐食性などに悪影響を及ぼさないものが望ましい。さらに、樹脂5の流動性、伝熱性能、膨張係数等の調整のために、大径管2および/または1本または2本以上の小径管3と同材質の金属または合金粉末金属酸化物粉末等をこれらの樹脂5に添加してもよい。

0100

また、本発明の複合伝熱管は、図1(b)、図2(b)、図5図9に示すように、大径管2が、1本または2本以上の溝部4の溝底部分4bの肉厚をt(図1(b)ではt1の値、図2(b)ではt1、t2の平均値、図5図7ではt1、t2、t3の平均値、図8図9ではt1、t2、t3、t4の平均値)、1本または2本以上の小径管3が設けられていない部分の肉厚をT(図1(b)ではT1、T2、T3の平均値、図2(b)ではT1、T2の平均値、図5図7ではT1、T2、T3の平均値またはT1の値、図8図9ではT1、T2、T3、T4の平均値またはT1の値)とするとき、t/Tの値が0.3〜0.7であるものが好ましい。

0101

そして、t/Tの値は、大径管2への1本または2本以上の小径管3の設置の行いやすさと、作製した複合伝熱管1の耐圧強度に影響を与える。t/Tが、0.3より小さいと、1本または2本以上の溝底部分4bの肉厚tが薄くなり1本または2本以上の小径管3を設置させ易くなるが、1本または2本以上の溝底部分4bを外側に張り出すのに必要な応力は小さくなる。

0102

したがって、大径管2内に圧力をかけたとき、大径管2の内側から外側に向かって管円周方向に作用する内圧により、1本または2本以上の溝部4内に設けられた1本または2本以上の小径管3が外側に押出されてしまいやすくなり、複合伝熱管1の耐圧強度が低下してしまう。また、t/Tが0.7より大きいと、大径管2に1本または2本以上の小径管3を設置させにくい。それにより、設置後、1本または2本以上の溝部4の表面4Aと1本または2本以上の小径管3の円弧3Aとの間に大きな隙間が形成され、複合伝熱管1としての伝熱性能が低下しやすくなる。

0103

また、本発明の複合伝熱管1は、その素材として、大径管2および1本または2本以上の小径管3の少なくとも一方が、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管であるものが好ましい。

0104

複合伝熱管1として要求される特性は、(1)大径管2および1本または2本以上の小径管3がそれぞれの管の熱伝導率が優れ、大径管2および1本または2本以上の小径管3の内部を流れる熱媒体間で効率良く熱交換できること、(2)大径管2および1本または2本以上の小径管3が種々の使用雰囲気で耐食性に優れること、(3)大径管2および1本または2本以上の小径管3が嵌合、曲げ等の塑性加工性に優れること、(4)大径管2および1本または2本以上の小径管3がロウ、はんだ付け性および接着剤による接着性に優れること、(5)大径管2および1本または2本以上の小径管3が所定の耐圧強度を有することなどである。

0105

これらの(1)〜(5)の特性を満足する大径管2および1本または2本以上の小径管3の材質としては、エアコン、大型空調機器などの熱交換器用伝熱管として広く用いられているJISH3300に規定する合金番号C1101の無酸素銅、合金番号C1201及びC1220のりん脱酸銅のいずれかが好ましい。

0106

また、本発明の複合伝熱管用素材としては、前記の素材のみに限定する必要はなく、熱伝導率に加えて更に耐圧強度が必要な場合は、JISH3300に規定された銅または銅合金や、例えばFe、P、Ni、Co、Mn、Sn、Si、Mg、Ag、Al等の元素より選択する1種または2種以上を総計で数%以下Cuに含有させたJISH3300に規定されていない銅合金を用いることができる。

0107

また、特に耐食性と耐圧強度が必要な場合には、JISH3300に規定された合金番号C7060、C7100、C7150などのCu−Ni系合金やTiまたはTi合金、ステンレス鋼などを用いることも可能である。また、軽量化が求められる場合には、更に耐食性、強度、加工性などの特性を考慮して、アルミニウム、アルミニウム合金より所定の特性を有するものを選択することも可能である。

0108

また、図1に示すように、本発明の複合伝熱管1は、両端部2a、2aにおける大径管2の外径を、1本または2本以上の小径管3が設けられている部分における大径管2の外径と同じにすることが好ましい。ここで、嵌合部における大径管2の外径は、1本または2本以上の溝部4を外して測定した大径管2の外径である。このような構成にすることにより、1本または2本以上の小径管3が設けられている部分における大径管2の断面積が前記両端部2a、2aより小さくなり、この部分を流れる熱媒体の流速が低下しないため、熱伝達性能を向上させることが可能である。また、特許文献4の複合伝熱管131(図24参照)より外径の小さい大径管2を用いて複合伝熱管1を製作することが可能となり、熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)の小型化にも有効である。

0109

さらに、図示しないが、大径管2および/または1本または2本以上の小径管3の両端部2a、3aに一定長さの拡管部が形成されているものが好ましい。複合伝熱管1を熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)に組み込む際には、大径管2と同様な外径の他の管とロウ、はんだなどにより接合する必要があり、この場合には大径管2の管端部を必要長さだけ拡管しておくと接合に都合がよい。また、拡管には一般的に用いられる拡管治具を用いればよい。さらに、1本または2本以上の小径管3を同様な外径の他の管とロウ、はんだなどにより接合する場合についても前記大径管2と同様である。

0110

つぎに、本発明の複合伝熱管の製造方法について一例をあげて説明する。
<第1の製造方法>
第1の製造方法は、溝部形成工程と、焼鈍工程と、圧延嵌合工程とを含む。
(1)溝部形成工程
(A)大径管の管軸方向に平行な溝部の形成
図10(a)、図11(a)(b)に示すように、スリーブ15の所定位置でスリーブ15内側にその加工先端部11aが突出するよう固定治具で固定された1本または2本以上のピン10を大径管2の端部を除く外表面に押し当てる(図10(a)では2本または4本のピン10、図11(a)では4本のピン10、図11(b)では3本のピン10)。つぎに、1本または2本以上のピン10を固定した状態で、例えば、図示しない保持ロールにて大径管2を管軸方向に平行に移動させることにより、または、図示しないが、大径管2を固定した状態でピン10を大径管2の管軸方向に平行に移動させることにより、大径管2の外表面に1本または2本以上の管軸方向に伸びる溝部4を形成する。

0111

(B)大径管の管軸方向に一定の傾斜角度をなす溝部の形成
図10(b)、図11(a)(b)に示すように、1本または2本以上のピン10を大径管2の端部を除く外表面に押し当て、1本または2本以上のピン10を固定した状態で、図示しない保持ロールにて大径管2を管軸周りに一定の角速度で回転(捻りS1)しつつ、管軸方向に平行に移動V1させることにより、または、図示しないが、大径管2を固定した状態でピン10を大径管2の管軸方向と一定の傾斜角度をなす方向に移動させることにより、または、図示しないが、大径管2を管軸方向に移動させ、同時にピン10を大径管2の管軸周りに一定の角速度で回転させることにより、大径管2の外表面に1本または2本以上の管軸方向に一定の傾斜角度をなす溝部4を形成する。

