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技術 反応器温度制御系の調整方法及び反応器温度制御系の調整装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 鈴木勝幸松井祐二白石朋史稲田和広
出願日 2003年7月29日 (17年3ヶ月経過) 出願番号 2003-202762
公開日 2005年2月24日 (15年8ヶ月経過) 公開番号 2005-049918
状態 特許登録済
技術分野 物理的、化学的プロセスおよび装置 フィードバック制御一般 温度の制御
主要キーワード 温度時定数 熱収支モデル 演算形式 投入バルブ 物性値データ 原料供給バルブ 処方データベース 流量バルブ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器温度制御系の調整が可能な反応器温度制御系の調整方法及び反応器温度制御系の調整装置を提供する。

解決手段

化学反応をともなう反応器の反応温度を制御する反応器温度制御系で、該化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性推定し、推定された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整する。或いは、化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性を算出する手段と、算出された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整する手段を備える。

効果

容易にかつ安定した反応器温度制御系の安定化が可能である。

概要

背景

石油化学などのプロセス制御の分野において、重合反応プロセス等の化学反応を伴なう反応器温度制御は自動化が困難である。例えば、高機能ポリマーを製造する場合、処方により、複数の原料を異なる時間に仕込むため、反応器の温度特性が異なるため、オペレータと経験に頼るところが大きい。さらに、最近では、多品種少量生産が求められ、一つの反応器で、数十,数百といった数の処方をこなす必要があり、運転員への負担が大きい。反応器の温度制御に関しては、例えば、特許文献1(特開平7−219645号公報)があげられる。

概要

化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器温度制御系の調整が可能な反応器温度制御系の調整方法及び反応器温度制御系の調整装置を提供する。化学反応をともなう反応器の反応温度を制御する反応器温度制御系で、該化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性を推定し、推定された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整する。或いは、化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性を算出する手段と、算出された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整する手段を備える。容易にかつ安定した反応器温度制御系の安定化が可能である。

目的

本発明の目的は、化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器温度制御系の調整が可能な反応器温度制御系の調整方法及び反応器温度制御系の調整装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

化学反応をともなう反応器反応温度を制御する反応器温度制御系調整方法であって、該化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性推定し、推定された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整することを特徴とする反応器温度制御系の調整方法。

請求項2

請求項1に記載の反応器温度制御系の調整方法において、該反応器の温度特性である温度時定数が、大きくなった場合には反応温度制御系閉ループ感度下げ、温度時定数が小さくなった場合には、反応温度制御系の閉ループ感度を上げるように、前記反応温度制御系のパラメータを調整することを特徴とする反応器温度制御系の調整方法。

請求項3

化学反応をともなう反応器の反応温度を制御する反応器温度制御系の調整装置であって、該化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性を算出する手段と、算出された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整する手段を備えたことを特徴とする反応器温度制御系の調整装置。

請求項4

請求項3に記載の反応器温度制御系の調整装置において、前記反応器の温度特性を算出する手段は、外部からの温度変化に対する反応器温度変化時定数を算出する手段を備えることを特徴とする反応器温度制御系の調整装置。

請求項5

請求項3に記載の反応器温度制御系の調整装置において、該反応器の温度制御系を調整する手段は、反応温度制御系のパラメータを調整する手段を備えることを特徴とする反応器温度制御系の調整装置。

請求項6

請求項3に記載の反応器温度制御系の調整装置において、反応器温度特性と制御系調整指標を表示する監視手段を備えることを特徴とする反応器温度制御系の調整装置。

請求項7

請求項3に記載の反応器温度制御系の調整装置において、前記反応器の温度特性である温度時定数の変化に従って該反応温度制御系の閉ループ感度を調整する手段を備えたことを特徴とする反応器温度制御系の調整装置。

技術分野

0001

本発明は、反応器温度制御系調整方法及び反応器温度制御系の調整装置に関する。

0002

石油化学などのプロセス制御の分野において、重合反応プロセス等の化学反応を伴なう反応器温度制御は自動化が困難である。例えば、高機能ポリマーを製造する場合、処方により、複数の原料を異なる時間に仕込むため、反応器の温度特性が異なるため、オペレータと経験に頼るところが大きい。さらに、最近では、多品種少量生産が求められ、一つの反応器で、数十,数百といった数の処方をこなす必要があり、運転員への負担が大きい。反応器の温度制御に関しては、例えば、特許文献1(特開平7−219645号公報)があげられる。

