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技術 レーリー波を用いた超音波探傷方法及び装置

出願人 羽田野甫株式会社日本製鋼所
発明者 羽田野甫田中秀秋
出願日 2003年8月28日 (17年3ヶ月経過) 出願番号 2003-304012
公開日 2005年3月17日 (15年9ヶ月経過) 公開番号 2005-070011
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析
主要キーワード 下限寸法 理科大 物性的特性 内在欠陥 超音波縦波 伝搬経路長 縦波成分 受波用
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図面 (7)

課題

新しい検査手法として注目されているTOFD法測定可能欠陥高さは波長の3倍程度とされており、より小さな欠陥や欠陥形状などの検出が望まれる。

解決手段

受波用音波探触子受波した超音波のうちから、欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の端部においてレーリー表面波の一部が再びモード変換されて対象物中に再放射された超音波を検出し、検出信号に基づいて欠陥の評価を行う。内在欠陥の表面を伝搬するレーリー波を用いて測定し、計算することにより、以前より小さな欠陥の高さ寸法まで測定することが可能になり、欠陥の形状などの評価も可能となる。

概要

背景

最近、種々の装置や設備の安全性が求められている中で、事故の原因となりかねないきずを非破壊で早く正確に発見することが重要となってきている。非破壊検査法対象物破壊することなくきずや物性的特性を調べる方法であり、非破壊検査法の一種である超音波探傷法は、対象物の外部から超音波入射し、その反射波透過波、あるいは回折波を受信し分析することにより内部を調べるものである。

従来の超音波探傷法は、きずの存在をある程度敏感に検出できたが、きずの形状や大きさに関する情報を得ることは難しかった。そこで、きずの寸法をより精確に測定し得る超音波探傷法としてTOFD(Time of Flight Diffraction)法が期待されている。TOFD法では、一対の送波用の超音波探触子受波用の超音波探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて対向して配置し、送波用探触子から対象物中に超音波を放射する。対象物の表面を直接伝わる波(ラテラル波)、そして対象物の底面から反射された底面反射波とともに、対象物中にきずが存在する場合にきずの端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信し、これらの波の伝搬時間を基にきずの位置や寸法を測定しようとするものである。

従来の超音波探傷試験におけるきずの寸法測定には、デシベルドロップ法、評価レベル法、DGS法などが広く用いられてきた。これらの手法は、探触子の移動距離エコー高さに基づいた評価を行なうため、探触子のビームピロフィール走査ピッチ、あるいは欠陥傾き角度などによって、測定精度が影響を受けることを避け得なかった。これに対し上記TOFD法は、比較的高精度の測定が可能な伝搬時間を利用するため、きず寸法測定の精度の向上を期待できることになる。

図6は、TOFD法における種々の波の伝搬経路概要を示している。測定対象物30の表面に一定距離を隔てて一対の送波用探触子10と受波用探触子20とを配置し、その間に、高さDのスリット状の垂直なきず31が存在する場合を想定する。このとき受波用の探触子20によって、まず対象物30の表面を直接伝わるラテラル波LTが受信され、続いてきずの上端31a(超音波探触子10,20を配置した表面に近い側のきずの端部)からの上端回折波LUそしてきずの下端31b(超音波探触子10,20を配置した表面に遠い側のきずの端部)からの下端回折波LLが受信される。各々の信号の受信時刻に基づいて、きず31の上端31aの位置Z(表面からの距離)及び下端31bの位置[Z+D](表面からの距離)が求められる。ここで説明を簡略化するため例えばきず31が送波用探触子10と受波用探触子20の間の中央にある場合を想定すると、各探触子と傷との間の表面に沿った距離をそれぞれX、YとしてX=Y(Sとする)であるから、以下の数1、2の式が得られる。

ただし、式中、TluとTllは各々、上端回折波と下端回折波について、送波用探触子から超音波として放射されきず端部で回折した後、回折波として受波用探触子に至るまでの伝搬時間、Vlは対象物における縦波の伝搬速度である。これらの数1,2の式から、きずの高さDは例えば次式によって推定される。

