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技術 磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法並びに磁気ディスクの製造方法

出願人 HOYA株式会社
発明者 渋井正智
出願日 2004年4月16日 (16年8ヶ月経過) 出願番号 2004-122353
公開日 2004年11月25日 (16年1ヶ月経過) 公開番号 2004-335081
状態 拒絶査定
技術分野 液体または蒸気による洗浄 ガラスの表面処理 磁気記録媒体の製造
主要キーワード 発振板 中性洗浄 情報記録デバイス Mo元素 金属パーティクル 超音波発振装置 傾斜台 微細金属
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

解決手段

洗浄液4,8を入れた洗浄槽3,7中で磁気ディスク用ガラス基板洗浄する方法であって、上記洗浄槽3,7の少なくとも一部をガラス材又は樹脂材で形成する。上記洗浄槽3,7の下には、発振板5及び超音波発振装置6を備え、洗浄中に超音波印加して上記洗浄液4,8を振動させる。また、化学強化処理液を入れた化学強化処理槽中で磁気ディスク用ガラス基板を化学強化する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上記化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成する。

概要

背景

近年、情報化社会の高度化に伴い、情報記録技術の進歩は著しい。情報記録デバイスとして最も高い記録密度を実現することができる装置の一つがHDDである。HDDにおいては、1平方インチ当り40ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに到っており、情報記録デバイスの中でもとりわけ高い記録密度が実現可能となっている。1平方インチ当り40ギガビットの記録密度が実現できると、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクに20ギガバイト程度の情報を収納することが可能になる。
HDDにおいてこのような高記録密度が実現できる理由の一つは、極めて高度な工作精度搭載部品が製造されている点が挙げられる。磁気ディスクの表面は10nm程度の表面精度で精密に平滑化されており、この高度の平滑性により、磁気ヘッドは20nm程度の極狭な浮上量で飛行しても安全に記録再生ができるようになっている。

このような高度の平滑性を実現できる基板として磁気ディスク用のガラス基板が知られている。ガラス基板は鏡面研磨により表面を高い平滑性に仕上げることが可能な上、剛性が高いので高速ディスク回転にも耐えうるという利点がある。
このような磁気ディスク用ガラス基板の製造方法として、例えば、本出願人による下記特許文献1のような技術が知られている。
また、磁気ヘッド側においても、HDDの高記録密度化支えている。例えば、再生素子磁気抵抗効果型素子(MR素子)を用いることにより、再生効率を高め、高い信号強度S/N比を実現している。また、スライダー負圧スライダー(NPABスライダー)とすることにより、極狭な浮上量を安定的に実現できるようにされている。

特開平11−25454号公報

概要

サーマルアスペリティ障害クラッシュ障害の発生を防止して、高記録密度化に好適な磁気ディスク用のガラス基板の洗浄方法を提供する。洗浄液4,8を入れた洗浄槽3,7中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する方法であって、上記洗浄槽3,7の少なくとも一部をガラス材又は樹脂材で形成する。上記洗浄槽3,7の下には、発振板5及び超音波発振装置6を備え、洗浄中に超音波印加して上記洗浄液4,8を振動させる。また、化学強化処理液を入れた化学強化処理槽中で磁気ディスク用ガラス基板を化学強化する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上記化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成する。

目的

特に、HDDの起動再生方式がLUL(ロードアンロード)方式の場合、TA障害が発生し易いという点が問題となってきた。LUL方式とは、停止時には、磁気ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと呼ばれる傾斜台退避させておき、起動時には、磁気ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドをランプから磁気ディスク上に滑動させてから記録再生を行う方式のことである。LUL方式は、従来のCSSコンタクトスタートアンドストップ)方式に比べて磁気ディスク面上の記録再生用領域を広く確保できるので高情報容量化にとって好ましいとされ、また、磁気ディスク面上にはCSSのための凹凸形状を設ける必要がないので、磁気ディスク面を極めて平滑化でき、このため磁気ヘッドの浮上量を一段と低下させることができるので、記録信号の高S/N比化を図ることができ好適であるとされる。実際、LUL方式の導入に伴う磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の極狭な浮上量が実現可能となってきた。
そこで本発明は、10nm以下の極狭な浮上量で磁気ヘッドを浮上飛行させても、サーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュ障害の発生を防止して、高記録密度化に好適な磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法並びに磁気ディスクの製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
4件

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請求項1

洗浄液を入れた洗浄槽中で磁気ディスク用ガラス基板洗浄する方法であって、前記洗浄槽の少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法

請求項2

洗浄液を入れた洗浄槽中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する方法であって、前記洗浄槽は、ガラス又は樹脂材料で形成された洗浄液を振動させる部材を備えることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。

請求項3

前記洗浄液を超音波振動させて前記ガラス基板を洗浄することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。

請求項4

前記洗浄液は酸性洗浄液であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。

請求項5

請求項1乃至4の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法を含む洗浄工程を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

