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技術 複層塗膜の形成方法

出願人 日本ペイントホールディングス株式会社トヨタ自動車株式会社トヨタ自動車東日本株式会社
発明者 竹迫祥一山内正弘瀬川大介東井輝三
出願日 2004年5月13日 (15年8ヶ月経過) 出願番号 2004-143686
公開日 2004年12月24日 (15年0ヶ月経過) 公開番号 2004-358462
状態 特許登録済
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 塗料、除去剤
主要キーワード 水溶出率 水溶出性 アリルスルホナート 揮発性塩基性物質 アレックス 連続モノマー 多官能ビニル系モノマー リン酸基含有エチレン性
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この項目の情報は公開日時点(2004年12月24日)のものです。
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課題

中塗り塗膜ベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成する方法を提供すること。

解決手段

電着塗膜の上に水性中塗り塗料水性ベース塗料、及びクリヤー塗料ウェットオンウェットで順次塗布してこれらを同時に焼き付け硬化させる複層塗膜形成方法において、該水性中塗り塗料から形成される中塗り塗膜が10%以下の塗膜吸水率及び5%以下の塗膜水溶出率を有し、該水性中塗り塗料が、アクリル樹脂エマルションウレタン樹脂エマルション、及び硬化剤を含有することを特徴とする複層塗膜の形成方法

概要

背景

自動車車体塗装は、基本的には電着塗膜中塗り塗膜、及びベース塗膜クリヤー塗膜とから成る上塗り塗膜を被塗物である鋼板の上に順次積層して行われる。従来、これらの塗膜は、それぞれ塗膜の機能に応じて組成が調整された塗料組成物を塗布し、各塗膜毎に焼き付け硬化させて形成されてきた。複数の塗料塗り重ねる場合、下地となる層を完全に製膜及び平滑化しておかないと、隣接する塗膜層が相互に干渉し、下地層凹凸上層に反映されて、複層塗膜外観が悪化するためである。

しかしながら、作業効率を上げ、特に近年要請が強い省エネルギーを実現するために、自動車車体塗装業界においても、焼き付け硬化させないで複数の塗料を塗り重ね、その後、それらを同時に硬化させる複層塗膜形成方法が次第に採用されるようになってきた。

特開平4−284881号公報(特許文献1)には、被塗物の上に電着塗膜を形成した後に、水性下塗り塗料水性上塗り塗料及びクリヤー塗料ウェットオンウェットで塗り重ね、3層の塗膜を同時に硬化させる、3コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。しかしながら、ここでは電着塗膜の上に、従来の逐次焼き付け用水性塗料を3層塗り重ねている。かかる方法では、塗膜層の混相及び下地層の凹凸の反映等が生じて、複層塗膜の外観が悪化する問題は解決されない。

特開平8−33865号公報(特許文献2)には、被塗物の上に電着塗膜を形成した後に、2種類の水性塗料を塗り重ね、2層の塗膜を同時に硬化させる2コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。ここでは、塗り重ねられる2層の樹脂中和価を調節して混相や反転が防止されている。しかしながら、ここには、3コート1ベーク法を行う場合に、どのように複層塗膜の外観を向上させるかについては記載されていない。

特開2001−170559号公報(特許文献3)には、被塗物の上に電着塗膜及び中塗り塗膜を形成した後に、ベース塗料光輝材含有ベース塗料及びクリヤー塗料をウェットオンウェットで塗り重ね、3層を焼き付け硬化させる3コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。しかしながら、この方法では、中塗り塗膜はベース塗料等を塗り重ねる前に一旦焼き付け硬化されており、省エネルギーや作業の効率化が十分でない。

特開2001−205175号公報(特許文献4)には、被塗物の上に電着塗膜を形成した後に、水性中塗り塗料水性メタリックベース塗料及びクリヤー塗料を塗り重ね、3層の塗膜を同時に硬化させる3コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。ここでは、水性中塗り塗料にアミド基含有エチレン性不飽和モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとを乳化重合して得られるアミド基含有アクリル樹脂粒子水分散体を含有させて、塗膜層の界面でのなじみや反転を制御し、複層塗膜の外観が向上されている。しかしながら、この方法においても、複層塗膜の表面平滑性については改善が不十分であり、複層塗膜の外観を更に向上させる必要がある。
特開平4−284881号公報
特開平8−33865号公報
特開2001−170559号公報
特開2001−205175号公報

概要

中塗り塗膜とベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成する方法を提供すること。電着塗膜の上に水性中塗り塗料、水性ベース塗料、及びクリヤー塗料をウェットオンウェットで順次塗布してこれらを同時に焼き付け硬化させる複層塗膜形成方法において、該水性中塗り塗料から形成される中塗り塗膜が10%以下の塗膜吸水率及び5%以下の塗膜水溶出率を有し、該水性中塗り塗料が、アクリル樹脂エマルションウレタン樹脂エマルション、及び硬化剤を含有することを特徴とする複層塗膜の形成方法。 なし

目的

本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、中塗り塗膜とベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成する方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
4件

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請求項1

(1)電着塗膜が形成された被塗物を提供する工程;(2)電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗布して中塗り塗膜を形成する工程;(3)中塗り塗膜を硬化させないで中塗り塗膜の上に水性ベース塗料、及びクリヤー塗料ウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する工程;(4)中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる工程;を含む複層塗膜形成方法において、該水性中塗り塗料から形成される中塗り塗膜が10%以下の塗膜吸水率及び5%以下の塗膜水溶出率を有し、該水性中塗り塗料が、ガラス転移温度−50〜20℃、酸価2〜60mgKOH/g及び水酸基価10〜120mgKOH/gを有するアクリル樹脂エマルション、酸価5〜50mgKOH/gを有するウレタン樹脂エマルション、及び硬化剤を含有することを特徴とする複層塗膜形成方法

請求項2

前記アクリル樹脂エマルションが、(a)(メタアクリル酸アルキルエステル、(b)酸基含有エチレン性不飽和モノマー、及び(c)水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物乳化重合されてなるものである、請求項1記載の方法。

請求項3

前記アクリル樹脂エマルションとウレタン樹脂エマルションとの割合が固形分重量比1/1〜2/1である請求項1記載の方法。

技術分野

0001

本発明は複層塗膜形成方法に関し、特に3コート1ベーク法を用いて自動車車体水性中塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成する方法に関する。

