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技術 内燃機関の弁駆動システム及び方法、並びに動力出力装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 江崎修一浅田俊昭辻公壽日下康
出願日 2003年8月6日 (17年4ヶ月経過) 出願番号 2003-288275
公開日 2005年3月3日 (15年9ヶ月経過) 公開番号 2005-054732
状態 特許登録済
技術分野 機関出力の制御及び特殊形式機関の制御 特殊操作のための弁装置
主要キーワード 偏心プレート 連結分離 揺動部位 スライダクランク機構 ピボット位置 位相角差 弁駆動システム 弁制御システム
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図面 (14)

課題

例えば電動モータによって弁体開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合に、当該異常による悪影響を低減できるようにする。

解決手段

内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、回転駆動力を電動モータから弁に伝える第1状態と弁の開閉動作を停止させるか又は弁を低リフト化させる第2状態とに切換え可能な伝達手段と、弁とピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定手段と、同期が異常であると判定された場合には、伝達手段を第2状態へ切り替えフェイルセーフ手段とを備える。

概要

背景

一般の内燃機関吸気弁及び排気弁は、内燃機関のクランク軸から取り出された動力によって開閉駆動されている。しかし、近年では電動モータによって吸気弁や排気弁を駆動することが試みられている。例えば特許文献1には、カム軸モータで駆動して吸気弁を開閉させる弁駆動装置が開示されている。

また、例えば特許文献2には、吸気量の制御を行うために吸気弁又は排気弁の作用角位相を連続的に可変とすることができる内燃機関の可変動弁機構において、吸気弁又は排気弁の弁体電磁力により駆動する電磁駆動弁機構も開示されている。

特開平8−177536号公報

特開平10−169418号公報

概要

例えば電動モータによって弁体を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合に、当該異常による悪影響を低減できるようにする。 内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、回転駆動力を電動モータから弁に伝える第1状態と弁の開閉動作を停止させるか又は弁を低リフト化させる第2状態とに切換え可能な伝達手段と、弁とピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定手段と、同期が異常であると判定された場合には、伝達手段を第2状態へ切り替えフェイルセーフ手段とを備える。

目的

そこで本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば電動モータによって弁体を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合に、当該異常による悪影響を低減可能な内燃機関の弁駆動システム並びに該弁駆動システム及び内燃機関を備えた動力出力装置を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、前記回転駆動力を前記電動モータから前記弁に伝える第1状態と前記弁の開閉動作を停止させるか又は前記弁を低リフト化させる第2状態とに切換え可能な伝達手段と、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定手段と、前記同期が異常であると判定された場合には、前記伝達手段を前記第2状態へ切り替えフェイルセーフ手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の弁駆動システム

請求項2

前記伝達手段は、前記弁側に連結されたロッカーアームと、前記第1状態で前記ロッカーアームに係合可能であると共に前記電動モータ側に連結されたロストモーションアームと、前記第2状態で前記内燃機関の動力による油圧力又は該動力によらない電磁力によって前記ロストモーションアームを前記ロッカーアームから分離させる連結分離手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の弁駆動システム。

請求項3

内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、前記内燃機関の目標回転数を決定する回転数決定手段と、前記内燃機関の実回転数を検出する回転数検出手段と、前記決定された目標回転数と前記検出された実回転数との差に基づいて、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の弁駆動システム。

請求項4

前記内燃機関の目標回転数を決定する回転数決定手段と、前記内燃機関の実回転数を検出する回転数検出手段とを更に備えており、前記判定手段は、前記決定された目標回転数と前記検出された実回転数との差に基づいて、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の弁駆動システム。

請求項5

前記判定手段は、前記差が所定閾値に達した又は超えた場合に、前記同期が異常であると判定することを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の弁駆動システム。

請求項6

前記回転数検出手段は、前記内燃機関のカムの回転数を測定するカム回転数測定手段からなり、前記回転数決定手段は、前記内燃機関の要求トルク並びにエンジン回転数又はクランク軸回転数に基づいて、前記目標回転数を算出する目標カム回転数算出手段からなることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の内燃機関の弁駆動システム。

請求項7

前記内燃機関は、複数の気筒を有しており、当該弁制御システムは、前記複数の気筒に対して夫々設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の内燃機関の弁駆動システム。

請求項8

内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、前記回転駆動力を前記電動モータから前記弁に伝える第1状態と前記弁の開閉動作を停止させるか又は前記弁を低リフト化させる第2状態とに切換え可能な伝達手段とを備えた内燃機関の弁駆動システムにおける弁駆動方法であって、前記電動モータにより前記駆動力を発生させる駆動工程と、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定工程と、前記同期が異常であると判定された場合には、前記伝達手段を前記第2状態へ切り替えるフェイルセーフ工程とを備えたことを特徴とする弁駆動方法。

請求項9

内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータを備えた内燃機関の弁駆動システムにおける弁駆動方法であって、前記内燃機関の目標回転数を決定する回転数決定工程と、前記内燃機関の実回転数を検出する回転数検出工程と、前記決定された目標回転数と前記検出された実回転数との差に基づいて、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定工程とを備えたことを特徴とする弁駆動方法。

請求項10

請求項1から7のいずれか一項に記載の内燃機関の弁駆動システムと該内燃機関とを備えたことを特徴とする動力出力装置

技術分野

0001

本発明は、内燃機関吸気弁又は排気弁を駆動する弁駆動システムの技術分野に属する。

背景技術

0002

一般の内燃機関の吸気弁及び排気弁は、内燃機関のクランク軸から取り出された動力によって開閉駆動されている。しかし、近年では電動モータによって吸気弁や排気弁を駆動することが試みられている。例えば特許文献1には、カム軸モータで駆動して吸気弁を開閉させる弁駆動装置が開示されている。

0003

また、例えば特許文献2には、吸気量の制御を行うために吸気弁又は排気弁の作用角位相を連続的に可変とすることができる内燃機関の可変動弁機構において、吸気弁又は排気弁の弁体電磁力により駆動する電磁駆動弁機構も開示されている。

0004

特開平8−177536号公報

0005

特開平10−169418号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上述した特許文献2等に開示された電磁駆動弁機構によって弁体の開閉駆動を行う場合、或いは特許文献1等に開示されたカム軸の電動モータによる回転によってクランク軸とは独立して弁体の開閉駆動を行う場合には、一般のクランク軸から取り出される動力によって開閉駆動を行う場合とは異なり、弁駆動システムをクランク軸の回転、即ちピストン運動と高い精度で同期させる必要性がある。そして、故障により或いは何らかの拍子にその同期が大きくずれた場合、内燃機関の性能低下のみならず、弁体とピストンとの衝突又は吸気弁と排気弁との衝突が発生し、内燃機関の破損につながりかねないという技術的な問題点がある。

0007

他方、これを防止するために、最大リフト状態でも弁体とピストンが接触しないようにピストンの上部に逃がし等を設ける設計も考えられるが、燃焼室の形状により設計上の制約を受けることが多い。仮に、この設計を実現しても、ディーゼルエンジン等に必要な高い圧縮比が確保しにくいという技術的な問題点がある。

0008

そこで本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば電動モータによって弁体を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合に、当該異常による悪影響を低減可能な内燃機関の弁駆動システム並びに該弁駆動システム及び内燃機関を備えた動力出力装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明の第1の弁駆動システムは上記課題を解決するために、内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、前記回転駆動力を前記電動モータから前記弁に伝える第1状態と前記弁の開閉動作を停止させるか又は前記弁を低リフト化させる第2状態とに切換え可能な伝達手段と、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定手段と、前記同期が異常であると判定された場合には、前記伝達手段を前記第2状態へ切り替えフェイルセーフ手段とを備える。

0010

本発明の第1の弁駆動システムによれば、正常時には、第1状態或いは通常状態にある、例えばロックピンロッカーアームロストモーションアーム等を含んでなる伝達手段を介して、電動モータで発生された回転駆動力は、弁に伝えられる。ここでは例えば、リンク機構又はカム機構により、電動モータからの回転駆動力は、直線運動に変換された後、最終的に弁に伝達される。これにより、弁は、ピストン運動と同期して駆動されて、吸気及び排気が正常に行われる。本発明では、電動モータを利用しているので、当該弁駆動システムを、可変動弁機構として構築することも容易であり、従って、可変動弁機構による各種利益を享受可能となる。

