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課題・解決手段

本発明は,化合物およびそのレセプターチロシンキナーゼ活性阻害するための用途に関する。本発明は,好ましくは,c−kitキナーゼの過剰活性または不適切な活性により特徴づけられる細胞増殖性疾患,例えば癌を治療するために用いられる。

概要

背景

概要

本発明は,化合物およびそのレセプターチロシンキナーゼ活性阻害するための用途に関する。本発明は,好ましくは,c−kitキナーゼの過剰活性または不適切な活性により特徴づけられる細胞増殖性疾患,例えば癌を治療するために用いられる。

目的

本発明の化合物は,1またはそれ以上の機能的c−kit蛋白質キナーゼに関連する疾病の治療および/または予防を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
5件

この技術が所属する分野

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請求項1

生物において異常な状態を治療または予防する方法であって,前記異常な状態は,c−kitキナーゼにより媒介されるシグナル伝達経路の異常に関連しており,前記方法は,前記生物にインビトロでc−kitキナーゼの触媒活性を調節する治療上有効量のインドリノン化合物投与する工程を含む方法。

請求項2

前記シグナル伝達経路の前記異常が前記c−kitキナーゼと天然結合パートナーとの間の相互作用により媒介され,前記インドリノン化合物が,インビトロで前記c−kitキナーゼと前記天然の結合パートナーとの間の相互作用を調節する,請求項1記載の方法。

請求項3

前記異常な状態が,不適切なc−kitキナーゼシグナル伝達に関連する疾病である,請求項1記載の方法。

請求項4

前記異常な状態が,肥満細胞症,1またはそれ以上の肥満細胞腫瘍の存在,ぜん息,およびアレルギー関連慢性鼻炎からなる群より選択される,請求項1記載の方法。

請求項5

前記異常な状態が,小細胞肺癌非小細胞肺癌急性骨髄性白血病急性リンパ性白血病脊髄形成異常症候群,慢性骨髄性白血病結腸直腸癌腫胃癌腫胃腸間質腫瘍精巣癌,神経膠芽細胞腫,および星状細胞腫からなる群より選択される,請求項1記載の方法。

請求項6

前記生物が哺乳動物である,請求項1記載の方法。

請求項7

前記生物がヒトである,請求項1記載の方法。

請求項8

前記インドリノン化合物が,式I:(I)[式中,(a)Yは,酸素イオウおよび水素置換された窒素からなる群より選択され;(b)R1,R2,R3,およびR4は,それぞれ独立して,水素,アルキルアルコキシアリールアリールオキシアルカリール,アルカリールオキシハロゲントリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,NHC(O)R,(CH2)nCO2R,およびCONRR’からなる群より選択され;(c)R5は,水素,アルキル,アルコキシ,アリール,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,トリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,NHC(O)R,(CH2)nCO2R,CONRR’,1または2個のN,O,またはS原子を含む6員のヘテロアリール環系;および6員のアリール環系からなる群より選択され;および(d)R6およびR7は,それぞれ独立して,水素,アルキル,アルコキシ,アリール,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,トリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,NHC(O)R,(CH2)nCO2R,およびCONRR’,からなる群より選択される]に記載される構造の化合物である,請求項1,2および3のいずれかに記載の方法。

請求項9

前記インドリノン化合物が,式II:(II)[式中,(a)Yは,イオウおよび水素で置換された窒素からなる群より選択され;(b)R1は,独立して,水素およびメチルからなる群より選択され;(c)R2は,独立して,水素,塩素臭素,−C(O)CH3,−SO2NH2,およびSO2N(CH3)2からなる群より選択され;(d)R3は,独立して,水素,メチル,および−CH2CH2COOHからなる群より選択され;および(e)R4およびR5は,独立して,水素,メチル,−CH2CH2COOH,および一緒になって6員の脂肪族または芳香族環を形成する置換基からなる群より選択される]に記載される構造の化合物である,請求項1,2および3のいずれかに記載の方法。

請求項10

前記インドリノン化合物が以下の化合物:からなる群より選択される,請求項1,2および3のいずれかに記載の方法。

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0001

本出願は,米国特許出願60/171,693(1999年12月22日出願,この全体を本明細書の一部としてここに引用する)に基づく優先権を主張する。

0002

発明の分野
本発明は,細胞増殖性疾患阻害する方法,化合物,および組成物に関する。本発明は,c−kitキナーゼの過剰活性および/または不適切な活性により特徴づけられる細胞増殖性疾患を阻害するのに特に有用である。

0003

発明の背景
以下の本発明の背景の記載は,本発明の理解を助けるために提供されるものであり,本発明に対する先行技術であるかまたはこれを記載すると認めるものではない。

0004

Kitシグナリングは,胎児性の発生に重要であり,成人生殖能力においても役割を果たし続ける(Mauduit et al.(1999)Human Reproduction Update 5:535−545)。精子形成は,SCFの非存在下で(Ohta et al.(2000)Development 127:2125−2131),またはKitがPI3キナーゼ経路を介してシグナリングする能力がない場合(Blume Jensen et al.(2000)Nature Genetics 24:157−162;Kissel et al.(2000)EMBO Journal 19:1312−1326),阻害される。Kit発現はまた,生殖能の劣る精巣においては正常な精巣組織より低いことが観察されている(Feng et al.(1999)Fertility&Sterility71:85−89)。Kitシグナリングは,卵子形成および小胞形成にも重要である(Parrott&Skinner(1999)Endocrinology 140:4262−4271;Driancourt et al.(2000)Reviews of Reproduction 5:143−152)。これらの知見は,Kitキナーゼ阻害剤は,雄および雌の両方の生殖能を減少させるであろうことを示唆する。

0005

Kitは,肥満細胞機能の鍵となるメディエータとして,肥満細胞に関連する病理において役割を果たすかもしれない。例えば,肥満細胞は,ヒト腎同種移植片慢性拒絶における間質性繊維症と関連づけられている(Pardo et al.(2000)Virchows Archiv 437:167−172)。肥満細胞はまた,肝臓同種移植片拒絶(Yamaguchi et al.(1999)Hepatology 29:133−139),および肥満細胞をリクルートするSCFを肝星細胞が産生する肝臓繊維症(Gaca et al.(1999)J.Hepatology 30:850−858)における関与が示唆されている。これらの知見は,Kitキナーゼ阻害剤が臓器拒絶および繊維症の予防を助けるかもしれないことを示唆する。

0006

肥満細胞はまた,肥満細胞において不十分な変異型Kitレセプターを有するマウスを用いる実験動物において多発性硬化症(Secor et al.(2000)J.Experimental Medicine 191:813−822)および虚血再灌流障害(Andoh et al.(1999)Clinical&Experimental Immunology 116:90−93)の病理における関与が示唆されている。いずれの場合も,疾病の病理は,正常なKitおよび肥満細胞集団を有するマウスと比較して,有意に弱体化していた。すなわち,これらの疾病における肥満細胞の役割は,Kitキナーゼ阻害剤が有用な治療剤であるかもしれないことを示唆する。

0007

細胞シグナル伝達は,細胞外刺激細胞の内部にリレーされ,次に多様な細胞プロセスを制御する基本的なメカニズムである。シグナル伝達の鍵となる生化学的メカニズムの1つには,蛋白質可逆的リン酸化が関与する。ポリペプチドリン酸化は,成熟蛋白質の構造および機能を変化させることによりその活性を制御する。リン酸は,ほとんどの場合,蛋白質中セリントレオニン,またはチロシンアミノ酸ヒドロキシル基(−OH)に存在する。

0008

細胞エフェクターのリン酸化を媒介する酵素は一般に2つの群に分けられる。第1の群は,アデノシン三リン酸から蛋白質基質リン酸基転移する蛋白質キナーゼからなる。第2の群は,ホスホリル蛋白質基質からのリン酸基を加水分解する蛋白質ホスファターゼからなる。蛋白質キナーゼと蛋白質ホスファターゼの逆の機能は,シグナル伝達プロセスにおけるシグナルの流れを平衡させ制御する。

0009

蛋白質キナーゼおよび蛋白質ホスファターゼは,一般に2つのグループに分けられる:レセプターおよび非レセプタータイプの蛋白質。ほとんどのレセプタータイプ蛋白質チロシンホスファターゼは,2つの保存された触媒ドメインを含み,それぞれは,240アミノ酸残基セグメント包含する(Saito,et al.,1991,Cell Growth and Diff.2:59−65)。レセプター蛋白質チロシンホスファターゼは,さらに,その細胞外ドメインアミノ酸配列多様性に基づいて副分類することができる(Saito,et al.,上掲;Krueger,et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7417−7421)。

0010

蛋白質キナーゼおよび蛋白質ホスファターゼはまた,これが作用するアミノ酸に基づいて,典型的には3つのクラスに分けられる。あるものはセリンまたはトレオニンのみでリン酸の付加または加水分解を触媒し,あるものはチロシンのみでリン酸の付加または加水分解を触媒し,あるものはセリン,トレオニン,およびチロシンのみでリン酸の付加または加水分解を触媒する。

0011

チロシンキナーゼは,細胞増殖に関与する他の蛋白質キナーゼの触媒活性を制御することができる。不適切な活性を有する蛋白質キナーゼはまた,ある種の癌に関与する。異常に上昇したレベルの細胞増殖は,制御されない活性を有するレセプターおよび非レセプター蛋白質キナーゼと関連する。

0012

蛋白質キナーゼは,細胞増殖におけるその役割に加えて,細胞分化プロセスに関与していると考えられている。細胞分化は,ある細胞においては,神経成長因子(NGF)または表皮成長因子(EGF)刺激によって生ずる。細胞分化は,急速な膜波打ち運動,細胞の平板化,および細胞接着の増加により特徴づけられる(Chao,1992,Cell 68:995−997)。

0013

疾病の新規治療発見することをめざして,生物医学研究者および化学者は,蛋白質ポリペプチドの機能を阻害する分子を設計し,合成し,試験してきた。いくつかの小さい有機分子は蛋白質ポリペプチドの機能を調節する化合物の一群を形成する。蛋白質キナーゼの機能を阻害することが報告されている分子の例としては,限定されないが,ビス単環式二環式または複素環式アリール化合物(PCT WO92/20642),ビニレンアザインドール誘導体(PCT WO94/14808),1−シクロプロピル−4−ピリジルキノロン類(米国特許5,330,992),スチリル化合物(Levitzki et al. 米国特許5,217,999,表題”Styryl compounds which Inhibit EGF Receptor Protein Tyrosine Kinases,Lyon&Lyon書類番号208/050),スチリル置換ピリジル化合物(米国特許5,302,606),ある種のキナゾリン誘導体(欧州特許出願0566266A1),セレオインドール類およびセレニド類(PCT WO94/03427),三環ポリヒドロキシ化合物(PCT WO92/21660),およびベンジルホスホン酸化合物(PCT WO91/15495,1991年10月17日公開,Dow et al)が挙げられる。

0014

細胞膜を横切ることができ,酸加水分解耐性の化合物は,患者経口投与された後に高度に生物利用性となることができるため,治療剤として利点を有する可能性がある。しかし,これらの蛋白質キナーゼ阻害剤の多くは,蛋白質キナーゼの機能を弱くしか阻害しない。さらに,多くは種々の蛋白質キナーゼを阻害し,したがって,疾病の治療剤として多くの副作用を引き起こすであろう。

0015

癌を治療するための化合物の開発における著しい進歩にもかかわらず,当該技術分野においては,特定の蛋白質キナーゼの機能を調節することができる化合物を形成する特定の構造および置換パターンを同定することが求められている。

0016

発明の概要
本発明は,部分的には,インドリノン化合物およびこれらの化合物を用いて蛋白質キナーゼの機能を調節する方法に関する。さらに,本発明は,本明細書に記載される方法により同定される化合物を用いて,生物において蛋白質キナーゼに関連する異常な状態を治療および予防する方法を記載する。さらに,本発明は,本発明の方法により同定される化合物を含む医薬組成物に関する。

0017

本発明は,c−kitファミリーのレセプター蛋白質キナーゼを強力に阻害するインドリノン化合物,および関連する製品および方法を特徴とする。c−kit蛋白質キナーゼの他の阻害剤および/または活性化剤は,非置換インドリノン化合物(下記の式IおよびIIを参照)に化学置換基を付加することにより得ることができる。本発明の化合物は,1またはそれ以上の機能的c−kit蛋白質キナーゼに関連する疾病の治療および/または予防を提供する。ある種のタイプの癌が,この種類の疾病に含まれ,さらに,肥満細胞の過剰生成または過剰刺激に関連するある種の免疫疾患も含まれる。化合物は,その標的に特異的であり,したがって,ほとんど副作用を引き起こさないように修飾することができる。これらの特性は,多数の副作用を引き起こして,心身に有害なように患者を弱らせる,現在用いられている癌治療剤からの著しい改良である。