背景技術

0002

自動車車体の塗装は、基本的には電着塗膜中塗り塗膜、及びベース塗膜クリヤー塗膜とから成る上塗り塗膜を被塗物である鋼板の上に順次積層して行われる。従来、これらの塗膜は、それぞれ塗膜の機能に応じて組成が調整された塗料組成物を塗布し、各塗膜毎に焼き付け硬化させて形成されてきた。複数の塗料塗り重ねる場合、下地となる層を完全に製膜及び平滑化しておかないと、隣接する塗膜層が相互に干渉し、下地層凹凸上層に反映されて、複層塗膜の外観が悪化するためである。

0003

しかしながら、作業効率を上げ、特に近年要請が強い省エネルギーを実現するために、自動車車体塗装業界においても、焼き付け硬化させないで複数の塗料を塗り重ね、その後、それらを同時に硬化させる複層塗膜形成方法が次第に採用されるようになってきた。

0004

特開平4−284881号公報(特許文献1)には、被塗物の上に電着塗膜を形成した後に、水性下塗り塗料水性上塗り塗料及びクリヤー塗料ウェットオンウェットで塗り重ね、3層の塗膜を同時に硬化させる、3コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。しかしながら、ここでは電着塗膜の上に、従来の逐次焼き付け用水性塗料を3層塗り重ねている。かかる方法では、塗膜層の混相及び下地層の凹凸の反映等が生じて、複層塗膜の外観が悪化する問題は解決されない。

0005

特開平8−33865号公報(特許文献2)には、被塗物の上に電着塗膜を形成した後に、2種類の水性塗料を塗り重ね、2層の塗膜を同時に硬化させる2コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。ここでは、塗り重ねられる2層の樹脂中和価を調節して混相や反転が防止されている。しかしながら、ここには、3コート1ベーク法を行う場合に、どのように複層塗膜の外観を向上させるかについては記載されていない。

0006

特開2001−170559号公報(特許文献3)には、被塗物の上に電着塗膜及び中塗り塗膜を形成した後に、ベース塗料光輝材含有ベース塗料及びクリヤー塗料をウェットオンウェットで塗り重ね、3層を焼き付け硬化させる3コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。しかしながら、この方法では、中塗り塗膜はベース塗料等を塗り重ねる前に一旦焼き付け硬化されており、省エネルギーや作業の効率化が十分でない。

0007

特開2001−205175号公報(特許文献4)には、被塗物の上に電着塗膜を形成した後に、水性中塗り塗料水性メタリックベース塗料及びクリヤー塗料を塗り重ね、3層の塗膜を同時に硬化させる3コート1ベーク複層塗膜形成方法が記載されている。ここでは、水性中塗り塗料にアミド基含有エチレン性不飽和モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとを乳化重合して得られるアミド基含有アクリル樹脂粒子水分散体を含有させて、塗膜層の界面でのなじみや反転を制御し、複層塗膜の外観が向上されている。しかしながら、この方法においても、複層塗膜の表面平滑性については改善が不十分であり、複層塗膜の外観を更に向上させる必要がある。
特開平4−284881号公報
特開平8−33865号公報
特開2001−170559号公報
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発明が解決しようとする課題

0008

本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、中塗り塗膜とベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、(1)電着塗膜が形成された被塗物を提供する工程;(2)電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗布して中塗り塗膜を形成する工程;(3)中塗り塗膜を硬化させないで中塗り塗膜の上に水性ベース塗料、及びクリヤー塗料をウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する工程;(4)中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる工程;を含む複層塗膜形成方法において、
該水性中塗り塗料から形成される中塗り塗膜が10%以下の塗膜吸水率及び5%以下の塗膜水溶出率を有し、
該水性中塗り塗料が、ガラス転移温度−50〜20℃、酸価2〜60mgKOH/g及び水酸基価10〜120mgKOH/gを有するアクリル樹脂エマルション、酸価5〜50mgKOH/gを有するウレタン樹脂エマルション、及び硬化剤を含有することを特徴とする複層塗膜の形成方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。

発明の効果

0010

本発明の塗膜形成方法によれば、中塗り塗膜とベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成することができる。

発明を実施するための最良の形態

0011

水性中塗り塗料
本発明の方法で用いる水性中塗り塗料は、水性媒体中に分散または溶解された状態で、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション及び硬化剤を含有する。この水性中塗り塗料には更に顔料、及び増粘剤フィラー等のような自動車車体用水性中塗り塗料に通常含まれる添加剤を含有させてよい。

0012

アクリル樹脂エマルションは、(メタアクリル酸アルキルエステル(a)、酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)、及び水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(c)を含むモノマー混合物を乳化重合して得ることができる。尚、モノマー混合物の成分として以下に例示される化合物は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用してよい。

0013

(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)はアクリル樹脂エマルションの主骨格を構成するために使用する。

0014

(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。

0015

酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)は、得られるアクリル樹脂エマルションの保存安定性機械的安定性、凍結に対する安定性等の諸安定性を向上させ、塗膜形成時におけるメラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応を促進するために使用する。酸基は、カルボキシル基スルホン酸基及びリン酸基等から選ばれることが好ましい。特に好ましい酸基は上記諸安定性向上や硬化反応促進機能の観点から、カルボキシル基である。

0016

カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸クロトン酸イソクロトン酸エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸無水マレイン酸及びフマル酸等が挙げられる。スルホン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−アクリルアミドプロパンスルホン酸、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。リン酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートリン酸モノエステル、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのリン酸モノエステル等のライトエステルPM(共栄社化学製)等が挙げられる。

0017

水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(c)は、水酸基に基づく親水性をアクリル樹脂エマルションに付与し、これを塗料として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性を増すと共に、メラミン樹脂やイソシアネート系硬化剤との硬化反応性を付与するために使用する。

0018

水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(c)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドアリルアルコール、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等が挙げられる。

0019

ε−カプロラクトン変性アクリルモノマーの具体例としては、ダイセル化学工業(株)製の「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」及び「プラクセルFM−5」等が挙げられる。

0020

モノマー混合物は、任意成分として、スチレン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含んでよい。スチレン系モノマーとしては、スチレンのほかにα−メチルスチレン等が挙げられる。