0011

ここで特に、弁とピストン運動との同期が異常となると、その旨が、例えば電子制御ユニット(ECU)等から構成される判定手段により判定される。すると、同じく例えば電子制御ユニット(ECU)等から構成されるフェイルセーフ手段によって、伝達手段は、その第2状態へ切り換えられる。続いて、このように第2状態とされた伝達手段によって、弁の開閉動作は停止されるか、又は弁は低リフト化される。

0012

一般に、ピストン運動と弁との間で同期が異常である場合、電磁駆動弁や電動モータを停止したり、電磁駆動弁を低リフト側に制御する方法も考えられるが、エンジン回転中の瞬時に、このような制御を行うことは、困難である。そして、敢えてこれを行おうとすれば、駆動部のモータの大出力化及び大型化を招いてしまう。他方、吸気弁又は排気弁を直接駆動する電磁駆動弁で、機械的な弁停止機構を組み込むと、体格増や動弁系慣性質量が増加し、駆動部の出力が更に必要となってしまう。これらに対して、上述した本発明の如く、伝達手段において、例えば、機械的に連結したり分離したりすることが可能な構成であれば、応答性を早めることも比較的容易であり、該応答性を高めることで、例えば、エンジンサイクルの間に、開弁を停止したり、低リフト化したりを行うことも可能となる。従って、同期がずれた弁がピストンと衝突して故障するといった事態も未然防止できるので、実践上遥かに有利となる。

0013

以上のように、本発明の第1の弁駆動システムによれば、例えば電動モータによって吸気弁又は排気弁を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合であっても、フェイルセーフ処理を適切に実行できるので、当該異常による悪影響を低減できる。特に、自動車に搭載された内燃機関に本発明を適用すれば、安全な走行或いは退避走行を可能とし得る。

0014

本発明の第1の弁駆動システムの一態様では、前記伝達手段は、前記弁側に連結されたロッカーアームと、前記第1状態で前記ロッカーアームに係合可能であると共に前記電動モータ側に連結されたロストモーションアームと、前記第2状態で前記内燃機関の動力による油圧力又は該動力によらない電磁力によって前記ロストモーションアームを前記ロッカーアームから分離させる連結分離手段とを備える。

0015

この態様によれば、同期が異常であると判定されると、例えば油圧式又は電磁式アクチュエータ等からなる連結分離手段によって、ロストモーションアームがロッカーアームから分離される。これにより、伝達手段は、その第2状態へ切り換えられる。従って、比較的簡易機械的構成を利用して、迅速に弁の開閉動作を停止できるか、又は迅速に弁を低リフト化できる。

0016

本発明の第2の弁駆動システムは上記課題を解決するために、内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、前記内燃機関の目標回転数を決定する回転数決定手段と、前記内燃機関の実回転数を検出する回転数検出手段と、前記決定された目標回転数と前記検出された実回転数との差に基づいて、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定手段とを備える。

0017

本発明の第2の弁駆動システムによれば、正常時には、電動モータで発生された回転駆動力は、弁に伝えられる。ここで、弁とピストン運動との同期が異常となると、その旨が、例えば電子制御ユニット(ECU)等から構成される判定手段により判定される。そして特に、当該同期が異常であるか否かの判定は、回転数決定手段により決定された内燃機関の目標回転数と、回転数検出手段により検出された内燃機関の実回転数との差に基づいて行われる。

0018

一般に、クランク回転(ピストン運動)をセンサを使って測定し、他方で、動弁系運動カム回転)をセンサを使って測定することで、これらが同期するように、動弁系の運動を制御したりする。しかるに、断線劣化等のセンサの故障、モータの故障や劣化、フリクションの増加などの要因によっても、同期がずれる場合が発生し得る。更に、クランク軸やピストン軸の故障、フリクションの増加などによっても、同期がずれる可能性がある。従って、同期が異常であるか否かを、このようにセンサ出力に頼って測定するのでは、正確に同期が異常であるか否かを判定することは困難或いは実践上不可能である。この結果、不正確な判定結果に応じて、不必要な或いは有害なフェイルセーフ処理を誤まったタイミングで行いかねない。或いは、フェイルセーフ処理を実行すべきタイミングに、これを実行しない事態も起こりえる。これらに対して、上述した本発明の如く、目標回転数と実回転数との差に基づいて、非常に正確に同期が異常であるか否かを判定できるので、適切なタイミングで適切なフェイルセーフ処理を実行可能となる。この結果、同期がずれた弁がピストンと衝突して故障するといった事態も未然防止できるので、実践上遥かに有利となる。

0019

以上のように、本発明の第2の弁駆動システムによれば、例えば電動モータによって吸気弁又は排気弁を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合であっても、当該異常を非常に正確に判定できるので、当該判定結果に応じて各種のフェイルセーフ処理を行うようにすれば、当該異常による悪影響を低減できる。特に、自動車に搭載された内燃機関に本発明を適用すれば、安全な走行或いは退避走行を可能とし得る。

0020

本発明の第2の弁駆動システムの一態様では、前記内燃機関の目標回転数を決定する回転数決定手段と、前記内燃機関の実回転数を検出する回転数検出手段とを更に備えており、前記判定手段は、前記決定された目標回転数と前記検出された実回転数との差に基づいて、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する。

0021

この態様によれば、例えば各種回転数センサ及び計算機能を有する電子制御ユニット(ECU)等から構成される回転数決定手段は、例えば、クランク軸における実回転の測定データ(又は、ピストン運動の測定データ)Ncrkと要求トルク等から目標回転数Nを決定する。また、例えば各種回転数センサを含んでなる回転数検出手段は、カム回転数又はリンク回転数Ncamなどを検出する。従って、判定手段は、これらの差に基づいて、比較的迅速にして正確に判定可能となる。

0022

本発明の第2の弁駆動システムの他の態様では、前記判定手段は、前記差が所定閾値に達した又は超えた場合に、前記同期が異常であると判定する。

0023

この態様によれば、例えば、クランク軸の実回転Ncrkと要求トルク等から決定した目標回転数Nと吸気弁のカム(又は、リンク)の実回転Ncam1との差ΔN1が、所定閾値ΔNに比較される。或いは、目標回転数Nと排気弁のカム(又は、リンク)の実回転Ncam2との差ΔN2が、所定閾値ΔNに比較される。そして、このような比較の結果として、同期が異常であるか正常であるかを判定するので、比較的迅速にして正確に判定可能となる。

0024

本発明の第2の弁駆動システムの他の態様では、前記回転数検出手段は、前記内燃機関のカムの回転数を測定するカム回転数測定手段からなり、前記回転数決定手段は、前記内燃機関の要求トルク並びにエンジン回転数又はクランク軸回転数に基づいて、前記目標回転数を算出する目標カム回転数算出手段からなる。

0025

この態様によれば、カム回転数測定手段により測定されたカムの回転数と、目標カム回転数算出手段により要求トルク並びにエンジン回転数又はクランク軸回転数に基づいて算出された目標回転数とに基づいて、判定手段は、比較的迅速にして正確に判定可能となる。

0026

本発明の第1又は第2の弁駆動システムの他の態様では、前記内燃機関は、複数の気筒を有しており、当該弁制御システムは、前記複数の気筒に対して夫々設けられている。

0027

この態様によれば、複数の気筒を有する内燃機関において、複数の気筒に対して夫々、相互から独立してフェイルセーフ処理を行ったり、相互から独立して同期が異常であることを判定したりが可能となる。従って、同期が異常となった気筒についてのみ、動作を停止するなどの退避走行等も可能となる。