0018

本発明の化合物,組成物,および方法は,c−kitレセプター蛋白質キナーゼの活性を阻害することにより,ある種の固形腫瘍および白血病を最小化するか除去するであろう。あるいは,少なくとも腫瘍成長および/または転移を調節するか阻害するであろう。ある種の癌,例えば小細胞肺癌(SCLC)は,c−kitレセプター蛋白質キナーゼとc−kitリガンドである幹細胞因子(SCF)の両方を発現する。

0019

本発明を実施するためには,化合物がホスホチロシンキナーゼ(PTK)(例えば,貫膜チロシンキナーゼ成長因子レセプターであるc−kitレセプターキナーゼ)を阻害するメカニズムを詳細に理解することは必要ではないが,化合物は,PTKの触媒領域のアミノ酸と相互作用すると考えられる。PTKは,典型的には二葉構造を有し,ATPはPTKの間でアミノ酸が保存されている領域中の2つの葉の間の裂け目に結合するようである。PTKの阻害剤は,非共有結合的相互作用,例えば,水素結合ファンデルワールス相互作用,疎水性相互作用,およびイオン結合を介して,ATPがPTKに結合するのと同じ一般的領域でPTKに結合すると考えられる。より詳細には,本発明の化合物のオキシインドール成分(下記の式IIIを参照)は,ATPのアデニン環によって占められる一般的空間と同じ空間に結合すると考えられる。特定のPTKに対するPTK阻害剤の特異性は,オキシインドールコア周りの構成成分と個々のPKに特異的なアミノ酸ドメインとの間の相互作用により付与されるのであろう。すなわち,異なる置換基が特定のPKに対する優先的結合に寄与しているのであろう。選択された化合物は,異なるATP結合部位において活性であるため,これらはそのような部位を有する任意の蛋白質,例えば蛋白質チロシンキナーゼのみならずセリン/トレオニンキナーゼをもターゲティングするのに有用であろう。すなわち,そのような化合物は,そのような蛋白質のインビトロアッセイにおいて,およびそのような蛋白質によるインビボでの治療効果において有用性を有する。例えば,上述したように,ある種の癌はc−kitレセプター蛋白質キナーゼおよび幹細胞因子(SCF)の両方を発現し,この対はこれらの癌性細胞成長を刺激するオートクリンループを構成することができる。したがって,c−kit蛋白質キナーゼの阻害は,このオートクリンループを破壊し,このことにより腫瘍成長を遅らせ,および/またはアポトーシスの正常なメカニズムにより腫瘍消滅させることができる。

0020

すなわち,第1の観点においては,本発明は,生物において異常な状態を治療または予防する方法を提供する。異常な状態は,c−kitキナーゼと天然結合パートナーとの間の相互作用により媒介されるシグナル伝達経路の異常に関連する。該方法は,生物に治療上有効量のインドリノン化合物を投与することを含む。インドリノン化合物は,c−kitキナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用を調節する。したがって,この相互作用を促進するかまたは破壊する(好ましくは破壊する)ことは,そのような治療を必要とする所定の集団の患者に治療的有益性を有すると推定される。好ましい態様においては,c−kitキナーゼを介するシグナリングの量が異常であり,化合物はシグナリングを促進するかまたは破壊する。

0021

”治療する”との用語は,治療効果を有し,生物において異常な状態を少なくとも部分的に緩和するかまたは排除することを表す。”治療する”との用語は,好ましくは,インドリノンを投与した患者の群において,インドリノンを投与していない対照群と比較して,異常な状態の症状を改善することを表す。治療の効果は,細胞表現型の変化または不変,細胞増殖の変化または不変,このc−kitキナーゼの触媒活性の変化または不変,およびこの蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用の変化または不変を測定することによりモニターすることができる。”治療する”または”治療”との用語は,必ずしも総合的な治癒を意味しない。疾病の任意の望ましくない症状を任意の程度に改良するか,または疾病の進行を遅らせることも,治療であると考えることができる。さらに,治療は,患者の全体的幸福感覚または外観を悪くするかもしれない作用を含んでいてもよい。例えば,癌患者化学療法剤を投与することは,患者の感覚を”より体調が悪い”とするかもしれないが,これも治療であると考えられる。

0022

本発明の文脈においては,上で用いられる”触媒活性”との用語は,蛋白質キナーゼが基質をリン酸化する速度を規定する。触媒活性は,例えば,生成物に変換される基質の量を時間の関数として測定することにより測定することができる。基質のリン酸化は,蛋白質キナーゼの活性部位で生ずる。活性部位は,通常は基質が蛋白質キナーゼに結合し,リン酸化される空洞である。

0023

上でまたは本明細書において用いられる場合,”基質”との用語は,蛋白質キナーゼによりリン酸化される分子を表す。基質は,好ましくはペプチドであり,より好ましくは蛋白質である。

0024

”予防する”との用語は,異常な状態を獲得するかまたはこれを発達させる確率が減少することを表す。”予防する”との用語は,好ましくは,インドリノンを投与していない対照群と比較して,異常な状態を発達させる者のパーセンテージが減少することを表す。

0025

”異常な状態”との用語は,生物の細胞または組織において,その生物における正常な機能からはずれている機能を表す。異常な状態は,細胞増殖,細胞分化,または細胞生存と関連しうる。異常な状態には,肥満細胞症,1またはそれ以上の肥満細胞腫瘍の存在,ぜん息アレルギーに伴う慢性鼻炎,小細胞肺癌,非小細胞肺癌急性骨髄性白血病急性リンパ性白血病脊髄形成異常症候群,慢性骨髄性白血病結腸直腸癌腫胃癌腫胃腸間質腫瘍,精巣癌,神経膠芽細胞腫,および星状細胞腫が含まれる。好ましい態様においては,これらの異常な状態,例えば肥満細胞腫瘍および肥満細胞症は,ヒト以外の生物において生じ,獣医学の実施の間に予防または治療することができる。

0026

異常な細胞生存状態は,プログラムされた細胞死(アポトーシス)経路が活性化または排除されている状態に関連する。多くの蛋白質キナーゼがアポトーシス経路に関連している。いずれか1つの蛋白質キナーゼの機能の異常は,細胞の不死化または未成熟細胞死につながりうる。

0027

上述の蛋白質キナーゼに関して用いる場合,”機能”との用語は,蛋白質キナーゼ,好ましくはc−kitキナーゼの細胞における役割を表す。蛋白質キナーゼファミリーは,シグナリングカスケード,例えば,細胞成長,移動,分化遺伝子発現筋肉収縮グルコース代謝,細胞蛋白質合成,および細胞サイクルの制御等を調節するカスケードにおける多くの段階を制御するメンバーを含む。通常,膜レセプターキナーゼの”機能”は,細胞の膜の外からのシグナルを細胞の内部に伝達することである。これを行うために,膜レセプターキナーゼは,以下の他の機能の1または全てを行うことができる:リガンドに結合する,別の膜レセプターキナーゼと二量体を形成する,細胞内の他の蛋白質をリン酸化する,細胞内の他の蛋白質に結合する,細胞中における蛋白質の局在を引き起こす。

0028

”生物”との用語は少なくとも1つの細胞からなる任意の生きているものに関する。生物は,1つの真核生物細胞程度の単純なものであってもよく,哺乳動物等の複雑なものであってもよい。生物は好ましくは哺乳動物であり,より好ましくはヒトである。

0029

”哺乳動物”とは,好ましくはマウス,ラットウサギモルモットヒツジ,およびヤギ等の生物を表し,より好ましくはネコイヌ,有尾サル,および無尾サルを表す。好ましい態様においては,哺乳動物に関連する異常な状態には,肥満細胞症,および1またはそれ以上の肥満細胞腫瘍の存在が含まれる。

0030

”異常”との用語は,生物において過剰発現または過少発現されているか,その触媒活性が野生型蛋白質キナーゼ活性より低いかまたは高いように変異しているか,天然の結合パートナーともはや相互作用できないように変異しているか,別の蛋白質キナーゼまたは蛋白質ホスファターゼによりもはや修飾されないか,または天然の結合パートナーともはや相互作用しない,蛋白質キナーゼ,例えばc−kitキナーゼを表す。好ましくは,異常には,天然の結合パートナーと相互作用する際の過剰なまたは不十分なシグナリングが関与する。

0031

”シグナル伝達経路”との用語は,細胞外シグナルを細胞膜を通して伝播して,細胞内シグナルとする分子を表す。このシグナルは,次に細胞の応答を刺激することができる。シグナル伝達プロセスに関与するポリペプチド分子には,レセプターおよび非レセプター蛋白質チロシンキナーゼ,レセプターおよび非レセプター蛋白質ホスファターゼ,SRCホモロジー2および3ドメインを含有する蛋白質,ホスホチロシン結合蛋白質(SRCホモロジー2(SH2)およびホスホチロシン結合(PTBおよびPH)ドメイン含有蛋白質),プロリンリッチ結合蛋白質(SH3ドメイン含有蛋白質),GTPase,ホスホジエステラーゼホスホリパーゼプロリルイソメラーゼプロテアーゼ,Ca2+結合蛋白質,cAMP結合蛋白質,グアニルシクラーゼアデニルシクラーゼ,NO生成蛋白質,ヌクレオチド交換因子,および転写因子が含まれる。

0032

”媒介される”との用語は,シグナル伝達経路の異常に及ぼすc−kitキナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用の制御または影響における関与を表す。すなわち,異常を有し,かつ異常な状態と関連するシグナル伝達経路は,天然の結合パートナーと相互作用するc−kitキナーゼを含む。

0033

c−kitキナーゼ分子の”相互作用”とは,そのc−kitキナーゼ分子と天然の結合パートナーまたは細胞内の分子との結合,c−kitキナーゼ分子による他の蛋白質または細胞内の分子のリン酸化,または細胞中におけるc−kitキナーゼの他のいずれかの結合を表す。これらの相互作用には,非共有結合的相互作用,例えば,水素結合,ファンデルワールス相互作用,疎水性相互作用,およびイオン結合が含まれる。

0034

”c−kitキナーゼ”との用語は,好ましくは幹細胞因子(SCF)がその細胞外ドメインに結合すると活性化される膜レセプター蛋白質チロシンキナーゼを表す(Yarden et al.,1987;Qiu et al.,1988)。レセプターチロシンキナーゼであるc−kitキナーゼは,細胞外ドメインおよび細胞質スプリットキナーゼドメインに5つの免疫グロブリン様モチーフを含む(図1)。c−kitキナーゼの全長アミノ酸配列は,好ましくは以下に記載されるものである:Yarden,et al.,1987,EMBO J.11:3341−3351;およびQiu,et al.,1988,EMBO J.7:1003−1011(図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)。変異型のc−kitキナーゼは,”c−kitキナーゼ”との用語に含まれ,例えば,次の2つの種類に分類されるものを含む:(1)ヒトc−kitキナーゼのコドン816または他の種における同等の位置に一アミノ酸置換を有するもの(Ma et al.,1999,J.Invest Dermatol 112:165−170),および(2)蛋白質の推定膜近傍のz−ヘリックスが関与する変異を有するもの(Ma,et al.,1999,J Biol Chem 274:13399−13402)。これらの刊行物はいずれも,図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。

0035

”天然の結合パートナー”との用語は,細胞において蛋白質キナーゼに結合するポリペプチドまたはATP等の化合物を表す。天然の結合パートナーは,蛋白質キナーゼシグナル伝達プロセスにおいてシグナルを伝播する役割を果たすことができる。蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用の変化は,相互作用が形成される確率の増加または減少,または蛋白質キナーゼ/天然の結合パートナー複合体の濃度の増加または減少として現れることができる。

0036

”治療上有効量”とは,疾病の症状を予防,緩和または改善するか,または治療対象の生存を長くするのに有効な化合物の量を意味する。治療上有効量の決定は,特に本明細書に提供される詳細な開示に鑑みて,十分に当業者の能力の範囲内である。癌の治療に関して”治療上有効量”は,以下の1またはそれ以上の結果を引き起こすのに十分な量を表す:癌の大きさを減少させる,癌の転移を阻害する,癌の成長を阻害する,癌の成長を停止させる,癌による不快を軽減する,または癌に苦しむ患者の生存を長くする。癌以外の細胞増殖性疾患の治療に関して,”治療上有効量”とは,以下の1またはそれ以上の結果を引き起こすのに十分な量を表す:疾患を引き起こす細胞の成長を阻害する,疾患による不快を軽減する,または疾患に罹患した患者の生存を長くする。