請求項6

前記洗浄工程は研磨工程後の洗浄工程であることを特徴とする請求項5記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

請求項7

請求項5又は6に記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。

請求項8

化学強化処理液を入れた化学強化処理槽中で磁気ディスク用ガラス基板を化学強化する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

請求項9

ガラス基板を洗浄液に浸漬させて洗浄する洗浄工程と、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬させて化学強化する化学強化処理工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記洗浄液を収納する洗浄槽及び/又は前記化学強化処理液を収納する化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

請求項10

請求項8又は9に記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。

請求項11

ロード・アンロード方式磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクに用いるガラス基板であることを特徴とする請求項5、請求項6、請求項8又は請求項9に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、HDDハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスク用のガラス基板洗浄方法及び製造方法並びに磁気ディスクの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、情報化社会の高度化に伴い、情報記録技術の進歩は著しい。情報記録デバイスとして最も高い記録密度を実現することができる装置の一つがHDDである。HDDにおいては、1平方インチ当り40ギガビット程度の記録密度が実現できるまでに到っており、情報記録デバイスの中でもとりわけ高い記録密度が実現可能となっている。1平方インチ当り40ギガビットの記録密度が実現できると、例えば2.5インチ型(直径65mm)の磁気ディスクに20ギガバイト程度の情報を収納することが可能になる。
HDDにおいてこのような高記録密度が実現できる理由の一つは、極めて高度な工作精度搭載部品が製造されている点が挙げられる。磁気ディスクの表面は10nm程度の表面精度で精密に平滑化されており、この高度の平滑性により、磁気ヘッドは20nm程度の極狭な浮上量で飛行しても安全に記録再生ができるようになっている。

0003

このような高度の平滑性を実現できる基板として磁気ディスク用のガラス基板が知られている。ガラス基板は鏡面研磨により表面を高い平滑性に仕上げることが可能な上、剛性が高いので高速ディスク回転にも耐えうるという利点がある。
このような磁気ディスク用ガラス基板の製造方法として、例えば、本出願人による下記特許文献1のような技術が知られている。
また、磁気ヘッド側においても、HDDの高記録密度化支えている。例えば、再生素子磁気抵抗効果型素子(MR素子)を用いることにより、再生効率を高め、高い信号強度S/N比を実現している。また、スライダー負圧スライダー(NPABスライダー)とすることにより、極狭な浮上量を安定的に実現できるようにされている。

0004

特開平11−25454号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところが、HDDの記録密度が1平方インチ当り60ギガビット以上の記録密度を実現しようとすると、MR素子に由来するサーマルアスペリティ障害(TA障害)が一段と深刻な問題となってきた。TA障害とは、熱によるMR素子の読み出し信号エラーのことである。1平方インチ当り60ギガビット以上の記録密度を実現するためには、磁気ヘッドの浮上量を10nm以下程度にして記録再生する必要があるが、この場合、たとえ磁気ディスク表面を数nm程度の高度な鏡面に仕上げてもTA障害を抑止することが困難となっていた。
磁気ヘッドの浮上飛行中に、MR素子に微小突起が接触或いはMR素子近傍を通過した場合、MR素子に瞬間的に熱が加わる。例えば、微小な突起が接触した場合は、MR素子と微小突起との間の運動エネルギーに因るものとされ、またMR素子近傍を微小突起が通過した場合は、瞬間的な環境の断熱圧縮断熱膨張に因るものとされている。MR素子が瞬間的に加熱、冷却されると、MR素子の抵抗値が瞬間的に変動するので、再生信号にこの変化が重畳されてしまい、正確な再生信号の読み出し阻害されてしまう。

0006

特に、HDDの起動再生方式がLUL(ロードアンロード)方式の場合、TA障害が発生し易いという点が問題となってきた。LUL方式とは、停止時には、磁気ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと呼ばれる傾斜台退避させておき、起動時には、磁気ディスクが回転開始した後に、磁気ヘッドをランプから磁気ディスク上に滑動させてから記録再生を行う方式のことである。LUL方式は、従来のCSSコンタクトスタートアンドストップ)方式に比べて磁気ディスク面上の記録再生用領域を広く確保できるので高情報容量化にとって好ましいとされ、また、磁気ディスク面上にはCSSのための凹凸形状を設ける必要がないので、磁気ディスク面を極めて平滑化でき、このため磁気ヘッドの浮上量を一段と低下させることができるので、記録信号の高S/N比化を図ることができ好適であるとされる。実際、LUL方式の導入に伴う磁気ヘッド浮上量の一段の低下により、10nm以下の極狭な浮上量が実現可能となってきた。
そこで本発明は、10nm以下の極狭な浮上量で磁気ヘッドを浮上飛行させても、サーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュ障害の発生を防止して、高記録密度化に好適な磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法並びに磁気ディスクの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、浮上量10nmでの記録再生中にサーマルアスペリティ障害を起こしたHDDを分析し原因を調査したところ、サーマルアスペリティ信号が検出されたディスク面位置に、微細な0.1μm程度の異物を検出した。この異物を電子顕微鏡で観察し、さらにエネルギー分散X線分光器(EDX)で精密に分析したところ、Feだけではなく、更にNiやCr、Mo元素が検出された。これら構成元素群から判断すると、原因物質ステンレス(SUS)であろうと推察された。
通常、サーマルアスペリティ障害を引き起こす異物は、数μm程度の鉄粉であると考えられており、様々な鉄粉飛散防止対策が提案されていたが、本発明が目的とする10nm以下の極狭の浮上量においてサーマルアスペリティ障害を発生させやすい異物は、0.1μm程度のステンレス粉が原因であろうとの知見を得た。

