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技術 縦波と横波回折波による超音波探傷方法及び装置

出願人 羽田野甫株式会社日本製鋼所JFEエンジニアリング株式会社
発明者 羽田野甫田中秀秋天野哲也
出願日 2003年8月28日 (17年4ヶ月経過) 出願番号 2003-304128
公開日 2005年3月17日 (15年9ヶ月経過) 公開番号 2005-070017
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析
主要キーワード 物性的特性 超音波縦波 伝搬経路長 縦波成分 横波成分 受波用 受波側 楕円軌跡
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

従来のTOFD法では、きずなどの欠陥の位置を特定するためにB−走査といわれる煩雑な操作が必要であり、また、B−走査が困難となるような対象物ではパルス反射法などの従来の超音波探傷法との組み合わせが必要であった。本発明の目的は、煩雑な方法を用いないで、きずなどの欠陥位置推定を簡便且つ精確に行い得る方法とその装置を提供することにある。

解決手段

対となる送波用探触子1と受波用探触子2を、対象物3の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子1から対象物中に超音波放射し、該対象物中に存在欠陥の端部で生じる回折波を前記受波用探触子2で受波して、前記回折波の縦波成分横波成分を各々検出し、検出された前記縦波成分と前記横波成分の到達時刻差に基づいて、該回折波を生じた欠陥端部から受波用探触子2に至る距離Lを推定する。

概要

背景

最近、種々の装置や設備の安全性が求められている中で、事故の原因となりかねないきずを非破壊で早く正確に発見することが重要となってきている。非破壊検査法対象物破壊することなくきずや物性的特性を調べる方法であり、非破壊検査法の一種である超音波探傷法は、対象物の外部から超音波入射し、その反射波透過波、あるいは回折波を受信し分析することにより内部を調べるものである(例えば特許文献1)。

従来の超音波探傷法は、きずなどの欠陥の存在をある程度敏感に検出できたが、欠陥の形状や大きさに関する情報を得ることは難しかった。
そこで、欠陥の寸法をより正確に測定し得る超音波探傷法としてTOFD(Time of Flight Diffraction)法が期待されている。TOFD法では、一対の送波用探触子受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて対向して配置し、送波用探触子から対象物中に超音波を放射する。対象物の表面を直接伝わる波(ラテラル波)、そして対象物の底面から反射された底面反射波とともに、対象物中にきずなどの欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信し、これらの波の伝搬時間を基に欠陥の位置や寸法を測定しようとするものである。 従来の超音波探傷試験における欠陥の寸法測定には、デシベルドロップ法、評価レベル法、DGS法などが広く用いられてきた。これらの手法は、探触子の移動距離エコー高さに基づいた評価を行うため、探触子のビームピロフィール走査ピッチ、あるいは欠陥の傾き角度などによる測定精度への影響が避けられなかった。これに対し、TOFD法は、比較的高精度の測定が可能な超音波の伝搬時間を利用するため、欠陥の寸法測定精度の向上が期待できる。

図6は、従来のTOFD法における種々の超音波の伝搬経路概要を示している。一対の送波用探触子1と受波用探触子2の間で、対象物3に長さDのスリット状の垂直なきず30が存在する場合を想定している。このとき受波用探触子2によって、まず対象物3の表面を直接伝わるラテラル波が受信され、続いてきず30の上端部30a(超音波探触子を配置した表面に近い側のきずの端部)からの上端回折波、そしてきずの下端部30b(超音波探触子を配置した表面に遠い側のきずの端部)からの下端回折波が受信される。ここで各々の超音波について送波用探触子1から受波用探触子2に至る伝搬時間を測定し、これに対象物における超音波の伝搬速度を乗ずることによって、各々の超音波の送波用探触子1から受波用探触子2に至る伝搬経路長が求められる。しかし、このままではきずの位置30a、30bを決定することができないという問題が生ずる。

