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技術 強化繊維基材、複合材料およびそれらの製造方法

出願人 東レ株式会社
発明者 和田原英輔本間清堀部郁夫西村明
出願日 2003年11月13日 (17年1ヶ月経過) 出願番号 2003-383655
公開日 2005年1月27日 (15年10ヶ月経過) 公開番号 2005-022396
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 織物 不織物 プラスチック等の注型成形、圧縮成形
主要キーワード 専用ジグ 積層平板 平均隙間 ガラス繊維強化プラスチック板 外層部材 内層部材 オフライン化 低融点ポリアミド繊維
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

取扱性に優れ、力学特性(特に圧縮強度)および寸法精度に優れる複合材料、その複合材料が生産性よく得られる強化繊維基材およびそれらの製造方法を提供する。

解決手段

少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成される強化繊維基材であって、強化繊維基材の少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%であることを特徴とする強化繊維基材。

概要

背景

従来より、強化繊維マトリックス樹脂含浸させた複合材料は、優れた力学特性、軽量化の要求特性を満たすことから主に航空・宇宙スポーツ用途等に用いられてきた。これら複合材料の代表的な製造方法として、オートクレーブ成形法やレジントランスファーモールディングRTM)成形法真空注入成形法(Va−RTM)等が知られている。オートクレーブ成形法では、例えば、一方向に配列した強化繊維束群にマトリックス樹脂を予め含浸させたプリプレグを、成形型に積層し、必要に応じてバッグ材で覆って、オートクレーブにて加熱・加圧し、複合材料を成形する。この成形法では、プリプレグを用いることにより、ボイドが少なく極めて信頼性の高い高品質の複合材料が得られる利点があることから、航空機部材の成形等に好ましく使われているが、製造に高いコストがかかる問題があった。

一方、生産性に優れる複合材料の代表的な成形法としては、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)成形法や真空注入成形法等が挙げられる。かかる成形法では、マトリックス樹脂が含浸されていない、ドライ基材複数枚、成形型の中に配置し、低粘度の液状マトリックス樹脂注入することにより強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させて複合材料を成形する。

ところが、このようなマトリックス樹脂を注入して成形する方法においては、一般的には複合材料の生産性には優れるが、用いる基材がドライであるため、得られる複合材料中での基材の層が真直になり難い、すなわち基材層うねり易い問題があった。この基材層のうねりは、基材層の積層構成斜交の場合に特に顕著で、得られる複合材料の力学特性、特に圧縮強度を著しく低下させる原因となっていた。また、かかる問題は、雄型雌型の両方の成形型を用いる場合よりも、雄型または雌型の一方のみの成形型を用い、もう一方に柔軟なバッグ材を用いる場合に顕著に発現する。

また、強化繊維基材においては、その嵩(厚み)、平滑性は、基材の取扱性、得られる複合材料の寸法安定性に大きな影響を及ぼす。複合材料の生産性を更に高める場合には、強化繊維基材の積層を自動化することを求められるが、その場合は特に基材の取扱性、すなわち単に目曲がり目ずれしないことだけでなく、嵩が低くかつ平滑になっていることが重要となる。基材が嵩高く、凹凸状態になっていると、積層の自動化が困難となるだけでなく、得られる複合材料を所望の寸法で成形できない。

公知の製造方法としては、例えば特許文献1、2には、強化繊維織物目止めのために樹脂エマルジョン等を付与して加熱プレスする旨の記載がある。しかしながら、かかる特許文献1、2に記載の技術は、単純に織物自体の目曲がりや目ずれによる力学特性の低下を防止するものであり、目曲がりがない基材においても発生する上記問題を解決するには不十分であった。また、所望の寸法を有する複合材料を効率よく生産するには至っていないというのが現状であった。

つまり、力学特性(特に圧縮強度)と寸法精度を兼ね備える複合材料を成形するための強化繊維基材は得られておらず、このような要求を満たす技術が望まれている。

また、RTMや真空注入成形法等の注入成形では、複合材料の生産性には優れるものの、ドライな状態でも取り扱いが可能な強化繊維基材、例えば織物を用いる必要がある。通常の織物では、強化繊維を二方向に織組織するため、たて糸とよこ糸交錯点で強化繊維に屈曲クリンプ)が発生するが、このクリンプによる強化繊維の真直性低下、更には用いるたて糸よこ糸とマトリックス樹脂との接着性により、プリプレグに比べ力学特性に劣るのが一般的であった。つまり、通常の織物では、例えば航空機一次構造部材に要求されるレベルの非常に高い力学特性(特に圧縮強度)が達成できない問題があった。

この問題に対し、織物のたて糸またはよこ糸の一方に炭素繊維束、もう一方に炭素繊維束の10%以下の断面積で、かつ柔軟な糸条を用いた織物をマトリックス樹脂により複数枚重ね合わせた樹脂補強材が提案されている(たとえば、特許文献3)。

しかしながら、この特許文献3による織物は、織物単独(1枚)では使用不可能な状態であり、取り扱い性の面から注入成形に適用できない問題があった。また、力学特性に大きな影響を及ぼすたて糸やよこ糸とマトリックス樹脂との接着性に関する記載も開示されていない。

かかる基材の取り扱い性の問題に関し、織物上に樹脂材料を付与し、ドライな織物の取り扱い性の向上、注入成形に用いるプリフォーム形態の安定化に関する技術が提案されている(たとえば、特許文献4)。また、James C. Seferisらは、エポキシ樹脂エラストマー粒子等とを配合した樹脂材料を織物上に塗布することにより、注入成形によって得られる複合材料の力学特性が向上することを報告している(たとえば、非特許文献1、非特許文献2)。

しかしながら、これらの提案では、基材の取り扱い性は向上するものの、力学特性は向上しない、または向上が不十分なものであった。つまり、基材における強化繊維の真直性、更には用いる強化繊維に必要な特性が、高い力学特性を発現するために特に重要な要因であるにも関わらず、そのことに関する記載は上記提案では全く開示されていない。

また、RTM成形法は、近年、コストダウンに繋がることから航空機用部材等の成形に適用されつつある。とくに航空機用部材においては、軽量化効果を十分に発揮させる目的で、高い繊維含有率が要求されるために、型内にセットするドライ基材自体の繊維密度を高めておく必要がある。

しかし、そのように強固に圧縮されたドライ基材には、樹脂含浸性が低下し、未含浸部が生じ易いという問題があり、航空機用部材として要求される高品質の複合材料を得ることが難しいという問題がある。

基材が2方向の織物のケースにおいては、たて糸とよこ糸の交錯部に目空きが生じるため、その空隙部が樹脂パスとなり、分厚く積層され、しかも強固に圧縮された状態であっても、容易に樹脂を含浸させることが可能である。しかしながら、2方向織物はたて糸とよこ糸の交錯によって強化繊維がクリンプしているために高い強度発現が期待できず、航空機の一次構造材のように高い機械的特性が要求される部材には適用が難しい。

そこで、強化繊維が一方向に並行に引き揃えられた一方向性の基材であれば、強化繊維にクリンプがほとんど生じないので高い強度発現が期待できる。

しかし、航空機の一次構造材は異方性が必要なケースが多いために、上記一方向性基材が同方向に積層される箇所が多くなり、その箇所の強化繊維は同方向に緻密に並び合うために樹脂が通過する隙間が殆どなくなり、樹脂含浸が困難になるという問題点を抱えている。

上記問題点に対して、特許文献5には、強化繊維基材を構成する強化繊維糸条間に予め隙間を設けることが提案されている。糸条間に隙間を設けることで含浸性が格段に向上するが、交差積層した際にその交差積層部で隣接し合う層が強化繊維糸条部と隙間部の繊維密度の違いによる凹凸が互いに転写され、強化繊維糸条が波型に屈曲し、強度特性が低下する問題がある。

このようなことから、機械的特性と樹脂含浸性両立させる樹脂注入成形用基材の提供が強く望まれている。
特開2001−226850号公報(第5頁、段落0018)
特開2002−249984号公報(第6頁、段落0018)
特開昭59−209847号公報
米国特許第5,071,711号明細書
特開平8−158665号公報
Journal of Advanced Materials,Volume 32, No.3, July 2000, P27-34
Composites part A,Volume 32, 2001, P721-729

概要

取扱性に優れ、力学特性(特に圧縮強度)および寸法精度に優れる複合材料、その複合材料が生産性よく得られる強化繊維基材およびそれらの製造方法を提供する。少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成される強化繊維基材であって、強化繊維基材の少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%であることを特徴とする強化繊維基材。

目的

本発明の課題は、取扱性に優れ、力学特性(特に圧縮強度)および寸法精度に優れる複合材料、その複合材料が生産性よく得られる強化繊維基材およびそれらの製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
11件
牽制数
15件

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請求項1

少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成される強化繊維基材であって、強化繊維基材の少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%であることを特徴とする強化繊維基材。

請求項2

強化繊維糸条の繊度が350〜3,500tex、フィラメント数が6,000〜50,000本であり、強化繊維糸条群と、連続した補助繊維糸条を強化繊維糸条と交差する方向に延在した緯方向補助繊維糸条群とが基材を構成し、かつ、強化繊維糸条の目付が120〜320g/m2である一方向性強化繊維基材である、請求項1に記載の強化繊維基材。

請求項3

強化繊維糸条と並行する方向に延在する補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、該経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条の繊度が強化繊維糸条の繊度の20%以下である、請求項1または2に記載の強化繊維基材。

請求項4

強化繊維糸条と並行する方向に延在する、補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、かつ、基材の両面側に緯方向補助繊維糸条群が配されており、該緯方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条と経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条とが織組織を構成している一方向性ノンクリンプ織物からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項5

隣り合う強化繊維糸条間の隙間の平均値が、0.1〜1mmの範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項6

樹脂材料が強化繊維基材の表面に点在しており、かつ、強化繊維基材の表面において平面的にみた樹脂材料の平均直径が1mm以下であり、かつ、強化繊維基材の表面からの樹脂材料の平均高さが5〜250μmの範囲内にある、請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項7

樹脂材料が強化繊維基材に繊維状に付着している、請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項8

経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条に集束処理が施されている、請求項3〜7のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項9

強化繊維基材を用いて複合材料成形したとき、その複合材料の強化繊維糸条延設方向と直交する断面で観察したときの、強化繊維糸条の幅方向における中心部の厚みtcと、強化繊維糸条の幅方向における端部の厚みteとの比率te/tcが0.3〜1の範囲内にある、請求項1〜8のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項10

強化繊維糸条の体積含有率が53〜65%の複合材料を成形したとき、その複合材料の特性が次の要件(a)〜(d)の少なくとも2つを満足する、請求項1〜9のいずれかに記載の強化繊維基材。(a)SACMA−SRM−2R−94に規定される方法による、衝撃エネルギー6,67J/mmにおける衝撃付与後常温圧縮強度が240MPa以上であること。(b)SACMA−SRM−3R−94に規定される積層構成積層板の常温無孔圧縮強度が500MPa以上であること。(c)SACMA−SRM−1R−94に規定される方法による常温0°圧縮強度が1,350MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温0°圧縮強度が1,100MPa以上であること。(d)SACMA−SRM−3R−94に規定される方法による常温有孔圧縮強度が275MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温有孔圧縮強度が215MPa以上であること。

請求項11

真空注入成形に用いられる強化繊維基材である、請求項1〜10のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項12

複数枚積層されて一体化されたプリフォームの形態で用いられる、請求項1〜11のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項13

少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成され、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に沿って測定される厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である強化繊維基材に、樹脂含浸した複合材料からなり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%であることを特徴とする複合材料。

請求項14

複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下である、請求項13に記載の複合材料。

請求項15

強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度が強化繊維糸条の繊度の1%以下である補助繊維糸条からなる緯方向補助繊維糸条群とを含み、かつ、少なくとも表面には、0.5〜20重量%の範囲内で樹脂材料が付着していることを特徴とする強化繊維基材。

請求項16

強化繊維糸条と並行する方向に延在する補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し,該経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条の繊度が強化繊維糸条の繊度の20%以下である、請求項15に記載の強化繊維基材。

請求項17

強化繊維糸条と並行する方向に延在する、補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、かつ、基材の両面側に緯方向補助繊維糸条群が配されており、該緯方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条と経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条とが織組織を構成している一方向性ノンクリンプ織物からなる、請求項15または16に記載の強化繊維基材。

請求項18

隣り合う強化繊維糸条間の隙間の平均値が、0.1〜1mmの範囲内にある、請求項15〜17のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項19

前記樹脂材料が強化繊維基材の表面に点在しており、かつ、強化繊維基材の表面において平面的にみた樹脂材料の平均直径が1mm以下であり、かつ、強化繊維基材の表面からの樹脂材料の平均高さが5〜250μmの範囲内にある、請求項15〜18のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項20

前記樹脂材料が強化繊維基材に繊維状に付着している、請求項15〜18のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項21

経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条に集束処理が施されている、請求項16〜20のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項22

強化繊維糸条の体積含有率が53〜65%の複合材料を成形したとき、その複合材料の特性が次の要件(a)〜(d)の少なくとも2つを満足する、請求項15〜21のいずれかに記載の強化繊維基材。(a)SACMA−SRM−2R−94に規定される方法による、衝撃エネルギー6,67J/mmにおける衝撃付与後の常温圧縮強度が240MPa以上であること。(b)SACMA−SRM−3R−94に規定される積層構成の積層板の常温無孔圧縮強度が500MPa以上であること。(c)SACMA−SRM−1R−94に規定される方法による常温0°圧縮強度が1,350MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温0°圧縮強度が1,100MPa以上であること。(d)SACMA−SRM−3R−94に規定される方法による常温有孔圧縮強度が275MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温有孔圧縮強度が215MPa以上であること。

請求項23

真空注入成形に用いられる強化繊維基材である、請求項15〜22のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項24

複数枚積層されて一体化されたプリフォームの形態で用いられる、請求項15〜23のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項25

強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度が強化繊維糸条の繊度の1%以下である補助繊維糸条からなる緯方向補助繊維糸条群とを含み、かつ、少なくとも表面には、0.5〜20重量%の範囲内で樹脂材料が付着している強化繊維基材に、樹脂を含浸した複合材料からなり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%であることを特徴とする複合材料。

請求項26

複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下である、請求項25に記載の複合材料。

請求項27

緯方向補助繊維糸条断面積が、強化繊維糸条の断面積の1/50以下である、請求項25または26に記載の複合材料。

請求項28

強化繊維糸条が一方向に並行した強化繊維シートからなり、前記強化繊維糸条間に表面が凹凸に形成されたスペーサ糸が配列され、かつ、強化繊維シートの少なくとも片面に2〜20重量%の範囲の樹脂材料が接着されていることを特徴とする強化繊維基材。

請求項29

強化繊維糸条と並行する方向に延在する補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、該経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条の繊度が強化繊維糸条の繊度の20%以下であり、かつ、スペーサ糸が経方向補助繊維糸条として配列されている、請求項28に記載の強化繊維基材。

請求項30

強化繊維糸条と並行する方向に延在する補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、かつ、基材の両面側に緯方向補助繊維糸条群が配されており、該緯方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条と経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条とが織組織を構成している一方向性ノンクリンプ織物からなる、請求項28または29に記載の強化繊維基材。

請求項31

隣り合う強化繊維糸条間の隙間の平均値が、0.1〜1mmの範囲内にある、請求項28〜30のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項32

前記樹脂材料が強化繊維基材の表面に点在しており、かつ、強化繊維基材の表面において平面的にみた樹脂材料の平均直径が1mm以下であり、かつ、強化繊維基材の表面からの樹脂材料の平均高さが5〜250μmの範囲内にある、請求項28〜31のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項33