0008

この知見をもとに、本発明者らは、微細ステンレス粉の発生工程を突き止めるべく、様々な角度から鋭意原因調査を行った結果、特に、ガラス基板の洗浄工程の前と後では、当該ステンレス異物の付着量が大幅に変化することを突き止めた。ガラス基板の洗浄工程の前と後では、鉄粉等の異物は除去されている一方で、微細なステンレス異物による汚染が新たに起こっていることが判明した。また、この汚染は、特に超音波洗浄を行った場合に顕著に発生し易いことも判明した。
本発明者らは、得られた一連の知見に基づきさらに検討を重ねた結果、以下の構成を有する発明を完成するに到った。

0009

(構成1)洗浄液を入れた洗浄槽中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する方法であって、前記洗浄槽の少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
(構成2)洗浄液を入れた洗浄槽中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する方法であって、前記洗浄槽は、ガラス又は樹脂材料で形成された洗浄液を振動させる部材を備えることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
(構成3)前記洗浄液を超音波振動させて前記ガラス基板を洗浄することを特徴とする構成1又は2記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
(構成4)前記洗浄液は酸性洗浄液であることを特徴とする構成1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法。
(構成5)構成1乃至4の何れかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法を含む洗浄工程を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成6)前記洗浄工程は研磨工程後の洗浄工程であることを特徴とする構成5記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成7)構成5又は6に記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
(構成8)化学強化処理液を入れた化学強化処理槽中で磁気ディスク用ガラス基板を化学強化する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成9)ガラス基板を洗浄液に浸漬させて洗浄する洗浄工程と、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬させて化学強化する化学強化処理工程とを含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記洗浄液を収納する洗浄槽及び/又は前記化学強化処理液を収納する化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成したことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成10)構成8又は9に記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
(構成11)ロード・アンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクに用いるガラス基板であることを特徴とする構成5、構成6、構成8又は構成9に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

0010

本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法は、構成1にあるように、洗浄液を入れた洗浄槽中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する方法であって、前記洗浄槽の少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成したことを特徴としている。
従来、洗浄槽などの処理槽にはステンレス等の金属材料が用いられていたが、本発明の洗浄方法によれば、特にサーマルアスペリティ障害を引き起こしやすい微小なステンレス粉などの金属パーティクルによる汚染を防止できるため、10nm以下という極狭な浮上量で磁気ヘッドを飛行させても、サーマルアスペリティ障害やクラッシュ障害などを抑止することができる。
磁気ディスク用ガラス基板の製造工程においては、洗浄液を用いた種々の洗浄工程が実施される。たとえば、主表面鏡研磨加工工程後の洗浄工程、化学強化工程後の洗浄工程、テクスチャー研磨加工工程後の洗浄工程、最終的に行われる精密洗浄工程などがある。

0011

これらの洗浄工程では、洗浄液を入れた洗浄槽中で磁気ディスク用ガラス基板を洗浄する。これらの洗浄工程では、一般に超純水や、硫酸等の酸性液中性洗剤、IPA(イソプロピルアルコール)などの洗浄液が使用される。
本発明においては、これらの洗浄液を入れる洗浄槽は、その少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成している。ガラス又は樹脂材料で形成することにより、洗浄中の汚染、特にガラス基板に付着してサーマルアスペリティ障害の原因となりやすい微小の金属パーティクルによる汚染を防止することができる。
本発明の作用の観点からは、特にガラス材料を用いることが望ましいが、コストの観点などを案して樹脂材料を選択することが出来る。

0012

本発明における洗浄槽に用いるガラス材料としては、石英ガラスを好ましく挙げることが出来る。また、樹脂材料としては、PP(polypropylene:ポリプロピレン)やPVDF(polyvinylidenefluoride:ポリフッ化ビニリデン)、或いはPVC(polyvinylchloride:ポリ塩化ビニル)などの樹脂を用いることが出来る。中でも、PPを用いると本発明の作用を好ましく得ることが出来る。
洗浄槽の少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成する具体的な方法としては、例えば、金属材料で形成した洗浄槽の内面の少なくとも一部にガラス材等を貼り合せるなどして覆う方法や、洗浄槽の一部、例えば底面全体をガラス材等で形成する方法などがある。