図7は、この問題の概要を上端回折波を例として説明したものである。送波用探触子1から受波用探触子2に至る伝搬経路長Ltを互いに同じくするきず30の上端部30aの位置は、図に一部を示すように対象物3内で送波用探触子1の位置と受波用探触子2の位置を焦点とする楕円軌跡上の任意の位置に無数に存在し得る(Lt=L1+L2=L3+L4=L5+L6=…)。したがって、きず30の位置を特定するために例えば、送波用探触子1と受波用探触子2の間隔を一定に保ったまま図の左右方向に探触子を走査し(B−走査)、回折波の伝搬時間が極小になったときの両探触子の位置の丁度中央にきず30があるとする方法などが用いられているが、操作が煩雑であるという問題があった。
また、このB−走査が困難となるような対象物では、例えば従来の超音波探傷法の一つであるパルス反射法によってきず30までの距離を測定する必要があった。
特開2000−146921号公報

概要

従来のTOFD法では、きずなどの欠陥の位置を特定するためにB−走査といわれる煩雑な操作が必要であり、また、B−走査が困難となるような対象物ではパルス反射法などの従来の超音波探傷法との組み合わせが必要であった。本発明の目的は、煩雑な方法を用いないで、きずなどの欠陥位置推定を簡便且つ精確に行い得る方法とその装置を提供することにある。 対となる送波用探触子1と受波用探触子2を、対象物3の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子1から対象物中に超音波を放射し、該対象物中に存在欠陥の端部で生じる回折波を前記受波用探触子2で受波して、前記回折波の縦波成分横波成分を各々検出し、検出された前記縦波成分と前記横波成分の到達時刻差に基づいて、該回折波を生じた欠陥端部から受波用探触子2に至る距離Lを推定する。

目的

以上説明したように、従来のTOFD法では、きずなどの欠陥の位置を特定するためには、前記B−走査といわれる煩雑な操作が必要であり、また、B−走査が困難となるような対象物ではパルス反射法などの従来の超音波探傷法との組み合わせが必要であった。
本発明の目的は、このような煩雑な方法を用いないで、きずなどの欠陥位置の推定を簡便且つ精確に行い得る方法とその装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

対となる送波用探触子受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波放射し、該対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を前記受波用探触子で受波することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、前記受波用探触子を用いて前記回折波の縦波成分横波成分を各々検出し、検出された前記縦波成分と前記横波成分の到達時刻差に基づいて、該回折波を生じた欠陥端部から受波用探触子に至る距離を推定することを特徴とする縦波横波回折波による超音波探傷方法。

請求項2

回折波を生じた欠陥端部と受波用探触子の間の距離Lを、次式によって推定することを特徴とする請求項1記載の縦波と横波回折波による超音波探傷方法。ただし、△Tは回折波の縦波成分と横波成分の受波用探触子への到達時刻差、ClとCsは各々対象物における縦波と横波の伝搬速度である。

請求項3

欠陥端部で生じた回折波の縦波成分の受波時刻と送波用探触子における送波時刻との時刻差と、該対象物における縦波の伝搬速度に基づいて、送波用探触子から欠陥端部を経て受波用探触子に至る伝搬経路全長を求め、該全長から前記距離Lを減じることにより送波用探触子から欠陥端部までの距離を求め、該送波用探触子から欠陥端部までの距離と、前記距離Lと、送波用探触子と受波用探触子間の距離とから、欠陥端部の位置を推定することを特徴とする請求項1または2記載の縦波と横波回折波による超音波探傷方法。

請求項4

受波用探触子として、複数の探触子を配列したアレイ探触子を用い、第1のステップで、該アレイ探触子で回折波を受波して、請求項1〜3のいずれかに記載の方法によって欠陥端部と受波用探触子の間の前記距離Lあるいは欠陥端部の前記位置を推定し、第2のステップで、該アレイ探触子を先のステップで推定された欠陥端部までの距離Lあるいは欠陥端部の位置に焦点を結ぶように動作させ、さらに第3のステップで前記ステップ1と同様の手順によって焦点を結んだ状態のアレイ探触子によって前記回折波を受波して欠陥端部と受波用探触子の間の前記距離Lあるいは欠陥端部の前記位置を再度推定することを特徴とする縦波と横波回折波による超音波探傷方法。