0021

また、モノマー混合物は、カルボニル基含有エチレン性不飽和モノマー、加水分解重合シリル基含有モノマー、種々の多官能ビニルモノマー等の架橋性モノマーを含んでよい。その場合、得られるアクリル樹脂エマルションは自己架橋性となる。

0022

カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、アクロレインジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するアルキルビニルケトン(例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン)等のケト基を含有するモノマーが挙げられる。これらのうちジアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。このようなカルボニル基含有モノマーを用いる場合には、アクリル樹脂エマルション中に架橋助剤としてヒドラジン系化合物を添加して、塗膜形成時に架橋構造が形成されるようにする。

0023

ヒドラジン系化合物としては、例えば、蓚酸ジヒドラジドマロン酸ジヒドラジドグルタル酸ジヒドラジドコハク酸ジヒドラジドアジピン酸ジヒドラジドセバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド又はテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、カルボン酸級アルキルエステル基を有する低重合体ヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させて得られるポリヒドラジド炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジドヘキサメチレンジイソシアネートイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート又はそれより誘導されるポリイソシアネート化合物ヒドラジン化合物や上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド等が挙げられる。

0024

加水分解重合性シリル基含有モノマーとしては、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有するモノマーが挙げられる。

0025

多官能ビニル系モノマーは、分子内に2つ以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば、ジビニルベンゼンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタリストールジ(メタ)アクリレート等のジビニル化合物が挙げられ、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も挙げられる。

0026

乳化共重合は、上記モノマー混合物を水性液中で、ラジカル重合開始剤及び乳化剤の存在下で、攪拌下加熱することによって実施することができる。反応温度は例えば30〜100℃程度として、反応時間は例えば1〜10時間程度が好ましく、水と乳化剤を仕込んだ反応容器にモノマー混合物又はモノマープレ乳化液一括添加又は暫時滴下によって反応温度の調節を行うとよい。

0027

ラジカル重合開始剤としては、通常アクリル樹脂の乳化重合で使用される公知の開始剤が使用できる。具体的には、水溶性フリーラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム過硫酸ナトリウム過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩水溶液の形で使用される。また、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウムチオ硫酸ナトリウムロンガリットアスコルビン酸などの還元剤とが組み合わされたいわゆるレドックス系開始剤が水溶液の形で使用される。

0028

乳化剤としては、炭素数が6以上の炭素原子を有する炭化水素基と、カルボン酸塩スルホン酸塩又は硫酸部分エステルなどの親水性部分とを同一分子中に有するミセル化合物から選ばれるアニオン系又は非イオン系の乳化剤が用いられる。このうちアニオン乳化剤としては、アルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エステルアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸半エステルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。また非イオン系の乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエーテルなどが挙げられる。またこれら一般汎用のアニオン系、ノニオン系乳化剤の他に、分子内にラジカル重合性不飽和二重結合を有する、すなわちアクリル系、メタクリル系プロペニル系、アリル系、アリルエーテル系、マレイン酸系などの基を有する各種アニオン系、ノニオン系反応性乳化剤なども適宜、単独又は2種以上の組み合わせで使用される。

0029

また乳化重合の際、メルカプタン系化合物低級アルコールなどの分子量調節のための助剤連鎖移動剤)の併用は、乳化重合を進める観点から、また塗膜の円滑かつ均一な形成を促進し基材への接着性を向上させる観点から、好ましい場合も多く、適宜状況に応じて行われる。

0030

また乳化重合としては、通常の一段連続モノマー均一滴下法多段モノマーフィード法であるコアシェル重合法や、重合中にフィードするモノマー組成を連続的に変化させるパワーフィード重合法など、いずれの重合法もとることができる。

0031

このようにして本発明で用いられるアクリル樹脂エマルションが調製される。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に5万〜100万程度であり、例えば10万〜80万程度である。

0032

アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は−50℃〜20℃、好ましくは−40℃〜10℃、さらに好ましくは−30℃〜0℃の範囲とする。この範囲の樹脂のTgとすることにより、アクリル樹脂エマルションを含む水性中塗り塗料をウェットオンウェット方式において用いた場合に、下塗り塗料及び上塗り塗料との親和性や密着性が良好となり、ウェット状態の上側塗膜との界面でのなじみが良く反転が起こらない。また、最終的に得られる塗膜の適度な柔軟性が得られ、耐チッピング性が高められる。これらの結果、非常に高外観を有する複層塗膜が形成できる。樹脂のTgが−50℃未満では塗膜の機械的強度不足し、耐チッピング性が弱い。一方、樹脂のTgが20℃を超えると、塗膜が硬くて脆くなるため、耐衝撃性欠け、耐チッピング性が弱くなる。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂のTgが上記範囲となるように選択する。

0033

アクリル樹脂の酸価は2〜60mgKOH/g、好ましくは5〜50mgKOH/gの範囲とする。この範囲の樹脂の酸価とすることにより、樹脂エマルションやそれを用いた水性中塗り塗料の保存安定性、機械的安定性、凍結に対する安定性等の諸安定性が向上し、また、塗膜形成時におけるメラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応が十分起こり、塗膜の諸強度、耐チッピング性、耐水性が向上する。樹脂の酸価が2mgKOH/g未満では、上記諸安定性が劣り、また、メラミン樹脂等の硬化剤との硬化反応が十分行われず、塗膜の諸強度、耐チッピング性、耐水性が劣る。一方、樹脂の酸価が60mgKOH/gを超えると、樹脂の重合安定性が悪くなったり、上記諸安定性が逆に悪くなったり、得られた塗膜の耐水性が劣るものとなる。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂の酸価が上記範囲となるように選択する。前述したように、酸基含有エチレン性不飽和モノマー(b)の内でもカルボキシル基含有モノマーを用いることが重要であり、モノマー(b)の内、カルボキシル基含有モノマーが好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれる。

0034

アクリル樹脂の水酸基価は10〜120mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/gの範囲とする。この範囲の樹脂の水酸基価とすることにより、樹脂が適度な親水性を有し、樹脂エマルションを含む塗料組成物として用いた場合における作業性や凍結に対する安定性が増すと共に、メラミン樹脂やイソシアネート系硬化剤との硬化反応性も十分である。水酸基価が10mgKOH/g未満では、前記硬化剤との硬化反応が不十分で、塗膜の機械的性質が弱く、耐チッピング性に欠け、耐水性及び耐溶剤性にも劣る。一方、水酸基価が120mgKOH/gを超えると、逆に得られた塗膜の耐水性が低下したり、前記硬化剤との相溶性が悪く、塗膜にひずみが生じ硬化反応が不均一に起こり、その結果、塗膜の諸強度、特に耐チッピング性、耐溶剤性及び耐水性が劣る。前記各モノマー成分の種類や配合量を、樹脂の水酸基価が上記範囲となるように選択する。

