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概要
背景
概要
この発明は、合成樹脂シート成形品と同等の機能を持ち、通常の焼却炉で燃焼廃棄可能な果実用トレーを得ることを課題とするものである。 この発明は、葦繊維、竹繊維、木質系繊維などの植物繊維に水を加えて混練し、通常の要領で一次成形し、次いで両面熱プレス処理を行うことにより、果実用トレーを製造するものである。熱プレスにより、シート厚が薄く、表裏面共にほぼ平滑、かつ堅牢なものとなり、物流コスト、自動機への対応性、堅牢性などにおいて合成樹脂シート成形品と同等の機能を持つトレーを得ることができる。
目的
この発明は、パルプモールド成形品の上記問題点を解決し、通常の焼却炉で燃焼廃棄可能な果実用トレーを得ることを課題とするものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
従来この種のトレーとしては、合成樹脂シート成形品、パルプモールド成形品が使用されている。
前者は比較的廉価であり、収納する果実に対応した硬度、強度、形状を得やすく、また見栄えのよい製品も得やすいために広く普及している。しかし、素材が合成樹脂であることから廃棄上の問題があり、廃棄が容易な素材が求められている。
後者はパルプ素材であるから廃棄上の問題はないが、製品のシート厚が厚くかさばり、自動機における剥離性や見栄えにも難点があり、更に水に弱く使用中に破れる事故も発生している。
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段
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この発明は、葦繊維、竹繊維、木質系繊維などの植物繊維に水を加えて混練し、通常の要領で一次成形し、次いで両面熱プレス処理を行うことにより、果実用トレーを製造するものである。
製造装置を工夫することにより、一次成形と両面熱プレスとを1台の機械で連続して行うことも可能と考えられるが、別の機械で行うときには、一次成形の後、素材を乾燥させ、両面熱プレス処理の際に加湿する(請求項2)。
前記乾燥の手法は、天日、室内、乾燥炉のいずれでもよい。
前記素材の乾燥の程度は、水分含有率10%ないし15%程度である。また、熱プレス処理時の加湿は、シリコン樹脂などの剥離材を加えた水を一次成形品の両面にスプレー塗布するとよい。
また、一次成型と熱プレスとを連続的に行う場合は、熱プレス時に250度C程度のスチームをかけて、一次成形品の水分を瞬時に気化する。
0005
両面熱プレス時の圧力は3tないし5t程度が適当である。圧力が小さいと製品における繊維密度が比較的低いため、強度、硬度が得られず、水を吸いやすく、また一次成形時に下型の吸引用メッシュにより発生する表面の凹凸が解消しきれないことがある。他方圧力が大きすぎると硬度が高くなりすぎるおそれがある。
両面熱プレス時の温度は120度Cないし180度Cが適当である。
発明の効果
0006
この発明における両面熱プレスにより、シート厚が薄くなり、繊維がつぶれ密度も向上し、一次成形において下型の吸引用メッシュにより素材の表面に生じるメッシュ状の凹凸が解消して表面がなめらかになる。
したがって、薄く、堅牢で、耐水性が高く、果実を傷つけにくく、剥離性がよく、見栄えのよい果実用トレーを製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
0007
以下に最良の形態としての実施例を示す。
0008
葦繊維40%、木材繊維30%、木粉繊維30%(重量)と、顔料、防水剤を水とよく混ぜ合わせ、パルプモールド成形と同様の手法で一次成形を行う。
すなわち、繊維と水の混合物を水槽に入れ、水槽内に昇降自在に設置した下型を上昇させつつ下型の表面に繊維を付着させる。前記下型は吸引のためにメッシュ状をなっており、繊維を吸引しつつ下型を上昇させる。
次いで、上型を下降させて下型に付着した繊維をプレスして水分を絞り出し、運搬可能な状態として一次成形品を得る。
一次成形された一次成形品を水分含有率10%〜15%程度まで乾燥させ、シリコン樹脂を含んだ水を表裏両面にスプレーして一次成形品を加湿した後、熱プレス処理用の下型にセットする。
次いで、上型を下降させて3t〜5t程度の圧力でプレスする。プレスは、上下の型を120度C〜180度C程度に加熱して行う。
0009
上記熱プレスによる効果は以下の通りである。
1.シート厚が薄くなる。
従来のパルプモールド製品(一次成形品に相当)を重ねて積み重ねると、通常60枚で600〜700ミリの高さになるが、熱プレス後のシートは100枚で400〜450ミリ程度の高さである。したがって、コンパクトな梱包が可能となり、トレーの物流コストがほぼ半減する。
2.表裏面がほぼ平滑面となる。
一次成形品においては前記下型による吸引で生ずるメッシュ状の筋が顕著であり、裏面は凹凸が著しい粗面であったところ、熱プレス後は表面のメッシュ状の筋は目立たなくほぼ平滑面となり、裏面も凹凸は目立たなくほぼ平滑面となった。その結果、多数のトレーを積み重ねたときの剥離性が顕著に向上し、選果場での自動機への対応性が向上する。
3.繊維密度が向上する
熱プレスにより繊維がつぶれ、繊維密度が向上する。その結果トレーシート厚が薄くとも堅牢性が向上する。また繊維密度が高いために果実に結露した水分を適度に吸収するが、水を吸収しにくくなるので、使用時に破損しにくくなる。
0010
上記実施形態により製造したトレー(以下「発明の実施品」という。)と、パルプモールドトレーとの比較試験において以下の結果が得られた。
この発明の実施品と従来のパルプモールドトレーとにそれぞれトマトを収納し、産地での予冷を想定して、温度10度C、湿度70%に保った冷蔵庫に48時間保管し、次いでトラックによる輸送を想定して、温度40度C、湿度70%の雰囲気中に5時間保管し、次いで販売店を想定してトマトを20度Cまで冷却した。
40度Cの雰囲気から20度Cまで冷却するとき、トマトの表面には水滴が付着する。この水滴がトレーに多量に吸収されると、トレーが破損する原因となる。
実験において、冷却後トレーを持ち上げたところ、発明の実施品は破損しなかったが、パルプモールドトレーは多量の水分が吸収されており、トマトの重量に負けてトレーが破損した。
0011
上記においては、葦繊維、木材繊維、木粉繊維を使用したが、繊維の種類、配合割合は適宜選択することができる。
葦繊維は硬いので、葦繊維の配合量を増やすとトレーの剛性が高くなる。他方木粉繊維は繊維長が短いので、木粉繊維の配合量を増やすとトレーは柔らかくなるが、繊維の結合が弱くなり破損しやすくなる。
なお、前記防水剤は、水の吸収しすぎを防止する作用を有するものである。
0012
この発明は以下の効果を有するものであって、産業上利用可能性を有するものである
1.熱プレスによりシート厚が薄くなるので、コンパクトな梱包が可能となり、トレーの物流コストがほぼ半減する。
2.熱プレスにより表裏面共にほぼ平滑面となるので、多数のトレーを積み重ねたときの剥離性が顕著に向上し、選果場での自動機への対応性が向上する。
3.熱プレスにより繊維がつぶれ、繊維密度が向上するので、トレーシート厚が薄くとも堅牢性が向上し、また水を吸収しにくくなるので、使用時に破損しにくくなる。
以上を総合すると、この発明により、燃焼廃棄が可能な繊維素材を使用しつつ、物流コスト、自動機への対応性、堅牢性などにおいて合成樹脂シート成形品と同等の機能を持つトレーを得ることができることとなる。
図面の簡単な説明
0013
この発明の手順を示すブロック図である。
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