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技術 熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

出願人 三菱アルミニウム株式会社
発明者 込山慶信大堀紘一
出願日 2003年6月18日 (18年2ヶ月経過) 出願番号 2003-172872
公開日 2005年1月13日 (16年7ヶ月経過) 公開番号 2005-008926
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 側曲げ 部品強度 ダブルブリッジ法 不可避不純物中 放熱板材 冷間圧延加工率 半導体電子部品 共晶溶融
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

導電性熱伝導性成形性、強度に優れ、さらに外観品質も良好なアルミニウム合金板を得る。

解決手段

Si:0.2〜1.5%、Mg:0.2〜1.5%、Cr:0.02〜0.1%、Fe:0.3%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、不可避不純物中のTiが0.015%以下に規制されるアルミニウム合金板。導電率重視する場合、冷間圧延途中で中間焼鈍を行わずに冷間圧延し、その後、180℃超〜300℃の焼鈍を行う。強度を重視する場合、冷間圧延途中で500〜570℃の溶体化処理を行い、続いて最終冷延率5〜15%の冷間圧延後、170〜210℃の焼鈍を行う。

効果

優れた導電率と熱伝導性ならびに高い成形性能と強度が確保され、外観品質にも優れ、プラズマディスプレー電子部品などの利用に好適な材料が得られる。

概要

背景

プラズマディスプレーは、映像を映し出す映像部分電子部品集積した部分とで構成され、機能面から薄く壁にかけられる構造となっているために映像部分と電子部品は近接した構造となり、電子部品への熱的影響を最小限とする必要がある。映像を映し出す映像部分の発光機構高電圧負荷されるために発熱量が多く周囲への影響は避けられない。また、鮮明な映像を映し出すプラズマディスプレーの発熱は電気回路として機能する構造物への導電率を変化させるため、正確に調整された電子回路へのノイズの原因となるばかりでなく、使用されている半導体電子部品に重大な影響を及ぼす可能性が高い。このために映像部分の発熱から高い機能を誇る電子部品を保護する目的で、映像部分と電子部品集積部分との間に導電率と放熱効果の高い材料で製作した放熱部品を置き、映像部分の発熱を分散し局部への加熱を避ける放熱機構が必要とされる。

概要

導電性熱伝導性成形性、強度に優れ、さらに外観品質も良好なアルミニウム合金板を得る。Si:0.2〜1.5%、Mg:0.2〜1.5%、Cr:0.02〜0.1%、Fe:0.3%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなり、不可避不純物中のTiが0.015%以下に規制されるアルミニウム合金板。導電率を重視する場合、冷間圧延途中で中間焼鈍を行わずに冷間圧延し、その後、180℃超〜300℃の焼鈍を行う。強度を重視する場合、冷間圧延途中で500〜570℃の溶体化処理を行い、続いて最終冷延率5〜15%の冷間圧延後、170〜210℃の焼鈍を行う。優れた導電率と熱伝導性ならびに高い成形性能と強度が確保され、外観品質にも優れ、プラズマディスプレー、電子部品などの利用に好適な材料が得られる。 なし

目的

本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、熱伝導率、導電率、強度を確保するとともに、プレス成形性能と曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
6件

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請求項1

質量%で、Si:0.2〜1.5%、Mg:0.2〜1.5%、Cr:0.02〜0.1%、Fe:0.3%以下を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物中のTiが0.015%以下に規制され、かつ導電率が50%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上であることを特徴とする熱伝導性成形性に優れたアルミニウム合金板

請求項2

さらに、Cu:0.01〜1%を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板。

請求項3

電気電子部品用放熱板または筐体に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板。

請求項4

請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金熱間圧延後、冷間圧延途中で中間焼鈍を行わずに最終板厚まで冷間圧延し、該冷間圧延後、180℃超〜300℃に加熱する焼鈍を行って、導電率が53%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上であるアルミニウム合金板を得ることを特徴とする熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。