0112

また、大径管2に前記溝部4を形成する場合、1個または2個以上のピン10を溝部4を形成しようとする大径管2の所定の位置に押し当て大径管2を所定の深さだけ窪ませた状態で、大径管2または各ピン10を前記のように移動させると、1本または2本以上の溝部を同時に大径管2の外表面に形成することができる。

0113

また、2本以上の溝部を形成する場合、まず、ピン10の数を1個または2個にして大径管2またはピン10を前記のように移動させ、大径管2の所定の位置に1本目または2本目の溝部4を形成し、その後大径管2を管軸周りに回転させ、別の位置に同様な方法で2本目以降または3本目以降の溝部を形成してもよい(図示せず)。さらに、これらの方法により目的とする深さの1本または2本以上の溝部4を1回の移動だけで形成してもよく、あるいは2回以上の移動で形成してもよい。

0114

なお、ピン10により溝部を形成する場合、ピン10が押し当てられた大径管2部分はピン10の先端形状に合わせて肉厚が薄くなりながらU字状あるいはC字状に窪むが、大径管2の外径は変化しない。このため、溝形成部(図1図4の複合化区間B)および溝非形成部(図1図4の複合化区間B以外の部分A、大径管の両端部2a、2a)とも大径管2の外径が同じであり、図示しない抽伸加工で加工する場合等(溝形成部は溝非形成部の外径よりも小さくなる)に比べ、嵌合部(溝形成部)の大径管2の外径が決められている場合、外径のより小さい素管を大径管2の加工用として用いることができる。

0115

(ピン)
ピン10は、所定長さを持つ溝加工部11と、より径の大きい把持部12とにより構成されている。また、溝加工部先端11aは半球状に加工され、把持部12と溝加工部11の繋ぎ部13は応力集中による破壊の緩和のため、所定のRが付けられている(肩部14にも所定の面取りがなされている)。また、溝加工部先端11aの外径は小径管の外径±0〜20%程度とされることが多い。溝加工部先端11aの外径を小径管の外径より大きくしても、加工された溝部4の外径は溝部加工後に弾性変形分が戻るため、加工時の溝部4の外径より小さくなるためである。

0116

また、大径管2にピン10を押し当て、大径管2を所定の深さだけ窪ませた状態で大径管2またはピン10を移動させることにより溝部4を形成させるので、ピン10は変形し難い(機械的強度が大きい)こと、磨耗し難い(耐摩耗性に優れる)こと、溝部4の加工中に折損しない(耐衝撃性に優れる)こと等が求められる。

0117

このような点から、ピン10の材質としては超硬材質が望ましい。特に、WC(タングステンカーバイト)の平均粒子径が1ミクロン未満のものが長寿命であり望ましい。また、ピンの部分にSiC、SiN、AlN、サイアロンなどのセラミック質あるいは非晶質炭素などのコーティングCVD、PVDなどの方法により行うと溝部4の成形性(加工性)とピン10の寿命が更に向上する。

0118

1本または2本以上の溝部4の加工時の各ピン10の押圧力、各ピン10または大径管2の移動速度および前記移動回数は、大径管2の材質、機械的性質、形成する1本または2本以上の溝部4の深さを考慮して、大径管2に1本または2本以上の溝部4のみが形成され、大径管2の他の部分(1本または2本以上の溝部4以外)は変形しないように、また被加工部のバリ切り粉の発生が少なくなるように適当な条件を選択すればよい。

0119

また、1本または2本以上の溝部4の加工は強加工であるため、加工発熱、被加工部のバリや切り粉の発生を少なくするために、管の抽伸、転造などに用いる種々の潤滑油より適当なものを選択して用いることが望ましい。被加工部にブロアーを設置し、エアブローしながら加工すると、発生する切り粉や余分な潤滑油を除去することができる。

0120

(2)焼鈍工程
外表面に1本または2本以上の溝部4が形成された大径管2は、被加工部(溝部4)が加工硬化している。この状態で、図12(a)(b)、図13(a)(b)に示す後記する圧延嵌合工程を行うと(大径管2の1本または2本以上の溝部4内に1本または2本以上の小径管3を嵌合させると)、大径管2の被加工部の変形抵抗が大きく延性が低下しているため、1本または2本以上の溝部4において大径管2と1本または2本以上の小径管3との間に隙間が形成されやすく、また硬化した大径管2が1本または2本以上の小径管3を変形させやすくなる。また、作製された複合伝熱管1を熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)に組み込むために、複合伝熱管1に曲げなどの塑性加工を行う場合、加工性が低下してしまうことがある。このような問題を避けるため、前記溝部形成工程後の大径管2に、図示しない焼鈍装置を使用して、焼鈍を行って軟質材としておくことが必要である。

0121

また、大径管2の素材が無酸素銅またはりん脱酸銅である場合は、溝部形成工程で使用した潤滑油を脱脂し、引張り強さ200〜300N/mm2、伸び30%以上となるように焼鈍することが望ましい。また、小径管3を嵌合して製作した複合伝熱管に曲げ半径の小さい曲げを行うには、焼鈍後の前記大径管2の管軸平行断面における平均結晶粒径が30μm以下(望ましくは20μm以下)としておくと、曲げ加工による割れの発生が抑制され有利である。他の素材の場合も焼鈍後の大径管2の伸びが30%以上となるように焼鈍するとよい。

0122

また、焼鈍装置には、高周波誘導加熱炉による連続焼鈍、あるいはバッチ式の炉など特に制限はないが、焼鈍により大径管2の表面に厚い酸化膜が形成されないように雰囲気を調整することが必要である。酸化膜は大径管2と1本または2本以上の小径管3との接触部の熱抵抗になるためである。

0123

(3)圧延嵌合工程
図12(a)(b)、図13(a)(b)に示すように、1本または2本以上の溝部4に、それぞれの溝部4に対応した1本または2本以上の小径管3の各々を嵌め込み、1組の圧延ロール16、16により圧延して、1本または2本以上の溝部4に1本または2本以上の小径管3の各々を固定して、前記焼鈍された大径管2と1本または2本以上の小径管3を嵌合(嵌め込み、固定)する(図12(a)(b)は2本または4本の小径管、図13(a)は4本の小径管、図13(b)は3本の小径管)。また、図14(a)(b)に示すように、圧延ロール16、16で圧延することにより、大径管2の1本または2本以上の溝部4の上端部に形成されている突起部4a、4aが1本または2本以上の小径管3の各々の外表面にかぶさり、1本または2本以上の小径管3の各々が大径管2の1本または2本以上の溝部4内に強固に固定する(1本または2本以上の小径管3の各々が1本または2本以上の溝部4に密着する)。