請求項5

請求項4に記載の方法において、アレイ探触子を構成する複数の探触子の各々の受波信号を前記第3のステップまで記憶・保持することによって、前記第3のステップで前記回折波の受波を省略して欠陥端部と受波用探触子の間の前記距離Lあるいは欠陥端部の前記位置を再度推定することを特徴とする縦波と横波回折波による超音波探傷方法。

請求項6

請求項3〜5のいずれかに記載の方法によって、前記欠陥の端部として上端部と下端部の位置をそれぞれ推定し、推定された該上下端部の位置に基づき欠陥の形状を推定することを特徴とする縦波と横波回折波による超音波探傷方法。

請求項7

対象物中に縦波の超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥端部から発生した回折波の縦波成分および横波成分を受波する受波用探触子と、少なくとも前記回折波の縦波成分と横波成分の到達時刻を測定可能な時刻測定手段とを備えたことを特徴とする縦波と横波回折波による超音波探傷装置

請求項8

前記時刻測定手段によって得られる縦波成分と横波成分の到達時刻差と、予め設定された対象物中の縦波および横波の伝搬速度とによって、前記欠陥端部から前記受波用探触子までの距離Lを算出する演算部を設けたことを特徴とする請求項7記載の縦波と横波回折波による超音波探傷装置。

請求項9

前記回折波の縦波成分と横波成分を各々受波する受波用探触子が、可変角の斜角探触子であることを特徴とする請求項7または8記載の縦波と横波回折波による超音波探傷装置。

請求項10

前記回折波の縦波成分と横波成分を受波する受波用探触子が、複数の探触子を配列したアレイ探触子であることを特徴とする請求項7または8記載の縦波と横波回折波による超音波探傷装置。

請求項11

前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号が対象物中の設定位置を焦点とするように合成する受波信号焦点処理手段を備えることを特徴とする請求項10記載の縦波と横波回折波による超音波探傷装置。

請求項12

前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号を、前記回折波の縦波成分の探傷屈折角になるように合成して該縦波成分を検出するとともに、前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号を、前記回折波の横波成分の探傷屈折角になるように合成して該横波成分を検出する受波信号処理手段を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の縦波と横波回折波による超音波探傷装置。

技術分野

0001

本発明は、超音波探傷に関し、特に、欠陥の位置を簡便且つ正確に推定することができる超音波探傷方法とその装置に関するものである。

背景技術

0002

最近、種々の装置や設備の安全性が求められている中で、事故の原因となりかねないきずを非破壊で早く正確に発見することが重要となってきている。非破壊検査法対象物破壊することなくきずや物性的特性を調べる方法であり、非破壊検査法の一種である超音波探傷法は、対象物の外部から超音波入射し、その反射波透過波、あるいは回折波を受信し分析することにより内部を調べるものである(例えば特許文献1)。

0003

従来の超音波探傷法は、きずなどの欠陥の存在をある程度敏感に検出できたが、欠陥の形状や大きさに関する情報を得ることは難しかった。
そこで、欠陥の寸法をより正確に測定し得る超音波探傷法としてTOFD(Time of Flight Diffraction)法が期待されている。TOFD法では、一対の送波用探触子受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて対向して配置し、送波用探触子から対象物中に超音波を放射する。対象物の表面を直接伝わる波(ラテラル波)、そして対象物の底面から反射された底面反射波とともに、対象物中にきずなどの欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信し、これらの波の伝搬時間を基に欠陥の位置や寸法を測定しようとするものである。 従来の超音波探傷試験における欠陥の寸法測定には、デシベルドロップ法、評価レベル法、DGS法などが広く用いられてきた。これらの手法は、探触子の移動距離エコー高さに基づいた評価を行うため、探触子のビームピロフィール走査ピッチ、あるいは欠陥の傾き角度などによる測定精度への影響が避けられなかった。これに対し、TOFD法は、比較的高精度の測定が可能な超音波の伝搬時間を利用するため、欠陥の寸法測定精度の向上が期待できる。