背景技術

0003

【特許文献1】
特開平7−219645号公報

0004

そして、多品種少量生産の場合等に、処方ごとに制御パラメータを管理することは負担が大きく、管理コストも膨大になる。また、制御パラメータ調整のために、処方ごとにプラント試験を実施することは、現実には困難である。その結果、代表的なパラメータを設定し、運転中に手動介入するなどで対応せざるを得ない。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器温度制御系の調整が可能な反応器温度制御系の調整方法及び反応器温度制御系の調整装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

化学反応に対して実施する処方に基づき該反応器の温度特性を推定し、推定された温度特性に基づき該反応器の温度制御系を調整する。

0007

石油化学などのプロセス制御の分野において、重合反応プロセスの制御は、自動化が困難なものの一つと考えられている。例えば、高機能ポリマーを製造する場合、処方によって、複数の原料を異なる時間に仕込むため、反応器の温度特性が異なり、オペレータの勘と経験に頼るところが大きい。さらに、最近は多品種少量生産が求められ、一つの反応器で、数十,数百といった数の処方をこなす必要があり、運転員への負担が大きいのが実状である。

0008

ここで、重合反応プロセス等で、化学反応をともなう反応器の反応温度を制御する温度制御について説明する。なお、説明中、反応器温度と反応温度とは同一の計測値を示す。

0009

反応器の温度制御では、反応温度を、製品品種ごとに所定の目標温度を設定する。この目標温度に実際の反応温度が一致するように、反応器外部から、加熱又は冷却して、温度制御する。反応器外部からの熱供給手段(加熱又は冷却手段)として、反応器廻りに配置されたジャケット内温水冷水などの熱媒体を用い、この熱媒体を介して反応器内の温度制御を行う場合が多い。また、多くの場合、反応温度フィードバック制御により、ジャケット入口側温度設定値を求め、この設定値に従いジャケット流量バルブ開度を調節する、いわゆるカスケード制御系の構成をとる。しかし、反応器外部からの熱が、反応器内部に速やかに到達するものではなく、熱損失時間遅れがあるため、制御の応答性が乏しい。さらに、重合反応の進展において、反応熱が生じ、反応器内部の温度を上昇させてしまう。したがって、反応器の温度制御では、反応器外部からの温度調節遅れという制御応答性と、反応器内部の自己発熱との双方を考慮する必要があると考えられる。

0010

次に、制御応答性及び反応器内部の自己発熱との双方を考慮し、反応器の温度制御で、反応温度フィードバック制御の制御パラメータの調整を行う技術を説明する。制御パラメータは、例えば、目標温度との偏差に対する比例ゲイン積分ゲインがある。そして、処方ごとに目標温度や原料の仕込み量,仕込みパターンが異なるため、温度制御性を高めるためには、前述の制御パラメータを個別に調整することが望ましい。

0011

但し、多品種少量生産の場合、処方ごとに制御パラメータを管理することは運転員の負担が大きく、管理コストも膨大になる。また制御パラメータ調整のために、処方ごとにプラント試験を実施することは、現実には不可能である。その結果、代表的なパラメータを設定し、運転中に手動介入するなどで対応するのが通常である。そこで、反応器温度制御系の調整方法として、適切に、処方ごとの反応器温度特性を踏まえた制御パラメータの設定が可能な機能が求められる。

0012

(実施例)
以下に、より具体的に、本発明の一実施例を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例における反応器温度制御系システムの全体構成図である。

0013

本実施例の反応器温度制御系システムは、主に、制御対象制御系,制御系の調整手段を備えている。

0014

制御対象は、主に、化学反応をともない、内部で重合反応等を行う反応器10と、反応器10の周りに配置され、反応器10を外部から冷却又は過熱する熱媒体が供給されているジャケット20と、反応器10の内部の実温度を測定する反応器温度計30と、ジャケット20に供給される熱媒体の温度をその入口で測定するジャケット入口温度計40と、ジャケット20に供給される熱媒体を循環させるジャケット循環ポンプ50と、ジャケット20から排出される熱媒体の温度をその出口で測定するジャケット出口温度計60と、ジャケット20の熱媒体の循環系に供給される温水量を調整する温水バルブ70Hと、ジャケット20の熱媒体の循環系に供給される冷水量を調整する冷水バルブ70Cと、スプリットレンジ80と、ジャケット温度制御器90と、反応器10に供給される原料の量を調整する原料供給バルブ100A及び原料供給バルブ100Bとを備えている。