0124

なお、大径管2(溝部4)と小径管3との接触状態は、前記した管同士がきちんと接触する(図14(b)に示すように、溝部4の表面4A全部が小径管3の外表面に接触する)接触状態が好ましいが、大径管2(溝部4)から小径管3が外れない程度に管同士が比較的穏やかに接触する(図示しないが、溝部4の表面4Aの一部が小径管3の外表面に接触する)、例えば、溝部4の突起部4a、4aが小径管3の外表面にかぶさらない管同士の接触状態であってもよい。

0125

また、圧延ロール16、16の材質は一般の圧延機に用いられているものと同じでよい。さらに、所定長さだけ嵌合後、圧延ロール16、16の間隔を広げることにより、1本または2本以上の溝部4が形成されていない部分には小径管3の嵌合が行われない。

0126

また、圧延嵌合方法としては、以下の方法が挙げられる。
(A)図12(a)に示すように、溝部形成工程において大径管2の管軸方向に一定の傾斜角度をなす1本または2本以上の溝部4が形成されている場合は、そのまま大径管2を平行に移動V2して圧延嵌合、または大径管2を平行に移動V2しつつ圧延ロール16、16の前側および/または後側で大径管2をること(図12(a)の捻りS2、捻りS3参照)により大径管2の管軸方向に一定の傾斜角度をなして1本または2本以上の小径管3が嵌合(嵌め込み、固定)された本発明の複合伝熱管1を製作することができる。

0127

(B)図12(a)に示すように、溝部形成工程で大径管2にその管軸方向に平行な1本または2本以上の溝部4が形成されている場合は、1本または2本以上の小径管3を圧延嵌合するとき、大径管2を平行に移動V2しつつ非圧延側の大径管2に管軸周りに一定の捻り力を加えることにより(図12(a)の捻りS2参照)、本発明の複合伝熱管1を製作することができる。この場合、圧延ロール16、16で圧延される位置では、大径管2は管軸周りの回転に対してほぼ固定されており、圧延ロール16、16より上流側で1本または2本以上の小径管3が嵌め込まれた大径管が捻られるため、大径管2の管軸方向に一定の傾斜角度をなして1本または2本以上の小径管3が嵌合される。

0128

(C)図12(b)に示すように、大径管2の管軸方向に平行に1本または2本以上の小径管3を嵌合(嵌め込み、固定)後、嵌合された1本または2本以上の小径管3と大径管2を平行に移動V2しつつ、大径管2の管軸周りに一定の傾斜角度だけ捻る(図12(b)の捻りS3参照)ことによっても本発明の複合伝熱管1を製作することができる。

0129

また、圧延嵌合には適当な潤滑剤を使用し、嵌合終了後に付着した潤滑油を除去することが好ましい。さらに、この圧延嵌合は複数回行ってもよい。そして、圧延ロール16、16で圧延する前に、大径管2の1本または2本以上の溝部4に載置した1本または2本以上の小径管3を1本または2本以上の溝部4に押し込む補助ロールあるいはダイス(図示せず)を設置してもよい。

0130

また、図13(a)(b)に示すように、圧延ロール16、16のロール軸を含む断面において、大径管2および1本または2本以上の小径管3に接触する部分が、大径管2と同じまたは少し小さい外径dの円により構成されている(d≦大径管2の外径)。そして、前記外径dが大径管2の外径より小さい場合には、1本または2本以上の小径管3が大径管2に嵌合されると同時に、大径管2の外径が外径dに近い値に縮径される。また、前記外径dが大径管2の外径を超えると、1本または2本以上の小径管3が大径管2(1本または2本以上の溝部4の表面4A)と密着せず、大径管2と1本または2本以上の小径管3との間に大きな隙間が生じ、嵌合が不十分となりやすい。また、図17および図20に示すように、巻回部31k、41k、61kが形成された複合伝熱管31、41、61において、その巻回部31k、41k、61kの高さH、最大外径ODを低減するために、大径管2の管軸直交断面における外形形状を扁平円形に作製する際には、大径管2および1本または2本以上の小径管3に接触する部分が扁平円形(楕円形図18(c)の大径管52、図20(b)の大径管72参照)に構成された圧延ロール(図示せず)で圧延嵌合する。

0131

また、所定の傾斜角度βとなるように大径管2に溝部4を形成(小径管3を嵌合)するには、溝部形成工程での大径管2の捻れ角、圧延嵌合工程での大径管2の捻れ角またはこれらの捻れ角の和が傾斜角度βに等しくなるように、大径管2の捻り(S1、S2、S3)の角速度、大径管2の管軸方向(長手方向)への移動(V1、V2)の速度を決めればよい。

0132

(溝部加工前の大径管の調質
大径管2は、管軸方向の0.2%耐力が200〜370N/mm2である調質のものを用いることが好ましい。0.2%耐力が200N/mm2未満であると、ピン10により溝部4加工をする場合に大径管2が荷重支えることができず、ピン10が接触した部分の周辺も変形して広い範囲が窪んでしまい、大径管2に1本または2本以上の溝部4が正しく形成することが難しい。そのため、1本または2本以上の小径管3を隙間を小さくして嵌合することが難しくなる。

0133

大径管2は、0.2%耐力が、370N/mm2を超えると、大径管2の強度が高くなり、1本または2本以上の溝部4の形成が困難になり(1回の加工で形成される溝部4の深さが浅くなる)、1本または2本以上の溝部4の形成効率が低下し、またピン10が破損しやすくなる。

0134

なお、前記条件に加え、さらに0.2%耐力(σ0.2)と引張り強さ(σB)との比(σ0.2/σB)が0.80以上、且つ伸び5〜40%である調質の大径管2を用いることがさらに好ましい。

0135

(嵌合させる小径管の調質)
管軸方向の0.2%耐力が200N/mm2以上である調質の1本または2本以上の小径管3を用いることが好ましい。1本または2本以上の小径管3は、0.2%耐力が200N/mm2未満のものを用いると、1本または2本以上の小径管3を大径管2に嵌合する際に、1本または2本以上の小径管3に変形あるいは疵付きが発生しやすい。そのため、大径管2と1本または2本以上の小径管3との隙間が大きくなり、その伝熱性能が低下しやすい。また、管の変形により管内の断面積が小さくなり、1本または2本以上の小径管3内を流れる熱媒体の圧力損失が大きくなる。

0136

なお、前記条件に加え、さらに0.2%耐力(σ0.2)と引張り強さ(σB)との比(σ0.2/σB)が0.70以上である調質の1本または2本以上の小径管3を用いることがさらに好ましい。