0004

図6は、従来のTOFD法における種々の超音波の伝搬経路概要を示している。一対の送波用探触子1と受波用探触子2の間で、対象物3に長さDのスリット状の垂直なきず30が存在する場合を想定している。このとき受波用探触子2によって、まず対象物3の表面を直接伝わるラテラル波が受信され、続いてきず30の上端部30a(超音波探触子を配置した表面に近い側のきずの端部)からの上端回折波、そしてきずの下端部30b(超音波探触子を配置した表面に遠い側のきずの端部)からの下端回折波が受信される。ここで各々の超音波について送波用探触子1から受波用探触子2に至る伝搬時間を測定し、これに対象物における超音波の伝搬速度を乗ずることによって、各々の超音波の送波用探触子1から受波用探触子2に至る伝搬経路長が求められる。しかし、このままではきずの位置30a、30bを決定することができないという問題が生ずる。

0005

図7は、この問題の概要を上端回折波を例として説明したものである。送波用探触子1から受波用探触子2に至る伝搬経路長Ltを互いに同じくするきず30の上端部30aの位置は、図に一部を示すように対象物3内で送波用探触子1の位置と受波用探触子2の位置を焦点とする楕円軌跡上の任意の位置に無数に存在し得る(Lt=L1+L2=L3+L4=L5+L6=…)。したがって、きず30の位置を特定するために例えば、送波用探触子1と受波用探触子2の間隔を一定に保ったまま図の左右方向に探触子を走査し(B−走査)、回折波の伝搬時間が極小になったときの両探触子の位置の丁度中央にきず30があるとする方法などが用いられているが、操作が煩雑であるという問題があった。
また、このB−走査が困難となるような対象物では、例えば従来の超音波探傷法の一つであるパルス反射法によってきず30までの距離を測定する必要があった。
特開2000−146921号公報

発明が解決しようとする課題

0006

以上説明したように、従来のTOFD法では、きずなどの欠陥の位置を特定するためには、前記B−走査といわれる煩雑な操作が必要であり、また、B−走査が困難となるような対象物ではパルス反射法などの従来の超音波探傷法との組み合わせが必要であった。
本発明の目的は、このような煩雑な方法を用いないで、きずなどの欠陥位置の推定を簡便且つ精確に行い得る方法とその装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するため第1の発明の縦波横波回折波による超音波探傷方法は、対となる送波用探触子と受波用探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波を放射し、該対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を前記受波用探触子で受波することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、
前記受波用探触子を用いて前記回折波の縦波成分横波成分を各々検出し、検出された前記縦波成分と前記横波成分の到達時刻差に基づいて、該回折波を生じた欠陥端部から受波用探触子に至る距離を推定することを特徴とする。

0008

また、第2の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷方法は、第1の発明において、回折波を生じた欠陥端部と受波用探触子の間の距離Lを、次式によって推定することを特徴とする。

0009

ただし、△Tは回折波の縦波成分と横波成分の受波用探触子への到達時刻差、ClとCsは各々対象物における縦波と横波の伝搬速度である。

0010

さらに、第3の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷方法は、第1または第2の発明において、欠陥端部で生じた回折波の縦波成分の受波時刻と送波用探触子における送波時刻との時刻差と、該対象物における縦波の伝搬速度に基づいて、送波用探触子から欠陥端部を経て受波用探触子に至る伝搬経路の全長を求め、該全長から前記距離Lを減じることにより送波用探触子から欠陥端部までの距離を求め、該送波用探触子から欠陥端部までの距離と、前記距離Lと、送波用探触子と受波用探触子間の距離とから、欠陥端部の位置を推定することを特徴とする。