0037

”インドリノン”との用語は,この用語が当該技術分野において一般に理解されているように用いられ,アルデヒド成分とオキシインドール成分から合成することができる置換または非置換化合物の大きなサブクラスを含む。好ましい態様においては,本発明の方法に含まれるインドリノンは,式IおよびIIの構造(下記を参照)を有し,より好ましくは化合物1−13から選択される(下記を参照)。

0038

代表的なインドリノン化合物およびその合成は,以下の出願に記載されている:(1)PCT出願US99/06468(1999年3月26日出願,Fong,et al.,表題”METHODS OF MODULATING TYROSINE PROTEIN KIASE”(Lyon&Lyon書類番号231/250PCT),(2)米国特許仮出願60/131,192(1999年4月26日出願,Tang,et al.,表題”DIARYL INDOLINONE COMPOUNDS AS KINASE INHIBITORS”(Lyon&Lyon書類番号239/205),(3)米国特許仮出願60/132,243(1999年5月3日出願,Tang,et al.,表題”SYNHESIS OF 4−SUBSTITUTED OXINDOLE AND INDOLINONE COMPOUNDS AND THEIR USE IN TREATMNT OF DESEASES”(Lyon&Lyon書類番号231/251),(4)米国特許出願09/283,657(1999年4月1日出願,Tang,et al.,表題”METHODS OF MODULATING TYROSINE PROTEIN KINASE FUNCTION WITH INDOLINONE COMPOUNDS”(Lyon&Lyon書類番号241/180),および(5)米国特許5,792,783(1998年8月11日発行,Tang,et al.,表題”3−HETEROARYL−2−INDOLINONE COMPOUNDS FOR THE TREATMENT OF DESEASES”)。これらは図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。

0039

好ましくは,本発明において用いられる化合物は,式I:
【化9】
[式中,
(a)Yは,酸素イオウおよび水素で置換されている窒素からなる群より選択され;
(b)R1,R2,R3,およびR4は,それぞれ独立して,水素,アルキルアルコキシアリールアリールオキシアルカリール,アルカリールオキシハロゲントリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,NHC(O)R,(CH2)nCO2R,およびCONRR’からなる群より選択され;
(c)R5は,水素,アルキル,アルコキシ,アリール,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,トリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,NHC(O)R,(CH2)nCO2R,CONRR’,1または2個のN,O,またはS原子を含む6員のヘテロアリール環系;および6員のアリール環系からなる群より選択され;および
(c)R6およびR7は,それぞれ,独立して,水素,アルキル,アルコキシ,アリール,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,トリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,NHC(O)R,(CH2)nCO2R,およびCONRR’からなる群より選択され,ここでRは種々の置換基であることができる]
に記載される構造を有する。

0040

より好ましくは,本発明において用いられる化合物は,式II:
【化10】
[式中,
(a)Yは,イオウおよび水素で置換されている窒素からなる群より選択され;(b)R1は,水素およびメチルからなる群より選択され;
(c)R2は,
(i)水素;
(ii)塩素
(iii)臭素
(iv)式−CO−CH3のケトン
(v)式−SO2NH2,または−SO2NCH3CH3のスルホンアミド
からなる群より選択され;
(d)R3,R4,およびR5は,それぞれ独立して,
(i)水素;
(ii)メチル;
(iii)式−(CH2)2−COOHのカルボン酸;および
(iv)R8およびR9は,一緒になって,6員の飽和炭素環を形成する;
からなる群より選択される]
に記載される構造を有する。

0041

より好ましくは,化合物は以下のいずれかである:
化合物1:
【化11】
化合物2:
【化12】
化合物3:
【化13】
化合物4:
【化14】
化合物5:
【化15】
化合物6:
【化16】
化合物7:
【化17】
化合物8:
【化18】
化合物9:
【化19】
化合物10:
【化20】
化合物11:
【化21】
化合物12:
【化22】
化合物13:
【化23】
化合物14:
【化24】
化合物15:
【化25】
化合物16:
【化26】

0042

”オキシインドール”との用語は,化学置換基で置換されているオキシインドール化合物を表す。オキシインドール化合物は式IIIで示される一般構造の化合物である:
【化27】

0043

本発明に関して,”置換された”との用語は,任意の数の化学置換基で誘導化されたオキシインドール化合物を表す。

0044

本発明のインドリノン化合物は,好ましくは,インビトロで蛋白質チロシンキナーゼの活性を調節する。これらの化合物は,好ましくは,問題とする疾病または疾患の治療に対応する活性についての1またはそれ以上のインビトロアッセイ(例えば,以下の実施例に記載されるアッセイ)において陽性の結果を示す。本発明のインドリノン化合物により調節される蛋白質チロシンキナーゼは,好ましくはc−kitキナーゼである。そのような調節の方法および結果は,以下の実施例に記載される。

0045

”化合物”との用語は,任意の同定可能な分子またはその薬学的に許容しうる塩,エステルアミドプロドラッグ異性体,または代謝産物を意味する。

0046

”プロドラッグ”とは,インビボで親薬剤に変換される薬剤を表す。プロドラッグは,場合により親薬剤より投与が容易であるかもしれないため,しばしば有用である。例えば,プロドラッグは経口投与により生物学的に利用可能であるが,親薬剤はそうではないかもしれない。プロドラッグはまた,親薬剤よりも医薬組成物中で改良された溶解性を有するかもしれない。プロドラッグの例は,限定されないが,エステル(”プロドラッグ”)として投与されて,水溶性であることが不利である細胞膜の通過を容易にし,次に,水溶性であることが有利である細胞内に入った後,代謝的に加水分解されて活性物質であるカルボン酸となるような,本発明の化合物であろう。

0047

プロドラッグの別の例は,短いポリペプチド,例えば,限定されないが,末端アミノ基を介して本発明の化合物のカルボキシ基に結合した2−10アミノ酸のポリペプチドであろう。ポリペプチドは,インビボで代謝されて活性分子を放出する。

0048

”調節する”との用語は,蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間に複合体が形成される確率を増加または減少させることにより,蛋白質キナーゼの機能を変更することを表す。調節剤は,好ましくは,蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間にそのような複合体が形成される確率を増加させ,より好ましくは,蛋白質キナーゼに暴露される化合物の濃度に依存して蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間に複合体が形成される確率を増加または減少させ,最も好ましくは,蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間に複合体が形成される確率を減少させる。調節剤は,好ましくは蛋白質キナーゼの触媒活性を活性化し,より好ましくは蛋白質キナーゼに暴露される化合物の濃度に依存して,蛋白質キナーゼの触媒活性を活性化または阻害し,最も好ましくは蛋白質キナーゼの触媒活性を阻害する。

0049

”複合体”との用語は,互いに結合した少なくとも2つの分子の集合体を表す。シグナル伝達複合体は,しばしば,互いに結合した少なくとも2つの蛋白質分子を含む。

0050

”活性化する”との用語は,蛋白質キナーゼの機能を増加させることを表す。蛋白質キナーゼの機能は,好ましくは,天然の結合パートナーとの相互作用であり,最も好ましくは触媒活性である。

0051

”阻害する”との用語は,蛋白質キナーゼの機能を低下させることを表す。蛋白質キナーゼの機能は,好ましくは,天然の結合パートナーとの相互作用であり,最も好ましくは触媒活性である。

0052

蛋白質キナーゼの天然の結合パートナーは,蛋白質キナーゼの細胞外または細胞内領域に高い親和性をもって結合することができる。高い親和性とは,10−6Mのオーダーまたはそれより低い平衡結合定数を表す。さらに,天然の結合パートナーはまた,蛋白質キナーゼの細胞外または細胞内領域と過渡的に相互作用して,これを化学的に修飾することができる。蛋白質キナーゼの天然の結合パートナーは,限定されないが,SRCホモロジー2(SH2)または3(SH3)ドメイン,他のホスホリルチロシン結合(PTB)ドメイン,グアニンヌクレオチド交換因子,蛋白質ホスファターゼ,他の蛋白質キナーゼ,およびATP等の化合物等から選択される。蛋白質キナーゼとその天然の結合パートナーとの間の相互作用の変化を検出する方法は,当該技術分野において容易に利用可能である。

0053

”・・・に関連する”との用語は,生物から単離された同じ非疾病組織と比較したときに,不適切なc−kitキナーゼ発現を伴うことが示されている疾病を表す。不適切な発現とは,正常な活性の上昇,正常な活性の低下,または通常は見いだされないc−kitキナーゼ活性の存在でありうる。

0054

”インビトロ”との用語は,c−kitキナーゼ酵素を生きた生物の外で本発明に有用な化合物で試験し,このことによりそのような化合物を有効性についてスクリーニングする場合を表す。”インビトロ”との用語には,組織培養細胞の使用が含まれる。

0055

”異常な相互作用を促進するかまたは破壊する”との用語は,本発明の化合物を細胞または生物の組織に投与することにより達成することができる方法を表す。化合物は,複合体界面において多数の原子と望ましい相互作用を形成することにより,蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用を促進することができる。あるいは,化合物は,複合体表面において原子間に形成される望ましい相互作用に欠陥を生じさせることにより,蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用を阻害することができる。好ましい態様においては,異常な相互作用の促進または破壊は,本発明の化合物が蛋白質の1つのコンフォメーション変化を促進することを表す。

0056

別の観点においては,本発明は,本明細書に記載されるインドリノン化合物,特に上述の式Iのインドリノン,とりわけ化合物1−13の合成に関する。代表的なインドリノン化合物の合成の一般的スキームは,PCT公開US99/06468(1999年3月26日出願,Fong et al.,表題”METHODS OF MODULATING TYROSINE PROTEIN KINASES”(Lyon&Lyon書類番号231/250PCT))および米国特許5,792,783(1998年8月11日発行,Tang et al.,表題”3−HETEROARYL−2−INDOLINONE COMPOUNDS FOR THE TREATMENT OF DESEASES”)に記載されており,これらは図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。当業者は,上述の文献を精査することにより,いずれのオキシインドールおよびいずれのアルデヒドをいずれの適当な条件下で反応させて,本発明の化合物を得るかを理解するであろう。

0057

本発明はまた,c−kitキナーゼの機能を調節するインドリノン化合物,またはその薬学的に許容しうる塩,エステル,アミド,プロドラッグ,異性体,または代謝産物等の化合物を同定する方法を特徴とする。該方法は,以下の工程を含む:(a)c−kitキナーゼを発現する細胞を化合物と接触させ;そして(b)細胞に及ぼす影響をモニターする。細胞に及ぼす影響は,本明細書に記載されるように,好ましくは細胞表現型の変化または不変であり,より好ましくは細胞増殖の変化または不変であり,さらに好ましくはc−kitキナーゼ触媒活性の変化または不変であり,最も好ましくはc−kitキナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用の変化または不変である。

0058

”モニターする”との用語は,本発明の方法の細胞に化合物を加える影響を観察することを表す。”モニターする”ことは,試験細胞対照細胞と比較することにより行うことができる。

0059

”影響”との用語は,細胞表現型または細胞増殖の変化または不変を記述する。”影響”はまた,プロc−kitキナーゼの触媒活性の変化または不変を記述してもよい。”影響”はまた,c−kitキナーゼと天然の結合パートナーとの間の相互作用の変化または不変を記述してもよい。

0060

”細胞表現型”との用語は,細胞もしくは組織の外観または細胞もしくは組織の機能を表す。細胞表現型の例は,細胞サイズ(減少または拡大),細胞増殖(細胞数の増加または減少),細胞分化(細胞形状,細胞機能,または蛋白質発現の相違の変化または不変),細胞生存,アポトーシス(細胞死),または代謝性栄養の利用(例えばグルコース取り込み)である。細胞表現型の変化または不変は,当該技術分野において知られる手法により容易に測定することができる。

0061

好ましい態様においては,本発明は,本発明のインドリノン同定する方法を特徴とする。該方法は以下の工程を含む:(a)細胞を溶解させてc−kitキナーゼを含む溶解物とし;(b)c−kitキナーゼを抗体に吸着させ;(c)吸着したc−kitキナーゼを基質とともにインキュベートし;そして(d)検出抗体をc−kitキナーゼに吸着させる。次に,キナーゼに及ぼす影響をモニターする。キナーゼの影響をモニターする工程は,c−kitキナーゼに取り込まれたリン酸濃度を測定することを含む。

0062

”抗体”との用語は,c−kitキナーゼまたはそのフラグメントまたはホスホチロシンに対して特異的結合親和性を有する抗体(例えば,モノクローナルまたはポリクローナル抗体),または抗体フラグメントを表す。