請求項5

請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延後、冷間圧延途中で500〜570℃の溶体化処理を行い、続いて最終冷延率5〜15%の冷間圧延後、170〜210℃に加熱する焼鈍を行って、導電率が50%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上、耐力が200MPa以上であるアルミニウム合金板を得ることを特徴とする熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、プラズマディスプレーなどの電子映像部品パソコンなどの電子部品一般家庭用電化製品部品などに好適であり、特に放熱板筺体としての使用に好適な、熱伝導性成形性に優れたアルミニウム合金板および該アルミニウム合金板の製造方法に関するものである。

0002

プラズマディスプレーは、映像を映し出す映像部分と電子部品が集積した部分とで構成され、機能面から薄く壁にかけられる構造となっているために映像部分と電子部品は近接した構造となり、電子部品への熱的影響を最小限とする必要がある。映像を映し出す映像部分の発光機構高電圧負荷されるために発熱量が多く周囲への影響は避けられない。また、鮮明な映像を映し出すプラズマディスプレーの発熱は電気回路として機能する構造物への導電率を変化させるため、正確に調整された電子回路へのノイズの原因となるばかりでなく、使用されている半導体電子部品に重大な影響を及ぼす可能性が高い。このために映像部分の発熱から高い機能を誇る電子部品を保護する目的で、映像部分と電子部品集積部分との間に導電率と放熱効果の高い材料で製作した放熱部品を置き、映像部分の発熱を分散し局部への加熱を避ける放熱機構が必要とされる。

0003

Al−Si−Mg合金合金成分により、その材料の性能に大きく及ぼすために要求性能に合わせ自動車用外板材料として広く利用されている。また、Al−Si−Mg合金の特徴として圧延条件熱処理条件を調整することにより高い導電率が確保できることが非特許文献1や特許文献1、2に示されている。このような高い導電率に着目して電線ブスバーにAl−Si−Mg合金が使用されている。さらに最近では導電率の高い材料は同時に高い熱伝導性が確保されることから上記したプラズマディスプレーの放熱板材料としてAl−Si−Mg合金が広く利用されている。導電率と熱伝導率は、図1に示すように高い相関を示し、導電率の高い材料は熱伝導性が高い材料と言うことが出来る。すなわち、導電率の高いAl−Si−Mg合金は、これら電子部品集積部に対し、映像部分の発熱を遮蔽し、拡散するための放熱部材としては最も適した材料といえる。

背景技術

0004

【非特許文献1】
“最近の導電用アルミニウム合金について”、住友電気技報、昭和53年1月発行、第112号
【特許文献1】
特開2000−226628号公報
【特許文献2】
特開2000−87198号公報

0005

上記のような放熱部材には、優れた導電率と熱伝導率と同時に、映像部分と電子部品の集積部分との中間に位置するため構造部材としての機能が要求され、強度と成形性が放熱部品の必要な条件となる。
しかし、現在、これらプラズマディスプレー用の部品に使用されている放熱板用材料は導電率の向上と強度の確保に重点が置かれ、部品形状を確保する量産性に優れたプレス成形性との両立は十分でなく、形状を決める上で大きな制約条件となっている。特にプレス成形時の予ひずみ導入後の曲げ加工では曲げ外周部分に割れ発生が避けられず周囲の形状にはなじまない大きな曲げ半径で曲げ加工する必要があった。また、強度の確保は電子機器等に組み込んだ後構造物としての強度、さらに衝突等によるきず、変形防止等の機能が必要であり、強度面を重視した場合にも熱伝導性、導電率に優れ、且つ成形性と高い強度が確保できる軽量なAl−Si−Mg合金の開発が待たれている。
また、従来、Ai−Si−Mg合金の成形後の外観品質を確保する上で鋳造時にTi或いはTi−Bを結晶粒径微細化剤として使用している。しかし、これらの微細化剤の添加は導電率低下に大きく影響することが明らかになった。しかし、外観品質の維持も重要であり、導電率の低下を招くことなく外観品質を確保することも求められている。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、熱伝導率、導電率、強度を確保するとともに、プレス成形性能と曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを基本的な目的とする。さらに導電率の低下を招くことなく外観品質を確保することができるアルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。