0011

さらに、第4の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷方法は、受波用探触子として、複数の探触子を配列したアレイ探触子を用い、第1のステップで、該アレイ探触子で回折波を受波して、前記第1〜3のいずれかの発明の方法によって欠陥端部と受波用探触子の間の前記距離Lあるいは欠陥端部の前記位置を推定し、第2のステップで、該アレイ探触子を先のステップで推定された欠陥端部までの距離Lあるいは欠陥端部の位置に焦点を結ぶように動作させ、さらに第3のステップで前記ステップ1と同様の手順によって焦点を結んだ状態のアレイ探触子によって前記回折波を受波して欠陥端部と受波用探触子の間の前記距離Lあるいは欠陥端部の前記位置を再度推定することを特徴とする。

0012

さらに、第5の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷方法は、請求項4に記載の方法において、アレイ探触子を構成する複数の探触子の各々の受波信号を前記第3のステップまで記憶・保持することによって、前記第3のステップで前記回折波の受波を省略して欠陥端部と受波用探触子の間の前記距離Lあるいは欠陥端部の前記位置を再度推定することを特徴とする。

0013

さらに、第6の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷方法は、前記第3〜5のいずれかの発明の方法によって前記欠陥の端部として上端部と下端部の位置をそれぞれ推定し、推定された該上下端部の位置に基づき欠陥の形状を推定することを特徴とする。

0014

さらに、第7の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置は、対象物中に縦波の超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥端部から発生した回折波の縦波成分および横波成分を受波する受波用探触子と、少なくとも前記回折波の縦波成分と横波成分の到達時刻を測定可能な時刻測定手段とを備えたことを特徴とする。

0015

さらに、第8の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置は、第7の発明において、前記到達時刻測定手段によって得られる縦波成分と横波成分の到達時刻差と、予め設定された対象物中の縦波および横波の伝搬速度とによって、前記欠陥端部から前記受波用探触子までの距離Lを算出する演算部を設けたことを特徴とする。

0016

さらに、第9の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置は、第7または第8の発明において、前記回折波の縦波成分と横波成分を各々検出する受波用探触子が、可変角の斜角探触子であることを特徴とする。

0017

さらに、第10の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置は、第7または第8の発明において、前記回折波の縦波成分と横波成分を受波する受波用探触子が、複数の探触子を配列したアレイ探触子であることを特徴とする。

0018

さらに、第11の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置は、第7または第8の発明において、前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号が対象物中の設定位置を焦点とするように合成する受波信号焦点処理手段を備えることを特徴とする。

0019

さらに、第12の発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置は、第10または第11の発明において、前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号を、前記回折波の縦波成分の探傷屈折角になるように合成して該縦波成分を検出するとともに、前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号を、前記回折波の横波成分の探傷屈折角になるように合成して該横波成分を検出する受波信号処理手段を備えることを特徴とする。

0020

本発明者は、TOFD法において、対象物中の欠陥端部に入射した超音波縦波によって、縦波の回折波とともに横波の回折波が生じ、該対象物中を伝搬して受波用探触子に達することを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
ここで回折波を生じた欠陥端部から受波用探触子に至る距離をLとすると、回折波の縦波成分と回折波の横波成分が、それぞれ該距離Lを伝搬するのに要する時間Tl(縦波成分)、Ts(横波成分)は、次の数2式および数3式で与えられる。

0021

0022

0023

ただし、ClとCsは各々対象物における縦波と横波の伝搬速度である。回折波の縦波成分と横波成分の受波用探触子への到達時刻差を△T(=Ts−Tl)とすると、次式によって回折波を生じた欠陥端部から受波用探触子に至る距離Lを推定することができる。