0035

得られたアクリル樹脂エマルションに対し、カルボン酸の一部又は全量を中和してアクリル樹脂エマルションの安定性を保つため、塩基性化合物が添加される。これら塩基性化合物としては、通常アンモニア、各種アミン類アルカリ金属などが用いられ、本発明においても適宜使用される。

0036

本発明のウレタンエマルションは、アクリルエマルションと同様に、硬化性や安定性などの面から酸価を有する。ウレタンエマルションの酸価は、5〜50mgKOH/gである。酸価が50mgKOH/gを越えると塗膜性能が低下し、5mgKOH/gを下まわると安定性が低下する。また、ウレタンエマルションは水酸基価を有することができる。水酸基価は100mgKOH/g以下であることが好ましい。100mgKOH/gを越えると塗膜性能が低下する。

0037

ウレタン樹脂エマルションは、特に限定されるわけではないが、たとえば、次のようにして製造することができる。すなわち、まず、ジイソシアネートと、グリコールおよびカルボン酸基を有するグリコールとを反応させてウレタンプレポリマーを作る。次いで、このプレポリマーを中和および鎖伸長し、蒸留水を添加することにより、ウレタン樹脂エマルションを得る。

0038

ウレタンプレポリマーを作る際に用いられるジイソシアネートとしては、特に限定されるわけではないが、たとえば、脂肪族、脂環式、または芳香族ジイソシアネートが挙げられ、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートキシリレンジイソシアネートテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。

0039

上記グリコール類としては、特に限定されるわけではないが、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコールトリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールトリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコールテトラメチレングリコールヘキサメチレングリコール水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物等の低分子量グリコール、あるいは、ポリオールであるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、エチレングリコールとアジピン酸、ヘキサンジオールとアジピン酸、エチレングリコールとフタル酸等の縮合物であるポリエステル類ポリカプロラクトン等か挙げられる。

0040

また、カルボン酸基を有するグリコールとしては、特に限定されるわけではないが、たとえば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が挙げられる。以上に述べた原料を反応させて得られたウレタンプレポリマーを中和および鎖伸長し、蒸留水を添加して、ウレタン樹脂エマルションを得る際に用いられる中和剤としては、特に限定されるわけではないが、たとえば、ジメチルエタノールアミントリメチルアミントリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミントリブチルアミントリエタノールアミンのようなアミン類、水酸化ナトリウム水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる。

0041

更に、鎖伸長剤としては、特に限定されるわけではないが、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のポリオール類エチレンジアミンプロピレンジアミンヘキサメチレンジアミントリレンジアミンキシリレンジアミンジフェニルジアミンジアミノジフェニルメタンジアミノシクロヘキシルメタンピペラジン、2−メチルピペラジンイソホロンジアミン等の脂肪族、脂環式、または芳香族ジアミン、および水等が挙げられる。

0042

この発明に使用できるウレタン樹脂エマルションの市販品としては、特に限定されるわけではないが、たとえば、大日本インキ製の「ボンディック」、「ハイドランシリーズ、第一工業製薬製の「スーパーフレックス」シリーズ、旭電化製の「アデカボンタイター」シリーズ等を挙げることができる。

0043

上記ウレタン樹脂エマルションは、1種のみを使用してもよいし、あるいは、2種以上を併用してもよい。

0044

また更に、ウレタン樹脂エマルションとしては、ジイソシアネートとポリエーテル又はポリエステルを反応させたものを使用することができる。ジイソシアネートとしては、上述したものを用いることができる。

0045

上記ポリエーテルとしては、少なくとも2個の活性水素を含有するものであって、その代表例としては、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシプロピレングリセリンとの付加物、ポリオキシプロピレンとトリメチロールプロパンとの付加物、ポリオキシプロピレンと1,2,6−ヘキサントリオールとの付加物、ポリオキシプロピレンとペンタエリスリットとの付加物、ポリオキシプロピレンとソルビットとの付加物、メチレン−ビス−フェニルジイソシアネート、ヒドラジンで鎖伸長したポリテトラフランポリエーテル及びそれらの誘導体等が挙げられる。

0046

また、ポリエステルとしても、少なくとも2個の活性水素を含有するものを用いる。その代表例としては、アジピン酸あるいは無水フタル酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンあるいは1,1,1−トリメチロールエタンとの反応生成物が挙げられる。

0047

このエマルションは、上述したようなポリエーテル又はポリエステルと、過剰のジイソシアネートとの反応生成物を、カチオン系、ノニオン系、又はアニオン系の界面活性剤を用いて水に分散させ、第一級ジアミン(たとえばエチレンジアミン、m−トリレンジアミンなど)あるいは1,2−ビス(2−シアノエチルアミノ)エタン等で鎖伸長することによって得ることができる。

0048

なお、上記したポリエーテル中、ヒドロキシル基を1分子中に3個以上有するものを用いる場合には、このポリエーテルに過剰のイソシアネート化合物を加えて反応させ、次いで、残存NCO基フェノール等で不活性化してブロックイソシアネート化合物を製造し、これをたとえばノニオン系の界面活性剤の存在下で水に分散させて、目的のウレタン樹脂エマルションとすることもできる。

0049

硬化剤は、エマルションとして含まれるアクリル樹脂やウレタン樹脂と硬化反応を生じ、水性中塗り塗料中に配合することができるものであれば特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂オキサゾリン系化合物あるいはカルボジイミド系化合物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が適宜組み合わされ使用される。

0050

メラミン樹脂としては特に限定されず、硬化剤として通常用いられるものを使用することができる。

0051

例えば、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、メトキシ基及び/又はブトキシ基置換されたメラミン樹脂がより好ましい。このようなメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有するものとして、サイメル325、サイメル327、サイメル370、マイコート723;メトキシ基とブトキシ基との両方を有するものとして、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(何れも商品名、三井サイテック社製);ブトキシ基を単独で有するものとして、マイコート506(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(何れも商品名、三井化学社製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、サイメル325、サイメル327、マイコート723がより好ましい。