0137

また、本発明の製造方法においては、前記圧延嵌合工程により製作した本発明の複合伝熱管1(図1図4参照)に、図17図20に示す所定半径で巻回したらせん状の巻回部31k、41k、51kあるいは渦巻き状の巻回部61k、71kを形成する巻回工程を行うことができる。あるいは、図示しないが、ヒートポンプ式熱給湯器や冷蔵庫などの熱交換器にろう付けして組込むために、前記圧延嵌合工程により製作した本発明の複合伝熱管1(図1図4参照)の管端部を拡管する拡管工程を行なってもよい。更に、前記圧延嵌合工程により製作した本発明の複合伝熱管1(図1図4参照)、巻回部を形成した複合伝熱管31、41、51、61、71、または拡管した複合伝熱管(図示せず)を適当な条件で焼鈍する最終焼鈍工程を行ってもよい。

0138

(4)巻回工程
巻回工程では、らせん状の巻回部31k、41k、51kの形成には円筒型ドラム(図示せず)、渦巻状の巻回部61k、71kの形成には円錐型ドラム(図示せず)を使用して、前記圧延嵌合によって小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72をドラムに巻き付ける。そして、このドラムの径は、大径管2、52、72のスプリングバック量を考慮して設定される。すなわち、大径管2、52、72がスプリングバックして巻回部31k、41k、51k、61k、71kの最小内径IDまたは/および最大外径OD(図18図20参照)になるように設定する。らせん状巻回部31k、41k、51kの場合、巻き付け完了後、巻き付け張力を除去するとスプリングバックにより巻回部31k、41k、51kと円筒型ドラムとの間に隙間ができるので、円筒型ドラムを抜き取るとらせん状の複合伝熱管31、41、51を取り出すことができる。円錐型ドラムを用いる場合も同様に、巻き付け完了後、巻き付け張力を除去して円錐型ドラムを抜き取ると円錐状の複合伝熱管61、71を取り出すことができる。この円錐状の複合伝熱管61、71を焼鈍し、必要ならば円錐軸方向に力を加えると平面状の複合伝熱管61、71を製作することができる。また、図19図20では、2個の円錐型ドラムを鼓型に配置して用い、2層の渦巻状巻回部を形成した複合伝熱管61、71を製作したもので、1個の円錐型ドラムを用い、1層の渦巻状巻回部を形成した複合伝熱管(図示せず)を製作してもよい。

0139

管を巻回加工すると、巻回外側(凸側)には引っ張り応力と伸び、巻回内側(凹側)には圧縮応力と縮みが発生する。巻回加工の場合、管全長で見ると巻回外側と巻回内側との変形量の差(巻回外側は伸び、巻回内側は縮み)は大きくなる。図示しないが、大径管の管軸方向に平行に1本または2本以上の小径管を嵌合させて製作された複合伝熱管を巻回加工した場合、1本または2本以上の小径管には全長に渡り伸びあるいは縮みのどちらかが発生し、巻回外側の小径管が外れやすく、また変形量の差により巻回外側と巻回内側の小径管の長さが異なってしまう。一方、本発明の複合伝熱管31、41、51、61、71は、大径管2、52、72の外表面にらせん状に巻きつくように1本または2本以上の小径管3、53、73が嵌合されている。このような複合伝熱管31、41、51、61、71においては、ある小径管3、53、73に着目すると、巻回外側になる部分と巻回内側になる部分が交互にあるので、小径管3、53、73の全長に渡り伸びあるいは縮みのどちらか一方だけが発生することはない。したがって、本発明の複合伝熱管31、41、51、61、71においては、1本または2本以上の小径管3、53、73の外れ、あるいは1本または2本以上の小径管3、53、73の長さの違いが発生することはない。

0140

なお、らせん状巻回部31k、41k、51k、渦巻状巻回部61k、71kとも、巻回直径が小さい場合は巻回外側において、1本または2本以上の小径管3、53、73が大径管2、52、72より外れてしまう場合がある。このような場合には、巻回直径を大きくする、または、巻回前の複合伝熱管1(図1図4参照)を焼鈍すると1本または2本以上の小径管3、53、73の外れ防止に有効である。

0141

また、複合伝熱管31、41、51、61、71を熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)に組み込む際の曲げ加工においても、前記巻回加工と同様に、曲げ外側(凸側)には引っ張り応力と伸び、曲げ内側(凹側)には圧縮応力と縮みが発生する。しかしながら、前記理由により、複合伝熱管31、41、51、61、71においては、1本または2本以上の小径管3、53、573の外れ、あるいは1本または2本以上の小径管3、53、73の長さの違いが発生することはない。

0142

(5)拡管工程
拡管工程では、図1図4図17図20に示す大径管2、52、72または/および小径管3、53、73の管端部を一般的に用いられる拡管器具(図示せず)を用いて拡管する。この拡管により、複合伝熱管1、31、41、51、61、71を熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)に組み込む際に、大径管2、52、72または/および小径管3、53、73を、他の管にロウ、はんだなどにより接合しやすくなる。

0143

(6)最終焼鈍工程
焼鈍工程では、図1図4に示すような小径管3とそれが嵌合された大径管2よりなる直管状の複合伝熱管1、図17図20に示すような小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72に巻回部31k、41k、51k、61k、71kを形成したらせん状または渦巻状の複合伝熱管31、41、51、61、71、または図示しない拡管した複合伝熱管を適当な条件で焼鈍してもよい。前記圧延嵌合工程後の大径管2、52、72は、溝部4、54、74が半硬質、その他の部分が軟質であり、小径管3、53、73は半硬質から硬質である。そして、直管状の複合伝熱管1(小径管53、73を大径管52、72に嵌合した直管状の複合伝熱管は図示せず)を巻回してらせん状または渦巻状の複合伝熱管31、41、51、61、71を製作する際に、巻回直径(図18図20における最小内径ID、最大外径OD)が小さい場合、巻回を精度良く行いたい場合、小径管3、53、73の延性が小さい場合には、大径管2、52、72および小径管3、53、73を焼鈍により少しでも軟質化したほうが望ましい。また、直管状の複合伝熱管1または巻回部を形成したらせん状または渦巻状の複合伝熱管31、41、51、61、71を熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)に組み込む場合にも曲げ加工を行うことが多く、厳しい曲げ加工性を満足させるためには、複合伝熱管1、巻回部を形成した複合伝熱管31、41、51、61、71を焼鈍により少しでも軟質化したほうがよい。

0144

この焼鈍により、大径管2、52、72および小径管3、53、73の応力が除去され、巻回部31k、41k、51k、61k、71kが高さ(H)方向にコンパクト化される。また、熱交換器20または給湯器30(図15図16参照)に組み込む際に、大径管2、52、72および小径管3、53、73が容易に曲げられ、他の管に変形させて接合することが可能となり、さらに、応力腐食割れが発生しにくくなる。

0145

そして、大径管2、52、72および/または小径管3、53、73の材質が、無酸素銅またはりん脱酸銅であれば、前記焼鈍は、前記製造方法で作製された複合伝熱管1、31、41、51、61、71を200〜500℃の温度で10秒〜2時間程度保持する。それにより、複合伝熱管1、31、41、51、61、71がより軟質となり、前記目的とする加工性が付与される。