0024

0025

送波用探触子と受波用探触子の間の距離はラテラル波の送波用探触子から受波用探触子に至る伝搬時間、もしくは探触子同士の距離の実測により決定することができる。また、送波用探触子から回折波を生じた欠陥端部を経て受波用探触子に至る前記距離Lを含む伝搬経路の全長は、回折波の縦波成分の受波時刻と送波用探触子における送波時刻との時刻差と、対象物における縦波の伝搬速度とに基づいて求めることができる。通常は、前記全長は、上記時刻差に伝搬速度を乗ずることによって得られる。したがって、送波用探触子、受波用探触子、そして回折波を生じた欠陥端部によって形成される三角形の3辺の各々の長さが決定されることになり欠陥端部の位置が推定できる。さらに、前記測定を欠陥上端部で生じる上端回折波と欠陥下端部で生じる下端回折波の各々について行うことにより、欠陥の上端と下端の位置を簡便且つ精確に推定し、該推定結果に基づき欠陥長さなどの形状を推定することができる。

発明の効果

0026

以上説明したように、本発明の縦波と横波回折波による超音波探傷方法によれば、きずの端部で生じる回折波の縦波成分と横波成分とをそれぞれ検出し、その到達時刻差を得ることで、受波側ときずなどの欠陥との距離を簡便且つ精確に推定することが可能になる。
また、上記で推定された距離と、探触子間の距離と、送波側から欠陥までの距離を用いることで欠陥の位置を精確に推定することができる。
さらに、本発明の縦波と横波回折波による超音波探傷装置によれば、対象物中に縦波の超音波を放射する送波用探触子と、該対象物中の欠陥端部から発生した回折波の縦波成分および横波成分を受波する受波用探触子と、少なくとも前記回折波の縦波成分と横波成分の到達時刻を測定可能な時刻測定手段とを備えるので、縦波成分と横波成分の到達時刻差を得て上記距離の推定を確実に行うことができる。また、上記時刻測定手段によって送波時刻を取得し、縦波の到達時刻とによって送波側から欠陥までの距離を求めることができる。さらに、時刻測定手段によって送波時刻とラテラル波の到達時間を取得して送受波用探触子の距離を求めることができる。これらの距離は、前記したように欠陥端部の位置を算出する際に用いることができる。

0027

また、受波用探触子としてアレイ探触子を用い、前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号を、受波信号処理手段によって前記回折波の縦波成分の探傷屈折角になるように合成して該縦波成分を検出するとともに、前記アレイ探触子を構成する複数の探触子のそれぞれの受波信号を、前記回折波の横波成分の探傷屈折角になるように合成して該横波成分を検出すれば、例えば1回の測定によって縦波と横波とを効率よく検出してきずの位置を精確に求めることが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0028

以下に、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の超音波探傷装置の概略図であり、送波用探触子1と受波用探触子2とを備えている。この実施形態においては、受波用探触子2として、垂直縦波探触子を複数配列したアレイ探触子を用いる。

0029

前記送波用探触子1は、制御・データ処理部10の送波信号発生部12に接続され、受波用探触子2は、受波信号合成部13に接続されている。上記送波信号発生部12と受波信号合成部13は、制御・データ処理部10の制御部11に接続され、送波および受波の制御がなされる。また該制御部11には、制御・データ処理部10において、演算部14と時刻測定手段としてのタイマ15とが接続されている。また制御部11には、制御・データ処理部10外の表示部20に接続されている。
表示部20では、受波信号に基づいて受波波形や必要な情報の表示が可能であり、CRT、LCD等の適宜の表示装置を用いることができる。また、表示部20をタッチパネルによって構成し、ユーザによる入力を可能にするものであってもよい。

0030

次に、上記超音波探傷装置の動作について説明する。
制御部11の動作によって送波信号発生部12を制御して送波用信号を生成し、該信号を送波用探触子1に入力して、該送波用探触子1から対象物3に対し所望の超音波を放射する。対象物3にきず30が存在すると、対象物3内を伝搬する超音波によって前記で説明したようにこのきず30の端部(例えば30a)で回折波が生じ、回折波の縦波および横波が受波用探触子2の各垂直縦波探触子で受波され、各受波信号が受波信号合成部13に入力される。受波信号合成部13では、各受波信号に時間差を設ける遅延処理や異なる重み付け合波することで、各受波信号が対象物内所定位置を焦点とするように集束処理をしたり、各受波信号が所定の屈折角方向に斜角して入射されたように斜角処理を行うことができる。したがって、本発明の受波信号合成部13は、本発明の受波信号焦点処理手段または受波信号処理手段として機能することができる。