従って、DがZに比べて十分小さい場合(D≪Z)には、きずの高さDは、下記数4の式で近似的に与えられる。

ただし、式中、θは回折波が受波用探触子に入射する際の平均的な入射角である。このとき上端回折波と下端回折波について、送波用探触子から超音波として放射され、回折波として受波用探触子に至るまでの伝搬時間の差は、上記数4の式を変形して次式のようになる。したがって検出される時間差は、きずの高さに起因している(例えば非特許文献1)。

高橋 雅和著、「超音波斜角傷法の研究」、東京理科大博士論文(2002年9月)

概要

新しい検査手法として注目されているTOFD法で測定可能な欠陥高さは波長の3倍程度とされており、より小さな欠陥や欠陥形状などの検出が望まれる。受波用超音波探触子で受波した超音波のうちから、欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の端部においてレーリー表面波の一部が再びモード変換されて対象物中に再放射された超音波を検出し、検出信号に基づいて欠陥の評価を行う。内在欠陥の表面を伝搬するレーリー波を用いて測定し、計算することにより、以前より小さな欠陥の高さ寸法まで測定することが可能になり、欠陥の形状などの評価も可能となる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

対となる送波用の超音波探触子受波用の超音波探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波を放射し、対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、前記受波用超音波探触子で受波した超音波のうちから、前記欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、該欠陥の端部においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換されることによって対象物中に再放射された超音波を検出し、その検出信号に基づいて欠陥の評価を行うことを特徴とするレーリー波を用いた超音波探傷方法。

請求項2

再放射された前記超音波を欠陥の少なくとも一つの端部で生じる回折波とともに検出し、再放射された前記超音波と前記回折波とが、送波用探触子から超音波として放射されて受波用探触子へ至る伝搬時間に基づいて、前記欠陥の内表面に添った寸法を推定することを特徴とするレーリー波を用いた請求項1記載の超音波探傷方法。

請求項3

送波用探触子から対象物中に放射する超音波が主として縦波であり、欠陥の端部で生じた回折波の主として縦波成分と、欠陥の端部で再放射された前記超音波の主として縦波成分とを各々検出することを特徴とする上記請求項1または2に記載のレーリー波を用いた超音波探傷方法。

請求項4

次の近似式(a)、(b)のいずれかまたは両方によって欠陥の内面に沿った長さDを推定することを特徴とするレーリー波を用いた超音波探傷方法。ただし、Tlr:送波用探触子から放射された超音波縦波成分が、送波用探触子から、欠陥の一端に入射してその超音波縦波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再び超音波にモード変換されて対象物中に再放射されて超音波縦波成分として受波用探触子に至る伝搬時間。Tlu:送波用探触子から放射された超音波縦波成分が、送波用探触子から、欠陥の上端(超音波探触子を配置した表面に近い側の欠陥の端部)で回折され回折波縦波成分として受波用探触子に至る伝搬時間。Tll:送波用探触子から放射された超音波縦波成分が、送波用探触子から、欠陥の下端(超音波探触子を配置した表面に遠い側の欠陥の端部)で回折され回折波縦波成分として受波用探触子に至る伝搬時間。Vr:対象物におけるレーリー表面波の伝搬速度。Vl:対象物における縦波の伝搬速度。θ:上記各縦波成分が受波用探触子に入射するときの平均的な入射角

請求項5

前記送波用探触子および受波用探触子の内いずれか一つの探触子を単独にもしくは両者の探触子を同時に、送波用探触子および受波用探触子を結ぶ線にほぼ平行な方向に沿って前後方向に走査しつつ前記送波用探触子から超音波を放射するとともに前記受波用探触子で受波をし、その際に探触子の位置とともに振幅周期的に変動する検出信号をもって、該検出信号が欠陥の内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波の受波信号であると判別することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーリー波を用いた超音波探傷方法。

請求項6

対となる送波用の超音波探触子と受波用の超音波探触子とを備え、さらに前記送波用超音波探触子から放射され、対象物の欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換されることによって対象物中に再放射された超音波を検出可能な手段を備えることを特徴とするレーリー波を用いた超音波探傷装置