0052

イソシアネート樹脂は、ジイソシアネート化合物を適当なブロック剤ブロックしたものである。上記ジイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族−脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12MDI)等の水素添加ジイソシアネート類、及び以上のジイソシアネート類のアダクト体及びヌレート体等を挙げることができる。さらに、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。

0053

ジイソシアネート化合物をブロックするブロック剤としては、特に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシムアセトキシムシクロヘキサノンオキシム等のオキシム類m−クレゾールキシレノール等のフェノール類ブタノール、2−エチルヘキサノールシクロヘキサノールエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ε−カプロラクタム等のラクタム類マロン酸ジエチルアセト酢酸エステル等のジケトン類チオフェノール等のメルカプタン類チオ尿酸等の尿素類イミダゾール類カルバミン酸類等を挙げることができる。なかでも、オキシム類、フェノール類、アルコール類、ラクタム類、ジケトン類が好ましい。

0054

オキサゾリン系化合物は、2個以上の2−オキサゾリン基を有する化合物であることが好ましく、例えば、下記のオキサゾリン類オキサゾリン基含有重合体等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オキサゾリン系化合物は、アミドアルコール触媒の存在下で加熱して脱水環化する方法、アルカノールアミンニトリルとから合成する方法、或いはアルカノールアミンとカルボン酸とから合成する方法等を用いることによって得られる。

0055

オキサゾリン類としては、例えば、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサンスルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。

0056

オキサゾリン基含有重合体は、付加重合性オキサゾリン及び必要に応じて少なくとも1種の他の重合性単量体を重合したものである。付加重合性オキサゾリンとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上が適宜組み合わされて使用される。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。

0057

付加重合性オキサゾリンの使用量は特に限定されるものではないが、オキサゾリン基含有重合体中、1重量%以上であることが好ましい。1重量%未満の量では硬化の程度が不充分となる傾向にあり、耐久性、耐水性等が損なわれる傾向にある。

0058

他の重合性単量体としては、付加重合性オキサゾリンと共重合可能で、かつ、オキサゾリン基と反応しない単量体であれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニルプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類メチルビニルエーテルエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体類等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。

0059

オキサゾリン基含有重合体は付加重合性オキサゾリン及び必要に応じて少なくとも1種の他の重合性単量体を、従来公知の重合法、例えば懸濁重合溶液重合、乳化重合等により製造できる。上記オキサゾリン基含有化合物供給形態は、有機溶剤溶液、水溶液、非水ディスパーション、エマルション等が挙げられるが、特にこれらの形態に限定されない。

0060

カルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成して得られたものを挙げることができる。より具体的には、ポリカルボジイミド化合物の製造において、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するポリカルボジイミド化合物と、分子末端に水酸基を有するポリオールとを、上記ポリカルボジイミド化合物のイソシアネート基のモル量が上記ポリオールの水酸基のモル量を上回る比率で反応させる工程と、上記工程で得られた反応生成物に、活性水素及び親水性部分を有する親水化剤を反応させる工程とにより得られた親水化変性カルボジイミド化合物が好ましいものとして挙げることができる。

0061

1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するカルボジイミド化合物としては、特に限定されないが、反応性の観点から、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物であることが好ましい。両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物の製造方法は当業者によってよく知られており、例えば、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応を利用することができる。

0062

本発明で用いる水性中塗り塗料は、さらに以下の成分を含むことができる。例えば、追加の樹脂成分、顔料分散ペースト、増粘剤、その他の添加剤成分等である。

0063

上記追加の樹脂成分としては特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、カーボネート樹脂及びエポキシ樹脂等を挙げることができる。

0064

顔料分散ペーストは、顔料と顔料分散剤とを少量の水性媒体に予め分散して得られる。顔料分散剤の固形分中には、揮発性塩基性物質が全く含まれていないか、又は3重量%以下の割合で含まれている。本発明で用いる水性中塗り塗料においては、このような顔料分散剤を用いることによって、水性中塗り塗料から形成される塗膜中の揮発性塩基性物質の量が少なくなり、得られる複層塗膜の黄変を抑えることができる。従って、顔料分散剤の固形分中に揮発性の塩基性物質が3重量%を超えて含まれていると、得られる複層塗膜が黄変し、仕上がり外観が悪くなる傾向にあるため好ましくない。

0065

揮発性の塩基性物質とは、沸点が300℃以下の塩基性物質を意味するものであり、無機及び有機窒素含有塩基性物質を挙げることができる。無機の塩基性物質としては、例えば、アンモニア等が挙げられる。有機の塩基性物質としては、例えば、メチルアミンジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミンジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンジイソプロピルアミン、ジメチルドデシルアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基含有1〜3級アミンモノエタノールアミンジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状ヒドロキシアルキル基含有1〜3級アミン;ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基及び炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のヒドロキシアルキル基を含有する1〜3級アミン;ジエチレントリアミントリエチレンテトラミン等の炭素数1〜20の置換又は非置換鎖状ポリアミンモルホリンN−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環モノアミン;ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジン等の炭素数1〜20の置換又は非置換環状ポリアミン等のアミン類を挙げることができる。

0066

本発明で用いる水性中塗り塗料には、上記顔料分散剤以外の成分にも、揮発性の塩基性物質が含まれる場合がある。従って、上記顔料分散剤に含まれる揮発性の塩基性物重量は、より少なく抑える程、より好ましい。すなわち、揮発性の塩基性物質を実質的に含まない顔料分散剤を用いて分散することが好ましい。また、従来一般的に使用されているアミン中和型の顔料分散樹脂を使用しないことが更に好ましい。そして、複層塗膜形成時に、単位面積1mm2あたりの揮発性の塩基性物質が7×10−6mmol以下になるように顔料分散剤を用いることが好ましい。

0067

顔料分散剤は、顔料親和部分及び親水性部分を含む構造を有する樹脂である。顔料親和部分及び親水性部分としては、例えば、ノニオン性カチオン性及びアニオン性官能基を挙げることができる。顔料分散剤は、1分子中に上記官能基を2種類以上有していてもよい。

0068

ノニオン性官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、アミド基ポリオキシアルキレン基等が挙げられる。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、イミノ基ヒドラジノ基等が挙げられる。また、アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。このような顔料分散剤は、当業者にとってよく知られた方法によって製造することができる。

