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技術 軟質オーステナイト系ステンレス鋼

出願人 日新製鋼株式会社
発明者 宮楠克久大久保直人鈴木聡
出願日 2004年10月18日 (16年3ヶ月経過) 出願番号 2004-302582
公開日 2005年3月17日 (15年10ヶ月経過) 公開番号 2005-068560
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 非鉄金属合金 スリーバー 耐発銹性 界面結合力 電気亜鉛メッキ 試験片寸法 耳切れ 成形用素材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年3月17日)のものです。
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図面 (6)

課題

表面処理鋼板を上回る耐食性とSUS304並みの熱間加工性を確保したNi低減型の安価な軟質オーステナイト系ステンレス鋼を提供する。

解決手段

質量%で、C:0.04%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.7〜5.0%、Cr:15〜20%、Ni:5〜9%未満、N:0.035%以下、Cu:1.0〜5.0%を含み、S含有量を0.0060%以下好ましくは0.0030%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)式および(2)式の関係を満足し、焼鈍後の状態でHv130以下の硬さとなる軟質オーステナイト系ステンレス鋼。 d値=1.9Ni+32C+27N+0.15(Mn+Cu)−1.5Cr+8.5≦0 …(1) a値=Ni+0.5Cr+0.7(Mn+Cu)−18>0 …(2)

概要

背景

従来より、自動車部材器物ならびに建築用内外板などの薄板成形用素材には、加工性および経済性の観点から普通鋼もしくはその表面処理鋼板が多用されている。最近では意匠性耐食性の向上の要求から、これら普通鋼もしくはその表面処理鋼板が使用される分野において、これら素材ステンレス鋼化が指向される用途も多い。しかしステンレス鋼は普通鋼のように一般に軟質ではない。このため普通鋼の加工用に使用されていた設備ではトルク不足など加工に不都合が生じて適用が困難であるという問題があった。

オーステナイト系ステンレス鋼の軟質化を図った例として、特許文献3では、不純物元素を低減するとともにNi含有量を9.0%以上に増加させることで、Hv130以下、引張強さ55kgf/mm2以下の軟質な特性を実現したオーステナイト系ステンレス鋼を開示している。
また、特許文献4では、Crを15%未満に低減してコスト低下を図り、その分Ni、Mn、Cuの含有量下限値を厳しく制限することによって軟質化を達成したオーステナイト系ステンレス鋼を開示している。

特開昭52−7317号公報
特開昭64−21038号公報
特開平4−72038号公報
特開平6−279955号公報

概要

表面処理鋼板を上回る耐食性とSUS304並みの熱間加工性を確保したNi低減型の安価な軟質オーステナイト系ステンレス鋼を提供する。質量%で、C:0.04%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.7〜5.0%、Cr:15〜20%、Ni:5〜9%未満、N:0.035%以下、Cu:1.0〜5.0%を含み、S含有量を0.0060%以下好ましくは0.0030%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)式および(2)式の関係を満足し、焼鈍後の状態でHv130以下の硬さとなる軟質オーステナイト系ステンレス鋼。 d値=1.9Ni+32C+27N+0.15(Mn+Cu)−1.5Cr+8.5≦0 …(1) a値=Ni+0.5Cr+0.7(Mn+Cu)−18>0 …(2)

目的

そこで本発明は、普通鋼もしくはその表面処理鋼板または黄銅等の非鉄金属合金が使用されている分野で適用可能な程度に軟質化を図ったオーステナイト系ステンレス鋼において、Ni量を低減してコストを抑え、しかも表面処理鋼板を上回る耐食性を付与し、なおかつ、熱間加工性をSUS304並みに高めて表面欠陥の発生を防止し意匠性を重要視する用途にも歩留り良く適用可能なオーステナイト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

質量%で、C:0.04%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.7〜5.0%、Cr:15〜20%、Ni:5〜9%未満、N:0.035%以下、Cu:1.0〜5.0%を含み、S含有量を0.0060%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)式および(2)式の関係を満足し、焼鈍後の状態でHv130以下の硬さとなる軟質オーステナイト系ステンレス鋼。d値=1.9Ni+32C+27N+0.15(Mn+Cu)−1.5Cr+8.5≦0…(1)a値=Ni+0.5Cr+0.7(Mn+Cu)−18>0…(2)