0031

また、上記受波信号合成部13では、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を、適切な縦波の探傷屈折角になる時間差を設けて合成して回折波の縦波成分を検出し、また、適切な横波の探傷屈折角になる時間差を設けて合成して回折波の横波成分を検出することによって、1回の測定で回折波の縦波成分と横波成分の両者を検出することができる。

0032

受波信号合成部13で検出された縦波成分と横波成分とは、それぞれ制御部11を介して表示部20において到達時刻と関連付けて波形として表示することができる。到達時刻は、制御部11に接続されたタイマ15によって取得することができる。対象物3にきず30がある場合、前述したようにきず30の端部30aで回折波が生じ、回折波の縦波および横波が受波用探触子2で受波される。回折波の縦波と横波の到達時刻は、制御部11において受波信号のパターン認識などによって取得することができ、また、表示部20に表示された波形から目視によって取得することもでき、これらの到達時刻によって回折波の縦波と横波の到達時刻差が算出される。該算出は、ユーザによって行ってもよく、また、制御部11に接続した演算部14によって行うようにしてもよい。

0033

また、予め対象物における縦波の伝搬速度Clと横波の伝搬速度Csとを把握しておく。
これらは、試験片などを用いて予め測定した結果を用いたり、既知のデータを用いたりすることができる。これらの伝搬速度は、制御・データ処理部10にRAM、フラッシュメモリ、HDD等の適宜の記憶部(図示しない)を設け、この記憶部に設定データとして保存しておき、必要に応じて読み出し演算処理等に用いることもできる。

0034

上記した縦波および横波の到達時刻差ΔTと、伝搬速度Cl、Csとによって、前記した数4式を用いてきず30の端部30aから受波用探触子2に至る距離Lを算出することができる。該距離の算出は、ユーザによって行ってもよく、また、制御部11に接続した演算部14によって行うようにしてもよい。上記算出によってきず30の端部30aから受波用探触子2に至る距離Lを推定することができる。

0035

また、受波用探触子2では、送波用探触子1からの超音波放射時刻と、縦波の到達時刻とから、縦波が送波用探触子1で放射され、きず30の端部30aを介して受波用探触子2に至るまでの伝搬経路における伝搬時間を知ることができる。なお、上記放射時刻と到達時刻は、制御部11の動作に基づいてタイマ15から取得することができる。上記伝搬時刻と上記した縦波の伝搬速度Clとによって、上記伝搬経路長を知ることができるので、送波用探触子1からきず30の端部30aに至る距離L0が求められる。一方、対象物3の表面に設置された送波用探触子1と受波用探触子2の間の距離Xは、両探触子間の距離を実測したり、両探触子間を伝搬するラテラル波の伝搬経路長(伝搬時間×伝搬速度)を算出したりすることにより得られる。そして上記距離X、L0、Lによって、きずの端部の位置(例えば対象物表面からの距離Yを含む)を求めることができる。

0036

上記では、きず30の端部30aについて位置を求める方法について説明したが、きず30の他端部30bについても同様に位置を求めることができ、両端部を求めることできずの形状(長さD、傾斜方向等)の評価も可能になる。

0037

また、上記によってきず30の端部の距離や位置を求めた際に、受波用探触子2が該距離や該位置に焦点を結ぶような時間差を設けて、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を合成することができる。そしてこのように焦点を設定した後に、再度超音波探傷を行って回折波の縦波、横波を受波して再度上記距離や位置の算出を行うことできずの位置や形状評価をより精確に行うことができる。また、焦点設定→距離、位置の再推定は必要に応じて繰り返し行ってもよい。