0013

また、洗浄槽は、中に入れた洗浄液と接する面の少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成することが好ましいが、少なくとも洗浄液と接する面は全てガラス材等で形成することが、洗浄液中での金属パーティクル発生のおそれが全く無くなるので、より好ましい。なお、洗浄槽の作製のし易さなどを考慮すると、洗浄槽の全体をガラス材等で形成することが望ましい。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法は、超音波洗浄のように、超音波印加しながら処理を行う工程に適用すると特に好適である。前述の洗浄工程では、洗浄効果を高めるために通常は超音波を印加しながら洗浄を行っている。本発明者らの検討によると、従来は、このような超音波を印加しながら行う処理において、特に微細なステンレスパーティクルによる汚染が発生しやすいことが判明した。本発明による洗浄方法を適用することにより、このような微細金属パーティクルによる汚染を防止することができる。

0014

上述の超音波洗浄のように、超音波を印加しながら行う処理において、前記洗浄層が中の洗浄液を振動させる手段を備えている場合、洗浄槽は、少なくとも該洗浄液を振動させる手段と接触する部位の部材をガラス又は樹脂材料で形成することが好ましい。通常の超音波洗浄処理は、洗浄槽の下に超音波振動子を含む超音波発振装置備え付け、これにより超音波を発生させて処理を行っている。このような超音波洗浄においては、洗浄槽を構成する部材にも超音波エネルギーが印加されるので、これら部材が発塵を引き起こしやすい。特に洗浄液を超音波振動させる部材は超音波エネルギーを直接受けているので発塵しやすい。
本発明においてはガラス又は樹脂材料を用いることにより、金属材料を用いた場合と比べ発塵が防止されるとともに、高い耐久性を得ることが出来る。また、ガラス又は樹脂材料は超音波エネルギーを効率よく伝達することが出来るので好ましい。従って、超音波発振装置と直接接触している例えば洗浄槽の底部はガラス材等で形成することが好ましい。この場合、洗浄槽の底部全体をガラス材等で形成してもよいし、洗浄槽の底部の内面、つまり洗浄液と接する面をガラス材等で形成してもよい。また、洗浄槽の底部だけでなく、壁面もガラス材等で形成することがより好ましい。

0015

なお、超音波洗浄するに当たって洗浄液に印加する超音波振動の周波数は20kHz〜100kHz程度とするのがよい。この周波数帯域でガラス基板の超音波洗浄を行うと、ガラス基板に対して好ましい洗浄作用を得ることが出来る。また、洗浄槽にガラス材を用いた場合では、洗浄槽に異物が沈着するなどして汚染されるのを防止でき、洗浄槽を高い清浄度で維持することが出来るので本発明にとって好ましい。また、樹脂材料の中でもPPを用いると、特に効率よく超音波エネルギーを伝達することが出来るので本発明にとって好ましい。
また、本発明による洗浄方法は、硫酸のような酸性洗浄液を使用する洗浄工程においても好適である。金属材料で形成した洗浄槽は薬液による腐食等のおそれがあるが、本発明により、微細な金属パーティクルの発塵を抑制することができ、また洗浄槽の耐久性を高めることが出来る。
また、本発明による洗浄方法は、ガラス基板の研磨後に行う洗浄に適用すると好適である。研磨工程後のガラス基板は、異物等が除去された清浄な表面に仕上がっているので、研磨工程後に本発明による洗浄方法を適用すると、汚染することなく清浄なガラス基板を製造することができるからである。

0016

この場合の研磨工程としては、酸化セリウムコロイダルシリカ砥粒を用いた鏡面研磨工程や、ダイヤモンド砥粒を用いたテクスチャー研磨工程などを挙げることが出来る。鏡面研磨工程ではパッド研磨方法、テクスチャー研磨工程ではテープ研磨方法を用いることが出来る。
また、ガラス基板を化学強化処理する場合にあっては、化学強化工程前及び/又は化学強化工程後の洗浄工程として本発明による洗浄方法を適用することが出来る。化学強化工程前に本発明による洗浄を行うと、清浄な表面状態のガラス基板を化学強化することになるので、化学強化処理の過程で異物が強固に付着してしまうのを防止することが出来る。このためサーマルアスペリティ障害を好適に防止することが出来る。なお、鏡面研磨工程の後に化学強化工程を実施する場合は、鏡面研磨工程後に行なう洗浄工程が上記化学強化工程前の洗浄工程となる。

0017

本発明における磁気ディスク用ガラス基板のガラスとしては、例えばアルミノシリケートガラスソーダライムガラス等が挙げられる。アルミノシリケートガラスであれば化学強化ガラスとすることで高い剛性を得ることができるので好ましい。
また、アモルファスガラス又は、アモルファス結晶を備える結晶化ガラスを用いることができる。
このようなガラスとしては、アモルファスのアルミノシリケートガラスとして、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラスからなることが好ましい。
更に、前記ガラス基板の組成を、SiO2:62〜75重量%、Al2O3:5〜15重量%、Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%、ZrO2:5.5〜15重量%を主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.0、Al2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスであることが好ましい。
また、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜15%、LiO2を7〜16%、Na2Oを4〜14%含有する化学強化用ガラス等を使用することが好ましい。