0007

上記課題を解決するため本発明の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板のうち、請求項1記載の発明は、質量%で、Si:0.2〜1.5%、Mg:0.2〜1.5%、Cr:0.02〜0.1%、Fe:0.3%以下を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物中のTiが0.015%以下に規制され、かつ導電率が50%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上であることを特徴とする。

0008

請求項2記載の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の発明は、請求項1記載の発明において、さらに、Cu:0.01〜1%を含有することを特徴とする。

0009

請求項3記載の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の発明は、請求項1または2に記載の発明において、電気・電子部品用の放熱板または筐体に用いられることを特徴とする。

0010

請求項4記載の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法の発明は、請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金熱間圧延後、冷間圧延途中で中間焼鈍を行わずに最終板厚まで冷間圧延し、該冷間圧延後、180℃超〜300℃に加熱する焼鈍を行って、導電率が53%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上であるアルミニウム合金板を得ることを特徴とするアルミニウム合金板の製造方法。

0011

請求項5記載の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法の発明は、請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延後、冷間圧延途中で500〜570℃の溶体化処理を行い、続いて最終冷延率5〜15%の冷間圧延後、170〜210℃に加熱する焼鈍を行って、導電率が50%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上、耐力が200MPa以上であるアルミニウム合金板を得ることを特徴とする。

0012

なお、本発明のアルミニウム合金板を発明するに際し、Ai−Si−Mg合金の導電率と熱伝達性を確保するための合金成分に着目し検討を行なった結果、スラブ鋳造時に行なうTiまたはTi−Bの結晶粒微細化剤の添加が導電率を阻害する原因であることを明らかにした。本発明のアルミニウム合金板では、結晶粒径の微細化は成形加工の際の肌荒れの発生を抑制するために必要な性質であるため、Tiに替わるものとしてCr微量添加による結晶粒径の微細化を行い、導電率、熱伝導性、成形性に優れた特性を得ている。

0013

また、本発明の製造方法は、溶体化処理の負荷は強度向上には有効になるものの導電率低下は避けられないことから、冷間圧延中間工程における溶体化処理と最終低温焼鈍組み入れることにより高い導電率と強度が確保できることを見出すことにより完成した。成形性の確保には、冷間圧延加工率冷延率)を最適に調整することで安定した成形性能の確保が可能になり、高い導電率、熱伝導性に優れ、成形性、強度を備えた電子機器や放熱板用に適した材料を得ることができる。

0014

また、導電率は圧延率、熱処理条件の影響を強く受けることから、強度、成形性を確保する上で熱処理条件を最適に調整する必要があり、本発明の他の製造方法では、冷間圧延工程の中間に溶体化処理を組み入れ、強度を確保すると同時に溶体化処理後冷間圧延率を15%以下に調整するものとしてプレス成形などの加工性と強度、導電率に優れたAl−Mg−Si系合金の製造を可能にした。
なお、上記2つの製造方法は、導電率を重視する場合と強度を重視する場合とにおいて適宜に選択することができる。

0015

合金成分他
次に、本発明のアルミニウム合金板およびその製造方法で規定する合金成分と結晶粒径について説明する。

0016

Si:0.2〜1.5%
SiとMgは、この合金の強度、成形性、導電率などの特性を確保する上で重要な成分になる。Si量Mg量とのバランスで成形後の部品強度を確保するが1.5%を超える範囲では特に導電率への影響が大きく、また曲げ加工性を阻害する要因になる。一方、Si量が0.2%未満であると成形後の強度不足の原因となる。したがってSi量を0.2〜1.5%の範囲内とする。なお、同様の理由で下限を0.4%、上限を1.1%とするのが望ましい。

0017

Mg:0.2〜1.5%
Mgは引張強さを向上させプレス成形における割れ限界を向上させ、部品強度を確保する上で有効な成分になる。Mg含有量の向上は強度向上に有効になるが1.5%を超える範囲では特に導電率の大きな阻害要因となる。また0.2%を下回る添加では強度の確保が難しい。したがって、Mg含有量を0.2〜1.5%の範囲内とする。なお、同様の理由で下限を0.4%、上限を0.8%とするのが望ましい。