0015

また、本実施例の制御系及びその調整手段(調整機能)を構成する要素として、反応温度制御機能200,反応温度のデータベースである反応温度DB300,処方のデータベースである処方DB400,設計のデータベースである設計DB500、およびパラメータ算出機能600を備えている。

0016

本実施例の反応器10は、主に重合反応を制御の対象とする。ここでは、反応に伴い発熱を生じる、いわゆる発熱プロセスを想定するが、吸熱プロセスでも同様に扱えるものとする。

0017

次に、本実施例の各機能,手段について説明する。なお、本実施例ではジャケット温度としてジャケット入口温度計40での計測温度を用いている、ここに限定されるものではなく、ジャケット温度を示しかつ計測器の設置可能な部位の温度であればよい。例えば、ジャケット出口温度計60を用いることも可能である。

0018

まず、反応器の温度制御系であり、反応温度を制御する手段である反応温度制御機能200を説明する。反応温度制御機能200では、種々の信号を受け取り、ジャケット入口温度設定値(S200)を算出する。つまり、本実施例では、反応器温度計30で測定された反応器温度(S30)と、ジャケット出口温度計60で測定されたジャケット出口温度(S60),反応温度DB300から目標温度(S300)、および反応器温度特性パラメータ(S1000)の信号を読み込む。これらの値(信号)に基づき、ジャケット入口温度設定値(S200)を算出する。算出されたジャケット入口温度設定値(S200)は、ジャケット温度制御器90に送信される。

0019

このジャケット入口温度設定値(S200)は、ジャケット温度制御器90において、ジャケット入口温度計40で測定されたジャケット入口温度計測値(S40)と比較され、最適なジャケットバルブ開度信号を算出される。この開度信号によって、スプリットレンジ80において、加熱用冷却用に分割し、温水バルブ70Hと冷水バルブ70Cを操作することができる。

0020

次に、化学反応に対して実施する処方に基づき反応器10の温度特性を算出する手段であるパラメータ算出機能1000を説明する。パラメータ算出機能1000は、反応器10への原料仕込み量データ(S100A),原料仕込み量データ(S100B)と、処方DB400からの原料の物性値(S400),設計DB500からの反応器の伝熱特性(S500)を読み込む。そして、これらの値(信号)に基づき、反応温度特性パラメータ(S1000)を算出することができる。このように化学反応に対して実施する処方に基づき算出された温度特性である反応温度特性パラメータ(S1000)は、反応温度制御機能200の制御パラメータを調整するための指標とすることができる。

0021

本実施例では、原料仕込み量データは(S100A)と(S100B)の2種類としたが、3種類以上でも可能であり、特に上限制約は無い。また、原料モノマーだけでなく、触媒や水でも考慮可能である。

0022

本実施例では、原料物性値(S400)として、熱容量(比熱)を用い、反応器の伝熱特性(S500)として、反応器の構造データ、特に伝熱面積と、反応器とジャケットとの伝熱特性、特に総括伝熱係数を用いる。ただし、これらに限定するものではない。

0023

本実施例の反応温度制御機能200をより具体的に、図2を用いて説明する。
演算手段200Aは、前述の目標温度(S300)と反応温度(S30)を比較し、両方の偏差(目標偏差と称する)に対して演算を施す処理を行う。本実施例では、目標偏差に対して、比例積分演算を適用する、いわゆる比例積分型のフィードバック制御(以下、FB制御と称する)を想定する。

0024

FB制御の演算は、多くの場合、比例積分方式を適用する。比例積分方式とは、前述の目標温度(Tsp)と反応温度(Tr)との偏差(E)に、比例演算積分演算を行うものであり、式(1)で表される。

0025

(S200A)=K1×E+K2×∫Edt …(1)
式(1)において、K1,K2は各々比例ゲイン,積分ゲインといい、前述のFB制御の制御性能を調整するパラメータである。

0026

可変ゲイン200Bは、反応器温度特性パラメータ(S1000)に基づき、前述の比例ゲイン,積分ゲインを調整する。調整則は、前述の反応器温度特性パラメータを引数とする関数、またはルックアップテーブル形式などが考えられる。例えば、重合反応開始時における、反応器温度特性パラメータの初期設定値をP0,重合反応中の前期パラメータをPtとし、K1の調整則をP0とPtの比で、式(2)のように決定することが考えられる。

0027

K1←(Pt/P0)×K1 …(2)
次に、外乱補償演算200Cは、反応器温度(S30)とジャケット出口温度(S60)から、反応器10における温度外乱補償する信号(S200C)を算出する。演算形式は、例えば前述の各温度に対する微分演算や、熱収支モデルに基づく演算が考えられる。本実施例では、反応器温度(S30)の微分演算と、ジャケット出口温度(S60)を引数とする関数を想定する。ただし、引数とする計測値は、前述の温度以外でも適用可能である。

