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技術 抗原の免疫原性を高める方法本発明に関する研究は、NationalInstitutesofHealthからLancell,LLCへの助成金により一部支援されたものであり、したがって、米国政府は本発明のある特定の権利を有する。

出願人 トレイパインズインスティチュートフォーモレキュラースタディーズ
発明者 カウイング,キャロルオー.
出願日 2002年2月13日 (18年0ヶ月経過) 出願番号 2002-573039
公開日 2004年8月19日 (15年6ヶ月経過) 公開番号 2004-525131
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 一次ラン 空洞化現象 指定間隔 勾配付き 電場パルス 熱的効果 最短間隔 二次流
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図面 (14)

課題・解決手段

本発明は、抗原またはそれらの一部を哺乳動物に導入することと、リンパ系器官における抗原提示を高める処置を哺乳動物に施すこととにより、哺乳動物における抗原の免疫原性を高める方法に関する。

概要

背景

原則として、適応免疫応答は、ほとんど任意の非自己物質に対して防御免疫性を提供することができる。この広大潜在能力にも関わらず、病原体に対する免疫性誘導により制御され得る無数感染性作用物質腫瘍および疾患過程を考えた場合、現在たった数十個の有効なワクチンが存在するにすぎない。ワクチンの有効性を決定するには、2つの要因:1)防御免疫性を付与することが可能な抗原エピトープの使用、および2)免疫原性、またはワクチンに含有される抗原に対する免疫応答を誘導する、ワクチンの能力関与する。ここ十年のうちに、抗原の免疫原性は、樹状細胞による抗原の提示に大いに依存することがますます明らかになってきた。

概要

本発明は、抗原またはそれらの一部を哺乳動物に導入することと、リンパ系器官における抗原提示を高める処置を哺乳動物に施すこととにより、哺乳動物における抗原の免疫原性を高める方法に関する。

目的

原則として、適応免疫応答は、ほとんど任意の非自己物質に対して防御免疫性を提供する

効果

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請求項1

有効な用量の抗原またはその1または複数のエピトープ哺乳動物に導入すること、およびリンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加するのに十分な量で、局所処置を該哺乳動物に施すことを含む、哺乳動物に抗原に対してワクチン接種する方法であって、該抗原を導入すること、および該処置を施すことは、任意の順序で、独立して行われる方法。

請求項2

前記局所処置は、角質層を通過することが可能で、かつ未熟樹状細胞を排出リンパ系器官に遊走させることが可能な親油性分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記親油性分子は、下記式(式中、R1およびR2は、独立して、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニルであり、R3、R3’、R4、およびR4’は、独立して、水素原子ヒドロキシ基ハロゲノ基、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキルフェニル置換フェニルナフチル、および置換ナフチルからなる群から選択され、Xは、酸素または窒素原子であり、Wは、C1〜C10アルキル、C1〜C10置換アルキル、C7〜C10フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、C3〜C7シクロアルキル、およびC3〜C7置換シクロアルキル基から構成される飽和または不飽和鎖であり、かつ該鎖の各末端は、炭素C(R3R3’)およびC(R4R4’)に結合される)から選択される、請求項2に記載の方法。

請求項4

Wは、窒素硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を、組み合わせてまたは独立して含む、請求項3に記載の方法。

請求項5

R1およびR2基は同一のC1〜C6アルキル部分である、請求項3に記載の方法。

請求項6

R1およびR2は(CH2)3−CH3である、請求項3に記載の方法。

請求項7

Xは酸素であり、R3およびR4は、結合してW鎖を含む環構造を形成しており、該環構造は、飽和もしくは不飽和のC3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、または置換ナフチルを含む、請求項3に記載の方法。

請求項8

前記環構造はアリール基である、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記環構造は、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、請求項7に記載の方法。

請求項10

前記親油性分子はテルペンを含む、請求項3に記載の方法。

請求項11

請求項12

前記親油性分子は500ダルトン以下である、請求項2に記載の方法。

請求項13

前記親油性分子は油/水分配係数が1より大きい、請求項2に記載の方法。

請求項14

前記親油性分子は油/水分配係数がほぼ10〜ほぼ106である、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記局所処置は有機溶媒をさらに含む、請求項2に記載の方法。

請求項16

前記有機溶媒はアセトンである、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記局所処置は超音波エネルギー印加を含む、請求項1に記載の方法。

請求項18

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、ウイルス、細菌、真菌、または寄生虫により、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項19

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、経口摂取により、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項20

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、角質層を破壊することにより、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項21

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、注射により、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項22

前記注射は、表皮内真皮内、皮下、筋内、血管内注射、または特定の器官への注射からなる群から選択される経路により行われる、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、気道尿生殖路、または胃腸管の少なくとも一部へ送達することにより、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項24

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、前記抗原またはその1または複数のエピトープを含む細胞移入することにより、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項25

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、前記哺乳動物内の細胞を形質転換し、かつ該形質転換細胞が前記抗原またはその1または複数のエピトープを発現することにより、前記哺乳動物に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項26

前記形質転換は、前記抗原またはその1または複数のエピトープをコードする核酸を移入することにより誘導される、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、前記哺乳動物にとって内因性であり、かつ正常であるか、または病原性である、請求項1に記載の方法。

請求項28

前記局所処置の量は、未処置哺乳動物に常在する樹状細胞の数のほぼ2〜ほぼ1000倍に、前記リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分である、請求項1に記載の方法。

請求項29

前記リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数は、未処理哺乳動物に常在する樹状細胞の数のほぼ5〜ほぼ100倍に増加される、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記局所処置の量は、樹状細胞の遊走および成熟を誘導する内因性物質の局部放出を増加させるのに十分であることをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項31

前記局所処置の量は、接着分子原形質膜発現または機能を変更させるのに十分であることをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項32

抗原またはそれらのエピトープの長期発現を誘導するように適応させた発現ベクターを哺乳動物に導入すること、および該抗原が発現される期間中、該哺乳動物に局所処置を施すことを含む、哺乳動物において抗原に対して免疫化する方法であって、該局所処置は、排出リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加するのに十分な量で施される方法。

請求項33

前記抗原またはその1または複数のエピトープは、該哺乳動物にとって内因性である、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記局所処置は、前記抗原が発現されている期間中、定期的に繰り返し施される、請求項32に記載の方法。

請求項35

前記局所処置は、角質層を通過することが可能で、かつ未熟樹状細胞を排出リンパ系器官に遊走させることが可能な親油性分子を含む、請求項32に記載の方法。

請求項36

前記親油性分子は、下記式(式中、R1およびR2は、独立して、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニルであり、R3、R3’、R4、およびR4’は、独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、および置換ナフチルからなる群から選択され、Xは、酸素または窒素原子であり、Wは、C1〜C10アルキル、C1〜C10置換アルキル、C7〜C10フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、C3〜C7シクロアルキル、およびC3〜C7置換シクロアルキル基から構成される飽和または不飽和鎖であり、かつ該鎖の各末端は、炭素C(R3R3’)およびC(R4R4’)に結合される)から選択される、請求項35に記載の方法。

請求項37

Wは、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を、組み合わせてまたは独立して含有する、請求項36に記載の方法。

請求項38

R1およびR2基は同一のC1〜C16アルキル部分である、請求項36に記載の方法。

請求項39

R1およびR2は(CH2)3−CH3である、請求項36に記載の方法。

請求項40

Xは酸素であり、R3およびR4は、結合してW鎖を含む環構造を形成しており、該環構造は、飽和もしくは不飽和のC3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、または置換ナフチルを含む、請求項36に記載の方法。

請求項41

前記環構造はアリール基である、請求項36に記載の方法。

請求項42

前記環構造は、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、請求項36に記載の方法。

請求項43

前記親油性分子はテルペンを含む、請求項35に記載の方法。

請求項44

前記親油性分子は、フタル酸ジブチル、D−酒石酸ジブチル、N,N−ジエチル−トルアミド、フマル酸ジブチル、フマル酸ジ(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジイソオクチル、マレイン酸ジエチルヘキシル、フマル酸ジイソオクチル、安息香酸、マレイン酸ビフェニル、フタル酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジオクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジベンジルブチル、フタル酸ジエチルメチル、およびショウノウからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。

請求項45

前記親油性分子は500ダルトン以下である、請求項35に記載の方法。

請求項46

前記親油性分子は油/水分配係数が1より大きい、請求項35に記載の方法。

請求項47

前記親油性分子は油/水分配係数がほぼ10〜ほぼ106である、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記局所処置は有機溶媒をさらに含む、請求項35に記載の方法。

請求項49

前記有機溶媒はアセトンである、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記局所処置は超音波エネルギーの印加を含む、請求項32に記載の方法。

請求項51

有効な用量の抗原またはその1または複数のエピトープを哺乳動物に注射すること、および排出リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加するのに十分な量で、該哺乳動物に局所処置を施すことを含む、哺乳動物に抗原に対してワクチン接種する方法であって、該局所処置は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性分子を含む方法。

請求項52

500ダルトン以下の分子量を有する親油性化合物を哺乳動物に繰り返し局所塗布することを含む、内因性抗原に対する哺乳動物における免疫応答を高める方法であって、該親油性分子は、リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で塗布される方法。

請求項53

前記内因性抗原は腫瘍抗原である、請求項52に記載の方法。

請求項54

抗原またはその1または複数のエピトープをコードするDNAまたはRNAを含む核酸ワクチンを哺乳動物に送達すること、およびリンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で、該哺乳動物に局所処置を施すことを含む、哺乳動物を抗原に対してワクチン接種する方法であって、該局所処置は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性分子を含む方法。

請求項55

効用量の抗原またはその1または複数のエピトープを哺乳動物に提供すること、およびリンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で、該哺乳動物に処置を内部的に施すことを含む、哺乳動物を抗原に対してワクチン接種する方法。

請求項56

前記処置を内部的に施すことは、注射、器官への送達、および胃腸管、気道、または尿生殖路への送達からなる群から選択される経路により行われる、請求項55に記載の方法。

請求項57

前記処置は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性分子、または低周波超音波エネルギーを含む、請求項55に記載の方法。

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0001

原則として、適応免疫応答は、ほとんど任意の非自己物質に対して防御免疫性を提供することができる。この広大潜在能力にも関わらず、病原体に対する免疫性誘導により制御され得る無数感染性作用物質腫瘍および疾患過程を考えた場合、現在たった数十個の有効なワクチンが存在するにすぎない。ワクチンの有効性を決定するには、2つの要因:1)防御免疫性を付与することが可能な抗原エピトープの使用、および2)免疫原性、またはワクチンに含有される抗原に対する免疫応答を誘導する、ワクチンの能力関与する。ここ十年のうちに、抗原の免疫原性は、樹状細胞による抗原の提示に大いに依存することがますます明らかになってきた。

0002

樹状細胞は、これまでに同定された最も強力な抗原提示細胞であるだけでなく、一次免疫応答におけるナイーブ(以前に刺激されていない)T細胞活性化することができる唯一の提示細胞であるようである(Banchereau and Steinman 1998 Nature 392:245-252)。ナイーブT細胞の活性化は、ワクチンが完全T細胞免疫性および最適抗体応答を示すためのものである場合に必要である。樹状細胞は、ナイーブT細胞を活性化するのに必要なリガンド(すなわち、MHCペプチド複合体共刺激分子、および細胞間接着分子)を高レベル発現することに起因してこの能力を有する(Sprent 1999 J. Immunol. 163:4629-4636)。

0003

ワクチン開発に関する問題は、樹状細胞が希少であることである。樹状細胞は、二次リンパ系器官ではおよそ1/400個、白血球の1/500個、およびたいていの非リンパ系器官では1/1000個未満の細胞を含む。樹状細胞の希少性は、任意の単一抗原エピトープ、またはMHC:ペプチド複合体に応答することができるナイーブT細胞が低頻度(1/105〜1/104であると推定される)であることによりさらに高まる(Mason 1998 Immunol. Today 19:395-404)。したがって、免疫応答の誘導は、免疫性の発達に対して作用するような別の希少細胞と後に相互作用しなくてはならないある希少細胞に到達する抗原に依存する。

0004

ナイーブT細胞は、血流によりリンパ節を連続的に再循環する(Gretzet al. 1996 J. Immunol. 157:495-499)一方で、未熟樹状細胞は、非リンパ系器官に比較的安定に常在(resident)している(Cowing and Gilmore 1992 J. Immunol. 148:1072-1079)。未熟樹状細胞は、低レベルの表面MHCおよび共刺激分子を発現し、したがって、T細胞活性化の弱い刺激因子にすぎない。しかしながら、これらの細胞は、活発飲細胞および食細胞であり、それらが潜在的病原体の存在に関してそれらの環境をサンプリング(sample)することを可能とする。適切な刺激に暴露されると、未熟樹状細胞は動員される。局部組織特異的接着分子ダウンレギュレートされ、細胞が組織から分離され、輸入リンパ管を介して流入領域リンパ節へと遊走することが可能となる(Banchereau and Steinman 1998 Nature 392:245-252)。