0069

顔料分散剤としては、その固形分中に揮発性の塩基性物質を含まないか、又は3重量%以下の含有量であるものであれば特に限定されないが、少量の顔料分散剤によって効率的に顔料を分散することができるものが好ましい。例えば、市販されているもの(以下いずれも商品名)を使用することもでき、具体的には、ビックケミー社製のアニオン・ノニオン系分散剤であるDisperbyk 190、Disperbyk 181、Disperbyk 182(高分子共重合物)、Disperbyk 184(高分子共重合物)、EFKA社製のアニオン・ノニオン系分散剤であるEFKAPOLYMER4550、アビシア社製のノニオン系分散剤であるソルスパース27000、アニオン系分散剤であるソルスパース41000、ソルスパース53095等を挙げることができる。

0070

顔料分散剤の数平均分子量は、下限1000、上限10万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではない場合があり、10万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、下限2000、上限5万であり、更に好ましくは、下限4000、上限5万である。

0071

前記顔料分散ペーストは、顔料分散剤と顔料とを公知の方法に従って混合分散することにより得られる。顔料分散ペースト製造時の顔料分散剤の割合は、顔料分散ペーストの固形分に対して、下限1重量%、上限20重量%であることが好ましい。1重量%未満であると、顔料を安定に分散しにくく、20重量%を超えると、塗膜の物性に劣る場合がある。好ましくは、下限5重量%、上限15重量%である。

0072

顔料としては、通常の水性塗料に使用される顔料であれば特に限定されないが、耐候性を向上させ、かつ隠蔽性を確保する点から、着色顔料であることが好ましい。特に二酸化チタン着色隠蔽性に優れ、しかも安価であることから、より好ましい。

0074

また顔料として、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料とした標準的なグレーの塗料を用いることもできる。他にも、上塗り塗料と明度又は色相等を合わせた塗料や各種の着色顔料を組み合わせた塗料を用いることもできる。

0075

顔料は、水性中塗り塗料中に含まれる全ての樹脂の固形分及び顔料の合計重量に対する顔料の重量の比(PWC;pigment weight content)が、10〜60重量%であることが好ましい。10重量%未満では、隠蔽性が低下するおそれがある。60重量%を超えると、硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下することがある。

0076

顔料分散剤の含有量は、顔料の重量に対して、下限0.5重量%、上限10重量%であることが好ましい。0.5重量%未満であると、顔料分散剤の配合量が少ないために顔料の分散安定性に劣る場合がある。10重量%を超えると、塗膜物性に劣る場合がある。好ましくは、下限1重量%、上限5重量%である。

0077

増粘剤としては特に限定されないが、例えば、ビスコースメチルセルロースエチルセルロースヒドロキシエチルセルロース、市販されているものとしては、チローゼMH及びチローゼH(いずれもヘキスト社製、商品名)等のセルロース系のもの;ポリアクリル酸ナトリウムポリビニルアルコールカルボキシメチルセルロース、市販されているもの(以下いずれも商品名)としては、プライマASE−60、プライマルTT−615、プライマルRM−5(いずれもロームハース社製)、ユーカーポリフォーブ(ユニオンカーバイト社製)等のアルカリ増粘型のもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、市販されているもの(以下いずれも商品名)としては、アデカノールUH−420、アデカノールUH−462、アデカノールUH−472、UH−540、アデカノールUH−814N(旭電化工業社製)、プライマルRH−1020(ローム&ハース社製)、クラポバールクラレ社製)等の会合型のものを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0078

増粘剤を含有することにより、水性中塗り塗料の粘度を高くすることができ、水性中塗り塗料を塗装する際に、タレが発生することを抑制することができる。また、中塗り塗膜とベース塗膜との間での混層をより抑制することができる。その結果、増粘剤を含まない場合に比べて、塗装時の塗装作業性が向上し、得られる塗膜の仕上がり外観を優れたものとすることができる。

0079

増粘剤の含有量は、上記水性中塗り塗料の樹脂固形分(水性中塗り塗料に含まれる全ての樹脂の固形分)100重量部に対して、下限0.01重量部、上限20重量部であることが好ましく、下限0.1重量部、上限10重量部であることがより好ましい。0.01重量部未満であると、増粘効果が得られず、塗装時のタレが発生するおそれがあり、20重量部を超えると、外観及び得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。

0080

その他の添加剤としては、上記成分の他に通常添加される添加剤、例えば、紫外線吸収剤酸化防止剤消泡剤表面調整剤ピンホール防止剤等が挙げられる。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。

0081

本発明で使用する水性中塗り塗料は、上述のアクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション及び硬化剤等を混合して調製される。アクリル樹脂エマルションとウレタン樹脂エマルションとの割合は、固形分重量比1/1〜2/1とする。この割合が1/1未満であると塗膜の粘度が高くなり、中塗り平滑性が低下して、外観が低下する。2/1を越えると吸水率及び溶出率が増加して、外観が低下する傾向がある。

0082

硬化剤は、硬化剤、アクリル樹脂エマルション、及びウレタン樹脂エマルションの固形分の合計量に対して下限2重量%、上限50重量%、好ましくは下限4重量%、上限40重量%、より好ましくは下限5重量%、上限30重量%となるように使用する。2重量%より少ないと、得られる塗膜の耐水性が低下する傾向がある。また、50重量%を超えると、得られる塗膜のチッピング性が低下する傾向がある。

0083

追加の樹脂成分、顔料分散ペーストやその他の添加剤は、適量混合すれば良い。但し、追加の樹脂成分は、水性中塗り塗料用組成物中に含まれる全ての樹脂の固形分を基準として、50重量%以下の割合で配合することが好ましい。50重量%を越えて配合した場合は、塗料中固形分濃度を高くすることが困難になるため、好ましくない。

0084

これら成分を加える順番は、エマルションに硬化剤を加える前でもよいし、後でも良い。水性中塗り塗料は、水性であれば形態は特に限定されず、例えば、水溶性、水分散型水性エマルション等の形態であればよい。