0146

次に、溝部に小径管を設ける方法として、はんだ/ロウ付け、接着を用いた製造方法について説明する(図示せず)。
<第2の製造方法>
第2の製造方法は、溝部形成工程と、準備工程と、嵌込工程と、はんだ/ロウ付け工程とを含む(焼鈍工程、捻り工程を含んでもよい)。
(1)溝部形成工程
前記第1の製造方法(溝部形成工程)と同様な方法で、大径管の外表面に、その管軸方向に平行な溝部(直線溝部)または管軸方向に一定の傾斜角度をなす溝部(らせん溝部)を1本または2本以上形成する。
(2)焼鈍工程
前記溝部が形成された大径管に、前記第1の製造方法(焼鈍工程)と同様な方法で焼鈍を行い、軟質材としておく。また、焼鈍を行わずに後記(3)を行ってもよい。
(3)準備工程
前記大径管の溝部の溝底部に、Snおよびはんだ、またはロウを置く。または、1本または2本以上の小径管の外表面にSnおよびはんだ、またはロウをメッキする。
(4)嵌込工程
前記大径管の溝部に、それぞれの溝部に対応した1本または2本以上の小径管の各々を嵌め込む。
(5)はんだ/ロウ付け工程
前記小径管が嵌め込まれた大径管を加熱して、前記溝部に前記小径管をはんだ付け、またはロウ付けし、複合伝熱管を作製する。
(6)捻り工程
前記複合伝熱管を管軸方向に一定角度で捻る。また、前記直線溝部の場合には、前記第1の製造方法(圧延嵌合工程)と同様な方法で圧延嵌合を行ってもよい。また、前記らせん溝部の場合には管の捻りを行わなくてもよい。

0147

また、前記(4)嵌込工程の後に、前記第1の製造方法(圧延嵌合工程)と同様な方法で圧延嵌合を行ってもよい。さらに、前記(3)〜(5)の代わりに、前記溝部に、それぞれの溝部に対応した1本または2本以上の小径管の各々を嵌め込み、その後、溝部をはんだ付け、またはロウ付けする方法でもよい。

0148

<第3の製造方法>
第3の製造方法は、溝部形成工程と、接着剤を塗布する塗布工程と、嵌込工程とを含む(焼鈍工程、捻り工程を含んでもよい)。
(1)溝部形成工程
前記第1の製造方法(溝部形成工程)と同様な方法で、大径管の外表面に、その管軸方向に平行な溝部(直線溝部)または管軸方向に一定の傾斜角度をなす溝部(らせん溝部)を1本または2本以上形成する。
(2)焼鈍工程
前記溝部が形成された大径管に、前記第1の製造方法(焼鈍工程)と同様な方法で焼鈍を行い、軟質材としておく。また、焼鈍を行わずに後記(3)を行ってもよい。
(3)塗布工程
前記大径管の溝部または前記小径管の少なくとも一部に接着剤を塗布する。接着剤としては、大径管および小径管の耐食性、耐応力腐食割れ性、耐蟻巣状腐食性などに悪影響を与えないものが望ましい。
(4)嵌込工程
前記大径管の溝部に、それぞれの溝部に対応した1本または2本以上の小径管の各々を嵌め込み、複合伝熱管を作製する。
(5)捻り工程
前記複合伝熱管を管軸方向に一定角度で捻る。また、前記直線溝部の場合には、前記第1の製造方法(圧延嵌合工程)と同様な方法で圧延嵌合を行ってもよい。また、前記らせん溝部の場合には管の捻りを行わなくてもよい。

0149

また、前記(4)嵌込工程の後に、前記第1の製造方法(圧延嵌合工程)と同様な方法で圧延嵌合を行ってもよい。さらに、前記(3)〜(4)の代わりに、前記溝部に、それぞれの溝部に対応した1本または2本以上の小径管の各々を嵌め込み、その後、溝部に沿って接着剤を塗布する方法でもよい。

0150

次に、大径管と小径管の間に樹脂層を形成させる場合の製造方法について説明する。
(第4の製造方法)
第4の製造方法は、溝部形成工程と、焼鈍工程と、樹脂塗布工程と、圧延嵌合工程と、樹脂硬化工程とを含む。
(1)溝部形成工程
前記第1の製造方法の溝部形成工程と同様に行う。
(2)焼鈍工程
前記第1の製造方法の焼鈍工程と同様に行う。
(3)樹脂塗布工程
前記したポリエチレングリコール、有機無機ハイブリットセラミックス等の樹脂5から適当な樹脂5を選定し、適当な粘性に調整する。この樹脂5を、大径管2に形成した1本または2本以上の溝部4の表面の少なくとも一部、または、1本または2本以上の小径管3の外表面の大径管2と嵌合される部分の少なくとも一部に、スプレーインクジェットなど適当な方法により塗布する。(図14(c)参照)

0151

(4)圧延嵌合工程
前記圧延嵌合工程と同様に行い、前記樹脂5を硬化させる前に、樹脂5を介して1本または2本以上の小径管3を大径管2に圧延嵌合する。また、圧延嵌合により1本または2本以上の溝部4からはみ出した樹脂5は、ブロアーなどで除去する。また、樹脂5そのものが複合伝熱管の耐食性などに悪影響を及ぼさないものであれば、除去しなくてもよい。

0152

(5)樹脂硬化工程
前記圧延嵌合工程で作製された複合伝熱管に脱脂処理を施し、一般的に用いられる加熱器(図示せず)で前記樹脂5の硬化温度(200℃以下が好ましい)まで昇温し、所定時間加熱し、大径管2と1本または2本以上の小径管3との間の樹脂5を硬化させる。この樹脂5の硬化により、大径管2と1本または2本以上の小径管3の嵌合が十分なものとなり、また、大径管2と1本または2本以上の小径管3との間の微細な隙間を埋めることができ、伝熱性能が向上する。

0153

また、複合伝熱管の少なくとも一部を図17図20に示すように巻回する場合には、前記圧延嵌合工程の後に、前記小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72を所定半径で巻回する巻回工程を行った後、樹脂5を硬化させることが望ましい。

0154

つぎに、本発明の複合伝熱管の1つをCO2冷媒ヒートポンプ式給湯器に使用した例を図15を参照して説明する。図15はヒートポンプユニット24を給湯器30に用いた例である。ヒートポンプユニット24の熱交換の部分に本発明の複合伝熱管1を用いることができる。複合伝熱管1の大径管2に水を、2本の小径管3にCO2冷媒を流通させる。CO2冷媒は蒸発器25において大気より熱を吸収した後、圧縮機26により圧縮され、高温高圧流体として複合伝熱管1の2本の小径管3に送られる。複合伝熱管1において大径管2内の水と熱交換して低温の流体となり、膨張弁27に送られる。膨張弁27により膨張し、蒸発器25で再度吸熱する。一方、貯湯タンク28(タンク29)よりポンプPにより供給される低温の水は複合伝熱管1の大径管2に入り、2本の小径管3と接触することにより加熱され、高温の水となって貯湯タンク28(タンク29)に戻る。本発明の複合伝熱管1は伝熱性能が優れるため、CO2冷媒ヒートポンプ式給湯器30の熱交換部分に好適に使用される。特に、図示しないが、渦巻状あるいはらせん状の巻回部を形成した複合伝熱管は、小さな体積で大きな熱交換容量を有するため、ヒートポンプユニット24の小型化に大きく貢献する。同様に、小径管3内にCO2冷媒またはフロンを流通させ、大径管2内に水を流通させることにより床暖房用の熱交換器としても使用可能である。