請求項2

S含有量を0.0030%以下に制限した請求項1に記載の軟質オーステナイト系ステンレス鋼。

技術分野

0001

本発明は、軟質加工性が良好なオーステナイト系ステンレス鋼であって、特に熱間圧延時の表面疵発生を抑制して意匠性の要求される建材用途にも好適に使用できる軟質なオーステナイト系ステンレス鋼に関するものである。

背景技術

0002

従来より、自動車部材器物ならびに建築用内外板などの薄板成形用素材には、加工性および経済性の観点から普通鋼もしくはその表面処理鋼板が多用されている。最近では意匠性や耐食性の向上の要求から、これら普通鋼もしくはその表面処理鋼板が使用される分野において、これら素材ステンレス鋼化が指向される用途も多い。しかしステンレス鋼は普通鋼のように一般に軟質ではない。このため普通鋼の加工用に使用されていた設備ではトルク不足など加工に不都合が生じて適用が困難であるという問題があった。

0003

オーステナイト系ステンレス鋼の軟質化を図った例として、特許文献3では、不純物元素を低減するとともにNi含有量を9.0%以上に増加させることで、Hv130以下、引張強さ55kgf/mm2以下の軟質な特性を実現したオーステナイト系ステンレス鋼を開示している。
また、特許文献4では、Crを15%未満に低減してコスト低下を図り、その分Ni、Mn、Cuの含有量下限値を厳しく制限することによって軟質化を達成したオーステナイト系ステンレス鋼を開示している。

0004

特開昭52−7317号公報
特開昭64−21038号公報
特開平4−72038号公報
特開平6−279955号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献3の鋼はNi含有量が高いため、普通鋼やその表面処理鋼板と比べてコスト面でかなり不利である。また特許文献4の鋼は普通鋼のアルミキルド鋼を上回る耐発銹性を有しているものの、やはりCr含有量が低いために表面処理鋼板並みの耐食性(特に発銹までの持続時間すなわち耐久性)を示すには至っていない。

0006

さらに、従来の軟質オーステナイト系ステンレス鋼においては、その「軟質化」を重視するあまりオーステナイト生成元素を多く添加する傾向にあり、そのことも一因して熱間圧延時に耳割れが生じたり「スリーバー疵」と呼ばれる表面疵が発生するといった、熱間加工性低下に伴うトラブルが問題となることも多かった。このような表面欠陥は意匠性を意図する用途においては特に嫌われる。

0007

そこで本発明は、普通鋼もしくはその表面処理鋼板または黄銅等の非鉄金属合金が使用されている分野で適用可能な程度に軟質化を図ったオーステナイト系ステンレス鋼において、Ni量を低減してコストを抑え、しかも表面処理鋼板を上回る耐食性を付与し、なおかつ、熱間加工性をSUS304並みに高めて表面欠陥の発生を防止し意匠性を重要視する用途にも歩留り良く適用可能なオーステナイト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的は、質量%で、C:0.04%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.7〜5.0%、Cr:15〜20%、Ni:5〜9%未満、N:0.035%以下、Cu:1.0〜5.0%を含み、S含有量を0.0060%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)式および(2)式の関係を満足し、焼鈍後の状態でHv130以下の硬さとなる軟質オーステナイト系ステンレス鋼によって達成できる。
d値=1.9Ni+32C+27N+0.15(Mn+Cu)−1.5Cr+8.5≦0 …(1)
a値=Ni+0.5Cr+0.7(Mn+Cu)−18>0 …(2)
また本発明は、上記ステンレス鋼のうち特にS含有量を0.0030%以下に制限したもの提供する。

発明の効果

0009

本発明の軟質オーステナイト系ステンレス鋼は、[1]普通鋼やその表面処理鋼板または黄銅等の非鉄金属合金が使用されている分野で適用可能な程度に十分軟質であり、[2]熱間加工性を改善したので表面品質の良好な製品を安定して供給でき、[3] 表面処理鋼板を上回る耐食性を示すものである。しかも、このような優れた特性を、Niを9%未満に低減した鋼において実現した。したがって、本発明は、意匠性を重視する用途をはじめ多くの用途に適用できる安価で汎用性の高い軟質オーステナイト系ステンレス鋼を提供し、その普及に寄与するものである。