請求項7

前記検出する手段は、再放射された前記超音波とともに欠陥の端部で回折された回折波の検出が可能であることを特徴とする請求項6記載のレーリー波を用いた超音波探傷装置。

技術分野

0001

本発明は、対象物の外部から超音波入射し、その反射波透過波、あるいは回折波により対象物を破壊することなく内部の欠陥物性的特性を調べる超音波探傷方法及びその装置に関する。

背景技術

0002

最近、種々の装置や設備の安全性が求められている中で、事故の原因となりかねないきずを非破壊で早く正確に発見することが重要となってきている。非破壊検査法は対象物を破壊することなくきずや物性的特性を調べる方法であり、非破壊検査法の一種である超音波探傷法は、対象物の外部から超音波を入射し、その反射波や透過波、あるいは回折波を受信し分析することにより内部を調べるものである。

0003

従来の超音波探傷法は、きずの存在をある程度敏感に検出できたが、きずの形状や大きさに関する情報を得ることは難しかった。そこで、きずの寸法をより精確に測定し得る超音波探傷法としてTOFD(Time of Flight Diffraction)法が期待されている。TOFD法では、一対の送波用の超音波探触子受波用の超音波探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて対向して配置し、送波用探触子から対象物中に超音波を放射する。対象物の表面を直接伝わる波(ラテラル波)、そして対象物の底面から反射された底面反射波とともに、対象物中にきずが存在する場合にきずの端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信し、これらの波の伝搬時間を基にきずの位置や寸法を測定しようとするものである。

0004

従来の超音波探傷試験におけるきずの寸法測定には、デシベルドロップ法、評価レベル法、DGS法などが広く用いられてきた。これらの手法は、探触子の移動距離エコー高さに基づいた評価を行なうため、探触子のビームピロフィール走査ピッチ、あるいは欠陥の傾き角度などによって、測定精度が影響を受けることを避け得なかった。これに対し上記TOFD法は、比較的高精度の測定が可能な伝搬時間を利用するため、きず寸法測定の精度の向上を期待できることになる。

0005

図6は、TOFD法における種々の波の伝搬経路概要を示している。測定対象物30の表面に一定距離を隔てて一対の送波用探触子10と受波用探触子20とを配置し、その間に、高さDのスリット状の垂直なきず31が存在する場合を想定する。このとき受波用の探触子20によって、まず対象物30の表面を直接伝わるラテラル波LTが受信され、続いてきずの上端31a(超音波探触子10,20を配置した表面に近い側のきずの端部)からの上端回折波LUそしてきずの下端31b(超音波探触子10,20を配置した表面に遠い側のきずの端部)からの下端回折波LLが受信される。各々の信号の受信時刻に基づいて、きず31の上端31aの位置Z(表面からの距離)及び下端31bの位置[Z+D](表面からの距離)が求められる。ここで説明を簡略化するため例えばきず31が送波用探触子10と受波用探触子20の間の中央にある場合を想定すると、各探触子と傷との間の表面に沿った距離をそれぞれX、YとしてX=Y(Sとする)であるから、以下の数1、2の式が得られる。

0006

0007

0008

ただし、式中、TluとTllは各々、上端回折波と下端回折波について、送波用探触子から超音波として放射されきず端部で回折した後、回折波として受波用探触子に至るまでの伝搬時間、Vlは対象物における縦波の伝搬速度である。これらの数1,2の式から、きずの高さDは例えば次式によって推定される。

0009

0010

従って、DがZに比べて十分小さい場合(D≪Z)には、きずの高さDは、下記数4の式で近似的に与えられる。

0011

0012

ただし、式中、θは回折波が受波用探触子に入射する際の平均的な入射角である。このとき上端回折波と下端回折波について、送波用探触子から超音波として放射され、回折波として受波用探触子に至るまでの伝搬時間の差は、上記数4の式を変形して次式のようになる。したがって検出される時間差は、きずの高さに起因している(例えば非特許文献1)。

0013

高橋 雅和著、「超音波斜角傷法の研究」、東京理科大博士論文(2002年9月)

