図面 (/)

技術 ジコッピ配合モノアミン再取り込み阻害剤

出願人 大正製薬株式会社
発明者 小川伸一筒井基嗣高橋賢
出願日 2004年7月1日 (15年11ヶ月経過) 出願番号 2004-195264
公開日 2005年2月10日 (15年4ヶ月経過) 公開番号 2005-035999
状態 特許登録済
技術分野 植物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 事務仕事 注意集中 情報処理作業 二酸化炭素混合ガス 精神作業 Cガラス 文化圏 日本薬局方注射用水
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2005年2月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防のために、安全性の高い天然物由来モノアミン再取り込み阻害作用物質を見出し、長期間服用しても安全な経口組成物を提供する。

解決手段

ジコッピを配合したことを特徴とする、抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防用組成物

概要

背景

生活環境労働環境の変化によるストレスあるいは持続的な身体作業精神作業、例えば肉体労働、スポーツ事務仕事情報処理作業等によって、現代人はうつ状態や、必ずしも疲労の程度と見合わない疲労感に悩まされている。

うつ病およびうつ状態は長期間にわたる抑うつ感や落ち込み感などの抑うつ気分、意欲低下興味・関心の低下などの精神運動抑制、いらいら感、不安、激越注意力の低下、集中力低下などの思考制止等の精神症状、また、主に不眠や作業中の眠気などの睡眠障害下痢便秘食欲不振などの消化器系障害体重減少性機能障害性欲の低下等身体症状によって日常生活に大きな支障を来たす疾病である。近年、このような症状を呈している患者数は増加しており、最も頻繁に罹患する精神疾患の一つであるだけでなく、ごく一般的な疾病になりつつある。

現代のようなストレス社会にあっては、重度うつ病患者の増大もさることながら、うつ状態を呈している生活者が急激に増大し、深刻な社会問題になっている。うつ状態が持続すると軽度のうつ病を発症させ、やがて重度のうつ病に移行する可能性を有している。うつ病もしくはうつ状態を発症していることを本人は自覚し難く、周囲からみても判りにくいという傾向があり、早期の発見治療を困難にしている。しかしながら、初期のうつ状態においても抑うつ感、いらいら感、意欲低下、注意集中の困難等の特徴的な症状を自覚していることは知られている。日常生活において、これらの自覚症状を改善していくことが、軽度のうつ病もしくはうつ状態の予防及び治療、引いては重度のうつ病の予防に繋がると考えられる。

うつ病およびうつ状態の発症機序としては多くの仮説が唱えられているが、脳内モノアミン作動性神経系の機能低下が発症に大きく関与していることが多くの研究によって明らかにされている。うつ病およびうつ状態の治療の基本は発症要因を調整しながら休養をとることであるが、実際には薬物療法が治療の中心となっており、このような薬物として低下した脳内モノアミン作動性神経系の機能を賦活化させる合成医薬品や生薬等の天然物が知られている。

合成医薬品としては、モノアミン酸化酵素MAO阻害薬三環系抗うつ薬四環系抗うつ薬選択的セロトニン再取り込み阻害薬セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬および可逆性MAO-A阻害薬等がある。中でも近年多く用いられている薬剤モノアミン再取り込み阻害作用主作用とするものである。しかし、これらの薬剤は優れた効果を有する一方、かすみ目、口渇、便秘、尿の貯留起立性低血圧頻脈不整脈鎮静作用てんかん誘発作用悪性症候群などの副作用も伴うので、軽度から中等度のうつ病およびうつ状態への処方には注意が必要である(非特許文献1および2参照)。また、天然物としては、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum L.)が良く知られている。セイヨウオトギリソウは過去に西文化圏の中で医療用の植物として伝統的に使用されていたという多くの事例があり、近年軽度ないし中等度のうつ病を適応症として用いられている。しかし、薬物代謝酵素誘導による医薬品との相互作用が問題となっている。

一方、持続的な身体作業や精神作業によって疲労、すなわち肉体労働、スポーツ、事務仕事、情報処理作業時の作業パフォーマンスの低下や生理反応が生じる。激しい作業あるいは持続的な作業による疲労を伴った適度な疲労感は正常であり、十分な睡眠や休養によって疲労は軽減、すなわち低下した作業パフォーマンスや変動した生理反応は回復し、疲労感も消失する。