発明を実施するための最良の形態

0010

以下、試験結果を基に、本発明を特定する事項について説明する。試料は次のようにして作製した。
表1に示す各種合金元素含有量を変化させた鋼No.1〜24を溶製し、各鋼を1250℃で鍛造後抽出温度1230℃で熱間圧延を施して板厚3.2mmの熱延鋼板を得た。この熱延鋼板に1150℃、均熱1分の熱延板焼鈍および酸洗を施し、その後1.4mm厚まで冷間圧延し、1050℃均熱1分の中間焼鈍および酸洗を施し、さらに0.7mm厚まで仕上げ冷間圧延し、1050℃均熱1分の仕上げ焼鈍および酸洗を施した。このようにして冷延鋼板焼鈍材)を得た。

0011

(耐食性)
上記冷延鋼板から150×150mmの試験片採取し、JIS Z2371の塩水噴霧試験を行った。塩水噴霧試験は5%NaCl溶液を35℃で噴霧し、赤錆発生目視により判定し、それまでに要した時間で評価した。なお比較材として亜鉛めっき厚さ8μm、クロメート皮膜0.5g/m2の電気亜鉛めっき普通鋼板を用いた。

0012

試験結果を表2に示す。また図1にはその結果をCr含有量と赤錆発生時間の関係がわかるようにして示す。表2および図1からわかるように、比較に用いた電気亜鉛めっき普通鋼板の赤錆発生に至る時間は260hrである。そして、Cr含有量が15%以上のとき、赤錆発生までの耐久時間はこれよりも長くなり、電気亜鉛めっき普通鋼板より高い耐食性を示すようになる。したがって、本発明ではCr含有量を15%以上に規定する。

0013

(熱間加工性)
表1に示す鋼No.1〜24について、鋳造スラブ柱状晶部から、厚さ30mm、幅140mm、長さ150mmのインゴット切り出し、レバース型圧延機による熱間圧延を実施し、熱間加工性の評価を行った。表3に圧延条件を示す。耳切れが発生したパス数を目視にて確認し、熱間加工性の評価指標とした。さらに、熱延後の鋼板表面に生成する表面欠陥であるスリーバー疵を数え、単位面積当たりのスリーバー数を評価指標とした。

0014

その結果を表2および図2に示す。図2からは興味深い結果がわかる。すなわち、(1)式で定義したd値が増すとともに耳切れの発生に至るパス数が低下し、スリーバーの発生が増加する。そして、d値と熱間加工性の間には明瞭な相関関係があり、特に、スリーバー疵発生数はd値と明瞭な直線関係を示す。つまりd値は熱間圧延に起因する表面欠陥の発生の程度を非常に精度良く評価できる指標であると言える。

0015

軟質ステンレス鋼をその表面肌の美麗さを生かした用途に適用しようとすれば、熱延時に耳切れの発生がなく、しかもスリーバー疵の発生は多くとも10ケ/m2以下に抑えなくては、表面処理鋼板や非鉄金属合金等の従来材と比べて品質面で優位に立てない。図2からわかるように、本発明者らはこのd値が0以下であるように成分調整されたオーステナイト系ステンレス鋼において、耳切れが発生せずかつスリーバーの発生が10ケ/m2以下となるような鋼板を安定して製造できることを見出した。この点が本発明の基本的な特徴の一つである。
さらにd値が0以下でS含有量を低減した鋼No.7は、熱間圧延によるスリーバー発生数が0ケ/m2であり、より一層優れた品質が得れれる。
一方、S含有量が0.0060%を超える鋼No.10は、d値が0以下であるにもかかわらず耳切れが発生し、スリーバー発生数も10ケ/m2を超えている。

0016

オーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性の劣化は、熱間圧延温度域におけるSがオーステナイト粒界またはオーステナイト相δフェライト相の界面に偏析し、これら粒界や界面の結合力を低下させることに起因すると考えられる。一方、δフェライトはオーステナイト相に比べSの固溶度が高いと考えられる。(1)式から明かなように、オーステナイト生成元素含有量の低下とともにd値は低下する。すなわちd値が低い成分組成では、熱間圧延温度域におけるδフェライト生成量が増す。そしてd値が0以下の成分組成において、熱間圧延温度域で適度な量に生成したδフェライト相がSを固溶し、よってオーステナイト相とδフェライト相の界面結合力が増すため熱延時の変形能が向上し、その結果、耳切れ発生をなくしスリーバーの発生を10ケ/m2に低減できるものと推察される。

0017

d値が0以下でかつS含有量が0.0020%以下である前記鋼No.7において熱間加工性が非常に向上したのは、δフェライトによるSの固溶に加え、元来鋼中に存在するS含有量が低いため、オーステナイト相とδフェライト相との界面結合力の低下がより一層抑制された結果によると考えられる。逆にd値が0以下であるにもかかわらずS含有量が0.0060%を超える前記鋼No.10では、δフェライトによるS固溶によっても界面に偏析するSが充分に吸収しきれず、その結果、良好な熱間加工性が得られなかったと考えられる。