0063

”特異的結合親和性”とは,特定の条件下で,他のポリペプチドに結合するより高い親和性をもって標的(c−kitキナーゼ)ポリペプチドに結合する抗体を意味する。c−kitキナーゼに対して特異的結合親和性を有する抗体は,免疫複合体が形成されるような条件下で試料を抗体と接触させ,そしてc−kitキナーゼにコンジュゲートした抗体の存在および/または量を検出することにより,試料中におけるc−kitキナーゼの存在および/または量を検出する方法において用いることができる。そのような方法を実施するための診断キットは,抗体を含む第1の容器および抗体の結合パートナーと放射性同位体等の標識とのコンジュゲートを有する第2の容器を含むよう構築することができる。診断キットはまたFDAに認可された使用の通知書およびその指針を含んでいてもよい。

0064

ポリクローナル”との用語は,抗原またはその抗原性機能的誘導体で免疫した動物血清から誘導される抗体分子の異成分集団である抗体を表す。ポリクローナル抗体の製造のためには,種々の宿主動物に抗原を注射することにより免疫することができる。宿主の種により,種々のアジュバントを用いて免疫学的応答を増加させることができる。

0065

モノクローナル抗体”は,特定の抗原に対する抗体の実質的に均一な集団である。モノクローナル抗体は,連続培養細胞株による抗体分子の生成を与える任意の技術により得ることができる。モノクローナル抗体は,当業者に知られる方法により得ることができる(Kohler et al.Nature 256:495−497,1975,および米国特許4,376,110)。

0066

”抗体フラグメント”との用語は,特定の分子に対して特異的結合親和性を表示する抗体の一部,しばしば超可変領域および周囲の重鎖および軽鎖の一部を表す。超可変領域は,抗体のポリペプチド標的物理的に結合する部分である。

0067

上述の本発明の概要は非限定的なものであり,本発明の他の特徴および利点は,以下の好ましい態様の説明および特許請求の範囲から明らかであろう。

0068

図面の簡単な説明
図1は,c−kitキナーゼの細胞外ドメインおよび細胞質”スプリット”キナーゼドメインにおける5つの免疫グロブリン様モチーフを示す概略図である。ハーフループは免疫グロブリン様モチーフを表し,影付きボックスはレセプターの保存されたキナーゼ領域を表す。

0069

図2は,実験の節の実施例1に記載されるELISAにより測定した,インドリノン誘導体がc−kitキナーゼの活性に及ぼす影響を示す。

0070

発明の詳細な説明
本発明は,細胞シグナル伝達,好ましい態様においてはc−kitキナーゼシグナル伝達を,制御および/または調節することができる方法,化合物および組成物に関する。

0071

レセプターキナーゼにより媒介されるシグナル伝達は,特定の成長因子(リガンド)との細胞外相互作用により開始され,続いてレセプターの二量化固有の蛋白質キナーゼ活性の過渡的刺激,およびリン酸化が生ずる。このことにより,細胞内シグナル伝達分子結合部位が形成され,適切な細胞応答(例えば,細胞分裂,細胞外微小環境に及ぼす代謝性の影響)を促進する一群の細胞質シグナリング分子との複合体の形成につながる。Schlessinger and Ullrich,1992,Neuron 9:303−391を参照。

0072

キナーゼシグナル伝達により,他の応答の中でも特に,細胞増殖,分化および代謝が生ずる。異常な細胞増殖により,新生物の発達等の広範な種類の疾患および疾病,例えば,癌腫肉腫,白血病,神経膠芽細胞腫,血管腫乾癬動脈硬化症関節炎および糖尿病性網膜症(制御されない新脈管形成および/または脈管形成に関連するまたは他の疾患)が生ずる。

0073

したがって,本発明は,レセプターキナーゼの酵素活性に影響を与え,そのような蛋白質により伝達されるシグナルを妨害することにより,キナーゼシグナル伝達を制御,調節および/または阻害する方法,化合物,および組成物に関する。より詳細には,本発明は,多くの種類の固形腫瘍および白血病,例えば,限定されないが,癌腫,肉腫,赤芽球腫,神経膠芽細胞腫,髄膜腫,星状細胞腫,黒色腫および筋原細胞腫を治すための治療方法として,c−kitレセプターチロシンキナーゼおよび/または他のキナーゼにより媒介されるシグナル伝達経路を制御,調節および/または阻害する方法,化合物および組成物に関する。適応症には,限定されないが,肺癌(小細胞肺癌および非小細胞肺癌の両方を含む),脳癌,膀胱癌卵巣癌胃癌膵臓癌結腸癌血液癌,および骨癌が含まれる。本発明はまた肥満細胞の過剰発現または肥満細胞の不適切なアップレギュレーションにより特徴づけられる病気,例えば,限定されないが,肥満細胞症,およびアレルギーに伴う慢性鼻炎,炎症およびぜん息の治療および/または予防に関する。これらの病気は以下により詳細に説明する。

0074

I.本発明の化合物により治療すべき標的疾病
本明細書に記載される化合物は,制御されないキナーゼシグナル伝達に関連する疾患,例えば,細胞増殖性疾患,繊維性疾患および代謝性疾患の治療に有用である。本発明により治療することができるかまたはさらに研究することができる細胞増殖性疾患には,癌および肥満細胞増殖性疾患が含まれる。

0075

PTKは,そのような細胞増殖性疾患と関連づけられている。例えば,レセプターチロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのあるメンバーは,癌の発達と関連づけられている。これらのレセプターのいくつか,例えばEGFR(Tuzi,et al.,1991,Br.J.Cancer 63:227−233;Torp,et al.,1992,APMIS 100:713−719),HER2/neu(Slamon,et al.,1989,Science 244:707−712)およびPDGF−R(Kumabe,et al.,1992,Oncogene 7:627−633)は,多くの腫瘍において過剰発現されているか,および/またはオートクリンループにより持続的に活性化されている。実際,最も一般的な重症の癌においては,これらのレセプターの過剰発現(Akbasak and Suner−Akbasak,et al.,1992,J.Neurol.Sci.111:119−133;Dickson,et al.,1992,Cancer Treatment Res.61:249−273;Korc,et al.,1992,J.Clin.Invest.90:1352−1360)およびオートクリンループ(Lee and Donnghue,1992,I.Cell.Biol.118:1057−1070;Korc,et al.,上掲;Akbasak and Suner−Akbasak,et al.,上掲)が示されている。例えば,EGFRレセプターは,扁平上皮癌,星状細胞腫,神経膠芽細胞腫,頭頚部癌,肺癌および膀胱癌と関連づけられている。HER2は,乳,卵巣膵臓および膀胱癌と関連づけられている。PDGF−Rは,神経膠芽細胞腫,肺,卵巣,黒色腫および前立腺癌と関連づけられている。

0076

c−kitレセプターキナーゼは,そのような細胞増殖性疾患と関連づけられている。例えば,c−kitキナーゼレセプターは,調べたSCLC細胞の半分以上でそのリガンドSCFとともに異常に発現されていることが見いだされている(Hibi,et al.,1991,Oncogene 6:2291−2296)。おそらく,c−kitキナーゼの阻害は,SCLCを有する患者の長期生存を改善するであろう。

0077

以下に記載されるように,c−kitRTKおよび/またはSCFの存在はまた,他のタイプの癌とも関連づけられている。しかし,RTKの異常と疾病との関連性は癌に限られない。例えば,c−kitレセプターキナーゼは,免疫疾病,例えば,肥満細胞症,ぜん息および慢性鼻炎と関連づけられている。c−kitの過剰な活性化は,肥満細胞の数の過剰により生ずる疾病と関連するであろう。肥満細胞症は,過剰な肥満細胞増殖により特徴づけられる異質一連の疾患を記述するために用いられる用語である(Metcalfe,1991,J.Invest.Derm 93:2S−4S;Valent,1996,Wein/Klin Wochenschr 108:385−397;およびGolkar,et al.,1997,Lancet 349:1379−1385)。上昇したc−kit発現は,侵略的な肥満細胞症を有する患者の肥満細胞に見られるが,無活動性の肥満細胞症を有する患者からの肥満細胞には見られないことが報告されている(Nagata,et al.,1998,Leukemia 12:175−181)。

0078

さらに,肥満細胞および好酸球は,アレルギー,炎症およびぜん息に関与する鍵となる細胞である(Thomas,et al.,1996,Gen.Pharmacol 27:593−597;Metcalfe,et al.,1997,Physiol Rev 77:1033−1079;Holgate,1997,CIBA Found.Symp.;Naclerio,et al.,1997,JAMA 278:1842−1848およびCosta,et al.,1997,JAMA 278:1815−1822)。SCF,したがってc−kitは,肥満細胞および好酸球の両方の活性化を直接的および間接的に制御し,このことにより,多数のメカニズムを介して,アレルギーおよびぜん息に関与する主な細胞に影響を与える。肥満細胞および好酸球機能のこの相互的制御,およびSCFがこの制御において果たす役割のため,c−kitキナーゼの阻害はアレルギーに伴う慢性鼻炎,炎症およびぜん息を治療する手段を提供するであろう。

0079

II.c−kitキナーゼ
c−kitキナーゼは,メラノサイト,肥満細胞,胚細胞および造血細胞の発達に重要な役割を果たす。Sl遺伝子座によりコードされる蛋白質は,これを同定するために用いられた生物学的特性に基づいて,kitリガンド(KL),幹細胞因子(SCF)または肥満細胞成長因子(MGF)と称されてきた(概説として,Tsujimura,1996,Pathol Int 46:933−938;Loveland,et al.,1997,J.Endocrinol 153:337−344;Vliagoftis,et al.,1997,ClinImmunol 100:435−440;Broudy,1997,Blood 90:1345−1364;Pignon,1997,Hermatol Cell Ther 39:114−116;およびLyman,et al.,1998,Blood 91:1101−1134.)。簡単のために,ここではc−kitRTKのリガンドを表すためにSCFを用いる。SCFは,エクソン6をコードするmRNA選択的スプライシングにより分子量220または248ダルトンの貫膜蛋白質として合成される。大きい方の蛋白質は,蛋白質加水分解的に切断されて,可溶性グリコシル化された蛋白質を形成することができ,これは非共有結合的に二量体を形成する。可溶性および膜結合型のSCFは,両方ともc−kitに結合してこれを活性化することができる。例えば,皮膚においては,SCFは主として繊維芽細胞ケラチノサイト,および内皮細胞において発現され,c−kitを発現するメラノサイトおよび肥満細胞の活性を調節する。骨においては,骨髄間質細胞がSCFを発現し,c−kitを発現する幹細胞造血を制御する。胃腸管においては,腸上皮細胞がSCFを発現し,カハル腸細胞および上皮内リンパ球に影響を与える。精巣においては,セルトーリ細胞および顆粒膜細胞がSCFを発現し,これは胚細胞のc−kitと相互作用することにより精子形成を制御する。

0080

a.c−kitキナーゼおよび/またはSCFが関与する本発明の標的悪性腫瘍 c−kitの異常な発現および/または活性化は,種々の腫瘍における関与が示唆されている。新生物病理学に対するc−kitの寄与の証拠には,白血病および肥満細胞腫瘍,小細胞肺癌,精巣癌,胃腸管のある種の癌,および中枢神経系との関連性が含まれる(下記を参照)。さらに,c−kitは,雌生殖管発癌(Inoue,et al.,1994,Cancer Res.54(11):3049−3053),神経外胚葉由来の肉腫(Ricotti,et al.,1998,Blood 91:2397−2405),および神経線維腫症に伴うシュヴァン細胞新生物(Ryan,et al.,1994,J.Neuro.Res.37:415432)において役割を果たすことが示唆されている。

0081

白血病:SCFのc−kitRTKへの結合は,造血幹細胞および先祖細胞をアポトーシスから保護し(Lee,et al.,1997,J.Immunol.159:3211−3219),このことにより,コロニー形成および造血に寄与する。c−kitの発現は,急性骨髄性白血病(AML)において頻繁に見られるが,急性リンパ性白血病(ALL)においてはあまり一般的ではない(概説として,Sperling,et al.,1997,Haemat 82:617621;Escribano,et al.,1998,Leuk.Lymph.30:459−466を参照)。c−kitは大部分のAML細胞で発現されているが,この発現は疾病の進行の前兆ではないようである(Sperling,et al.,1997,Haemat 82:617−621)。しかし,SCFはAML細胞を化学療法剤により誘導されるアポトーシスから保護した(Hassan,et al.,1996,Acta.Hem.95:257−262)。本発明によるc−kitの阻害は,これらの薬剤の効力を増強し,AML細胞のアポトーシスを誘導するかもしれない。