0005

樹状細胞がリンパ節へ遊走する間に、未熟樹状細胞は、「成熟」して、T細胞を活性化する強力な誘導物質になる。成熟は、1)飲作用および食作用ダウンレギュレーション、および2)環境から最近取り込んだタンパク質に新たに由来するペプチドをロード(load)したMHC分子表面発現の増加を特徴とする。共刺激分子および細胞間接着分子の発現は、成熟中にアップレギュレートされる一方で、ケモカイン受容体発現様式が変更され、遊走している樹状細胞が流入領域リンパ節の皮質傍T細胞リッチ領域への正確な経路をたどることを可能にする(Banchereau adn Steinman 1998 Nature 392:245-252)。常在しているそれらの組織から局所リンパ節へと遊走するように誘導されると、成熟な抗原保有樹状細胞は、リンパ球循環プールに存在する抗原特異的ナイーブT細胞に遭遇するように配置される。

0006

ランゲルハンス細胞は、おそらく最もよく研究された未熟樹状細胞であり、非リンパ系器官における未熟樹状細胞のプロトタイプとなる。ランゲルハンス細胞は、皮膚および粘膜表皮層に存在し、そこではランゲルハンス細胞は、他の非リンパ系器官で見られる未熟樹状細胞よりも高頻度(すなわち、1〜2%)で存在する。ランゲルハンス細胞は、同種親和性接着分子E−カドヘリン(cadherin)を介して、隣接するケラチノサイトに結合されている(Udey 1997 Clin. Exp. Immunol. 107 (Suppl. 1): 6-8)。ランゲルハンス細胞が可動性となるには、この結合は弱められなくてはならない。未熟樹状細胞を動員することが知られているシグナル(例えば、IL−1、TNF−α、およびLPS)は、ランゲルハンス細胞様樹状細胞上のE−カドヘリンの発現をも減少させることが知られており、E−カドヘリンによる媒介性接着の低下を誘導する(Jakob and Udey 1998 J. Immunol. 160:4067-4073)。ひとたび周辺ケラチノサイトから放出されると、ランゲルハンス細胞は、表皮基底膜から真皮へ通り過ぎて、輸入真皮リンパ管侵入し、皮膚流入領域リンパ節へと遊走する。上記に詳述したように、この遊走中に、ランゲルハンス細胞は成熟して、非常に高レベルの表面MHC、共刺激および接着細胞を獲得し、ナイーブT細胞を誘引するケモカインを発現し始める(Banchereau and Steinman 1998 Nature 392:245-252)。いったん流入領域リンパ節中に存在すると、ランゲルハンス細胞は、数日間そこに残存した後、消滅する(Ruedl et al. 2000 J. Immunol. 165:4910-4916)。

0007

成熟抗原保有樹状細胞がリンパ節中のナイーブT細胞に遭遇し、それを活性化するかどうかは、3つの要因:1)節に侵入する抗原保有樹状細胞の数、2)樹状細胞の膜上で発現されるMHC:ペプチド複合体の密度、および3)再循環プール中の抗原特異的T細胞頻度に依存する可能性が高い。ナイーブT細胞の活性化は、確率過程であり、応答の規模は、抗原提示細胞上のMHC:ペプチド複合体の密度の増加とともに増加する(Reay et al. 2000 J. Immunol. 164:5626-5634; Wherry et al. 1999 J. Immunol. 163:3735-3745)。同様に、樹状細胞とナイーブ抗原特異的T細胞との初期遭遇も、最も確率的である可能性が高く、いずれかの型の細胞の頻度の増加とともに増加すべきである。例えば、正常マウスにおいては、抗原保有樹状細胞と抗原特異的T細胞との間の相互作用検出できる程度には生じさせない抗原を投与することは、抗原特異的T細胞受容体導入遺伝子を含有するT細胞の移入により抗原特異的T細胞を人為的に高頻度にした(およそ1/103)マウスにおいては、免疫原性であることがわかった(Manickasingham and Reis e Sousa 2000 J. Immunol. 165:5027-5034)。上述の考察に基づいて、ワクチン免疫原性の重要な構成要素は、希少な未熟樹状細胞によるワクチン抗原捕捉、ならびに希少な抗原特異的T細胞に遭遇するのに十分な数での、樹状細胞の成熟および流入領域リンパ節への遊走の誘導である。

背景技術

0008

樹状細胞遊走の誘導は、現在では完全に理解されていない複雑なプロセスであるが、ある種のシグナルは、常在している組織からの未熟樹状細胞の遊走を動員または誘導する能力を有する。それらは、炎症誘発性サイトカイン、TNF−α、およびIL−1、ならびに細菌リポ多糖(LPS)を含む(Kimber et al., 2000 Brit. J. Derm. 142:401-412)。これらのシグナルは、GMCSFおよび他のサイトカインとともに、さらに成熟プロセスを開始させる。外科切除のような組織に対する物理的外傷もまた、常在性未熟樹状細胞の遊走および成熟を誘導し得る(Steinman et al. 1995 J. Invest. Dermatol. 105:2S-7S)。

発明が解決しようとする課題

0009

非リンパ系器官において樹状細胞が不足し、かつ機能的に未熟であることは、ほとんどのタンパク質またはペプチド抗原水溶液を注射しても、免疫原性がほとんど生じないか、または全く生じず、さらには免疫学的寛容性を生じ得る理由を説明し得る(Davila and Celis 200 J. Immunol. 165:539-547; Garza et al. 2000 J. Exp. Med. 191:2021-2027; Liblau et al. 1997 Immunol. Today 18:599; Weiner 1997 Immunol. Today 18:335)。数種の樹状細胞のみが抗原に暴露される可能性が高く、樹状細胞遊走および成熟に関する刺激が存在しない場合は、これらの細胞は、局所リンパ節に到達し、循環性T細胞により認識される可能性はない。逆に、抗原が、共刺激および接着分子を欠如した細胞により提示される場合、抗原特異的T細胞寛容性が確保され得る。1または複数の抗原をコードするDNAまたはRNAを含む遺伝子ワクチンもまた、宿主樹状細胞によるタンパク質産物プロセシングを必要とし(Iwasaki et al. 1997. J. Immunol. 159:11)、したがって、同じ制約にさらされる。

0010

要するに、a)希少な未熟樹状細胞によるワクチン抗原の捕捉を促進し、b)希少な抗原特異的T細胞に遭遇するのに十分な数で、抗原をとり込んだ(antigen-loaded)樹状細胞の成熟およびそれらの流入領域リンパ節への遊走を誘導する有効な方法が必要である。かかる方法は、別の状況では弱い免疫原性、または非免疫原性の抗原の投与に対して、適応免疫応答を発生させるためのアジュバントとして機能する。

0011

本発明は抗原の免疫になるように哺乳動物ワクチン接種をする方法に関する。この方法は、以下の:有効な用量の抗原またはその1または複数のエピトープを哺乳動物に導入すること、および排出リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加するのに十分な量で、局所処置を該哺乳動物に施すことを含む方法であって、ここで該抗原を導入すること、および該処置を施すことは、任意の順序で、独立して行われる。

0012

本発明の好適な一形態によると、上記局所処置は、角質層を通過することができ、かつ未熟樹状細胞を排出リンパ系器官に遊走させることが可能な親油性分子を含んでもよい。上記親油性分子は、下記式:

0013

【化3】

0014

(式中、
R1およびR2は、独立して、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニルであり、
R3、R3’、R4、およびR4’は、独立して、水素原子ヒドロキシ基ハロゲノ基、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキルフェニル置換フェニルナフチル、および置換ナフチルからなる群から選択され、
Xは、酸素または窒素原子であり、
Wは、C1〜C10アルキル、C1〜C10置換アルキル、C7〜C10フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、C3〜C7シクロアルキル、およびC3〜C7置換シクロアルキル基から構成される飽和または不飽和鎖であり、かつ該鎖の各末端は、炭素C(R3R3’)およびC(R4R4’)に結合される)
から選択され得る。

0015

上記親油性分子の変形体では、Wは、窒素硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を、組み合わせてまたは独立して含有し得る。

0016

上記親油性分子の別の変形体では、R1およびR2基は、同一のC1〜C16アルキル部分であり得る。R1およびR2は、(CH2)3−CH3であり得る。

0017

上記親油性分子の別の変形では、Xは酸素であり、R3およびR4は、結合して、飽和もしくは不飽和のC3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、または置換ナフチルであり得るW鎖を含む環構造を形成する。上記環構造は、アリール基であり得る。上記環構造は、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有し得る。

0018

上記親油性分子の別の変形体では、上記親油性分子は、テルペンを含み得る。

0020

好ましくは、上記親油性分子は、500ダルトン以下である。上記親油性分子はまた、好ましくは、油/水分配係数が1より大きく、より好ましくは、約10〜約106の間である。

0021

別の変形では、上記局所処置は、有機溶媒をさらに含み得る。上記有機溶媒はアセトンであり得る。

0022

代替的に、またはさらに、本方法の局所処置は超音波エネルギー印加を含み得る。

0023

上記抗原またはその1または複数のエピトープは、種々の手段を用いて哺乳動物内に誘導され、その誘導の手段としては、例えば、ウイルス、細菌、真菌寄生虫、摂取、角質層の破壊、注射(表皮内、真皮内、皮下、筋内、血管内注射、または特定の器官への注射からなる群から選択される経路)、気道尿生殖路、または胃腸管の少なくとも一部への送達、上記抗原またはその1または複数のエピトープを含有する細胞の移入、上記哺乳動物内での細胞の形質転換、および形質転換細胞による上記抗原またはその1または複数のエピトープの発現、ならびに上記抗原またはその1または複数のエピトープをコードする核酸の移入による誘導が挙げられる。上記抗原またはその1または複数のエピトープは、上記哺乳動物にとって内因性であり、かつ正常であるか、または病原性(たとえば腫瘍)であり得る。

0024

本発明の方法の別の変形では、哺乳動物に投与する上記局所処置の量は、上記リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を、未処置哺乳動物における常在性の樹状細胞の数の約2〜約1000倍に増加させるのに十分な量であり得る。別の変形では、上記リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数は、未処理哺乳動物における常在性の樹状細胞の数の約5〜約100倍に増加される。代替的に、またさらに、上記局所処置の量は、樹状細胞の遊走および成熟の内因性誘導物質の局部放出を増加させるのに十分な量であるか、または接着分子の原形質膜発現または機能を変更させるのに十分な量であることを特徴とする。

0025

本出願で開示される免疫化の別の方法は、以下の:抗原またはそれらのエピトープの長期発現誘導するように適応させた発現ベクターを哺乳動物に導入すること、および該抗原が発現されるあいだ、該哺乳動物に局所処置を施すことを含む方法であって、ここで該局所処置は、排出リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加するのに十分な量で施される。上記抗原またはその1または複数のエピトープは、該哺乳動物にとって内因性であり得る(たとえば、腫瘍抗原)。本形態の上記局所処置は、上記抗原が発現されているあいだ、定期的に繰り返し施され得る。

0026

一形態では、上記局所処置は、角質層を通過することができ、かつ未熟樹状細胞を排出リンパ系器官に遊走させることが可能な親油性分子を含む。別の形態では、上記局所処置は、超音波エネルギーの印加を含み得る。

0027

本発明の別の変形では、哺乳動物に抗原に対するワクチンを接種する方法が開示される。本方法は、以下の:有効な用量の抗原またはその1または複数のエピトープを哺乳動物に注射すること、および排出リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で、該哺乳動物に局所処置を施すことを含む。該局所処置は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性分子を含む。

0028

本発明の別の変形では、腫瘍抗原のような内因性抗原に対する哺乳動物の免疫応答を高める方法が開示される。本方法は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性化合物を哺乳動物に繰り返し局所塗布することを含む。該親油性分子は、リンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で塗布される。

課題を解決するための手段

0029

本発明の別の変形では、哺乳動物に抗原に対するワクチンを接種する方法が開示される。本方法は、以下の:抗原またはその1または複数のエピトープをコードするDNAまたはRNAを含む核酸ワクチンを哺乳動物に供給すること、およびリンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で、該哺乳動物に局所処置を施すことを含む。該局所処置は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性分子を含む。

0030

本発明の別の変形では、哺乳動物に抗原に対するワクチンを接種する方法が開示される。本方法は、有効用量の抗原またはその1または複数のエピトープを哺乳動物に提供すること、およびリンパ系器官における抗原保有樹状細胞の数を増加させるのに十分な量で、該哺乳動物に内部(internally)処置を施すことを含む。内部投与経路は、注射、器官への送達、または胃腸管、気道、および/または尿生殖路への送達を含み得る。上記処置は、500ダルトン以下の分子量を有する親油性分子、または低周波超音波エネルギーを含み得る。