0155

また、本発明の複合伝熱管の1つを冷蔵庫用の熱交換器に使用した例を図16を参照して説明する。図16ガス圧縮式冷却原理を用いた冷蔵庫用の熱交換器20である。熱交換器20内の冷媒(例えば、フロン代替ガス)は圧縮機21により圧縮されて高圧ガスとなり、これが放熱器22で温度が下げられて液体となる。そして冷却器23においては、この液体が急激に減圧(膨張)されることにより気化する。この気化により周囲の熱を大量に奪うため、この気化熱により熱交換器20を備えた冷蔵庫内が冷却される。そして冷媒は低温低圧ガスとなって圧縮機21に戻る。

0156

また、熱交換器20に組み込まれた本発明の複合伝熱管1においては、放熱器22と冷却器23の間に2本の小径管3を介在させ、冷却器23から圧縮機21の間に大径管2を介在させる。そして、1本または2本以上の小径管3では、液体冷媒管径の減少により減圧調整される。それと共に、放熱器22だけでは除去しきれなかった液体冷媒の温度が、大径管2内を流動する低温低圧の冷媒ガスにより、低下熱交換される。これにより、液体冷媒を冷却器23における気化に適する温度圧力に調整するものである。一方、大径管2では、大径管2内を流動する低温低圧の冷媒ガスが、1本または2本以上の小径管3を流動する中温低圧の液体冷媒により、高温傾向に熱交換される。このように、複合伝熱管1の使用により、熱交換器20における冷媒の液化および気化が効率的におこなわれる。また、図示しないが、渦巻状あるいはらせん状の巻回部を形成した複合伝熱管を使用してもよい。

0157

以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明する。
(第1の実施例)
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表3に示す、大径管の管軸方向に一定の傾斜角度2.3°をなして形成された1本ないし4本の溝部に、1本ないし4本の小径管が嵌合された直管状複合伝熱管(実施例1(No.1〜4))を各4本ずつ作製した。また、大径管の管軸方向に平行(傾斜角度0°)な1本ないし4本の溝部に、1本ないし4本の小径管が嵌合された直管状複合伝熱管(参考例1(No.5〜8))も各4本ずつ作製した。

0158

(1−1)大径管の溝部形成
大径管には表1のものを使用した。大径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。また、溝部形成には表2に示すピンを所定の数(1本〜4本)使用した。図10(a)と同様な方法で、ピン10を固定し、大径管2を移動させることにより、大径管2の外周面に管軸方向に平行な1本ないし4本の溝部4を形成した。また、2本ないし4本の溝部4は、大径管2の管軸直交断面における大径管2の円周上に等間隔の位置に形成した(2本、3本、4本の小径管3の配置を示す図2(b)、図5図8参照)。また、1本ないし4本の溝部4の形成は、潤滑油を滴下しながら(図示せず)、大径管2全長に対し、両端部の100mmを除いた部分に形成した。

0159

また、大径管2を1回または複数回移動させることにより、大径管2に、複数回、溝部4が形成され、所定深さの溝部4を形成した。また、大径管2の移動回数が増えるたびに、溝部4の長さを短くし、溝部4の両端部が階段状になるようにした。また、溝部4の形成の際、溝部4内に微細な切り粉が発生するため、ピン10の磨耗および小径管(図示せず)との接触状況を良くするために(図12参照)、ブロアー(図示せず)を用いて切り粉を除去した。

0160

(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは240〜246MPa、0.2%耐力は53〜60MPa、伸びは50〜53%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は25〜60μmとなった。

0161

(1−3)小径管の嵌合(直管状複合伝熱管の作製)
小径管には表1のものを使用した。小径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。図12(a)と同様な方法で、大径管2に形成された1本ないし4本の溝部4に1本ないし4本の小径管3の各々をそれぞれ軽く嵌め込み、大径管2を平行に移動V2しつつ、非圧延側の大径管2に管軸周りに一定の捻り(図12(a)の捻りS2)を加えながら圧延ロール16、16に通す。これにより、1本ないし4本の小径管3が大径管2の外表面に管軸方向に一定の傾斜角度2.3°をなすように嵌合された直管状複合伝熱管(実施例1(No.1〜4))を作製した。

0162

また、参考例1(No.5〜8)の直管状複合伝熱管も、実施例1(No.1〜4)と同様な大径管および小径管を使用し、前記と同様な方法で作製した。但し、小径管の嵌合時の大径管の捻りは行なわなかった。

0163

(2)測定評価項目
前記で作製された4本の複合伝熱管の内1本について、長さ10000mmの溝部を1000mmずつに切断して10本の試料を作成し、t/T、小径管の円周長さ、傾斜角度、伝熱性能および小径管の外れ(曲げ加工性)を調査した。また、残りの3本を用いて小径管長さの変化および耐圧強度を調査した。

0164

(2−1)t/T
図1(b)、図2(b)、図5図8に示すように、tは、1本ないし4本の小径管3と嵌合している1本ないし4本の溝部4の溝底部分4bの肉厚t1(小径管3が1本)、t1とt2の平均値(小径管3が2本)、t1〜t3の平均値(小径管3が3本)、t1〜t4の平均値(小径管が3が4本)とする。また、Tは、同図に示す、小径管3と嵌合していない大径管2の肉厚T1〜T3の平均値(小径管3が1本)、T1とT2の平均値(小径管3が2本)、T1〜T3の平均値(小径管3が3本)、T1〜T4の平均値(小径管3が4本)とする。

0165

そして、長さ10000mmの溝部のうち、両端より1000mm及び5000mmの3箇所より厚さ10mm程度の試料を採取し、管軸直交断面を光学顕微鏡で観察してそれぞれの位置における肉厚t1〜t4、T1〜T4を測定し、それらの平均値よりt/Tを計算した。その結果を表3に示す。

0166

(2−2)小径管の円周長さ
前記t/Tの試料を用いて、1本ないし4本の小径管3と大径管2が見かけ上接触している部分(溝部4に囲まれた小径管3の部分)に対して、小径管3の円周角を測定した。[測定された円周角(°)/360(°)]×100で算出し値を「小径管の円周長さ(%)」とした(詳細は発明の実施形態参照)。その結果を表3に示す。