前記樹脂材料が強化繊維基材に繊維状に付着している、請求項28〜31のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項34

スペーサ糸が、少なくとも2本の糸が表面に凹凸を有するように撚り加工された糸からなる、請求項28〜33のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項35

スペーサ糸が、カバーリング糸からなる、請求項28〜33のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項36

スペーサ糸の最大糸幅/最小糸幅比が、1.2以上である、請求項28〜35のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項37

強化繊維基材を用いて複合材料を成形したとき、その複合材料の強化繊維糸条延設方向と直交する断面で観察したときの、強化繊維糸条の幅方向における中心部の厚みtcと、強化繊維糸条の幅方向における端部の厚みteとの比率te/tcが0.3〜1の範囲内にある、請求項28〜36のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項38

複数枚積層されて一体化されたプリフォームの形態で用いられる、請求項28〜37のいずれかに記載の強化繊維基材。

請求項39

強化繊維糸条が一方向に並行した強化繊維シートからなり、前記強化繊維糸条間に表面が凹凸に形成されたスペーサ糸が配列され、かつ、強化繊維シートの少なくとも片面に2〜20重量%の範囲の樹脂材料が接着されている強化繊維基材に、樹脂を含浸した複合材料からなり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%であることを特徴とする複合材料。

請求項40

複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下である、請求項39に記載の複合材料。

請求項41

少なくとも、一方向に並行に配列した強化繊維糸条から構成され、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有する強化繊維基材の製造方法であって、次の(A)〜(E)の工程を経ることを特徴とする強化繊維基材の製造方法。(A)強化繊維糸条を引き出す引出工程。(B)基材形態を形成する基材形成工程。(C)基材を加圧し、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である厚みにする加圧工程。(D)基材を冷却して樹脂材料を固定する冷却工程。(E)基材を巻き取る巻取工程。

請求項42

(C)加圧工程が、基材に、ロールを介して連続的に圧力を加えることにより、基材厚みを薄くする工程からなる、請求項41に記載の強化繊維基材の製造方法。

請求項43

(C)加圧工程では、基材に直接接触するロールまたは離型シートの表面が、5〜500μmの凹凸を有している、請求項41または42に記載の強化繊維基材の製造方法。

請求項44

少なくとも、一方向に並行に配列した強化繊維糸条と、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料2〜15重量%とを有する強化繊維基材を、以下の(A)〜(E)の工程を経て製造し、製造した強化繊維基材を、成形型バッグ材とから形成されるキャビティ内に配置し、キャビティ内を減圧して樹脂を含浸させ、厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%である複合材料を成形することを特徴とする複合材料の製造方法。(A)強化繊維糸条を引き出す引出工程。(B)基材形態を形成する基材形成工程。(C)基材を加圧し、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である厚みにする加圧工程。(D)基材を冷却して樹脂材料を固定する冷却工程。(E)基材を巻き取る巻取工程。

請求項45

複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下となるように成形する、請求項44に記載の複合材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、取扱性に優れ、力学特性(特に圧縮強度)および寸法精度に優れた複合材料、その複合材料が生産性よく得られる強化繊維基材およびそれらの製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より、強化繊維マトリックス樹脂含浸させた複合材料は、優れた力学特性、軽量化の要求特性を満たすことから主に航空・宇宙スポーツ用途等に用いられてきた。これら複合材料の代表的な製造方法として、オートクレーブ成形法やレジントランスファーモールディングRTM)成形法真空注入成形法(Va−RTM)等が知られている。オートクレーブ成形法では、例えば、一方向に配列した強化繊維束群にマトリックス樹脂を予め含浸させたプリプレグを、成形型に積層し、必要に応じてバッグ材で覆って、オートクレーブにて加熱・加圧し、複合材料を成形する。この成形法では、プリプレグを用いることにより、ボイドが少なく極めて信頼性の高い高品質の複合材料が得られる利点があることから、航空機部材の成形等に好ましく使われているが、製造に高いコストがかかる問題があった。

0003

一方、生産性に優れる複合材料の代表的な成形法としては、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)成形法や真空注入成形法等が挙げられる。かかる成形法では、マトリックス樹脂が含浸されていない、ドライ基材複数枚、成形型の中に配置し、低粘度の液状マトリックス樹脂注入することにより強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させて複合材料を成形する。

0004

ところが、このようなマトリックス樹脂を注入して成形する方法においては、一般的には複合材料の生産性には優れるが、用いる基材がドライであるため、得られる複合材料中での基材の層が真直になり難い、すなわち基材層うねり易い問題があった。この基材層のうねりは、基材層の積層構成斜交の場合に特に顕著で、得られる複合材料の力学特性、特に圧縮強度を著しく低下させる原因となっていた。また、かかる問題は、雄型雌型の両方の成形型を用いる場合よりも、雄型または雌型の一方のみの成形型を用い、もう一方に柔軟なバッグ材を用いる場合に顕著に発現する。

0005

また、強化繊維基材においては、その嵩(厚み)、平滑性は、基材の取扱性、得られる複合材料の寸法安定性に大きな影響を及ぼす。複合材料の生産性を更に高める場合には、強化繊維基材の積層を自動化することを求められるが、その場合は特に基材の取扱性、すなわち単に目曲がり目ずれしないことだけでなく、嵩が低くかつ平滑になっていることが重要となる。基材が嵩高く、凹凸状態になっていると、積層の自動化が困難となるだけでなく、得られる複合材料を所望の寸法で成形できない。

0006

公知の製造方法としては、例えば特許文献1、2には、強化繊維織物目止めのために樹脂エマルジョン等を付与して加熱プレスする旨の記載がある。しかしながら、かかる特許文献1、2に記載の技術は、単純に織物自体の目曲がりや目ずれによる力学特性の低下を防止するものであり、目曲がりがない基材においても発生する上記問題を解決するには不十分であった。また、所望の寸法を有する複合材料を効率よく生産するには至っていないというのが現状であった。

0007

つまり、力学特性(特に圧縮強度)と寸法精度を兼ね備える複合材料を成形するための強化繊維基材は得られておらず、このような要求を満たす技術が望まれている。

0008

また、RTMや真空注入成形法等の注入成形では、複合材料の生産性には優れるものの、ドライな状態でも取り扱いが可能な強化繊維基材、例えば織物を用いる必要がある。通常の織物では、強化繊維を二方向に織組織するため、たて糸とよこ糸交錯点で強化繊維に屈曲クリンプ)が発生するが、このクリンプによる強化繊維の真直性低下、更には用いるたて糸よこ糸とマトリックス樹脂との接着性により、プリプレグに比べ力学特性に劣るのが一般的であった。つまり、通常の織物では、例えば航空機一次構造部材に要求されるレベルの非常に高い力学特性(特に圧縮強度)が達成できない問題があった。

0009

この問題に対し、織物のたて糸またはよこ糸の一方に炭素繊維束、もう一方に炭素繊維束の10%以下の断面積で、かつ柔軟な糸条を用いた織物をマトリックス樹脂により複数枚重ね合わせた樹脂補強材が提案されている(たとえば、特許文献3)。

0010

しかしながら、この特許文献3による織物は、織物単独(1枚)では使用不可能な状態であり、取り扱い性の面から注入成形に適用できない問題があった。また、力学特性に大きな影響を及ぼすたて糸やよこ糸とマトリックス樹脂との接着性に関する記載も開示されていない。

0011

かかる基材の取り扱い性の問題に関し、織物上に樹脂材料を付与し、ドライな織物の取り扱い性の向上、注入成形に用いるプリフォーム形態の安定化に関する技術が提案されている(たとえば、特許文献4)。また、James C. Seferisらは、エポキシ樹脂エラストマー粒子等とを配合した樹脂材料を織物上に塗布することにより、注入成形によって得られる複合材料の力学特性が向上することを報告している(たとえば、非特許文献1、非特許文献2)。

0012

しかしながら、これらの提案では、基材の取り扱い性は向上するものの、力学特性は向上しない、または向上が不十分なものであった。つまり、基材における強化繊維の真直性、更には用いる強化繊維に必要な特性が、高い力学特性を発現するために特に重要な要因であるにも関わらず、そのことに関する記載は上記提案では全く開示されていない。

0013

また、RTM成形法は、近年、コストダウンに繋がることから航空機用部材等の成形に適用されつつある。とくに航空機用部材においては、軽量化効果を十分に発揮させる目的で、高い繊維含有率が要求されるために、型内にセットするドライ基材自体の繊維密度を高めておく必要がある。

0014

しかし、そのように強固に圧縮されたドライ基材には、樹脂含浸性が低下し、未含浸部が生じ易いという問題があり、航空機用部材として要求される高品質の複合材料を得ることが難しいという問題がある。

0015

基材が2方向の織物のケースにおいては、たて糸とよこ糸の交錯部に目空きが生じるため、その空隙部が樹脂パスとなり、分厚く積層され、しかも強固に圧縮された状態であっても、容易に樹脂を含浸させることが可能である。しかしながら、2方向織物はたて糸とよこ糸の交錯によって強化繊維がクリンプしているために高い強度発現が期待できず、航空機の一次構造材のように高い機械的特性が要求される部材には適用が難しい。

0016

そこで、強化繊維が一方向に並行に引き揃えられた一方向性の基材であれば、強化繊維にクリンプがほとんど生じないので高い強度発現が期待できる。

0017

しかし、航空機の一次構造材は異方性が必要なケースが多いために、上記一方向性基材が同方向に積層される箇所が多くなり、その箇所の強化繊維は同方向に緻密に並び合うために樹脂が通過する隙間が殆どなくなり、樹脂含浸が困難になるという問題点を抱えている。

0018

上記問題点に対して、特許文献5には、強化繊維基材を構成する強化繊維糸条間に予め隙間を設けることが提案されている。糸条間に隙間を設けることで含浸性が格段に向上するが、交差積層した際にその交差積層部で隣接し合う層が強化繊維糸条部と隙間部の繊維密度の違いによる凹凸が互いに転写され、強化繊維糸条が波型に屈曲し、強度特性が低下する問題がある。

0019

このようなことから、機械的特性と樹脂含浸性両立させる樹脂注入成形用基材の提供が強く望まれている。
特開2001−226850号公報(第5頁、段落0018)
特開2002−249984号公報(第6頁、段落0018)
特開昭59−209847号公報
米国特許第5,071,711号明細書
特開平8−158665号公報
Journal of Advanced Materials,Volume 32, No.3, July 2000, P27-34
Composites part A,Volume 32, 2001, P721-729

発明が解決しようとする課題

0020

本発明の課題は、取扱性に優れ、力学特性(特に圧縮強度)および寸法精度に優れる複合材料、その複合材料が生産性よく得られる強化繊維基材およびそれらの製造方法を提供することにある。

0021

また、本発明の課題は、マトリックス樹脂の含浸性が良好で、力学特性(特に、衝撃付与後の圧縮強度、有孔圧縮強度または0°圧縮強度等)に優れる複合材料を生産性良く得られるだけでなく、取扱性(特に、形態安定性、積層する際のタック性等)に優れた強化繊維基材、とくに一方向性強化繊維基材、それからなる複合材料、およびそれらの製造方法を提供することにある。

0022

さらに、本発明の課題は、RTM成形法やVa−RTM成形法などの注入成形法により、ドライな状態の強化繊維基材に液状樹脂を含浸させて、航空機の構造部材など高品質が要求される複合材料を作製する際に、高繊維体積含有率(高Vf)にも拘わらず樹脂含浸性が優れると共に、優れた機械的特性を発揮できる強化繊維基材、その積層体およびこれらからなる複合材料、並びにそれらの製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0023

上記課題を解決するために、本発明に係る強化繊維基材は、少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成される強化繊維基材であって、強化繊維基材の少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%であることを特徴とするものからなる(第1の形態に係る強化繊維基材)。

0024

本発明に係る複合材料は、少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成され、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に沿って測定される厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である強化繊維基材に、樹脂を含浸した複合材料からなり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%であることを特徴とするものからなる。

0025

また、本発明に係る強化繊維基材は、強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度が強化繊維糸条の繊度の1%以下である補助繊維糸条からなる緯方向補助繊維糸条群とを含み、かつ、少なくとも表面には、0.5〜20重量%の範囲内で樹脂材料が付着していることを特徴とするものからなる(第2の形態に係る強化繊維基材)。

0026

また、本発明に係る複合材料は、強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度が強化繊維糸条の繊度の1%以下である補助繊維糸条からなる緯方向補助繊維糸条群とを含み、かつ、少なくとも表面には、0.5〜20重量%の範囲内で樹脂材料が付着している強化繊維基材に、樹脂を含浸した複合材料からなり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%であることを特徴とするものからなる。

0027

また、本発明に係る強化繊維基材は、強化繊維糸条が一方向に並行した強化繊維シートからなり、前記強化繊維糸条間に表面が凹凸に形成されたスペーサ糸が配列され、かつ、強化繊維シートの少なくとも片面に2〜20重量%の範囲の樹脂材料が接着されていることを特徴とするものからなる(第3の形態に係る強化繊維基材)。

0028

また、本発明に係る複合材料は、強化繊維糸条が一方向に並行した強化繊維シートからなり、前記強化繊維糸条間に表面が凹凸に形成されたスペーサ糸が配列され、かつ、強化繊維シートの少なくとも片面に2〜20重量%の範囲の樹脂材料が接着されている強化繊維基材に、樹脂を含浸した複合材料からなり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%であることを特徴とするものからなる。

0029

上記のような第1、第2、第3の形態に係る強化繊維基材においては、強化繊維糸条の繊度が350〜3,500tex、フィラメント数が6,000〜50,000本であり、強化繊維糸条群と、連続した補助繊維糸条を強化繊維糸条と交差する方向に延在した緯方向補助繊維糸条群とが基材を構成し、かつ、強化繊維糸条の目付が120〜320g/m2である一方向性強化繊維基材である構成とすることができる。

0030

また、強化繊維糸条と並行する方向に延在する補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有する構成とすることもでき、この場合には、経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条の繊度が強化繊維糸条の繊度の20%以下であることが好ましい。

0031

また、スペーサ糸が、経方向補助繊維糸条として配列されている構成とすることもできる。とくに、上記第3の形態に係る強化繊維基材においては、経方向補助繊維糸条として、前記スペーサ糸を用いるのが好ましい。また、スペーサ糸として、少なくとも2本の糸が表面に凹凸を有するように撚り加工された糸からなる構成とすることができる。また、スペーサ糸が、カバーリング糸からなる構成、ガラス繊維ヤーンからなる構成とすることもできる。スペーサ糸としては、その最大糸幅/最小糸幅比が1.2以上であることが好ましい。

0032

また、強化繊維糸条と並行する方向に延在する、補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、かつ、基材の両面側に緯方向補助繊維糸条群が配されており、該緯方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条と経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条とが織組織を構成している一方向性ノンクリンプ織物からなる構成とすることもできる。

0033

また、隣り合う強化繊維糸条間の隙間の平均値が、0.1〜1mmの範囲内にあることが好ましい。

0034

また、強化繊維糸条群と、連続した補助繊維糸条を強化繊維糸条と交差する方向に延在した緯方向補助繊維糸条群とが基材を構成し、強化繊維糸条群の目付が100〜400g/m2の範囲内にあり、かつ、緯方向補助繊維糸条群の目付が強化繊維糸条群の目付の0.7%以下である構成とすることもできる。

0035

また、強化繊維糸条群と、連続した補助繊維糸条を強化繊維糸条と並行する方向に延在した経方向補助繊維糸条群とが基材を構成し、強化繊維糸条群の目付が100〜400g/m2の範囲内にあり、かつ、経方向補助繊維糸条群の目付が強化繊維糸条群の目付の12%以下である構成とすることもできる。