0031

以下に、本明細書中に記載される用語を定義する。「適応免疫性」は、クローン的分布(clonally-distributed)する抗原特異的受容体を保有するリンパ球による抗原に対する応答を指す。「抗原」という用語は、適応免疫系により認識され得る任意の物質を意味する。「エピトープ」は、適応免疫系の細胞上の抗原特異的受容体により認識される抗原上の部位を指す。「免疫原性」という用語は、免疫応答を誘導する能力を意味する。「免疫原」は、免疫応答を誘導する形態の抗原である。「ワクチン」という用語は、免疫化による適応免疫応答を意図的に刺激するのに使用される1または複数の抗原を指す。「アジュバント」は、抗原の免疫原性を高める物質または処置である。「先天免疫応答」は、抗原特異的受容体を欠如するが、多くの種々の微生物病原体に共通の分子様式に応答する細胞により媒介される、感染に対する宿主の初期応答を指す。「ランゲルハンス細胞」という用語は、皮膚および粘膜の表皮層に見られる未熟樹状細胞を指し、非リンパ系器官に見られる未熟樹状細胞のプロトタイプとなる。ランゲルハンス細胞および未熟樹状細胞という用語は、本明細書全体にわたって互換的に使用される。「MHC」という略語は、「主要組織適合複合体」を指す。

0032

哺乳動物を抗原で免疫化することに関して、「〜に導入する」は、局所塗布(すなわち、〜上に)と区別され、抗原を哺乳動物に提供する任意の手段を包含して使用される。例えば、以下の非局所的投与経路:非経口投与および経口投与、胃腸管、気道および尿生殖路を介した投与、注射または角質層の機械的もしくは化学的崩壊による防御角質層の通過(例えば、表皮内、真皮内、皮下、筋内、血管内、骨髄内注射)、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫による感染、抗原を含有する細胞の移入、哺乳動物内の細胞の形質転換かつ形質転換細胞による抗原の発現が、「〜に導入する」という用語に包含されると考えられる。

0033

樹状細胞の抗原提示機能を利用する様々な方法が、現在試験中、あるいは提唱されている。アプローチの1つは、ex vivoである。樹状細胞前駆体は、末梢血から濃縮され、ex vivoでサイトカインおよび抗原に暴露され、ドナーに再注射される(Thurner et al. 1999 J. Exp. Med. 190:1669-1678)。有効な免疫性は、レシピエントと同じである樹状細胞の組織適合性分子に依存するため、これには個別の手順が必要とされる。第2のアプローチは、骨髄中の前駆物質からの樹状細胞の生産を増加するために、Flt3リガンドのようなコロニー刺激因子のin vivo投与を包含する(Antonysamy and Thomson 1999 Cytokine 12:87-100に概説)。これは、in vivoでの樹状細胞のプロセシングおよび腫瘍抗原提示を増加させ、それにより腫瘍特異的免疫性を高めることが期待される。

0034

微生物全体が強力な免疫原であると同時に、それらの単離タンパク質または炭水化物抗原からなるワクチンは、臨床的な有用である免疫原性を十分に有していないことが多い(Edelman 1997 In New Generation Vaccines. Marcel Dekker, New York, NY. p. 173-192)。微生物産物は、長い年月の間、免疫原性アジュバントとして経験的に使用されてきたが、その作用機構は、いまだに解明中である。リポ多糖、リポタンパク質ペプチドグリカン、および細菌DNA中に優勢的に見られる非メチル化シトシングアニンオリゴヌクレオチド配列のような微生物構成成分は、先天未熟応答のToll様様式認識受容体により認識される(Aderem and Ulevitch 2000 Nature 406:782-787に概説)。適応免疫性も開始する先天免疫系の成員である樹状細胞は、微生物刺激による活性化に敏感である(Reis e Sousa et al. 1999 Curr. Opin. Immunol. 11:392)。したがって、ワクチンの免疫原性を高めるための微生物構成成分の使用は、樹状細胞を活性化することにより少なくとも部分的に機能し得る(Manickasingham and Reis e Sousa 2000 J. Immunol. 165:5027-5034)。残念ながら、これらの微生物構成成分は、炎症誘発性であり、敗血症性ショックの発達に寄与する可能性がある(Modlin 2000 Nature 408:659-660)。

0035

細菌の他に、ある特定のウイルスが、樹状細胞の機能に影響を及ぼし得る。例えば、粘膜表面に存在する未熟樹状細胞は、HIVの初期細胞標的である可能性が最も高い。樹状細胞は、HIVにより感染された後、流入領域リンパ中のT細胞にウイルスを移入する(Weissman and Fauci 1997 Clin. Microbiol. Rev. 10:358-367)。幾つかのウイルス感染(例えば、ワクシニアウイルス(Hemando et al. 1994 Immunol. Cell Biol. 72:383-389)、およびアルボウイルス(Johnston et al. 2000 J. Invest. Dermatol. 114:560-568)が樹状細胞を活性化すると報告されている。頻繁によくあることだが、ウイルスによる樹状細胞の感染は、樹状細胞の機能を阻害する(例えば、HSV−1(Kruse et al. 2000 J. Virol. 74:7127-7136)か、あるいは樹状細胞を破壊し、全身免疫抑制を引き起こす(例えば、ラッシャ白血病ウイルス(Gabrilovitch et al. 1994 Immunology 82:82-87)、および麻疹ウイルス(Bhardwaj 1997 J. Exp. Med. 186:795-799)。

0036

樹状細胞を補充するために幾つか提唱されている方法は、特定の局部に樹状細胞を遊走させる走化性ケモカインに関する。国際公開第00/03728号は、抗原堆積部位に樹状細胞を遊走させるために、MIP−1α、MIP−3α、およびRANTESのようなケモカインを使用することを提唱する。国際公開第0009151号は、樹状細胞上のケモカイン6CkineおよびMIP−3αに関する受容体であるCCR7のアゴニストを用いて同様の効果を達成する手段を提案している。ケモカインは、すでに可動性または遊走性になっている樹状細胞の生理誘引物質であるが、これらのアプローチはいずれも、非リンパ系組織に安定常在する未熟樹状細胞の遊走を誘導または開始することができるとは示されていない。

0037

樹状細胞が遊走する経路を変更する手段が幾つか報告されている。Enioutina等は、マウス骨髄の培養において樹状細胞を増やし、コレラ毒、フォルスコリン、またはビタミンD3の活性型とともに細胞をインキュベートした後、ナイーブレシピエントの皮膚中に細胞を注射した(Enioutina et al. 2000 Vaccine 18:2753-2767)。これらの前処置は、注射した細胞の消化管関連パイアー斑への優先局在化をもたらした。培養由来細胞が注射部位からパイアー斑へ遊走する経路は確定されておらず、明瞭でない。著者等は、この作用物質が、樹状細胞の抗原誘導性の成熟に続いて、皮膚に存在する樹状細胞が遊走する経路を変更し得ると示唆したが、この仮説を検証する実験については言及されていなかった。

0038

国際公開第99/62537号は、喘息アレルギー、炎症および移植拒絶反応のような病原性状態において、樹状細胞遊走を阻害する手段として、樹状細胞膜タンパク質、p−糖タンパク質(MDR−1)および組織因子拮抗する作用物質の使用を提案している。MDR−1は、腫瘍を化学療法に対して耐性とさせ得る多剤流出輸送体(multidrug efflux transporter)である。MDR−1および組織因子は、未知の経路で、樹状細胞の経内皮遊走に関与することがわかった(Randolph et al. 1998 Proc. Nat'l. Acad. Sci. 95:6924-6929; Muller and Randolph 1999 J. Leukoc. Biol. 66:698-704)。経内皮遊走は、細胞が血管内皮を通過することを指し、この場合、輸入リンパ管の内腔に侵入する。MDR−1のアンタゴニストは、a)in vitroでの樹状細胞の経内皮遊走、b)ex vivoでの皮膚外殖片からの出現(Randolph et al. 1998 Proc. Nat'l. Acad, Sci. 95:6924-6929)、およびc)in vitroでの接触感作後の流入領域リンパ節における移入ランゲルハンス細胞の蓄積を減少させることがわかった(国際公開第99/62537号)。したがって、免疫系を抑制するかかるアンタゴニストの潜在能力が裏付けられる。

0039

国際公開第99/62537号はさらに、ワクチン接種に使用される抗原と混合されるべきアジュバントとしての、MDR−1および組織因子のアゴニストの使用を提案している。この使用が、樹状細胞遊走を「高め得る」か、または「増加させ得る」ことは、論理根拠のあることである。しかしながら、NRD−1または組織因子のアゴニストによる処置がこの効果を有するという証拠は提供されていなかった。本発明者等は、この仮説を検証するように設計された実験を行ったという開示を一切見つけ出すことはできなかった。細胞が、幾つかの最小数表面タンパク質を用いて血管内皮を通過することが可能である場合には、必要とされる最小量を超えて、これらの表面タンパク質の数を人工的に増加させても効果がない可能性がある。したがって、これらの受容体の発現または機能を増加することにより、樹状細胞の遊走を増加させることができるかどうかは依然として未知のままである。さらに、国際公開第99/62537号では、MDR−1または組織因子アゴニストが「遊走を誘導する」か、「遊走を開始する」か、または常在の非リンパ系組織から未熟樹状細胞を「動員する」という示唆はなく、単にかかるアゴニストが、樹状細胞を「増加し得る」か、樹状細胞を「高め得る」か、または樹状細胞の「遊走を調整し得る」という示唆がなされているにすぎない。

0040

米国特許第5,980,898号(Glenn等)は、免疫応答の経皮的[局所]誘導用パッチについて記載しており、ここでは抗原を、ADPリボシル化外毒素、具体的にはコレラ毒、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン、または百日咳毒素のようなアジュバントと組み合わせている。これらのアジュバントの1つと組み合わせた抗原を局所塗布すると、抗原およびアジュバントの両方に対する抗体応答を生じる一方、抗原単独では免疫原性を有さなかった。この手法で使用する抗原および毒素は、巨大タンパク質(60,000〜86,000Da)である。角質層が、大きな(500Daを超える)分子または親水性分子受動輸送に耐性である(Naik et al. 2000 Pharm. Sci. and Technol. Today 3:318-326に概説)ことを考慮すると、それらが局所塗布された後に表皮ランゲルハンス細胞に到達する機構は明らかでない。この免疫原性効果において、ランゲルハンス細胞が関与している可能性に関して提示される唯一の証拠は、コレラ毒の皮膚塗布の24時間後に、免疫蛍光顕微鏡により表皮シートに見られる、ランゲルハンス細胞上でのMHCクラスII分子の発現のみかけの増加、およびそれらの数のみかけの減少だけであった。

0041

切除した表皮シートにおけるランゲルハンス細胞のみかけの頻度の減少は、必ずしも抗原保有ランゲルハンス細胞がリンパ節に遊走するように誘導されたという証拠とはならない。表皮におけるランゲルハンス細胞の検出可能な頻度を減少させる幾つかの処置が既知であるが、免疫性に対して逆の影響があり、すなわちそれらの処置は免疫抑制をもたらす。2つのかかる例は、皮膚のUVB照射(Meunier 1999 Eur. J. Dermatol. 9:269-275)およびデキサメタゾンまたはプロピオン酸クロベタゾール(ともに強力な免疫抑制グルココルチコイド薬である)の局所塗布(Furue and Katz1989 J. Invest. Dermatol. 92:342-347; Nakamura et al. 1999 J. Invest. Dermatol. 4:169-172)である。したがって、表皮シートにおける検出可能なランゲルハンス細胞の減少は、それらの成熟の誘導および流入領域リンパ節への遊走を確証せず、また免疫性を誘導する確実な手法でもない。Glenn等は、「TCI経皮的免疫化]におけるLC[ランゲルハンス細胞]の役割は、依然として確定されていない」と最近主張した(Glenn et al. 2000 Nature Med. 6:1403-1406)。

0042

局所免疫化の別の方法は、正常なマウスの皮膚にネーキッドDNAを塗布すること(Fan et al. 1999 Nature Biotech. 17:870-872)に関与し、上述のGlenn等の経皮方法と共通した特徴が幾つかある。すなわち、局所塗布されるDNAもまた巨大で、かつ親水性である。しかしながら、DNAは、皮膚における毛包を介して侵入することができることがわかった。局所塗布したネーキッドDNAにより誘導される免疫応答は一次抗体であり、コードされる抗原に対するT細胞増殖応答はほとんど検出されなかった。リンパ節細胞において有意な抗原特異的T細胞増殖のない状況での抗体産生は、ある特定のマウス系統において低用量の可溶性タンパク質抗原により誘導される応答の特徴である(Guery et al. 1996 J. Exp. Med. 183:485-497)。影響を受けやすいマウス系統では、Th1細胞は、抗原に対して寛容である一方で、Th2細胞は、Il−4を分泌するように誘導される。他の系統では、抗原特異的非応答性が、両方のCD4+Tヘルパー細胞サブセットで誘導される。低用量の可溶性タンパク質により誘導され、低ゾーン寛容性と称されるこのタイプの応答(In Immunobiology, 4th edition 1999 Janeway, C.A., Travers, P., Walport, M., and J.D. Capra, eds. Garland Publishing, New York, N.Y. p.37)は、非防御免疫性を生じることができ、慢性感染と関連することが多い。さらに、マウスの皮膚中の毛包の密度はヒトの皮膚中の毛包の密度より約10倍高いことから、毛包を介して侵入する抗原に依存する局所免疫化手法は、マウスの場合よりもヒトの場合の方が、有効性が低い可能性が高い。