0028

本発明の第1の弁駆動方法は上記課題を解決するために、内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータと、前記回転駆動力を前記電動モータから前記弁に伝える第1状態と前記弁の開閉動作を停止させるか又は前記弁を低リフト化させる第2状態とに切換え可能な伝達手段とを備えた内燃機関の弁駆動システムにおける弁駆動方法であって、前記電動モータにより前記駆動力を発生させる駆動工程と、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定工程と、前記同期が異常であると判定された場合には、前記伝達手段を前記第2状態へ切り替えるフェイルセーフ工程とを備える。

0029

本発明の第1の弁駆動方法によれば、上述した本発明の第1の弁駆動システムの場合と同様に、弁とピストン運動との同期が異常となると、その旨が、判定工程により判定される。すると、フェイルセーフ工程によって、伝達手段は、その第2状態へ切り換えられる。続いて、このように第2状態とされた伝達手段によって、弁の開閉動作は停止されるか、又は弁は低リフト化される。従って、本発明の第2の弁駆動方法によれば、例えば電動モータによって吸気弁又は排気弁を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合であっても、フェイルセーフ処理を適切に実行できるので、当該異常による悪影響を低減できる。

0030

本発明の第2の弁駆動方法は上記課題を解決するために、内燃機関において気筒に設けられた吸気用又は排気用の弁を、該内燃機関におけるピストン運動と同期して駆動すべく回転駆動力を発生させる電動モータを備えた内燃機関の弁駆動システムにおける弁駆動方法であって、前記内燃機関の目標回転数を決定する回転数決定工程と、前記内燃機関の実回転数を検出する回転数検出工程と、前記決定された目標回転数と前記検出された実回転数との差に基づいて、前記弁と前記ピストン運動との同期が異常であるか否かを判定する判定工程とを備える。

0031

本発明の第2の弁駆動方法によれば、上述した本発明の第2の弁駆動システムの場合と同様に、弁とピストン運動との同期が異常となると、その旨が、判定工程により判定される。そして特に、当該同期が異常であるか否かの判定は、回転数決定工程により決定された内燃機関の目標回転数と、回転数検出工程により検出された内燃機関の実回転数との差に基づいて行われる。従って、本発明の第2の弁駆動システムによれば、例えば電動モータによって吸気弁又は排気弁を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合であっても、当該異常を非常に正確に判定できるので、当該判定結果に応じて各種のフェイルセーフ処理を行うようにすれば、当該異常による悪影響を低減できる。

0032

本発明の動力出力装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2の弁駆動システム(但し、その各種態様を含む)と該内燃機関とを備える。

0033

本発明の動力出力装置によれば、上述した本発明の第1又は第2の弁駆動システムを備えるので、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合であっても、当該異常による悪影響を低減でき、特に自動車に本発明を適用した場合には、安全な走行或いは退避走行を可能とし得る。

発明の効果

0034

本発明の内燃機関の弁駆動システムによれば、例えば電動モータによって吸気弁又は排気弁を開閉駆動する弁駆動システムを持つ内燃機関において、弁駆動システムとクランク軸の回転との同期制御に異常が発生した場合であっても、当該異常による悪影響を低減可能となる。例えば、自動車の内燃機関に搭載した場合には、安全な走行或いは退避走行を可能ならしめる。

発明を実施するための最良の形態

0035

以下、本発明に係る内燃機関の弁駆動システムの具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。以下では説明の便宜上、第1から第4実施形態の弁駆動システムの夫々について、本発明に係る「電動モータ」及び「伝達手段」を含んでなる機械的部分について先ず一通り説明し(図1から図10参照)、その後、これら第1から第4実施形態に共通する、本発明に係る「判定手段」及び「フェイルセーフ手段」の一例を構成する「電子制御ユニット(ECU)」等を用いての同期制御異常の具体的な検出方法並びに同期制御異常時の吸気弁又は排気弁の具体的な停止制御方法等について後述する(図11から図13参照)。

0036

尚、以下の実施形態において、同期制御されているピストンの運動と吸気弁又は排気弁の運動との同期が、故障等の何らかの原因により異常である時を、単に「同期制御異常時」と適宜称する。また、このような同期の異常を、単に「同期制御異常」と適宜称する。

0037

(第1実施形態)
第1実施形態に係る内燃機関の弁駆動システムの構成及び動作について、図1から図5を参照しながら詳細に説明する。

0038

先ず、図1を参照しながら、第1実施形態に係る内燃機関の弁駆動システムの全体構成について説明する。ここに、図1は、第1実施形態に係る弁駆動システムが組み込まれた内燃機関の全体構成の外観斜視図である。

0039

内燃機関1は、複数(図では4つ)のシリンダ(気筒)2が一方向に並べられ、各シリンダ2にピストン3が上下動自在に装着された多気筒直列式ガソリンエンジンとして構成されている。各シリンダ2の上方には2本の吸気弁4及び2本の排気弁5がそれぞれ設けられており、これらの吸気弁4及び排気弁5がピストン3の上下動に同期して、弁駆動システム10にて開閉駆動されることにより、シリンダ2への吸気及びシリンダ2からの排気が行われる。

0040

弁駆動システム10は、各シリンダ2の吸気側に1つずつ設けられた弁駆動装置11Aと、各シリンダ2の排気側に1つずつ設けられた弁駆動装置11Bとを備えている。これらの弁駆動装置11A及び11Bはいずれもカムを利用して吸気弁4又は排気弁5を駆動するものである。弁駆動装置11Aの構成は互いに等しく、また弁駆動装置11Bの構成は互いに等しい。尚、複数の弁駆動装置11Aは、例えば一つのシリンダ2のみを停止させるなど、相互に独立して駆動可能に構成されてもよく、相互に連動して駆動可能に構成されてもよい。同様に複数の弁駆動装置11Bは、相互に独立して駆動可能に構成されてもよく、相互に連動して駆動可能に構成されてもよい。

0041

次に、図2を参照しながら、第1実施形態に係る内燃機関の部分構成、即ち、一つのシリンダについての弁駆動装置について説明する。ここに、図2は、第1実施形態に係る弁駆動システムが組み込まれた内燃機関の部分構成、即ち、一つのシリンダについての弁駆動装置の外観斜視図である。

0042

図2に示されているように、一つのシリンダ2には、吸気用及び排気用の弁駆動装置11A及び11Bが、対をなして設けられている。なお、弁駆動装置11A及び11Bは互いに類似した構成を有しており、まず吸気側の弁駆動装置11Bについて説明する。

0043

吸気側の弁駆動装置11Bは、電動モータ(以下適宜、単に「モータ」と称する)12を含んでなり、モータ12の回転運動を、直線運動即ち吸気弁4の直線的な開閉運動に変換することが可能に構成されている。モータ12には、回転速度の制御が可能なDCブラシレスモータ等が使用される。モータ12には、その回転位置を検出するためのレゾルバロータリエンコーダ等の位置検出センサが内蔵されている。

0044

弁駆動装置11Bは、一本のカム軸14Bと、モータ12の回転運動をカム軸14Bに伝達するギア列15と、吸気弁4を駆動するロッカーアーム16A及び16Bと、カム軸14Bと、ロッカーアーム16A及び16Bとの間に介在されるロストモーションアーム30とを備えている。カム軸14Bはシリンダ2毎に独立して設けられている。言い換えれば、シリンダ2毎にカム軸14Bは分かれている。ギア列15は、モータ12の出力軸(不図示)に取り付けられたモータギア18の回転を中間ギア19を介してカム軸14Bと一体のカム駆動ギア20に伝達することにより、モータ12に同期してカム軸14Bを回転させる。

0045

カム軸14Bには単一の高リフトカム21が一体に回転可能に設けられている。高リフトカム21はカム軸14Bと同軸ベース円の一部を膨らませた板カム一種として形成されている。全ての弁駆動装置11Bの間で高リフトカム21のプロファイル(外周の輪郭)は互いに等しい。高リフトカム21のプロファイルはその全周に亘って負の曲率が生じないように、つまり半径方向外側に向かって凸曲面を描くように設定されている。