疲労感は、話がするのがいやになる、いらいらする、物事に熱心になれない、物事が気にかかる、根気がなくなる等の他、眠気やだるさ、注意集中の困難、局在した身体違和感等、うつ状態に類似した自覚症状が複雑に絡み合っている。
適度な疲労感は、心身の疲労を自覚させることによって疲労の蓄積を回避させ、健全な作業パフォーマンスを維持させる。しかしながら、疲労回復後も疲労感のみが残存している場合や、起床後もぐったりとした疲れ感じる場合がある。また、作業パフォーマンスの低下を伴わないで疲れを感じやすくなる場合もある。このように、実際の疲労と疲労感は必ずしも相関していないため、両者の間に乖離が生じ、疲労の程度と見合わない過度の疲労感を自覚することがある。疲労回復後にも残存する疲労感は作業効率を低下させ、持続的な疲労時における疲労感の減衰過労を引き起こす可能性がある。

この疲労感にも脳内モノアミン作動性神経系の機能変化が大きく関与していることが解明されており(非特許文献3参照)、モノアミン作動性神経系を正常化することによって過剰あるいは減衰等の異常な疲労感を改善していくことが、健全な作業パフォーマンスの維持、引いては過労の予防に繋がると考えられる。

ジコッピ地骨皮)は、ナス科クコ(Lucium chinense Mill)あるいはネイカクコ(Lucium barbarum L.)を乾燥させることにより得られる生薬である。ジコッピは、血圧低下作用心拍数減少作用、血糖低下作用および解熱作用などを有しており、高血圧の治療、若年性扁平疣贅および汎発性湿疹の治療、歯髄炎による疼痛の治療、マラリアの治療に用いられた臨床例が報告されているが(非特許文献4参照)、うつ病もしくはうつ状態および疲労感に対する作用は報告されていない。

三浦貞則著、「SNRIの登場とその歴史背景」、臨床精神薬理、3(4)、星和書店、311-318、2000年
田島 治著、「SNRIの相互作用と副作用」、臨床精神薬理、3(4)、星和書店、353-361、2000年
田中雅彰「過労死と疲労−過労死に至る脳内メカニズム−」、医学のあゆみ、Vol.204.No.5,pp362-364,2003.2.1
薬大辞典、2巻、pp1043-1045、株式会社 小学、1985年

概要

抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防のために、安全性の高い天然物由来のモノアミン再取り込み阻害作用物質を見出し、長期間服用しても安全な経口組成物を提供する。ジコッピを配合したことを特徴とする、抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防用組成物。なし

目的

本発明の目的は、抑うつ感、落ち込み感、意欲低下、興味の低下、いらいら感、不安感、注意集中の困難といった症状を改善することによって、軽度のうつ病もしくはうつ状態を改善し、重度のうつ病を予防し、あるいは、疲労を伴わない疲労感を改善し、疲労に見合った適度な疲労感を回復することによって過労を予防するための組成物を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ジコッピを配合したことを特徴とするモノアミン再取り込み阻害剤

請求項2

ジコッピを配合したことを特徴とするノルアドレナリン再取り込み阻害剤

請求項3

ジコッピを配合したことを特徴とする、軽度のうつ病もしくはうつ状態の改善または予防用組成物

請求項4

ジコッピを配合したことを特徴とする、軽度のうつ病もしくはうつ状態の精神症状の改善または予防用組成物。

請求項5

ジコッピを配合したことを特徴とする、抑うつ感、憂うつ感および落ち込み感より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物。

請求項6

ジコッピを配合したことを特徴とする、いらいら感、焦燥感、激越感、緊張感および不安感より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物。

請求項7

ジコッピを配合したことを特徴とする、集中力の低下、注意力の低下、根気の低下および眠気より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物。

請求項8

ジコッピを配合したことを特徴とする、意欲低下、やる気低下、興味の低下、関心の低下、喜び感の低下および退屈感より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物。

請求項9

ジコッピを配合したことを特徴とする疲労感改善用組成物

技術分野

0001

本発明は、抑うつ感、いらいら感、意欲低下注意集中の困難等を改善することによって、軽度のうつ病もしくはうつ状態を改善し、重度のうつ病への移行を予防することができる組成物に関する。または、疲労を伴わない疲労感を改善し、疲労に見合った適度な疲労感を回復させることによって、過重労働過労)を予防することができる組成物に関する。