0018

(軟質な特性)
前記冷延鋼板からサンプルを採取し、JIS Z2244に規定されるビッカース硬度測定を実施した。その結果を表2に示す。

0019

図3には鋼No.7〜9、11〜22についてa値と硬さの関係を示す。a値の増加とともに硬さが低下する傾向を示し、a値が0を超えればHv130以下に軟質化されることがわかる。すなわち、Ni含有量が9%未満で1〜5%のCuを含みCr含有量が15%以上で、かつd値が0以下を満たしたオーステナイト系ステンレス鋼において、a値が0を超えるように成分を調整すれば、熱間加工性が良好で且つ硬さがHv130以下の軟質なオーステナイト系ステンレス鋼が得られることを見い出した。この点が本発明の第2の特徴である。
このような成分系でa値が0を超える化学組成としたとき、冷延鋼板のオーステナイト相が安定化するため加工硬化が抑制され、軟質化が達成されると考えられる。

0020

ところで、図3において、鋼No.18や鋼No.21のようにa値が0を超えるものであっても、CおよびN含有量が高いと固溶強化により硬さが上昇することが予想される。そこでd値が0以下を満たしかつa値が0を超えるものについて、CおよびN含有量が硬さに与える影響を調査し、図4および図5の関係を得た。

0021

図4には7Ni−16.5Crをベースとして、N含有量を0.012%〜0.043%まで変化させた鋼No.8、19〜21のビッカース硬さとN含有量の関係を示す。また図5には7Ni−16Crをベ−スとして、C含有量を0.010%〜0.049%まで変化させた鋼No.7、16〜18のビッカース硬さとC含有量の関係を示す。N含有量あるいはC含有量が増加すると硬さは増加する。Hv130以下に軟質化するためには、N量は0.035%以下に、またC量は0.040%以下にする必要があることがわかる。

0022

次に、各成分元素の限定理由について説明する。
C:Cは多量に含まれると固溶強化により0.2%耐力が上昇し、また前述のように硬さが増加する。このため含有量を0.04%以下に制限する。

0023

N:NもCと同様に多量に含まれると固溶強化により0.2%耐力が上昇し、前述のように硬さが増加する。このため含有量を0.035%以下に制限するする。

0024

Si:Siは溶製時、脱酸剤として有効な元素であるが、軟質性を維持するためにはその含有量が低い方が好ましく、1.0%を超えるとHv130以下の硬さを満たすことが難しくなる。このため1.0%以下の含有量(0%は含まず)に規制する必要がある。
さらに、Si含有量を低減することは、曲げ加工における「スプリングバック」を小さくするうえで非常に有効である。一例として、板厚1mmの鋼板について曲げ加工後スプリングバック量を比較してみると、曲げ半径をR、板厚をtとしたときのR/t値が6の場合、市販のSUS304と亜鉛めっき鋼板ではいずれもスプリングバック量が3°であったのに対し、本発明鋼のうちSi含有量を0.5%未満にしたものでは2°となった。またR/t値が10の場合は、市販のSUS304と亜鉛めっき鋼板ではいずれも6°であったのに対し、本発明鋼のうちSi含有量を0.5%未満にしたものでは4°となった。
プレスにより小さな曲げ角の波板成形する屋根外板などの建材用途に適用する場合、Si含有量が0.5%以上になるとスプリングバック量が大きくなるため形状凍結性が劣化し、所望の形状が得られないといった問題を生ずる恐れがある。したがって、建材用途においてはSi含有量を0.5%未満とすることが好ましい。

0025

Mn:Mnは含有量の増加とともに0.2%耐力が低下するため軟質化には好ましいが、多量に含有すると製鋼時の耐火物損傷を招き、また介在物が増加して製品の意匠性を損ねる恐れがある。したがって、軟質化の効果が飽和する5.0%以下の含有量(0%は含まず)に規定する。

0026

S:Sは含有量の増加とともに熱間加工性が劣化するため、0.0060%以下の含有量に制限する。また、より一層の熱間加工性向上を目的とする場合は0.0030%以下に制限することが好ましい。