発明が解決しようとする課題

0014

上記のようにTOFD法では、例えば数3式ないし数4式で示されるように、きずの上端回折波と下端回折波の伝搬時間差に基づいてきずの位置と寸法を測定しようとするものである。しかしきずの高さDが小さくなると例えば数5式で示されるように、上端回折波と下端回折波の伝搬時間の差、つまりTll−Tluが小さくなる。その結果、上端回折波と下端回折波の受波信号が時間的に重なるようになり、両者を判別して伝搬時間の差に基づいてきずの寸法Dを推定するのが困難になるという問題があった。このため非特許文献1に記載されているように、例えば5MHzの超音波による鉄鋼材料を対象としたTOFD法では一般に、探傷条件にもよるが概ね3mmがきずの高さの測定の下限寸法とされており、これより小さなきずの寸法測定は困難な状況にあった。また従来のTOFD法では、きずの上端と下端の位置が仮に推定できたとしても、きずの形状や状態の評価を行うための情報を得ることは困難であった。

0015

本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、レーリー波を利用することでこれらの問題を解決してより微小なきずなどの欠陥の寸法測定を可能にし、併せて欠陥の評価も行うことを可能にする超音波探傷方法およびその装置を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0016

以上説明したように、本発明のレーリー波を用いた超音波探傷方法のうち、請求項1記載の発明は、対となる送波用の超音波探触子と受波用の超音波探触子を、対象物の表面に一定距離を隔てて配置し、前記送波用探触子から対象物中に超音波を放射し、対象物中に欠陥が存在する場合に欠陥の端部に入射した超音波によって生じる回折波を受波用探触子で受信することによって超音波探傷を行う超音波探傷方法において、
前記受波用超音波探触子で受波した超音波のうちから、前記欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の端部においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換されることによって対象物中に再放射された超音波を検出し、その検出信号に基づいて欠陥の評価を行うことを特徴とする。

0017

請求項2記載のレーリー波を用いた超音波探傷方法は、請求項1記載の発明において、再放射された前記超音波を欠陥の少なくとも一つの端部で生じる回折波とともに検出し、再放射された前記超音波と前記回折波とが、送波用探触子から超音波として放射されて受波用探触子へ至る伝搬時間に基づいて、前記欠陥の内表面に添った寸法を推定することを特徴とする。

0018

請求項3記載のレーリー波を用いた超音波探傷方法は、請求項1または2に記載の発明において、送波用探触子から対象物中に放射する超音波が主として縦波であり、欠陥の端部で生じた回折波の主として縦波成分と、欠陥の端部で再放射された前記超音波の主として縦波成分を各々検出することを特徴とする。

0019

請求項4記載のレーリー波を用いた超音波探傷方法の発明は、次の近似式(a)、(b)のいずれかまたは両方によって欠陥の内面に沿った長さDを推定することを特徴とするレーリー波を用いた超音波探傷方法。

0020

0021

0022

ただし、
Tlr:送波用探触子から放射された超音波縦波成分が、送波用探触子から、欠陥の一端に入射してその超音波縦波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再び超音波にモード変換されて対象物中に再放射されて超音波縦波成分として受波用探触子に至る伝搬時間。
Tlu:送波用探触子から放射された超音波縦波成分が、送波用探触子から、欠陥の上端(超音波探触子を配置した表面に近い側の欠陥の端部)で回折され回折波縦波成分として受波用探触子に至る伝搬時間。
Tll:送波用探触子から放射された超音波縦波成分が、送波用探触子から、欠陥の下端(超音波探触子を配置した表面に遠い側の欠陥の端部)で回折され回折波縦波成分として受波用探触子に至る伝搬時間。
Vr :対象物におけるレーリー表面波の伝搬速度。
Vl :対象物における縦波の伝搬速度。
θ :上記各縦波成分が受波用探触子に入射するときの平均的な入射角。

0023

請求項5記載のレーリー波を用いた超音波探傷方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記送波用探触子および受波用探触子の内いずれか一つの探触子を単独にもしくは両者の探触子を同時に、送波用探触子および受波用探触子を結ぶ線にほぼ平行な方向に沿って前後方向に走査しつつ前記送波用探触子から超音波を放射するとともに前記受波用探触子で受波をし、その際に探触子の位置とともに振幅周期的に変動する検出信号をもって、該検出信号が欠陥の内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波の受波信号であると判別することを特徴とする。