0018

このようなアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れる。化学強化の方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に限定されないが、実用上、低温型イオン交換法による化学強化が好ましい。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、構成8にあるように、化学強化処理液を入れた化学強化処理槽中で磁気ディスク用ガラス基板を化学強化する工程を含む製造方法であって、上記化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成したことを特徴としている。
従来、化学強化処理槽にはステンレス等の金属材料が用いられていたが、本発明の製造方法によれば、特にサーマルアスペリティ障害を引き起こしやすい微小なステンレス粉などの金属パーティクルによる汚染を防止できるため、10nm以下という極狭な浮上量で磁気ヘッドを飛行させても、サーマルアスペリティ障害やクラッシュ障害などを抑止することができる。

0019

この化学強化工程では、化学強化処理液を収納する化学強化処理槽中に磁気ディスク用ガラス基板を浸漬させて化学強化する。この化学強化工程では、例えば、所定温度に加熱され溶融した硝酸塩(例えば硝酸カリウム硝酸ナトリウムを含む化学強化処理液など)が使用される。
本発明においては、この化学強化処理液を収納する処理槽は、その少なくとも一部を石英ガラスで形成している。石英ガラスで形成することにより、化学強化処理中の汚染、特にガラス基板に付着してサーマルアスペリティ障害の原因となりやすい微小の金属パーティクルによる汚染を防止することができる。さらに、化学強化後の洗浄工程において、化学強化処理を終えたガラス基板が化学強化処理液とともに洗浄液中に持ち込まれても、洗浄中の微小な金属パーティクルによる汚染を好適に防止することができる。

0020

化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成する具体的な方法としては、例えば、金属材料で形成した処理槽の内面の少なくとも一部に石英ガラス材を貼り合せるなどして覆う方法や、処理槽の一部、例えば底面全体を石英ガラス材で形成する方法などがある。
また、化学強化処理槽は、中に収納する化学強化処理液と接する面の少なくとも一部を石英ガラスで形成することが好ましいが、少なくとも化学強化処理液と接する面は全て石英ガラス材で形成することが、化学強化処理液中での金属パーティクル発生のおそれが全く無くなるので、より好ましい。なお、処理槽の作製のし易さなどを考慮すると、処理槽の全体を石英ガラスで形成することが望ましい。

0021

ガラス基板として上記の化学強化ガラス基板を用いる場合、テクスチャーを付与する研磨加工は化学強化処理後に行なう事が好ましい。化学強化処理の前にテクスチャーを形成すると、化学強化処理におけるイオン交換の過程でテクスチャー形状が乱される場合があるので好ましくない。
ガラス基板の直径サイズについては特に限定はないが、実用上、モバイル用途のHDDとして使用されることに多い2.5インチサイズ以下の小型磁気ディスクに対しては、耐衝撃性が高く、高記録密度化を可能とする磁気ディスク用ガラス基板を提供できる本発明は有用性が高い。また、ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.5mm程度が好ましい。特に、0.1mm〜0.9mm程度の薄型基板により構成される磁気ディスクの場合では、耐衝撃性が高い磁気ディスク用ガラス基板を提供できる本発明は有用性が高く好適である。

0022

本発明の磁気ディスク用基板上に、少なくとも磁性層を形成することにより、高記録密度化に適した磁気ディスクが得られる。磁性層としては、hcp結晶構造Co系合金磁性層を用いると、保磁力(Hc)が高く高記録密度化に資することができる。
また必要に応じて、基板と磁性層との間に、磁性層の結晶粒配向性を制御するために下地層を形成することも好ましい。
なお、磁気ディスクを製造するにあたっては、静止対向型成膜方法を用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、少なくとも磁性層を形成することが好ましい。
また、磁性層の上に保護層を設けることが好適である。保護層を設けることにより、磁気ディスク上を浮上飛行する磁気記録ヘッドから磁気ディスク表面を保護することができる。保護層の材料としては、たとえば炭素系保護層が好適である。また、上記保護層上に更に潤滑層を設けることが好ましい。潤滑層を設けることにより、磁気記録ヘッドと磁気ディスク間の磨耗を抑止でき、磁気ディスクの耐久性を向上させることができる。潤滑層の材料としては、たとえばPFPE(パーフロロポリエーテル)が好ましい。

0023

本発明に係るガラス基板の洗浄方法を適用して製造された磁気ディスク用基板を用いて得られる磁気ディスクは、サーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュ障害の発生を防止でき、LUL(ロード・アンロード)耐久性にも優れるので、LUL方式の磁気ディスク装置に搭載する磁気ディスクに好適である。また、本発明の構成8又は構成9に記載の製造方法によって得られる磁気ディスク用ガラス基板は、サーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュ障害の発生を防止でき、LUL(ロード・アンロード)耐久性にも優れ、LUL方式の磁気ディスク装置に搭載する磁気ディスクに好適である。