0082

脊髄形成異常症候群(Sawada,et al.,1996,Blood 88:319−327)または慢性骨髄性白血病(CML)(Sawai,et al.,1996,Exp.Hem.2:116−122)を有する患者からの細胞のクローン成長は,SCFと他のサイトカインとの組み合わせにより著しく促進されることが見いだされている。CMLは,骨髄フィラデルフィア染色体陽性細胞の増殖により特徴づけられる(Verfaillie,et al.,1998,Leuk.12:136−138)。これは,主としてアポトーシス性死の阻害に起因するようである(Jones,1997,Curr.Opin.Onc.9:3−7)。フィラデルフィア染色体の産物であるp210BCR−ABLは,アポトーシスの阻害を媒介することが報告されている(Bedi,et al.,1995,Blood 86:1148−1158)。p210BCR−ABLおよびc−kitRTKは,両方ともアポトーシスを阻害し,p62dkが基質として示唆されているため(Carpino,et al.,1997,Cell 88:197−204),これらのキナーゼにより媒介されるクローン増殖は共通のシグナリング経路を介して生ずる可能性がある。しかし,c−kitはまた,p21oBCR−ABLと直接相互作用すると報告されている(Hallek,et al.,1996,Brit.J.Haem.94:5−16)。このことは,c−kitがCML病理学においてより大きな原因的役割を有するかもしれないことを示唆する。したがって,c−kitキナーゼの阻害は上述の疾患の治療に有用であることが明らかとなるであろう。

0083

胃腸癌:正常な結腸直腸粘膜はc−kitを発現しない(Bellone,et al,1997,J Cell Physiol.172:1−11)。しかし,c−kitは,結腸直腸癌腫において頻繁に発現されており(Bellone,et al.,1997,J.Cell Physiol.172:1−11),いくつかの結腸癌腫細胞株においてSCFおよびc−kitのオートクリンループが観察されている(Toyota,et al.,1993,Turn Biol 14:295−302;Lahm,et al.,1995,Cell Growth&Differ 6:1111−1118;Bellone,et al.,1997,J.Cell Physiol.172:1−11)。さらに,中和抗体を用いるオートクリンループの破壊(Lahm,et al.,1995,Cell Growth&Differ.6:1111−1118)およびc−kitおよび/またはSCFのダウンレギュレーションは,細胞増殖を阻害する(Lahm,et al.,1995,Cell Growth&Differ 6:1111−1118;Bellone,et al.,1997,J.Cell Physiol.172:1−11)。

0084

胃癌腫細胞株においてSCF/c−kitオートクリンループが観察されており(Turner,et al.,1992,Blood 80:374−381;Hassan,et al.,1998,Digest.Dis.Science 43:814),構成的c−kit活性化もまた胃腸間質腫瘍(GISTには重要であるようである)。GISTは消化系の最も一般的な間葉腫瘍である。GISTの90%以上がc−kitを発現しており,このことは,これらの腫瘍細胞の推定起源がカハルの腸細胞(ICC)であることと一致する(Hirota,et al.,1998,Science 279:577−580)。ICCは胃腸管の収縮を制御していると考えられており,ICCでc−kitを欠失している患者は筋障害性型の慢性特発性閉塞を示した(Isozaki,et al.,1997,Amer.J.of Gast.9332−334)。何人かの異なる患者からのGISTにおいて発現されるc−kitは,このRTKの構成的活性化につながる細胞内膜近傍ドメインにおいて変異を有することが観察された(Hirota,et al.,1998,Science 279:577−580)。したがって,c−kitキナーゼの阻害は,これらの癌の治療の有効な手段であろう。

0085

精巣癌:雄の胚細胞腫瘍は,歴史的に,胚細胞の特徴を保持するセミノーマ,および胎生期分化の特徴を示すことができる非セミノーマに分類されている。セミノーマおよび非セミノーマは両方とも,癌腫インサイチュウー(CIS)と称される前侵襲段階から開始されると考えられている(Murty,et al.,1998,Sem.Oncol.25:133−144)。c−kitおよびSCFは両方とも,胚形成の間の正常な生殖腺の発達に必須であると報告されている(Loveland,et al.,1997,J.Endocrinol 153:337−344)。レセプターまたはリガンドのいずれかが欠損すると,胚細胞のない動物が得られる。出生後試験においては,c−kitはライディヒ細胞および精原細胞において発現しているが,SCFはセルトーリ細胞において発現していることが見いだされている(Loveland,et al.,1997,J.Endocrinol 153:337−344)。ヒトパピローマウイルス16(HPV16)E6およびE7オンコジンを発現するトランスジェニックマウスにおいては,ライディヒ細胞から高い頻度精巣腫瘍が発達する(Kondoh,et al.,1991,J.Virol.65:3335−3339;Kondoh,et al.,1994,J.Ural152:2151−2154)。これらの腫瘍では,c−kitおよびSCFの両方が発現しており,機能的p53の細胞からの欠失,およびE6およびE7との結合により生ずる網膜芽細胞腫遺伝子産物と関連する(Dyson,et al.,1989,Science 243:934−937;Werness,et al.,1990,Science 248:76−79;Scheffner,et al.,1990,Cell63:1129−1136)オートクリンループが発癌に寄与しているかもしれない(Kondoh,et al.,1995,Oncogene 10:341−347)。SCF(Kondoh,et al.,1995,Oncogene 10:341−347)またはc−kit(Li,et al.,1996,Canc.Res.56:4343−4346)の欠陥シグナリング変異体は,HPV16E6およびE7を発現するマウスにおいて精巣腫瘍の形成を阻害した。c−kitキナーゼ活性化は,これらの動物における腫瘍発生に重要であり,したがって,本発明によるc−kitキナーゼ経路の調節は,そのような疾患を予防または治療するであろう。

0086

胚細胞腫瘍におけるc−kitの発現は,レセプターは癌腫の大部分でインシトゥーで,およびセミノーマで発現されているが,c−kitは少数の非セミノーマでのみ発現されていることを示す(Strohmeyer,et al.,1991,Canc.Res.51:1811−1816;Rajpert−de Meyts,et al.,1994,Int.J.Androl.17:85−92;Izquierdo,et al.,1995,J.Pathol.177:253−258;Strohmeyer,et al.,1995,J.Urol.153:511−515;Bokenmeyer,et al.,1996,J.Cance.Res.Clin.Oncol.122:301−306;Sandlow,et al.,1996,J.Androl.17:403−408)。したがって,c−kitキナーゼの阻害は,これらの疾患を治療する貴重な新たな手段を提供するであろう。

0087

CNS癌:SCFおよびc−kitは,発生中の齧歯類のCNSの全体で発現されており,発現のパターンは,神経外胚葉細胞の成長,移動および分化における役割を示唆する。レセプターおよびリガンドの両方の発現はまた,成人脳においても報告されている(Hamel,et al.,1997,J.Neuro−Onc.35:327−333)。c−kitの発現はまた正常ヒト脳組織においても観察されている(Tada,et al.1994,J.Neuro 80:1063−1073)。頭蓋内腫瘍の大部分を占める神経膠芽細胞腫および星状細胞腫は,星状細胞新生物性トランスフォーメーションから生ずる(Levin,et al.,1997,Principles&Practice of Oncology:2022−2082)。c−kitの発現は,神経膠芽細胞腫細胞株および組織において観察されている(Berdel,et al.,1992,Canc.Res.52:3498−3502;Tada,et al.1994,J.Neuro80:1063−1073;Stanulla,et al.,1995,Act Neuropath 89:158−165)。

0088

c−kitと星状細胞腫の病理との関連性はあまりわかっていない。正常な星状細胞においてc−kitが発現していると報告されているが(Natali,et al.,1992,Int.J.Canc.52:197−201),(Tada,et al.1994,J.Neuro 80:1063−1073),他の者はこれは発現されていないと報告している(Kristt,et al.,1993,Neuro.33:106−115)。後者の場合,高い等級の腫瘍において高レベルのc−kit発現が観察されているが(Kristt,et al.,1993,Neuro.33:106115),前者のグループは,星状細胞腫において発現を検出することができなかった。さらに,神経芽細胞腫におけるc−kitとSCFの発現の相反する報告が存在する。ある研究により,神経芽細胞腫細胞株はしばしばSCFを発現するが,c−kitをほとんど発現しないことが見いだされた。原発性腫瘍においては,c−kitは神経芽細胞腫の約8%において検出されたが,SCFは腫瘍の18%において見いだされた(Beck,et al.,1995,Blood 86:3132−3138)。これに対し,他の研究(Cohen,et al.,1994,Blood 84:3465−3472)は,試験した14種すべての神経芽細胞腫細胞株がc−kit/SCFオートクリンループを含んでおり,調べた腫瘍試料の45%でレセプターとリガンドの両方の発現が観察されたことを報告している。2つの細胞株において,抗−c−kit抗体は細胞増殖を阻害し,このことは,SCF/c−kitオートクリンループが成長に寄与していることを示唆する(Cohen,et al.,1994,Blood 84:3465−3472)。したがって,c−kitキナーゼ阻害剤は,これらの癌を治療する手段として治療上有用であることが証明されるであろう。

0089

b.c−kitキナーゼおよび/またはSCFが関与する,本発明により治療/予防される標的脂肪細胞疾病
肥満細胞症:上述したように,SCF(肥満細胞成長因子としても知られる)によるc−kitの刺激が,肥満細胞の成長および発達に必須であると報告されている(Hamel,et al.,1997,J.Neuro−Onc.35:327−333;Kitamura,et al.,1995,Int.Arch.Aller.Immunol.107:54−56)。c−kitにそのシグナリング活性を弱める変異を有するマウスは,皮膚に有意に少ない肥満細胞を示していた(Tsujimura,1996,Pathol Int 46:933−938)。c−kitの過剰な活性化は,肥満細胞の数の過剰から生ずる疾病と関連するであろう。

0090

肥満細胞症は,過度の肥満細胞増殖を特徴とする一連の異種の疾患を記述するために用いられる用語である(Metcalfe,1991,J.Invest.Derm 93:2S−4S;Valent;1996;Golkar,et al.,1997,Lancet 349:1379−1385)。肥満細胞症は,大部分の患者においては皮膚に限定されているが,15−20%の患者では他の組織も関与しうる(Valent,1996,Wein/Klin Wochenschr 108:385−397;Golkar,et al.,1997,Lancet 349:1379−1385)。全身性肥満細胞症を有する患者の間でも,疾病は,比較的良性の予後を有する者から侵略的な肥満細胞症および肥満細胞白血病を有する者まで様々でありうる(Valent,1996,Wein/Klin Wochenschr 108:385−397;Golkar,et al.,1997,Lancet 349:1379−1385)。c−kitは,イヌの肥満細胞腫瘍からの悪性肥満細胞(London,et al.,1996,J.Compar.Pathol.115:399−414),ならびに侵略的な全身性肥満細胞症を有する患者からの肥満細胞(Baghestanian,et al.,1996,Leuk.:116−122;Castells,et al.,1996,J.Aller.Clin.Immunol.98:831−840)にも認められている。

0091

上昇したc−kit発現は,侵略的な肥満細胞症を有する患者からの肥満細胞に見いだされるが,無活動性肥満細胞症を有する患者からの肥満細胞には見られないことが報告されている(Nagata,et al.,1998,Mastocytosis Leuk 12:175−181)。SCFは,間質細胞膜結合蛋白質として発現されることが示されており,その発現は,繊維形成誘導性成長因子,例えばPDGF(Hiragun,et al.1998)により誘導されることができる。また,これは正常皮膚においてケラチノサイトで膜結合蛋白質として発現されることが示されている。しかし,肥満細胞症を有する患者の皮膚においては,可溶性SCFの量の増加が観察されている(Longley,et al.,1993,New Engl.J.Med.328:1302−1307)。