0028

可変パラメータ200Dは、前述の微分演算ゲインと関数パラメータを、反応器温度特性パラメータに基づき調整する。

0029

演算要素200Eでは、前述のとおり算出した信号(S200A)と(S200C)を加算して、操作信号(S200)を決定する。なお、本実施例では、演算要素200Eを加算演算とするが、他の演算形式でも適用可能である。

0030

以上、図2における演算過程を、図3フローチャートとして示した。

0031

本実施例の反応温度DB300について、図4を用いて説明する。反応温度DB300では、処方と反応温度(目標温度)を対応づけている。処方実行のときは、対応する反応温度(目標温度)が、前述の反応温度制御機能200に設定される。図4では、処方1つに反応温度1つとしたが、反応温度が複数設定されても良い。この場合、処方の進行状況に応じて、反応温度(目標温度)が設定変更される。

0032

本実施例の処方DB400について、図5を用いて説明する。処方DB400は、処方実行上のデータを管理するが、図4ではそのうち本発明の調整方法に係わるデータを示している。

0033

例えば、処方No.が001の場合において、各原料ごとの仕込み量(指示値)と、熱容量が定義される。仕込み中の原料(S100A),(S100B)に対応した熱容量を、前述のパラメータ算出機能1000に設定する。

0034

本実施例の設計DB500について、図6を用いて説明する。設計DB500は、反応器10の設計データを格納する。本実施例では、パラメータ算出機能
1000において、総括伝熱係数と、伝熱面積の推定に必要なデータを参照する。図6では、伝熱面積=yyyを定義したが、さらに反応器10の形状データ
(高さ,半径など)を定義する場合もある。

0035

次に、本実施例のパラメータ算出機能1000について、図7を用いて説明する。パラメータ算出機能1000は、反応器10への原料仕込量(S100A),(S100B)と、処方DB400からの仕込み原料物性値データ(S400)、設計DBより、反応器設計データ(S500)を読み込み、反応器温度特性パラメータ(S1000)を算出する。

0036

本実施例の仕込量及び熱容量推定手段1000Aは、まず計算時点での各仕込み量、および全仕込み量重量単位で求める。次に各原料の仕込み量と、原料物性値より熱容量(比熱)とを積和演算し、すなわち反応器10の全熱容量を式
(3)のように算出する。

0037

この全熱容量は、その時点で反応器10全体を単位温度変化させるのに必要な熱量を意味する。

0038

本実施例の伝熱特性推定手段1000Bは、反応器10の設計データに基づき、原料仕込み状況に応じて、その時点での伝熱面積を推定する。本実施例では、伝熱面積は全仕込み量から一意に決めると仮定し、式(4)のように、全仕込み量を引数とする関数であらわすものとする。

0039

(伝熱面積)=FUNC(全仕込み量) …(4)
ここで、FUNCは、任意の関数を示す。

0040

得られた伝熱面積と、反応器10の設計データから総括伝熱係数をかけることで、その時点での、ジャケットからの熱伝達特性を算出する。すなわち、(総括伝熱係数)×(伝熱係数)から、仕込み状況に基づくジャケットからの温度の伝わりやすさを得る。

0041

本実施例の温度特性算定手段1000Cは、仕込み状況に応じた全熱容量,伝熱面積から、反応器温度特性パラメータ(S1000)を算定する。本実施例では、以下の算定式(5)を用いる。

0042

(S1000)=(全熱容量)/{(伝熱面積)×(総括伝熱係数)} …(5)
ここで、(S1000)は、単位が時間となる。このパラメータの意図するところは、ジャケットの温度変化に対する反応器温度の時間変化特性である。すなわち、反応器の温度変化に関する固有時定数といえる。このように、外部からの温度変化に対する反応器温度変化時定数を算出することができる。本実施例では、このように、反応器の温度特性を算出する手段で、外部からの温度変化に対する反応器温度変化時定数を算出する手段を備えている。

0043

ジャケットの温度変化に対して、(S1000)が大きい場合は反応器の温度変化は緩慢、(S1000)が小さい場合は反応器の温度変化は早いことを表す。

0044

以上、図7における演算過程を、図8にフローチャートとして示した。

0045

本実施例では、反応器の温度特性である温度時定数の変化に従って反応温度制御系閉ループ感度を調整する手段を備えたことにより、化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器の温度制御系の調整が可能となる。