0018

Cr:0.02〜0.1%
Crの微量添加は結晶粒径の微細化に有効であり、Ti、Ti−Bの微細化効果に匹敵する効果が期待できる。ただし、0.1%を超えると導電率に影響する可能性があり、成形性への障害となる。また、0.02%未満では結晶粒径の微細化効果は期待できない。したがって、Cr含有量を0.02〜0.1%の範囲内とする。なお、同様の理由で下限を0.04%、上限を0.06%とするのが望ましい。

0019

Ti:0.015%以下
前述したようにTiの含有は導電性の大きな阻害要因になり、良好な導電性、熱伝導性確保が困難になるため、無添加もしくはできるだけ含有量を少なくする必要があり、0.015%以下に規制する。すなわち、鋳塊鋳造時に結晶粒径の微細化を目的としたTiおよびTi−Bの微細化剤としての使用は避けるか極力少なくするのが望ましい。その結果としてTi含有量を0.015%以下に規制することができる。また、同様の理由でTi含有量を0.005%未満とするのが望ましい。Ti,Ti−Bの微細化処理なしでは熱間圧延後の圧延組織は粗いものとなり、冷間圧延および調質焼鈍後の成形性に悪影響を及ぼすが、前述したようにCrの適量添加によってこのような問題の発生は避けている。

0020

Fe:0.3%以下
Feは、結晶粒径の微細化効果が期待できるが0.3%を超えると成形性への阻害要因となる。したがってFe含有量は0.3%以下とする。なお、上記作用を十分に得るためには、Fe含有量は0.2%以上とするのが望ましい。

0021

Cu:0.01〜1%
Cuは、強度と成形性を確保するため所望により含有させる。ただし、1%を越えると成形性及び導電率低下要因となり、0.01%未満では上記作用を十分に得られない。したがって、Cu含有量を0.01〜1%の範囲内とする。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.2%とするのが望ましい。

0022

Mn:0.1%以下
Mnの添加はFe,Crと鋳造時に初晶を発生させる場合があるが鋳造条件を十分管理することにより解消でき、0.1%以下でも結晶粒径の微細化効果が期待できる。したがって、所望によりMnを0.1%以下含有させる。なお、上記作用を十分に得るためには、Mn含有量は0.04%以上とするのが望ましい。

0023

製造条件
(導電率重視の場合)
1.冷間圧延中の中間焼鈍を行わない。
冷間圧延中の中間焼鈍は、結晶粒径の粗大化と強度不足原因となる可能性があり、また生産性への問題があるために強度及び成形性を重視する場合には、冷間圧延中の中間焼鈍は行わないものとする。

0024

2.冷間圧延後焼鈍(180℃超〜300℃)
冷間圧延後の焼鈍を行うことにより、導電率と成形加工性を確保する。この際の加熱温度が180℃以下であると充分な導電率、曲げ加工性の向上の効果が得られず、300℃を越えると強度が低下するため、この焼鈍での加熱温度は180℃超300℃以下とする。なお、同様の理由で下限温度を180℃超、上限温度を240℃とするのが望ましい。なお、焼鈍は例えば10時間以下で行うことができる。
上記製造方法により得られたアルミニウム合金板は、導電率が53%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上の特性を得ることができる。

0025

製造条件
(強度重視の場合)
1.冷間圧延途中での溶体化処理(500〜570℃)
最終板厚から換算し、5〜15%の冷延率を残して溶体化処理を施す。このときの溶体化処理条件は500℃〜570℃の温度範囲とする。溶体化処理温度が500℃未満であると、充分な溶体化処理効果は得られず、また、570℃を越える温度では共晶溶融が発生する。また、同様に理由で下限を540℃、上限を570℃とするのが望ましい。溶体化処理後は、例えば空冷または水冷により5℃/sec以上の冷却速度焼入れを行なう。冷却速度が5℃/sec未満では焼き入れ効果が十分に得られない。溶体化処理によって溶質原子の固溶量が多くなり、最終の焼鈍工程で時効による強度を向上させる事が出来る。