0036

また、樹脂材料が強化繊維基材の表面に点在しており、かつ、強化繊維基材の表面において平面的にみた樹脂材料の平均直径が1mm以下であり、かつ、強化繊維基材の表面からの樹脂材料の平均高さが5〜250μmの範囲内にある構成とすることもできる。また、樹脂材料が強化繊維基材に繊維状に付着している構成とすることもできる。

0037

また、樹脂材料が、強化繊維糸条とほぼ直角方向に延び、かつ、互いに間隔をもって付着している構成とすることもできる。

0038

また、経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条には集束処理が施されていることが好ましい。

0039

また、上記第1の形態に係る強化繊維基材においては、強化繊維糸条として炭素繊維糸条を用いる場合には、引張弾性率が210GPa以上であり、かつ、破壊歪エネルギーが40MJ/m3以上の炭素繊維糸条であることが好ましい。上記第3の形態に係る強化繊維基材においては、強化繊維糸条は、その引張強度が4,500MPa以上、引張弾性率が250GPa以上であることが好ましい。

0040

また、上記第1、第2、第3の形態に係る強化繊維基材においては、補助繊維糸条または樹脂材料の主成分が、ポリアミドポリフェニレンサルファイドポリエーテルイミドポリエーテルスルフォンポリケトンポリエーテルエーテルケトンフェノールポリスフォンポリフェニレンエーテルポリイミドポリアミドイミドおよびフェノキシから選ばれる少なくとも1種からなる構成とすることができる。

0041

また、強化繊維基材を用いて複合材料を成形したとき、その複合材料の強化繊維糸条延設方向と直交する断面で観察したときの、強化繊維糸条の幅方向における中心部の厚みtcと、強化繊維糸条の幅方向における端部の厚みteとの比率te/tcが0.3〜1の範囲内にあることが好ましい。

0042

また、とくに上記第1、第2の形態に係る強化繊維基材においては、強化繊維糸条の体積含有率が53〜65%の複合材料を成形したとき、その複合材料の特性が次の要件(a)〜(d)の少なくとも2つを満足することが好ましい。
(a)SACMA−SRM−2R−94に規定される方法による、衝撃エネルギー6,67J/mmにおける衝撃付与後の常温圧縮強度が240MPa以上であること。
(b)SACMA−SRM−3R−94に規定される積層構成の積層板の常温無孔圧縮強度が500MPa以上であること。
(c)SACMA−SRM−1R−94に規定される方法による常温0°圧縮強度が1,350MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温0°圧縮強度が1,100MPa以上であること。
(d)SACMA−SRM−3R−94に規定される方法による常温有孔圧縮強度が275MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温有孔圧縮強度が215MPa以上であること。

0043

また、上記第1、第2、第3の形態に係る強化繊維基材は、真空注入成形に用いられる強化繊維基材であることが好ましい。すなわち、本発明に係る強化繊維基材は、ドライ状態での取扱性に優れ、かつ、後述の注入成形(RTM(Resin Transfer Molding)、RFI(Resin Film Infusion)、RIM(Resin Injection Molding)、真空アシストRTM等)等の真空注入成形において成形し、複合材料にしても高い力学特性を発現するため、真空注入成形を経て複合材料に成形するのが好ましい。

0044

また、本発明に係る強化繊維基材は、複数枚積層して一体化したプリフォームの形態で用いることができる。

0045

また、前記本発明に係る複合材料においては、複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下であることが好ましい。本発明における最大振れ幅とは、測定対象基材層と並行に複合材料を切断した断面における測定対象基材層の最高位置および最低位置との差を指す。なお、サンプリングは、任意に選択した150mm長さの断面について、4回測定した平均値を用いる。

0046

また、本発明に係る複合材料においては、強化繊維糸条と交差する方向に延在した緯方向補助繊維糸条を有し、緯方向補助繊維糸条の断面積が、強化繊維糸条の断面積の1/50以下であることが好ましい。すなわち、高い力学特性を発現するため、緯方向補助繊維糸条の断面積が、強化繊維糸条のそれの1/50以下であるのが好ましい。かかる断面積を超える場合は、強化繊維糸条のクリンプ(屈曲)を誘発し、高い力学特性を発現できなくなるおそれがある。ここで、断面積とは、複合材料において、糸条の配列方向と直角方向の断面にて観察される糸条の断面積を指し、糸条が3本以上の単繊維にて形成されている場合、糸条の最外層に位置する単繊維の断面中心を直線で結んで形成した領域の面積を指す。糸条が2本以下の単繊維にて形成されている場合は、単繊維断面の合計を糸条の断面積とする。

0047

本発明に係る複合材料は、例えば、航空機、自動車または船舶構成部材として用いられる。

0048

本発明に係る強化繊維基材の製造方法は、少なくとも、一方向に並行に配列した強化繊維糸条から構成され、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有する強化繊維基材の製造方法であって、次の(A)〜(E)の工程を経ることを特徴とする方法からなる。
(A)強化繊維糸条を引き出す引出工程。
(B)基材形態を形成する基材形成工程。
(C)基材を加圧し、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である厚みにする加圧工程。
(D)基材を冷却して樹脂材料を固定する冷却工程。
(E)基材を巻き取る巻取工程。

0049

上記冷却工程では、樹脂材料の流動開始点またはガラス転移温度以下に冷却する。かかる冷却工程を経ると、樹脂材料が放冷に比べて素早く固化するため、加圧工程にて加圧した基材が樹脂材料によって固定され、強化繊維糸条のスプリングバックを最小限にすることができる。

0050

上記基材形成工程で形成される強化繊維基材は、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40%未満であることが好ましい。また、上記加圧工程は、例えば、基材に、ロールを介して連続的に圧力を加えることにより、基材厚みを薄くする工程からなる。また、加圧工程では、基材に、プレートを介して不連続的に圧力を加えることにより、基材厚みを薄くすることもできる。

0051

また、上記加圧工程では、基材に直接接触するロールまたは離型シートの表面が、5〜500μmの凹凸を有していることが好ましい。かかる凹凸を有すると、基材を加圧しながら巻取方向へ搬送することができる。また、基材に凹凸が転写し、その凹凸が後述の真空注入成形においてマトリックス樹脂の樹脂流路となる、という予想外の効果も発現するため、好ましい。更には、かかる凹凸により、基材における僅かな各強化繊維糸条の糸条長差があっても、そのままの状態で基材が連続して後の工程に送られ、加圧工程に糸条長差が蓄積することがない。つまり、単純に平坦なロールで加圧すると、加圧工程にて糸条長差が蓄積し、最後には糸条の屈曲となって、一気に後の工程に送られる。この屈曲は、基材における大きな欠点となり、力学特性に関する大きな欠陥を誘発する。なお、より好ましい凹凸は、10〜250μm、更に好ましくは15〜100μmの範囲である。

0052

本発明に係る複合材料の製造方法は、少なくとも、一方向に並行に配列した強化繊維糸条と、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料2〜15重量%とを有する強化繊維基材を、以下の(A)〜(E)の工程を経て製造し、製造した強化繊維基材を、成形型とバッグ材とから形成されるキャビティ内に配置し、キャビティ内を減圧して樹脂を含浸させ、厚みから算出される強化繊維体積率Vfが50〜65%である複合材料を成形することを特徴とする複合材料の製造方法。
(A)強化繊維糸条を引き出す引出工程。
(B)基材形態を形成する基材形成工程。
(C)基材を加圧し、JIS−R7602に沿って測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である厚みにする加圧工程。
(D)基材を冷却して樹脂材料を固定する冷却工程。
(E)基材を巻き取る巻取工程。

0053

この方法においては、複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下となるように成形することが好ましい。

発明の効果

0054

前記第1の形態に係る強化繊維基材によれば、強化繊維基材における強化繊維体積率Vpfを最適なものにしたので、特に衝撃付与後の常温圧縮強度(CAI)、常温無孔圧縮強度(NHC)、常温0°圧縮強度(CS)、常温有孔圧縮強度(OHC)等の力学特性に優れた複合材料が得られる強化繊維基材を得ることができる。

0055

前記第2の形態に係る強化繊維基材によれば、マトリックス樹脂の含浸性が良好で、特に衝撃付与後または湿熱処理後の圧縮強度等の力学特性に優れる複合材料を生産性よく得られるだけでなく、形態安定性、積層する際のタック性等の優れた取扱性を有する一方向性強化繊維基材、および一方向性強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸してなる複合材料が得られる。

0056

前記第3の形態に係る強化繊維基材は、強化繊維糸条間に表面が凹凸したスペーサ糸が配列されているので、スペーサ糸表面の凹部により基材厚み方向への液状樹脂の通路が確保され、分厚く積層されても優れた樹脂含浸性を発揮し、高品質の複合材料を得ることができる。また、スペーサ糸が強化繊維糸条間に存在するので、強化繊維糸条部と強化繊維糸条間部との厚さの差が殆どなくなって均一な厚さの基材となり、積層しても各層が波打つようなことがなく高い力学特性を発揮する複合材料が得られる。さらに、強化繊維基材の少なくとも片面に樹脂材料が接着されているので、その樹脂材料による接着効果により基材形態の安定するし、また、プリフォームとして一体化が容易に行える。さらに、樹脂材料により、プリフォームでの層間確保が行え、靭性のある複合材料が得られる。

0057

このようにして得られた複合材料は、航空機、自動車、船舶等の輸送機器における構造部材、内層部材または外層部材などの各部材をはじめ、幅広い分野に適し、特に航空機の構造部材として好適である。

発明を実施するための最良の形態

0058

以下に、本発明について、望ましい実施の形態と共に詳細に説明する。
先ず、本発明における、前述の第1の形態に係る強化繊維基材および複合材料に関して説明する。本発明に係る強化繊維基材は、少なくとも、連続した強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群から構成される強化繊維基材であって、強化繊維基材の少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有し、かつ、JIS−R7602に準拠して測定される強化繊維基材の厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%である。

0059

ここで、JIS−R7602に準拠して測定される強化繊維基材の厚みとは、JIS−R7602「炭素繊維織物試験方法、Testing Methodsfor Carbon Fibre WovenFabrics」にて記載されている方法に沿って測定された厚みである。具体的には、基材を定盤上に静置し、その上に1cm2 の円板加圧板)に510gfの荷重(50kPa)を負荷した状態で少なくとも20秒放置し、定盤と円板との隙間をダイヤルゲージにて、単位をmmとして小数点2桁まで測定した値を用いる。なお、測定に供する基材は、製造した後、少なくとも24時間以上経過し、スプリングバック量が実質的に飽和したものとする。

0060

上記強化繊維基材は、基材の少なくとも片表面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有している。より好ましくは6〜14重量%、更に好ましくは8〜13重量%である。樹脂材料を上記範囲で有していることにより、基材の一層高い形態安定性がもたらされる。更に、基材を積層する際に、基材同士のタック性(接着性)、基材の適度なコシがもたらされる。その結果、形態安定性に優れ、積層が容易かつ自動化が可能な強化繊維基材を得ることができる。かかる特性は、2重量%未満では発現し難い。

0061

また、上記範囲の樹脂材料が、基材の少なくとも片表面に接着していると、強化繊維基材を積層して得られる複合材料において、クラックストッパーの役目を果たす。特に、複合材料が衝撃を受けた時に、損傷抑制の役目を果たし、複合材料に優れた力学特性(特に衝撃付与後の圧縮強度)をもたらし、いわゆる層間強化効果がある。なお、表面以外に接着している場合も、複合材料中の残留応力緩和の役目を果たし、上記力学特性向上に寄与する。

0062

かかる高靭性化効果に加え、基材を積層した場合に、表面に接着している樹脂材料がスペーサーとなって、厚み方向に隣接する基材層間スペースが形成される。かかるスペースは、注入成形により複合材料を成形する際、マトリックス樹脂の流路の役目を果たし、層間流路形成効果がある。この効果により、マトリックス樹脂の含浸が容易になるだけでなく、その含浸速度も速くなる。

0063

樹脂材料が15重量%を超えると、後述の強化繊維体積率Vpfを40〜60%の範囲内にすることが困難となるだけでなく、複合材料にした場合の強化繊維体積率Vf も低くなり過ぎる。また、樹脂材料が樹脂流路を潰し、かえって含浸を妨げる場合がある。

0064

かかる樹脂材料は、基材の少なくとも片表面に接着しているが、基材両表面に接着していてもよい。より低コストに強化繊維基材を製造する場合は前者が好ましい。強化繊維基材の表裏使い分けをしたくない場合は後者が好ましく、目的によって使い分けることができる。また、基材の内部、すなわち、強化繊維糸条の中(強化繊維単繊維の間)に接着していてもよいが、上述の層間強化効果、層間流路形成効果は、樹脂材料が表面に接着していることにより、特に高い効果が発現されるため、樹脂材料は実質的に基材の表面にのみ存在しているのが好ましい。表面にのみ存在していると樹脂材料の接着量を最小限に抑えることができる。

0065

本発明の強化繊維基材におけるもう一つの特徴は、JIS−R7602に準拠して測定される厚みから算出される強化繊維体積率Vpfが40〜60%、より好ましくは43〜58%、特に好ましくは52〜56%であるところにある。

0066

強化繊維体積率Vpfが40%未満であると、特に真空圧によりマトリックス樹脂を含浸させるような真空注入成形では、成形の際に大気圧以上の圧力がかからないので、強化繊維基材の嵩、すなわち強化繊維体積率Vpfが所望の範囲に制御できず、得られる複合材料における強化繊維体積率Vf も力学特性に最適な50〜65%範囲内に制御することができないだけでなく、所望の寸法の複合材料が得られない。また、得られる複合材料中での基材層がうねり、得られる複合材料の力学特性、特に圧縮強度を著しく低下させる。かかる問題は、積層構成に関しては、基材層の積層構成が斜交の場合に、成形に関しては、雄型または雌型の一方のみ成形型を用い、もう一方に柔軟なバッグ材を用いる場合に、特に顕在化する。すなわち、力学特性に優れ軽量化効果を高く発現する複合材料が得られない。更には、基材の嵩が高く、平滑性に劣るため、基材の積層を自動化する際、厚み、平面方向ともに正確に位置決めできず、安定した自動積層が困難となる。

0067

一方、強化繊維体積率Vpfが60%を超えると、注入成形の場合には、密に充填され過ぎた強化繊維がマトリックス樹脂の流れを阻害する結果、含浸性が悪くなり、未含浸部分(ボイド)を有する、力学特性に劣る複合材料しか得られない。

0068

かかる強化繊維体積率Vpfを40〜60%の範囲内に制御することにより、得られる複合材料における強化繊維体積率Vf および寸法を、所望の範囲に厳密に制御し、高い力学特性を発現することが可能となる。つまり、本発明の課題は、基材の少なくとも片表面に、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有している強化繊維基材が、強化繊維体積率Vpf=40〜60%の範囲内である時にのみ解決できるのである。本発明では、かかる樹脂材料が熱可塑性樹脂であるために、加熱により樹脂材料による強化繊維の拘束を一旦解放し、強化繊維基材、強化繊維糸条ひいては強化繊維の単繊維を所望の範囲まで充填、冷却によりそれらの充填レベルにて再拘束することができる。このメカニズムにより、強化繊維基材における強化繊維体積率Vpfを上記範囲内にすることが可能となるのである。

0069

なお、本発明でいう強化繊維基材における強化繊維体積率Vpfとは、次式で求めた値をいう(単位は%)。なお、ここで用いた記号は下記に準ずる。ここで、測定に供する強化繊維基材は、製造した後、少なくとも24時間以上経過し、スプリングバック量が実質的に飽和したものとする。