0167

(2−3)傾斜角度
図1図4に示す溝部4(小径管3)の傾斜角度(β)を、図21に示す算出方法で、算出し、その結果を表3に示す。

0168

(2−4)伝熱性能
溝部4における大径管2と小径管3との密着状況で評価する。前記の1000mmずつに切断した10本の試料において、両端部を除く9箇所の管軸直交断面で、溝部4の大径管3と小径管2との密着状況を光学顕微鏡で観察した。その結果を表3に示す。また、大径管2と小径管3の間に生じた隙間が微細で少ないものを、伝熱性能が優れ「○」と、生じた隙間が大きくないものを、伝熱性能が良好で「△」と、生じた隙間が大きく多いものを、伝熱性能が劣る「×」と評価した。

0169

(2−5)小径管の外れ(曲げ加工性)
曲げ試験により「小径管の外れ」を評価した。曲げ試験は、前記の長さ1000mmに切断された試料を用いて行なった。試料を半径30mmの曲げ治具に沿わせてU字曲げし、大径管2から小径管3が外れることはないかを評価した。なお、図1(b)、図2(b)、図5図8に示すように、各試料の端面において、一点鎖線(Y−Y線)が曲げの中立軸となるように曲げた。その結果を表3に示す。

0170

(2−6)小径管長さの変化
切断しなかった複合伝熱管を使用して、以下の巻回加工を行った。図1図4の小径管3の両端部3aの長さ(大径管2の溝部4から所定角度αで離脱した部分の長さ)を、巻回加工前と巻回加工後に測定した。巻回加工前後での長さの差の最大値を「小径管長さの変化」とした。その結果を表3に示す。
(巻回加工)
図17図18(a)に示すように、小径管3が大径管2に嵌合されている部分の全長をらせん状に20回巻回し、巻回部31kの最小内径IDが150mm、平均間隔ピッチ)pが約13mmとなるようにした。
また、参考例1においては、1本ないし4本の小径管の配置を以下のようにして巻回した。小径管が1本の場合(No.5)では巻回軸の外側に1本配置、小径管が2本の場合(No.6)では大径管の管軸直交断面の左右方向(巻回軸内外側)に各1本ずつ配置、小径管が3本の場合(No.7)では大径管の管軸直交断面の上下方向に各1本ずつ、巻回軸内側に1本配置、小径管が4本の場合(No.8)では大径管の管軸直交断面の上下方向および左右方向に各1本ずつ配置した。

0171

(2−7)耐圧強度
切断しなかった複合伝熱管の大径管に水を充填してハンドポンプで徐々に加圧し、小径管が大径管から離脱し始める圧力をブルドン管ゲージで読取った。その結果を表3に示す。

0172

0173

0174

0175

(3)評価結果
実施例1(No.1〜4)は、伝熱性能、小径管の外れ(曲げ加工性)、小径管長さの変化および耐圧強度において良好な結果であった。また、参考例1(No.5〜8)と比較しても、前記評価項目において向上していた。なお、伝熱性能において表3では実施例1と参考例1のいずれもが「○」であるが、顕微鏡下での観察では大径管と小径管の間に生じた隙間は、参考例1の方が実施例1に比べてやや大きかった。

0176

(第2の実施例)
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表4、表5に示す、大径管の管軸方向に一定の傾斜角度10°をなして形成された4本の溝部に、4本の小径管が嵌合された直管状複合伝熱管(実施例2(No.9))およびらせん状複合伝熱管(実施例2(No.11))を各4本ずつ作製した。また、大径管の管軸方向に平行(傾斜角度0°)な4本の溝部に、4本の小径管が嵌合された直管状複合伝熱管(参考例2(No.10))およびらせん状複合伝熱管(参考例2(No.12)を各4本ずつ作製した。

0177

(1−1)大径管の溝部形成
使用した大径管およびピン、溝部形成手順は第1の実施例と同じである。但し、溝部形成時、図10(b)に示すように、大径管2を管軸周りに一定の捻りを加えながら(一定の角速度で回転しつつ)、管軸方向に平行に移動させることにより、大径管2の管軸方向に一定の傾斜角度7.5°をなす4本の溝部を形成した。

0178

(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第1の実施例と同じである。

0179

(1−3)小径管の嵌合(直管状複合伝熱管の作製)
使用した小径管は第1の実施例と同じである。そして、第1の実施例と同様な嵌合方法で、しかも、第1の実施例の大径管の非圧延側の捻り(図12(a)の捻りS2参照)に加えて、圧延側の大径管にも捻り(図12(a)の捻りS3参照)を加えながら小径管を嵌合した。これにより、4本の小径管が大径管の外表面に管軸方向に一定の傾斜角度10°=前記溝部形成時の傾斜角度7.5°+小径管嵌合時の傾斜角度1.5°+小径管嵌合後の傾斜角度1.0°をなすように嵌合された直管状複合伝熱管(実施例2(No.9))を作製した。

0180

(1−4)らせん状複合伝熱管の作製
前記(1−3)で作製した直管状複合伝熱管(実施例2(No.9))を、図17図18(a)に示すように、4本の小径管3が大径管2に嵌合されている部分の全長をらせん状に20回巻回し、巻回部31kの最小内径IDが150mm、平均間隔(ピッチ)pが約13.0mmのらせん状複合伝熱管31(実施例2(No.11))を作製した。

0181

また、参考例2(No.10、12)も、実施例2(No.9、11)と同様な大径管および小径管を使用し、前記と同様な方法で作製した。但し、溝部形成時および小径管の嵌合時(嵌合後)における大径管の捻りは行わなかった。また、らせん状の巻回時の小径管の配置は、大径管の管軸直交断面の上下方向および左右方向に各1本ずつとした

0182

(2)測定評価項目
(直管状複合伝熱管)
t/T、小径管の円周長さ、傾斜角度、伝熱性能、小径管の外れ(曲げ加工性)および耐圧強度について、第1の実施例と同様な方法で測定評価した。その結果を表4に示した。

0183

(らせん状複合伝熱管)
t/T、小径管の円周長さ、傾斜角度、伝熱性能、小径管の外れ(曲げ加工性)、小径管長さの変化および耐圧強度について測定評価した。
(2−1)t/T
らせん状複合伝熱管の巻回部の上端部、中央部および下端部より試験片を切出し、第1の実施例と同様な方法で測定した。その結果を表5に示す。
(2−2)小径管の円周長さ
前記t/Tの試料を用いて、第1の実施例と同様に測定、算出した。その結果を表5に示す。

0184

(2−3)傾斜角度
第1の実施例と同様に測定した。その結果を表5に示す。
(2−4)伝熱性能
第1の実施例と同様に測定した。その結果を表5に示す。

0185

(2−5)小径管の外れ(曲げ加工性)
らせん状複合伝熱管の外観目視観察し、大径管より小径管が浮いている箇所、小径管が外れている箇所があるかを観察した。その結果を表5に示す。