0026

溶体化処理後、冷延率5〜15%の冷間圧延を行う。該圧延の目的は、主に導電率と強度の確保にあり、圧延率5%未満では溶体化処理により低下した導電率の改善は充分得られず、強度も200MPaを下回るものとなる。15%を超える圧延では成形加工性の障害となる。したがって、溶体化処理後の冷延率は5〜15%の範囲内にあるようにする。

課題を解決するための手段

0027

2.冷間圧延後焼鈍(170〜210℃)
冷間圧延を行なった後に焼鈍を行い析出による強度の向上と同時に導電率と成形加工性を確保する。焼鈍温度170℃未満では充分な曲げ加工性能は得られず、210℃を超える条件では導電率の向上は得られるものの強度の低下は避けられない。したがって、この焼鈍での加熱温度は170〜210℃とする。

0028

以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明に用いるアルミニウム合金は、所定の成分となるように調整して常法により溶製することができ、本発明としては溶製に至る工程が特に限定されるものではない。ただし、鋳造時には、鋳塊の微細化のためにTiまたはTi−Bの結晶粒微細化剤の添加を避けるか添加量を少なくしてTi含有量が0.015%を越えないようにする。

0029

上記で溶製されるアルミニウム合金は熱間圧延され、さらに冷間圧延を繰り返し所定の板厚のアルミニウム合金板とする。
上記で得られた鋳塊は、熱間圧延に先立って均質化処理を行うのが望ましい。均質化処理は540℃〜560℃の温度範囲で4hr以上20hr以下の条件で行うことができる。該条件は、鋳造時の合金成分を均一に分散させることを目的に定められる。

0030

続く熱間圧延は圧延温度による成形性を確保するために圧延中の温度は、480℃〜550℃とすることができる。熱間圧延温度480℃未満では圧延荷重が高く、圧延中の耳割れの原因になり、550℃を超える温度では圧延ロール表面への焼きつきを発生させる。そして、熱間圧延では、圧延後の材料温度が250℃〜350℃になるように調整し行うのが望ましい。
その後、冷間圧延により所定の板厚とする。強度を重視する場合には、上記のように冷間圧延中に5〜15%の冷延率を残して500〜570℃の温度で溶体化処理を施す。なお、導電率を重視する場合には、冷間圧延中の焼鈍を行わない。
冷間圧延後には、導電率と成形加工性を確保するために、バッチ式焼鈍炉、または連続焼鈍炉により焼鈍を行う。この焼鈍における加熱温度は、導電率を特に重視するか、強度を特に重視するかによって異なり、導電率を特に重視する場合には、180℃超300℃以下で焼鈍を行って53%IACS以上の導電率と良好な成形性を確保する。一方、特に強度を重視する場合には、170℃〜210℃の焼鈍を行って、200MPa以上の強度と50%IACS以上の導電率と良好な成形性を確保する。
得られたアルミニウム合金板は、特定の用途での使用に限定されるものではないが、好適には電子映像部品、電子部品、一般家庭用電化製品部品などに使用され、特にこれら用途における放熱板、筺体としての使用に適している。

0031

【実施例】
以下に本発明の実施例を比較例と対比しつつ説明する。
実施例1
半連続鋳造により表1に示す合金成分で厚さ44mm、幅250mm、長さ400mmのスラブを鋳造し、560℃×8hrの均質化処理後、面削片面5mmを行なった。面削後510℃まで加熱を行い熱間圧延にて厚さ7.0mm(圧延後温度300℃)の板材を得、さらに冷間圧延により厚さ1.0mm×幅180mmの板材を製作した。これをマッフル炉により加熱温度を変えて4時間の焼鈍処理を行ない、上記で得られた試験材についてJISH4000に定める5号試験片を圧延方向と平行に採取し、引張強さ、耐力、伸び率を測定した。また、成形性については圧延方向と平行に採取した幅20mmの試験片を用い、内側曲げ半径0.5mm、180°曲げを行い、試験後の曲げ外周面の割れ、肌荒れの状況を目視で1〜5の5段階の評価を行なった。すなわち、以下の評価基準によって判定した。
評価1: 良好な外周面
評価2: 微かに外周面に肌荒れを観測
評価3: 肌荒れの発生(合格
評価4: 微かにネッキングの発生
評価5: ネッキング、割れの発生
また、導電率の測定は圧延方向と平行に板厚×幅10mm×長さ550mmの試験片を採取し、ダブルブリッジ法により比抵抗を測定し、純銅比抵抗値を100として導電率を算出した。上記各試験結果は、表2に示した。