発明を実施するための最良の形態

0024

以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面鏡面加工工程、(5)主表面鏡面研磨加工工程、(6)洗浄工程、(7)化学強化工程、(8)洗浄工程、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。なお、上記主表面鏡面研磨加工工程後の洗浄工程(6)と化学強化工程後の洗浄工程(8)では、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法による洗浄を行った。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型下型胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.5mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を得た。なお、この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法フロート法で形成したシートガラスから研削砥石切り出して円盤状のガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を含有する化学強化ガラスを使用した。次いで、ガラス基板に寸法精度及び形状精度の向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行なった。具体的には、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。

0025

(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板端面の表面粗さは、Rmaxで4μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラス基板表面をラッピングすることにより、表面粗さをRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。上記ラッピング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄を行なった。なお、各洗浄槽はSUS製である。
(4)端面鏡面加工工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。そして、上記端面鏡面加工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。

0026

(5)主表面鏡面研磨加工工程
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアをサンギアとインターナルギアとに噛合させ、上記ガラス基板を上下定番によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、荷重:100g/cm2、研磨時間:15分とした。

0027

次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じタイプの両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッドに変えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRmaxで8nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径0.8μm)を分散したRO水とし、荷重:100g/cm2、研磨時間を5分とした。

0028

(6)洗浄工程
図1は本実施例の洗浄工程で使用する洗浄槽の概略構成を示すものである。石英ガラスからなる第1の洗浄槽3に硫酸を超純水で希釈した酸性洗浄液4を入れて、洗浄槽3の底面周囲から酸性洗浄液4に向かって50kHzの超音波周波数で超音波を印加し上記洗浄液を振動させた。この洗浄槽3に、上記主表面鏡面研磨加工を終えたガラス基板1を保持具2に載せて浸漬させて第1の超音波洗浄を行った。
次に、石英ガラスからなる第2の洗浄槽7に超純水からなる中性洗浄液8を入れて、洗浄槽7の底面周囲から中性洗浄液8に向かって50kHzの超音波周波数で超音波を印加し上記洗浄液を振動させた。この洗浄槽7に、上記第1の超音波洗浄を終えたガラス基板1を保持具2に載せて浸漬させて第2の超音波洗浄を行った。最後に、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄とIPA蒸気乾燥を行った。
なお、この洗浄工程における洗浄槽にあっては、洗浄液に超音波を印加し振動させる部分を石英ガラスとし、その他の部分はステンレス等としてもよいが、本実施例では本発明の作用を好ましく得るために、洗浄槽全体を石英ガラスで構成している。

0029

また、超音波を洗浄液に印加するにあたっては、図1に示すように、PZT素子等の超音波振動子を含む超音波発振装置6上に金属或いは樹脂の板材発振板)5を設置し、この発振板5を介して前記洗浄槽3,7を設置するのが実用的である。
洗浄工程後に得られたガラス基板について目視検査及び光学精密検査を行ったところ、ガラス基板表面には異物などの付着は認められなかった。また、基板洗浄後の前記洗浄液4,8を0.2μmのフィルター濾過し、このフィルターを電子顕微鏡(SEM)やX線分光器(EDX)で分析したが、金属などのパーティクルは観察されなかった。さらに、液中パーティクルカウンターLPC)で基板洗浄後の前記洗浄液4,8を分析したが、0.2μm以下のパーティクル検出数は略ゼロであった。

0030

(7)化学強化工程
次に、上記洗浄工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記ガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。なお、上記化学強化液を入れた処理槽は、石英ガラス製のものを使用した。
(8)洗浄工程
次いで、化学強化処理を終えたガラス基板の洗浄を行った。洗浄は、前述の主表面鏡面研磨加工工程後の洗浄工程(6)と全く同様に行った。
本洗浄工程後に得られたガラス基板について目視検査及び光学精密検査を行ったところ、ガラス基板表面には異物などの付着は認められなかった。また、基板洗浄後の洗浄液を0.2μmのフィルターで濾過し、このフィルターを電子顕微鏡(SEM)やX線分光器(EDX)で分析したが、金属などのパーティクルは観察されなかった。また、液中パーティクルカウンター(LPC)で基板洗浄後の洗浄液を分析したが、0.2μm以下のパーティクル検出数は略ゼロであった。さらに、得られたガラス基板表面を原子間力顕微鏡AFM)で分析したところ、Rmaxが4.1nmの鏡面であった。表面に異物などの異常突起は観察されなかった。
なお、以上の様にして得られた磁気ディスク用ガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。