背景技術

0002

生活環境や労働環境の変化によるストレスあるいは持続的な身体作業精神作業、例えば肉体労働、スポーツ事務仕事情報処理作業等によって、現代人はうつ状態や、必ずしも疲労の程度と見合わない疲労感に悩まされている。

0003

うつ病およびうつ状態は長期間にわたる抑うつ感や落ち込み感などの抑うつ気分、意欲低下や興味・関心の低下などの精神運動抑制、いらいら感、不安、激越注意力の低下、集中力低下などの思考制止等の精神症状、また、主に不眠や作業中の眠気などの睡眠障害下痢便秘食欲不振などの消化器系障害体重減少性機能障害性欲の低下等身体症状によって日常生活に大きな支障を来たす疾病である。近年、このような症状を呈している患者数は増加しており、最も頻繁に罹患する精神疾患の一つであるだけでなく、ごく一般的な疾病になりつつある。

0004

現代のようなストレス社会にあっては、重度のうつ病患者の増大もさることながら、うつ状態を呈している生活者が急激に増大し、深刻な社会問題になっている。うつ状態が持続すると軽度のうつ病を発症させ、やがて重度のうつ病に移行する可能性を有している。うつ病もしくはうつ状態を発症していることを本人は自覚し難く、周囲からみても判りにくいという傾向があり、早期の発見治療を困難にしている。しかしながら、初期のうつ状態においても抑うつ感、いらいら感、意欲低下、注意集中の困難等の特徴的な症状を自覚していることは知られている。日常生活において、これらの自覚症状を改善していくことが、軽度のうつ病もしくはうつ状態の予防及び治療、引いては重度のうつ病の予防に繋がると考えられる。

0005

うつ病およびうつ状態の発症機序としては多くの仮説が唱えられているが、脳内モノアミン作動性神経系の機能低下が発症に大きく関与していることが多くの研究によって明らかにされている。うつ病およびうつ状態の治療の基本は発症要因を調整しながら休養をとることであるが、実際には薬物療法が治療の中心となっており、このような薬物として低下した脳内モノアミン作動性神経系の機能を賦活化させる合成医薬品や生薬等の天然物が知られている。

0006

合成医薬品としては、モノアミン酸化酵素MAO阻害薬三環系抗うつ薬四環系抗うつ薬選択的セロトニン再取り込み阻害薬セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬および可逆性MAO-A阻害薬等がある。中でも近年多く用いられている薬剤モノアミン再取り込み阻害作用主作用とするものである。しかし、これらの薬剤は優れた効果を有する一方、かすみ目、口渇、便秘、尿の貯留起立性低血圧頻脈不整脈鎮静作用てんかん誘発作用悪性症候群などの副作用も伴うので、軽度から中等度のうつ病およびうつ状態への処方には注意が必要である(非特許文献1および2参照)。また、天然物としては、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum L.)が良く知られている。セイヨウオトギリソウは過去に西文化圏の中で医療用の植物として伝統的に使用されていたという多くの事例があり、近年軽度ないし中等度のうつ病を適応症として用いられている。しかし、薬物代謝酵素誘導による医薬品との相互作用が問題となっている。

0007

一方、持続的な身体作業や精神作業によって疲労、すなわち肉体労働、スポーツ、事務仕事、情報処理作業時の作業パフォーマンスの低下や生理反応が生じる。激しい作業あるいは持続的な作業による疲労を伴った適度な疲労感は正常であり、十分な睡眠や休養によって疲労は軽減、すなわち低下した作業パフォーマンスや変動した生理反応は回復し、疲労感も消失する。

0008

疲労感は、話がするのがいやになる、いらいらする、物事に熱心になれない、物事が気にかかる、根気がなくなる等の他、眠気やだるさ、注意集中の困難、局在した身体違和感等、うつ状態に類似した自覚症状が複雑に絡み合っている。
適度な疲労感は、心身の疲労を自覚させることによって疲労の蓄積を回避させ、健全な作業パフォーマンスを維持させる。しかしながら、疲労回復後も疲労感のみが残存している場合や、起床後もぐったりとした疲れ感じる場合がある。また、作業パフォーマンスの低下を伴わないで疲れを感じやすくなる場合もある。このように、実際の疲労と疲労感は必ずしも相関していないため、両者の間に乖離が生じ、疲労の程度と見合わない過度の疲労感を自覚することがある。疲労回復後にも残存する疲労感は作業効率を低下させ、持続的な疲労時における疲労感の減衰は過労を引き起こす可能性がある。