0024

請求項6記載のレーリー波を用いた超音波探傷装置は、 対となる送波用の超音波探触子と受波用の超音波探触子とを備え、さらに前記送波用超音波探触子から放射され、対象物の欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換されることによって対象物中に再放射された超音波を検出可能な手段を備えることを特徴とする。

0025

請求項7記載のレーリー波を用いた超音波探傷装置は、請求項6記載の発明において、前記検出する手段は、再放射された前記超音波とともに欠陥の端部で回折された回折波の検出が可能であることを特徴とする。

発明の効果

0026

以上説明したように、本発明の超音波探傷方法によれば、受波用超音波探触子で受波した超音波のうちから、きずなどの欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換されてレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換されることによって対象物中に再放射された超音波を検出し、その検出信号に基づいて欠陥の評価を行うものとしたので、従来のTOFD法よりもさらに小さな欠陥の寸法測定が行えるようになり、併せて欠陥の評価を行うことができる。
また本発明の超音波探傷装置によれば、上記の再放射された超音波の検出が可能になり、上記効果が確実に得られる。

発明を実施するための最良の形態

0027

本発明者は、TOFD法においてきずなどの欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換してレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換して超音波として対象物中に再放射される現象を見いだした。図1はこの現象をコンピュータシミュレーションによって再現した一例であり、超音波の振動変位ベクトル図を時間を追って示したものである(a図〜d図)。欠陥であるきずの上端に入射した超音波縦波の一部がモード変換してレーリー表面波が生じ、きずの内表面に沿ってきずの下端に向かって伝搬する。下端に到達したレーリー表面波の一部は再びモード変換して下端から超音波として対象物中に再放射され、また一部はきずの下端で反射してきずの内表面に沿って上端に向かって伝搬する。このレーリー表面波が上端に達すると再び再放射と反射が行われ、レーリー表面波が減衰するまで同様の再放射と反射が繰り返される。またきずの下端に入射した超音波縦波によっても同様に、モード変換によるレーリー表面波の発生ときずの内表面に沿った伝搬、そして反射と再放射が繰り返される。この結果、きずの内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波の受波信号からきずに関する多くの情報が得られることになる。

0028

本発明は、きずなどの欠陥の一端に入射した超音波の一部がモード変換してレーリー表面波として欠陥の内表面に沿って伝搬し、欠陥の他端においてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換して超音波として対象物中に再放射される現象を利用して、欠陥の内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波を検出し、その検出信号に基づいて欠陥の寸法測定と評価を行うものである。

0029

図2は、送波用探触子10から放射された超音波縦波Lが対象物30中の垂直なスリット状のきず31の上端31aに入射し、その超音波縦波の一部がモード変換してレーリー表面波Rとしてきず31の内表面に沿って伝搬し、きず31の下端31bにおいてこのレーリー表面波の一部が再びモード変換して超音波縦波Lとして対象物30中に再放射されて受波用探触子20に至る伝搬経路を示したものである。ここで説明を簡略化するため、例えばきずが対となる送波用探触子と受波用探触子の間の中央にある場合を想定する。なお、図5に示す対象物と同様に、きず31の上端31aの位置をZ(表面からの距離)及び下端31bの位置を[Z+D](表面からの距離)とする。また、対象物の表面における探触子と傷との距離をそれぞれX、Yとすると、X=Y(Sとする)であるので、上記再放射された超音波に関し、送波用探触子10から受波用探触子20に至るまでの伝搬時間Tlrは、次式によって与えられる。式中、Vrは対象物におけるレーリー表面波の伝搬速度である。