0070

Vpf=W1/(ρ×T1×10) (%)
W1:強化繊維基材1m2当たりの強化繊維の重量(g/m2)
ρ :強化繊維の密度(g/cm3)
T1:JIS−R7602に準拠して測定した強化繊維基材厚さ(mm)
ここで、樹脂材料としては、例えば多孔性フィルム、繊維状(短繊維不織布、カットファイバーフィラメント)、または粉粒体のような形態をしていて、基材の全面を覆ってはいないものが好ましい。中でも、マトリックス樹脂の含浸(特に積層面の垂直方向の含浸)に優れる点、成形される複合材料の強化繊維体積率を高くできる点、成形される複合材料が湿熱処理を受けるとき、樹脂材料の水分の拡散を最小限に抑制できる点から、点状の形態であるのが好ましい。

0071

かかる点状形態を有する樹脂材料は、基材表面からみた、その点の平均直径(楕円形の場合は平均短径)が、1mm(1,000μm)以下、とくに10〜1,000μmの範囲内にあるのが好ましい。より好ましくは20〜500μm、更に好ましくは50〜250μmである。10μm未満であると、点状の樹脂材料が単繊維間入り込むなど含浸性を阻害する場合がある。また、1,000μmを超えると、樹脂材料の分散状態均一性が低下する場合がある。また、基材表面に接着している樹脂材料の基材面に垂直方向における凹凸が大き過ぎると、それの厚み方向に隣接する強化繊維糸条が屈曲しやすい。かかる観点から、基材表面における樹脂材料の平均厚み(平均高さ)は、5〜250μmであることが好ましい。好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μm、更に好ましくは15〜50μmである。

0072

樹脂材料の主成分、すなわち樹脂材料中で50重量%を超える成分(好ましくは60〜100重量%)は、上記の層間強化効果を高く発現する熱可塑性樹脂である。必要に応じて、樹脂材料に少量の粘着付与剤可塑剤等を副成分として配合し、0〜150℃(より好ましくは30〜100℃)のガラス転移温度にするとよい。かかる副成分としては、マトリックス樹脂と同様または類似のものであると、マトリックス樹脂との接着性、相溶性に優れる利点がある。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フェノール、ポリスルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびフェノキシから選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。中でもポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテルおよびポリエーテルスルフォンから選ばれる少なくとも1種の化合物がとりわけ好ましい。

0073

本発明の強化繊維基材は、連続した強化繊維糸条が、お互いに並行するように引き揃えられ、少なくとも一方向に配列して強化繊維糸条群を形成している。必要に応じて強化繊維糸条の方向が、二方向、更には複数方向に配列していてもよい。すなわち、一方向性基材、二方向性基材、多方向性基材のいずれであってもよい。これらは、強化繊維基材の組織形態は、例えば、織組織、編組織たて編、よこ編)または不織組織のシートであってもよいし、それらの組み合わせでもよい。これらの中でも、優れた軽量化効果および極めて高い力学特性が要求される航空機の一次構造部材等に適用できる様な複合材料を得るためには、強化繊維糸条が一方向にのみ配列している一方向性基材であるのが好ましい。

0074

かかる一方向性基材としては、強化繊維糸条の繊度は、350〜3,500tex、フィラメント数6,000〜50,000本であり、強化繊維糸条群と、連続した補助繊維糸条を強化繊維糸条と交差する方向に延在した緯方向補助繊維糸条群とが基材を構成し、かつ、強化繊維糸条の単位面積あたりの重量(目付)が120〜320g/m2である一方向性強化繊維基材であるのが好ましい。単位面積あたりの重量が120g/m2未満では、基材中に形成される強化繊維糸条が疎になり過ぎて樹脂リッチ部分を多く形成するため力学特性に劣るだけでなく、基材の取扱性に劣る場合がある。一方、320g/m2を超える場合は、強化繊維糸条が密になり過ぎて樹脂の含浸性に劣るだけでなく、基材を多数積層した複合材料において、一層が大きく(層間が少なく)なり過ぎ、応力集中が発生して複合材料の力学特性に劣る場合がある。

0075

また、連続した補助繊維糸条は、強化繊維糸条を横切って、すなわち、強化繊維糸条と直交するか、斜めに交差する方向に延在して緯方向補助繊維糸条群を形成する。補助繊維糸条が強化繊維糸条を横切り、強化繊維糸条が配列している方向以外の方向を支持することにより、強化繊維基材の形態安定性が向上する。

0076

かかる一方向性強化繊維基材の組織形態は、例えば、連続した補助繊維糸条がお互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列している織組織または不織組織であってもよいし、補助繊維糸条がたて編(例えば、1/1トリコット編組織、鎖編組織挿入糸との袋組織等)、よこ編で配置している編組織であってもよい。また、連続または不連続の補助繊維シート状体(不織布、マットメッシュ紡績糸等により構成される基材等)に貼り合わされてステッチや接着等により一体化しているシートでもよい。中でも、織組織である一方向性織物は、強化繊維糸条の真直性、マトリックス樹脂の含浸性、更には基材の製造安定性および寸法安定性に優れるため、本発明の好ましい基材形態といえる。

0077

ここで、補助繊維糸条の繊度は、予想外にも力学特性、特に圧縮強度への影響が極めて大きい。すなわち、本発明の緯方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条の繊度(Ta1)は、強化繊維糸条の繊度(Tc)の1%以下であるのが好ましい。すなわち、(Ta1×100)/Tc≦1である。より好ましくは0.7%以下、更に好ましくは0.5%以下である。かかる比率の下限は特にないが、基材の形態安定や製造安定の面から0.01%以上であるのが一般的である。

0078

かかる補助繊維糸条は、強化繊維糸条を横切って配置されているため、両者が交差または交錯する箇所が必ず形成される。Ta1がTcの1%を超えると、かかる箇所において、補助繊維糸条が強化繊維糸条を基材の厚み方向にクリンプ(屈曲)させ、強化繊維糸条の真直性を阻害してしまう場合がある。かかるクリンプの形成により、力学特性、特に圧縮強度に優れる複合材料を得難い。Ta1が上記範囲であると、強化繊維糸条のクリンプは僅かながら形成されるものの、その真直性には影響を及ぼすには至らず、力学特性の低下は実質的に無視できるレベルとなり、高い強化繊維体積率でありながら極めて高い力学特性を発現する複合材料を得ることができるのである。

0079

かかる一方向性織物としては、基材の両側に緯方向補助繊維糸条群が配され、それを構成する補助繊維糸条と強化繊維糸条群を構成する強化繊維糸条とが織組織(平織綾織繻子織等)を構成している織物が挙げられる。

0080

この場合、連続した補助繊維糸条の密度は、強化繊維基材の形態安定、強化繊維糸条との交差または交錯箇所の影響の最小限化のため、0.3〜6本/cmであるのが好ましい。より好ましくは1〜4本/cmである。

0081

更に好ましい例としては、強化繊維糸条と並行する方向に延在する、連続した補助繊維糸条から構成される経方向補助繊維糸条群を有し、かつ、基材の両側に緯方向補助繊維糸条群が配され、それを構成する補助繊維糸条と経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条とが織組織を構成し、強化繊維糸条を一体に保持しているノンクリンプ織物が挙げられる。

0082

かかる経方向補助繊維糸条群を用いてノンクリンプ織物にすると、強化繊維糸条間の隙間をたて方向補助繊維糸条にて埋め、基材の凹凸を平滑化する効果があるため、複合材料において積層した基材層のうねりを抑制し、より高い力学特性を発現し得る。更には、補助繊維糸条が交差または交錯する箇所での強化繊維糸条の乱れを抑制し、その真直性を維持するガイドの如き役割も期待できる。以上の効果により、例えば航空機の一次構造部材に要求されるレベルの力学特性に極めて優れる複合材料を得ることができる。

0083

なお、経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条は、引張破断伸度が高く、実質的に熱収縮がなく、糸条繊度ラインナップ耐吸水性、コストのバランスに優れる炭素繊維またはガラス繊維が好ましく用いられる。

0084

本発明で用いる強化繊維糸条としては、前述したようにその繊度が350〜3,500tex、フィラメント数が6,000〜50,000本が好ましい。より好ましくは、繊度が400〜1,800tex、フィラメント数が12,000〜38,000本である。繊度が350tex未満であったり、フィラメント数が6,000本未満であると、強化繊維糸条が高価となり、生産性に優れる注入成形で真価を発揮する本発明の意義が薄れてしまう。一方、繊度が3,500texを超えたり、フィラメント数が50,000本を超えると、強化繊維糸条の糸条中での単繊維(フィラメント)の蛇行が大きくなり、含浸性に劣る場合がある。また、かかる強化繊維糸条は、複合材料が高い強化繊維体積率や力学特性を発現するために、無撚であることが好ましい。

0085

本発明で用いる強化繊維糸条としては、特にその種類に制限はないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維フェノール繊維ポリエチレン繊維ポリビニルアルコール繊維等)、金属繊維またはセラミック繊維、これらの組み合わせ等が挙げられる。炭素繊維は、比強度および比弾性率に優れ、耐吸水性に優れるので、航空機構造材や自動車の強化繊維糸条として好ましく用いられる。

0086

本発明の基材は、複合材料を成形したとき、その複合材料の強化繊維糸条延設方向と直交する断面で観察したときの、強化繊維糸条の幅方向における中心部の厚みtcと、強化繊維糸条の幅方向における端部の厚みteとの比率te/tcが0.3〜1の範囲内にあることが好ましい。かかる範囲以外の場合、実質的に強化繊維基材が平滑になっていないことを意味し、本発明の課題である力学特性を低下させる原因となる複合材料中の基材層のうねりを解決できない場合がある。かかる中心部とは、強化繊維糸条の幅Wとし、強化繊維糸条の一端を0とすると幅方向に0.5Wの位置を指す。また、かかる端部とは、0.1Wと0.9Wの両方を指し、本発明における端部の厚みteは、0.1Wにおける厚みと、0.9Wにおける厚みとの平均値とする。

0087

本発明の強化繊維基材は、得られる複合材料の力学特性を高いものにできるため、特に緯方向補助繊維糸条とマトリックス樹脂との接着性は極めて重要であり、接着力が高ければ高い方が、優れた力学特性を発現するのに寄与する。かかる接着性に関する直接的な指標としては、本発明の実施例に記載の成形方法により得られる複合材料において、強化繊維体積率Vf が53〜65%であり、かつ、その複合材料の特性が次の要件(a)〜(d)の少なくとも2つを満たすのが好ましい。より好ましくは、要件(a)〜(d)の全てを満たすのがよい。かかる場合、マトリックス樹脂との接着性に優れるということができる。すなわち、本発明でいう力学特性の中でも、最も重要な特性である。なお、SACMAとは、Suppliers of Advanced Composite Materials Associationの略である。

0088

要件(a):衝撃エネルギー6,67J/mmにおける衝撃付与後の常温圧縮強度(CAI)が240MPa以上である。かかるCAIは、SACMA−SRM−2R−94に従ってDry条件にて測定されたものである。

0089

要件(b):常温無孔圧縮強度(NHC/RT)が500MPa以上である。かかるNHC/RTは、SACMA−SRM−3R−94に規定される積層構成の積層板を、幅25.4mm、長さ105.4mmの寸法で、試験片の上下それぞれ40mmをジグで固定した状態で圧縮試験したものである。

0090

要件(c):常温0°圧縮強度(CS/RT)が1,350MPa以上、かつ湿熱処理後の高温0°圧縮強度(CS/HW)が1,100MPa以上である。CS/RTは、SACMA−SRM−1R−94に従ってDry条件にて測定したものである。CS/HWは、同じ試験片を72℃温水中に14日間浸漬した後、直ちに82℃雰囲気下にて測定したものである。

0091

要件(d):常温有孔圧縮強度(OHC/RT)が275MPa以上であり、かつ、湿熱処理後の高温有孔圧縮強度(OHC/HW)が215MPa以上である。OHC/RTは、SACMA−SRM−3R−94に従ってDry条件にて測定したものである。OHC/HW)は、同じ試験片を72℃温水中に14日間浸漬した後、直ちに82℃雰囲気下にて測定したものである。

0092

より詳しくは、上記衝撃付与後の圧縮強度(CAI)とは、SACMA-SRM-2R-94「SACMA Recommended Test Method for COMPRESSIONAFTERIMPACT PROPERTIES OF ORIENTED FIBER-RESIN COMPOSITES」に記載されている方法に沿って測定されたものである。具体的には、基材をカットし、積層構成が[−45°/0°/+45°/90°]を3回繰り返したものを2組用意し、それを90°層を向かい合わせて対称積層になるように貼り合わせた4〜5mm厚の平板を成形する(基材190g/m2目付の場合)。かかる積層平板から、長さ150mm×幅100mmの寸法にダイヤモンドカッターにて切り出した試験片について、その中心に専用ジグを用いて5.6kg(12lbs)のを落下させて、6.67J/mm(1500in・lbs/in)の落錘衝撃を与えた後、試験片の0°方向の圧縮強度を専用ジグを用いて測定したものを指す。試験片の数は最低でn=4とし、その平均値を用いる。CAIで用いる専用ジグは、SACMA-SRM-2R-94に詳細な記載がある。

0093

また、上記無孔圧縮強度(NHC)とは、SACMA-SRM-3R-94 「SACMA Recommended Test Method for OPEN-HOLECOMPRESSION PROPERTIES OF ORIENTED FIBER-RESIN COMPOSITES」に記載されている有孔圧縮強度(OHC)を測定する方法と同様の積層構成の積層板を用いて、以下の方法で測定されたものを指す。具体的には、基材をカットし、積層構成が[−45°/0°/+45°/90°]を2回繰り返したものを2組用意し、それを90°層を向かい合わせて対称積層になるように貼り合わせた3mm厚の平板を成形した(目付190g/m2 の場合)。この積層平板を、幅25.4mm、長さ105.4mmの寸法の試験片に切り出し、試験片の上下それぞれ40mmをジグで固定した状態で圧縮試験した。試験片の0°方向の圧縮強度を専用ジグを用いて測定したものを指す。試験片の数は最低でn=4とし、その平均値を用いる。

0094

また、上記0°圧縮強度(CS)とは、SACMA-SRM-1R-94「SACMA Recommended Test Method for COMPRESSION PROPERTIES OF ORIENTED FIBER-RESIN COMPOSITES」に記載されている方法に沿って測定されたものである。具体的には、基材をカットし、積層構成が[0°]を6層貼り合わせた1mm厚の平板を成形した(目付190g/m2 の場合)。かかる積層平板の中央部に90°方向に沿って4.75mmの隙間をあけるように、該中央部以外の平板の表裏両面にタブ(試験片を切り出す平板が好ましい)を接着する(つまり、この4.75mmの隙間部分のみが、タブの無い上記1mm厚の平板のみとなるように形成し、この部分を圧縮試験部分として形成する)。かかるタブ付き平板から長80mm×幅15mmの寸法にダイヤモンドカッターにて切り出して試験片を得る。各試験片の0°方向の圧縮強度CSを専用ジグを用いて測定したものを指す。試験片の数は最低でn=4とし、その平均値を用いる。CSで用いる専用ジグは、SACMA-SRM-1R-94に詳細な記載がある。