0085

水性ベース塗料
本発明の方法で用いる水性ベース塗料は自動車車体用水性中塗り塗料として通常使用される塗料組成物であればよい。例えば、水性媒体中に分散または溶解された状態で、塗膜形成樹脂、硬化剤、光輝性顔料、着色顔料や体質顔料等の顔料、各種添加剤等を含むものを挙げることができる。塗膜形成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、カーボネート樹脂及びエポキシ樹脂等を使用することができる。顔料分散性や作業性の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とメラミン樹脂との組み合わせが好ましい。硬化剤、顔料、各種添加剤も、通常用いられるものを使用することができる。

0086

水性ベース塗料中に含まれる顔料濃度(PWC)は、一般的には、下限0.1重量%、上限50重量%であり、より好ましくは、下限0.5重量%、上限40重量%であり、更に好ましくは、下限1重量%、上限30重量%である。上記顔料濃度が0.1重量%未満であると、顔料による効果が得られず、50重量%を超えると、得られる塗膜の外観が低下するおそれがある。

0087

水性ベース塗料は、中塗り塗料と同様の方法によって調製することができる。また、水性ベース塗料は、水性であれば形態は特に限定されず、例えば、水溶性、水分散型、水性エマルション等の形態であればよい。

0088

クリヤー塗料
本発明の方法で用いるクリヤー塗料は自動車車体用クリヤー塗料として通常使用される塗料組成物であればよい。例えば、媒体中に分散または溶解された状態で、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤を含むものを挙げることができる。塗膜形成性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらはアミノ樹脂及び/又はイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いると良い。透明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合わせ、又は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。

0089

クリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型粉体型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含有させても良い。

0090

複層塗膜の形成方法
本発明の複層塗膜の形成方法では、まず、電着塗膜が形成された被塗物を提供する。電着塗膜は被塗物に対して電着塗料を塗装し、焼き付け硬化して形成する。被塗物は、カチオン電着塗装可能な金属製品であれば特に制限されない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛及びこれらの金属を含む合金、並びに、これらの金属によるメッキ又は蒸着製品等を挙げることができる。

0091

電着塗料は、特に限定されるものではなく公知のカチオン電着塗料アニオン電着塗料を使用することができる。また、電着塗装及び焼き付けは、自動車車体を電着塗装するのに通常用いられる方法及び条件で行なえばよい。

0092

次いで、電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗布して中塗り塗膜を形成する。中塗り塗料は、例えば、通称リアクトガン」と言われるエアー静電スプレー、通称「マイクロ・マイクロベル(μμベル)」、「マイクロベル(μベル)」、「メタリックベル(メタベル)」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用いてスプレーして塗布することができる。

0093

塗布量は、硬化後の塗膜の膜厚が10〜40μm、好ましくは15〜30μmになるように調節する。膜厚が10μm未満であると得られる塗膜の外観及び耐チッピング性が低下するおそれがあり、40μmを越えると塗装時のタレや焼付け硬化時のピンホール等の不具合が起こることがある。

0094

この中塗り塗膜は、水性ベース塗料を塗布する前に、加熱または送風することによって乾燥させることが好ましい。その理由は、乾燥が不充分な場合、塗膜中に残存した水が複層塗膜を焼き付ける工程で突沸を起こし、ワキを発生しやすくなるからである。また中塗り上にベースを塗装した際にベースと混ざりやすくなり外観が低下する可能性があるからである。そして、乾燥した中塗り塗膜は吸水性に乏しいことが好ましい。この上に塗り重ねられる水性ベース塗料の水分が中塗り塗膜に吸収され難くなるため、ベース塗膜の固形分濃度の上昇が抑制され、塗膜のフローが改善されて、ベース塗膜の表面平滑性が改善されるからである。その結果、複層塗膜表面の平滑性も改善されると考えられる。

0095

具体的には、水性中塗り塗料は塗膜吸水率が10%以下であることが好ましい。塗膜吸水率は以下の様にして決定される。水性ベース塗料を基材の上に厚さ20μmに塗布して初期ベース塗膜を形成し、これを80℃で5分間乾燥させて予備乾燥塗膜とする。予備乾燥塗膜を水中に2分間浸漬させる。その場合に予備乾燥塗膜に吸収された水分量の、塗布直後の初期ベース塗膜に対する重量分率を計算する。

0096

また、乾燥した中塗り塗膜は水に溶出される成分が少ないことが好ましい。中塗り塗膜の上に水性ベース塗料が塗布されると、水溶出性の成分は水性ベース塗料の水分により溶出されてベース塗膜に移行し易くなる。そうすると、中塗り塗膜とベース塗膜との界面で歪みが生じ易くなる。その結果、複層塗膜表面の外観が低下すると考えられる。

0097

具体的には、水性中塗り塗料は塗膜水溶出率が5%以下である。塗膜水溶出率は以下の様にして決定される。上記予備乾燥塗膜を水中に2分間浸漬させる。その場合に溶出した中塗り塗膜成分量の、予備乾燥塗膜に対する重量分率を計算する。

0098

塗膜吸水率及び塗膜水溶出率の計算は、例えば、以下の様にして行うことができる。水性中塗り塗料を、アルミA、及びアルミBの2枚のアルミ箔上に、膜厚20μmにスプレー塗装する。これらを80℃、5分間で予備乾燥し、そのうちアルミBを純水中に2分間浸漬させる。その後アルミAおよびBを、140℃で20分乾燥させる。この一連の工程においてアルミ箔の重量を以下のように規定する。

0099

0100

そうすると、a〜dは以下のように表される。

0101

吸水率、溶出率は以下の式で表される。

0102

0103

0104

中塗り塗膜の塗膜吸水率及び水溶出率は、水性中塗り塗料の樹脂成分として、上述のアクリル樹脂エマルションと上述のウレタン樹脂エマルションとを組み合わせて使用することによって低い値に抑えることができる。ウレタン樹脂エマルションは硬化には関与しないが、融着により強固な膜を形成しやすい。中塗り塗料にウレタン樹脂エマルションを配合することにより、膜中にバリヤーが形成され水の浸透および溶出成分の移行を妨げると考えられる。

0105

ついで、中塗り塗膜を硬化させないで中塗り塗膜の上に水性ベース塗料、及びクリヤー塗料をウェットオンウェットで順次塗布してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する。ここで、ウェットオンウェット塗布とは、複数の塗膜を硬化させることなく塗り重ねることをいう。