0030

0031

なおここでは、きずが一対の探触子の間の中央にある場合を想定しているので、先ずきずの上端に入射し、レーリー表面波としてきず表面を伝搬した後、きずの下端から再放射された超音波の伝搬時間Tlrと、先ずきずの下端に入射し、レーリー表面波としてきず表面を伝搬した後、きずの上端から再放射された超音波の伝搬時間は互いに等しくなり、両者各々の伝搬経路を経た超音波が同時に重畳して受信されることになる。そして、送波用探触子および受波用探触子の内いずれか一つの探触子を単独に、もしくは両者の探触子を同時に前後方向(送波用探触子および受波用探触子を結ぶ線にほぼ平行な方向)に移動すると、レーリー表面波から再びモード変換した超音波の受波信号の振幅は、探触子の位置によって周期的な変動を呈する。これは最初にきずの上端に入射してきずの下端から再放射された超音波の伝搬経路長と、最初にきずの下端に入射してきずの上端から再放射された超音波の伝搬経路長が、探触子の移動に伴って互いに異なった変化をするため、両者の経路を経た超音波が干渉し、加算されて受信されるためである。これに対し、上端回折波と下端回折波の振幅は、探触子の位置の移動による伝搬距離の変化に対応してなだらかな変化を示す。

0032

本発明では、送波用探触子および受波用探触子の内いずれか一つの探触子を単独に、もしくは両者の探触子を同時に上記前後方向に走査しながら超音波受波信号を探触子の位置の変化とともに記録・測定する機能を提供し、上記の特性を利用することによって、上端回折波あるいは下端回折波等の受波信号と、きずなどの欠陥の内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波の受波信号を判別することができる。
なお、欠陥の内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波に関し、送波用探触子から受波用探触子に至る伝搬時間Tlrと、欠陥の上端回折波に関し、送波用探触子から受波用探触子に至る伝搬時間Tluとの間の時間差は次式のようになる。

0033

0034

したがって欠陥の内表面に沿った長さDは、上記TlrとTluの時間差から下記数10の式のように求められる。

0035

0036

一方、上記の伝搬時間Tlrと、欠陥の下端回折波の送波用探触子から受波用探触子に至る伝搬時間Tllとの間の時間差は次式のようになる。

0037

0038

したがって、欠陥内表面に沿った長さDはTlrとTllの時間差から下記のようにも求められる。

0039

0040

同一の欠陥について、従来のTOFD法により例えば上端回折波および下端回折波に着目して数3の式または数4の式によって求めた欠陥の高さD(以下D1とする)と、本発明の数10の式または数12の式によって求めた欠陥の内表面に沿った長さD(以下D2とする)を比較することによって、欠陥の状況を評価することもできる。D1≒D2の場合には欠陥がほぼ直線状をしていることが推定され、D1<D2の場合には欠陥が直線状でなく例えば湾曲していることが推定され、またD1>D2の場合には欠陥が上端と下端の間で途切れていることが推定される。さらに上端回折波および下端回折波は受信されるものの、欠陥の内表面に沿って伝搬したレーリー表面波により再放射された超音波が探触子の位置に関わらず微弱であったり受信されない場合は、欠陥が閉じた状態もしくはそれに近い状態にあることが推定される。

0041

縦波の伝搬速度Vlとレーリー表面波の伝搬速度Vrの比は材料によって異なるが、例えば鉄鋼材料の場合には2.1(Vl≒2.1Vr)程度とされる。従って例えば超音波の入射角θが60°の場合を想定するとcosθ=0.5になるので、微小な欠陥に対してレーリー表面波から再びモード変換した超音波縦波の伝搬時間Tlrと例えば下端回折波の伝搬時間Tllとの時間差は、数11の式から次式のようになる。

0042

0043

一方、従来のTOFD法で用いる例えば下端回折波の伝搬時間Tllと上端回折波の伝搬時間Tluの時間差は、同じ条件の下で数5の式から次式のようになる。

0044

0045

したがって本発明においては前記条件において従来のTOFD法に比べて同一の欠陥について約1.6倍の時間差を確保できるので、各々の超音波信号の伝搬時間を測定する時間分解能が同一の場合、本発明において従来のTOFD法に比べて約0.6(≒1/1.6)倍の、より小さい欠陥まで寸法測定ができることになる。