0032

表2に示した発明例では、190℃以上の焼鈍処理でいずれも純アルミニウム合金1100−H24を超える高い導電率(53%IACS以上)を確保することができ、強度、曲げ加工性においても優れた特性が確保された。一方、比較例の供試材は、導電率や強度、曲げ加工性のいずれかにおいて明らかに劣っている。また、発明用合金を用いて比較条件によって製造した比較条件例の供試材は、一部において焼鈍温度が低いことによって充分な曲げ加工性が得られなかった。また、焼鈍温度が350℃になると、結晶粒径の粗大化により肌アレの発生が顕在化した。

0033

【表1】

0034

【表2】

0035

実施例2
半連続鋳造により表3および表1の一部に示す合金成分で厚さ44mm、幅250mm、長さ400mmのスラブを鋳造し、560℃×8hrの均質化処理後、面削片面5mmを行なった。面削後510℃まで加熱を行い熱間圧延にて厚さ7.0mmの板材を得、冷間圧延により厚さ1.05〜1.2mm×幅180mmの板材を製作した。これを加熱速度5℃/min以上で昇温させ、560℃×40secの溶体化処理後、5℃/sec以上の冷却速度で焼入れを行なった。再び冷間圧延により厚さ1.00mm×幅180mm×Lの板材を得た。圧延後、マッフル炉により加熱温度を変えて4hrの焼鈍処理を行ない試験材とした。上記で得られた試験材についてJISH4000に定める5号試験片を圧延方向と平行に採取し、引張強さ、耐力、伸び率を測定した。また、成形性については圧延方向と平行に採取した幅20mmの試験片を用い内側曲げ半径0.5mm、180°曲げを行い、試験後の曲げ外周面の割れ、肌荒れの状況を目視で1〜5の5段階の評価を行なった。なお、表中の数値はn=2での評価の平均値で示した。導電率の測定は圧延方向と平行に板厚×幅10mm×長さ550mmの試験片を採取し、ダブルブリッジ法により比抵抗を測定し、純銅の比抵抗値を100として導電率を算出した。

0036

表4に示した発明例では180℃以上の焼鈍処理でいずれも高い導電率と耐力200MPa以上を有し、曲げ試験により高い成形性能が確保できることを確認した。一方、比較条件によって製造された比較条件例では、導電率、強度、曲げ加工性のいずれかにおいて劣っていた。

0037

【表3】

発明を実施するための最良の形態

0038

【表4】

0039

以上説明したように、本発明の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板によれば、質量%で、Si:0.2〜1.5%、Mg:0.2〜1.5%、Cr:0.02〜0.1%、Fe:0.3%以下を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物中のTiが0.015%以下に規制され、かつ導電率が50%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上であるので、優れた導電率と熱伝導性ならびに高い曲げ成形性能が確保され、プラズマディスプレー、電子部品などの利用に大きく貢献することができる。

発明の効果

0040

さらに本発明の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法の1つによれば、本発明のアルミニウム合金板記載の組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延後、冷間圧延途中で中間焼鈍を行わずに最終板厚まで冷間圧延し、該冷間圧延後、180℃超〜300℃に加熱する焼鈍を行うので、導電率が53%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上であり、特に導電性に優れるアルミニウム合金板を得ることができる。

図面の簡単な説明

0041

また、本発明の他の熱伝導性と成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法によれば、本発明のアルミニウム合金板記載の組成を有するアルミニウム合金を熱間圧延後、冷間圧延途中で500〜570℃の溶体化処理を行い、続いて最終冷延率5〜15%の冷間圧延後、170〜210℃の焼鈍を行うので、導電率が50%IACS以上、熱伝導率が200w/m・K以上、耐力が200MPa以上であり、特に強度に優れるアルミニウム合金板を得ることができる。

図1
導電率と熱伝導率との相関関係を示すグラフである。

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