0043

局所塗布される化合物の1つであるイミキモド(imiquimod)は、流入領域リンパ節への表皮ランゲルハンス細胞の遊走を高めることがわかっている(Suzuki et al. 2000 J. Invest. Dermatol. 114:135-141)。マウスの皮膚に接触感作用抗原を塗布する前に、イミキモドで3日間前処理すると、接触感作用抗原による処理だけを行ったマウスの場合よりも多くのランゲルハンス細胞が、流入領域リンパ節で見出された。しかしながら、実用的なイミキモドの塗布について記載する特許(例えば、米国特許第4,689,338号、同第5,750,495号、同代6,039,969号、同第6,083,505号、および国際公開第00/47719号)はいずれも、in vivoでの未熟樹状細胞の遊走および成熟を誘導するためにこの化合物を使用することについてなんら教示していない。

0044

ランゲルハンス細胞の所在、頻度および機能的潜在能力が、ランゲルハンス細胞をワクチン送達の魅力的な標的とする一方で、抗原の限局性注射は、おそらく数個近接したランゲルハンス細胞または時折遊走する樹状細胞に到達するに過ぎないであろう。本来炎症誘発性ではない抗原にランゲルハンス細胞を暴露することは、おそらく細胞の機能的に有意な遊走および成熟を誘導するのには不十分であろう。したがって、皮下または筋内注射、あるいは「遺伝子銃」送達によりワクチンを投与する一般的な手法によっては、抗原保有樹状細胞の十分な遊走および成熟を引き起こすことができないために、本来炎症誘発性ではないワクチンに対する強力な防御免疫性を誘導することはできない。

0045

関連米国出願第09/176,044号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)において、Cowingは、抗原を皮膚または粘膜に局所投与し、さらに皮膚または粘膜の表皮層におけるランゲルハンス細胞による取り込みのための、受動浸透エンハンサまたは能動輸送方法を用いる、角質層を通過して輸送されるワクチン接種の手順を開示した。抗原の投与は、当該部位に送達されるランゲルハンス細胞の遊走の有効な誘導物質の局所塗布とともに行った。ランゲルハンス細胞遊走の局所誘導のための有効な手段は、低周波超音波、および流入領域リンパ節へのランゲルハンス細胞遊走を誘導する能力を有することがわかっているある特定の種類の小有機化合物の1または複数を包含することが実証された。

0046

親出願は、ランゲルハンス細胞の成熟および遊走を誘導する有効な手段と合わせて、角質層を通過して未熟ランゲルハンス細胞へ抗原を輸送する局所方法に関連する一方で、本発明は、ランゲルハンス細胞遊走の有効な誘導物質の塗布それ自体が、他の箇所へ、あるいは他の経路によって送達される抗原(複数)を捕捉するようにランゲルハンス細胞を誘導する手段であり、別の状況では免疫原性をほとんど有し得ないか、または全く有し得ないという証拠を教示および提供する。したがって、未熟樹状細胞の遊走の有効な誘導は、強力なアジュバントを構成し、抗原の送達から独立しており、抗原の送達とは別個に考えることができる。

0047

本出願では、本発明者等は、タンパク質またはペプチド抗原の注射によっては、流入領域リンパ節に到達する抗原保有樹状細胞はごくわずかしか生じないという本発明者等の仮説に対する裏づけを提供し、未熟樹状細胞(ランゲルハンス細胞)の遊走の有効な局所誘導が、別の状況では、非免疫原性の抗原投与を、強力な免疫原性刺激とすることができるという驚くべき発見を開示する。本発明者等は、抗原が、種々の解剖学的部位に、遊走誘導物質とは独立して、かつ種々の経路を介して投与される場合でさえもこれを達成することができることを示す。したがって、樹状細胞の遊走の有効な誘導はそれ自体が、二次リンパ系器官において非常に高レベルの抗原提示樹状細胞を得るための「免疫学的アジュバント」として使用され得る。

0048

フルオレセインイソチオシアネートFITC)は、ランゲルハンス細胞遊走を特徴づけするために、本発明者等や他の人々により広範に使用されている。FITCは、角質層を通過することが可能な小さな(389Da)非ペプチドであって親水性の高い分子である。FITCの抗原性は、遊離アミノ基とFITCのイシチオシアネート基(−N=C=S)との反応性、すなわちタンパク質および/またはペプチドに共有結合することが可能であることに起因している。C57BL/6マウスに、以下の処置:1)なし;2)腹部皮膚のみの剃毛;または、腹部皮膚の剃毛に続いて、以下の:3)アセトン中のFITCの局所投与;4)アセトンおよびオリーブ油中のFITCの局所投与;5)アセトンおよびリン酸緩衝生理食塩水PBS)中に希釈したDMSO中のFICTの局所投与;または6)アセトンおよびフタル酸ジブチル中のFITCの局所投与、のいずれかを施した。次に、排出鼠径リンパ節を、免疫蛍光フローサイトメトリーにより、その後隔日で移入樹状細胞に関して検査した。遊走性ランゲルハンス細胞は、FITCの存在および高MHCクラスII分子の同時発現により、あるいはモノクローナル抗体NLDC−145に対するDEC205リガンドの同時発現により同定された。リンパ節の常在性樹状細胞とは、それらがMHCクラスII分子を高発現(但し、FITCを欠如している)することにより、あるいはFITCを欠如(但し、樹状細胞特異的モノクローナル抗体33D1に対するリガンドを同時発現する)することにより区別することができる。FITCの取り込み、および遊走性シグナルに対するランゲルハンス細胞応答は、局所投与の6時間程度と初期に、流入領域リンパ節で観察できた。しかしながら、リンパ節にFITC保有ランゲルハンス細胞を最大限に移入するには48〜72時間を要した。図1は、処置の2日後の、総樹状細胞およびFITC+樹状細胞に対する様々な処置レジメンの効果を示す。アセトン中のFITCを投与した動物では、オリーブ油またはジメチルスルホキシド(DMSO)により誘導されるFITC+ランゲルハンス細胞数の増大が見られなかった。フタル酸ジブチルの添加は、リンパ節へのFITC+樹状細胞および総樹状細胞の遊走の両方に著しく影響した。したがって、フタル酸ジブチルは、非常に強力な遊走誘導物質であった。

0049

アセトンおよびフタル酸ジブチル中のFITCで処置したマウスにおいて、ランゲルハンス細胞遊走の動態図2に示す。多数のFITC+ランゲルハンス細胞が、12時間リンパ節に存在し、移入FITC+ランゲルハンス細胞のピーク頻度が、局所投与の約2〜3日後に見られた。しかしながら、FITC+ランゲルハンス細胞の遊走の誘導のほかに、未標識(FITC陰性)の樹状細胞数も顕著に増大し、処置の9〜10日後にピークレベルに到達することに留意されたい。

0050

局所投与に応答した総リンパ節細胞を図3に示す。アセトンおよびフタル酸ジブチル中のFITCの局所投与の5日後に、リンパ節細胞集団は、基底ラインのおよそ7.2倍を超えて増加した。これらの結果は、アセトンおよびフタル酸ジブチル中の抗原(FITC)が抗原+ランゲルハンス細胞遊走を刺激するだけでなく、流入領域リンパ節中の樹状細胞の総数を劇的に増加させ、かつリンパ節の細胞密度(celluarity)を増加させていたことを示す。また、免疫蛍光フローサイトメトリーにより、流入領域リンパ節中で活性T細胞およびB細胞が発達していることが明らかになった。

0051

ランゲルハンス細胞の遊走の誘導が、腫瘍特異的免疫性を促進することができる
腫瘍細胞E.G7−OVAは、ニワトリオボアルブミン(OVA)の完全遺伝子でトランスフェクトされたC57BL/6 EL4胸腺腫である。トランスフェクトした細胞系は、OVAタンパク質を発現し、OVAタンパク質はまた、E.G7−OVA細胞によりSIINFEKLを有する8つのアミノ酸ペプチド、OVA257-264へと自然にプロセシングされる。このペプチドは、Kb:SIINFEKLのような、MHCクラスI分子Kbとの複合体で原形質膜上に発現されるようになり、ここでこのペプチドが、in vitroおよびin vivoの両方で、CD8+細胞障害性T細胞(CTL)の腫瘍関連ペプチド抗原として機能することが実証された(Celluzzi et al. 1996 J. Exp. Med. 183:283)。FITCを用いた陽性結果に基づいて、本発明者等は、十分に特性化された合成SIINFEK腫瘍関連ペプチドの局所投与により、E.G7−OVA腫瘍に対する免疫性を誘導する試みを、類似のプロトコルに従って行った。

0052

C57BL/6マウスを、以下のように処置した:1)剃毛のみ、2)アセトンおよびフタル酸ジブチルの局所投与、3)PBS中に希釈したDMSO中のSIINFEKL(240μg/ml)の局所投与、続く5時間以内のアセトンおよびフタル酸ジブチルの局所投与、ならびに4)アセトンおよびジブチルフタル酸中のSIINFEKL(240μg/ml)の局所投与。続いて全てのマウスに、5×105個のE.G7−OVA細胞(最小腫瘍原性用量の5倍)を皮下注射した。腫瘍特異的免疫性を、発達中の腫瘍の大きさを測定することでモニタリングした。図4に示す結果は、上記処置プロトコルのいずれも腫瘍細胞成長の阻害に効果的でなかったことを示す。FITCの実験から、フタル酸ジブチルが強力なランゲルハンス細胞遊走の誘導物質であること、およびSIINFEKLがMHCクラスI分子Kb(ここでそれはCD8+CTLを活性化することができる(Celluzzi et al. 1996 J. Exp. Med. 183:283))に容易に組み込まれることがわかっているため、SIINFEKLペプチドは、一次免疫応答を誘導するのに十分な濃度で角質層を通過することができないと結論付けた。

0053

同様に、SIINFEKLペプチドまたはOVAタンパク質抗原の水溶液を、遊走誘導物質であるDBPおよびアセトンの局所塗布とともに皮膚に塗布すると、流入領域リンパ節において検出可能な抗原保有(すなわち、Kb:SIINFEKL陽性)樹状細胞は流入領域リンパ節見られなかった(データは示さず)。

0054

アセトンおよびフタル酸ジブチル中のSIINFEKLの局所投与は、ペプチドは角質層を効率的に浸透しなことから腫瘍特異的免疫性を付与することができないと仮定されるため、同じ局所ワクチンを内に塗布した。粘膜は、皮膚の角質層による頑バリアを有さない。図5に示す結果は、膣表皮へのアセトンおよびフタル酸ジブチル中のSIINFEKLの塗布により、腫瘍に対する防御が誘導されることを示唆した。ニワトリオボアルブミンを欠如するEL4親腫瘍細胞系を陰性対照として使用し、EL4腫瘍細胞系に対する免疫性は見られなかった。したがって、角質層の浸透に関する本発明者等の仮説が確認され、SIINFEKLペプチドは、角質層の下にあるランゲルハンス細胞として知られる未熟樹状細胞に効率的に到達しなかった。

0055

ペプチドの皮膚局所投与の有効性を高めるために、SIINFEKLをDMSO中に溶解し、さらに希釈することなくに皮膚に塗布した。アセトンとフタル酸ジブチルの50:50混合物を、5時間後に同じ部位に塗布した。続いて全てのマウス、5×105個のE.G7−OVA細胞を皮下注射した。図6に示す結果は、濃DMSO中のペプチドは角質層を明らかに通過することが可能であり、表皮ランゲルハンス細胞へ効率的に接近することができたことを示す。腫瘍成長は、6〜9日後に抑制され、樹立腫瘍でさえ、接種後16日までに減少した。したがって、濃DMSO中の腫瘍特異的ペプチドSIINFEKLは、表皮ランゲルハンス細胞上でMHCクラスI分子Kbに組み込まれるのに十分な濃度で角質層を浸透し、遊走誘導物質フタル酸ジブチルの存在下において、流入領域リンパ節においてCD8+CTLに効率的に提示される。