0046

以下、本発明の一実施例について説明する。
図3は、本発明の超音波探傷装置の概略図であり、送波用探触子10と受波用探触子20とを備えている。前記送波用探触子10は、送波用制御部1に接続され、受波用探触子20は、受波用制御部2に接続されている。前記送波用制御部1と受波用制御部2とは、一体に構成され、それぞれが送波用探触子10と受波用探触子20とを制御し、また、受波した受波信号の信号処理がなされる。
送波用制御部1と受波用制御部2とは、共通するタイマ(図示しない)を備え、送波用探触子10から放射された超音波が、受波用探触子20で受波されるまでの時間の測定が可能になっている。また、受波用制御部2には、受波信号に基づいて波形を表示するための表示部3が接続されている。表示部3には、CRT、LCD等の適宜の表示装置を用いることができる。また、表示部3をタッチパネルによって構成し、ユーザによる入力を可能にするものであってもよい。

0047

次に、上記超音波探傷装置の動作について説明する。
送波用制御部1の制御によって送波用探触子10から対象物30に対し、所望の超音波が放射される。対象物30にきず31が存在すると、前記で説明したようにこのきず31によって回折波やきずの表面を伝搬するレーリー波が生じ、さらにレーリー波は、超音波として再放射される。これらの回折波や再放射された超音波は、受波用探触子20で受波され、受波信号が受波用制御部2に送られる。受波用制御部2では、この受波信号に基づいて表示部3を制御し、受波パターンを表示部3に表示可能とする。表示部3では、受波されたパターンに基づいて再放射された超音波および回折波を認識することができる。したがって、受波用制御部2および表示部3は、再放射された前記超音波と、きずの端部で回折された回折波の検出が可能な手段としても機能している。なお、受波用制御部2では、再放射された前記超音波と、きずの端部で回折された回折波の検出に基づいて、前記タイマにより、再放射された前記超音波と前記回折波とが送波用探触子から超音波として放射されて受波用探触子へ至る伝搬時間を得て、きずの内表面に添った寸法を算出する演算部として機能させることもできる。なお、受波用制御部2では、受波信号に基づいて、再放射された前記超音波と、きずの端部で回折された回折波の検出を行う機能を持たせることもできる。

0048

図4は、本発明の第1実施例において高さ3mmの垂直なスリット状のきずを含む試験体を対象にして、5MHzの超音波縦波を放射し、受波用探触子によって回折波等を受信した縦波超音波信号波形の例である。ラテラル波(LT)、上端回折波(LU)、下端回折波(LL)に続いてきずの内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波縦波(LR)が記録されている。本実施例ではきずの高さが小さいので上端回折波と下端回折波の受波信号が重畳しているため、従来のTOFD法できずの高さを推定するのが困難な例である。しかし本発明においては、上端回折波の縦波成分の受信時刻ときずの内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波縦波の受信時刻との時間差を基に数10の式を適用して、きずの内面に沿った長さを精確に推定できた。

0049

図5は本発明の第2実施例において未知のきずを含む試験体を対象にして、5MHzの超音波縦波を放射し、受波用探触子によって受波した縦波超音波の信号波形の例である。ラテラル波(LT)、上端回折波(LU)、下端回折波(LL)に続いてきずの内表面に沿って伝搬したレーリー表面波によって再放射された超音波縦波(LR)が記録されている。ここでは上端回折波、下端回折波が分離して記録されているので従来のTOFDにより、例えば数3の式あるいは数4の式を適用して、きずの高さが約5mmであると推定した。一方本発明により例えば数10の式あるいは数12の式を適用して、きずの内表面に沿った長さが約7mmと推定された。従ってここではきずの形状が例えば直線状ではなく湾曲していることが推定される。

図面の簡単な説明

0050

(a)〜(d)図は、欠陥の内表面を伝搬するレーリー表面波のシミュレーション結果を経過時間に従って示す図である。
本発明における欠陥の内表面に沿って伝搬するレーリー表面波を含む超音波の伝搬経路の概要図である。
本発明の超音波探傷装置の実施例を示す図である。
同じく第1実施例における受波信号波形を示す図である。
同じく第2実施例における受波信号波形を示す図である。
従来のTOFD法で利用される超音波の伝搬経路の概要を示す図である。

符号の説明

0051

1送波用制御部
2受波用制御部
3 表示部
10 送波用探触子
20 受波用探触子
30対象物
31 きず
31a きずの上端
31b きずの下端

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