0046

ロッカーアーム16A及び16Bは、ロッカーアームシャフト16Cを中心として揺動可能に設けられている。吸気弁4は弁スプリング23によってロッカーアーム16A及び16B側に付勢され、それにより吸気ポートバルブシート(不図示)に吸気弁4が密着して吸気ポートが閉じられる。

0047

他方、図2に示すように、排気弁5側の弁駆動装置11Aでは、弁駆動装置11Bと同様に、カム軸14Aにカム21が設けられ、弁特性調整機構17が設けられ、カム21がロッカーアーム16A及び16Bを弁特性調整機構17を介して駆動している。尚、この弁特性調整機構17は、吸気弁4側の弁駆動装置11Bにおいて設けられてもよい。

0048

ロッカーアーム16A及び16Bも吸気側と同様にロッカーアームシャフト16Cを中心として揺動可能に設けられている。排気弁5は弁スプリング23によってロッカーアーム16A及び16B側に付勢され、それにより吸気ポートのバルブシート(不図示)に排気弁5が密着して排気ポートが閉じられる。ロッカーアーム16A及び16Bの他端部はアジャスター24と接している。アジャスター24がロッカーアーム16A及び16Bの他端部を押し上げることにより、ロッカーアーム16A及び16Bはその一端部が排気弁5の上端部と接触した状態に保たれる。

0049

弁特性調整機構17は、カム21の回転運動をロッカーアーム16A及び16Bに揺動運動として伝達する仲介手段として機能するとともに、カム21の回転運動とロッカーアーム16A及び16Bの揺動運動との相関関係を変更することにより排気弁5のリフト量及び作用角を変化させるリフト量及び作用角変更手段としても機能する。

0050

弁駆動装置11Aのこれら以外の部分は弁駆動装置11Bと共通であり、それらの共通部分の説明は省略する。

0051

排気弁5に関しても、弁駆動装置11Bのモータ12によるカム軸14Bの駆動速度を種々変化させることにより、排気弁5の位相や作用角を様々に変化させることができる。

0052

弁駆動装置11Aもシリンダ2毎に独立して設けられ、かつカム軸14Aもシリンダ2毎に独立しているので、排気弁5の動作特性をシリンダ2毎に独立して最適な状態に設定することができる。これにより、各排気弁5の動作特性に関する自由度を従来よりも高めることができる。

0053

尚、吸気側の弁駆動装置11Bにおいては、高リフトカム21がロストモーションアーム30を介してロッカーアーム16A及び16Bを押し下げる途中でモータ12を停止させ、その停止位置からカム軸14Bを逆転させることにより吸気弁4のリフト量を変化させることができる。但し、その場合の最大リフト量は高リフトカム21のカムノーズがロストモーションアーム30の図示しないローラ乗り越える際のリフト量に制限される。このようなモータ12の逆転によるリフト量の制御は、排気側の弁駆動装置11Aにおいても実行可能である。また、このロストモーションアーム30に係る機構は、排気弁5側の弁駆動装置11Aにおいて設けられてもよい。

0054

次に、図3及び図4を参照しながら、第1実施形態に係る弁駆動装置の構成について詳細に説明する。ここに、図3は、第1実施形態に係る弁駆動装置の構成要素、即ち、ロッカーアーム、ロストモーションアーム及び吸気弁の外観斜視図である。図4は、第1実施形態に係る弁駆動装置の、正常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム及び高リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。

0055

図3及び図4に示された第1実施形態に係る弁駆動装置は、大別すると、ロッカーアーム16A及び16B、ロストモーションアーム30、高リフトカム21、並びに吸気弁4を備えて構成されている。

0056

ロッカーアーム16A及び16Bは、基本的には吸気弁4又は排気弁5を開閉する機能を有し、第1実施形態に係る弁駆動装置では、分割され、後述するロストモーションアーム30の両側に並列的に位置する。これら両方のロッカーアーム16A及び16Bは、高リフトカム21とは当接せず、ロッカーアームシャフト16Cを支点にして揺動可能に配置される。両方のロッカーアーム16A及び16Bの内部には、後述する2つのロックピン18A及び18Bが係合可能な係合穴19が、同軸上に設けられている。一方のロッカーアーム16Aの係合穴19の内部には、後述するリターンスプリング16Fが設けられている。他方のロッカーアーム16Bの内部には、係合穴19と連通した油圧室16Eが設けられている。また、両方のロッカーアーム16A及び16Bの内部には、油圧室16Eと連通した潤滑オイル通路16Dが設けられている。

0057

ロストモーションアーム30は、両方のロッカーアーム16A及び16Bに挟まれて位置すると共に、後述する高リフトカム21と接触するローラ31を備えて構成されている。特に、ロストモーションアーム30は、ロストモーションを形成する図示しないロストモーションスプリングと当接している。このロストモーションスプリングの付勢力によりロストモーションアーム30は、ローラ31を介して高リフトカム21と常時接触し、ロッカーアームシャフト16Cを支点にロッカーアーム16A及び16Bと独立して、若しくは、一体となって連動して、揺動可能である。ロストモーションアーム30の内部には、前述したロックピン18A及び18Bが係合するための係合穴19が、同軸上に設けられている。尚、ロックピン18A及び18Bは、係合穴19と共に、図3において矢印で示される盛り上がった部分の内部にロッカーアームシャフト16Cの軸方向に設けられる。また、ロストモーションアーム30の内部には、前述した油圧室16Eと連通した潤滑オイルの通路16Dが設けられている。

0058

吸気弁4が2つ、夫々に対応するロッカーアーム16A及び16Bと当接され、連動するように配置されている。

0059

高リフトカム21がカム軸14Bを軸として回転し、ロストモーションアーム30のローラ31と接触するように配置されている。高リフトカム21は、高回転域高トルクを発生するカムプロファイルに設定される。高リフトカム21は、例えば、通常のカムよりもリフト量、リフト期間(作用角)の大きい、高速型出力カムである。

0060

次に、図5及び前述した図4を参照しながら、第1実施形態に係る弁駆動装置の動作について詳細に説明する。ここに、図5は、第1実施形態に係る弁駆動装置の、同期制御異常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム、吸気弁及び高リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。

0061

図4及び図5で示されるように、前述したロッカーアーム16A及び16Bとロストモーションアーム30には、ロッカーアームシャフト16Cから所定の距離で離れた揺動部位において、ロッカーアームシャフト16Cの軸方向に、それぞれ、係合穴19が形成されている。これら係合穴19の内部には、合計2個のロックピン18A及び18Bが挿入されており、作動油圧応動してこれらのロックピン18A及び18Bがロッカーアームシャフト16Cの軸方向に摺動することが可能である。

0062

尚、本発明に係る「伝達手段」の一例が上述した、ロッカーアーム16A及び16B、ロストモーションアーム30、係合穴19、ロックピン18A及び18B及び後述する油圧力及び電磁力を発生させる各種アクチュエータによって構成されている。これらのうち、本発明に係る「連結分離手段」が、油圧力及び電磁力を発生させる各種アクチュエータによって構成されている。

0063

図4で示されるように、正常時には、リターンスプリング16Fの付勢力により、ロックピン18Bが、一方のロッカーアーム16A及びロストモーションアーム30の内部の係合穴19に係合すると同時に、ロックピン18Aがロックピン18Bより押され、ロストモーションアーム30及び他方のロッカーアーム16Bの内部の係合穴19に係合する。すると、両方のロッカーアーム16A及び16B並びにロストモーションアーム30が連結され、一体となる。よって、高リフトカム21の回転運動がロストモーションアーム30に設けられたローラ31及び両方のロッカーアーム16A及び16Bを介して、吸気弁4又は排気弁5に伝達されることによって、吸気弁4又は排気弁5の開閉が可能となる。

0064

即ち、正常時は、ロストモーションアーム30とその両側のロッカーアーム16A及び16Bとが連結され、一体となり、高リフトカム21のカムプロファイルにしたがったバルブタイミングで吸気弁4又は排気弁5の開閉が可能となる。