0056

抗原ソース
本発明による抗原または1または複数のエピトープは、小ペプチド、タンパク質、または非ペプチド免疫原性化合物であり得る。抗原が、非経口または他の非局所投与経路により哺乳動物に導入される場合、抗原の大きさは開示する免疫化方法について制限を加えない。同様に、抗原が、感染性細胞(ウイルス、細菌、寄生虫等)により哺乳動物に導入される場合、抗原の特徴は制限を加えない。同様に、免疫化が、抗原性ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸の移入を包含する場合、抗原の特徴自体は送達経路を制限しない。本発明の一形態によれば、抗原は、内因性であってもよく、例えば腫瘍抗原であり得る。

0057

しかしながら、抗原を局所送達する場合、大きなタンパク質よりも小さなペプチド(約8〜20アミノ酸残基)の方が角質層を通過して、表皮へと入りやすいことから、小ペプチド抗原が好ましいが、必須ではない。さらに、SIINFEKLのような適切な大きさのペプチドは、ペプチド交換過程を経て、ランゲルハンス細胞表面上でMHC分子に直接結合する可能性が高く、ここで外因的に添加されたペプチドは、MHCクラスIまたはII分子のペプチド結合溝に対して親和性が低い内因性ペプチドと置き換わる。クラスIまたはII MHC分子と直接結合するのに適切なペプチドの特徴は、広範に研究されている。したがって、当業者は、ペプチド構造に基づいて、所定のMHC対立遺伝子産物と結合する可能性が高い配列を予測することが可能である。クラスI MHC分子に効率的に結合するペプチドは概して、8〜10個のアミノ酸残基から構成されるが、クラスII MHC分子と優先的に結合するペプチドは、最終的に約13〜17アミノ酸残基長である。実際に、MHC分子と直接相互作用することが可能な幾つかの抗原ペプチドが既知であり、標準的な技法により合成することができる。

0058

あるいは、特異的腫瘍関連抗原が多くのヒト腫瘍に関して同定されている一方で、関連ペプチドは未知であることが多い。それにもかかわらず、粗製酸溶出腫瘍ペプチドは、迅速かつ容易に調製することができ、樹状細胞に結合したときに腫瘍特異的免疫性を有する有効な誘導物質であることが知られている(Zitvogel et al. 1996 J. Exp. Med. 183:87-97)。したがって、既知の合成ペプチド均質調製物、ならびに未知の抽出ペプチド混合物はともに、本発明において適切に使用され得る。適切なペプチド抗原の選択および調製は明確に当業者の範囲内である。

0059

特異的免疫性の誘導が可能な非ペプチド免疫原性化合物もまた、本発明による潜在的抗原として意図される。実験例として、FITCのような小さい非ペプチドハプテンは、角質層を通過した後に、ペプチドまたはタンパク質に共有結合してもよく、それによりMHCまたは抗原提示MHC様分子(例えば、CD1)との結合により、標準的な抗原提示経路に接近することができる。FITCの抗原性は、遊離アミノ基とFITCのイソチオシアネート基(−N=C=S)との反応性に起因しており、タンパク質および/またはペプチドに共有結合的に組み込まれることが可能である。天然に存在するか、または腫瘍細胞、病原体、寄生虫、アレルゲン等に導入される他の非ペプチド抗原性部分は、本発明のワクチン接種を実施するのに使用され得る。

0060

抗原ソースの選択は本発明にとって重要ではなく、それが抗原特異的適応免疫性を高める一般的方法であることに留意すべきである。しかしながら、得られる特異的免疫応答は、当然のことながら、使用する特定の抗原に依存する。未熟樹状細胞の遊走および成熟の誘導様式、続いておこるMHCおよびMHC様依存性経路による抗原提示は、別個にあるいは組み合わせて、開示する本発明の特徴を例示する。各種供給ソースからの抗原の選択に制限が課せられないという事実は、抗原特異的免疫性または多くの抗原に対する寛容性を誘導する基本的な方法の使用と一貫している。したがって、特定の抗原およびその供給ソースの選択は、作用に依存し、免疫学分野の当業者の範囲内である。

0061

角質層の浸透
皮膚の外側層は、身体に外来物質進入するのを阻止するように設計される。外側層は、ケラチノサイト細胞膜およびケラチンフィブリルの高密度層から形成されるため、角質層は、500Daを超える分子量を有する分子、特に親水性の分子のほとんどにとって非浸透性である。したがって、経皮投与される薬剤はほんの数種に過ぎない。かかる分子は通常、親油性の小分子である。ペプチドの経皮送達は、ペプチドが親水性かつ一般に高分子量であるために、好ましくない。数多くの研究が、ペプチドを、角質層を通過させることは非常に困難であると立証している(概説に関して、Steinstrasser and Merkle 1995 Pharm. Acta. Helv. 70:3-24)。ペプチド浸透を高め得る幾つかのアプローチの中には、親油性ベシクル、低周波超音波、エレクトロポレーションイオン導入、および表皮内送達が包含される。これらを以下で考察する。

0062

親油性溶媒
アセトン、アゾン、およびジメチルスルホキシド(DMSO)のような親油性溶媒は、角質を浸透することが知られている。上述のように、本発明者等は、DMSO中に溶解させたSIINFEKLのような小ペプチドが角質層を通過し、表皮の低層に侵入することを見出した。したがって、抗原浸透エンハンサに関する本発明の開示は、DMSO、ならびに対称または非対称スルフィドおよびスルホキシドのような様々な親油性溶媒(ここで、アルキル基は、1〜16個の炭素原子を含有する)、ならびにリポソームを包含する。

0063

ペプチド浸透を高めるために、DMSOのような親油性浸透物が本発明で使用される場合、かかる溶媒は、ニートで、あるいはPBSのような他の溶液で希釈して投与され得る。混合物の比は、約1:9〜約9:1(浸透物:希釈物)である。好ましくは、浸透エンハンサは希釈されない。

0064

低周波超音波
Mitragotri等は、インスリン(6,000Da)、IFN(17,000Da)、およびエリスロポイエチン(48,000Da)のような巨大タンパク質分子でさえも、低周波超音波を用いて角質層を通過させることができると報告した(Mitragotri et al. 1995 Science 269:850-853、参照により本明細書に援用される)。超音波は、非熱的な空洞化現象(cavitational)効果により皮膚上で作動し、角質層で拡大および接触する微小気泡創出し、浸透性の一時的な増加をもたらす。空洞化現象は、超音波の周波数が低いほど増加し、診断画像化に使用される周波数(2〜12Mhz)よりも低周波の音波が最適である。

0065

エレクトロポレーション
Vanbever等は、小(267Da)分子メトプロロールの約10%が、5回の単一450Vパルス後の4時間の間に皮膚を通って輸送され得ると開示した(Vanbever et al. 1994 Pharm. Res. 11:1000-1003、参照により本明細書に援用される)。エレクトロポレーションは、細胞にDNAを入れる目的で、細胞膜浸透処理するのに広範に使用されている。ペプチドの経皮輸送は、高強度の電場パルスへの皮膚の限局性暴露により行われてもよく、脂質二重層一過性水性孔を形成し得る。

0066

イオン導入
Bodde等は、1時間当たり約0.4%だけのバソプレシン(1,084Da)が角質層を通過することを見出した(Bodde et al. 1990 Biochem. Soc. Trans. 17:943-945、参照により本明細書に援用される)。イオン導入は、低強度の電流に皮膚を暴露することを含む。極性分子は、電流に応答して移動し、輸送は、表皮を通過して真皮へと突出するまたは毛包を介して行われると考えられる。この方法は、本発明に包含される。

0067

皮内送達
鋭利器具を用いれば確実に、角質層に浸透させることができる。したがって、伝統的な勾配付き針およびシリンジを用いた表皮内または真皮内注射が可能である。同様に、尖叉試験を行うのに使用される器具のような先分かれの器具を用いて、表皮に抗原性作用物質を導入することも可能である。抗原はまた、針のない注射システムで使用される高圧液体または気体により、表皮へと噴射させることもできる。かかる侵襲性物理的な方法は、浸透の問題を解決し、さらにはランゲルハンス細胞に付随する遊走性シグナルを提供し得る。

0068

ランゲルハンス細胞遊走の誘導
表皮において抗原とランゲルハンス細胞とを効率的に接触させることは免疫応答を誘導するのに必要であり得る一方で、それだけではワクチン接種手順に所望の強力な抗原特異的免疫性を誘導するのに十分ではない。表皮からリンパ節へランゲルハンス細胞が遊走する現象は長い年月の間知られているが、in vivoでのランゲルハンス細胞の遊走および成熟を制御する複雑な調節経路は完全には理解されていない。さらに、ランゲルハンス細胞の遊走に関して一般的に多数の誤認が存在するようである。例えば、自発的および/または連続的なランゲルハンス細胞の遊走が、抗原特異的免疫性の誘導に十分であると考えている研究者もいる(例えば、Matsuno et al. 1990 J. Exp. Med. 183:1865を参照)。この分野には、接触感作用抗原が、それ単独でランゲルハンス細胞遊走を誘導することが可能であり、したがって別個の誘導刺激は任意の抗原に必要でない場合があると提案する研究者もいる(例えば、Udey 1997 Clin. Exp. Immunol. 107:6を参照)。したがって、ランゲルハンス細胞の遊走を研究するために、アセトンおよびフタル酸ジブチル中のFITCを用いた科学者等は、遊走を誘導するのは抗原(FITC)であると示唆している(例えば、Wang et al. 1996 Immunol. 88:284を参照)。

0069

現在では、ランゲルハンス細胞の遊走の調節の探究は、ランゲルハンス細胞の遊走および成熟を調整すると思われるサイトカインおよびケモカインの産生に主に焦点が当てられている。例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびインターロイキン−1α(IL−1α)は、in vitroでのランゲルハンス細胞の成熟を媒介し得る(Larregina et al. 1996 Immunology 87:317-325)。腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、ランゲルハンス細胞遊走に関与している(Banchereau and Steinman 1998 Nature 392:245)。ランゲルハンス細胞成熟および/または遊走の様々な態様の制御に関与する他の因子としては、MIP−1、IL−4、カルシトニン遺伝子関連ペプチド用のG−タンパク質共役受容体、C5aおよび他のケモカインが挙げられる(Banchereau and Steinman 1998 Nature 392:245)。したがって、多くの考え得るシグナルおよびシグナル伝達経路が同定されたが、調節体系は依然として明らかでない。

0070

一般に、本発明で有用な化合物タイプは、酸無水物またはジカルボン酸化合物ジエステルあるいはジアミドであることが多い。この化合物中のエステルは通常、独立して、1〜16個の炭素アルキル部分および/またはアリール部分から選択される2つの基でエステル化されたジカルボン酸化合物から形成される。アリール部分は、好ましくは、置換もしくは無置換のベンジルまたはフェニルである。一実施形態では、両方のエステル部分が同一である。別の実施形態では、エステル部分は異なっている。これらの遊走誘導物質は概して、500ダルトン以下の分子量、および約10〜106の油/水分配係数を有する。

0071

より詳細には、本発明のランゲルハンス細胞(または未熟樹状細胞)の遊走の誘導化学的物質は、下記式(1)または式(2)または式(3):

0072

【化4】

0073

(式中、
R1およびR2は、独立して、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニルであり、
R3、R3’、R4、およびR4’は、独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル側鎖、C1〜C16置換アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10置換アルケニル、C2〜C10アルキニル、C2〜C10置換アルキニル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、および置換ナフチルからなる群から選択される)
を有する化合物を含む。一変形では、R1およびR2基は、同一のC1〜C6アルキル部分であってもよい。好ましくは、R1およびR2は、(CH2)3−CH3である。Xは、酸素(O)、または窒素原子(N)である。

0074

Wは、C1〜C10アルキル、C1〜C10置換アルキル、C7〜C10フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、C3〜C7シクロアルキル、およびC3〜C7置換シクロアルキル基から構成される飽和または不飽和鎖である。上記鎖の各末端は、炭素C(R3R3’)およびC(R4R4’)に結合される。鎖Wは、組み合わせて、あるいは独立して、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。

0075

化合物に対する一変形では、Xは酸素(O)であり、R3およびR4は、結合して、W鎖を含む、飽和もしくは不飽和のC3〜C10シクロアルキル、C3〜C10置換シクロアルキル、C7〜C16フェニルアルキル、C7〜C16置換フェニルアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、または置換ナフチルを含む環構造を形成する。好ましくは、環構造は、アリール基である。環は、窒素、硫黄、および酸素からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。

0076

別の変形では、本発明の化合物はテルペンであってもよい。

0077

好ましい配合では、1または複数の未熟樹状細胞遊走誘導物質は、アセトンのような有機溶媒と混合される。

0078

ランゲルハンス細胞(未熟樹状細胞)の遊走の誘導に関して本発明に包含される特定の化合物を以下に提供する:

0079

0080

未熟樹状細胞の遊走の誘導物質として有用な化合物は、図1図3に提示したデータに関して上述した標準的なFITC方法を用いてスクリーニングされ得る。C57BL6マウスの腹部を剃毛し、アセトンと遊走誘導物質(例えば、フタル酸ジブチル)の50/50(v/v)混合物中に5mg/ml FITCを含有する試験溶液100〜200μlを塗布する。2日後、排出鼠径リンパ節を取り出し、樹状細胞の総数(FITC+およびFITC−)を、フローサイトメトリー、およびMHCクラスII免疫蛍光法または樹状細胞に特異的な他のマーカーにより求める。

0081

試験結果を図7に示す。MHCクラスIIhi細胞の総数は、試験したほとんどの化合物に関してバックグラウンドを超えて増加した。DNP、C、DBBP、DBT、およびDINPは、陽性対照であるフタル酸ジブチル(DBP)の1標準偏差内の遊走を誘導した。

0082

ランゲルハンス細胞(未熟樹状細胞)の遊走の化学的誘導物質のほかに、本発明者等は、低周波超音波も上述のFITC遊走スクリーニング手順において陽性の結果を示すことを見出した。したがって、本発明の一実施形態では、低周波超音波は、ランゲルハンス細胞の遊走の浸透物として、および/または誘導物質として使用され得る。

0083

本発明により用いられるペプチド/抗原は概して、およそ1mg/ml〜100mg/mlの用量範囲で局所的に塗布され得る。好ましくは、ペプチド抗原は、1mg/ml〜25mg/mlの用量範囲内で投与され得る。皮膚の局所投与は、0.01〜1ml/cm2、好ましくは約0.05〜0.5ml/m2の塗布容量を含み得る。明らかに、処置される表面積が大きいほど、流入領域リンパ節に遊走するように誘導されるランゲルハンス細胞の数は多くなる。投与経路は、皮膚、膣内、直腸、気道およびへのエーロゾル送達、ならびにGI管への投与を含む、任意の表皮および/または粘膜部位から選択され得る。ランゲルハンス細胞の遊走の化学的誘導物質が適用可能である場合、化学的誘導物質は、ニートで、あるいは約1:1000〜約9:1(誘導物質対溶媒)の比の範囲で、好ましくは約1:100〜約7:3の比の範囲で、アセトンのような有機溶媒と混合して付与されてもよい。

0084

場合によっては、いかなる抗原をも特異的に投与することなく、単にランゲルハンス細胞(未熟樹状細胞)の遊走を高めるのが好適な場合もある。例えば、個体が黒色腫または基底細胞癌のような皮膚癌を有する場合、手術前に、腫瘍を取り巻く部位に、ランゲルハンス細胞の遊走の誘導物質を投与することは、腫瘍に対する免疫応答を高める際に有用であり得る。あるいは、切除、続いて化学療法および/または放射線照射した後に局所投与を行ってもよい。

0085

本発明によるランゲルハンス細胞の遊走の誘導は、以下の一般的機能特性を参照して、当業者が記載および決定することができる:

0086

(1)ランゲルハンス細胞(未熟樹状細胞)の遊走の誘導は、排出リンパ系器官における抗原保有成熟樹状細胞の出現をもたらす。抗原保有樹状細胞の流入は、非刺激リンパ系器官に見出される樹状細胞数の約2〜1000倍、好ましくは常在性樹状細胞数の約5〜100倍の範囲であり得る。

0087

(2)樹状細胞は、成熟樹状細胞に特徴的なマーカーにより同定され得る。マウスでは、これらには、MHCクラスII分子、およびDEC205および/または33D1のような他の系列マーカーの高発現、B7−1(CD80)およびB7−2(CD86)のような共刺激分子の発現、ICAM−1(CD54)およびLFA−3のような細胞間接着分子の発現、ならびにCD40およびCD44のような他の活性化マーカーの発現が含まれる。当業者は、等価体が既知であるマウスマーカーに対するヒト等価体を理解するであろう。

0088

(3)抗原保有樹状細胞は、成熟および遊走の単一誘導のおよそ6〜12時間後に排出リンパ系器官で検出することができ、誘導後の24〜72時間で最大数に達し、続いて数が減少し、初期誘導の7〜10日後には検出不可能となる。

0089

(4)抗原保有樹状細胞の初期流入の後に、排出リンパ系器官への抗原を持たない樹状細胞の流入がおこり、それは初期誘導のおよそ24時間〜1ヶ月後に検出可能である。誘導の48時間後から、樹状細胞検出系から活性B細胞を除外して検出する必要があり、これは、CD19のようなB細胞特異的マーカーを用いて、あるいはB細胞を欠如した実験動物を用いて達成することができる。

0090

(5)抗原は、様々な手段(例えば、蛍光標識、比色標識、または放射標識の使用、あるいはペプチド:MHC複合体に特異的な抗体または他のリガンドを用いるような)により移入樹状細胞上で特異的に検出されることができる。

0091

(6)有効な方法は、樹状細胞の成熟および遊走の内因性誘導物質(例えば、TNF−αおよびIL−1βが挙げられるが、これらに限定されない)の局部放出を引き起こすその能力、および表皮ランゲルハンス細胞上のE−カドヘリンのような関連非リンパ系組織特異的接着分子の膜発現または機能の減少をもたらすその能力により同定する方法である。

0092

in vitroでの一次表皮ランゲルハンス細胞上の、抗原特異的ペプチド:MHC複合体の定量的検出および半減期
様々なワクチン配合物および送達方法の免疫学的潜在能力を評価するために、細胞膜上で発現される特異的ペプチド:MHC複合体の数を定量的に決定することができる抗原系を使用した。今日では、生細胞上で発現され、かつT細胞に認識される抗原エピトープを定量化する唯一の直接的な方法は、個々のペプチド:MHC複合体に特異的なモノクローナル抗体(mAbs)を使用する方法である。ニワトリオボアルブミン(OVA)は、免疫学的研究のプロトタイプの実験抗原として長い年月の間使用されている40kDaのタンパク質である。OVA257-264ペプチドであるSIINFEKL(963Da)はプロセシングされて、MHCクラスI分子Kbのペプチド結合溝に提示される。mAbである25−D1.16は、SIINFEKL:Kb複合体に対して特異性を有する(Porgador et al. 1997 Immunity 6:715-726)。

0093

一次表皮ランゲルハンス細胞を、Ortner等の方法に従って、C57BL/6背面の皮膚の培養外殖片から得た(Ortner et al. 1996 J. Immunol. Meth. 193:71)。72時間培養させると、ランゲルハンス細胞は成熟し、外殖片から遊走し、培養皿の底上に沈む。これらの細胞を収集し、様々な濃度の合成SIINFEKLペプチドとともに37℃で1.5時間インキュベートした。次に細胞を洗浄し、FITC結合抗MHCクラスII(I−Ab)mAbで染色し、ならびにアフィニティ精製してビオチン化した25−D1.16で、続いてPE−アビジンで染色し、FACScan(登録商標フローサイトメータ分析した。免疫グロブリンタンパク質の非特異的結合は、プレインキュベーション、ならびにアイソタイプ対照mAb(ラットIgG2a、ラットIgG2b、マウスIgG1およびマウスIgG2a、それぞれ100〜200μg/mlで)および抗Fc−受容体mAb2.4G2の混合物中での細胞の染色により阻止された。ランゲルハンス細胞は、それらの特徴的光散乱特性(前面が高く、側面が中程度の散乱)、および異常に高レベルのMHCクラスII発現により同定され、後者は、各実験に関する光散乱ゲートを最適化するのに使用した。死滅細胞を、7AAD(7−アミノアクチノマイシンD)の取り込みによる分析から排除した。

0094

図8Aは、0.01nM〜10μMのSIINFEKLとともにインキュベーションした後に25−D1.16で染色したランゲルハンス細胞の中央蛍光強度任意単位(arbitrary units))、ならびにSIINFEKLの非存在下で(ペプチドなし)インキュベートした後に、同様に染色した同じ細胞集団アリコットの中央蛍光強度を示す。各データ点は、3〜5回の個々の実験の平均値および標準偏差を表す。これらの結果は、SIINFEKL:Kb複合体が、in vitroで広範囲の濃度の抗原に暴露した後に、一次ランゲルハンス細胞上で正確にかつ再現可能に測定することができることを実証する。

0095

図8Bは、これらの細胞上でのSIINFEKL:Kb複合体の半減期を示す。72時間の耳皮膚外殖片から得られた一次ランゲルハンス細胞を、上述のように100nM SIINFEKLとともにインキュベートし、広範囲にわたって洗浄し、SIINFEKLを欠如した培地中で再度インキュベートした。その後様々な時間に、上述のように、一定量の細胞を取り出し、染色して、分析した。その結果は、in vitroでの成熟一次ランゲルハンス細胞上でのSIINFEKL:Kb複合体の半減期がおよそ40時間であり、樹状細胞上のMHCクラスI:ペプチド複合体に関する他種のアッセイ(Ruedl et al. 2000 J. Immunol. 165:4910-4916; Cella et al. 1999 J. Exp. Med. 189:821-829)から推定される半減期よりもかなり長いことを実証する。

0096

ペプチド抗原は、通常、低周波超音波処理、続いてランゲルハンス細胞遊走および成熟の化学的誘導物質を用いて送達されることができる
図9は、樹状細胞遊走および成熟の誘導を最大限にするための、超音波、続いてフタル酸ジブチルおよびアセトンの局所塗布により皮膚へペプチド抗原(SIINFEKL)を送達する効果を示す。DMSO中のSIINFEKL(240μg)、またはDMSO単独を、C57BL/6マウスの剃毛した腹部皮膚に塗布して、ヒドロゲル被覆して、そこに直径13mmの超音波トランスデユーサを挿入した。20kHzおよび1.6W/cm2にて、2秒毎に1秒パルスで6分間、総超音波用量288J/cm2で超音波を印加した。2時間後、アセトンとフタル酸ジブチルの50:50v/v溶液を同じ区域に局所塗布した。2日後、皮膚排出鼠径リンパ節を取り出し、免疫蛍光フリーサイトメトリーにより細胞を分析した。

0097

流入領域リンパ節に遊走した抗原保有樹状細胞は、各ドットプロットの右上象限に示される。リンパ節の樹状細胞は、それらの光散乱特性およびMHCクラスII(FL1)の異常に高い表面発現により同定されると同時に、抗原エピトープは、上述のようにKb:SIINFEKL特異的mAb25−D.16(FL2)を用いて検出された。リンパ節1つ当たりの抗原保有遊走樹状細胞の絶対数を表1に示す。

0098

【表1】

0099

本発明者等の動物施設の未処置C57BL/6マウスの鼠径リンパ節中の樹状細胞の頻度は、節1つ当たり樹状細胞4,636個(標準偏差1,796個)である。図9Aに示す結果は、樹状細胞遊走/成熟を誘導するこの局所方法により、多数の樹状細胞(およそ60,000個)を、いかなる抗原が存在していなくても、流入領域リンパ節に侵入させることができるという印象的な証拠を提供する。この手順により末梢から遊走するように誘導された樹状細胞が表現型的に成熟しているという証拠は、それらの細胞がMHCクラスIIを非常に高度に表面発現すること(FL1を参照)、ならびにそれらの細胞がCD44、α4インテグリン、ICAM−1、LFA−3、B7−1、B7−2、およびCD40を発現することを含む(データは示さず)。したがって、本発明者等は、この種の作用物質を「遊走/成熟誘導物質」と称する。この表現型を有する樹状細胞は、機能的に成熟しており、T細胞活性化の強力な刺激因子であるということ(Banchereau and Steinman
1998 Nature 392:245-252)、および表皮から遊出するように誘導されたランゲルハンス細胞は、リンパ節への侵入に関して機能的に成熟しており、それらに収められた抗原に対してナイーブT細胞を活性化することが可能であるということ(Udey 1997 Clin. Exo. Immunol. 107 (Suppl. 1)6-8)は、免疫学の文献で十分に確立されている。

0100

mAb 25−D1.16は、他者等の見解(Porgador et al. 1997 Immunity 6:715-726)と同様に、SIINFEKL:Kbに特異的であるが、本発明者等は、SIINFEKLの非存在下で遊走および成熟された幾つかのリンパ節樹状細胞(2,862個)(図9Aおよび表1)が、in vitroで得られた対応する細胞上では見られない、該mAbによるバックグラウンド染色を示すことを見出した(図8A)。このmAbによるバックグラウンド染色は、Kb発現を必要とし、未知の内因性ペプチドで専有されたKb分子との交差反応性を表す(Porgador et al. 1997 Immunity 6:715-726)。それにも関わらず、超音波媒介性のSIINFEKLへの局所暴露後にリンパ節へ遊走するように誘導されたランゲルハンス細胞(図9Bおよび表1)は、このmAbと反応性を有する細胞数(13,216個)の5倍に相当した。これらの結果は、樹状細胞の遊走および成熟の化学的誘導と組み合わせた抗原送達のこの局所方法が、流入領域リンパ節中に多数の抗原保有樹状細胞を生じさせるという量的証拠を提供する。