0031

(実施例2)
実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、磁気ディスクを得た。
枚葉スパッタリング装置を用いて、上記ガラス基板上に、シード層、下地層、磁性層、保護層及び潤滑層を順次形成した。
シード層は、CrTi薄膜膜厚300オングストローム)からなる第1のシード層と、AlRu薄膜(膜厚:400オングストローム)からなる第2のシード層を形成した。下地層は、CrW薄膜(膜厚:100オングストローム)で、磁性層の結晶構造を良好にするために設けた。なお、このCrW薄膜は、Cr:90at%、W:10at%の組成比で構成されている。
磁性層は、CoPtCrB合金からなり、膜厚は、200オングストロームである。この磁性層のCo、Pt、Cr、B の各含有量は、Co:73at%、Pt:7at%、Cr:18at%、B:2at%である。
保護層は、磁性層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、膜厚50オングストロームの水素カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。潤滑層は、パーフルオロポリエーテル液体潤滑剤ディップ法により形成し、膜厚は9オングストロームである。

0032

次に、得られた磁気ディスクを以下のようにして評価した。
信頼性評価
得られた磁気ディスクについて、グライド特性評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、4.5nmであった。タッチダウンハイトは、浮上しているヘッドの浮上量を順に下げていき(例えば磁気ディスクの回転数を低くしていく)、磁気ディスクと接触し始める浮上量を求めて、磁気ディスクの浮上量の能力を測るものであるが、通常、40Gbit/in2以上の記録密度が求められるHDDでは、タッチダウンハイトは5nm以下であることが求められる。
また、ヘッド浮上時の浮上量を10nmとし、70℃、80%RH環境下で、ヘッドのロード・アンロード動作を繰り返して行うLUL耐久性について試験したところ、60万回のLUL連続試験後でも、ヘッドクラッシュ障害は発生しなかった。通常に使用されるHDDでは、LUL回数が60万回を越えるには10年間程度の使用が必要とされると云われており、本実施例の磁気ディスクは高い信頼性を保障できることがわかる。
また、フライングハイト10nmのGMRヘッドを用いてサーマルアスペリティ(TA)試験を行った。磁気ディスクの回転数は、5400rpmとし、磁気ヘッドのスライダーはNPAB(負圧型)スライダーを用い、記録再生を行った。そして、サーマルアスペリティの生じた箇所を磁気ディスク面に対してカウントする(TA個数)。通常、TA個数は磁気ディスク面当り5個以下であることが要求されるが、本実施例の磁気ディスクでは、サーマルアスペリティ障害は発生せず、TA個数はゼロであった。

0033

(実施例3)
実施例1における主表面鏡面研磨加工工程後の洗浄工程(6)及び化学強化工程後の洗浄工程(8)で用いた石英ガラスからなる洗浄槽を全て、PP(ポリプロピレン)からなる洗浄槽に置き換えた。この点以外は実施例1と同様の洗浄液を用いた洗浄工程を行い、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
洗浄工程後に得られたガラス基板について目視検査及び光学精密検査を行ったところ、鏡面研磨後の洗浄工程後においても、化学強化後の洗浄工程後においても、ガラス基板表面には異物などの付着は認められなかった。また、基板洗浄後の洗浄液を0.2μmのフィルターで濾過し、このフィルターを電子顕微鏡(SEM)やX線分光器(EDX)で分析したが、金属などのパーティクルは観察されなかった。さらに、液中パーティクルカウンター(LPC)で基板洗浄後の洗浄液を分析したところ、何れの洗浄液においても、0.2μm以下のパーティクル検出数は、洗浄液10ミリリットル当たり500個〜1000個であった。
次に、本実施例のガラス基板を用いて実施例2と同様に成膜工程を施し、磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクについて、実施例2と同様の評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、4.9nmであった。さらに、LUL耐久性について試験したところ、60万回のLUL動作でヘッドクラッシュにより故障した。また、サーマルアスペリティ試験を行ったところ、TA個数は5個であった。なお、これらの結果は、前述の磁気ディスクの信頼性に必要な所要値満足している。

0034

(比較例)
実施例1における主表面鏡面研磨加工工程後の洗浄工程(6)及び化学強化工程後の洗浄工程(8)で用いた石英ガラスからなる洗浄槽を全て、金属(ステンレスSUS316)からなる洗浄槽に置き換えた。この点以外は実施例1と同様の洗浄液を用いた洗浄工程を行い、本比較例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
洗浄工程後に得られたガラス基板について目視検査及び光学精密検査を行ったところ、鏡面研磨後の洗浄工程後においても、化学強化後の洗浄工程後においても、ガラス基板表面には異物などの付着は認められなかったが、基板洗浄後の洗浄液を0.2μmのフィルターで濾過し、このフィルターを電子顕微鏡(SEM)やX線分光器(EDX)で分析したところ、フィルター1mm平方当たり140〜160カウント程度の金属パーティクルが検出された。この金属パーティクルの構成元素を分析したところ、ステンレス粉であることが判った。さらに、液中パーティクルカウンター(LPC)で基板洗浄後の洗浄液を分析したところ、何れの洗浄液においても、0.2μm以下のパーティクル検出数は、洗浄液10ミリリットル当たり8000個〜10000個であった。
次に、本比較例のガラス基板を用いて実施例2と同様に成膜工程を施し、磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクのグライド特性評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、6.4nmであった。さらに、LUL耐久性について試験したところ、40万回のLUL動作でヘッドクラッシュにより故障した。また、サーマルアスペリティ試験を行ったところ、サーマルアスペリティ障害も発生し、TA個数は12個であった。