0092

肥満細胞カイメースは,膜付随SCFを切断して可溶の生物学的に活性な形にすることが報告されている。この肥満細胞により媒介されるプロセスは,肥満細胞の増殖および機能を促進するフィードバックループを生成するよう働くことができ(Longley,et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.94:9017−9021),これは肥満細胞症の病因論に重要であろう。ケラチノサイトから蛋白質分解的に放出されることができない形のSCFを過剰発現するトランスジェニックマウスは,肥満細胞症を発達させないが,ケラチノサイトで正常なSCFを発現する同様の動物は,ヒト皮膚の肥満細胞症に似た表現型を示す(Kunisada,et al.,1998,J.Exp.Med.187:1565−1573)。ある患者においては,大量の可溶性SCFの形成は,肥満細胞症に伴う病理に寄与することができ,本発明は,SCFとc−kitキナーゼとの間の相互作用を調節することにより,そのような疾患を治療または予防することができる。構成的キナーゼ活性をもたらすc−kitRTKのいくつかの異なる変異が,ヒトおよび齧歯類の肥満細胞腫瘍細胞株において見いだされている(Furitsu,et al.,1993,J.Clin.Invest.92:1736−1744;Tsujimura,et al.,1994,Blood 9:2619−2626;Tsujimura,et al.,1995,Int.Arch.Aller.Immunol 106:377−385;Tsujimura,1996,Pathol Int 46:933−938)。さらに,c−kit遺伝子の活性化変異が,肥満細胞症および付随する血液疾患を有する患者から単離された末梢単核細胞(Nagata,et al.,1998,Mastocytosis Leuk 12:175−181),および色素性じんま疹および侵略的な肥満細胞症を有する患者からの肥満細胞(Longley,et al.,1996,Nat.Gen.12:312−314)において観察されている。したがって,c−kitキナーゼの阻害は,これらの疾患の治療において優れた治療的役割を有することが明らかとなるであろう。

0093

ある患者においては,c−kitRTKの活性化変異は,疾病の病因に関与しており,SCFのc−kitキナーゼとの相互作用を調節することにより,これらの患者を治療することができるか,またはその疾病を予防することができる。c−kitのSCF活性化は,肥満細胞のアポトーシスを予防することが示されており,これは皮膚の肥満細胞のホメオスタシスの維持に重要であるかもしれない(Iemura,et al.,1994,Amer.J.Pathol 144:321−328;Yee,et al.,1994,J.Exp.Med.179:1777−1787;Mekori,et al.,1994,J.Immunol 153:2194−2203;Mekori,et al.,1995,Int.Arch.Allergy Immunol.107:137−138)。肥満細胞アポトーシスの阻害は,肥満細胞症に伴う肥満細胞蓄積につながる可能性がある。したがって,レセプターの過剰発現により生ずるc−kit活性化,可溶性SCFの過剰な形成,またはそのキナーゼを構成的に活性化するc−kit遺伝子の変異の知見は,c−kitのキナーゼ活性の阻害が,肥満細胞の数を減少させ,肥満細胞症を有する患者に利益を与えるであろうという理論的根拠を提供する。

0094

ぜん息およびアレルギー:肥満細胞および好酸球は,寄生虫感染,アレルギー,炎症,およびぜん息における鍵となる細胞である(Thomas,et al.,1996,Gen.Pharmacol 27:593−597;Metcalfe,et al.,1997,Physiol Rev 77:1033−1079;Holgate,1997,CIBA Found.Symp.;Naclerio,et al.,1997,JAMA 278:1842−1848;Costa,et al.,1997,JAMA 278:1815−1822)。SCFは,肥満細胞の発生,生存および成長に必須であることが示されている(Kitamura,et al.,1995,Int.Arch.Aller.Immunol.107:54−56;Metcalfe,et al.,1997,Physiol Rev 77:1033−1079)。さらに,SCFは,好酸球特異的レギュレータであるIL−5と共同で働いて,好酸球先祖の発達を増加させる(Metcalf,et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 95:6408−6412)。SCFはまた,肥満細胞が好酸球の生存を促進する因子(Kay,et al.,1997,Int.Arch.Aller.Immunol.113:196−199)を分泌することを誘導すると報告されており(Okayama,et al.,1997,Int.Arch.Aller.Immunol.114:75−77;Okayama,et al.,1998,Eur.J.Immunol.28:708−715),これは慢性の好酸球媒介性炎症に寄与するかもしれない(Okayama,et al.,1997,Int.Arch.Aller.Immunol.114:75−77;Okayama,et al.,1998,Eur.J.Immunol.28:708−715)。このようにして,SCFは肥満細胞および好酸球の両方の活性化を直接的および間接的に制御する。

0095

SCFは,肥満細胞からのメディエータの放出,ならびにこれらの細胞のIgE誘導性脱顆粒の誘発(Columbo,et al.,1992,J.Immunol 149:599−602),および好酸球由来顆粒主要塩基性蛋白質に対するこれらの応答性感作(Furuta,et al.,1998,Blood 92:1055−1061)を誘導する。活性化肥満細胞により放出される因子の中でも,IL−5,GMCSFおよびTNF−αは好酸球蛋白質分泌に影響を与える(Okayama,et al.,1997,Int.Arch.Aller.Immunol.114:75−77;Okayama,etal.,1998,Eur.J.Immunol.28:708−715)。SCFは,肥満細胞からのヒスタミン放出を誘導することに加え(Luckacs,et al.,1996,J.Immunol.156:3945−3951;Hogaboam,et al.,1998,J.Immunol.160:6166−6171),肥満細胞による好酸球走化性因子であるエオタキシンの産生(Hogaboam,et al.,1998,J.Immunol.160:6166−6171),および好酸球浸潤(Luckacs,et al.,1996,J.Immunol.156:3945−3951)を促進する。

0096

SCFはまた,肥満細胞(Dastych,et al.,1994,J.Immunol.152:213−219;Kinashi,et al.,1994,Blood 83:1033−1038)および好酸球(Yuan,et al.,1997,J.Exp.Med.186:313−323)の両方の接着に直接影響を及ぼし,これは次に組織浸潤を制御する。すなわち,SCFは,多数のメカニズムにより,アレルギーおよびぜん息に関与する主な細胞に影響を及ぼすことができる。現在,コルチコステロイドが,アレルギーに伴う慢性鼻炎および炎症の最も有効な治療である(Naclerio,et al.,1997,JAMA 278:1842−1848;Meltzer,1997,Aller.52:33−40)。これらの薬剤は,肥満細胞および好酸球の循環および浸潤の減少,およびサイトカイン産生の阻害に伴う好酸球の生存の減少(Meltzer,1997,Aller.52:33−40)を含む多数のメカニズムにより作用する。また,ステロイドは繊維芽細胞および内在結合組織細胞によるSCFの発現を阻害し,これが肥満細胞生存の減少につながると報告されている(Finotto,et al.,1997,J.Clin.Invest.99:1721−1728)。肥満細胞および好酸球の機能の相互的制御,およびこの制御においてSCFが果たしうる役割のため,c−kitキナーゼの阻害は,アレルギーに伴う慢性鼻炎,炎症およびぜん息の治療手段を提供するであろう。

0097

c.c−kitレセプターに対するアゴニストおよびアンタゴニストの同定
内皮細胞増殖および潜在的には発癌の統制,制御および調節におけるRTKの推定される重要性に鑑みて,種々の方法を用いてRTK”阻害剤”を同定する多くの試みがなされてきた。これには,変異体リガンド(米国特許4,966,849);可溶性レセプターおよび抗体(WO94/10202;Kendall and Thomas,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10705−10709;Kim,et al.,1993,Nature 362:841−844);およびRNAリガンド(Jellinek,et al.,1994,Biochemistry 33:10450−10456)の使用が含まれる。

0098

さらに,キナーゼ阻害剤(WO94/03427;WO92/21660;WO91/15495;WO94/14808;米国特許5,330,992;Mariani,et al.,1994,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.35:2268),およびレセプターキナーゼシグナル伝達経路に作用する阻害剤,例えば蛋白質キナーゼC阻害剤(Schuchter,et al.,1991,Cancer Res.51:682−687);Takano,et al.,1993,Mol.Bio.Cell 4:358A;Kinsella,et al.,1992,Exp.Cell Res.199:56−62;Wright,et al.,1992,J.Cellular Phys.152:448−57)が同定されている。

0099

最近,癌の治療において用いるためにキナーゼ阻害剤として作用する小分子を同定することが試みられている。したがって,このオートクリンループを有効にかつ特異的に抑制するために,c−kitRTKのシグナル伝達を選択的に阻害する有効な小化合物を同定し製造することが必要とされている。

0100

本発明のある化合物は,生物学的アッセイにおいて優れた活性を示し,したがって,これらの化合物および関連する化合物は,c−kitRTK関連疾患,例えば上述した疾患の治療に有効であることが予測される。さらに,本明細書に記載されるアッセイおよび条件を用いて,c−kitキナーゼ機能のさらに別の調節剤を同定することができる。

0101

III.本発明の化合物の生物学的活性
本発明のインドリノン化合物を,ほとんどの蛋白質キナーゼの活性を阻害する能力について試験した。生物学的アッセイおよびこれらの阻害実験の結果は本明細書に記載される。インドリノン化合物による蛋白質キナーゼ機能の調節を測定するために用いられる方法は,ハイスループットの観点の方法に関して,国際公開WO98/07695(1998年3月26日公開,Tang et al.,表題”INDOLINONE COMBINATORIAL LIBRARIES AND RELATED PRODUCTS AND METHODS FOR THETREATMENT OF DESEASES”および米国特許5,792,783(1998年8月11日発行,Tang et al.,表題”3−HETEROARYL−2−INDOLINONE COMPOUNDS FOR THE TREATMENT OF DESEASES”に記載されているものと同様である。WO98/07695公報は,図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。

0102

IV.医薬処方および投与経路
本明細書に記載される化合物は,それ自体で,または医薬組成物中でヒト患者に投与することができる。医薬組成物では,組み合わせ療法におけるように化合物が他の活性成分と混合されているか,または適当な担体または賦形剤と混合されている。本発明の化合物の処方および投与の手法は”Remington’sPharmaceutical Sciences,”Mack PublishingCo.,Easton,PAの最新版に見いだすことができる。

0103

a) 投与経路
投与の適当な経路には,例えば,経口,直腸,経粘膜,または腸投与;非経口輸送,例えば筋肉内,皮下,静脈内,骨髄内注入,ならびに鞘内,直接心室内,腹膜内,鼻腔内,または眼内注射が含まれる。

0104

あるいは,化合物を全身ではなく局所的に投与してもよく,これには,例えば,化合物を,しばしばデポ製剤または徐放製剤として直接固体腫瘍に注射することが含まれる。

0105

さらに,薬物はターゲティングされたドラッグデリバリーシステムにおいて,例えば腫瘍特異的抗体により被覆されたリポソーム中で投与してもよい。リポソームは腫瘍に選択的にターゲティングされて取り込まれるであろう。

0106

b) 組成物/処方
本発明の医薬組成物は,それ自体よく知られる方法,例えば,慣用の混合,溶解,顆粒化糖衣作成,研和乳化カプセル封入捕捉,または凍結乾燥により製造することができる。

0107

すなわち,本発明にしたがって使用するための医薬組成物は,活性化合物を薬剤として使用することができる製剤に加工することを容易にする賦形剤および補助剤を含む,1またはそれ以上の生理学的に許容しうる担体を用いて,慣用の方法で処方することができる。適切な処方は,選択される投与経路に依存する。

0108

注射用には,本発明の薬剤を水性溶液,好ましくはハンクス溶液リンゲル溶液,または生理食塩緩衝液等の生理学的に適合性の緩衝液中で処方することができる。経粘膜投与用には,浸透すべき障壁に適した浸透剤が処方に用いられる。そのような浸透剤は当該技術分野において一般に知られている。

0109

経口投与のためには,化合物を当該技術分野においてよく知られる薬学的に許容しうる担体と混合することにより化合物を容易に処方することができる。そのような担体は,本発明の化合物を,治療すべき患者による経口摂取のための錠剤丸薬,糖衣剤,カプセル液体ゲルシロップスラリー,懸濁液等として処方することを可能とする。経口で使用するための医薬製剤は,1またはそれ以上の固体賦形剤を1またはそれ以上の本発明の化合物と混合物し,得られた混合物を任意にすりつぶし,所望の場合には適当な助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して,錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適当な賦形剤は,特に,ラクトースショ糖マンニトール,またはソルビトール等の糖類;トウモロコシデンプン小麦デンプン米デンプン,およびジャガイモデンプン等のセルロース製品ゼラチントラガカントゴムメチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースカルボキシメチルセルロースナトリウム,および/またはポリビニルピロリドン(PVP)等の増量剤などである。所望の場合には,架橋されたポリビニルピロリドン,寒天,またはアルギン酸またはその塩,例えばアルギン酸ナトリウム等の崩壊剤を加えてもよい。

0110

糖衣剤のコアは,適当なコーティングとともに供給される。この目的のためには,濃縮された糖溶液を用いることができる。これは,アラビアゴムタルク,ポリビニルピロリドン,カルボポールゲル,ポリエチレングリコール,および/または二酸化チタンラッカー溶液,および適当な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含むことができる。識別のため,あるいは活性化合物の用量の異なる組合せを特徴づけるため,染料または色素を錠剤または糖衣剤コーティングに添加してもよい。