0101

局所塗布したフルオレセインイソチオシアネート(FITC)を用いた本発明者等の研究所でのこれまでの研究は、皮膚流入領域リンパ節への表皮ランゲルハンス細胞移入のピークが、遊走/成熟の誘導物質の局所送達のおよそ48時間後に起きることを実証している(例えば、図2を参照)。したがって、表皮ランゲルハンス細胞に送達される局所ワクチンの有効性に関する問題は、表皮におけるペプチドへの暴露後に未熟ランゲルハンス細胞上に生成するペプチド:MHCクラスI複合体のin vivoにおける半減期である。in vitroにおける成熟ランゲルハンス細胞上のペプチド:MHCクラスI複合体の半減期は、およそ40時間であった(図8B)。Cella等は、ヒト末梢血前駆体から得られる樹状細胞上のペプチド:MHCクラスI複合体に関して、半減期がたったの10時間であると報告した(Cella et al. 1999. J. Exp. Med. 189:821-829)。同様に、Ruedl等は、マウスの皮膚に送達されるクラスIペプチドは、たった1日で流入領域リンパ節樹状細胞により提示されることを報告した(Ruedl et al. 2000 J. Immunol. 165:4910-4916)。対照的に、図9Bに示す結果は、本方法により未熟表皮ランゲルハンス細胞上に生成されたペプチド:MHCクラスI複合体のin vivoにおける半減期が、これらの細胞が48時間後にT細胞を活性化するために流入領域リンパ節中に蓄積するのを可能するのに十分であることを確立する。

0102

しかしながら、角質層を通過して輸送されるペプチド量が未知であるので、上述の実験では、in vivoでの半減期を指定することはできなかった。正確な半減期を決定するために、本発明者等は、ランゲルハンス細胞が表皮において暴露されるペプチドの量を知る必要があった。この目的で、本発明者等は、角質層を迂回し、表皮へ直接、既知量のペプチドを送達することを試みた。その結果および続く実験は、予期せぬ意義があり、本発明者等の先願特許出願に対する本発明の改良の基礎となった。

0103

皮膚へ注射したタンパク質およびペプチド抗原は、樹状細胞を遊走することによりリンパ節へ輸送されうる
図10は、A)ハンク平衡塩溶液(HBSS)20μl、B)HBSS中のニワトリオボアルブミン(OVA)の0.05m溶液20μl、またはC)HBSS中のOVA257-264ペプチド(SIINFEKL)の0.5mM溶液20μlを、マウスの剃毛した腹部皮膚における2つの対側性部位間に均等に分割して注射した場合の効果を示す。マウスの腹部皮膚における細胞外液腔は、約10μlを超えて含有することができないようであり、そこで、1部位に付き、OVAタンパク質200μg、またはSIINFEKLペプチド4.8μgのみを注射した。しかしながら、これらの注射が皮膚に限定されたかどうかは明らかでない。注射の2時間後に、フタル酸ジブチルおよびアセトンの局所塗布を腹部皮膚に行った。2日後に流入領域リンパ節に遊走した抗原保有樹状細胞を上述した手順により分析し、各ドットプロットの右上象限に示す。

0104

表2中のデータは、HBSSの注射、続いて未熟樹状細胞遊走/成熟の局所誘導(図10A)すると、DMSOを用いた超音波処理、続いてフタル酸ジブチルおよびアセトンの場合と(図9A)とほぼ同数の流入領域リンパ節中の移入樹状細胞数(およそ56,000個)、および同程度の25−D1.16によるバックグラウンド染色(2,016)がもたらされたことを示す。しかしながら、驚くべきことに、OVAタンパク質またはSIINFEKLペプチドのいずれかの注射、続いて未熟樹状細胞遊走を局所誘導すると、2日後に流入領域リンパ節に見られる抗原保有樹状細胞数がかなり増加(それぞれ、31倍および44倍)した。これは、注射した抗原のモル用量が、皮膚に塗布され、超音波により角質層を通して送達される抗原のたった2%である場合に注目すべきと思われる。この手順により、表皮から遊出するように誘導された未熟樹状細胞は、リンパ節へ至る途中で注射された抗原を捕捉することが可能になるようであった。しかしながら、この実験計画は、たとえあるとしても、遊走誘導物質の役割に取り組むものではなかった。

0105

【表2】

0106

樹状細胞遊走および成熟の誘導物質の役割
図11は、所望の結果を達成する際の樹状細胞の遊走/成熟の効果的な誘導物質を塗布する役割を示す。SIINFEKLペプチド抗原(総量HBSS150μl中144μg)を、マウスの剃毛した腹部皮膚中およびその皮膚を通して、2つの対側性部位で、分割用量で注射した。この2時間後に、A)さならる処置を施さない、またはB)フタル酸ジブチルおよびアセトンの局所塗布を、腹部皮膚に施した。2日後に流入領域リンパ節に遊走した抗原保有樹状細胞を、各ドットプロットの右上象限に示す。リンパ節1つ当たりの抗原保有移入樹状細胞の絶対数を表3に示す。

0107

【表3】

0108

図11および表3を参照すると、SIINFEKLペプチドを2日前に注射し、さらなる処置をしなかったマウスの鼠径リンパ節に見られる樹状細胞数(3,024個)は、未処置マウスで見られる樹状細胞数(すなわち、4,636個)(標準偏差1,796個)の正常範囲内である。換言すると、大量のペプチド抗原を含有する高液容量の注射によっては、流入領域リンパ節への樹状細胞の検出可能な遊走を誘導することはできなかった。これらの結果が抗原の広い分散をもたらすということは、エバンスブルー色素を比較注射した後に、顕微鏡検査することにより確認された。色素は、表皮、真皮、皮下脂肪および腹膜壁の外側表面に浸透することがわかった(データは示さず)。それにも関わらず、同じリンパ節に見られる、MHCクラスI:SIINFEKL複合体を検出するモノクローナル抗体と反応する樹状細胞数(504個)は、図10に示すこの試薬で非特異的に染色した樹状細胞数(2,016個)(HBSS注射したマウス)未満である。したがって、大量の、かつ広範の可溶性ペプチド抗原にも関わらず、流入領域リンパ節に遊走するように誘導された抗原保有ランゲルハンス細胞は検出されず、常在樹状細胞による取り込みのためにリンパ節に到達したペプチドは検出されなかった。これらの結果は、炎症誘発性でなく、かつ末梢樹状細胞の遊走を誘導することができないサブユニットワクチンが、臨床的に有用であるのに十分な免疫原性を欠如する場合がある理由を実証する。

0109

対照的に、SIINFEKLを2日前に注射、続いて遊走/成熟誘導物質の局所塗布を施したマウスに見られる樹状細胞数(55,912個)は、リンパ節1つ当たりの樹状細胞の総数の18.5倍の増加を示す。より重要なのは、有効な遊走誘導物質を塗布すると、リンパ節1つ当たり22,239個の抗原保有樹状細胞を生じ、有効な遊走/成熟の誘導物質なしの場合の抗原注射後に得られる抗原保有樹状細胞数の44倍の増加を表す。

0110

この手順により末梢から遊走するように誘導された樹状細胞上に見られるペプチド:MHC複合体の密度
上述のように、成熟抗原保有樹状細胞がリンパ節中でナイーブT細胞と遭遇し、ナイーブT細胞を活性化するかどうかは、節に侵入する抗原保有樹状細胞数だけでなく、抗原保有樹状細胞の膜上で発現されるMHC:ペプチド複合体の密度にも依存する可能性が高い。この手順により生成される移入樹状細胞上のペプチド:MHC複合体の密度を推定するために、本発明者等は、同一の染色条件およびフローサイトメトリー設定を用いて、ペプチド:MHC特異的mAbである25−D1.16により検出される様々な細胞集団の蛍光強度を比較した。結果を表4に示したが、表4は、in vitroまたはin vivoでの様々な処置後の樹状細胞の原形質膜上で発現される特異的ペプチド:MHC複合体の数を提供する。

0111

腫瘍細胞であるE.G7−OVAは、ニワトリオボアルブミン(OVA)の完全な遺伝子でトランスフェクトされたC57BL/6 EL4胸腺腫である。Kb:SIINFEKL複合体は、自然にプロセシングされて、E.G7−OVAの原形質膜上で発現される。1の細胞が発現するこれらの複合体の数は、2つの異なる研究所で別個に測定されており、88個(Rotzschke et al. 1991 Eur. J. Immunol. 21:2891-2894)または90個(Malarkannan et al. 1995 J. Exp. Med. 182:1739-1750)であると報告されている。したがって、E.G7−OVAの蛍光強度は、本研究で同定される樹状細胞集団上で発現されるKb:SIINFEKL複合体数を推定するための標準として使用することができる。図9に示す移入リンパ節樹状細胞は、細胞1個当たり中央値633個のKb:SIINFEKL複合体を発現する一方で、図10に記載する手順により生成される移入リンパ節樹状細胞は、細胞1個当たり中央値860個のKb:SIINFEKL複合体を発現した。

0112

【表4】

0113

a:細胞が暴露されるSIINFEKLペプチドの量と供給ソース。
b:mAb25−D1.16で染色したE.G7−OVA細胞から、25−D1.16の非存在下での同じ細胞集団の非特異的染色を減じた中央蛍光強度;あるいはin vitroでのランゲルハンス細胞の場合では、SIINFEKLとともにインキュベートし、かつ25−D1.16で染色した細胞の中央蛍光強度から、SIINFEKLの非存在下でインキュベートし、かつ25−D1.16で染色した細胞の中央蛍光強度を減じた中央蛍光強度、またはin vivoでの移入ランゲルハンス細胞の場合では、同じ試料中の陰性ランゲルハンス細胞の中央蛍光強度を減じた中央蛍光強度。
c:細胞1個当たりのSIINFEKL:Kb複合体の中央値は、同じ試薬および同じフローサイトメトリー設定を用いて、E.G7−OVA細胞上で検出される中央比蛍光強度から算出した。E.G7−OVA細胞上で発現されるSIINFEKL:Kb複合体の報告された数に基づいて、1蛍光強度単位=20SIINFEKL:Kb複合体。
d:Rotzschke, O等(48)は、E.G7−OVA細胞1個当たり88個のSIINFEKL:Kb複合体であると報告した。Malarkannan, S等(49)は、E.G7−OVA細胞1個当たり90個のSIINFEKL:Kb複合体であると報告した。
e:in vitroで72時間のうちに皮膚外殖片から遊出した一次ランゲルハンス細胞を、SIINFEKLとともに1.5時間インキュベートし、洗浄し、すぐに分析した。
f:in vivoでの処置の48時間後に鼠径リンパ節から得られる移入ランゲルハンス細胞。
g:使用した超音波は、20kHz、1.6W/cm2で1秒パルス/2秒を6分間、すなわち288J/cm2であった。

0114

異なる研究所における様々な研究(例えば、Reay et al. 2000 J. Immunol. 164:5626-5634、およびWherry et al. 1999 J. Immunol. 163:3735-3745)により、およそ200〜400個のMHC:ペプチド複合体が、所望のレベルのT細胞活性化を提供することを示している。したがって、図10および図11、ならびに表4に示す結果は、開示された処置後のリンパ節中で見られる抗原保有樹状細胞上の特異的ペプチド:MHC複合体の密度が、1または複数の抗原に対する一次免疫応答を誘導するのに充分であることを示す。さらに、そのデータは、樹状細胞遊走/成熟を誘導するための有効な手段の適用は、別の状況では免疫系により無視されるであろう抗原の投与のための強力な免疫学的アジュバントであることを示す(図11Aおよび表3を参照)。

0115

図10に示すタンパク質およびペプチド形態の抗原をモル当量で注射し、リンパ節中のMHCクラスI:SIINFEKL保有樹状細胞の同様な頻度をもたらした。さらに、樹状細胞1個当たりのMHCクラスI:SIINFEKL複合体の密度(FL2蛍光強度)は、注射した抗原が合成ペプチドであれ、全天然タンパク質であろうと同様であった。これらのデータは、この手順の効果が抗原の供給ソースに依存せず(すなわち、飲食細胞運動を受け、プロセシングされるか、またはペプチド交換により得られる)、その構造形態に依存しないことを示す。したがって、本発明は、任意の供給ソース、例えば、原核生物または真核生物、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、寄生虫およびプリオン、天然、合成または組換え、異種、同種異系、同系、または自系(しかし、これらに限定されない)由来の1または複数の抗原において有用である。さらに、本発明は、任意の構造形態、例えば、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質、有機物無機物、およびそれらの任意の組合せ(しかし、これらに限定されない)の抗原を用いても有用である。