0009

この疲労感にも脳内モノアミン作動性神経系の機能変化が大きく関与していることが解明されており(非特許文献3参照)、モノアミン作動性神経系を正常化することによって過剰あるいは減衰等の異常な疲労感を改善していくことが、健全な作業パフォーマンスの維持、引いては過労の予防に繋がると考えられる。

0010

ジコッピ地骨皮)は、ナス科クコ(Lucium chinense Mill)あるいはネイカクコ(Lucium barbarum L.)を乾燥させることにより得られる生薬である。ジコッピは、血圧低下作用心拍数減少作用、血糖低下作用および解熱作用などを有しており、高血圧の治療、若年性扁平疣贅および汎発性湿疹の治療、歯髄炎による疼痛の治療、マラリアの治療に用いられた臨床例が報告されているが(非特許文献4参照)、うつ病もしくはうつ状態および疲労感に対する作用は報告されていない。

0011

三浦貞則著、「SNRIの登場とその歴史背景」、臨床精神薬理、3(4)、星和書店、311-318、2000年
田島 治著、「SNRIの相互作用と副作用」、臨床精神薬理、3(4)、星和書店、353-361、2000年
田中雅彰「過労死と疲労−過労死に至る脳内メカニズム−」、医学のあゆみ、Vol.204.No.5,pp362-364,2003.2.1
薬大辞典、2巻、pp1043-1045、株式会社 小学、1985年

発明が解決しようとする課題

0012

本発明の目的は、抑うつ感、落ち込み感、意欲低下、興味の低下、いらいら感、不安感、注意集中の困難といった症状を改善することによって、軽度のうつ病もしくはうつ状態を改善し、重度のうつ病を予防し、あるいは、疲労を伴わない疲労感を改善し、疲労に見合った適度な疲労感を回復することによって過労を予防するための組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、ジコッピ由来エキスが、モノアミン再取り込み阻害作用、特に、強いノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、合成医薬と異なり副作用が少なく、医薬品、医薬部外品食品等の諸種の形態での投与が可能なジコッピは、現代人の多くが潜在的に罹患している軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防に極めて有効であると想到するに至った。

0014

本発明の一つの態様は、ジコッピを配合したことを特徴とするモノアミン再取り込み阻害剤である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とするノルアドレナリン再取り込み阻害剤である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする、軽度のうつ病もしくはうつ状態の改善または予防用組成物である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする、うつ病もしくはうつ状態の精神症状の改善または予防用組成物である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする、抑うつ感、憂うつ感および落ち込み感より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする、いらいら感、焦燥感、緊張感および不安感より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする集中力の低下、注意力の低下、根気の低下および眠気より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする、意欲低下、やる気低下、興味の低下、関心の低下、喜び感の低下および退屈感より選ばれる少なくとも1種の自覚症状の改善または予防用組成物である。
本発明の他の態様は、ジコッピを配合したことを特徴とする疲労感の改善用組成物である。

発明の効果

0015

本発明により、副作用が少なく長期間服用しても安全であり、抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防用組成物の提供が可能となった。

発明を実施するための最良の形態

0016

本発明は、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン等のモノアミンの再取り込み阻害作用を有し、抑うつ感や落ち込み感、不安やいらいら感、意欲低下や興味の低下、注意集中の困難など、軽度のうつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善作用または予防作用を有する。

0017

ジコッピは、ナス科のクコ(Lucium chinense Mill)あるいはネイカクコ(Lucium barbarum L.)の根皮を乾燥させることにより得られる生薬であり、生薬末の他、エキスも使用することができる。エキスは、水、低級脂肪族アルコール(例えばメタノールエタノールイソプロピルアルコールなど)、低級脂肪族ケトン(例えばアセトンなど)、あるいはこれらを含む溶媒により当業者が通常行う抽出処理により容易に製造することができる。製造したエキスは、加熱処理凍結乾燥あるいは減圧乾燥等の処理により、濃縮エキス乾燥エキスにすることができる。このようにして得たエキスは、クロマトグラフィー等によりさらに精製してもよい。

0018

ジコッピをチンキ剤として1日1回、7日間、マウス腹腔内に投与した場合でも致死量は非常に高く、体内へのはっきりした蓄積性もない。また、煎剤80g/kgをウサギ胃内注入した場合においても、運動量が減少するのみで、3〜4時間後には正常に回復するなど安全性が高いことも知られている(非特許文献4参照)。したがって、本発明の阻害剤および組成物は、既存の合成医薬品では処方されないような、軽度から中等度のうつ病もしくはうつ症状および疲労感の改善または予防にも適用可能と考えられる。