0046

次に、本発明の一実施例の動作を説明する。図9は、処方実行中に仕込み追加がある場合、つまり、化学反応に対して実施する処方である仕込み追加がある場合、反応器温度特性パラメータの変化の一例を示す。この例では、仕込追加という処方によって、W0[kg]からW1[kg]に増加する。下段グラフは、反応器温度特性パラメータが仕込み追加に応じて、K0→K1に変化する。反応器温度特性パラメータは、反応器の温度変化しやすさを表す指標であるので、図9の場合は、仕込み追加により、反応器の温度特性が、緩慢(ゆっくり)になったことを示している。このように、化学反応に対して実施する処方に基づき反応器の温度特性を算出し推定することができる。

0047

この算出された温度特性に基づき反応器の温度制御系を調整する。つまり、算出して推定された結果に基づき、反応温度制御機能200では、コントローラ感度特性をあげるようにパラメータを調整することで、反応温度制御性能の低下を防ぐことができる。このように、温度時定数が小さくなった場合には、反応温度制御系の閉ループ感度を上げるように、反応温度制御系のパラメータを調整することことで、反応温度制御性能の低下を防ぐことができる。

0048

図10は、仕込み追加については図9と同じであるが、仕込み原料の熱容量が小さい場合の、反応器温度特性パラメータの変化を示す。この場合は、仕込み追加による伝熱面積の増加に対して、前述の全熱容量の増加が小さいため、反応器温度特性パラメータは、下段グラフのとおり、K0→K1に低下する。すなわち、この場合は、仕込み追加という処方により、反応器の温度特性は早くなったことを示している。このように、化学反応に対して実施する処方に基づき反応器の温度特性を算出し推定することができる。

0049

この算出された温度特性に基づき反応器の温度制御系を調整する。つまり、算出し推定された結果に基づき、反応温度制御機能200では、コントローラの感度特性を下げて、操作量変化を抑制することで、反応温度制御の安定性を確保することができる。このように、反応器の温度特性である温度時定数が、大きくなった場合には反応温度制御系の閉ループ感度を下げるように、反応温度制御系のパラメータを調整することで、反応温度制御の安定性を確保することができる。

0050

以上のように、反応器の温度特性である温度時定数が、大きくなった場合には反応温度制御系の閉ループ感度を下げ、温度時定数が小さくなった場合には、反応温度制御系の閉ループ感度を上げるように、前記反応温度制御系のパラメータを調整することで、化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器温度制御ができる。

0051

図11は2種類の原料の追加仕込みという処方の場合を示す。この例では
(S100A)の熱容量は大きく、一方(S100B)の熱容量は小さい場合を想定する。

0052

下段グラフに示すとおり、(S100B)の仕込み追加のときは、反応器温度特性パラメータは、K0→KB1に低下する。これは、熱容量の小さい原料を追加したため、伝熱面積の増加に対して全熱容量の増加が小さいことによる。

0053

次に、(S100A)を仕込み追加した場合、反応器温度特性パラメータは、KB1→KA1に上昇する。

0054

この結果に基づき、反応温度制御機能200では、コントローラの感度特性を調整することで、反応温度制御の安定性を確保することができる。

0055

図12は、本発明の一実施例に係る反応器温度制御系の調整装置の一例を示す図である。図12では、処方DB400,設計DB、および、パラメータ算出機能1000を具備する調整装置2000に、監視手段として、監視画面3000を接続した構成である。監視画面3000は、運転員に対して、処方実行の進捗状況と、本発明の反応器温度特性パラメータの変化を情報(S2000)として提供する。

0056

図13に、監視画面3000の表示内容の一例を示す。図13は処方ごとに進捗情報を表示する内容としている。反応温度特性パラメータ表示部3010は、(S1000)を数値表示する。例えば、反応温度特性パラメータは時間の単位をもつので、処方実行中、その時点の温度時定数などの反応器温度特性を情報提供可能である。また、温度時定数に定格値が設定されている場合、それと比較することで、反応器温度が変化しやすいか否か定性的な情報を提供することもできる。

0057

また、本実施例では、制御系調整指標を表示する監視手段を備えている。制御系調整指標表示部3020は、反応温度制御機能200のゲイン調整をどの程度行うか情報を表示する。例えば、図10の場合、K1/K0=0.8 であるとすると、制御ゲイン初期設定の80%に調整する、といった情報を示す。制御系調整指標を表示する監視手段を備えているので、この指標を容易に監視できる。