0038

なお上述したように、焦点を設定した後に再度超音波探傷を行って距離、位置の再推定を行うこともできるが、受波信号合成部13に適宜の記憶手段(例えばRAM、フラッシュメモリ、HDDなど)からなる波形記憶部(図示しない)を設けることによって、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を記憶・保持することができるので、一回目に超音波探傷を行ったときに記憶したそれぞれの該受波信号に基づいて、再度超音波探傷を行うことなく焦点設定→距離、位置の再推定を繰り返すこともできる。

0039

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明として、受波用探触子としては上記アレイ探触子の他に、各々適切な探傷屈折角を有する縦波斜角探触子と横波斜角探触子を用い、縦波斜角探触子によって欠陥端部で生じる回折波の縦波成分を検出し、横波斜角探触子によって回折波の横波成分を検出するものとしてもよい。

0040

また本発明の他の実施形態においては、受波用探触子として、探傷屈折角が可変できる可変角の斜角探触子を用い、該探触子の角度を適切な縦波の探傷屈折角に設定して回折波の縦波成分を検出し、また、該探触子の角度を適切な横波の探傷屈折角に設定して回折波の横波成分を検出するものとしてもよい。

0041

以下、本発明の実施例について説明する。図1において、試験体である対象物3は、長さD=5mmの垂直なスリットきず30を有し、該きず30の上端部30aが対象物3の表面からY=10mmの位置にあるものを用いた。また、送波用に探傷屈折角60°の縦波斜角探触子を用い、受波用には上記実施形態に記載のアレイ探触子を用いた。図2図3は、送波用探触子1と受波用探触子2との間の距離Xを40mmとして、きず30の位置が両者の探触子の位置の中央になるように設定したときの受波信号波形である。図2は、縦波の探傷屈折角が60°になるように、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を合成した例であり、図3は、横波の探傷屈折角が60°になるように、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を合成した例である。これらの検出信号波形から、きず30の上端部30aで生じる回折波の縦波成分と横波成分の受波用探触子2への到達時刻差が△T=3.1(μs)であることが測定され、前記数4式に基づいて、きず30の上端部30aと受波用探触子2との間の距離Lを計算するとL=22.4(mm)となり、実際の距離と一致し、精確に推定することができた。ただし、この試験体における縦波の伝搬速度はCl=5,900(m/s)、ならびに横波の伝搬速度はCs=3,250(m/s)とした。

0042

図4図5は、上記送波用探触子1を固定したまま受波用探触子2を移動して両者間の距離Xを48mmにしたときの受波信号波形である。図4は、縦波の探傷屈折角が60°になるように、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を合成した例であり、図5は、横波の探傷屈折角が60°になるように、アレイ探触子を構成する複数の垂直縦波探触子のそれぞれの受波信号を合成した例である。これらの検出信号波形から、きず30の上端部30aで生じる回折波の縦波成分と横波成分の受波用探触子2への到達時刻差が△T=4.1(μs)であることが測定され、前記数4式に基づいて、きず30の上端部30aと受波用探触子2との間の距離Lを計算するとL=29.6(mm)となり、実際の距離と一致し、精確に推定することができた。
上記実施例のように送受波用探触子の距離を変えて受波用探触子ときず端部との距離を測定することで、きずの位置を推定することも可能である。

図面の簡単な説明

0043

本発明の一実施形態における超音波探傷装置を示す図である。
本発明の超音波探傷による送受波用探触子間距離40mmにおける縦波受波信号を示す図である。
同じく、送受波用探触子間距離40mmにおける横波受波信号を示す図である。
同じく、送受波用探触子間距離48mmにおける縦波受波信号を示す図である。
同じく、送受波用探触子間距離48mmにおける横波受波信号を示す図である。
従来のTOFD法における超音波の伝搬経路の概要を示す説明図である。
同じく、同一の伝搬経路長(伝搬時間)となる、きず端部の位置の概要を示す説明図である。

符号の説明

0044

1送波用探触子
2受波用探触子
3対象物
30 きず
30a上端部
30b下端部

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