0019

ジコッピの生薬末およびエキスは、そのままでもモノアミン再取り込み阻害剤、および、うつ病もしくはうつ状態または疲労感の改善または予防用組成物として使用することが可能であるが、必要ならば発明の効果が損なわれない質的および量的範囲で、任意の担体水溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン、これらビタミン誘導体ミネラル、生薬、これらのエキス、有機酸補酵素)などと混合することができる。たとえば、ジコッピを高血圧治療等の疾病の予防および治癒を目的に使用する際に、清心蓮子飲(バクモンドウブクリョウオウゴンシャゼンシニンジンオウギカンゾウおよびレンニク)や滋陰至宝湯(コウブシ、サイコシャクヤクチモチンピトウキ、バクモンドウ、ビャクジュツ、ブクリョウ、カンゾウ、ハッカおよびバイモ)などの方剤として使用している事実があることから、他の生薬等との相互作用によりジコッピの作用が著しく減弱、あるいは重篤な副作用が認められる可能性も少なく、混合することができると考えられる。

0020

本発明の阻害剤および組成物は、通常使用される任意成分を含有する錠剤顆粒剤散剤カプセル剤液剤などの剤形で経口により投与することができる。

0021

かかる任意成分としては、例えば、医薬品であれば、賦形剤結合剤被覆剤滑沢剤糖衣剤、崩壊剤増量剤矯味矯臭剤乳化可溶化分散剤、安定剤、pH調整剤等張剤等が好ましく例示できる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の阻害剤および組成物を製造することができる。

0022

抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態および疲労感の改善または予防用組成物として使用する場合のジコッピの投与量は、年齢性別投与経路によって異なるが、通常、原生薬換算成人1日あたり約50mg〜15000mgであり、好ましくは100mg〜10000mgである。

0023

以下に実施例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。

0024

実施例1エキスの製造
中国江蘇省を産地とするナス科のクコ(Lucium chinense Mill)の根皮よりなる、ジコッピ乾燥物100重量部に対し、50%エタノール溶液1000重量部を加えて抽出した後、エタノールを留去した。さらに、減圧濃縮を行うことにより、エキスを得た。
上記抽出処理により得たエキスは、エキス収率7.07%、乾燥減量35.0%、原生薬対比9.2であった。

0025

試験例1
実施例1で得られたジコッピエキスについて、下記の試験法によりモノアミン再取り込み阻害活性を評価する試験を行った。

0026

シナプトソームの調製:
10週齢雄性Crj:CD (SD) IGSラット(日本チャールス・リバー社)の脳を摘出した後、氷冷条件下にて、前頭皮質視床下部および線条体を素早く分割した。氷冷条件下にて各脳部位より血管を除去した後、それぞれ0.32mol/Lスクロースにてホモジナイズし、1000×G、4℃条件下の遠心分離により粗核分画を分離した。得られた上清より、20000×G、4℃条件下の遠心分離により粗シナプトソームを調製した(用時調製)。

0027

緩衝液の調整:
モノアミン再取り込み阻害反応試験に用いる緩衝液は、118mmol/LのNaCl、4.7mmol/LのKCl、1.2mmol/LのMgSO4、1.2mmol/LのKH2PO4、25.0mmol/LのNaHCO3、1.27mmol/LのCaCl2、11.0mmol/Lのグルコース、0.1mmol/Lのパージリン、1.14mmol/Lのアスコルビン酸、0.067mmol/LのEDTA2Naをモノアミン再取り込み阻害反応試験時に最終反応濃度となるように調製した。緩衝液は氷冷条件下にて、95%酸素および5%二酸化炭素混合ガス通気した(用時調製)。

0028

粗シナプトソーム標本の調製:
粗シナプトソーム標本は、前頭皮質、視床下部および線条体より調製された粗シナプトソームを、モノアミン再取り込み阻害反応時に湿組織重量換算として400〜800倍に成るように緩衝液にて希釈し、調製した(用時調製)。

0029

取り込み測定用[3H]標識モノアミン溶液の調製:
[3H]ノルアドレナリン、[3H]ドパミン、[3H]セロトニン溶液は、モノアミン再取り込み阻害反応時に5nmol/Lの濃度になるように緩衝液にて希釈し、調製した(用時調製)。