0058

図14に、比較技術例として制御系構成を示す。図1と異なる点は、反応温度フィードバック制御系210である。この例では、目標温度(S300)と反応温度(S30)の偏差を小さくするように、ジャケット入口温度設定値(S200)を決定する。制御系210では、原料仕込み情報を参照する機能をもたず、制御ゲインは固定である。

0059

図15に、2種類の原料仕込み追加を伴う場合の反応温度変化を示す。上段グラフでは、(S100A),(S100B)の仕込み追加を示す。(S100B)は、仕込み追加を2回行い、0→WB1→WB2と増加させる。なお、熱容量については、図11の場合と同様、(S100B)は小さいものとする。

0060

処方実行の結果、(S100B)の2回目の仕込み追加により、下段グラフに示すように、反応温度の変動が生じる。この場合、従来の制御系では、運転員による制御系調整が必要となる。

0061

図16に、本発明の一実施例による反応温度の制御系動作を示す。パラメータ算出手段1000により、中段グラフに示すとおり、反応器温度特性パラメータの変化から、(S100B)2回目の仕込みにより、反応器温度特性が、KA1からKB2に低下していることがわかる。これは反応器10の温度変化が早くなったことを示す。この結果を受けて、反応温度制御機能200の制御ゲインを調整し、制御安定性をはかる。具体的な例として、前述の比例ゲインK1を
K1←(KB2/KA1)×K1 …(6)
または、初期設定値を基準にして、
K1←(KB2/K0)×K1 …(7)
として感度を下げるよう調整する。その結果、操作量であるジャケット入口温度設定値の変化を抑制し、反応温度の安定化ができる。

0062

以上、本発明の一実施例を示したが、前述の反応温度制御機能200は、比例積演算に限定されることなく、例えば、モデルベース予測制御でも適用可能である。この場合、フィードバック制御系の閉ループ感度特性を調整するパラメータが必要である。

発明を実施するための最良の形態

0063

本実施例によれば、反応器温度制御系の調整にあたり、処方進行にしたがい、仕込みデータから反応器の温度特性を推定し、その結果をもとに反応温度制御系のパラメータを調整するので、処方の種別に係わり無く、容易に、かつ安定した反応器温度制御系の調整が可能となる。また、自動化が容易になる。

図面の簡単な説明

0064

本発明によると、化学反応をともなう反応器を用いて生成物を製造する際に、処方の種別に係わり無く、容易にかつ安定した反応器温度制御系の調整が可能な反応器温度制御系の調整方法及び反応器温度制御系の調整装置を提供することができる。

図1
本発明の一実施例に係わる反応温度制御系システムの構成を示す図である。
図2
本発明の一実施例における、反応温度制御機能の概略を示す。
図3
本発明の一実施例における、反応温度制御機能のフローチャートの一例を示す。
図4
本発明の一実施例における、反応温度データベースの一例を示す。
図5
本発明の一実施例における、処方データベースの一例を示す。
図6
本発明の一実施例における、設計データベースの一例を示す。
図7
本発明の一実施例における、パラメータ算出機能の概略を示す。
図8
本発明の一実施例における、パラメータ算出機能のフローチャートの一例を示す。
図9
本発明の一実施例における、反応器温度特性パラメータの時間変化の一例を示す。
図10
本発明の一実施例における、反応器温度特性パラメータの時間変化の一例を示す。
図11
本発明の一実施例における、反応器温度特性パラメータの時間変化の一例を示す。
図12
本発明の一実施例に係わる反応温度制御系の調整装置の一例を示す。
図13
本発明の一実施例に係わる反応温度制御系の調整装置の監視画面の一例を示す。
図14
従来の反応器温度制御系の一例を示す。
図15
原料仕込み変化と、従来の反応器温度制御系による反応温度の時間変化の一例を示す。
図16
本発明の一実施例に係わる反応温度制御系の調整方法を用いた場合の、原料仕込み変化,反応器温度特性パラメータ、および反応温度の時間変化の一例を示す。
【符号の説明】
10…反応器、20…ジャケット、30…反応器温度計、40…ジャケット入口温度計、50…ジャケット循環ポンプ、60…ジャケット出口温度計、70…バルブ(70H=温水,70C=冷水)、80…スプリットレンジ、90…ジャケット温度制御器、100…原料投入バルブ、200…反応温度制御機能、300…反応温度データベース、400…処方データベース、500…設計データベース、1000…パラメータ算出機能。

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