0111

経口で使用することができる医薬製剤は,ゼラチンから作成されるプッシュフィットカプセル,ならびにゼラチンおよびグリセロール,ソルビトール等の可塑剤から作成される密封軟カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは,活性成分を,ラクトース等の増量剤,デンプン等の結合剤,および/またはタルクおよびステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤,さらに任意に安定剤との混合物中に含むことができる。軟カプセルにおいては,活性化合物は脂肪油流動パラフィン,または液体ポリエチレングリコール等の適当な液体中に溶解または懸濁することができる。さらに安定剤を添加してもよい。経口投与用のすべての処方は,そのような投与に適当な用量で調製すべきである。

0112

口内投与のためには,組成物は,慣用的な方法で錠剤またはトローチ剤の形にすることができる。

0113

吸入による投与用には,本発明に従って用いられる化合物は,噴射剤,例えば,ジクロロジフルオロメタントリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタン二酸化炭素または他の適当な気体を用いて,加圧されたパックまたはネブライザーからエアーゾルスプレイの形状で便利に輸送される。加圧されたエアーゾルの場合,用量単位は計量された量を送達するべく備えられたバルブにより調節することができる。例えば吸入器または注入器において使用するためのゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは,化合物の粉末混合物と,ラクトースまたはデンプン等の適当な粉末基剤とを含むよう処方することができる。

0114

化合物は,例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与用に処方することができる。注射用の処方は,単位用量にて,例えばアンプルにて,あるいは添加された保存料と共に多用量容器中で提供することができる。組成物は油性または水性ベヒクル中で,懸濁液,溶液,または乳濁液等の形状をとることができ,懸濁剤,安定剤および/または分散剤等の製剤物質を含んでいてもよい。

0115

非経口投与用の薬剤処方は,水溶性の形態の活性化合物の水性溶液を含む。さらに,活性化合物の懸濁液は,適当な油性の注入用懸濁液として調製することができる。適切な親油性溶媒またはベヒクルには,ゴマ油等の脂肪油,オレイン酸エチルまたはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル,またはリポソーム等を含む。水性の注射用懸濁液は,カルボキシメチルセルロースナトリウム,ソルビトール,またはデキストラン等の,懸濁液の粘度を増加させる物質を含んでいてもよい。任意に,懸濁液はまた,高度に濃縮された溶液の調製を可能にする,当該化合物の溶解性を増加させる適当な安定剤または薬剤を含んでいてもよい。

0116

あるいは,活性成分は粉体の形態であって,使用前に適当なベヒクル,例えば発熱物質を含まない滅菌水を用いて構成することができる。

0117

化合物はまた,例えばカカオバターまたは他のグリセリド等の慣用の坐剤基剤を用いて,坐剤または停留浣腸等の直腸用組成物に処方することができる。

0118

上述した処方に加えて,化合物はまたデポ製剤として処方することができる。そのような長時間作用性の処方は,埋込み(例えば皮下または筋肉内への)によるか,または筋肉内注射により投与することができる。すなわち,例えば,化合物は,適当な高分子性または疎水性物質と共に(例えば許容される油剤中の乳濁液として),イオン交換樹脂と共に,溶けにくい塩等の溶けにくい誘導体として,処方することができる。

0119

本発明の疎水性化合物のための薬学的担体は,ベンジルアルコール非極性界面活性剤水混和性有機ポリマーおよび水性相を含む共溶媒系である。共溶媒系はVPD共溶媒系であってもよい。VPDは,3%(w/v)ベンジルアルコール,8%(w/v)非極性界面活性剤ポリソルベート80,および65%(w/v)ポリエチレングリコール300を純粋エタノール中に作成した溶液である。VPD共溶媒系(VPD:D5W)は,VPDを5%デキストロース水溶液中に1:1で希釈したものである。この共溶媒系は疎水性化合物をよく溶解し,それ自体,全身投与に際して低い毒性を示す。本来,共溶媒系の比率は,その溶解性および毒性特性を破壊することなく相当変化させることができる。さらに,共溶媒成分の同一性も変化させることができる。例えば,他の低毒性非極性界面活性剤をポリソルベート80の代わりに用いることができ,ポリエチレングリコールの分画サイズは様々でありうる。他の生体適合性ポリマー,例えばポリビニルピロリドンをポリエチレングリコールの代わりに用いることができ,他の糖または多糖類をデキストロースの代わりに用いることができる。

0120

あるいは,疎水性医薬化合物のための他の輸送系を用いてもよい。リポソームおよび乳剤は,疎水的薬剤のための輸送用ベヒクルまたは担体の例としてよく知られている。さらに,ある種の有機溶媒,例えばジメチルスルホキシドもまた用いることができるが,しばしば毒性がより高くなる。さらに,化合物は,持続放出系,例えば治療薬剤を含む固体疎水性ポリマーの準透過性マトリックスを用いて輸送することができる。種々の持続放出材料が当業者にはよく知られている。持続放出カプセルはその化学的性質に応じて,数週間から100日を越える期間,化合物を放出する。治療薬剤の化学的性質および生物学的安定性に応じて,さらに別の蛋白質安定化戦略を用いてもよい。

0121

本発明のPTK調節化合物の多くは,薬学的に適合性のカウンターイオンとの塩として提供される。薬学的に適合性の塩は,多くの酸,例えば,限定されないが,塩酸硫酸酢酸乳酸酒石酸リンゴ酸クエン酸等を用いて形成することができる。塩は,水性または他のプロトン性溶媒において,対応する遊離塩基の形よりもより溶解性である傾向にある。

0122

c) 有効投与量
本発明において使用するのに適した医薬組成物には,活性成分がその意図される目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物が含まれる。より詳細には,治療上有効量とは,疾病の症状を予防,緩和または改善するのに,または治療している被験者の生存を長くするのに有効な化合物の量を意味する。本発明の化合物の治療上有効量の決定は,特に本明細書に提供される詳細な開示に鑑みて,十分に当業者の能力の範囲内である。

0123

本発明の方法において用いられる任意の化合物について,治療上有効な用量は,最初は細胞培養アッセイから見積もることができる。例えば,動物モデルにおいて,培養細胞において決定されたIC50(すなわちPTK活性の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するような用量を処方することができる。そのような情報を用いてヒトにおける有用な用量をさらに正確に決定することができる。

0124

本明細書に記載される化合物の毒性および治療有効性は,培養細胞または実験動物における標準的な薬理学的方法,例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定することにより,決定することができる。毒性と治療上有効性の用量の比は治療指数であり,LD50とED50の比率として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの培養細胞アッセイおよび動物研究から得られるデータは,ヒトにおいて用いるためのある範囲の投与量を処方するために用いることができる。このような化合物の投与量は,好ましくは,ED50を含み毒性がほとんどまたは全くない循環濃度の範囲内にある。投与量は,用いる投与形態および用いる投与経路により,この範囲内で様々でありうる。正確な処方,投与経路,および投与量は,個々の医師が,患者の状態を考慮して選択することができる(例えば,Fingl et al.1975,”The Pharmacological Basis of Therapeutics”,Ch.1,p.1を参照)。

0125

投与量および間隔は,個々に,活性成分がキナーゼ調節効果を維持するのに十分な血漿レベル,すなわち最小有効濃度(MEC)を与えるよう調節することができる。MECは,各化合物について異なるが,インビトロのデータ,例えば,本明細書に記載されるアッセイを用いて,キナーゼの50−90%の阻害を達成するのに必要な濃度から見積もることができる。MECを達成するのに必要な投与量は,個々の特性および投与経路に依存するであろう。しかし,血漿濃度HPLCアッセイまたはバイオアッセイを用いて決定することができる。

0126

投与間隔もまた,MEC値を用いて決定することができる。化合物は,10−90%の時間,好ましくは30−90%の時間,最も好ましくは50−90%の時間,MECより高い血漿レベルを維持する投与計画を用いて投与すべきである。

0127

局所投与または選択的取り込みの場合には,薬剤の有効な局所濃度は血漿濃度とは関係ないであろう。

0128

投与される特定の組成物の量は,もちろん,治療中の患者,患者の体重,苦痛激しさ投与方法,および担当医師の判断に依存するであろう。

0129

d) 包装
組成物は,所望の場合には,活性成分を含む1またはそれ以上の単位用量形を含んでいてもよいパックまたはディスペンサー装置中で提供することができる。パックは,例えば,ブリスターパックなどの金属またはプラスチック箔を含むことができる。パックまたはディスペンサー装置には,投与の指示が添付されていてもよい。パックまたはディスペンサー装置はまた,薬剤の製造,使用,または販売規制する政府機関によって規定された形式の,容器に付随した注意書が添付されていてもよく,その注意書はヒトまたは獣医学的投与用の化合物の形状の当該機関による承認を反映するものである。そのような注意書は,例えば米国食品医薬品局により処方箋調剤薬として承認されたラベルによるものか,または承認された製品に差込まれたものでもよい。適合した薬学的担体中に処方された,本発明の化合物を含む組成物もまた製造され,適当な容器内に配置され,さらに指示された状態の治療のためにラベルを付すことができる。ラベル上に示される適切な状態としては,腫瘍の治療,新脈管形成の阻害,線維症糖尿病等の治療が挙げられる。

0130

化合物の医薬処方を製造する別の方法,患者に投与すべき化合物の量を決定する方法,および化合物を生物に投与するモードは,米国特許出願08/702,232(Tang,et al.,表題”Indolinone Combinatorial Libraries and Related Products and Methods for the Treatment of Deseases”,1996年8月23日出願),および国際公開WO96/22976(Buzzetti,et al.,表題”Hydrosoluble 3−Arylidene−2−Oxindole Derivatives as Tyrosine Kinase Inhibitors”,1996年8月1日公開)に開示されており,これらのいずれも図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する。当業者は,そのような記載が本発明に適用可能であり,容易に適合させることができることを理解するであろう。

0131

実施例
以下の実施例は,非限定的なものであり,本発明の種々の観点および特徴の代表例にすぎない。実施例は,本発明の化合物を合成する方法,および蛋白質キナーゼ機能のに及ぼす化合物の影響を測定する方法を記載する。

0132

この方法において用いられる細胞は,市販されているか,学術的研究室から入手可能であるか,または市販の細胞から工学処理した。細胞に含まれる核酸ベクターもまた市販されており,種々の蛋白質キナーゼの遺伝子の配列は配列データバンクで容易にアクセス可能である。すなわち,当業者は,市販の細胞,市販の核酸ベクター,および蛋白質キナーゼ遺伝子を当業者には容易に利用可能な手法を用いて組み合わせることにより,短時間で容易に細胞株を再形成することができる。

0133

アッセイ方法
以下のインビトロアッセイを用いて,活性のレベル,および本発明の種々の化合物が1またはそれ以上のPKに及ぼす影響を測定することができる。当該技術分野においてよく知られる手法を用いて,任意のPKについても同様に,類似のアッセイを設計することができる。

0134

本明細書に記載される細胞/触媒アッセイは,ELISAフォーマットで実施する。一般的方法は以下のとおりである:天然にまたは組換え的に試験キナーゼを発現する細胞に化合物を導入する。ある時間が経過した後,試験キナーゼがレセプターである場合には,レセプターを活性化することが知られているリガンドを加える。細胞を溶解し,酵素的リン酸化反応の基質を認識する特異的抗体であらかじめコーティングしたELISAプレートウエルに溶解物を移す。細胞溶解物の非基質成分を洗い流し,ホスホチロシンを特異的に認識する抗体で基質のリン酸化の量を検出し,試験化合物と接触させていない対照細胞と比較する。アッセイはまたウエスタンブロッティングによる検出ように適合させることができる。

0135

本明細書に記載される細胞/生物学的アッセイは,試験キナーゼの活性化に応答して生成したDNAの量を測定し,これは一般的な増殖性応答の測定である。このアッセイの一般的方法は次のとおりである:天然にまたは組換え的に試験キナーゼを発現する細胞に化合物を導入する。ある時間が経過した後,試験キナーゼがレセプターである場合にはレセプターを活性化することが知られているリガンドを加える。少なくとも一夜インキュベーションした後,DNA標識試薬,例えばブロモデオキシウリジン(BrdU)または3H−チミジンを加える。抗BrdU抗体でまたは放射活性を測定することにより標識されたDNAの量を検出し,試験化合物と接触させていない対照細胞と比較する。

0136

細胞/触媒アッセイ
酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて,PK活性の存在を検出し測定することができる。ELISAは,例えば,Voller,et al.,1980(”Enzyme−Linked Immunosorbent Assay,” Manual of Clinical Immunology,第2版,Rose and Friedman編,pp359−371 Am.Soc.Of Microbiology,Washington,D.C.)に記載の既知プロトコルに従って実施することができる。