0030

エキス溶液の調製:
エキスは、実施例1にて製造したジコッピエキスを用い、乾燥エキス換算として初回50g/Lの濃度に成るように25%DMSO溶液に溶解した。その後、モノアミン再取り込み阻害反応時に0.25 v/v%のDMSO、乾燥エキス換算がそれぞれ10mg/L、30mg/L、100mg/Lの最終濃度になるように希釈した。

0031

セイヨウオトギリソウエキスを陽性対象生薬として用いた。セイヨウオトギリソウエキスとしては、乾燥減量7.1%、ヒペリシン0.3%およびヒペリフォリン3.4%を含有するセイヨウオトギリソウエキスパウダーを用いた。セイヨウエオトギリソウエキスは、ジコッピエキスと同様に調製した。

0032

モノアミン再取り込み阻害反応試験:
マイクロチューブに50μLのエキス溶液および350μLの粗シナプトソーム標本を添加し、混和した後に、25℃、15分間の前反応処置を行った。その後、100μLの[3H]標識モノアミン溶液を添加し、25℃、2時間の反応処置を行った。総取り込み量を算出するために、エキス溶液を添加せず、緩衝液を添加したマイクロチューブを用意した。非特異的取り込み量を算出するために、エキスあるいは緩衝液を添加せず、ノルアドレナリン再取り込み阻害反応時には最終濃度1μmol/Lに成るようにデシプラミン塩酸塩を、セロトニン再取り込み阻害反応時には最終濃度10μmol/Lに成るようにクロミプラミン塩酸塩を、ドパミン再取り込み阻害反応時には最終濃度10μmol/Lに成るようにドパミン塩酸塩を添加したマイクロチューブを用意した。さらに、ノルアドレナリン再取り込み阻害反応試験では、エキスおよびデシプラミンの両溶液を添加したマイクロチューブを用意した。各濃度3点測定にて反応試験を行うために、同内容のマイクロチューブを3本用意した。

0033

[3H]標識モノアミン取り込み量の測定:
上記の反応後、速やかに0.3v/v%ポリエチレンイミンに湿潤したワットマンGF/Cガラス濾紙を用いて、吸引ろ過した。濾紙は0.9w/v% NaClよりなる生理食塩水1mLを用いて、2回洗浄し、45〜50℃にて60分以上乾燥した。濾紙上の[3H]標識モノアミンの放射活性は常法の液体シンチレーションおよびシンチレーションカウンターを用いて測定した。

0034

モノアミン再取り込み阻害率の算出:
総取り込み量から非特異的取り込み量を差し引き、特異的取り込み量とした。エキスのモノアミン再取り込み阻害率は、エキス添加による取り込み量の減少率を阻害率とした。
試験結果を表1、表2および表3に示した。

0035

0036

0037

0038

試験例2
実施例1で得られたジコッピエキスについて、下記の試験法によりレセルピン誘発低体温抑制作用を評価する試験を実施した。

0039

使用動物
試験時に体重32〜38gの雄性Crj : CD-1 (ICR)マウス(日本チャールス・リバー社)を用いた。動物は、入手日を含めて少なくとも5日以上、飼料、水分自由摂取条件下にて、飼育した。飼育条件は室温 23±3℃、湿度50±20 %、照明時間12時間、換気回数10回以上/時間、8〜12匹/ケージとした。

0040

レセルピン溶液の調製:
レセルピン溶液は、日本薬局方レセルピン注射液アポロン注1mg、第一製薬株式会社)を用い、日本薬局方注射用水(光製薬株式会社)にて、2.0mg/10mLの濃度になるように希釈して、調製した(用時調製)。

0041

エキス溶液の調製:
エキス溶液は、実施例1にて製造したジコッピエキスを用い、乾燥エキス換算として初回1024mg/10mLの濃度に成るように4w/v%ポリオキシPOE(60)硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油-60)水溶液に懸濁した。その後、256mg/10mL および512mg/10mLの濃度になるように希釈し、調製した。
セイヨウエオトギリソウエキスは、ジコッピエキスと同様に調製した。

0042

レセルピン誘発低体温抑制試験:
レセルピンはノルアドレナリン作動性神経系の機能を低下させることにより低体温を誘発し、この低体温はノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有する抗うつ薬によって抑制されることが広く知られている(J.Pharmacol.Exp.Ther.、298 (2)、581-591(2001)、Pharmacol.Ther.、45(3)、425-455(1990))。