0065

他方で、図5で示されるように、ピストン3の運動と吸気弁4又は排気弁5の運動との同期が異常である時である「同期制御異常時」には、後述の如き本発明に係る「判定手段」及び「フェイルセーフ手段」の一例としての電子制御ユニット(ECU)の制御下で、油圧力を発生させる各種アクチュエータが作動され、ロックピン18Aが収装された油圧室16Eに通路16Dを介して圧油が導かれ、2つのロックピン18A及び18Bが所定量だけリターンスプリング16Fの付勢力に抗して左側方向に押し込まれて、ロックピン18Aがロストモーションアーム30の係合穴19にちょうど格納される。ここに本実施形態において、同期制御異常は、例えば、カム軸の回転数と、クランク軸の回転数及び内燃機関の要求トルクから求められた目標のカム軸の回転数との差が所定閾値より大きい状態を意味する。特に、この所定閾値は、カムの位相と、リフト量をパラメータとして決定してもよい。

0066

尚、ロックピン18Aの長さは、ロストモーションアーム30の幅の長さと殆ど又は完全に同じように設計されている。そして、ロックピン18Aによって、左側に押し込まれたロックピン18Bがロッカーアーム16Aの中に格納される。このことにより、ロストモーションアーム30とその両側に位置するロッカーアーム16A及び16Bとの連結が解除され、高リフトカム21の回転運動がロストモーションアーム30を支える図示しないロストモーションスプリングに吸収され、吸気弁4又は排気弁5に当接しているロッカーアーム16A及び16Bには伝達されない。よって、吸気弁4又は排気弁5の開閉が停止される。

0067

上より、第1実施形態による弁駆動装置によれば同期制御異常が発生した場合に吸気弁又は排気弁を迅速に的確なタイミングで停止することが可能となり、安全に退避走行することが可能となる。

0068

尚、以上説明した第1実施形態における、同期制御異常の具体的な検出方法並びに同期制御異常時の吸気弁又は排気弁の具体的な停止制御方法については、後述する(図11及び図12等参照)。

0069

(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る内燃機関の弁駆動装置の構成及び動作について、図6及び図7に加えて前述した図3を適宜参照しながら詳細に説明する。ここに、図6は、第2実施形態に係る弁駆動装置の、正常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム、高リフトカム及び低リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。図7は、第2実施形態に係る、同期制御異常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム、高リフトカム及び低リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。尚、図6及び図7を参照して第2実施形態を説明するにあたって、第1実施形態と同様の構成要素については同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。

0070

第2実施形態は、図6及び図7において、第1実施形態を基本として、同期制御異常時には、ECUの制御下で、ロストモーションアーム30とその両側のロッカーアーム16A及び16Bとの連結が解除され、低リフトカム22A及び22Bにより両側のロッカーアーム16A及び16Bを介して吸気弁4又は排気弁5を開閉することが可能となる。第2実施形態に係るその他の構成及び動作については第1実施形態と同様である。

0071

図6及び図7で示された第2実施形態に係る内燃機関の可変動弁機構は、第1実施形態の構成要素に加えて、低リフトカム22A及び22Bを備えて構成されている。低リフトカム22A及び22Bは、低回転域で高トルクを発生する又は燃費重視型のカムプロファイルに設定される。例えば、低リフトカム22A及び22Bは、高リフトカム21よりもカムリフト量が相対的に小さい、低速型出力カムである。低リフトカム22A及び22Bはこの高リフトカム21と共に、同一のカム軸14Bに並列的に設けられる。

0072

次に、図6及び図7を参照しながら、第2実施形態の動作について詳細に説明する。

0073

図6で示されるように、正常時には、第1実施形態と同様に動作し、ロストモーションアーム30とその両側のロッカーアーム16A及び16Bとが連結され、一体となり、高リフトカム21のカムプロファイルにしたがったバルブタイミングで吸気弁4又は排気弁5の開閉が可能となる。

0074

図7で示されるように、同期制御異常時には、第1実施形態と同様に動作し、ロストモーションアーム30とその両側に位置するロッカーアーム16A及び16Bとの連結が解除され、高リフトカム21の回転運動がロストモーションアーム30を支える図示しないロストモーションスプリングに吸収され、吸気弁4又は排気弁5に当接しているロッカーアーム16A及び16Bには伝達されない。特に、第2実施形態では、第1実施形態とは、異なり、吸気弁4又は排気弁5に当接しているロッカーアーム16A及び16Bは、ロストモーションアーム30との連結が解除された場合には、常に低リフトカム22A及び22Bに、ローラ16a及び16bを介して当接しているので、低リフトカム22A及び22Bの回転運動がロッカーアーム16A及び16Bに伝達され、低リフトカム22A及び22Bのカムプロファイルにしたがったバルブタイミングで吸気弁4又は排気弁5の開閉が可能となる。

0075

以上より、第2実施形態による弁駆動装置によれば同期制御異常が発生した場合に吸気弁又は排気弁を迅速に的確なタイミングで低リフト量で駆動することが可能となり、安全に退避走行することが可能となる。

0076

尚、以上説明した第2実施形態における、同期制御異常の具体的な検出方法並びに同期制御異常時の吸気弁又は排気弁の具体的な低リフト化制御方法については、後述する(図11及び図13等参照)。

0077

(第3実施形態)
第3実施形態に係る内燃機関の弁駆動装置の構成及び動作について、図8及び図9を参照しながら詳細に説明する。

0078

先ず、図8及び図9を参照しながら、第3実施形態のフィンガーフォロアアーム部が設けられた弁駆動装置の構成について詳細に説明する。ここに、図8は、第3実施形態に係る弁駆動装置の構成要素、即ち、HLA油圧ラッシュアジャスター)、ロッカーアーム、ローラ、ノーズ及び吸気弁を示した外観斜視図である。図9は、第3実施形態に係る弁駆動装置の、HLAの詳細構成を示した図式的断面図である。

0079

図8及び図9に示された第3実施形態に係る弁駆動装置は、大別すると、HLA60、ロッカーアーム16A、弁特性調整機構50、吸気弁4及びシリンダヘッド70を備えて構成されている。

0080

HLA60は、ピボット部61、ピストン62、ガイド部63、ロックピン18E、圧縮スプリング64及びロストモーションスプリング65を備えて構成されている。

0081

ロッカーアーム16Aは、HLA60のピボット部61と一端側において当接すると共に、他端側の下面に位置するバルブ接触部16Gにおいて吸気弁4の弁棒の上端と当接している。また、弁特性調整機構50のノーズ52Aと、他端側の上面において当接している。

0082

弁特性調整機構50は、第1リング51、ローラ51A、第2リング52、ノーズ52A及び支持軸53を備えて構成されている。

0083

吸気弁4は前述のようにロッカーアーム16Aの下面に位置するバルブ接触部16Gと当接している。

0084

シリンダヘッド70は、オイル通路71を備えて構成されている。特に、シリンダヘッド70は、HLA60の、周囲に配設されており、オイル通路71に連結された周期路とは別のエンジンオイル周期路と流体連通するオイル通路72を形成している。オイル通路71は、本実施形態のHLAを作動させるのに必要な周知の「加圧流体源」を有している。したがって、オイル通路71内の図示されていない電磁弁等によりオイル圧力を制御し、相対的低い圧力または相対的高い圧力を選択的に生成することが可能となる。

0085

次に、図8及び図9を参照しながら、第3実施形態の詳細構成に加えて動作について説明する。

0086

図9で示されるように、正常時には、ECUの制御下で、オイル通路71は、相対的に低い圧力になるので、ロックピン18Eは、外側に移動され、ピストン62とガイド部63は連結されるので、ピボット部61は固定され、ピボット部61の垂直移動は行われない。よって、圧縮スプリング64を内部に設けたHLA60により、ロッカーアーム16Aとノーズ52Aとの接触部の遊びが無くされながら、カムの回転運動がローラ51A、第1リング51、第2リング52、ノーズ52A及びロッカーアーム16Aを介して、吸気弁4に伝達され、吸気弁4に開閉が可能となる。