0035

(実施例4)
実施例1における化学強化工程(7)において、380℃に加熱され溶融した硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを含む化学強化処理液をステンレス製の処理槽に収納した。具体的には、SUS316型のステンレスで構成された化学強化処理槽を用いた。この点以外は実施例1と同様にしてガラス基板の化学強化処理を行った。また、化学強化工程以外は、実施例1と同様にして、磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
洗浄工程後に得られたガラス基板について目視検査及び光学精密検査を行ったところ、鏡面研磨後の洗浄工程後においても、化学強化後の洗浄工程後においても、ガラス基板表面には異物などの付着は認められなかった。また、基板洗浄後の洗浄液を0.2μmのフィルターで濾過し、このフィルターを電子顕微鏡(SEM)やX線分光器(EDX)で分析したところ、鏡面研磨後の洗浄液を濾過したフィルターからは金属などのパーティクルは観察されなかったが、化学強化後の洗浄液を濾過したフィルターからは、極く少量の金属パーティクルが検出された。この金属パーティクルの構成元素を分析したところ、ステンレス粉であることが判った。さらに、液中パーティクルカウンター(LPC)で基板洗浄後の洗浄液を分析したところ、鏡面研磨後の洗浄液においては、0.2μm以下のパーティクル検出数は略ゼロであったが、化学強化後の洗浄液においては、0.2μm以下のパーティクル検出数は、洗浄液10ミリリットル当たり20個程度であった。なお、化学強化後の洗浄液から検出された少量の金属パーティクルは、化学強化処理槽の材質に起因するものと考えられる。

0036

次に、本実施例のガラス基板を用いて実施例2と同様に成膜工程を施し、磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクについて、実施例2と同様の評価を行ったところ、タッチダウンハイトは、4.7nmであった。さらに、LUL耐久性について試験したところ、60万回のLUL動作に耐久した。また、サーマルアスペリティ試験を行ったところ、TA個数は1個であった。
以上の実施例4の結果と前述の実施例1及び2の結果とを対比すると、ガラス基板の化学強化工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、化学強化工程では、化学強化処理液を収納する化学強化処理槽を石英ガラス製の処理槽とすること(実施例1)が特に好適であることが分かる。なお、ガラス基板の化学強化工程と洗浄工程とを有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、化学強化処理液を収納する化学強化処理槽及び/又は洗浄液を収納する洗浄槽を石英ガラス製の洗浄槽とすることが特に好ましい。すなわち、化学強化処理液、洗浄液等の処理液を入れた処理槽中で磁気ディスク用ガラス基板を処理する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法にあっては、上記処理槽を石英ガラス製の処理槽とすることが好ましい。

0037

(発明の効果)
以上詳細に説明したように、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の洗浄方法によれば、洗浄槽の少なくとも一部をガラス又は樹脂材料で形成したので、特にサーマルアスペリティ障害の原因となりやすい微小な金属パーティクルによる汚染を防止することが出来る。
また、本発明による洗浄方法は、超音波を印加しながら洗浄処理を行う場合においても微小な金属パーティクルによる汚染を防止することができるので、特に好適である。
また、本発明による洗浄方法は、金属製の処理槽では腐食等の問題が生じやすい酸性洗浄液を用いる処理にも好適である。
また、本発明による洗浄方法は、異物等が除去された清浄な表面に仕上がっている研磨工程後に行う洗浄工程に適用すると好適である。
また、このような本発明の基板の洗浄方法を適用した磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造することにより、磁気ヘッドが10nm以下の極低浮上量で飛行しても、サーマルアスペリティ障害やクラッシュ障害の発生を防止でき、信頼性の高い、高記録密度化に好適な磁気ディスクを提供できる。

0038

また、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の化学強化工程を含む製造方法であって、化学強化処理液を収納する化学強化処理槽の少なくとも一部を石英ガラスで形成したので、化学強化工程及び化学強化後の洗浄工程において、特にサーマルアスペリティ障害の原因となりやすい微小な金属パーティクルによる汚染を防止することが出来る。
また、本発明により得られる磁気ディスク用ガラス基板は、サーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュ障害の発生を防止でき、LUL(ロード・アンロード)耐久性にも優れるので、LUL方式の磁気ディスク装置に搭載する磁気ディスクに好適である。

図面の簡単な説明

0039

洗浄工程で用いる洗浄槽の概略構成を模式的に示す図である。

符号の説明

0040

1ガラス基板
2保持具
3 第1の洗浄槽
4酸性洗浄液
5発振板
6超音波発振装置
7 第2の洗浄槽
8中性洗浄液

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