0186

(2−6)小径管長さの変化
第1の実施例と同様に測定した。その結果を表5に示す。
(2−7)耐圧強度
第1の実施例と同様に測定した。その結果を表5に示す。

0187

0188

0189

(3)評価結果
実施例2(No.9、11)は、伝熱性能、小径管の外れ(曲げ加工性)、小径管長さの変化および耐圧強度において良好な結果であった。また、参考例2(No.10、12)と比較しても、前記評価項目において向上していた。なお、伝熱性能において表4、5では実施例2と参考例2のいずれもが「○」であるが、顕微鏡下での観察では大径管と小径管の間に生じた隙間は、参考例2の方が実施例2に比べてやや大きかった。

0190

(第3の実施例)
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表6に示す、大径管の管軸方向に一定の傾斜角度3°をなして形成された3本の溝部に、樹脂を介して、3本の小径管が嵌合された直管状複合伝熱管(実施例3(No.13))および渦巻状複合伝熱管(実施例3(No.14))を各4本ずつ作製した。

0191

(1−1)大径管の溝部形成
使用した大径管およびピン、溝部形成手順は第1の実施例と同じである。
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第1の実施例と同じである。

0192

(1−3)樹脂の塗布
樹脂としてはポリエチレングリコールを用いた。樹脂を水で塗布しやすい濃度に希釈し、更に、溝部における樹脂の存在状態を確認するため、青インクで着色し、大径管に形成した溝部に塗布した。

0193

(1−4)小径管の嵌合
使用した小径管は第1の実施例と同じである。そして、第2の実施例と同様な嵌合方法で小径管を嵌合し、3本の小径管が大径管の外表面に管軸方向に一定の傾斜角度3°=小径管嵌合時の傾斜角度2°+小径管嵌合後の傾斜角度1°をなすように嵌合された大径管を作製した。そして、直管状複合伝熱管を作製するために、後記(1−6)樹脂の硬化を行なった。

0194

(1−5)渦巻状巻回部の作製
前記(1−4)で作製した大径管を、図19図20(a)と同様に(図では小径管3は4本記載しているが、本実施例では3本である。また、大径管と小径管の間の樹脂は記載していない)、3本の小径管3が大径管2に嵌合されている部分の全長を、渦巻状に巻回直径が縮径する方向に7回巻回し、引き続いて、巻回直径が拡径する方向に7回巻回した。そして、二つ巻回部61k、61kの最小内径IDが200mm、最大外径ODが400mm、平均間隔(ピッチ)pが約13.5mmとなるようにした。

0195

(1−6)樹脂の硬化
前記(1−4)の小径管が嵌合した大径管、および前記(1−5)の渦巻状巻回部が形成された大径管を、非酸化性雰囲気に保たれた200℃の炉に装入し、所定時間(1時間)加熱し、樹脂を硬化させ、直管状複合伝熱管(実施例3(No.13))および渦巻状複合伝熱管(実施例3(No.14)を得た。

0196

(2)測定評価項目
第2の実施例と同様な測定評価項目とした。また、小径管長さにおける巻回加工は、図19図20(a)に示すように、二つの渦巻状巻回部61k、61kの最小内径IDが200mm、最大外径ODが400mm、平均間隔(ピッチ)pが約3.5mmとなるようにした。その結果を表6に示す。

0197

0198

(3)評価結果
実施例3(No.13、14)は、伝熱性能、小径管の外れ(曲げ加工性)、小径管長さの変化および耐圧強度において良好な結果であった。

0199

(第4の実施例)
作製した複合伝熱管(実施例1(No.4)、実施例2(No.11))について、冷却媒体を使用した際の伝熱性能を確認した。複合伝熱管の大径管に流量1.15kg/minの水を流し、小径管に0.85kg/minのCO2を流した。この複合伝熱管を1000時間運転し、運転10時間後、1000時間後の入口温度(大径管)に対する出口温度(大径管)の変化を見ることにより、伝熱性能を確認した。また、参考例1(No.8)、参考例2(No.12)についても同様に確認した。その結果を表7に示す。

0200

0201

実施例1(No.4)、実施例2(No.11)の入側温度に対する出側温度は、参考例1(No.8)、参考例2(No.12)と比べても出側温度が高く、常に安定していた。従って、良好な伝熱性能であることが確認された。

図面の簡単な説明

0202

(a)は本発明にかかる1本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、(b)は(a)のX1−X1線の断面図、(c)は溝部の端部を示す部分切断斜視図である。
(a)本発明にかかる2本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、(b)は(a)のX2−X2線の断面図である。
本発明にかかる3本の小径管を備える複合伝熱管の側面図である。
本発明にかかる4本の小径管を備える複合伝熱管の側面図である。
図3のX3−X3線の断面図である。
図5の他の実施形態の断面図である。
図5の他の実施形態の断面図である。
図4のX4−X4線の断面図である。
図8の他の実施形態の断面図である。
(a)本発明にかかる複合伝熱管の大径管の2箇所または4箇所に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸平行断面図、(b)は(a)の他の実施形態の管軸平行断面図である。
本発明にかかる複合伝熱管の大径管に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は溝部が4箇所の場合、(b)は溝部が3箇所の場合である。
(a)は本発明にかかる大径管に2本または4本の小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸平行断面図、(b)は(a)の他の実施形態の管軸平行断面図である。
本発明にかかる複合伝熱管の大径管に小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は小径管が4本の場合、(b)は小径管が3本の場合である。
(a)は図12の嵌合前の溝部の部分拡大断面図、(b)は嵌合後の溝部の部分拡大断面図、(c)は(b)の他の実施形態の部分拡大断面図である。
本発明にかかる複合伝熱管を使用した給湯器の構成を模式的に示す説明図である。
本発明にかかる複合伝熱管を使用した熱交換器の構成を模式的に示す説明図である。
本発明にかかるらせん状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図である。
(a)は図17のC−C線の断面図、(b)、(c)は図17の他の実施形態を示す部分断面図である。
本発明にかかる渦巻状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図である。
(a)は図19のD−D線の断面図、(b)は図19の他の実施形態を示す部分断面図である。
本発明にかかる複合伝熱管の傾斜角度の算出方法を示す図である。
従来の複合伝熱管の断面図である。
(a)、(b)は他の従来の複合伝熱管の断面図である。
従来の他の複合伝熱管の斜視図である。

符号の説明

0203

1、31、41、51、61、71複合伝熱管
2、52、72大径管
2a 両端部
3、53、73小径管
3a 両端部
3A 表面
4 溝部
4a突起部
4b溝底部分
4A 表面
5樹脂
31k、41k、51k、61k、71k巻回部
61i、71i移行部
10ピン
11溝加工部
11a 溝加工部先端
12把持部
13繋ぎ部
14肩部
15スリーブ
16圧延ロール
20熱交換器
21、26圧縮機
22放熱器
23冷却器
24ヒートポンプユニット
25蒸発器
27膨張弁
28貯湯タンク
29タンク
30給湯器
A複合化区間B以外の部分
B 複合化区間
α 角度
β傾斜角度
d外径
ID最小内径
OD最大外径
H 高さ
a管外径
p 間隔

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