0087

より詳細には、図8に示すように、弁特性調整機構50は、支持軸53と、支持軸53上に配置された第1リング51と、その両側に配置された2つの第2リング52とを備えている。支持軸53は内燃機関1のシリンダヘッド70等に固定的に取り付けられる。第1リング51及び第2リング52は支持軸53に対して周方向に揺動可能に支持されている。第1リング51の外周にはローラ51Aが回転自在に取り付けられ、第2リング52の外周にはノーズ52Aが形成されている。

0088

弁特性調整機構50は、そのローラ51Aがカムに、ノーズ52Aが各吸気弁4に対応するロッカーアーム16Aの一端部にそれぞれ対向するようにして内燃機関1に取り付けられる。カムの回転に伴ってローラ51Aが図示しないカムノーズと接触して押し下げられると、ローラ51Aを支持する第1リング51が支持軸53上で回転し、その回転運動が支持軸53を介して第2リング52に伝達されて第1リング51と同一方向に回転する。

0089

これら第2リング52の回転によりノーズ52Aがロッカーアーム16Aの一端部を押し下げ、それにより吸気弁4が図示しない弁スプリングに抗して下方に変位して吸気ポートが開かれる。

0090

図示しないカムノーズがローラ51Aを乗り越えると図示しない弁スプリングの力で吸気弁4が押し上げられて吸気ポートが閉じる。このようにして図示しないカム軸の回転運動が吸気弁4の開閉運動に変換される。

0091

他方、同期制御異常時には、ECUの制御下で、オイル通路71は、相対的に高い圧力になるので、ロックピン18Eは、中に移動され、ピストン62とガイド部63の連結は解除され、ピボット部61のピストンは、ロストモーションスプリング65により摺動自在になることで、ピボット位置も摺動自在になり、弁特性調整機構50のノーズ52Aはロッカーアーム16Aに当接した状態ではあるが、カムの回転運動はロッカーアーム16Aにおけるピボット位置が摺動するので、吸気弁4には伝達されず、吸気弁4の開閉は停止される。

0092

以上より、第3実施形態による弁駆動装置によれば同期制御異常が発生した場合に吸気弁又は排気弁を迅速に的確なタイミングで停止することが可能となり、安全に退避走行することが可能となる。

0093

尚、以上説明した第3実施形態における、同期制御異常の具体的な検出方法並びに同期制御異常時の吸気弁又は排気弁の具体的な停止制御方法については、後述する(図11及び図12等参照)。

0094

(第4実施形態)
第4実施形態に係る内燃機関の弁駆動装置の構成及び動作について、図10を参照しながら詳細に説明する。

0095

先ず、図10を参照しながら、第4実施形態に係る弁駆動装置の構成について詳細に説明する。ここに、図10(a)は、第4実施形態に係る弁駆動装置11Cの構成要素、即ち、第1及び第2リンク、コイルスプリング、ロックピン及び吸気弁等の構成及び動作を示した図式的正面図であり、図10(b)はその側面図である。

0096

図10に示された第4実施形態に係る内燃機関の弁駆動装置11Cはリンク機構を利用して吸気弁4又は排気弁5をバルブシートVSに対して開閉駆動するものであり、駆動源としての電動モータ12と、そのモータ12の回転運動を吸気弁4の開閉運動に変換する動力伝達機構100とを備えている。動力伝達機構100は、モータ12によって回転駆動される回転部材としての偏心プレート101と、偏心プレート101の回転中心から偏心した位置に第1軸受け200を介して回転自在に連結された第1リンク103と、吸気弁4の上端部に第2軸受け210の連結ピン104を介して回転自在に連結された第2リンク105とを有している。特に、偏心プレート101と第1リンク103とは後述されるロックピン18D及びリターンスプリング20Aによって正常時に連結され、モータ12の回転運動を往復運動に変換するクランク機構として機能し、第1リンク103及び第2リンク105の組み合わせがリンク機構を構成する。

0097

第1リンク103の先端にはガイド筒106が設けられ、その内部にはコイルスプリング107及びこれを押えスライダ108が収容されている。コイルスプリング107はスライダ108をガイド筒106の内部の端面に押し付けられるよう幾ら圧縮された状態でガイド筒106の内部に収容されている。そして、第2リンク105の先端はガイド筒106の内部に挿入されてスライダ108と連結されている。これにより、動力伝達機構100は、リンク機構の一種であるスライダクランク機構として構成されている。

0098

次に、図10を参照しながら、第4実施形態の弁駆動装置11Cの正常時の動作について詳細に説明する。

0099

図10で示されるように、正常時には、リターンスプリング20Aの付勢力によって第1軸受け200の内部に設けられたロックピン18Dが第1リンク103の係合穴20Cに係合されることによって、第1リンク103と偏心プレート101が第1軸受け200を介して連結され、電動モータ12の回転運動がリンク機構により吸気弁4に伝達されることで、吸気弁4の開閉が可能となる。

0100

より詳細には、偏心プレート101と第1リンク103との連結位置図10で示された位置にあるときに吸気弁4がバルブシートVSに密着しかつスライダ108がガイド筒106の内部の上端に突き当たっているとすれば、この位置から偏心プレート101を図10時計方向(矢印CW方向)に回転させることにより、ガイド筒106にてスライダ108を押し下げ、その動きを第2リンク105を介して吸気弁4に伝えて吸気弁4を開くことができる。この場合の吸気弁4のバルブシートVSからのリフト量はこの基準位置からの偏心プレート101の回転角相関し、この回転角を大きくすればリフト量も増加する。

0101

他方、同期制御異常時には、ECUの制御下で、ロックピン18Dが収装された油圧室20Bに圧油が導かれ、油圧力がロックピン18Dに作用し、ロックピン18Dが所定量だけリターンスプリング20Aの付勢力に抗して右側方向に押し込まれることで、第1リンク103と第1軸受け200との連結が解除される。このことにより、第1リンク103は、第1軸受け200の内部のガイド穴201を摺動自在、即ち、ロストモーション状態となり、第1リンク103と偏心プレート101との連結が解除され、モータの回転運動は吸気弁4に伝達されず、吸気弁4は開閉されない。

0102

尚、以上説明した第4実施形態における、同期制御異常の具体的な検出方法並びに同期制御異常時の吸気弁又は排気弁の具体的な停止制御方法については、後述する(図11及び図12等参照)。

0103

(電子制御ユニット(ECU))
次に、本発明に係る第1から第4実施形態に共通する、内燃機関の弁駆動システム及び該内燃機関を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)の構成について、図11を参照しながら詳細に説明する。ここに、図11は、本発明に係る内燃機関の弁駆動システム及び該内燃機関を制御するECU、各種センサ、各種弁等を示す概念図である。

0104

ECU6は、内部にCPU、ROM、RAM、バックアップRAM等を有するワンチップマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従って、正常走行時における内燃機関を統括制御する。更にECU6は、本発明に係る「判定手段」、「フェイルセーフ手段」及び「回転数決定手段」の一例を構成しており、前述したように本発明に係る「伝達手段」を構成するロストモーションアーム30等を制御する。

0105

具体的には、ECU6は、本発明に係る「回転数検出手段」の一例を夫々構成する、カム角センサ位相角差検出センサ)14C及び内燃機関1に取り付けられたクランク角センサ40(エンジン回転数センサ)に加え、図示しないアクセルポジションセンサ車速センサ等のその他のセンサとが電気配線を介して接続されている。更に、ECU6には、ロックピン18A及び18B、ロッカーアーム16A及び16B、ロストモーションアーム30等を含んでなる連結分離伝達機構80及びその他のアクチュエータが電気配線を介して接続されている。

0106

ECU6は、正常走行時やカム回転とクランク回転との同期制御異常時に、これら各種センサの出力信号電気信号)を、予め設定されたプログラムに対する入力パラメータとして所定種類の各種制御信号を生成する。そして、該各種制御信号によって、連結分離伝達機構80による連結又は連結解除の時期、並びにその他のアクチュエータの駆動量を制御する。

0107

ECU6には、内燃機関1の走行時における各シリンダ2のクランク軸の回転数、カム軸の回転数、又は要求トルクを記憶し、目標のカム軸の回転数と実際のカム軸の回転数との差を計算するためのバックアップRAM7が設けられている。