0116

開示された処置による免疫原性を確認するために、10匹のC57BL/6マウス群に、HBSS中の1.25mM OVAタンパク質50μlを注射したか、HBSSだけを注射したか、または何も注射しなかった。この1時間後に、アセトン中のDBPの局所塗布を施したか、または何もしなかった。1ヶ月後、マウスに、5×105個のEL4腫瘍細胞、または5×105個のE.G7−OVA腫瘍細胞を皮下接種し、続いて腫瘍成長を測定した。図12に示すように、唯一の組合せ(すなわち、OVAタンパク質、続くDBPおよびアセトンの注射、続くOVAでトランスフェクトした腫瘍細胞系であるE.G7−OVAの接種)だけが、腫瘍防御をもたらした。

0117

図10図12に示すデータは、この手順のアジュバント効果が、抗原の送達および樹状細胞の遊走/成熟の有効な誘導物質の塗布が物理的、空間的および時間的に別個の事象である場合でさえも達成することができることを実証する。このことは、本発明者等の従来の結果(例えば、米国特許出願第09/176,044号)から予測できず、また本発明者等が認識しているいかなる従来技術にも示唆されてはいない。さらに、本発明は、現在使用されている方法により送達される既存のワクチン配合物の免疫原性を高めるために使用することもできることから、即時に利用できる可能性を有する。本発明はまた、ネーキッドDNA(Fan et al. 1999 Nature Biotech. 17:870-872)、またはウイルスベクター(国際公開第00/22124号)もしくは他の発現構築物(Irvine et al. 2000 Nature
Biotech. 18:1273-1278)に組み込まれたDNAの局所塗布(しかし、これらに限定されない)のような実験用ワクチン配合物の免疫原性および送達方法を高めることもできる。

0118

本発明は、任意の手段により宿主に送達される1または複数の抗原に有用であると考えられる。抗原は、針による角質層の浸透により(図10図12に示すような)、あるいは他の一般に使用されている侵襲性手順により送達されうる。1または複数の抗原は、化学的または生物学的浸透エンハンサ、および超音波、イオン導入、エレクトロポレーション、レーザ熱的効果静水圧または他の物理的手段により達成される浸透(しかし、これらに限定されない)のような各種浸透エンハンサを用いて(図9に示すように)、あるいはそれらを用いずに、皮膚または粘膜に局所塗布され得る。あるいは、感染またはトランスフェクションにより、あるいは掻爬化学的表皮剥離、レーザ、または科学文献および特許文献に記載される他の物理的もしくは化学的手段を用いて、角質層を破壊することにより、樹状細胞を1または複数の抗原に暴露することができる。

0119

開示される手順はまた、皮膚または粘膜以外の非リンパ系器官から、それらの部位を排出するリンパ節へと、未熟樹状細胞の遊走/成熟を誘導するのに用いることができる。この実施形態では、かかる部位に、遊走/成熟の有効な誘導物質を直接塗布することにより、あるいは薬物送達の技術分野の当業者に既知の間接的な手段を用いてこれらの部位に誘導物質を送達することにより達成することができる。

0120

樹状細胞へ送達される抗原量は、誘導される遊走の程度に依存しない
表5は、リンパ節に続いて出現する樹状細胞上の細胞結合抗原の量に対する、樹状細胞の遊走/成熟の誘導物質の種々の組成物の効果を示す。使用する抗原はFITCであり、手順は図1で示した実験に使用した手順と同一とした。すなわち、5mg/mlのFITCを、アセトンと遊走誘導用の試験作用物質の50:50溶液中に溶解した。この実験で使用した試験作用物質は、フマル酸ジブチル(作用物質#1)、マレイン酸ジイソオクチル(作用物質#2)、およびD−酒石酸ジブチル(作用物質#3)とした。上記に詳述するように、FITC+およびFITC−樹状細胞の存在に関して、鼠径リンパ節を48時間後に検査した。

0121

【表5】

0122

a:リンパ節1つ当たりのFITC+MHCクラスIIHi細胞
b:抗原/DCの量は、樹状細胞の平均蛍光強度(任意単位)により求めた。
c:総DC=リンパ節1つ当たりのFITC+樹状細胞にFITC−樹状細胞を加えたもの

0123

データは、樹状細胞に送達される抗原量が、誘導される遊走の程度に依存しないことを示す。表皮ランゲルハンス細胞へのMHC結合ペプチド抗原の送達は、流入領域リンパ節にそれらを誘導するのに十分であり得る(Becker 1994 Virus Genes 9:33-45)と仮説されているが、本発明者等が知る限りではこの仮説は試験されておらず、本発明者等は、それが真実であることを示す証拠を見出していない。例えば、フルオレセインイソチオシアネートは、アセトン、およびオリーブ油のような親油性浸透エンハンサ中で塗布されると、皮膚を浸透することができる(免疫蛍光組織学により観察されるような)小ハプテン抗原である(データは示さず)。しかし、フルオレセインイソチオシアネートは、皮膚を単に剃毛することにより誘導される程度を超えて、リンパ節への樹状細胞の遊走を誘導することはほとんどない。同様に、明らかにレシピエント樹状細胞上でMHCクラスI分子に結合することが可能な大量のペプチド抗原を注射しても、注射部位を排出するリンパ節に見られる樹上細胞上に検出可能なペプチド:MHC複合体は生じなかった(図11A、および表3)。したがって、抗原に対する未熟樹状細胞の暴露は本質的に、ワクチンとして有用であるのに十分な数の、流入領域リンパ節へのそれらの成熟および遊走を誘導するのに十分ではない。逆に、図9Aおよび図10A、ならびに表1および表2に示すデータから、リンパ節への樹状細胞の遊走の有意なレベルは、樹状細胞の有効な誘導物質を、フェノールレッドを欠如した滅菌HBSSを注射した後に局所塗布した場合のように、任意の既知の抗原の非存在下で誘導させることができることが明らかである。

0124

他方で、幾つかの抗原浸透は、樹状細胞の遊走の誘導物質を含有してもよい。これは、抗原が炎症誘発性をも有し、樹状細胞の遊走を誘導する場合(例えば、ある特定の微生物またはLPSのようなそれらの産物)には必然的に有する。これはまた、抗原がTNF−αまたはIL−1のような樹状細胞誘導の内因性媒介物質に結合される場合に、合成設計により達成され得る。しかしながら、非常に多くの場合で、末梢未熟樹状細胞への抗原の送達は、所望のアジュバント効果にとって十分ではない。同様に、免疫応答を高める全ての物質または手順が、樹状細胞遊走を有効に誘導することにより行われると考えることは不十分であり、間違っている場合がある。

0125

免疫学の技術分野の当業者は、開示される本発明が、免疫応答の細胞上の抗原特異的受容体のアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストである抗原を用いて使用されることを理解するであろう(Sloan-Lancaster and Allen 1996 Annu. Rev. Immunol.14.1; Alam et al. 1999 Immunity 10:227)。明白な拡張により、本発明は、抗原特異的ではないが、特定の型の免疫応答を活性化または抑制するのに機能する、免疫系細胞上の他の受容体のアゴニストまたはアンタゴニストである物質と併用され得る。当該分野の当業者は、既知の方法の組合せを用いて本発明を実施することができ、免疫応答の活性化、阻害、延長または中止を達成または増大することができる。

0126

開示される手順は、流入領域リンパ節へ、抗原を含まない樹状細胞および末梢血白血球のの流入をさらに誘導する
図13のデータは、リンパ節への樹状細胞の遊走を有効に誘導した後に、同じリンパ節への非抗原保有樹状細胞の流入が長期にわたって続くことを実証する。この効果はまた、表1、表2および表3、ならびに米国特許出願第09/176,044号に示されるデータからも明らかである。樹状細胞の遊走および成熟の誘導の直後の流入領域リンパ節の細胞密度の増加(図3を参照)は、抗原特異的細胞分裂だけが原因であるとするとその効果が生じるのが迅速すぎると考えられるため、抗原特異的免疫系細胞の増大の結果というよりはむしろ、主に末梢血白血球の流入(Tedla et al. 1998 J. Immunol. 161:5663-5672)の結果である可能性がある。

0127

末梢血を介する樹状細胞および他の白血球のこの二次流入は、流入領域リンパ節に至る途中で、抗原堆積部位または抗原拡散部位への未熟樹状細胞の遊走を有効に誘導すること起因するアジュバント効果を増加させることに関連する。本発明のこの概念化を、図11に示す実験で得られたデータを用いて、図13に表す。流入領域リンパ節への樹状細胞の初期移入、および非抗原保有樹状細胞および血行性白血球の二次流入は、遊走/成熟の有効な誘導物質の塗布に依存する。

0128

未熟樹状細胞の遊走および成熟の誘導を、効率を損失することなく繰り返すことができる
表6に示すデータは、樹状細胞の遊走および成熟の効果的な誘導を、塗布後の初期の14日目程度に同一部位に塗布を繰り返すことにより、応答を完全に回復することができることを実証する。使用する抗原は、FITCであり、それを、フタル酸ジブチルとアセトンの50:50溶液中で、5mg/mlで、C57BL/6マウスの剃毛した腹部皮膚に局所塗布した。塗布はそれぞれ同一であり、各群のマウスの半分に第1の塗布のみ(なし)を施し、半分は、第1の投与後に指定間隔(14日または21日)で第2の塗布を施した。上記に詳述したように、各処置の48時間後に、FITC+樹状細胞に関して、鼠径リンパ節細胞を、フローサイトメトリーで検査した。

0129

この手順を繰り返すことができる最短間隔は必ずしも2週ではないが、それは、経験的に使用することができる最短時間であった。その時間より短い場合は、残存抗原保有樹状細胞が依然として流入領域リンパ節に見出されるため、新たな移入抗原保有樹状細胞の正確な定量を不明瞭にする。

0130

【表6】

発明を実施するための最良の形態

0131

開示される手順の反復性は、DNAワクチン用の、あるいは抗原の長期にわたる発現および/または放出をもたらす他の形態の抗原用のアジュバントとしてのその有用性に関して重要であり得る。すなわち、複数の免疫化によって得られる効果と同等であるか、またはそれを上回るブースター効果を達成するために、長期の抗原発現をもたらすワクチンの単一投与は、適切な時間間隔で、樹状細胞の遊走および成熟を繰り返し誘導することで達成することができる。

0132

本発明の多数の好ましい実施形態およびそれらの変形を詳述してきたが、これらを用いた他の変更形態および方法、ならびにこれらの医療用途が当業者には明らかであろう。したがって、本発明の精神または特許請求の範囲を逸脱することなく、等価物の様々な応用、変形、および置換がなされてもよいことが理解されるべきである。

図面の簡単な説明

0133

図1
処置の2日後の流入領域リンパ節における総樹状細胞およびFITC+樹状細胞に対する、様々な局所処置レジメンの効果を示す図である。
図2
アセトンおよびフタル酸ジブチル中の局所FITCに応答した、流入領域リンパ節への樹状細胞遊走の動態を示す図である。
図3
総リンパ節細胞数に対する、アセトンおよびフタル酸ジブチル中のFITCの局所処置の効果を示す図である。
図4
アセトンおよびフタル酸ジブチル中の腫瘍ペプチドSIINFEKLの皮膚局所処置によるE.G7−OVA腫瘍成長の阻害が乏しいことを示す図である。
図5
アセトンおよびフタル酸ジブチル中のSIINFEKLの膣内塗布によるE.G7−OVA腫瘍特異的免疫性の誘導を示す図である。
図6
濃DMSO中のSIINFEKL、続いてアセトン中のフタル酸ジブチルの皮膚局所処置によるE.G7−OVA腫瘍成長の阻害を示す図である。
図7
FITCスクリーニングアッセイにおけるランゲルハンス細胞遊走の様々な潜在的誘導物質の効果を示す図である。
図8
in vitroでの様々な濃度のペプチド抗原に対する暴露後の一次表皮ランゲルハンス細胞上の特異的ペプチド:MHC複合体の定量的検出および半減期を示す図である。
図9
超音波を用いたペプチド抗原の局所送達、続いてin vivoでの樹状細胞遊走/成熟の化学的誘導物質の局所投与の効果を示す図である。
図10
可溶性タンパク質抗原またはペプチド抗原のマウスへの注射、続いて樹状細胞遊走/成熟の有効な誘導物質の局所処置の効果を示す図である。
図11
所望の効果を達成するための、樹状細胞遊走/成熟の誘導物質の役割を示す図である。
図12
腫瘍関連タンパク質抗原の注射、続いて樹状細胞遊走/成熟の誘導物質の局所処置による腫瘍特異性免疫性の誘導を示す図である。
図13
リンパ節への樹状細胞遊走の効果的な誘導は、そのリンパ節への非抗原保有樹状細胞の長期流入の後におこることを示す図である。
図14
例として図11に示すデータを用いた、導入抗原の免疫原性に対する、未熟樹状細胞の遊走および成熟を誘導する全体のアジュバント効果を示す図である。

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