0137

開示されるプロトコルを,特定のPKに関する活性を検出するように適合させることができる。例えば,特定のPKであるc−kitキナーゼに関するELISA実験を実施するための好ましいプロトコルは以下に記載される。しかし,RTKファミリーの他のメンバー,ならびにCTKおよびSTKに対する化合物の活性を検出するためにこれらのプロトコルを適合させることは,当業者の知識の範囲内である。

0138

実施例1:本発明の化合物の活性
本発明のいくつかの化合物の生化学的活性を,記載されるアッセイを用いて試験した。本発明の化合物のいくつかについてIC50値を測定した。結果は図2に示される。

0139

A.材料および試薬
1)HNTG:5X保存濃度:100mM HEPESpH7.2,750mM NaCl,50%グリセロール,2.5%TritonX−100.
2)PBSダルベッコリン酸緩衝食塩水):Gibcoカタログ#450−1300EB
3)1Xブロッキング緩衝液:10mM TRIS−pH7.5,1%BSA,100mM NaCl,0.1%TritonX−100
4)1Xキナーゼ緩衝液:25mM HEPES,100mM NaCl,10mM MgCl2,6mM MnCl2
5)PMS保存溶液=100mM(Sigmaカタログ#P−7626)
6)10mMATP(細菌起源)SigmaA−7699,5g.
7)UB40抗ホスホチロシンmAb(Terrance,Sugenから入手可能)
8)HRPコンジュゲート化ヒツジ抗マウスIgG.(Amersham NA931)
9)ABTS(5Prime−3Prime7−579844)
10)TRIS HCL:Fisher BP152−5
11)NaCl:Fisher S271−10
12)TritonX−100:Fisher BP151−100
13)Na3VO4:Fisher S454−50
14)MgCl2:Fisher M33−500
15)MnCl2:Fisher M87−500
16)HEPES:Fisher BP310−500
17)アルブミンウシ(BSA):SigmaA−8551
18)TBST緩衝液:50mM TrispH7.2,150mM NaCl,0.1%Triton X−100
19)ヤギアフィニティー精製抗体ラビットIgG(全分子):Cappel 55641
20)抗kit(C−20)ウサギポリクローナルIgG抗体:Santa Cruzsc−168
21)kit/CHO細胞GyrB/kitを安定に発現するCHO細胞,1mg/mlのG418を補充した標準的CHO培地で成長させる
22)インドリノン化合物:インドリノン化合物は,以下の出願に記載されるように合成した:PCT/US99/06468(1999年3月26日出願,Fong,et al.,表題”METHODS OF MODULATING TYROSINE PROTEIN KINASE”(Lyon&Lyon書類番号231/250PCT,図面を含めその全体を本明細書の一部としてここに引用する)。

0140

B.方法
以下の全ての工程は特に示さない限り室温で行う。すべてのELISAプレート洗浄はTBSTで4回すすぐことにより行う。

0141

kit細胞溶解
この方法は,レセプター捕捉の開始の1時間前に行う。
1)95%以上コンフルエントの15cm皿をPBSで洗浄し,可能な限り吸引する。
2)15cm皿1枚あたり1mMPMSFを含む3mlの1xHNTGで細胞を溶解する。細胞をプレートから掻き取り,50ml遠心管に移す。
3)上清プールし,上に1時間,時々ボルテックスしながら放置する。これを行わないと,バックグラウンドが増加する(約3倍高くなる)。
4)管を平衡させ,10,000xgで10分間,4℃で遠心分離する。蛋白質測定のためにアリコートを取り出す。
5)蛋白質測定用SOPにしたがって,ビシンコニン酸(BCA)法を用いて蛋白質測定を行う。

0142

ELISA法
1)Corning96ウエルELISAプレートをウエルあたり2μgのPBS中のヤギ抗ウサギ抗体でウエル総容量100μlで被覆する。4℃で一夜保存する。
2)プレートを逆さにして液体を除去することにより未結合ヤギ抗ウサギ抗体を除去する。
3)100μlのブロッキング緩衝液を各ウエルに加える。室温で60分間振盪する。
4)TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて過剰の液体および泡を除去する。
5)ウエルあたり0.2μgのTBST中に希釈したウサギ抗−kit抗体を加え,ウエルの総容量を100μlとする。室温で60分間振盪する。
6)溶解物をHNTGで希釈する(180μgの溶解物/100μl)。
7)100μlの希釈溶解物を各ウエルに加える。室温で60分間振盪する。
8)TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオルの上で軽くたたいて過剰の液体および泡を除去する。
9)化合物/抽出物(または記載される他のもの)をポリプロピレン96ウエルプレート中で1xキナーゼ緩衝液および5μlのATP中で希釈する。
10)100μlの希釈薬剤をELISAプレートのウエルに移す。振盪しながら室温で60分間インキュベートする。
11)10μlの0.5MEDTAを加えて反応を停止させる。この段階でプレートはある程度の時間安定である。
12)TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオルの上で軽くたたいて過剰の液体および泡を除去する。
13)ウエルあたり100μlのUB40(TBST中1:2000希釈)を加える。振盪しながら室温で60分間インキュベートする。
14)TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオルの上で軽くたたいて過剰の液体および泡を除去する。
15)ウエルあたり100μlのヒツジ抗マウスIgG−HRP(TBST中1:5000希釈)を加える。振盪しながら室温で60分間インキュベートする。
16)TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオルの上で軽くたたいて過剰の液体および泡を除去する。
17)ウエルあたり100μlのABTSを加える。振盪しながら15−30分間インキュベートする。
18)DynatechMR7000ELISAリーダーでアッセイを読む試験フィルター=410nm,参照フィルター=630nm。

0143

実施例2:本発明の化合物の活性
本発明の2つの化合物の生化学的活性を,以下に記載されるアッセイを用いて試験した。

0144

方法:
細胞株
M07E細胞(ヒト骨髄白血病細胞株)は,10%ウシ胎児血清および各10ng/mlのIL−3およびGM−CSFを補充したRPMI1640培地中で維持した。

0145

c−kitチロシンリン酸化の検出
M07E細胞を,0.1%血清中で一夜血清飢餓とした。細胞を化合物8で2時間,または化合物6で22時間(血清飢餓と同時)前処理した後,リガンド刺激を行った。細胞を250ng/mlのrh−SCFで15分間刺激した。刺激後,細胞を溶解し,抗−c−kit抗体で免疫沈澱させた。ホスホチロシンおよび蛋白質レベルは,ウエスタンブロッティングにより検出した。

0146

MTT増殖アッセイ
M07E細胞を血清飢餓とさせ,リン酸化実験について記載したように,化合物で前処理した。細胞を96ウエル皿に100μlRPMI+10%血清中で4X105細胞/ウエルで播種した。rh−SCF(100ng/mL)を加え,プレートを48時間インキュベートした。48時間後,10μlの5mg/mlMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を加え,4時間インキュベートした。酸イソプロパノール(100μlのイソプロパノール中0.04NHCl)を加え,波長550nmで光学密度を測定した。

0147

アポトーシスアッセイ
M07E細胞を,+/−SCFおよび+/−化合物(化合物6または化合物8:5および25μM)で,10%FBS中でrh−GM−CSF(10ng/mL)およびrh−IL−3(10ng/mL)とともにインキュベートした。試料は24および48時間後にアッセイした。活性化カスパーゼ−3を測定するためには,試料をPBSで洗浄し,氷冷70%エタノールで浸透性にした。次に細胞をPE−コンジュゲート化ポリクローナルウサギ抗−活性カスパーゼ−3で染色し,FACS分析した。切断されたPARPを測定するためには,試料を溶解させ,抗−PARP抗体を用いてウエスタンブロッティングで分析した。

0148

化合物8および化合物6によるc−kitの生物学的機能の阻害
結果:
c−kitのチロシンリン酸化の阻害
化合物8および化合物6は,M07E細胞(ヒト骨髄白血病細胞株)において,幹細胞因子(SCF)によるリガンド刺激に応答して,c−kitのチロシンリン酸化を阻害する。化合物8で処理した細胞においては,0.01μMではリン酸化の阻害は観察されず,部分阻害は0.1μMで,完全な阻害は1および10μMで観察された。化合物6で処理した細胞においては,0.01μMまたは0.1Mでは,c−kitチロシンリン酸化の阻害は観察されなかった。部分的阻害は1μMで観察され,完全な阻害は10μMで観察された。

0149

c−kit媒介性増殖の阻害
化合物8および化合物6はまた,MTT増殖アッセイにおいてM07E細胞においてc−kit媒介性シグナリングを阻害する。化合物8の増殖の阻害のIC50値は約0.5−1.0μMであり,化合物6のIC50値は約5−7μMである。

0150

アポトーシスの誘導
化合物8および化合物6はまた,M07E細胞において,用量および時間依存的様式でアポトーシスを誘導する。アポトーシスは,2つのアッセイを用いて評価した:細胞中でアポトーシスの間に誘導される活性化カスパーゼ−3を認識する抗体を用いるFACS分析,およびやはりアポトーシスの間に誘導されるポリADPリボースポリメラーゼの切断されたフラグメントのウエスタンブロッティングアッセイ。

0151

カスパーゼ−3アッセイを用いて,SCF刺激および25μMの化合物8処理により,48時間で,未処理SCF刺激細胞と比較してアポトーシス性細胞の数の約50%の増加が観察された。SCF刺激なしでは,25μMの化合物8で48時間ではわずかの影響が観察された。25μgの化合物8(+/−SCF刺激)で24時間処理すると,測定可能であるがより少数のアポトーシス性細胞が認められた。

0152

細胞を5Mの化合物8で24または48時間(+/−SCF刺激)処理すると,やはり測定可能であるがより少数のアポトーシス性細胞が認められた。

0153

化合物6についても類似の結果が得られた。ただし,5μMの化合物6で24時間では,SCF刺激がある場合もない場合も影響は観察されなかった。

0154

PARPアッセイを用いた場合,25μMの化合物8で48時間処理すると,切断されたPARPの量の最も大きな増加が得られた。この影響は,SCF刺激によりわずかに増強された。25μMの化合物8で24時間処置した試料は,48時間の試料と同様であった。

0155

5μMの化合物8で処理すると,いずれの時点においても,切断されたPARPの増加は非常に少なかった。
化合物6についても類似の結果が得られた。

0156

結論
当業者は,本発明は,その目的を実施し,記載される結果および利点,ならびに本明細書に固有のものを得るのによく適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載される分子複合体および方法,手順,処理,分子,特定の化合物は,現在のところ好ましい態様の代表的なものであり,例示的なものであって,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者がなすであろう,本発明の精神の範囲内に含まれる変更および他の用途は,特許請求の範囲により定義されている。

0157

当業者は,本発明の範囲および精神から逸脱することなく,本明細書に開示される本発明に対して置換基の変更および改変をなすことができることを容易に理解するであろう。

0158

本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は,本発明の属する技術分野の技術者のレベルを示す。すべての特許および刊行物は,それぞれの刊行物が特定的に個々に本明細書の一部としてここに引用されることと同じ程度に,本明細書の一部として引用される。

0159

本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されていない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。すなわち,例えば,本明細書における各例において,”・・・を含む”,”・・・から本質的になる”および”・・・からなる”との用語は,他の2つのいずれかと置き換えることができる。本明細書において用いた用語および表現は,説明の用語として用いるものであり,限定ではない。そのような用語および表現の使用においては,示されかつ記載されている特徴またはその一部の等価物を排除することを意図するものではなく,特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更および変種が可能であり,そのような変更および変種も特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。

0160

さらに,発明の特徴および局面がマーカッシュグループの用語で記載されている場合,当業者は,本発明が,マーカッシュグループのメンバーの個々のメンバーまたはサブグループに関してもまた記載されていることを認識するであろう。例えば,Xが,臭素,塩素およびヨウ素からなる群より選択されるとして記載されている場合,Xが臭素である特許請求の範囲およびXが臭素および塩素である特許請求の範囲も完全に記載されている。

0161

本明細書においては,本発明を広くかつ一般的に記載している。一般的開示に含まれるより狭い種および亜属のそれぞれのグループもまた本発明の一部を形成する。これには,除かれたものが具体的に記載されているか否かにかかわらず,属から任意の主題を除く「ただし・・・」またはネガティブ限定を含む発明の一般的記載が含まれる。

図面の簡単な説明

0162

他の態様は特許請求の範囲の範囲内である。

図1
図1は,c−kitキナーゼの細胞外ドメインおよび細胞質”スプリット”キナーゼドメインにおける5つの免疫グロブリン様モチーフを示す概略図である。
図2
図2は,インドリノン誘導体がc−kitキナーゼの活性に及ぼす影響を示す。

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