0108

ECU6は、目標カム回転数算出手段として、測定されたクランク軸の回転数、即ち、エンジン回転数及び各種センサ量から求められた内燃機関の要求トルクに応じて、目標のカム軸の回転数を算出する。この目標となるカム軸の回転数は、クランク軸の回転数及び内燃機関の要求トルクをパラメータとして一義的に決定される。このような一義的な決定は、例えば、予め作成されたテーブルからの取得に基づいて或いは所定関数による計算に従って、迅速に決定される。

0109

クランク角センサ40は、本発明に係る「回転数検出手段」或いは「目標カム回転数算出手段」の一例をその他のセンサと共に構成し、クランク軸の現在のクランク角度又は回転角速度を検出する。より詳細には、クランク角センサ40は、被検出物(例えば、金属など)を検出することが可能な磁気式センサなどであり、内燃機関1内の図示しないクランク軸近傍の所定の位置に設けられる。即ち、クランク軸上の所定の位置には、外周に凹凸が形成された歯車(以下、「シグナルロータ」と呼ぶ。)が取り付けられるが、クランク角センサ240は、そのシグナルロータの歯数を検出することが可能な位置に設けられる。また、クランク角センサ240は、クランク角度を例えば10〜30度程度の分解能で検出することができる。クランク軸が回転するとシグナルロータもそれに連動して回転する。このとき、クランク角センサ240は、そのシグナルロータの歯数を検出し、パルス信号としてECU6などに出力する。ECU6は、クランク角センサ40から出力されたパルス信号をカウントして、それをクランク角度に変換する。これにより、ECU6などは、クランク角度を検出する。また、クランク角センサ40は、内燃機関1内に直接設けられるため、クランク角度を絶対角度として検出することができる。

0110

カム角センサ14Cは、本発明に係る「回転数検出手段」、より具体的には、「カム回転数測定手段」の一例を構成し、同一シリンダ2ごとの吸気弁又は排気弁ごとに設けられている。例えば、前述した図1においては、各気筒において、吸気弁4を駆動するカム軸に対して1個、排気弁を駆動するカム軸に対して1個の合計2個のカム角センサ14Cが設けられるので、4気筒であれば、2×4=8個のカム角センサ14Cが設けられる。カム角センサ14Cによれば、排気弁5及び吸気弁4の開閉時期を制御するカム軸14A及び14Bの現在のカム角度や角速度を知ることができる。

0111

以上のようにして、ECU6は、クランク角センサ40及びカム角センサ14Cからの情報、即ち、クランク軸の現在のクランク角度や角速度の情報並びに排気弁5及び吸気弁4の開閉時期を制御するカム軸の現在のカム角度や回転角速度の情報に基づいて、同期制御異常が発生したか否かを判定することができる。そして、次に説明するように、同期制御異常が発生したと判定された場合、油圧力又は電磁力により連結分離伝達機構80の一例を構成するロックピンを作動させ、吸気弁又は排気弁を停止させるか、又は低リフト量へ切り換えることが可能となる(図12及び図13参照)。

0112

(同期制御異常時における制御方法)
以下、図12を参照して、第1、第3及び第4実施形態に係るECUにより制御される、同期制御異常時のフェイルセーフ処理について説明する。ここに、図12は、これらの実施形態に係る同期制御異常フェイルセーフ処理ルーチンを示すフローチャート図である。このフェイルセーフ処理ルーチンは、予めECUのROMに記憶されているルーチンであり、内燃機関100の動作中に定期的又は不定期的に、主にECUによって実行されるルーチンである。このルーチンは好ましくは、エンジンストロークに比べて十分に短い時間で(例えば数msec或いは数μsecのオーダで)、繰り返して実行されることにより、同期制御異常が発生した場合にも、ピストンと弁との接触等によりエンジンが故障する事態を未然防止することも可能である。

0113

図12において先ず、ECU6の制御下で、カム角センサ14Cが故障か否かが判定される(ステップS101)。このような判定は、例えば、カム角センサ14Cの出力信号を入力パラメータとしてECU6において判定される。ここで、カム角センサ14Cが故障でない場合は(ステップS101:No)、吸気弁4に対応するカムの回転数“Ncam1”及び排気弁5に対応するカムの回転数“Ncam2”がカム角センサ14Cによって測定され、ECU6によって取得される(ステップS102)。

0114

ステップS101〜S102と並列に、即ちこれらと同時に又は相前後して、ECU6の制御下で、クランク角センサ40が故障か否かが判定される(ステップS103)。このような判定は、例えば、クランク角センサ40の出力信号を入力パラメータとしてECU6において判定される。ここで、クランク角センサ40が故障でない場合は(ステップS103:No)、クランクの回転数“Ncrk”がクランク角センサ40によって測定され、ECU6によって取得される(ステップS104)。

0115

ステップS101〜S102及びステップS103〜S104と同時に又は相前後して、ECU6の制御下で、アクセルポジションセンサ等のその他のセンサが故障か否かが判定される(ステップS105)。このような判定は、例えば、アクセルポジションセンサ等の出力信号を入力パラメータとしてECU6において判定される。ここで、アクセルポジションセンサ等が故障でない場合は(ステップS105:No)、ECU6によって要求トルク“Trq”がアクセルポジションセンサ等によって測定された測定値に基づいて計算される(ステップS106)。

0116

続いて、ステップS104において取得されたクランクの回転数“Ncrk”及びステップS106において計算された要求トルク“Trq”から、ECU6の制御下で、目標となるカムの回転数“N”が計算される(ステップS107)。

0117

以上のようにステップS101〜S102、ステップS103、S104及びS107並びにステップS105〜S107の処理が終了すると、続いて、ECU6の制御下で、吸気弁4に対応するカムの回転数“Ncam1”と目標のカムの回転数“N”との差“ΔN1”が計算され、該差が所定閾値“ΔN”より大きいか否かが判定される。排気弁5に対応するカムの回転数“Ncam2”と目標となるカムの回転数“N”との差“ΔN2”についても同様の判定がなされる(ステップS108)。ここで、上記のように計算された差“ΔN1”又は“ΔN2”が所定閾値“ΔN”より大きい場合(ステップS108:Yes)、同期制御異常が発生しているとして、ECU6の制御下で、油圧力又は電磁力を発生させる各種アクチェータが作動され、ロックピン等の連結分離伝達機構80に油圧力又は電磁力が作用される(ステップS109)。

0118

続いて、例えば、ロストモーションアーム等の連結分離伝達機構80によって、カムの回転運動が吸気弁4又は排気弁5に伝達されず、吸気弁4又は排気弁5は開閉駆動されず、停止される(ステップS110)。

0119

続いて、運転者等への警告ランプ等が点滅され、内燃機関1が停止される(ステップS111)。

0120

他方、ステップS101、ステップS103及びステップS105の判定の結果、各種センサが故障である場合(ステップS101:Yes、ステップS103:Yes及びステップS105:Yes)も、運転者等への警告ランプ等が点滅され、内燃機関1が停止される(ステップS111)。尚、これらの場合には、同期制御異常の判定(ステップS108)は実行されない。

0121

他方、ステップS108の判定の結果、前述した差が所定閾値“ΔN”以下である場合(ステップS108:No)、同期制御異常が発生しないとして、当該フェイルセーフルーチンの1サイクルを終了する。

0122

尚、図12の実施形態では、同期制御異常が一度発生すると(ステップS108:Yes)、弁停止(ステップS109〜S110)を経て、警告及び内燃機関の停止(ステップS111)まで実施するように構成したが、ステップS110の後に、再び、通常動作試みるように構成してもよい。即ち、信号エラー等で突発的に同期制御異常が検出された場合であって且つ弁駆動機構図1から図10等参照)に何ら異常がない場合には、仮に一度、同期制御異常が発生しても、修理に回す必要はないため、このような場合に、通常の動作の続行を試みさせる意義がある。