0027

Ni:Niはオーステナイト系ステンレス鋼には必要不可欠な元素であり、少なくとも5%は必要とする。その含有量の増加とともにより軟質な特性を示す。しかしNiは高価な元素であり、9.0%未満の含有により軟質性は達成可能であることから、低廉化を意図する本発明ではその上限を9.0%未満とする。

0028

Cr:Crは耐食性の点から、15%以上とすることが必要である。しかし軟質化の点から、多量に含有すると硬さが増加するため、その上限を20%以下とする。

0029

Cu:Cuは軟質化、成形性ともに向上に寄与する有用な元素であり、その効果を得るには1.0%以上を必要とする。さらにNi低減を意図する本発明においては、2.0%を超えるCu含有量とすることによってNi含有量の自由度が拡大し、Niをその下限値である5%近くまで低減することが容易になり、より一層コスト低減に寄与できる。このため、Cu含有量の下限は1.0%とするが、2.0%を超えて含有させることが望ましい。一方、過剰の含有は熱間加工性に悪影響を及ぼすので、含有量の上限を5.0%とする。

0030

Mo:本発明においてMoは必須添加元素ではないが、Moは耐食性向上に有用な元素であるため、特に屋根や外板などの建材等の用途に適用する場合にはMoを添加することが効果的である。ただし、3.0%を超えると硬さの上昇を招くので、Moを添加する場合は3.0%以下の範囲とすることが好ましい。

0031

表4に示す鋼No.25〜33を溶製し、各鋼を1250℃で鍛造後、抽出温度1230℃で熱間圧延を施して板厚3.2mmの熱延鋼板を得た。この熱延鋼板に1150℃、均熱1分の熱延板焼鈍および酸洗を施し、その後1.4mm厚まで冷延し、1050℃均熱1分の中間焼鈍および酸洗を施し、その後0.7mm厚まで再び冷間圧延し、1050℃均熱1分の仕上げ焼鈍および酸洗を施した。

0032

得られた仕上げ冷延板からサンプルを採取し、ビッカース硬さを測定した。また鋳造スラブの柱状晶部より、厚さ30mm、幅140mm、長さ150mmのインゴットを切り出し、レバース型圧延機により表3に示した条件で熱間圧延を実施した。耳切れ、スリーバーなどの表面欠陥が発生したパス数を目視にて確認し、熱間加工性の評価指標とした。また耐食性試験も行った。試験片寸法は150mm×150mmとし、耐食性評価はJIS Z2371の塩水噴霧試験で行った。塩水噴霧試験は5%NaCl溶液を35℃で噴霧し、発銹までに要した時間で評価した。

0033

これらの結果を表5にまとめて示す。
d値が0以下で、a値が0を超える本発明鋼No.25〜29は、熱間加工性が良好なうえ、硬さがHv130以下である。さらに15%以上のCrを含有する本発明鋼の発銹時間は、電気亜鉛メッキ普通鋼板の発銹時間である260hrを超えており、充分な耐食性を示している。

0034

一方、比較鋼No.30と本発明鋼No.25とを比較すると、いずれも約7%のNiと約16.5%のCrを含有しているが、本発明鋼No.25は軟質化に有効なMn、Cuの含有量が高くa値が0を超えているため硬さがHv118と軟質であるのに対し、比較鋼No.30はMn、Cu含有量が低くa値が0未満となっているため硬さがHv135と高い値を示す。また比較鋼No.33と本発明鋼No.25を比較すると、両者はNi、Crに加えMnおよびCuも同程度に含有するが、比較鋼No.33ではCが0.050%、Nが0.041%といずれも高く含有しているために硬さがHv148と高い値を示す。

0035

さらに比較鋼No.31は、a値が0を超えているため硬さはHv130以下であるが、d値が0を超えているため熱間加工性が不良である。

0036

また比較鋼No.32は、a値が0を超えd値が0以下となっているため、硬さがHv110と軟質でありかつ良好な熱間加工性を有するが、Cr含有量が14.3%と低いため発銹時間が251hrとなっている。したがって電気亜鉛めっき普通鋼板よりも耐食性が劣る。

0037

0038

0039

0040

0041

図面の簡単な説明

0042

塩水噴霧試験におけるCr含有量と赤錆発生時間の関係を表したグラフ
熱間圧延試験におけるd値とスリーバー疵発生数および耳切れ発生パス数の関係を表すグラフ。
a値とビッカース硬さの関係を表すグラフ。
N含有量とビッカース硬さの関係を表すグラフ。
C含有量とビッカース硬さの関係を表すグラフ。

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