0106

水性ベース塗料は、通常、塗膜の硬化後の膜厚が10〜30μmとなるように塗布量が調節される。硬化後の膜厚が10μm未満である場合、下地の隠蔽が不充分になったり、色ムラが発生するおそれがあり、また、30μmを超える場合、塗装時にタレや、加熱硬化時にピンホールが発生したりするおそれがある。

0107

クリヤー塗料は、通常、塗膜の乾燥硬化後の膜厚が10〜70μmとなるように塗布量が調節される。硬化後の膜厚が10μm未満であると複層塗膜のつや感などの外観が低下し、70μmを越えると鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こったりする。

0108

次いで、中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる。焼き付けは、通常110〜180℃、好ましくは120〜160℃の温度に加熱して行われる。これにより、高い架橋度硬化塗膜を得ることができる。加熱温度が110℃未満であると、硬化が不充分になる傾向があり、180℃を超えると、得られる塗膜が固く脆くなるおそれがある。加熱する時間は、上記温度に応じて適宜設定することができるが、例えば、温度が120〜160℃である場合、10〜60分間である。

0109

以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「重量部」を意味する。

0110

実施例1
(A)水性中塗り塗料の製造
(顔料分散ペーストの調製)
市販分散剤「Disperbyk 190」(ビックケミー社製ノニオン・アニオン系分散剤、商品名)4.5部、消泡剤「BYK−011」(ビックケミー社製消泡剤)0.5部、イオン交換水22.9部、ルチル型二酸化チタン72.1部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加え、室温で粒度5μm以下となるまで混合分散し、顔料分散ペーストを得た。

0111

(アクリル樹脂エマルションの調製)
攪拌機温度計滴下ロート還流冷却器及び窒素導入管などを備えた通常のアクリル系樹脂エマルション製造用の反応容器に、水445部及びニューコール293(日本乳化剤(株)製)5部を仕込み攪拌しながら75℃に昇温した。下記モノマー混合物(樹脂の酸価:18、水酸基価:85、Tg:−22℃)、水240部及びニューコール293(日本乳化剤(株)製)30部の混合物をホモジナイザーを用いて乳化し、そのモノマープレ乳化液を上記反応容器中に3時間にわたって攪拌しながら滴下した。モノマープレ乳化液の滴下と併行して、重合開始剤としてAPS(過硫酸アンモニウム)1部を水50部に溶解した水溶液を、上記反応容器中に上記モノマープレ乳化液の滴下終了時まで均等に滴下した。モノマープレ乳化液の滴下終了後、さらに80℃で1時間反応を継続し、その後、冷却した。冷却後、ジメチルアミノエタノール2部を水20部に溶解した水溶液を投入し、不揮発分40.6重量%の水性アクリル樹脂エマルションを得た(樹脂1)。

0112

0113

得られたアクリル樹脂エマルションは、30%ジメチルアミノエタノール水溶液を用いてpHを7.2に調整した。

0114

(水性中塗り塗料の調製)
上述のようにして得られた顔料分散ペースト55.5部、アクリル樹脂エマルション83.7部、ウレタン樹脂エマルションA(旭電化工業社製「アデカボンタイターHUX−232」)56.7部、及び硬化剤としてマイコート723(三井サイテック社製イミノ型メラミン樹脂、商品名)9.3部を混合した後、アデカノールUH−814N(ウレタン会合型増粘剤、有効成分30%、旭電化工業社製、商品名)1.0部を混合攪拌し、水性中塗り塗料を得た。

0115

(塗膜吸水率及び溶出率の測定)
100mm×55mmサイズの2枚のアルミニウム箔A、Bについて重量を精し、各々A0=0.6492g、B0=0.6496gを得た。この2枚のアルミニウム箔上に実施例1で得られた水性中塗りをエアースプレーで塗装した(膜厚20μ)。この2枚のアルミ箔を2分間放置後、80℃で5分プレヒートを行い精秤し、A1=0.8404g、B1=0.8167gを得た。その後アルミ箔Bのみを純水中に2分間浸漬させ、取り出した後、軽く水をふき取り精秤し、B2=0.8281gを得た。その後アルミ箔A、Bを140℃で20分間加熱して、精秤し、それぞれA3=0.8376g、B3=0.8140gを得た。表2、数1及び数2に示した計算方法に従って、中塗りの吸水率として7%、および溶出率として0.2%を得た。

0116

(B)塗膜の形成
リン酸亜鉛処理したダル鋼板に、パワークス110(日本ペイント社製カチオン電着塗料、商品名)を、乾燥塗膜が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間の加熱硬化後冷却して、鋼板基板を準備した。

0117

得られた基板に、上記水性中塗り塗料をエアースプレー塗装にて20μm塗装し、80℃で5分プレヒートを行った後、アクアレックスAR−2000シルバーメタリック(日本ペイント社製水性メタリックベース塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて10μm塗装し、80℃で3分プレヒートを行った。更に、その塗板にクリヤー塗料として、マックフローO−1800W−2クリヤー(日本ペイント社製酸エポキシ硬化型クリヤー塗料、商品名)をエアースプレー塗装にて35μm塗装した後、140℃で30分間の加熱硬化を行い、試験片を得た。

0118

加熱硬化後に得られた複層塗膜の仕上がり外観を目視評価した。評価基準を表8に示す。結果を表4に示す。

0119

なお、上記水性中塗り塗料、水性ベース塗料及びクリヤー塗料は、下記条件で希釈し、塗装に用いた。

0120

・水性中塗り塗料
シンナー:イオン交換水
40秒/NO.4フォードカップ/20℃
塗料固形分は、54重量%であった。

0121

・水性ベース塗料
シンナー:イオン交換水
45秒/NO.4フォードカップ/20℃

0122

・クリヤー塗料
シンナー:EEP(エトキシエチルプロピオネート)/S−150(エクソン社製芳香族系炭化水素溶剤、商品名)=1/1(重量比)の混合溶剤
30秒/NO.4フォードカップ/20℃

0123

調製例
アクリルエマルションの合成
下記モノマー混合を用いる以外は、樹脂1の調製と同様に重合し、不揮発分40.6%のアクリル樹脂エマルション(樹脂2)を得た。

0124

0125

実施例2〜9と比較例1〜2
アクリル樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションとして以下の表5、及び表6〜8に示すものを使用すること以外は実施例1と同様にして、中塗り塗料及び複層塗膜を形成し、これらを評価した。結果を表5に示す。

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