0043

マウスを小型ケージ(175mm×275mm×H 130mm)に2匹/ケージづつ入れた。レセルピン溶液は、午前10〜11時にマウス体重1kgあたり10mLの容量になるように腹腔内投与した。エキス溶液は、レセルピン溶液を投与した1および3時間後にマウス体重1kgあたり10mLの容量になるように経口投与した。体温はレセルピン溶液を投与した5時間後に測定した。体温測定は、電子体温計測定精度±0.05℃)を用い、直腸温度測定部位肛門より1.5cm)を測定することにより数値を得た。正常群にはそれぞれの溶媒のみを投与した。0mg/kg投与群にはレセルピン溶液および溶媒を投与した。1群あたりの例数(匹数)は8〜16例とし、試験結果は平均値標準誤差)で表示した。有意差検定はStudentのt-検定を用い、危険率5%未満(P<0.05)にて有意とした。
試験結果を表4に示す。

0044

0045

試験例3
試験例1で得られたモノアミン再取り込み阻害作用をさらに詳細に検討するため、原生薬換算にてモノアミン再取り込み阻害反応試験を行った。

0046

エキス溶液の調製:
エキスは、実施例1にて製造したジコッピエキスを用い、乾燥原生薬重量換算として初回25g/Lの濃度になるように25%DMSO溶液に溶解した。その後、モノアミン再取り込み阻害反応試験時に0.25 v/v%のDMSO、10mg/L、30mg/L、100mg/Lの最終濃度になるように希釈した。

0047

モノアミン再取り込み阻害反応試験
ドパミンおよびセロトニン再取り込み阻害反応試験に用いる緩衝液は試験例1と同緩衝液を用いた。ノルアドレナリン再取り込み阻害反応試験に用いる緩衝液には、119mmol/LのNaCl、4.8mmol/LのKCl、1.2mmol/LのMgSO4、2.0mmol/LのCaCl2、10.0mmol/Lのグルコース、0.1mmol/Lのパージリン、5.68mmol/Lのアスコルビン酸、25mmol/LのTrisをモノアミン再取り込み阻害反応試験時に最終反応濃度となるように調製した。他の試験方法は試験例1と同様に行った。

0048

0049

試験例4
実施例1で得られたジコッピエキスについて、下記の試験方法によりマウス自発運動に対する作用を評価した。

0050

使用動物:
試験時に6〜9週齢の雄性Crj:CD-1(ICR)マウス(日本チャールス・リバー社)を用いた。動物は、入手日を含めて少なくとも5日以上、飼料、水分自由摂取条件下にて飼育した。飼育条件は室温 23±3℃、湿度50±20%、照明時間 12時間、換気回数10回以上/時間、8〜12匹/ケージとした。

0051

エキス溶液の調製:
エキス溶液は、実施例1にて製造したジコッピエキスを用い、乾燥原生薬重量換算として6.4g/10mLの濃度になるように1w/v%POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油−60)水溶液に懸濁した。

0052

マウス自発運動試験:
マウスに6.4g/kgのジコッピエキスを経口投与し、投与60分後より30分間の自発運動を運動量測定装置スーパーメックス:室機械(株))により測定した。自発運動量カウントとして示した。

0053

0054

試験例1に示したようにジコッピは10mg/Lのエキス濃度において、セイヨウオトギリソウと比較して強いモノアミン再取り込み阻害作用を示した。

0055

試験例2に示したようにレセルピン誘発低体温に対して、ジコッピは256mg/kgのエキス投与用量において有意に抑制した。512mg/kgのエキス投与用量において有意な抑制を示したセイヨウオトギリソウと比較してジコッピは低用量にてレセルピン誘発低体温を抑制した。

0056

試験例3に示したようにジコッピは強いノルアドレナリン再取り込み阻害作用を示した。

0057

試験例4に示したようにマウス自発運動に対する作用は認められなかった。

0058

以上の結果からジコッピは、抑うつ気分等の軽度のうつ病およびうつ状態および疲労感の改善あるいは予防について有効であることが明らかとなった。

0059

ジコッピは優れたモノアミン再取り込み阻害活性を有し、副作用も少ないことから、抑うつ気分等の軽度のうつ病もしくはうつ状態および疲労感の改善または予防用の医薬品、医薬部外品、食品等への利用が期待される。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