0095

さらに、上記有孔圧縮強度(OHC)とは、SACMA-SRM-3R-94 「SACMA Recommended Test Method for OPEN-HOLECOMPRESSION PROPERTIES OF ORIENTED FIBER-RESIN COMPOSITES」に記載されている方法に沿って測定されたものを指す。具体的には、基材をカットし、積層構成が[−45°/0°/+45°/90°]を2回繰り返したものを2組用意し、それを90°層を向かい合わせて対称積層になるように貼り合わせた3mm厚の平板を成形した(目付190g/m2 の場合)。かかる積層平板から、長さ305mm×幅38mmの寸法にダイヤモンドカッターにて切り出した試験片について、その中心に6.35mmの孔をあけた後、試験片の0°方向の圧縮強度を専用ジグを用いて測定したものを指す。試験片の数は最低でn=4とし、その平均値を用いる。OHCで用いる専用ジグは、SACMA-SRM-3R-94に詳細な記載がある。なお、OHC測定用に孔を開ける時は、孔周辺の炭素繊維を傷つけない様に表裏両面にガラス繊維強化プラスチック板GFRP)を瞬間接着剤で貼り合わせて、ドリルおよびリーマーを用いる。孔を開けた後はGFRPは取り外して試験に供する。

0096

また、本発明における常温とは、温度23±2℃、湿度50±10%にて測定する試験条件を指す。本発明における湿熱処理とは、試験片を72℃の温水中に14日間浸漬し(湿熱処理)、その後直ちに各クーポンの高温(82℃)にて測定する試験条件を指す。

0097

例えば、エポキシがマトリックス樹脂の場合、緯方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条には、補助繊維の耐熱性、耐吸水性、糸条繊度のラインアップの他に、エポキシとの接着性に優れるものを用いるのが好ましい。これらを満たす好ましい例として、ポリアミド(6、66、9、12、610、612、芳香族系、それらの共重合品等)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン、フェノール、ポリイミドが挙げられ、中でもポリアミド66がとりわけ好ましい。

0098

本発明の複合材料は、上述の強化繊維基材に、好ましくは、上述の強化繊維基材が複数枚積層されたものにマトリックス樹脂が含浸しているものであり、かつ複合材料の厚みから算出される強化繊維体積率Vf が50〜65%である。強化繊維基材に含浸されたマトリックス樹脂は、含浸後に、固化(硬化または重合)し、複合材料を形成する。

0099

本発明の複合材料は、その優れた力学特性を最大限に発現させるために、複合材料の厚みから算出される強化繊維体積含有率Vf が50〜65%である。50%未満であると、複合材料の軽量化効果に劣り、65%を超えると、後述の注入成形での成形が困難となり、生産性よく複合材料を得られない。なお、複合材料における強化繊維体積率Vf とは、次式で求めた値をいう(単位は%)。なお、ここで用いた記号は下記に準ずる。

0100

Vf =(W2×Ply)/(ρ×T2×10) (%)
W2:使用した強化繊維基材1m2当たりの強化繊維の重量(g/m2)
T2:複合材料の厚さ(mm)
Ply:積層した強化繊維基材の層数

0101

本発明の複合材料の断面における基材層の最大振れ幅は、0.3mm以下であるのが好ましい。かかる振れ幅が大きいことは、基材層のうねりが大きい、すなわち強化繊維の真直性に劣ることを意味し、0.3mmを超えると、大きな力学特性、特に圧縮強度の低下をもたらす場合がある。かかる最大振れ幅は小さければ小さいほど好ましいが、0.1mm以下であれば本発明の目的として十分な場合が多い。

0102

かかる最大振れ幅は、複合材料の断面から任意の基材層を1つ認識し、その層について下記の範囲内でのうねりの最大振れ幅で代表させたものである。例えば、図1に、本発明の複合材料の一態様の概略断面を示す。図1に示す様に、複合材料100の断面には、強化繊維基材を90°に積層した90°層101、+45°層102、0°層103、−45°層104、90°層105が上から順に積層され、マトリックス樹脂106が含浸されている。本発明における最大振れ幅とは、測定する層(図1においては、0°層103が測定対象の層)と並行に複合材料を切断した断面における最高位置および最低位置との差107を指す。なお、サンプリングは、任意に選択した150mm長さの断面について、4回測定した平均値を用いる。

0103

本発明の複合材料には、マトリックス樹脂として、熱可塑性熱硬化性のいずれも使用することができるが、その成形性、力学特性の面から熱硬化性樹脂であるのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ、フェノール、ビニルエステル不飽和ポリエステルシアネートエステルビスマレイミドベンゾオキサジンアクリルから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。更にエラストマーゴム硬化剤硬化促進剤触媒等を添加したものも使用することができる。

0104

本発明の強化繊維基材の製造方法は、少なくとも、一方向に平行に配列した強化繊維糸条から構成され、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有する強化繊維基材の製造方法であって、次の(A)〜(E)の工程を経る。

0105

(A)引出工程
まず、強化繊維糸条を、例えばクリールスタンド掛けられているボビンから直接引き出したり、部分整経されたビームから引き出す方法等により引き出す。

0106

(B)基材形成工程
かかる強化繊維糸条を一方向に平行に配列し、基材形態を形成する。ここで、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%接着してもよいし、後述の(C)の加圧工程と同時または後に接着してもよい。加圧工程の効率を考えると、加圧工程と同時に樹脂材料を接着するのが好ましい。

0107

この工程で形成される基材形態は、織物、編物、ステッチ基材、不織布またはそれらの組み合わせでもよい。それらの中でも、少なくとも強化繊維糸条をたて糸とし、補助繊維糸条をよこ糸とした一方向性織物であるか、補助繊維糸条にて不織組織を形成した一方向シートであると、強化繊維糸条の真直性、基材の製造安定性、寸法安定性に優れるため好ましい。より好ましくは、マトリックス樹脂の含浸性に優れる一方向性織物である。

0108

(C)加圧工程
強化繊維体積率Vpfが40〜60%である基材厚みになるように加圧する。より好ましくは43〜58%、特に好ましくは52〜56%であるところにある。上述の通り、かかる強化繊維体積率Vpfを40〜60%の範囲内に制御することにより、得られる複合材料における強化繊維体積率Vf および寸法を、所望の範囲に厳密に制御し、高い力学特性を発現することが可能となるのである。前記(B)の基材形成工程で形成される強化繊維基材が、強化繊維体積率Vpfが40%未満であるものである場合には、本工程の効果が最大限に発揮される。

0109

加圧する方法としては、ロールを介して連続的に圧力を加える方法、プレートを介して不連続的に圧力を加える方法が挙げられる。ここで、樹脂材料を接着した後または接着しながら加圧する場合は、基材を40〜370℃の範囲に加熱しながら、圧力を加えると上記Vpfの範囲に容易に制御できるため好ましい。一方、樹脂材料を接着する前に加圧する場合は、必ずしも加熱する必要はなく、基材を常温で圧力を加えることによっても、上記Vpfの範囲に容易に制御できる。

0110

(D)冷却工程
基材を冷却して樹脂材料を固定する工程であり、省略あるいは自然放冷することも可能であるが、迅速に所望の複合材料を成形するためには、この工程を設けることが好ましい。

0111

(E)巻取工程
強化繊維基材を巻き取る。かかる基材は、強化繊維基材が、少なくとも片表面に熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料を2〜15重量%有していることが好ましい。上述の通り、かかる樹脂材料により、上述の基材の優れた形態安定性、取扱性、得られる複合材料における層間強化効果、成形時の層間流路形成効果を得ることができる。

0112

なお、本発明の強化繊維基材の製造方法では、(B)基材形成工程と(C)加圧工程との間に、次の(B1)、(B2)の工程を経ることもできる。このように工程をオフライン化すると、(B)の基材形成工程と(C)の加圧工程との加工速度差を合わせる必要がないため、各工程での自由度を高め、生産性を上げることができる。
(B1)基材を巻き取る仮巻取工程。
(B2)基材を引き出す仮引出工程。

0113

本発明の複合材料の製造方法は、上記方法で製造した強化繊維基材を、例えば、注入成形(RTM(Resin Transfer Molding)、RFI(Resin Film Infusion)、RIM(Resin Injection Molding)、真空アシストRTM等)、プレス成形等の各種成形方法およびそれらを組み合わせた成形方法にて、厚みから算出される強化繊維体積率Vf が50〜65%である様に成形する。

0114

より好ましい成形方法としては、生産性の高い注入成形法が挙げられる。かかる注入成形法として、好ましくはRTMが挙げられる。RTMは、例えば、雄型および雌型により形成したキャビティ中にマトリックス樹脂を加圧して注入する成形方法がある。より好ましい成形方法として、真空アシストRTMが挙げられる。真空アシストRTMは、上述の通りであるが、例えば、雄型または雌型のいずれかとバッグ材(例えば、ナイロンフィルムシリコンラバー等の柔軟性を有するもの)により形成したキャビティを減圧し、大気圧との差圧にてマトリックス樹脂を注入する。この場合、キャビティ内の強化繊維基材に樹脂拡散媒体メディア)を配置し、かかるメディアによりマトリックス樹脂の拡散・含浸を促進する。成形後には、複合材料からメディアを分離することが好ましい。これらの注入成形方法は、成形コストの面から好ましく適用される。

0115

また、複合材料の断面における基材層の最大振れ幅が0.3mm以下であるように成形すると、上述の通り、特に圧縮強度を高めることができるため好ましい。

0116

次に、前述の本発明の第2の形態に係る強化繊維基材および複合材料に関して説明する。本発明の第2の形態に係る強化繊維基材は、強化繊維糸条を一方向に並行するように引き揃えた強化繊維糸条群と、強化繊維糸条と交差する方向に延在する、繊度(Ta1)が強化繊維糸条の繊度(Tc)の1%以下である補助繊維糸条からなる緯方向補助繊維糸条群とを含み、かつ、少なくとも表面には、0.5〜20重量%の範囲内で樹脂材料が付着しているものである。

0117

本発明に係る一方向性強化繊維基材は、少なくとも、かかる強化繊維糸条群と、補助繊維糸条群と、樹脂材料とが一方向性強化繊維基材を形成し、補助繊維糸条および/または樹脂材料にて、強化繊維糸条を支持することを最低限の目的とする。すなわち、一方向性強化繊維基材として、取扱が可能である。

0118

強化繊維糸条は、お互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列している。また、補助繊維は、連続した補助繊維糸条を強化繊維糸条を横切って、すなわち、強化繊維糸条と直交するか、斜めに交差する方向に配置している。一方向性強化繊維基材が優れた形態安定性を有するためには、連続した補助繊維糸条が強化繊維糸条を横切って、強化繊維糸条が配列している方向以外の方向を支持する必要がある。

0119

一方向性強化繊維基材の組織形態は、本発明の課題を解決できるものなら任意の組織形態をとることができる。例えば、補助繊維糸条がお互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列している織組織または不織組織であってもよいし、補助繊維糸条がたて編(例えば、1/1トリコット編組織等)またはよこ編で配置している編組織であってもよいし、それらを組み合わせでもよい。それらの中でも一方向性織物であるのが好ましい。かかる一方向性織物であると、一方向性強化繊維基材の製造の容易さ、形態安定性が最大限に発現されるだけでなく、マトリックス樹脂の含浸性、強化繊維糸条の真直性にも優れる。

0120

以下において、本発明が、図面の参照のもとに、より具体的に説明される。
図2は、本発明の一方向性強化繊維基材の一態様の平面模式図である。図2において、一方向性強化繊維基材11は、布帛15と、布帛15に接着した樹脂材料14とから構成されている。布帛15は、強化繊維糸条12と補助繊維糸条13とから構成され、強化繊維糸条12と補助繊維糸条13とは不織組織にて布帛15を形成している。この布帛15は、強化繊維糸条12が主体をなしていることから、一方向性不織布帛の一種である。樹脂材料14は、布帛15の表面に点状に散在して接着し、補助繊維糸条13を布帛15に固定している。また、図示していないが、布帛15の裏面にも樹脂材料が点状に散在して接着し、同様に補助繊維糸条を布帛に固定している。

0121

図3は、本発明の一方向性強化繊維基材の別の態様の縦断面模式図である。図3において、一方向性強化繊維基材21は、布帛25と、布帛25の表面に接着した樹脂材料24とから構成されている。布帛25は、強化繊維糸条22、26であるたて糸と、補助繊維糸条23、27であるよこ糸とから構成される。図示していないが、強化繊維糸条22、26と補助繊維糸条23、27とが、互いに交錯して平織組織にて布帛25を形成している。かかる布帛25は、強化繊維糸条22、26が主体をなしていることから、一方向性織物の一種である。樹脂材料24は、布帛25の上面に接着し、補助繊維糸条23を上面にて布帛25に固定している。

0122

図4は、本発明の一方向性強化繊維基材に用いられる布帛の一態様の斜視図である。図4において、布帛31である一方向性織物は、互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列された強化繊維糸条32をたて糸とし、それと直角に横切った補助繊維糸条33をよこ糸として、互いに交錯して平織組織にて布帛31を形成したものである。なお、図4の織組織は平織であるが、朱子織、綾織等の任意の織組織を適用することができる。

0123

本発明では、補助繊維糸条の繊度(Ta1)は、強化繊維糸条の繊度(Tc)の1%以下である。すなわち、(Ta1×100)/Tc≦1である。より好ましくは0.7%以下、更に好ましくは0.5%以下である。かかる比率の下限は特になく、小さければ小さいほどよいが、布帛の形態安定性、製造安定性の面から、0.01%以上であるのが一般的である。このTa1とTcの関係は、前述の本発明の第1の形態に係る強化繊維基材の項で説明したのと同じである。

0124

補助繊維糸条の繊度は、単独では適した指標になり難いが、強化繊維糸条を800〜1700texの範囲の炭素繊維糸条と想定すると、クリンプの影響低減の観点から、補助繊維の繊度(Ta1)は、8tex以下であるのが好ましい。より好ましくは5tex以下、更に好ましくは2tex以下である。

0125

クリンプ抑制の観点から、補助繊維糸条は、マルチフィラメントであることが好ましい。好ましくは5フィラメントを超えるものである。マルチフィラメントであると、フィラメント単糸の繊度(直径)を更に小さくすることが可能となり、一層クリンプを小さくして強化繊維糸条の真直性を高めることができる。また、補助繊維糸条の糸切れも少なくでき、取扱性、一方向性強化繊維布帛の製造安定性の面からも優れるため好ましい。なお、マルチフィラメントの場合、成形した複合材料が高い力学特性、強化繊維体積率を達成するために、実質的に無撚のものを用いることが好ましい。

0126

また、補助繊維糸条の断面形態は、できるだけ扁平状、またはテープ状になっているのが好ましい。具体的には、糸条幅(w)と糸条厚(t)との比率(w/t)が2以上であるのが好ましい。より好ましくは4以上である。例えば、加撚、糸条によるカバーリング複数糸条合糸、または集束剤の付与等により断面形態が丸くなると、強化繊維糸条のクリンプを大きくしてしまう場合がある。なお、マルチフィラメントの場合、フィラメント単糸が厚み方向にそれぞれ重ならずに、平行に並んでいる形態が好ましい。

0127

すなわち、補助繊維糸条は、補助繊維糸条が太くなる(断面形態が厚くなる)様な処理または加工がなされていないのが好ましい。例えば、加撚、糸条によるカバーリング、複数糸条の合糸、または集束剤や接着剤などの付与等を行うと、太くなる場合がある。また、補助繊維糸条は、ウーリ加工、倦縮加工交絡加工等の二次加工されたものであると、太くなる場合がある。好ましい補助繊維糸条の厚みは、100μm以下、より好ましくは50μm以下、とりわけ30μm以下であるのが好ましい。かかる厚みは、JIS−R7602に沿った一方向性強化繊維布帛の厚み測定において、補助繊維糸条がある箇所と、ない箇所との厚み測定の差によって算出されたものに相当する。

0128

ここで、補助繊維糸条に接着処理されていないと、一方向性強化繊維布帛の形態安定性には極めて劣る場合があるが、本発明の場合、樹脂材料が接着しているので、その場合にも形態安定機能を付与することができるのである。