0123

以下、図13を参照して、第2実施形態に係るECUにより制御される、同期制御異常フェイルセーフ処理について説明する。ここに、図13は、第2実施形態に係る同期制御異常フェイルセーフ処理ルーチンを示すフローチャート図である。このフェイルセーフ処理ルーチンは、主にECU6によって実行され、そのECU6等の構成は前述した第1、第3及び第4実施形態に係るフェイルセーフ処理ルーチンと同様である。尚、図13において、第1、第3及び第4実施形態に係るフェイルセーフ処理ルーチンを示した図12と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。

0124

図13において、ステップS101からステップS109については、前述した第1、第3及び第4実施形態に係るフェイルセーフ処理ルーチンを示した図12と同様である。

0125

図13に示したフェイルセーフ処理では特に、ステップS108の判定で、同期制御異常が発生していると判定された場合には(ステップS108:Yes)、各種アクチェータの作動(ステップS109)に続いて、例えば、ロストモーションアーム等の連結分離伝達機構80によって、高リフトカム21の回転運動が吸気弁4又は排気弁5に伝達されず、低リフトカム22A及び22Bの回転運動が吸気弁4又は排気弁5に伝達され、吸気弁4又は排気弁5は低リフト量で開閉駆動される(ステップS200)。

0126

続いて、低リフトフラグ“F”に“On”が代入され(ステップS201)、当該フェイルセーフルーチンの1サイクルを終了する。

0127

他方、ステップS108の判定の結果、前述した計算されたカムの回転数“Ncam1”及び“Ncam2”と目標となるカムの回転数“N”との差“ΔN1”又は“ΔN2”が所定閾値“ΔN”以下である場合(ステップS108:No)、同期制御異常は発生していないとして、更に、低リフトフラグ“F”が“On”であるか否かが判定される(ステップS202)。ここで、低リフトフラグ“F”が“On”である場合は(ステップS202:Yes)、ECU6の制御下で、油圧力又は電磁力を発生させる各種アクチュエータの作動が停止され、ロックピン等の連結分離伝達機構80に油圧力又は電磁力が作用されず、リターンスプリング16F等の付勢力が作用され、例えばロッカーアーム16A及び16Bとロストモーションアーム30等は連結され、一体となる(ステップS203)。

0128

続いて、例えば、ロッカーアーム16A及び16Bとロストモーションアーム30等が一体となることによって、低リフトカム21の回転運動が吸気弁4又は排気弁5に伝達されず、高リフトカム22A及び22Bの回転運動が吸気弁4又は排気弁5に伝達され、吸気弁4又は排気弁5は高リフト量で開閉駆動される(ステップS204)。即ち、一度、同期制御異常が発生して低フラグがONされた場合であっても、信号エラー等で突発的に同期制御異常が検出された場合であって且つ弁駆動装置(図1から図10等参照)に何ら異常がない場合には、ステップS202〜S204の処理を経て、通常動作を行う状態に回復させることが可能となる。

0129

続いて、低リフトフラグ“F”に“Off”が代入され(ステップS205)、当該フェイルセーフルーチンの1サイクルを終了する。

0130

他方、ステップS202の判定の結果、低リフトフラグ“F”が“On”でない場合は(ステップS202:No)、そのまま、当該フェイルセーフルーチンの1サイクルを終了する。即ち、当該フェイルセーフルーチンの前回のサイクルで、同期制御異常が発生していないので、通常動作を続行させることが可能となる。

0131

他方、ステップS101、ステップS103及びステップS105の判定の結果、各種センサが故障である場合(ステップS101:Yes、ステップS103:Yes及びステップS105:Yes)、第1、第3及び第4実施形態に係るフェイルセーフ処理ルーチンを示した図12と同様に、運転者等への警告ランプ等が点滅され、内燃機関が停止される(ステップS111)。

0132

本実施形態では主に、吸気弁4を駆動するものとして説明するが、排気弁5を駆動する場合も同様の構成でよい。

0133

第1又は第2実施形態では、油圧力をロックピンに作動させることによって弁停止又は低リフトカムへの切換を実現し、他方、油圧力をロックピンに作動させないことにより吸気弁又は排気弁の高リフトカムによる開閉駆動への切替えを実現しているが、これは内燃機関に求められる特性に合わせて、これとは逆の構成及び動作を採用してもよい。

0134

本実施形態では、連結分離伝達機構80の切替えを行うためにロックピンの移動を潤滑オイルの油圧力を用いているが、その他の流体液体気体)の圧力、又は、電磁力等を用いてもよい。

0135

本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の弁駆動システム及び方法並びにそのような弁駆動システムを具備してなる動力出力装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。

図面の簡単な説明

0136

本発明の第1実施形態に係る弁駆動システムが組み込まれた内燃機関の全体構成の外観斜視図である。
本発明の第1実施形態に係る弁駆動システムが組み込まれた内燃機関の部分構成、即ち、1つのシリンダについての弁駆動装置の外観斜視図である。
本発明の第1実施形態に係る弁駆動装置の構成要素、即ち、ロッカーアーム、ロストモーションアーム及び吸気弁の外観斜視図である。
本発明の第1実施形態に係る弁駆動装置の、正常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム及び高リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。
本発明の第1実施形態に係る弁駆動装置の、同期制御異常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム及び高リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。
本発明の第2実施形態に係る弁駆動装置の、正常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム、高リフトカム及び低リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。
本発明の第2実施形態に係る弁駆動装置の、同期制御異常時の場合のロッカーアーム、ロストモーションアーム、高リフトカム及び低リフトカム等の構成を示した図式的断面図である。
本発明の第3実施形態に係る弁駆動装置の構成要素、即ち、HLA(油圧ラッシュアジャスター)、ロッカーアーム、ローラ、ノーズ及び吸気弁を示した外観斜視図である。
本発明の第3実施形態に係る弁駆動装置の一例である、HLAの詳細構成を示した図式的断面図である。
本発明の第4実施形態に係る弁駆動装置の構成要素、即ち、第1及び第2リンク、コイルスプリング、ロックピン及び吸気弁等の構成及び動作を示した図式的正面図(図10(a))及びその側面図(図10(b))である。
本発明に係る内燃機関の弁駆動システム及び該内燃機関を制御するECU、各種センサ、各種アクチュエータ等を示す概念図である。
本発明の第1、第3及び第4実施形態に係る同期制御異常のフェイルセーフ処理ルーチンを示すフローチャート図である。
本発明の第2実施形態に係る同期制御異常のフェイルセーフ処理ルーチンを示すフローチャート図である。

符号の説明

0137

1内燃機関
2シリンダ(気筒)
4吸気弁
5排気弁
6 ECU
7バックアップRAM
10弁駆動システム
11A弁駆動装置
11B 弁駆動装置
11C 弁駆動装置
12電動モータ
14Aカム軸(カムの回転軸
14B カム軸(カムの回転軸)
14Cカム角センサ
15ギア列
16Aロッカーアーム
16aローラ
16B ロッカーアーム
16b ローラ
16Cロッカーアームシャフト
16D通路
16E油圧室
16Fリターンスプリング
16Gバルブ接触部
17弁特性調整機構(一例)
18Aロックピン
18B ロックピン
18C ロックピン
18D ロックピン
18E ロックピン
19係合穴
20A リターンスプリング
20B 油圧室
20C 係合穴
21高リフトカム
21aノーズ部
21b ノーズ部
22A低リフトカム
22B 低リフトカム
23弁スプリング
30ロストモーションアーム
31 ローラ
40クランク角センサ
50 弁特性調整機構(他の一例)
51 第1リング
51A ローラ
52 第2リング
52A ノーズ
53支持軸
60HLA
61ピボット部
62ピストン
63ガイド部
64圧縮スプリング
65ロストモーションスプリング
70シリンダブロック
71オイル通路
80連結分離伝達機構
100動力伝達機構
101偏心プレート(回転部材)
103 第1リンク(リンク部)
104連結ピン
105 第2リンク(リンク部)
106ガイド筒
107コイルスプリング
108スライダ
200 第1軸受け
201ガイド穴
210 第2軸受け
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