0129

本発明の一方向性強化繊維布帛は、樹脂材料が、一方向性強化繊維布帛の少なくとも表面に、0.5〜20重量%の範囲で接着している。より好ましくは2〜17重量%、更に好ましくは4〜14重量%の範囲である。

0130

樹脂材料が、上記範囲で接着していることにより、強化繊維糸条および補助繊維糸条の変形が抑制され、基材の形態安定性がもたらされる。更に、一方向性強化繊維基材を積層する際に、それら同士のタック性(接着性)がもたらされる。その結果、取扱性に優れた一方向性強化繊維基材を得ることが可能となる。かかる基材の優れた取扱性は、樹脂材料が0.5重量%未満では発現しない。

0131

また、前述の第1の形態と同様に、上記範囲の樹脂材料が、少なくとも表面に接着していると、一方向性強化繊維布帛を積層して得られる複合材料において、クラックストッパーの役目を果たす。特に、複合材料が衝撃を受けた時に、損傷抑制の役目を果たし、複合材料に優れた力学特性(特に衝撃付与後の圧縮強度)をもたらす(層間強化効果)。なお、表面以外に接着している場合も、複合材料中の残留応力の緩和の役目を果たし、力学特性向上に寄与する。また、上記の高靭性化効果に加え、一方向性強化繊維布帛を積層した場合に、表面に接着している樹脂材料がスペーサーとなって、厚み方向に隣接する一方向性強化繊維布帛の層間にスペースが形成される。かかるスペースは、後述する注入成形により複合材料が成形される際、マトリックス樹脂の流路の役目を果たす(層間流路形成効果)。これにより、マトリックス樹脂の含浸が容易になるだけでなく、その含浸速度も速くなり、複合材料の優れた生産性をもたらす。

0132

樹脂材料が20重量%を越えると、複合材料にした場合の強化繊維体積率が低くなり過ぎるだけでなく、力学特性にも劣る場合がある。また、加熱して一方向性強化繊維布帛同士を接着する場合、樹脂材料が変形することによりマトリックス樹脂の流路を潰し、かえって含浸を妨げる場合があるため好ましくない。

0133

かかる樹脂材料は、一方向性強化繊維布帛の少なくとも表面に接着しているが、表面以外に一方向性強化繊維布帛の内部、すなわち、強化繊維糸条の中(強化繊維フィラメントの間)に接着していてもよい。しかしながら、上述の層間強化効果、層間流路形成効果は、樹脂材料が表面に接着していることにより、特に高い効果が発現されるため、樹脂材料は実質的に一方向性強化繊維布帛の表面にのみ存在しているのが好ましい。表面にのみ存在していると、樹脂材料の接着量を最小限に抑えることができ、複合材料にした場合の樹脂体積率を減らす、すなわち強化繊維体積率を一層高くすることができ、複合材料の軽量化効果を一層高く発現させることができる。

0134

かかる樹脂材料は、布帛片面に接着していても、布帛両面に接着していてもよい。より低コストに一方向性強化繊維基材を製造する場合は前者が好ましい。一方向性強化繊維基材の表裏の使い分けをしたくない場合は後者が好ましく、目的によって使い分けることができる。

0135

ここで、樹脂材料は、たとえば多孔性樹脂フィルムや、合成繊維の短繊維不織布もしくはカットファイバーや、合成樹脂の粉粒体のような形態をしていて、布帛の全面を覆ってはいない。中でも、積層された一方向性強化繊維基材へのマトリックス樹脂の含浸(特に積層面の垂直方向の含浸)に優れる点、成形される複合材料の強化繊維体積率を高くできる点、成形される複合材料が湿熱処理を受けるとき、樹脂材料の水分の拡散を最小限に抑制できる点から、点状の形態であるのが好ましい。かかる不連続状とは、一方向性強化繊維基材の表面を海とし、樹脂材料を島とすると、海に散在する多数の島群をなす形態を指す。ここで、島の最大幅は、布帛全幅よりも小さい。これらの島の一部は、その内方を有する形態もあり得る。

0136

かかる樹脂材料が、その点(島)の平均直径(楕円形の場合は平均短径)は、小さいほど均一に基材表面に分散させることが可能となるため、1mm以下が好ましい。250μm以下がより好ましくは、50μm以下が更に好ましい。

0137

一方向性強化繊維基材を複数枚積層する場合、基材表面に接着している樹脂材料の基材面に垂直方向における凹凸が大き過ぎると、それに隣接する一方向性強化繊維布帛や強化繊維糸条が屈曲する可能性がある。この場合、成形された複合材料の力学特性(特に、有孔圧縮強度や0°圧縮強度等)を損なう。かかる観点から、布帛表面における樹脂材料の平均厚みは、5〜250μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、10〜100μm、更に好ましくは、15〜60μmの範囲である。

0138

本発明の一方向性強化繊維基材は、更に、経方向の補助繊維糸条が、強化繊維糸条を横切らずに配置されて、好ましくは強化繊維糸条と並行する方向に配置されて経方向補助繊維糸条群を構成しているのが好ましい。かかる経方向補助繊維糸条の繊度(Ta2)は、強化繊維糸条の繊度(Tc)の20%以下であるのが好ましい。すなわち、(Ta2×100)/Tc≦20である。より好ましくは12%以下、更に好ましくは5%以下である。かかる比率の下限は特にないが、布帛の形態安定性、製造安定性の面から、0.1%以上であるのが一般的である。

0139

経方向補助繊維糸条は、強化繊維糸条と並行していてそれを横切らないため、強化繊維糸条と交差または交錯する箇所が形成されない。すなわち、経方向補助繊維糸条が強化繊維糸条をクリンプさせることはない。この意味から、Ta2はTa1よりも高い比率の繊度であっても問題ない。かかるTa2がTcの20%を超えると、成形される複合材料の重量が大きくなり、複合材料の本質的な目的である軽量化効果を損なうため、好ましくない。

0140

しかし、経方向補助繊維糸条は、成形される複合材料の力学特性に全く影響を及ぼさない訳ではない。複合材料の引張特性においては、強度に関しては強化繊維が負担するため、経方向補助繊維には高い強度は求められない。一方、破断伸度に関しては、強化繊維よりも小さい場合、複合材料が引っ張られる過程で、先に経方向補助繊維が破断してしまい、複合材料中に微小クラックを発生させてしまう場合がある。すなわち、経方向補助繊維糸条は、強化繊維糸条よりも高い破断伸度を有するものであることが好ましい。

0141

かかる経方向補助繊維糸条を用いる1つ目の意味は、隣り合う強化繊維糸条の間隔を確保する、あるいは拡げることにより、複合材料を成形する時にマトリックス樹脂の含浸を促進する、すなわちマトリックス樹脂の流路を層内に形成する点にある(層内流路形成効果)。これは、強化繊維糸条を横切らずに配置し、補助繊維糸条よりも太繊度の経方向補助繊維糸条を用いることにより、十分な効果を発現し得るものである。一方、強化繊維糸条を横切って配置している補助繊維糸条(緯方向)は、強化繊維糸条のクリンプ抑制のために、太繊度のものが適用できないため、かかる効果は小さい。

0142

かかる観点から、一方向性強化繊維基材の全幅において、隣り合う強化繊維糸条の平均隙間が0.1〜1mmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは0.2〜0.8mm、更に好ましくは0.3〜0.5mmの範囲である。かかる範囲であると、上記の層内流路形成効果が十分に発現する。それ以下では、十分に発現しない場合がある。逆に広すぎると、複合材料に成形した際、大きな樹脂リッチ部分を形成することになり、強化繊維体積率の低下、力学特性(特に疲労強度)の低下、サーマルクラックの発生等につながる場合がある。なお、強化繊維糸条の間隔の測定においては、強化繊維糸条の間に経方向補助繊維糸条が存在しても、その経方向補助繊維糸条は無視されて測定される。

0143

マトリックス樹脂の流路の効率的な形成のためには、経方向補助繊維糸条が拡がり過ぎてかかる流路を潰さないのが好ましい。かかる観点から、経方向補助繊維糸条は、集束処理がなされているのが好ましい。かかる集束処理としては、例えば、経方向補助繊維糸条の加撚、糸条によるカバーリング、複数糸条の合糸、または集束剤の付与等が挙げられる。中でも糸条によるカバーリング、または集束剤の付与による集束処理が、安価な処理費用で大きな効果を発現できるため好ましい。カバーリングに用いる糸条としては、例えば、補助繊維糸条等を用いることができる。また、集束剤の付与方法としては、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等をエマルジョンディスパージョンにして付与したり、ホットメルト法にて直接付与したりし、任意の方法を用いることができる。

0144

また、マトリックス樹脂の流路の効率的な形成のために、経方向補助繊維糸条は、これらの繊維素材をウーリ加工、倦縮加工、交絡加工等の二次加工されたものでもよい。かかる加工により、糸条を嵩高くでき、積極的にマトリックス樹脂の流路とすることができる。

0145

経方向補助繊維糸条を用いる2つ目の意味は、布帛凹凸を平滑化する点にある。一方向性強化繊維基材には、強化繊維糸条と、その隙間により凸凹が形成される。隣り合う強化繊維糸条の間に経方向補助繊維糸条が存在すると、強化繊維糸条の隙間に厚みを持たせてやることにより、かかる凹凸を平滑化する。更に、経方向補助繊維糸条を用いることにより、強化繊維糸条の断面を楕円状から矩形状にすることができ、一層平滑化することができる(平滑化効果)。かかる効果により、一方向性強化繊維基材を積層して複合材料を得た場合、積層した層のうねりを抑制することができ、より高い力学特性を発現し得るのである。

0146

経方向補助繊維糸条を用いる3つ目の意味は、強化繊維糸条の真直性を更に高める点にある。隣り合う強化繊維糸条の間に経方向補助繊維糸条が存在すると、経方向補助繊維糸条が、その方向のガイドの如き役割を果たす(ガイド効果)。強化繊維糸条は、補助繊維糸条が交差または交錯する箇所で特に真直性が乱れ易いが、かかる箇所においてもその真直性を維持することができる。かかる効果による極めて高い真直性により、例えば航空機の一次構造部材に要求されるレベルの力学特性に極めて優れる複合材料を得ることができるのである。

0147

かかる経方向補助繊維糸条を用いる一方向性強化繊維布帛の組織形態としては、上述の組織形態以外に、例えば、経方向補助繊維糸条がお互いに並行に引き揃えられ、強化繊維糸条と同じ方向に配列している織組織または不織組織であってもよいし、経方向補助繊維糸条がたて編組織(例えば、鎖編、鎖編と1/1トリコット編を組み合わせた袋網編組織等の複合編組織等)で配置している編物であってもよいし、それらの組み合わせ(例えば、並行に引き揃えた強化繊維糸条と補助繊維糸条との不織組織を、経方向補助繊維糸条のたて編にて編組織化する等)でもよい。それらの中でも一方向性織物(一方向性ノンクリンプ織物)であるのが好ましい。かかる一方向性ノンクリンプ織物は、強化繊維糸条を、お互いに並行に且つシート状に一方向に引き揃えた強化繊維糸条群のシート面の両側に、強化繊維糸条群と交差する補助糸条群が位置し、それら補助糸条群と、強化繊維糸条と並行する経方向補助糸条群とが織組織をなして糸条群を一体に保持したものである。かかる一方向性ノンクリンプ織物であると、上述の一方向性織物よりも、一方向性強化繊維布帛の取扱性だけでなく、強化繊維糸条の真直性、マトリックス樹脂の含浸性が、一層高く発現するため、本発明の基材として最も好ましい形態といえる。

0148

図5は、本発明の一方向性強化繊維基材に用いられる布帛の別の態様の斜視図である。図5において、布帛41である一方向性織物は、互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列された経方向補助繊維糸条44のたて糸と、それと直交する補助繊維糸条43であるよこ糸とが、互いに交錯して平織組織を形成し、互いに並行に引き揃えられ、一方向に配列された強化繊維糸条42を支持して布帛41を形成したものである。なお、図5の経方向補助繊維糸条44と補助繊維糸条43との織組織は平織であるが、それに限定されず、朱子織、綾織等の織組織を適用することができる。

0149

本発明の一方向性強化繊維基材は、強化繊維の目付(Wc)が、100〜400g/m2(より好ましくは130〜290g/m2、更に好ましくは140〜220g/m2)の範囲であり、かつ補助繊維の目付(Wa1)が、強化繊維の目付(Wc)の0.7%以下(より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.4%以下)であるのが好ましい。

0150

Wa1がWcの0.7%を超えると、強化繊維糸条と補助繊維糸条との交差または交錯する箇所が増えることを意味し、僅かなクリンプとはいえ、力学特性の面から不利である。また、補助繊維糸条の配合量が相対的に増えることにより、湿熱処理後の圧縮強度や高温雰囲気下の圧縮強度の低下が起こる場合がある。かかる比率の下限は特になく、小さければ小さいほどよいが、布帛の形態安定性、製造安定性の面から、0.01%以上であるのが一般的である。

0151

経方向補助繊維糸条に関しては、経方向補助繊維の目付(Wa2)が、強化繊維の目付(Wc)の25%以下であるのが好ましい。より好ましくは12%以下、更に好ましくは5%以下である。かかる比率の下限は特にないが、基材の形態安定性、製造安定性の面から、0.1%以上であるのが一般的である。

0152

経方向補助繊維糸条は、強化繊維糸条を横切らないため、強化繊維糸条と交差または交錯する箇所が形成されない。また、高い目付にすることにより、経方向補助繊維糸条の選択の幅が広がり、耐熱性、耐吸水性等に優れるものを適用し易い。その為、Wa2はWa1より増えても、力学特性への影響は最小限にできる。これらの意味から、Wa2はWa1よりも高い比率の目付であっても問題ない。但し、Wa2がWcの25%を超えると、成形される複合材料の重量が大きくなり、本質的な目的である軽量化効果を損なうため、好ましくない。

0153

別の視点からは、補助繊維糸条の密度は、一方向性強化繊維基材の形態安定、強化繊維糸条32、42の交差または交錯する箇所の影響の最小限化のため、0.3〜6エンドまたはウェール/cmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは1〜4エンドまたはウェール/cmの範囲である。

0154

同様に、経方向補助繊維糸条44(図5)の密度は、布帛41の形態安定性、層内流路形成効果の含浸性のため、0.1〜6エンドまたはウェール/cmの範囲であるのが好ましい。より好ましくは1〜3エンドまたはウェール/cmの範囲である。

0155

特に、強化繊維の目付(Wc)が220g/m2以下と小さい場合は、強化繊維糸条の凹凸が顕在化し易い。かかる一方向性強化繊維基材を複合材料に成形すると、積層した層がうねる場合がある。そのため、基材形成の前または/および基材形成後に、強化繊維糸条は開繊処理されるのが好ましい。かかる開繊処理とは、例えば、ローラ圧子揺動(布帛の長手方向および/または幅方向)、エアージェット噴射等が挙げられ、任意の方法をとることができる。

0156

以下、緯方向補助繊維糸条群を形成する補助繊維糸条、経方向補助繊維糸条群を構成する補助繊維糸条、強化繊維糸条および樹脂材料について、より詳細に説明する。

0157

力学特性の中で、湿熱処理後の特性や、高温特性を高く発現するためには、補助繊維糸条および経方向補助繊維糸条は、耐熱性に優れている必要がある。一方、耐熱性に優れ過ぎると糸条の製造コストが高くなる。かかる観点から、補助繊維糸条は、融点が210〜350℃の範囲であるのが好ましい。より、好ましくは240〜300℃の範囲である。融点を示さないものについては、ガラス転移点が160〜300℃の範囲であるのが好ましい。かかる融点およびガラス転移点は、それぞれ示差走査熱量計DSC)から計測される結晶溶解温度およびガラス状態への転移温度を指す。

0158

得られる複合材料の力学特性を高いものにするためには、補助繊維糸条とマトリックス樹脂との接着性は極めて重要であり、接着力が高ければ高い方が、優れた力学特性を発現するのに想像以上に寄与する。

0159

かかる接着性に関する直接的な指標としては、本発明の実施例に記載の成形方法により得られる複合材料において、強化繊維体積率Vf が53〜65%の範囲であり、かつ次の要件が挙げられる。本発明の一方向性強化繊維布帛は、次の要件(a)、(c)および/または(d)を満たすのが好ましい。かかる場合、マトリックス樹脂との接着性に優れるといえる。より好ましくは要件(a)、(c)、(d)のいずれも満たすことである。なお、SACMAの試験法規格は前述した通りである。
要件(a):衝撃エネルギー6,67J/mmにおける衝撃付与後の常温圧縮強度(CAI)が240MPa以上であること。
要件(c):常温0°圧縮強度(CS/RT)が1350MPa以上、かつ湿熱処理後の高温0°圧縮強度(CS/HW)が1100MPa以上であること。
要件(d):常温有孔圧縮強度(OHC/RT)が275MPa以上であり、かつ湿熱処理後の高温有孔圧縮強度(OHC/HW)が215MPa以上であること。

0160

上述のCAI、OHCまたはCS等に優れる複合材料を得る場合、一般的にはマトリックス樹脂としてエポキシを用いる場合が多い。例えば、エポキシがマトリックス樹脂の場合、補助繊維糸条には、補助繊維の耐熱性、耐吸水性の他に、エポキシとの接着性に優れるものを用いるのが好ましい。具体的には、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フェノールから選ばれる少なくとも1種を主成分とするのが好ましい。

0161

それらの中でもポリアミドが主成分として好ましい。例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド9、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612等から選ばれる少なくとも1種の成分からなるホモポリアミドまたは共重合ポリアミドを用いることができる。上記成分以外にも、イソフタル酸テレフタル酸パラキシレンジアミンメタキシレンジアミン等の芳香族のジカルボン酸またはジアミン、ジメチルビス(p−アミノシクロヘキシルメタン等の脂環式のジカルボン酸またはジアミンから選ばれる少なくとも1種の成分を共重合したポリアミドも用いることができる。中でも、接着性、耐熱性、耐吸水性、コストのバランスから、ポリアミド66が最も好ましい。

0162

ここで、マトリックス樹脂としてエポキシを想定した場合、一般的にはポリオレフィンポリエステル等の低極性のものは接着性に劣るため、単純にそれらを成分とする補助繊維糸条では、極めて高い力学特性を発現する複合材料を得ることができない。しかしながら、かかる低極性の補助繊維糸条を、例えば繊維表面に官能基を付与し、繊維表面を高極性化する様な、プラズマ処理表面処理剤の付与等の処理を行うと、接着性を改善することが可能となり、本発明の課題を解決できる場合がある。

0163

かかるマトリックス樹脂との接着性の観点から、補助繊維糸条の製造時に用いられる油分(工程油剤、仕上油剤等)は悪影響を及ぼす場合がある。そのため、製造時の油分付与量を少なくする、または加熱による熱分解や、洗浄液による精練等により製造後に除去する等により、付着している油分を極力少なくするのが好ましい。具体的には、補助繊維糸条に対して油分が1%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.6%以下、更に好ましくは0.2%以下である。かかる油分が1%を超えて存在すると、特に湿熱処理後の力学特性(特にOHC/HW、CS/HW等)に劣る場合がある。

0164

なお、経方向補助繊維糸条は、強化繊維糸条を横切らずに配置されるため、収縮に留意する必要がある。例えば、経方向補助繊維糸条の乾熱収縮率が大き過ぎると、一方向性強化繊維基材を加熱した時に、強化繊維糸条がアーチ状に撓み、その真直性が損なわれる場合がある。かかる観点から、経方向補助繊維糸条は、180℃での乾熱収縮率が1%以下であるのが好ましい。より好ましくは0.2%以下、更に好ましくは実質的に熱収縮しないものがよい。

0165

かかる要件を満たす糸条としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、フェノール繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ポリビニルアルコールPVA)繊維等)から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。中でも実質的に熱収縮がなく、糸条繊度のラインナップ、耐吸水性、コストのバランスに優れるガラス繊維が好ましい。上述の通り、マトリックス樹脂との接着性を向上させるために、カップリング処理されたガラス繊維であるのが一層好ましい。

0166

本発明で用いる強化繊維糸条は、特にその種類に制限はないが、例えば、ガラス繊維、有機アラミド、PBO、PVA、PE等)繊維または炭素繊維等が挙げられる。炭素繊維は、比強度および比弾性率に優れ、耐吸水性に優れるので、航空機構造材や自動車の強化繊維糸条として好ましく用いられる。

0167

中でも、次の高靭性炭素繊維であると、成形される複合材料の衝撃吸収エネルギーが大きくなるので、航空機の1次構造材として適用が可能となる。すなわち、JIS−R7601に準拠して測定される引張弾性率(E)が210GPa以上、破壊歪エネルギー(W)が40MJ/m3(=106×J/m3)以上である炭素繊維であると好ましい。より好ましくは、引張弾性率280GPa以上、かつ破壊歪エネルギーが53MJ/m3以上である。破壊歪エネルギー(W)は、高ければ高いほど良いが、通常に入手可能な炭素繊維に基づくと、80MJ/m3以下であるのが一般的である。なお、引張弾性率280GPa以上、かつ破壊歪エネルギーが53MJ/m3以上である炭素繊維は、そのフィラメント単糸の平均直径が7μm未満であるのが好ましい。7μm未満の炭素繊維であると、上記特性の炭素繊維を得やすい利点がある。引張弾性率(E)が210GPa未満の炭素繊維を用いると、構造材としての複合材料の撓み量が許容される様にするために、複合材料を構造部材として用いる場合に板厚を厚くせねばならず、結果的に重くなってしまう。また、破壊歪エネルギー(W)が40MJ/m3未満であると、複合材料に衝撃が付与される際、炭素繊維の破壊によって吸収される衝撃エネルギーが小さいので、余剰のエネルギーは層間のマトリックス樹脂層の破壊に費やされ、層間のクラックも大きくなるので好ましくない。また、信頼性にも劣った複合材料となる。破壊歪エネルギー(W)は、JIS−R7601に規定される測定法に従って測定された引張強度(σ、単位はMPa)と引張弾性率(E、単位はMPa)とに基づき、式W=σ2/2×Eにより算出される。単位は、MJ/m3である。

0168

強化繊維糸条として炭素繊維を用いる場合、6,000〜70,000フイラメント、その繊度(Tc)は400〜5,000texの範囲であるのが好ましい。より好ましくは、12,000〜25,000フイラメント、その繊度は800〜1,800texの範囲である。かかる範囲であると、比較的安価に高性能の炭素繊維を入手できる利点がある。また、本発明の強化繊維糸条は、成形した複合材料の高い強化繊維体積率や力学特性の発現率の面から、実質的に無撚のものであることが好ましい。

0169

本発明で用いる樹脂材料は、一方向性強化繊維基材を積層する際のタック性発現のため、加熱処理するが、その作業性の面から、50〜150℃の範囲の融点またはガラス転移温度を有しているものが好ましい。より好ましくは70〜140℃、更に好ましくは90〜120℃の範囲である。

0170

樹脂材料の成分は、一方向性強化繊維布帛の取扱性を向上させ、それを用いて得られる複合材料の力学特性を向上させるものであれば、特に限定されない。樹脂材料として、各種の熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂を使用できる。

0171

熱可塑性樹脂を主成分として用いる場合には、例えば、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、フェノキシ、フェノールから選ばれる少なくとも1種のものであるのが好ましい。中でもポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォンがとりわけ好ましい。

0172

熱可塑性樹脂は、樹脂材料の主成分となり、その配合量が、60〜100重量%であることが好ましい。より好ましくは70〜100重量%であり、更に好ましくは75〜97重量%である。配合量が60重量%未満であると、力学特性(特にCAI)に優れた複合材料を得難い場合がある。また、熱可塑性樹脂を主成分とした場合、樹脂材料の布帛への接着性や接着加工性が劣る場合がある。この場合には、樹脂材料に少量の粘着付与剤、可塑剤等を副成分として配合するとよい。かかる副成分としては、後述のマトリックス樹脂として用いるものを適用するのが好ましい。かかる副成分がマトリックス樹脂と同様または類似のものであると、マトリックス樹脂との接着性、相溶性に優れる利点がある。

0173

本発明の複合材料は、少なくとも、上述の一方向性強化繊維基材に、マトリックス樹脂が含浸しているものである。一方向性強化繊維基材に含浸されたマトリックス樹脂は、含浸後に、固化(硬化または重合)し、複合材料を形成する。

0174

かかるマトリックス樹脂は、本発明の課題を解決するものであれば特に限定されないが、その成形性、力学特性の面から熱硬化性樹脂であるのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ、フェノール、ビニルエステル、不飽和ポリエステル、シアネートエステル、ビスマレイミド、ベンゾオキサジン、アクリルから選ばれる少なくとも1種であると本発明の課題を解決し易いため好ましい。更にエラストマーやゴム、硬化剤、硬化促進剤、触媒等を添加したものも使用することができる。中でも、例えば航空機の一次構造部材で要求される非常に高い力学特性(特に、CAI、OHC、CS等)を達成するためには、エポキシまたはビスマレイミドであるのが好ましく、とりわけエポキシが好ましい。

0175

マトリックス樹脂を、後述の注入成形にて一方向性強化繊維基材に含浸させる場合、マトリックス樹脂の粘度が低いと含浸時間が短くでき、かつ非常に厚く積層した一方向性強化繊維基材をも含浸可能となる。かかる粘度は、注入温度において、400mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましい。更には、含浸時間を極力長くとるために、注入温度における1時間後の粘度は、600mPa・s以下が好ましく、400mPa・s以下がより好ましい。注入温度は、100℃以下であると設備簡易なものにできるため好ましい。

0176

本発明の複合材料は、例えば、注入成形(RTM(Resin Transfer Molding)、RFI(Resin Film Infusion)、RIM(Resin Injection Molding)、真空アシストRTM等)、プレス成形等の各種成形方法およびそれらを組み合わせた成形方法にて成形することができる。より好ましい複合材料の成形方法としては、生産性の高い真空注入成形方法が挙げられる。前述した第1の形態に係る強化繊維基材を用いた成形方法と同様の方法が適用できる。

0177

本発明の複合材料の用途は、特に限定されないが、極めて高いCAI、OHC、CS等の優れた力学特性を有しているため、特に航空機、自動車、または、船舶等の輸送機器における一次構造部材、二次構造部材、外装部材内装部材もしくはそれらの部品のいずれかに用いられると、その効果を最大限に発現する。

0178

図6は、航空機の一次構造部材を示す概略斜視図である。図6において、航空機51は、主翼52、床支持桁53、胴体54、垂直尾翼55、水平尾翼56等の各構造部材からなる。これらの構造部材に、本発明の一方向性強化繊維布帛に、マトリックス樹脂が含浸されて成形された複合材料を使用すると、優れた力学特性を発現するだけでなく、高い生産性で構造部材が製造できる。

0179

図7は、本発明の複合材料が用いられた構造要素の一例の概略斜視図である。図7において、構造部材61は、スキン材62、桁材63、スティフナ材64からなる。従来は、スキン材、桁材、スティフナ材をそれぞれ別々に成形し、これをリベットや接着剤にて接合して構造部材を製造していたが、本発明の複合材料によれば、スキン材と桁材やスティフナ材とを一体成形することが可能となり、構造部材の成形コストを大幅に低減することができる。

0180

次に、前述の本発明の第3の形態に係る強化繊維基材および複合材料に関して、図面を参照しながら説明する。

0181

図8は、本発明の第3の形態に係る強化繊維基材の一態様を示す平面図である。図8において、本発明に係る一方向性強化繊維基材81は、強化繊維糸条85が長手方向に並行に配向され、その強化繊維糸条85の間に表面が凹凸したスペーサ糸86が配列されてシートをなし、そのシート上に樹脂材料87が点状に付着されて一体化されたものである。

0182

前記したように、通常、RTM成形法やVa−RTM成形法においては、複数層に積層した強化繊維基材に対し、バッグ面あるいは金型に設けた注入孔からマトリックス樹脂を注入し、強化繊維基材積層体の厚み方向および積層体の層間の平面方向にマトリックス樹脂が流れつつ強化繊維基材に樹脂が含浸されることを理想とするが、各層の強化繊維基材の厚み方向の樹脂含浸性が低いと、マトリックス樹脂は厚み方向に流れず面方向への拡がりが進み、遂には積層体の端部から吸引孔へと流れてしまい、積層体の中央部に未含浸部が生じる結果となっていた。

0183

本発明の一方向性強化繊維基材は、強化繊維糸条間に配列されたスペーサ糸は強化繊維糸条と互いに隣接しているが、スペーサ糸の表面が凹凸しているために凸部が強化繊維糸条との境界を形成するので、凹部は基材の厚み方向への空隙が生じ、マトリックス樹脂はその空隙が樹脂パスとなって厚み方向へのマトリックス樹脂の流れを促進させることができるという作用効果を有する。

0184

本発明の第3の形態に係る強化繊維基材の第1の特徴としての、スペーサ糸86の表面を凹凸させる方法については特に限定されないが、例えば2本の糸を撚り合わせる際に一方の糸をオーバーフィードさせることによりオーバーフィードさせない糸の周りにオーバーフィードさせた糸が巻き付いた形態の糸が得られ、その巻き付け糸により表面凸凹のスペーサ糸が得られる。

0185

特に表面凹凸を大きくするためには巻き付け糸を例えば20〜150texの範囲で太くすることが好ましい。また、凸凹感を鮮明に出現させるためには、予め撚り合わせる糸に50〜200ターン/mの撚りを掛けておき、同方向に50〜300ターン/m程度に撚り合わせることが好ましい。さらに、前記2本の撚り糸の上からもう1本の糸で前記撚り方向とは逆撚りを掛けることにより、先に掛けた撚りが固定されるし、撚りによる解撚トルクが作用しないので好ましい態様である。また、スペーサ糸は芯糸の周りにS方向とZ方向に巻き付けるダブルカバーリング糸であってもよく、この際にもSまたはZ方向に巻き付ける糸を太くし、さらにカバーリング加撚方向に撚りを掛けておくと最大糸幅と最小糸幅の差が大きくなり好ましいものである。なお、スペーサ糸の糸幅は、糸軸に対して直角方向の糸幅を読みとり顕微鏡で測定した際の糸幅で、本発明においては糸幅をN=100で測定した際の最大幅/最小幅比が1.2以上であることが好ましく、さらには1.5以上であることがより好ましい。

0186

また、スペーサ糸を構成する糸種はガラス繊維、炭素繊維などであってもよいがガラス繊維であると細繊度糸でも安価であるし、また殆ど吸水しないので、航空機部材に望まれるホットウェット特性が低下するようなことがなく、またカップリング処理を行うことで樹脂との接着が優れ、破壊の起点となりようなことがなく好ましいものである。スペーサ糸の繊度としては、太い方が凹凸が大きくできるので好ましいが、スペーサ糸の直径が基材の厚さより大きくなると積層した際にスペーサ糸の箇所が厚くなり隣接層が波打つ問題があり、スペーサ糸の直径と基材厚さとを実質的に等しくすることが好ましい。

0187

基材表面を平滑にするためには強化繊維糸条の断面を矩形にすることが最も好ましい。しかし、実際強化繊維糸条は円形収束されたものであるからシート状にしても楕円形となり強化繊維糸条間の厚みが薄くなるのが普通であるが、スペーサ糸の直径と基材厚さを同等にすることにより強化繊維糸条間の厚みがスペーサ糸でカバーされ積層されても各層が波打つようなことがないものである。

0188

上記理由から織物目付W(g/m2)とスペーサ糸の平均直径D(mm)が以下の関係にあることが好ましい。
D=W/(800〜1200)

0189

本発明の第3の形態に係る強化繊維基材の第2の特徴として、上記強化繊維糸条85およびスペーサ糸86が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの少なくとも片表面には樹脂材料が付着されている。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂、またはそれらの混合物である。強化繊維基材として一体化あるいはプリフォームにする際の接着性を得るためには、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を単独で用いても良いが、CAIなど耐衝撃性が要求される場合においては靭性に優れた熱可塑性樹脂が好ましい。

0190

熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニルポリカーボネイトポリアセタールポリフェニリンオキサイド、ポリフェニリンスファイド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどである。

0191

熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂ビニルエステル樹脂フェノール樹脂などである。

0192

付着量としては、2〜20重量%であることが必要であり、5〜20重量%の範囲がより好ましい。強化繊維基材として一体化を目的とする際には、出来るだけ付着量が多いことが好ましいが、20重量%を越えると、樹脂材料が強化繊維基材表面を覆ってしまうためにマトリックス樹脂が基材厚み方向に抜け難くなる問題があるため、20重量%以下であることが好ましい。

0193

一方、付着量が2重量%未満であると、形態保持が出来ないばかりか、積層時の接着が不十分となり効果が得られない傾向がある。

0194

付着形態は特に限定されないが点状であることが好ましい。点状とするためには樹脂材料を直径400μm以下の粒子状として強化繊維基材上に塗布し、加熱により粒子状の樹脂材料を軟化または溶融させて基材に付着させることが出来る。この様に、点状で付着させることにより、樹脂材料が基材全面を覆うようなことがないので、基材厚み方向へのマトリックス樹脂含浸が大きく阻害されることがないので好ましいものである。樹脂材料のガラス転移点温度は0〜100℃であることが好ましい。

0195

樹脂材料を基材に付着させる際、その樹脂のガラス転移点温度以上に加熱し、樹脂が軟化または溶融状態にせねばならないが、ガラス転移点温度が100℃以下とすることで、高温に加熱することなく付着させることが可能であるし、また積層時の接着温度も高温にする必要がないので好ましい。粘着性が必要な場合においては、できるだけガラス転移点温度が低い樹脂が好ましいが、あまりに低いと、成形体にした際の高温特性が低下する問題があり、ガラス転移点温度は0℃以上であることが好ましい。

0196

図9は、本発明の一方向強化繊維基材の別の一実施態様例を示すもので、本発明の強化繊維基材82は、前記強化繊維糸条85およびスペーサ糸86に直角方向に緯方向補助繊維糸条88が等ピッチで配向し、強化繊維糸条85およびスペーサ糸86と交錯した織物構造をなしている。

0197

このように織物構造として一体化されていることにより、取り扱い時に強化繊維糸条85およびスペーサ糸86がバラバラになるようなことがなく取り扱い性の優れた基材となる。ただし、緯方向補助繊維糸条88は強化繊維条のクリンプを出来る限り小さくする目的で、細い繊度の糸が好ましく、10tex以下であることが好ましい。更には好ましくは3tex以下である。緯方向補助繊維糸条の繊度が10texを越えると強化繊維糸条のクリンプが大きくなり、特に航空機部材に要求される圧縮強度が顕著に低下する問題がある。

0198

図10は、さらに本発明の基材の別の一実施例を示し、樹脂材料89が繊維状で分散した状態で強化繊維シート上に付着した強化繊維基材83である。繊維状で付着させることにより、繊維がランダム方向に配向するので一方向に並行した強化繊維糸条85およびスペーサ糸86の一体化を一層強固に行えるので好ましい態様である。

0199

繊維状で付着させる方法としては、一方向に並行した強化繊維糸条とスペーサ糸からなる強化繊維シート上に樹脂をメルトブローで吹き付けて付着させることが出来るし、また、メルトブローまたはカードウエッブからなる不織布を一旦作製し、前記強化繊維シートと合わせて加熱ニップローラで熱接着させてもよい。

0200

繊維状で付着させることにより、樹脂材料が強化繊維シート表面を大きく覆うことがないので、樹脂含浸の際の厚み方向へのマトリックス樹脂含浸が阻害されず、好ましい態様である。

0201

図11は、さらに本発明の基材の別の一実施例を示すもので、樹脂材料90は強化繊維糸条85あるいはスペーサ糸86と直角方向に連続した細長帯状で付着させた強化繊維基材84である。このような形で樹脂材料を付着させることにより、強化繊維糸条85およびスペーサ糸86の一体化が確実に行われ、好ましい方法である。

0202

この場合、帯状の幅は狭い方が好ましく、好ましい範囲としては1〜5mm程度である。その幅が1mm未満にすると強化繊維糸条あるいはスペーサ糸の付着力が低下し、取り扱い時に剥がれる問題がある。またその様に樹脂材料を細く付着させるためには非常に小さいノズルから吐出せねばならないため安定性に欠ける問題がある。一方、5mmを越えると、付着した箇所にマトリックス樹脂が含浸し難くなるし、また、強化繊維基材の表面を覆う面積が大きくなるために基材厚み方向への含浸性が低下する問題がある。また、帯条のピッチとしては、帯条の幅に関係するが、5〜30mm程度が好ましい。基材の形態安定、靭性付与効果からは出来るだけピッチを小さくした方が好ましいが、ピッチを5mm未満とすると樹脂材料が基材表面を覆う面積が大きくなるために基材厚み方向への樹脂含浸が低下する問題がある。一方、ピッチが30mmを越えると、基材に形態安定性が低下するし、樹脂材料が存在しない面積が大きくなり、靭性効果が発揮されない問題がある。帯状で付着させる方法としては、一方向に並行する強化繊維糸条およびスペーサ糸からなる強化繊維シートを一定速度で長手方向に走行させながら、強化繊維糸条と直角方向(シート幅方向)に樹脂吐出ノズル往復動させることにより樹脂材料を付着させることが出来る。その場合、強化繊維シートを移動させがら付着させているので樹脂材料はジグザグ状となるが、本発明はそのような付着形態も含まれるものである。

0203

そのような付着形態を解消させる方法として吐出ノズル動きにシートの移動速度を考慮して2次元的な運動を加えることによりコの字型に付着させることが出来る。

0204

図12は、本発明のスペーサ糸を説明するための一実施例であって、芯糸95の周りにカバー糸94がZ方向に巻き回し、さらにその上からカバー糸93がS方向に巻き回させたカバーリング糸92である。前述したように、カバー糸93の繊度を大きく、かつ撚りを掛けて出来るだけ集束させておくことにより、カバーリング糸92の表面凹凸が大きくなり好ましいものである。

0205

上記基材において、強化繊維糸条はマルチフィラメント糸条であり、その種類については特に限定されないが、例えばガラス繊維、ポリアラミド繊維PBO繊維PVA繊維、炭素繊維などが挙げられる。中でも炭素繊維は比強度、比弾性率に優れので、航空機構造材として好ましく用いられる。

0206

炭素繊維の中でも、JIS−R7601に準拠して測定される引張強度が4,500MPa以上、引張弾性率が250GPa以上炭素繊維であると、高靭性の成型体を得ることが出来、航空機用として好ましいものである。また、炭素繊維は繊度が太いほど製造コストが安価であることから、太い炭素繊維糸を用いることが基材のコスト面から好ましいが、基材の目付との関係において限界がある。

0207

本発明の一方向強化繊維基材における基材目付W(g/m2)と炭素繊維の繊度T(tex)において次式の関係であることが好ましい。
W=k・T1/2 但し、k=5〜15

0208

図13は、本発明に係るプリフォーム91の斜視図で、複数枚の前記一方向性強化繊維基材A1〜A7が交差積層され、樹脂材料により一体化されている。通常、複合材料において、一方向性強化繊維基材を全て同一方向に積層するケースは希で、疑似等方積層が用いられる。実際には、部材の要求特性によって積層構成が決められるものであるが、航空機一次構造材においては同一方向積層の割合が多い。本発明に係るプリフォーム91における各一方向性強化繊維基材の積層構成は特に限定されるものでなく、複合材料の要求にによって適宜選択されるものである。また、本発明の一方向性強化繊維基材と他の強化繊維基材、例えば二方向織物基材などを組み合わせてもよい。本発明に係るプリフォーム91は、それを構成する一方向性強化繊維基材のスペーサ糸の凹部の空隙部による樹脂パスにより、分厚く積層されていても、厚み方向へ容易に液状のマトリックス樹脂が含浸するので、未含浸部生じることなく複合材料を得ることが可能である。

0209

次に、本発明の複合材料(繊維強化樹脂成形体)は、上記プリフォームにマトリックス樹脂が含浸されて硬化されたものである。

0210

本発明の複合材料の製造方法としては、前記プリフォームを型内にセットし、型内を減圧した状態で液状樹脂を注入し、基材に樹脂を含浸させた後に硬化させる方法である。

0211

マトリックス樹脂としては、粘度が低い方が短時間に含浸させることができ、かかる樹脂粘度としては、注入温度において400mPa・s以下が好ましく、さらには200mPa・s以下がより好ましい。注入温度における1時間後の粘度が600mPa・s以下が好ましく、400mPa・s以下がより好ましいものである。注入温度は100℃以下であると設備面や作業面から容易にできるので好ましい。

0212

マトリックス樹脂の種類としては、熱硬化性樹脂であって、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂ビスマレイミド樹脂ベンゾオキサジン樹脂アクリル樹脂から選ばれたる少なくとも1種である。

0213

本発明の複合材料(繊維強化樹脂成形体)は航空機用部材用として使われることから靭性を付与する際には、前記樹脂にエラストマーやゴムを添加することが可能であるし、また硬化剤、触媒等の添加を行うことが出来る。

0214

以下、実施例、比較例に基づいて、本発明を説明する。なお、実施例および比較例に用いた原材料および成形方法は、次の通りである。

0215

1.強化繊維糸条:
<強化繊維糸条A>
PAN系炭素繊維、24,000フィラメント、繊度:1,030tex、引張強度:5.9GPa、引張弾性率:295GPa、破断伸度:2.0%、破壊歪エネルギー:59MJ/m3
<強化繊維糸条B>
PAN系炭素繊維、6,000フィラメント、繊度:396tex、引張強度:3.5GPa、引張弾性率:235GPa、破断伸度:1.5%、破壊歪エネルギー:26MJ/m3
<強化繊維糸条C>
PAN系炭素繊維、24,000フィラメント、繊度:1,030tex、引張強度:5.8GPa、引張弾性率:295GPa

0216

2.補助繊維糸条:
<補助繊維糸条A>
ガラス繊維、ECE225 1/0 1.0Z、繊度:22.5tex、伸度:3%以上、バインダータイプ”DP”(日東紡績(株)製)
<補助繊維糸条B>
ポリアミド66繊維、7フィラメント、繊度:1.7tex、融点:255℃、油分:0.6%
<補助繊維糸条C>
PAN系炭素繊維、1,000フィラメント、繊度:66tex、引張強度:3.5GPa、引張弾性率:235GPa、破断伸度:1.5%、破壊歪エネルギー:26MJ/m3
<補助繊維糸条D>
低融点ポリアミド繊維共重合ポリアミド繊維)、10フィラメント、繊度:5.5tex、融点:115℃

0217

3.樹脂材料:
ポリエーテルスルフォン樹脂(住友化学工業(株)製”スミエクセル”(登録商標)5003P)60重量%(主成分)と次のエポキシ樹脂組成物40重量%(副成分)とを2軸押出機にて溶融混練して相溶させた樹脂組成物を、冷凍粉砕して粒子にした。平均粒子径D50(レーザー回折散乱法を用いた(株)セイシン企業製LMS−24にて測定):115μm、ガラス転移点:92℃。

0218

エポキシ樹脂組成物−ジャパンエポキシレジン(株)製”エピコート”(登録商標)806を21重量部、日本化薬(株)製NC-3000を12.5重量部、および、日産化学工業(株)製TEPIC-Pを4重量部を、100℃で均一になるまで攪拌したもの。

0219

4.マトリックス樹脂:
次の主液100重量部に、次の硬化液を39重量部加え、80℃にて均一になる様に撹拌したエポキシ樹脂組成物。80℃におけるE型粘度計による粘度:55mPa・s、1時間後の粘度:180mPa・s、180℃で2時間硬化後のガラス転移点:197℃、曲げ弾性率(JIS−K7171):3.3GPa。

0220

主液−エポキシとして、Vantico(株)製”アラルダイト”(登録商標)MY-721を40重量部、ジャパンエポキシレジン(株)製”エピコート”825を35重量部、日本化薬(株)製GANを15重量部、および、ジャパンエポキシレジン(株)製”エピコート”630を10重量部を70℃で1時間攪拌して均一溶解させたもの。

0221

硬化液−ポリアミンとして、ジャパンエポキシレジン(株)製”エピキュア”(登録商標)Wを70重量部、三井化学ファイン(株)製3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを20重量部、および、住友化学工業社製”スミキュア”(登録商標)Sを10重量部を100℃で1時間攪拌して均一にした後に70℃に降温し、硬化促進剤として、宇部興産(株)製t−ブチルカテコールを2重量部を更に70℃で30分間攪拌して均一溶解させたもの。

0222

実施例1:
184本の上記強化繊維糸条Aをお互いに並行に引き揃え(引出工程)、1.8本/cmの密度で一方向に配列し、1m幅のシート状の強化繊維糸条群を形成した。また、補助繊維糸条Aを、お互いが並行に引き揃え、1.8本/cmの密度で、強化繊維糸条A群と同じ方向で、かつ、強化繊維糸条Aと交互に一方向に配列し、経方向補助繊維糸条群を形成した。両者を用いてシート状の経方向糸条群を形成した。次に、補助繊維糸条Bを、お互いに並行に引き揃え、3本/cmの密度で、経方向糸条群と直交する方向に配列し、上記補助繊維糸条Aと補助繊維糸条Bとを織機を用いて平織組織に交錯させ、一方向性ノンクリンプ織物を形成した。かかる一方向性ノンクリンプ織物に、粒子状の樹脂材料を、ノードソン(株)製トリボIIガンにて均一分散させながら、表面に26g/m2(14重量%)塗布し、185℃、0.3m/minの条件にて遠赤外線ヒーターを通過させ、樹脂材料を基材片表面に接着した(基材形成工程)。次いで、離型紙で挟み、160℃のプレスロールを連続的に通過させ(加圧工程)、冷却した後、ロールに巻き取った(巻取工程)。

0223

得られた強化繊維基材は、樹脂材料によって交錯点が固定されているため、基材の取扱性に優れるだけでなく、強化繊維糸条の真直性を保つことができた。また、基材の嵩は低く、平滑で、非常に取扱性に優れ、積層の自動化にたえ得るレベルのものであった。強化繊維糸条単位面積あたりの重量は190g/m2、基材の厚みは0.24mm、Vpfは44%であった。

0224

比較例1:
基材形成工程で、補助繊維糸条Aを、お互いに並行に引き揃え、3本/cmの密度で、上記強化繊維糸条A群と直交する方向に配列し、強化繊維糸条Aと補助繊維糸条Aとを、織機を用いて平織組織に交錯させ、一方向性織物を形成した点と、加圧工程を通過させなかった以外は実施例1と同様にして強化繊維基材を得た。

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